JP2008004329A - 荷電粒子ビーム装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】試料の状態および撮影条件に依存せず、安定して良好な画像情報を取得することができる荷電粒子ビーム装置を実現する。
【解決手段】試料1と概ね同電位の基準静電電極4およびこの基準静電電極4を挟む一対の円筒形フィルター電極5および5′を、電子銃30および加速場電極14の間に設け、円筒形フィルター電極5および5′に正の電位を印加し、さらに制御部9によりこの電位を調整することにより、試料1で発生された2次電子の発生の際のエネルギーの大きさにより、2次電子51を分離検出することとしているので、低エネルギー帯の2次電子を除去することができ、ひいてはSEM画像に含まれる、像全体を明るくする成分を除去し、安定して良好な画像情報の取得を行うことを実現させる。
【選択図】図1

Description

この発明は、荷電粒子ビームを試料に照射し、この試料から発生される2次電子を検出する荷電粒子ビーム装置に関する。
近年、半導体集積回路では、回路パターンの微細化が一層進んでいる。これらの回路パターンを検査するために、高倍率、高分解能の荷電粒子ビーム装置である走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEMと略称される)が用いられる。また、半導体集積回路では、その表面に低誘電率膜を設けたり、あるいは石英ガラスウェハーを用いたりするので、電気的絶縁性の高い素材が多用される。
これら電気的絶縁性の高い素材に、走査型電子顕微鏡の電子ビームが照射されると、表面に電荷が蓄積される帯電(チャージアップ)という現象が生じる。この帯電現象は、SEMで取得される画像情報に影響を与える。例えば、照射される電子ビームを構成する1次電子線の軌道の変化、あるいは照射された試料から発生する2次電子線の軌道の変化等が生じ、ひいては分解能の低下等を生じる。
この帯電現象に起因する画像情報の劣化を小さなものとする手法として、減速場形成技術(以下、リターディング技術と称する)が開示されている(例えば、特許文献1参照)。リターディング技術によれば、電子ビームを加速する加速場電極に加え、試料近傍に電子ビームを減速する減速場電極を設ける。そして、加速場の大きさを維持したまま、すなわち色収差の影響を低減した条件で合焦点制御したまま、減速場により、試料に入射する電子ビームのエネルギ―を小さなものとし、分解能を維持したまま試料の帯電の大きさを小さく抑える。
図15は、リターディング技術が搭載された走査型電子顕微鏡100の一例を示す概略断面図である。走査型電子顕微鏡100は、試料1、電子検出部24、信号検出器17、走査コイル13、加速場電極14、磁界レンズ15、減速場電極16、可変電源18〜20、表示部21および走査制御部22等を含む。なお、試料1、電子検出部24、信号検出器17、走査コイル13、加速場電極14、磁界レンズ15および減速場電極16は、図示しない高真空の鏡筒内に配設される。
試料1は、半導体集積回路が形成されたシリコンウェーハ等であり、走査コイル13は、1次電子ビーム11を試料1上で走査させる偏向場を形成し、加速場電極14は、1次電子ビーム11を試料1の方向に加速する静電界を形成し、磁界レンズ15は、1次電子ビーム11を試料1上で集束させる磁界を形成し、減速場電極16は、1次電子ビーム11を試料1の方向に減速させる静電界を形成し、電子検出部24は検出した2次電子信号に応じた電気信号に変換する。そして、走査制御部22は、1次電子ビーム11を試料1上で走査するように走査コイル13を制御し、表示部21は、走査制御部22からの走査信号および信号検出器17からの電気信号に基づいて、試料1の走査領域の画像情報を形成し、表示する。
ここで、可変電源18〜20は、加速場電極14、減速場電極16および試料1の電位を決定する電源で、例えば、可変電源18は、1次電子ビーム11を発生する電子銃に対して正の高電圧とされ、可変電源19および20は、接地電位とされる。
一方、試料に照射される1次電子により、1次電子と反対方向に向かう2次電子が発生される。2次電子は、1次電子の減速場の存在により、鏡筒内に加速および吸入され、鏡筒内に配設される電子検出部24および信号検出器17により検出される。
図15には、鏡筒内での2次電子の飛行軌道を示す2次電子12が図示されている。試料1から放射される2次電子12は、放射角度に拡がり有し、1次電子ビーム11のために形成される磁界および電界の影響を受け、進行方向と直交する方向に集束および発散を繰り返し電子検出部24に達する。
国際公開第WO99/46798号パンフレット、(第5〜11頁、図1)
しかしながら、上記背景技術によれば、取得される画像情報は、試料1の状態および撮影条件に依存し、変化するものとなる。すなわち、1次電子ビーム11の制御の為に形成される鏡筒内の磁界および電界は、観察条件により変化し、これら磁界および電界の影響を受ける試料1の状態および2次電子12も変化し、画像情報が変化する。
例えば、試料1の表面が、電気的絶縁性の高い材料で広く覆われる際には、画像情報に像全体を明るくする成分を含むものとなる。加速電圧、即ち1次電子ビーム11の加速電圧が試料1からの2次電子発生効率が1より小さい電圧の時、試料1の表面が負に帯電し、試料1の表面電位が、試料1のその他の位置と比較して、数十V(ボルト)程度低くなる。これにより、2次電子に含まれる1〜3eVの低エネルギー成分は、試料1に引き戻されることなく、2次電子12の一部として放出され、この成分が像全体を明るくする要因と考えられている。
また、試料1の観察条件が変化する場合の例として、例えば試料表面高さの変化等、加速場電極14、磁界レンズ15および減速場電極16からなる対物レンズにより形成される電磁界が変化する場合が存在する。この場合、対物レンズにより形成される電磁界が変化することにより、2次電子12の飛行軌道が、図15に破線で示す2次電子12′の様に変化する場合が存在する。これにより、電子検出部24が有する2次電子12′の検出効率が低下し、取得される画像情報の信号強度が低下する。
