JP2008030471A - 積層型弾性チューブ - Google Patents

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Abstract

【課題】弾性チューブの繰り返し押圧に対する耐久性、及び耐薬品性を確実に改善する。
【解決手段】弾性チューブは、内面がフッ素樹脂層20で構成され、このフッ素樹脂層20よりも外側に弾性層10が形成されている積層型弾性チューブであって、
前記フッ素樹脂層20と弾性層10との間に、多孔質フッ素樹脂32と、この多孔質フッ素樹脂32の細孔を充填する弾性体31とから構成される中間層30が形成されており、
内面のフッ素樹脂層20と、中間層30の多孔質フッ素樹脂32とが接合しており、
外側の弾性層10と、中間層30の弾性体31とが接合している。
【選択図】図1

Description

本発明は、内面がフッ素樹脂で構成された弾性チューブに関するものであり、好ましくはチューブ径方向の押圧を繰り返して受ける弾性チューブに関し、より好ましくは、ピンチバルブやローラーポンプに使用される弾性チューブなどのように、前記径方向の押圧によってチューブ中空内の流体の流通を制御するのに有用な弾性チューブに関するものである。
ピンチバルブでは、弾性チューブを径方向に押圧することによって流体(液体など)の流通を停止し、前記押圧を解除することによって流体の流通を開始している。またローラーポンプでは、弾性チューブを径方向にローラーで押圧し、この押圧状態を維持しながらローラーをチューブの軸方向に移動させることによって、流体(液体など)を送り出している。これらピンチバルブやローラーポンプでは、一般のバルブやポンプに比べて流路の構造を簡単にでき、流体を汚染する虞が少ない。そのため、食品や医療機器などの分野で利用されることが多く、近年では半導体を製造する際のフォトレジストの送液にも使用されている。
弾性チューブには、弾性の持続性に優れることから、一般にシリコーンゴムが使用されている(例えば、特許文献1など)。しかし、シリコーンゴムはフッ素樹脂等と比べて耐薬品性に劣る。そのため特許文献1の弾性チューブでは、腐食性の強い流体(フォトレジスト液、プロセス機械装置を作動させる為の液体、製薬、食品、医療、化学などの分野で使用される高腐食性の液体など)を流通させると、チューブの耐久性が大きく損なわれる。
チューブの耐薬品性を改善するため、エラストマーをシリコーンゴムからフッ素系エラストマーに代えたフッ素系弾性チューブも知られている(特許文献2)。しかし弾性チューブとして適用可能な柔軟なフッ素系エラストマーは、タック性が高い。そのため例えばローラーポンプのローラーで弾性チューブを押圧したままの状態で放置すると、内面同士がくっついて復元せず、チューブが閉塞してしまうことがある。また繰り返し使用した場合にタック性が高いためにチューブ内面が損傷しやすく、前記シリコーン系弾性チューブよりも耐久性が劣る。
特許文献3には、ePTFE(延伸ポリテトラフルオロエチレン)膜にエラストマー(シリコーンエラストマー、パーフルオロポリエーテルエラストマーなど)を含浸したものを巻回し、エラストマーを硬化することによって得られる弾性チューブが開示されている。シリコーンエラストマーを利用したチューブは、ジャパンゴアテックス(株)から「STA−PURE」の商品名で販売されており、パーフルオロポリエーテルエラストマーを利用したチューブは、「CHEM−SURE」の商品名で販売されている。これらチューブは、ePTFE膜によって耐久性が飛躍的に向上しているものの、シリコーンエラストマーやパーフルオロエラストマーを利用しているため、前記特許文献1や特許文献2と本質的に同様の問題を内在している。すなわちシリコーンエラストマーを利用した場合には耐薬品性に劣り、パーフルオロポリエーテルエラストマーを利用した場合には、シリコーンエラストマーを利用した場合に比べて内面が損傷し易い。
シリコーンエラストマーを利用したチューブの耐薬品性を改善するため、内面をフッ素樹脂層で保護することも提案されている(特許文献4など)。またフッ素系エラストマーを利用したチューブ内面のタック性を改善するため、内面をフッ素樹脂層で保護することも提案されている(特許文献5など)。しかしこれら多層構造のチューブは、エラストマー層と、内面のフッ素樹脂層との間の密着性が十分ではない。特にチューブの径方向に圧縮開放の繰り返しストレスを負荷すると、内面層とエラストマー層の接合界面に該ストレスが集中し、特に“チーク部”と言われる屈曲部において、層間剥離を発生し、十分な耐久性が得られない。
特許文献6には含フッ素ポリマー層と熱可塑性エラストマー層とを、中間層を介して接着することが開示されている。この中間層は、熱可塑性エラストマーと含フッ素ポリマーの海島構造をしており、熱可塑性エラストマー層との界面近傍では、熱可塑性ポリマーが海相を、含フッ素ポリマーが島相を形成しており、含フッ素ポリマー層との界面近傍では含フッ素ポリマーが海相を、熱可塑性ポリマーが島相を形成するものである。このような中間層を形成すると、前記層間剥離の問題は、改善されるものと思料される。しかし特許文献6の中間層は、層の表裏で海島構造の海と島が逆転する複雑な構造である。そしてこのような複雑な中間層は、該中間層を熱可塑性エラストマー層及び含フッ素ポリマー層と共押出しすることとし、この共押出条件(設定温度、押出量、引取速度、ダイ構造、スクリュー構造)を調整することによって形成できるとのことである。例えば中間層がポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)とエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)とから成る場合、ポリマー温度200〜260℃、剪断速度0〜1000sec-1の条件(条件1)ではTPEEが海相を、ETFEが島相を形成し、ポリマー温度が230〜310℃、剪断速度0〜1000sec-1の条件(条件2)ではETFEが海相を、TPEEが島相を形成するとのことである。しかし、この方法では、中間層の内側と外側でポリマー温度を異ならせる必要があるが、実際の中間層の厚さは僅か0.1mm程度であり(実施例)、この程度の僅かな厚み差の間で温度を異ならせることが現実的に可能であるのか大いに疑問である。特にポリマー温度が230〜260℃の範囲は前記条件1及び条件2の両方に含まれるため、いかなる相構造になるのか不明であり、TPEEを確実に海相にするためにはポリマー温度を230℃以下にする必要があり、またTPEEを確実に島相にするためにはポリマー温度を260℃以上にする必要がある。僅か0.1mmの間に、30℃(=260−230℃)以上の温度差を生じさせるのは、事実上、不可能に近いのではないかと思われる。また万が一実現できたとしても、再現性に乏しく、品質の確保が極めて難しいと思料される。さらに特許文献6によれば、層の表裏で海島構造の海と島が逆転する複雑な構造を採用する必要があるため、使用できるエラストマーと含フッ素ポリマーの組み合わせは、事実上、極めて限られたものにならざるを得ない。さらに共押出しのためにエラストマーが長時間加熱されてしまう。そのためエラストマーが熱劣化し、弾性も低下する。
なお特許文献7には、多孔質フッ素樹脂フィルムの細孔内に弾性体を充填した弾性層を、フッ素樹脂フィルムからなる離型層に積層することが開示されている。しかし、この特許文献7はトナー定着部材に関するものである。また前記弾性層は、フッ素樹脂フィルムに直接積層されている。
特開2000−179753号公報(特許請求の範囲) 実開昭59−41687号公報(実用新案登録請求の範囲) 特表2002−502735号公報(特許請求の範囲、段落0026、0037、0073) 実開平4−47185号公報(実用新案登録請求の範囲) 特開2001−193659号公報(特許請求の範囲) 特開平9−131833号公報(特許請求の範囲、段落0038、0042) 特開2005−257762号公報(特許請求の範囲)
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、繰り返し押圧に対する耐久性、及び耐薬品性を確実に改善できる弾性チューブを提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、多孔質フッ素樹脂の細孔に弾性体を充填した中間層を内面のフッ素樹脂層と外側の弾性層との間に介挿し、内面のフッ素樹脂層と、中間層の多孔質フッ素樹脂とを接合し、かつ外側の弾性層と、中間層の弾性体とを接合すれば、内面のフッ素樹脂層と外側の弾性層との間の密着性を確実に著しく改善でき、繰り返し押圧に対する耐久性、及び耐薬品性を確実に改善できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明に係る積層型弾性チューブは、
内面(内層)がフッ素樹脂層で構成され、
このフッ素樹脂層よりも外側に弾性層(外層)が形成されており、
前記フッ素樹脂層(内層)と弾性層(外層)との間に、多孔質フッ素樹脂(多孔質ポリテトラフルオロエチレンなど)と、この多孔質フッ素樹脂の細孔を充填する弾性体とから構成される中間層が形成されており、
内層のフッ素樹脂層と、中間層の多孔質フッ素樹脂とが接合(特に熱融着)しており、
外層の弾性層と、中間層の弾性体とが接合している点に要旨を有する。
