JP2008008041A - 建築又は土木施工物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヒートアイランド現象の軽減に有効な建築又は土木施工物を提供する。
【解決手段】連続空隙を有するブロック体の前記連続空隙内に保水材が保持され、この保水材が少なくとも、粉末粒子間で保水を行う無機粉末とその結合材とを含むものである保水性ブロックを、少なくとも一部に用いて構成されたものである。例えば、屋上や外壁等に保水性ブロックを設置した建物では、保持した水の気化熱による冷却作用に加えて、連続空隙内に水を保持した多孔質体が建物を覆う高性能な断熱材として機能するので、建物の温度上昇を効果的に抑えることができ、また、保水性ブロックで構成される舗装では、舗装面の温度上昇を抑え且つ保持した水の気化熱による冷却作用を長時間持続させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、保水性ブロックを用いた建築又は土木施工物に関するものである。
近年、自動車や建物などから放出される熱のために都市部の気温が上昇する、いわゆるヒートアイランド現象が大きな社会問題となりつつある。このヒートアイランド現象の対策の一つとして、建物の屋上緑化を促進する動きが活発化しており、いくつかの自治体では一定面積以上の新築建物に屋上緑化を義務づける条例も制定されている。屋上緑化のヒートアイランド現象に対する直接的な効果としては、日射を遮ることで建物全体の温度上昇を抑えること、また、この温度上昇の抑制によって冷房負荷を軽減し、冷房による放射熱の発生を抑えること、などである。
一方、地上部については、アスファルト舗装に保水性を持たせ、この保水性舗装に保持された雨水や人工的散水の気化熱でヒートアイランド現象を軽減する対策が進められており、保水性アスファルト舗装や舗装用保水材に関する技術が種々提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
特開平10−46513号公報 特開2003−147717号公報 特開2003−201705号公報
しかし、ヒートアイランド現象の対策の一つである屋上緑化は、建物の規模、構造、強度などの面で適用できる建物が限られること、植物の管理や台風などに対する安全・防護対策が必要であり、そのための設備コストや管理コストが必要になること、植栽などによって使用できなくなる屋上スペースが生じること、などの制約や問題がある。
一方、保水性アスファルト舗装はいうまでもなく路面にしか適用できず、したがって、その効果も限られたものとなる。また、本発明者らが検討したところによれば、アスファルト舗装は日射により高温になりやすいため、保水性を付与した舗装であっても夏季の日中には路面温度が相当程度高くなり、またその結果、保持した水の蒸発速度が大きくなるため、気化熱による冷却効果の持続性も低いことが判った。
本発明の目的は、以上のような従来技術の問題点に鑑み、ヒートアイランド現象の軽減に有効な建築又は土木施工物を提供することにある。
本発明者らは、従来、雨水などを透過させることを目的として使用されている多孔質ブロック体(多孔質コンクリートなど)に着目し、これを従来の利用形態とは全く逆に、保水体として利用できるのではないかという着想を得た。そして、このような着想のもとに詳細な検討を行ったところ、コンクリートや他の水和硬化物などからなる多孔質ブロック体に保水材を注入し、その連続空隙(連続開気孔)内に保水材を保持させたブロックを材料として建物や舗装などを施工した場合、その施工物は高い保水性能を有し、ヒートアイランド現象の抑制に有効な機能を発揮できることが判った。また特に、(i)上記保水性ブロックを屋上や外壁面などに設置した建物は、ブロックが保持した水の気化熱による冷却作用に加えて、連続空隙内に水を保持した多孔質体が建物本体を覆う高性能な断熱材として機能するため、日射などによる建物の温度上昇を効果的に抑えることができる、(ii)上記保水性ブロックを敷設して構成された舗装は、従来の保水性アスファルト舗装に較べて、舗装面の温度上昇を抑えることができるとともに、保持した水の気化熱による冷却作用を長時間持続させることができる、というヒートアイランド現象の軽減に特に有効な特有の機能を発揮できることが判った。
さらに、上述したような保水性ブロックのなかでも、特定の水和硬化ブロック体に対して特定の保水材組成物を注入したものが、特に保水性能とブロック強度の両面で優れた性能を有し、したがって、このような保水性ブロックを使用した建築・土木施工物が特に優れた性能を発揮できることが判った。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]連続空隙を有するブロック体の前記連続空隙内に保水材が保持され、該保水材が少なくとも、粉末粒子間で保水を行う無機粉末とその結合材とを含むものである保水性ブロックを、少なくとも一部に用いて構成されたことを特徴とする建築又は土木施工物。
[2]上記[1]の建築又は土木施工物において、建物、土木構造物、舗装、擁壁、塀、植栽用構造物のうちのいずれかであることを特徴とする建築又は土木施工物。
[3]上記[2]の建築又は土木施工物において、保水性ブロックを敷設して構成された舗装であることを特徴とする建築又は土木施工物。
[4]上記[2]の建築又は土木施工物において、保水ブロックを屋上又は/及び外壁に設置した建物であることを特徴とする建築又は土木施工物。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの建築又は土木施工物において、ブロック体が無機粒子の水和硬化体又は炭酸固化体であることを特徴とする建築又は土木施工物。
