JP2007276031A - 加工対象物把握手段の監視方法および加工対象物把握手段の監視装置 - Google Patents

加工対象物把握手段の監視方法および加工対象物把握手段の監視装置 Download PDF

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Abstract

【課題】安全性の向上を図ることのできる加工対象物把握手段の監視方法および加工対象物把握手段の監視装置を提供する。
【解決手段】 加工対象物把握手段21に把握力検出手段2を設けるとともに、把握異常であることをオペレータに告知する告知手段3、および、把握力の閾値が記憶される記憶部6と演算部5を備え、演算部5により把握力検出手段2から送出される把握力の検出値を記憶部6に記憶された閾値と比較して加工対象物把握手段21の爪27による加工対象物Wの把握力の異常の有無を判別し、把握力に異常があると判断した場合、告知手段3を動作させる制御部4を設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、加工対象物把握手段で把握した加工対象物を回転させて安全に加工するのに好適な加工対象物把握手段の監視方法および加工対象物把握手段の監視装置に関する。
従来から、工作機械、例えば、普通旋盤、自動旋盤、NC旋盤およびCNC旋盤などの旋盤や円筒研削盤などにおいては、回転駆動される主軸(スピンドル)の先端に加工対象物(ワーク)を着脱自在に把握するための複数の爪を備えた加工対象物把握手段(チャック)が取着されている。そして、加工対象物把握手段により加工対象物を外側からあるいは内側から締め付けて把握させてから、加工対象物を主軸に取着された加工対象物把握手段とともに回転させ、工具(バイトあるいは砥石)を加工対象物に接触させて加工(切削加工あるいは研削加工)を行うようになっている。
加工対象物を把握する加工対象物把握手段としては、主軸台に回転可能に支持された主軸の先端に取り付けられる剛性を有するチャック本体(チャックボディ)に、加工対象物を把握するための径方向に移動自在とされた開閉自在な複数の爪(ジョー)が配設されて構成されている。
また、このような加工対象物把握手段としては、普通旋盤などに用いられている爪の開閉を人手により行う手締めチャックと、NC旋盤などに用いられている爪の開閉を駆動源たるアクチュエータの駆動力を用いて行うパワーチャックとがある。
なお、手締めチャックには、各爪が単独で動く単独チャックと、各爪が一緒に動く連動チャックとがある。
近年の加工対象物把握手段としては、人手をかけずに生産性の向上や加工時間の短縮による低コスト化を容易に図ることができるなどの理由により、パワーチャックが一般的に用いられている(例えば、特許文献1参照)。
従来のパワーチャックについて、アクチュエータとして油圧シリンダを用いた油圧チャックを例示して説明する。
従来の油圧チャックは、主軸後部に設けた油圧シリンダを油圧により駆動して、主軸内に配設されている連結部材としてのドローパイプ(ドローチューブ)を進退移動させ、これによりチャック本体のくさび機構、レバー機構などの伝達機構を介してチャック本体に設けられたマスタジョーにボルトなどで着脱可能に固定された複数の爪を径方向へ進退移動させて開閉を同時に行うように構成されている。
ところで、加工対象物把握手段の爪で加工対象物を把握して加工する場合、加工対象物を回転させると、回転にともなう遠心力により爪で把握している加工対象物に対する把握力が減少あるいは増加することが知られている。
例えば、油圧チャックの爪で加工対象物を外側から把握(外径把握)する場合には、図10の回転速度と把握力との関係を示す把握力減少線図に示すように、爪で加工対象物を把握したセット状態(加工対象物に回転を付与しない回転速度が零の非回転状態)での把握力を12KNとした場合、回転速度が毎分5000になると、把握力は、遠心力の影響を受けて4KN減少して8KNとなる。なお、図10には、セット状態での把握力を10KNおよび6KNとした場合の回転速度と把握力の関係についても併せて示してある。
したがって、油圧チャックの爪で加工対象物を外径把握する場合のセット状態での把握力は、オペレータの経験などに基づいて回転速度、すなわち、遠心力による減少を考慮して不足が生じないように設定されるようになっている。
また、油圧チャックの爪で筒状などの加工対象物を内側から把握(内径把握)する場合には、図11の回転速度と把握力との関係を示す把握力増加線図に示すように、セット状態での把握力を4KNとした場合、回転速度が毎分5000になると、遠心力の影響を受けて4KN増加して8KNとなる。なお、図11には、セット状態での把握力を6KN、8KN、および、10KNとした場合の回転速度と把握力との関係についても併せて示してある。
したがって、パワーチャックの爪で加工対象物を内径把握する場合のセット状態での把握力は、オペレータの経験などに基づいて回転速度、すなわち、遠心力による増加および加工対象物が把握力の増加で変形しないように考慮して過剰にならないように設定されるようになっている。
なお、油圧チャックの爪による加工対象物の把握力は、油圧シリンダのピストンの軸方向への力(油圧シリンダの出力)、ひいては、油圧シリンダの油圧に正比例するものである。この把握力とピストンの力との関係の一例を図12の線図に示す。また、把握力と油圧シリンダの油圧との関係の一例を図13の線図に示す。
ところで、加工対象物把握手段の爪による加工対象物の把握力は、遠心力により増減するので、回転速度と把握力の関係を認識したうえで把握力を設定して加工を行わないと、加工精度および安全性の面で大きな影響を受けることになる。
特に、生産性の向上や加工時間の短縮による低コスト化などの理由により高速の加工が求められている近年においては、回転速度と把握力の関係を認識したうえで把握力を設定して加工を行うことが加工精度および安全性の面でより重要となっている。
そこで、加工対象物把握手段に測定用の回転体を把握させることにより、把握力と回転速度を直接測定することのできる把握力測定器が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
