JP2007533419A - 2相ストリームを所望の気体/液体比を有する2つ以上のストリームに分割するためのデバイス - Google Patents

2相ストリームを所望の気体/液体比を有する2つ以上のストリームに分割するためのデバイス Download PDF

Info

Publication number
JP2007533419A
JP2007533419A JP2006515729A JP2006515729A JP2007533419A JP 2007533419 A JP2007533419 A JP 2007533419A JP 2006515729 A JP2006515729 A JP 2006515729A JP 2006515729 A JP2006515729 A JP 2006515729A JP 2007533419 A JP2007533419 A JP 2007533419A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase
liquid
stream
flow
gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006515729A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4722840B2 (ja
Inventor
モーテン・ミューラー
Original Assignee
モーテン・ミューラー・リミテッド・アンパルトセルスカブ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by モーテン・ミューラー・リミテッド・アンパルトセルスカブ filed Critical モーテン・ミューラー・リミテッド・アンパルトセルスカブ
Publication of JP2007533419A publication Critical patent/JP2007533419A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4722840B2 publication Critical patent/JP4722840B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F17STORING OR DISTRIBUTING GASES OR LIQUIDS
    • F17DPIPE-LINE SYSTEMS; PIPE-LINES
    • F17D1/00Pipe-line systems
    • F17D1/005Pipe-line systems for a two-phase gas-liquid flow

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)
  • Separating Particles In Gases By Inertia (AREA)
  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)
  • Vaporization, Distillation, Condensation, Sublimation, And Cold Traps (AREA)

Abstract

本発明は、2相流入ストリーム(41)を2つ以上の流出ストリーム(42,43)に分割するためのデバイス(30)である。かかるデバイスは、流出ストリームの各々の気体/液体比が略一定に維持されるように設計できる。デバイスへと流入するストリームは、流入パイプ(32)を介して分離ベッセル(31)へと入れられる。ベッセルに設けられた流入パイプ入口の下方には、緩衝プレート(33)が設けられている。緩衝プレート(33)によって、流入ストリームの速い速度が弱められ、流れがセパレーターの内壁へと向けられるので、セパレーターの内壁に液体が衝突して、液体が気体相から分離されることになる。セパレーター・ベッセルでは液体相と気体相とが分離されている。セパレーター内には、2つの垂直な吸引チャンネル(34,35)が配置されている。かかる吸引チャンネルは、流出ストリームをセパレーターから排出する2つの流出パイプ(44,45)と流体連通している。吸引チャンネルの下端部は、液体相(39)に浸漬されている。吸引チャンネルの側壁には開口部(36)が設けられている。気体は、セパレーター内の液面よりも上方に位置する開口部の一部から吸引チャンネルに流入する。このように開口部から気体が流入すると、吸引チャンネルの壁にわたって圧力降下が生じ、その結果、液体が吸引チャンネル内に吸い上げられることになる。吸引チャンネル内では液体と気体とが混合される。得られる2相混合物は、チャンネルを通るように上方へと流れ、流出パイプを介して、セパレーターおよび2相ストリーム・スプリッターから排出されることになる。