また、他の例として、試料1の観察する表面を、入射する1次電子ビーム11に対して大きく傾斜させる場合が存在する。この場合、減速場電極16から試料1の方向に漏れ出る電界により、試料1の表面に電界歪みが生じる。この電界歪みにより、試料1から放射される2次電子は、飛行軌道が曲げられ,減速場電極16の試料1側に存在する開口部に到達しなくなり、取得される画像情報の信号強度が低下する。
これらのことから、試料1の状態および観察条件に依存せず、安定して良好な画像情報を取得することができる荷電粒子ビーム装置をいかに実現するかが重要となる。
この発明は、上述した背景技術による課題を解決するためになされたものであり、試料1の状態及び観察条件に依存せず、安定して良好な画像情報を取得することができる荷電粒子ビーム装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の発明にかかる荷電粒子ビーム装置は、荷電粒子ビームが照射される試料と、前記試料の試料電位を基準として、前記荷電粒子ビームの加減速を行う静電界を形成する静電界形成手段と、前記試料から、前記荷電粒子ビームの照射方向に発生される2次電子を検出する信号検出部と、を備える荷電粒子ビーム装置であって、前記静電界形成手段は、中央に前記荷電粒子ビームを通過させる空孔を有する円板状の基準静電電極、中央に前記荷電粒子ビームを通過させる空洞を有し、前記基準静電電極を前記通過の前後方向から挟む位置に配設される一対の円筒形フィルター電極および前記円筒形フィルター電極の電位を変化させる可変電源を有し、前記信号検出部は、基準静電電極の上方向及び下方向のうち、少なくとも1つの方向に配設されることを特徴とする。
この請求項1に記載の発明では、静電界形成手段は、中央に荷電粒子ビームを通過させる空孔を有する円板状の基準静電電極、中央に荷電粒子ビームを通過させる空洞を有し、基準静電電極を荷電粒子ビームが通過する前後方向から挟む位置に配設される一対の円筒形フィルター電極および円筒形フィルター電極の電位を変化させる可変電源を有し、信号検出部を、荷電粒子ビームの通過を行う方向と直交する円筒形フィルター電極を囲む面内に配設する。
また、請求項2に記載の発明にかかる荷電粒子ビーム装置は、請求項1に記載の荷電粒子ビーム装置において、前記円筒形フィルター電極が、円筒形の側面がメッシュ状の金網からなることを特徴とする。
この請求項2に記載の発明では、円筒形フィルター電極の側面を、容易に電子ビームが透過する。
また、請求項3に記載の発明にかかる荷電粒子ビーム装置は、請求項1または2に記載の荷電粒子ビーム装置において、前記円筒形フィルター電極が、前記試料電位よりも高電位にされることを特徴とする。
この請求項3に記載の発明では、2次電子の進行方向を、円筒形フィルター電極の側面に向かわせる。
また、請求項4に記載の発明にかかる荷電粒子ビーム装置は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の荷電粒子ビーム装置において、前記静電界形成手段が、前記基準静電電極の電位を変化させる可変電源を備えることを特徴とする。
この請求項4に記載の発明では、2次電子を、電子が有するエネルギーにより選別する。
また、請求項5に記載の発明にかかる荷電粒子ビーム装置は、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の荷電粒子ビーム装置において、前記信号検出部が、前記面内の異なる複数の方向に配設されることを特徴とする。
この請求項5に記載の発明では、円筒形フィルター電極の異なる方向の側面を透過した2次電子を検出する。
また、請求項6に記載の発明にかかる荷電粒子ビーム装置は、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の荷電粒子ビーム装置において、前記静電界形成手段が、前記試料に荷電粒子ビームを射出する側に減速場電界を生成する際に、前記減速場電極および前記試料の間に、前記通過を行う方向を向く軸に対して非回転対称の形状を有する偏向電極を備えることを特徴とする。
この請求項6に記載の発明では、試料の表面から発生する2次電子の飛行軌道を補正する。
また、請求項7に記載の発明にかかる荷電粒子ビーム装置は、請求項6に記載の荷電粒子ビーム装置において、前記偏向電極が、扇形の湾曲形状を有し、前記荷電粒子ビームを互いに異なる方向から囲む3つの偏向電極板を備えることを特徴とする。
この請求項7に記載の発明では、試料の表面から発生する2次電子の、概ね荷電粒子ビームの照射方向と直交する面内位置を補正する。
また、請求項8に記載の発明にかかる荷電粒子ビーム装置は、請求項7に記載の荷電粒子ビーム装置において、前記偏向電極が、前記偏向電極板により、前記荷電粒子ビームを中心として前記荷電粒子ビームの走行方向と直交する周囲360度方向の内の4分の3以上の領域を占有することを特徴とする。
この請求項8に記載の発明では、2次電子の飛行軌道に、偏向電極板が存在しない方向で、大きな補正を行う。
また、請求項9に記載の発明にかかる荷電粒子ビーム装置は、請求項7または8に記載の荷電粒子ビーム装置において、前記荷電粒子ビーム装置が、3つの前記偏向電極板に接続され、前記偏向電極板ごとに電位を変化させる3つの第3の可変電源を備えることを特徴とする。
この請求項9に記載の発明では、偏向電極板が存在しない方向で、大きな補正とする。
また、請求項10に記載の発明にかかる荷電粒子ビーム装置は、請求項9に記載の荷電粒子ビーム装置において、前記可変電源が、前記偏向電極板の電位を、前記2次電子の飛行軌道が前記荷電粒子ビームの飛行軌道に近づく方向に変化させることを特徴とする。
この請求項10に記載の発明では、2次電子が、荷電粒子ビームを集束させるレンズ系から受ける球面収差の影響を軽減する。
