JP2007335162A - 膜触媒層接合体、膜電極接合体および高分子電解質形燃料電池 - Google Patents

膜触媒層接合体、膜電極接合体および高分子電解質形燃料電池 Download PDF

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あおい 田中
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岳太 岡西
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Abstract

【課題】高分子電解質形燃料電池の作動および停止を繰り返しても触媒層の劣化を抑制することができ、優れた耐久性を有しかつ十分な電池性能を発揮する高分子電解質形燃料電池を実現し得る膜触媒層接合体を提供する。
【解決手段】カソード触媒層における導電性炭素粉末の黒鉛化度を、カソードガス流路の上流側に対応する部分よりも下流側に対応する部分において高くなるように設定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、膜触媒層接合体、膜電極接合体および高分子電解質形燃料電池に関する。
陽イオン(水素イオン)伝導性を有する高分子電解質を用いた従来の高分子電解質形燃料電池は、水素を含有する燃料ガスと空気などの酸素を含有する酸化剤ガスとを電気化学的に反応させることで、電力と熱とを同時に発生させる。
ここで、図8は、従来の高分子電解質形燃料電池に搭載される単電池の基本構成の一例を示す概略断面図である。また、図9は、図8に示す単電池101に搭載される膜電極接合体(MEA)の基本構成の一例を示す概略断面図である。図9に示すように、膜電極接合体110においては、水素イオンを選択的に輸送する高分子電解質膜111の両面に、触媒(例えば白金系の金属触媒)を炭素粉末に担持させて得られる電極触媒と、水素イオン伝導性を有する高分子電解質とを含む触媒層112が形成される。これを膜触媒層接合体と呼ぶ。
現在、高分子電解質膜111としては、例えばパーフルオロカーボンスルホン酸からなる高分子電解質膜が使用されている。そして、触媒層112の外面には、例えば撥水処理を施したカーボンペーパーを用いて、通気性および電子伝導性を併せ持つガス拡散層113が形成される。この触媒層112とガス拡散層113との組合せによりガス拡散電極(アノードまたはカソード)114が構成される。
従来の単電池101は、膜電極接合体110と、ガスケット115と、一対の板状のセパレータ116とで構成される。ガスケット115は、供給される燃料ガスおよび酸化剤ガスの外部へのリーク防止や混合を防止するため、ガス拡散電極の周囲に高分子電解質膜を挟んで配置される。このガスケットは、ガス拡散電極および高分子電解質膜と一体化してあらかじめ組み立てられ、これらすべてを組み合わせたものを膜電極接合体と呼ぶこともある。
膜電極接合体110の外側には、膜電極接合体110を機械的に固定するための一対のセパレータ116が配置される。セパレータ116の膜電極接合体110と接触する部分には、ガス拡散電極に反応ガス(燃料ガスまたは酸化剤ガス)を供給し、電極反応生成物、未反応の反応ガスを含むガスを反応場から電極外部に運び去るためのガス流路117、および高分子電解質形燃料電池の温度を制御するための冷却流体(例えば冷却水)を流すための冷却流体用流路118が形成される。
ガス流路117および冷却流体用流路118はセパレータ116と別に設けることもできるが、セパレータの表面に溝を設けてガス流路を形成する方式が一般的である。
このように、一対のセパレータ116で膜電極接合体110を固定し、一方のセパレータ116のガス流路117に燃料ガスを供給し、他方のセパレータ116のガス流路117に酸化剤ガスを供給することで、数十から数百mA/cm2の実用電流密度通電時において、一つの単電池101で0.7〜0.8V程度の起電力を発生させることができる。しかし、通常、高分子電解質形燃料電池を電源として使うときは、数ボルトから数百ボルトの電圧が必要とされるため、実際には、単電池101を必要とする個数だけ直列に連結してスタックとして使用する。
ガス流路117に反応ガスを供給するためには、反応ガスを供給する配管を、上記スタックにおいて使用するセパレータ116の枚数に対応する数に分岐し、それらの分岐先を直接セパレータ116上のガス流路117につなぎ込む部材であるマニホールドが必要となる。特に反応ガスを供給する外部の配管から直接セパレータ116につなぎ込むタイプのマニホールドを、外部マニホールドと呼ぶ。
一方、より簡単な構造を有する内部マニホールドと呼ばれるものもある。内部マニホールドは、ガス流路117を形成したセパレータ116に設けられた貫通孔で構成され、ガス流路117の出入り口をこの孔に連通させて、この貫通孔から直接反応ガスをガス流路117に供給することができる。
ガス拡散層113は、主につぎの3つの機能を持つ。第1の機能は、ガス拡散層113の外側に位置するセパレータ116のガス流路117から、触媒層112中の電極触媒へ均一に反応ガスを供給するために、該反応ガスを拡散させる機能であり、第2の機能は、触媒層112で反応により生成した水を速やかにガス流路117に排出する機能である。
また、第3の機能は、反応に必要な電子または生成された電子を伝導する機能である。すなわち、ガス拡散層113には、高い反応ガス透過性、水分排出性および電子伝導性が必要とされる。
一般的に、ガス拡散層113には、ガス透過性を持たせるために、電子伝導性を有する多孔質の炭素微粉末、造孔材、カーボンペーパーまたはカーボンクロスなどを用いて作製された、多孔質構造を有する導電性基材が用いられている。また、水分排出性を持たせるために、フッ素樹脂を代表とする撥水性高分子などをガス拡散層113の中に分散させることが行われ、さらに、電子伝導性を持たせるために、カーボン繊維、金属繊維または炭素微粉末などの電子伝導性材料でガス拡散層113を構成することも行われている。
次に、触媒層112は、主に4つの機能を持つ。第1の機能は、ガス拡散層113から供給された反応ガスを、触媒層112の反応サイトに供給する機能であり、第2の機能は、電極触媒上での反応に必要な水素イオンまたは生成された水素イオンを伝導する機能である。また、第3の機能は、反応に必要な電子または生成された電子を伝導する機能であり、第4の機能は、高い触媒性能とその広い反応面積によって電極反応を速める機能である。すなわち、触媒層112には、高い反応ガス透過性、水素イオン伝導性、電子伝導性および触媒性能が必要となる。
一般的に、触媒層112としては、ガス透過能を持たせるために、電子伝導性を有する多孔質の導電性炭素粒子または造孔材を用いて、多孔質構造およびガスチャンネルを有する触媒層112が形成されている。また、水素イオン透過能を持たせるために、高分子電解質を触媒層112中の電極触媒近傍に分散させて水素イオンネットワークを形成することが行われている。さらに、電子伝導性を持たせるために、電極触媒の担体として導電性炭素粒子などの電子伝導性材料を用い、電子チャンネルを形成することが行われている。また、触媒性能を向上させるために、粒径が数nmの非常に微細な粒子状の金属触媒粒子を導電性炭素粒子上に担持させて得られる電極触媒を、触媒層112中に高分散させることが行われている。
高分子電解質形燃料電池の実用化のためには、膜触媒層接合体またはこれを備えた膜電極接合体の耐久性向上および寿命向上が重要であり、様々な検討がなされている。
