JP2007322363A - プローブ構造体及び走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents

プローブ構造体及び走査型プローブ顕微鏡 Download PDF

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Abstract

1本の観測用プローブと複数本の作業用のプローブを有する、カンチレバーアレーにおいて、試料の観測中に作業用プローブが、試料の突起部に衝突しないように制御する方法を提供した。
【解決手段】 1)観測用探針と作業用探針の距離と高さの違いを事前に測定する。2)作業用探針が、観測用探針の走査の軌跡になるべく近いところを走査するように走査方向を決定する。3)作業用探針が、試料の突起部を通過する前に探針引き上げ量を突起部高さ以上に設定し、引き上げて測定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、試料の情報を取得し、また、試料を加工する、走査型プローブ顕微鏡に関する。
従来、電子材料や有機材料等の試料を一般に微小領域にて測定し、試料の特に表面形状を観察し、物性情報等を取得する、原子間力顕微鏡や走査型トンネル顕微鏡等の走査型プローブ顕微鏡が知られている。
また、走査型プローブ顕微鏡は、3次元位置決め機構としても正確であることから、この性能を活かした微少部分の加工装置としての提案もされている。
このような加工装置として(プローブ顕微鏡のマニピュレーションへの応用として)、2本のプローブの間に試料を挿入し試料を把持する、いわゆるAFMピンセット技術も提案されている
AFMピンセットの技術としては、例えば、シリコンの探針上に2本のカーボンナノチューブを取り付けた技術やガラスチューブにカーボンナノチューブを取りつけた技術、シリコン基板よりMEMSのプロセスでカンチレバー2本を作成した技術などが提案されている。前2者の従来技術によるピンセットは、2本のカーボンナノチューブ探針の間に静電気を印加させピンセットの開閉を行う技術である。後者のMEMSで作成したAFMピンセットは、メムスのプロセスを利用して2本のカンチレバーを作成し、把持するために櫛歯状の静電アクチュエータを構成した技術や、一方のカンチレバーの根元に電流を流して発熱させ、シリコンの線膨張を拡大し駆動に使用した技術などが提案されている。(例えば特許文献1を参照。)
電気学会論文誌E IEEJ Trans.SM,Vol125,No.11,2005,武川哲也、橋口原、民谷栄一等
本発明は、試料の観察並びに加工等の作業(適宜、「非観察」と表記する。)のいずれも行うためのプローブ構造体、及び、そのプローブ構造体を用いた走査型プローブ顕微鏡を提供することを課題とする。
上記課題を達成するために、本発明に係る走査型プローブ顕微鏡に用いられるプローブ構造体は、少なくとも一本の観察用のプローブと、一又は複数本の非観察用のプローブとを備え一体とされた構造体(カンチレバーアレー)である。これは、走査型プローブ顕微鏡に装着されて使用され、当該装置において、一本又は複数本(全部を含む。)のプローブが、各プローブの目的に沿って同時に使用される。つまり、観察用のプローブは試料を観察する(情報を読み取る)ために用いられ、他のプローブはそれぞれの目的通りに用いられる。言い換えれば、各プローブは、それぞれの目的とされる構成を採用し、この構成を実現するために、各々最適な材料によって最適な製法によって最適な形状にされている。
このプローブ構造体は、観察用のプローブの他に、観察目的ではないプローブを備えている点に極めて重要な意義がある。このような構造体を走査型プローブ顕微鏡に用いれば、当然、上記走査型プローブ顕微鏡は、作業に応じてプローブを装着し直す必要がなくなる。このことは、ひいては、試料の観察と試料への非観察(加工等の作業など)との切り替えにおいて、プローブの脱着や試料の移動がないということを意味する。つまり、観察、非観察において、試料とプローブ(プローブ構造体)との位置関係が厳密な意味でほぼずれなくしたり、観察によって得られた試料の情報を用いて非観察を行ったりするといった作業が、本発明によって初めて実現できるということを意味する。したがって、非観察の精度を、従来の非観察用のプローブが装着された走査型プローブ顕微鏡よりも大幅にあげることが可能となる。
上記プローブ構造体は、その内の一本又は複数本(全部を含む。)が脱着できるようにすると好ましい。プローブにはそれぞれ寿命等があり、特に観察用と非観察用のプローブとでは、使用される方法が異なったり、耐久性が異なったりするなど、条件等が異なるため、使用可能期間が異なることがあるからである。
非観察用のプローブの内の一本又は複数本(全部を含む。)は、例えば、試料に対して加工を行うための作業用のプローブであってもよい。いわゆるナイフ構造のプローブであれば、試料を切断する作業を行うことができる。この場合、試料の観察とともに、好ましくはこの観察結果を用いて、試料の切断加工を行うことが可能となる。
また、ピンセット構造(ピンセット作業が行える構造)を採用してもよい。具体的には、観察用のプローブの少なくとも一本と非観察用のプローブの少なくとも一本とが、それらによって試料を担持できるように構成してもよい。また、複数の非観察用のプローブの複数本同士が、それらによって試料を担持できるように構成してもよい。
このように、本発明に係るプローブ構造体を採用すれば、観察用のプローブと作業用のプローブとが一体となり、交換等なしに、場合によっては同時に、それぞれの目的にそって使用(観察・作業)することが可能となる。