また、請求項11に記載の発明にかかる荷電粒子ビーム装置は、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の荷電粒子ビーム装置において、前記荷電粒子ビームが、前記基準静電電極と加速レンズ間で集束されることを特徴とする。
この請求項11に記載の発明では、基準静電電極により形成される静電界が、荷電粒子ビームに与える影響を小さなものとする。
また、請求項12に記載の発明にかかる荷電粒子ビーム装置は、請求項11に記載の荷電粒子ビーム装置において、前記荷電粒子ビーム装置が、前記基準静電電極の前記荷電粒子ビームが通過する方向に配設される加速レンズを備えることを特徴とする。
この請求項12に記載の発明では、加速レンズにより、対物レンズをなす磁界レンズに、荷電粒子ビームを最適な開き角度で入射させる。
また、請求項13に記載の発明にかかる荷電粒子ビーム装置は、請求項1ないし12のいずれか1つに記載の荷電粒子ビーム装置において、前記荷電粒子ビーム装置が、前記荷電粒子ビームが集束する位置で、前記2次電子を集束させる回転対称型レンズを備えることを特徴とする。
この請求項13に記載の発明では、2次電子が、荷電粒子ビームを集束させるレンズ系から受ける球面収差の影響を軽減する。
また、請求項14に記載の発明にかかる荷電粒子ビーム装置は、請求項13に記載の荷電粒子ビーム装置において、前記回転対称型レンズが、前記位置に磁界を形成する磁界コイルを備えることを特徴とする。
この請求項14に記載の発明では、磁界により、2次電子の飛行軌道を変化させる。
また、請求項15に記載の発明にかかる荷電粒子ビーム装置は、請求項13に記載の荷電粒子ビーム装置において、前記回転対称型レンズが、前記位置に電界を形成する静電電極板を有し、前記静電電極板は、前記基準静電電極および前記加速レンズの電位の中間電位を有することを特徴とする。
この請求項15に記載の発明では、磁界により2次電子の飛行軌道を変化させる。
また、請求項16に記載の発明にかかる荷電粒子ビーム装置は、請求項13ないし15のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置において、前記回転対称型レンズは、前記位置が前記基準静電電極の空孔である際に、前記空孔近傍に前記2次電子を集束させることを特徴とする。
この請求項16記載の発明では、前記空孔近傍に2次電子を集束させる。
また、請求項17に記載の発明にかかる荷電粒子ビーム装置は、請求項1ないし16のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置において、前記基準静電電極は少なくとも4個以上の電極に分割され、分割されたそれぞれの電極に電圧を印加し、試料から放射された2次電子の飛行方向を調整することを特徴とする。
この請求項17記載の発明では、基準静電電極を多極構造とすることにより、2次電子の飛行方向を調整する。
また、請求項18に記載の発明にかかる荷電粒子ビーム装置は、請求項1ないし17のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置において、前記試料から放射される2次電子のうち、帯電情報のみを持つ低エネルギーの2次電子を検出する信号検出部を加速レンズの下方に配設することを特徴とする。
この請求項18記載の発明では、低エネルギーの電子を検出することができる。
また、請求項19に記載の発明にかかる荷電粒子ビーム装置は、前記荷電粒子ビーム装置は、前記荷電粒子ビームの荷電粒子が電子であることを特徴とする。
この請求項19記載の発明では、荷電粒子ビームとして電子ビームを使用する。
本発明によれば、試料と概ね同電位の基準静電電極およびこの基準静電電極を挟む一対の円筒形フィルター電極を、荷電粒子ビームである1次電子ビームの飛行軌道に沿って配設し、試料から発生される2次電子を、発生の際のエネルギーに基づいて選別および検出することとしているので、試料に電気的絶縁性の高い材料を用いる場合、2次電子から所望のエネルギーの電子のみを検出し、ひいては試料1の状態および撮影条件に依存せず、安定して良好な画像情報の取得を行うことができる。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる荷電粒子ビーム装置を実施するための最良の形態について説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
まず、本実施の形態1にかかる荷電粒子ビーム装置である走査型電子顕微鏡10の全体構成について説明する。図1は、走査型電子顕微鏡10の鏡筒部分の断面およびその他の制御部分を含む構成図である。走査型電子顕微鏡10は、試料1、電子銃30、制限絞り2、開き角制御レンズ3、基準静電電極4および4′、円筒形フィルター電極5および5′、加速レンズ6、走査コイル13、加速場電極14、磁界レンズ15、減速場電極16、電子銃制御部8、信号検出部40および40′、走査制御部22、磁界レンズ制御部7、制御部9、表示部21、可変電源18〜20、32、33および電源34を含む。
ここで、試料1、走査コイル13、加速場電極14、磁界レンズ15、減速場電極16、可変電源18〜20、表示部21および走査制御部22は、背景技術の欄で述べたものと全く同様であるので、説明を省略する。また、開き角制御レンズ3、基準静電電極4および4′、円筒形フィルター電極5および5′、加速レンズ6、加速場電極14、減速場電極16、可変電源18〜20、32〜34および電源34は、静電界形成手段をなす。
電子銃30は、試料1の方向である鉛直下方に向かって、荷電粒子ビームである1次電子ビーム31を発生する。この発生は、電子銃30に接続される電子銃制御部8により制御される。
制限絞り2は、電子銃30の鉛直下方に配設され、1次電子ビーム31の総量を、所定の電子量に制限する絞りである。開き角制御レンズ3は、制限絞り2の鉛直下方に配設され、後続するレンズおよび電極に対して、鉛直方向に適正な開き角度で1次電子ビーム31が入射される様に開き角度を制御するレンズである。
