JP2008007632A - 粘着フィルムの製造方法および粘着フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】基材層に対する粘着剤層の密着性に優れ、基材層の薄膜化が可能な上、基材層中に透明性など光学特性を低下させる滑材などを含ませる必要がなく、生産性に優れた粘着フィルムの製造方法および粘着フィルムを提供する。
【解決手段】エネルギー線硬化により常温で粘着性を発現する粘着剤層形成用の樹脂層Aと、エネルギー線硬化により常温で粘着性を発現しないで固化する基材層形成用の樹脂層Bとを多層コーティングした後に、エネルギー線を照射して前記樹脂層Aと樹脂層Bとを同時に完全に硬化させることにより、基材層の少なくとも一方の面に粘着剤層が積層された粘着フィルムを一度に形成する。基材層に対する粘着剤の密着性が向上するので、糊残りの問題が発生しにくくなる。また、基材層および粘着剤の厚さを自由に設定しても製造上の問題が生じないので、基材層の厚さを薄くすることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、粘着フィルムの製造方法および粘着フィルムに関する。
一般に粘着フィルムは、各種フィルムからなる基材フィルムの片面に、アクリル系やゴム系の溶剤型粘着剤、エマルジョン型粘着剤、またはホットメルト型粘着剤などからなる粘着剤層を設けたものであり、製品形態としては、粘着剤面に剥離フィルムや剥離紙等のセパレーターを貼り合わせたり、基材フィルムの背面(粘着剤側とは反対の面)に剥離剤を塗布する剥離処理を施してテープ状に巻き上げたりした形態とされている。粘着フィルムの製造には、基材フィルムに直接粘着剤を塗布、乾燥・硬化したのち粘着材面にセパレーターを貼り合わせる方法、セパレーターの剥離処理面に粘着剤を塗布したのち粘着剤を乾燥・硬化する方法、セパレーターの剥離処理面に粘着剤を塗布、乾燥・硬化したのち粘着剤に基材フィルムを貼り合わせる方法が用いられている。
近年、例えばディスプレイ用の粘着フィルムや保護フィルムにおいては、歩留まり向上、及びコスト削減のため、保護フィルムまたはパネル等に不具合があった場合には、パネルと保護フィルムとを分離して、不具合のない保護フィルムまたはパネル等を再利用することが行われている。また、工業製品の廃棄処分時には製品を分解し、構成部品を材料の種類毎に分別処分するという要求から、粘着フィルムを使用した工業製品を廃棄する際に、粘着フィルムを被着体から剥離して分別する必要性が出てきている。このため、粘着フィルムに対してリワーク性や貼付け位置の修正作業性、廃棄時の剥離し易さが要求されつつあり、さらには、粘着フィルムを剥離したときに糊残り(被着体表面に粘着剤が残る現象)が生じないことが求められている。しかし、従来の製造方法による粘着フィルムでは、基材フィルムに対する粘着剤の投錨力が不十分であり、被着体に対する粘着力が強い場合には糊残りが生じて問題となることがあった。
一方、廃棄物の問題に関して、粘着フィルムが廃棄物となったときの減容化の点から基材層の厚さを薄くすることも求められつつある。しかし、従来の製造方法では、基材フィルムの厚さが薄くなると、粘着剤の塗工・乾燥装置における加工時に基材フィルムに掛ける張力を弱くせざるを得ず、基材フィルムのシワ、よじれを防ぐためには、基材フィルムの厚さに比べて粘着剤層を厚く塗布することが難しいのが実情である。また、粘着剤をセパレーター上に塗布した後に基材フィルムを貼り合わせる方法の場合、基材フィルムの厚さが薄いと基材フィルムの貼合時にシワや浮きが生じやすいという問題がある。
さらに、粘着剤を基材フィルムに塗布する方法では、基材フィルムの厚さがロールに巻き取れる程度の厚さを有していないと、連続加工ができないという問題がある。また、基材フィルム自体は、ロール状に巻き取るときの摩擦によるシワや傷つき等の問題を避けるため、カオリン、炭酸カルシウム、コロイダルシリカ等の滑材を添加する、樹脂合成時に使用する触媒等の一部または全部を析出させる、もしくは表面に微粒子層や塗布層を設ける(例えば特許文献1、2参照)等の方法により、基材フィルムの表面に滑り性を付与して、ロール状に円滑に巻き取れるようにしている。しかし、光学分野への応用を考慮すると、基材フィルム自体は高透明な樹脂を採用しても、滑材の添加、触媒の析出、表面への凹凸の形成等の手法を採用した場合には、基材フィルムの光学特性(透明性など)が劣ると考えられる。
特開平5−70612号公報 特開2003−119305号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、基材層に対する粘着剤層の密着性に優れ、基材層の薄膜化が可能な上、基材層中に透明性など光学特性を低下させる滑材などを含ませる必要がなく、生産性に優れた粘着フィルムの製造方法および粘着フィルムを提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、エネルギー線硬化により常温で粘着性を発現する粘着剤層形成用の樹脂層Aと、エネルギー線硬化により常温で粘着性を発現しないで固化する基材層形成用の樹脂層Bとを多層コーティングした後に、エネルギー線を照射して前記樹脂層Aと樹脂層Bとを同時に完全に硬化させることにより、基材層の少なくとも一方の面に粘着剤層が積層された粘着フィルムを一度に形成することを特徴とする粘着フィルムの製造方法を提供する。
本発明の製造方法において、前記樹脂層Aおよび樹脂層Bは、無溶剤型のエネルギー線硬化性組成物からなることが好ましい。前記樹脂層Aは、硬化後に粘着剤層となる少なくとも2層の樹脂層で多層コーティングすることができる。前記樹脂層Aおよび樹脂層Bは、セパレーター上に多層コーティングすることができる。
また、本発明は、上述の製造方法により得られることを特徴とする、基材層の少なくとも一方の面に粘着剤層が積層された粘着フィルムを提供する。
本発明の粘着フィルムにおいて、前記基材層の硬化後のガラス転移点が20℃を超え、前記粘着剤層の硬化後のガラス転移点が20℃以下であることが好ましい。
本発明によれば、粘着剤層形成用の樹脂層Aと、基材層形成用の樹脂層Bとを同時に重合・硬化させて粘着剤層と基材層とを一度に形成するので、下記の効果を奏する。
(1)基材層と粘着剤の層間に化学結合が形成しやすくなることや基材層に対する粘着剤層の投錨効果により密着性が向上するので、ガラスや金属板など粘着力が強くなる被着体に貼付した場合でも、糊残りの問題が発生しにくくなる。
(2)基材層および粘着剤の厚さを自由に設定することができ、基材層の厚さを薄くしても製造上の問題が生じない。よって、従来よりも薄型の粘着フィルムを製造することができる。
(3)製造工程中、基材層を単独でロール状に巻き取る工程がないので、基材層に滑材など滑り性を付与するための成分を混入させる必要がない。よって、透明性等の光学特性的が優れた粘着フィルムを製造することができる。
粘着剤層形成用の樹脂層Aと、基材層形成用の樹脂層Bとして、無溶剤型のエネルギー線硬化性樹脂組成物を用いた場合、溶剤を使用しないので作業環境の悪化や大気汚染につながる揮発性有機化合物(VOC)の発生もほとんどない。また、エージング(養生)や乾燥が不要のため、生産に要する時間が短くなり、コンパクトな設備で製造できる。