本発明に係る走査型プローブ顕微鏡は、上記プローブ構造体を備えている装置である。この装置は、各プローブを、それぞれの目的に従って使用する。例えば、観察用のプローブは、試料の観察のために、公知の走査方法によって使用される。この顕微鏡においてプローブ構造体は、走査型プローブ顕微鏡から脱着可能であると好ましい。例えば、非観察用のプローブとしていわゆるナイフ構造のプローブが採用されている場合には、このプローブは、試料の切断のために、公知の方法によって使用される。ピンセット構造のプローブ群が採用されている場合には、これらのプローブは、試料の一部又は全部を挟むなど、公知のピンセット処理方法によって使用される。別言すれば、上記走査型プローブ顕微鏡は、複数のプローブ、すなわち探針付き片持ち梁(カンチレバー)を有し、少なくとも一本のプローブ(観察用のプローブ)で試料表面上で走査することにより試料の表面形状の情報や物性情報等の情報を得て、他のプローブ(作業用プローブ)で試料の特定部位に作業する(マニピュレーションする)装置である。当然、観察用のプローブでAFMの原理に従って試料を観察し、非観察用のプローブとによってAFMピンセットを構成するプローブ構造体を備えた走査型プローブ顕微鏡も、その技術的範囲に好適な一構成として含む。
このように、上記走査型プローブ顕微鏡は、上記プローブ構造体を備えており、各プローブをその目的に従って逐次又は同時に作動させる構成を採用しているため、上記したような作用を奏する。
上記走査型プローブ顕微鏡は、好ましくは、観察用のプローブを使用する際、他のプローブと試料とが互いに影響を及ぼさないように、当該他のプローブと試料との位置関係を制御するとよい。プローブ構造体と試料との位置関係を制御してもよい。影響とは、両者の衝突などの直接的なものも、電磁気や原子間力等による間接的なものも指し、それらの一つのみを考慮するようにしてもよく、複数を考慮するようにしてもよい。
以上のような走査型プローブ顕微鏡において、さらに、プローブ構造体を、非使用時における任意の一本の観察用プローブの位置を基準として他のプローブの相対的位置が略固定されたものとしてもよい。複数本のプローブを制御する場合に、各プローブ若しくはプローブの組を、試料と離すように(Z軸方向に)移動制御できるようなコントロール系を備えていることも望ましいが、装置の簡略化等のために、このような構成にすることも好ましい。特に、プローブ同士の間隔が狭い場合には、一つのZ軸方向の制御系によって各プローブと試料との位置関係を制御するように構成すると、顕微鏡・プローブ構造体の製造を容易にできる。当然、制御も容易になるため、実質的な実現性を高いものにできる。
このような構成を採用した場合には特に、観察用のプローブを使用して試料の観察を行う際に、他のプローブと試料とが互いに影響を及ぼさないように、観察を行っているプローブと試料との相対的な位置関係、つまりはプローブ構造体と試料との位置関係を制御する制御手段を備えるとよい。他のプローブが、試料表面の凹凸に引っかかるなどして相互に影響を及ぼしあってしまい、例えば試料の突起部を散乱させたり移動させたりしてしまうことが防げるからである。当然、試料表面の凹凸によってプローブの特に探針が影響を受けることも防げる。
制御手段は、プローブ構造体を移動制御(一般に微動制御ともいう。)することによって上記制御を実現してもよく、試料を担体する台(一般にサンプルホルダーともいう。)を移動制御することによって上記制御を実現してもよく、両者の移動制御によって実現してもよい。いずれの制御を行う場合でも、試料とプローブ構造体との間の距離を制御する、いわゆるZ軸方向の位置制御が主要な制御となる。ただし、制御手段が、プローブ構造体における各プローブやプローブの組ごとにZ軸方向の位置制御を行えるようにしてもよいことは当然である。
以上のような走査型プローブ顕微鏡において、特にプローブ構造体が観測用のプローブと非観測用のプローブとをそれぞれ一本ずつ備えた構成においては、観察用のプローブが、各プローブの探針の略先端を結んだ直線に略平行に走査するようにし、制御手段は、観察用のプローブを用いて得られた試料の情報(特に試料表面の凹凸に関する情報)に基づき、非観測用のプローブが試料と影響を及ぼしあう(例えば衝突する)ことが起こらないように、試料とプローブ構造体との位置関係を適宜制御するようにしてもよい。
このような構成としては、例えば、2本のカンチレバーの内の1本に光てこ系などの変位検出系を取り付け、観察用に使用し、例えば試料の位置合わせを行うようにし、試料を把持する側の(他の)カンチレバーは、独自に変位検出系を持たず、観測する側のプローブに追従して試料面を移動するような構成も当然含まれる。この構成において、他のカンチレバーは、ピンセットのギャップ幅(一般に2〜3μm程度)分離れた観測用プローブと同期して上下することとなる。制御手段は、走査方向における試料表面の凹凸情報に基づき、他のカンチレバーの下に突起物が来る場合には、試料表面とプローブ構造体の位置関係を制御し、試料と他のカンチレバー(一般にはその探針)とが衝突するなどの影響を及ぼしあわないようにする。なお、観測用のカンチレバーの下に突起物(試料表面におけるプローブ側に凸の部分)が来た場合には、観測用カンチレバーの撓みを変位検出系が感知し、Zスキャナーを上下させて(Z方向にプローブ構造体を移動させて)突起物を回避するといった公知の応答を行えばよい。
また、制御手段の好適な例として以下の構成を挙げることができる。
・観察に用いられているプローブと他のプローブとの位置関係が記憶されている。つまり、いずれかのプローブを基準として、各プローブの上記XYZ方向の座標が記憶されている。この情報のことを適宜「プローブ相対位置情報」と表記する。