ここで、以上のような構成を有する高分子電解質形燃料電池の耐久性劣化の要因のひとつとして、触媒担体である導電性炭素粒子の酸化が挙げられる。高分子電解質形燃料電池用触媒担体であるカーボン粉末は電気化学的には25℃において+0.2V(vs.RHE)付近で酸化されるため、カソード側の電位である+0.7〜+0.8V(vs.RHE)においてはCO2まで酸化されて消失してしまう懸念がある。
これに対し、例えば特許文献1においては、カーボン(導電性炭素粒子)の結晶性(黒鉛化度)を高めると耐腐食性が高まることから、かかる酸化消失を抑制することを意図して、燃料電池に高結晶性のカーボン(導電性炭素粒子)を用いることが提案されている。
特開2005−209615号公報
しかしながら、上記特許文献1記載の技術のように、黒鉛化度の高いカーボンは表面積が小さく、このカーボン(導電性炭素粒子)を担体として用いた触媒は、白金触媒などの貴金属触媒粒子が担体上にうまく分散せず、貴金属触媒粒子の粒径が大きくなり、触媒活性が低下してしまい未だ改善の余地があった。すなわち、黒鉛化度の高いカーボン(導電性炭素粒子)を単純に担体として使用した電極触媒を単に触媒層に利用するだけでは、電池電圧が低下し十分な電池電圧が得られず、十分な電池電圧を確保しつつ十分な耐久性を有する燃料電池を得るという観点からは未だ改善の余地があった。
本発明は以上の問題を鑑みてなされたものであり、十分な電池電圧と十分な耐久性とを有する高分子電解質形燃料電池を実現し得る膜触媒層接合体を提供することを目的とする。
また、本発明は上記本発明の膜触媒層接合体を含んでおり、十分な電池電圧と十分な耐久性とを有する高分子電解質形燃料電池を実現し得る膜電極接合体を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、上記本発明の膜触媒層接合体および膜電極接合体のうちの何れかを搭載しており、十分な電池電圧と十分な耐久性とを有する高分子電解質形燃料電池を提供することを目的とする。
そこで、本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、膜触媒層接合体の触媒層の主面内でみた場合に、導電性炭素粒子の酸化が進行しやすい領域と酸化が進行しにくい領域があることを見出した。そして本発明者らはさらに鋭意研究を重ね、膜触媒層接合体の触媒層の主面内で、導電性炭素粒子の酸化が進行しやすい領域と酸化が進行しにくい領域に応じて導電性炭素粒子の黒鉛化度を変化させることが、触媒層中の導電性炭素粒子の酸化を抑制しつつ、十分な電池電圧が得るという上述の本発明の目的を達成する上で極めて有効であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、膜電極接合体を挟むカソードセパレータにはカソードガス流路が形成されており、上流から下流に向かって酸化剤ガスが流れる。本発明者らがそのカソードガス流路に沿って触媒層中の導電性炭素粒子(カーボン)の腐食状態を詳細に観察したところ、カソードガス流路の上流に沿うカソードの触媒層の部分では導電性炭素粒子の酸化による劣化はほとんど起こっておらず、カソードガス流路の中央から下流に沿うカソードの触媒層の部分にかけて触媒層の導電性炭素粒子の酸化による劣化が顕著に発生していることがわかった。したがって、本発明者らは、導電性炭素粒子の腐食を抑制するためには、カソードガス流路の下流に沿うカソードの触媒層の部分に耐酸化性の高い導電性炭素粒子、すなわち黒鉛化度の高い導電性炭素粒子を用いることが有効であると考えた。
ここで、カソードガス流路の下流に沿うカソードの触媒層の部分において導電性炭素粒子の腐食が顕著に発生していることの理由は、必ずしも明確に解明されていないが、本発明者らは以下のように考えている。
すなわち、燃料電池の起動停止を行う際に燃料電池内のガスの置換(パージ)が行われるが、このときカソードガス流路の下流部分に沿うカソードの触媒層の部分おいてはガス分布が不均一となり易く、局部的に電位が高い状態(ブラス側に高い状態)となり、導電性炭素粒子の酸化が進み易くなっていると考えられる。そして、本発明者らは、この導電性炭素粒子の酸化の進行を十分に抑制する観点からカソードガス流路の下流に沿うカソードの触媒層の部分に耐酸化性の高い導電性炭素粒子、すなわち黒鉛化度の高い導電性炭素粒子を用いることが有効であると考えた。
一方、カソードガス流路に沿うカソードの触媒層において、酸化剤ガスは上流から下流に向けて徐々に消費されていくため、下流に行くにしたがって酸化剤ガス(例えば、酸化剤ガスとして、空気を使用している場合には酸素)の濃度が減少し、分極が大きくなって電流が減少してゆく。すなわち、カソードの触媒層ではカソードガス流路の上流に沿う部分での電流の集中が起こる。
そして、本発明者らは、電流が集中するカソードガス流路の上流に沿うカソードの触媒層の部分においては、より活性の高い触媒を用いることが有効であると考えた。このような活性の高い触媒としては、黒鉛化度が低く、表面積の大きい導電性炭素粒子を用いるのが好ましい。このような表面積の大きい導電性微粒子は粒径の小さい電極触媒金属粒子を細かく分散させることができ、高活性を得ることができる。
そこで、本発明は、
互いに対向配置されるアノードセパレータおよびカソードセパレータと、アノードセパレータとカソードセパレータとの間に配置される膜電極接合体とを有し、カソードセパレータの内面にカソードガス流路が形成されている高分子電解質形燃料電池に搭載される膜触媒層接合体であって、
互いに対向して配置されたアノード触媒層およびカソード触媒層と、
アノード触媒層とカソード触媒層との間に配置される高分子電解質膜と、
を有しており、
カソード触媒層には、電極触媒と、電極触媒の担体となる導電性炭素粒子とが含まれており、
カソード触媒層のうち、カソードガス流路の上流に対応する部分に含まれる導電性炭素粒子の黒鉛化度が、カソードガス流路の下流に対応する部分に含まれる導電性炭素粒子の黒鉛化度よりも低いこと、
を特徴とする膜触媒層接合体を提供する。
以上のように、電極反応に対する高い活性が必要で導電性炭素粒子の腐食がおこりにくいカソードガス流路の上流部分に対応する触媒層の部分に黒鉛化度の低い導電性炭素粒子を用い、上流部分に比較して電流の集中が起こりにくく導電性炭素粒子の腐食が起こりやすいカソードガス流路の下流部分に対応する触媒層の部分に黒鉛化度の高い導電性炭素粒子を用いる構成を採用することにより、触媒層の性能低下(特に、従来の課題であった電極触媒の担体の劣化)を十分に抑制することができる。
そのため、本発明によれば、十分な電池電圧と十分な耐久性とを有する高分子電解質形燃料電池を実現し得る膜触媒層接合体を提供することができる。
また、本発明の膜触媒層接合体を搭載する膜電極接合体を構成すれば、十分な電池電圧と十分な耐久性とを有する高分子電解質形燃料電池を実現し得る膜触媒層接合体を提供することができる。
さらに、上記本発明の膜触媒層接合体、および、本発明の膜触媒層接合体を搭載する膜電極接合体のうちの何れかを採用すれば、十分な電池電圧と十分な耐久性とを有する高分子電解質形燃料電池を提供することができる。
