JP2008031873A - ピストンリング - Google Patents

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Abstract

【課題】ピストンリングにおいて、構造を複雑化することなくガスシール機能の向上を図る。
【解決手段】ピストン14の外周面にリング溝44,45,46を形成し、このリング溝44,45,46にトップリング51、セカンドリング52、オイルリング53を嵌合し、このトップリング51にて、一端部側の第1開口部56,57が合口隙間Sをもって対向する各端面51e,51fに開口し、他端部側の第2開口部58,59が燃焼室16にクリアランスC1,C2を介して連通する内周面51bに開口するガス通路54,55を設ける。
【選択図】 図1

Description

本発明は、シリンダボアにピストンが摺動自在に支持され、このピストンの外周面に形成されたリング溝に嵌着されたピストンリングに関するものである。
一般的に、内燃機関において、シリンダヘッドはシリンダブロックの上部に組み付けられ、複数の締結ボルトにより締結されており、直列をなして複数のシリンダボアが設けられ、各シリンダボアにピストンが上下移動自在に支持されている。そして、シリンダヘッドとシリンダブロックとピストン区画される各燃焼室に対して吸気ポート及び排気ポートが対向して形成され、この吸気ポート及び排気ポートは吸気弁及び排気弁により開閉自在となっている。また、吸気ポート(または燃焼室)に燃料を噴射するインジェクタが装着されると共に、燃焼室の混合気に着火する点火プラグが装着されている。
従って、吸気弁の開放時に、空気が吸気ポートから燃焼室に吸入されると共に、インジェクタから噴射された燃料が燃焼室に吸入され、空気と燃料との混合気がピストンの上昇により圧縮され、この高圧の混合気が点火プラグに導かれて着火して爆発することで駆動力を得ることができ、排気弁の開放時に、燃焼後の排気ガスが排気ポートから排出される。
そして、上述した内燃機関において、ピストンの外周部には複数のピストンリングが装着されている。上方側に装着されるトップリング及びセカンドリングは、ガスシール機能及び熱伝導機能を有し、その下方側に装着されるオイルリングは、オイルコントロール機能を有している。即ち、ガスシール機能は、内燃機関の吸気、圧縮、膨張、排気行程における燃焼室の機密性を確保するものであり、特に、燃焼室における燃焼ガスの膨張によりピストンが圧力を受けて下降するが、このとき、燃焼ガスがシリンダボアとピストンとの隙間を通ってクランクケース内に漏れないように、ピストンリングがシリンダボアの壁面に圧接して機密性を確保している。また、熱伝導機能は、ピストンリングがシリンダボアの壁面に圧接することで、ピストンの熱をシリンダボア側に逃がし、ピストンやピストンリングの長寿命化を確保するものである。更に、オイルコントロール機能は、潤滑油を必要最小限の量だけシリンダボアの壁面に残し、余分な潤滑油をかき下げて回収するものである。
ところで、燃焼室で燃焼後に発生する排気ガス(ブローバイガス)は、有害成分であるNOx(窒素酸化物)、HC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)などを含んでおり、上述したように、ピストンリングによりこの排気ガスがクランクケース内に漏洩するのを防止している。ところが、ピストンの上方側に装着されるトップリング及びセカンドリングは、リング形状をなすものの、低温時と高温時における熱膨張差を吸収するために、切れ目により合口隙間が設けられている。そのため、燃焼室の排気ガスがピストンリングの合口隙間を通ってクランクケース内に漏洩してしまう。すると、有害成分であるNOx、HC、COがオイルパンに貯留されている潤滑油と接触し、この潤滑油が劣化してしまい、潤滑油の交換時期が短縮されて高コスト化を招くと共に、潤滑不良により燃費の悪化、出力の低下、騒音の発生などの不具合を招いてしまうおそれがある。
このような問題点を解決するものとして、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載された内燃機関のピストンリングは、合口隙間を隔てて対峙する2つの合口面に挿入穴を形成し、この挿入穴に樹脂製部材の突起部を挿入し、突起部をシリンダ内壁に当接することで、燃焼室とシリンダボアとの間での燃焼ガスや排気ガス、ブローバイガスの漏出を防止するものである。なお、ピストンリングにガス通路を設けることでオイルコントロール機能を確保するものとして、下記特許文献2に記載されたものがある。引用文献2に記載された内燃機関のピストンリングでは、リング本体に内部空洞を形成する外壁と底壁の各々に径方向の第1の貫通孔と幅方向の第2の貫通孔を形成し、ガス圧力のないピストンの上昇行程中に、第1の貫通孔からオイルを内部空洞内へ取り込み、ガス圧力が作用するピストンの上昇行程中に、第1の貫通孔及び合口部の空間より内部空洞内にガス圧を供給し、このガス圧を利用して第2の貫通孔から内部空洞のオイルをリング溝内に排出させている。
特開2005−105880号公報 特開平07−310826号公報
上述した特許文献1の内燃機関のピストンリングでは、合口隙間を隔てて対峙する合口面を樹脂製部材により連結すると共に、突起部をシリンダ内壁に当接することで、この合口隙間を通って漏洩するブローバイガスなどの漏出量を低減している。ところが、ピストンリングをピストンに組み付ける際に、同時に樹脂製部材も組み付けなければならず、組付作業性が良くない。また、ピストンリングは、低温時と高温時とで熱膨張差が発生するため、この点を考慮して樹脂製部材を製作する必要があり、寸法管理が困難であると共に、耐久性が十分でないという問題がある。
また、特許文献2の内燃機関のピストンリングは、内部空洞と貫通孔によりガス通路を形成するものであるが、この貫通孔はガス圧力を利用して内部空洞のオイルをリング溝内に排出させるものであり、燃焼室からクランクケースへのブローバイガスの漏出を防止することはできない。