Description

発明の詳細な説明
発明の背景
発明の分野
本発明は、軽相流体(または軽い相から成る流体)および重相流体(または重い相から成る流体)から成る2相流入ストリーム(例えば、気体と液体とから成るストリーム)を2またはそれよりも多い流出ストリームに分けるためのデバイスに関する。本デバイスでは、各々の流出ストリームの気体/液体比が所望なものとなる。各々の流出ストリームの流速は、必ずしも同じにする必要はない。限定するものではないが、本発明は、並列な熱交換器、炉管(または煙管)、空気冷却器、化学反応器または配管設備に供給されるようにパイプまたはチャンネル内を流れる2相プロセス・ストリームを分割するのに適している。
関連技術
2相ストリームを分けるには多くの処理ユニットが必要とされ、シンプルな対称的なパイピング・スプリット(または配管スプリット、piping split)またはT字管を使用するレベルから、より高性能な2相ストリーム・スプリッターを使用するレベルまで種々の手段が従来から用いられている。
2相プロセス・ストリームを分けるためのデバイスは、一般的には6種類に分けることができる。
タイプ1:標準的なT字管を使用した対称的なパイピング・スプリット
常套的に、2相ストリームを分けるに際しては、標準的なT字管を使用して対称的なパイプ・スプリットを構成したり、相に応じて各々の分岐管へと2相ストリームを均等に分配したりしている。2相ストリームを4つの流出ストリームへと分ける対称的なパイピング・スプリットの例を、図1の等角投影図で示す。2相流入ストリームは、流入パイプ1内を流れている。
2相ストリームは、パイプ1によって第1T字管へと送られており、第1T字管で2相ストリームが2つの流出ストリームへと分けられている。図示する例では、T字管3の上流側には90°エルボ2が配置されている。液体に作用する遠心力に起因して、液体はエルボの内壁の外側近傍を流れる傾向がある一方、気体はエルボの内壁の内側近傍を流れる傾向がある。従って、エルボによって相分離が引き起こされ、気体と液体とがパイプの断面にわたって不均一に分布することになる。なお、上流側エルボ2によってもたらされるT字管3の分離機能への悪影響を最小限にするには、図示するT字管3で規定される面に対して垂直にパイプ1を設ける必要がある。T字管3によって分けられた2つの流出ストリームは、それぞれ、T字管5aおよび5bで更に2つの流出ストリームに分けられる。T字管5aの上流側にエルボ4aが設けられており、T字管5bの上流側にエルボ4bが設けられている。上流側エルボ2の場合と同様に、上流側エルボ4aおよび4bによってもたらされるT字管5aおよび5bの分離性能への悪影響を最小限にするには、図示するT字管5aおよび5bで規定される2つの面に対して垂直にパイプ7を設ける必要がある。このように、対称的なパイピング・スプリットを用いることによって、パイプ1内の流入ストリームが、パイプ6a,6b,6cおよび6d内を流れる4つ生成物ストリームへと分割されることになる。
対称的なパイピング・スプリットは、2相流入ストリームを2つ以上の流出ストリームに分割する方法として最も広く用いられているものと考えられる。しかしながら、これまでのところ、そのような対称的なパイピング・スプリットの原理は、各々の流出ストリームに対して液体および気体を等しく分配できておらず、多くの場合、流出ストリームの各々の気体/液体比は同じになっていなかった。標準的なT字管を有する対称的なパイピング・スプリットの主たる問題は、ストリームの分割性能は、上流パイプ内の流れ機構(flow regime)に依存していることであり、また、関連する全ての条件で所望の分散流機構が維持されるとは限らないことである。分散流機構とは、フロー・チャンネルまたはパイプ内に存在する流れ機構であって、気体の連続相に小さい液滴が均一に分布する流れ機構、または、液体の連続相に小さい気泡が分布する流れ機構(気泡流)である。また、対称的なパイピング・スプリットの性能は、スプリットの上流側に設けられた配管に依存し得る。対称的なパイピング・スプリットの主な制限は、流出ストリームの各々の気体/液体比が大きく異ならないように、流出ストリームの流速を相互に同じにしなければならないことである。その他の制限としては、2つ,4つ,8つ,16つ・・・の流出ストリームにしか分けることしかできず、対称的に2相ストリームが分けられるにすぎない。従って、かかる対称的なパイピング・スプリットでは、3つ,5つ,6つ,7つ,9つ・・・の流出ストリームへと分けることができない。
標準的なT字管を有する対称的なパイピング・スプリットの性能は、そのスプリットの上流側にて液体の表面張力を減少させる化学物質を加えると、向上するものと考えられる。液体の表面張力が減少すると、分散流機構がより遅い流速で達成することになる。そのため、広範囲の気体流速および液体流速にわたって、対称的なパイピング・スプリットの許容される性能が達成される。その一例は米国特許第5190105号に記載されている。米国特許第5190105号では、飽和蒸気および水の2相ストリームを分割するスプリットの上流側にて、界面活性剤を複数の注入ウェルから注入しており、それによって、各々の注入ウェルにおける品質(蒸気の割合)を同一にし、オイル・リザーバーから回収されるオイルを向上させている。
タイプ2:羽根、バッフルまたはスタティック・ミキサー等の特別なインターナルが用いられたT字管
羽根、バッフル(または邪魔板)およびスタティック・ミキサー等のパイプ・インターナル(または挿入物、insert)を使用することによって、標準的なT字管の分割性能を向上させる試みが為されている。
第1の例は、米国特許第4396063号に記載されている。米国特許第4396063号では、Y分岐管から成るT字管の上流にスタティック・ミキサーが配置されている。各々の流出ストリームでの気体/液体比が同一となる良好な分割性能を得るためには、分散流を用いることが好ましい。分散流機構では、2相混合物が多少なりとも単一相流体として機能する。小さい液滴は、ほぼ同じ速度で気体流れに追随することになるか、または、気体流れが小さい液滴に追随することになる。それゆえ、分散流機構では、しばしばT字管で良好な分割性能が達成されることになる。T字管の上流側にスタティック・ミキサーが用いられており、それによって、流れ方向と垂直な突出領域を流入パイプの表面に形成している。そのような表面に液体が作用すると、液体と気体とが分離される。それゆえ、スタティック・ミキサーが用いられると、所望の分散流機構(存在するならば・・)が乱されることになり、その結果、望ましくない液体と気体とが分離が生じてしまう。また、スタティック・ミキサーが用いられることによって、プロセス系に付加的な圧力降下が生じるので、ポンプおよび/またはコンプレッサーの消費電力が増加して付加的な操作コストが生じてしまう場合がある。また、スタティック・ミキサーは、スケールおよび腐食生成物などの汚染物質に起因した汚れの影響を受けやすい。
第2の例は、米国特許第4824614号に記載されている。米国特許第4824614号の流れスプリッターでは、T字管14の上流側の流入パイプにスタティック・ミキサー22が配置されている。T字管14で、流入ストリーム30が2つの流出ストリーム74および76へと分割される。スタティック・ミキサー22とT字管14との間には、水平なストラティファイアー(または層形成領域、stratifier)24が設けられている。ストラティファイアーでは、6つの異なるエレベーション(elevation)から得られる液体が相互に合わせられる。例えば、最も低い位置の第1エレベーションから得られる流体は流出ストリーム76へと送られ、第2エレベーションから得られる流体は流出ストリーム76へと送られることになる。第1の例のミキサーと同様に、第2の例のミキサーは、望ましくない液体と気体との分離が生じてしまう傾向がある。また、スタティック・ミキサーに起因して、操作コストが増加したり、汚れの影響を受けたりする場合がある。実際の用途ではあまりないが、パイプ断面にわたって気体と液体とが均一に分布している場合にのみ、このような流体が合わせられるストラティファイアーが機能することになる。米国特許第5810032号には、水蒸気/水フィールドを用いてミキサー/ストラティファイアー・アッセンブリについての試験を行っている。その試験結果では、ミキサー/ストラティファイアー・アッセンブリを用いた場合よりも標準的な緩衝T字管(impacting tee)を用いた場合の方が、蒸気と水とをより良好に分けることができることが分かった。
第3の例は、米国特許第5810032号に記載されている。米国特許第5810032号では、実験室において空気および水を用いることによって、標準的なT字管に用いられる種々のインターナルについての試験が行われている。また、水蒸気/水混合物を分割して並列の注入ウェルへと導いてオイル・リザーバーでのオイル回収率を向上させる種々のインターナルについて現場にて試験が行われている。なお、標準的なT字管の上流側に設けられたスタティック・ミキサー、標準的なT字管の上流側に設けられた垂直フロー・バッフル、および、標準的なT字管の2つの流出分岐部に用いられたフロー制限部(flow restriction)またはノズルと3種類の一般的なパイプ・インサートに対して試験が行われた。また、かかる3種類のインターナルの組合せに対しても試験を行っている。その結果、スタティック・ミキサーおよび垂直バッフルの場合にだけ分割効率が僅かに向上することが分かった。2つの流出分岐部でフロー制限部またはノズルを使用した場合では、試験に用いられた流れ機構に対しては分割効率が幾分向上したものの、流入パイプの断面にて不均一に分布する液体および気体の場合において、ノズルおよび流出分岐に液体を均一に分布させる推進力が何なのかが明確になっていない。分散流機構または気泡流機構(気体の連続相中の液滴が存在するもの又は液体の連続中に気泡が存在するもの)に関しては、実験室で流れ実験を行っていない。評価された流れ機構は、層流、波状層流、スラグ流および環状流であり、それらは、オビット・ベイカー氏(Ovid Baker)によって2相流マップを用いることで予測されるものである(「ハウ・ツー・サイズ・プロセス・パイピング・フォー・ツー−フェース・フロー(How to size process piping for two−phase flow)」、ハイドロカーボン・プロセッシング(hydrocarbon processing)、1969年10月、第105頁〜第116頁)。このように、流速が低く液体の割合が少ない場合では、インターナルを備えた標準的なT字管またはインターナルを備えていない標準的なT字管の分割性能が向上することのみが見出されている。流速が大きい好ましい機構、即ち、分散流および気泡流では試験が行われていない。仮に分散流および気泡流で試験が行われた場合では、結果が異なることが考えられる。
標準的なT字管で特別なインターナルを用いる代わりに、T字管を大きく改良した例が示唆されている。改良したT字管の例は、日本国特許(JP−A2)第62059397号、米国特許第4528919号および米国特許第4512368号に記載されている。
タイプ3:スプリットの上流で形成される流れ機構に依存するデバイス
産業上利用される流れ機構を予測することは、流れ機構マップ(flow regime map)が正確さを欠くために困難である。ほとんどの流れ機構は、径が小さいパイプ(2インチ未満の径を有するパイプ)内に供された空気および水に対する2相流れ機構データに主に基づいている。それゆえ、例えばハイドロプロセッシング・ユニット(hydroprocessing unit)等の高温・高圧の炭化水素/水素系では、流れ機構マップが不正確となってしまう。
流れ機構マップの不正確に加えて、液体および気体の量および性質を予測する熱力学モデルもまた不正確である。このことは、例えば、炭化水素が擬似成分(pseudo component)の使用によって特徴付けられる複雑な炭化水素系、および、蒸発程度および流体性質を予測するのに状態式が用いられる複雑な炭化水素系にとって重要な意味を成す。
また、処理プラントの配管系(piping system)は、エキスパンション、コントラクション、エルボ、チェックバルブ等のパイプ・フィッティングを有しており、しばしば複雑となっている。2相ストリームがかかるパイプ・フィッティングを通過すると、一般的な流れ機構が分配されるため、一般的な流れ機構を再度形成するには、長いまっすぐな配管が必要とされる。例えば、上述したように、密度の高い液体相がエルボの内壁の外側近傍を流れ、軽い液体相がエルボの内壁の内側近傍を流れるように、エルボでは相が分離する傾向がある。
かかる3つの理由から、パイプまたはフロー・チャンネルの実際の流れ機構を正確に予測するのは通常困難である。従って、温度、圧力、流速、流体の化学成分等の操作条件の変動に起因して、処理ユニットの関連する全ての操作条件で流れ機構を1つに維持するのは通常困難である。それにもかかわらず、多くの2相ストリーム・ストリッパーは、1つの流れ機構に対してのみ機能するように設計されている。
2相ストリーム・スプリッターの第1の例が、米国特許第4516986号に記載されている。かかるスプリッターは、主パイプに挿入された内部パイプ12を有して成る。内部パイプと主パイプとの間に設けられた環状領域には、バッフル13が配置されている。主パイプで意図される流れ機構は、パイプ壁付近の環状リング部を液体が流れ、かつ、パイプの中心部を気体が速い速度で流れるような環状流れ機構である。パイプ壁付近を流れる液体の一部は、閉鎖された端部空間14に集められることになる。閉鎖した端部空間14から流出する液体は、制御バルブ23を通るように外部ライン15を流れる。バッフル13の下流の環状気体空間30から得られた気体は、分岐パイプ11を通るように送られる。分岐パイプ11で、気体と制御バルブからの液体とが合わせられることになる。分岐パイプ11の2相ストリームに供される流量計20は、液体流れを制御するのに用いられる。しかしながら、流量計で気体/液体比をどのように正確に測定できるのかについては記載されていない。通常、気体/液体比を測定するには、気体流れと液体流れとを別個に測定しなければならない。環状流れ以外の他の流れ機構、例えば、スラグ流では、デバイスの分割性能が悪くなり得る。主パイプ10で支配的な流れ機構が環状流れである場合であっても、スプリッターの上流側のエルボ等のパイプ・フィッティングによって流れが乱されることになる。そのため、まっすぐな配管部が必要とされるが、かかる配管部は、処理ユニットで付加的なスペースを占めてしまう。また、流速範囲には限界がある。全流速が設計値を下回ると、バッフル13における圧力降下が急に減少し、制御バルブ23において供される圧力降下が減少することになる。あるポイントでは、制御バルブが充分に開いて、液体速度を制御できなくなる場合がある。機器や制御バルブが用いられると、システムは他の2相流スプリッターほどシンプルで丈夫なものでなくなり、スプリッターでの圧力降下が増加してしまう。圧力降下が大きくなると、処理ユニットの移送(またはポンピング)および/または圧縮に関するコストが通常増加してしまう。本願特許明細書では、2つの流出ストリームをどのように発生させるのかについて記載している。3つ以上の流出ストリームが必要とされる場合、直列に設けられた2つ以上の分割システムがおそらくは必要とされるであろう。多くの流出ストリームが必要とされる場合では、分割システムがやや複雑になり、必要とされる圧力降下が過大になり得る。
2相ストリーム・スプリッターの第2の例が、米国特許第4800921号に記載されている。米国特許第4800921号では、水平ヘッダー16に流出枝管14a,14b,14c…が設けられている。上流側の流出枝管は、より高い位置に設けられており、下流側へと向かうにつれ流出枝管の高さが徐々に低くなるようになっている。ヘッダー内の流れ機構が環状流れである場合、種々の高さを有する各々の流出枝管ポイントで、環状液体リング部の厚さが略同じ厚さとなるようにしなければならず、そのため、各々の分岐ストリームでの気体/液体比が同じとなることが求められる。上述したように、関連する全ての操作条件において流れ機構が1つのある流れ機構に維持されるということは考えにくい。更に、主ライン内にて環状流れを維持することができた場合であっても、気体/液体比が各分岐ラインにおける流速が全体的に影響を受けることが予測される。分岐ラインでの流速が速くなればなるほど、より多くの気体がパイプに吸い込まれることになるので、気体と液体との比が高くなってしまう。ある操作モードの流れ機構が、例えば層流等の予測されるものと異なる場合では、相が著しく不均衡に流出分岐部に配分されることになる。