以下、最良の形態に基づいて本発明を説明する。
本発明の粘着フィルムの製造方法は、エネルギー線硬化により常温で粘着性を発現する粘着剤層形成用の樹脂層Aと、エネルギー線硬化により常温で粘着性を発現しないで固化する基材層形成用の樹脂層Bとを多層コーティングした後に、エネルギー線を照射して前記樹脂層Aと樹脂層Bとを同時に完全に硬化させることにより、基材層の少なくとも一方の面に粘着剤層が積層された粘着フィルムを一度に形成することを特徴とする。
ここで、粘着剤層形成用の樹脂層Aおよび基材層形成用の樹脂層Bを形成する方法としては、セパレーター上への多層コーティングを好ましく採用することができる。この場合、セパレーターの上には、前記樹脂層Aおよび樹脂層Bを少なくとも各1層ずつコーティングすれば一般的な粘着フィルムの構成となるが、本発明において粘着剤層形成用の樹脂層Aおよび基材層形成用の樹脂層Bの積層の数や厚さは、多層コーティングした全体が可撓性を有する限りにおいて限定されず、必要となる機能によって粘着剤層形成用の樹脂層Aおよび/または基材層形成用の樹脂層Bを複数層とすることもできる。粘着剤層形成用の樹脂層Aは、硬化後に粘着剤層となる少なくとも2層の樹脂層を多層コーティングしたものとすることもできる。
セパレーターとしては、例えば、ポリカーボネートフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリオレフィンフィルム、ノルボルネン系フィルム、フェノキシエーテル型重合体フィルム、有機耐透気性フィルムをはじめとする単層または複層プラスチックフィルムにシリコーン系剥離剤等による剥離処理を施して少なくとも片面が剥離性を有する剥離フィルム;紙にシリコーン系剥離剤等による剥離処理を施して少なくとも片面が剥離性を有する剥離紙;フッ素系樹脂フィルムやある種のポリオレフィン系フィルムなどフィルム自体が剥離性を有するフィルム;剥離剤を内添して製膜したフィルムなどが挙げられる。セパレーターの厚さに限定はないが、通常は5〜500μm、好ましくは10〜100μmとすることが多い。セパレーターは、使用する粘着剤や使用用途(剥離強度)に合わせて選ばれるものとする。
粘着剤層形成用の樹脂層Aは、エネルギー線照射により硬化するエネルギー線硬化性化合物を含有する、粘着剤層形成用の樹脂組成物のコーティングによって形成することができる。樹脂層Aの硬化に用いるエネルギー線としては、加熱や、活性エネルギー線(紫外線、電子線、場合により可視光線など)が挙げられる。
加熱により硬化を図る場合には、予め粘着剤層形成用の樹脂組成物全体に対し0.1〜5重量%程度の重合開始剤を配合するのが通常である。重合開始剤としては、有機過酸化物系やジアゾニウム系重合開始剤などが好適に用いられる。
紫外線や可視光線などの照射により硬化を図る場合には、予め粘着剤層形成用の樹脂組成物全体に対し0.1〜10重量%程度の重合開始剤を配合するのが通常である。しかし、カチオン系、アニオン系重合方式を用いる場合は必要ない場合もある。なお活性エネルギー線照射の場合は、照射後に必要に応じて加熱処理を行うことにより、硬化の完全化を図ることもでき、その逆に加熱処理を行ってからエネルギー線照射でも構わず、二種以上のエネルギー線照射を組み合わせても構わない。
紫外線や可視光線などの照射により硬化を図る場合に用いられる光重合開始剤は、特に限定されず、例えばベンゾイン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、アセトフェノンジエチルケタール、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられるが、中でもベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンなどが好適に用いられる。
カチオン系光重合開始剤としては、オニウム塩系、トリ(置換)フェニルスルホニウム系、ジアゾスルホン系、ヨードニウム系などの開始剤が好適に用いられる。アニオン系光重合開始剤には、アルキルリチウム系などの有機金属系開始剤などが好適に用いられる。
粘着剤層形成用の樹脂組成物の配合は、エネルギー線硬化後の皮膜のガラス転移点が20℃以下となるように調整することが好ましい。
粘着剤層形成用の樹脂組成物としては、流動性ある無溶剤型の高粘度粘着性樹脂組成物が好ましい。特に、ソフトセグメントを与えるモノマー成分およびハードセグメントを与えるモノマー成分(さらには必要に応じ官能基含有モノマー成分や多官能の(メタ)アクリレート成分)を共重合して得られる粘着剤グレードのアクリル系共重合体を必須の構成要素とするものが好適に用いられる。
なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味する。
前記粘着剤グレードのアクリル系共重合体において、重合したときにソフトセグメントを与えるモノマー成分としては、アルキル基の炭素数が4以上のアルキルアクリレート(n−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等)、アルキル基の炭素数が6以上のアルキルメタクリレート(n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等)などが挙げられる。これらのモノマーは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ハードセグメントを与えるモノマー成分としては、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルアクリレート(メチルアクリレート等)、アルキル基の炭素数が1〜5のアルキルメタクリレート(メチルメタクリレート等)、酢酸ビニル、スチレンなどが挙げられる。これらのモノマーは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
官能基含有モノマー成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、グリシジル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのモノマーは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
多官能の(メタ)アクリレート成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコールのジ、トリまたはポリ(メタ)アクリレート;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
粘着剤グレードのアクリル系樹脂組成物には、上記のアクリル系共重合体とともに、先に述べたソフトセグメントを与えるモノマー、ハードセグメントを与えるモノマー、官能基含有モノマー、多官能の(メタ)アクリレートを、モノマー状で添加することが好ましい。これらのモノマーは、製膜時にはアクリル系共重合体の可塑剤として作用して流動性を与え、後にエネルギー線照射によって硬化して重合する。このようなモノマーと共にあるいはこのようなモノマーに代えて、比較的低分子量のオリゴマーや一般の可塑剤を用いることもできる。
