JP2008010846A - 半導体装置及び半導体電力変換装置 - Google Patents

半導体装置及び半導体電力変換装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高速・低損失であると同時に、ソフトリカバリー特性をも兼ね備えるブロードバッファ構造の半導体装置と、これらを搭載する電力変換装置を提供する。
【解決手段】第1導電型の第1半導体層1と、該第1半導体層の一方の主面に形成され、該第1半導体層より高不純物濃度の第2導電型の第2半導体層2と、前記第1半導体層の他方の主面に形成され、該第1半導体層より高不純物濃度の第1導電型の第3半導体層3とを具備し、前記第1半導体層の不純物濃度が極大となる位置が少なくとも1か所あり、該第1半導体層の不純物濃度が、前記極大となる位置から前記第2半導体層及び前記第3半導体層の双方に向かって傾きをもって減少する半導体装置において、前記第1半導体層の不純物濃度の積分濃度(atoms/cm2)を、8×1011より大きく1×1012以下の値とする。
【選択図】図1

Description

この発明は、高速・低損失であるだけでなく、ソフトリカバリー特性をも兼ね備えたダイオード又はIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)等の半導体装置及びこの半導体装置を搭載する半導体電力変換装置に関する。
電力用半導体装置として、600V、1200V又は1700V等の耐圧クラスのダイオードやIGBT等がある。近時、これらのデバイスの特性改善が進んでいる。電力用半導体装置は、高効率で省電力なコンバーター−インバーター等の電力変換装置に用いられており、回転モーターやサーボモーターの制御に不可欠である。
このような電力制御装置には、低損失で省電力であり、また高速、高効率であり、さらに環境に優しい、すなわち周囲に対して悪影響を及ぼさないという特性が要求されている。このような要求に対して、ダイオードにおいては、ブロードバッファ構造が提案されている。ブロードバッファ構造とは、Nドリフト層の平均的な濃度分布が、同層のほぼ中間付近にピーク(極大値)を有し、かつアノード及びカソード方向に向かって、傾きをもって減少するような構造のことである(例えば、特許文献1参照。)。
ブロードバッファ構造のダイオードでは、従来のエミッタ注入効率を下げるとともにライフタイム分布の制御を行う技術(例えば、特許文献2参照。)では困難であるような高速動作(例えば、キャリア周波数:20kHz以上)でのソフトリカバリー特性及び発振抑制効果を実現することができる。このようなブロードバッファ構造のダイオードを作製する方法として、特許文献1には、次の2つの方法が開示されている。
第1の方法は、バルク内の深い領域、すなわち半導体チップの表面から30〜60μmあるいはそれよりも深い領域に、半導体基板の当初のリン濃度よりも高いリン濃度の領域をエピタキシャル成長法により形成する方法である。第2の方法は、FZ(フロートゾーン)バルクウェハーにプロトンイオン(H)を照射し、熱処理を行うことによって、バルク内部の飛程Rpの近傍でプロトンをドナー化させる方法である。エピタキシャルウェハーよりもバルクウェハーの方が安価であるので、第2の方法は、第1の方法よりも安価である。
また、上記特許文献1の他にも、プロトンの照射と熱処理によるプロトンのドナー化現象を利用して高濃度のN層を形成する方法が種々提案されている(例えば、特許文献3、特許文献4参照。)。その他にも、特許文献4には、酸素によるサーマルドナーを用いてN層を形成する方法が開示されている。また、プロトンのドナー化を避ける必要がある場合には、プロトンの代わりにヘリウムを用いる提案がある(例えば、特許文献5参照。)。
また、安価にブロードバッファ構造を実現する方法として、アクセプタ元素で半導体基板のドナー(リン)濃度を補償することによって、ネットドーピング濃度としてバルク内部に高濃度領域を得る方法が提案されている(例えば、特許文献6参照。)。また、プロトンの照射によりシリコン基板中に欠陥を形成し、熱処理によりその残留欠陥を調整して、局所的にライフタイムを低減する方法が公知である(例えば、特許文献5、特許文献7、特許文献8参照。)。
また、IGBTの場合は、低損失等の上記要求に対して、特許文献12に開示されているような、トレンチゲート型のIGBTが広く開発され、製品化されている。トレンチゲート型IGBTは、周知のDMOSによるプレーナーゲート型IGBTに対して、セル密度(単位面積中の単位ゲートセルの個数)を増加し、JFET効果の影響を無くすことで、導通時にエミッタ電極側(ゲートを形成する側)にキャリアの蓄積をさせて、格段のオン電圧低減とスイッチング(ターンオフ)損失の低減を達成している。
さらに、特許文献9のように、慣用の半導体基板(例えばシリコン・ウェハー)の厚さを研削などで減厚し、所定の濃度で元素を研削面側からイオン注入および熱処理を施し、最終的に上記半導体素子を形成し、低コストで電気的損失の低い半導体素子を提供する例がある。近年は、このような低コストな方法による素子の開発・製造が主流となりつつある。
これらのIGBTを、誤動作無く安全に駆動するために、特許文献13〜18には以下の技術が開示されている。
特許文献13では、IGBTの高速駆動をするために、IGBTゲート駆動回路のオフ側でゲート抵抗Rgが20Ω未満が良いとしている。これにより、例えば複数IGBTチップの並列動作時においても、電流の不均一分担を抑えて、安全に電流を遮断することができるとしている。
特許文献14の段落[0005]、[0006]では、主電流を流すIGBTのターンオンdi/dtを制限する方法で、主電流をセンスせずに、ゲート電流から主電流を推測・制御し、ゲート電流を駆動回路にフィードバックさせて、レギュレーターでゲート電流制御を行う技術が開示されている。
特許文献15の段落[0010]では、主IGBTのターンオンdi/dtを制限するために、エミッタ電極とそれに接続される配線の間にインダクタンスLを挿入し、過電流導通時のLdi/dtをVgeにフィードバックさせて、急なdi/dt時にVgeをVth近くまで下げてゲートを絞る技術が開示されている。
特許文献16の段落[0010]では、FWD(FreeWheeling Diode)の対向アームにあるIGBTのターンオンdV/dtを抑制する技術が開示されている。駆動回路にRgを並列に2個し、dV/dt増加時に、片側を開放し、合成Rg値を増加させて、dV/dtを抑制する。
特許文献17の段落[0007]では、自動車用イグナイタ回路のコイルよりIGBTに過電圧が生じた時、IGBTのゲートとコレクタ電極間に接続したツェナーダイオードに電流を流し、その電流とゲート抵抗によりゲートに自己バイアスを発生させてIGBTを通電状態にし、IGBTをクランプさせる技術が開示されている。
特許文献18の段落[0012]では、回路の過電流を検知するセンスIGBTにおいて、各IGBTのゲート容量およびゲートに接続されるゲート抵抗等を調節し、主電流のIGBTのゲート回路時定数をセンスIGBTの時定数よりも大きくすることで、過電流センスの応答速度を速くし、過電流抑制の制御性を高める技術が開示されている。