実開平6−42005号公報(図2) 特開平07−308808号公報
しかしながら、従来の把握力測定器では、近年の安全性の向上に応えることができないという問題点があった。
すなわち、従来の把握力測定器では、加工対象物の代わりに回転体を加工対象物把握手段で把握することで、単に、遠心力の影響による把握力と回転速度との関係を予め測定し、得られた把握力の検出値および回転速度の値を外部の表示装置により表示するものに過ぎず、実際の工作機械における加工対象物把握手段の爪に加工対象物をセットしたセット状態および加工対象物を回転させた回転状態(加工中を含む)での把握力を監視することはできないという問題点があった。
なぜならば、加工対象物把握手段による加工対象物の把握力は、遠心力の影響による増減だけではなく、回転状態において加工対象物に加わる切削力あるいは研削力に代表される外力などの各種の遠心力以外の要因によっても不均衡になったり減少したりする。
例えば、加工対象物が鍛造や鋳物などのバリを有する場合、バリが大きいと、バリの加工部分とそれ以外の部分では加工代が異なるために、切削抵抗あるいは研削抵抗が大きく変動して把握力が不均衡になったり減少したりする。
このように遠心力以外の要因により加工中において把握力が不均衡になったり減少したりして加工対象物の把握力が不足すると、加工中に爪で把握している加工対象物が偏心し、加工対象物が爪の把握面でスリップしたり、甚だしくは、加工対象物が爪から離脱して周囲に飛ぶおそれがある。
また、パワーチャックの場合には、ドローパイプの破損、アクチュエータの作動流体の漏れ(油圧チャックにおける作動油の配管からの漏れ、空気圧チャックにおける圧縮空気の配管からの漏れ)、作動流体の温度の変動(油圧チャックにおける作動油の温度変化、空気圧チャックにおける圧縮空気の温度変化)、作動流体の劣化(油圧チャックにおける作動油の劣化)、アクチュエータの劣化(電動チャックにおけるコイルの劣化)などによる把握力の減少がある。
さらに、パワーチャックにおけるマスタージョーなどの摺動部分に配置されているグリースが切削液あるいは研削液により洗い流されたり、摺動部分に切粉が侵入してグリースに切粉が混在したりして摺動部分の摺動抵抗が大きくなった時の把握力の減少がある。
これらのように遠心力以外の要因により把握力の減少などが発生して加工対象物の把握力が不足すると、セット状態において駆動源から所定の力を付与しても本来の把握力を得ることができず、回転状態での加工対象物の把握力も本来の把握力を得ることができなくなる。
そこで、安全性の向上を図ることのできる加工対象物把握手段の監視方法および加工対象物把握手段の監視装置が求められている。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、安全性の向上を図ることのできる加工対象物把握手段の監視方法および加工対象物把握手段の監視装置を提供することを目的とする。
前述した目的を達成するため、本発明に係る加工対象物把握手段の監視方法の特徴は、主軸台に回転可能に支持された主軸の先端に取り付けられるチャック本体およびこのチャック本体に開閉自在に配設された複数の爪を具備する加工対象物把握手段の前記複数の爪による加工対象物の把握力を検出する把握力検出手段を設け、前記把握力検出手段により検出される把握力の検出値を予め設定された閾値と比較することにより前記加工対象物把握手段による加工対象物の把握力の異常の有無を判別し、前記把握力に異常があると判断した場合、異常であることをオペレータに告知する点にある。
前記閾値が下限値であり、前記検出値が前記閾値未満の場合に、前記把握力が不足の異常と判断することが好ましく、また、前記閾値が上限値であり、前記検出値が前記閾値を越える場合に、前記把握力が過剰の異常と判断することが好ましく、さらにまた、前記閾値が下限値および上限値の2つにより構成される許容範囲であり、前記検出値が前記許容範囲外の場合に、前記把握力が不足あるいは過剰の異常と判断することが好ましい。
また、本発明に係る加工対象物把握手段の監視装置の特徴は、主軸台に回転可能に支持された主軸の先端に取り付けられるチャック本体およびこのチャック本体に開閉自在に配設された複数の爪を具備する加工対象物把握手段の開閉自在な複数の爪による加工対象物の把握力を検出する把握力検出手段と、前記複数の爪による加工対象物の把握力の異常をオペレータに告知する告知手段と、前記複数の爪による加工対象物の把握力の閾値が記憶される記憶部と演算部とを備え、前記演算部により前記把握力検出手段から送出される把握力の検出値を前記記憶部に記憶された閾値と比較して前記加工対象物把握手段による加工対象物の把握力の異常の有無を判別し、前記把握力に異常があると判断した場合、前記告知手段を動作させる制御部とを有している点にある。
前記閾値が下限値であり、前記制御部は、前記検出値が前記閾値未満の場合に、前記把握力が不足の異常と判断するように構成されていることが好ましく、また、前記閾値が上限値であり、前記制御部は、前記検出値が前記閾値を越える場合に、前記把握力が過剰の異常と判断することが好ましく、さらにまた、前記閾値が下限値および上限値の2つにより構成される許容範囲であり、前記制御部は、前記検出値が前記許容範囲外の場合に、前記把握力が不足あるいは過剰の異常と判断することが好ましい。
前記把握力検出手段は、前記爪に設けられていることが好ましい。また、前記複数の爪は、連結部材を介して接続された駆動源たるアクチュエータの駆動力により開閉自在に形成されていることが好ましく、前記アクチュエータは、油圧シリンダであることが好ましい。さらに、前記把握力検出手段は、前記複数の爪、連結部材およびアクチュエータのうちの少なくともいずれかに配設されていることが好ましく、前記把握力検出手段は、歪みゲージであることが好ましい。さらにまた、前記チャック本体は、取付部材を介して前記主軸の先端に取り付けられており、この取付部材に前記告知手段が設けられていることが好ましい。