・観察用のプローブを用いて作成された試料表面の情報から、試料表面の凹凸形状を把握している。つまり、試料表面の凹凸情報など、いわゆる試料表面情報を把握(一般には入力)されている。なお、凹凸形状とは、繰り返しになるが、物理的な凹凸形状としてもよく、磁気的な凹凸形状や電気的な凹凸形状であってもよく、複数の尺度を勘案した凹凸形状であってもよい。
・プローブ相対位置情報と試料表面情報とを用い、観察に用いていないプローブと試料とが互いに影響しあう、試料表面における相対的な位置を判断する。
・影響すると判断した試料表面における相対的な位置に、対象となるプローブがさしかかった場合に、プローブ構造体と試料との相対的な距離を制御して互いが影響しないようにする。一般には、いわゆるZ軸方向の移動を行い、試料表面の凸部を回避する。ただし、XY平面方向の移動によってこれを回避してもよく、XYZ方向の移動(すなわち試料表面に対して斜め方向の移動)によってこれを回避してもよい。
以上のような制御を行えば、上記構成のプローブ構造体を備えた走査型プローブ顕微鏡においても、観察に用いていないプローブと試料とが影響しあってしまう(悪影響を与えてしまう)ことを効果的に防ぐことができる。また、このような場合にのみ上記制御を行うので、その他の部分においては観察用のプローブを用いた試料観察を行うことができる。つまり、単一のZサーボ系(Z微動機構)を用いたとしても、把持用のプローブによって基板上の試料を散乱することがないため、観察用のプローブを用いた大領域の走査から所定の領域の走査まで正確に観察ができるような走査型プローブ顕微鏡も提供できる。この顕微鏡は当然、試料観察の結果を用いて、所定の試料を極めて正確に把持することが可能となり、制御性の極めて良いAFMピンセット機能を備えた顕微鏡となる。
前記の通り、「影響」という文言には「衝突」を含む。したがって、上記制御例には、制御手段が、観察に用いていないプローブと試料とが互いに「影響」し合う試料表面における位置の代わりに、互いに「衝突」する位置を判断し、衝突すると判断した試料表面における位置に対象となるプローブが位置する際に、プローブ構造体と試料との相対的な距離を制御して互いが衝突しないようにする構成も当然に含む。このことをあえて強調するのは、一般に、プローブ(特にその探針)と試料とが衝突すると、すくなくとも一方に具体的な影響・傷害が生じる可能性が高いからである。
本発明は、その技術的思想の中に以上の各構成を含むが、特に好ましい構成として以下のものをあげることができる。
・観測用のプローブと任意のプローブの、互いの探針の略先端を結んだ方向を走査方向Xとし、この方向に直交し、試料表面を平面と設定した際の当該平面と平行な平面上の方向を方向Yとし、制御手段は、X軸を基準とする各プローブのY方向のズレ量が記憶されて、観察に用いられているプローブと他のプローブとの位置関係を把握する。またZ方向のズレ量が記憶されていてもよく、好適には両者が記憶される。
このことは、一般に試料表面を基準として規定されるXYZ座標を用いて、各プローブの位置関係を把握するということと等価でもある。この場合は、X座標、Y座標、Z座標の値すべてを記憶されて、その値を用いて制御するようにすることが好ましい。
・観察用のプローブを用いて試料を観察する際に、画素ごとに観察用のプローブの探針を試料に接近させ、当該プローブの共振による振幅を試料との相互作用によって減衰させ、振幅が設定値以下になった際の試料とプローブ構造体との相対的距離に基づいて前記画素における試料表面の高さの情報を作成し、制御手段がプローブ構造体と試料との位置を離した際に、その距離に応じて観測用のプローブの振幅を大きくして、当該プローブによって試料の観測を続行するようにする。
・観察用のプローブを用いて試料を観察する際に、画素ごとに観察用プローブの探針を試料に接近させ、観察用のプローブが試料面と接触した際の撓みが設定値以上になった際の試料とプローブ構造体との距離に基づいて前記画素における試料表面の高さの情報を作成し、制御手段がプローブ構造体と試料との位置を離した際に、その距離に応じて観測用のプローブの振幅を大きくして、当該プローブによって試料の観測を続行するようにする。
このような制御をすることにより、非観察用のプローブと試料との影響を避けるために、プローブ構造体と試料との距離を離す制御を行っても、その際に観察用のプローブを用いた観察が行うことが可能となる。
上記説明からも明らかなように、本発明によれば、試料の観察並びに加工等の作業のいずれも行うためのプローブ構造体、及び、そのプローブ構造体を用いた走査型プローブ顕微鏡を提供することが可能となる。
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
<第一のプローブ構造体とそれを備えた第一の走査型プローブ顕微鏡>
[構造]
本発明に係る第一のプローブ構造体(カンチレバーアレー)の模式図を図1に示す。図1に示すように、第一のプローブ構造体(カンチレバーアレー)1は、プローブ担体10に観察用のプローブ11と非観察用のプローブである担持用プローブ12が設けられている。第一のプローブ構造体1においては、両プローブ11、12は、それぞれプローブ担体10と脱着可能に構成されている。脱着機構としては、公知の物同士の脱着機構を適宜採用することができる。