ここで、本発明において、「カソード触媒層のうち、カソードガス流路の上流に対応する部分」とは、MEAとセパレータとの積層体中、カソード触媒層および当該カソード触媒層に酸化剤ガスを供給するために配置されるカソードセパレータに着目し、当該カソード触媒層の主面およびカソードセパレータの主面の略法線方向から同時にみた場合に、カソード触媒層のうちの、カソードセパレータの内面(すなわちカソード触媒層側の面)に設けられたカソードガス流路の上流部分に対応する部分(略重なってみえる部分、および、当該略重なってみえる部分の周囲の部分であってカソードガス流路の上流部分から供給される酸化剤ガスが拡散し電極反応が進行する部分)のことをいう。なお、カソードガス流路の上流部分から供給される酸化剤ガスが拡散し電極反応が進行する部分の範囲は、酸化剤ガスの流速、酸化剤ガスの温度、酸化剤ガスの圧力、カソードガス流路の形状、カソードガス流路の流路断面積、カソード触媒層の成分組成、カソード触媒層の厚さ、カソード触媒層の気孔率等で適宜変化する。
そして、「カソードガス流路の上流」とは、概してカソードガス流路の酸化剤ガスの流れ方向における入口側のことをいう。
また、本発明において、「カソード触媒層のうち、カソードガス流路の下流に対応する部分」とは、MEAとセパレータとの積層体中、カソード触媒層および当該カソード触媒層に酸化剤ガスを供給するために配置されるカソードセパレータに着目し、当該カソード触媒層の主面およびカソードセパレータの主面の略法線方向から同時にみた場合に、カソード触媒層のうちの、カソードセパレータの内面(すなわちカソード触媒層側の面)に設けられたカソードガス流路の下流部分に対応する部分(略重なってみえる部分、および、当該略重なってみえる部分の周囲の部分であってカソードガス流路の下流部分から供給される酸化剤ガスが拡散し電極反応が進行する部分)のことをいう。なお、カソードガス流路の下流部分から供給される酸化剤ガスが拡散し電極反応が進行する部分の範囲は、酸化剤ガスの流速、酸化剤ガスの温度、酸化剤ガスの圧力、カソードガス流路の形状、カソードガス流路の流路断面積、カソード触媒層の成分組成、カソード触媒層の厚さ、カソード触媒層の気孔率等で適宜変化する。
そして、「カソードガス流路の下流」とは、概してカソードガス流路の酸化剤ガスの流れ方向における出口側のことをいう。
また、本発明の効果をより確実に得る観点から、本発明においては「カソード触媒層の上記上流に対応する部分」は、カソードガス流路の全流路長のうちの一端を入口とし他端を上記入口を基点とした25%〜50%の位置とする領域に対向する部分であり、かつ「カソード触媒層の上記下流に対応する部分」は、カソードガス流路の全流路長のうちの一端を出口とし他端を上記出口を基点とした50%〜75%の位置とする領域に対向する部分であることが好ましい。
以下、上記の「カソード触媒層のカソードガス流路の上流に対応する部分」および「カソード触媒層のカソードガス流路の下流に対応する部分」の好適な設定条件を図示して説明すると図7となる。
すなわち、図7は、上述した本発明における「カソード触媒層のうち、カソードガス流路の上流に対応する部分」、および、「カソード触媒層のうち、カソードガス流路の下流に対応する部分」の好適な設定条件を説明するための説明図である。図7は、カソードガス流路の上流部分と下流部分とを示している。そして、「カソード触媒層のうち、カソードガス流路の上流に対応する部分」は、カソード触媒層のうち図7に示すカソードガス流路170の上流領域R1に対向配置されている部分、および、当該上流領域R1に対向配置されている部分の周囲の部分であってカソードガス流路の上流部分から供給される酸化剤ガスが拡散し電極反応が進行する部分である。
また、「カソード触媒層のうち、カソードガス流路の下流に対応する部分」は、カソード触媒層のうち図7に示すカソードガス流路170の下流領域R2に対向配置されている部分、および、当該下流領域R2に対向配置されている部分の周囲の部分であってカソードガス流路の下流部分から供給される酸化剤ガスが拡散し電極反応が進行する部分である。
図7に示すように、カソードガス流路170の上流領域R1は、カソードガス流路170の全流路長L1のうちの一端P1を入口とし他端P2を上記入口を基点とした25%〜50%の位置とする領域である。また、カソードガス流路170の下流領域R2は、カソードガス流路170の全流路長L1のうちの一端P3を出口とし他端P4を上記出口を基点とした50%〜75%の位置とする領域である。
ここで、図7に図示する領域R1に対応する触媒層の部分(「カソード触媒層のうち、カソードガス流路の上流に対応する部分」)と領域R2に対応する触媒層の部分(「カソード触媒層のうち、カソードガス流路の下流に対応する部分」)との間には、別の黒鉛化度を有する導電性炭素粒子を含む触媒層の領域(以下、「カソード触媒層のうち、カソードガス流路の中流に対応する部分」という)があってもよい。
この場合、本発明の効果をより確実に得る観点から、カソードガス流路の中流に対応するカソード触媒層部分に含まれる導電性炭素粒子の黒鉛化度は、「カソード触媒層のうち、カソードガス流路の下流に対応する部分」に含まれる導電性炭素粒子の黒鉛化度よりも低く、「カソード触媒層のうち、カソードガス流路の上流に対応する部分」に含まれる導電性炭素粒子の黒鉛化度よりも高いことが好ましい。
さらに、本発明の効果をより確実に得る観点から、本発明の膜触媒層接合体においては、カソード触媒層の上流に対応する部分がカソードガス流路の入口に対向する位置を含んでおり、カソード触媒層の下流に対応する部分がカソードガス流路の出口に対向する位置を含んでおり、カソード触媒層の主面の上流に対応する部分の面積が当該主面の全面積の25%〜50%であり、カソード触媒層の主面の下流に対応する部分の面積が当該主面の全面積の50%〜75%であること、が好ましい。
特に、後述の図4に示すようなサーペンタイン構造のガス流路を採用する場合、上記のカソード触媒層の主面の上流に対応する部分の面積およびカソード触媒層の主面の下流に対応する部分の面積の条件、先に図7を用いて説明した条件とを同時に満たす態様が、本発明の効果をより確実に得る観点からより有効となる場合がある。
また、本発明は、
互いに対向配置される一対のガス拡散層と、一対のガス拡散層の間に配置される膜触媒層接合体と、を有し、
膜触媒層接合体が先に述べた膜触媒層接合体であること、
を特徴とする膜電極接合体を提供する。
このように、本発明の膜電極接合体は、先に述べた本発明の膜触媒層接合体を備えているため、十分な電池電圧と十分な耐久性とを有する高分子電解質形燃料電池を実現することができる。
さらに本発明は、
先に述べた膜電極接合体を備えること、を特徴とする高分子電解質形燃料電池をも提供する。
このように、本発明の高分子電解質形燃料電池は、先に述べた本発明の膜電極接合体を備えているため、十分な電池電圧と十分な耐久性とを有する。
本発明によれば、高分子電解質形燃料電池の作動および停止を繰り返しても触媒担体である導電性粒子(カーボン)の酸化劣化を十分に抑制でき、十分な電池電圧と十分な耐久性とを有する高分子電解質形燃料電池を実現し得る膜触媒層接合体を提供することができる。
また、本発明によれば、上記本発明の膜触媒層接合体を搭載することにより、十分な電池電圧と十分な耐久性とを有する高分子電解質形燃料電池を実現し得る膜電極接合体を提供することができる。
さらに、本発明によれば、上記本発明の膜触媒層接合体および膜電極接合体のうちの何れかを搭載することにより、十分な電池電圧と十分な耐久性とを有する高分子電解質形燃料電池を提供することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明する。なお、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略することもある。