本発明は、このような問題を解決するためのものであって、構造を複雑化することなくガスシール機能の向上を図ったピストンリングを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のピストンリングは、シリンダボアにピストンが摺動自在に支持され、該ピストンの外周面に形成されたリング溝に嵌着されたピストンリングにおいて、一端部側の第1開口部が合口隙間をもって対向する各端面の少なくとも一方に開口し、他端部側の第2開口部が前記ピストンの頂面と機関本体とで区画された燃焼室に開口するガス通路が設けられたことを特徴とするものである。
本発明のピストンリングでは、前記第2開口部は、内周面に開口されたことを特徴としている。
本発明のピストンリングでは、前記第2開口部は、前記内周面における下側に開口されたことを特徴としている。
本発明のピストンリングでは、前記第2開口部は、上面に開口されたことを特徴としている。
本発明のピストンリングでは、前記第1開口部は、前記端面における外周側に開口されたことを特徴としている。
本発明のピストンリングでは、前記ガス通路は、前記合口隙間をもって対向する両端部に設けられ、該両端部における各端面に開口された前記各第1開口部は、互いに対向して位置することを特徴としている。
本発明のピストンリングでは、外周面がバレル形状に形成され、前記第1開口部は、前記端面における上側及び下側に複数開口されたことを特徴としている。
本発明のピストンリングでは、外周面はその上部が前記シリンダボアの壁面から離間するテーパ形状に形成され、前記第1開口部は、前記端面おける上側に開口されたことを特徴としている。
本発明のピストンリングでは、前記第1開口部の通路面積は、前記合口隙間をもって対向する各端面と前記ピストンの外周面と前記シリンダボアの壁面との形成された通路面積よりも小さく設定されたことを特徴としている。
本発明のピストンリングによれば、ピストンの外周面に形成されたリング溝にピストンリングを嵌着し、このピストンリングに、一端部側の第1開口部が合口隙間をもって対向する各端面の少なくとも一方に開口し、他端部側の第2開口部がピストンの頂面と機関本体とで区画された燃焼室に開口するガス通路を設けたので、燃焼室のブローバイガスは、第2開口部からガス通路に侵入し、このガス通路を通って端面に形成された第1開口部から合口隙間に噴出されるため、この合口隙間に噴出されるブローバイガスが、燃焼室から合口隙間を通ってクランクケース内に流れ込もうとするブローバイガスに衝突し、その流れを阻止することとなり、構造を複雑化することなく、クランクケースへのブローバイガスの漏洩量を低減してガスシール機能を向上することができる。
以下に、本発明に係るピストンリングの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の実施例1に係るピストンリングとしてのトップリングの装着状態を表す概略断面図、図2は、実施例1のトップリングが装着されたピストンの要部側面図、図3は、図2のIII−III断面図、図4は、図2のIV−IV断面図、図5は、一般的なエンジンの縦断面図、図6は、ピストンリングが装着されたピストンの要部断面図である。
実施例1の内燃機関は、多気筒エンジンであり、図5に示すように、シリンダヘッド11はシリンダブロック12上に組み付けられ、複数の図示しない締結ボルトにより締結されている。シリンダブロック12には複数のシリンダボア13が形成され、各シリンダボア13にピストン14が摺動自在に嵌合している。そして、シリンダブロック12の下部に図示しないクランクシャフトが回転自在に支持されており、各ピストン14はコネクティングロッド15を介してこのクランクシャフトに連結されている。
シリンダブロック12の各シリンダボア13に対応してその上方に燃焼室16が直列するように形成されている。この燃焼室16は、シリンダボア13の内壁面と、シリンダヘッド11の下面と、ピストン14の頂面により囲繞されており、天井部(シリンダヘッド11の下面)の中央部が高くなるように傾斜したペントルーフ形状をなしている。そして、この各燃焼室16の上方、つまり、シリンダヘッド11の下面に吸気ポート17と、排気ポート18が対向して開口している。
そして、この吸気ポート17及び排気ポート18に対して吸気弁19及び排気弁20がそれぞれ位置している。この吸気弁19及び排気弁20は、シリンダヘッド11に固定された各ステムガイド21,22により軸方向に沿って移動自在に支持されると共に、各バルブスプリング23,24により上方、つまり、吸気ポート17及び排気ポート18を閉止する方向に付勢支持されている。また、吸気弁19及び排気弁20は、上端部にローラロッカアーム25,26の一端部が連結され、このローラロッカアーム25,26の他端部はシリンダヘッド11に固定されたラッシュアジャスタ27,28に連結されており、吸気カムシャフト29の吸気カム30及び排気カムシャフト31の排気カム32が各ローラロッカアーム25,26に接触している。
従って、エンジンに同期して吸気カムシャフト29及び排気カムシャフト31が回転すると、吸気カム30及び排気カム32がローラロッカアーム25,26を作動させ、各吸気弁19及び排気弁20が所定のタイミングで上下移動することで、吸気ポート17及び排気ポート18を開閉し、吸気ポート17と燃焼室16、燃焼室16と排気ポート18とをそれぞれ連通することができる。
燃焼室16の側部、つまり、吸気ポート17側のシリンダヘッド11の下面には、この燃焼室16に直接燃料を噴射するインジェクタ33が装着されている。また、燃焼室16の天井部中央、つまり、吸気ポート17と排気ポート18の間のシリンダヘッド11の下面には、点火プラグ34が装着されている。そして、車両には、電子制御ユニット(ECU)が搭載されており、このECUは、インジェクタ33の燃料噴射量や噴射時期、点火プラグ34による点火時期などを制御可能となっており、検出した吸入空気量、スロットル開度(アクセル開度)、エンジン回転数などのエンジン運転状態に基づいて燃料噴射量、噴射時期、点火時期などを決定している。
また、上述したピストン14は、図5及び図6に示すように、ピストン本体41の外周面42に3つのピストンリング51,52,53が装着されて構成されている。そして、このピストン本体41は、シリンダボア13の内径より若干小さい外径を有する円柱形状をなし、外周面42がシリンダボア13の内壁面と所定のクリアランスを有している。また、ピストン本体41は、上部に燃焼室16を区画形成する頂面43を有している。