また、粘度を高くするためにオリゴマー樹脂へ上記アクリレートモノマーを添加する配合もある。オリゴマーの具体例としては、ポリエステル系やポリカーボネート系などのウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、市販のオリゴエステルアクリレート、上記同様のメタクリレート類等などが挙げられる。これらのオリゴマーは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
高粘度粘着性樹脂組成物としては、上記のアクリル系重合体を必須の構成要素とするもののほか、ウレタン系、ポリカーボネート系、ポリエステル系、アクリルウレタン系、ゴム系、ビニル系、シリコーン系などの粘着剤グレードの樹脂組成物も用いることができる。
粘着剤層形成用の樹脂組成物の粘度は、20〜100000cps/20℃程度、好ましくは20〜80000cps/20℃、さらに好ましくは20〜12000cps/20℃とするのが適当である。
基材層形成用の樹脂層Bは、基材層形成用の樹脂組成物のコーティングによって形成することができる。基材層形成用の樹脂組成物は、流動性ある無溶剤型のエネルギー線硬化性組成物が好ましい。このエネルギー線硬化性組成物は、エネルギー線により硬化するエネルギー線硬化性化合物を必須成分として含有し、硬化後にタックのない樹脂が用いられる。
硬化に用いるエネルギー線としては、加熱や、活性エネルギー線(紫外線、電子線、場合により可視光線など)が挙げられる。
加熱により硬化を図る場合には、予め基材層形成用の樹脂組成物全体に対し0.1〜5重量%程度の重合開始剤を配合するのが通常である。重合開始剤としては、有機過酸化物系やジアゾニウム系重合開始剤などが好適に用いられる。
紫外線や可視光線などの照射により硬化を図る場合には、予め基材層形成用の樹脂組成物全体に対し0.1〜10重量%程度の重合開始剤を配合するのが通常である。しかし、カチオン系、アニオン系重合方式を用いる場合は必要ない場合もある。なお活性エネルギー線照射の場合は、照射後に必要に応じて加熱処理を行うことにより、硬化の完全化を図ることもでき、その逆に加熱処理を行ってからエネルギー線照射でも構わず、二種以上のエネルギー線照射を組み合わせても構わない。
紫外線や可視光線などの照射により硬化を図る場合に用いられる光重合開始剤は、特に限定されず、例えばベンゾイン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、アセトフェノンジエチルケタール、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられるが、中でもベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンなどが好適に用いられる。
カチオン系光重合開始剤としては、オニウム塩系、トリ(置換)フェニルスルホニウム系、ジアゾスルホン系、ヨードニウム系などの開始剤が好適に用いられる。アニオン系光重合開始剤には、アルキルリチウム系などの有機金属系開始剤などが好適に用いられる。
基材層形成用のエネルギー線硬化性組成物の配合は、エネルギー線硬化後の皮膜のガラス転移点が20℃を超えるように調整することが好ましい。
前記エネルギー線硬化性化合物としては、アルキルアクリレートやアルキルメタクリレート、などの単官能の(メタ)アクリレート成分;多価アルコールのジ、トリまたはポリ(メタ)アクリレートやヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどの多官能の(メタ)アクリレート成分;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、グリシジル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミドなどの官能基含有モノマー成分;酢酸ビニル、スチレン、アクリルウレタン系オリゴマーなどが挙げられる。
本発明の粘着フィルムの製造方法では、セパレーターまたはその他の被塗布物の上に、粘着剤層形成用の樹脂層Aおよび基材層形成用の樹脂層Bを多層コーティングし、エネルギー線を照射して粘着剤層形成用の樹脂層Aと基材層形成用の樹脂層Bとを同時に硬化させる。また、エネルギー線を照射するとき、必要に応じて、コーティング層の上にエネルギー線を透過可能なセパレーター等を被せておくことができる。
これにより、基材層の少なくとも一方の面に粘着剤層が積層された粘着フィルムを一度に形成することができる。このように製造される粘着フィルムは、基材層の硬化後のガラス転移点が20℃を超え、前記粘着剤層の硬化後のガラス転移点が20℃以下であることが好ましい。これにより、常温で粘着性を発現する粘着剤層と、常温で粘着性を発現しない基材層とを有する粘着フィルムを得ることができる。
基材層形成用の樹脂組成物の粘度は、粘着層形成用の樹脂組成物と同じでも構わないし、異なっても構わない。各層をコーティングし各層が完全に相溶する前にエネルギー線を照射して硬化させることにより基材層および粘着層を一括で得ることが出来る。粘度が高い樹脂組成物を先にコーティングし、その後で粘度の低い樹脂組成物をコーティングするほうが、実際の生産工程では既存の装置を活用できるのでより良いと考えられる。また、粘度の低い樹脂組成物をセパレーターなどの支持体へコーティングする前に完全に硬化しない程度のエネルギー線を照射することにより粘度を少し上げてからコーティングする方法や、低粘度のままコーティングした後に、完全に硬化しない程度のエネルギー線を照射することにより粘度を少し上げてから次の低粘度組成物を積層コーティングし、その後で完全にエネルギー線による硬化させる手順を踏むなど、先にコートする樹脂組成物に対して何らかの方法で粘度をあげてから、次の樹脂組成物をコーティングすることが実際の生産工程では有効となる。
製造方法としては、下記の方法が考えられるが限定されるものではない。
エネルギー線照射処理を行なう雰囲気中の酸素濃度を出来るだけ下げた状態で活性エネルギー線(紫外線、電子線、場合により可視光線など)照射を行い、樹脂を硬化させる製造方法(1)と、活性エネルギー線照射処理を行なう雰囲気中には高濃度の酸素が存在する場合でも、エネルギー硬化性樹脂に酸素が接触しないようにしておき、活性エネルギー線照射を行う製造方法(2)が考えられる。
製造方法(1)は、具体的に、セパレーター(1)/粘着剤層形成用の樹脂層(A)/基材層形成用の樹脂層(B)の層構成を形成したのち、活性エネルギー線を照射後、セパレーター(1)/粘着剤層(a)/基材層(b)の層構成を有する粘着フィルムを製造する構成が考えられる。活性エネルギー線照射後の工程や製品としてセパレーター(2)が必要な場合は、活性エネルギー線照射前にセパレーター(2)を貼合しても構わないし、活性エネルギー線照射しながらセパレーター(2)を貼合しても構わないし、活性エネルギー線照射後にセパレーター(2)を貼合するなど、どの順番でも構わない。