観察用のプローブ11は、試料の情報、特に試料表面の情報を観察するためのプローブで、本実施例においてはコンタクトモードに用いられるプローブが採用されている。観察用のプローブ11を装着された走査型プローブ顕微鏡は、観察用のプローブ11、特に先端部を振動させ、試料表面との影響によって振動数や共振数などが変化するのを計測し、計測された変化に基づいて試料表面の形状・状態などを検知する。プローブの振動の変化を計測する方法として、本実施例では、観察用プローブに対して試料とは反対側から光(レーザー)をあて、その反射光を観測することで計測する、いわゆる光てこ式が採用されている。
担持用プローブ12は、少なくとも先端部が観察用のプローブ11側に近づけられて、試料の一部、一般には試料表面の一部を、両プローブ11、12の探針間で挟み、場合によってはこの部分を試料から持ち上げたり引き離したりする、いわゆるAFMピンセット構造を実現するプローブである。本実施例では、AFMピンセット構造を実現するために、担持用プローブ12に対してXY平面方向に熱アクチュエータ13が設けられ、熱アクチュエータ13によって担持用プローブ12の少なくとも先端部が観察用プローブ11側に近づいたり離れたりするようにされている。また、観察用のプローブ11と担持用プローブ12は、公知のZ軸微動機構によって、試料側に(Z方向に)移動できるようにされている。本実施形態において、Z軸微動機構は、第一のプローブ構造体1をZ方向に上下させる機構である。言い換えれば、プローブ担体10をZ方向に移動させることによって、観察用のプローブ11及び担持用プローブ12の試料との距離を制御する。なお、観察用のプローブ11をXY平面において担持用プローブ12側へ移動させる構成にしてもよく、両プローブ11、12がそれぞれXY平面において互いに近づくことができる構成にしてもよい。
次に、第一の走査型プローブ顕微鏡による観察方法を、特に当該顕微鏡並びにその制御手段によるプローブ構造体1の制御方法を中心に説明する。なお、本明細書においては、特許請求の範囲における「制御手段」による制御も他の制御も、走査型プローブ顕微鏡による制御として記載するが、その本質において特許請求の範囲における記載と何ら異なるものではない。
[作用]
(両プローブの位置関係把握)
第一の走査型プローブ顕微鏡は、観察用のプローブ11と担持用プローブ12の位置関係を把握する。具体的には、XYZ座標における両者の位置(距離とZ軸高さ)を把握すればよい。把握の仕方としては種々の手法が採用できるが、例えば以下のような手法も採用できる。以下の手法を組み合わせて、その平均値をとるなどすることで、正確な位置関係を把握するような構成にすることも当然にできる。
・第一のプローブ構造体1の設計情報から、両者の位置関係を把握する(又は記憶される)。
・両者の状態をSEM等を用いたデータ(写真)から求める(又は計算する/入力される)。
・XY方向の距離は、観察用のプローブ11によって位置合わせ用の試料(ボード)を測定し、次いで把持用プローブ12についても同様の測定を行い、両測定から得られた試料の画像を用いて、2つのプローブの針先の距離を把握する(又は計算する/入力される)。Z方向の高さは、シリコンウエハーなどの平らの基板を傾きがないように設置し、それぞれのプローブでZ粗動を行い、フォースエリアに入る時のZ粗動のステップモータのパルス数より求めることもできる。
(走査方向の決定)
第一の走査型プローブ顕微鏡は、観察用のプローブ11を用いた走査方向を決定する(又は入力される)。本実施例においては、観察用のプローブ11の軌跡を把持用プローブ12がトレースするように走査方向を決定する。具体的には、各プローブ11、12の探針の略先端を結んだ線に略平行な方向を走査方向とする。
(観察/走査)
第一の走査型プローブ顕微鏡は、観察用のプローブ11を用いて、前記走査の方向にコンタクトモードで走査を行う。
観測用のプローブ11は、試料の凹凸に従いプローブ(カンチレバ−)の撓みが変わり、サーボ系が働く。そして、Z方向に設けられたピエゾが伸縮することで、試料の凹凸を回避しながら形状を測定する。
観察用のプローブ11が試料の凸部を測定後、把持用プローブ12の探針がこの凸部に差し掛かるまでの時間遅れは、観測用のプローブ11と把持用プローブ12の距離と、走査スピードとを勘案することで推定される。このように推定された時間において(担持用プローブ12と試料とが互いに衝突するなど影響しあうと推定される位置関係にある場合において)、把持用プローブ12が凸部を通過する時間だけZ軸微動機構(Zスキャナー)によって、第一のプローブ構造体を、担持用プローブ12が凸部と影響しあわなくする分以上、試料から引き離す。これによって、把持用プローブ12が試料の凸部に引っ掛かるなど、非観察用のプローブと試料とが、観察用のプローブを用いて観察を行っている際に(走査中に)、互いに影響しあうということを防止できる。
以上の処理について、本願発明者らが実際に制作し、測定した各プローブ11、12と試料Sとの位置関係を示した図2乃至図4を用いてより詳細に説明する。
実際に制作した第一のプローブ構造体の構造のより詳細な条件・データは以下の通りである。
・プローブ11、12の探針間の相対距離(X軸方向の距離)は4μmとした。
・観測用のプローブ11と把持用プローブ12の共振周波数は異なるものを採用した。そのため、観測用のプローブ(カンチレバー)11を共振させ、試料Sの像を確認し、位置合わせを行った。
・試料S表面Ssと観察用のプローブ11探針先端11pとのZ方向の距離は、観察用のプローブ11の共振の振幅(A0)程度とした。一般には、最大100nm程度とする。
・把持用プローブ12は、試料面Ssからおよそこの距離(フライングハイトFd、=A0)となる。第一のプローブ構造体は上記した構造を有しているため、当然、担持用のプローブ12は、観察用のプローブ11に同期してZ方向に移動する。