基準静電電極4′および4は、開き角制御レンズ3の鉛直下方に配設され、中心部分に円形の空孔を有する円板状の電極である。1次電子ビーム31は、電極板の円形空孔部分を、試料1に向かって通過する。なお、基準静電電極4′および4の電位は、図示しない可変電源により、試料1と同電位にされる。
円筒形フィルター電極5および5′は、側面がメッシュ状の電気導体からなる円筒形の電極であり、円筒の中心に位置する空洞部分を、1次電子ビーム31が通過する。円筒形フィルター電極5は基準静電電極4′の鉛直下方に配設され、円筒形フィルター電極5′は、基準静電電極4を挟んで、円筒形フィルター電極5の鉛直下方に配設される。ここで、円筒形フィルター電極5および5′には、可変電源32および33が接続され、円筒形フィルター電極5および5′の電位を変化させることができる。
信号検出部40および40′は、円筒形フィルター電極5および5′の水平方向に配設され、円筒形状を有するメッシュ状の円筒形フィルター電極5および5′の側壁を通過して、空洞内から放出される電子を検出し、電圧信号に変換する。ここで、信号検出部40および40′は、円筒形フィルター電極5および5′の側壁から放出される電子の総量を検出する様に、例えば、図示しない円筒形フィルター電極5および5′を囲む円筒形状のシンチレータおよび光ガイド等を含むようにすることもできる。
加速レンズ6は、円筒形フィルター電極5′の鉛直下方に配設される、レンズ作用を有する電極板である。加速レンズ6は、電源34と接続され、正電位にされる。これにより、加速レンズ6は、加速場電極14との間で、円筒形フィルター電極5′を通過した1次電子ビーム31に集束を加える電界分布を形成する。
走査コイル13、加速場電極14および減速場電極16は、背景技術の欄で述べたものと同様の構造を有し、走査コイル13は、1次電子ビーム31を走査する磁界を形成し、加速場電極14は、可変電源18により、正の4kV〜16kV程度の電圧が印加され、加速場電極14および減速場電極16の間に、1次電子ビーム31を集束させる電界レンズを形成する。
磁界レンズ制御部7は、磁界レンズ15に流される電流を制御し、荷電粒子ビームである1次電子ビーム31を試料1の表面に結像させる磁界を形成する。
制御部9は、電子銃制御部8、走査制御部22、磁界レンズ制御部7および可変電源18〜20、32、33を制御し、1次電子ビーム31の試料1への照射および走査を行い、さらに試料1から発生される2次電子を信号検出部40及び40´で検出し、試料1の画像情報を取得する。なお、この画像情報は、表示部21に表示される。
ここで、電子銃30で発生される1次電子ビーム31の発生方向は、鉛直下方を中心として、放射状に拡がっている。1次電子ビーム31は、後述する絞り、レンズおよび電極等の影響により、進行方向と直交する水平方向に集束および発散を繰り返す。図1に破線で示す1次電子ビーム31′は、この集束および発散を行う鉛直方向位置を示している。特に、基準静電電極4および加速レンズ6間の、加速レンズ6寄りの位置には、1次電子ビーム31′が一点に集束するクロスオーバーポイント41が存在する。また、加速場電極14および減速場電極16の間では、電磁界レンズの効果により、1次電子ビーム31′が再集束させられる。なお、1次電子ビーム31′を示す破線の水平方向位置は、集束および発散の鉛直方向位置を模式的に分かり易く示したものであり、1次電子ビーム31の実際の飛行軌道を現すものではない。
つづいて、本実施の形態1にかかる走査型電子顕微鏡10で発生される2次電子の動作について説明する。なお、本動作では、試料1の電位が接地電位とされる場合について説明する。しかし、試料1の電位は、加速場電極14、加速レンズ6、円筒形フィルター電極5および5′、並びに、基準静電電極4および4′等との相対電位が維持されていれば、接地電位に限定されず、任意の電位とすることができる。
図2および図3は、図1で示した走査型電子顕微鏡10の1次電子ビーム31により発生される2次電子、特にその飛行軌道を示す説明図である。なお、図2および図3では、2次電子50の飛行軌道を決定する電極およびレンズ等のみを図示し、その他の制御部分は、図示を省略する。
図2は、円筒形フィルター電極5および5′の電位が、制御部9により、基準静電電極4の電位と同一にされる場合の、2次電子50の飛行軌道を示す説明図である。試料1は、荷電粒子ビームである1次電子ビーム31の照射により、2次電子50を発生する。2次電子50は、減速場電極16からの漏洩電界により、加速場電極14内に加速および吸入される。加速場電極14内に吸入された2次電子50は、加速場電極14、磁界レンズ15および減速場電極16により形成される電磁界の影響を受け、集束および発散を行いつつ、鏡筒内の鉛直上方に存在する加速レンズ6および円筒形フィルター電極5′の方向へ進む。
2次電子50は、加速レンズ6の位置に達すると減速され、強い集束作用を受ける。そして、2次電子50は、集束および発散を行いつつ基準静電電極4の方向へ進む。
ここで、円筒形フィルター電極5′の電位は、基準静電電極4の電位と同一にされているので、2次電子50は、加速レンズ6を通過し、円筒形フィルター電極5′に入力する際に、強く減速され進行方向を反転する。この進行方向が反転した2次電子50は、水平方向の速度成分を有する際には、場合によっては加速レンズ6に衝突し、また、場合によっては、加速レンズ6との衝突を免れ、加速場電極14により形成される加速電界の影響で、加速場電極14の方向へ向かう。これにより、2次電子50が、信号検出部40および40′に到達することが防止される。
図3は、円筒形フィルター電極5および5′の電位が、制御部9により、基準静電電極4の電位に対して正電位にされる場合の、2次電子51の飛行軌道を示す説明図である。上述した図2の場合と全く同様に、2次電子51は、試料1に照射された1次電子ビーム31により発生され、加速レンズ6の位置に達する。
2次電子51は、加速レンズ6の位置に達すると減速される。しかし、円筒形フィルター電極5′の電位は、図2の場合と比較して高い電位に保たれているので、2次電子51が受ける減速効果は、小さなものとなる。