前記内面のフッ素樹脂層は、フッ素樹脂フィルムを巻回したチューブが好ましい。またこのフッ素樹脂層は、チューブの長さ方向と直交する方向に延伸されているのが望ましい。特に好ましいフッ素樹脂層は、充実延伸フッ素樹脂層(特に充実延伸ポリテトラフルオロエチレン層)である。なお前記内面のフッ素樹脂層は、溶融性フッ素樹脂(PFA、FEP、PVDF、THV、EFEPなど)から形成してもよい。
また前記内面のフッ素樹脂層は、2種以上のフッ素樹脂を積層することによって形成してもよい。例えば2種以上のフッ素樹脂がそれぞれチューブになっており、このチューブが内側から順に積層されていてもよい。また2種以上のフッ素樹脂を平面状に積層し、この平面状積層体を巻回してチューブ状にしてもよい。2種以上のフッ素樹脂のうち1種は、充実延伸フッ素樹脂であり、また他の1種は溶融性フッ素樹脂(PFA、FEP、PVDF、THV、EFEPなど)であるのが好ましい。溶融性フッ素樹脂は、内面のフッ素樹脂層の最も外側に配するのが望ましい。
前記中間層や外層の弾性体としては、シリコーン系エラストマー、フッ素系エラストマー、フルオロシリコーン系エラストマーなどが使用できる。また中間層や外層の弾性体は、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系ブロック共重合体エラストマー、熱可塑性加硫エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどであってもよい。本発明では、中間層の弾性体と外層の弾性体に、同じ樹脂を使用するのが推奨される。弾性層(外層)の貯蔵弾性率E’は、例えば、1×102〜1×108Pa程度である。弾性層は、(1)弾性体からなる第1の層と、(2)多孔質ポリテトラフルオロエチレンフィルムと、この多孔質ポリテトラフルオロエチレンフィルムの細孔を充填する弾性体とからなる第2の層とが重なった渦巻き状の積層構造を有していてもよい。前記第1の層の厚さと第2の層の厚さの比(第1の層/第2の層)は、例えば、6.5/1以下程度である。
本発明の積層型弾性チューブの厚みは、例えば、以下の通りである。
内層(フッ素樹脂層):1〜200μm
中間層:10〜2000μm
外層(弾性層):0.15〜80mm
また弾性層の厚さは、積層型弾性チューブの内径に対して、例えば、10〜200%程度である。
弾性層よりも外側に、耐摩耗層(ポリテトラフルオロエチレンのチューブ状物など)が形成されていてもよい。
本発明の積層型弾性チューブは、フッ素樹脂層(内層)からなるチューブを多孔質フッ素樹脂で被覆し、これらを熱融着した後、
多孔質フッ素樹脂側から多孔質フッ素樹脂の細孔に液状の弾性体原料を充填し、
充填後、三次元網目構造を形成させて前記弾性体原料を弾性体にすることによって製造できる。好ましくは、前記多孔質フッ素樹脂の外側に、弾性体原料を含む層を形成した後で三次元網目構造を形成する。
本発明の積層型弾性チューブは、ピンチバルブやローラーポンプに有用である。
本発明によれば、多孔質フッ素樹脂の細孔に弾性体を充填した中間層を内面のフッ素樹脂層と外側の弾性層との間に介挿しているため、内面のフッ素樹脂層と外側の弾性層との間の密着性を確実に著しく改善でき、繰り返し押圧に対する耐久性、及び耐薬品性を確実に改善できる。
以下、図面を適宜参照しながら本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより図示例に限定される訳ではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
図1は本発明の積層型弾性チューブの一例を示す概略断面図であり、図2はこの断面図の要部拡大図である。図1に示されるように、本発明の積層型弾性チューブは、内面がフッ素樹脂層20で構成され、このフッ素樹脂層20よりも外側に弾性層10が形成されており、これらフッ素樹脂層20と弾性層10との間に中間層30が形成されている。この中間層30は、多孔質フッ素樹脂32と、この多孔質フッ素樹脂の細孔を充填する弾性体31とから構成されている。そして内面のフッ素樹脂層20と、中間層30の多孔質フッ素樹脂32とが接合しており、外側の弾性層10と、中間層30の弾性体31とが接合している。
この中間層30を採用するとフッ素樹脂層20と弾性層10との間の密着性を飛躍的に高めることができる。海島構造では、海部は連続構造であっても、島部は独立構造になってしまうのに対し、多孔質フッ素樹脂32の細孔に弾性体31を充填する本願発明の中間層30では、多孔質フッ素樹脂32及び弾性体31のいずれもが連続構造になるため、弾性体とフッ素樹脂との間の連続界面の面積が飛躍的に増大する。このことが密着性の飛躍的な向上に結びついているものと思料される。またこの積層型弾性チューブは、弾性層10や弾性体31を熱劣化させることなく製造することも可能であり、弾性を確実に確保できる。
以下、各構成についてより詳細に説明する。
1: 弾性層(外層)10
本発明の積層型弾性チューブの弾性は、弾性体11を含む弾性層10(以下、外層と称する場合もある)によって達成される。この弾性体11としては、シリコーン系エラストマー、フッ素系エラストマー(架橋型フッ素系エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマーなど)、フルオロシリコーン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー(ポリウレタンゴム、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーなど)、ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、フルオロフォスファゼンエラストマー、ホスファゼンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴムなどが例示できる。これら弾性体11は、単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。
前記弾性体11は、架橋型エラストマー(例えば、シリコーン系エラストマー、フッ素系エラストマー、フルオロシリコーン系エラストマーなどに該当する架橋型エラストマー)であってもよく、熱可塑性エラストマー(好ましくはポリエステル系熱可塑性エラストマー(特に熱可塑性共重合ポリエステル(Copolyester Thermoplastic Elastomers:COPE))、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(Thermoplastic Polyurethane Elastomers:TPU)、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(Thermoplastic Olefin Elastomers:TPO)、フッ素系熱可塑性エラストマー、スチレン系ブロック共重合体エラストマー(Styrenic Block Copolymer Elastomers:SBC)、熱可塑性加硫エラストマー(Copolyester Thermoplastic Elastomers:COPE)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(Polyamide Thermoplastic Elastomers:PEBA)など;好ましくはCOPE、TPU、TPO、SBC、COPE、PEBA)であってもよい。架橋型エラストマーは、積層型弾性チューブの使用温度を高めることができる点で優れている。熱可塑性エラストマーは、押出しによる連続生産が可能である点、弾性が高い点などで優れている。
特に好ましい弾性体11は、シリコーン系エラストマー、フッ素系エラストマー、フルオロシリコーン系エラストマーなどである。これら特に好ましい弾性体11は、耐熱性、耐薬品性、又は繰り返し押圧に対する耐久性のいずれかの点で優れている。例えばシリコーン系エラストマーは、機械的強度、弾性の持続性、圧縮応力解放時の形状復元性などに特に優れている。フッ素系エラストマーは、耐薬品性に優れている。フルオロシリコーン系エラストマーは、シリコーン系エラストマーとフッ素系エラストマー両者の中間の性質を示す。
前記シリコーン系エラストマーには、ケイ素にメチル基が結合しているオルガノポリシロキサンの架橋体(メチルシリコーンゴムなど)、ケイ素に芳香族炭化水素が結合しているオルガノポリシロキサンの架橋体(フェニルシリコーンゴムなど)などのシリコーンゴムが含まれる。
前記フッ素系エラストマーには、フルオロメチレンを主鎖に有するポリマーの架橋体、フッ素系熱可塑性エラストマーなどが含まれる。前記架橋体には、FKM(2元系FKM、3元系FKM、パーフルオロビニルエーテル含有FKM)、FFKM、TFE−Pr系フッ素ゴム、TFE−Pr−VdF系フッ素ゴム、フッ素化ポリエーテル骨格がSi架橋されたゴム(液状フッ素ゴムなど)などが含まれる(下記式参照)。なお液状フッ素ゴムは、「SIFEL」(商品名)として信越化学工業(株)から入手できる。
フルオロシリコーン系エラストマーには、ケイ素にフルオロアルキル基が結合したオルガノポリシロキサンの架橋体などのフルオロシリコーンゴムが含まれる。フルオロアルキル基が結合したポリシロキサンの架橋体(FMVQなど;下記式参照)は、フルオロシリコーンゴムに該当する。