図1は、本発明の高分子電解質形燃料電池の好適な一実施形態に搭載される単電池の基本構成の一例を示す概略断面図である。なお、本実施形態の高分子電解質形燃料電池(図示せず)は、図1に示す単電池1のみで構成されていても、単電池1を複数積層して得られたスタックで構成されていてもよい。
また、図2は、図1に示す単電池1に搭載される膜電極接合体の基本構成の一例を示す概略断面図であり、図3は、図2に示す膜電極接合体10に搭載される膜触媒層接合体の基本構成の一例を示す概略断面図である。
さらに、図4は、図1におけるX−X線断面図、すなわち、図1におけるカソードセパレータ16cを、カソードガス流路17c側からみた正面図である。図5は、図1におけるY−Y線断面図、すなわち、図1におけるアノードセパレータ16aを、アノードガス流路17a側からみた正面図である。
まず、本実施形態の単電池1の構成要件について説明する。
図1に示すように、本実施形態の単電池1は、主として、後述する膜電極接合体10と、ガスケット15と、一対の板状のカソードセパレータ16cおよびアノードセパレータ16aとを含む。ガスケット15は、膜電極接合体10に供給される燃料ガスの外部へのリーク防止、酸化剤ガスの外部へのリーク防止、ならびに、燃料ガスおよび酸化剤ガス混合を防止するため、高分子電解質膜11の外延部分を挟持した状態でガス拡散電極の周囲に配置されている。
また、図2に示すように、膜電極接合体10は、主として、陽イオン(水素イオン)伝導性を有する高分子電解質で構成された高分子電解質膜11の両面に、カソード触媒層12cおよびアノード触媒層12aが配置されている。カソード触媒層12cは、少なくとも白金を含む貴金属触媒を担体粒子(例えばグラファイトなどの導電性炭素粒子)に担持させて得られる電極触媒と、水素イオン伝導性を有する高分子電解質と、を含み、アノード触媒層12aは、少なくとも白金を含む貴金属触媒を担体粒子(例えばグラファイトなどの導電性炭素粒子)に担持させて得られる電極触媒と、水素イオン伝導性を有する高分子電解質とを含む。そして、図2および図3に示すように、高分子電解質膜11と、カソード触媒層12cおよびアノード触媒層12aと、が膜触媒層接合体20を構成している。
本発明はカソード触媒層12cに含まれる触媒の単体である導電性炭素粒子に特徴を有するものであるが、その具体的内容については後述する。
高分子電解質膜11を構成する高分子電解質としては、従来公知の水素イオン伝導性を有する高分子電解質を用いることができ、例えばスルホン酸基を有する高分子電解質を用いるのが特に好ましい。
上記高分子電解質としては、平均EW値が900〜1200であるものが好ましい。平均EWが1200以下であると、高分子電解質膜11の抵抗値が上昇を抑えることができ好ましく、平均EW値が900以上であると含水率の増大に起因する膨潤を抑制することができ、高分子電解質膜11の強度を保持し易くなるため好ましい。
また、上記高分子電解質としては、パーフルオロカーボン重合体で構成されているものであるのが好ましく、例えばCF2=CF−(OCF2CFX)m−Op−(CF2)n−SO3Hで表されるパーフルオロビニル化合物(mは0〜3の整数を示し、nは1〜12の整数を示し、pは0または1を示し、Xはフッ素原子またはトリフルオロメチル基を示す。)に基づく重合単位と、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位とを含む共重合体を用いることができる。
上記フルオロビニル化合物の好ましい例としては、下記式(1)〜(3)で表される化合物が挙げられる。ただし、下記式中、qは1〜8の整数、rは1〜8の整数、tは1〜3の整数を示す。
CF2=CFO(CF2q−SO3H ・・・(1)
CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF2r−SO3H ・・・(2)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))tO(CF22−SO3H ・・・(3)
なお、上記高分子電解質としては、具体的には米国Du Pont社製のNafion(商品名)や旭硝子(株)製のフレミオン(商品名)などが挙げられる。
そして、カソード触媒層12cおよびアノード触媒層12aの外面には、それぞれ、例えば撥水処理を施したカーボンペーパーなどを用いて、通気性および電子伝導性を併せ持つガス拡散層13c、13aが形成される。カソード触媒層12cとガス拡散層13cとの組合せによりカソード(ガス拡散電極)14cが構成され、アノード触媒層12aとガス拡散層13aとの組合せによりアノード(ガス拡散電極)14aが構成される。
膜電極接合体10の外側には、図1に示すように、膜電極接合体10を機械的に固定するための導電性を有する一対の板状のカソードセパレータ16cおよびアノードセパレータ16aが配置されている。カソードセパレータ16cの膜電極接合体10と接触する部分(内面)には、カソード14cに酸化剤ガスを供給し、電極反応生成物、未反応の反応ガスおよび反応生成水などを単電池1の外部に運び去るためのカソードガス流路17cが形成されており、アノードセパレータ16aの膜電極接合体10と接触する部分(内面)には、アノード14aに燃料ガスを供給し、電極反応生成物や未反応の反応物を含むガスを単電池1の外部に運び去るためのアノードガス流路17aが形成されている。さらに、カソードセパレータ16cおよびアノードセパレータ16aの外面には、それぞれ燃料電池の温度を制御するための冷却流体(例えば冷却水)を流す冷却流体用流路18cおよび18aが形成されている。
このように、一対のカソードセパレータ16cおよびアノードセパレータ16aで膜電極接合体10を固定し、カソードセパレータ16cのカソードガス流路17cに酸化剤ガスを供給し、アノードセパレータ16aのアノードガス流路17aに燃料ガスを供給すれば、一つの単電池1である程度の起電力を発生させることができる。しかし、通常、高分子電解質形燃料電池を電源として使うときは、数ボルトから数百ボルトの電圧が必要とされるため、実際には、本実施形態のように単電池1を必要とする個数だけ直列に連結したスタックの構成が採用される。
カソードガス流路17cおよびアノードガス流路17aに反応ガス(酸化剤ガスおよび燃料ガス)を供給するためには、反応ガスを供給する配管を、使用するセパレータの枚数に対応する数(例えば単電池の数)に分岐し、それらの分岐先を直接セパレータにつなぎ込む治具であるマニホールドが必要となる。特に反応ガスを供給する外部の配管から直接セパレータにつなぎ込むタイプのマニホールドを、外部マニホールドと呼ぶ。一方、より簡単な構造を有する内部マニホールドと呼ばれるものもある。内部マニホールドは、ガス流路を形成したセパレータに設けられた貫通孔で構成され、ガス流路の出入り口をこの孔に連通させて、この貫通孔から直接反応ガスをガス流路に供給することができる。本発明においてはいずれのマニホールドを採用してもよい。
ここで、図4に示すように、カソードセパレータ16cは略矩形状であり、周縁部に酸化剤ガス入口マニホールド孔21、酸化剤ガス出口マニホールド孔22、燃料ガス入口マニホールド孔23、燃料ガス出口マニホールド孔24、冷却流体入口マニホールド孔25および冷却流体出口マニホールド孔26が設けられている。なお、図4における領域Pがカソード14c(カソード触媒層12cおよびカソードガス拡散層13c)の主面が接する部分である。