・走査方向は、図2に示す断面模式図において矢印で示す左方向とした。つまり、観察用のプローブ11と担持用のプローブ12との両先端を結んだ方向において、観察用のプローブ11の方が進行方向(走査方向)前側に位置するようにした。
図2は、試料の凸部Srの高さがFd以上(本例ではSsから100nm以上の高さ)であることを観察用のプローブ11によって観察結果に基づいて描かれた試料Sの断面の様子を示している。観察結果は、例えば図3に示すような、走査方向と試料表面Ssからの高さ(Z方向の高さ)とを対応させたデータとして記憶するとよい。図3には、走査方向(試料表面SsにおけるXY座標、本例ではX座標)と、試料表面Ssにおける基準平面からのZ方向の高さDzと、観測用のプローブ11の移動軌跡(高さ)Dpとの対応関係をグラフ化した図を示す。第一の走査型プローブ顕微鏡は、画像の画素ごとに探針を試料面Ssに接近させ、プローブ11の共振による振動振幅が試料面Ssとの相互作用によって振幅の減衰量が設定値になった時点でのスキャナーの(プローブ構造体1の/観察用のプローブ11の)Z位置情報(Z方向の高さの情報)dzを取得し、この情報を用いて、その画素における(その走査地点における試料表面Ss)の高さを決定する。高さを決定後、観察用のプローブ11を一定量D1(本例では10nm)Z方向に試料側から引き上げ、次の画素に移動する。画素以外の点ではプローブ11を試料S上空で待避させ、次の画素へ移動する。次の画素が高さ、前の画素の高さDzにd1を加算した高さ以上であった場合、つまり突起Srに衝突した場合は、X方向の走査をやめる。そして、一定量D1づつ、突起Srを越えるまでZ方向にプローブ担体10をZ方向に引き上げる。第一の走査型プローブ顕微鏡は、以上の処理を各画素について繰り返し適用していくことで、試料表面Ssの情報を取得する。
第一の走査型プローブ顕微鏡は、試料表面Ssの観察結果と、上記した走査方向の情報と、プローブ11、12同士の位置関係の情報を用いて、担持用のプローブ12が凸部Srと所定時間後(所定量走査後)、影響しあうことを把握する。本例では、担持用のプローブ12と凸部Srとがぶつかってしまう走査位置があるかないか判断し、ある場合にはその位置がどこであるか計算する。担持用のプローブ12と凸部Srとがぶつかってしまうと、凸部Srの試料表面Ss上での位置が変わってしまったり、担持用のプローブ12の探針にダメージを与えてしまったりするという問題が生ずるからである。本例における担体用のプローブ12の制御例を、図4を用いてさらに詳細に説明する。
図4には、走査方向(XY平面における一方向、本例ではX方向)を横軸とし、観察用のプローブ11を用いて計測された図2に示す試料Sの表面の情報(Ss、Sr)と、担持用のプローブ12の軌跡Dtを縦軸としたグラフを示している。凸部Srは、高さDrでX方向の幅がXlであるとする。また、走査速度をVx、観測用のプローブ11の探針と把持用のプローブ12の探針の間隔をPlとする。この条件においては、観測用のプローブ11の探針が凸部Srを通り過ぎた後、Pl/Vx時間経過後に、担持用のプローブ12、つまりはプローブ担体10を、Z方向に高さnD1>Dr以上引き上げたまま、Xl/Vx時間走査を行うこととする。この制御を行えば、担持用のプローブ12(探針)が、図4に破線Dtで示すように、凸部Drの上方を通過することとなる。その結果、把持用のプローブ12(一般には探針)は、試料の突起(凸部Sr)に衝突することを防止できる。つまり、走査に伴う横方向(X方向)の力が凸部Srと担持用のプローブ12との間で生じることを防止でき、例えば、凸部Srの一部や全部が移動してしまったり散乱してしまったりすることを防止できる。
なお、凸部Srと担持用のプローブ12との間に垂直方向の力が発生する場合がある。つまり、担持用のプローブ12のZ方向のばね定数をKzとした場合、KzDrの力Fが生じ、これによって、凸部Srが柔らかい場合などに凸部Srがつぶれるなどの影響がでる場合もある。このような可能性も回避するには、観測用のプローブ11が凸部Srを観察後Pl/Vx時間経過後、担持用のプローブ12の先端(探針の先端/試料側)の高さを、Dr以上に、Xl/Vx時間引き上げて保持すればよい。
このように、第一の走査型プローブ顕微鏡は、2本のプローブのうち1本のプローブを制御し、もう1本のプローブは、制御されているプローブからの相対位置関係の情報に基づき試料上の突起などの障害物を回避する。
つまり、把持する試料の位置を特定する際に基板の広い領域を走査し、その後所定の位置をズームアップして、2本のプローブの間に試料を挿入させ、把持用プローブを動かし試料の把持を行うことが実質的に可能となった。それは、把持用のプローブを観測用のプローブに追従して移動させる、プローブ担体を構成する上で実際的に実現性のある構成を提供し、さらには、観測中に担持用のプローブによって試料を移動・散乱させることを極めて有効に防止できるからである。試料の観察結果を用いて、把持用のプローブと試料とが影響しあってしまう位置を予測し、プローブ担体を引き上げるからである。その結果、観察用のプローブによって観察した後に試料の状態が担持用のプローブによって変化してしまうことを防止できるため、試料の情報をより正確に把握できるようになり、その結果、試料の特定部位(目標位置)を確実に把持できるようになった。
また、1組のZサーボ系(一つのZ軸微動機構)によって2本以上のプローブの制御を行う、実質的に実現可能な構成を提供することが可能となった。
次に、本発明に係る第二のプローブ構造体並びにこれを装着した第二の走査型プローブ顕微鏡について説明する。