[6]上記[5]の建築又は土木施工物において、ブロック体が製鋼スラグを骨材とする水和硬化体であることを特徴とする建築又は土木施工物。
[7]上記[6]の建築又は土木施工物において、水和硬化体が、JIS A 1102「骨材のふるい分け試験方法」に準拠したふるい分けにおいて1.2mmのふるいに留まる粗粒の製鋼スラグを主体とする製鋼スラグと、水硬性を有する粒径0.1mm以下の粉体からなる結合材とを水の存在下で混練し、水和反応により硬化させた硬化体であって、結合材の単位量が70kg/m以上、連続空隙率が5〜40体積%の硬化体であることを特徴とする建築又は土木施工物。
[8]上記[1]〜[7]のいずれかの建築又は土木施工物において、連続空隙を有するブロック体に保水材組成物の水スラリーを含浸させて得られる保水性ブロックであって、前記保水材組成物は、425μm以下の粒径の粉が60質量%以上となる粒度分布を有し、SiO2又は/及びCaCO3を合計で50質量%以上含む無機粉末100質量部に対して、セメントを1〜35質量部配合したものであることを特徴とする建築又は土木施工物。
[9]上記[1]〜[7]のいずれかの建築又は土木施工物において、連続空隙を有するブロック体に保水材組成物の水スラリーを含浸させて得られる保水性ブロックであって、前記保水材組成物は、425μm以下の粒径の粉が60質量%以上となる粒度分布を有し、SiO2又は/及びCaCO3を合計で50質量%以上含む無機粉末が70〜99.95質量%と、高炉水砕スラグが0.05〜30質量%とからなる混合物100質量部に対して、セメントを1〜35質量部配合したものであることを特徴とする建築又は土木施工物。
[10]上記[1]〜[7]のいずれかの建築又は土木施工物において、連続空隙を有するブロック体に保水材組成物の水スラリーを含浸させて得られる保水性ブロックであって、前記保水材組成物は、425μm以下の粒径の粉が60質量%以上となる粒度分布を有し、非晶質SiO2を50質量%以上含む無機粉末100質量部に対して、アルカリ刺激剤又は/及びセメントを合計で1〜35質量部配合したものであることを特徴とする建築又は土木施工物。
[11]上記[1]〜[7]のいずれかの建築又は土木施工物において、連続空隙を有するブロック体に保水材組成物の水スラリーを含浸させて得られる保水性ブロックであって、前記保水材組成物は、425μm以下の粒径の粉が60質量%以上となる粒度分布を有し、非晶質SiO2を50質量%以上含む無機粉末が70〜99.95質量%と、高炉水砕スラグが0.05〜30質量%とからなる混合物100質量部に対して、アルカリ刺激剤又は/及びセメントを合計で1〜35質量部配合したものであることを特徴とする建築又は土木施工物。
本発明の建築又は土木施工物は、高い保水性能を有し、ヒートアイランド現象の抑制に有効な機能を発揮できる。特に、建築・土木施工物が保水性ブロックを屋上や外壁面などに設置した建物である場合には、保水ブロックが保持した水の気化熱による冷却作用に加えて、連続空隙内に水を保持した多孔質体が建物本体を覆う高性能な断熱材として機能するため、日射などによる建物の温度上昇を効果的に抑えることができ、一方、建築・土木施工物が保水性ブロックを敷設して構成された舗装である場合には、従来の保水性アスファルト舗装に較べて、舗装面の温度上昇を抑えることができるとともに、保持した水の気化熱による冷却作用を長時間持続させることができる。
本発明の建築又は土木施工物は、連続空隙(連続開気孔)を有するブロック体の前記連続空隙内に保水材が保持され、この保水材が少なくとも、粉末粒子間で保水を行う無機粉末とその結合材とを含むものである保水性ブロックを、少なくとも一部に用いて構成されたものである。
本発明が適用される建築又は土木施工物としては、例えば、(a)オフィスビル、集合住宅、一般住宅などの建物、(b)道路構造物、地下構造物などの土木構造物、(c)道路(歩道なども含む)、広場、運動場などの舗装、(d)擁壁、塀、植栽用構造物(例えば花壇)などの構造物、などが挙がられるが、これらに限定されるものではない。
本発明で用いる保水性ブロックを構成するブロック体は、無機粒子を主原料として得られ、内部に連続空隙を有するものであれば種類は問わないが、強度やコストなどの面からは、コンクリートや他の水和硬化物からなる多孔質水和硬化体が好ましい。また、その他に無機粒子の炭酸固化体、多孔質セラミック体などでもよい。
ブロック体の連続空隙率は、5〜40体積%、より好ましくは10〜30体積%程度が適当である。連続空隙率が5体積%未満では保水性能が十分でなく、一方、40体積%を超えるとブロック体の強度や耐久性に問題を生じる恐れがある。
なお、連続空隙率とは、「(社)日本コンクリート工学協会 ポーラスコンクリートの設計・施工法の確立に関する研究委員会 報告書」(2003年5月)p179に記載された「ポーラスコンクリートの空隙率試験方法(案)」により測定されるものとする。
前記炭酸固化体とは、CaOなどの未炭酸化Caを含有する原料粒子(無機粒子)の充填層を水分の存在下で炭酸ガスと接触させ(通常、充填層に炭酸ガス又は炭酸ガス含有ガスを吹き込む)、未炭酸化Caの炭酸化で生成した炭酸カルシウムをバインダーとして充填層全体を固結させたものである。この炭酸固化体の内部には、炭酸カルシウムで結合された原料粒子間の隙間によって微細な連続空隙(連続開気孔)が形成される。未炭酸化Caを含有する原料粒子としては、例えば、鉄鋼スラグ(高炉スラグ、製鋼スラグなど)やコンクリート廃材など任意の材料が利用できるが、入手の容易性などの面からは鉄鋼スラグが特に好ましい。
前記多孔質水和硬化体の代表例は多孔質コンクリート体であり、従来では、雨水などの水を透過させることを目的として使用されてきたコンクリート硬化体である。この多孔質コンクリート体は、比較的粗い骨材をセメント(結合材)で結合することにより、内部に連続空隙(連続開気孔)が形成されるようにしたものである。