ここで、2次電子51は、試料1から発生される際に、図4に示す様な電子エネルギーの分布を有する。ここで縦軸は2次電子数、横軸は電子エネルギーである。2次電子は、概ね3〜4eV以下の低エネルギー帯の2次電子と、3〜4eVを越えるエネルギー帯のものとからなる。なお、低エネルギー帯の2次電子は、背景技術の欄で述べた様に、図1〜3に示す減速場電極16を有する走査型電子顕微鏡10を用いる際に、2次電子51の一部として鏡筒内に吸入される。
制御部9は、円筒形フィルター電極5′に印加される正の電位を、低エネルギー帯の2次電子が有する電子エネルギーが零となる3〜4V程度に設定する。これにより、円筒形フィルター電極5′の鉛直方向位置に到達した低エネルギー帯の2次電子は、円筒形フィルター電極5′および加速場電極14間に形成される電界による集束効果と相俟って、円筒形フィルター電極5′に向かう2次電子51aを形成する。そして、2次電子51aは、メッシュ状の円筒形フィルター電極5′の側面を透過し、信号検出部40′において検出され、電気信号に変換される。
一方、3〜4eVを越えるエネルギー帯の2次電子は、円筒形フィルター電極5′および基準静電電極4を鉛直上方に向かって通過し、2次電子51aと同様の集束効果により、円筒形フィルター電極5に向かう2次電子51bを形成する。そして、2次電子51bは、メッシュ状の円筒形フィルター電極5の側面を透過し、信号検出部40において検出され、電気信号に変換される。
その後、制御部9は、信号検出部40′および40において検出された電気信号を、走査制御部22で形成される同期信号に同期させて、表示部21に表示する。この際、制御部9は、信号検出部40′および40から出力される電気信号を選択し、一方のみをSEM画像として表示部21に表示する。また、制御部9は、これら2つの電気信号を、画像処理的手法を用いて合成したSEM画像の表示を行うこともできる。
上述してきたように、本実施の形態1では、円筒形フィルター電極5および5′、並びに、基準静電電極4および4′を、電子銃30および加速場電極14の間に設け、円筒形フィルター電極5および5′に正の電位を印加し、さらに制御部9によりこの電位を調整することにより、試料1で発生された2次電子の発生の際のエネルギーの大きさにより、2次電子51を分離検出することとしているので、低エネルギー帯の2次電子を除去することができ、ひいてはSEM画像に含まれる像全体を明るくする成分を除去することができる。
また、本実施の形態1では、2次電子51に含まれる低エネルギー帯の2次電子を除去する場合を例示したが、同時に加速レンズ6、開き角制御レンズ3の電位を調整することにより、1次電子ビーム31の飛行軌道を最適化し、分解能を向上することもできる。
また、本実施の形態1では、2次電子51は、基準静電電極4の近傍位置で、2次電子のエネルギーを最小とし、2次電子の速さが最小となるが、2次電子51を吸引する円筒形フィルター電極5および5′に印加する電位が小さな条件で2次電子51に含まれる電子のエネルギーに基づいた選別を可能とできるため、高精度な2次電子選択を可能とすることができる。
また、本実施の形態1では、基準静電電極4および4′は、図示しない可変電源により、試料1と同電位にされることとしたが、基準静電電極4および4′の試料1に対する電位を変化させることにより、2次電子51に含まれる電子のエネルギーに基づいた選別を、より適正で高精度なものとすることもできる。
また、本実施の形態1では、信号検出部40および40′は、円筒形フィルター電極5および5′の側面に1つずつ配設されたが、円筒形フィルター電極5および5′を囲む様に複数個の信号検出部を配設し、異なる方向に透過する2次電子を別個に検出することもできる。
また、本実施の形態1では、1次電子ビーム31の集束条件、例えば可変電源18〜20等の電圧を変更する際に、電界が変化するので試料1から発生される2次電子53の水平方向の拡がりも変化する。そして、この変化は、同時に円筒形フィルター電極5および5′による、2次電子53の分離検出機能も変化させる。
図5は、1次電子ビーム31の集束条件を変化させた場合に生じる、2次電子53aの飛行軌道の変化を示す説明図である。1次電子ビーム31の集束条件を変化させた場合に、2次電子53aは、試料1からの射出角度により、2次電子53aの様に加速場電極14が存在する鉛直方向位置近傍で、水平方向に位置ずれを生じる。この水平方向の位置により、加速レンズ6が有する球面収差の影響が異なるので、2次電子53aは、同一の電子エネルギーを有する場合にも、図5に示す様に異なる鉛直方向位置で水平方向に向かう飛行軌道の変化を生じる。また、これは2次電子53aを分離検出する際の、エネルギー分解能を低下させる。
ここで、制御部9は、減速場電極16に印加する可変電源19の電圧を変更し、試料1から発生される2次電子53の射出方向の開き角度を狭くし、ひいては2次電子53の加速場電極14が存在する鉛直方向位置近傍での水平方向位置ずれを小さなものとすることにより、エネルギー分解能の低下を防止することができる。
図6は、図5と同様の1次電子ビーム31を集束させる条件のもとで、可変電源19の電圧を図5の場合と比較してより最適化した場合に、2次電子53bが示す飛行軌道の説明図である。減速場電極16および試料1の間には、図5の場合と比較してより最適化された電位が印加されるので、試料1で発生された2次電子53は、射出角度の拡がりが小さなものとなる。これにより、2次電子53bは、加速場電極14が存在する鉛直方向位置近傍での水平方向の位置ずれが小さなものとなり、球面収差の影響も小さなものとなるので、2次電子のばらつきが小さくなる。
また、水平方向に拡がりを有する2次電子53aに対する、加速レンズ6が有する球面収差の影響を軽減するために、1次電子ビーム31′が集束するクロスオーバーポイント41近傍の水平方向位置に回転対称型レンズである磁界コイル71を設けることもできる。
