JP2007309244A - 触媒温度推定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジンの燃料復帰時の触媒温度の挙動を正確に推定でき、もって耐熱温度を越えた温度上昇による触媒の破損を未然に防止できる触媒温度推定装置を提供する。
【解決手段】燃料復帰時において、触媒のOストレージ機能を考慮して排気空燃比A/Fから触媒上の空燃比をA/F判定部111で推定し、推定した空燃比、エンジン回転速度Ne及び充填効率Ecに基づき、触媒上に吸蔵されたOにより排ガス中のCOが浄化されたときのCO浄化反応熱量ΔHcをΔHc算出部112で算出し、このCO浄化反応熱量ΔHcを触媒温度の推定処理に適用する。
【選択図】図4

Description

本発明は、排気浄化用触媒の温度を推定する触媒温度推定装置に関するものである。
エンジンの排気系には排ガス中に含まれるHC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)、NOx(窒素酸化物)などの有害物質を浄化するための排気浄化用触媒が設けられている。この種の触媒の温度はエンジンの運転状態に応じて大きく変化するため、いかなる運転状態でも触媒の耐熱温度を越えないように、触媒温度の推定値に基づいて適切にエンジンを制御する必要がある。触媒温度の推定手法としては、定常運転時の排気温度を記憶しておき、過渡運転時には記憶している定常値をフィルタ処理して排気温度を推定している。
ところで、車両減速時に実行される燃料カット時には、排ガス中のO(酸素)と触媒上に吸着されているCOやHCとが反応することで多量の酸化反応熱が発生し、燃料復帰時には、燃料カット中に触媒上に吸蔵されたOにより排ガス中のCOやHCが浄化されることで多量の浄化反応熱が発生する。従って、何れの場合も触媒の急激な温度上昇を引き起こすため、特に触媒温度を推定し難い条件となる。上記触媒温度の推定手法では、フィルタ処理により温度変化率を定常運転時より小さく推定しているだけのため、特に燃料カット及び燃料復帰が頻繁に繰り返される状況では、図7のタイムチャートに破線で示すように、実際の触媒温度からかけ離れた触媒温度が推定されてしまうという問題があった。
一方、上記とは別の触媒温度の推定手法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。当該特許文献1の技術では、燃料カット以外の運転状態においては、エンジンから排出される排気温度を定常触媒温度と見なして、定常触媒温度から排気管壁温度を推定し、これらの定常触媒温度と排気管壁温度とから仮触媒流入排気温度を推定した上で、走行風による排気温度の低下量を見込んで仮触媒流入排気温度から推定した触媒流入排気温度に基づき触媒温度を推定する一方、燃料カット時には、以上の推定処理を中止して触媒温度の前回値をそのまま今回値としている。
特開2004−263606号公報
上記特許文献1の触媒温度の推定手法のように燃料カット時に前回値をそのまま今回値として適用することは、燃料カット及び燃料復帰直時に触媒温度を変化しないものと推定していることを意味し、その推定値は例えば図7に示す従来手法と同様に、HCやCOの酸化反応により急激に上昇する実際の触媒温度に対して大きく相違してしまう。よって、当該推定手法により推定された触媒温度に基づき燃料カット時や燃料復帰時の触媒温度の上昇を抑制できるようにエンジン制御を実行することは到底不可能であり、結果として耐熱温度を越えた温度上昇により触媒が破損する虞があった。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、エンジンの燃料復帰時の触媒温度の挙動を正確に推定でき、もって耐熱温度を越えた温度上昇による触媒の破損を未然に防止することができる触媒温度推定装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、エンジンの排気通路に設けられた排ガス浄化用触媒の温度を推定する触媒温度推定装置において、エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段と、触媒に吸蔵されているO量と相関するOストレージ指標を算出するOストレージ指標算出手段と、触媒上の空燃比を推定する空燃比推定手段と、エンジンの燃料復帰時において、運転状態検出手段により検出されたエンジン運転状態、Oストレージ指標算出手段により算出されたOストレージ指標、及び空燃比推定手段により推定された空燃比に基づき触媒の浄化反応により発生する反応熱量を算出する浄化反応熱量算出手段と、浄化反応熱量算出手段により算出された反応熱量に基づき燃料復帰時の触媒温度を推定する触媒温度推定手段とを備えたものである。
従って、燃料復帰時において運転状態検出手段によりエンジンの運転状態が検出され、Oストレージ指標算出手段により触媒に吸蔵されているO量と相関するOストレージ指標が算出され、空燃比推定手段により触媒上の空燃比が推定される。これらのエンジン運転状態、Oストレージ指標、空燃比に基づき触媒の浄化反応で発生する反応熱量が浄化反応熱量算出手段により算出され、算出された反応熱量に基づき触媒温度推定手段により触媒温度が推定される。
燃料復帰時には、燃料カット中に触媒上に吸蔵されたOにより排ガス中のCOやHCが浄化されることで多量の反応熱が発生し、この反応熱が触媒の温度を急激に上昇させる要因となるが、このような現象を反映した反応熱量に基づき触媒温度の推定処理が実行されることで、燃料復帰時の触媒温度の挙動を正確に推定可能となる。
