JP2007315380A - ベーン式の可変バルブタイミング調整機構の異常診断装置 - Google Patents

ベーン式の可変バルブタイミング調整機構の異常診断装置 Download PDF

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Abstract

【課題】逆止弁付きのベーン式可変バルブタイミング調整機構の進角・遅角動作の異常(ドレーン切替弁や逆止弁の異常)を早期に検出できるようにする。
【解決手段】進角室18の油圧供給油路28と遅角室19の油圧供給油路29に、それぞれ逆止弁30,31を設けると共に、各室18,19の油圧供給油路28,29に、それぞれ逆止弁30,31をバイパスするドレーン油路32,33を並列に設け、各ドレーン油路32,33に、それぞれドレーン切替弁34,35を設ける。進角室18と遅角室19に供給する油圧を制御する油圧制御弁21に、各ドレーン切替弁34,35を駆動する油圧を切り替えるドレーン切替制御機能38を一体化する。進角・遅角動作中にVCT変位角の変化速度に基づいて進角・遅角動作の応答性が正常範囲内であるか否かを判定して進角・遅角動作の異常の有無を判定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、進角室の油圧供給油路と遅角室の油圧供給油路に、それぞれ、各油圧室からの作動油の逆流を防止する逆止弁を設けたベーン式の可変バルブタイミング調整機構の異常診断装置に関する発明である。
近年、車両に搭載される内燃機関においては、出力向上、燃費節減、排気エミッション低減等を目的として、吸気バルブや排気バルブのバルブタイミング(カム軸の変位角)を可変する可変バルブタイミング装置を採用したものが増加しつつある。例えば、ベーン式の可変バルブタイミング装置の基本的な構成は、特許文献1(特開2001−159330号公報)に示すように、エンジンのクランク軸に同期して回転するハウジングと、吸気バルブ(又は排気バルブ)のカム軸に連結されたベーンロータとを同軸状に配置し、ハウジング内に形成された複数のベーン収納室内をベーンロータ外周側のベーン(羽根部)で進角室と遅角室とに区画する。そして、各油圧室の油圧を油圧制御弁で制御して、ハウジングに対してベーンロータを相対回動させることで、クランク軸に対するカム軸の変位角(カム軸位相)を変化させて、バルブタイミングを可変制御するようにしている。
このようなベーン式の可変バルブタイミング装置では、エンジン運転中に吸気バルブや排気バルブを開閉駆動するときに、吸気バルブや排気バルブからカム軸が受けるフリクショントルクの変動がベーンロータに伝わり、それによって、ベーンロータに対して遅角方向及び進角方向へのトルク変動が作用する。これにより、ベーンロータが遅角方向にトルク変動を受けると、進角室の作動油が進角室から押し出される圧力を受け、また、ベーンロータが進角方向にトルク変動を受けると、遅角室の作動油が遅角室から押し出される圧力を受けることになる。このため、油圧供給源から供給される油圧が低い低回転領域では、進角室に油圧を供給してカム軸の変位角を進角させようとしても、図3に点線で示すように、ベーンロータが上記トルク変動により遅角方向に押し戻されてしまい、目標変位角に到達するまでの応答時間が長くなってしまうという問題があった。
この問題を解決するために、特許文献2(特開2003−106115号公報)に示すように、遅角室の油圧供給油路と進角室の油圧供給油路にそれぞれ逆止弁を設け、ベーンロータがトルク変動を受けても遅角室や進角室からの作動油の逆流を逆止弁によって防止することで、図3に実線で示すように、可変バルブタイミング制御中にベーンロータが目標変位角の方向とは逆方向に戻されることを防止して、可変バルブタイミング制御の応答性を向上させることが考えられている。
特開2001−159330号公報(第4頁〜第6頁等) 特開2003−106115号公報(第1頁等)
ところで、上記特許文献2の可変バルブタイミング装置では、進角室の油圧供給油路と遅角室の油圧供給油路(油圧導入ライン)に、それぞれ逆止弁を設けると共に、各油圧室の油圧供給油路に、それぞれ逆止弁をバイパスする戻りライン(油圧排出ライン)を並列に設け、各油圧室に供給する油圧を制御する油圧制御弁(スプール式電磁弁)に、各油圧室の戻りラインを開閉するライン切替弁としての機能を一体化した構成となっている。そして、この油圧制御弁の制御電流値を制御することで、各油圧室に供給する油圧を制御すると同時に、各油圧室の戻りラインの開放/閉鎖の切り替えを制御して、いずれかの油圧室の油圧を抜く必要があるときに、その油圧室の戻りラインを開放して当該戻りラインを通して油圧を速やかに抜くことができるようにしている。
しかしながら、上記特許文献2の可変バルブタイミング装置では、電動式可変力ソレノイドにより油圧制御弁のアーマチュアを駆動しており、カム軸方向の全長が長くなるため、搭載性が悪くなるという問題があった。
そこで、本出願人は、逆止弁をバイパスするドレーン油路に、油圧で駆動されるドレーン切替弁を設けると共に、各ドレーン切替弁を駆動する油圧を切り替える電磁式の油圧切替弁を設ける構成の可変バルブタイミング装置を提案している。この構成では、ドレーン切替弁を小型化できると共にドレーン切替弁への電気的な配線が不要であるため、ドレーン切替弁を逆止弁と共に可変バルブタイミング調整機構の内部の狭いスペースにコンパクトに組み付けることが可能となる。また、油圧切替弁と、可変バルブタイミング装置の各油圧室に供給する油圧を制御する油圧制御弁とをカム軸に直接搭載する必要がないため、上記特許文献2に比べて、可変バルブタイミング装置の搭載性が改善されるという利点がある。なお、本出願人は、上記可変バルブタイミング装置を更に改良し、1つの油圧制御弁で、各ドレーン切替弁を駆動する油圧を切り替えるとともに、可変バルブタイミング装置の各油圧室に供給する油圧を制御することができる構成の可変バルブタイミング装置についても提案している。
このような可変バルブタイミング機構の開発過程で、耐久試験等で長期間運転したときに、ドレーン切替弁や逆止弁に異物が噛み込まれたりそれらの弁体が固着したりしてドレーン切替弁や逆止弁が正常に動作しなくなる可能性(進角・遅角動作が異常になる可能性)があることが判明した。このような異常は、エンジン性能を悪化させるため、できるだけ早期に検出して運転者に知らせて修理を促す必要がある。
そこで、本発明の目的は、エンジン運転中に進角・遅角動作の異常を早期に検出できるようにしたベーン式の可変バルブタイミング調整機構の異常診断装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、ベーン式の可変バルブタイミング調整機構のハウジング内に形成された複数のベーン収納室内をそれぞれベーンによって進角室と遅角室とに区画し、少なくとも1つのベーン収納室の進角室の油圧供給油路と遅角室の油圧供給油路に、それぞれ各油圧室(「油圧室」とは「進角室」と「遅角室」のいずれかを意味する)からの作動油の逆流を防止する逆止弁を設けると共に、各油圧室の油圧供給油路に、それぞれ前記逆止弁をバイパスするドレーン油路を並列に設け、各ドレーン油路にそれぞれ油圧で駆動されるドレーン切替弁を設けると共に、各ドレーン切替弁を駆動する油圧を切り替える油圧切替弁を設けたベーン式の可変バルブタイミング調整機構の異常診断装置において、前記可変バルブタイミング調整機構の変位角(以下「VCT変位角」という)を目標変位角に保持する保持動作中には、進角室側と遅角室側の両方のドレーン切替弁を閉じて進角室側と遅角室側の両方の逆止弁を有効に機能させて両方の油圧室からの作動油の逆流を防止するように前記油圧切替弁を制御すると共に、前記各油圧室の油圧を制御する油圧制御弁の制御電流を所定の保持電流に制御し、前記VCT変位角を進角方向又は遅角方向に変位させる進角・遅角動作中には、その変位方向に応じて進角室側と遅角室側のいずれか一方のドレーン切替弁を開いていずれか一方の逆止弁が機能しないように前記油圧切替弁を制御すると共に、前記油圧制御弁の制御電流を制御して各油圧室の油圧を可変することで前記VCT変位角を目標変位角に向けて変位させる。そして、異常診断手段は、前記進角・遅角動作中に所定の異常診断実行条件が成立しているときに前記VCT変位角の変化速度に基づいて当該進角・遅角動作の異常の有無を判定するようにしたものである。