製造方法(1)の場合は、活性エネルギー線照射前にセパレーター(2)を貼合しないため、重合阻害で硬化不十分にならないように、活性エネルギー線照射処理を行なう雰囲気を、窒素などの不活性ガスを用いて酸素濃度を出来るだけ下げた雰囲気にガス置換しておく必要がある。ここで言う重合阻害とは、活性エネルギー線照射雰囲気中に酸素などのラジカルを吸収しやすい材料が存在することにより、重合に使用されているラジカルがとられてしまい、重合反応が進まないことを意味する。特に酸素の場合、活性エネルギー線照射により生成した酸素ラジカルによる酸素阻害を抑制するため、窒素ガス置換などによりエネルギー線照射処理を行なう雰囲気中の酸素濃度を出来るだけ下げることが好ましい。
重合阻害があっても硬化させるためには、高価な重合開始剤を多量に添加することが既知であるが、不純物として光重合開始剤の分解物が残ってしまい粘着力が変ってしまったり、糊が残ったり分解物が転写するなど、不具合の原因となることや、活性エネルギー線の総照射量が多くなり加工速度が落ちるなどの問題のため、実際の生産では有効ではない。このため、窒素などでのガス置換を行うことが必要となる。
製造方法(2)は、具体的に、セパレーター(1)/粘着剤層形成用の樹脂層(A)/基材層形成用の樹脂層(B)の層構成を形成し、セパレーター(2)を基材層形成用の樹脂層(B)に貼合しながらもしくは、貼合した後、活性エネルギー線を照射することによって、セパレーター(1)/粘着剤層(a)/基材層(b)/セパレーター(2)の層構成を有する粘着フィルムを製造する構成が考えられる。
活性エネルギー線照射後の工程や製品としてセパレーター(2)が不必要な場合は、エネルギー線照射後にセパレーター(2)を剥がして製品とする。
セパレーター(2)を用いることで、窒素などのガス置換を必要とせずに重合阻害がない環境を簡便に形成できることや、基材層(b)の表面保護、セパレーター表面構造の転写による基材層(b)の表面形状の制御が行なえるなど、安価な装置で付加価値を上げることが可能になる。しかし、セパレーター(2)をきれいに貼合するためには、粘着剤層形成用の樹脂層(A)や基材層形成用の樹脂層(B)の粘度は高いほうが好ましい。
そのため、粘度が低い基材層形成用の樹脂層(B)の場合には、若干硬化させて粘度を上げた状態でセパレーター(2)を貼合するなどの手順の工夫が必要となるため、セパレーター(1)/粘着剤層形成用の樹脂層(A)/基材層形成用の樹脂層(B)の層構成の状態で若干硬化させた後、セパレーター(2)を貼合してから再度活性エネルギー線照射を行い完全硬化させるなど、製造方法(1)や製造方法(2)のオンラインやオフラインでの組み合わせも実際の生産では有効になると考えられる。
また、セパレーター(1)/粘着剤層形成用の樹脂層(A)のみを製造方法(1)やセパレーター(2)を合わせて製造方法(2)の状態で一度活性エネルギー線照射を行ない若干硬化させた後、粘着剤層形成用の樹脂層(A)の上に基材層形成用の樹脂層(B)をコートして製造方法(1)やセパレーター(2)を合わせて製造方法(2)の状態で活性エネルギー線照射し完全に硬化させるなど、一層ごと少しずつ硬化させて最後に全体を完全に硬化させるなど、積層方法には様々な手順を用いることができる。
また、加熱による硬化など、酸素ラジカルなどの重合阻害が少ない場合には、製造方法(1)又は製造方法(2)のどちらを選択しても構わない。
さらに、セパレーター(1)/粘着剤層(a)/基材層(b)/粘着剤層(a)/セパレーター(2)のような、基材層(b)の両面に粘着剤層(a)を有する両面粘着フィルムの構成も、上記製造方法(1)と製造方法(2)のいずれか一方の製造方法、又は両方の製造方法の組み合わせで作製できる。
粘着剤層側のセパレーター(1)は、粘着フィルムを被着体に貼付する直前で剥離除去するのが通常である。基材層側のセパレーター(2)はその必要が生じた時点で剥離除去すればよく、用途によっては、粘着フィルムを被着体に貼付したあとでも剥離除去しなくてよいこともある。例えば、被着体に貼付した粘着フィルムを保護するため、基材層側のセパレーター(2)を貼付したままとすることができる。
セパレーター(1)、(2)がロール状に巻き取られた長尺のフィルムまたはシートである場合には、製造した粘着フィルムを再度ロール状に巻き取ることができ、生産性に優れた製造方法となる。この場合、製造設備としては、巻き取られたセパレーター(1)を繰り出す繰り出し装置、セパレーター(1)上に粘着剤層形成用の樹脂層Aおよび基材層形成用の樹脂層Bを多層コーティングするコーター、多層コーティングの上にセパレーター(2)を貼り合わせる合わせロール、粘着剤層形成用の樹脂層Aおよび基材層形成用の樹脂層Bを硬化させるためのエネルギー線照射装置、粘着剤層および基材層が硬化した粘着フィルムを巻き取る巻き取り装置によって構成することができる。
従来、溶剤型粘着剤を基材フィルムに塗工して粘着フィルムを製造する場合では長大な乾燥機が必要であったが、本発明によれば乾燥機が必要ないので、繰り出し装置から巻き取り装置までの設備全長をコンパクトに収めることができる。また、乾燥やエージングが必要ないため製造に要する時間を短縮でき、生産性の向上、塵埃が製品に付着することの抑制を図ることができる。
なお、本発明において、粘着剤層形成用の樹脂層Aおよび基材層形成用の樹脂層Bが多層コーティングされる被塗布物は、粘着フィルムのセパレーターである必要はなく、例えばシリコーン等で剥離処理したステンレス板などを用いて、その上で多層コーティングおよびエネルギー線照射を行い、粘着剤層および基材層を有する粘着フィルムを製造することもできる。この場合、被塗布物から粘着フィルムを剥がした後には、製造した粘着フィルムの粘着剤層を保護するため、セパレーターと合わせてもよい。また、被塗布物から剥がした粘着フィルムを、そのまま被着体に貼付してもよい。
以上説明したように、本発明の粘着フィルムの製造方法によれば、多層コーティングした粘着剤層形成用の樹脂層Aおよび基材層形成用の樹脂層Bを、エネルギー線照射で同時に重合・硬化させることにより粘着剤層と基材層とを一度に形成するので、基材層に対する粘着剤層の密着性が向上し、ガラスや金属板などの粘着力が強くなる被着体に貼付した場合でも、被着体から粘着フィルムを剥がした時に糊残りの問題が発生しにくくなる。
また、本発明によれば、基材層および粘着剤の厚さを自由に設定することができ、製造上の問題が生じない。よって基材層厚さを薄くすることができ、従来よりも薄型の粘着フィルムを製造することができる。
製造工程中、基材層を単独でロール状に巻き取る工程がないので、基材層に滑材など滑り性を付与するための成分を混入させる必要がない。よって、透明性等の光学特性的が優れた粘着フィルムを製造することができる。
粘着剤層形成用の樹脂層Aおよび基材層形成用の樹脂層Bとして、無溶剤型のエネルギー線硬化性樹脂組成物を用いた場合、溶剤を使用しないので作業環境の悪化や大気汚染につながる揮発性有機化合物(VOC)の発生もほとんどない。このため、VOCを回収・処理する設備を置くための費用やスペースを削減できる。また、エージング(養生)や乾燥が不要のため、生産に要する時間が短くなり、コンパクトな設備で製造できる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下「部」とあるのは重量部である。
(実施例1)