本発明に係る加工対象物把握手段の監視方法によれば、加工対象物把握手段の爪による加工対象物の把握力を検出して把握力の異常の有無を判別し、把握力に異常があると判断した場合、異常であることをオペレータに告知することができるので、加工対象物把握手段による加工対象物の把握力の異常をオペレータに容易に認識させることができる。
また、本発明に係る加工対象物把握手段の監視装置によれば、本発明の加工対象物把握手段の監視方法を容易に実施することができる。
したがって、本発明に係る加工対象物把握手段の監視方法および加工対象物把握手段の監視装置によれば、安全性の向上を図ることができる。
以下、本発明を図面に示す実施形態により説明する。
図1は本発明に係る加工対象物把握手段の監視装置の実施形態の要部を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態の加工対象物把握手段の監視装置(以下、単に、監視装置と記す。)1は、把握力検出手段2、告知手段3および制御部4を有している。なお、本実施形態の監視装置1を用いた加工対象物把握手段21の構成については後述する。
前記把握力検出手段2は、後述する加工対象物把握手段21の爪27による加工対象物Wの把握力を検出するためのものであり、有線あるいは無線により制御部4と電気的に接続されている。そして、加工対象物把握手段21、詳しくは加工対象物把握手段21の爪27が加工対象物Wを把握した際の把握力を検出して、その検出した把握力の検出値を制御部4に送出することができるようになっている。
前記把握力検出手段2としては、力センサが用いられている。この力センサとしては、歪みゲージ、歪みゲージを用いた圧力センサ、半導体を用いた圧力センサなどの各種のものから選択使用することができる。
なお、本実施形態においては、後述するように、1方向の歪みを測定する金属線を用いた歪みゲージ2a(図2)が主として用いられている。このような歪みゲージ2aとしては、1方向の歪みを測定するものを用いたり、1方向の歪みを測定するものを相互に直交する2方向に組み合わせて用いたり、相互に直交する2方向の歪みを測定するものなどの各種のゲージパターンのものから選択使用することができる。
前記歪みゲージ2aは、ブリッジ回路および増幅器をこの順に介して制御部4に電気的に接続されている。なお、ブリッジ回路および増幅器を制御部4に組み込んでもよい。
前記告知手段3は、把握力の異常をオペレータに告知するためのものであり、有線あるいは無線により制御部4と電気的に接続されており、制御部4から送出される制御指令によってオペレータに認識させるための動作制御がなされるようになっている。
前記告知手段3としては、液晶表示パネルなどの表示パネルや、ブザー、スピーカーなどの音発生装置や、発光ダイオード(LED)3a(図2)などの各種の光源により形成された安全灯などを単独もしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、告知手段3として音発生装置を用いる場合には、音量、音色、間隔を単独もしくは組み合わせるとよい。
また、告知手段3として安全灯を用いる場合には、色彩、色調、点滅や回転などの動きを単独もしくは組み合わせるとよい。
前記制御部4は、加工対象物把握手段21による加工対象物の把握力の異常の有無を判別し、把握力に異常があると判断した場合、告知手段3を動作させてオペレータに把握力の異常を告知するためのものであり、CPUあるいはMPUなどにより形成された演算部5と、適宜な容量のROMおよび/またはRAMなどにより形成された記憶部6とを有している。また、制御部4には、操作パネル7、電源8などが電気的に有線あるいは無線により接続されている。
前記操作パネル7には、把握力の異常の有無を判断するのに用いる閾値の入力、あるいはこの閾値を算出するために必要な主軸24(図2)の回転数、加工代あるいは、素材の種類、工具の種類などの加工条件や、文献あるいは実験などより得られる加工代、工具の種類、加工対象物Wの組成に関連した加工抵抗(切削抵抗、研削抵抗)などの各種の情報の入力に用いられる入力手段9や、電源8のオンオフを行う電源スイッチなどの各種のスイッチ10が接続されている。
なお、操作パネル7には、把握力検出手段2が検出した把握力の検出値や、入力情報や、設定された閾値などの設定情報や、把握力の異常を文字や図形や記号などにより表示することのできる表示画面を設けるとよい。この場合の入力手段9としては、表示画面上に複数のメニュー画面を配設することのできるタッチパネルなどの平面型の入力装置を用いるとよい。なお、記憶部6にそれぞれ異なる複数の閾値を予め記憶した場合には、複数の閾値から加工条件に対応するものを選択する選択スイッチを操作パネル7に設けるとよい。この操作パネル7は、制御部4と一体であってもよいし、制御部4とは個別に設けてもよい。
前記記憶部6には、把握力の異常の有無の判別に用いる閾値などの各種のデータと、把握力検出手段2から送出される把握力の検出値を閾値と比較して把握力の異常の有無を判別するプログラムや、把握力に異常があると判断した場合に告知手段3を動作させるプログラムなどの各種のプログラムが記憶されている。
なお、把握力の異常の有無の判別としては、例えば、閾値を下限値とし、検出値が閾値未満の場合に、把握力が不足の異常と判断するものや、閾値を上限値とし、検出値が閾値を越える場合に、把握力が過剰の異常と判断するものを例示することができる。すなわち、把握力の不足を異常として判断する場合には、把握力の下限値を閾値として用い、把握力の過剰を異常として判断する場合には、把握力の上限値を閾値として用いるとよい。
勿論、閾値を下限値および上限値の2つにより構成される許容範囲とし、検出値が許容範囲外の場合に、把握力が不足あるいは過剰の異常と判断するものであってもよい。すなわち、把握力の不足および過剰の両者を異常として判断する場合には、把握力の上限値および下限値の2つの閾値により構成される把握力の許容範囲を用いるとよい。
なお、閾値としては、工作機械の設置現場ではオペレータの経験などに基づいた値が多用されている。
勿論、各種の理論式から算出された値を用いてもよい。