2相ストリーム・スプリッターの第3の例は、米国特許第4574837号に記載されている。米国特許第4574837号に記載されている水平な主パイプ10での或る相分離は既知であるものと考えられる。主パイプには種々の高さの開口部が設けられているので、流体は環状チャンバー12を流れた後に分岐パイプ13を流れることになる。パイプ10の上部および底部に設けられた開口部の適切な流れ領域を選択することによって、分岐パイプにおけるストリームの気体/液体比が設定される。パイプの底部の開口部の流れ領域よりも上部の開口部の流れ領域の方がより速い流れになると、分岐パイプでは、液体に対する気体の割合がより多くなる。かかるデバイスは、層流機構および波状層流機構に対してのみ機能する。また、かかるデバイスでは、主パイプ内の液体レベルが予め分かる場合にのみ、ストリームを所望の気体/液体比で分割することができる。結果的に、デバイスは、遅い流速に対してのみ機能し得、また、決められた気体/液体比および性質に対してのみ機能し得る。ほとんどの工業的用途は、流速が速く、気体/液体比および性質が大きく変動する特徴を有している。
ストリーム・スプリッターの他の例は、米国特許第4574827号および米国特許第5437299号に記載されている。米国特許第4574827号および米国特許第5437299号に記載されているスプリッターは、スプリットの上流側に形成される或る流れ機構に依存している。
タイプ4:遠心力を利用したデバイス
米国特許第5059226号には、遠心力を利用した2相流れスプリッターが記載されている。遠心力スプリッターは、渦流室23へとつながる流体入口28を接線方向に有している。渦流室の底部には、旋回する気体および液体を出口開口部36を介して出口チャンネル37へと導く中央ハブ38および羽根部(vane)39が設けられている。しかしながら、液体相を分配する推進力が何であるかは容易に理解することができない。また、デバイスの一方の側部に1つだけ入口28が設けられており、流体の入口が対称的にはなっていない。渦流室の内壁に沿って液体が旋回するものの、非対称な設計に起因して、流れおよび液体層/フィルムの厚さが一様になることを期待することはできない。結果的に、ある羽根部39が他の羽根部39よりも多くの液体を集めることになるので、液体が出口チャンバー37へと最適には分配されない。
タイプ5:外部エネルギーを用いて流れを分散させるデバイス
外部エネルギーを用いて流れを分散させるデバイスの一例が、欧州特許(EP−B1)第0003202号に記載されている。流入ストリームを出口チャンネル4a,4bおよび4cへと分割するスプリットの上流には、シャフト28に設けられた回転攪拌機およびモーター32が用いられており、それらによって、液体と気体との混合物を分散させている。かかるデバイスでは、シャフト28に対して加えられた機構によって分散流れ機構を発生させているので、デバイスは、流速および流体性質の変動にかかわらず機能するものと考えられる。このようなタイプのデバイスに関連する主な問題は、水素化分解(300バールまで)等の高い圧力が用いられる場合では、シャフト28とパイプ/ベンド21との間での良好なシールを容易に達成できないことである(コスト的に安い設計ができない)。また、イニシャル・コスト、回転機のメンテナンス・コストおよびモーターの消費電力のコストも高い問題もある。
タイプ6:流入ストリームの気体と液体とを分けた後に気体相および液体相とをそれぞれ流出ストリームへと分配するデバイス
図2に、常套的な気体/液体セパレーターおよび常套的な計装機を用いて、2相流入ストリームを3つの流出ストリームへと分割する流れスプリッターの第1の例を示す。気体相は、気体流出ライン14を介して、並列に設けられた制御バルブ15a,15bおよび15cへと移送される。制御バルブの位置またはリフト(またはバルブの開き)をフロー・コントローラー16a,16bおよび16cによって制御することによって、各々の制御バルブを通る気体が所望の流速となるようにしている。ΔPトランスミッター(ΔP transmitter)とオリフィス板またはベンチュリ管等とを組み合わせたような常套の手法を用いて、流れが測定されている。フロー・コントローラーは、圧力コントローラー17とつながっている。セパレーター10で所望の圧力が維持されるように、圧力コントローラーはフロー・コントローラー16a,16bおよび16cについてのフロー設定値を変化させている。液体相13は、液体流出ライン18を介して、並列に設けられた制御バルブ19a,19bおよび19cへと移送される。制御バルブの位置またはリフト(またはバルブの開き)は、フロー・コントローラー20a,20bおよび20cによって制御され、各々の制御バルブを通る液体が所望の流速となるようにしている。ΔPトランスミッター(ΔP transmitter)と例えばオリフィス板とを組み合わせたような常套の手法を用いて、流れが測定されている。フロー・コントローラーは、圧力コントローラー21とつながっている。セパレーター10内で所望のレベルが維持されるように、レベル・コントローラーは、フロー・コントローラー19a,19b,19cについてのフロー設定値を変化させている。バルブ15a,15bおよび15cから移送される気体ストリームと、バルブ19a,19bおよび19cから移送される液体ストリームとが組み合わされることによって、3つの2相流出ストリーム22,23および24が得られることになる。
図2に示すような2相ストリーム・スプリッターに用いられる計装機は、やや複雑なものである。なぜなら、トランスミッター、制御バルブおよびコントローラー等の構成要素が複雑であり、それらの数が多いだけでなく、故障および不具合となる可能性があるからである。制御システムが故障または不具合を起こした場合、液体に対する気体の割合が高すぎたり又は低すぎたりすると、下流ストリーム・システムが損なわれてしまうことになる。例えば、配管内を流れるストリームにおける液体に対する気体の割合が急に増加すると、配管が過熱されるため、配管が裂けたり、炉管にてコークスが蓄積したりする可能性がある。また、例えば、液体に対する気体の割合が低い状態でリアクターが操作されると、並列に設けられた触媒水素処理リアクターでコークスが急に蓄積する可能性があり、その結果、たとえ短い時間であっても水素が足りなくなってしまう。更に、制御システムが複雑になって、セパレーター・ベッセル10のサイズが大きくなると、スプリッターのコストが高くなってしまうことになる。
第2の例が、米国特許第4293025号に記載されている。米国特許第4293025号に記載されている2相流れスプリッターは、2相入口ノズル11を備えたセパレーター・ベッセル10を含んでいる。入口ノズルの下方に緩衝プレート14が配置されているので、速い速度で供給される流入ストリームが弱められる。セパレーターには2つ以上のチムニー(chimney)12が設けられている。チムニーの上端部は開口しており、気体がチムニーに流入できるようになっている。また、チムニーには、液体がチムニーに流入できるような開口部13が設けられている。チムニーの上端部の上方にはキャップ16が配置されており、チムニー上端部から液体が直接導かれないようになっている。各々のチムニーに供給される液体流れは、開口部よりも上方の液体ヘッドおよび開口部の流れ面(または流れ面積)によって決められる。ベッセル内の液体レベルが所定のレベルの場合では、各々のチムニーへと流れる液体流れは略一定となる。そのため、かかる2相ストリーム・スプリッターは、液体を並行な流出ストリームへと分配する推進力が液体ヘッドとなっており、そのようなスプリッターでは、気体/液体比が一定というよりもむしろ、各々の流出ストリームでは液体流れが一定となっている。分配する推進力が液体ヘッドであるストリーム・スプリッターに関連した別の問題としては、液体流れの範囲が制限されていることが挙げられる。開口部13の面積は、設計された液体流速で液体レベルが中間となる大きさにする必要がある。ある操作モードにて液体流速が例えば50%速くなると、液体レベルは、設計された液体レベルよりも約2.25倍高くなるので、液体がチムニーから流出して、流出ストリームへと液体が望ましく分配されないことになる。液体流れが設計された液体流れよりも例えば50%遅くなると、液体レベルは、予測された液体レベルのわずか約25%になってしまう。液体レベルが低いと、波に対する大きい感度、平らでない装置および他の製作公差に起因して、液体分配性能が低下してしまう。より高い位置に開口部を設けると、スプリッターの液体流れ範囲を広くすることができるものの、設計ポイントでの液体分配性能が、ある1つの高さにのみ開口部を備えたスプリッターと比べて減じられることになる。
液体を均一に各々の流出ストリームへと分配する推進力が液体レベルとなっているスプリッターの他の例は、米国特許第4662391号、日本国特許(JP−A2)第03113251号および日本国特許(JP−A2)第02197768号に開示されている。
液体相と気体相とを分離するストリーム・スプリッターの第3の例が、米国特許第5250104号に開示されている。かかる例では、パイプ14内を流れる2相混合物が、セパレーター12で分離される。気体相は、T字管20で2つのストリームに分割される。2つの気体ストリームは、それぞれオリフィス22および24を通る。オリフィスを通過する際の気体流れの圧力降下ΔPは、気体の体積流速の2乗にほぼ比例する。液体ライン32および34を通過する際の液体流れの圧力降下ΔPは、サンプ(または水溜め部)30の液体レベルと液体チューブ端部40,42の液体レベルとの高さの違いに起因した静的な項ΔPSL、および、摩擦の項ΔPFLとから成るものである。ΔPFLは、液体の体積流速にほぼ比例する。スプリッター内に設けられた気体および液体の通路は平行な通路であるために、圧力降下は同一となる:
Figure 2007533419
気体オリフィスおよび液体チューブの流れ面は、或る気体流速Qおよび或る液体流速Qに対して大きさを有するものである。ある操作モードに際して例えば実際の気体流れが50%速くなると、ΔPは予想よりも多く125%となる。液体流れが変化しないので、ΔPFLもまた変化しない。式(1)を満たすために、1.25×ΔPの分だけΔPSLを増加させる必要がある。そのため、サンプ30の液体レベルをかなり減じる必要があり、ある時点ではサンプに液体レベルが存在しないことがあり、気体および液体の双方が液体ライン32および34に入ってしまうことになる。このような場合、並列なライン32および34への液体の分配が不充分となってしまう。その一方、気体流れが、ある操作モードに際して設計された気体流れよりも例えば50%低下すると、ΔPは予想よりも少なく75%となる。このような場合、サンプ30の液体レベルは相当に上昇するので、サンプからオーバーフローが生じて、液体がオリフィス22および24に流れ、不均一な分配となる。かかるスプリッターは、気体流速および液体流速が設計された(または意図された)流速の場合にのみ適切に機能することになる。大抵の工業用途は、液体流速および気体流速の変動が大きく、密度、粘度および表面張力などの液体特性ならびに気体特性の変動が大きいという特徴を通常有しているので、かかるスプリッターの液体流れおよび流速流れの範囲では不充分である。
発明の要旨
本発明は、2相流入ストリームを2つ以上の流出ストリームに分けるデバイスである。かかるデバイスは、流出流体の各々の気体/液体比(または液体に対する気体の割合)をほぼ一定とするように設計できる。
ある態様の本発明のスプリッターを図3A、図3Bおよび図3Cに示す。流入ストリームは、流入パイプを介してセパレーター・ベッセルへと送られる。ベッセルの流入パイプの入口の下方には、緩衝プレート(または衝突プレート、impingement plate)が設けられている。緩衝プレートによって、ストリームの速い速度が弱められ、セパレーターの内壁へとストリームが導かれ、その結果、セパレーターの内壁に液体が衝突して、液体と気体相とが分離される。セパレーター・ベッセルでは、液体相と気体相とが分離されている。
セパレーターの内側には、垂直に設けられた2つの吸引チャンネルが配置されている。かかる吸引チャンネルは、2つの流出パイプと流体連通している。流出ストリームは、かかる流出パイプを介してセパレーターから排出されることになる。吸引チャンネルの下端部は、液体相に浸漬されている。吸引チャンネルの側壁には開口部が設けられている。気体は、セパレーター内の液体レベル(または液体の液面)よりも上方に位置する開口部を通るように流れる。気体がかかる開口部を通過すると、吸引チャンネル壁部に圧力降下が生じることになる。その結果、液体は、吸引チャンネル内へと吸い上げられ、吸引チャンネル内の気体と混合される。得られる2相混合物は、チャンネル内を上方へと流れ、流出パイプを介してセパレーターおよび2相ストリーム・スプリッターから排出される。
セパレーター内の液体レベルは、ベッセルに入る気体の流速によって主に決められる。気体の流速が遅いと液体レベルが高くなり、気体の流速が速いと液体レベルが低くなる。液体の流速によっては、液体レベルはあまり影響を受けない。
上述したような従来技術とは違って、本発明は以下のような有利な点を有している:
A)本発明のスプリッターでは、流出ストリームの各々の気体/液体比をほぼ一定に維持することができる。別法にて、本発明のスプリッターでは、流出ストリームの各々の気体/液体比が特定の異なる値となるように設計することができる。
B)本発明のスプリッターでは、意図する分割比がどのような分割比であっても設計することができる。また、本発明では、ある操作状態における現実の分割比が意図された分割比と異なる場合であっても、スプリッターは機能し得る。
C)本発明のスプリッターは、流入パイプ内の流れ機構がどのようなものであっても等しく好ましく機能する。
D)本願発明のスプリッターは、配管系の上流または下流のレイアウトに対してセンシティブ(または敏感)ではない。例えば、スプリッターの上流側のエルボまたはバルブ等のパイプ・フィッティングによって性能が影響を受けることはない。
E)本発明のスプリッターを使用すると、複数の流出ストリームを形成することができる。緩衝T字管(impact tee’s)を用いた対称的なパイピング・スプリットによって、2つの流出ストリーム,4つの流出ストリームまたは8つのストリーム,・・・等を形成することができるものの、本発明では、3つの流出ストリーム,6つの流出ストリーム,7つのストリームまたは9つのストリーム,・・・等を形成することができる。
F)本発明のスプリッターは、シンプルで丈夫な設計を有している。器具が使用されておらず、可動部を有していない。僅かなメンテナンスで済み、プラント作業者が注意を払う必要性もない。
G)本発明のスプリッターは、オープン・システム(open system)であり、汚れの影響はほとんど受けない。処理ユニットでスプリッターを使用しても、過圧保護する考え方が影響を受けるようなことはない。水素処理ユニットでは、スプリッターの下流側に配置されたリリーフバルブ(または安全弁)によって、スプリッターの上流側に配置された機器が過圧から保護されている。
H)下流側の圧力降下がどんなに大きくても、スプリッターの圧力降下は小さい(設計条件において〜0.05バールである)。
I)本発明のスプリッターは、コンパクトであり、コスト的に効率の良い設計となっている。
発明の背景
種々の工業プロセス機器の上流側では、流出流体の各々の気体/液体比が同じになるように2相ストリームを2つ以上の流出ストリームに分けることが求められている。例えば以下の事柄が挙げられる:
・プロセス用炉においては、炉管の直径が過度に大きくなるのを回避し、かつ、経済的な炉の設計ができるように、プロセス流体に対して、並列な炉管が最もよく用いられている。そのため、炉の上流側に設けられた並列な炉管に供給ストリームを分割して供給する必要がある。
・最近の処理プラントでは、組み合わされたシェル&チューブ式熱交換器などの並列に連結された熱交換器がしばしば用いられる。このように並列に連結された熱交換器を用いるのは、管束直径が過度に大きくなるのを回避するためであり、および/または、処理プラントでの熱統合(heat integration)を最適化するためである。
・束状のエアークーラーは並列に配置される場合が多い。これは、束サイズに制限があるからであり、また、流入ヘッダーの長さが過度に長い場合では、並列なエアークーラー管への流体の分配が不充分となるからである。
・トリクルベッド・リアクター(または散水ろ床リアクター、tricle bed reactor)等の化学リアクターは並列に構成され得る。高圧用途では、並列に構成すると、リアクター直径を減じることができ、全体的なリアクター・コストを下げることができる。より多くの触媒を既存のプラントに加える必要がある処理プラントを改造(または改良)する際には、経済的な観点から、既存の化学リアクターに新しい化学リアクターを直列に加えるよりも並列に加える方がしばしば非常に魅力的である。なぜなら、既存のリアクターに新しいリアクターを直列に加える場合では、全リアクターの圧力降下が相当に大きくなってしまい、ポンプおよび/またはコンプレッサーの取替え/アップグレードが必要となりコストが高くなってしまう。その一方、新しい化学リアクターを並列に加える場合では、圧力降下が実際には減少することになり、同じポンプおよびコンプレッサーであってもプラントの処理量を高くすることができる。
これまでのところ、2相ストリームを液体/気体比が相互に等しい複数の流出ストリームに分割することは殆どできていなかった。流出ストリームの液体/気体比が等しくならないと以下のような結果がもたらされる:

