JP2008016983A - 無線lan集積回路装置と無線lanシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構成で使用環境に対応した広範囲の温度抑制機能を持ち、安定した送受信動作を実現した無線LAN用集積回路装置及びそれを用いた無線LANシステムを提供する。
【解決手段】アンテナにて受信された高周波信号を高周波増幅回路で増幅する。復調用ミキサーにより上記増幅された上記高周波信号をPLL回路で形成された周波数信号を用いてダウンコンバートする。上記復調用ミキサーの出力信号を可変利得増幅回路で増幅する。上記復調用ミキサーの出力信号の強度を測定回路で検出し、上記可変利得増幅回路の利得制御信号を形成する。と上記PLL回路として、温度センサーと、上記温度センサーの出力信号をデジタル信号に変換するADCと、上記ADCの出力信号によりPLLループ帯域の温度変動抑制を行う抑制回路を設ける。
【選択図】図1
【解決手段】アンテナにて受信された高周波信号を高周波増幅回路で増幅する。復調用ミキサーにより上記増幅された上記高周波信号をPLL回路で形成された周波数信号を用いてダウンコンバートする。上記復調用ミキサーの出力信号を可変利得増幅回路で増幅する。上記復調用ミキサーの出力信号の強度を測定回路で検出し、上記可変利得増幅回路の利得制御信号を形成する。と上記PLL回路として、温度センサーと、上記温度センサーの出力信号をデジタル信号に変換するADCと、上記ADCの出力信号によりPLLループ帯域の温度変動抑制を行う抑制回路を設ける。
【選択図】図1
Description
この発明は、無線LAN集積回路装置と無線LANシステムに関するものである。
通信用半導体集積回路装置において、温度変動に伴うKV特性の変化を防止したPLL回路を備えた例として特開2005−094427号公報がある。PLL回路において、温度変化による回路特性の変動を抑制する例として、特開平10−322198号公報がある。無線LANに用いられるRFICの例として、マキシム・インテグレーテッド・プロダクツ(Maxim Integrated Products)社から発行されているMAX2825/MAX2826/MAX2827データシートがある。
特開2005−094427号公報
特開平10−322198号公報
Maxim Integrated Products, MAX2825/MAX2826/MAX2827データシート
非特許文献1のような無線LAN用RFICに組み込まれているPLL回路においては、ループ帯域が温度により変動することについての対策はない。PLL回路のVCO(電圧制御型発振回路)ゲインとチャージポンプ電流は温度特性を持つために、ループ帯域が温度により変動する。PLL回路のループ帯域の変動は、周波数セトリング時間及びリファレンススプリアスの変動や、フェーズエラーを引き起こし、それぞれの仕様を未達成にする可能性がある。前記特許文献1では、温度変化検出信号によりチャージポンプ回路の電流源MOSFETのゲート電圧を制御するものであり、無線LAN用RFICの使用環境に対応した広範囲での温度抑制を行うことが難しい。前記特許文献2では、温度センサーの出力信号をADC(アナログ/デジタル変換回路)でデジタル信号に変換し、それをメモリに記憶された補正値に置き換えてDACによりアナログ信号に変換し、ロウパスフィルタにより補正電圧を形成する。そして、VCOの制御電圧入力部にアナログ加算回路を設け、ループフィルタで形成された制御電圧に上記補正電圧を加えるものであり、回路規模が大きくなるという問題を有する。
この発明の目的は、簡単な構成で使用環境に対応した広範囲の温度抑制機能を持つ無線LAN用集積回路装置及びそれを用いた無線LANシステムを提供することにある。この発明の他の目的は、簡単な構成で使用環境に対応した広範囲での温度抑制機能を持ちつつ、安定した送受信動作を実現した無線LAN用集積回路装置及びそれを用いた無線LANシステムを提供することにある。この発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。アンテナにて受信された高周波信号を高周波増幅回路で増幅する。復調用ミキサーにより上記増幅された上記高周波信号をPLL回路で形成された周波数信号を用いてダウンコンバートする。上記復調用ミキサーの出力信号を可変利得増幅回路で増幅する。上記復調用ミキサーの出力信号の強度を測定回路で検出し、上記可変利得増幅回路の利得制御信号を形成する。と上記PLL回路として、温度センサーと、上記温度センサーの出力信号をデジタル信号に変換するADCと、上記ADCの出力信号によりPLLループ帯域の温度変動抑制を行う抑制回路を設ける。