架橋型エラストマーが架橋したり、熱可塑性エラストマーのハードセグメント同士が相互作用することによって最終的に硬化(架橋に限定されず、広く三次元網目構造を形成することを意味する。以下、特に断りがない限り、同じ)する限り、前記弾性体11は原料段階では硬化していなくてもよい。また弾性体原料11は、固体状(混練性)であってもよく、液状であってもよい。固体状(混練性)弾性体原料11から得られる弾性体11は、機械的強度や圧縮応力解放時の形状復元性などが特に優れている。固体状弾性体原料11としては、特にミラブル(混練)型シリコーンゴムが使用できる。ミラブル型シリコーンゴムとは、高粘度のシリコーンゴムコンパウンドと硬化剤(加硫剤)を含み、加熱によって硬化するゴムであり、熱加硫型シリコーンゴム(HCR(Heat Cured Rubber)、HVR(Heat Vulcanizing Rubber)、HTV(High Temperature Vulcanizing)ゴム)とも称される。
一方、液状弾性体原料11は、後述するように、弾性体11を他の材料で補強する場合に有用である。例えば弾性体11を多孔質体の細孔に充填して補強する場合があり、液状弾性体原料11を使用すれば、多孔質体の細孔への含浸が容易になる。
液状弾性体原料11とは、硬化前は液状であり、硬化後に弾性を示すようになる弾性体原料11のことを意味し、例えば、液状のシリコーン系エラストマー(液状シリコーンゴムなど)、液状のフッ素系エラストマー(液状フッ素ゴムなど)、液状のフルオロシリコーン系エラストマー(液状フルオロシリコーンゴムなど)、加温したり溶剤で溶解することによって液状(流動状)にした熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
なお液状シリコーンゴム、液状フッ素ゴム、液状フルオロシリコーンゴムなどは、架橋反応方式によって、空気中の湿気で架橋する縮合反応型、貴金属触媒によって架橋する付加反応型、加熱によって架橋する加熱硬化型などに分類され、量産性などを考慮すると付加反応型や加熱硬化型が好ましい。硬化(架橋)前の粘度(25℃)は、例えば、1000ポイズ以下、好ましくは200ポイズ以下程度である。粘度が低いほど、後述するように、該弾性体原料11を多孔質体に含浸させるのが容易になる。このような液状シリコーンゴムは、例えば信越化学工業(株)から「電気・電子・一般工業用RTVゴム」として入手できる。また液状フッ素ゴムは、前述した様に、「SIFEL」(商品名、信越化学工業(株)製)として入手できる。液状フルオロシリコーンゴムは、例えば、信越化学工業(株)から「耐油・耐溶剤フロロシリコーン」として入手できる。
弾性層10の弾性体11は、他の素材と組み合わせて使用してもよい。例えば、弾性体11に、布帛、有機繊維、無機繊維、カーボン類、金属微粒子、無機粉体などを混入すれば、機械的強度、電気的特性、熱伝導性などの点で弾性層10を改善できる。機械的強度を改善することにより、本発明の弾性チューブをピンチバルブやローラーポンプに使用した場合に、弾性層10が押圧力によって損傷するのをより高度に防止できる。電気的特性、熱伝導性などの点で弾性層10を改善すれば、得られる積層型弾性チューブの帯電防止性が良くなり、また積層型弾性チューブの加温が容易になる。
弾性層10の機械的強度を高める場合、多孔質体の細孔に弾性体11を充填するのが最も望ましい。弾性体11を多孔質体で支持することにより、弾性を損なうことなく弾性層10の機械的強度を高めることができる。特に好ましい強化弾性層10は、弾性体11からなる第1の層12と、弾性体11によって細孔が充填された多孔質フィルムの層13(第2の層)とが重なった渦巻き状の積層構造を有するものである(以下、渦巻き状弾性層10という)。図3はこの渦巻き状弾性層10の一例を示す概略断面図である。渦巻き状弾性層10は、特表2002−502735号公報に記載されているように、多孔質フィルムの内部及び表面に弾性体を含浸(コーティング)したものを巻回することによって製造でき、弾性層10の機械的強度を飛躍的に高めることができる。また渦巻き状弾性層10は、圧縮応力解放時の形状復元性の点でも顕著に優れている。
前記渦巻き状弾性層10を構成する多孔質フィルムは、柔軟性があって弾性体11の弾性を損なわない限り特に限定されず、中間層30を構成する多孔質フッ素樹脂32と同様であってもよく、フッ素樹脂以外の樹脂から形成される多孔質フィルム(例えば、ポリイミド多孔質フィルム)であってもよい。好ましい多孔質フィルムは、耐熱性に優れる多孔質フィルム(多孔質フッ素樹脂フィルム、ポリイミド多孔質フィルムなど)であり、特に好ましい多孔質フィルムは耐薬品性、耐熱性、柔軟性などに優れる多孔質体(多孔質フッ素樹脂フィルム、特に多孔質ポリテトラフルオロエチレンフィルム)である。弾性体11がシリコーンゴムであり多孔質フィルムが多孔質ポリテトラフルオロエチレンフィルムである渦巻き状弾性層10からなる弾性チューブは、ジャパンゴアテックス(株)から「STA−PURE」の商品名で入手できる。また弾性体11がフッ素ゴムであり多孔質フィルムが多孔質ポリテトラフルオロエチレンフィルムである渦巻き状弾性層10からなる弾性チューブは、ジャパンゴアテックス(株)から「CHEM−SURE」の商品名で入手できる。
渦巻き状弾性層10の第1の層12(弾性体)と第2の層13(細孔に弾性体が充填された多孔質フィルム)の厚さの比(第1の層/第2の層)は、例えば、6.5/1以下程度である。前記厚さの比が小さくなるほど、弾性層10の強度が高くなる。好ましい厚さの比(第1の層/第2の層)は、5/1以下程度、特に3/1以下程度である。一方、前記厚さの比(第1の層/第2の層)の下限は特に限定されず、弾性層10が実質的に第2の層13単独で構成されていてもよい。なお厚さの比は、多孔質フィルムの内部及び表面に弾性体を含浸(コーティング)したものを巻回して渦巻き状弾性層を製造する際に、多孔質フィルム表面に形成する弾性体の厚みを制御することによって調整できる。
弾性層10の引張強さ(JIS K 6249)は、高いほどチューブの耐久性が向上するため望ましく、例えば、0.1MPa以上、好ましくは3MPa以上、さらに好ましくは7MPa以上(例えば、7MPa〜75MPa程度)である。
なお弾性層10を構成する弾性体11もまた機械的強度が高いことが望ましい。弾性体11の機械的強度が高いと、弾性層10の機械的強度を高めて弾性層10の耐久性を高めることに貢献できるのみならず、中間層30との接合性も高めることができる。弾性体11の引張強さ(JIS K 6249)は、例えば、0.1〜75MPa程度、好ましくは0.3〜75MPa程度の範囲から設定できる。
弾性層10の貯蔵弾性率E’(温度20℃、振動数1Hz、圧縮法)は、例えば、1×102〜1×108Pa程度である。貯蔵弾性率が低すぎると、圧縮応力解放時の形状復元性が乏しくなる。一方、貯蔵弾性率が高すぎると、チューブを押し潰すことが難しくなり、ピンチバルブやローラーポンプに使用し難くなる。好ましい貯蔵弾性率E’は、1×104〜1×108Pa程度、特に1×105〜5×107Pa程度である。
なお圧縮法による貯蔵弾性率E’は、日本工業規格(JIS) K6200 用語番号6211に記載されている「法線ひずみと同位相の、法線応力成分を、ひずみ量で除した値」のことを意味する。この貯蔵弾性率E’は、例えば、動的粘弾性測定装置「DMS6100」(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製)を用いれば測定できる。
弾性層10(外層)の厚さは、該弾性層10によって構成される積層型弾性チューブの内径に対して、例えば、10〜200%程度、好ましくは20〜150%程度、さらに好ましくは25〜125%程度である。また弾性層10(外層)の厚さは、例えば、0.15〜80mm程度、好ましくは0.3〜60mm程度、さらに好ましくは0.4〜50mm程度である。弾性層10の厚さが薄すぎると、チューブをピンチバルブやローラーポンプに使用した際、チューブ内の流体の内圧にチューブが耐えきれずに破裂する虞がある。また圧縮応力(押圧力)を解放した時の形状回復性が不十分になる。逆に弾性層10の厚さが厚すぎると、押圧によるチューブの閉塞が難しくなる。
2: フッ素樹脂層(内層)20
本発明の積層型弾性チューブは、前記弾性層10に加え、フッ素樹脂層20も備えている。このフッ素樹脂層20は、前記弾性層10よりも内側に形成されており、チューブの内面を構成する。なお、以下、このフッ素樹脂層20を内層と称する場合もある。内面のフッ素樹脂層20は、耐薬品性に優れており、タック性(粘着性)が低い。弾性層10の弾性体11がシリコーンゴムなどの様に耐薬品性に劣る場合、一般には、チューブ自体の耐薬品性も低下するが、本発明のように内面をフッ素樹脂層20にすれば、この内面のフッ素樹脂層20をバリア層として利用でき、チューブの耐薬品性を高めることができる。さらには、流体がチューブ内面に付着することも防止できる。また弾性層10の弾性体11がフッ素系エラストマーなどの様にタック性(粘着性)が高い場合、一般には、上述したように内面同士がくっついてチューブが閉塞したり、チューブ内面が損傷するなどの不具合が生じるのに対して、本発明のように内面をフッ素樹脂層20にすれば、これら不具合を低減できる。さらにはチューブ材料の溶出や膨潤も防止できる。