剥離フィルム(1)、(2)の一例として、片面にシリコーン系剥離剤による剥離処理を施した厚さ38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。
また、粘着剤層(a)形成用の流動性ある無溶剤型の高粘度粘着性樹脂組成物(A)として、ブチルアクリレート−酢酸ビニル(重量比で65:35)共重合体170部に、ブチルアクリレート15部、酢酸ビニル5部、アクリル酸10部およびベンゾインイソブチルエーテル(光重合開始剤)2部よりなる粘度11500cps/20℃の樹脂液を準備した。さらに、基材層(b)形成用のタックのないUV硬化性樹脂(B)として、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートに光重合開始剤(商品名:Irgacure184、チバスペシャリティーケミカルス製)を混合した混合液を準備した。
上記の剥離フィルム(1)に、上記の粘着剤層(a)形成用の高粘度粘着性樹脂組成物(A)とUV硬化性樹脂(B)を2層同時コートし、これらの2層のコーティング層上に剥離フィルム(2)を泡が入らないように貼合させた。出力120W/cm、ランプ距離150mm、積算光量600mJ/cmの条件で紫外線照射を行ってコーティング層を硬化させた。これにより、剥離フィルム(1)/粘着剤層(a)/基材層(b)/剥離フィルム(2)の層構成を有する粘着フィルムを得た。
得られた粘着フィルムについて、剥離フィルム(2)を剥離除去して基材層(b)を手で触ってみるとタックのない状態であることが分かった。また、この粘着フィルムを手で曲げてみたところ、粘着剤層(a)/基材層(b)の界面では剥離しないことを断面顕微鏡観察で確認できた。剥離フィルム(1)を徐々に剥離させた面を手で触るとタックのある粘着面であることが確認できた。さらに、剥離フィルム(1)、(2)を剥離した粘着フィルムを一般的なガラスへ貼合したところ、貼着操作も円滑であった。
粘着フィルムの重要な性能であるカット性を確認するため、かみそり刃(フェザー安全剃刀株式会社製、製品名FAS−10)でカットし基材層/粘着層界面を顕微鏡観察したところ、剥離していないことを確認できた。さらに、その界面を偏光顕微鏡で断面を観察したところ、明確な界面は観察できず、連続層いわゆる傾斜層になっていることが確認でき、界面は各樹脂が傾斜層を形成することで強固に密着していると推定された。
粘着剤層(a)のガラス転移点(Tg)をJIS K7224−4により調べたところ、動的損失正接(Tanδ)のピークが約−25℃付近に現れ、Tgは−25℃であると考えられる。また、基材層(b)のTgは約76℃であった。
(実施例2)
粘着剤層(a)形成用の流動性ある無溶剤型の高粘度粘着性樹脂組成物(A)として、2−エチルヘキシルアクリレート−メチルメタクリレート−アクリル酸(重量比で70:20:10)共重合体160部に、ブチルアクリレート20部、メチルメタクリレート10部、アクリル酸10部およびベンゾインイソブチルエーテル(光重合開始剤)3部よりなる粘度5500cps/20℃の樹脂液を準備した。この高粘度粘着性樹脂組成物(A)以外は実施例1と同様にして、剥離フィルム(1)/粘着剤層(a)/基材層(b)/剥離フィルム(2)の層構成を有する粘着フィルムを得た。
得られた粘着フィルムについて、剥離フィルム(2)を剥離除去して基材層(b)を手で触ってみるとタックのない状態であることが分かった。また、この粘着フィルムを手で曲げてみたところ、粘着剤層(a)/基材層(b)の界面では剥離しないことを断面顕微鏡観察で確認できた。剥離フィルム(1)を徐々に剥離させた面を手で触るとタックのある粘着面であることが確認できた。さらに、剥離フィルム(1)、(2)を剥離した粘着フィルムを一般的なガラスへ貼合したところ、貼着操作も円滑であった。
粘着フィルムの重要な性能であるカット性を確認するため、かみそり刃(フェザー安全剃刀株式会社製、製品名FAS−10)でカットし基材層/粘着層界面を顕微鏡観察したところ、剥離していないことを確認できた。さらに、その界面を偏光顕微鏡で断面を観察したところ、明確な界面は観察できず、連続層いわゆる傾斜層になっていることが確認でき、界面は各樹脂が傾斜層を形成することで強固に密着していると推定された。
粘着剤層(a)のガラス転移点(Tg)をJIS K7224−4により調べたところ、動的損失正接(Tanδ)のピークが約−10℃付近に現れ、Tgは−10℃であると考えられる。また、基材層(b)のTgは約76℃であった。
(実施例3)
粘着剤層(a)形成用の流動性ある無溶剤型の高粘度粘着性樹脂組成物(A)として、2−エチルヘキシルアクリレート50部、2−ヒドロキシプロピルアクリレート50部、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート0.50部および光重合開始剤(商品名:Irgacure184、チバスペシャリティーケミカルス製)3部よりなる粘度30cps/20℃の樹脂液を準備した。この高粘度粘着性樹脂組成物(A)以外は実施例1と同様にして、剥離フィルム(1)/粘着剤層(a)/基材層(b)/剥離フィルム(2)の層構成を有する粘着フィルムを得た。
得られた粘着フィルムについて、剥離フィルム(2)を剥離除去して基材層(b)を手で触ってみるとタックのない状態であることが分かった。また、この粘着フィルムを手で曲げてみたところ、粘着剤層(a)/基材層(b)の界面では剥離しないことを断面顕微鏡観察で確認できた。剥離フィルム(1)を徐々に剥離させた面を手で触るとタックのある粘着面であることが確認できた。さらに、剥離フィルム(1)、(2)を剥離した粘着フィルムを一般的なガラスへ貼合したところ、貼着操作も円滑であった。
粘着フィルムの重要な性能であるカット性を確認するため、かみそり刃(フェザー安全剃刀株式会社製、製品名FAS−10)でカットし基材層/粘着層界面を顕微鏡観察したところ、剥離していないことを確認できた。さらに、その界面を偏光顕微鏡で断面を観察したところ、明確な界面は観察できず、連続層いわゆる傾斜層になっていることが確認でき、界面は各樹脂が傾斜層を形成することで強固に密着していると推定された。
粘着剤層(a)のガラス転移点(Tg)をJIS K7224−4により調べたところ、動的損失正接(Tanδ)のピークが約−10℃付近に現れ、Tgは−10℃であると考えられる。また、基材層(b)のTgは約76℃であった。
(実施例4)
粘着剤層(a)形成用の流動性ある無溶剤型の高粘度粘着性樹脂組成物(A)として、ハードセグメントとしてベンゼン環を有し、繰り返し単位にアルキル基を有するウレタンアクリレートオリゴマー50部に2−エチルヘキシルアクリレート50部および光重合開始剤(商品名:Irgacure184、チバスペシャリティーケミカルス製)3部よりなる粘度550cps/20℃の樹脂液を準備した。この高粘度粘着性樹脂組成物(A)以外は実施例1と同様にして、剥離フィルム(1)/粘着剤層(a)/基材層(b)/剥離フィルム(2)の層構成を有する粘着フィルムを得た。