また、ピストン本体41は、外周面に周方向に沿って所定深さを有する3つのリング溝44,45,46が上下方向に対して所定間隔で形成されている。そして、各リング溝44,45,46に、ピストンリングとしてのトップリング51、セカンドリング52、オイルリング53が嵌着しており、外周面42は、トップランド42a、セカンドランド42b、サードランド42cとして区画されている。
この場合、ピストン本体41の頂面43側に位置するトップリング51及びセカンドリング52は、ガスシール機能及び熱伝導機能を有している。即ち、トップリング51及びセカンドリング52は、エンジンの吸気、圧縮、膨張、排気行程における燃焼室16の機密性を確保することができるものであり、特に、燃焼室16における燃焼ガスの膨張によりピストン14が圧力を受けて下降するが、トップリング51及びセカンドリング52が弾性力をもってシリンダボア13の壁面に圧接することで、排気ガスがピストン14とシリンダボア13との隙間を通ってクランクケース内に漏れないように機能している。また、トップリング51及びセカンドリング52は、外周面がシリンダボア13の壁面に圧接することで、ピストン14の熱をシリンダボア13側に逃がし、ピストン14やトップリング51及びセカンドリング52の長寿命化を確保することができる。
また、セカンドリング52とその下方側に装着されるオイルリング53は、外周面がシリンダボア13の壁面に圧接することで、ピストン14の移動時にシリンダボア13の壁面に付着している潤滑油をかき下げ、必要最小限の量の潤滑油をシリンダボア13の壁面に残し、余分な潤滑油を回収することができる。
ところで、燃焼室16に残留する排気ガス(ブローバイガス)は、有害成分であるNOx(窒素酸化物)、HC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)などを含んでおり、トップリング51及びセカンドリング52のガスシール機能により、この排気ガスが図示しないクランクケース内に漏洩するのを防止している。しかし、トップリング51及びセカンドリング52は、低温時と高温時における熱膨張差を吸収するために切れ目により合口隙間が設けられている。そのため、燃焼室16の排気ガスがこの合口隙間を通ってクランクケース内に漏洩してしまう。すると、有害成分であるNOx、HC、COがオイルパンに貯留されている潤滑油と接触し、この潤滑油が劣化してしまう。
そこで、本実施例では、図1乃至図4に示すように、トップリング51にて、一端部側が合口隙間Sをもって対向する端面に開口し、他端部側が燃焼室16に開口するガス通路54,55を設けており、燃焼室16の排気ガスをガス通路54,55を通して合口隙間Sに噴出することで、燃焼室16から合口隙間Sを通ってクランクケース内に流れ込もうとする排気ガスに衝突させてその流れを阻止するようにしている。
具体的に説明すると、リング溝44は、上面44aと、底面44bと、下面44cとから構成される一方、トップリング51はバレルフェース形状をなし、リング溝44の上面44aに対向する上面51aと、底面44bに対向する内周面51bと、下面44cに対向する下面51cと、シリンダボア13の壁面に圧接可能な外周面51dと、合口隙間Sをもって対向する各端面51e,51fから構成されている。そして、リング溝44の上面44aとトップリング51の上面51aとの間にクリアランスC1が形成されている。
また、トップリング51が弾性力をもって径方向に移動してシリンダボア13の壁面に圧接できるように、リング溝44の上面44aとトップリング51の上面51aとの間または下面44cと下面51cとの間に、若干のリクリアランスC2,C3が設けられている。そのため、ピストン14の上昇時に、トップリング51は、シリンダボア13の壁面との摺動抵抗によりリング溝44を下方に移動し、下面51cがリング溝44の下面44cに密着することで、上面44aと上面51aとの間にクリアランスC2が形成され、ピストン14の下降時に、トップリング51は、シリンダボア13の壁面との摺動抵抗によりリング溝44を上方に移動し、上面51aがリング溝44の上面44aに密着することで、下面44cと下面51cとの間にクリアランスC3が形成される。
トップリング51にて、ガス通路54,55は、合口隙間Sをもって対向する両端部にそれぞれ設けられており、トップリング51の径方向に沿った第1通路54a,55aと、周方向に沿った第2通路54b,55bとの端部が連通して構成されている。そして、このガス通路54,55は、一端部側となる第1開口部56,57がトップリング51の各端面51e,51fに開口し、他端部側となる第2開口部58,59が燃焼室16、つまり、トップリング51の内周面51bに開口している。この場合、ガス通路54,55における各第1開口部56,57は、端面51e,51fにおける外周側の下側に開口しており、合口隙間Sを隔てて互いに対向するように位置している。また、ガス通路54,55における各第2開口部58,59は、内周面51bにおける下側に開口している。更に、ガス通路54,55における第1開口部56,57の通路面積A1(図4参照)は、上方から合口隙間Sを通って下方に抜ける各端面51e,51fとピストン14の外周面とシリンダボア13の壁面との形成された通路面積A2(図3参照)よりも小さく設定されている。例えば、トップリング51の高さを1.5〜2.0mm、ガス通路54,55の直径を0.3〜0.5、合口隙間Sの幅を装着前で約10mm、装着後で0.3〜0.5mmとすることが望ましい。
ここで、本実施例のピストンリングにおける作用を説明する。
図1乃至図6に示すように、吸気弁19の開放時に、吸気通路の空気が吸気ポート17から燃焼室16に吸入されると共に、インジェクタ33から燃料が燃焼室16に噴射され、この空気と燃料との混合気がピストン14の上昇により圧縮され、この高圧の混合気が点火プラグ34に導かれて着火して爆発することでピストン14が押し下げられて駆動力を得ることができ、排気弁20の開放時に、燃焼室16の排気ガスが排気ポート18から排気管に排出される。
