JP2007536549A - 2パラメータスペクトルの補正方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、信号処理の分野、特にX線又はガンマ線分光分析法に関する。
この技術は半導体検出器を使用する。半導体検出器は多くの場合電荷キャリアの収集に欠陥を有する。
この目的のために、電極を使用して半導体材料に電界を印加して、これらの電荷を引き出し、これら電荷の数に比例する振幅を有する電気信号を生成する。残念なことに、このようなキャリアの数の測定は、半導体の輸送特性が不完全であるために困難である。実際、電荷の一部分は電極に到達しない。これは収集が不完全になるという問題を生じる。
このような種類の方法の一例は、仏国特許出願FR2738919又はFR2738693に開示されている。
次に、放射能較正用線源が持つことが知られている2つの基準エネルギーE1及びE2に対して振幅/時間の関係の較正を行なう。
E=Gain(T)A+Shift(T),
上の式において、
Gain(T)=(E2−E1)/(A2(T)−A1(T)),
Shift(T)=E1−Gain(T)A1(T)
である。
種々の相互作用に対応する複数の振幅/時間ペアの全てを、ここで「相似変換」という用語で呼ぶこのような技術によって補正する。
このように、図1は生の2パラメータスペクトルを示し、y軸には立ち上がり時間Tが、x軸には振幅Aが示されている。
従って、図1において互いに重複する2つの散乱プロット10及び11は、2つの異なるエネルギーEa及びEbに対応する。
図3は、いわゆる「相似変換」法によって補正された2パラメータスペクトルを示している。この相似変換法による補正によって、振幅が互いに重複する散乱プロット10及び11が、前記2つの異なるエネルギーEa及びEbに対応する2つの他の個別の振幅散乱プロット10a及び11bに変換される。
図1の散乱プロット10及び11が更に類似していた場合、図3の2つの散乱プロット10a及び11bが互いに重複する可能性がある。
これにより、低振幅パルスを所定のエネルギーピークで検出且つ特定することができる場合でも、それらのパルスを正しく使用することが不可能となる。
よって、2パラメータスペクトルに含まれる情報の包括的な使用を可能にするような、改良型補正方法及び装置を開発する必要があるという問題が生じる。
本発明によれば、他のパルスから独立した一のパルスに対応するエネルギーを推定することはできない。
第一に、本発明の目的は2パラメータスペクトルの処理方法であって、
−スペクトルのプロファイルパラメータ、及び初期補正関数を選択すること、
−このパラメータに従って選択される全てのプロファイルに対し、補正関数を乗算することにより、既に補正されているプロファイル群の少なくとも一部分の合計に等しくなるようにすることにより、補正処理を実行すること
を含む。
本発明による方法が適用される信号は、相似変換によって既に処理又は補正されている信号か又は2パラメータスペクトルとすることができる。
前記補正処理は更に、正規化ステップを含む。
第2の別の実施形態によれば、前記補正処理は更に、選択されたプロファイルに前記補正関数を乗算した積分値に対する、前記選択プロファイルの積分値の比を更に乗算することを含む。
−前記選択されたプロファイルを前記補正関数及び前記不確実性関数の畳み込みによって除算するステップ、
−前記測定値の不確実性に基づくいわゆる不確実性関数を使用して選択された、前記プロファイル中の光子の数の分布の振幅チャネルにより、振幅チャネルを再分布させるステップ
を含む。
前記不確実性関数は、例えばガウス型関数とすることができ、ガウス型関数の標準偏差は前記測定値の不確実性によって変化する。
−スペクトルのプロファイルパラメータ及び初期補正関数を選択する手段、並びに
−このパラメータに従って選択された全てのプロファイルについて、この選択プロファイルに補正関数を乗算することにより、既に補正且つ正規化されているプロファイル群の少なくとも一部分の合計に等しくなるようにする補正処理を実行する手段
を備える。
特定の一実施形態によれば、この処理装置は更に、スペクトルの全てのプロファイルを分解能性能基準に従って分類する手段、並びにスペクトルのプロファイルを分解能性能の低い順又は高い順に選択する手段を備える。
本発明による処理装置はまた、相似変換によってスペクトルを補正する手段を備えることができる。
−スペクトルのプロファイルパラメータ及び初期補正関数を選択する手段、並びに
−本発明による前記スペクトル処理方法を実行するプログラム手段
を備える。