特開2003−318412号公報 特開平8−148699号公報 特開平9−260639号公報 特開2001−156299号公報 特開2003−249662号公報 特開2005−64429号公報 特開2001−326366号公報 特開平10−74959号公報 特表2002−520885号公報 特開2001−127308号公報 特開平7−202226号公報 特開平5−243561号公報 特開2000−40951号公報 特開平10−12629号公報 特開2004−63687号公報 特開2002−369553号公報 特開2002−235643号公報 特開平7−146722号公報 B.J.Baliga, "Power Semiconductor Devices", PWS publishing, 1996
特許文献1によれば、逆回復時の電圧電流波形の振動(以下「発振」という。)を抑制する技術として、ブロードバッファ層部分の不純物濃度の積分濃度を、2×1011atoms/cm以上8×1011atoms/cm以下にすることが開示されている。
具体的には以下の発明が開示されている。Nドリフト層の不純物濃度のP型アノード層側表面からウェハー裏面(Nカソード層側)方向への分布をNnet(x)とする。このNnetをNドリフト層部分(ブロードバッファ部分を含む)の厚さ方向に積分して得られる積分濃度を同層部分の厚さで割った値を平均濃度Ndmとする。ブロードバッファ部分のNnetがNdmに等しくなる位置(x)であって最もP型アノード層に近い部分の位置をXcと、同じく最もNカソード層に近い部分の位置をXdとする。NnetをXcとXdで挟まれる領域で積分して得られる積分濃度(1)が、2×1011atoms/cm以上で8×1011atoms/cm以下となるよう半導体装置を構成する。
この発明によれば逆回復中のダイオードのスナッピーな波形による発振現象を抑えることができる。特許文献1には、前記積分濃度(1)がこの濃度範囲より低い濃度になると発振抑制効果はなくなり、この濃度範囲よりも高いと耐圧が減少すると記載されている。
しかしながら、同濃度の範囲であっても、発振が抑制されない場合があることが判明した。
図22、図23は従来のブロードバッファ構造を有するダイオードの逆回復波形であり、夫々Nドリフト層の厚さが65μmと45μmの波形を示す。上記の特許文献等に開示されているように、通常、ダイオード通電電流が定格よりも十分低い場合、ダイオードが逆回復中に発振する現象はよく知られている。従来のブロードバッファダイオードは、これをよく防ぐ構造であり、図22のようにN層厚が65μmのときは発振していない。この厚さは、ブロードバッファ構造を有さない従来型ダイオードに対しては、十分薄い厚さである。しかし、より高速・低損失な特性にするため、例えばNドリフト層厚を45μmまで薄くすると、耐圧が下がり、かつ発振して破壊にいたることが明らかになった(図23)。
図24、図25は実験に用いた600Vクラスの従来型ブロードバッファダイオードの不純物濃度分布を示す。夫々Nドリフト層の厚さが65μmと45μmの分布である。Nドリフト層の基本濃度Nは7.7×1013atoms/cm(60Ωcm)である。Nドリフト層の平均濃度は、Nドリフト層厚が65μmのときは1.7×1014atoms/cm、同じく45μmのときは1.8×1014atoms/cmである。ブロードバッファ部分の不純物濃度が平均濃度と一致する2箇所の位置の間における不純物濃度の積分濃度は、前者では7.1×1011atoms/cm、後者では5.3×1011atoms/cmである。平均濃度に対する基本濃度Nの割合は、それぞれ45.2%と42.3%である。
図26は逆回復試験の回路図を示す。チョッパー回路であり、スイッチング用IGBTは、標準的な600V/100A NPT−IGBTである。回路の浮遊インダクタンスは約50nH、ゲート抵抗はオン側0Ω、オフ側33Ωである。測定は室温にて行った。初期のダイオード通電電流は定格の1/10である10A、DC印加電圧は400Vである。1200V素子については、IGBTは1200V/50A、DC印加電圧は600Vであり、他の条件は600V素子の場合と同様である。
IGBTの高速化(例えば20kHz以上)に伴い、ダイオードにはこれまで以上にソフトリカバリーで発振を抑制する特性が求められ、加えて高速・低損失特性の向上を要求されている
この発明の第一の目的は、高速・低損失であると同時に、ソフトリカバリー特性をも兼ね備えるダイオード又はIGBTと、これらを搭載する電力変換装置を提供することである。
また、インバータ等動作時の発生損失(以下、実機損失と呼ぶ)を低減するには、主に搭載している半導体スイッチング装置(IGBT、MOSFET等)やダイオード等の半導体素子から発生する電気的損失を下げる必要がある。発生損失の内訳は、主に、(1)IGBTの導通損失(以下、Esat)、(2)IGBTのターンオン損失(以下、Eon)、(3)IGBTのターンオフ損失(以下、Eoff)、(4)FWDの導通損失(以下、Ef)、(5)FWDの逆回復損失(以下、Err)、の5つに分けられる。他に、IGBTやFWDのオフ時の漏れ電流による損失も上げられるが、これら5つに比べれば1/10程度なので、ほぼ無視できる。この中で最も損失が大きいのはEsatで、Eoff,Eon,Ef,Errと続く。Eoffについては、上述したような近年のIGBTの特性改善により、その値が大きく低減され、Eonと同等レベルにまで減少しつつある。このため、Eonの実機損失への影響が大きくなってきている。
実機損失のEonの低減には、一般的にはゲート抵抗を小さくすることが最も効果がある。ダイオードから転流中の電流がIGBTに流れて、IGBT電流が増加している間のIGBTの保持電圧をできるだけ早期に小さくするためである。一方、上述の引用文献等に示されているように、ゲート抵抗を製品の推奨値よりも小さくすると、実機動作時の放射電磁ノイズのおもな原因である、IGBTターンオン時のFWDの振動波形や、これらの急峻なdi/dt、dV/dtが発生するという問題がある。このため、一般的にはゲート抵抗をある程度以上(すなわち推奨値以上)に、大きく設定しなければならない。従って従来の方法では、Eonを減少することには限界があり、IGBTのスイッチング損失の低減だけでは、実機損失を減らすことは不可能になってきている。以下、各引用文献毎にこの問題を見てみる。
特許文献13の段落[0203]には、ゲート抵抗Rgを小さくしすぎると、ターンオンdi/dtが増加するため、FWDの回復電流が増加し、破壊の原因になることから、オン側のゲート抵抗とオフ側のゲート抵抗を分離し、オフ側のみゲート抵抗を下げる、という記載がある。これはすなわち、オン側のゲート抵抗を低減することはできない、という意味であり、従って実機損失におけるEonは小さくできないことが示唆されている。
特許文献14については、IGBTの電流変化率を制限するためにゲート電流をセンスしてレギュレーターによりゲートを制御するとある。しかしながら、具体的にゲート抵抗をどのような値にすればいいか、という記載はない。さらに同公報の[0002]の記載から、IGBTのターンオン時の電流上昇速度(すなわちdi/dt)を制限することが目的とあるため、実機損失のEonは増加する方向になってしまう。
特許文献15では、ターンオンdi/dtの制限をするために、ゲート電圧を閾値程度に制限してその増加を抑制する旨が記載されている。これもターンオンに要する時間を長くすることから、実機損失Eonは増加する方向である。