本願において開示される発明のうち他の代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。RFCIとベースバンド 処理ICにより無線LANシステムを構成する。上記RFICとして、アンテナにて受信された高周波信号を高周波増幅回路で増幅する。復調用ミキサーにより上記増幅された上記高周波信号をPLL回路で形成された周波数信号を用いてダウンコンバートする。上記復調用ミキサーの出力信号を可変利得増幅回路で増幅する。上記復調用ミキサーの出力信号の強度を測定回路で検出し、上記可変利得増幅回路の利得制御信号を形成する。送信用I信号、Q信号及び上記PLLで形成された周波数信号により直交変調器で高周波送信号を形成する。上記直交変調器の出力信号をプリアンプで増幅する。上記PLL回路として、温度センサーと、上記温度センサーの出力信号をデジタル信号に変換するADCと、上記ADCの出力信号によりPLLループ帯域の温度変動抑制を行う抑制回路を設ける。上記ベースバント処理ICとして、上記測定回路の出力信号を第2ADCによりデジタル信号に変換する。上記可変利得増幅回路の出力信号を第3ADCによりデジタル信号に変換する。上記第3ADCの出力信号を復調回路で復調する。変調回路で送信用デジタル信号を形成する。上記変調回路の出力信号をDACにより上記送信用I信号、Q信号を形成する。第2制御回路により、上記第2ADCの出力信号を受けて上記可変利得増幅回路に伝えられる利得制御信号及び変調/復調の動作制御信号を形成する。
温度領域を複数に分けたデジタル信号により簡単な構成で使用環境に対応した広範囲の温度抑制機能を持たせることができる。送受信動作時に温度抑制機能を停止させることにより安定した送受信動作を実現できる。
図1には、本発明に係る無線LANシステムのRF処理部(高周波IC)及びベースバンド処理部(ベースバンドLSI)の一実施例のブロック図が示されている。同図では、RF処理部41とベースバンド処理部42以外は省略されている。実際の無線LANシステムでは、送信用パワーアンプ40はインピーダンス整合回路や高調波を除去するフィルタなどとともにセラミック基板等の絶縁基板上にモジュール(パワーモジュール)として構成される。特に制限されないものの、高周波IC(41)を形成する回路等はSiGe等の一つの半導体基板上に形成され、ベースバンドLSI(42)はシリコン等の一つの半導体基板上にCMOSを用いた回路で形成される。
上記構成により、RF処理部41はアップコンバートやダウンコンバート動作を行う為の動作速度を容易に得ることができ、ベースバンド処理部42は低消費電力での動作が可能となる。また、アンテナ1又は図示しないが切り替えスイッチとRF処理部41との間に、受信信号から不要波を除去するバンドパスフィルタが設けられる。図示しない上記スイッチとバンドパスフィルタは、パワーモジュールとは別個の絶縁基板上にモジュール(フロントエンドモジュール)として構成される。そして、これらのモジュールと上記RF処理部(高周波IC)41とベースバンド処理部(ベースバンドLSI)42とが1つのプリント配線基板上に実装されて無線LANシステムが構成される。
この実施例の無線LANでの送受信動作は、次の通りである。受信信号は、受信アンテナ1より受信され、LNA(ロウノイズアンプ)4で増幅され、復調用ミキサー(直交復調器)7にてベースバント信号に変換される。PLL回路60は、リファレンスクロック信号110に同期した周波数信号を形成する。位相シフト回路61は、上記周波数信号を−90°位相シフトされた周波数信号を形成する。復調用ミキサー7は、上記受信信号を上記−90°位相シフトされた周波数信号を用いてダウンコンバートして直交復調動作を行う。上記復調用ミキサー7で形成された受信ミキサー信号26と27は、LPF/PGA(ロウパスフィルタ/プログラマブル・ゲイン・アンプ)11a,11bにて妨害信号除去および目的の信号が適当なレベルになるように増幅され、I,Q信号別々にベースバンド処理部42に伝えられ、復調回路39にて復調される。