特に、カソードセパレータ16cのうちのカソード触媒層12cに接する面には、酸化剤ガス入口マニホールド孔21と酸化剤ガス出口マニホールド孔22を連通するカソードガス流路17cが設けられている。このカソードガス流路17cは、いわゆるサーペンタイン形状を有する。より詳細には、カソードガス流路17cは溝で構成されており、カソードセパレータ16cの四辺のうちの、燃料ガス出口マニホールド孔24および冷却流体入口マニホールド孔25が設けられている側の辺に略垂直な方向に延びる9本の直線部18c1と、隣接する直前部18c1を接続する8つのターン部18c2と、を有する。
一方、図5に示すように、アノードセパレータ16aは略矩形状であり、周縁部に酸化剤ガス入口マニホールド孔21、酸化剤ガス出口マニホールド孔22、燃料ガス入口マニホールド孔23、燃料ガス出口マニホールド孔24、冷却流体入口マニホールド孔25および冷却流体出口マニホールド孔26が設けられている。なお、図5における領域Qがアノード14a(アノード触媒層12aおよびアノードガス拡散層13a)の主面が接する部分である。
特に、アノードセパレータ16aのうちのアノード触媒層12aに接する面には、燃料ガス入口マニホールド孔23と燃料ガス出口マニホールド孔24を連通するアノードガス流路17aが設けられている。このアノードガス流路17aは、いわゆるサーペンタイン形状を有する。より詳細には、アノードガス流路17aは溝で構成されており、アノードセパレータ16aの四辺のうちの、燃料ガス出口マニホールド孔24および冷却流体入口マニホールド孔25が設けられている側の辺に略垂直な方向に延びる9本の直線部18a1と、隣接する直前部18a1を接続する8つのターン部18a2と、を有する。
上記のようなカソードセパレータ16cおよびアノードセパレータ16aの材料としては、特に限定されることなく、当該分野で公知のものを使用することができ、例えば金属、カーボン、および黒鉛と樹脂との混合材料などが挙げられる。
また、カソードガス拡散層13cおよびアノードガス拡散層13aの材料としては、特に限定されることなく、当該分野で公知のものを使用することができ、例えばカーボンクロスおよびカーボンペーパーなどが挙げられる。
次に、カソード触媒層12cは、上述のように、少なくとも白金を含む貴金属触媒を担持した担体粒子(導電性炭素粒子)からなる電極触媒と、水素イオン伝導性を有する高分子電解質と、によって形成され、アノード触媒層12aは、少なくとも白金を含む貴金属触媒を担持した担体粒子(導電性炭素粒子)からなる電極触媒と、水素イオン伝導性を有する高分子電解質と、によって形成される。
本実施形態は、図6に示すように、カソード触媒層12cのうち、カソードガス流路17cの上流に対応する部分12c1に含まれる導電性炭素粒子の黒鉛化度が、カソードガス流路17cの下流に対応する部分12c2に含まれる導電性炭素粒子の黒鉛化度よりも低いこと、を特徴とする。図6は、図1におけるZ−Z線断面図(図1に示す単電池1において、高分子電解質膜11、アノード触媒層12a、アノードガス拡散層13a、ガスケット15およびアノードセパレータ16aを取り外し、カソード触媒層12c側からみた図)である。すなわち、図6は、カソード触媒層12cと、カソードセパレータ16cにおけるカソードガス流路17cとの位置関係を示している。
本実施形態は、カソード触媒層12cのうち、カソードガス流路17cの上流に対応する部分12c1に含まれる導電性炭素粒子の黒鉛化度G1と、カソードガス流路17cの下流に対応する部分12c2に含まれる導電性炭素粒子の黒鉛化度G2と、が、以下の関係式(1)を満たすことを特徴とする。なお、アノード触媒層12aにおいては、当該アノード触媒層12aの主面の全体において、導電性炭素粒子の黒鉛化度が略均一であればよい。
関係式:G1<G2 ・・・(1)
そして、カソード触媒層12cの上記上流に対応する部分12c1は、カソードガス流路17cの全流路長のうちの一端を入口28とし他端を入口28を基点とした全流路長の25%〜50%の位置(図6において符号29で示される位置)とする領域に対向する部分であり、カソード触媒層12cの上記下流に対応する部分12c2は、カソードガス流路17cの全流路長のうちの一端を出口30とし他端を全流路長の出口30を基点とした50%〜75%の位置(図6において符号31で示される位置)とする領域に対向する部分である。
カソード触媒層12cの上記上流に対応する部分12c1が、カソードガス流路17cの全流路長のうちの一端を入口28とし他端を入口28を基点とした全流路長の25%〜50%の位置とする領域に対向する部分であれば、電流(例えば全体の電流のほぼ半分の電流)が集中し易い上記上流に対応する部分12c1に低耐酸化性および高活性を有する導電性炭素粒子をより確実に存在させることができ、高活性を有しかつ十分な電池性能を発揮する高分子電解質形燃料電池をより確実に実現することができる。
また、カソード触媒層12cの上記下流に対応する部分12c2が、カソードガス流路17cの全流路長のうちの一端を出口30とし他端を全流路長の出口30を基点とした50%〜75%の位置とする領域に対向する部分であれば、燃料電池の起動停止に伴う不均一なガス分布に起因して導電性炭素粒子が劣化される上記下流に対応する部分12c2に高耐酸化性および低活性を有する導電性炭素粒子をより確実に存在させることができ、触媒劣化が抑制され耐久性を有しかつ十分な電池性能を発揮する高分子電解質形燃料電池をより確実に実現することができる。
換言すると、カソード触媒層12cの上記上流に対応する部分12c1がカソードガス流路17cの入口28に対向する位置(図6において符合28aで示される位置)を含んでおり、カソード触媒層12cの上記下流に対応する部分12c2がカソードガス流路17cの出口30に対向する位置(図6において符号30aで示される位置)を含んでおり、カソード触媒層12cの主面の上記上流に対応する部分12c1の面積が当該主面の全面積の25%〜50%であり、カソード触媒層12cの主面の上記下流に対応する部分12c2の面積が当該主面の全面積の50%〜75%である。
上記と同様に、カソード触媒層12cの主面の上記上流に対応する部分12c1の面積が当該主面の全面積の25%〜50%であれば、電流(例えば全体の電流のほぼ半分の電流)が集中し易い上記上流に対応する部分12c1に低耐酸化性および高活性を有する導電性炭素粒子をより確実に存在させることができ、高活性を有しかつ十分な電池性能を発揮する高分子電解質形燃料電池をより確実に実現することができる。
また、カソード触媒層12cの主面の上記下流に対応する部分12c2の面積が当該主面の全面積の50%〜75%であれば、燃料電池の起動停止に伴う不均一なガス分布に起因して導電性炭素粒子が劣化される上記下流に対応する部分12c2に高耐酸化性および低活性を有する導電性炭素粒子をより確実に存在させることができ、触媒劣化が抑制され耐久性を有しかつ十分な電池性能を発揮する高分子電解質形燃料電池をより確実に実現することができる。
また、本実施形態の変形例として、カソード触媒層12cの導電性炭素粒子の黒鉛化度が、カソードガス流路17cの入口28に対向する位置(図6において符号28aで示される位置)からカソードガス流路17cの出口30に対向する位置(図6において符号30aで示される位置)にかけて増加(傾斜)していてもよい。
ここで、「カソード触媒層12cの導電性炭素粒子の黒鉛化度が、カソードガス流路17cの入口28に対向する位置からカソードガス流路17cの出口30に対向する位置にかけて増加(傾斜)している」状態とは、カソード触媒層18cがカソードガス流路17cの上流側から下流側にかけて2以上の領域(複数の領域)で構成されていることを前提として、カソード触媒層18cの一端に位置する最下流領域の導電性炭素粒子の黒鉛化度が、カソード触媒層18cの他端に位置する最上流領域の導電性炭素粒子の黒鉛化度よりも最終的に大きくなっており、複数の領域を全体として見た場合に各領域における導電性炭素粒子の黒鉛化度が、カソードガス流路17cの最上流領域から最下流領域にかけて概略的に増加している状態を示す。