気体の熱容量が液体の熱容量よりも大きいので、液体に対して気体の割合が多いストリームを受け入れる炉管は、液体に対して気体の割合が少ないストリームを受け入れる炉管よりも熱くなる。そのため、最大許容管材料温度は、炉に対して見積もられている熱交換量さえ下回ることになり得る。この場合、炉によって、当初意図された熱を伝えることができなくなり、結果的に、処理ユニットの生産速度が低くなってしまう。炭化水素処理では、管金属温度がより高くなると、管の壁部におけるコークス生成速度が増加することになる。その結果、炉管のコークスを除去するユニットを早期に停止する必要がある。また、自動制御システム(流れ制御バルブ)で気体および液体を各々並列な炉管へと分配する場合では、制御システムが故障すると、1つ以上の炉管が液体流れを急に通さなくなってしまう可能性があり、結果的に、炉管が過熱状態となって破裂する場合がある。
熱交換器およびエアークーラー
並列な熱交換器およびエアークーラーで気体/液体比が等しくないと、全伝熱能力が相当に減少してしまう。このことは、低温ストリームの温度と高温ストリームの温度とが非常に近いクリティカルな用途の場合に特に当てはまる。例えば、伝熱システムが2つの並列な熱交換器Aおよび熱交換器Bから構成されており、熱交換器Aが、液体に対する気体の割合が高いストリームを受容し、熱交換器Bが、液体に対する気体の割合が低いストリームを受容する場合を考えてみる。熱交換器Aの推進力ΔTは、ストリームのより低い熱容量に起因して、より低くなるので、熱交換器Aでの伝熱交換量はより少なくなる。熱交換器Bの推進力ΔTは、ストリームのより高い熱容量に起因して、より高くなるので、熱交換器Bでの伝熱交換量はより多くなる。この場合、熱交換器Bでのより多い伝熱は、熱交換器Aでのより低い伝熱を補うほどに充分に多いものではなく、全体的には、熱交換器で伝えられる全熱量が減ってしまうことになる。熱交換器で予測される伝熱よりも伝熱が少なくなると、プロセスの生産速度が遅くなり、経済的に厳しい結果となり得る。
ある場合では、並列な熱交換器に液体が不均一に分配されると、汚れ、閉塞および/または腐食が生じることがある。例えば、1つの例としては、液体を気化させる並列な熱交換器を用いる場合が挙げられる。通常、気化が生じないプロセス・ストリームでは汚染が生じることがないので、熱交換器内で完全に気化(または蒸発)しないように処理プラントが設計されている。即ち、「乾点」に至らないようになっている。熱交換器のある箇所で「乾点」が生じると、液体中に元から溶解または分散していた汚染物は、液体が無くなってしまうために、伝熱面に蓄積されてしまう。並列な熱交換器の1つが、見込みを相当に下回る液体を受容している状態では、プラント設計の時点で予測されない場合でも、かかる熱交換器では乾点が生じてしまうことになる。その結果、熱交換器での汚れおよび/または閉塞の問題は悪化することになり、引き続いて、伝熱速度が低下し、熱交換器を洗浄するユニットを早期に停止しなければならなくなる。
その他の例としては、水素処理ユニットで生成物用の束状エアークーラーを用いる場合が挙げられる。リアクター流出物が冷却されると、NHClおよびNHHS等のアンモニア塩が蓄積し、深刻な腐食の問題および閉塞の問題が生じてしまう場合がある。そのため、かかるアンモニア塩を溶かすべく洗浄水が加えられている。洗浄水を含んだプロセス・ストリームを並列な束状エアークーラーに分割して供給した場合では、洗浄水の分配が不充分となる場合があり、洗浄水が殆どまたは全く供給されないエアークーラーの束では腐食および閉塞の問題が生じてしまう。
化学リアクター
水素処理ユニットに設けられた並列な化学リアクター(例えば、トリクルベッド・リアクター)では、各々のリアクターの入口で同じ気体/液体比となることが極めて重要である。固体触媒存在下にて炭化水素成分と水素とが反応する水素処理リアクター(例えば、水素化分解リアクター)では、リアクターに供給されるフィードにおいて液体に対する気体の割合が少ないと、リアクター内での水素分圧が低くなる。その結果、反応速度が低くなったり、コークス蓄積速度が速くなったり、また、触媒が不活性化してしまうことになる。また、リアクターに供給されるフィードにおいて液体に対する気体の割合が少ないと、短い操作時間であっても、リアクターの触媒分子の高価な装填が損なわれる結果となる。
詳細な説明
本発明のスプリッターは、必要とされる分割比(または配分割合)が得られるように設計することができる。分割比は、流出ストリームの全質量流を流入ストリームの全質量流で割ったものとして規定される。例えば、本発明では、分割比を50%/50%となるように設計できるだけでなく、分割比を5%/95%となるように設計することもできる。2相スプリッターは、制御バルブを用いておらず、全体の圧力降下が少ないオープン・システムである。そのため、分割比を決めるのは、2相スプリッター自体ではなく、下流の流れ系の水力性能(hydraulic capacity)である。分割比が2相スプリッターで意図された分割比からずれた場合であっても、スプリッターを適当に設計することによって、流出ストリームの各々において、ほぼ同じ気体/液体比を得ることができる。その理由は以下の通りである:
例えば、吸引チャンネルAおよび吸引チャンネルBに対して2相流入ストリームがそれぞれ30%/70%の分割比となるように2つの流出ストリームへと分割されるように、ストリーム・スプリッターが設計されている場合を例に挙げて説明する。一般的には、かかる設計では、2つの吸引チャンネルの開口部が異なるサイズを有しており、2つの吸引チャンネルの断面積は異なっている。ある操作モードでは、分割比は、2相スプリッターで意図された30%/70%とではなく40%/60%となる場合がある。この場合、当初の見込みを上回る量の気体が、側部に設けられた開口部から吸引チャンネルAに流入することになる。そのため、吸引チャンネルAの外側から内側までの圧力降下がより大きくなり、その結果、より多くの液体が吸引チャンネル内へと吸い込まれることになる。また、分割比がより低いことに起因して、当初の見込みを下回る量の気体が、吸引チャンネルBの側部の開口部を通って吸引チャンネルBに流入することになり、吸引チャンネルBの外側から内側までの圧力降下がより小さくなる。その結果、より少ない液体が吸引チャンネル内へと吸い込まれることになる。このようにして、異なる分割比を補うような設計が為されている。
ある操作モードにおける所定の吸引チャンネルに対する分割比が見込みを上回る場合では、気体がより多く流れることによって、液体がより多く流れることになる。同様に、所定の吸引チャンネルに対する分割比が見込みを下回る場合では、気体がより少なく流れることによって、液体がより少なく流れることになる。結果的に、出口パイプにおける液体に対する気体の割合は、分割比の変化によってはあまり影響を受けることはない。
図4では、並列に設けられた熱交換器、計装機および炉管を備えた処理システムのプロセス・フロー図が示されているが、図4は、流出ストリームの各々で同一の気体/液体比が維持される性能について第1の例を示している。高温ストリーム58および65が流れ込む熱交換器、ならびに、炉61が用いられることによって、低温の2相供給ストリーム50が加熱されている。まず、本発明のスプリッター51によって、低温ストリーム50は3つのストリーム52,53および54へと分けられる。流出ストリーム52は、シェル&チューブ式熱交換器55a,55b,55cおよび55dのシェル側ならびに炉61の管路67から成るトレインAを流れる。流出ストリーム53は、シェル&チューブ式熱交換器56a,56b,56cおよび56dのシェル側ならびに炉61の管路68から成るトレインBを流れる。流出ストリーム54は、シェル&チューブ式熱交換器57a,57bおよび57cのチューブ側ならびに制御バルブ69から成るトレインCを通過する。流出ストリーム62、流出ストリーム63および流出ストリーム60は、それぞれ組み合わされて生成物ストリーム64となる。スプリッター51で設計されている気体および液体の流速および性質を表1に示す。
Figure 2007533419
スプリッター51は、トレインA、トレインBおよびトレインCに対する分割比がそれぞれ40%/40%/20%となるように設計されている。流出ストリーム52,流出ストリーム53および流出ストリーム54の各々が同じ気体/液体比となることを目的としている。実際の分割比が40%/40%/20%という設計された分割比と同じになる場合では、3つの流出ストリーム52,53および54の気体/液体比がほぼ同じになる。しかしながら、トレインAでの所定の流速の圧力降下が、見込みよりも20%大きくなることが分かった。流れ抵抗の違いは、2つの並列なトレインAおよびBの異なる配管のレイアウトおよび僅かに異なる熱交換器および炉の設計に起因するものであった。また、トレインCでの所定の流速の圧力降下は、当初の見込みよりも30%大きくなることが分かった。トレイCに対するより少ない流れ抵抗は、制御バルブ69によって制御される流れ条件がより高いことに起因するものであった。並列な流れ系の異なる流れ抵抗によって、分割比は予測されるものと異なっていた。
以下では、トレインAおよびトレインCの見込まれた流れ抵抗が異なることによってもたらされる並列のトレインの各々の気体/液体比の相違を、気体および液体の流速を9セット用いて評価している。評価された気体および液体の流速のセットおよびその結果を表2に示す。気体流れおよび液体流れは、それぞれ、設計された気体流速および液体流速の50%、100%および200%に相当する。評価から得られた結果、つまり、スプリッターにおけるΔP、3つのトレインにおけるΔP、ストリーム52,53および54についての気体/液体比および%DVLRについても表2に示す。なお、%DVLRは、以下の式で規定される:
Figure 2007533419
ここで、VLおよびVLfeedは、それぞれ、流出ストリームiの気体/液体比(即ち液体に対する気体の体積割合)および流入供給ストリームの気体/液体比(即ち液体に対する気体の体積割合)であり、Nsplitは、スプリッターから得られる流出ストリームの数である。
表2から分かるように、所定のスプリッター設計では、下流系の流れ抵抗が当初の見込みとは異なる場合であっても、幅広い範囲の気体流速および液体流速にわたって優れた性能が示された。
気体/液体比は1.3から21.5までの間で変化し、トレインでの圧力降下は1.3バールから20.9バールまで変化する。トレインAの20%より多い流れ抵抗およびトレインBの30%より少ない流れ抵抗によってもたらされる%DVLRの平均は、2.97%と低いものである。
Figure 2007533419
スプリッターの性能は、スプリッターの製造および設置に際する機械的誤差によって影響を受ける場合がある。特に、スプリッターの性能は、吸引チャンネルの相対的な高さおよび吸引チャンネルの開口部の流れ面によって影響を受ける。
本発明のスプリッターの用途の第2の例を図5のプロセス・フロー図に示す。190mの触媒粒子が充填された既存のトリクルベッド75は、所望の速度で所望の生成物を得るには小さすぎる。そのため、付加的に90m触媒を加える必要がある。既存なリアクターに対して直列に新しい触媒を設ける代わりに、既存のリアクター75に対して並列に新しいリアクター74が設けられる。2相供給ストリーム70をリアクター75および74へとそれぞれ送られる2つの流出ストリーム72および73へと分けるために、本発明のスプリッター71が用いられている。リアクター74およびリアクター75へとそれぞれ分けられる分割比は、32%/68%である。リアクターの下流では、リアクター74からの流出ストリーム76とリアクター75からの流出ストリームとが組み合わされて、生成物ストリーム78が得られる。スプリッター71の吸引チャンネル同士は同じ高さになることが意図されているものの、かかる第2の例では、ストリーム72に対応する吸引チャンネルAは、ストリーム73に対応する吸引チャンネルBよりも10mm高くなっている。また、吸引チャンネルAの開口部の流れ面は、意図された面積よりも2%大きくなっており、また、吸引チャンネルBの開口部の流れ面は、意図された面積よりも2%小さくなっている。吸引チャンネルAおよび吸引チャンネルBの高さおよび開口部の流れ面積が異なることによって、液体に対する気体の割合は、ストリーム73よりもストリーム72の方が多くなる。
スプリッター71は、表3に示すような気体流速および液体流速ならびに気体特性および液体特性に対して設計されている。
Figure 2007533419
以下では、上述のような製造および設置に際する誤差によってもたらされる気体/液体比および%DVLR(式(2)によって規定される)の相違を、幅広い操作条件で評価している。評価される操作条件(表4に示す)は、それぞれ、気体および液体の意図された流速の50%、100%および200%に相当する。評価から得られる結果、つまり、スプリッターにおけるΔP、リアクターにおけるΔP、ストリーム72および73についての気体液体比(体積比)ならびに%DVLRを表4に示す。
Figure 2007533419
表4から分かるように、製造および設置に際する誤差がある場合であっても、気体流速および液体流速の幅広い範囲にわたって優れた分割性能が示された。