ベースバンド処理部42において、送信信号は、変調回路33にてベースバンド信号が作られ、送信ベースバンドLPF31a,31bを通り、送信ミキサー(直交変調器)30により目的のRF周波数まで周波数変換され、プリアンプ32を通して上記送信用パワーアンプ40で増幅され、送信アンテナ28より送信される。上記ベースバンド処理部42では、上記RF処理部41からのアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換回路(以下、単にADCという)50a,50bが設けられる。また、送信用デジタル信号をアナログ信号に変換するデジタル/アナログ変換回路(以下、単にDACという)51a,51bが設けられる。
受信レベル調整動作は、次の通りである。受信側I、Qベースバンド信号のレベルを調整するための機構として、AGC(Automatic Gain Contro1)が使用される。このための信号レベル測定に、測定回路12が使用される。測定回路12は、上記復調用ミキサー(直交復調器)7の出力26,27の妨害信号を除去検波し、信号レベル値の対数圧縮を行い出力する。また、必要に応じてベースバンド処理部42において、上記ADC50a,50bでデジタル信号に変換された復調対象となるI、Q信号のレベルを線形のままで測定して微調用制御信号を形成してもよい。
上記測定回路12の出力はADC49によりデジタル信号に変換されて上記制御回路14に送られる。制御回路14は、上記結果をもとに、ゲイン設定値データ18を発生し、上記RF処理部41の制御回路24を介して、I,Q信号レベルが目標レベルとなるように上記LPF/PGA11a,11bのゲインを制御する。制御回路24では、上記ベースバンド処理部42の制御回路14から受け取ったゲイン設定値データ18と同じく制御回路14が発生した制御信号に従って、LAN制御も行うようにされる。制御回路24は、送信用LPF31a,31bの制御信号も形成する。
この実施例では、PLL回路には、後述するような温度検出器と、上記温度検出器の出力信号をデジタル信号に変換するADCと、上記ADCの出力信号によりPLLループ帯域の温度変動抑制を行う抑制回路を有する。そして、上記抑制回路は、特に制限されないが、ベースバンド処理部42の制御回路で形成された制御信号122により上記抑制回路の温度変動抑制動作が停止させられる。上記制御信号122は、例えばパケット送/受信動作を指示する信号とされる。
図2には、図1のPLL回路60の一実施例のブロック図が示されている。位相周波数比較器(PFD)100には、リファレンスクロック信号110と、パルススワロー分周器104の分周出力信号116の位相周波数比較を行い、その位相周波数差に対応したチャージポンプ制御信号111と112を形成する。チャージポンプ制御信号111は、チャージポンプ回路(CP)101のPチャネルMOSFETのオン/オフ制御を行うものであり、ループフィルタ102のキャパシタへの充電電流を形成する。チャージポンプ制御信号112は、NチャネルMOSFETのオン/オフ制御を行うものであり、ループフィルタ102のキャパシタの放電電流を形成する。チャージポンプ回路101の上記充放電電流からなるチャージポンプ出力信号113は、ループフィルタ102に入力され、ここでVCO制御電圧信号114が形成される。電圧制御発振器(VCO)は、上記VCO制御電圧信号114に対応した発振動作を行い、PLL出力信号115を形成する。このPLL出力信号115は、上記分周器104に入力されて、上記位相周波数比較器100に入力される分周出力信号116が形成される。これにより、PLL出力信号115は、上記リファレンスクロック信号110に同期したN倍の周波数信号とされる。
この実施例のPLL回路では、温度変化によるPLL回路のループ帯域の変動が、無線LANにおける周波数セトリング時間及びリファレンススプリアスの変動やフェーズエラーを引き起こし、それぞれの仕様を未達成にするという問題の解決のために、次のようなPLLループ帯域の温度変動抑制を行う抑制回路が設けられる。温度検出器(TDET)105は、温度に対応した電気信号(PTAT)120を形成する。このPTAT電圧信号120は、A/D(アナログ/デジタル)変換器106によりデジタル信号121に変換される。特に制限されないが、上記A/D変換器106では、0℃、40℃、80℃に対応した3つの基準電圧を用いて、+0℃以下の第1温度領域、+0℃から+40℃までの第2温度領域、+40℃から+80℃までの第3温度領域及び+80℃以上の第4温度領域に分けられる。上記デジタル信号121は、上記のような4つの温度領域に対応して2ビット信号とされる。
制御回路107は、上記デジタル信号121を受けてチャージポンプ電流補正信号123を形成し、チャージポンプ回路101の電流を変化させる。この実施例では、制御回路107には、制御信号122が入力される。この制御信号122は、上記のような温度変動抑制動作の有効/無効の制御信号である。