例えば、最上流領域から最下流領域にかけて、導電性炭素粒子の黒鉛化度が連続して単調に増加している状態であってもよい。また、カソード触媒層12cが3つの領域以上で構成される場合には、例えば最上流領域と最下流領域との間に配置される領域のうち、一部の隣り合う領域同士の導電性炭素粒子の黒鉛化度が同じ値をとる状態であってもよい。さらに、最上流領域と最下流領域との間に配置される領域のうち、一部の隣り合う領域の導電性炭素粒子の黒鉛化度を比較した場合、最下流領域の側に位置する領域の導電性炭素粒子の黒鉛化度が、最上流領域の側に位置する領域の導電性炭素粒子の黒鉛化度よりも小さい場合があってもよい。
黒鉛化度の異なる導電性炭素粒子としては、黒鉛化度の異なる少なくとも2種類の導電性炭素粒子を用いればよく、黒鉛化度をカソードガス流路の上流から下流にかけて高く構成することができれば3種類以上の導電性炭素粒子を用いてもよい。また、導電性炭素粒子の変化する領域の境界は連続であっても不連続であってもよく、各領域毎に2種類の導電性炭素粒子の混合比率を徐々に変化させた構成を有していてもよい(グラデーション)。
黒鉛化度の高い導電性炭素粒子としては、例えばアセチレンブラックおよび天然黒鉛などを用いることができ、黒鉛化度の低い導電性炭素粒子としては、例えばケッチェンブラック、バルカンブラックおよび活性炭などを用いることができる。
導電性炭素粒子の黒鉛化度を測定する方法としては、ラマンスペクトルを用いる方法が挙げられる。ラマンスペクトルにおいて1580cm-1付近に現れる吸収帯のピークの半値幅を指標として黒鉛化度を評価することができる。半値幅が75cm-1以下であれば、黒鉛化度が高く、酸化に対する耐性が強く、劣化を抑制できる。一方、半値幅が80cm-1以上であれば、黒鉛化度が低く、表面積が大きいため酸化に対する耐性が低い傾向にあるが、電極触媒を高分散させることができ、高活性な触媒領域が得られる。
したがって、本実施形態においては、導電性炭素粒子のラマン分光法で測定した1580cm-1のピークの半値幅が、カソードガス流路17cの上流に対応する部分において80cm-1以上であり、カソードガス流路17cの下流に対応する部分において75cm-1以下であること、が好ましい。
次に、上記のような本実施形態の燃料電池の製造方法の一例について説明する。
まず、図3に示す本実施形態の膜触媒層接合体20を作製するためには、例えば市販の高分子電解質膜11を用い、その両面にそれぞれカソード触媒層12cおよびアノード触媒層12aを配置する。そして、カソード触媒層12cおよびアノード触媒層12aは、触媒層形成用インクにより形成することができる。上記触媒層形成用インクは、貴金属触媒を担持した担体粒子である導電性炭素粒子からなる電極触媒と、上記高分子電解質と、分散媒と、を少なくとも含む。
触媒層形成用インクを調製するために用いる分散媒としては、高分子電解質を溶解または分散可能(高分子電解質が一部溶解した分散状態も含む)であるアルコールを含む液体を用いることが好ましい。
分散媒は、水、メタノール、プロパノール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコールおよびtert―ブチルアルコールのうちの少なくとも1種を含んでいることが好ましい。これらの水およびアルコールは単独でも使用してもよく、2種以上混合してもよい。アルコールは、分子内にOH基を1つ有する直鎖のものが特に好ましく、エタノールが特に好ましい。このアルコールには、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル結合を有するものも含まれる。
触媒層形成用インクは、固形分濃度0.1〜20質量%であることが好ましい。固形分濃度が0.1質量%以上であると、触媒層形成用インクの噴霧または塗布により触媒層を作製するにあたり、何回も繰り返し噴霧または塗布しなくても所定の厚さの触媒層を得ることができ生産効率が良くなる。また、固形分濃度が20質量%以下であると、混合液の粘度を適度に調整することができ、触媒層を均一にすることができる。固形分濃度で1〜10質量%であることが特に好ましい。
また、固形分換算で、電極触媒と高分子電解質との質量比が、50:50〜85:15となるように触媒層形成用インクを調製することが好ましい。これにより、高分子電解質が効率よく貴金属触媒を被覆することができ、膜電極接合体10を作製した場合に、三相界面を増大させることができるからである。この質量比において50:50以上であると、担体粒子である導電性炭素粒子の細孔が高分子電解質でつぶれにくく、反応場を確保することができ高分子電解質形燃料電池としての性能をより確実に確保することができる。さらに、この質量比において85:15以下であると、高分子電解質による電極触媒の被覆をより確実なものとすることができ、高分子電解質形燃料電池としての性能をより確実に確保することができる。電極触媒と高分子電解質との質量比は、60:40〜80:20となるように調製することが特に好ましい。
上記触媒層形成用インクは、従来公知の方法に基づいて調製することができる。具体的には、ホモジナイザ、ホモミキサ等の撹拌機を使用する方法、高速回転ジェット流方式を使用するなどの高速回転を使用する方法、高圧乳化装置などの高圧をかけて狭い部分から分散液を押出すことで分散液にせん断力を付与する方法などが挙げられる。
触媒層形成用インクを用いてカソード触媒層12cおよびアノード触媒層12aを形成する際には、支持体シート上に触媒層12cおよびアノード触媒層12aを形成する。具体的には、触媒層形成用インクを支持体シート上に噴霧または塗布により塗工し、支持体シート上の触媒層形成用インクからなる液膜を乾燥させることにより支持体シート上に触媒層12cおよびアノード触媒層12aを形成すればよい。
ここで、カソードガス拡散電極14cおよびアノードガス拡散層14aは、支持体シートから剥離して得られるカソード触媒層12cまたはアノード触媒層12aのみを製品(ガス拡散電極14c、14a)として製造してもよく、支持体シート上にカソード触媒層12cまたはアノード触媒層12aを剥離可能に形成したものを製品として製造してもよい。この支持体シートとしては、後述するように、触媒層形成用の混合液に対する溶解性を有しない合成樹脂製のシート、合成樹脂からなる層、金属からなる層を積層した構造を有するラミネートフィルム、金属性シート、セラミックスからなるシート、無機有機複合材料からなるシート、および高分子電解質膜などが挙げられる。
カソード触媒層12cまたはアノード触媒層12aを形成する際の混合液の塗工方法としては、アプリケータ、バーコータ、ダイコータ、スプレーなどを使用する方法や、スクリーン印刷法、グラビア印刷法などを適用することができる。
カソード触媒層12cおよびアノード触媒層12aの厚さは、それぞれ独立して、3〜50μmであることが好ましい。厚さ3μm以上であると、均一な触媒層の形成が容易となり、一定の触媒量を確保することができ耐久性を適度に保つことができ好ましく、厚さが50μm以下であると、供給された反応ガスが触媒層中を拡散し易く、反応を進行させ易くできるため好ましい。本発明の効果をより確実に得る観点から、カソード触媒層12cおよびアノード触媒層12aの厚さは、それぞれ独立して、5〜30μmであることが特に好ましい。