図7は、1次電子ビーム31′にクロスオーバーポイント41を形成させる加速レンズ6の水平方向横に、回転対称型レンズである磁界コイル71および磁界コイル制御部44を設けた構成図である。なお、磁界コイル制御部44は、制御部9に電気接続される。磁界コイル71は、1次電子ビーム31′のクロスオーバーポイント41に鉛直方向を向く磁界を形成する。クロスオーバーポイント41において、1次電子ビーム31′は集束して、概ね進行方向と磁界方向とが一致するので、磁界コイル71の磁界が1次電子ビーム31′に与える影響は小さなものとなる。
一方、2次電子53aは、磁界コイル71の磁界により、中心軸方向に集束され、水平方向の拡がりは小さなものとなる。そして、水平方向の拡がりを有する際に生じる加速レンズ6が有する球面収差の影響は、限定されたものとなり、ひいては2次電子53aの集束位置のばらつきを軽減することができる。
また、図7では、回転対称型レンズとして磁界コイル71を用いた例を示したが、磁界コイル71の代わりに回転対称構造の静電電極板を配設し、この静電電極板が形成する静電界により2次電子を中心軸方向に集束させることもできる。この際、静電電極板の電位は、基準静電電極4および加速レンズ6の電位の中間電位にされ、1次電子ビーム31′への影響が小さなものとされる。
図8は基準静電電極の構成例を示す図である。図8は基準静電電極をZ方向から見た図を示している。ここでは、基準電極4を4a〜4dの偏向電極に分割した場合を示している。図では、4分割しているが、4分割に限るものではなく、任意の数の偏向電極に分割することができる。90は基準電極電源、91a〜91dはそれぞれの偏向電極に電圧を与える電源である。これら電源90と91a〜91dはその電圧を可変することができるようになっている。基準電極電源90と電源91a〜91dは接続されており、それぞれの電源91a〜91dに基準電極電源90の電圧がオフセットとして与えられている場合であり、それぞれの偏向電極91a〜91dに電圧が印加されている例を示している。基準電極を2極以上に分割することで、2次電子分散させる際の分散方向を制御可能としている。
図9は本発明の一実施の形態を示す構成図である。図1,図2と同一のものは、同一の符号を付して示す。図において、4は図8に示す基準静電電極である。95は該基準静電電極4に電圧を印加させる基準電極電源であり、図8の電源90と91a〜91dを含んだものである。97は磁界レンズ15を制御する磁界レンズ制御部である。その他の構成は、図1,図2に示すものと同一である。
図8に示したように、分割した電極に印加する電圧を制御することで、2次電子50の飛行方向毎(軸上回転方向)に2次電子フィルターの効果を変化させることができる。
上述の実施の形態では、信号検出部を基準静電電極4の上下にそれぞれ1つずつ合計2つを設けた場合を示したが、信号検出部は基準静電電極4の上方向又は下方向に1つ設けるようにしてもよい。
(実施の形態2)
ところで、上記実施の形態1では、試料1の表面が1次電子ビーム31の照射方向に対して直交する場合を示したが、荷電粒子ビームである1次電子ビーム31の照射方向に対して、試料1を直交する方向から大きく傾いた斜め方向に傾かせ、試料1の表面を観察する場合が存在する。図16は、図15の走査型顕微鏡100と同様の構成を有する際に、水平方向に対して傾けられた試料1から発生される2次電子110の飛行軌道を例示している。2次電子110は、試料1の傾きに応じて、その飛行軌道が、1次電子ビーム31の存在する中心軸からずれた歪んだものとなる。これは、図16に破線で示す減速場電極16の試料1側に形成される漏洩電界111の分布が、傾いた試料1の影響で1次電子ビーム11の中心軸に対して非軸対称の分布となることによる。
また、図12は、図1の走査型顕微鏡10と同様の構成を有する際に、水平方向に対して傾けられた試料1から発生される2次電子120の飛行軌道を例示する説明図である。図12では、2次電子120が加速レンズ6に衝突したり、あるいは、円筒形フィルター電極5′を透過するはずのものが、円筒形フィルター電極5を透過したりしている。
そこで、本実施の形態2では、減速場電極16と試料1の間に形成される漏洩電界111の分布を整形し、2次電子120が中心軸に沿った飛行軌道を描く様にする場合を示すことにする。
ここで、本実施の形態2(図11)にかかる走査型電子顕微鏡60は、減速場電極16の試料1側に設けられる偏向電極を構成する偏向電極板81〜83および可変電源86〜88を省いて、走査型電子顕微鏡10の構成と全く同様であるので、同様の部分の説明を省略し、偏向電極板81〜83および可変電源86〜88についてのみ説明する。
図10は、減速場電極16の試料1側に配設される偏向電極板81〜83および偏向電極板81〜83の電位を決定する可変電源86〜88を示す図である。図10(a)は、減速場電極16に配設される偏向電極板81〜83を、試料1側から荷電粒子ビームである1次電子ビーム31の中心軸方向から見た図である。扇形の湾曲した形状を有する3枚の偏向電極板81〜83は、コーン状の減速場電極16の側面に、試料1が近接配置される側が、偏向電極板の空き状態となる様に配列される。
また、偏向電極板81〜83には、可変電源86〜88が接続され、減速場電極16に印加される電位に対して負の電位とされる。図10(b)は、図10(a)に示す減速場電極16および偏向電極板81のAA′断面を、試料1を含めて示した断面図である。試料1は、偏向電極板81〜83が存在しない空き状態の減速場電極16の側面で、減速場電極16に近づく様な傾きを有する。この傾きを有する試料1、並びに、減速場電極16および偏向電極板81〜83の間に形成される漏洩電界112の形状は、電気力線を用いて、模式的に図10(b)中の破線で示されている。
偏向電極板81は、可変電源86により、減速場電極16の電位よりも低電位とされる。これにより、漏洩電界112は、図16または図12に示す漏洩電界111よりも、1次電子ビーム31の飛行軌道をなす中心軸に対して、軸対称な形状に近似し、歪みが減少する。