<第二のプローブ構造体並びにこれを装着した第二の走査型プローブ顕微鏡>
第二のプローブ構造体は、第一のプローブ構造体と同等の構造を備え、また、第二の走査型プローブ顕微鏡は、基本的に第一の走査型プローブ顕微鏡と同等の制御を行う。ただし、担持用のプローブが試料表面の凸部を通過する制御する際の、観察用のプローブの制御方法(観察方法)が以下のようにされた点が異なり、この構成の相違により、より優れた効果を奏する。
担持用のプローブが試料上の凸部が存在する位置にさしかかった場合、第二の走査型プローブ顕微鏡は、前記したように、担持用のプローブを引き上げるために、プローブ担体を引き上げる。その際、観察用のプローブの振幅を、凸部を回避する以前の走査における振幅よりも大きくする。これにより、プローブ担体を通常よりも引き上げている期間においては、通常の期間よりも振幅を大きくすることで、観察ができなくなるということを回避する。振幅の大きさは、観測用のプローブによって得られた試料の情報に基づき、プローブ担体の引き上げ量に応じて必要となる分を考慮したものにすればよい。
<第三のプローブ構造体並びにこれを装着した第三の走査型プローブ顕微鏡>
第三のプローブ構造体は、第一のプローブ構造体と同等の構造を備え、また、第三の走査型プローブ顕微鏡は、基本的に第一の走査型プローブ顕微鏡と同等の制御を行うが、観察用のプローブを用いた試料の観察方法が、プローブの探針を常に試料に接触させて観察するコンタクトモードを採用した点が異なる。すなわち、コンタクトモードにおいて特に優れた方法である。
このモードにおいては、観察用のプローブを共振させず、画素ごとに観測用のプローブを試料に直接押し当て、観察用のプローブの撓み量が設定値になった時点でのスキャナー(/プローブ担体)のZ位置情報から、その画素における試料の高さを決定する。この処理を、走査方向に沿って行う(ライン走査)。この走査によって、凸部の高さDrとX方向の広がりXlとを前記同様に把握できる。把握した結果と、走査速度Vx、観察用のプローブの探針と把持用のプローブの探針と間隔Plから、観察用のプローブの探針が凸部を通り過ぎてから、Pl/Vx時間経過後に、プローブ担体の引き上げ量をDr以上とした状態を、Xl/Vx時間以上維持すれば、担持用のプローブの探針が上記凸部と物理的に接触・衝突することを防止できる。このような観察方法を用いれば、プローブを共振させるという必要がなくなり、その振動数であったり振幅などを検知する構成を採用する必要がなくなるため、第一や第二の走査型プローブ顕微鏡よりもより簡易な構成の走査型プローブ顕微鏡を提供することができる。また、検出精度等の観点から、本実施例に係る走査型プローブ顕微鏡の方が第一や第二の走査型プローブ顕微鏡よりも走査速度をより速くすることが可能となる。
なお、試料における凸部との衝突を回避するために担持用のプローブを引き上げた際には、第二の走査型プローブ顕微鏡のように、観察用のプローブを所定の振幅で振動させて、当該プローブの探針によって試料の情報を取得できるようにするとよい。
<第四のプローブ構造体並びにこれを装着した第四の走査型プローブ顕微鏡>
図5に、第四のプローブ構造体を示す。第四のプローブ構造体2は、観察用のプローブ(カンチレバー)である第1のプローブ21、担持用のプローブである第2のプローブ22、その他の非観察用のプローブであって本例では所定の作業用のプローブである第3のプローブ23...第(i+1)のプローブ2(i+1)がプローブ担体(カンチレバーアレー)20に担持された構造をとる。各プローブは、第一〜第三のプローブ構造体におけるプローブと同様に、それぞれプローブ担体20から脱着可能であってもよく、固定されていてもよい。第一のプローブと第二のプローブとの間隔、より正確には両者の探針間の間隔をPl1、第二のプローブと第三のプローブとの間隔をPl2...第iのプローブと第i+1のプローブとの間隔をPliとする。各プローブの長さは、付された番号が大きくなればなるほど短くなるようにした。つまり、第1のプローブの長さ≧第2のプローブ≧....≧第iのプローブ≧第i+1のプローブという長さの関係となる。
走査方向は、第1のプローブと第2のプローブの探針を結んだ直線とする。この直線に垂直で、試料面(いわゆる理想的な平面を持つ試料の表面)に平行な平面上の方向をY方向とし、X及びYにそれぞれ垂直な方向、つまり試料面の鉛直方向をZ方向と設定する。走査速度はVx、Y方向走査のライン間隔をYl、画郭をLとする。
観察用のプローブ(第1のプローブ)でライン走査を行うと、前記同様に試料の突起(凸部)の高さDとX方向の広がりXlが測定できる。観測用探針が通り過ぎてから、PL1/Vx時間経過後に、プローブ担体の引き上げ量をD以上にしてXl/Vx時間以上保持すれば、把持用のプローブ(第2のプローブ)は、凸部の上方を通過し、両者の衝突を防げる。これと同様の処理を、第1のプローブと第iのプローブとの間で随時行う。具体的には、第i番目のプローブについては、(ΣPli−1/Vx)+Round[(Yi/Yl)]*(L/Vx)時間経過後に後に、引き上げ量をD以上にしてXl/Vx時間以上保持すれば、第2のプローブと同様、第iのプローブは、凸部の上方を通過し、凸部と衝突しない。なお、Round[m]という関数は、mを整数化する関数である。
以上の制御を行う場合に、各プローブの相対的高さに基づき、それぞれ必要量の引き上げを行うようにしてもよい。つまり、第2のプローブと他のプローブとにおいて、引き上げ量を変えてもよい。当然、プローブによっては引き上げを必要としない場合もあり、その場合には当該プローブがその凸部上方にさしかかったても、プローブ、つまりはプローブ担体の引き上げを行わないようにしてもよい。