システム全体が正常に動作している場合、遅角動作中は、進角室側のドレーン切替弁を開弁して進角室の作動油を当該ドレーン切替弁を通してドレーン(排出)しやすくすると共に、遅角室側のドレーン切替弁を閉弁して遅角室側の逆止弁の機能を有効に働かせて遅角室からの作動油の逆流を逆止弁で防止しながら作動油を遅角室に充填するという制御を行う。これにより、低油圧時でも、カム軸から伝わる進角方向へのトルク変動に対して遅角室からの作動油の逆流を逆止弁により防止しながら効率良く遅角室に油圧を供給して遅角応答性を向上させる。
また、進角動作中は、遅角室側のドレーン切替弁を開弁して遅角室の作動油を当該ドレーン切替弁を通してドレーンしやすくすると共に、進角室側のドレーン切替弁を閉弁して進角室側の逆止弁の機能を有効に働かせて進角室からの作動油の逆流を逆止弁で防止しながら作動油を進角室に充填するという制御を行う。これにより、低油圧時でも、カム軸から伝わる遅角方向へのトルク変動に対して進角室からの作動油の逆流を逆止弁で防止しながら効率良く油圧を進角室に供給して進角応答性を向上させる。
このような特性を考慮して、本発明は、進角・遅角動作中にVCT変位角の変化速度に基づいて進角・遅角動作の応答性が正常範囲内であるか否かを判定して当該進角・遅角動作の異常の有無を判定するものであり、これにより、エンジン運転中に進角・遅角動作の異常を早期に検出することができる。
この場合、請求項2のように、異常診断実行条件の少なくとも1つを、エンジン回転速度が所定回転速度以下の低回転領域であることを条件としても良い。これは、エンジン回転速度が所定回転速度以下の低回転領域では、油圧供給源から供給される油圧が低くなるために、ドレーン切替弁や逆止弁が正常に動作しないと、進角・遅角動作時の応答性が顕著に悪化する傾向があり、異常を検出しやすくなるためである。また、高回転側の領域では、進角・遅角のいずれの方向への動作でも場合も、進角室側と遅角室側の両方のドレーン切替弁が回転遠心力等により自動的に開弁されるように構成する場合があるためである。
また、請求項3のように、異常診断実行条件の少なくとも1つを、VCT変位角と目標変位角との偏差が所定値以上であることを条件としても良い。この条件は、VCT変位角と目標変位角との偏差が小さくなると、VCT変位角の変化速度が遅くなるというVCT変位角フィードバック制御の特性を考慮したものである。
また、請求項4のように、異常診断実行条件の少なくとも1つを、目標変位角が変化してから所定時間経過後であることを条件としても良い。この条件は、目標変位角の変化に応じてVCT変位角の変化速度が上昇するのに応答遅れがあることを考慮して、目標変位角変化後に正常時の最大許容応答遅れ時間に相当する所定時間が経過してからVCT変位角の変化速度を判定するようにするためである。
また、請求項5のように、VCT変位角の変化速度が所定値以下となる状態が継続する時間を考慮して進角・遅角動作の異常の有無を判定するようにしても良い。このようにすれば、進角・遅角動作の異常をより正確に検出することができる。
ところで、進角・遅角動作の異常が発生する原因は、油圧制御弁や油圧切替弁の異常である場合と、ドレーン切替弁や逆止弁が異常である場合とが考えられる。
そこで、請求項6のように、油圧制御弁及び油圧切替弁に関する異常の有無を判定する手段を有するシステムにおいては、前記進角動作の異常を検出したときに、油圧制御弁及び油圧切替弁が正常と判定されていれば、遅角室側のドレーン切替弁と進角室側の逆止弁の少なくとも一方が閉じたまま動かない“閉異常”、又は、進角室側のドレーン切替弁と進角室側の逆止弁の少なくとも一方が開いたまま動かない“開異常”が発生したと判定し、また、遅角動作の異常を検出したときに、油圧制御弁及び油圧切替弁が正常と判定されていれば、進角室側のドレーン切替弁と遅角室側の逆止弁の少なくとも一方が閉じたまま動かない“閉異常”、又は、遅角室側のドレーン切替弁と遅角室側の逆止弁の少なくとも一方が開いたまま動かない“開異常”が発生したと判定するようにすれば良い。
[進角動作の異常の発生原因]
油圧制御弁及び油圧切替弁が正常に動作する場合には、進角動作の異常が発生する原因としては、図5に示すように、次の4つの異常モード(又はその組み合わせ)が考えられる。
(A1)遅角室側のドレーン切替弁が閉異常
進角動作中は、遅角室の作動油をドレーンしながら進角室に作動油を充填するという制御が行われるが、遅角室側のドレーン切替弁が閉異常であると、遅角室の作動油のドレーンが困難となるため、進角室に作動油を充填しにくくなって、進角動作時のVCT変位角の変化速度が異常に遅くなる。
(A2)進角室側の逆止弁の閉異常
進角動作中は、進角室側のドレーン切替弁が閉弁されるため、進角室側の逆止弁が閉異常であると、進角室に作動油を全く充填できなくなってしまい、進角動作時のVCT変位角の変化速度が異常に遅くなる。
(A3)進角室側のドレーン切替弁の開異常
進角動作中に進角室側のドレーン切替弁が開異常であると、カム軸から伝わる遅角方向へのトルク変動によって進角室の油圧が当該ドレーン切替弁を通して逆流しやすくなり、進角動作時のVCT変位角の変化速度が遅くなる。
(A4)進角室側の逆止弁の開異常
進角動作中に進角室側の逆止弁が開異常である場合も、カム軸から伝わる遅角方向へのトルク変動によって進角室の油圧が当該逆止弁を通して逆流しやすくなり、進角動作時のVCT変位角の変化速度が遅くなる。
[遅角動作の異常の発生原因]
油圧制御弁及び油圧切替弁が正常に動作する場合には、遅角動作の異常が発生する原因としては、図5に示すように、次の4つの異常モード(又はその組み合わせ)が考えられる。
(B1)進角室側のドレーン切替弁の閉異常
遅角動作中は、進角室の作動油をドレーンしながら遅角室に作動油を充填するという制御が行われるが、進角室側のドレーン切替弁が閉異常であると、進角室の作動油のドレーンが困難となるため、遅角室に作動油を充填しにくくなって、遅角動作時のVCT変位角の変化速度が異常に遅くなる。
(B2)遅角室側の逆止弁の閉異常
遅角動作中は、遅角室側のドレーン切替弁が閉弁されるため、遅角室側の逆止弁が閉異常であると、遅角室に作動油を全く充填できなくなってしまい、遅角動作時のVCT変位角の変化速度が異常に遅くなる。
(B3)遅角室側のドレーン切替弁の開異常
遅角動作中に遅角室側のドレーン切替弁が開異常であると、カム軸から伝わる進角方向へのトルク変動にによって遅角室の作動油が当該ドレーン切替弁を通して逆流しやすくなり、遅角動作時のVCT変位角の変化速度が遅くなる。
(B4)遅角室側の逆止弁の開異常
遅角動作中に遅角室側の逆止弁が開異常である場合も、カム軸から伝わる進角方向へのトルク変動にによって遅角室の作動油が当該逆止弁を通して逆流しやすくなり、遅角動作時のVCT変位角の変化速度が遅くなる。
以上のような判定基準を用いれば、VCT変位角の変化速度に基づいてドレーン切替弁や逆止弁の開異常や閉異常を判定することができる。
本発明は、ドレーン切替弁を駆動する油圧を切り替える油圧切替弁を、油圧制御弁とは別体に設けるようにしても良いが、請求項7のように、油圧切替弁を油圧制御弁に一体化した構成とすると良い。これにより、部品点数削減、低コスト化、コンパクト化の要求を満たすことができる。