内層20に使用されるフッ素樹脂は、タック性(粘着性)が低い。また耐薬品性が優れており、例えば、酸、アルカリ、有機溶剤などに対する耐久性が優れている。そのため、例えば、フォトレジスト液、プロセス機械装置を作動させる為の液体、製薬、食品、医療、化学などの分野で使用される高腐食性の液体などのような流体を流通させることも可能である。このようなフッ素樹脂としては、例えば、非溶融性(溶融粘度(例えば、340℃での粘度)が1010Pa・s以上)のフッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)など)、溶融性(溶融粘度(例えば、340℃での粘度)が1010Pa・s未満)のフッ素樹脂(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PVF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド三元共重合体(THV)、EFEP(ダイキン工業(株)製の「ネオフロンEFEP」(商品名)など)などが例示できる。なお前記PTFEには、テトラフルオロエチレンと比較的少量(テトラフルオロエチレンに対して、例えば、1質量%以下程度(好ましくは0.1〜0.3質量%程度))のコモノマー(ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ペルフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)、ペルフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ペルフルオロアルキルエチレンなど)とを共重合させた変性PTFEも含まれる。他の層との接着性の観点からは、溶融性フッ素樹脂(特にPFA、FEP、PVDF、THV、EFEPなど)が優れており、耐薬品性、耐熱性の観点からはPTFEが優れている。またPTFEは、延伸加工による薄膜化が可能な点でも優れている。なお中間層30の多孔質フッ素樹脂32がPTFEの場合、内層20のフッ素樹脂もPTFEを採用することが推奨される。内層20と中間層30の両方をPTFEで形成すると、内層20と中間層30の熱融着が容易になる。
前記フッ素樹脂としては、1種を使用してもよく、2種以上を使用してもよい。まず1種のフッ素樹脂を使用する場合を前提として内層20をさらに詳細に説明し、後から2種以上のフッ素樹脂を使用する場合の変更箇所について説明する。
内層20のフッ素樹脂は、通常、充実体(充実フッ素樹脂:fully-dense fluororesin)であるが、多孔質体(多孔質フッ素樹脂:porous fluororesin)であってもよい。多孔質体は、中間層30の弾性体31がフッ素系エラストマーなどの様に耐薬品性が優れている場合に使用できる。
充実フッ素樹脂とは、実質的に空孔を有さないフッ素樹脂を意味し、空孔率は、例えば、10%未満、好ましくは5%以下、さらに好ましくは1%以下、特に0%である。該充実フッ素樹脂は、通常、一般の樹脂フィルムと同様に押出成形によって、またその後必要に応じて延伸することによって得ることができるが、充実PTFEは一般の樹脂フィルムと同様にして得るのは困難である。充実PTFEは、例えば無孔の焼結PTFEから削り出すことによって得ることができ(一般に、スカイブドPTFEと称される)、または後述する多孔質フッ素樹脂(ePTFE)を圧縮等によって緻密化することによって得ることができる(緻密化PTFEという)。緻密化PTFEの製造方法の詳細は、特開2002−275280号公報に詳しい。なお充実構造と延伸構造の両方を兼ね備えたフッ素樹脂を、以下、充実延伸フッ素樹脂(fully-dense expanded fluororesin)と称する場合がある。
多孔質フッ素樹脂は、フッ素樹脂粉末と溶剤可溶性の微粉末との混合物を成形した後、溶剤によって可溶性微粉末を溶出することによって得られるフッ素樹脂であってもよいが、好ましくは延伸によって得られる多孔質PTFE(延伸多孔質PTFE(ePTFE:expanded porous polytetrafluoroethylene)ともいう)である。ePTFEは、PTFEのファインパウダーと成形助剤を混合成形し、成形助剤を除去した後、高温高速度で延伸し、さらに必要に応じて焼成することによって得られる。このePTFEは、1軸延伸されたものであってもよいが、好ましくは2軸延伸されたものである。1軸延伸PTFEは、ミクロ的には、延伸方向と略直交する細い島状のノード(折り畳み結晶)が存在し、このノード間を繋ぐようなすだれ状のフィブリル(前記折り畳み結晶が延伸により解けて引出された直鎖状の分子束)が延伸方向に配向している点にミクロ的な特徴がある。また2軸延伸PTFEは、フィブリルが放射状に広がり、フィブリルを繋ぐノードが島状に点在して、フィブリルとノードとで画された空間が多数存在するクモの巣状の繊維質構造となっている点にミクロ的な特徴がある。多孔質フッ素樹脂の空孔率は、可溶性微粒子の量や延伸倍率などに応じて適宜設定でき、例えば、10%以上であり、30%以上であってもよい。空孔率の上限は特に限定されないが、例えば、95%以下程度、好ましくは85%以下程度である。
なお空孔率は、多孔質フッ素樹脂の見掛け密度ρ1(単位:g/cm3、JIS K 6885に準じて測定される)と、多孔質化してない場合のフッ素樹脂本来の密度(真密度)ρ2(PTFEの場合は2.2g/cm3)から、下記式に基づいて算出される値である。
空孔率(%)=(ρ2−ρ1)/ρ2×100
前記各種フッ素樹脂のうち、延伸されているフッ素樹脂(充実延伸フッ素樹脂、延伸多孔質フッ素樹脂など;以下、これらを合わせて延伸フッ素樹脂(expanded fluororesin)と称する場合がある)、特に2軸延伸されているフッ素樹脂が好ましい。延伸によって内層20を強化できる。
延伸方向は特に限定されないが、チューブの長手方向と直交する方向(周方向)に延伸されているのが好ましい。周方向に延伸されていると、チューブを繰り返し押圧した際にチューブが長手方向に裂ける現象(縦割れ)を低減できる。
最も好ましいフッ素樹脂は、充実延伸フッ素樹脂である。充実延伸フッ素樹脂は、薬品に対するバリア性、摺動性、機械的強度の全てにおいて優れている。特に圧縮等の緻密化処理が施されている場合、延伸による面方向の強度向上と緻密化による厚さ方向の強度向上の双方の効果が発揮され、内層20の機械的強度を著しく高めることができる。また柔軟性にも優れており、繰り返しの押圧を受けても、この内層20と中間層30との間で剥離が生じにくくなる。さらには充実延伸フッ素樹脂によれば、該フッ素樹脂からなる薄肉フィルムが容易に得られ、後述の巻回フィルムを製造するのに有利である。
内層のフッ素樹脂層20の形態は特に限定されず、フッ素樹脂フィルムを巻回することによって得られる巻回フィルム、フッ素樹脂をチューブ状に押出成形することによって得られる押出チューブ、チューブ成形体の内面にフッ素樹脂含有液を塗布することによって得られる塗布層などのいずれであってもよい。好ましい形態は、巻回フィルム及び押出チューブなど、特に巻回フィルムである。巻回フィルムによれば、機械的強度の高い内層を形成でき、またチューブの周方向にフッ素樹脂の延伸方向を合わせるのが容易である。
なお巻回フィルムでは、巻回積層されるフィルム同士を適宜接着してもよい。例えば、プライマーなどを介してフィルム同士を接着剤により接着してもよく、フィルム同士を熱融着してもよい。好ましくはフィルム同士を熱融着する。熱融着すれば、各フィルム層を極めて強固に接着できる。一般にフッ素樹脂は、分子間凝集力が小さく、実用的な機械的強度を確保するために、分子量を高めている。例えばPTFEの分子量は、アイソープ法などの間接的な測定法によれば、約500万〜800万程度である。このような高分子量のフッ素樹脂を融点以上に加熱しても、粘度が高いため(例えば、PTFEを融点以上に加熱した時の粘度は、1010〜1012Pa・s程度)、一般的な溶融成形は困難とされている。他方、フッ素樹脂フィルム同士を、該フッ素樹脂の融点以上で(且つ熱分解を起こさない程度の条件(温度、時間)で)加圧すると、フッ素樹脂フィルム同士が融着することが知られている。この熱融着により得られる層間接着力は強固であり、プライマーなどを介して接着剤によりフッ素樹脂フィルム同士を接着した場合に比べて、同等乃至それ以上の接着力が得られる。フッ素樹脂フィルム同士の熱融着が困難な場合は、溶融性フッ素樹脂フィルムやフッ素樹脂のディスパージョンなどをフィルム間に介して熱融着することもできる。なお、フッ素樹脂の融点および熱分解条件(温度、時間)は、フッ素樹脂の種類、グレード、加工条件(加工環境など)に応じて異なるため、DSC(示差走査熱量計)やTG(熱重量分析計)などを用いて予め把握しておくことが望ましい。
また内層20が巻回フィルムの場合、巻回端(内面側端部、外面側端部)の角部に傾斜をつける処理(テーパー処理)をしてもよい。内面側端部をテーパー処理すれば、チューブ内の流体への悪影響を低減できる。また外面側端部をテーパー処理すれば、内層20と中間層30との接着性を向上できる。テーパー処理するためには、例えば、巻回端に加熱板を押し当てればよい。さらに同様の目的で、巻回端の端辺(端線)をチューブ中心軸に対して斜めにしてもよく、フィルム厚さを十分に薄く(例えば、0.1〜30μm程度、好ましくは0.5〜10μm程度、さらに好ましくは1〜5μm程度に)してもよい。