前記保水性ブロックにおいて、ブロック体の連続空隙内に保持される保水材は、少なくとも粉末粒子間で保水を行う無機粉末とその結合材とを含むものであればよい。この保水材は、連続空隙内において結合材が無機粉末を軽度に結合・固定し、この無機粉末の粒子間の空隙に水が保持されることで保水機能が発揮される。通常、連続空隙内に保水材を保持させるには、保水材組成物の水スラリーをブロック体に含浸させ、連続空隙内に保水材を注入する。したがって、この場合の連続空隙内に保持される保水材は、水スラリーの硬化物と言ってよい。この硬化物は、水スラリーの水が存在していた部分(無機粉末の粒子間の空隙)が保水機能を担うことになる。
また、連続空隙内に保持される保水材を構成する上記結合材には、保水材組成物に元々含まれる結合材成分(例えば、セメント)やアルカリ刺激剤などのような硬化促進剤のほかに、注入後に生成した結合材成分も含まれる。例えば、保水材組成物にアルカリ刺激剤が含まれる場合には、上記結合材には、アルカリ刺激剤のほか、アルカリ刺激により無機粉末成分などから生じた結合材成分も含まれる。
保水材(組成物)を構成する無機粉末としては、粉末粒子間で保水用の空隙が形成できるものであればよいが、そのなかでも非水和反応性または弱水和反応性のものが好ましい。例えば、SiO、CaCO、粘土、シルトなどが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
また、保水材を構成する結合材のうち保水材組成物中に配合する結合材としては、各種セメント、樹脂、高炉水砕スラグ微粉末などが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。また、無機粉末がポゾラン反応性又は潜在水硬性を有するものである場合には、結合材としてアルカリ刺激剤を用いることもできる。このアルカリ刺激剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウムなどが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
保水材の注入量に特に制限はないが、保水材を水スラリーとしてブロック体に含浸させる場合には、ブロック体の質量(保水材の注入前の質量)に対する水スラリーの割合で5〜30質量%程度が好ましい。保水材の注入量が5質量%未満では保水効果が小さく、一方、30質量%を超えるとブロックとしての強度が低下しやすい。
保水性ブロックの形状は任意であり、プレート状の厚みが小さいものでもよく、形状は用途に応じて適宜選択される。また、植栽用としては、上面などに凹部や溝などを形成したものでもよい。
本発明の建築又は土木施工物は、(i)保水ブロックを屋上又は/及び外壁に設置した建物、(ii)保水性ブロックを敷設して構成された舗装、という実施形態において、ヒートアイランド現象の低減化に特に大きな効果を発揮する。
まず、上記(i)の保水ブロックを屋上又は/及び外壁に設置した建物の場合には、建物の温度上昇を効果的に抑えることができ、ヒートアイランド現象の抑制に対して有効な手段となり得る。すなわち、保水性ブロックを屋上や外壁面などに設置した建物では、保持した水の気化熱による冷却作用に加えて、連続空隙(開気孔)に水を保持した多孔質体が建物本体を覆う高性能な断熱材として機能するため、日射などによる建物の温度上昇を効果的に抑えることができる。したがって、上記保水性ブロックを屋上又は/及び外壁に設置した建物とすることにより、屋上緑化に匹敵する或いはそれ以上の温度上昇の抑制効果が得られる。また、保水性ブロックを屋上に設置する場合には、建物本体の床部に敷き詰めることができるので、普通の屋上の床部として使用することができ、緑化施設のように植栽などによって使用できる屋上スペースが狭められるとう問題もない。
保水性ブロックを建物の屋上又は/及び外壁に設置する場合、建物本体の屋上床部の上部や壁面の外側に設置する。屋上に設置する場合には、建物本体の屋上床部の上などに固定手段無しで敷設してもよいし、適当な固定手段(固定具、モルタルや接着剤など)で固定して敷設してもよい。また、外壁に設置する場合には、建物本体の外壁面に適当な固定手段(固定具、モルタルや接着剤など)で取付・固定する。
なお、対象となる建物としては、オフィスビル、集合住宅、一般住宅などの建築物に限らず、あらゆる建造物が含まれる。
また、建物の屋上に緑化施設を設ける場合には、その施設用の資材(例えば、土壌を支持する基盤、擁壁、歩道、植栽用ブロックなど)にも適用することができる。
また、設置された保水性ブロックに対して、ごく簡易な手段で人工的な給水を行えば、自然降雨に依存することなく温度上昇の抑制効果が得られる。
以上の点から、上記保水性ブロックを屋上又は/及び外壁に設置した建物は、特に夏季の温度上昇が効果的に抑えられ、冷房などのコストも低減できる省エネ効果も期待できる。
また、上記(ii)の保水性ブロックを敷設して構成された舗装の場合は、従来の保水性アスファルト舗装に較べて、舗装面の温度上昇を抑えることができる。これは、アスファルトが黒色であるのに対して、コンクリートなどの水和硬化体は灰色であるため熱を反射しやすいことと、保水材からの水の蒸発との相乗効果によるものと考えられる。また、アスファルトは70℃程度で軟化が始まるのに対して、ブロック体が水和硬化体などで構成される本発明の舗装は、それよりもはるかに高い耐熱強度を有している。
さらに、上記保水性ブロックで構成される舗装は、従来の保水性アスファルト舗装に較べて、保持した水の気化熱による冷却作用を長時間持続させることができる。これは、保水性アスファルト舗装の場合には、表面温度が高くなるために保持した水の蒸発速度が早く、冷却作用が比較的短時間で失われてしまうのに対して、上記のように保水性ブロックで構成される舗装は表面温度を相対的に低くできるため、保持した水を適度な蒸発速度で蒸発させることができるためであると考えられる。