本発明は、ベーン式の可変バルブタイミング調整機構の構成が請求項1とは異なる構成のものにも適用して実施できる。
例えば、請求項8のように、ベーン式の可変バルブタイミング調整機構(以下「VCT」と表記する)の少なくとも1つのベーン収納室内の進角室の油圧供給油路に設けられた、前記進角室からの作動油の逆流を防止する第1の逆止弁と、前記第1の逆止弁をバイパスする第1のドレーン油路に設けられた、油圧で駆動される第1のドレーン制御弁と、少なくとも1つのベーン収納室の遅角室の油圧供給油路に設けられた、前記遅角室からの作動油の逆流を防止する第2の逆止弁と、前記第2の逆止弁をバイパスする第2のドレーン油路に設けられた、油圧で駆動される第2のドレーン制御弁と、前記VCTへ供給する油圧を制御する第1の油圧制御弁と、前記第1及び第2のドレーン制御弁を駆動する油圧を制御する第2の油圧制御弁とが設けられた構成としても良い。この構成では、VCT変位角を目標変位角に保持する保持動作中には、進角室側と遅角室側の両方のドレーン制御弁を閉じて進角室側と遅角室側の両方の逆止弁を有効に機能させて進角室及び遅角室からの作動油の逆流を防止するように前記第2の油圧制御弁を制御すると共に、前記VCTへ供給する油圧を制御する第1の油圧制御弁の制御電流を所定の保持電流に制御する。一方、VCT変位角を進角方向又は遅角方向に変位させる進角・遅角動作中には、その変位方向に応じて進角室側と遅角室側のいずれか一方のドレーン制御弁を開いていずれか一方の逆止弁が機能しないように前記第2の油圧制御弁を制御すると共に、前記第1の油圧制御弁の制御電流を制御して前記VCTへ供給する油圧を可変することで前記VCT変位角を目標変位角に向けて変位させる。
このような構成のVCTに対しても、前記請求項1〜7に係る発明を適用して実施できる(請求項8〜14)。
また、請求項15のように、VCTの少なくとも1つのベーン収納室内の進角室の油圧供給油路に設けられた、前記進角室からの作動油の逆流を防止する第1の逆止弁と、前記第1の逆止弁をバイパスする第1のドレーン油路に設けられた、油圧で駆動される第1のドレーン制御弁と、少なくとも1つのベーン収納室の遅角室の油圧供給油路に設けられた、前記遅角室からの作動油の逆流を防止する第2の逆止弁と、前記第2の逆止弁をバイパスする第2のドレーン油路に設けられた、油圧で駆動される第2のドレーン制御弁と、前記第1、第2のドレーン制御弁及び前記VCTへ供給する油圧を制御する一つの油圧制御弁とが設けられた構成としても良い。この構成では、VCT変位角を目標変位角に保持する保持動作中には、前記油圧制御弁の制御電流を所定の保持電流に制御し、進角室側と遅角室側の両方のドレーン制御弁を閉じて進角室側と遅角室側の両方の逆止弁を有効に機能させて進角室及び遅角室からの作動油の逆流を防止するように制御すると共に、前記VCTへ供給する油圧を制御する。一方、VCT変位角を進角方向又は遅角方向に変位させる進角・遅角動作中には、前記油圧制御弁の制御電流を制御して、その変位方向に応じて進角室側と遅角室側のいずれか一方のドレーン制御弁を開いていずれか一方の逆止弁が機能しないように制御すると共に、前記VCTへ供給する油圧を可変することで前記VCT変位角を目標変位角に向けて変位させるように制御する。
このような構成のVCTに対しても、前記請求項1〜6に係る発明を適用して実施できる(請求項15〜20)。
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体化した一実施例を説明する。
まず、図1に基づいてベーン式の可変バルブタイミング調整機構11の構成を説明する。可変バルブタイミング調整機構11のハウジング12は、図示しない吸気側又は排気側のカム軸の外周に回動自在に支持されたスプロケットにボルト13で締め付け固定されている。これにより、エンジンのクランク軸の回転がタイミングチェーンを介してスプロケットとハウジング12に伝達され、スプロケットとハウジング12がクランク軸と同期して回転する。ハウジング12内には、ベーンロータ14が相対回動自在に収納され、このベーンロータ14がボルト15によりカム軸の一端部に締め付け固定されている。
ハウジング12の内部には、ベーンロータ14の外周部の複数のベーン17を進角方向及び遅角方向に相対回動自在に収納する複数のベーン収納室16が形成され、各ベーン収納室16が各ベーン17によって進角室18と遅角室19とに区画されている。
進角室18と遅角室19に所定圧以上の油圧が供給された状態では、進角室18と遅角室19の油圧でベーン17が保持されて、クランク軸の回転によるハウジング12の回転が油圧を介してベーンロータ14に伝達され、このベーンロータ14と一体的にカム軸が回転駆動される。エンジン運転中は、進角室18と遅角室19の油圧を油圧制御弁21で制御してハウジング12に対してベーンロータ14を相対回動させることで、クランク軸に対するカム軸の変位角(カム軸位相)を制御して吸気バルブ(又は排気バルブ)のバルブタイミングを可変する。
また、いずれか1つのベーン17の両側部には、ハウジング12に対するベーンロータ14の相対回動範囲を規制するストッパ部22,23が形成され、このストッパ部22,23によってカム軸の変位角(カム軸位相)の最遅角位置と最進角位置が規制されている。また、いずれか1つのベーン17には、エンジン停止時等にカム軸の変位角を所定のロック位置でロックするためのロックピン24が設けられ、このロックピン24がハウジング12に設けられたロック穴(図示せず)に嵌り込むことで、カム軸の変位角が所定のロック位置でロックされる。このロック位置は、始動に適した位置(例えばカム軸変位角の調整可能範囲の略中間位置)に設定されている。
可変バルブタイミング調整機構11の油圧制御回路には、オイルパン26内のオイル(作動油)がオイルポンプ27により油圧制御弁21を介して供給される。この油圧制御回路は、油圧制御弁21の進角圧ポートから吐出されるオイルを複数の進角室18に供給する油圧供給油路28と、油圧制御弁21の遅角圧ポートから吐出されるオイルを複数の遅角室19に供給する油圧供給油路29とが設けられている。
そして、進角室18の油圧供給油路28と遅角室19の油圧供給油路29には、それぞれ各室18,19からの作動油の逆流を防止する逆止弁30,31が設けられている。本実施例では、1つのベーン収納室16の進角室18と遅角室19の油圧供給油路28,29についてのみ逆止弁30,31が設けられている。勿論、2つ以上のベーン収納室16の進角室18と遅角室19の油圧供給油路28,29にそれぞれ逆止弁30,31を設ける構成としても良い。
各室18,19の油圧供給油路28,29には、それぞれ逆止弁30,31をバイパスするドレーン油路32,33が並列に設けられ、各ドレーン油路32,33には、それぞれドレーン切替弁34,35が設けられている。各ドレーン切替弁34,35は、油圧制御弁21から供給される油圧(パイロット圧)で閉弁方向に駆動されるスプール弁により構成され、油圧が加えられないときには、スプリング41,42によって開弁位置に保持される。ドレーン切替弁34,35が開弁すると、ドレーン油路32,33が開放されて、逆止弁30,31の機能が働かない状態となる。ドレーン切替弁34,35が閉弁すると、ドレーン油路32,33が閉鎖されて、逆止弁30,31の機能が有効に働く状態となり、油圧室18,19からのオイルの逆流が防止されて油圧室18,19の油圧が保持される。
各ドレーン切替弁34,35は、電気的な配線が不要であるため、逆止弁30,31と共に可変バルブタイミング調整機構11内部のベーンロータ14にコンパクトに組み付けられている。これにより、各油圧室18,19の近くにドレーン切替弁34,35が配置され、進角・遅角動作時に各ドレーン油路32,33を各油圧室18,19の近くで応答良く開放/閉鎖できるようになっている。