さらにフィルムの片面又は両面に、コロナ放電処理、エキシマレーザー処理、サンドブラスト処理、金属ナトリウムや液体アンモニウムなどによるエッチング処理などの表面処理を施してもよい。これら表面処理を施せば、フィルム同士をより強固に接着できる。なおフッ素樹脂層20の外面も、同様の目的で、同様の表面処理を施してもよい。
内層20は、上述したように、2種以上(例えば、2〜4種程度。特に2種)のフッ素樹脂で形成してもよい。複数のフッ素樹脂の間で機能(耐薬品性、接着性など)を分担させ、全体として優れた機能を示すようにすることができる。例えば耐薬品性や機械的強度が特に優れたフッ素樹脂(充実延伸フッ素樹脂など)と、接着性の優れたフッ素樹脂(溶融性フッ素樹脂など)とを組み合わせれば、耐薬品性や機械的強度が特に優れたフッ素樹脂を中間層30と強固に接着できる。
2種以上のフッ素樹脂で内層20を形成する場合、それぞれのフッ素樹脂をチューブ状にし、2種以上のチューブ(フッ素樹脂)が内側から順に積層されるようにしてもよい。また2種以上のフッ素樹脂を平面状に積層し、この平面状積層体を1回以上(好ましくは複数回)巻回してチューブ状にしてもよい。後者の方が、2種以上のフッ素樹脂を偏ることなく配することができるため、内層20全体としての性能をより向上させることができる。なお前者及び後者を問わず、内層20の最も外側が溶融性フッ素樹脂で構成されていることが推奨される。中間層30との接着性が高まるためである。
内面のフッ素樹脂層20の厚さは、例えば、1〜200μm程度、好ましくは5〜100μm程度、さらに好ましくは5〜40μm程度である。内層20が薄すぎると、機械的強度が低下する。そのため薬品のバリア性やチューブ内面の摺動性の向上が難しくなる。一方、内層20が厚すぎると、チューブ全体が硬くなる。そのため圧縮応力(押圧力)を解放した時の形状回復性が不十分になり易い。また繰り返しの押圧によって亀裂等の不具合が発生し易くなる。
内面のフッ素樹脂層20は、導電性の付与や熱伝導性向上の為にカーボンや金属粉などが混入していてもよい。
3: 中間層30
本発明の積層型弾性チューブの特徴は、前記フッ素樹脂層20(内層)と前記弾性層10(外層)との間に中間層30が形成されている点にある。この中間層30は、多孔質フッ素樹脂32と、この多孔質フッ素樹脂32の細孔を充填する弾性体31とから構成されており、内層のフッ素樹脂層20と、中間層30の多孔質フッ素樹脂32とが接合している。また外層の弾性層10と、中間層30の弾性体31とが接合している。このような中間層30を形成することにより、押圧力によって内層20と外層10との間に働く剥離力を緩衝できる。しかも前記接合によって内層20と中間層30を確実に強固に結びつけることができる。そのため繰り返し押圧に対する耐久性及び耐薬品性を確実に改善できる。
中間層30の多孔質フッ素樹脂32は、通常、上述の内層20で例示したフッ素樹脂から選択でき、好ましくはPTFE、PFA、PVDFなど(特にPTFE)が選択できる。なお多孔質PTFEとしては前述のePTFEが使用できる。多孔質PFAとしては、PFA粉末と溶剤可溶性の微粉末との混合物を成形した後、溶剤によって可溶性微粉末を溶出することによって孔を形成したPFAなどが使用できる。多孔質PVDFとしては、溶解法などによって孔を形成したPVDFが使用できる。
好ましい多孔質フッ素樹脂32は、延伸されている多孔質フッ素樹脂32である。延伸多孔質フッ素樹脂32の延伸方向は特に限定されないが、チューブの長手方向と直交する方向(周方向)に延伸されているのが好ましい。周方向に延伸されていると、チューブを繰り返し押圧した際にチューブが長手方向に裂ける現象(縦割れ)を低減できる。延伸多孔質フッ素樹脂32は1軸延伸されていてもよく、2軸延伸されていてもよいが、好ましくは2軸延伸されている。
好ましい延伸多孔質フッ素樹脂32は、ePTFEである。ePTFEによれば、空孔率を十分に高くでき、十分な量の弾性体31を細孔内に充填できる。また柔軟性に優れており、弾性体31の機能を低下させる虞がない。さらには機械的強度にも優れている。ePTFEは、ジャパンゴアテックス(株)から「ePTFEフィルム」として入手できる。
中間層30の多孔質フッ素樹脂32の空孔率は、例えば、40〜98%程度、好ましくは50〜95%程度、さらに好ましくは60〜90%程度である。空孔率が小さすぎると、弾性体31の充填量が小さくなり、押圧力の緩衝機能が低下する。一方、空孔率が大きすぎると、多孔質フッ素樹脂32の機械的強度が低下し、内層20との間の接合力が低下する。
中間層30の多孔質フッ素樹脂32の最大細孔径は、充填すべき弾性体[または弾性体を形成するための弾性体原料(詳しくは後述する)]の特性(充填の容易さ)などの観点から、適宜設定すればよく、例えば、0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上であって、20μm以下、好ましくは10μm以下である。最大細孔径が小さすぎると弾性体の充填が困難である。また最大細孔径が大きすぎると、機械的強度が不十分となることがある。なお最大細孔径は、ASTM F316−86の規定(使用薬剤:エタノール)に従って測定できる。
なお中間層30の多孔質フッ素樹脂32の形態は特に限定されず、多孔質フッ素樹脂フィルムを巻回することによって得られる巻回多孔質フィルム、フッ素樹脂をチューブ状に押出成形することによって得られる多孔質押出チューブなどのいずれであってもよい。好ましい形態は、巻回多孔質フィルムである。巻回多孔質フィルムによれば、機械的強度の高い中間層を形成でき、またチューブの周方向にフッ素樹脂の延伸方向を合わせるのが容易である。
巻回多孔質フィルムによって中間層30を形成する場合、巻回フィルムによって内層20を形成する場合と同様の処理を施してもよい。すなわちフィルム同士を熱融着してもよく、フィルム巻回端をテーパー処理してもよく、巻回端の端辺(端線)をチューブ中心軸に対して斜めにしてもよく、フィルム厚さを十分に薄く(例えば、1〜100μm程度、好ましくは5〜50μm程度、さらに好ましくは10〜40μm程度に)してもよく、フィルムに表面処理を施してもよい。なお中間層30の内面及び/又は外面に前記表面処理を施してもよい。
一方、多孔質フッ素樹脂32の細孔を充填する弾性体31としては、通常、上述の外層10で例示した種々の液状弾性体原料の硬化体を利用できる。好ましい液状弾性体原料は、外層10の場合と同様である。
中間層30の弾性体31と外層10の弾性体11は、同じ樹脂から選択することが望ましい。同じ樹脂から選択すれば、中間層30と外層10の接合性を高めることができる。ところで「同じ樹脂」とは、接合性の観点から同じであることを意味し、好ましくは完全に同一の樹脂、モノマー成分が共通する一群の樹脂などを指すが、主モノマーが共通する一群の樹脂、主モノマーが同系統である一群の樹脂なども含む。
中間層30の弾性体31は、外層10の弾性体11と同様、他の素材と組み合わせて使用してもよい。例えば弾性体31に、有機繊維、無機繊維、カーボン類、金属微粒子、無機粉体などを混入してもよい。
中間層30の弾性体31の引張強さは、外層10との接合性の観点から設計でき、その範囲は外層10の弾性体11の引張強さと同程度である。
これら弾性体31と前記多孔質フッ素樹脂32から形成される中間層30の引張強さ(JIS K 6249)は、例えば0.1〜75MPa程度、好ましくは2〜75MPa程度、さらに好ましくは5〜75MPa程度である。また中間層30の貯蔵弾性率E’(温度20℃、振動数1Hz、圧縮法)は、例えば、1×102〜1×108Pa程度、好ましくは1×103〜1×108Pa程度、さらに好ましくは1×106〜1×108Pa程度である。機械的強度又は貯蔵弾性率E’が低すぎると、繰り返しの押圧に対するチューブの耐久性が低下する。一方、貯蔵弾性率E’が高すぎると、外層10(弾性層)に対する追従性が低下し、繰り返しの押圧に対するチューブの耐久性が低下する。
中間層30の厚さは、例えば、10〜2000μm程度、好ましくは20〜1500μm程度、さらに好ましくは50〜1000μm程度である。中間層30が薄すぎると、チューブ押圧時の耐久性が低下する。一方、中間層30が厚すぎると、外層10の弾性的機能を阻害し始める。
なお本発明の中間層30は、内面のフッ素樹脂層20と接合する為、多孔質フッ素樹脂32が内面側に露出している。また外側の弾性層10と接合する為、弾性体31が中間層30の外面側に露出している。
4: 製造方法
本発明の積層型弾性チューブは、内層のフッ素樹脂層20と、中間層30の多孔質フッ素樹脂32とを接合し、かつ中間層30の弾性体31と、外層10の弾性体11とを接合することによって得ることができる。これらを接合することによって、内層20、中間層30、外層10を一体化できる。
内層のフッ素樹脂層20と、中間層30の多孔質フッ素樹脂32とは、熱融着によって接合するのが推奨されるが、界面に接着のためのフッ素樹脂(溶融性フッ素樹脂、フッ素樹脂のディスパージョンなど)を介在させてから接着(熱融着)してもよい。なお熱融着する場合、フッ素樹脂の熱分解を防止することが重要である。そのため、上述したように、フッ素樹脂の融点および熱分解条件(温度、時間)を、DSC(示差走査熱量計)やTG(熱重量分析計)などを用いて予め把握しておくことが望ましい。