したがって、上記保水性ロックを敷設して構成された舗装は、保水性アスファルト舗装に較べて温度上昇の抑制効果が高い。
上記保水性ブロックで構成される舗装は、例えば、一般の道路や歩道(公園や住宅内の歩道なども含む)、広場、運動場、建物周辺の敷地、工場などの建物内の床、駅プラットホームなど、種々の場所の舗装に適用することができる。
次に、本発明の建築又は土木施工物で用いる保水性ブロックの好ましい実施形態について説明する。
まず、保水性ブロックを構成するブロック体としては、多孔質水和硬化体のなかでも、比較的粗い製鋼スラグを骨材とする水和硬化体が好ましく、そのなかでも特に、JIS A 1102「骨材のふるい分け試験方法」に準拠したふるい分けにおいて1.2mmのふるいに留まる粗粒の製鋼スラグを主体とする製鋼スラグと、水硬性を有する粒径0.1mm以下の粉体からなる結合材とを水の存在下で混練し、水和反応により硬化させた硬化体であって、結合材の単位量が70kg/m以上、連続空隙率が5〜40体積%である硬化体が好ましい。この硬化体は、大量入手可能で比較的安価な材料である製鋼スラグを原料の一部として用いることができ、且つ保水性ブロック用のブロック体として好適な強度と連続空隙を有しているので、特に好ましい。
この硬化体において、骨材となる製鋼スラグとして、1.2mmのふるいに留まる粗粒の製鋼スラグを主体とするものを用いるのは、それよりも粒度分布が小さい製鋼スラグでは、ブロック体内部の空隙径が小さくなり、十分な保水性が得られにくくなるからである。また、このような観点からは、好ましくは2.5mmのふるいに留まる粗粒の製鋼スラグを主体としたもの、より好ましくは5mmのふるいに留まる粗粒の製鋼スラグを主体としたものが望ましい。
なお、1.2mmのふるいに留まる粗粒の製鋼スラグを「主体とする」としたのは、硬化体の強度向上、ペーストのダレ落ち防止、乾燥収縮の低減など面で、1.2mmのふるいを通過する製鋼スラグが少量含まれていた方が有利な場合があるからである。この場合、1.2mmのふるいを通過する製鋼スラグの割合は、1.2mmのふるいに留まる製鋼スラグの10%以下(質量比)とすることが好ましい。
製鋼スラグの最大粒径は用途に応じた径であればよく特に限定しないが、一般的には13〜40mm以下であり、さらに、製造しようとする硬化体のブロックの縦、横、高さ、直径等の中の最短長さの1/3以下が好ましい。
水硬性を有する粒径0.1mm以下の粉体からなる結合材は、水和反応により上記製鋼スラグを結合するために用いる。結合材が粒径0.1mmを超える場合には、十分な結合力が得られない。結合材としては、各種セメント、高炉スラグ微粉末などの1種以上を用いることができ、さらに、フライアッシュやアルカリ土類金属酸化物又は/及び水酸化物の1種以上を加えてもよい。
高炉スラグ微粉末は潜在水硬性を有する粉体であり、これを結合材として用いた場合には、製鋼スラグによりアルカリ刺激を受けることで効率的に水和反応が生じ、高い結合作用を発揮する。また、高炉スラグ微粉末と製鋼スラグ中のfree−CaOが反応し、製鋼スラグの水和膨張を効果的に抑制することができるので、硬化体の経時的な破損を防止することができる。このように高炉スラグ微粉末は、結合材として優れた効果を発揮するから、結合材として高炉スラグ微粉末を単独で用いても十分な効果を得ることができる。高炉スラグ微粉末としては、JIS A 6206「コンクリート用高炉スラグ微粉末」を特に好ましく用いることができる。
セメントしては、ポルトランドセメント(JIS R 5210)、高炉セメント(JIS R 5211)、シリカセメント(JIS R 5212)、フライアッシュセメント(JIS R
5213)、エコセメント(JIS R 5214)などが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。これらのなかで高炉セメントは、上記高炉スラグ微粉末が含まれており、これが上記のような高い結合効果と破損防止効果を発揮するため、結合材として高炉セメントを単独で用いても十分な効果を得ることができる。高炉セメントとしては、JIS
R 5211「高炉セメント」に記載されているA種、B種、C種のいずれも使用することができる。他のセメントも水硬性を発揮し、効率的に水和反応が生じて結合作用を発揮することができるので、結合材として用いることができるが、製鋼スラグの水和膨張を抑制することができないため、単独で用いた場合には、硬化体の経時的な破損が生じるおそれがある。このため、結合材として高炉セメント以外の各種セメントを用いる場合には、製鋼スラグの水和膨張を抑制する成分とともに用いることが好ましい。
結合材として高炉スラグ微粉末及び各種セメントを用いる場合のいずれも、結合材として、さらにフライアッシュを含有させることができる。フライアッシュを用いる場合には、フライアッシュが製鋼スラグ中のCa成分と効率的に反応し、フライアッシュのポゾラン反応が進行し、好ましい効果を奏することができる。また、フライアッシュは製鋼スラグの中のfree−CaOと反応し、製鋼スラグの水和膨張を抑制することができる。したがって、フライアッシュは、高炉セメント以外の各種セメントと併用することにより大きな効果を発揮することができる。フライアッシュとしてはJIS A 6201「コンクリート用フライアッシュ」を用いることができ、これに加えて、原粉および加圧流動床灰の使用も可能である。