請求項2の発明は、請求項1において、燃料復帰時にエンジンから排出される排ガスと触媒との間の熱伝達量を算出する熱伝達量算出手段を備え、触媒温度推定手段が、熱伝達量算出手段により算出された熱伝達量と浄化反応熱量算出手段により算出された反応熱量とから触媒の温度を推定するものである。
従って、浄化反応熱量に加えて排ガスと触媒との間の熱伝達量を考慮して触媒の温度が推定されることから、燃料復帰時の触媒温度の挙動を一層正確に推定可能となる。
請求項3の発明は、請求項1または2において、空燃比推定手段が、Oストレージ指標算出手段により算出されたOストレージ指標に基づき触媒がO吸蔵限界の上限近傍または下限近傍にあると判定したときには、排気空燃比検出手段により検出された排気空燃比を触媒上の空燃比と見なす一方、触媒が吸蔵限界の上限近傍または下限近傍にないと判定したときには、理論空燃比を触媒上の空燃比と見なすものである。
従って、Oストレージ指標に基づき触媒がO吸蔵限界の上限近傍または下限近傍にあると判定したときには、排気空燃比が触媒上の空燃比と見なされて反応熱量の算出に適用される一方、触媒が吸蔵限界の上限近傍または下限近傍にないと判定したときには、理論空燃比が触媒上の空燃比と見なされて反応熱量の算出に適用される。
触媒がOストレージ機能を発揮しているときには、排気空燃比A/Fがストイキオ以外であっても触媒上の空燃比は理論空燃比に保持される一方、触媒がOストレージ機能を発揮していないときには、触媒上の空燃比は排気空燃比となることから、このような現象を反映した実状に則した正確な触媒上の空燃比に基づいて反応熱量、ひいては燃料復帰時の触媒温度の挙動を一層正確に推定可能となる。
請求項4の発明は、請求項1乃至3において、燃料復帰時に排ガスを理論空燃比にするために要するO必要量を算出するO必要量算出手段を備え、Oストレージ指標算出手段が、O必要量算出手段により算出されたO必要量に基づきOストレージ指標を算出するものである。
従って、排ガスを理論空燃比にするために要するO必要量、即ち、排ガスを浄化するために要するO必要量に応じて触媒上からのOの放出、及び触媒上へのOの吸蔵が行われることから、このようなOの放出及び吸蔵現象と相関するO必要量に基づき、正確なOストレージ指標、ひいては反応熱量をさらに正確に算出可能となる。
請求項5の発明は、請求項1乃至4において、触媒の活性状態に基づき触媒上のO放出及び吸蔵能力を算出する触媒能力算出手段を備え、Oストレージ指標算出手段が、触媒能力算出手段により算出された触媒能力がO必要量算出手段により算出されたO必要量より小のときには、触媒能力に基づき上記Oストレージ指標を算出するものである。
従って、排ガスを理論空燃比にするために要するO必要量に対して触媒能力が小のときには触媒能力に基づきOストレージ指標が算出される。触媒能力以上のO必要量が要求されても、実際に使用されるO量は触媒能力相当分に制限されることから、この場合には触媒能力に基づき実情に即したOストレージ量の算出が可能となる。
請求項6の発明は、請求項1乃至5において、触媒温度推定手段が、推定した触媒温度を触媒中の熱伝導を模擬した3次フィルタにより補正するものである。
従って、触媒中の熱伝導を模擬した3次フィルタ補正により触媒温度の挙動が一層正確に推定される。
以上説明したように請求項1の発明の触媒温度推定装置によれば、エンジン運転状態、Oストレージ指標、触媒上の空燃比に基づき触媒の浄化反応で発生する反応熱量を算出して触媒の温度を推定するため、エンジンの燃料復帰時の触媒温度の挙動を正確に推定でき、もって耐熱温度を越えた温度上昇による触媒の破損を未然に防止することができる。
請求項2の発明の触媒温度推定装置によれば、請求項1に加えて、排ガスと触媒との間の熱伝達量を考慮することで、触媒温度の挙動を一層正確に推定することができる。
請求項3の発明の触媒温度推定装置によれば、請求項1または2に加えて、触媒のOストレージ機能の有無に応じた正確な触媒上の空燃比に基づき反応熱量を算出するため、燃料復帰時の触媒温度の挙動を一層正確に推定することができる。
請求項4の発明の触媒温度推定装置によれば、請求項1乃至3に加えて、排ガスを理論空燃比にするためのO必要量に基づきOストレージ指標を算出することで、さらに正確に反応熱量を算出することができる。
請求項5の発明の触媒温度推定装置によれば、請求項1乃至4に加えて、触媒能力を考慮して実情に即したOストレージ指標を算出することで、さらに正確に反応熱量を算出することができる。
請求項6の発明の触媒温度推定装置によれば、請求項1乃至5に加えて、3次フィルタ補正により触媒温度の挙動を一層正確に推定することができる。
以下、本発明を具体化した触媒温度推定装置の一実施例を説明する。
図1は本実施形態の触媒温度推定装置を示す全体構成図であり、エンジン1は筒内噴射型火花点火式の直列4気筒ガソリンエンジンとして構成されている。エンジン1のシリンダヘッドには、各気筒毎に点火プラグ2と共に電磁式の燃料噴射弁3が取り付けられ、この燃料噴射弁3から燃焼室内に直接燃料が噴射される。シリンダヘッドには各気筒毎に略直立方向に吸気ポート4aが形成されており、これらの吸気ポート4aは吸気マニホールド4を介してスロットルバルブ5と接続され、スロットルバルブ5は図示しない吸気通路と接続されている。