図4および図5に示される2つの例では、各々が同じ気体/液体比を有する流出ストリームが形成されるようにスプリッターが設計されているが、気体/液体比が各々の異なる流出ストリームが形成されるようにストリーム・スプリッターを設計することもできる。例えば、分割比が20%/20%/60%となるように、また、気体/液体比(体積比)が10/12/20となるように、2相流入ストリームを3つの流出ストリームへと分割するスプリッターを設計することができる。なお、2相ストリーム・スプリッターが用いられる大抵の工業用途では、流出ストリームの各々の気体/液体比が同じとなることが望ましいとされている。
本発明のセパレーターで行われる気体と液体との分離は、常套の相セパレーターと同様であることは必ずしも必要でない。気体から液体のバルク部分を分離することで充分である。気体が均等に分配されるので、気体に伴って送られるより小さい液体が吸引チャンネルへと分配されることになる。そのため、常套の相セパレーターよりも気体の線速度が速く、かつ、断面積が小さくなるように、2相スチーム・スプリッターのセパレーターを設計することができる。また、2相ストリーム・スプリッターのセパレーターで必要とされる液体の滞留時間は、図2に示すような計装機を備えた常套のセパレーターで必要とされる液体の滞留時間よりも相当に短くなっている。計装機を備えた常套のセパレーターは、5〜20分の液体滞留時間を有しているため、レベル制御システムに対する応答時間を許容しており、また、自動制御システムが故障した場合の作業員による手動操作を可能にしている。2相ストリーム・スプリッターでは、レベル(または液面)は、ある程度迅速に修正され、また、気体充填量によって主に設定されるものである。それゆえ、2相ストリーム・スプリッターのセパレーターにおける液体の滞留時間は、5秒と短くなっている。全体的には、2相ストリーム・スプリッターのセパレーターは、装置産業で用いられている常套の相セパレーターよりも非常にコンパクトとなる。例えば、表1に示す気体および液体の流速および特性に対して設計されている図4のスプリッター51の圧力ベッセルのサイズおよびコストを、図2に示すような常套の相セパレーターの圧力ベッセルの場合と比較した。なお、この常套の相セパレーターは、表1に示すような気体流れおよび液体流れおよびそれらの特性に対して設計されているものである。結果を表5に示す。
Figure 2007533419
表5に示すコストは、吸引チャンネルなどのインターナルが設けられたベッセルのコストである。基礎工事、据え付け、断熱作業、配管および計装等の設置コストは含まれていない。従って、一般的には、トータルの設置コストは、表5に示す設備コストの3〜4倍になる。表5から分かるように、本発明のスプリッターは、常套の相セパレーターを使用する場合と比べて、コンパクトであって、コストが低くなっている。
図3A,図3B,図3C,図6A,図6B,図7A,図7Bおよび図8は、本発明のスプリッターの別の構造を示している。かかる図面は、本発明およびその代替的な態様を単に示すのに用いているに過ぎないので、図面は、本明細書に開示する発明の概念を限定したり、施工図として用いられたりするものではない。つまり、図面は、本発明の範囲を制限しない。図面に示されている相対的な次元は、商業的または工業的な態様と等しいものでもなく、そのような商業的または工業的な態様に比例するものでもない。
次に、本発明の態様が示された図面について言及する。図3A,図3Bおよび図3Cに示すスプリッター30は、流入ストリーム41を2つの流出ストリーム42,43へと分けるスプリッターである。スプリッター30は、流入パイプ32および2つの流出パイプ44,45を備えたベッセル31から成る。流入パイプ32は、ベッセル31の壁部に接続されており、流体のリークを防ぐシールが形成されている。パイプ32の下端部は開口しており、流入ストリーム42がベッセル31内に入ることができるようになっている。緩衝プレート33および側壁40は、フロー・チャンネルを構成するようになっている。かかるフロー・チャンネルでは、流入ストリーム41が2つのストリームに分けられるので、2つのストリームがベッセル31の円筒壁部に向かって導かれることになる。各々の吸引チャンネルは、開口した上端部および下端部を有する円管から成る。吸引チャンネルの下端部は、液体39に浸漬されている。吸引チャンネル34の上端部または出口は、流出パイプ44と接続され、また、吸引チャンネル35の上端部または出口は、流出パイプ45に接続されており、ベッセル31から排出される2つのフロー・チャンネルが形成されている。流体のリークを防ぐシールは、ベッセル31の壁部と流出パイプ44,45との間に形成されている。吸引チャンネル34にはパイプの側部に開口部37が設けられており、吸引チャンネル35にはパイプの側部に開口部36が設けられている。
運転(または操作)中では、2相流入ストリーム41は、パイプ32を介してベッセル内に流入する。かかる2相噴流は、緩衝プレート33に衝突するので、それによって、ストリームの速い速度が弱められ、ストリームがベッセルの円筒形壁部の方向へと導かれ、ベッセル31内で液体相39と気体相38とが分離される。液体相はベッセルの底部の重相収集領域(heavy phase collection region)に集められる一方、気体相はベッセルの上部の軽相収集領域(light phase collection region)に集められる。そして、気体38は、液面よりも上方に位置する吸引チャンネルの側部の開口部36,37の一部を通って流れる。このように開口部を通って気体が流れるために、吸引チャンネルの外側から吸引チャンネルの内側に向かって圧力降下が生じ、液体が吸引チャンネル内へと吸い上げられることになる。液体39は、吸引チャンネル34,35の開口した下端部を通って流れたり、また、ベッセル31の液面よりも下方に位置する開口部36,37の一部を通って流れたりする。吸引チャンネルでは液体と気体とが混合される。得られる2相混合物は、吸引チャンネル内にてその出口の方向に上方へと流れるので、流出パイプ44,45を介してベッセル31から2相混合物が排出されることになる。
流入する入口は、図3Aに示すように、吸引チャンネルの間にて対称的に配置されていることが好ましい。そのように対称的に配置されていると、気体/液体分離に必要とされるベッセルの断面積が最小限となり、気体通路をより均等に占めるように小さい液滴が配給されることになる。供給される流入ストリームが図3Bおよび図3Cに示すようなプレートおよび壁部に衝突するように、スプリッターが設計されていることが好ましい。供給される流入ストリームがプレートおよび壁部に衝突すると、液体と気体相とが分離し易くなり、また、速度の速い流入噴流がベッセルの液面へと到達するので、液体が再度エントレイメントを伴ったり、波打ったりすることになる。
吸引チャンネルの開口部の全面積は、ベッセル内の液体レベルが所望のレベルとなるように選択される。開口部の面積が大きくなると、気体の圧力降下が低下する。その場合、その低下した圧力降下が、液体を吸引するのに必要な垂直方向高さと適合するように、液体レベルがより高くなる。それとは逆に、開口部の面積が小さくなると、液体レベルが低下する。吸引チャンネルから得られる流出ストリームの気体/液体比を設定するのに、各々の吸引チャンネルの開口部の面積を用いることができる。吸引チャンネルAの開口部の面積が、吸引チャンネルBの開口部の面積よりも大きい場合では、吸引チャンネルAから得られる流出ストリームの気体/液体比が、吸引チャンネルBから得られる流出ストリームの気体/液体比よりも大きくなる。各々の吸引チャンネルの断面積および形状は、ベッセル内の液体レベル、および、各流出ストリームの気体/液体比に影響を及ぼすことになる。
図3Aに示す吸引チャンネルの開口部は円形の穴である。しかしながら、この開口部は、垂直スロット(または垂直方向に延在したスロット、vertical slot)であってもよい。あるいは、開口部は、V形状、三角形状、矩形状、多角形状および楕円形状などの他の形状を有していてもよい。開口部領域は、吸引チャンネルの高さ方向に均等に延在していなくてもよい。例えば、底部付近の開口部をより小さい面積とし、上端部付近の開口部をより大きい面積とするように吸引チャンネルを設けてもよい。
図3Aおよび図3Bに示す吸引チャンネルは、円形断面を有するものの、三角形、矩形、楕円形および多角形などの他の種々の断面形状を有するものであってもよい。また、吸引チャンネルの断面は、吸引チャンネルの長さに沿って変化するものであってもよい。
図3Aに示す吸引チャンネルの底部は、液体が流れるように開口している。しかしながら、大抵の場合、吸引チャンネルの底部を閉鎖し、液面の下方に位置する吸引チャンネルの側部の開口部から全ての液体を流入させると、分割性能を向上させることができる。
図3Aおよび図3Bに示すスプリッターの吸引チャンネルは垂直に設けられている。しかしながら、吸引チャンネルは全体的に垂直でなくてもよい。吸引チャンネルは、垂直要素を有していれば充分である。即ち、液体が、気体が流入する開口部領域を上方に向かって通りすぎ、その後に、液体が、流出パイプ44および45の一方につながる吸引チャンネルの出口へと流れれば充分である。
図3A,図3Bおよび図3Cのスプリッターのベッセル31は、楕円形に近い上端部を備えた円筒形ベッセルであり、水平に設けられている。しかしながら、本発明のセパレーターまたはベッセルは、どのような形状および幾何学的配置を有していてよい。ベッセルの形状および幾何学的配置の例としては、垂直な円筒形ベッセル、球形状ベッセル、矩形断面を有したボックス型ベッセルなどである。
図3に示すように、流入ストリームおよび流出ストリームは、ベッセル31の上壁部を介して流入および流出する。しかしながら、流入ストリームおよび流出ストリームが、底壁部または側壁部などの他の壁部を介して流入および流出するようにしてもよい。
本発明の改良例としてのスプリッターを、図6A、図6Bおよび図6Cに示す。スプリッター80は、垂直な円筒形ベッセルから成る。かかるスプリッターでは、ベッセル81の側壁部からパイプ87を介して流入ストリーム88が流入する。垂直なスプラッシュ・プレート(splash plate)86は、流入ストリーム88が流入する入口の下流側に設けられている。スプリッターは、3つの流出ストリーム91,92および85を有している。流出ストリーム91は、流出パイプ99を介してベッセル31の上部から流出する。流出パイプ99は、リークが生じないように吸引チャンネル82に接続されている。吸引チャンネル82は、円形の断面を有し、チャンネルの断面が下方向に向かって減少するようにテーパーが付けられている。吸引チャンネル82には、4つのスロット94が垂直に設けられている。吸引チャンネル82の底部は、液体が流れるように開口している。流出ストリーム92は、流出パイプ98を介してベッセル31の側部から流出する。90°ベンド97が用いられており、リークが生じないように流出パイプ98が吸引チャンネル83に接続されている。吸引チャンネル83は、正方形状の断面を有している。吸引チャンネル83には、V形状スロット93が設けられている。吸引チャンネル83の底部は、液体が流れるように開口している。流出ストリーム85は、流出パイプ100を介してベッセル31の底部から流出する。180°ベンド96が用いられており、リークが生じないように流出パイプ100が吸引チャンネル84に接続されている。吸引チャンネル84は、円形断面を有し、また、正方形の開口部95を備えている。吸引チャンネル84の底部は液体が流れないように閉鎖されているので、全ての液体は、正方形の開口部95を通って流入することになる。
運転(または操作)中では、2相流入ストリーム88は、パイプ87を介してベッセル81内に流入する。かかる2相噴流は、スプラッシュ・プレート86に衝突し、それによって、ストリームの速い速度が弱められ、相分離が幾分生じることになる。ベッセル81の内では液体相90と気体相89とが分離している。液体相はベッセルの底部に集められる一方、気体相はベッセルの上部へと集められる。気体は、吸引チャンネル82,83および84の側部にそれぞれ設けられた開口部94,93および95を通って流入する。このように開口部を通って気体が流れるために、吸引チャンネルの外側から吸引チャンネルの内側に向かって圧力降下が生じ、液体が吸引チャンネル内に吸い込まれることになる。液体90は、吸引チャンネル82および83の開口した下端部から流入したり、ベッセル81内の液面よりも下方に位置する開口部94,93および95の一部から流入したりする。吸引チャンネルでは、液体と気体とが混合され、2相混合物が得られる。そして、吸引チャンネル内を流れる2相混合物は、流出パイプ98,99および100を通ってベッセル81から排出される。