結合材として高炉スラグ微粉末を用いる場合には、さらに、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、および各種セメントから選択される1種以上を含んでもよい。これらは高炉スラグ微粉末が有する潜在水硬性を発現させることができ、製鋼スラグのアルカリ刺激だけでは不足する場合に有効である。これらの量は特に限定しないが、高炉スラグ微粉末に対して1質量%未満ではアルカリ刺激の効果が小さいため1質量%以上が好ましい。また、これらを40質量%を超えて配合してもアルカリ刺激効果が飽和し不経済となるため、40質量%以下が好ましい。ただし、各種セメントは、高炉スラグ微粉末に対するアルカリ刺激だけでなく、セメント自体の水硬性を発揮するため、圧縮強度を向上させる機能を有し、40質量%を超えても圧縮強度を増加させる効果を有する。
以上述べた点から、結合材として好適な材料として、以下のようなものを挙げることができる。
(1)高炉スラグ微粉末
(2)高炉セメント
(3)高炉スラグ微粉末+フライアッシュ
(4)高炉スラグ微粉末+各種セメント
(5)高炉スラグ微粉末+各種セメント+フライアッシュ
(6)各種セメント+フライアッシュ
(7)高炉スラグ微粉末+アルカリ土類金属酸化物又は/及び水酸化物
(8)高炉スラグ微粉末+フライアッシュ+アルカリ土類金属酸化物又は/及び水酸化物
(9)高炉スラグ微粉末+フライアッシュ+アルカリ土類金属酸化物又は/及び水酸化物+各種セメント
なお、上記の各種セメントとは、先に挙げたセメントの1種以上をいう。
結合材の単位量を70kg/m以上としたのは、70kg/m未満では、結合材の量が少なすぎてブロック体として必要な圧縮強度である10N/mm以上の硬化体が得られないためである。一方、結合材の単位量が多くなりすぎると5体積%以上の連続空隙率を確保することが困難となる。5体積%以上の連続空隙率を確保できる単位量の上限は結合材の種類によって変化するが、380kg/m程度が事実上の上限となる。
連続空隙率を5〜40体積%としたのは、連続空隙率が5体積%未満では保水性能が十分でなく、一方、40体積%超では粗粒の製鋼スラグの形状を複雑にしないと製鋼スラグの実績率を小さくすることができず製造することが困難であり、また、製造することができたとしても必要な圧縮強度が得られないからである。なお、実績率とは、JIS A 1104「骨材の単位容積質量および実績率試験方法」により測定される実績率をいう。
以上のような硬化体を製造するに際して、水の量は特に制限がなく、作業性及び硬化後の特性等を考慮して適宜添加すればよいが、結合材の粉体量に対する比率(水粉体比)で20〜30%程度が好ましい。
通常の硬化体の製造では、上記結合材と水によりペーストを作り、このペーストと粗粒の製鋼スラグを混練する。この際、結合材と水とからなるペーストの体積aと粗粒の製鋼スラグの体積bとの比率a/bは0.08以上とすることが好ましい。この比率a/bが0.08未満ではペースト分が少なすぎて、空隙率は高くなるものの、ブロックとして必要な圧縮強度である10N/mm以上の硬化体が得られにくい。この比率の上限は特に規定しないが、5体積%以上の連続空隙率を確保することができる値が事実上の上限となる。結合材の種類や水との割合等によって5体積%以上の連続空隙率を確保できる比率a/bの上限は変化するが、どのような条件であっても0.7は超えない。なお、上記ペーストには数%程度の空気が含まれていてもよい。
上記混練物を型枠などに充填し、一定時間養生することで、水和硬化体が得られる。
次に、保水材(組成物)の好ましい条件について説明する。
保水材組成物の水スラリーをブロック体に含浸させて保水性ブロックを得る場合、保水材組成物としては、特に以下のものが保水性能に優れ、しかも保水性能が劣化しにくいので好ましい。
(イ)425μm以下の粒径の粉が60質量%以上となる粒度分布を有し、SiO2又は/及びCaCO3を合計で50質量%以上含む無機粉末100質量部に対して、セメントを1〜35質量部配合した保水材組成物。
(ロ)425μm以下の粒径の粉が60質量%以上となる粒度分布を有し、SiO2又は/及びCaCO3を合計で50質量%以上含む無機粉末が70〜99.95質量%と、高炉水砕スラグが0.05〜30質量%とからなる混合物100質量部に対して、セメントを1〜35質量部配合した保水材組成物。
(ハ)425μm以下の粒径の粉が60質量%以上となる粒度分布を有し、非晶質SiO2を50質量%以上含む無機粉末100質量部に対して、アルカリ刺激剤又は/及びセメントを合計で1〜35質量部配合した保水材組成物。
(ニ)425μm以下の粒径の粉が60質量%以上となる粒度分布を有し、非晶質SiO2を50質量%以上含む無機粉末が70〜99.95質量%と、高炉水砕スラグが0.05〜30質量%とからなる混合物100質量部に対して、アルカリ刺激剤又は/及びセメントを合計で1〜35質量部配合した保水材組成物。
以上の保水材組成物において、保水材の主剤である無機粉末は、425μm以下の粒径の粉が60質量%以上となる粒度分布を有することが必要であり、これよりも粗い粒度分布では、保水材組成物を水スラリーにした際に材料(保水材組成物)の分離が起こりやすく、また、水スラリーをブロック体に含浸させる際に目詰まりを起こして注入に支障をきたすなどの問題を生じやすい。
上記保水材組成物(イ)及び(ロ)において、SiO2又は/及びCaCO3を合計で50質量%以上含む無機粉末は、それ自身の反応性はほとんどなく、水を保持する空隙を粉末粒子間に形成することにより、保水性を発現する。この無機粉末は、SiO2又は/及びCaCO3の合計量が50質量%未満では、粉末粒子間に水を保持する空隙を安定して形成することができず、十分な保水性能が得られにくい。
SiO2を50質量%以上含む無機粉末としては、例えば、珪砂、珪砂粉、珪石粉、シリカヒュームなどが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。但し、これらに限定されるものではなく、成分としてSiO2を含有するものであれば問題なく使用できる。