このとき、ピストン14が上昇して燃焼室16の混合気が圧縮され、高圧の混合気に点火することで膨張して爆発するが、爆発後の燃焼ガス、つまり、排気ガスには、有害成分であるNOx、HC、COが含まれている。そのため、ピストン14の移動時に、このピストン14の外周面に装着されたトップリング51及びセカンドリング52がシリンダボア13の壁面に摺接することで、燃焼室16の排気ガスがピストン14とシリンダボア13との隙間を通ってクランクケースに漏洩するのが防止される。
しかし、このとき、トップリング51及びセカンドリング52では、合口隙間Sが設けられているため、燃焼室16の排気ガスがピストン14とシリンダボア13との間からこの合口隙間Sを通ってクランクケース内に流動(通過ガスG2)しようとする。ところが、本実施例では、燃焼室16の排気ガスの一部が、ピストン14とシリンダボア13との間からクリアランスC1,C2に侵入し、各第2開口部58,59からガス通路54,55内に入り込み、このガス通路54,55を通って第1開口部56,57から合口隙間Sに噴出(噴出ガスG1)するようにしている。そのため、このガス通路54,55の第1開口部56,57から合口隙間Sに噴出する噴出ガスG1が、燃焼室16から合口隙間Sを通ってクランクケース内に流れ込もうとする通過ガスG2に衝突するため、この通過ガスG2の流れを阻止することとなる。
即ち、ガス通路54,55の第1開口部56,57から噴出する噴出ガスG1の通路面積A1が、上方から合口隙間Sを通過する通過ガスG2の通路面積A2より小さく設定されている。そのため、2つの第1開口部56,57から合口隙間Sに噴出する噴出ガスG1の流速が加速され、合口隙間Sにおけるガス圧力が通過ガスG2のガス圧力よりも高くなることから、燃焼室16から合口隙間Sに流れ込む通過ガスG2の流速が低下し、排気ガスの漏れ量が低減される。また、ガス通路54,55の各第1開口部56,57が、端面51e,51fにおける外周側の下側に開口し、合口隙間Sを隔てて互いに対向するように位置している。そのため、2つの第1開口部56,57から合口隙間Sに噴出する噴出ガスG1によりここにエアカーテンが形成され、燃焼室16から合口隙間Sに流れ込む通過ガスG2がせき止められ、排気ガスの漏れ量が低減される。その結果、燃焼室16から合口隙間Sを通ってクランクケースの漏洩する排気ガス量が低減されることから、図示しないオイルパンに貯留されている潤滑油の劣化が抑制される。
このように実施例1のピストンリングにあっては、ピストン14の外周面にリング溝44,45,46を形成し、このリング溝44,45,46にトップリング51、セカンドリング52、オイルリング53を嵌合し、このトップリング51にて、一端部側の第1開口部56,57が合口隙間Sをもって対向する各端面51e,51fに開口し、他端部側の第2開口部58,59が燃焼室16にクリアランスC1,C2を介して連通する内周面51bに開口するガス通路54,55を設けている。
従って、燃焼室16の排気ガスは、トップリング51に形成された第2開口部58,59からガス通路54,55に侵入し、このガス通路54,55を通って端面51e,51fに形成された第1開口部56,57から合口隙間Sに噴出されるため、この合口隙間Sに噴出される排気ガス(噴出ガスG1)が、燃焼室16から合口隙間Sを通ってクランクケース内に流れ込もうとする排気ガス(通過ガスG2)に衝突し、この通過ガスG2の流れを阻止することとなり、クランクケースへの排気ガスの漏洩量を低減してガスシール機能を向上することができる。また、トップリング51の端部にガス通路54,55を形成するだけで、適正にクランクケースへの排気ガスの漏洩量を低減することができ、別部材を不要として構造を簡素化することができる。
また、実施例1では、ガス通路54,55の各第1開口部56,57を、トップリング51における端面51e,51fの外周側の下側に開口しており、燃焼室16から合口隙間Sを通ってクランクケース内に流れ込もうとする通過ガスG2に確実に衝突させてその通過を阻止することができる。この場合、ガス通路54,55の各第2開口部58,59を、トップリング51における内周面51bの下側に開口しており、ピストン14とシリンダボア13との間からクリアランスC1を通ってクリアランスC2に侵入した排気ガスが、各第2開口部58,59からガス通路54,55内に入り込みやすくなり、ガスの流動抵抗を軽減して確実に第1開口部56,57から合口隙間Sに向けて噴出ガスG1を噴出することができる。
また、実施例1では、ガス通路54,55の第1開口部56,57から噴出する噴出ガスG1の通路面積A1を、上方から合口隙間Sを通過する通過ガスG2の通路面積A2より小さく設定している。従って、2つの第1開口部56,57から合口隙間Sに噴出する噴出ガスG1が加速され、合口隙間Sにおけるガス圧力が通過ガスG2のガス圧力よりも高くなることから、燃焼室16から合口隙間Sに流れ込む通過ガスG2の流速が低下し、排気ガスの漏れ量を低減することができる。そして、この場合、各第1開口部56,57が合口隙間Sを隔てて互いに対向しており、2つの第1開口部56,57から合口隙間Sに噴出する噴出ガスG1が衝突してガス圧をより高めることができ、燃焼室16から合口隙間Sに流れ込む通過ガスG2を確実にせき止めることができる。
図7は、本発明の実施例2に係るピストンリングとしてのトップリングの装着状態を表すピストンの要部断面図、図8は、トップリングの装着状態を表す要部側面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例2のピストンリングにおいて、図7及び図8に示すように、トップリング61の各端部における上側及び下側に、一端部側が合口隙間Sをもって対向する端面に開口し、他端部側が燃焼室16に開口するガス通路62a,62b,63a,63bを複数設けており、燃焼室16の排気ガスをガス通路62a,62b,63a,63bを通して合口隙間Sに噴出することで、燃焼室16から合口隙間Sを通ってクランクケース内に流れ込もうとする排気ガスに衝突させてその流れを阻止するようにしている。