又、シリンダヘッドには略水平方向に排気ポート6aが形成されており、これらの排気ポート6aには排気マニホールド6を介して排気通路7が接続されている。排気通路7の上流側には前段触媒8が配置され、下流側には床下触媒9が配置されている。前段触媒8及び床下触媒9は白金(Pt)、ロジウム(Rh)などの貴金属を担持した三元触媒として構成され、本実施形態では床下触媒9を対象として温度推定の処理を実行している。なお、温度推定の対象となる触媒は床下触媒9に限ることはなく、例えば前段触媒8や図示しないNOx浄化用のNOx吸蔵触媒を対象として温度を推定するようにしてもよい。床下触媒9の上流側には空燃比センサ10(排気空燃比検出手段)が配設され、空燃比センサ10は床下触媒9に流入する排ガスの空燃比を検出する。
車室内には入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等を備えたECU(電子コントロールユニット)21が設置されている。ECU21の入力側には上記空燃比センサ10、スロットルバルブ5の開度を検出するスロットルセンサ22、エンジン1の回転速度を検出する回転速度センサ23、冷却水温を検出する水温センサ24などの各種センサ類が接続されており、これらセンサ類からの検出情報が入力される。ECU21の出力側には、上記点火プラグ2、燃料噴射弁3などの各種デバイス類が接続されている。
ECU21は各センサからの検出情報に基づいて点火時期や燃料噴射時期などを決定し、決定した制御量に基づいて点火プラグ2や燃料噴射弁3を駆動制御してエンジン1を運転する。また、アクセルオフによる車両減速及び所定車速以上などの所定の燃料カット条件が成立すると燃料カットにより燃料噴射を中止し、アクセルオンなどの所定の燃料復帰条件が成立すると燃料噴射を再開する。
そして、[背景技術]でも述べたように、燃料カット時及び燃料復帰時には床下触媒9の急激な温度上昇が発生するため触媒温度Tcatfを推定し難い条件となり、必然的に触媒温度Tcatfに基づいて温度抑制のための適切なエンジン制御を実行することも困難となる。そこで、本実施形態では燃料カット時及び燃料復帰時の反応熱を反映した床下触媒9の温度推定処理を実行しており、以下、当該温度推定処理について詳述する。
具体的な説明に先立って、燃料カット時及び燃料復帰時に触媒上で生起される反応と、当該反応に起因する触媒温度Tcatfへの影響について述べる。
燃料カット時及び燃料復帰時においても他の運転状態と同様に、基本的に触媒の昇温は排ガスと床下触媒9との間の熱伝達量ΔHtに応じて行われるため、触媒温度Tcatfの推定には熱伝達量ΔHtを考慮する必要がある。この熱伝達量ΔHtによる触媒昇温に加えて、燃料カット時には、燃料カット以前に触媒9上に吸着された未燃燃料であるCOやHC(共にリッチ成分であり、以下の説明では代表としてCOと称するがHCも含むものとする)が排ガス中のOにより酸化反応したときの反応熱で触媒温度Tcatfが上昇する現象が生じることから、このときの酸化反応熱量ΔHrを触媒温度Tcatfの推定に反映させる必要がある。
また、燃料復帰時には、燃料カット中に触媒9に吸蔵されたOにより排ガス中の未燃燃料であるCOやHC(上記と同じく代表としてCOと称する)が浄化されたときの反応熱で触媒温度Tcatfが上昇する現象が生じることから、このときの浄化反応熱量ΔHcを触媒温度Tcatfの推定に反映させる必要がある。従って、以下に述べるように、燃料カット時には、排ガスと触媒9との間の熱伝達量ΔHtに加えて酸化反応熱量ΔHrを考慮して触媒温度Tcatfを推定し、燃料復帰時には、熱伝達量ΔHtに加えて浄化反応熱量ΔHcを考慮して触媒温度Tcatfを推定している。
まず、上記燃料カット時のCO酸化反応熱量ΔHrの算出処理について説明する。
図2はECU21のF/C時反応熱量算出部50の処理を示す制御ブロック図である。燃料カット時には排ガス中のOとの反応により触媒上からCOが脱離する現象のみならず、触媒上にCOが吸着する現象も並行して発生し、これらの現象が相俟って触媒9のCO吸着率θco、ひいては燃料カット時の酸化反応熱量ΔHrに影響を及ぼす。そこで、当該CO酸化反応熱量ΔHrの算出処理では、触媒上からのCOの脱離及び触媒上へのCOの吸着を考慮して触媒9の吸着CO量CATcoを算出し、この吸着CO量CATcoをCO酸化反応熱量ΔHrの算出処理に反映させている。
図2においてF/C時反応熱量算出部50の脱離定数算出部51では、前回処理で推定された触媒温度Tcatfから予め設定されたマップに従って脱離速度定数Kredが求められる。触媒上からのCOの脱離速度Rredは触媒9の活性状態に応じて変化することから、活性状態と相関する触媒温度Tcatfに応じて脱離速度定数Kredが設定される。
吸着定数算出部52では、触媒温度Tcatf及び空燃比センサ10により検出された排気空燃比A/Fから予め設定されたマップに従って吸着速度定数Kadが求められる。触媒上へのCOの吸着速度Radは触媒9の活性状態のみならず、排気空燃比A/Fに応じた排ガス組成の相違に影響されることから、触媒温度Tcatf及び排気空燃比A/Fに応じて吸着速度定数Kadが設定される。なお、排気空燃比A/Fは周知の演算手法によりエンジン運転状態などから推定してもよい。
吸着サイト算出部53では、触媒温度Tcatfから予め設定されたマップに従って触媒9のCO吸着のために機能する全ての吸着サイトρco(mol)が求められる。吸着サイトρcoは触媒固有の値であるものの、触媒9の活性状態に応じて変化することから、活性状態と相関する触媒温度Tcatfに応じて吸着サイトρcoが設定される。
CO濃度算出部54では、排気空燃比A/Fから予め設定されたマップに従って排ガス中のCO濃度Pco(atm)が求められる。CO濃度Pcoは排気空燃比A/Fと相関することから、排気空燃比A/Fに応じてCO濃度Pcoが設定される。
一方、前回処理時の酸化反応熱量ΔHrを算出する過程で触媒9のCO吸着率θcoが算出されており、当該CO吸着率θcoは上記吸着サイトρcoとの間に次式(1)の関係が成立している。