前記理論式としては、加工対象物Wを円柱形とし外径把握する場合、
Fg−Fc≧s(Pv・dc/μ・dg)
を挙げることができる。
ここで、Fgはセット時の把握力(N)、Fcは遠心力により減少する把握力(N)、sは安全率(2〜4.5)、Pvは主切削(研削)抵抗(N)、dcは加工部の直径(mm)、μは把握部の静摩擦係数、dgは把握部の直径(mm)である。なお、μの値は、爪の把握面が平滑面なのか、格子状の溝面なのかなどの面の状態と、爪により把握される加工対象物の面が仕上げ面なのか、荒仕上げ面なのか、黒皮面なのか、加工対象物の素材などにより異なるが、鉄鋼の場合には0.03〜0.7の値が用いられている。
前記プログラムとしては、単に把握力の異常の有無を判別するだけでなく、把握力に異常がない(適正範囲あるいは適正値)と判断した場合、さらに、閾値に近い(限界値に近い)、閾値から離れている(余裕がある)などの把握力の状態を多段階に判別するものであってもよい。この場合、各段階毎の把握力の範囲をそれぞれ異なる複数の閾値として記憶部6に記憶させ、把握力検出手段2が検出した把握力がどの範囲に当てはまるかを判別させるものとすることが好ましい。また、多段階の判別をする場合、告知手段3が多段階の告知を行うようにすることが好ましい。
例えば、音発生装置を用いた場合には、音量、音色、間隔などを単独もしくは組み合わせて多段階制御すればよいし、安全灯を用いた場合には、色の種類、点滅間隔、回転速度などを単独もしくは組み合わせて多段階制御すればよい。また、交通信号機のように、把握力の異常を赤色、把握力の検出値が閾値に近い時に黄色、把握力の検出値が閾値から離れている時に青色の色表示をさせる構成を挙げることができる。
なお、記憶部6に、入力手段9から入力される加工条件や各種のデータなどの各種の入力情報に基づいて閾値を算出して記憶部6に記憶するプログラムを記憶してもよい。
さらに、記憶部6に、把握力検出手段2により検出された把握力の検出値が短時間で変動した場合に、ビビリなどの加工異常と判断して告知手段3を動作させるプログラムを記憶してもよい。この場合、加工異常を判別するための変動幅および/または変動周期の閾値を設定するとよい。
さらにまた、加工対象物把握手段21としてパワーチャックを用いる場合には、記憶部6に、把握力に異常があると判断した場合に告知手段3を動作させるとともに、パワーチャックによる把握力を増加させるようにパワーチャックの動作を制御する制御指令を送出するプログラム、あるいは、把握力に異常があると判断した場合に告知手段3を動作させるとともに、主軸を停止させる制御指令を送出するプログラムを記憶させるとよい。
さらに、操作パネル7を設けない構成とすることもできる。この場合、記憶部6に複数の閾値を予め記憶させておき、ディップスイッチなどの選択スイッチの操作により使用に供する閾値を選択する構成とすることが好ましい。この場合、電源スイッチを制御部4に接続する必要がある。
また、告知手段3、制御部4および操作パネル7の機能を、パーソナルコンピュータおよびそのディスプレイにより実施させる構成とすることができるし、工作機械がNCの場合には操作盤、CNCの場合には制御盤に組み込んで実施させる構成とすることができる。この場合、把握力検出手段2により検出される把握力を遠隔測定するように構成することが肝要である。
ここで、本実施形態の監視装置を用いた加工対象物把握手段の実施形態について説明する。
図2は本発明に係る加工対象物把握手段の監視装置を用いた加工対象物把握手段の実施形態の要部を示す断面図である。
本実施形態の監視装置が用いられる加工対象物把握手段は、パワーチャックとしての油圧チャックを例示している。
図2に示すように、本実施形態の加工対象物把握手段21は、鉄鋼などの剛性を有する素材により全体としてほぼ円筒状に形成されたチャック本体22を有している。このチャック本体22は、図2の左側に示す後端が取付部材としてのバックプレート23を介して固定ボルトなどによりNC(数値制御)旋盤などの工作機械の主軸24の先端に取り付けられており、主軸24とチャック本体22とは一体的に回転駆動されるようになっている。なお、主軸24は、主軸台25に回転可能に支持されている。また、バックプレート23は、各種(サイズ違いを含む)の工作機械へのチャック本体22の取り付けの汎用性を持たせるためのものであり、バックプレート23を用いずに、主軸24の先端にチャック本体22を直接取り付ける構成であってもよい。
前記チャック本体22には、チャック本体22に形成された案内溝によって半径方向に移動可能にマスタージョー26が設けられている。マスタージョー26は所定角度(例えば120度)ごとに複数個(例えば3個)設けられている。マスタージョー26の爪側端部にはT溝および一方のセレーションが設けられており、爪27のマスタージョー側端面には他方のセレーションが形成されている。そして、セレーションの噛み合いによって位置が定められた爪27は、T溝に嵌り込んでいるTナットのねじ穴にボルト28をねじ込むことにより、マスタージョー26にそれぞれ固定されている。これらの爪27によって、加工対象物Wを複数方向(例えば3方向)から把握し、主軸24を回転駆動するとともに、加工対象物Wとバイトなどの工具とを主軸24の軸方向、および、主軸24の軸方向に対して直交する方向に相対移動させることにより加工対象物Wの加工を行うようになっている。
前記爪27の開閉動作は、チャック本体22に配設されたくさび部材29を前後方向(主軸24軸線方向)に駆動することにより、くさび部材29と係合するマスタージョー26が半径方向に移動させることにより行われている。このくさび部材29は、前後駆動部材30に係合され、前後駆動部材30の駆動により軸方向に駆動されている。この前後駆動部材30は、連結部材としてのドローパイプ31とねじ結合により結合されている。
前記ドローパイプ31は、主軸24に対して主軸24の軸線方向にのみ移動可能に形成されており、ドローパイプ31を主軸24に対して前後方向(図2における右左方向)に進退移動させることにより、前後駆動部材30を前後方向に駆動して、その結果として各爪27をそれぞれ径方向に往復移動させて開閉駆動することができるようになっている。