即ち、トップリング61はバレルフェース形状をなし、リング溝44の上面44aに対向する上面61aと、底面44bに対向する内周面61bと、下面44cに対向する下面61cと、シリンダボア13の壁面に圧接可能な外周面61dと、合口隙間Sをもって対向する各端面61e,61fから構成されている。ガス通路62a,62b,63a,63bは、合口隙間Sをもって対向する両端部における上部及び下部にそれぞれ設けられている。上部側ガス通路62a,63aは、一端部側となる第1開口部64a,65aがトップリング61の各端面61e,61fの上部に開口し、他端部側となる第2開口部66a,67aが燃焼室16、つまり、トップリング61の内周面61bの上部に開口している。一方、下部側ガス通路62b,63bは、一端部側となる第1開口部64b,65bがトップリング61の各端面61e,61fの下部に開口し、他端部側となる第2開口部66b,67bが燃焼室16、つまり、トップリング61の内周面61bの下部に開口している。
この場合、上部側ガス通路62a,62bにおける各第1開口部64a,65aは、端面61e,61fにおける外周側の上側に開口し、合口隙間Sを隔てて互いに対向するように位置している。一方、下部側ガス通路62b,63bにおける第1開口部64b,65bは、端面61e,61fにおける外周側の下側に開口し、合口隙間Sを隔てて互いに対向するように位置している。また、上部側ガス通路62a,63aにおける各第2開口部66a,67aは、内周面61bにおける上側に開口し、下部側ガス通路63b,64bにおける各第2開口部66b,67bは、内周面61bにおける下側に開口している。
従って、ピストン14の上昇時に、このピストン14の外周面に装着されたトップリング61がシリンダボア13の壁面に摺接することで、燃焼室16の排気ガスがピストン14とシリンダボア13との隙間を通ってクランクケースに漏洩するのが防止される。
このとき、トップリング61では、合口隙間Sが設けられているため、燃焼室16の排気ガスがピストン14とシリンダボア13との間からこの合口隙間Sを通ってクランクケース内に流動(通過ガスG2)しようとする。ところが、燃焼室16の排気ガスの一部が、ピストン14とシリンダボア13との間からクリアランスC1,C2に侵入し、各第2開口部66a,66b,67a,67bからガス通路62a,62b,63a,63b内に入り込み、このガス通路62a,62b,63a,63bを通って第1開口部64a,64b,65a,65bから合口隙間Sに噴出(噴出ガスG1)する。そのため、このガス通路62a,62b,63a,63bの第1開口部64a,64b,65a,65bから合口隙間Sに噴出する噴出ガスG1が、燃焼室16から合口隙間Sを通ってクランクケース内に流れ込もうとする通過ガスG2に衝突するため、この通過ガスG2の流れを阻止される。
即ち、ガス通路62a,62b,63a,63bにより各第1開口部64a,64b,65a,65bから合口隙間Sに噴出する噴出ガスG1が加速され、合口隙間Sにおけるガス圧力が通過ガスG2のガス圧力よりも高くなることから、燃焼室16から合口隙間Sに流れ込む通過ガスG2の流速が低下し、排気ガスの漏れ量が低減される。また、上部側ガス通路62a,63aの各第1開口部64a,65abから噴出される噴出ガスG1同士が衝突し、下部側ガス通路62b,63bの各第1開口部64b,65bから噴出される噴出ガスG1同士が衝突するため、燃焼室16から合口隙間Sに流れ込む通過ガスG2が2段階でせき止められ、排気ガスの漏れ量が更に低減される。その結果、燃焼室16から合口隙間Sを通ってクランクケースの漏洩する排気ガス量が低減されることから、図示しないオイルパンに貯留されている潤滑油の劣化が抑制される。
また、このとき、ガス通路62a,62b,63a,63bを通った排気ガスが各端面61e,61fの上部側及び下部側に位置する各第1開口部64a,64b,65a,65bから合口隙間Sに噴出ガスG1を噴出するため、トップリング61のバランスが安定し、ピストン14が上下に移動するとき、トップリング61の上下方向における中央部がシリンダボア13の壁面に適切に摺接することとなり、確実なシール機能が維持される。
このように実施例2のピストンリングにあっては、トップリング61に、一端部側の第1開口部64a,64b,65a,65bが合口隙間Sをもって対向する端面61e,61fの上部及び下部に開口し、他端部側の第2開口部66a,66b,67a,67bが燃焼室16にクリアランスC1,C2を介して連通する内周面61bに開口するガス通路62a,62b,63a,63bを複数設けている。
従って、燃焼室16の排気ガスは、トップリング61に形成された第2開口部66a,66b,67a,67bからガス通路62a,62b,63a,63bに侵入し、端面61e,61fに形成された第1開口部64a,64b,65a,65bから合口隙間Sに噴出されるため、この合口隙間Sに噴出される上下の噴出ガスG1が、燃焼室16から合口隙間Sを通ってクランクケース内に流れ込もうとする通過ガスG2に2箇所で衝突し、この通過ガスG2の流れを2段階に阻止することとなり、クランクケースへの排気ガスの漏洩量を低減してガスシール機能を向上することができる。
また、実施例2では、トップリング61がバレルフェース形状をなし、端面61e,61fの上側に開口する第1開口部64a,65abを有する上部側ガス通路62a,63aと、端面61e,61fの下側に開口する第1開口部64b,65bを有する下部側ガス通路62b,63bを設けている。従って、ガス通路62a,62b,63a,63bを通った排気ガスが合口隙間Sに対して上部と下部に噴出されるため、トップリング61のバランスが安定し、ピストン14が上下に移動するとき、トップリング61の外周面61dの上下方向における中央部がシリンダボア13の壁面に適切に摺接することとなり、確実なシール機能を維持することができる。
図9は、本発明の実施例3に係るピストンリングとしてのトップリングの装着状態を表すピストンの要部断面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例3のピストンリングにおいて、図9に示すように、トップリング71をテーパフェース形状とし、各端部における上側に、一端部側が合口隙間Sをもって対向する端面に開口し、他端部側が燃焼室16に開口するガス通路72を設けており、燃焼室16の排気ガスをガス通路72を通して合口隙間Sに噴出することで、燃焼室16から合口隙間Sを通ってクランクケース内に流れ込もうとする排気ガスに衝突させてその流れを阻止するようにしている。