得られた粘着フィルムについて、剥離フィルム(2)を剥離除去して基材層(b)を手で触ってみるとタックのない状態であることが分かった。また、この粘着フィルムを手で曲げてみたところ、粘着剤層(a)/基材層(b)の界面では剥離しないことを断面顕微鏡観察で確認できた。剥離フィルム(1)を徐々に剥離させた面を手で触るとタックのある粘着面であることが確認できた。さらに、剥離フィルム(1)、(2)を剥離した粘着フィルムを一般的なガラスへ貼合したところ、貼着操作も円滑であった。
粘着フィルムの重要な性能であるカット性を確認するため、かみそり刃(フェザー安全剃刀株式会社製、製品名FAS−10)でカットし基材層/粘着層界面を顕微鏡観察したところ、剥離していないことを確認できた。さらに、その界面を偏光顕微鏡で断面を観察したところ、明確な界面は観察できず、連続層いわゆる傾斜層になっていることが確認でき、界面は各樹脂が傾斜層を形成することで強固に密着していると推定された。
粘着剤層(a)のガラス転移点(Tg)をJIS K7224−4により調べたところ、動的損失正接(Tanδ)のピークが約−25℃付近に現れ、Tgは−25℃であると考えられる。また、基材層(b)のTgは約76℃であった。
(実施例5)
粘着剤層(a)形成用の流動性ある無溶剤型の高粘度粘着性樹脂組成物(A)として、2−エチルヘキシルアクリレート−メチルメタクリレート−アクリル酸(重量比で70:20:10)共重合体160部に、ブチルアクリレート20部、メチルメタクリレート10部、アクリル酸10部および光重合開始剤(商品名:Irgacure184、チバスペシャリティーケミカルス製)3部よりなる粘度5500cps/20℃の樹脂液を準備した。また、基材層(b)形成用のタックのないUV硬化性樹脂(B)として、メタクリル酸メチルに光重合開始剤(商品名:Irgacure184、チバスペシャリティーケミカルス製)を混合した混合液を準備した。これら高粘度粘着性樹脂組成物(A)およびUV硬化性樹脂(B)以外は実施例1と同様にして、剥離フィルム(1)/粘着剤層(a)/基材層(b)/剥離フィルム(2)の層構成を有する粘着フィルムを得た。
得られた粘着フィルムについて、剥離フィルム(2)を剥離除去して基材層(b)を手で触ってみるとタックのない状態であることが分かった。また、この粘着フィルムを手で曲げてみたところ、粘着剤層(a)/基材層(b)の界面では剥離しないことを断面顕微鏡観察で確認できた。剥離フィルム(1)を徐々に剥離させた面を手で触るとタックのある粘着面であることが確認できた。さらに、剥離フィルム(1)、(2)を剥離した粘着フィルムを一般的なガラスへ貼合したところ、貼着操作も円滑であった。
粘着フィルムの重要な性能であるカット性を確認するため、かみそり刃(フェザー安全剃刀株式会社製、製品名FAS−10)でカットし基材層/粘着層界面を顕微鏡観察したところ、剥離していないことを確認できた。さらに、その界面を偏光顕微鏡で断面を観察したところ、明確な界面は観察できず、連続層いわゆる傾斜層になっていることが確認でき、界面は各樹脂が傾斜層を形成することで強固に密着していると推定された。
粘着剤層(a)のガラス転移点(Tg)をJIS K7224−4により調べたところ、動的損失正接(Tanδ)のピークが約−25℃付近に現れ、Tgは−25℃であると考えられる。また、基材層(b)のTgは約105℃であった。
(実施例6)
粘着剤層(a)形成用の流動性ある無溶剤型の高粘度粘着性樹脂組成物(A)として、ビスフェノールA エポキシアクリレート50部に2−エチルヘキシルアクリレート100部および光重合開始剤(商品名:Irgacure184、チバスペシャリティーケミカルス製)3部よりなる粘度70cps/20℃の樹脂液を準備した。また、基材層(b)形成用のタックのないUV硬化性樹脂(B)として、メタクリル酸メチルに光重合開始剤(商品名:Irgacure184、チバスペシャリティーケミカルス製)を混合した混合液を準備した。これら高粘度粘着性樹脂組成物(A)およびUV硬化性樹脂(B)以外は実施例1と同様にして、剥離フィルム(1)/粘着剤層(a)/基材層(b)/剥離フィルム(2)の層構成を有する粘着フィルムを得た。
得られた粘着フィルムについて、剥離フィルム(2)を剥離除去して基材層(b)を手で触ってみるとタックのない状態であることが分かった。また、この粘着フィルムを手で曲げてみたところ、粘着剤層(a)/基材層(b)の界面では剥離しないことを断面顕微鏡観察で確認できた。剥離フィルム(1)を徐々に剥離させた面を手で触るとタックのある粘着面であることが確認できた。さらに、剥離フィルム(1)、(2)を剥離した粘着フィルムを一般的なガラスへ貼合したところ、貼着操作も円滑であった。
粘着フィルムの重要な性能であるカット性を確認するため、かみそり刃(フェザー安全剃刀株式会社製、製品名FAS−10)でカットし基材層/粘着層界面を顕微鏡観察したところ、剥離していないことを確認できた。さらに、その界面を偏光顕微鏡で断面を観察したところ、明確な界面は観察できず、連続層いわゆる傾斜層になっていることが確認でき、界面は各樹脂が傾斜層を形成することで強固に密着していると推定された。
粘着剤層(a)のガラス転移点(Tg)をJIS K7224−4により調べたところ、動的損失正接(Tanδ)のピークが約−30℃付近に現れ、Tgは−30℃であると考えられる。また、基材層(b)のTgは約105℃であった。
(実施例7)
剥離フィルム(1)、(2)の一例として、片面にシリコーン系剥離剤による剥離処理を施した厚さ38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。
また、粘着剤層(a)形成用の流動性ある無溶剤型の高粘度粘着性樹脂組成物(A)として、2−エチルヘキシルアクリレート50部、2−ヒドロキシプロピルアクリレート50部、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート0.50部および光重合開始剤(商品名:Irgacure184、チバスペシャリティーケミカルス製)3部よりなる粘度30cps/20℃の樹脂液を準備した。さらに、基材層(b)形成用のタックのないUV硬化性樹脂(B)として、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートに光重合開始剤(商品名:Irgacure184、チバスペシャリティーケミカルス製)を混合した混合液を準備した。
上記の剥離フィルム(1)に、上記の粘着剤層(a)形成用高粘度粘着性樹脂組成物(A)をコートし、コーティング層上に剥離フィルム(2)を泡が入らないように貼合させた。出力120W/cm、ランプ距離150mm、積算光量約50mJ/cmの条件で紫外線照射することで、樹脂の硬化を行った。剥離フィルム(2)を剥離させ、剥離面にUV硬化性樹脂(B)をコートし、これらの2層のコーティング層上に新しい剥離フィルム(2)を泡が入らないように貼合させた。出力120W/cm、ランプ距離150mm、積算光量600mJ/cmの条件で紫外線照射を行ってコーティング層を完全に硬化させた。これにより、剥離フィルム(1)/粘着剤層(a)/基材層(b)/剥離フィルム(2)の層構成を有する粘着フィルムを得た。