θco=rρco/ρco ………(1)
ここに、rρcoは実際の触媒9のCO吸着サイトである。
上記CO吸着率θcoと、上記脱離定数算出部51で算出された脱離速度定数Kred、及び吸着サイト算出部53で算出された吸着サイトρcoとが脱離速度算出部55に入力される。脱離速度算出部55では、これらの入力値に基づき次式(2)に従って触媒上からのCO脱離速度Rred(mol/sec)が算出される。
Rred=Kred・ρco・θco ………(2)
また、上記CO吸着率θcoは減算部56に入力され、減算部56では1からCO吸着率θcoが減算される(1−θco)。減算部56による算出値と、上記吸着定数算出部52で算出された吸着速度定数Kad、吸着サイト算出部53で算出された吸着サイトρco、及びCO濃度算出部54で算出されたCO濃度Pcoとが吸着速度算出部57に入力され、吸着速度算出部57では、これらの入力値に基づき次式(3)に従って触媒上へのCO吸着速度Rad(mol/sec)が算出される。
Rad=Kad・ρco・(1−θco)・Pco ………(3)
また、CO濃度算出部54で算出されたCO濃度Pco、全圧1(atm)、単位時間当たりの排ガス中の全物質量n all(mol/sec)が分圧算出部58に入力され、分圧算出部58では次式(4)に従って分圧として排ガス中のCO量GASco(mol/sec)が算出される。なお、詳細は説明しないが排ガス中の全物質量n allは、吸入空気量Q、空気及び燃料の分子量、排気空燃比A/Fなどに応じて周知の演算手法により算出される。
GASco=Pco/1・n all ………(4)
上記触媒上へのCO吸着速度Radと排ガス中のCO量GAScoとは最小選択部59に入力され、最小選択部59では入力値の小の側を選択して最終的な触媒上へのCO吸着速度Radとして決定する。即ち、CO吸着速度Radは触媒9のCO吸着能力を意味する値であり、当該CO吸着速度Rad以上のCO量GAScoを排ガスが有している場合には、CO吸着速度Radが実際の触媒上へのCO吸着速度Radとなるが、排ガス中のCO量GAScoがCO吸着速度Rad未満の場合には、触媒上へのCO吸着速度RadはCO量GAScoに制限される。このため、最小選択部59で何れか小の側を選択しているのである。
上記脱離速度算出部55で算出されたCO脱離速度Rred及び最小選択部59で選択された触媒上へのCO吸着速度Radは単位時間吸着CO量算出部60に入力され、単位時間吸着CO量算出部60では次式(5)に従って単位時間当たりに触媒9に吸着する単位時間吸着CO量Δadθcoが算出される。
Δadθco=Rad−Rred ………(5)
算出された単位時間吸着CO量Δadθcoは、触媒9の吸着サイトρco及びECU21の演算周期f(例えば、0.1msec)と共に吸着率変化量算出部61に入力され、吸着率変化量算出部61では次式(6)に従って演算周期f間のCO吸着率θcoの変化量Δθcoが算出される。
Δθco=Δadθco/ρco・f ………(6)
CO吸着率θcoの変化量ΔθcoはCO吸着率θcoと共に吸着率算出部62に入力され、吸着率算出部62ではCO吸着率θcoを前回処理時の値θco(n-1)と見なし、次式(7)に従って今回のCO吸着率θco(n)が算出される。
θco(n)=θco(n-1)+Δθco ………(7)
その後、CO吸着率θco(n)は吸着サイトρco及びECU21の演算周期fと共に吸着CO量算出部63に入力され、吸着CO量算出部63では次式(9)に従って現在触媒9に吸着されている吸着CO量の単位時間相当値CATco(mol/sec)が算出される。
CATco=θco(n)・ρco / f ………(9)
一方、O濃度算出部64では、排気空燃比A/Fから予め設定されたマップに従ってO濃度Poが求められる。上記CO濃度Pcoと同じくO濃度Poは排気空燃比A/Fに応じて決定されるが、後述する反応速度式(10)に適用するときの便宜のために、このときマップからはO濃度Poを1/2乗した値Po 1/2が算出される。
反応速度定数算出部65では、触媒温度Tcatfから予め設定されたマップに従ってCOとOとが反応するときの反応速度定数Krが求められる。COとOとの反応速度は触媒9の活性状態に応じて変化することから触媒温度Tcatfに応じて反応速度定数Krが設定される。
濃度算出部64で算出されたO濃度Po 1/2、反応速度定数算出部65で算出された反応速度定数KrはCO吸着率θco及び吸着サイトρcoと共に反応速度算出部66に入力され、反応速度算出部66では次式(10)に従ってCOとOとが反応可能な最大の反応速度r(mol/sec)が算出される。
r=Kr・ρco・θco(Po1/2 ………(10)
即ち、触媒上でのCOとOとの最大の反応速度rはCO量CATco(=θco・ρco)とO濃度Poとの積により定まり、且つ次式(11)で示すようにCOとOとの反応モル比が「2」であることから、上式(10)ではO濃度をPo 1/2としているのである。
CO+1/2O→CO ………(11)
上式(11)に基づいて設定された反応モル比の「2」、O濃度算出部64で算出されたO濃度Po 1/2、全圧1(atm)、単位時間当たりの排ガス中の全物質量n allは排気O量算出部67に入力され、排気O量算出部67では次式(12)に従って排ガス中のO量GASo(mol/sec)が算出される。
GASo=2・Po/1・n all ………(12)