特許文献16の場合、ターンオン時の対向FWDのdV/dtを制限するために、ある値以上のdV/dtではゲート抵抗の合成値を高くしてその増加を制限する旨が記載されている。すなわちこれも、ターンオン速度を遅くする方向であり、このような状況では実機損失Eonは増加することが示唆される。
特許文献17では、IGBTのゲート抵抗を小さくしすぎると、ツェナーダイオードに流れる電流が増加し、IGBTのゲート電極の自己バイアス速度が速くなり、クランプ電圧が小さくなってしまうことから、自己バイアスを発生させるためのゲート抵抗は、制限回路の抵抗よりも大きくする旨が記載されている。このため、これもターンオン速度は遅くする方向であり、実機損失Eonは大きくなる。
特許文献18の場合、主電流側のゲート回路時定数を大きくするために、センス側のゲート回路時定数よりも10倍大きくする旨が記載されており、具体的には100Ωという例の記載がある。これもターンオンのようする時間は長くなるため、実機損失Eonは大きくなる。
以上から、従来の駆動方法および駆動装置では、ターンオン損失を低減して、実機損失の増加を抑えるには限界があることが示されている。よって、本発明の第二の目的は、高速・低損失であるだけでなく、ソフトリカバリー特性をも兼ね備えたダイオードを用いることで、IGBT等のスイッチング素子の損失を低減し、さら電磁ノイズも低減するようなIGBTモジュール、およびその駆動方法と駆動装置、さらにこれらを搭載・適用した半導体電力変換装置を提供することである。
上記の課題は、本発明によれば、第1導電型の第1半導体層と、該第1半導体層の一方の主面に形成され、該第1半導体層より高不純物濃度の第2導電型の第2半導体層と、前記第1半導体層の他方の主面に形成され、該第1半導体層より高不純物濃度の第1導電型の第3半導体層とを具備し、前記第1半導体層の不純物濃度が極大となる位置が少なくとも1か所あり、該第1半導体層の不純物濃度が、前記極大となる位置から前記第2半導体層及び前記第3半導体層の双方に向かって傾きをもって減少する半導体装置において、前記第1半導体層の不純物濃度の下記式(1)で表される積分濃度が、式(2)を満たす半導体装置により解決される。
但し、xは前記第1半導体層の一方の主面から他方の主面に向かう座標軸上の位置を、Nnet(x)は第1半導体層の位置xにおける不純物濃度を、Xcは第1半導体層中でNnet(x)=Ndmを満たすxであって最も前記第2半導体層に近い位置を、Xdは第1半導体層中でNnet(x)=Ndmとなる位置で最も前記第3半導体層に近い位置を、Ndmは第1半導体層の不純物濃度の平均濃度を、夫々表す。なお、前記座標軸は第1半導体装置層の主面に略垂直である。
請求項1の発明によれば、逆回復時間及び損失を大きく低減し、かつソフトリカバリー特性をも向上することができる。
また、請求項2の発明にかかる半導体装置は、前記第1半導体層における前記第2半導体層との接合近傍の不純物濃度Nと前記平均濃度Ndmが、下記式(3)を満たすものである。
請求項2の発明によれば、第1半導体層全体の電界強度を高く維持して、耐圧の低下を抑えることができる。
請求項3の発明にかかる半導体装置は、前記第1半導体層厚さWと下記式(5)で定義される距離指標Wが、下記式(4)を満たすものである。
但し、BVは半導体装置の耐圧を表す。
請求項3の発明によれば、逆回復損失を小さく維持しながら、耐圧の低下を防ぐことができる。
請求項4の発明にかかる半導体電力変換装置は、請求項1ないし3に記載の半導体装置を搭載し、前記半導体装置の動作周波数が20kHz以上である。
本発明の第二の目的は、請求項5の発明によれば、ダイオードと半導体スイッチング装置を有する半導体電力変換装置において、ダイオードと半導体スイッチング装置は逆並列に接続され、このダイオードと半導体スイッチング装置のいずれか一方、又は両方が請求項3記載の半導体装置であり、さらに半導体スイッチング装置を制御する駆動回路の制御端子が、半導体スイッチング装置の制御用電極に11Ωcm以下の抵抗を介して接続する構成により解決される。この抵抗はさらに8Ωcm以下であることが望ましい。
また、請求項5に記載の駆動回路は、前記半導体スイッチング装置を阻止状態から導通状態にするときに、前記半導体スイッチング装置の一方の主面に形成された第1電極と他方の主面に形成された第2電極との間の電位差、例えばIGBTのコレクタ−エミッタ間の電圧、が電源電圧の半値に達する時刻が、前記半導体スイッチング装置が阻止状態から最大電流となる時刻よりも早いことを特徴とする駆動方法により駆動されることが好ましい。
なお、本発明において「不純物濃度」とは電気的に活性化されたドナー及びアクセプターの濃度差の絶対値をいうものとし、以下「ネットドーピング濃度」と称することもある。
本発明にかかる半導体装置によれば、従来の半導体装置に比べ、逆回復時間及び損失を大きく低減し、かつソフトリカバリー特性をも向上することができる。さらに、電気的損失および放射電磁ノイズの低い、環境問題を考慮したIGBTモジュール、IPMの提供が可能となる。
以下、添付図面を参照して、この発明にかかる半導体装置及び半導体電力変換装置の好適な実施の形態を説明する。本明細書および添付図面においては、NまたはPを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、NやPに付す+および−は、それぞれ相対的に不純物濃度が高いまたは低いことを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる半導体装置の構成、ネットドーピング濃度を示す図である。図1において半導体装置の断面図10に示すように、N-ドリフト層となるN型の第1半導体層1の一方の主面側に、P型アノード層となるP型の第2半導体層2が形成されている。また、第1半導体層1の他方の主面側に、N+カソード層となるN型の第3半導体層3が形成されている。そして、第2半導体層2の表面には、アノード電極4が形成されている。また、第3半導体層3の表面には、カソード電極5が形成されている。
図1においてアノード電極からの距離x−ネットドーピング濃度(log)の特性図11に示すように、第1半導体層1のネットドーピング濃度は、第1半導体層1のほぼ中間付近にピーク(極大値)を有し、第2半導体層2および第3半導体層3に向かって、傾きをもって減少している。すなわち、実施の形態1の半導体装置は、ブロードバッファ構造となっている。第2半導体層2と第3半導体層3のネットドーピング濃度は、ともに第1半導体層1のネットドーピング濃度よりも高い。なお、距離xについては、第2半導体層2とアノード電極4との界面を基準とする。
一例として、実施の形態1の半導体装置を、耐圧が600Vクラスで、定格電流が100Aとなるように、チップサイズを7mm×5.5mmとして作製した場合の各部のネットドーピング濃度および寸法を例示する。
第2半導体層2と第1半導体層1との界面までの距離は、3μmである。第3半導体層3とカソード電極5との界面までの距離は、350μmである。