%DVLR(式(2)で規定される)として定量化された本発明の分割性能は、液体に対する気体の割合が高い用途では減少することになる。液体に対する気体の割合が高い用途では、吸引チャンネル内にインターナルを設けて、吸引チャンネル内の2相流れの圧力降下を増加させることによって、本発明の分割性能を相当に改善することができる。インターナルによって圧力降下を増加させて分割性能を向上させる例としては、吸引チャンネルにオリフィスを1つ以上用いることが挙げられる。なお、吸引チャンネル内にインターナルを用いると、吸引チャンネルの2相流れパターンが影響を受けることになる。例えば、オリフィスを使用すると、望ましくないスラグ流が回避することができる。ちなみに、スラグ流が発生すると、液体スラグおよび気体ポケット(vapor pocket)が周期的に吸引チャンネル内を流れることになる。吸引チャンネルにインターナルを設けると、液体に対する気体の割合が高い用途に対して分割性能が改善されるだけでなく、液体に対する気体の割合がより低い用途に対しても、分割性能が幾分改善されることになる。ちなみに、例えば、図4および図5にそれぞれ示すスプリッター51および71は、分割性能を向上させるインターナルが吸引チャンネルに含まれていないスプリッターである。
図3A、図3B、図3C、図4、図5、図6A、図6Bおよび図6Cに示すスプリッター30,51,71および80は、全て、別個にセパレーターまたはベッセルを有している。しかしながら、本発明は、例えばシェル&チューブ式熱交換器および化学リアクター等の他のプロセス機器と一体的に用いてもよい。
図7Aおよび図7Bは、化学的なトリクルベッド110と一体化された本発明のスプリッターの例を示している。図7Aは、トリクルベッドの底部を示している。半球ヘッド102を備えた円筒形の圧力シェル101内には触媒粒子103が充填されており、触媒支持グリッドまたはスクリーン104によって触媒粒子103が支持されている。触媒粒子がスクリーンを通過しないようにしつつも、気体および液体がスクリーンを通過するように、触媒支持グリッド/スクリーンが設計されている。触媒支持グリッド/スクリーンの下方には、2つの垂直な吸引チャンネル107が配置されている。各々の吸引チャンネルには、スロット108が8つ設けられている。また、吸引チャンネルにはインターナルが設けられており、吸引チャンネルの圧力降下を増加させている。かかるインターナルは、吸引チャンネルに各々設けられた4つのオリフィス109,110,111および112から構成されている。各々の吸引チャンネル107は、リークが生じないように、ベンドを備えたチャンネル106によって流出ノズル105と接続されている。
運転(または操作)中では、気体および液体は、触媒粒子103から成る床および触媒支持グリッド/スクリーン104を通るように下方に同時に流れる。触媒支持グリッド/スクリーン104の下方には、液体相113と気体相114とが分離されるスペースが設けられている。液体相113は、リアクターの底部に集められる。気体は、液面の上方のスロット108の一部から流入する。気体がスロットから流入することによって、吸引チャンネルの外側から吸引チャンネルの内側に向かって圧力降下が生じ、液体が吸引チャンネル内へと吸い上げられることになる。液体113は、下方のオリフィス112の開口部から流入したり、液面よりも下方のスロット108の一部から流入したりする。吸引チャンネル内にて液体と気体とが混合される。得られた混合物は、吸引チャンネルおよびオリフィスを通って流れた後、ノズル105を介してリアクター110から排出されることになる。
図8は、シェル&チューブ式熱交換器120と一体化された本発明のスプリッターの例を示している。シェル&チューブ式熱交換器は、次のような要素から構成されている:
・カバー・プレート128、チューブ側の入口ノズル129およびチューブ側の出口ノズル130が設けられたヘッド122
・入口ノズル131および2つの流出ノズル125が設けられたシェル121
・U字管124、チューブ・シート135および13個のフロー・バッフル132から成るU字管束。
本発明の2相スプリッターのためのスペース(最後のフロー・バッフルよりも下流側に設けられたシェルの側部のスペースであって、U字管124の180°ベントよりも下流側に設けられたスペース)を設けるために、通常の熱交換器の設計の場合よりもシェル121の長さが僅かに長くなっている。スプリッターは、壁部に穴127が備えた実質的に垂直な2つの吸引チャンネル126から構成されている。吸引チャンネル127の底部は開口しており、液体が流れることができるようになっている。
運転(または操作)中では、チューブ側に供された流体は、ノズル129から熱交換器に流入し、U字管内を通るように流れた後、ノズル130を介して熱交換器から排出される。シェルの側に供された流体は、ノズル131から熱交換器に流入する。このシェルの側に供された流体は、単一相ストリームであってもよく、または、2相ストリームであってもよい。シェルの側に供された流体は、U字管の外側を流れる。フロー・バッフル132によって、直交流れセクションが幾つか形成されているので、シェルの側に供された流体は、フロー・バッフル132では、チューブに対して直交な方向に流れることになる。最後に設けられているフロー・バッフルを通過した後、2相ストリームは、分離スペースに流入し、そこで、液体133と気体134とが分離されることになる。液体相133は、シェル121の底部に集められる。気体134は、液面より上方に位置する穴127の一部を介して吸引チャンネルに流入する。そのような穴から気体が流入するので、吸引チャンネルの外側から吸引チャンネルの内側に向かって圧力降下が生じ、液体が吸引チャンネル内へと吸い上げられることになる。液体133は、吸引チャンネル126の開口した底端部から流入したり、また、液面よりも下方に位置する穴127の一部から流入したりする。吸引チャンネルでは、液体と気体とが混合される。得られた混合物は、吸引チャンネルおよびオリフィスを通って流れた後、ノズル125を介して熱交換器120から排出されることになる。
図4および図5に示す例では、並列に設けられた下流側の配管システムおよびプロセス機器へと2相流入ストリームが分割されることになる。しかしながら、プロセス機器内で本発明を用いてもよく、その場合には、機器に設けられた並列な通路に対して気体および液体を均等に分配することができる。例えば、熱交換器またはエアークーラーの流入ヘッダー(または入口ヘッダー)内にて本発明を用いることができ、その場合には、熱交換器に設けられた並列な管へと気体および液体を均等に分配することができる。
本明細書で説明した本発明の全ての例では、1つの流出パイプに対して吸引チャンネルが1つだけ接続されている。しかしながら、1つの流出ストリームに対して1つ以上の吸引チャンネルを設けてもよい。1つの流出ストリームに対して吸引チャンネルを1つ以上設ける場合、流出ストリームに設けられる吸引チャンネルは、必ずしも同じである必要はない。例えば、2相流入ストリームを2つの流出ストリームに分けるように設計されたスプリッターでは、3つの吸引チャンネルが全て第1流出ストリームに接続され、別の2つの吸引チャンネルが第2流出ストリームに接続されるように、全部で5つの異なるサイズの吸引チャンネルを用いてもよい。場合によっては、同じ流出ストリームに対して異なる吸引チャンネルを用いることによって、分割性能が向上し得る。
本明細書で説明した本発明の用途についての全ての例では、スプリッターに供される流入ストリームは1つだけとなっている。しかしながら、スプリッターの分離ベッセルに供される流入ストリームが1つ以上であってもかまわない。また、かかる流入ストリームは、気体のみをもたらす単一相流入物または液体のみをもたらす単一相流入物を用いてもかまわない。
本発明のスプリッターは、2相気体−液体混合物を分ける性能を有しているものの、それ以外の用途にも用いてよい。例えば、不混和性液体の2相混合物(例えば、炭化水素液体相と水性液体相との2相混合物)を、オイル/水比が各々所望となった2つ以上の流出ストリームへと分けるために本発明のスプリッターを用いることができる。
一般的に、本発明に関しては以下の事項が挙げられる:
本発明は、軽相および重相から成る2相流入ストリームを、各々が所望の軽相/重相比を有する2つ以上の流出ストリームへと分ける分割デバイスに関している。分割デバイスは、1つ以上の分離ベッセルまたは分離コンテナーから構成されている。ベッセルでは、軽相および重相が部分的または完全に分離する。ベッセルには、下端部および開口した上端部を備えた中空の吸引チャンネルが少なくとも2つ設けられている。
各々の吸引チャンネルの側部に設けられている複数の開口部は、下端部と上端部との間にて少なくとも異なる高さで設けられている。かかるチャンネルの下端部は重相に浸漬される一方、吸引チャンネルの開口した上端部は軽相に浸漬されることになる。吸引チャンネルの開口した上端部は、フロー・チャンネルによって、リークが生じないように下流のシステムと接続されている。
操作に際して開口部領域の少なくとも一部が界面レベルよりも上方に位置するように、吸引チャンネルが垂直な要素を有していなければならない。操作に際して、界面レベルよりも上方に位置する開口部領域の一部から軽相が吸引チャンネルに流入するので、吸引チャンネルの外側から吸引チャンネルの内側に向かって圧力降下が生じることになる。従って、かかる圧力降下に起因して、開口した下端部および界面レベルよりも下方に位置する開口部を介して重相が吸引チャンネル内に吸い上げられることになる。吸引チャンネルでは、重相と軽相とが混合されることになる。2相ストリームは吸引チャンネルおよび上記フロー・チャンネルを通って下流システムへと流れることになる。
圧力降下を増加させ、吸引チャンネル内の2相流れ機構を変えるために、吸引チャンネルの内部に、インターナルまたは流れ制限部を設けてもよい。
インターナルは、円形状の流れ開口部を備えたオリフィスであってもよい。
吸引チャンネルの底部は閉鎖されていてよく、その場合には、界面レベルよりも下方に位置する吸引レベル側部の開口部から全ての重相が流入することになる。
ベッセルまたはコンテナーは、ストリームを分割する目的に加えて、化学反応または熱交換を行うなどの他の目的のために使用される他のプロセス機器に対して用いられてもよい。
上記の下流システムは、スプリッターが一体化して設けられている機器の並列な流れ管であってもよい。
また、上記の下流システムは、配管、計装機および機器から成る処理設備であってもよい。
吸引チャンネルは、円形断面を有するものであってもよい。
吸引チャンネルの側部に設けられた開口部は、円形穴または矩形スロットであってよい。
吸引チャンネルの底部から、最も高い位置にある開口部までの垂直方向の距離は100mm〜1500mmであることが好ましい。
吸引チャンネルの上端部におけるノースリップ2相流速は、少なくとも1つの操作モードにて、0.5m/s〜15m/sであることが好ましい。
1つ以上の吸引チャンネルが各下流システムと接続されていてもよい。
本発明のデバイスは、2相気体/液体混合物を分割して、並列熱交換器に供給するのに有利に用いることができる。
本発明のデバイスは、2相気体/液体混合物を分割して、並列炉管に供給するのに有利に用いることができる。
本発明のデバイスは、2相気体/液体混合物を分割して、並列化学リアクターに供給するのに有利に用いることができる。
本発明のデバイスは、2相気体/液体混合物を分割して、並列エアークーラーに供給するために有利に用いることができる。
本発明のデバイスは、2相熱交換器またはエアークーラーに設けられた並列な熱交換チューブまたは熱交換チャンネルへと気体および液体を分配するのに有利に用いることができる。
図1は、従来技術を表している。図1は、対称的なパイピング・スプリットが用いられた配管系の等角図であり、3つの標準的なT字管を用いることによって、流入ストリームが4つの流出ストリームに分けられている。 図2は、従来技術を表している。図2は、流入ストリームを3つの流出ストリームへと分けるために用いられる計装機を備えた気体/液体スプリッターのプロセス・フロー図である。 図3Aは、本発明の1つ態様を表しており、線A−Aで切り取られた態様の側面図である。 図3Bは、本発明の1つ態様を表しており、線B−Bで切り取られた態様の側面図である。 図3Cは、本発明の1つ態様を表しており、線C−Cで切り取られた態様の側面図である。 図4は、本発明のスプリッターの用途の一例を示すプロセス・フロー図である。スプリッターは、2相ストリームを3つに分割し、熱交換器、計装機および炉管から成る3つの並列に設けられたシステムへと送るために用いられている。 図5は、本発明のスプリッターの用途の一例を示すプロセス・フロー図である。スプリッターによって、2相ストリームが2つに分割され、2つのトリクルベッド・リアクターへと送られる。 図6Aは、本発明の更なる態様および代替的な吸引チャンネル設計を表している(線A−Aで切り取った断面図)。 図6Bは、本発明の更なる態様および代替的な吸引チャンネル設計を表している(線B−Bで切り取った側面図)。 図6Cは、本発明の更なる態様および代替的な吸引チャンネル設計を表している(線C−Cで切り取った側面図)。 図7Aは、本発明の更なる態様を表しており、化学リアクターと一体化したスプリッターを示している(化学リアクターの底部の側面図)。 図7Bは、本発明の更なる態様を表しており、化学リアクターと一体化したスプリッターを示している(図7Aの吸引チャンネルを線A−Aで切り取った断面図)。 図8は、本発明の更なる態様を表しており、シェル&チューブ式熱交換器と一体化したスプリッターを示している(熱交換器およびスプリッターの側面図)。