上述のようにして得られたカソード触媒層12cおよびアノード触媒層12aから、膜触媒層接合体20、カソードガス拡散電極14c、アノードガス拡散電極14a、膜電極接合体10および単電池1(高分子電解質形燃料電池)を製造する。
その際、支持体シートとして高分子電解質膜11を用いた場合には、その両面にカソード触媒層12cおよびアノード触媒層12aを形成し、その後に、全体をカーボンペーパー、カーボンクロスまたはカーボンフェルトなどのガス拡散層13c、13aで挟持し、ホットプレスなどで公知の技術により接合すればよい。カソード触媒層12cを形成する際は、まず、膜の該当する部分に黒鉛化度の高いカーボンを使用した触媒層を形成し、次に黒鉛化度の低いカーボンを使用した触媒層を形成する、あるいはその逆のプロセスを経て触媒層を形成する。具体的にはたとえばスプレーを用いて膜の該当部分に第一の触媒層を形成し、触媒層塗料を交換して第二の触媒層を該当部分に形成する。
さらに、支持体シート上にカソード触媒層12cおよびアノード触媒層12aを形成した場合には、カソード触媒層12c付き支持体シートおよびアノード触媒層12a付き支持体シートを、高分子電解質膜11に接触させ、支持体シートを剥離することによってカソード触媒層12cおよびアノード触媒層12aを転写し、公知の技術により接合すればよい。この場合も、カソード触媒層を形成する場合には、黒鉛化度の高いカーボンと低いカーボンの触媒層を形成した支持体をそれぞれ準備し、該当の大きさに切り取った触媒層を膜の該当部分に接触させ、公知の方法によって転写すればよい。
また、膜電極接合体10を用いて図1に示す単電池を作製する場合には、ガスケット15、カソードセパレータ16cおよびアノードセパレータ16aを用い、当該分野で公知の方法により作製すればよい。上述したように、複数個の単電池1を積層して得られるスタックにより、本発明の高分子電解質形燃料電池を構成してもよい。
以上、本発明の一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、カソードガス流路17cおよびアノードガス流路18cとして、サーペンタイン形状のガス流路を用いる場合について説明したが、構成する直線部およびターン部の数は上記実施形態に限定されず、また、本発明の効果を損なわない範囲でその形状を適宜設計変更することも可能である。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
《比較例1》
本比較例では、カソード触媒層の構成を以下のようにすること以外は、図1に示す構造と同様の構成を有する単電池を作製した。カソード触媒には担体である導電性炭素粒子としてアセチレンブラックのみを用いた。この導電性炭素粒子のラマンスペクトルにおける1580cm-1の吸収ピークの半値幅は43cm-1であった。
まず、高分子電解質を含む溶液(Aldrich社製のNafion溶液)をポリプロピレン製の支持体シートにキャストし、乾燥することによって、40μmの高分子電解質膜を得た。
また、アセチレンブラック(電気化学工業(株)製のデンカブラック、粒径35nm)を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の水性ディスパージョン(ダイキン工業(株)製のD−1)と混合し、乾燥質量としてPTFEを20質量%含む撥水処理用インクを調製した。この撥水処理用インクを、ガス拡散層の基材となるカーボンクロス(日本カーボン(株)製のカーボロンGF-20-31E)の上に塗布して含浸させ、熱風乾燥機を用いて300℃で熱処理し、ガス拡散層(約200μm)を形成した。
次に、市販の50質量%アセチレンブラック担持白金触媒(E−TEK社製)を、電極触媒と高分子電解質との質量比が1:1となるように、高分子電解質分散液(米国Aldrich社製のNafion液)と混合し、触媒層形成用インクを調製した。得られた触媒層形成用インクを、2枚の支持体シート(ポリプロピレン製)に塗布し、2枚の触媒層(カソード触媒層およびアノード触媒層)を形成した。1cm2あたりの電極触媒(白金)担持量は、カソード触媒層においては0.4mgとし、アノード触媒層においては0.3mgとした。
上述のようにして得たガス拡散層、カソード触媒層およびアノード触媒層を、上記高分子電解質膜の両面にホットプレスにより接合し、図2に示す構造を有する膜電極接合体Aを作製した。
次に、上記膜電極接合体Aの高分子電解質膜の外周部にゴム製のガスケット板(シール材)を接合し、燃料ガスおよび酸化剤ガス流通用のマニホールド穴を形成した。
一方、10cm×10cm×1.3mmの外寸を有し、かつ幅0.9mm、深さ0.7mmのガス流路を有する、フェノール樹脂を含浸させた黒鉛板からなる導電性を有する板状のカソードセパレータおよびアノードセパレータを準備した。カソードセパレータおよびアノードセパレータの形状は、それぞれ図4および図5に示す形状とした。これら2枚のセパレータを用い、上記膜電極接合体Aの一方の面にカソードガス流路17cが成形されたカソードセパレータ16cを重ね合わせ、他方の面にアノードガス流路17aが成形されたアノードセパレータ16aを重ね合わせ、単電池を得た。
単電池の両端部には、ステンレス鋼製の集電板、電気絶縁材料の絶縁板および端板を配置し、全体を締結ロッドで固定した。このときの締結圧はセパレータの面積当たり10kgf/cm2とした。このようにして単電池からなる高分子電解質形燃料電池Aを作製した。
《比較例2》
カソード触媒層12cにおける導電性炭素粒子がケッチェンブラックである触媒(田中貴金属工業製)を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、膜電極接合体Bを得た。また、この膜電極接合体Bを用い、実施例1と同様にして高分子電解質形燃料電池Bを作製した。
《実施例1》
カソード触媒層12cのうちのカソードガス流路17cの上流に対応する部分12c1を、カソードガス流路17cの全流路長のうちの一端を入口28とし他端を入口28から全流路長の33%の位置とする領域に対向する部分に設定した。
また、カソード触媒層12cのうちのカソードガス流路17cの下流に対応する部分12c2を、カソードガス流路17cの全流路長のうちの一端を出口30とし他端を全流路長の出口30から67%の位置とする領域に対向する部分に設定した。
また、カソード触媒層12cの主面の上流に対応する部分12c1の面積は当該主面の全面積の33%とした。
さらに、カソード触媒層12cの主面の下流に対応する部分12c2の面積は当該主面の全面積の67%とした。
そして、上記上流に対応する部分12c1において、導電性炭素粒子として黒鉛化度の低いケッチェンブラックを用い、上記下流に対応する部分12c2において、導電性微粒子として黒鉛化度の高いアセチレンブラックを担体とする触媒を用いた以外は、比較例1と同様にして本発明の膜電極接合体Cを得た。また、この膜電極接合体Cを用い、比較例1と同様にして本発明の高分子電解質形燃料電池Cを作製した。
[評価試験]
(1)空気パージ試験
膜電極接合体A〜Cを含む単電池からなる高分子電解質形燃料電池A〜Cを用い、12時間0.5A/cm2の電流密度で発電を行って十分に活性化を行った後、0.16A/cm2で発電した状態での電圧(初期電圧)を記録した。
次に、下記に示すようなパターンで発電と停止を繰り返し、1000サイクル後の発電電圧と初期電圧との差を測定した。