即ち、トップリング71は外周面の上部がシリンダボア13の壁面から離間するテーパ形状に形成され、リング溝44の上面44aに対向する上面71aと、底面44bに対向する内周面71bと、下面44cに対向する下面71cと、シリンダボア13の壁面に圧接可能なシール面71dと、シリンダボア13の壁面に対向するテーパ面71eと、合口隙間Sをもって対向する端面71fから構成されている。ガス通路72は、合口隙間Sをもって対向する両端部における上部に設けられており、一端部側となる第1開口部73がトップリング71の端面71fの上部にテーパ面71eに対応して開口し、他端部側となる第2開口部74が燃焼室16、つまり、トップリング71の内周面71bの上部に開口している。
従って、ピストン14の上昇時に、このピストン14の外周面に装着されたトップリング71がシリンダボア13の壁面に摺接することで、燃焼室16の排気ガスがピストン14とシリンダボア13との隙間を通ってクランクケースに漏洩するのが防止される。
このとき、トップリング71では、合口隙間Sが設けられているため、燃焼室16の排気ガスがピストン14とシリンダボア13との間からこの合口隙間Sを通ってクランクケース内に流動(通過ガスG2)しようとする。ところが、燃焼室16の排気ガスの一部が、ピストン14とシリンダボア13との間からクリアランスC1,C2に侵入し、第2開口部74からガス通路72内に入り込み、このガス通路72を通って第1開口部73から合口隙間Sに噴出(噴出ガスG1)する。そのため、このガス通路72の第1開口部73から合口隙間Sに噴出する噴出ガスG1が、燃焼室16から合口隙間Sを通ってクランクケース内に流れ込もうとする通過ガスG2に衝突するため、この通過ガスG2の流れを阻止される。
即ち、ガス通路72により第1開口部73から合口隙間Sに噴出する噴出ガスG1が加速され、合口隙間Sにおけるガス圧力が通過ガスG2のガス圧力よりも高くなることから、燃焼室16から合口隙間Sに流れ込む通過ガスG2の流速が低下し、排気ガスの漏れ量が低減される。その結果、燃焼室16から合口隙間Sを通ってクランクケースの漏洩する排気ガス量が低減されることから、図示しないオイルパンに貯留されている潤滑油の劣化が抑制される。
また、このとき、燃焼室16の排気ガスの圧力がトップリング71のテーパ面71eに作用し、このトップリング71に対してシール面71dがシリンダボア13の壁面から離間する力が発生する。ところが、ガス通路72における第1開口部73がテーパ面71eに対応して開口しているため、この第1開口部73から合口隙間Sに噴出する噴出ガスG1の圧力が、トップリング71のテーパ面71eに作用する排気ガスの圧力をキャンセルすることとなり、トップリング71のバランスが安定し、シール面71dがシリンダボア13の壁面に適切に摺接することとなり、確実なシール機能が維持される。
このように実施例3のピストンリングにあっては、トップリング71を外周面にシール面71dとテーパ面71eを有するテーパフェース形状とし、一端部側の第1開口部73が合口隙間Sをもって対向する端面71fの上部に開口し、他端部側の第2開口部74が燃焼室16にクリアランスC1,C2を介して連通する内周面71bに開口するガス通路72を設けている。
従って、燃焼室16の排気ガスは、トップリング71に形成された第2開口部74からガス通路72に侵入し、端面71fに形成された第1開口部72から合口隙間Sに噴出されるため、この合口隙間Sに噴出される噴出ガスG1が、燃焼室16から合口隙間Sを通ってクランクケース内に流れ込もうとする通過ガスG2に衝突し、この通過ガスG2の流れを阻止することとなり、クランクケースへの排気ガスの漏洩量を低減してガスシール機能を向上することができる。
また、実施例3では、ガス通路72における第1開口部73をトップリング71におけるテーパ面71eに対応して設けられている。従って、第1開口部73から合口隙間Sに噴出する噴出ガスG1の圧力が、トップリング71のテーパ面71eに作用する排気ガスの圧力をキャンセルすることとなり、トップリング71のバランスが安定し、シール面71dがシリンダボア13の壁面に適切に摺接することとなり、確実なシール機能を維持することができる。
図10は、本発明の実施例4に係るピストンリングとしてのトップリングの装着状態を表すピストンの要部側面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例4のピストンリングにおいて、図10に示すように、トップリング51にて、一方の端部における上側に、一端部側が合口隙間Sをもって対向する端面に開口し、他端部側が燃焼室16に開口するガス通路54を設けており、燃焼室16の排気ガスをガス通路54を通して合口隙間Sに噴出することで、燃焼室16から合口隙間Sを通ってクランクケース内に流れ込もうとする排気ガスに衝突させてその流れを阻止するようにしている。
即ち、トップリング51はバレルフェース形状をなし、ガス通路54は、合口隙間Sをもって対向する一方の端部のみに設けられており、第1開口部56がトップリング51の端面51eの下部に開口し、第2開口部58がトップリング51の内周面51bの下部に開口している。
従って、ピストン14の上昇時に、このピストン14の外周面に装着されたトップリング51がシリンダボア13の壁面に摺接することで、燃焼室16の排気ガスがピストン14とシリンダボア13との隙間を通ってクランクケースに漏洩するのが防止される。
このとき、トップリング51では、合口隙間Sが設けられているため、燃焼室16の排気ガスがピストン14とシリンダボア13との間からこの合口隙間Sを通ってクランクケース内に流動(通過ガスG2)しようとする。ところが、燃焼室16の排気ガスの一部が、ピストン14とシリンダボア13との間からクリアランスC1,C2に侵入し、第2開口部58からガス通路54内に入り込み、第1開口部56から合口隙間Sに噴出(噴出ガスG1)する。そのため、この噴出ガスG1が、燃焼室16から合口隙間Sを通ってクランクケース内に流れ込もうとする通過ガスG2に衝突するため、この通過ガスG2の流れを阻止される。