得られた粘着フィルムについて、剥離フィルム(2)を剥離除去して基材層(b)を手で触ってみるとタックのない状態であることが分かった。また、この粘着フィルムを手で曲げてみたところ、粘着剤層(a)/基材層(b)の界面では剥離しないことを断面顕微鏡観察で確認できた。剥離フィルム(1)を徐々に剥離させた面を手で触るとタックのある粘着面であることが確認できた。さらに、剥離フィルム(1)、(2)を剥離した粘着フィルムを一般的なガラスへ貼合したところ、貼着操作も円滑であった。
粘着フィルムの重要な性能であるカット性を確認するため、かみそり刃(フェザー安全剃刀株式会社製、製品名FAS−10)でカットし基材層/粘着層界面を顕微鏡観察したところ、剥離していないことを確認できた。さらに、その界面を偏光顕微鏡で断面を観察したところ、明確な界面は観察できず、連続層いわゆる傾斜層になっていることが確認でき、界面は各樹脂が傾斜層を形成することで強固に密着していると推定された。
粘着剤層(a)のガラス転移点(Tg)をJIS K7224−4により調べたところ、動的損失正接(Tanδ)のピークが約−10℃付近に現れ、Tgは−10℃であると考えられる。また、基材層(b)のTgは約76℃であった。
(実施例8)
粘着剤層(a)形成用の流動性ある無溶剤型の高粘度粘着性樹脂組成物(A)として、2−エチルヘキシルアクリレート50部、2−ヒドロキシプロピルアクリレート50部、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート0.50部および光重合開始剤(商品名:Irgacure184、チバスペシャリティーケミカルス製)3部を、あらかじめ窒素パージ下で撹拌しながら紫外線照射することにより粘度を上げ、酸素を添加することにより反応を止めた状態よりなる粘度900cps/20℃の樹脂組成物の樹脂液を準備した。この高粘度粘着性樹脂組成物(A)以外は実施例1と同様にして、剥離フィルム(1)/粘着剤層(a)/基材層(b)/剥離フィルム(2)の層構成を有する粘着フィルムを得た。
得られた粘着フィルムについて、剥離フィルム(2)を剥離除去して基材層(b)を手で触ってみるとタックのない状態であることが分かった。また、この粘着フィルムを手で曲げてみたところ、粘着剤層(a)/基材層(b)の界面では剥離しないことを断面顕微鏡観察で確認できた。剥離フィルム(1)を徐々に剥離させた面を手で触るとタックのある粘着面であることが確認できた。さらに、剥離フィルム(1)、(2)を剥離した粘着フィルムを一般的なガラスへ貼合したところ、貼着操作も円滑であった。
粘着フィルムの重要な性能であるカット性を確認するため、かみそり刃(フェザー安全剃刀株式会社製、製品名FAS−10)でカットし基材層/粘着層界面を顕微鏡観察したところ、剥離していないことを確認できた。さらに、その界面を偏光顕微鏡で断面を観察したところ、明確な界面は観察できず、連続層いわゆる傾斜層になっていることが確認でき、界面は各樹脂が傾斜層を形成することで強固に密着していると推定された。
粘着剤層(a)のガラス転移点(Tg)をJIS K7224−4により調べたところ、動的損失正接(Tanδ)のピークが約−10℃付近に現れ、Tgは−10℃であると考えられる。また、基材層(b)のTgは約76℃であった。
(比較例1)
剥離フィルム(1)、(2)、(3)、(4)の一例として、片面にシリコーン系剥離剤による剥離処理を施した厚さ38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。
粘着剤層(a)形成用の高粘度粘着性樹脂組成物(A)、基材層(b)形成用のUV硬化性樹脂(B)としては、実施例1で準備したものを用いた。
上記の剥離フィルム(1)に、上記の粘着剤層(a)形成用の高粘度粘着性樹脂組成物(A)をコートした後、剥離フィルム(2)を泡が入らないように貼合させた。出力120W/cm、ランプ距離150mm、積算光量600mJ/cmの条件で紫外線照射を行うことにより、剥離フィルム(1)/粘着剤層(a)/剥離フィルム(2)の層構成を有する積層体を製造した。
同様に、剥離フィルム(3)に、上記のUV硬化性樹脂(B)をコートした後、剥離フィルム(4)を泡が入らないように貼合させた。出力120W/cm、ランプ距離150mm、積算光量600mJ/cmの条件で紫外線照射を行うことにより、剥離フィルム(3)/基材層(b)/剥離フィルム(4)の層構成を有する積層体を製造した。
粘着剤層(a)については剥離フィルム(1)を、また基材層(b)については剥離フィルム(4)を剥がし、剥がした面同士をロールプレス機にて貼合した。これにより、剥離フィルム(2)/粘着剤層(a)/基材層(b)/剥離フィルム(3)の層構成を有する粘着フィルムが得られた。
得られた粘着フィルムについて、剥離フィルム(3)を剥離除去したあとの基材層(b)を手で触ってみるとタックのない状態であることが分かった。また、この粘着フィルムを手で曲げた後、粘着剤層(a)/基材層(b)の界面を断面顕微鏡で観察したところ、界面で剥れている部分が確認できた。その界面を光学顕微鏡・偏光顕微鏡で断面を観察したところ、明確な界面が観察され、その界面で剥離していることが確認できた。また、剥離フィルム(2)を徐々に剥離させた後、一般的なガラスへ貼合したところ、貼着はできたが、粘着剤層(a)/基材層(b)の界面で剥離が生じ、白化することがあった。
(比較例2)
粘着剤層(a)形成用の高粘度粘着性樹脂組成物(A)および基材層(b)形成用のUV硬化性樹脂(B)としては、実施例3で準備したものを用いた。これら高粘度粘着性樹脂組成物(A)およびUV硬化性樹脂(B)以外は比較例1と同様にして、剥離フィルム(1)/粘着剤層(a)/基材層(b)/剥離フィルム(2)の層構成を有する粘着フィルムを得た。
得られた粘着フィルムについて、剥離フィルム(3)を剥離除去したあとの基材層(b)を手で触ってみるとタックのない状態であることが分かった。また、この粘着フィルムを手で曲げた後、粘着剤層(a)/基材層(b)の界面を断面顕微鏡で観察したところ、界面で剥れている部分が確認できた。その界面を光学顕微鏡・偏光顕微鏡で断面を観察したところ、明確な界面が観察され、その界面で剥離していることが確認できた。また、剥離フィルム(2)を徐々に剥離させた後、一般的なガラスへ貼合したところ、貼着はできたが、粘着剤層(a)/基材層(b)の界面で剥離が生じ、白化することがあった。
(比較例3)
粘着剤層(a)形成用の高粘度粘着性樹脂組成物(A)および基材層(b)形成用のUV硬化性樹脂(B)としては、実施例4で準備したものを用いた。これら高粘度粘着性樹脂組成物(A)およびUV硬化性樹脂(B)以外は比較例1と同様にして、剥離フィルム(1)/粘着剤層(a)/基材層(b)/剥離フィルム(2)の層構成を有する粘着フィルムを得た。
得られた粘着フィルムについて、剥離フィルム(3)を剥離除去したあとの基材層(b)を手で触ってみるとタックのない状態であることが分かった。また、この粘着フィルムを手で曲げた後、粘着剤層(a)/基材層(b)の界面を断面顕微鏡で観察したところ、界面で剥れている部分が確認できた。その界面を光学顕微鏡・偏光顕微鏡で断面を観察したところ、明確な界面が観察され、その界面で剥離していることが確認できた。また、剥離フィルム(2)を徐々に剥離させた後、一般的なガラスへ貼合したところ、貼着はできたが、粘着剤層(a)/基材層(b)の界面で剥離が生じ、白化することがあった。