第2半導体層2のネットドーピング濃度は、アノード電極4との界面において5×1016atoms/ccであり、第1半導体層1に向かって低くなり、第1半導体層1との界面では、5×1013atoms/ccよりも低い。第3半導体層3のネットドーピング濃度は、第1半導体層1との界面において2×1018atoms/ccであり、カソード電極5に向かって高くなり、カソード電極5との界面で1×1020atoms/ccとなる。以下では、濃度を示す単位としてatoms/ccとatoms/cmを用いて説明するが、「cc」と「cm」は同じである。
第1半導体層1のネットドーピング濃度について図2と図3を用いて説明する。図2、3は第1半導体層(Nドリフト層)の厚さ、すなわち図1における(Wd−3)が、夫々65、45μmの場合のネットドーピング濃度分布を示す。第1半導体層では、第2半導体層2との接合近傍でのネットドーピング濃度(基本濃度N)が5.1×1013atoms/ccであり、また、そのほぼ中間付近でピーク(極大値)となる箇所の濃度は、約1×1015atoms/ccである。第1半導体層の、第3半導体層3との界面およびその付近におけるネットドーピング濃度は、5.1×1013atoms/ccである。なお、上記基本濃度は抵抗率90Ωcmに相当する。なお、前記接合近傍とは第1半導体層と第2半導体層の接合付近で、第1半導体層における不純物濃度のx方向の傾きが十分小さい領域をいい、第1半導体層の厚さによっても異なるが、概ね接合から第1半導体層内に向かって5μm〜20μm程度の範囲の領域をいう。
図2、3に基づいて得られる第1半導体層1の基本濃度N、平均濃度Ndm、上記(1)式で算出されるネットドーピング濃度の積分濃度、及び平均濃度に対する基本濃度の比(N/Ndm)を表1にまとめて示す。
次に、実施の形態1にかかる半導体装置の製造プロセスについて説明する。図4は、製造プロセスを示す図であり、ウェハをスクライブラインで切断した後の半導体チップに相当する箇所での要部断面図である。
アンチモンを固溶度まで含むn型で低比抵抗のCZによるバルクウェハ100(n半導体基板)に所定の前処理を施す(図4(A))。ウェハは第3半導体層3となる。このウェハの鏡面上にn型不純物を含む高比抵抗Si結晶のエピタキシャル成長層101を形成し、第1半導体層1とする(図4(B))。成長時、原料ガスにリン等のn型不純物を含むガスを所定の流量添加する。この流量を制御することで、同図(b)に示すように、徐々に濃度が増加し、所定位置から以降は徐々に濃度が減少するブロードバッファ構造の不純物濃度分布が得られる。その後、常法によりp型アノード層102(濃度5×1016atoms/cm、深さ3μm)と、オーミックコンタクトを得るためのn+層103を形成し、それぞれの上にアノード電極104(AlSi1%)とカソード電極105(Ti/Ni/Au)を形成する(図4(C))。また、プロセスの途中で、オン抵抗を下げる目的でウェハを300μm程度まで研削したり、図示しないガードリングエッジ構造やポリイミド等のパシベーション膜を形成してもよい。このようにして半導体装置を製造することができる。
リンを含有するガスの流量を時間的に単調な連続関数で変化させると、滑らかな不純物濃度分布となり、小刻みなステップ関数で変化させると、小刻みなステップ状に変化する不純物濃度分布となる。また、不純物濃度分布のピーク(極大値)位置は、エピタキシャル成長層101の中央、p型アノード層102側、ウェハ100側のいずれであってもよい。
図5に、後述する耐圧1200Vクラスの半導体装置用に形成したエピタキシャル成長層の不純物濃度の分布図を示す。このように不純物濃度は、波打つように変化する場合がある。このような場合、本発明では波打つカーブの局所的ピーク値をなぞった包絡線Aを考える。ブロードバッファ構造は、この包絡線Aが極大となる位置を少なくとも1つ有し、極大となる位置から第2半導体層及び第3半導体層の双方に向かって傾きをもって減少するものである。なお、不純物プロフィルが波打つのは、エピタキシャル成長時の不純物ドープ量を小刻みステップで増大および減少させるときに、ステップの変わり目でドープ量がオーバーシュートするためと考えられるが、このような分布になっても本発明の効果は得られる。
図6、7は、耐圧1200Vクラスの半導体装置のネットドーピング濃度分布を示す。図6は本発明の、図7は従来のブロードバッファ構造を示している。ともに第1半導体層(Nドリフト層)の厚さは105μmである。この厚さは、耐圧1200Vクラスでの標準的厚さより10%以上薄い(例えば、特許文献11の段落0013、非特許文献1のFig3.7を参照。)。この場合、発振現象を抑制するため、図7に示す従来のブロードバッファ構造より、図6に示す構造を採用することが望ましい。
以上に説明した半導体装置のブロードバッファ構造では、式(1)で定義される積分濃度を8×1011atoms/cm以上としたことにより、逆回復中に広がる空間電荷領域の電界強度をその2点間で減少させるため、空間電荷領域の拡がりを抑えることができる。逆回復発振は、同領域の拡張によって余剰キャリアが急激に消滅するために生じるが、それを抑えることで、逆回復中に余剰キャリアが十分残るようにして、発振を抑えることができるのである。また、平均濃度に対する基本濃度の比(N/Ndm)を30%以下まで小さくすることで、Nドリフト層全体の電界強度を高く維持して、耐圧の低下を抑えることができる。
図8と図9に、実施の形態1の半導体装置について、前述の条件で逆回復試験を行った波形を示す。図8、9では第1半導体層1の厚さが夫々65μm、45μmである。また、それらの不純物濃度分布は図2、3に示されている。
これらの図と図23から、本発明のブロードバッファ構造を用いれば、Nドリフト層の厚さを45μmと薄くしても、発振せずソフトリカバリーであることが分かる。これは、上述の作用により、逆回復中の余剰キャリアを十分に残しているためである。
さらに、本発明によれば、N厚を十分薄くしても、発振による逆回復ピーク電圧を、高いDC印加電圧において抑制できる。図10は、前述の逆回復試験の条件において、DC印加電圧(以下「Vdc」とする。)を300、400、500Vとしたときの逆回復ピーク電圧の特性を示した図である。従来例のブロードバッファ構造では(図24、25)、Nドリフト層の厚さが65μmの場合は、Vdcが500Vでも十分ピーク電圧が抑制されているが、45μmの場合は、前述のように発振するため、ピーク電圧(800〜900V)が素子耐圧以上となり、素子が破壊する。一方、本発明のブロードバッファ構造を有する半導体装置の場合、Nドリフト層の厚さが45μmであっても発振は抑制され(図9)、Vdc=500Vでのピーク電圧は400V程度となっている。
(実施の形態2)
図11は、式(1)の積分濃度と耐圧の関係を示したグラフであり、実施の形態1で定義した比N/Ndmをパラメータとしている。このようなブロードバッファ構造は、実施の形態1で説明した製造プロセスにおいて、第1半導体層1をエピタキシャル成長する際、ドーパントとなるリン含有ガスの流量を適宜調整することで作ることができる。
比N/Ndmが35,40%(比0.35,0.40と同義)の場合、前述の積分濃度が8×1011atoms/cm以上となると、急激に耐圧が低下し、600V以下となってしまう。これに対し比が30%以下(比0.30以下と同義)であれば、8×1011atoms/cm以上における耐圧の減少を抑えることができる。このようにブロードバッファ構造を有する半導体装置では不純物濃度分布を注意深く制御する必要があるが、比N/Ndmを30%(0.30)以下とすれば耐圧が減少しないようにすることができ好ましい。なお、この効果は1200V等の異なる耐圧クラスの半導体装置でも同様に得られる。