即ち、ガス通路54により第1開口部56から合口隙間Sに噴出する噴出ガスG1が加速され、反対側の端面51fに衝突して反射波が発生することから、合口隙間Sにおけるガス圧力が通過ガスG2のガス圧力よりも高くなり、燃焼室16から合口隙間Sに流れ込む通過ガスG2の流速が低下し、排気ガスの漏れ量が低減される。その結果、燃焼室16から合口隙間Sを通ってクランクケースの漏洩する排気ガス量が低減されることから、図示しないオイルパンに貯留されている潤滑油の劣化が抑制される。
このように実施例4のピストンリングにあっては、トップリング51における一方の端部に、第1開口部56が合口隙間Sをもって対向する端面51eに開口し、第2開口部58が燃焼室16にクリアランスC1,C2を介して連通する内周面51bに開口するガス通路54を設けている。
従って、燃焼室16の排気ガスは、トップリング51に形成された第2開口部58からガス通路54に侵入し、一方の端面51eに形成された第1開口部56から合口隙間Sを通して他方の端面51f側に噴出されるため、この噴出ガスG1及び反射波が、燃焼室16から合口隙間Sを通ってクランクケース内に流れ込もうとする通過ガスG2に衝突し、この通過ガスG2の流れを阻止することとなり、クランクケースへの排気ガスの漏洩量を低減してガスシール機能を向上することができる。また、ガス通路54をトップリング51における一方の端部にのみ設けており、構造の簡素化及び加工性の容易化により製作コストを低減することができる。
図11は、本発明の実施例5に係るピストンリングとしてのトップリングの装着状態を表すピストンの要部断面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例5のピストンリングにおいて、図11に示すように、トップリング81をバレルフェース形状とし、各端部に、一端部側が合口隙間Sをもって対向する端面に開口し、他端部側が燃焼室16に複数開口するガス通路82を設けており、燃焼室16の排気ガスをガス通路82を通して合口隙間Sに噴出することで、燃焼室16から合口隙間Sを通ってクランクケース内に流れ込もうとする排気ガスに衝突させてその流れを阻止するようにしている。
即ち、トップリング81は、リング溝44の上面44aに対向する上面81aと、底面44bに対向する内周面81bと、下面44cに対向する下面81cと、シリンダボア13の壁面に圧接可能な外周面81dと、合口隙間Sをもって対向する端面81eから構成されている。ガス通路82は、合口隙間Sをもって対向する両端部にそれぞれ設けられており、トップリング81の径方向に沿った第1通路82aと、周方向に沿った第2通路82bとの端部が連通すると共に、第1通路82aに上下方向に沿った第3通路82cの端部が連通して構成されている。そして、一端部側となる第1開口部83がトップリング81の端面81eに開口し、他端部側となる第2開口部84が燃焼室16、つまり、トップリング81の内周面81bに開口すると共に、同じく他端部側となる第3開口部85が燃焼室16、つまり、トップリング81の上面81aに開口している。
従って、ピストン14の上昇時に、このピストン14の外周面に装着されたトップリング81がシリンダボア13の壁面に摺接することで、燃焼室16の排気ガスがピストン14とシリンダボア13との隙間を通ってクランクケースに漏洩するのが防止される。
このとき、トップリング81では、合口隙間Sが設けられているため、燃焼室16の排気ガスがピストン14とシリンダボア13との間からこの合口隙間Sを通ってクランクケース内に流動(通過ガスG2)しようとする。ところが、燃焼室16の排気ガスの一部が、ピストン14とシリンダボア13との間からクリアランスC1に侵入し、第3開口部85からガス通路82内に入り込むと共に、更にクリアランスC2に侵入し、第2開口部84からガス通路82内に入り込み、このガス通路82を通って第1開口部83から合口隙間Sに噴出(噴出ガスG1)する。そのため、このガス通路82の第1開口部83から合口隙間Sに噴出する噴出ガスG1が、燃焼室16から合口隙間Sを通ってクランクケース内に流れ込もうとする通過ガスG2に衝突するため、この通過ガスG2の流れを阻止される。
即ち、ガス通路82により第1開口部83から合口隙間Sに噴出する噴出ガスG1が加速され、合口隙間Sにおけるガス圧力が通過ガスG2のガス圧力よりも高くなることから、燃焼室16から合口隙間Sに流れ込む通過ガスG2の流速が低下し、排気ガスの漏れ量が低減される。その結果、燃焼室16から合口隙間Sを通ってクランクケースの漏洩する排気ガス量が低減されることから、図示しないオイルパンに貯留されている潤滑油の劣化が抑制される。
また、このとき、クリアランスC1から第3開口部85を通って第3通路82cに入り込んだ排気ガスが、第1通路82aの排気ガスと合流するとき、この第3通路82cと第1通路82aがほぼ直行しているため、この第3開口部85から第3通路82cに入り込んだ排気ガスの圧力が第1通路82aを介してトップリング81を下方、つまり、トップリング81の下面81cがリング溝44の下面44cに密着する方向に押圧することとなり、クリアランスC3がなくなってこの部分での確実なシール機能が維持される。
このように実施例5のピストンリングにあっては、トップリング81に、一端部側の第1開口部83が合口隙間Sをもって対向する端面81eの上部に開口し、他端部側の第2開口部84が燃焼室16にクリアランスC1,C2を介して連通する内周面81bに開口すると共に、他端部側の第3開口部85が燃焼室16にクリアランスC1を介して連通する上面81aに開口するガス通路82を設けている。
従って、燃焼室16の排気ガスは、トップリング81に形成された第2開口部84及び第3開口部85からガス通路82に侵入し、端面81eに形成された第1開口部82から合口隙間Sに噴出されるため、この合口隙間Sに噴出される噴出ガスG1が、燃焼室16から合口隙間Sを通ってクランクケース内に流れ込もうとする通過ガスG2に衝突し、この通過ガスG2の流れを阻止することとなり、クランクケースへの排気ガスの漏洩量を低減してガスシール機能を向上することができる。
また、実施例5では、ガス通路82を構成する第1通路82aに対して上下方向に沿った第3通路82cがほぼ直行して連通している。従って、第3開口部85から第3通路82cに入り込んだ排気ガスが、第1通路82aの排気ガスと合流するとき、この排気ガスの圧力が第1通路82aを介してトップリング81を下方に押圧するため、トップリング81の下面81cがリング溝44の下面44cに隙間なく密着することとなり、クリアランスC3をなくして確実なシール機能を維持することができる。