一方、油圧制御弁21は、リニアソレノイド36によって駆動されるスプール弁により構成され、進角室18と遅角室19に供給する油圧を制御する進角/遅角油圧制御機能37(第1の油圧制御弁)と、各ドレーン切替弁34,35を駆動する油圧を切り替えるドレーン切替制御機能38(第2の油圧制御弁)とが一体化されている。本実施例では、進角/遅角油圧制御機能37(第1の油圧制御弁)とドレーン切替制御機能38(第2の油圧制御弁)とを駆動する軸が一体化されている。この油圧制御弁21のリニアソレノイド36に通電する電流値(制御デューティ)は、エンジン制御回路(以下「ECU」という)43によって制御される。
このECU43は、クランク角センサ44及びカム角センサ45の出力信号に基づいて吸気バルブ(又は排気バルブ)の実バルブタイミング(実変位角)を演算すると共に、吸気圧センサ、水温センサ等のエンジン運転状態を検出する各種センサの出力に基づいて吸気バルブ(又は排気バルブ)の目標バルブタイミング(目標変位角)を演算する。そして、ECU43は、実バルブタイミングを目標バルブタイミングに一致させるように可変バルブタイミング調整機構11の油圧制御弁21の制御電流値をフィードバック制御(又はフィードフォワード制御)する。これにより、進角室18と遅角室19の油圧を制御してハウジング12に対してベーンロータ14を相対回動させることで、カム軸の変位角を変化させて実バルブタイミングを目標バルブタイミングに一致させる。
ところで、エンジン運転中に吸気バルブや排気バルブを開閉駆動するときに、吸気バルブや排気バルブからカム軸が受けるトルク変動がベーンロータ14に伝わり、それによって、ベーンロータ14に対して遅角方向及び進角方向へのトルク変動が作用する。これにより、ベーンロータ14が遅角方向にトルク変動を受けると、進角室18の作動油が進角室18から押し出される圧力を受け、ベーンロータ14が進角方向にトルク変動を受けると、遅角室19の作動油が遅角室19から押し出される圧力を受けることになる。このため、油圧供給源であるオイルポンプ27の吐出油圧が低くなる低回転領域では、逆止弁30,31が無いと、進角室18に油圧を供給してカム軸の変位角を進角させようとしても、図3に点線で示すように、ベーンロータ14が上記トルク変動により遅角方向に押し戻されてしまい、目標変位角に到達するまでの応答時間が長くなってしまうという問題があった。
これに対して、本実施例では、進角室18の油圧供給油路28と遅角室19の油圧供給油路29に、それぞれ各室18,19からのオイルの逆流を防止する逆止弁30,31を設けると共に、各室18,19の油圧供給油路28,29に、それぞれ逆止弁30,31をバイパスするドレーン油路32,33を並列に設け、各ドレーン油路32,33に、それぞれドレーン切替弁34,35を設けた構成となっている。これにより、図2に示すように、遅角動作、保持動作、進角動作に応じて各室18,19の油圧が次のように制御される。
[遅角動作]
実バルブタイミングを遅角側の目標バルブタイミングに向けて遅角させる遅角動作中は、進角室18のドレーン切替弁34への油圧供給を停止することで、進角室18のドレーン切替弁34を開弁して進角室18の逆止弁30を機能させない状態にすると共に、遅角室19のドレーン切替弁35へ油圧切替弁38から油圧を加えることで、遅角室19のドレーン切替弁35を閉弁して遅角室19の逆止弁31を機能させる状態にする。これにより、低油圧時でも、ベーンロータ14の進角方向へのトルク変動に対して遅角室19からのオイルの逆流を逆止弁31により防止しながら効率良く遅角室19に油圧を供給して遅角応答性を向上させる。
[保持動作]
実バルブタイミングを目標バルブタイミングに保持する保持動作中は、進角室18と遅角室19の両方のドレーン切替弁34,35へ油圧切替弁38から油圧を共に加えることで、両方のドレーン切替弁34,35を共に閉弁して、進角室18と遅角室19の両方の逆止弁30,31を機能させる状態にする。この状態では、吸気バルブや排気バルブからカム軸が受けるトルク変動によってベーンロータ14に対して遅角方向及び進角方向へのトルク変動が作用しても、進角室18と遅角室19の両方のオイルの逆流を逆止弁31により防止して、ベーン17をその両側から保持する油圧が低下するのを防止して、保持安定性を向上させる。
[進角動作]
実バルブタイミングを進角側の目標バルブタイミングに向けて進角させる進角動作中は、進角室18のドレーン切替弁34へ油圧切替弁38から油圧を加えることで、進角室18のドレーン切替弁34を閉弁して進角室18の逆止弁30を機能させる状態にすると共に、遅角室19のドレーン切替弁35への油圧供給を停止することで、遅角室19のドレーン切替弁35を開弁して遅角室19の逆止弁31を機能させない状態にする。これにより、低油圧時でも、ベーンロータ14の遅角方向へのトルク変動に対して進角室18からのオイルの逆流を逆止弁30により防止しながら効率良く油圧を進角室18に供給して進角応答性を向上させる。
次に、可変バルブタイミング調整機構11の応答特性(以下「VCT応答特性」という)について図4を用いて説明する。図4は、油圧制御弁21の制御電流値(以下「OCV電流値」という)と可変バルブタイミング調整機構11の応答速度(以下「VCT応答速度」という)との関係を測定して得られたVCT応答特性の一例を示している。
本実施例では、進角室18と遅角室19の両方に逆止弁30,31とドレーン切替弁34,35を設けているため、OCV電流値の変化に対してVCT応答速度がリニアに変化せず、ドレーン切替弁34,35の開弁/閉弁が切り替えられることによりVCT応答速度が2箇所で急変する。図4のVCT応答特性において、遅角側のVCT応答速度の急変点は、進角室18のドレーン切替弁34が閉弁から開弁に切り替わる点であり、進角側のVCT応答速度の急変点は、遅角室19のドレーン切替弁35が閉弁から開弁に切り替わる点である。保持動作は、遅角側のVCT応答速度急変点と進角側のVCT応答速度急変点との間のVCT応答速度変化の勾配が小さい領域で行われる。
ところで、使用年数が長くなると、ドレーン切替弁34,35や逆止弁30,31に異物が噛み込まれたりそれらの弁体が固着したりしてドレーン切替弁34,35や逆止弁30,31が開いたまま動かない“開異常”が発生したり、閉じたまま動かない“閉異常”が発生したりする可能性がある。このような開異常は、エンジン性能を悪化させる原因となるため、できるだけ早期に検出して運転者に知らせて修理を促す必要がある。
そこで、本実施例では、進角・遅角動作中にVCT変位角の変化速度に基づいて進角・遅角動作の応答性が正常範囲内であるか否かを判定して当該進角・遅角動作の異常の有無を判定するようにしている。ここで、進角・遅角動作の異常が発生する原因は、油圧制御弁21の異常である場合と、ドレーン切替弁34,35や逆止弁30,31が異常である場合とが考えられる。以下、進角・遅角動作の異常の発生原因について考察する。
[進角動作の異常の発生原因]
油圧制御弁21が正常に動作する場合には、進角動作の異常が発生する原因としては、図5に示すように、次の4つの異常モード(又はその組み合わせ)が考えられる。
(A1)遅角室19側のドレーン切替弁35の閉異常
進角動作中は、遅角室19のオイルをドレーンしながら進角室18にオイルを充填するという制御が行われるが、遅角室19側のドレーン切替弁35が閉異常であると、遅角室19のオイルのドレーンが困難となるため、進角室18にオイルを充填しにくくなって、進角動作時のVCT変位角の変化速度が異常に遅くなる。
(A2)進角室18側の逆止弁30の閉異常