(比較例4)
剥離フィルム(1)の一例として、片面にシリコーン系剥離剤による剥離処理を施した厚さ38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。
粘着剤層(a)形成用の高粘度粘着性樹脂組成物(A)として、2−エチルヘキシルアクリレート−アクリル酸(重量比で95:5)共重合体100部にポリイソシアネート硬化剤を3部添加し、トルエン溶媒を加えて粘度500cpsに調整した。基材(b)にポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡:E5000)を用いた。
上記の基材(b)に、上記の粘着剤層(a)形成用高粘度粘着性樹脂組成物(A)をコートした後80℃で乾燥し、剥離フィルム(2)を泡が入らないように貼合させた。そのあと、40℃中で一週間熟成させ硬化させることにより、剥離フィルム(1)/粘着剤層(a)/基材(b)の層構成を有する積層体を製造した。
得られた粘着フィルムの粘着剤層(a)/基材(b)の界面を断面顕微鏡で観察したところ、明確な界面が観察された。また、剥離フィルム(2)を徐々に剥離させた後、一般的なガラスへ貼合したところ、貼着はでき、この時点では白化は認められなかったが、再度ガラスから剥がそうとすると、粘着剤層(a)/基材(b)の界面および、粘着剤層(a)の凝集破壊がおこり、白化することがあった。
粘着剤層(a)のガラス転移点(Tg)をJIS K7224−4により調べたところ、動的損失正接(Tanδ)のピークが約−60℃付近に現れ、Tgは−60℃であると考えられる。また、基材(b)のTgは約70℃であった。
(比較例5)
剥離フィルム(1)、(2)、(3)の一例として、片面にシリコーン系剥離剤による剥離処理を施した厚さ38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。粘着剤層(a)形成用の高粘度粘着性樹脂組成物(A)および基材層(b)形成用のUV硬化性樹脂(B)としては、実施例3で準備したものを用いた。
上記の剥離フィルム(1)に、上記の粘着剤層(a)形成用高粘度粘着性樹脂組成物(A)をコートし、コーティング層上に剥離フィルム(3)を泡が入らないように貼合させた。出力120W/cm、ランプ距離150mm、積算光量約600mJ/cmの条件で紫外線照射することでコーティング層を完全に硬化させた。剥離フィルム(3)を剥離させ、剥離面にUV硬化性樹脂(B)をコートし、これらの2層のコーティング層上に新しい剥離フィルム(2)を泡が入らないように貼合させた。出力120W/cm、ランプ距離150mm、積算光量600mJ/cmの条件で紫外線照射を行ってコーティング層を完全に硬化させた。これにより、剥離フィルム(1)/粘着剤層(a)/基材層(b)/剥離フィルム(2)の層構成を有する粘着フィルムを得た。
得られた粘着フィルムの粘着剤層(a)/基材層(b)の界面を断面顕微鏡で観察したところ、明確な界面が観察された。また、剥離フィルム(2)を徐々に剥離させた後、一般的なガラスへ貼合したところ、貼着はでき、この時点では白化は認められなかったが、再度ガラスから剥がそうとすると、粘着剤層(a)/基材層(b)の界面および、粘着剤層(a)の凝集破壊がおこり、白化することがあった。
以上の評価結果を表1にまとめて示す。
Figure 2008007632
以上述べたように、実施例1〜8の粘着フィルムは、手で曲げたときに粘着剤層(a)/基材層(b)の界面では剥離しないことを断面顕微鏡観察で確認でき、かみそり刃でカットした断面の基材層/粘着層界面を顕微鏡観察したときに剥離していないことを確認でき、さらに、その界面を偏光顕微鏡で断面を観察したときに、明確な界面は観察できず、連続層いわゆる傾斜層になっていることが確認できた。これらの結果から、基材密着性は「〇」と評価することができる。また、剥離フィルム(1)、(2)を剥離した粘着フィルムを一般的なガラスへ貼合したところ、貼着操作も円滑であった。このため、貼合性は「〇」と評価することができる。したがって、総合評価は「◎」と評価することができる。実施例1〜8の粘着フィルムの製造方法は、溶媒の使用および乾燥工程がないので、「VOC発生なし」と評価することができる。
これに対して、比較例1〜3の粘着フィルムは、粘着フィルムを手で曲げた後、粘着剤層(a)/基材層(b)の界面を断面顕微鏡で観察したときに界面で剥れている部分が確認でき、その界面を光学顕微鏡・偏光顕微鏡で断面を観察したときに、明確な界面が観察され、その界面で剥離していることが確認でき、また、剥離フィルム(2)を徐々に剥離させた後、一般的なガラスへ貼合したところ、貼着はできたが、粘着剤層(a)/基材層(b)の界面で剥離が生じ、白化することがあった。これらの結果から、貼合性は「〇」、基材密着性は「×」、総合評価は「×」と評価することができる。
比較例4,5の粘着フィルムは、粘着剤層(a)/基材(b)の界面を断面顕微鏡で観察したときに明確な界面が観察され、また、剥離フィルム(2)を徐々に剥離させた後、一般的なガラスへ貼合したところ、貼着はでき、この時点では白化は認められなかったものの、再度ガラスから剥がそうとすると、粘着剤層(a)/基材(b)の界面および、粘着剤層(a)の凝集破壊がおこり、白化することがあった。これらの結果から、貼合性は「〇」、基材密着性は「△」、総合評価は「×」と評価することができる。比較例4の粘着フィルムの製造方法は、トルエン溶媒の乾燥工程を有するので、「VOC発生あり」と評価することができる。
本発明の粘着フィルムの製造方法は、各種の粘着フィルム、例えば光学フィルムや保護フィルムの製造に利用することができる。

Claims (6)

  1. エネルギー線硬化により常温で粘着性を発現する粘着剤層形成用の樹脂層Aと、エネルギー線硬化により常温で粘着性を発現しないで固化する基材層形成用の樹脂層Bとを多層コーティングした後に、エネルギー線を照射して前記樹脂層Aと樹脂層Bとを同時に完全に硬化させることにより、基材層の少なくとも一方の面に粘着剤層が積層された粘着フィルムを一度に形成することを特徴とする粘着フィルムの製造方法。
  2. 前記樹脂層Aおよび樹脂層Bは、無溶剤型のエネルギー線硬化性組成物からなることを特徴とする請求項1に記載の粘着フィルムの製造方法。
  3. 前記樹脂層Aは、硬化後に粘着剤層となる少なくとも2層の樹脂層で多層コーティングすることを特徴とする請求項1または2に記載の粘着フィルムの製造方法。
  4. 前記樹脂層Aおよび樹脂層Bは、セパレーター上に多層コーティングすることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の粘着フィルムの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法により得られることを特徴とする、基材層の少なくとも一方の面に粘着剤層が積層された粘着フィルム。
  6. 前記基材層の硬化後のガラス転移点が20℃を超え、前記粘着剤層の硬化後のガラス転移点が20℃以下であることを特徴とする請求項5に記載の粘着フィルム。
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