図11は、偏向電極板81〜83および可変電源86〜88を有する走査型電子顕微鏡60の2次電子54が描く飛行軌道を示す図である。漏洩電界112は、偏向電極板81〜83の存在により、中心軸に対して軸対称な形状に近似し、歪みの少ないものとなるので、1次電子ビーム31および2次電子54に与える漏洩電界の影響が小さなものとなる。
この結果、2次電子54は、中心軸に沿った飛行軌道を描き、図3に示した様な、試料1の表面が水平に配置される場合に発生される2次電子51と同様の飛行軌道を描く。そして、加速レンズ6および基準静電電極4により減速された2次電子54は、実施の形態1の場合と同様に、円筒形フィルター電極5あるいは5′を透過し、信号検出部40あるいは40′で検出される。
上述してきたように、本実施の形態2では、試料1の表面が1次電子ビーム31の進行方向と直交する水平方向に対して傾きを有する際に、減速場電極16の試料1側に、傾き方向に非対称となる様に偏向電極板81〜83を配設し、偏向電極板81〜83の減速場電極16に対する電位を制御し、漏洩電界112を中心軸に対して軸対称な形状に近似することとしているので、2次電子54の飛行軌道を中心軸に沿ったものとし、加速レンズ6、基準静電電極4、円筒形フィルター電極5および5′を用いた2次電子54のエネルギーによる選別を精度の高いものとし、ひいては取得される試料1の画像情報を、試料1の傾きにかかわらず安定して取得することができる。
また、本実施の形態2では、偏向電極板81〜83の電位を決定する可変電源86〜88は、同様に制御することとしたが、可変電源86〜88を個別に制御し、試料1の表面の傾き方向と直交する方向で、漏洩電界の歪みを補正することもできる。この歪みは、中心軸に対して回転対称の構造を有する減速場電極16の加工精度に起因する誤差、あるいは偏向電極板81〜83を有する減速場電極16と試料1との相対位置の誤差等により発生し、特に減速場電極16に高電圧を印加した場合に大きくなるものである。
(実施の形態3)
図13は本発明の第3の実施の形態を示す構成図である。図1,図2と同一のものは、同一の符号を付して示す。図において、31は1次電子ビーム、2は制限絞り、3は開き角制御レンズ、4´は第2の基準静電電極、4は第1の基準静電電極である。5は第1の円筒形フィルター電極、5´は第2の円筒形フィルター電極である。基準静電電極4は円筒形フィルター電極5と5´の間に設けられている。32は円筒形フィルター5に印加する電圧を与える可変電源、33は円筒形フィルター5´に印加する電圧を与える可変電源である。50は試料1から放出される2次電子である。
40は基準静電電極4の上部に配置された第1の2次電子信号検出部、40´は基準静電電極4と加速レンズ6の間に設けられた第2の2次電子信号検出部、40´´は加速場電極14に追加された第3の2次電子信号検出部である。13は走査コイル、22は該走査コイル13に走査制御信号を与える走査制御部である。21は各信号検出部で検出された信号を画像として表示する表示部である。
14は加速場電極、18は該加速場電極14に電圧を印加する可変電源、15は磁界レンズ、7は該磁界レンズ15に与える電流を制御する磁界レンズ制御部である。1は試料、20は試料1に電位を与える可変電源、41は磁界レンズ15と試料1との間に配置された減速レンズ、19は該減速レンズ41に電位を与える可変電源である。このように構成された装置の動作を説明すれば、以下の通りである。
この実施の形態は、低いエネルギーを有する2次電子の総量を信号検出部40´´で検出するようにしたものである。図4に示したように、エネルギーの低い1〜3eV領域の2次電子は、試料1表面での帯電情報を保有している。これらの2次電子は、電子エネルギーが低いため、円筒形フィルター電極5´で選択されなかった場合、加速場電極14で加速される。そして、信号検出部40´´で検出することにより、帯電情報を有する信号のみを検出することができる。
図13では試料1から放出された2次電子をその持つエネルギー帯に分けて検出する。そのため、第1の信号検出部40、第2の信号検出部40´、第3の信号検出部40´´でそれぞれ検出している。即ち、一番エネルギーの高い2次電子は第1の信号検出部40で、その次のエネルギーを持つ2次電子は第2の信号検出部40´で、エネルギーの最も低い2次電子は第3の信号検出部40´´で検出するようにしている。
しかしながら、帯電電子と2次電子を分離するだけであるならば、円筒形フィルター電極5´及び信号検出部40´は無くした構成であってもよい。図14は実施の形態3の他の構成例を示す図である。図13と同一のものは、同一の符号を付して示す。図13との比較で分かるように、図14に示す実施の形態では、円筒形フィルター電極5´及び信号検出部40´が無い構成となっている。その他の構成は、図13に示す構成と同じである。
荷電粒子ビーム装置である走査型電子顕微鏡の全体構成を示す構成図である。 実施の形態1にかかる走査型電子顕微鏡の2次電子の飛行軌道を示す説明図である(その1)。 実施の形態1にかかる走査型電子顕微鏡の2次電子の飛行軌道を示す説明図である(その2)。 試料から発生される2次電子の、エネルギー分布を示す説明図である。 実施の形態1にかかる走査型電子顕微鏡の2次電子の飛行軌道を示す説明図である(その3)。 実施の形態1にかかる走査型電子顕微鏡の2次電子の飛行軌道を示す説明図である(その4)。 実施の形態1にかかる走査型電子顕微鏡の2次電子の飛行軌道を示す説明図である(その5)。 基準静電電極の構成例を示す図である。 本発明の一実施の形態例を示す構成図である。 実施の形態2にかかる走査型電子顕微鏡に配設される偏向電極の詳細な構成を示す構成図である。 実施の形態2にかかる走査型電子顕微鏡において、試料1を傾斜させた場合に発生される2次電子の飛行軌道を示す説明図である。 実施の形態1にかかる走査型電子顕微鏡において、試料1を傾斜させた場合に発生される2次電子の飛行軌道を示す説明図である。 本発明の第3の実施の形態を示す構成図である。 本発明の実施の形態3の他の構成例を示す図である。 従来の走査型電子顕微鏡の構成および2次電子の飛行軌道を示す説明図である。 従来の走査型電子顕微鏡の構成において、試料1を傾斜させた場合に発生される2次電子の飛行軌道を示す説明図である。