進角動作中は、進角室18側のドレーン切替弁34が閉弁されるため、進角室18側の逆止弁30が閉異常であると、進角室18にオイルを全く充填できなくなってしまい、進角動作時のVCT変位角の変化速度が異常に遅くなる。
(A3)進角室18側のドレーン切替弁34の開異常
進角動作中に進角室18側のドレーン切替弁34が開異常であると、カム軸から伝わる遅角方向へのトルク変動によって進角室18の油圧が当該ドレーン切替弁34を通して逆流しやすくなり、進角動作時のVCT変位角の変化速度が遅くなる。
(A4)進角室18側の逆止弁30の開異常
進角動作中に進角室18側の逆止弁30が開異常である場合も、カム軸から伝わる遅角方向へのトルク変動によって進角室18の油圧が当該逆止弁30を通して逆流しやすくなり、進角動作時のVCT変位角の変化速度が遅くなる。
[遅角動作の異常の発生原因]
油圧制御弁21が正常に動作する場合には、遅角動作の異常が発生する原因としては、図5に示すように、次の4つの異常モード(又はその組み合わせ)が考えられる。
(B1)進角室18側のドレーン切替弁34の閉異常
遅角動作中は、進角室18のオイルをドレーンしながら遅角室19にオイルを充填するという制御が行われるが、進角室18側のドレーン切替弁34が閉異常であると、進角室18のオイルのドレーンが困難となるため、遅角室19にオイルを充填しにくくなって、遅角動作時のVCT変位角の変化速度が異常に遅くなる。
(B2)遅角室19側の逆止弁31の閉異常
遅角動作中は、遅角室19側のドレーン切替弁35が閉弁されるため、遅角室19側の逆止弁31が閉異常であると、遅角室19にオイルを全く充填できなくなってしまい、遅角動作時のVCT変位角の変化速度が異常に遅くなる。
(B3)遅角室19側のドレーン切替弁35の開異常
遅角動作中に遅角室19側のドレーン切替弁35が開異常であると、カム軸から伝わる進角方向へのトルク変動にによって遅角室19のオイルが当該ドレーン切替弁35を通して逆流しやすくなり、遅角動作時のVCT変位角の変化速度が遅くなる。
(B4)遅角室19側の逆止弁31の開異常
遅角動作中に遅角室19側の逆止弁31が開異常である場合も、カム軸から伝わる進角方向へのトルク変動にによって遅角室19のオイルが当該逆止弁31を通して逆流しやすくなり、遅角動作時のVCT変位角の変化速度が遅くなる。
以上のような判定基準を用いれば、VCT変位角の変化速度に基づいてドレーン切替弁34,35や逆止弁30,31の開異常や閉異常を判定することができる。
本実施例では、ECU43によって図6の異常診断ルーチンを実行することで、進角・遅角動作中にVCT変位角の変化速度に基づいて進角・遅角動作の応答性が正常範囲内であるか否かを判定して当該進角・遅角動作の異常の有無を次のようにして判定する。
図6の異常診断ルーチンは、エンジン運転中にエンジン回転速度の演算タイミング毎(例えば4気筒エンジンであれば180℃A毎)に実行され、特許請求の範囲でいう異常診断手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まずステップ101で、VCT変位角変化中(進角又は遅角動作中)であるか否かを判定し、VCT変位角変化中でなければ、以降の処理を行うことなく、そのまま本ルーチンを終了する。
これに対して、上記ステップ101で、VCT変位角変化中(進角又は遅角動作中)であると判定されれば、ステップ102に進み、異常診断実行条件が成立しているか否かを例えば次の条件(1) 〜(3) を全て満たしているか否かによって判定する。
(1) エンジン回転速度が所定回転速度Ne1以下の低回転領域であること
(但しオイルポンプ27の吐出油圧が安定する所定回転速度Ne2以上であること) (2) VCT変位角と目標変位角との偏差が所定値以上であること
(3) 目標変位角が変化してから所定時間経過後であること
ここで、条件(1) は、エンジン回転速度が所定回転速度Ne1以下の低回転領域では、油圧供給源であるオイルポンプ27から供給される油圧が低くなるために、ドレーン切替弁34,35や逆止弁30,31が正常に動作しないと、進角・遅角動作時の応答性が顕著に悪化する傾向があり、異常を検出しやすくなるためである。また、高回転側の領域では、進角・遅角のいずれの方向への動作でも場合も、進角室18側と遅角室19側の両方のドレーン切替弁34,35が回転遠心力等により自動的に開弁されるように構成する場合があるためである。
但し、エンジン回転速度が低くなり過ぎると、オイルポンプ27の吐出油圧が低くなり過ぎて進角・遅角動作の応答性が低下するため、オイルポンプ27の吐出油圧を安定して確保できる所定回転速度Ne2以上であることを条件とすることが望ましい。その他、進角・遅角動作の応答性はオイルの粘性(油温)も関係してくるため、油温又はそれに相関する温度情報(例えばエンジン冷却水温)が所定温度以上であることを条件としても良い。
また、上記条件(2) は、VCT変位角と目標変位角との偏差が小さくなると、VCT変位角の変化速度が遅くなるというVCT変位角フィードバック制御の特性を考慮したものであり、正常時のVCT変位角の変化速度が後述する判定しきい値よりも速くなるのに必要な条件である。
また、上記条件(3) は、目標変位角の変化に応じてVCT変位角の変化速度が上昇するのに応答遅れがあることを考慮して、目標変位角変化後に後述する判定しきい値を越えるまでの正常時の最大許容応答遅れ時間に相当する所定時間が経過してからVCT変位角の変化速度を判定するようにするためである。
これら3つの条件(1) 〜(3) のうちのいずれか1つでも満たさない条件があれば、異常診断実行条件が不成立となり、以降の処理を行うことなく、そのまま本ルーチンを終了する。
これに対して、3つの条件(1) 〜(3) を全て満たせば、異常診断実行条件が成立していると判定されて、ステップ103に進み、異常診断実行フラグを異常診断実行中を意味する“1”にセットした後、ステップ104に進み、現在のVCT動作状態が進角動作か遅角動作のいずれであるかを判定する。その結果、進角動作と判定されれば、ステップ105に進み、他の異常診断機能により油圧制御弁21が正常と判定されているか否かを判定し、もし、油圧制御弁21が異常と判定されていれば、以降の処理を行うことなく、そのまま本ルーチンを終了する。
上記ステップ105で、油圧制御弁21が正常と判定されていれば、ステップ106に進み、VCT変位角の進角方向の変化速度(以下「進角速度」という)が所定の判定しきい値を越えているか否かを判定し、進角速度が判定しきい値を越えていれば、ステップ107に進み、進角動作異常判定フラグを進角動作が正常であることを意味する“0”にセットして本ルーチンを終了する。
一方、上記ステップ106で、進角速度が判定しきい値以下と判定されれば、ステップ108に進み、進角速度が判定しきい値以下となる状態が継続する時間を計測する進角動作異常カウンタをカウントアップする。そして、次のステップ109で、進角動作異常カウンタの計測時間(進角速度が判定しきい値以下となる状態の継続時間)が所定時間Tを越えたか否かを判定し、進角動作異常カウンタの計測時間が所定時間T以下であれば、そのまま本ルーチンを終了する。
これに対して、上記ステップ109で、進角動作異常カウンタの計測時間が所定時間Tを越えたと判定されれば、進角動作が異常であると判断して、ステップ110に進み、進角動作異常判定フラグを進角動作が異常であることを意味する“1”にセットして本ルーチンを終了する。
このようにして進角速度が異常であると判定された場合、進角動作の異常の発生原因は、図5に示すように、(A1)遅角室19側のドレーン切替弁35の閉異常、(A2)進角室18側の逆止弁30の閉異常、(A3)進角室18側のドレーン切替弁34の開異常、(A4)進角室18側の逆止弁30の開異常のいずれかであると判定される。