図3には、図2のチャージポンプ回路101の一実施例の概略回路図が示されている。この実施例のチャージポンプ回路は、押し出しチャージポンプ電流回路200と、吸い込みチャージポンプ電流回路201から構成される。上記押し出しチャージポンプ電流回路200は、前記制御信号123で電流値が変化され押し出し電流源Io1と、チャージポンプ制御信号111でスイッチ制御されるスイッチSW1により構成される。上記吸い込みチャージポンプ電流回路201は、前記制御信号123で電流値が変化され吸い込み電流源Io2と、チャージポンプ制御信号112でスイッチ制御されるスイッチSW2により構成される。上記スイッチSW1とSW2の相互接続点からチャージポンプ出力信号が形成される。
図4には、図3の押し出し電流回路200の一実施例の具体的回路図が示されている。この実施例の押し出し電流回路は、基準電流源回路300と、チャージポンプ電流設定回路301から構成される。基準電流源回路300は、次の回路により構成される。NチャネルMOSFETQ1は、ゲートとドレインが接続されてダイオード形態とされる。このMOSFETQ1のソースは、回路の接地電位点に接続される。上記MOSFETQ1のゲート,ドレインは、上記同様にダイオード形態にされたNチャネルMOSFETQ2のソースに接続される。このMOSFETQ2のドレインと電源端子VDDとの間には、抵抗R2が設けられる。上記MOSFETQ2のゲート,ドレインにゲートが接続されたNチャネルMOSFETQ3が設けられる。このMOSFETQ3のソースと回路の接地電位点との間には、抵抗R1が接続される。上記MOSFETQ1〜Q3は、同じサイズとされて同様に形成されることにより、同じしきい値電圧Vthを持つようにされる。これにより、抵抗R1には、I=Vth/R1のような定電流が流れる。
上記MOSFETQ3に流れる上記定電流Iは、電源端子VDDにソースが接続されたダイオード形態にされたPチャネルMOSFETQ4に流すようにする。このMOSFETQ4のゲートと代表として例示的に示されているスイッチS1,S2を介してゲートが接続されて、電流ミラー形態にされるMOSFETQ6、Q7等のような複数のスイッチとPチャネルMOSFETとが設けられて、上記チャージポンプ電流設定回路301が構成される。
例えば、前記図2に示した制御回路107により形成されたチャージポンプ電流補正信号である制御信号123が、例えば4ビットからなる温度計符号であるとき、つまりは上記第1温度領域乃至第3温度領域に対応した第1信号乃至第4信号が温度計符号であるときには、上記スイッチはS1〜S4の4個とされ、それに対応して4個のMOSFETが設けられる。上記第1温度領域のときには、スイッチS1のみがオン状態となり、1個のMOSFETにより第1チャージポンプ電流値が設定される。上記第2温度領域のときには、スイッチS1とS2がオン状態となり、上記第1チャージポンプ電流値にスイッチ2により1個のMOSFETによる電流が追加されて、上記第1チャージポンプ電流値より大きな第2チャージポンプ電流値が設定される。上記第3温度領域のときには、スイッチS1、S2、S3がオン状態となり、上記第2チャージポンプ電流値にスイッチ3により更に1個のMOSFETによる電流が追加されて、上記第2チャージポンプ電流値より大きな第3チャージポンプ電流値が設定される。そして、上記第4温度領域のときには、スイッチS1、S2、S3、S4の全てがオン状態となり、上記第3チャージポンプ電流値にスイッチ4により更に1個のMOSFETによる電流が追加されて、上記第3チャージポンプ電流値より大きな第4チャージポンプ電流値が設定される。上記追加される電流値は、上記MOSFETQ4に対するMOSFETQ6,Q7等のサイズ比により決められる。
上記スイッチS1は省略し、第1温度領域に対応したMOSFETは、定常的にダイオード形態にされるものであってもよい。つまり、チャージポンプ電流がゼロであるという温度領域は存在しないからである。
上記MOSFETQ4に対して電流ミラー形態にPチャネルMOSFETQ5が設けられて、チャージポンプ電流源出力信号310が形成される。この電流源出力信号310は、図3の吸い込み電流回路201に用いられる。吸い込み電流回路201も、上記チャージポンプ電流設定回路301と同様なスイッチとNチャネルMOSFETとにより構成される。このように、上記基準電流源回路300は、上記押し出し電流回路200に対応した上記チャージポンプ電流設定回路301と、上記吸い込み電流回路201に対応したチャージポンプ電流設定回路に共用される。