吸着CO量算出部63で算出された触媒上の吸着CO量CATco、反応速度算出部66で算出された反応速度r、排気O量算出部67で算出された排気O量GASoは最小選択部68に入力され、最小選択部68ではこれらの値の最小値がCOの反応量Rct(mol/sec)として選択される。基本的にCOとOとの反応は、吸着CO量CATcoと排気O量GASoとの何れか小の側の供給量により定まるが、反応速度rを越える反応は不可能であるため、反応速度rを加えた3つの要件の最小値がCO反応量Rctとして決定される。
最小選択部68で算出されたCO反応量Rctはエンジン1の燃料カット中にセットされる燃料カットフラグと共にF/C判定部69に入力され、F/C判定部69では、燃料カットフラグのリセットにより燃料カット中でないと判定したときには0が選択され、燃料カットフラグのセットにより燃料カット中と判定したときにはCO反応量Rctが選択される。F/C判定部69で選択された値は燃料の反応熱量(例えば、283kJ/mol)及びECU21の演算周期fと共にΔHr算出部70に入力され、ΔHr算出部70ではこれらの値に基づき触媒上でのCOの酸化反応により発生するCO酸化反応熱量ΔHrが算出される。従って、F/C時反応熱量算出部50からは燃料カット中でないときには0が出力され、燃料カット中にはCO酸化反応熱量ΔHrが出力される。
F/C判定部69で選択された値(Rctまたは0)は吸着サイトρcoと共に吸着率減少分算出部71に入力され、吸着率減少分算出部71ではこれらの値に基づいてCOの反応により触媒上の吸着率の減少分Δrθcoが算出される。算出された吸着率減少分Δrθcoは上記吸着率算出部62で算出された今回のCO吸着率θco(n)と共に吸着率更新部72に入力され、吸着率更新部72では次式(13)に従って最新のCO吸着率θcoが算出される。
θco=θco(n)−Δrθco ………(13)
吸着率更新部72で算出されたCO吸着率θcoは上限クリップ部73により上限を1.0に制限され、下限クリップ部74により下限を0に制限される。各クリップ部73,74での処理は、何らかの要因により不適切なCO吸着率θcoが算出された場合への対策であり、これらの処理後のCO吸着率θcoが次回のECU21の処理で適用される。
次に、上記排ガスと触媒9との間の熱伝達量ΔHt(kJ/sec)の算出処理について説明する。
図3はECU21の排ガス・触媒間の熱伝達量算出部80の処理を示す制御ブロック図である。排ガスと触媒9との間の熱伝達量ΔHtは、排ガスと触媒9との温度差、排ガスと触媒9との接触面積、及び熱伝達係数に依存し、これらの間には次式(14)が成立する。
ΔHt=h・Sv・(Tex−Tcatf)・Vcat ………(14)
ここに、Svは触媒9の比表面積、hは熱伝達係数、Texは推定処理により推定された排ガス温度、Tcatfは触媒温度、Vcatは触媒体積である。なお、ここではTexは、推定処理により推定された排ガス温度としているが、図1に示すように排気温度センサ11を用いて検出するようにしてもよい。
図3において熱伝達量算出部80の接触面積算出部81では、予め設定されたマップに従って吸入空気量Qから触媒9の有効接触面積Scatが算出される。有効接触面積Scatは排ガスに対する触媒9の接触面積であり、上式(14)の触媒9の比表面積Svと触媒体積Vcatとの積に相当する。
また、熱伝達係数算出部82では、予め設定されたマップに従って吸入空気量Q及び排ガス温度Texから熱伝達係数hが算出される。温度差算出部83では、排ガス温度Texと仮触媒温度Tcat(触媒温度Tcatfのフィルタ処理前の値)との差ΔTが算出される。
上記有効接触面積Scat、熱伝達係数h、温度差ΔTはECU21の演算周期fと共にΔHt算出部84に入力され、ΔHt算出部84では各値が乗算され、結果として上式(14)に従って演算周期f間の熱伝達量ΔHt(kJ/sec)が算出される(熱伝達量算出手段)。
次に、上記燃料復帰時の触媒9に吸蔵されたOによるCO浄化反応熱量ΔHcの算出処理について説明する。
図4はECU21のF/C復帰時浄化熱量算出部110の処理を示す制御ブロック図、図5はECU21のO吸蔵率算出部90の処理を示す制御ブロック図である。触媒上でのCO浄化反応熱量ΔHcはエンジン1の運転状態、即ち、エンジン回転速度Ne、充填効率Ec、触媒上の空燃比A/Fに依存し、これらの値から決定することができる。但し、触媒上の空燃比A/Fは基本的に排気空燃比A/Fを適用できるが、触媒9によるOストレージ機能の影響を受けることからこの点を考慮する必要がある。即ち、触媒9は排気空燃比A/Fがリーン側のときにOを吸蔵する一方、排気空燃比A/FがリッチのときにOを放出することで、排気空燃比A/Fをストイキオ(A/F=14.7)に保持する作用を奏するため、このようなOストレージ機能が発揮されているときには、排気空燃比A/Fがストイキオ以外であっても触媒上の空燃比はストイキオに保持される一方、Oストレージ機能が発揮されていないときには、触媒上の空燃比は排気空燃比A/Fとなる。
そこで、当該CO浄化反応熱量ΔHcの算出処理では、触媒9のOストレージ機能と相関するO吸蔵率θoを算出し、算出したO吸蔵率θoをCO浄化反応熱量ΔHc(kJ/sec)の算出処理に反映させており、まず、O吸蔵率θoの算出処理について説明する。
上記燃料カット時の触媒上でのCOの挙動と同様に、燃料復帰時には排ガス中のCOとの反応により触媒上からOが放出される現象のみならず、排ガス中のOが触媒上に吸蔵される現象も並行して発生しており、これらの現象が相俟って触媒9のO吸蔵率θo、ひいては燃料復帰時のCO浄化反応熱量ΔHcに影響を及ぼす。そこで、当該CO浄化反応熱量ΔHcの算出処理では、触媒上からのOの放出及び触媒上へのOの吸蔵を考慮して触媒9の吸蔵O量を算出し、この吸蔵O量をCO浄化反応熱量ΔHcの算出処理に反映させている。