中間層30の弾性体31と、外層10の弾性体11とは、プライマー処理することによって接合してもよく、また接着剤を介して接合してもよいが、直接接合するのが望ましい。直接接合すれば、中間層30や外層10の弾性を損なう虞がない。中間層30の弾性体31と外層10の弾性体11とを直接接合する場合は、少なくとも一方の弾性体原料を、他方の弾性体(又は弾性体原料)と接触させながら三次元網目構造化(硬化)すればよい。なおゴム質体は、架橋することによって三次元網目構造化(硬化)できる。また熱可塑性エラストマーは、例えば熱可塑性状態から冷却することによって、又は溶剤などの流動化原因を除去することによって三次元網目構造化(硬化)できる。最も好ましい接合方法は、中間層30の弾性体原料31と外層10の弾性体原料11とを接触させながら、両方の弾性体原料31、11を三次元網目構造化(硬化)する方法である。この方法によれば、より高い接合強度が得られる。
本発明の積層型弾性チューブは、上記各接合が可能である限り、様々な製造方法が採用できる。例えば、(方法1)内層20の外側を中間層30で被覆した後、中間層30の外側を外層10で被覆してもよく、(方法2)中間層30と外層10の積層体を形成した後、中間層30の内面に内層20をコートしてもよい。また前記方法1、2のいずれの場合においても、中間層30への液状弾性体原料31の充填は、中間層30の積層前に行ってもよく、中間層30の積層後に行ってもよい。また中間層30の液状弾性体原料31の硬化のタイミングも特に限定されない。
好ましい製造手順は、(方法1)内層20の外側を中間層30で被覆した後、中間層30の外側を外層10で被覆する方法である。この方法1によれば、内層のフッ素樹脂20と中間層30の多孔質フッ素樹脂32とを熱融着できる。
この方法1による場合、中間層30(多孔質フッ素樹脂32)への液状弾性体原料31の充填は、中間層30(多孔質フッ素樹脂32)の積層後に行うことが望ましい(方法1−1)。液状弾性体原料31の充填を積層後にすると、積層前には多孔質フッ素樹脂32が液状弾性体原料31に覆われることなく露出する。そのため内層のフッ素樹脂20と中間層の多孔質フッ素樹脂32とを確実に熱融着できる。また弾性体31が熱融着条件で熱劣化する虞もない。そして内層20(フッ素樹脂層からなるチューブ)を多孔質フッ素樹脂32で被覆し、これらを熱融着した後は、多孔質フッ素樹脂32側から多孔質フッ素樹脂32の細孔に液状の弾性体原料31を充填し、充填後、三次元網目構造を形成させればよい。
中間層30(多孔質フッ素樹脂32)に液状弾性体原料31を充填する場合、必要量を正確に充填してもよく、過剰に充填した後、余剰分をかき落としてもよい。また余剰分をかき落とすことなく、硬化して外層10(弾性層)として利用してもよい。
前記方法1−1によって積層型弾性チューブを製造する場合、外層10は、硬化した後の状態で中間層30に積層してもよく(方法A)、未硬化の状態で中間層30に積層してから硬化してもよい(方法B)。方法Aの場合、プライマー処理や接着剤を利用することにより、中間層30と外層10を接合できる。好ましい方法は、方法Bである。方法Bによれば、中間層30の弾性体31と外層10の弾性体11とを直接接合できる。
未硬化の外層10(液状弾性体原料、固体状(混練性)弾性体原料など)を中間層30に積層する場合(方法B)、該未硬化の外層10は、中間層30への弾性体原料31の充填が終わった後に、中間層30に積層してもよく(方法B1)、中間層30への弾性体原料31(特に液状弾性体原料)の充填を兼ねながら中間層30に積層してもよい(方法B2)。方法B1の場合、中間層30の弾性体原料31が硬化してから未硬化の外層10を積層してもよく(方法B1a)、中間層30の弾性体原料31を硬化させる前に未硬化の外層10を積層してもよい(方法B1b)。方法B2及び方法B1bの場合、中間層30の弾性体原料31と外層10の弾性体原料11を同時に硬化させることができ、接合強度を著しく高めることができる。また方法B1bの場合、中間層30の弾性体31と外層10の弾性体11は、同じ樹脂から選択するのが望ましいが、異なる樹脂を使用してもよい。
具体的な外層10の形成方法を例示すると、以下の通りである。
(i)内層20(フッ素樹脂層からなるチューブ)と多孔質フッ素樹脂32を熱融着することによって得られる円筒状中間体を、該中間体の外径よりも大きな内径を有する円筒体の中心にセットし、空隙部に弾性体原料11(液状弾性体原料、固体状(混練性)弾性体原料など)を注型し、硬化後、脱型する方法。なお円筒体としてダイスを使用する場合、円筒状中間体を中心に正しくセットするため、ニップルを使用することが多い。
(ii)前記円筒状中間体の外側面に弾性体原料11(特に固体状(混練性)弾性体原料)を押出によって積層し、外面を整えた後、硬化させる方法
(iii)前記円筒状中間体の外側面に弾性体原料11(特に固体状(混練性)弾性体原料)を押出によって積層し、硬化させた後、外面を研磨などによって整える方法
(iv)弾性体原料11(第1の層12)と、この弾性体原料11(特に液状弾性体原料)を含浸させた多孔質フィルム(第2の層13)とからなる積層フィルム10を、弾性体原料11(第1の層12)が中間層30と接触するようにしながら、前記円筒状中間体の外側面に巻き付け、硬化する方法
(v)予め円筒状に成形し硬化させた外層10(弾性チューブ)内に、前記円筒状中間体を挿入し、これらを接着剤などによって接合する方法
なおこれら(i)〜(v)はバッチ式の生産を想定したものであるが、適宜変更を加え、連続的に製造してもよい。また(iv)の方法で硬化又は未硬化の弾性層を形成した後、さらに(i)〜(iii)又は(v)の方法により弾性層を形成するなど、(i)〜(v)の方法を適宜組み合わせて製造してもよい。
5: 耐摩耗層40
本発明の積層型弾性チューブは、図4の概略断面図に示すように、必要に応じて前記外層10(弾性層)の外側にさらに耐摩耗層40(耐摩耗チューブ)を形成してもよい。耐摩耗層40によりチューブの耐久性をさらに高めることができる。
耐摩耗層40(耐摩耗チューブ)には、塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートなど)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリアミド、ポリイミド、フッ素樹脂などの高分子材料、ガラス繊維などの無機質材料などの各種材料が使用できる。
また耐摩耗層40(耐摩耗チューブ)は、塗布体、押出成形チューブ、押出延伸チューブ、延伸フィルムの巻回体、充実フィルムの巻回体、多孔質フィルムの巻回体、糸をチューブ状に編成した編成体、織物、編み物、組み物、レース、網などの巻回体などのいずれの形状であってもよい。耐摩耗層40は、弾性層10に対する追従性と耐摩耗性の両方を兼ね備えていることが重要であり、材料の硬度に応じて形状を選択できる。
耐摩耗層40(耐摩耗チューブ)は弾性層10と固定しても、固定しなくてもよいが、耐摩耗性をさらに向上する観点から固定するのが好ましい。耐摩耗層40と弾性層とを固定する場合、固定方法は特に限定されず、例えば、接着剤を用いて固定してもよいが、外層10と同じ弾性体を接着剤として利用することによって耐摩耗層40を固定するのが好ましい。また耐摩耗層40(耐摩耗チューブ)の収縮力を利用して、耐摩耗層40(耐摩耗チューブ)を積層固定することも好ましい。収縮力を利用すれば、チューブの弾性を損ねることがない。
好ましい耐摩耗層40(耐摩耗チューブ)は、フッ素樹脂のチューブ状物、特にPTFEのチューブ状物である。フッ素樹脂のチューブ状物(特にPTFEのチューブ状物)は、耐摩耗性、耐薬品性、耐熱性などに優れている。
フッ素樹脂(特にPTFE)で耐摩耗チューブ40を形成する場合、該チューブとしては、多孔質フッ素樹脂フィルムの巻回体、フッ素樹脂製糸をチューブ状に編成した編成体、フッ素樹脂製糸からなる織物、編み物、組み物、レース、網などを巻回した巻回体などを使用するのが望ましい。これらを使用すれば、空孔内又は繊維間に接着剤や弾性体原料が浸透するため、耐摩耗層40を弾性層10に強固に接合できる。
なお複数の耐摩耗層40(耐摩耗チューブ)を重ねてもよく、例えば、フッ素樹脂のチューブ状物とガラスクロスの巻回体を重ねてもよい。
6: 積層型弾性チューブ
本発明の積層型弾性チューブの大きさは、用途に応じて異なり一律に規定することは難しいが、例えば、ピンチバルブ用及びローラーポンプ用の弾性チューブに使用する場合、内径:1mm以上(例えば1〜40mm程度)、外径:100mm以下(例えば3〜100mm程度、特に5〜60mm程度)、長さ50〜1500mm程度である。
7: 流体流通制御部材
本発明の積層型弾性チューブは、押圧することによって流体の流通を制御する部材として使用でき、例えばピンチバルブやローラーポンプの弾性チューブとして使用できる。ピンチバルブとは、流体圧(空気圧、油圧など)や電気などで作動するピンチ弁によって弾性チューブを側方から径方向に押圧し、チューブ断面を扁平(特に閉塞)することにより、チューブ内の流体の流通を制御する装置である。またローラーポンプとは、ローラーなどの押圧部材で弾性チューブを径方向に押圧し、この押圧状態を維持しながら押圧部材を弾性チューブの軸方向に移動(特に、上流側から下流側に繰り返して移動)することにより、チューブ内の流体を送り出す装置である。
チューブ内を流通する流体の種類は特に限定されず、気体、液体のいずれであってもよいが、好ましくは液体である。特に本発明の積層型弾性チューブは、耐薬品性に優れているため、フォトレジスト液、プロセス機械装置を作動させる為の液体、製薬、食品、医療、化学などの分野で使用される高腐食性の液体などのような流体を流通させることも可能である。また本発明の積層型弾性チューブは、タック性が低いため、チューブ内面に流通成分が付着するのを嫌う用途であっても使用できる。