また、上記ステップ104で、遅角動作と判定されれば、ステップ115に進み、他の異常診断機能により油圧制御弁21が正常と判定されているか否かを判定し、もし、油圧制御弁21が異常と判定されていれば、以降の処理を行うことなく、そのまま本ルーチンを終了する。
上記ステップ115で、油圧制御弁21が正常と判定されていれば、ステップ116に進み、VCT変位角の遅角方向の変化速度(以下「遅角速度」という)が所定の判定しきい値を越えているか否かを判定し、遅角速度が判定しきい値を越えていれば、ステップ117に進み、遅角動作異常判定フラグを遅角動作が正常であることを意味する“0”にセットして本ルーチンを終了する。
一方、上記ステップ116で、遅角速度が判定しきい値以下と判定されれば、ステップ118に進み、遅角速度が判定しきい値以下となる状態が継続する時間を計測する遅角動作異常カウンタをカウントアップする。そして、次のステップ119で、遅角動作異常カウンタの計測時間(遅角速度が判定しきい値以下となる状態の継続時間)が所定時間Tを越えたか否かを判定し、遅角動作異常カウンタの計測時間が所定時間T以下であれば、そのまま本ルーチンを終了する。
これに対して、上記ステップ119で、遅角動作異常カウンタの計測時間が所定時間Tを越えたと判定されれば、遅角動作が異常であると判断して、ステップ120に進み、遅角動作異常判定フラグを遅角動作が異常であることを意味する“1”にセットして本ルーチンを終了する。
このようにして遅角動作が異常であると判定された場合、遅角動作の異常の発生原因は、図5に示すように、(B1)進角室18側のドレーン切替弁34の閉異常、(B2)遅角室19側の逆止弁31の閉異常、(B3)遅角室19側のドレーン切替弁35の開異常、(B4)遅角室19側の逆止弁31の開異常のいずれかであると判定される。
以上説明した本実施例の異常診断の一例が図7のタイムチャートに示されている。この図7の例では、時刻t1 で、目標変位角が進角方向に変化し、それに追従して、VCT変位角が進角方向に変化するようにフィードバック制御される。
この目標変位角の変化から所定時間が経過して異常診断実行条件が成立した時点t2 で、異常診断実行フラグが“1”にセットされ、異常診断が開始される。この異常診断の実行中に、進角速度が判定しきい値以下となる状態が継続する時間を進角動作異常カウンタで計測し、この進角動作異常カウンタの計測時間(進角速度が判定しきい値以下となる状態の継続時間)が所定時間Tを越えた時点t3 で、進角動作が異常であると判断して、進角動作異常判定フラグを進角動作が異常であることを意味する“1”にセットする。
以上説明した本実施例によれば、進角・遅角動作中にVCT変位角の変化速度に基づいて進角・遅角動作の応答性が正常範囲内であるか否かを判定して当該進角・遅角動作の異常の有無を判定するようにしたので、エンジン運転中に進角・遅角動作の異常ひいてはドレーン切替弁34,35や逆止弁30,31の異常を早期に検出することができる。
尚、本発明は、ドレーン切替弁34,35を駆動する油圧を切り替える油圧切替弁を、油圧制御弁21とは別体に設けるようにしても良いが、本実施例では、油圧切替弁を油圧制御弁21に一体化した構成としているため、部品点数削減、低コスト化、コンパクト化の要求を満たすことができる利点がある。
本発明は、図1に示される可変バルブタイミング調整機構11の構成に限定されず、例えば、図8又は図9に示される他の実施例の可変バルブタイミング調整機構71,72に適用することもできる。
図8に示される可変バルブタイミング調整機構71においては、図1に示される可変バルブタイミング調整機構11に対して以下の点が相違している。なお、図8において図1と同等の構成部品については同じ符号を付して説明を省略する。
まず、図1の油圧制御弁21は1つのリニアソレノイド36により進角/遅角油圧制御機能37とドレーン切替制御機能38とを駆動しているが、図8では、進角/遅角油圧制御機能を実現する第1の油圧制御弁37とドレーン切替制御機能を実現する第2の油圧制御弁38とにそれぞれソレノイド36,51を設け、各ソレノイド36,51をそれぞれ別のECU43,52によって独立して制御する構成としている。一方のECU43は、VCT実変位角と目標変位角との偏差に応じて第1の油圧制御弁37の電流を制御し、他方のECU52は、第2の油圧制御弁38の電流を制御して、各ドレーン切替弁(ドレーン制御弁)34,35を駆動する油圧を制御する。
ドレーン切替弁34,35については、図1では、油圧が加えられていないときには、スプリング41,42によって開弁位置に保持される、いわゆるノーマリ・オープン型(常開型)の切替弁を用いている。これに対して、図8では、油圧が加えられていないときに、スプリング41,42によって閉弁位置に保持される、いわゆるノーマリ・クローズ型(常閉型)の切替弁を用いている。またこれに伴い、ドレーン切替制御機能38も、図1ではドレーン切替弁34,35を閉弁するときに油圧を供給する構成となっているが、図8ではドレーン切替弁34,35を閉弁するときに油圧供給を停止する構成となっている。
また、図1においては、ある1つのベーン17で仕切られた1つのベーン収納室16の進角室18及び遅角室19に対応する油圧供給通路28,29に逆止弁30,31及びドレーン切替弁34,35を設ける構成としているが、図8では、あるベーン収納室16の進角室18に対する油圧供給通路28と別のベーン収納室16の遅角室19に対する油圧供給通路29とに逆止弁30,31及びドレーン切替弁34,35を設けている。
この構成では、VCT変位角を目標変位角に保持する保持動作中には、進角室18側と遅角室19側の両方のドレーン切替弁34,35を閉じて進角室18側と遅角室19側の両方の逆止弁30,31を有効に機能させて進角室18及び遅角室19からの作動油の逆流を防止するように第2の油圧制御弁38を制御すると共に、可変バルブタイミング調整機構71へ供給する油圧を制御する第1の油圧制御弁37の制御電流を所定の保持電流に制御する。
一方、可変バルブタイミング調整機構71を進角動作させる場合は、作動油を流入させる進角室側のドレーン切替弁を閉じて、作動油が排出される遅角室側のドレーン切替弁を開くように第2の油圧制御弁38を制御し、可変バルブタイミング調整機構71を遅角動作させる場合は、作動油を流入させる遅角室側のドレーン切替弁を閉じて、作動油が排出される進角室側のドレーン切替弁を開くように第2の油圧制御弁38を制御する。要するに、進角・遅角動作中には、その変位方向に応じて進角室18側と遅角室19側のいずれか一方のドレーン切替弁34又は35を開いていずれか一方の逆止弁30又は31が機能しないように第2の油圧制御弁38を制御すると共に、前記第1の油圧制御弁37の制御電流を制御して可変バルブタイミング調整機構71へ供給する油圧を可変することでVCT変位角を目標変位角に向けて変位させる。
以上のように構成した図8の可変バルブタイミング調整機構71に対しても本発明を適用することができる。
次に、図9の可変バルブタイミング調整機構72の構成について、図1との相違点を中心に説明する。図9においても、図8と同様に図1と同等の構成部品については同じ符号が付されている。
まず、図1においては進角/遅角油圧制御機能37のための油路を切換える弁とドレーン切替制御機能38のための油路を切換える弁との2つの弁を備える構成としている。これに対して、図9においては、1つの油圧制御弁60で進角/遅角油圧制御機能とドレーン切替制御機能とを達成する構成としている。また、このために油圧供給通路28,29を油圧制御弁60と逆止弁30,31との間で分岐させ、各々ドレーン切替弁(ドレーン制御弁)34,35と接続する構成としている。