前記主軸24の後端側には、駆動源たるアクチュエータとしての復動タイプの油圧シリンダ32がその出力軸としてのピストン33の先端をチャック本体側に向けて配設されており、ピストン33の先端には、ドローパイプ31の後端が接続されている。そして、油圧シリンダ32を駆動することでピストン33が主軸24に対して軸方向に移動可能に設けられている。なお、ピストン33は、油圧シリンダ32のシリンダ34の内部に軸方向に往復移動可能に配設されている。
したがって、本実施形態の加工対象物把握手段21は、複数の爪27を連結部材を介して接続された駆動源たるアクチュエータの駆動力により開閉自在に形成されたパワーチャック、詳しくは、複数の爪27をドローパイプ31を介して接続された油圧シリンダ32の駆動力により開閉自在に形成された油圧チャック21aとされている。
その他の構成については、従来公知の油圧チャックと同様とされているので、その詳しい説明については省略する。
本実施形態の加工対象物把握手段21としての油圧チャック21aには、前述した監視装置1が配設されている。
すなわち、図2に示すように、爪27の側面には、把握力検出手段2としての歪みゲージ2aが配設されている。また、バックプレート23の外周面には、告知手段3としての複数色の発光ダイオード3aが周方向に沿って配列されて配設されており、バックプレート23の内部には、制御部4が図2には示さない電源8および操作パネル7とともに配設されている。
なお、発光ダイオード3aをチャック本体22の外周面に配設してもよい。この場合、発光ダイオード3aがチャック本体22の外周面から突出しないように、チャック本体22の外周面に凹部を形成して凹部内に発光ダイオード3aを収納するとともに、凹部の開口を透過性の素材で閉塞することが、発光ダイオード3aが何かに接触して破損するのを防止することが容易にでき、かつ、発光ダイオード3aにクーラントや切り粉などがかかるのを防止することができるという意味で好ましい。
本実施形態の加工対象物把握手段21においては、ドローパイプ31の外周面にも把握力検出手段2としての歪みゲージ2aが配設されており、油圧シリンダ32にも把握力検出手段2としての力(圧力)センサ2bが配設されている。
前記把握力検出手段2の配設位置としては、爪27が加工対象物Wを把握した際に、その把握力により歪みの発生する部位であればよく、油圧チャック21aの場合には、爪27、チャック本体22、ドローパイプ31および油圧シリンダ32などの少なくともいずれかに設けられていればよい。勿論、把握力検出手段2の配設位置としては、加工対象物Wの把握部に近いほどよい。
なお、油圧チャック21aなどのパワーチャックの場合、チャック本体22における把握力により歪みの発生する部位としてはマスタージョー26などを挙げることができる。
すなわち、加工対象物把握手段21がパワーチャックの場合には、複数の爪27、連結部材(ドローパイプ31)、および駆動源たるアクチュエータのうちの少なくともいずれかに把握力検出手段2が配設されていればよい。
また、加工対象物把握手段21が手締めチャックの場合には、爪27に把握力検出手段2が設けられることになる。
前記歪みゲージ2aを爪27に配設する場合の配設位置としては、爪27の仕様や設計コンセプトなどの必要に応じて設定することができる。
例えば、図3から図5に示すように、爪27で加工対象物Wを外径把握する場合には、1方向の歪みを測定する歪みゲージ2aの長手方向を図3の上下方向に示す爪27の長手方向に平行にして爪27の両側面に配設する構成を挙げることができる。この場合、基本的には複数の爪27の少なくとも1つに歪みゲージ2aを配設すればよいが、複数の爪27で加工対象物Wを把握した際に加工対象物Wが偏心して把握されたことや、複数の爪27のうちの一部のみ(例えば、3本の爪27のうちの2本の爪27)が加工対象物Wの把握に供されたことや、加工中に加工対象物Wが偏心したことを検出することができるという意味で、全ての爪27に歪みゲージ2aを配設することが好ましい。
また、加工対象物Wの偏心などによる把握力の不均衡を検出することができるという意味で、1つの爪27に複数の歪みゲージ2aを離して、例えば、1つの爪27の左右両側面(図4、図5)や、1つの爪27の左右両側面側でかつ主軸24からの距離の異なる位置(図8、図9)に設けることが好ましい。
なお、爪27で加工対象物Wを内径把握する場合における歪みゲージ2aの配設位置の一例を図6に示す。
さらに、図7および図8に示すように、爪27をマスタージョー26に固定する親爪38と、この親爪38に対して着脱自在に交換可能とされた子爪39とからなる親子爪37とした場合には、例えば、親爪38の側面の径方向外側および径方向内側との2箇所に、相互に平行な図7の上下方向に長い断面長方形の2つの孔40a、40bを形成し、図8に示すように、2つの孔40a、40bのうちの上方の孔40aの左端側と、下方の孔40bの右端側とのそれぞれに歪みゲージ2aを配設する構成を例示することができる。なお、孔40a、40bは、有底穴であってもよい。また、幅広の子爪39aを用いた場合を図9に示す。
勿論、歪みゲージ2aは、爪27に溝を形成して配設したり、爪27の上面や前面などに配設してもよい。
前記歪みゲージ2aをドローパイプ31に配設する場合の配設位置としては、基本的には1方向の歪みを測定する歪みゲージ2aの長手方向をドローパイプ31の軸方向に沿って配設すればよいが、ドローパイプ31の曲がりによる検出誤差をキャンセルすることができるという意味で、図2に示すようにドローパイプ31の周方向に沿って1方向の歪みを測定する歪みゲージ2aを併せて配設することが好ましい。勿論、相互に直交する2方向の歪みを測定することのできる歪みゲージを用いることにより使用する歪みゲージの数を1つとし、配設スペースを小さくすることができる。なお、歪みゲージ2aは、ドローパイプ31の軸方向のほぼ中央部の1箇所に配設してもよいが、軸方向の両側のそれぞれに配設することが、微小な歪みをより高精度に検出することができるという意味で好ましい。また、ドローパイプ31に配設された歪みゲージ2aと制御部4とは、例えば、可撓配線板などを用いて電気的に接続するとよい。