本発明の技術範囲には医療撮像装置も含まれ、本医療撮像装置は、半導体検出器又はマトリクス状半導体検出器、2パラメータスペクトルの取得手段、本発明による2パラメータスペクトル処理装置、及び2パラメータスペクトルの処理に関する情報の表示手段を備える。
第1ステップS1では、2パラメータスペクトルが取得されていると仮定する。
取得されるスペクトルは、例えば、図1に示すようなスペクトルであるか、又は図3に示すような、相似変換法により補正されたスペクトルとすることができる。
ステップS2及びS3は同時に実行することができるか、又はいずれの順番でも実行することができる。
このようなプロファイルの選択は、一以上の基準を満たすことができ、例えば図1のy軸に直交する水平な線をプロットすることにより示すことができる。
好適には、高い強度ピークを含むプロファイル、例えば最高強度ピークを含むプロファイルが、図1においてピークP(この強度はスペクトル画像のグレーレベルに比例する)を通過する水平な線y0により定義されているように選択される。
次に、第1プロファイルD0を、少なくとも分布C0に初期化された補正関数を乗算することにより補正する(ステップS6)。
D’0=D0xC0
補正は、「正規化」と呼ばれるステップ(ステップS5)によって完了させることができ、この正規化ステップは乗算ステップS6の前に、ステップS6と同時に、又はステップS6の後に行なうことができる。補正済みの正規化プロファイルをD’0と表記する。
上の等式(1)及び本明細書の残りの部分を通じて、「Σ」はチャネルの全てに渡る合計を表わす。
を乗算する。つまり、
となる。
これにより、補正且つ正規化されたこの第1プロファイルに含まれる光子の数の計数値は、補正前のプロファイルD0の計数値と同じである。
C1=C0+D’0
この補正関数C1は、別の一定の立ち上がり時間プロファイルの補正関数として使用することができ、且つ補正済みの第1プロファイルに関する情報を考慮することを可能にする。
次に、第2プロファイルに、初期補正関数C0及び補正済みの第1プロファイルD’0の和から成る変更済みの補正関数C1を乗算する(ステップS9)。これにより、少なくとも部分的に補正された第2プロファイルD’1が得られる。
D’1=D1xC1
D’1=D1x[C0+D’0]
ステップS6で別の第1の正規化が使用されている場合、この第2の正規化では、少なくとも部分的に補正された第2プロファイルを、新規の補正関数C1の振幅チャネルの全てに渡る積分値で除算することができる。
D’1=D’1/ΣC1
D’1=(D1xC1)/ΣC1
D’1=(D1x[C0+D’0])/Σ[C0+D’0]
上の演算は、選択される連続プロファイルの全てに関して更新される。よって、まず各プロファイルDkに、以前に補正され、次いで正規化されたプロファイルを考慮した補正関数Ckを乗算する。つまり、
Dk’=DkxCk
を行う。上の式の乗算では、Ck=(Ck−1+D’k−1)であり、且つD’k−1はプロファイルDkの直前に補正及び正規化されたプロファイルであり、更には、別の第1の正規化が次に行なわれた場合の正規化は
であり、別の第2の正規化が次に行なわれた場合の正規化は
である。
本方法の最後に得られる補正関数をCNと記す。関数CN−C0、すなわち初期分布C0の減算対象となる最終補正関数CNは、それ自体が、補正済みの2パラメータスペクトルに基づいて、立ち上がり時間の全てに繰り返し構成されたエネルギースペクトルに対応する。
2パラメータスペクトルが相似変換によって既に処理されている場合、次のように処理を進めることができる。
次に、これらの基準ピークの一方を援用して、スペクトルの種々の立ち上がり時間チャネルを、通常は最高精度(プロファイルの分解能が最良である精度)から最低精度まで分類する。次に、エネルギースペクトルを繰り返し構成する。
1)所定の立ち上がり時間に関して、法則E=gain(T)A+Shift(T)に従って各振幅チャネルを補正する。すなわち、Eを中心とする法則(適切な種類の法則、例えばガウスゲイン幅(T)x1チャネル)に従ってチャネルヒットを再分布させる。このように、前記所定の立ち上がり時間に関し、スペクトルのプロファイルDkを相似変換により補正する。
2)このプロファイル又はこの分布Dkに、以前に補正された分布により得られた補正関数Ckを乗算することにより、事前知識を考慮に入れる。
3)結果として得られる分布D’kを正規化して、この分布に対し、補正対象のチャネルヒットの数に等しいヒット回数を割り当てる。
4)補正済みの正規化分布D’kを加算することにより補正関数Ckを変更する。
5)プロセスを繰り返して2パラメータスペクトルのポイントの全てを処理する。