この構成では、VCT変位角を目標変位角に保持する保持動作中には、油圧制御弁60の制御電流を所定の保持電流に制御して、進角室18側と遅角室19側の両方のドレーン切替弁34,35を閉じて進角室18側と遅角室19側の両方の逆止弁30,31を有効に機能させて進角室18及び遅角室19からの作動油の逆流を防止するように制御すると共に、可変バルブタイミング調整機構72へ供給する油圧を制御する。
一方、VCT変位角を進角方向又は遅角方向に変位させる進角・遅角動作中には、油圧制御弁60の制御電流を制御して、その変位方向に応じて進角室18側と遅角室19側のいずれか一方のドレーン切替弁34又は35を開いていずれか一方の逆止弁30又は31が機能しないように制御すると共に、可変バルブタイミング調整機構72へ供給する油圧を可変することでVCT変位角を目標変位角に向けて変位させる。
以上のように構成した図9の可変バルブタイミング調整機構72に対しても本願発明を適用することができる。
本発明の一実施例における可変バルブタイミング調整機構とその油圧制御回路を概略的に示す図である。 可変バルブタイミング調整機構の遅角動作、保持動作、進角動作を説明するための図である。 逆止弁の有無による進角作動時のVCT応答速度の相違を説明するための特性図である。 逆止弁付きの可変バルブタイミング調整機構の応答特性の一例を示す特性図である。 進角・遅角動作の異常とドレーン切替弁や逆止弁の開異常・閉異常との関係を説明する図である。 異常診断ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。 進角動作の異常が発生した時の異常診断処理の挙動を説明するタイムチャートである。 本発明の他の実施例(その1)における可変バルブタイミング調整機構とその油圧制御回路を概略的に示す図である。 本発明の他の実施例(その2)における可変バルブタイミング調整機構とその油圧制御回路を概略的に示す図である。
符号の説明
11…可変バルブタイミング調整機構、12…ハウジング、14…ベーンロータ、16…ベーン収納室、17…ベーン、18…進角室、19…遅角室、21…油圧制御弁、24…ロックピン、27…オイルポンプ、28,29…油圧供給油路、30,31…逆止弁、32,33…ドレーン油路、34,35…ドレーン切替弁(ドレーン制御弁)、37…進角/遅角油圧制御機能(第1の油圧制御弁)、38…ドレーン切替制御機能(油圧切替弁,第2の油圧制御弁)、43…ECU(異常診断手段)、60…油圧制御弁、71,72…可変バルブタイミング調整機構

Claims (20)

  1. ベーン式の可変バルブタイミング調整機構のハウジング内に形成された複数のベーン収納室内をそれぞれベーンによって進角室と遅角室とに区画し、少なくとも1つのベーン収納室の進角室の油圧供給油路と遅角室の油圧供給油路に、それぞれ各油圧室(「油圧室」とは「進角室」と「遅角室」のいずれかを意味する)からの作動油の逆流を防止する逆止弁を設けると共に、各油圧室の油圧供給油路に、それぞれ前記逆止弁をバイパスするドレーン油路を並列に設け、各ドレーン油路にそれぞれ油圧で駆動されるドレーン切替弁を設けると共に、各ドレーン切替弁を駆動する油圧を切り替える油圧切替弁を設け、
    前記可変バルブタイミング調整機構の変位角(以下「VCT変位角」という)を目標変位角に保持する保持動作中には、進角室側と遅角室側の両方のドレーン切替弁を閉じて進角室側と遅角室側の両方の逆止弁を有効に機能させて両方の油圧室からの作動油の逆流を防止するように前記油圧切替弁を制御すると共に、前記各油圧室の油圧を制御する油圧制御弁の制御電流を所定の保持電流に制御し、
    前記VCT変位角を進角方向又は遅角方向に変位させる進角・遅角動作中には、その変位方向に応じて進角室側と遅角室側のいずれか一方のドレーン切替弁を開いていずれか一方の逆止弁が機能しないように前記油圧切替弁を制御すると共に、前記油圧制御弁の制御電流を制御して各油圧室の油圧を可変することで前記VCT変位角を目標変位角に向けて変位させるベーン式の可変バルブタイミング調整機構の異常診断装置において、
    前記進角・遅角動作中に所定の異常診断実行条件が成立しているときに前記VCT変位角の変化速度に基づいて当該進角・遅角動作の異常の有無を判定する異常診断手段を備えていることを特徴とするベーン式の可変バルブタイミング調整機構の異常診断装置。
  2. 前記異常診断実行条件の少なくとも1つは、エンジン回転速度が所定回転速度以下の低回転領域であることを条件とすることを特徴とする請求項1に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の異常診断装置。
  3. 前記異常診断実行条件の少なくとも1つは、前記VCT変位角と目標変位角との偏差が所定値以上であることを条件とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の異常診断装置。
  4. 前記異常診断実行条件の少なくとも1つは、前記目標変位角が変化してから所定時間経過後であることを条件とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の異常診断装置。
  5. 前記異常診断手段は、前記VCT変位角の変化速度が所定値以下となる状態が継続する時間を考慮して前記進角・遅角動作の異常の有無を判定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の異常診断装置。
  6. 前記異常診断手段は、前記油圧制御弁及び前記油圧切替弁に関する異常の有無を判定する手段を有し、
    前記進角動作の異常を検出したときに、前記油圧制御弁及び前記油圧切替弁が正常と判定されていれば、前記遅角室側のドレーン切替弁と前記進角室側の逆止弁の少なくとも一方が閉じたまま動かない閉異常、又は、前記進角室側のドレーン切替弁と前記進角室側の逆止弁の少なくとも一方が開いたまま動かない開異常が発生したと判定し、
    遅角動作の異常を検出したときに、前記油圧制御弁及び前記油圧切替弁が正常と判定されていれば、前記進角室側のドレーン切替弁と前記遅角室側の逆止弁の少なくとも一方が閉じたまま動かない閉異常、又は、前記遅角室側のドレーン切替弁と前記遅角室側の逆止弁の少なくとも一方が開いたまま動かない開異常が発生したと判定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の異常診断装置。
  7. 前記油圧切替弁は、前記油圧制御弁に一体化されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の異常診断装置。
  8. ベーン式の可変バルブタイミング調整機構(以下「VCT」と表記する)のハウジング内に形成された複数のベーン収納室内がそれぞれベーンによって進角室と遅角室とに区画されており、少なくとも1つのベーン収納室内の進角室の油圧供給油路に設けられた、前記進角室からの作動油の逆流を防止する第1の逆止弁と、前記第1の逆止弁をバイパスする第1のドレーン油路に設けられた、油圧で駆動される第1のドレーン制御弁と、少なくとも1つのベーン収納室の遅角室の油圧供給油路に設けられた、前記遅角室からの作動油の逆流を防止する第2の逆止弁と、前記第2の逆止弁をバイパスする第2のドレーン油路に設けられた、油圧で駆動される第2のドレーン制御弁と、
    前記VCTへ供給する油圧を制御する第1の油圧制御弁と、
    前記第1及び第2のドレーン制御弁を駆動する油圧を制御する第2の油圧制御弁とが設けられており、
    前記可変バルブタイミング調整機構の変位角(以下「VCT変位角」という)を目標変位角に保持する保持動作中には、進角室側と遅角室側の両方のドレーン制御弁を閉じて進角室側と遅角室側の両方の逆止弁を有効に機能させて進角室及び遅角室からの作動油の逆流を防止するように前記第2の油圧制御弁を制御すると共に、前記VCTへ供給する油圧を制御する第1の油圧制御弁の制御電流を所定の保持電流に制御し、