Claims (21)

  1. 軽相流体および重相流体から成る1またはそれよりも多い2相流入ストリーム、例えば2相の気体/液体混合物を、所望の軽相/重相比を各々有する2またはそれよりも多い2相流出ストリームに分けるためのストリーム分割デバイスであって、
    相分離ベッセルまたは相分離コンテナー、および
    該流出ストリームの各々に対して少なくとも1つ設けられる、2またはそれよりも多い吸引チャンネルまたは吸引導管
    を有して成り、
    該相分離ベッセルまたは相分離コンテナーは、
    −該流入ストリームのための1またはそれよりも多い流入ストリーム入口、
    −重相収集領域、および
    −該重相収集領域よりも高いレベルに位置する軽相収集領域
    を有して成り、また
    該吸引チャンネルまたは吸引導管は、
    −該重相収集領域と連通する少なくとも1つの重相入口、
    −該軽相収集領域と連通し、該少なくとも1つの重相入口よりも高いレベルに位置する少なくとも1つの軽相入口、および
    −デバイスの下流側の流出ストリーム流れ導管と連通する少なくとも1つの流出ストリーム出口
    を有して成り、
    該少なくとも1つの軽相入口が、該少なくとも1つの重相入口と該少なくとも1つの流出ストリーム出口との間に配置されている、ストリーム分割デバイス。
  2. 吸引導管は、1またはそれよりも多い開口部が設けられた壁部によって規定されている長尺管状要素から成り、該管状要素が例えば円形断面または矩形断面を有するパイプまたはダクトである、請求項1に記載のデバイス。
  3. 前記管状要素の下方端部は開口している、請求項2に記載のデバイス。
  4. 前記1またはそれよりも多い開口部の形状は、円形、楕円形、オーバル形、矩形および三角形から成る群から選択される形状である、請求項2または3に記載のデバイス。
  5. 軽相入口および重相入口は、相当に垂直に延びた単一の開口部から構成され、好ましくは前記吸引導管の長手方向に延在するスロットから成る、請求項1〜4のいずれかに記載のデバイス。
  6. 前記スロットの幅は前記流出ストリーム出口に向かう方向に増加している、請求項5に記載のデバイス。
  7. 前記スロットの幅が実質的に一定である、請求項5に記載のデバイス。
  8. 軽相入口で前記軽相の圧力降下が増加するように、流れ制限手段が前記吸引導管内に設けられている、請求項1〜7のいずれかに記載のデバイス。
  9. 前記流れ制限手段は、1またはそれよりも多いオリフィスが設けられた横断プレートを有して成り、該1またはそれよりも多いオリフィスに対して吸引導管内の流れが導かれるようになっている、請求項8に記載のデバイス。
  10. 流れ緩衝手段が前記流入ストリーム入口の近くに設けられており、前記流入ストリームが該流れ緩衝手段に衝突するようになっている、請求項1〜9のいずれかに記載のデバイス。
  11. 前記1またはそれよりも多い重相入口の最下部と前記1またはそれよりも多い軽相入口の最上部との間の垂直距離は、少なくとも約100mmで、かつ、大きくとも約1500mmであり、好ましくは400mm〜600mmであり、最も好ましくは約500mmである、請求項1〜10のいずれかに記載のデバイス。
  12. 2相ストリームを用いる物理的処理または化学的処理が実施される装置、および、請求項1〜10のいずれかに記載のストリーム分割デバイスを有して成り、該ストリーム分割デバイスと該装置の入口または出口とが相互に接続されている、処理設備。
  13. 前記装置が、前記流出ストリーム出口に接続された一組の炉管を有して成る炉を有して成る、請求項12に記載の処理設備。
  14. 前記装置が、前記流出ストリーム出口に接続された並列熱交換器を有して成る、請求項12に記載の処理設備。
  15. 前記装置が、前記流出ストリーム出口に接続された並列化学リアクターを有して成る、請求項12に記載の処理設備。
  16. 前記装置が、前記流出ストリーム出口に接続された並列エアークーラーを有して成る、請求項12に記載の処理設備。
  17. 請求項1〜10のいずれかに記載のストリーム分割デバイスを有して成る、例えばトリクルベッド・リアクターまたは触媒リアクター等の2相リアクター。
  18. 外側シェルを有して成り、前記相分離ベッセルが該外側シェル内に配置されている、請求項17に記載の2相リアクター。
  19. 請求項1〜10のいずれかに記載のストリーム分割デバイスを有して成る、熱交換器。
  20. 外側シェルを有して成り、前記相分離ベッセルが該外側シェル内に配置されている、請求項19に記載の熱交換器。
  21. 軽相流体および重相流体から成る1またはそれよりも多い2相流入ストリーム、例えば2相の気体/液体混合物を、所望の軽相/重相比を各々有する2またはそれよりも多い2相流出ストリームに分けるための方法であって、
    −流入ストリームを、相境界面よりも下方の重相領域に位置する重相部と、その相境界面よりも上方の軽相領域に位置する軽相部とに少なくとも部分的に分ける工程、および
    −該軽相領域の2またはそれよりも多い箇所にて、該重相部からの重相流体と該軽相部からの軽相流体とを混合することによって、該2またはそれよりも多い2相流出ストリームを形成する工程
    を含んで成る、方法。
JP2006515729A 2003-06-24 2004-06-24 2相ストリームを所望の気体/液体比を有する2つ以上のストリームに分割するためのデバイス Expired - Lifetime JP4722840B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
DKPA200300946 2003-06-24
DKPA200300946 2003-06-24
PCT/DK2004/000446 WO2004113788A1 (en) 2003-06-24 2004-06-24 Device for splitting a two-phase stream into two or more streams with the desired vapor/liquid ratios