図5には、図2の温度検出器105の一実施例の回路図が示されている。この実施例の温度検出回路は、バンドギャップ発生部と、増幅・帰還部とから構成される。バンドギャップ発生部は、npn型のバイポーラトランジスタT1,T2と、抵抗R3から構成される。上記トランジスタT2は、上記トランジスタT1に対してN倍に大きく形成される。上記トランジスタT1とT2に同じエミッタ電流を流すようにしたとき、上記のようなサイズ比に対応して上記トランジスタT1のエミック電流密度は上記トランジスタT2のエミッタ電流密度のN倍となるように大きく設定される。逆に言えば、上記トランジスタT2のエミッタ電流密度は、上記トランジスタT1のエミッタ電流密度の1/Nに小さく設定される。
上記トランジスタT1とT2のエミッタ電流密度差に対応して、上記トランジスタT1,T2のベース,エミッタ間電圧Vbe1 とVbe2 とは、シリコンバンドギャップに対応した定電圧ΔVbeだけ上記トランジスタT1のベース,エミッタ間電圧Vbe1 が大きくされる。上記トランジスタT2のコレクタには抵抗R3が接続されて他端が差動増幅回路AMPの入力(+)に供給される。この差動増幅回路AMPの入力(−)には、上記トランジスタT1のベース,エミッタ間電圧Vbe1 が供給される。これにより、上記定電圧ΔVbeが抵抗R3の両端に印加されて、ここに定電流Iが形成されることになる。上記差動増幅回路AMPの出力信号をPチャネルMOSFETQ10とQ11のゲートに供給することにより、上記定電流Iを上記トランジスタT1にも流すように帰還する。
トランジスタT1のベース−エミッタ間電圧Vbe1 は、温度に対して負の電圧係数の特性を持っている。これを温度に対して正の温度係数を電圧差ΔVbeと抵抗R3で形成した電流Iにより補正する。このように電流Iは、ベース−エミッタ間電圧Vbe1 の負の電圧係数の特性を打ち消すような正の温度係数を持っている。この電流IはMOSFETQ12を通して抵抗R4に流れるようにすることにより、温度変化に対応して変化する温度検出信号120を形成することができる。
図6には、図2のA/D変換器106の一実施例のブロック図が示されている。前記図5の温度検出回路で形成された温度検出信号120は、複数からなる電圧比較回路500の一方の入力に供給される。上記電圧比較回路500の他方の入力には、基準電流源501で形成された基準電流を抵抗Rの直列回路に供給して形成された基準電圧が供給される。上記基準電圧は、例えば前記温度領域0℃、40℃、80℃に対応した3つの基準電圧に対応される。これらの電圧比較回路500の出力信号121は、A/D変換出力信号とされ、前記のように+0℃以下の第1温度領域、+0℃から+40℃までの第2温度領域、+40℃から+80℃までの第3温度領域及び+80℃以上の第4温度領域に対応した信号が形成される。これらの出力信号121は、温度計符号であり、それを2進符号に変換することなくそれをそのまま使用することもできる。この場合、図4において0℃以下の温度領域に対応した電流を形成するMOSFETのゲートには、基準電流源回路300のMOSFETQ4と固定的に電流ミラー形態にされる。
図7には、図2の制御回路107の一実施例のブロック図が示されている。この実施例では、前記A/D変換出力信号121は、レジスタ600に入力される。レジスタ600は、クロック発生回路601で形成された周期的なクロック信号がゲート回路602を通して選択的に供給される。ゲート回路602には、制御信号122が供給される。制御信号122がハイレベル(論理1)にされたときに、ゲート回路602は、ゲートを開いて上記クロック信号を上記レジスタ600に供給する。これにより、レジスタ600には、上記クロック信号に対応して最新の上記A/D変換出力信号121に更新される。上記制御信号122をロウレベル(論理0)にすると、ゲート回路620はゲートを閉じて上記クロック信号の供給を停止する。このようにすると、レジスタ600には上記最新の上記A/D変換出力信号121が入力されず、以前に取り込んだA/D変換出力信号121を維持する。つまり、温度検出回路による温度検出信号による温度変動抑制動作が停止させられる。