    前記VCT変位角を進角方向又は遅角方向に変位させる進角・遅角動作中には、その変位方向に応じて進角室側と遅角室側のいずれか一方のドレーン制御弁を開いていずれか一方の逆止弁が機能しないように前記第2の油圧制御弁を制御すると共に、前記第1の油圧制御弁の制御電流を制御して前記VCTへ供給する油圧を可変することで前記VCT変位角を目標変位角に向けて変位させるベーン式の可変バルブタイミング調整機構の異常診断装置において、
    前記進角・遅角動作中に所定の異常診断実行条件が成立しているときに前記VCT変位角の変化速度に基づいて当該進角・遅角動作の異常の有無を判定する異常診断手段を備えていることを特徴とするベーン式の可変バルブタイミング調整機構の異常診断装置。
  9. 前記異常診断実行条件の少なくとも1つは、エンジン回転速度が所定回転速度以下の低回転領域であることを条件とすることを特徴とする請求項8に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の異常診断装置。
  10. 前記異常診断実行条件の少なくとも1つは、前記VCT変位角と目標変位角との偏差が所定値以上であることを条件とすることを特徴とする請求項8又は9に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の異常診断装置。
  11. 前記異常診断実行条件の少なくとも1つは、前記目標変位角が変化してから所定時間経過後であることを条件とすることを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の異常診断装置。
  12. 前記異常診断手段は、前記VCT変位角の変化速度が所定値以下となる状態が継続する時間を考慮して前記進角・遅角動作の異常の有無を判定することを特徴とする請求項8乃至11のいずれかに記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の異常診断装置。
  13. 前記異常診断手段は、前記第1の油圧制御弁及び前記第2の油圧制御弁に関する異常の有無を判定する手段を有し、
    前記進角動作の異常を検出したときに、前記第1の油圧制御弁及び前記第2の油圧制御弁が正常と判定されていれば、前記遅角室側のドレーン制御弁と前記進角室側の逆止弁の少なくとも一方が閉じたまま動かない閉異常、又は、前記進角室側のドレーン制御弁と前記進角室側の逆止弁の少なくとも一方が開いたまま動かない開異常が発生したと判定し、 遅角動作の異常を検出したときに、前記第1の油圧制御弁及び前記第2の油圧制御弁が正常と判定されていれば、前記進角室側のドレーン制御弁と前記遅角室側の逆止弁の少なくとも一方が閉じたまま動かない閉異常、又は、前記遅角室側のドレーン制御弁と前記遅角室側の逆止弁の少なくとも一方が開いたまま動かない開異常が発生したと判定することを特徴とする請求項8乃至12のいずれかに記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の異常診断装置。
  14. 前記第1の油圧制御弁と前記第2の油圧制御弁とを駆動する軸が一体化されていることを特徴とする請求項8乃至13のいずれかに記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の異常診断装置。
  15. ベーン式の可変バルブタイミング調整機構(以下「VCT」と表記する)のハウジング内に形成された複数のベーン収納室内がそれぞれベーンによって進角室と遅角室とに区画されており、少なくとも1つのベーン収納室内の進角室の油圧供給油路に設けられた、前記進角室からの作動油の逆流を防止する第1の逆止弁と、前記第1の逆止弁をバイパスする第1のドレーン油路に設けられた、油圧で駆動される第1のドレーン制御弁と、少なくとも1つのベーン収納室の遅角室の油圧供給油路に設けられた、前記遅角室からの作動油の逆流を防止する第2の逆止弁と、前記第2の逆止弁をバイパスする第2のドレーン油路に設けられた、油圧で駆動される第2のドレーン制御弁と、
    前記第1、第2のドレーン制御弁及び前記VCTへ供給する油圧を制御する一つの油圧制御弁とが設けられており、
    前記VCTの変位角を目標変位角に保持する保持動作中には、前記油圧制御弁の制御電流を所定の保持電流に制御し、進角室側と遅角室側の両方のドレーン制御弁を閉じて進角室側と遅角室側の両方の逆止弁を有効に機能させて進角室及び遅角室からの作動油の逆流を防止するように制御すると共に、前記VCTへ供給する油圧を制御し、
    前記VCTの変位角を進角方向又は遅角方向に変位させる進角・遅角動作中には、前記油圧制御弁の制御電流を制御して、その変位方向に応じて進角室側と遅角室側のいずれか一方のドレーン制御弁を開いていずれか一方の逆止弁が機能しないように制御すると共に、前記VCTへ供給する油圧を可変することで前記VCT変位角を目標変位角に向けて変位させるように制御するベーン式の可変バルブタイミング調整機構の異常診断装置において、
    前記進角・遅角動作中に所定の異常診断実行条件が成立しているときに前記VCT変位角の変化速度に基づいて当該進角・遅角動作の異常の有無を判定する異常診断手段を備えていることを特徴とするベーン式の可変バルブタイミング調整機構の異常診断装置。
  16. 前記異常診断実行条件の少なくとも1つは、エンジン回転速度が所定回転速度以下の低回転領域であることを条件とすることを特徴とする請求項15に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の異常診断装置。
  17. 前記異常診断実行条件の少なくとも1つは、前記VCT変位角と目標変位角との偏差が所定値以上であることを条件とすることを特徴とする請求項15又は16に記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の異常診断装置。
  18. 前記異常診断実行条件の少なくとも1つは、前記目標変位角が変化してから所定時間経過後であることを条件とすることを特徴とする請求項15乃至17のいずれかに記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の異常診断装置。
  19. 前記異常診断手段は、前記VCT変位角の変化速度が所定値以下となる状態が継続する時間を考慮して前記進角・遅角動作の異常の有無を判定することを特徴とする請求項15乃至18のいずれかに記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の異常診断装置。
  20. 前記異常診断手段は、前記油圧制御弁に関する異常の有無を判定する手段を有し、
    前記進角動作の異常を検出したときに、前記油圧制御弁が正常と判定されていれば、前記遅角室側のドレーン制御弁と前記進角室側の逆止弁の少なくとも一方が閉じたまま動かない閉異常、又は、前記進角室側のドレーン制御弁と前記進角室側の逆止弁の少なくとも一方が開いたまま動かない開異常が発生したと判定し、
    遅角動作の異常を検出したときに、前記油圧制御弁が正常と判定されていれば、前記進角室側のドレーン制御弁と前記遅角室側の逆止弁の少なくとも一方が閉じたまま動かない閉異常、又は、前記遅角室側のドレーン制御弁と前記遅角室側の逆止弁の少なくとも一方が開いたまま動かない開異常が発生したと判定することを特徴とする請求項15乃至19のいずれかに記載のベーン式の可変バルブタイミング調整機構の異常診断装置。
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