CaCO3を50質量%以上含む無機粉末としては、例えば、炭酸カルシウム、石灰石粉などが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。但し、これらに限定されるものではなく、成分としてCaCO3を含有するものであれば問題なく使用できる。
また、SiO2又は/及びCaCO3を合計で50質量%以上含む無機粉末は、所定の粒径を満足するものであれば、例えば、砂、粘土、石炭灰等の無機成分を含んでいてもよい。
上記無機粉末に対して、必要に応じて、高炉水砕スラグを配合することができ、この高炉水砕スラグを配合することにより、高炉水砕スラグがCaO−SiO2−Al23−H2Oの構造となり、硬化体の微細空隙の形成が促進される。高炉水砕スラグとしては、水砕後所定の粒径以下に粉砕したものや、それに石膏を所定量加えた高炉スラグ微粉末、水砕スラグ磁選工程で集塵粉として集められたスラグ粉末などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
高炉水砕スラグは、製造時にすでに粒状化しているため、そのまま使用してもよい。また、高炉セメントなどに用いられる高炉水砕スラグを粉砕した高炉水砕スラグ微粉末は、平均粒径10μm以下程度の微粉であるため、好適に使用できる。
高炉水砕スラグを配合する場合、無機粉末と高炉水砕スラグの混合物中での無機粉末の割合を70〜99.95質量%、好ましくは85〜99.95質量%、より好ましくは90〜99.95質量%とし、高炉水砕スラグの割合を0.05〜30質量%、好ましくは0.05〜15質量%、より好ましくは0.05〜10質量%とする。混合物中における高炉水砕スラグの割合が30質量%を超えると、固化反応が進行し過ぎて平均気孔(空隙)径の低下を招き易くなり、吸水性能が低下する。また、ある程度の吸水量が確保できた場合でも、連続空隙(開気孔)に吸収された水は加熱されても短時間で放出されず、冷却効果が小さくなる。一方、高炉水砕スラグの割合が0.05質量%未満では、高炉水砕スラグを添加することによる効果が十分に得られない。
上記保水材組成物(ハ)及び(ニ)において、非晶質SiO2を50質量%以上含む無機質粉末は、アルカリ刺激剤及び/又はセメントを加えることでCa−Si−H間の反応が進み、微細な連続空隙(開気孔)の増大に寄与する。この無機粉末は、非晶質SiO2が50質量%未満では、上記作用による微細な連続空隙(開気孔)の形成が不十分であり、十分な保水性能が得られない。
非晶質SiO2を50質量%以上含む無機粉末としては、例えば、石炭火力発電所から発生するクリンカーアッシュ等が挙げられるが、これに限定されるものではなく、成分として非晶質SiO2を含むものであれば問題なく使用できる。
次に、結合材については、上記保水材組成物(イ)及び(ロ)では、無機粉末100質量部又は無機粉末+高炉水砕スラグの混合物100質量部に対して、セメントを1〜35質量部、好ましくは5〜30質量部、より好ましくは10〜25質量部配合する。
セメントは水を加えると反応が進み粒径が変化するが、セメントは一般に平均粒径5μm程度の微粉であるため、そのまま使用しても、ブロック体に含浸させる際に目詰まりなどを生じる恐れはない。
セメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、速硬セメント、超速硬セメント、高炉セメントなど挙げられ、これらの1種以上を使用することができる。
セメントの配合量が1質量部未満では、水和反応が不十分であるため、ブロック体の連続空隙内で無機粉末や高炉水砕スラグを結合・固定するための強度がほとんど発現せず、一方、35質量部を超えると、セメント量が多すぎて無機粉末や高炉水砕スラグによって形成される空隙を閉塞させてしまう。
また、上記保水材組成物(ハ)及び(ニ)では、無機粉末100質量部又は無機粉末+高炉水砕スラグの混合物100質量部に対して、アルカリ刺激剤又は/及びセメントを合計で1〜35質量部、好ましくは5〜30質量部、より好ましくは10〜25質量部配合する。
アルカリ刺激剤も水を加えると反応が進み、粒径が変化するが、アルカリ刺激剤として使用される物の多くは水溶性であり、工業用の消石灰や水酸化マグネシウムも最大粒径100μm以下、平均粒径5μm以下であるため、そのまま使用しても、ブロック体に含浸させる際に目詰まりなどを生じる恐れはない。また、セメントについても上述したとおりであり、問題はない。
アルカリ刺激剤は、非晶質SiO2や高炉水砕スラグをポゾラン反応、潜在水硬性により自己硬化させる機能を有するものであり、このような機能を有するものであれば特に種類は問わないが、経済性や入手容易性からして、水酸化ナトリウムに代表されるアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウムや酸化カルシウムに代表されるアルカリ土類金属の水酸化物及び酸化物を用いることができる。なお、セメントは、それ自体が固化材として機能するが、アルカリ刺激剤としての機能も有している。セメントとしては、上述した各種セメントのうちの1種以上を使用することができる。
アルカリ刺激剤又は/及びセメントの配合量が1質量部未満では、アルカリ刺激反応や水和反応が不十分であるため、ブロック体の連続空隙内で無機粉末や高炉水砕スラグを結合・固定するための強度がほとんど発現せず、一方、35質量部を超えると、アルカリ刺激反応や水和反応が過剰になるため、無機粉末や高炉水砕スラグによって形成される空隙を閉塞させてしまう。
保水材組成物には、以上述べた構成成分に加えて、シルトや粘土などの他の無機粒子を配合してもよいが、無機粉末に要求される粒度と同様に、粒径425μm以下の割合が60質量%以上のものであることが必要である。