(実施の形態3)
ドリフト層の厚さを薄くすると、発振現象が起きるとともに、素子耐圧が減少する。この現象は、式(5)で表される距離指標Wと、Wに対するNドリフト層の厚さWの比を用いて説明される。
ここで、BVは半導体装置の耐圧、NdmはNドリフト層の平均濃度である。
式(5)について説明する。非特許文献1から、Nドリフト層の濃度がNのとき、臨界電界強度Ecは、式(6)で表される。
通常、平行平板近似による素子耐圧BVは、印加電圧の増加により素子内の最大電界強度がEcに達したとき、そのときの空乏層幅をWとして、
と表される。式(6)のNは平均濃度Ndmに相当するので、式(7)のEcに式(6)を代入し整理すると、空乏層幅Wについて式(5)が得られる。この空乏層幅Wは、素子耐圧BVに必要なNドリフト層厚の目安、すなわち距離指標Wと考えることができる。
以上の説明では第1半導体層の厚さと濃度で決まる耐圧を素子耐圧BVとしている。通常、第2半導体層の濃度が第1半導体層よりも十分(およそ2桁以上)大きいため、空乏層が第1半導体層のみに広がるとみなすことができる(片側階段接合)。したがって、第1半導体層で決まる耐圧を素子耐圧と考えることができる。
表2に、式(5)に基づいた素子耐圧BV、平均濃度Ndmと距離指標Wの関係を示す。素子耐圧はそれぞれ、一般的に用いられるパワー半導体素子(FWD、IGBT等)の典型的な定格電圧より1割ほど高めに設定し、余裕を持たせた値である。平均濃度Ndmは、この素子耐圧を得るための典型的な濃度である。実際に量販されている素子はこの値と若干異なるものの、オーダーとしては十分近い値である。表2に示すように、式(5)から求められる距離指標Wは、600V素子で約57μm、1200V素子で約126μmである。
表3は、表2における平均濃度Ndmを若干小さくして、耐圧に余裕を持たせる場合の距離指標Wを示す。
図12、13は、本発明に係るブロードバッファ構造を有するダイオードの逆回復損失特性を示すトレードオフ曲線である。夫々定格電圧が600V、1200Vの場合の、Nドリフト層の厚さへの依存性を示している。横軸は導通損失となる順電圧降下、縦軸は逆回復損失である。図中のWは、表2に記載したものである。
図14は、Nドリフト層の厚さWと逆回復損失Errの関係を(a)600Vクラス及び(b)1200Vクラスについて示したグラフであり、図12、13の逆回復損失特性から求めたものである。横軸は距離指標Wで規格化している。600Vの場合(a)は、図12における順電圧が1.6Vのときの逆回復損失値もしくはその外挿値を用いており、1200Vの場合(b)は、図13における順電圧1.8Vでの逆回復損失値である。逆回復損失については、Nドリフト層の厚さWの距離指標Wに対する比(W/W)が1〜1.1以上になると、急激に増加する傾向がわかる。これは、Nドリフト層(第1半導体層)の厚さが大きくなると、導通方向の抵抗が増加し、さらに蓄積キャリアも増加するためである。また、600Vの場合(a)でNドリフト層の厚さが45μm(=0.79W)と65μm(=1.14W)の損失Errを比べると、本発明に係るブロードバッファ構造により、半導体装置の発振を抑制でき、加えて、約60%の損失低減を達成できることがわかる。
図15は、Nドリフト層の厚さWと素子耐圧BVの関係を(a)600Vクラス及び(b)1200Vクラスについて示したグラフである。図14と同様に横軸は距離指標Wで規格化している。素子耐圧は、比W/Wが0.8未満になると急激に減少する。
このように本発明に係るブロードバッファ構造を有する半導体装置では、比W/Wが0.8以上1.0以下であることが望ましい。
(実施の形態4)
図16は、実施の形態1と異なるプロセスで製造された、本発明の実施の形態4にかかる半導体装置の構成、ネットドーピング濃度及びプロトン分布を示す図である。半導体装置の層構成は、図16の半導体装置の断面図10に示すように、実施の形態1で説明した構成と同じである。
図16においてアノード電極からの距離−ネットドーピング濃度(log)の特性図11に示すように、第1半導体層1のネットドーピング濃度は、第1半導体層1のほぼ中間付近にピークを有し、第2半導体層2および第3半導体層3に向かって、傾きをもって減少している。すなわち、実施の形態4の半導体装置は、ブロードバッファ構造となっている。
一例として、実施の形態4の半導体装置を、耐圧が1200Vクラスで、定格電流が150Aとなるように、チップサイズを10mm×10mmとして作製した場合の各部のネットドーピング濃度および寸法を例示する。
第2半導体層2と第1半導体層1との界面までの距離は、3μmである。第3半導体層3とカソード電極5との界面までの距離は、115μmである。これは距離指標W=125.5μmに対して、0.92Wに相当する。第1半導体層1と第3半導体層3との界面から、第3半導体層3とカソード電極5との界面までの距離、すなわち第3半導体層3の厚さは、0.5μmである。
第2半導体層2のネットドーピング濃度は、アノード電極4との界面において5×1016atoms/ccであり、第1半導体層1に向かって低くなり、第1半導体層1との界面では、3.8×1013atoms/ccよりも低い。第1半導体層1のネットドーピング濃度は、第2半導体層2との界面では、3.8×1013atoms/ccよりも低いが、第2半導体層2との界面(接合)近傍で3.8×1013atoms/ccとなる。
そして、第1半導体層1のほぼ中間付近でピークとなる箇所のネットドーピング濃度は、2.0×1014atoms/ccである。また、第1半導体層1の、第3半導体層3との界面及びその付近におけるネットドーピング濃度は、3.8×1013atoms/ccである。第3半導体層3のネットドーピング濃度は、第1半導体層1との界面において3.8×1013atoms/ccであり、カソード電極5に向かって高くなり、カソード電極5との界面で1×1019atoms/ccとなる。第1半導体層の平均濃度は1.0×1014atoms/cmであり、ネットドーピング濃度が平均濃度と等しくなる2点間の積分濃度は9.5×1011atoms/cmである。
図16においてアノード電極からの距離−プロトン分布の特性図12に示すように、第1半導体層1のネットドーピング濃度がピークとなる箇所までの距離は、60μmである。この距離は、製造段階で第2半導体層2の表面にプロトンを照射したときのプロトンの飛程Rpに等しい。このプロトンの飛程Rpの前後でプロトンの濃度が高い。第1半導体層1には酸素原子が導入されており、酸素原子とプロトンとからなる複合ドナーによって、所望のブロードバッファ構造が形成されている。
次に、実施の形態4にかかる半導体装置の製造プロセスについて説明する。ここでは、一例として、図16に例示した寸法およびネットドーピング濃度の半導体装置(耐圧:1200Vクラス、定格電流:150A)を製造する場合について説明する。図17及び図18は、製造プロセスを示す図である。まず、図17の断面図200に示すように、半導体基板として、比抵抗が40〜200Ωcm、例えば120Ωcm(リン濃度3.8×1013atoms/cc)のFZウェハー201を用意する。