処理の最後に、CNと表記される最終補正関数が得られる。CN−C−0と表記される、初期補正関数の減算対象となる最終補正関数に等しい関数は、立ち上がり時間の全ての積算合計により得られる前記エネルギースペクトルに相当する。
補正関数に元々含まれている光子の数、又はヒットの数の計数値は、統計学的に信頼度の高い、従って重要な情報の量に相当する。
最も精度の高いスペクトルポイントから始めることが好ましい。そのためには、2パラメータスペクトルの種々のポイントを精度の順に分類する。この分類は、必ずしも立ち上がり時間値の数値順と何らかの相関を有さなくてもよい(即ち、分類ポイントは、必ずしもスペクトル上で隣り合う訳ではない)。参照番号16で示すスペクトルは、本発明による方法を使用して補正される2パラメータスペクトルの立ち上がり時間全ての合計に対応し、且つ本発明による方法の最後に得られ、初期補正関数C0が減算されている補正関数CNのグラフ表示に対応する。
他の理由により、昇順又はランダムな順番、或いは所定の順番を選択することができる。
この例示的方法では、2パラメータスペクトルの各一定立ち上がり時間プロファイルを、例えば分解能基準に基づいて事前に設定した順番で補正する。
所定の振幅チャネルi(例えば、図1のx軸に直交する垂直な破線により表わされる)に関して、
1)前記所定の振幅チャネルiのプロファイルDkに含まれるヒットの数又は光子の数を選択し、Dk(i)と表記する。
2)この数を前記不確実性関数に従って、前記所定の振幅チャネルiを中心として再分布させ、Giと表記する。
この不確実性関数は、例えば標準偏差が測定の不確実性に依存するガウス分布とすることができ、よって2パラメータスペクトルの取得が可能となる。
局所的に行なわれるこの正規化によって、ヒットの数Dk(i)を補正済みの最終スペクトルに保持することができる。次に、今説明したプロセスを振幅チャネルの全てに繰り返す。
この処理を要約すると、各チャネルiのヒット数をチャネルiに近い領域において分布Gi×Ckに従って再分布させる。この処理は、各チャネルiの近傍における補正関数の局所的選択に相当する。このようにして、各チャネルのヒット数が、これらのヒット数が元々位置していた領域であって、且つこれらのヒット数の存在がほとんど重要ではないか、又は物理的に重要でない領域から離れたスペクトル領域に再分布することが防止される。
ここで、「*」は畳み込みを表わす。
この処理が複数の一定立ち上がり時間プロファイルの各々に対して行なわれ、このとき、補正関数Ckを、この関数に補正されたばかりのプロファイルを加算することによりインクリメントする。
次に、別の一定立ち上がり時間プロファイルに処理を繰り返す。2パラメータスペクトルの複数の一定立ち上がり時間プロファイルの全てが補正されると、CNと表記される最終補正関数が処理の最後に得られる。最終の補正関数から最初の補正関数を減算して得られる関数であるCN−C0と表記される関数は、立ち上がり時間全ての積算合計により得られる前記エネルギースペクトルに相当する。
図6は、2つのエネルギースペクトルを参照番号15及び16で示す。これらのスペクトルは、図3に示す種類の最初の2パラメータスペクトル、及び図5に示す種類の別の2パラメータスペクトルそれぞれの、y軸方向への投影像として得られたものである。本発明による処理方法により得られるスペクトル16の分解能は、参照番号15の分解能よりも高いので、2つのエネルギーEa及びEbを明確に区別することが可能である。
図7の参照番号100は、検出平面に配置されたマトリクス状の半導体検出素子102を指している。
これらの検出素子34の各々は、2つの平行な両側表面を備える半導体ブロックの形態であり、これらの両側表面の上には電極群が設けられる。これらの電極に印加される電界によって電荷キャリア、すなわち光線と半導体との相互作用により生成される電子及び正孔を移動させることができる。図には示さない電極群も設けることにより電荷を受け取り、これらの電荷をプラットフォーム30の集積回路に転送して検出信号を生成する。
第2回路112を設けて各信号の振幅及び立ち上がり時間を求め、これらの量に対応するデータ、並びにイベント座標を表わすデータをフォーマットする。イベント座標は検出平面の該当する検出素子の位置に関連付けられる。回路112のような回路は、例えばFR2738919に記載されている。
データは、較正相に関連する計算及び処理を実行し、且つ取得相において画像(例えば、医療用画像)をデータに基づいて構成するように設計されたコンピュータ114に向けて転送される。画像はスクリーン116に表示される。