前記把握力検出手段2を油圧シリンダ32に配設する場合の配設位置としては、図2に示すように、シリンダ34の内部におけるピストン33の両移動方向のそれぞれの油圧を検出する力センサ2bをシリンダ34に配設する構成や、ピストン33に歪みゲージ2aを配設する構成(図示せず)などを挙げることができる。また、油圧シリンダ32に配設された圧力センサ2bと制御部4とは、例えば、可撓配線板およびスリップリングなどを用いて電気的に接続するとよい。
つぎに、前述した構成からなる本実施形態の作用について本発明の加工対象物把握手段の監視方法とともに説明する。
本実施形態の加工対象物把握手段の監視方法(以下、単に、監視方法と記す。)は、前述した図1に示す本実施形態の監視装置1を備えた図2に示す本実施形態の加工対象物把握手段21としての油圧チャック21aを用いて実施する。
本実施形態においては、加工対象物Wの加工に先立って、オペレータが把握力の異常の有無を判別するために使用する閾値の設定操作を行う。この設定操作は、前述したように、外径把握あるいは内径把握などの加工対象物Wの把握方法、加工対象物Wの組成、サイズ、重量、加工条件などや、オペレータの経験などに基づいて、単に把握力の異常の有無を判別する場合には、使用に供する閾値を入力して記憶部6に記憶したり、予め記憶部6に記憶されている複数の閾値から使用に供する閾値を選択したり、加工条件や各種のデータなどの入力情報の入力操作を行って制御部4の演算部5により使用に供する閾値を算出して記憶部6に記憶したりすることにより行う。
なお、把握力を多段階に判別する場合には、それぞれ異なる複数の閾値を設定する。
ついで、油圧チャック21aの爪27に加工対象物Wを把握させてセット状態とする。すると、把握力検出手段2により爪27に把握された加工対象物Wの把握力が検出される。この検出された把握力の検出値は、爪27から加工対象物Wを取り外すまで、すなわち、主軸24が停止している非回転状態、主軸24の回転にともない加工対象物Wが回転している回転状態、加工対象物Wが回転しさらに工具により加工が施されている加工中の状態などのすべての状態にわたり検出されてリアルタイムで制御部4に送出されることになる。
ついで、把握力検出手段2より検出された把握力の検出値を受け取った制御部4は、記憶部6に記憶されているプログラムに基づいて、セット状態における把握力の検出値と記憶部6に記憶されている閾値とを比較し、セット状態における爪27による加工対象物Wの把握力の異常の有無を判別する。
前記把握力の異常の有無の判別は、例えば、把握力の不足を異常と判断する場合においては、把握力の検出値が下限値からなる閾値以上の場合に把握力に異常がないと判断し、把握力の検出値が閾値未満の場合に、把握力に異常(把握力不足)があると判断する。なお、前述したように、把握力を多段階に判別するようにしてもよい。
また、他の把握力の異常の有無の判別としては、加工対象物Wが薄肉形状であって、強い力で把握すると加工対象物Wが変形を起こすような把握力の過剰を異常と判断する場合においては、把握力の検出値が上限値からなる閾値以下の場合に把握力に異常がないと判断し、把握力の検出値が閾値を越える場合に、把握力に異常がある(把握力過剰)と判断するとよい。
さらには、前記把握力の不足および過剰の両者が懸念される場合には、下限値および上限値の2つの閾値により構成される把握力の許容範囲を設定し、検出値が許容範囲外の場合に、把握力に異常(把握力不足あるいは把握力過剰)があると判断するとよい。
この時、制御部4が把握力に異常があると判断すると、制御部4は告知手段3を駆動する。これによりセット状態における把握力の異常をオペレータに認識させるように告知することができる。なお、把握力を多段階に判別する場合には、告知手段3を多段階で駆動する。また、把握力の異常の有無だけでなく、把握力の異常の有無にかかわらず複数の把握力検出手段2より検出された把握力の検出値、例えば、各爪27に配設した歪みゲージ2aにより検出された把握力の検出値を比較することで加工対象物Wの偏心などの把握状態の異常を検出することができる。
ついで、制御部4は、加工対象物Wが回転している回転状態においても、セット状態と同様に、回転状態における把握力の検出値と記憶部6に記憶されている閾値(セット状態とは異なる)とを比較し、回転状態における爪27による加工対象物Wの把握力の異常の有無を判別し、制御部4が把握力に異常があると判断すると、制御部4は告知手段3を駆動する。これにより回転状態における把握力の異常をオペレータに認識させるように告知することができる。なお、把握力を多段階に判別する場合には、告知手段3を多段階で駆動する。
また、さらに他の他の把握力の異常の有無の判別としては、記憶部6に、把握力検出手段2により検出された把握力の検出値の変動周期および/または変動幅の閾値を記憶しておき、変動周期が閾値より短くなったり、変動幅が閾値より大きくなった場合には、ビビリなどの加工異常と判断して告知手段3を動作させるプログラムを記憶した場合には、加工精度や不具合の発生した加工対象物の加工を途中で中断させることができる。
このように、本実施形態の監視方法によれば、主軸台25に回転可能に支持された主軸24の先端に取り付けられる加工対象物把握手段21としての油圧チャック21aの開閉自在な複数の爪27による加工対象物Wの把握力を検出する把握力検出手段2を設け、把握力検出手段2により検出される把握力の検出値を予め設定された閾値と比較することにより油圧チャック21aによる加工対象物Wの把握力の異常の有無を判別し、把握力に異常があると判断した場合、異常であることをオペレータに告知することができるので、油圧チャック21aの爪27に把握された加工対象物Aのセット状態における把握力の異常、および、回転状態における遠心力の影響を受けた場合を含む把握力の異常の有無をリアルタイムで確実かつ容易に監視することができるとともに、異常がある場合にはオペレータに容易かつ確実に認識させることができる。その結果、加工対象物Wに対する加工精度の低下を含む加工異常や、加工中に加工対象物Wが爪27から外れたりするのを防止したり、これらの不具合の発生の危険性をオペレータに認識させることができる。