符号の説明
1 試料
3 開き角制御レンズ
4、4′ 基準静電電極
5、5′ 円筒形フィルター電極
6 加速レンズ
7 磁界レンズ制御部
8 電子銃制御部
9 制御部
10、60、100 走査型電子顕微鏡
11、31、31′ 1次電子ビーム
12 2次電子
13 走査コイル
14 加速場電極
15、71 磁界レンズ
16 減速場電極
17 信号検出器
18〜20 可変電源
21 表示部
22 走査制御部
24 電子検出部
30 電子銃
32〜34 可変電源
40、40′、40´´ 信号検出部
41 クロスオーバーポイント
44 磁界レンズ制御部
50、51、53、54 2次電子
81〜83 偏向電極板
86〜88 可変電源
110、120 2次電子
111、112 漏洩電界

Claims (19)

  1. 荷電粒子ビームが照射される試料と、
    前記試料の試料電位を基準として、前記荷電粒子ビームの加減速を行なう静電界形成手段と、
    前記試料から、前記荷電粒子ビームの照射方向に発生される2次電子を検出する信号検出部と、
    を備える荷電粒子ビーム装置であって、
    前記静電界形成手段は、中央に前記荷電粒子ビームを通過させる空孔を有する円板状の基準静電電極、中央に前記荷電粒子ビームを通過させる空洞を有し、前記基準静電電極を前記通過の前後方向から挟む位置に配設される一対の円筒形フィルター電極及び前記円筒形フィルター電極の電位を変化させる可変電源を有し、
    前記信号検出部は、前記基準静電電極の上方向及び下方向のうち、少なくとも1つの方向に配設されることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  2. 前記円筒形フィルター電極は、円筒形の側面がメッシュ状の金網からなることを特徴とする請求項1記載の荷電粒子ビーム装置。
  3. 前記円筒形フィルター電極は、前記試料電位よりも高電位にされることを特徴とする請求項1又は2記載の荷電粒子ビーム装置。
  4. 前記静電界形成手段は、前記基準静電電極の電位を変化させる可変電源を備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の荷電粒子ビーム装置。
  5. 前記信号検出部は、前記面内の異なる複数の方向に配設されることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の荷電粒子ビーム装置。
  6. 前記静電界形成手段は、前記試料に荷電粒子ビームを射出する側に減速場電界を生成する際に、前記減速場電極及び前記試料の間に、前記通過を行なう方向を向く軸に対して非回転対称の形状を有する偏向電極を備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の荷電粒子ビーム装置。
  7. 前記偏向電極は、扇形の湾曲形状を有し、前記荷電粒子ビームを互いに異なる方向から囲む3つの偏向電極を備えることを特徴とする請求項6記載の荷電粒子ビーム装置。
  8. 前記偏向電極は、前記偏向電極板により、前記荷電粒子ビームを中心として前記荷電粒子ビームの走行方向と直交する周囲360度方向の内の4分の3の領域を占有することを特徴とする請求項7記載の荷電粒子ビーム装置。
  9. 前記荷電粒子ビーム装置は、3つの前記偏向電極に接続され、前記偏向電極板毎に電位を変化させる3つの可変電源を備えることを特徴とする請求項7又は8記載の荷電粒子ビーム装置。
  10. 前記可変電源は、前記偏向電極板の電位を、前記2次電子の飛行軌道が前記荷電粒子ビームの飛行軌道に近づく方向に変化させることを特徴とする請求項9記載の荷電粒子ビーム装置。
  11. 前記荷電粒子ビームは、前記基準静電電極と加速レンズ間で集束されることを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の荷電粒子ビーム装置。
  12. 前記荷電粒子ビーム装置は、前記基準静電電極の前記荷電粒子ビームが通過する方向に配設される加速レンズを備えることを特徴とする請求項11記載の荷電粒子ビーム装置。
  13. 前記荷電粒子ビーム装置は、前記荷電粒子ビームが集束する位置で、前記2次電子を集束させる回転対称型レンズを備えることを特徴とする請求項1乃至12の何れかに記載の荷電粒子ビーム装置。
  14. 前記回転対称型レンズは、前記位置に磁界を形成する磁界コイルを備えることを特徴とする請求項13記載の荷電粒子ビーム装置。
  15. 前記回転対称型レンズは、前記位置に電界を形成する静電電極板を有し、前記静電電極板は、前記基準静電電極及び前記加速レンズの電位の中間電位を有することを特徴とする請求項13記載の荷電粒子ビーム装置。
  16. 前記回転対称型レンズは、前記位置が前記基準静電電極の空孔である際に、前記空孔近傍に前記2次電子を集束させることを特徴とする請求項13乃至15の何れかに記載の荷電粒子ビーム装置。
  17. 前記基準静電電極は回転対称方向に少なくとも4個以上の電極に分割され、分割されたそれぞれの電極に電圧を印加し、試料から放射された2次電子の飛行方向を調整することを特徴とする請求項1乃至16の何れかに記載の荷電粒子ビーム装置。
  18. 前記試料から放射される2次電子のうち、帯電情報のみを持つ低エネルギーの2次電子を検出する信号検出部を加速レンズの下方に配設することを特徴とする請求項1乃至17の何れかに記載の荷電粒子ビーム装置。
  19. 前記荷電粒子ビーム装置は、前記荷電粒子ビームの荷電粒子が電子であることを特徴とする請求項1乃至18の何れかに記載の荷電粒子ビーム装置。
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