そして、図17の断面図210に示すように、このFZウェハー201の両面にリンガラス211を塗布し、窒素および酸素雰囲気で例えば1250℃、100時間の熱処理を行って、両面からリン(P)を拡散させる。この熱処理によって、FZウェハーの両面からウェハー内に大量の酸素(O)が導入され、FZウェハーにおける酸素濃度は、固溶限界濃度(約1×1018atoms/cc)となる。
次いで、断面図210に一点鎖線で示すように、FZウェハー201を研削し、ウェハー表面の高濃度のリン拡散層212を除去する。それによって、図17の断面図220に示すように、高濃度リン層212からなる第3半導体層221を有する薄ウェハー222が得られる。この薄ウェハー222の一方の表面をポリッシュして鏡面に仕上げる。このFZウェハーのミラー仕上げ面には、後のダイオードのプロセス工程において、第2半導体層2、ガードリングエッジ構造およびアノード電極4が形成される。FZウェハーの厚さは、この研削およびポリッシュ後に例えば500μmになるように、予め選定されている。
FZウェハー201のミラー仕上げ面での比抵抗は、例えば120Ωcmである。FZウェハーの他方の表面は、リンガラス211を除去したままの状態である。この面の表面濃度は、例えば1×1020atoms/cm程度であり、高濃度のリンが例えば80μm程度の深さまで拡散している。
次いで、図17の断面図230に示すように、標準的なダイオードのプロセス工程によって、Pアノード層となる第2半導体層2、図示しないガードリングエッジ構造、絶縁膜6およびアノード電極4を形成する。第2半導体層2の濃度は、例えば5×1016atoms/ccであり、その深さは、例えば3μmである。また、アノード電極4の材料は、例えばAlSi1%である。
次いで、図17の断面図240に示すように、アノード電極4の側からFZウェハー201に、サイクロトロンにより加速されたプロトンを照射する。その際、サイクロトロンの加速電圧は、例えば7.9MeVであり、プロトンのドーズ量は、例えば1.0×1012atoms/cmである。また、アルミアブソーバーを用い、その厚さを調節して、プロトンの飛程がFZウェハーの半導体とアノード電極4との界面から60μmとなるようにする。断面図240において、×印は、プロトンの照射によりFZウェハー内に生じた結晶欠陥241を表す。
次いで、図18の断面図300に示すように、例えば350℃で1時間の熱処理を水素雰囲気で行い、結晶欠陥241を回復させる。それによって、FZウェハー201の半導体とアノード電極4との界面から60μmの深さのところを中心としてその前後に高濃度領域301ができる。この高濃度領域によって、ピーク濃度が2.0×1014atoms/cmの、所望のブロードバッファ構造が形成される。
次いで、図18の断面図310に示すように、FZウェハー201の、リンガラス211が除去された状態のままの面に対して研削やウエットエッチングを行い、FZウェハーを所定の厚さにする。1200Vクラスの場合、この段階でのFZウェハーの厚さは、典型的には100〜160μmである。実施の形態4では、この段階でのFZウェハーの厚さは、例えば115μm(0.92W)である。
次いで、FZウェハー201の、研削やウエットエッチングが行われた面に対してリン等のN型不純物をイオン注入する。その際の加速電圧は、例えば50keVであり、ドーズ量は、例えば1×1015atoms/cmである。次いで、そのイオン注入面に対して、YAG第2高調波レーザ等のレーザ光をダブルパルス法にて照射する。
ここで、ダブルパルス法とは、レーザ光の照射エリアごとに、複数のレーザ照射装置から所定の遅延時間だけ照射タイミングをずらして複数のパルスレーザを連続的に照射する方法である。ダブルパルス法については、特開2005−223301号公報に詳述されている。
ダブルパルス法によりレーザ光を照射する際のエネルギー密度は、レーザ光の照射エリアごとに、合計で例えば3J/cmである。また、ダブルパルスの遅延時間は、例えば300nsecである。このレーザ照射によって、その前にイオン注入されたリン等のN型不純物が電気的に活性化して、Nカソード層となる第3半導体層3ができる。
最後に、図18の断面図320に示すように、第3半導体層3の表面にチタン、ニッケルおよび金の順で金属を成膜し、第3半導体層3にオーミック接触するカソード電極5を形成し、半導体装置(ダイオード)が完成する。FZウェハー201の、第2半導体層2と第3半導体層3の間の部分は、第1半導体層1となる。図18の特性図330は、断面図320の半導体装置に対応するネットドーピング濃度のプロファイルである。
以上の例では、酸素を含有するウェハーの作製方法として、高濃度のリンを含むリンガラスをFZウェハーに塗布し、酸素等雰囲気中で熱処理を行う方法を説明した。
この方法に代えて、CZ(チョコラルスキー)結晶(あるいは多結晶)を用いて高濃度の酸素を含むFZウェハーを作る方法もある。CZ結晶等には、高い濃度の酸素が混入しており、その濃度は1300度で過飽和となる1×1018cm−3程度である。このCZ結晶をFZウェハー引き上げの原料にすると、引き上げ後も1.0×1016cm−3以上の酸素が残留し、前述のリンガラスを塗布して作製するDWウェハーと同程度の酸素を含むFZウェハーを作製することができる。この方法を用いれば、上述の高温による酸素の拡散プロセスを行わずに、低価格で酸素含有のFZウェハーを得ることができる。
(実施の形態5)
図19、図20、図21及び図27は、実施の形態1〜4の半導体装置の適用例を示す図である。図19に示すコンバーター−インバータ回路30は、効率良く誘導電動機やサーボモータ等を制御することが可能で、産業や電鉄等で広く用いられる。図20に示す力率改善回路(PFC回路)40は、AC−AC変換の入力電流を正弦波状に制御して波形改善をはかる回路であり、スイッチング電源用に用いられる。図21の回路図2000は、マトリクスコンバーター回路50の全体図であり、回路図2010は、マトリクスコンバーター回路のスイッチング部51の構成を示す図である。図27の回路図60は、図19のコンバータ部がスイッチング素子(IGBTやMOSFETなど)と本発明のフリーホイーリングダイオードにて構成される場合を示す。このようにコンバータ部にスイッチング素子を用いて回生時の電流を制御すれば、1次側に、回生時にモータにて生じた電力を戻すことができ、さらに省電力動作にすることができる。本発明のブロードバッファ構造を有する半導体装置は、Nドリフト層の厚さを薄くでき、その動作を高速化できるので、20kHz以上も動作周波数を備える変換装置を実現することができる。
以上において本発明は、上述した実施の形態に限らず、種々変更可能である。例えば、実施の形態中に記載した寸法や濃度などは一例であり、本発明はそれらの値に限定されるものではない。また、上述した各例は、ダイオードの例であるが、本発明は、IGBTや逆阻止IGBTにも適用可能である。この場合も、低損失だけでなく発振を抑えたターンオフを実現できる。IGBTの場合には、第3半導体層の導電型がP型となる。さらに、上述した各例では、第1導電型をN型とし、第2導電型をP型としたが、本発明は、第1導電型をP型とし、第2導電型をN型としても同様に成り立つ。