図8には、この発明に用いられるPLL回路の各定数を説明するためのブロック図が示されている。Icp/2πは、位相周波数比較器PFDとチャージポンプ回路CPの定数である。Icpは、チャージポンプ電流である。F (s)は、ループフィルタ102の定数、2πKv /sはVCOの定数、1/Nは、分周回路の分周比である。PLLのオープンループ特性は、Ao(s)=((Icp・Kv)/N×s)F (s)となる。このようにVCOゲイン(Kv )の温度特性とチャージポンプ電流(Icp)の温度特性が同方向特性を示していることが原因で、ループ特性の式のうち(Icp・Kv )が温度特性を持つために温度上昇により、図9に示したオープンループ特性図において、実線で示した特性から点線で示すよう特性のようにオープンループ特性が変化する。そこで、前記のような温度検出回路を設けて、上記Icpを変化させることにより、ループ帯域の温度変動を補正する。
図10には、この発明に係る温度変動抑制動作を説明するための特性図である。この実施例では、前記のように温度Tjの温度領域は、0℃、40℃、80℃の4つの領域に分けて、それぞれチャージポンプ電流(Icp)を増加させることにより、補正なしのような温度特性を補正有りのような温度特性に補正する。これにより、温度によるループ特性変動幅が約160KHzを中心とした狭い範囲に抑制することができる。この発明では、上記のように温度領域を複数に分けて温度補正動作を行うことにより、簡単な構成で使用環境に対応した広範囲にわたる温度抑制機能を持つ無線LAN用集積回路装置及びそれを用いた無線LANシステムを実現することができる。
この実施例の温度抑制回路においては、上記のように簡単な構成で使用環境に対応した広範囲にわたる温度抑制機能を持つことができるという利点が得られる。しかし、上記複数の温度領域の境界部分でパケット送信/受信を行うことが予測される。この場合、送信途中で上記チャージポンプ電流(Icp)が増加又は減少させられると、ループ特性が急激に変化し、送信エラーを引き起す可能性が生じる。そこで、前記のような制御信号122による温度変動抑制動作の停止機能が設けられる。
図11には、この発明に係る無線LAN用集積回路装置及びそれを用いた無線LANシステムの動作の一例を説明するためのフローチャート図が示されている。動作開始によりステップ(1)では温度補正の固定が実施される。つまり、前記制御信号122をロウレベルにして、前記レジスタ600へのクロック信号の供給停止が行われる。ステップ(2)において、パケット受信中かの判断が行われる。もしも、パケット受信中ならステップ(1)に戻り、パケット受信中の間は上記温度補正の固定が継続される。パケット受信中でないときには、ステップ(3)において、パケット送信中かの判断が行われる。もしも、パケット送信中ならステップ(1)に戻り、パケット送信中の間は上記温度補正の固定が継続される。パケット送信中でないときには、ステップ(4)において、温度補正の実行が実施される。つまり、前記制御信号122をロウレベルにして、前記レジスタ600へのクロック信号の供給が開始されて、クロック信号に対応した最新の温度検出信号に対応した温度変動抑制動作が実施される。
例えば、0℃より僅かに低い温度でパケット送信又は受信が開始され、パケット送信又は受信動作により上記0℃よりも温度が上昇しても、そのままのチャージポンプ電流(Icp)によりPLL回路を動作させる。この結果、ループ特性が上記図10のようなループ特性変動幅よりも低くなってしまうが、その変動幅自体は僅かであり、パケット送信又は受信動作に与える影響は軽微である。これに対して、上記のような温度上昇により、チャージポンプ電流(Icp)を切り替えてしまうと、上記変動幅の上限のように大幅に変化してしまうので、送信又は受信エラーが却って発生しやすくなるものである。
図12には、この発明に係る無線LAN用集積回路装置及びそれを用いた無線LANシステムの動作の一例を説明するためのタイミング図が示されている。モード信号は、前記図1のベースバンド処理部42に設けられた制御回路14により生成される。モード信号により受信モードが設定されると、それに対応して温度補正制御信号122がハイレベルからロウレベルに変化する。これにより、前記のように前記レジスタ600へのクロック信号の供給が停止されて、温度補正動作の補正値更新禁止となる。これにより、パケット受信中及び次のパケット送信が終了するまでは、直前の温度補正信号に対応して上記チャージポンプ電流(Icp)が一定とされる。そして、パケット送信が終了すると、上記温度補正制御信号122がハイレベルに変化し、補正値更新可とされる。