以上のような保水材組成物は、吸水性能、保水性能に優れ、しかもブロック体に含浸させた後には、その性能低下が小さいという特徴がある。
この保水材組成物をブロック体の連続空隙に保持させるには、保水材組成物に水を加えて水スラリーとし、これをブロック体に含浸させることにより、保水材を連続空隙内に注入する。水スラリーは、通常、保水材組成物の100質量部に対して水を50〜350質量部程度加えたものであるが、添加水の最適範囲は保水材組成物の粒度分布によって異なるため、水の添加量は保水材組成物の粒度分布に応じて50〜350質量部程度の範囲で適宜選択すればよい。
以上の述べたブロック体とこれに注入する保水材組成物の好ましい条件からして、本発明で用いる保水性ブロックの最適な実施形態は、ブロック体として、JIS A 1102「骨材のふるい分け試験方法」に準拠したふるい分けにおいて1.2mmのふるいに留まる粗粒の製鋼スラグを主体とする製鋼スラグと、水硬性を有する粒径0.1mm以下の粉体からなる結合材とを水の存在下で混練し、水和反応により硬化させた硬化体であって、結合材の単位量が70kg/m以上、空隙率が5〜40体積%の硬化体を用い、このブロック体に対して、さきに挙げた保水材組成物(イ)〜(ニ)のいずれかの水スラリーを含浸させることにより、連続空隙内に保水材を注入したものである。
保水性ブロックは任意な方法で製造することができるが、通常は、以下のようにして製造する。すなわち、保水材組成物に水を加えて水スラリーとしたものを、連続空隙を有するブロック体に含浸させ、連続空隙内に保水材組成物を注入する。しかる後、ブロック体を養生させ、必要に応じて乾燥させることにより、保水性ブロックを得ることができる。
ブロック体に対する水スラリーの含浸(注入)は大気圧下で行ってもよいが、所定の減圧雰囲気下で行えば、より円滑且つ短時間で含浸処理を行うことができる。
また、ブロック体に水スラリーを含浸(注入)させる方法は任意であり、ブロック体に水スラリーを散布する方法のほかに、例えば、ブロック体を水スラリー中に浸漬してもよい。
[実施例1]
コンクリート又は鉄鋼スラグの水和硬化体からなるブロック体に、表1に示す保水材組成物の水スラリーを含浸させた後、20℃、湿度60%の室内で養生し、その後60℃で7日間蒸気養生した後、60℃で5日間乾燥し、本発明で用いる保水性ブロックを製造した。なお、蒸気養生を行ったのは、結合材を十分に反応させ、数年間使用後と同じ状態にするためである。
これら保水性ブロックを建物や舗装などの建築・土木施工物の資材として用いた場合を想定し、保水性ブロックの吸水性能と保水性能を確認するために、以下の手法で吸水質量と質量減少率を求めた。
まず、吸水試験により最大吸水質量と1時間吸水質量を測定した。ここで、1時間吸水質量とは、各ブロックの質量(初期質量)を測定した後に、ブロックの下端から5mmに相当する部分を流水中に浸し、1時間後に質量を測定してブロックの初期質量を差し引いた値の前記初期質量に対する割合(=[差し引いた値/ブロックの初期質量]×100)であり、1時間の間にブロックが吸収した水量に相当する。また、最大吸水質量とは、上記1時間吸水質量を測定したブロックを、さらに24時間水中に全体を浸漬保持して吸水させ、吸水後の質量から前記初期質量を差し引いた値の同初期質量に対する割合(=[差し引いた値/ブロックの初期質量]×100)である。
また、この最大吸水質量を求めたブロックを60℃に保持して5日間乾燥させ、乾燥後の質量を測定して前記ブロックの吸水試験実施前の質量を差し引き、乾燥後吸水質量を求めた。この乾燥後吸水質量と前記最大吸水質量とから、質量減少率を下式により求めた。
質量減少率(%)=[(最大吸水質量−乾燥後吸水質量)/最大吸水質量]×100
以上の吸水性能及び保水性能の測定結果を、保水性ブロックの構成及び製造条件とともに表2に示す。
Figure 2008008041
Figure 2008008041
[実施例2]
保水性ブロックを用いた本発明に係る舗装と従来の保水性アスファルト舗装などを想定し、以下のような試験を実施した。
下記のような本発明例と比較例の試験体について、表面をハロゲンライト(130W)で加熱し、表面温度の経時変化を調べた。この試験では、各試験体に対して水を24時間吸水させた後、湿度60%RHの室内に保持し、3時間経過した時点でハロゲンライトの照射を4時間行い、その後、照射を止めた。この一連の過程での試験体の表面温度の推移を図1に示す。
(1)本発明例
表2の発明例2の保水性ブロックに相当するものを使用した。この保水性ブロックは、保水材組成物の水スラリーを300mm×300mm×50mmのポーラスコンクリートブロック体(連続空隙率20%)に含浸させ、水スラリーが硬化した後にブロック体表面に付着した硬化物を雑巾で拭って除去したものである。
(2)比較例1
本発明例で用いたポーラスコンクリートブロック体(連続空隙率20%)であって、保水材組成物の水スラリーを含浸させなかったものを使用した。
(3)比較例2
300mm×300mm×50mmの開粒度アスファルトのブロック体(連続空隙率20%)に、本発明例で使用した保水性ブロックと同じく表1の水スラリーBを含浸させ、水スラリーが硬化した後にブロック体表面に付着した硬化物を雑巾で拭って除去したもの(保水材の注入率は有効空隙の100%)を使用した。
(4)比較例3
比較例2で用いた開粒度アスファルトのブロック体(連続空隙率20%)であって、保水材組成物の水スラリーを含浸させなかったものを使用した。