すなわち、発電を20分間(ステップ1)行い、発電を停止し、アノードおよびカソードともにN2パージを10分間行い、N2パージを停止後スタックを17分間封止し、カソードのみN2パージを5分間行い、カソードN2パージを停止後スタックを5分間封止し、アノードへの水素供給およびカソードへの空気供給を同時に開始して3分間供給を継続し、再び上記ステップ1の発電を行うというパターンを繰り返した。
また、測定前後の膜電極接合体の断面を電子顕微鏡で観察し、カソード触媒層の厚みを上流側として触媒層上部から1cmの部分、中流側として触媒層の中央部、下流側として触媒層下部から1cmの部分、の3点で測定し、その変化を比較した。
これらの結果を表1に示す。
Figure 2007335162
表1に示す結果より、本発明の高分子電解質形燃料電池によれば、1000回の発電−停止試験においてカーボンの酸化による劣化を効率的に抑制できるため、電圧の低下を1%以内に抑制することができる。また、発電電圧も初期から劣化後まで780mV以上を確保できており、発電初期から耐久劣化後において高い発電効率を維持することができる。
また、比較例1と比較例2の結果より、実施例1の電圧を単純に触媒の面積比率から計算すると、785mVとなるが、実施例1の結果はそれを上回っており、電流が集中する上流側に高活性な触媒を配置する効果が現れている。
本発明の膜触媒層接合体は、高分子電解質形燃料電池に用いた場合に、特にカソードの触媒担持カーボンが酸化消失することを抑制し、カソードの劣化を抑制するため、耐久性に優れかつ十分な電池性能を維持し得る高分子電解質形燃料電池を実現することが可能である。したがって、本発明は、高分子電解質膜を用いた燃料電池、特に定置型コジェネレーションシステムや電気自動車などの高耐久化のために好適に用いることができる。
本発明の高分子電解質形燃料電池の好適な一実施形態に搭載される単電池の基本構成の一例を示す概略断面図である。 図1に示す単電池1に搭載される膜電極接合体の基本構成の一例を示す概略断面図である。 図2に示す膜電極接合体10に搭載される膜触媒層接合体の基本構成の一例を示す概略縦断面図である。 図1におけるX−X線断面図、すなわち、図1におけるカソードセパレータ16cを、カソードガス流路17c側からみた正面図である。 図1におけるY−Y線断面図、すなわち、図1におけるアノードセパレータ16aを、アノードガス流路17a側からみた正面図である。 図1におけるZ−Z線断面図(図1に示す単電池1において、高分子電解質膜11、アノード触媒層12a、アノードガス拡散層13a、ガスケット15およびアノードセパレータ16aを取り外し、カソード触媒層12c側からみた図)である。 本発明における「カソード触媒層のうち、カソードガス流路の上流に対応する部分」、および、「カソード触媒層のうち、カソードガス流路の下流に対応する部分」の好適な設定条件を説明するための説明図である。 従来の高分子電解質形燃料電池の好適な一実施形態に搭載される単電池の基本構成の一例を示す概略断面図である。 図8に示す単電池101に搭載される膜電極接合体の基本構成の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
1、101・・・単電池、11、111・・・高分子電解質膜、12c・・・カソード触媒層、12a・・・アノード触媒層、13c・・・カソードガス拡散層、13a・・・アノードガス拡散層、14c・・・カソード、14a・・・アノード、15・・・ガスケット、16c・・・カソードセパレータ、16a・・・アノードセパレータ、17c・・・カソードガス流路、17a・・・アノードガス流路、18c、18a・・・冷却流体流路、21・・・酸化剤ガス入口マニホールド孔、22・・・酸化剤ガス出口マニホールド孔、23・・・燃料ガス入口マニホールド孔、24・・・燃料ガス出口マニホールド孔、25・・・冷却流体入口マニホールド孔、26・・・冷却流体出口マニホールド孔、112・・・触媒層、113・・・ガス拡散層、114・・・ガス拡散電極、115・・・ガスケット、116・・・セパレータ、117・・・ガス流路、118・・・冷却流体流路。

Claims (8)

  1. 互いに対向配置されるアノードセパレータおよびカソードセパレータと、前記アノードセパレータと前記カソードセパレータとの間に配置される膜電極接合体とを有し、前記カソードセパレータの内面にカソードガス流路が形成されている高分子電解質形燃料電池に搭載される膜触媒層接合体であって、
    互いに対向して配置されたアノード触媒層およびカソード触媒層と、
    前記アノード触媒層と前記カソード触媒層との間に配置される高分子電解質膜と、
    を有しており、
    前記カソード触媒層には、電極触媒と、前記電極触媒の担体となる導電性炭素粒子とが含まれており、
    前記カソード触媒層のうち、前記カソードガス流路の上流に対応する部分に含まれる前記導電性炭素粒子の黒鉛化度が、カソードガス流路の下流に対応する部分に含まれる前記導電性炭素粒子の黒鉛化度よりも低いこと、
    を特徴とする膜触媒層接合体。
  2. 前記カソード触媒層の前記上流に対応する部分は、前記カソードガス流路の全流路長のうちの一端を入口とし他端を前記入口を基点とした前記全流路長の25%〜50%の位置とする領域に対向する部分であり、
    前記カソード触媒層の前記下流に対応する部分は、前記カソードガス流路の全流路長のうちの一端を出口とし他端を前記出口を基点とした前記全流路長の50%〜75%の位置とする領域に対向する部分であること、
    を特徴とする請求項1に記載の膜触媒層接合体。
  3. 前記カソード触媒層の前記上流に対応する部分が前記カソードガス流路の入口に対向する位置を含んでおり、前記カソード触媒層の前記下流に対応する部分が前記カソードガス流路の出口に対向する位置を含んでおり、
    前記カソード触媒層の主面の前記上流に対応する部分の面積が当該主面の全面積の25%〜50%であり、前記カソード触媒層の主面の前記下流に対応する部分の面積が当該主面の全面積の50%〜75%であること、
    を特徴とする請求項1または2に記載の膜触媒層接合体。
  4. 前記カソード触媒層の前記導電性炭素粒子の黒鉛化度が、前記カソードガス流路の入口に対向する位置から前記カソードガス流路の出口に対向する位置にかけて増加していること、
    を特徴とする請求項1〜3のうちのいずれかに記載の膜触媒層接合体。
  5. 前記導電性炭素粒子の比表面積が、前記カソードガス流路の入口に対向する位置から前記カソードガス流路の出口に対向する位置にかけて減少していること、
    を特徴とする請求項1〜4のうちのいずれかに記載の膜触媒層接合体。
  6. 前記導電性炭素粒子のラマン分光法で測定した1580cm-1のピークの半値幅が、
    前記カソードガス流路の前記上流に対応する部分において80cm-1以上であり、前記カソードガス流路の前記下流に対応する部分において75cm-1以下であること、
    を特徴とする請求項1〜5のうちのいずれかに記載の膜触媒層接合体。
  7. 互いに対向配置される一対のガス拡散層と、前記一対のガス拡散層の間に配置される膜触媒層接合体と、を有し、
    前記膜触媒層接合体が請求項1〜6のうちのいずれかに記載の膜触媒層接合体であること、
    を特徴とする膜電極接合体。
  8. 請求項7に記載の膜電極接合体を備えること、
    を特徴とする高分子電解質形燃料電池。
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