上記温度補正制御信号122は、図1のベースバンド処理部42に設けられた制御回路14による上記パケット送信/受信を指示する制御信号から生成するもの他、RF処理部41の測定回路12の出力信号35を利用してもよい。つまり、上記測定回路12は、上記のように復調用ミキサー(直交復調器)7の出力26,27の妨害信号を除去検波し、信号レベル値の対数圧縮を行った出力信号を形成するものであるので、そのレベルが一定値以上であることを判定し、受信動作中であることを知ることができる。この信号を用いて上記補正制御信号122をハイレベルにすればよい。また、パケット送信動作の指示は、上記ベースバンド処理部42の制御回路14により行うので、それを利用するようにすればよい。このようにして、この実施例の無線LAN用集積回路装置及びそれを用いた無線LANシステムは、簡単な構成で使用環境に対応した広範囲での温度抑制機能を持ちつつ、安定した送受信動作を実現することができる。
図13には、図1のPLL回路60の他の一実施例のブロック図が示されている。この実施例では、図2のようにチャージポンプ回路101のチャージポンプ電流(Icp)を温度検出信号により切り替えるものに代えて、VCO103の定数Kv を制御するものである。つまり、前記のようにVCOゲイン(Kv )の温度特性とチャージポンプ電流(Icp)の温度特性が同方向特性を示しているため、上記Kv を補正信号124により変化させることにより、ループ帯域の温度変動を抑制する。
以上本発明者によってなされた発明を、前記実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、温度領域は4分割の他、6、8等のように分割数は任意である。また、温度検出回路は、種々の実施形態を採ることができる。測定回路やLPF/PGAの具体的構成は種々の実施形態を採ることができる。この発明は、無線LAN集積回路装置、無線LANシステムに広く利用することができる。
1…受信アンテナ、3…LNA、7…復調用ミキサー(直交復調器)、11a,11b…LPF/PGA、12…測定回路、14,24…制御回路、28…送信アンテナ、30…送信ミキサー(直交変調器)、31a,31b…LPF、32…プリアンプ、33…変調回路、39…復調回路、40…送信用パワーアンプ、41…RF処理部、42…ベースバンド処理部、49〜50b…ADC、51a,51b…DAC、60…PLL回路、61…位相シフト回路、
100…位相周波数比較器、101…チャージポンプ回路、102…ループフィルタ、103…電圧制御発振器、104…分周器、105…温度検出器、106…A/D変換器、107…制御回路、200…押し出し電流回路、201…吸い込み電流回路、
Q1〜Q12…MOSFET、T1,T2…バイポーラトランジスタ、R,R1〜R4…抵抗、300…チャージポンプ電流源回路、301…チャージポンプ電流設定回路。
100…位相周波数比較器、101…チャージポンプ回路、102…ループフィルタ、103…電圧制御発振器、104…分周器、105…温度検出器、106…A/D変換器、107…制御回路、200…押し出し電流回路、201…吸い込み電流回路、
Q1〜Q12…MOSFET、T1,T2…バイポーラトランジスタ、R,R1〜R4…抵抗、300…チャージポンプ電流源回路、301…チャージポンプ電流設定回路。
Claims (10)
- アンテナにて受信された高周波信号を増幅する高周波増幅回路と、
上記高周波増幅回路で増幅された上記高周波信号をダウンコンバートする復調用ミキサーと、
上記復調用ミキサーに供給する周波数信号を形成するPLL回路と、
上記復調用ミキサーの出力信号を増幅する可変利得増幅回路と、
上記復調用ミキサーの出力信号の強度を検出する測定回路とを備え、
上記PLL回路は、
温度センサーと、
上記温度センサーの出力信号をデジタル信号に変換するADCと、
上記ADCの出力信号によりPLLループ帯域の温度変動抑制を行う抑制回路を有する無線LAN集積回路装置。 - 請求項1において、
上記抑制回路は、上記PLL回路を構成するチャージポンプ回路の電流源回路の電流を上記ADCの出力信号により増減させる無線LAN集積回路装置。 - 請求項2において、
制御回路を更に備え、
上記制御回路は、パケット送受信動作信号を受けて上記抑制回路の温度変動抑制動作を停止させる無線LAN集積回路装置。 - 請求項3において、
上記制御回路は、上記ADCの出力信号を周期的なタイミング信号に同期して取り込むレジスタを更に備え、上記パケット送受信動作信号を受けて上記タイミング信号の供給を停止させる無線LAN集積回路装置。 - 請求項3において、