図5においてO吸蔵率算出部90の吸蔵サイト算出部91では、触媒温度Tcatfから予め設定されたマップに従って触媒9のO吸蔵のために機能する吸蔵サイトρo(mol)が求められる。吸蔵サイトρoは触媒固有の値であるものの、上記CO吸着サイトと同じく触媒9の活性状態に応じて変化することから、活性状態と相関する触媒温度Tcatfに応じて吸蔵サイトρoが設定される。吸蔵サイトρoはO吸蔵率θoとの間に次式(15)の関係が成立している。
θo=rρo/ρo ………(15)
ここに、rρoは実際の触媒9のO吸蔵サイトである。
吸蔵サイト算出部91で算出された吸蔵サイトρo及び前回処理時のO吸蔵率θoはO放出能力量算出部92に入力され、O放出能力量算出部92では、これらの入力値に基づき次式(16)に従って現在の触媒9のO放出能力量Cred(mol)が算出される(触媒能力算出手段)。
Cred=ρo・θo・(−1) ………(16)
なお、上式(15)で−1の乗算によりO放出能力量Credを負の値として設定しているのは、O放出がO吸蔵率θoに対して減少側に作用するためである。
また、減算部93では1からO吸蔵率θoが減算され(1−θo)、減算後の値と上記吸蔵サイト算出部91で算出された吸蔵サイトρoとがO吸蔵能力量算出部94に入力され、O吸蔵能力量算出部94では、これらの入力値に基づき次式(17)に従って現在の触媒9のO吸蔵能力量Cad(mol)が算出される(触媒能力算出手段)。
Cad=ρo・(1−θo) ………(17)
一方、O過不足量算出部95では、排気空燃比A/Fから予め設定されたマップに従って排ガス中のO過不足量ΔO(vol%)が求められる。当該O過不足量ΔOはストイキオを基準としたOの過剰量またはOの不足量を意味し、排気空燃比A/Fに応じて設定される。設定されたO過不足量ΔOは単位時間当たりの排ガス中の全物質量n all(mol/sec)と共に換算部96に入力され、単位時間当たりの値(mol/sec)に換算される。
消費量算出部97では上記F/C時反応熱量算出部50のF/C判定部69から出力されたCO反応量Rct(mol/sec)、及びCOとOとの反応モル比の「2」が入力され、これらの入力値に基づき次式(18)に従って燃料カット中に触媒上のCOと反応して消費された排ガス中のO消費量expΔOが算出される。
expΔO=Rct/2 ………(18)
減算部98には、換算部96で換算後のO過不足量ΔO、及びO消費量算出部97で算出されたO消費量expΔOが入力され、次式(19)に従って、排ガスをストイキオにするために必要な(即ち、排ガスを浄化するために必要な)単位時間当たりのO量としてOストイキオ必要量Δadoが算出される(O必要量算出手段)。具体的には、排気空燃比A/Fがリッチ側で排ガス中のCOのOによる酸化反応を要するときには触媒上からの放出O量(負の値)として、また、排気空燃比A/Fがリーン側で余剰Oの吸蔵を要するときには触媒上への吸蔵O量(正の値)としてOストイキオ必要量Δadθoが算出される。算出されたOストイキオ必要量Δadoは換算部99に入力され、次式(20)に従って演算周期f間の値Δadθoに換算される。
Δado=ΔO−expΔO ………(19)
Δadθo=Δado・f ………(20)
換算後のOストイキオ必要量Δadθoは、上記触媒9のO放出能力量Cred及びO吸蔵能力量Cadと排気空燃比A/Fと共にO放出吸蔵量算出部100に入力される。O放出吸蔵量算出部100では、排気空燃比A/Fがストイキオ以下のリッチ側で、触媒上においてOの放出現象が生起されていると推測されるときには、O放出能力量CredとOストイキオ必要量Δadθoとの大の側が選択される(共に負の値のため絶対値では小の側となる)。また、排気空燃比A/Fがストイキオを越えてリーン側で、触媒上においてOの吸蔵現象が生起されていると推測されるときには、O吸蔵能力量CadとOストイキオ必要量Δadθoとの小の側が選択される。
即ち、排ガスのストイキオのために触媒能力(Cred,Cad)以上のO量(Δadθo)が要求されても、実際に使用されるO量は触媒能力相当分に制限され、逆にストイキオのために要求されるO量(Δadθo)を越える触媒能力(Cred,Cad)が確保されていても、全触媒能力の内のO量相当分だけが使用されることから、このような点を鑑みてO放出吸蔵量算出部100での処理が設定されている。
放出吸蔵量算出部100で選択された値(CredまたはCredまたはΔadθo)は吸蔵サイトρoと共に吸蔵率減少分算出部101に入力され、吸蔵率減少分算出部101ではこれらの値に基づいてOの反応により触媒上の吸蔵率の減少分Δrθoが算出される。算出された吸蔵率の減少分Δrθoは前回処理時のO吸蔵率θo共に吸蔵率更新部102に入力され、吸蔵率更新部102では次式(21)に従って最新のO吸蔵率θoが算出される(Oストレージ指標算出手段)。
θo=θo+Δrθo ………(21)
吸蔵率更新部102で算出されたO吸蔵率θoは上限クリップ部103により上限を1.0に制限され、下限クリップ部104により下限を0に制限される。
以上のように算出された触媒9のO吸蔵率θoが図4に示すF/C復帰時浄化熱量算出部110のA/F判定部111に入力される。A/F判定部111では、O吸蔵率θoが0(Oの放出限界)または1.0(Oの吸蔵限界)であり触媒9がOストレージ機能を奏していないと判定したときには、触媒上の空燃比として排気空燃比A/Fが選択される(空燃比推定手段)。また、O吸蔵率θoが0>θ0>1.0の条件を満たして触媒9がO2ストレージ機能を奏していると判定したときには、触媒上の空燃比としてストイキオが選択される(空燃比推定手段)。