なお、逆阻止IGBTでは、FZバルクウェハーを用いておもて面のゲート、エミッタやエッジ構造を作りこんだ後に電子線を100kGy以下で照射し、その後100μm前後の最終厚迄ウェハーを研削・研磨し、裏面側へのボロンイオン注入及びレーザー照射による注入したボロン元素の活性化工程がある。ターンオフ時は、ダイオードの逆回復と同様に表側から空乏層が広がり、キャリアが消滅していくが、本発明の効果により、ダイオードと同じくキャリアの急激な消滅を抑えることができるので、発振のないスムースなターンオフが可能となる。
従って、低損失でソフトリカバリーなダイオードや、発振のないスムーズなターンオフが可能なIGBTを作製することができる。また、そのような特性を有するIGBTモジュールを用いたPWMインバータ等の電力変換装置において、過電圧破壊やEMIノイズの発生を抑えることができる。
また、実施の形態では600V及び1200Vクラスの半導体装置について述べたが、本発明は1700Vや3300V、それ以上の耐圧クラスでも同様に適用可能である。例えば、1700Vクラスでは基本濃度Nを80〜200Ωcm、Nドリフト層の厚さを120〜200μmとし、3300Vクラスでは同じく200〜500Ωcm、250〜400μmとし、Nドリフト層の不純物濃度分布を式(2)を満たすブロードバッファ構造とすればよい。
(実施の形態6)
以下の説明では、前記の第1導電型をn型、第2導電型をp型とするが、逆の極性でも得られる効果は同じである。
図34は、図19の回路において破線円で囲んだ部分の一例を、駆動回路を含めて示す拡大図である。FWD500とIGBT501は逆並列に対向して接続され、FWDのアノードとカソードが夫々IGBTのエミッタとコレクタに接続される。また、駆動回路502の制御端子はIGBTのゲート(制御用電極)とゲート抵抗503を介して接続される。
図19の上アームの各IGBTにはこのような駆動回路が1つずつ、下アームの各IGBTには駆動回路が1つずつ、または共通の駆動回路が接続される。
ここでゲート抵抗503は、図34(a)のようにIGBTモジュール504と同回路間にリードタイプの抵抗を接続する方法でもよく、また、図34(b)のように駆動回路内部にあってもよい。さらに、図35のようにモジュール504内部にて同ゲート端子とIGBTチップのゲートパッド間に周知のチップ抵抗やリード抵抗を接続する方法もある。加えて、図36のようにIGBTチップ505内にてゲートパッドと同チップ内の各セル(セルとは、IGBT動作をするための基本構成部分)のゲートポリシリコン間に、ポリシリコンなどの抵抗層をチップ上に作りこみ、それをゲート抵抗とする方法があり、モジュールや電力変換装置の面積およびコスト削減の観点から、より望ましい。
図28は、上述の600V/100A FWD(A),および従来型FWDを用いて、同定格の対向側IGBTを、10A(定格の1/10)の電流にてターンオンさせたときの、FWDの逆回復波形を比較したものである。電源電圧は300V(定格の半値)である。IGBTはフィールドストップ型(FS−)IGBTで、ウェハー厚は70μm、活性面積は0.55cmである。駆動回路のゲート抵抗は8Ωで、IGBTの単位面積(1cm)あたりのゲート抵抗値は4.4Ωcmである。この値は、一般的な推奨ゲート抵抗値(例えば24Ω、単位面積あたりにすると13.2Ωcm)の1/3であり、十分小さい。このような場合、従来ならばIGBTターンオン時に対向のダイオードが逆回復に入ると、波形は発振し、さらに逆回復サージ電圧も耐圧以上になることが多い。この図28(b)から明らかなように、従来型ダイオードではこのような発振やサージ電圧が発生することがわかる。しかしながら本発明品のFWDを用いることで、図28(a)のように、(b)のような発振やサージ電圧は十分小さく抑えることが可能となった。
この効果は、IGBTターンオン損失、ひいては実機損失に極めて好ましい影響をもたらす。
図29には、本発明のFWDと前述のIGBTを組み合わせたときの、IGBTのターンオン波形を示しており、電流は定格電流、電源電圧は300V、ゲート抵抗は0Ωである。このようにゲート抵抗を介さずに接続しても、ダイオードは発振せず、IGBTの電圧波形にも現れてはいない。このときのターンオン損失は、ゲート抵抗が大きい場合に比べて極めて低い。
図30は、IGBTのターンオン損失、およびFWDの逆回復時(=IGBTターンオン時)のFWDサージ電圧を、駆動ゲート抵抗別にプロットしたグラフである。横軸がゲート抵抗(Ω)、左軸がFWDサージ電圧(ピーク電圧、V)、右軸がIGBTターンオン損失(mJ)である。ターンオン損失とは、IGBTのコレクタ−エミッタ間の電圧と同電流を掛けた値を、スイッチングの要した時間で積分した値である。
まずIGBTターンオン損失は、ゲート抵抗が18Ω以上においては、ゲート抵抗の増加とともにその値の増加は緩くなり、約5.2mJに飽和する。このときダイオードのサージ電圧は、電源電圧を越えない値である。一方ゲート抵抗を減少させると、それにつれてIGBTターンオン損失は減少し、ダイオードサージ電圧は増加する。ターンオン損失は、15Ω以下で劇的に減少し、5Ω以下では1〜2mJとなり、18Ω時の値のほぼ1/10まで減少している。
一方サージ電圧はゲート抵抗の減少に対して増加するが、本発明のダイオードの方がその割合は緩慢で、5Ω以下の場合本発明は定格電圧以下の570Vに抑えている。一方従来型ダイオードではその耐圧を超えた800Vとなっている。また逆回復波形においても、従来型はゲート抵抗が12Ω以下で顕著に発振するが、本発明のダイオードでは0Ωでも発振しない。したがって本発明のダイオードを用いれば、電磁ノイズの極めて少ないインバータが可能となる。
従って、ゲート抵抗は、IGBTの活性面積が0.55cmでは15〜20Ω以下、すなわち単位面積1cmであれば、8.25〜11Ωcm以下か、さらには8Ωcm以下が望ましい。
図31は、図29の波形に関連して、さらに5種類のゲート抵抗を用いたときの、ターンオン波形の振る舞いを比較した図である。ゲート抵抗は、0Ωから18Ωまでを用いた。ターンオン損失は前述のようにIGBTのコレクタ−エミッタ間の電圧と同電流の掛け算を積分した値なので、ターンオン損失が大きくなるということは、本グラフの電圧波形と電流波形が両方ともゼロでない部分の時間領域が増える、ということである。本実験の結果、我々はこの、ともにゼロでない部分の時間領域が、同電圧が印加電圧(電源電圧、300V)の半値150Vを下回る時刻(図中の○部分)が同電流の最大となる時刻(縦の補助線を入れてある時刻)よりも後になると、増大することを発見した。よってターンオン損失を低く抑えるには、同電圧が印加電圧の半値を下回る時刻が同電流の最大となる時刻よりも、少なくとも前である必要がある。さらにこのためには、これらがほぼ一致しているゲート抵抗8Ω、つまり単位面積1cmあたり4.4Ωcmよりも低いことが望ましい。
(発明の効果)
図32には、上述のFWD(本発明、および従来)とIGBTを用いた、インバータ実機損失とその内訳を、2種類のFWD同志で比較したグラフである。インバータは、3相 PWM インバータで、出力周波数は50Hz、出力電流の実効値は54A_rms、動作キャリア周波数は10kHzである。ここで駆動回路のゲート抵抗は、内蔵するFWDが発振を十分抑えられる抵抗値を選び、本発明のFWDは8Ω、従来型ダイオードは18Ωである。実機損失は図から明らかなように、本発明FWDを低いゲート抵抗で駆動する方(46.1W)が、従来のダイオードを従来の方法で駆動する方(51.2W)よりも、10%も低いインバータ損失を達成することができた。さらに本発明のFWDはゲート抵抗が0Ωでも発振しないので、その場合42.5Wとなり、17%減となる。