さらに本発明の積層型弾性チューブは、チューブ内にトルクなどを伝達するための金属ワイヤを挿通したケーブルチューブ(プッシュプルチューブ)としても使用できる。本発明の弾性チューブは、内面のフッ素樹脂層20のすべり性が高いため、トルク伝達をスムーズに行うことができる。
なお本発明の積層型弾性チューブを、ホースや配管などの様に必ずしも弾性が求められない用途に使用する場合には、外側の弾性層10は不要である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
外径:300mm、幅:600mm、耐圧延反力:1MN(最大)のカレンダーロール装置を用い、ロール温度:70℃、線圧:8N/mm2、送り速度:6m/分の条件で二軸延伸多孔質PTFEフィルム(ジャパンゴアテックス(株)製の「ePTFEフィルム」、幅:500mm、空孔率:90%、厚さ:20μm)を圧縮し、幅:500mm、長さ:500mm、空孔率:5%、厚さ2.1μmの白濁色のフィルムを得た。この白濁フィルムを2枚のポリイミドフィルム(宇部興産(株)製の「ユーピレックス20S」(商品名))の間に挟み、プレス面の大きさ:750mm×750mm、最大加圧力:2MNのホットプレス装置を用いて、プレス板温度:400℃、面圧:10N/m2の条件で5分間加熱プレスした後、面圧を保持した状態で60分かけて徐々にプレス板温度を25℃まで冷却することにより、幅:500mm、長さ:500mm、空孔率:0%、厚さ:2μmで、透明なPTFEフィルム(緻密化PTFEフィルム)を得た。
前記緻密化PTFEフィルムを、幅:400mm、長さ(奥行き):158mmのサイズに切断し、その長さ(奥行き)方向が巻き取り方向(周方向)になるようにステンレス鋼棒材(外径:5mm)に10回巻き付けて、厚さ約20μmの内層を形成した。
中間層の多孔質フッ素樹脂としての二軸延伸多孔質PTFEフィルム(ジャパンゴアテックス(株)製の「ePTFEフィルム」、幅:400mm、長さ(奥行き):81mm、空孔率:85%、最大細孔径:0.5μm、厚さ:20μm)を、その長さ(奥行き)方向が巻き取り方向(周方向)になる様に前記内層の上に巻回(巻回数:5)した。この巻回物を強制熱風循環・換気方式の恒温恒湿器(エスペック(株)製、「STPH−201」)を用いて、温度375℃で30分間加熱し、内層のフィルム間、多孔質フッ素樹脂フィルムのフィルム間、及び内層フィルムと多孔質フッ素樹脂フィルムの間をそれぞれ熱融着し、外径5mmのステンレス鋼棒材を芯材とした外径5.2mmの円筒状中間体を得た。付加反応型の液状シリコーンゴム(信越化学工業(株)製「KE1031」)10gを、該円筒状中間体の多孔質フッ素樹脂フィルム面にゴムへらを用いて塗布し、細孔内に含浸させた。余剰のシリコーンゴムは、ゴムへら及び不織布ワイパーでかき落とした。
別途、予め補強充填材や可塑剤などの諸添加剤が配合されている熱加硫型ミラブルシリコーンゴム(信越化学工業(株)製「KE551−U」)と加硫剤(信越化学工業(株)製「C−23」)を100:1の質量比で配合し、ミキシングロール機を用いて混練した。内径9.6mmのダイスと内径5.2mmのニップルを同心円状に配置した金属製押出用クロスヘッドに、前記円筒状中間体を入口側から挿入した。この押出用クロスヘッドの入口と出口の中間側面から、上記混練済みの熱加硫型シリコーンゴムをスクリューによって押し込んだ。押し込みによるゴムの圧力フローによって、円筒状中間体を押出用ヘッドの出口側から排出し、次いで一次加硫温度170℃で20分間加熱し、さらに二次加硫温度200℃で4時間加熱することによって液状シリコーンゴムとミラブル型シリコーンゴムの両方を架橋した。
冷却後、外層(弾性層)を手でひねって、内層の緻密化PTFEと芯材(ステンレス鋼棒材)との間の圧着を緩め、ステンレス鋼棒材を引き抜くことにより積層型弾性チューブを得た(内径:5mm、外径:9.6mm、軸方向の長さ:400mm、内層の厚さ:20μm、中間層の厚さ:100μm、外層の厚さ:2.2mm)。
実施例2
実施例1と同様にして、液状シリコーンゴムを含浸した円筒状中間体を得た。
二軸延伸多孔質PTFEフィルム(ジャパンゴアテックス(株)製「ePTFEフィルム」、幅:400mm、長さ(奥行き):816mm、空孔率:78%、最大細孔径:0.4μm、厚さ:18μm)に、片側から付加反応型の液状シリコーンゴム(信越化学工業(株)製「KE1031」)を塗布した。塗布面を内側にしながら、かつ空気を巻き込まないようにしつつ、この塗布フィルムを前記円筒状中間体に巻き付けて外層にした(巻回数:35回)。
温度150℃で30分間加熱することにより、中間層及び外層の液状シリコーンゴムを架橋した。
冷却後、外層(弾性層)を手でひねって、内層の緻密化PTFEと芯材(ステンレス鋼棒材)との間の圧着を緩め、ステンレス鋼棒材を引き抜くことにより積層型弾性チューブを得た(内径:5mm、外径:9.6mm、軸方向の長さ:400mm、内層の厚さ:20μm、中間層の厚さ:100μm、外層の厚さ:2.2mm、外層のシリコーンゴム層(第1の層)の厚さ:1550μm、外層のPTFEフィルム層(第2の層)の厚さ:630μm、第1の層の厚さ/第2の層の厚さ=2.5/1)。
実施例3
中間層の二軸延伸多孔質PTFEフィルムの細孔内に含浸させるゴムを加熱硬化型の液状フッ素ゴム(信越化学工業(株)製「SIFEL−8070A/B」)、外層の二軸延伸多孔質PTFEフィルムに塗布するゴムを加熱硬化型の液状フッ素ゴム(信越化学工業(株)製「SIFEL−610」)にする以外は、実施例2と同様にして弾性チューブを得た(内径:5mm、外径:9.6mm、軸方向の長さ:400mm、内層の厚さ:20μm、中間層の厚さ:100μm、外層の厚さ:2.2mm、外層のフッ素ゴム層(第1の層)の厚さ:1550μm、外層のPTFEフィルム層(第2の層)の厚さ:630μm、第1の層の厚さ/第2の層の厚さ=2.5/1)。
比較例1
予め補強充填材や可塑剤などの諸添加剤が配合されている熱加硫型ミラブルシリコーンゴム(信越化学工業(株)製「KE551−U」)と加硫剤(信越化学工業(株)製「C−23」)を100:1の質量比で配合し、ミキシングロール機を用いて混練した。内径9.6mmのダイスと内径5mmのニップルを同心円状に配置した金属製押出用クロスヘッドに、外径5mmのステンレス鋼棒材を入口側から挿入した。この押出用クロスヘッドの入口と出口の中間側面から、上記混練済みの熱加硫型シリコーンゴムをスクリューによって押し込んだ。押し込みによるゴムの圧力フローによって、ステンレス鋼棒材を押出用ヘッドの出口側から排出し、次いで一次加硫温度170℃で20分間加熱し、さらに二次加硫温度200℃で4時間加熱することによってミラブル型シリコーンゴムを架橋した。
冷却後、外側のシリコーンゴムを手でひねって、内側のステンレス鋼棒材との間の圧着を緩め、ステンレス鋼棒材を引き抜くことにより弾性チューブを得た(内径:5mm、外径:9.6mm、軸方向の長さ:400mm、厚さ:2.3mm)。
比較例2
実施例2で用いた二軸延伸多孔質PTFEフィルム(ジャパンゴアテックス(株)製「ePTFEフィルム」、幅:400mm、長さ(奥行き):826mm、空孔率:78%、最大細孔径:0.4μm、厚さ:18μm)に、片側から付加反応型の液状シリコーンゴム(信越化学工業(株)製「KE1031」)を塗布した。塗布面を内側にしながら、かつ空気を巻き込まないようにしつつ、この塗布フィルムをステンレス鋼棒材(外径:5mm)に巻き付けた(巻回数:36回)。温度150℃で30分間加熱することにより、液状シリコーンゴムを架橋した。
冷却後、ゴム質部分を手でひねって、内側のステンレス鋼棒材との間の圧着を緩め、ステンレス鋼棒材を引き抜くことにより弾性チューブを得た(内径:5mm、外径:9.6mm、軸方向の長さ:400mm、全体の厚さ:2.3mm、シリコーンゴム層(第1の層)の厚さ:1650μm、PTFEフィルム層(第2の層)の厚さ:650μm、第1の層の厚さ/第2の層の厚さ=2.5/1)。
比較例3
塗布するゴムを加熱硬化型の液状フッ素ゴム(信越化学工業(株)製「SEIFEL−610」)にする以外は、比較例2と同様にして弾性チューブを得た(内径:5mm、外径:9.6mm、軸方向の長さ:400mm、全体の厚さ:2.3mm、フッ素ゴム層(第1の層)の厚さ:1650μm、PTFEフィルム層(第2の層)の厚さ:650μm、第1の層の厚さ/第2の層の厚さ=2.5/1)。
比較例4
実施例1と同様にして緻密化PTFEフィルムを得た。
この緻密化PTFEフィルムを、幅:400mm、長さ(奥行き):158mmのサイズに切断し、その長さ(奥行き)方向が巻き取り方向(周方向)になるようにステンレス鋼棒材(外径:5mm)に10回巻き付けた。次いで強制熱風循環・換気方式の恒温恒湿器(エスペック(株)製、「STPH−201」)を用いて、温度375℃で30分間加熱し、PTFEフィルム間を熱融着し、厚さ20μmの内層を形成した。