この方法を実行するためのデータはコンピュータ114又は図7の参照番号120で示すメモリに保存することができる。取得相の間、回路110及び112は、依然として振幅データ、立ち上がり時間データ、及びイベント座標データを検出素子信号に基づいて生成している。
本明細書を通じて、2パラメータ(時間−振幅)スペクトルを例に挙げて本発明を説明した。半導体媒体における光子の相互作用の深さは、立ち上がり時間の測定値によって近似値を求めることができるか、又は振幅のアノード対カソード比の測定値によっても近似値を求めることができる。本発明はまた、2パラメータスペクトルの他のあらゆる例に適用することができる。
Claims (15)
- 2パラメータスペクトルの処理方法であって、
−スペクトルのプロファイルパラメータ、及び初期補正関数を選択すること、
−このパラメータに従って選択される全てのプロファイルに対し、補正関数を乗算することにより、既に補正されたプロファイル群の少なくとも一部分の合計に等しくなるようにすることにより、少なくとも1回の補正処理を実行すること
を含む方法。 - 2パラメータスペクトルが(立ち上がり時間−振幅)スペクトルであり、プロファイルパラメータがスペクトルの立ち上がり時間である、請求項1記載の方法。
- プロファイルを立ち上がり時間の長い順に選択する、請求項2記載の方法。
- −スペクトルのプロファイルの全てを分解能性能基準に従って分類し、プロファイルを分解能性能の高い順に選択するステップ
を更に含む、請求項2記載の方法。 - 2パラメータスペクトルが、相似変換によって既に補正されているスペクトルである、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の方法。
- 初期補正関数が一様分布である、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の方法。
- 前記補正処理が、前記補正関数の積分値による除算を行なうステップである、前記補正関数の正規化ステップを更に含む、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の方法。
- 前記補正処理が、選択プロファイルに前記補正関数を乗算した積分値に対する前記選択プロファイルの積分値の比を更に乗算するステップである、正規化ステップを更に含む、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の方法。
- 前記スペクトルが、種々の立ち上がり時間チャネル、及び種々の振幅チャネルに渡って変化する光子の数の分布を表わし、前記分布は小さな不確実性を有する測定値によって決定され、前記補正処理は更に局所正規化ステップを含むことができ、局所正規化ステップが、
−前記選択プロファイルを前記補正関数及び前記不確実性関数の畳み込みによって除算すること、及び
−前記選択プロファイルに光子の数の分布を有する振幅チャネルにより、前記測定値の不確実性に依存するいわゆる不確実性関数を使用して振幅チャネルを再分布させるステップ
を含む、請求項2ないし6のいずれか一項に記載の方法。 - 前記関数が、前記不確実性に依存する標準偏差を有するガウス型関数である、請求項9記載の方法。
- 2パラメータ(時間−振幅)スペクトルの処理装置であって、
−スペクトルのプロファイルパラメータ及び初期補正関数を選択する手段、並びに
−このパラメータに従って選択される全てのプロファイルに対し、補正関数を乗算することにより、既に補正且つ正規化されているプロファイル群の少なくとも一部の合計に等しくなるようにする補正処理を実行する手段
を備える装置。 - −スペクトルのプロファイルの全てを分解能性能基準に従って分類する手段、及び
−スペクトルのプロファイル群を分解能性能の低い順又は高い順に選択する手段
を更に備える、請求項11記載の装置。 - 相似変換によってスペクトルを補正する手段を更に備える、請求項11又は12に記載の装置。
- −半導体検出器又はマトリクス状検出器、
−2パラメータスペクトルを取得する手段、
−請求項11ないし13のいずれか一項に記載の2パラメータスペクトル処理装置、及び
−2パラメータスペクトルの処理に関する情報を表示する手段
を備える医療撮像装置。 - −スペクトルのプロファイルパラメータ及び初期補正関数を選択する手段、並びに
−請求項1ないし10のいずれか一項に記載の方法を実行するプログラム手段
を備える2パラメータスペクトルの処理装置。
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