なお、本発明例と比較例2において、ブロック体表面に付着した水スラリーの硬化物を拭うのは、次のような理由による。すなわち、保水材(硬化後の水スラリー)はアスファルトやポーラスコンクリートとの接着強度が小さいために、舗道などとして使用することにより磨耗し、表面に付着した保水材が直ぐに剥がれてしまう。そこで、実際の使用条件を考慮して、あらかじめ表面に付着した硬化物を雑巾で拭って除去した。
開粒度アスファルトは黒色、ポーラスコンクリートは灰色であり、ポーラスコンクリートはアスファルトよりも熱を反射しやすい。このため比較例1と比較例3を較べた場合、比較例1は比較例3よりも表面温度のピークが7℃低い。一方、本発明例と比較例2を較べると、本発明例は比較例2よりも表面温度のピークが10℃も低く、上記比較例1と比較例3の温度差よりもさらに温度差が大きい。これは、ポーラスコンクリートの熱の反射と保水材からの水の蒸発の相乗効果によるものと考えられる。
[実施例3]
実施例2と同じ試験体について、ハロゲンライト(130W)による加熱時間を長くして、表面温度の経時変化を調べた。この試験では、各試験体を水を24時間吸水させた後、湿度60%RHの室内に保持し、3時間経過した時点でハロゲンライトの照射を開始し、その後、最長で約18時間にわたって照射を続けた。この一連の過程での試験体の表面温度の推移を図2に示す。
本発明例と比較例2を較べると、本発明例は比較例2よりも表面温度の上昇速度がかなり小さく、冷却効果が長時間持続していることが判る。これは、アスファルトの場合には温度が高くなるため保持した水の蒸発速度が早いのに対して、本発明例では温度を相対的に低くできるため、保持した水を適度な速度で蒸発させることができるためであると考えられる。
また、比較例2,3のアスファルトブロックは、それぞれ試験開始後約8時間、約18時間でアスファルトが軟化しはじめた。
実施例2において、本発明例と比較例の試験体の表面温度の経時変化を示すグラフ 実施例3において、本発明例と比較例の試験体の表面温度の経時変化を示すグラフ

Claims (11)

  1. 連続空隙を有するブロック体の前記連続空隙内に保水材が保持され、該保水材が少なくとも、粉末粒子間で保水を行う無機粉末とその結合材とを含むものである保水性ブロックを、少なくとも一部に用いて構成されたことを特徴とする建築又は土木施工物。
  2. 建物、土木構造物、舗装、擁壁、塀、植栽用構造物のうちのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の建築又は土木施工物。
  3. 保水性ブロックを敷設して構成された舗装であることを特徴とする請求項2に記載の建築又は土木施工物。
  4. 保水ブロックを屋上又は/及び外壁に設置した建物であることを特徴とする請求項2に記載の建築又は土木施工物。
  5. ブロック体が無機粒子の水和硬化体又は炭酸固化体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の建築又は土木施工物。
  6. ブロック体が製鋼スラグを骨材とする水和硬化体であることを特徴とする請求項5に記載の建築又は土木施工物。
  7. 水和硬化体が、JIS A 1102「骨材のふるい分け試験方法」に準拠したふるい分けにおいて1.2mmのふるいに留まる粗粒の製鋼スラグを主体とする製鋼スラグと、水硬性を有する粒径0.1mm以下の粉体からなる結合材とを水の存在下で混練し、水和反応により硬化させた硬化体であって、結合材の単位量が70kg/m以上、連続空隙率が5〜40体積%の硬化体であることを特徴とする請求項6に記載の建築又は土木施工物。
  8. 連続空隙を有するブロック体に保水材組成物の水スラリーを含浸させて得られる保水性ブロックであって、前記保水材組成物は、425μm以下の粒径の粉が60質量%以上となる粒度分布を有し、SiO2又は/及びCaCO3を合計で50質量%以上含む無機粉末100質量部に対して、セメントを1〜35質量部配合したものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の建築又は土木施工物。
  9. 連続空隙を有するブロック体に保水材組成物の水スラリーを含浸させて得られる保水性ブロックであって、前記保水材組成物は、425μm以下の粒径の粉が60質量%以上となる粒度分布を有し、SiO2又は/及びCaCO3を合計で50質量%以上含む無機粉末が70〜99.95質量%と、高炉水砕スラグが0.05〜30質量%とからなる混合物100質量部に対して、セメントを1〜35質量部配合したものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の建築又は土木施工物。
  10. 連続空隙を有するブロック体に保水材組成物の水スラリーを含浸させて得られる保水性ブロックであって、前記保水材組成物は、425μm以下の粒径の粉が60質量%以上となる粒度分布を有し、非晶質SiO2を50質量%以上含む無機粉末100質量部に対して、アルカリ刺激剤又は/及びセメントを合計で1〜35質量部配合したものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の建築又は土木施工物。
  11. 連続空隙を有するブロック体に保水材組成物の水スラリーを含浸させて得られる保水性ブロックであって、前記保水材組成物は、425μm以下の粒径の粉が60質量%以上となる粒度分布を有し、非晶質SiO2を50質量%以上含む無機粉末が70〜99.95質量%と、高炉水砕スラグが0.05〜30質量%とからなる混合物100質量部に対して、アルカリ刺激剤又は/及びセメントを合計で1〜35質量部配合したものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の建築又は土木施工物。
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