上記制御回路は、上記ADCの出力信号を所定のタイミング信号に同期して取り込むレジスタを更に備え、上記信号測定回路の出力信号がパケット送受信時に相当した一定レベル以上のときに上記タイミング信号の供給を停止させる無線LAN集積回路装置。 - 請求項4又は5において、
上記復調用ミキサーは、I信号とQ信号に対応した第1出力信号と第2出力信号を形成し、
上記可変利得増幅回路は、上記第1出力信号を受ける第1可変利得増幅回路と、上記第2出力信号を受ける第2可変利得増幅回路とであり、
上記測定回路は、上記第1出力信号と第2出力信号を受けて強度検出信号を形成する無線LAN集積回路装置。 - 請求項6において、
位相シフト回路と、
直交変調器と、
プリアンプとを更に有し、
上記PLL回路の出力信号は、上記位相シフト回路を通して上記復調用ミキサーに伝えられ、
上記直交変調器は、送信用アナログI信号、Q信号及び上記位相シフト回路を通した周波数信号を受けて送信信号を形成し、
上記プリアンプは、上記直交変調器の出力信号を増幅する無線LAN集積回路装置。 - アンテナにて受信された高周波信号を増幅する高周波増幅回路と、
上記高周波増幅回路で増幅された上記高周波信号をダウンコンバートする復調用ミキサーと、
上記復調用ミキサーに供給する周波数信号を形成するPLL回路と、
上記復調用ミキサーの出力信号を増幅する可変利得増幅回路と、
上記復調用ミキサーの出力信号の強度を検出する測定回路と、
上記可変利得増幅回路を制御する第1制御回路と、
送信用I信号、Q信号及び上記PLLで形成された周波数信号により高周波送信号を形成する直交変調器と、
上記直交変調器の出力信号を増幅するプリアンプとを有し、
上記PLL回路は、
温度センサーと、
上記温度センサーの出力信号をデジタル信号に変換する第1ADCと、
上記第1ADCの出力信号によりPLLループ帯域の温度変動抑制を行う抑制回路を有する第1半導体集積回路装置と、
上記測定回路の出力信号を受けてデジタル信号に変換する第2ADCと、
上記可変利得増幅回路の出力信号を受けてデジタル信号に変換する第3ADCと、
上記第3ADCの出力信号を受ける復調回路と、
送信用デジタル信号を形成する変調回路と、
上記変調回路の出力信号を受けて上記送信用I信号、Q信号を形成するDACと、
上記第2ADCの出力信号を受けて上記可変利得増幅回路に伝えられる利得制御信号及び変調/復調の動作制御信号を形成する第2制御回路を含む第2半導体集積回路装置とを備える無線LANシステム。 - 請求項8において、
上記抑制回路は、上記PLL回路を構成するチャージポンプ回路の電流源回路の電流を上記ADCの出力信号により増減させる無線LANシステム。 - 請求項9において、
上記第2制御回路により形成されたパケット送受信信号により上記抑制回路の温度変動抑制動作を停止させる無線LANシステム。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2006183964A JP2008016983A (ja) | 2006-07-04 | 2006-07-04 | 無線lan集積回路装置と無線lanシステム |
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JP2006183964A JP2008016983A (ja) | 2006-07-04 | 2006-07-04 | 無線lan集積回路装置と無線lanシステム |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102195643A (zh) * | 2010-03-09 | 2011-09-21 | 日本电波工业株式会社 | Pll装置 |
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KR20170104910A (ko) * | 2016-03-08 | 2017-09-18 | 삼성전자주식회사 | 반도체 장치 및 그 동작 방법 |
CN108682965A (zh) * | 2018-05-21 | 2018-10-19 | 成都迪优联科技有限公司 | 一种用于有源天线的数字域极化重构***及方法 |
-
2006
- 2006-07-04 JP JP2006183964A patent/JP2008016983A/ja active Pending
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