図33には、図32のインバータの放射ノイズを測定したスペクトルを示す。本発明の方が、ピーク時(18MHz)で−2dB、高周波では90MHzで−12dBの強度の低減ができた。さらに従来の場合、50MHzあたりでダンピングが見られこれもノイズの動作に影響を与えている。
以上から、本発明のダイオードを用いれば、従来の駆動方法では得られなかった低損失で低放射ノイズのIGBTモジュール、IPM、さらにはインバータ等の電力変換装置を提供することが可能となる。
本発明の実施の形態1にかかる半導体装置の構成、ネットドーピング濃度を示す図である。 実施の形態1にかかる半導体装置の第1半導体層と第2半導体層におけるネットドーピング濃度分布を示す図である。 実施の形態1にかかる半導体装置の第1半導体層と第2半導体層におけるネットドーピング濃度分布を示す図である。 実施の形態1にかかる半導体装置の製造プロセスを示す図である。 実際に測定した不純物濃度の分布図である。 実施の形態1にかかる1200Vクラスの半導体装置の第1半導体層と第2半導体層におけるネットドーピング濃度分布を示す図である。 従来の1200Vクラスの半導体装置の第1半導体層と第2半導体層におけるネットドーピング濃度分布を示す図である。 実施の形態1のダイオードの逆回復波形を示す図である。 実施の形態1のダイオードの逆回復波形を示す図である。 実施の形態1と従来の半導体装置におけるDC印加電圧と逆回復ピーク電圧の関係を示す図である。 積分濃度と耐圧の関係を示す図である。 本発明にかかる600Vクラスのダイオードの逆回復損失特性を示すトレードオフ曲線である。 本発明にかかる1200Vクラスのダイオードの逆回復損失特性を示すトレードオフ曲線である。 ドリフト層の厚さWと逆回復損失Errの関係を(a)600Vクラス及び(b)1200Vクラスについて示す図である。 ドリフト層の厚さWと素子耐圧BVの関係を(a)600Vクラス及び(b)1200Vクラスについて示す図である。 本発明の実施の形態4にかかる半導体装置の構成、ネットドーピング濃度およびプロトン分布を示す図である。 実施の形態4にかかる半導体装置の製造プロセスを示す図である。 実施の形態4にかかる半導体装置の製造プロセスを示す図である。 コンバーター−インバーター回路の構成を示す図である。 力率改善回路の構成を示す図である。 マトリクスコンバーター回路の構成を示す図である。 従来のダイオードの逆回復波形を示す図である。 従来のダイオードの逆回復波形を示す図である。 従来の半導体装置の第1半導体層と第2半導体層におけるネットドーピング濃度分布を示す図である。 従来の半導体装置の第1半導体層と第2半導体層におけるネットドーピング濃度分布を示す図である。 単相チョッパー回路の構成を示す図である。 コンバーター部にスイッチング素子を有するコンバーター−インバーター回路の構成を示す図である。 本発明にかかる600V/100A FWD(a),および従来型FWD(b)を用いて、同定格の対向側IGBTをターンオンさせたときの、FWDの逆回復波形を比較した図である。 本発明にかかるFWDと前述のIGBTを組み合わせたときの、IGBTのターンオン波形を示す図である。 実施の形態6にかかるIGBTのターンオン損失、およびFWDの逆回復時(=IGBTターンオン時)のFWDサージ電圧を、駆動ゲート抵抗別にプロットしたグラフである。 図29の波形について、さらに5種類のゲート抵抗を用いたときの、ターンオン波形の振る舞いを比較した図である。 実施の形態6にかかるインバータ実機損失とその内訳を、本発明のFWD(左側棒グラフ)と従来型FWD(右側)の場合で比較したグラフである。 実施の形態6にかかる(図32の)インバータの放射ノイズを測定したスペクトルを示す。 図19の回路において破線円で囲んだ部分の一例を示す拡大図である。 図19の回路において破線円で囲んだ部分の別の例を示す拡大図である。 図19の回路において破線円で囲んだ部分のさらに別の例を示す拡大図である。
符号の説明
1 第1半導体層
2 第2半導体層
3 第3半導体層
4 アノード電極
5 カソード電極
10 半導体装置の断面図

Claims (8)

  1. 第1導電型の第1半導体層と、該第1半導体層の一方の主面に形成され、該第1半導体層より高不純物濃度の第2導電型の第2半導体層と、前記第1半導体層の他方の主面に形成され、該第1半導体層より高不純物濃度の第1導電型の第3半導体層とを具備し、前記第1半導体層の不純物濃度が極大となる位置が少なくとも1か所あり、該第1半導体層の不純物濃度が、前記極大となる位置から前記第2半導体層及び前記第3半導体層の双方に向かって傾きをもって減少する半導体装置において、
    前記第1半導体層の不純物濃度の下記式(1)で表される積分濃度が、式(2)を満たす半導体装置。


    (但し、xは前記第1半導体層の一方の主面から他方の主面に向かう座標軸上の位置を、Nnet(x)は第1半導体層の位置xにおける不純物濃度を、Xcは第1半導体層中でNnet(x)=Ndmを満たすxであって最も前記第2半導体層に近い位置を、Xdは第1半導体層中でNnet(x)=Ndmとなる位置で最も前記第3半導体層に近い位置を、Ndmは第1半導体層の不純物濃度の平均濃度を、夫々表す。)
  2. 前記第1半導体層における前記第2半導体層との接合近傍の不純物濃度Nと前記平均濃度Ndmが、下記式(3)を満たす請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記第1半導体層厚さWと下記式(5)で定義される距離指標Wが、下記式(4)を満たす請求項2に記載の半導体装置。


    (但し、BVは半導体装置の耐圧を表す。)
  4. 請求項1ないし3に記載の半導体装置を搭載し、前記半導体装置の動作周波数が20kHz以上である半導体電力変換装置。
  5. ダイオードと半導体スイッチング装置を有する半導体電力変換装置に用いられる駆動回路であって、
    ダイオードと半導体スイッチング装置は逆並列に接続され、このダイオードと半導体スイッチング装置のいずれか一方、又は両方が請求項3記載の半導体装置であり、
    駆動回路の制御端子が、前記半導体スイッチング装置の制御用電極との間に11Ωcm以下の抵抗を介していることを特徴とする駆動回路。
  6. 請求項5に記載の駆動回路において、駆動回路の制御端子が、前記半導体スイッチング装置の制御用電極との間に8Ωcm以下の抵抗を介していることを特徴とする駆動回路。
  7. 請求項5に記載の駆動回路の駆動方法であって、
    前記半導体スイッチング装置を阻止状態から導通状態にするときに、前記半導体スイッチング装置の一方の主面に形成された第1電極と他方の主面に形成された第2電極との間の電位差が電源電圧の半値に達する時刻が、前記半導体スイッチング装置が阻止状態から最大電流となる時刻よりも早いことを特徴とする駆動方法。
  8. 請求項5に記載の駆動回路を含み、前記請求項7の駆動方法で前記半導体スイッチング装置を制御することを特徴とする半導体電力変換装置。
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