プローブ担体を引き上げた場合に、プローブの振幅を、引き上げない場合と比べて必要なだけ大きくし、観察用のプローブが試料の情報を良好に取得できるようにしてもよい。
Z方向の制御によって凸部等を回避するだけでなく、XY方向やXYZ方向を総合的に勘案して回避することも当然に可能である。
上記各実施形態は、それぞれ本発明に係る好適な本発明は、上記実施形態に限定して解釈されるものでは当然なく、本願出願書類に開示された発明の思想・精神に沿って解釈されるものである。したがって、たとえば以下の構成も本発明の技術的思想に当然含まれる。
(a)複数本のプローブからなり、観測用プローブを用いて基板上の試料位置の観察を行い、次に複数の作業用のプローブを用いて、順次特定の作業を試料におよぼす装置において、試料観察時に観測用プローブに同期してXYZ方向に移動する作業用プローブにより、試料が影響を受けないように走査を行う複数のプローブを有する観測・マニュピュレーション用走査型プローブ装置。
(b)上記(a)に記載の複数のプローブを有する観測・マニュピュレーション用走査型プローブ装置において、観察用のプローブと、作業用のプローブで試料を把持するピンセット構造を特徴とする複数のプローブを有する観測・マニュピュレーション用走査型プローブ装置。
(c)上記(a)に記載の複数のプローブを有する観測・マニュピュレーション用走査型プローブ装置において、作業用のプローブが試料を切断するナイフ構造を有する観測・マニュピュレーション用走査型プローブ装置。
(d)上記(a)乃至(c)のいずれかの装置において、複数本のプローブからなり、観測用プローブと作業用のプローブの相対位置を計測する位置合わせボードを有する複数のプローブを有する観測・マニュピュレーション用走査型プローブ装置。
(e)上記(a)乃至(d)のいずれかの装置において、観測用プローブの走査の軌跡を作業用のプローブが正確に追従するように、2本のプローブの探針を結んだ線に平行に走査することを特徴とする複数のプローブを有する観測・マニュピュレーション用走査型プローブ装置。
(f)以上のような装置において、画素ごとに探針を試料面に接近させ、プローブの共振による振動振幅が試料面との相互作用で減衰し、設定値になる時点でのスキャナーのZ位置をその画素での高さ情報とする測定モードを使用し、突起試料の形状を把握し、次に把持用のプローブがこの突起試料に差し掛かるときに、観測用プローブで測定した突起物の高さおよび幅に対応する時間だけ、把持用プローブ引き上げ、突起物との衝突を避けることを特徴とした複数のプローブを有する観測・マニュピュレーション用走査型プローブ装置。
(g)以上のような装置において、画素ごとに探針を試料面に接近させ、観察用プローブが試料面と接触した撓みが設定値になる時点でのスキャナーのZ位置情報を取得し、その画素での高さ情報とする測定モードを使用し、突起試料の形状を把握し、次に把持用のプローブがこの突起試料に差し掛かるとき、観測用プローブで測定した突起物の高さおよび幅に対応する時間だけ、把持用プローブを引き上げ、突起物との衝突を避けることを特徴とした複数のプローブを有する観測・マニュピュレーション用走査型プローブ装置。
(h)以上のような装置において、2本以上の複数の作業用プローブを観測用プローブの軌跡に正確に追従させるために、第1のプローブ(観測用プローブ)と第2のプローブを結んだ方向を走査方向Xとし、i番目のプローブのこの線よりのY方向のずれ量Yiを測定し、観測用プローブが突起物を検知した後、i番目のプローブが突起物に衝突しないように走査することを特徴とする複数のプローブを有する観測・マニュピュレーション用走査型プローブ装置。
このように、本発明は、少なくとも1本の観測用プローブと一又は複数本の作業用のプローブを有するカンチレバーアレーを開示している。また、試料の観測中に、作業用プローブが試料の突起部に衝突しないように制御する方法も提供した。たとえば、次の1)〜3)のような制御も好適である。
1)観測用探針と作業用探針の距離と高さの違いを事前に測定する。
2)作業用探針が、観測用探針の走査の軌跡になるべく近いところを走査するように走査方向を決定する。
3)作業用探針が、試料の突起部を通過する前に探針引き上げ量を突起部高さ以上に設定し、引き上げて測定する。
本実施の形態に係るプローブ構造体の構成を示した第一の図。 図1に示したプローブ構造体と試料との関係を模式的に示した断面図。 図1に示したプローブ構造体が観測した試料表面の高さ情報と、プローブ担体(担持用のプローブ)のZ方向の移動量を説明するためのグラフ。 図2に示した試料に対する担持用のプローブの探針先端の軌跡(制御例)を示した図。 本実施の形態に係るプローブ構造体の構成を示した第二の図。 図5に示したプローブ構造体の設定条件(プローブの長さ、走査方向)を示した図。
符号の説明
1,2:プローブ構造体(カンチレバーアレー)、10、20:プローブ担体、11、21:観察用のプローブ(観測用カンチレバー)、12、22:担持用のプローブ(非観察用のプローブ、担持用カンチレバー)、13:アクチュエータ、23、2i、2i+1:非観察用のプローブ

Claims (17)

  1. 少なくとも一本の観察用のプローブと、一又は複数本の非観察用のプローブとを備え、走査型プローブ顕微鏡に装着されて、当該装置において、一本又は複数本(全部を含む。)のプローブがその目的に沿って同時に使用される、走査型プローブ顕微鏡に用いられるプローブ構造体。
  2. 前記プローブの内の一本又は複数本(全部を含む。)を前記構造体に脱着する機構が備えられた、請求項1に記載のプローブ構造体。