別途、予め補強充填材や可塑剤などの諸添加剤が配合されている熱加硫型ミラブルシリコーンゴム(信越化学工業(株)製「KE551−U」)と加硫剤(信越化学工業(株)製「C−23」)を100:1の質量比で配合し、ミキシングロール機を用いて混練した。内径9.6mmのダイスと内径5mmのニップルを同心円状に配置した金属製押出用クロスヘッドに、前記内層をステンレス鋼棒材に巻き付けたままで入口側から挿入した。この押出用クロスヘッドの入口と出口の中間側面から、上記混練済みの熱加硫型シリコーンゴムをスクリューによって押し込んだ。押し込みによるゴムの圧力フローによって、ステンレス鋼棒材に巻き付けた内層を押出用ヘッドの出口側から排出し、次いで一次加硫温度170℃で20分間加熱し、さらに二次加硫温度200℃で4時間加熱することによってミラブル型シリコーンゴムを架橋した。
冷却後、外層(弾性層)を手でひねって、内層の緻密化PTFEと芯材(ステンレス鋼棒材)との間の圧着を緩め、ステンレス鋼棒材を引き抜くことにより弾性チューブを得た(内径:5mm、外径:9.6mm、軸方向の長さ:400mm、内層の厚さ:20μm、外層の厚さ:2.3mm)。
実施例1〜3及び比較例1〜4で得られた弾性チューブの耐薬品性及び耐久性を以下の様にして調べた。
耐薬品性
弾性チューブの中空内にシクロヘキサンを充填し、温度20〜25℃で70時間保持した。シクロヘキサンを排出した後、試験前後のチューブの質量変化を測定し、下記基準に従って評価した。
優 :質量変化が30%未満
不可:質量変化が30%以上
耐久性
ウェットプロセス用樹脂製ピンチバルブ(旭有機材工業(株)製、商品名「Dymatrix AVPV3」)に弾性チューブを装着した。このピンチバルブは、15mm×10mmの角柱状ピストン(先端の周縁部は、面取りされている(曲率0.4))を圧縮空気で平板体に向けて押しつけることができ、このピストンと平板体との間でチューブを押圧する。チューブ内に液体を通水することなく、ピストンで弾性チューブを繰り返し押圧した。押圧の条件は、以下の通りである。
押圧時間:1.5秒/回
圧力解放時間:1.5秒/回
圧縮空気の圧力:0.4MPa
チューブの外面を目視で確認し、損傷が発生するまでの繰り返し数をカウントした。またチューブの断面を目視で確認し、層間剥離が発生するまでの繰り返し数をカウントした。
表1より明らかなように、実施例1〜3の弾性チューブは、適切な中間層によって内層と外層(弾性層)とが接合されているため、繰り返し押圧に対する耐久性、及び耐薬品性に優れている。
図1は本発明の積層型弾性チューブの一例を示す概略断面図である。 図2は本発明の積層型弾性チューブの要部拡大図である。 図3は本発明で使用する外層(弾性層)の一例を示す概略断面図である。 図4は本発明の積層型弾性チューブの他の例を示す概略断面図である。
符号の説明
10 外層(弾性層)
20 内層(フッ素樹脂層)
30 中間層
11、31 弾性体(弾性体原料)
32 多孔質フッ素樹脂
12 第1の層
13 第2の層
40 耐摩耗層(耐摩耗チューブ)

Claims (33)

  1. 内面がフッ素樹脂層で構成され、このフッ素樹脂層よりも外側に弾性層が形成されている積層型弾性チューブであって、
    前記フッ素樹脂層と弾性層との間に、多孔質フッ素樹脂と、この多孔質フッ素樹脂の細孔を充填する弾性体とから構成される中間層が形成されており、
    内面のフッ素樹脂層と、中間層の多孔質フッ素樹脂とが接合しており、
    外側の弾性層と、中間層の弾性体とが接合していることを特徴とする積層型弾性チューブ。
  2. 前記内面のフッ素樹脂層が、フッ素樹脂フィルムを巻回したチューブである請求項1に記載の積層型弾性チューブ。
  3. 前記内面のフッ素樹脂層が、延伸フッ素樹脂層である請求項1又は2に記載の積層型弾性チューブ。
  4. 前記延伸フッ素樹脂層の延伸方向が、チューブの長さ方向と直交している請求項3に記載の積層型弾性チューブ。
  5. 前記延伸フッ素樹脂層が、充実延伸フッ素樹脂層である請求項3又は4に記載の積層型弾性チューブ。
  6. 前記充実延伸フッ素樹脂層が、充実延伸ポリテトラフルオロエチレン層である請求項5に記載の積層型弾性チューブ。
  7. 前記内面のフッ素樹脂層が溶融性フッ素樹脂から形成されている請求項1又は2に記載の積層型弾性チューブ。
  8. 前記溶融性フッ素樹脂が、PFA、FEP、PVDF、THV、又はEFEPである請求項7に記載の積層型弾性チューブ。
  9. 前記内面のフッ素樹脂層が、2種以上のフッ素樹脂を積層したものである請求項1に記載の積層型弾性チューブ。
  10. 前記2種以上のフッ素樹脂がそれぞれチューブになっており、このチューブが内側から順に積層されている請求項9に記載の積層型弾性チューブ。
  11. 前記2種以上のフッ素樹脂を平面状に積層し、この平面状積層体を巻回してチューブ状にすることによって前記内面のフッ素樹脂層を形成している請求項9に記載の積層型弾性チューブ。
  12. 前記2種以上のフッ素樹脂のうち1種は、充実延伸フッ素樹脂である請求項9〜11のいずれかに記載の積層型弾性チューブ。
  13. 前記2種以上のフッ素樹脂のうち1種は、溶融性フッ素樹脂である請求項9〜12のいずれかに記載の積層型弾性チューブ。
  14. 前記溶融性フッ素樹脂が、内面のフッ素樹脂層の最も外側に配されている請求項13に記載の積層型弾性チューブ。
  15. 前記溶融性フッ素樹脂が、PFA、FEP、PVDF、THV、又はEFEPである請求項13又は14に記載の積層型弾性チューブ。
  16. 前記内面のフッ素樹脂層と、中間層の多孔質フッ素樹脂とが熱融着している請求項1〜15のいずれかに記載の積層型弾性チューブ。
  17. 前記中間層の多孔質フッ素樹脂が、多孔質ポリテトラフルオロエチレンである請求項1〜16のいずれかに記載の積層型弾性チューブ。
  18. 前記中間層の弾性体が、シリコーン系エラストマー、フッ素系エラストマー、及びフルオロシリコーン系エラストマーから選択される少なくとも一種である請求項1〜17のいずれかに記載の積層型弾性チューブ。
  19. 前記中間層の弾性体が、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系ブロック共重合体エラストマー、熱可塑性加硫エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーから選択される少なくとも一種である請求項1〜17のいずれかに記載の積層型弾性チューブ。
  20. 前記外側の弾性層が、シリコーン系エラストマー、フッ素系エラストマー、及びフルオロシリコーン系エラストマーから選択される少なくとも一種である請求項1〜19のいずれかに記載の積層型弾性チューブ。
  21. 前記外側の弾性層が、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系ブロック共重合体エラストマー、熱可塑性加硫エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーから選択される少なくとも一種である請求項1〜19のいずれかに記載の積層型弾性チューブ。
  22. 前記中間層の弾性体と、前記外側の弾性層の弾性体とがいずれも同じ樹脂から形成されている請求項1〜21のいずれかに記載の積層型弾性チューブ。
  23. 前記外側の弾性層の貯蔵弾性率E’が、1×102〜1×108Paである請求項1〜22のいずれかに記載の積層型弾性チューブ。
  24. 前記外側の弾性層が、(1)弾性体からなる第1の層と、(2)多孔質ポリテトラフルオロエチレンフィルムと、この多孔質ポリテトラフルオロエチレンフィルムの細孔を充填する弾性体とからなる第2の層とが重なった渦巻き状の積層構造を有している請求項1〜23のいずれかに記載の積層型弾性チューブ。
  25. 前記第1の層の厚さと第2の層の厚さの比(第1の層/第2の層)が、6.5/1以下である請求項24に記載の積層型弾性チューブ。
  26. 前記内面のフッ素樹脂層の厚さが1〜200μmであり、中間層の厚さが10〜2000μmであり、外側の弾性層の厚さが0.15〜80mmである請求項1〜25のいずれかに記載の積層型弾性チューブ。
  27. 前記外側の弾性層の厚さが、積層型弾性チューブの内径に対して10〜200%である請求項1〜26のいずれかに記載の積層型弾性チューブ。
  28. 前記外側の弾性層よりも外側に、耐摩耗層が形成されている請求項1〜27のいずれかに記載の積層型弾性チューブ。
  29. 前記耐摩耗層がポリテトラフルオロエチレンのチューブ状物である請求項28に記載の積層型弾性チューブ。
  30. 請求項1〜29のいずれかに記載の積層型弾性チューブを用いたピンチバルブ。
  31. 請求項1〜29のいずれかに記載の積層型弾性チューブを用いたローラーポンプ。
  32. フッ素樹脂層からなるチューブを多孔質フッ素樹脂で被覆し、これらを熱融着した後、
    多孔質フッ素樹脂側から多孔質フッ素樹脂の細孔に液状の弾性体原料を充填し、
    充填後、三次元網目構造を形成させて前記弾性体原料を弾性体にする請求項1〜29のいずれかに記載の積層型弾性チューブの製造方法。
  33. フッ素樹脂層からなるチューブを多孔質フッ素樹脂で被覆し、これらを熱融着した後、
    多孔質フッ素樹脂側から多孔質フッ素樹脂の細孔に液状の弾性体原料を充填し、
    さらに前記多孔質フッ素樹脂の外側に、弾性体原料を含む層を形成した後、
    三次元網目構造を形成させて前記両方の弾性体原料を弾性体にする請求項1〜29のいずれかに記載の積層型弾性チューブの製造方法。
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