また、本実施形態の監視方法によれば、閾値を下限値とし、検出値が閾値未満の場合に、把握力が不足の異常と判断することができるので、把握力不足の異常の有無をリアルタイムで確実かつ容易に監視することができるとともに、異常がある場合にはオペレータに容易かつ確実に認識させることができる。
さらに、本実施形態の監視方法によれば、閾値を上限値とし、検出値が閾値を越える場合に、把握力が過剰の異常と判断することができるので、把握力過剰の異常の有無をリアルタイムで確実かつ容易に監視することができるとともに、異常がある場合にはオペレータに容易かつ確実に認識させることができる。
さらにまた、本実施形態の監視方法によれば、閾値を下限値および上限値の2つにより構成される許容範囲とし、検出値が許容範囲外の場合に、把握力が不足あるいは過剰の異常と判断することができるので、把握力不足あるいは把握力過剰の異常のいずれかの有無をリアルタイムで確実かつ容易に監視することができるとともに、異常がある場合にはオペレータに容易かつ確実に認識させることができる。
また、本実施形態の監視方法によれば、オペレータは、告知手段3によって視覚および/または聴覚で常に爪27が適正に加工対象物Wを把握しているか否かを認識することができるので、加工中に加工対象物Wが爪27から外れるなどの危険に対するストレスが生まれず、快適な作業を行うことができる。
また、本実施形態の監視装置1によれば、把握力検出手段2と、告知手段3と、把握力の閾値が記憶される記憶部6および演算部5とを備え、演算部5により把握力検出手段2から送出される把握力の検出値を記憶部6に記憶された閾値と比較して加工対象物把握手段としての油圧チャック21aによる加工対象物Wの把握力の異常の有無を判別し、把握力に異常があると判断した場合、告知手段3を動作させる制御部3とを有しているので、本発明の監視方法、すなわち、把握力検出手段2により検出される把握力の検出値を予め設定された閾値と比較することにより加工対象物把握手段21としての油圧チャック21aによる加工対象物Wの把握力の異常の有無を判別し、把握力に異常があると判断した場合、異常であることをオペレータに告知する監視方法を容易に実施することができる。
さらに、本実施形態の監視装置1によれば、閾値を下限値とし、制御部3は、検出値が閾値未満の場合に、把握力が不足の異常と判断するように構成されているので、閾値を下限値とし、検出値が閾値未満の場合に、把握力が不足の異常と判断し、把握力に異常があると判断した場合、異常であることをオペレータに告知する本実施形態の監視方法を容易かつ確実に実施することができる。
さらにまた、本実施形態の監視装置1によれば、閾値を上限値とし、制御部3は、検出値が閾値を越える場合に、把握力が過剰の異常と判断するように構成されているので、閾値を上限値とし、検出値が閾値を越える場合に、把握力が過剰の異常と判断し、把握力に異常があると判断した場合、異常であることをオペレータに告知する本実施形態の監視方法を容易かつ確実に実施することができる。
またさらに、本実施形態の監視装置1によれば、閾値を下限値および上限値の2つにより構成される許容範囲とし、制御部3は、検出値が許容範囲外の場合に、把握力が不足あるいは過剰の異常と判断するように構成されているので、閾値を下限値および上限値の2つにより構成される許容範囲とし、検出値が許容範囲外の場合に、把握力が不足あるいは過剰の異常と判断し、把握力に異常があると判断した場合、異常であることをオペレータに告知する本実施形態の監視方法を容易かつ確実に実施することができる。
さらに、本実施形態の監視装置1によれば、把握力検出手段2としての歪みゲージ2aが、爪27に設けられているので、把握力を確実かつ容易に検出することができる。このような把握力検出手段2を爪27に設ける構成とすることで、加工対象物把握手段21として手締めチャックを用いた場合における把握力の異常も確実に検出することができる。
さらにまた、本実施形態の監視装置1によれば、加工対象物把握手段21が、その複数の爪27が連結部材としてのドローパイプ31を介して接続されたアクチュエータの駆動力により開閉自在に形成されているので、近年多用されているパワーチャックにおける加工対象物Wの把握力の異常の有無を確実に検出することができる。
また、本実施形態の監視装置1によれば、アクチュエータが油圧シリンダ32であるので、近年最も多用されているパワーチャックとしての油圧チャック21における加工対象物Wの把握力の異常の有無を確実に検出することができる。
また、本実施形態の監視装置1によれば、把握力検出手段2が、複数の爪27、連結部材としてのドローパイプ31およびアクチュエータとしての油圧シリンダ32のうちの少なくともいずれかに配設されているので、加工対象物Wの把握力の異常の有無を確実に検出することができる。この場合、ドローパイプ31に歪みゲージ2aを配設することで、爪27による加工対象物Wの把握力の異常の有無に加えて、ドローパイプ31の破損により生じる把握力の異常の有無を判別することができるし、さらに、入力の異常、すなわち油圧シリンダ32の油圧が高すぎるあるいは低すぎるという異常を判別することができる。また、油圧シリンダ32に圧力センサ2bを配設することで、爪27による加工対象物Wの把握力の異常の有無に加えて、作動油の配管からの漏れ、作動油の温度変化などにより生じる把握力の異常の有無を判別することができる。
また、本実施形態の監視装置1によれば、把握力検出手段2が、歪みゲージ2aであるので、把握力検出手段2を安価で入手性に優れたものにより形成することができる。
また、本実施形態の監視装置1によれば、チャック本体22が、取付部材としてのバックプレート23を介して主軸24の先端に取り付けられており、この取付部材24に告知手段3が設けられているので、サイズ違いを含む各種の工作機械の主軸24に対するチャック本体22の取り付けの汎用性を持たせることができるとともに、数の多い多種多様のチャック本体22に告知手段3を配設しなくて済むので、全体としての低コスト化を図ることができる。