  3. 非観察用のプローブの内の一本又は複数本(全部を含む。)が、試料に対して加工を行うための作業用のプローブである、請求項1又は2に記載のプローブ構造体。
  4. 作業用のプローブの一本又は複数本(全部を含む。)が、試料を切断する構造を備えたプローブである、請求項3に記載のプローブ構造体。
  5. 観察用のプローブの少なくとも一本と非観察用のプローブの少なくとも一本とが、それらによって試料を担持するように構成された、請求項1から4のいずれか一項に記載のプローブ構造体。
  6. 複数の非観察用のプローブが、それらによって試料を担持するように構成された、請求項1から5のいずれか一項に記載のプローブ構造体。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載のプローブ構造体を備え、観察用のプローブで試料の観察を行い、観察結果を用いて非観察用のプローブによって当該プローブの用途に沿った作業を行う、走査型プローブ顕微鏡。
  8. 前記走査型プローブ顕微鏡は、観察用のプローブを使用して試料の観察を行う際に、他のプローブと試料とが互いに影響を及ぼさないように各プローブ及びプローブ構造体の少なくとも一方の試料との位置関係を制御する、請求項7に記載の走査型プローブ顕微鏡。
  9. 前記プローブ構造体は、非使用時における任意の一本の観察用プローブの位置を基準として他のプローブの相対的位置が略固定されており、
    前記走査型プローブ顕微鏡は、観察用のプローブを使用して試料の観察を行う際に、他のプローブと試料とが互いに影響を及ぼさないように、観察を行っているプローブと試料との相対的な位置関係を制御する制御手段を備えた、請求項7に記載の走査型プローブ顕微鏡。
  10. 前記制御手段は、プローブ構造体及び試料を担持した台の少なくとも一方を相対的に移動させて前記した制御を行う、請求項9に記載の走査型プローブ顕微鏡。
  11. 前記プローブ構造体が、観測用のプローブと非観測用のプローブとをそれぞれ一本ずつ備え、
    観察用のプローブが、各プローブの探針の略先端を結んだ直線に略平行に走査するようにし、
    前記制御手段は、観察用のプローブを用いた試料の情報に基づいて非観測用のプローブと試料とが互いに影響を及ぼさないように、プローブ構造体と試料との位置を制御する、請求項9又は10に記載の走査型プローブ顕微鏡。
  12. 前記制御手段は、
    観察に用いられているプローブと他のプローブとの位置関係を記憶され、
    観察用のプローブを用いて作成された試料表面の情報から、試料表面の凹凸形状を把握し、
    これらの情報から、観察に用いていないプローブと試料とが互いに影響しあう試料表面における位置を判断し、
    影響すると判断した試料表面における位置に対象となるプローブが位置する際に、プローブ構造体と試料との相対的な距離を制御して互いが影響しないようにする、請求項9又は10に記載の走査型プローブ顕微鏡。
  13. 前記制御手段は、観察に用いていないプローブと試料とが互いに影響し合う試料表面における位置の代わりに、互いに衝突する位置を判断し、
    衝突すると判断した試料表面における位置に対象となるプローブが位置する際に、プローブ構造体と試料との相対的な距離を制御して互いが衝突しないようにする、請求項12に記載の走査型プローブ顕微鏡。
  14. 観測用のプローブと任意のプローブの、互いの探針の略先端を結んだ方向を走査方向Xとし、この方向に直交し、試料表面を平面と設定した際の当該平面と平行な平面上の方向を方向Yとし、
    制御手段は、X軸を基準とする各プローブのY方向のズレ量が記憶されて、観察に用いられているプローブと他のプローブとの相対的位置関係を把握する、請求項12又は13に記載の走査型プローブ顕微鏡。
  15. 観測用のプローブと任意のプローブの、互いの探針の略先端を結んだ方向を走査方向Xとし、この方向に直交し、試料表面を平面と設定した際の当該平面と平行な平面上の方向を方向Yとし、X及びYそれぞれに直交する方向をZとし、
    制御手段は、X軸を基準とする各プローブのY方向のズレ量及びZ方向のズレ量が記憶されて、観察に用いられているプローブと他のプローブとの位置関係を把握する、請求項12又は13に記載の走査型プローブ顕微鏡。
  16. 前記走査型プローブ顕微鏡は、
    観察用のプローブを用いて試料を観察する際に、画素ごとに観察用のプローブの探針を試料に接近させ、当該プローブの共振による振幅を試料との相互作用によって減衰させ、振幅が設定値以下になった際の試料とプローブ構造体との相対的距離に基づいて前記画素における試料表面の高さの情報を作成し、
    制御手段がプローブ構造体と試料との位置を離した際に、その距離に応じて観測用のプローブの振幅を大きくして、当該プローブによって試料の観測を行う、請求項9から14のいずれか一項に記載の走査型プローブ顕微鏡。
  17. 前記走査型プローブ顕微鏡は、観察用のプローブを用いて試料を観察する際に、画素ごとに観察用プローブの探針を試料に接近させ、観察用のプローブが試料面と接触した際の撓みが設定値以上になった際の試料とプローブ構造体との距離に基づいて前記画素における試料表面の高さの情報を作成し、
    制御手段がプローブ構造体と試料との位置を離した際に、その距離に応じて観測用のプローブの振幅を大きくして、当該プローブによって試料の観測を行う、請求項9から14のいずれか一項に記載の走査型プローブ顕微鏡。
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