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007533419A true JP2007533419A (ja) 2007-11-22
JP4722840B2 JP4722840B2 (ja) 2011-07-13

Family

ID=33522197

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006515729A Expired - Lifetime JP4722840B2 (ja) 2003-06-24 2004-06-24 2相ストリームを所望の気体/液体比を有する2つ以上のストリームに分割するためのデバイス

Country Status (8)

Country Link
EP (1) EP1651904B1 (ja)
JP (1) JP4722840B2 (ja)
CN (1) CN100561036C (ja)
AT (1) ATE405790T1 (ja)
DE (1) DE602004015999D1 (ja)
EA (1) EA007546B1 (ja)
ES (1) ES2315667T3 (ja)
WO (1) WO2004113788A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020131140A (ja) * 2019-02-21 2020-08-31 株式会社トリケミカル研究所 溶存ガス除去方法および溶存ガス除去装置

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
BRPI0912427A2 (pt) 2008-05-06 2016-02-10 Fluor Tech Corp processo e aparelho para dividir um fluxo multifásico
US8500884B2 (en) 2010-09-27 2013-08-06 Uop Llc Vessel and process pertaining to an impermeable impingement plate
NO333218B1 (no) * 2011-01-27 2013-04-15 Fmc Kongsberg Subsea As Manifold for bruk i et stromningssystem
NL2011856C2 (en) * 2013-11-28 2014-09-25 Avantium Technologies B V Reactor system for high throughput applications.
CN105546347A (zh) * 2015-12-11 2016-05-04 大连交通大学 一种液体汽化和输送装置
CN110711546A (zh) * 2019-11-15 2020-01-21 南通好唯智能制造科技有限公司 微通道反应器用分流***、分流器及其制造方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5331825B1 (ja) * 1969-07-22 1978-09-05
US4293025A (en) * 1973-09-20 1981-10-06 Atlantic Richfield Company Method and apparatus for the distribution of liquid-vapor mixture
JPS6259397A (ja) * 1985-09-06 1987-03-16 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 気液二相流体分配器
JPH03129271A (ja) * 1989-10-13 1991-06-03 Mitsubishi Electric Corp 混相流体分配器
US5254292A (en) * 1989-02-02 1993-10-19 Institut Francais Du Petrole Device for regulating and reducing the fluctuations in a polyphasic flow, and its use

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4396063A (en) 1981-11-16 1983-08-02 Mobil Oil Corporation Process and system for providing multiple streams of wet steam having substantially equal quality for recovering heavy oil
JPS58142483U (ja) 1982-03-20 1983-09-26 住友金属工業株式会社 分流器
US4528919A (en) 1982-12-30 1985-07-16 Union Oil Company Of California Multi-phase fluid flow divider
US4574837A (en) 1983-09-29 1986-03-11 Exxon Production Research Co. Method and apparatus for splitting two-phase gas-liquid flows having a known flow profile
US4516986A (en) 1984-03-29 1985-05-14 Shell Oil Company Two-phase flow splitter
EP0172336A1 (de) * 1984-08-24 1986-02-26 GebràœDer Sulzer Aktiengesellschaft Vorrichtung zum gleichmässigen Verteilen eines Zwei-Phasengemisches
US4800921A (en) 1986-06-20 1989-01-31 Exxon Production Research Company Method and apparatus for dividing a single stream of liquid and vapor into multiple streams having similar vapor to liquid rations
US4824614A (en) 1987-04-09 1989-04-25 Santa Fe Energy Company Device for uniformly distributing a two-phase fluid
US5810032A (en) 1995-03-22 1998-09-22 Chevron U.S.A. Inc. Method and apparatus for controlling the distribution of two-phase fluids flowing through impacting pipe tees

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5331825B1 (ja) * 1969-07-22 1978-09-05
US4293025A (en) * 1973-09-20 1981-10-06 Atlantic Richfield Company Method and apparatus for the distribution of liquid-vapor mixture
JPS6259397A (ja) * 1985-09-06 1987-03-16 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 気液二相流体分配器
US5254292A (en) * 1989-02-02 1993-10-19 Institut Francais Du Petrole Device for regulating and reducing the fluctuations in a polyphasic flow, and its use
JPH03129271A (ja) * 1989-10-13 1991-06-03 Mitsubishi Electric Corp 混相流体分配器

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020131140A (ja) * 2019-02-21 2020-08-31 株式会社トリケミカル研究所 溶存ガス除去方法および溶存ガス除去装置
JP7328486B2 (ja) 2019-02-21 2023-08-17 株式会社トリケミカル研究所 溶存ガス除去方法および溶存ガス除去装置

Also Published As

Publication number Publication date
EP1651904A1 (en) 2006-05-03
JP4722840B2 (ja) 2011-07-13
EA200600090A1 (ru) 2006-06-30
WO2004113788A1 (en) 2004-12-29
CN100561036C (zh) 2009-11-18
EA007546B1 (ru) 2006-10-27
CN1813155A (zh) 2006-08-02
ATE405790T1 (de) 2008-09-15
ES2315667T3 (es) 2009-04-01
DE602004015999D1 (de) 2008-10-02
EP1651904B1 (en) 2008-08-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7261120B2 (en) Device for splitting a two-phase stream into two or more streams with the desired vapor/liquid ratios
JP6342177B2 (ja) 接線流入口を有する二相並流容器用の混合装置
RU2674424C1 (ru) Газораспределитель для теплообменной и/или массообменной колонны
RU2542248C2 (ru) Устройство распределения потока текучей среды для каталитических реакторов с нисходящим потоком
KR101792550B1 (ko) 하향 유동 반응기를 위한 혼합 장치
EP1721660B1 (en) Distributor system for downflow reactors comprising at least one subdivided chimney chamber
ES2349234T3 (es) Dispositivo de distribución para recipientes de flujo descendente en dos fases simultáneas y procedimiento de distribución.
US7276215B2 (en) Mixing device for two-phase concurrent vessels
JP4722840B2 (ja) 2相ストリームを所望の気体/液体比を有する2つ以上のストリームに分割するためのデバイス
EP2859940A1 (en) Micro reactor
EA007052B1 (ru) Смесительное устройство для двухфазного потока в каталитическом реакторе
KR102012629B1 (ko) 다층 하향류 반응기용 분배장치
WO2013087865A1 (en) Contact and separation column and tray
KR101430272B1 (ko) 3상 증기 분배기
JPH07269800A (ja) 配管装置
TW201628710A (zh) 薄型流體混合裝置
WO2011057783A1 (en) Process for the separation of a multiphase stream which flows along a pipe by means of a t-junction
JP2004058059A (ja) 固定床反応器におけるプロセス流体のジェット混合
CA2792277C (en) Apparatus and methods for conveying a flow of oil-containing liquid into an oil separation skim tank, and skim tanks including the same
Madyshev et al. Determining Hydraulic Resistance and Volumetric Heat and Mass Transfer Coefficients during Cooling of Circulating Water in a Multistage Vortex Chamber
Trambouze Petroleum Refining. Vol. 4 Materials and Equipment: Materials and Equipment
Drumm et al. Optimization of the Liquid Distributor in a Falling Film Evaporator by Means of Air‐Water Experiments
RU2438756C1 (ru) Сепаратор
RU2438755C1 (ru) Сепаратор
Oke et al. Flow Patterns of Gas-Liquid Two-phase Flow through an Abrupt Expansion in Millimeter-Scale Rectangular Channel

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090311

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090407

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20090706

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20090713

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20090805

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20090812

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090904

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100824

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101122

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110308

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110406

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140415

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4722840

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250