A/F判定部111で判定された触媒上の空燃比は回転速度センサ23により検出されたエンジン回転速度Ne(運転状態検出手段)及びエンジン1の運転状態に基づき算出された充填効率Ec(運転状態検出手段)と共にΔHc算出部112に入力され、ΔHc算出部112ではエンジン回転速度Ne、充填効率Ec及び触媒上の空燃比A/Fに基づき予め設定されたマップに従って単位時間当たりのCO浄化反応熱量ΔHc(kJ/sec)が算出される(浄化反応熱量算出手段)。
算出されたCO浄化反応熱量ΔHcは燃料カットフラグと共にF/C判定部113に入力され、F/C判定部113では、燃料カットフラグのリセットにより燃料カット中でないと判定したときにはCO浄化反応熱量ΔHcが選択され、燃料カットフラグのセットにより燃料カット中と判定したときには0が選択される。F/C判定部113で選択された値はECU21の演算周期fと共に周期換算部114に入力され、周期換算部114ではこれらの値に基づき演算周期f間のCO浄化反応熱量ΔHc(kJ)が算出される。従って、F/C復帰時浄化熱量算出部110からは燃料カット中でないときにはCO浄化反応熱量ΔHcが出力され、燃料カット中には0が出力される。
次に、最終的な触媒温度Tcatfの推定処理について説明する。
図6はECU21が実行する触媒温度推定部120の処理状況を示す制御ブロック図である。F/C時反応熱量算出部50で算出された燃料カット時のCO酸化反応熱量ΔHr、上記F/C復帰時反応熱量算出部110で算出された燃料復帰時のCO浄化反応熱量ΔHc、熱伝達量算出部80で算出された排ガス・触媒間の熱伝達量ΔHtが総熱量算出部121に入力される。上記のように燃料カット時にはCO酸化反応熱量ΔHrと排ガス・触媒間の熱伝達量ΔHtとが有効値として算出され、燃料復帰時にはCO浄化反応熱量ΔHcと排ガス・触媒間の熱伝達量ΔHtとが有効値として算出されるため、総熱量算出部121ではそれぞれの場合に対応する2つの値が加算されて触媒温度上昇の要因となる総熱量ΣHが算出される。
算出された総熱量ΣHは温度上昇量算出部122に入力され、総熱量ΣHと予め設定された触媒9の熱容量とに基づいて触媒9の温度上昇量ΔTが算出されて触媒温度算出部123に入力される。触媒温度算出部123では前回処理時の仮触媒温度Tcat(以下に述べるフィルタ処理前の触媒温度)に温度上昇量ΔTが加算されて仮触媒温度Tcatが算出される。この仮触媒温度Tcatが前回値として記憶されると共に、この仮触媒温度Tcatをベースとして触媒中の熱伝導を模擬した3次フィルタにより最終的な触媒温度Tcatfが算出される(触媒温度推定手段)。
3次フィルタのゲイン算出部124では予め設定されたマップにより吸入空気量QからフィルタゲインKcaが設定される。図に示すように吸入空気量Qの増加に伴って次第にフィルタゲインKcaも増加し、設定されたフィルタゲインKcaが上記仮触媒温度Tcatと共に第1フィルタ部125に入力される。第1フィルタ部125では上記仮触媒温度Tcat、フィルタゲインKca、前回処理時の第1触媒温度セルTf1(第1フィルタ処理後の触媒温度)に基づき、今回の第1触媒温度セルTf1が算出され、この第1触媒温度セルTf1が記憶されると共に第2フィルタ部126に入力される。
第2フィルタ部126では上記第1触媒温度セルTf1、フィルタゲインKca、前回処理時の第2触媒温度セルTf2(第2フィルタ処理後の触媒温度)に基づき、今回の第2触媒温度セルTf2が算出され、この第2触媒温度セルTf2が記憶されると共に第3フィルタ部127に入力される。
第3フィルタ部127では上記第2触媒温度セルTf2、フィルタゲインKca、前回処理時の第3触媒温度セルTf3(第3フィルタ処理後の触媒温度)に基づき、今回の第3触媒温度セルTf3が算出され、この第3触媒温度セルTf3が記憶されると共に最終的な触媒温度Tcatfとして出力される。吸入空気量Qと共にフィルタゲインKcaが増加されるほど、各フィルタ部125〜127の処理では前回値が反映され難くなって今回値に近い値が算出され、結果として最終的な触媒温度Tcatfは吸入空気量Qと相関する触媒中での熱伝導を模擬した値として算出される。
以上のように本実施形態の触媒温度推定装置では、燃料復帰時において触媒上に吸蔵されたOにより排ガス中のCOが浄化されたときのCO浄化反応熱量ΔHcを算出し、このCO浄化反応熱量ΔHcと熱伝達量ΔHtとに基づいて床下触媒9の温度を推定している。従って、燃料復帰時の触媒温度の挙動を正確に推定でき、この触媒温度Tcatfに基づいて適切にエンジン制御を実行することにより、耐熱温度を越えた温度上昇による触媒の破損を未然に防止することができる。
図7は燃料カットと燃料復帰が短い周期で繰り返されたときの触媒温度の推定状況を従来技術と比較した試験結果を示し、このような運転状態は運転者が頻繁にアクセルをオン・オフした場合が考えられる。燃料カット時に発生するCO酸化反応熱量ΔHr及び燃料復帰時に発生するCO浄化反応熱量ΔHcにより実触媒温度は排ガス温度Texに比較して急激に上昇し、従来技術による推定値ではこの温度上昇がほとんど反映されない。これに対して本実施形態の推定手法によれば、実触媒温度に極めて近似する推定値Tcatfが得られており、この試験結果からも上記本発明の作用効果が裏付けられる。