なお、この実施例5では、ガス通路82に、内周面81bに開口する第2開口部84と、上面81aに開口する第3開口部85を設けたが、第2開口部84をなくして第3開口部85だけとしてもよい。
また、上述した各実施例において、ガス通路の第1開口部をトップリングにおける一方の端部、または両方の端部に設けたが、トップリングの形状などにより適宜設定すればよいものである。
また、上述した各実施例で説明したガス通路の形状、第1開口部及び第2開口部などの形状及び形成位置などは、これらの実施例に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、合口隙間をもって対向するトップリングの端面に形成した一対の第1開口部をトップリングの径方向にずらしたり、第1開口部の向きを上方に向けて通過ガスと噴出ガスとを逆向きに衝突させるようにしてもよい。また、第1開口部の形状をトップリングの径方向に沿った偏平形状としたり、縮径したりすることで、第1開口部から合口隙間に噴出する噴出ガスの流速を更に上げたりしても良い。
更に、上述した各実施例では、本発明のピストンリングをトップリングに適用したが、セカンドリングに適用してもよい。
そして、上述した各実施例では、燃料を直接燃焼室に噴射する筒内噴射式の内燃機関として説明したが、燃料を吸気ポートに噴射するポート噴射式内燃機関に適用しても前述と同様の作用効果を奏することができる。
以上のように、本発明に係るピストンリングは、構造を複雑化することなくガスシール機能を向上するものであり、いずれの種類の内燃機関に用いても好適である。
本発明の実施例1に係るピストンリングとしてのトップリングの装着状態を表す概略断面図である。 実施例1のトップリングが装着されたピストンの要部側面図である。 図2のIII−III断面図である。 図2のIV−IV断面図である。 一般的なエンジンの縦断面図である。 ピストンリングが装着されたピストンの要部断面図である。 本発明の実施例2に係るピストンリングとしてのトップリングの装着状態を表すピストンの要部断面図である。 トップリングの装着状態を表す要部側面図である。 本発明の実施例3に係るピストンリングとしてのトップリングの装着状態を表すピストンの要部断面図である。 本発明の実施例4に係るピストンリングとしてのトップリングの装着状態を表すピストンの要部側面図である。 本発明の実施例5に係るピストンリングとしてのトップリングの装着状態を表すピストンの要部断面図である。
符号の説明
11 シリンダヘッド
12 シリンダブロック
13 シリンダボア
14 ピストン
16 燃焼室
17 吸気ポート
18 排気ポート
33 インジェクタ
34 点火プラグ
41 ピストン本体
42 外周面
43 頂面
44,45,46 リング溝
44a 上面
44b 底面
44c 下面
51,61,71,81 トップリング(ピストンリング)
51a,61a,71a,81a 上面
51b,61b,71b,81b 内周面
51c,61c,71c,81c 下面
51d,61d,81d 外周面
51e,51f,61e,61f,71f,81e 端面
52 セカンドリング(ピストンリング)
53 オイルリング(ピストンリング)
54,55,62a,62b,63a,63b,72,82 ガス通路
56,57,64a,64b,65a,65b,73,83 第1開口部
58,59,66a,66b,67a,67b,74,84 第2開口部
71d シール面
71e テーパ面
85 第3開口部(第2開口部)
C1,C2,C3 クリアランス
S 合口隙間

Claims (9)

  1. シリンダボアにピストンが摺動自在に支持され、該ピストンの外周面に形成されたリング溝に嵌着されたピストンリングにおいて、一端部側の第1開口部が合口隙間をもって対向する各端面の少なくとも一方に開口し、他端部側の第2開口部が前記ピストンの頂面と機関本体とで区画された燃焼室に開口するガス通路が設けられたことを特徴とするピストンリング。
  2. 請求項1に記載のピストンリングにおいて、前記第2開口部は、内周面に開口されたことを特徴とするピストンリング。
  3. 請求項2に記載のピストンリングにおいて、前記第2開口部は、前記内周面における下側に開口されたことを特徴とするピストンリング。
  4. 請求項1に記載のピストンリングにおいて、前記第2開口部は、上面に開口されたことを特徴とするピストンリング。
  5. 請求項1から4のいずれか一つに記載のピストンリングにおいて、前記第1開口部は、前記端面における外周側に開口されたことを特徴とするピストンリング。
  6. 請求項1から5のいずれか一つに記載のピストンリングにおいて、前記ガス通路は、前記合口隙間をもって対向する両端部に設けられ、該両端部における各端面に開口された前記各第1開口部は、互いに対向して位置することを特徴とするピストンリング。
  7. 請求項1から6のいずれか一つに記載のピストンリングにおいて、外周面がバレル形状に形成され、前記第1開口部は、前記端面における上側及び下側に複数開口されたことを特徴とするピストンリング。
  8. 請求項1から6のいずれか一つに記載のピストンリングにおいて、外周面はその上部が前記シリンダボアの壁面から離間するテーパ形状に形成され、前記第1開口部は、前記端面おける上側に開口されたことを特徴とするピストンリング。
  9. 請求項1から8のいずれか一つに記載のピストンリングにおいて、前記第1開口部の通路面積は、前記合口隙間をもって対向する各端面と前記ピストンの外周面と前記シリンダボアの壁面との形成された通路面積よりも小さく設定されたことを特徴とするピストンリング。
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JP2021156375A (ja) * 2020-03-27 2021-10-07 Tpr株式会社 ピストンリングの組み合わせ

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