したがって、本実施形態の監視方法および監視装置1によれば、安全性の向上を容易かつ確実に図ることができる。
本発明の加工対象物把握手段の監視方法および加工対象物把握手段の監視装置は、工具を把握する工具把握手段などに用いることもできる。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
本発明に係る加工対象物把握手段の監視装置の実施形態の要部を示すブロック図 本発明に係る加工対象物把握手段の監視装置を用いた加工対象物把握手段の実施形態の要部を示す断面図 図2の加工対象物を外径把握する場合における歪みゲージの配設位置の一例の要部を示す半断面図 図3の要部の側面図 図3の要部の平面図 図2の加工対象物を内径把握する場合における歪みゲージの配設位置の一例の要部を示す図3と同様の図 図2の加工対象物を親子爪により外径把握する場合における歪みゲージの配設位置の一例の要部を示す図3と同様の図 図7の要部の部分側面図 図7の親子爪の子爪を幅広とした場合の要部を示す図8と同様の図 油圧チャックの爪で加工対象物を外径把握した場合における回転速度と把握力との関係の一例を示す把握力減少線図 油圧チャックの爪で加工対象物を内径把握した場合における回転速度と把握力との関係の一例を示す把握力増加線図 油圧チャックのピストンの力と把握力との関係の一例を示す線図 油圧チャックの油圧と把握力との関係の一例を示す線図
符号の説明
1 監視装置
2 把握力検出手段
2a 歪みゲージ
2b 力センサ
3 告知手段
3a 発光ダイオード
4 制御部
5 演算部
6 記憶部
7 操作パネル
8 電源
21 加工対象物把握手段
21a 油圧チャック
22 チャック本体
23 バックプレート
24 主軸
25 主軸台
26 マスタージョー
27 爪
31 ドローパイプ
32 油圧シリンダ
33 ピストン
33 シリンダ
W 加工対象物

Claims (14)

  1. 主軸台に回転可能に支持された主軸の先端に取り付けられるチャック本体およびこのチャック本体に開閉自在に配設された複数の爪を具備する加工対象物把握手段の前記複数の爪による加工対象物の把握力を検出する把握力検出手段を設け、前記把握力検出手段により検出される把握力の検出値を予め設定された閾値と比較することにより前記加工対象物把握手段による加工対象物の把握力の異常の有無を判別し、前記把握力に異常があると判断した場合、異常であることをオペレータに告知することを特徴とする加工対象物把握手段の監視方法。
  2. 前記閾値が下限値であり、前記検出値が前記閾値未満の場合に、前記把握力が不足の異常と判断することを特徴とする請求項1に記載の加工対象物把握手段の監視方法。
  3. 前記閾値が上限値であり、前記検出値が前記閾値を越える場合に、前記把握力が過剰の異常と判断することを特徴とする請求項1に記載の加工対象物把握手段の監視方法。
  4. 前記閾値が下限値および上限値の2つにより構成される許容範囲であり、前記検出値が前記許容範囲外の場合に、前記把握力が不足あるいは過剰の異常と判断することを特徴とする請求項1に記載の加工対象物把握手段の監視方法。
  5. 主軸台に回転可能に支持された主軸の先端に取り付けられるチャック本体およびこのチャック本体に開閉自在に配設された複数の爪を具備する加工対象物把握手段の開閉自在な複数の爪による加工対象物の把握力を検出する把握力検出手段と、
    前記複数の爪による加工対象物の把握力の異常をオペレータに告知する告知手段と、
    前記複数の爪による加工対象物の把握力の閾値が記憶される記憶部と演算部とを備え、前記演算部により前記把握力検出手段から送出される把握力の検出値を前記記憶部に記憶された閾値と比較して前記加工対象物把握手段による加工対象物の把握力の異常の有無を判別し、前記把握力に異常があると判断した場合、前記告知手段を動作させる制御部とを有していることを特徴とする加工対象物把握手段の監視装置。
  6. 前記閾値が下限値であり、前記制御部は、前記検出値が前記閾値未満の場合に、前記把握力が不足の異常と判断するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の加工対象物把握手段の監視装置。
  7. 前記閾値が上限値であり、前記制御部は、前記検出値が前記閾値を越える場合に、前記把握力が過剰の異常と判断することを特徴とする請求項5に記載の加工対象物把握手段の監視装置。
  8. 前記閾値が下限値および上限値の2つにより構成される許容範囲であり、前記制御部は、前記検出値が前記許容範囲外の場合に、前記把握力が不足あるいは過剰の異常と判断することを特徴とする請求項5に記載の加工対象物把握手段の監視装置。
  9. 前記把握力検出手段が、前記爪に設けられていることを特徴とする請求項5ないし8のいずれか1項に記載の加工対象物把握手段の監視装置。
  10. 前記複数の爪が、連結部材を介して接続された駆動源たるアクチュエータの駆動力により開閉自在に形成されていることを特徴とする請求項5ないし8のいずれか1項に記載の加工対象物把握手段の監視装置。
  11. 前記アクチュエータが油圧シリンダであることを特徴とする請求項10に記載の加工対象物把握手段の監視装置。
  12. 前記把握力検出手段が、前記複数の爪、連結部材およびアクチュエータのうちの少なくともいずれかに配設されていることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の加工対象物把握手段の監視装置。
  13. 前記把握力検出手段が、歪みゲージであることを特徴とする請求項5ないし請求項12のいずれか1項に記載の加工対象物把握手段の監視装置。
  14. 前記チャック本体が、取付部材を介して前記主軸の先端に取り付けられており、この取付部材に前記告知手段が設けられていることを特徴とする請求項5ないし請求項13のいずれか1項に記載の加工対象物把握手段の監視装置。
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