しかも、CO浄化反応熱量ΔHcの算出に適用する触媒上の空燃比として、O吸蔵率θoが0または1.0のときには(Oストレージ機能無し)排気空燃比A/Fを選択し、O吸蔵率θoが0>θ0>1.0のときには(Oストレージ機能有り)ストイキオを選択するため、実状に則した正確な触媒上の空燃比に基づいてCO浄化反応熱量ΔHc、ひいては触媒温度Tcatfの挙動を一層正確に推定することができる。
また、排ガスをストイキオにするために要するOストイキオ必要量Δadθo、即ち、排ガス浄化に際して触媒上で放出及び吸蔵されるO量に基づいてO吸蔵率θoを算出し、しかも、Oストイキオ必要量Δadθoと触媒のO放出能力量Cred及びO吸蔵能力量Cadとを大小関係に応じて選択し、選択した値に基づいてO吸蔵率θoを算出しているため、正確なO吸蔵率θo、ひいては正確なCO浄化反応熱量ΔHcを算出することができる。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では燃料カット時と燃料復帰時との双方で共に触媒温度Tcatfを推定したが、必ずしも燃料カット時に触媒温度Tcatfを推定する必要はなく、例えば燃料復帰時のみにCO浄化反応熱量ΔHcrに基づいて触媒温度Tcatfを推定するようにしてもよい。また、上記実施形態ではエンジン1は筒内噴射型火花点火式のガソリンエンジンとして説明したが、これに限定されることはなく、吸気ポートに燃料を供給するガソリンエンジンであってもよく、またディーゼルエンジンでも本発明を適用可能である。
実施形態の触媒温度推定装置を示す全体構成図である。 ECUのF/C時反応熱量算出部の処理を示す制御ブロック図である。 ECUの排ガス・触媒間の熱伝達量算出部の処理を示す制御ブロック図である。 ECUのF/C復帰時浄化熱量算出部の処理を示す制御ブロック図である。 ECUのO吸蔵率算出部の処理を示す制御ブロック図である。 ECUの触媒温度推定部の処理状況を示す制御ブロック図である。 燃料カットと燃料復帰が短い周期で繰り返されたときの触媒温度の推定状況の試験結果を示す図である。
符号の説明
1 エンジン
9 床下触媒
10 空燃比センサ(排気空燃比検出手段)
21 ECU
23 回転速度センサ(運転状態検出手段)
84 ΔHt算出部(熱伝達量算出手段)
94 O吸蔵能力量算出部(触媒能力算出手段)
92 O放出能力量算出部(触媒能力算出手段)
98 減算部(O必要量算出手段)
102 吸蔵率更新部(Oストレージ指標算出手段)
111 A/F判定部(空燃比推定手段)
112 ΔHc算出部(浄化反応熱量算出手段)
123 触媒温度算出部(触媒温度推定手段)

Claims (6)

  1. エンジンの排気通路に設けられた排ガス浄化用触媒の温度を推定する触媒温度推定装置において、
    上記エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段と、
    上記触媒に吸蔵されているO量と相関するOストレージ指標を算出するOストレージ指標算出手段と、
    上記触媒上の空燃比を推定する空燃比推定手段と、
    上記エンジンの燃料復帰時において、上記運転状態検出手段により検出されたエンジン運転状態、上記Oストレージ指標算出手段により算出されたOストレージ指標、及び上記空燃比推定手段により推定された空燃比に基づき上記触媒の浄化反応により発生する反応熱量を算出する浄化反応熱量算出手段と、
    上記浄化反応熱量算出手段により算出された反応熱量に基づき上記燃料復帰時の触媒温度を推定する触媒温度推定手段と
    を備えたことを特徴とする触媒温度推定装置。
  2. 上記燃料復帰時に上記エンジンから排出される排ガスと上記触媒との間の熱伝達量を算出する熱伝達量算出手段を備え、
    上記触媒温度推定手段は、上記熱伝達量算出手段により算出された熱伝達量と上記浄化反応熱量算出手段により算出された反応熱量とから上記触媒の温度を推定することを特徴とする請求項1記載の触媒温度推定装置。
  3. 上記空燃比推定手段は、上記Oストレージ指標算出手段により算出されたOストレージ指標に基づき上記触媒がO吸蔵限界の上限近傍または下限近傍にあると判定したときには、排気空燃比検出手段により検出された排気空燃比を上記触媒上の空燃比と見なす一方、上記触媒が吸蔵限界の上限近傍または下限近傍にないと判定したときには、理論空燃比を上記触媒上の空燃比と見なすことを特徴とする請求項1または2記載の触媒温度推定装置。
  4. 上記燃料復帰時に上記排ガスを理論空燃比にするために要するO必要量を算出するO必要量算出手段を備え、
    上記Oストレージ指標算出手段は、上記O必要量算出手段により算出されたO必要量に基づき上記Oストレージ指標を算出することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の触媒温度推定装置。
  5. 上記触媒の活性状態に基づき該触媒上のO放出及び吸蔵能力を算出する触媒能力算出手段を備え、
    上記Oストレージ指標算出手段は、上記触媒能力算出手段により算出された触媒能力が上記O必要量算出手段により算出されたO必要量より小のときには、該触媒能力に基づき上記Oストレージ指標を算出することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の触媒温度推定装置。
  6. 上記触媒温度推定手段は、推定した触媒温度を上記触媒中の熱伝導を模擬した3次フィルタにより補正することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の触媒温度推定装置。
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