JP2007268898A - 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、偏光板および液晶表示装置 - Google Patents

光学フィルムの製造方法、光学フィルム、偏光板および液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】光学性能の変動が少ない光学フィルムの製造方法等を提供する。
【解決手段】高分子化合物を溶媒に溶解した高分子溶液を、基板上に流延し、前記溶媒を揮発させた後に前記基板から剥がすこと、および、式1で示される値Nが20〜19000となるようにすることを含む、光学フィルムの製造方法。
式1
Figure 2007268898

[σ:高分子溶液の表面張力(dyne/cm2)の温度(℃)に対する変化率、h:流延時の高分子溶液の厚味(μm)、βs:流延直前の高分子溶液の温度(℃)、βa:流延時の環境と基板のうち、βsとの温度差が大きい方の温度(℃)、ν:流延時の高分子溶液の粘度(Pas)である。]
【選択図】 なし

Description

本発明は、光学フィルムの製造方法および、これによって得られる光学フィルム、偏光板、および液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、低電圧・低消費電力でしかも小型化・薄膜化が可能であるなど様々な利点からパーソナルコンピューターや携帯機器のモニター、テレビ用途に広く利用されている。このような液晶表示装置は、液晶セル内の液晶の配列状態により様々なモードが提案されているが、従来は液晶セルの下側基板から上側基板に向かって約90°捩れた配列状態になるTNモードが主流であった。
一般に液晶表示装置は、液晶セル、光学補償シート、偏光子から構成される。光学補償シートは画像着色を解消したり、視野角を拡大するために用いられており、延伸した複屈折フィルムや透明フィルムに液晶化合物を塗布したフィルムが使用されている。例えば、特許第2587398号公報ではディスコティック液晶化合物をトリアセチルセルロースフィルム上に塗布し、配向させ、固定化した光学補償シートをTNモードの液晶セルに適用し、視野角を広げる技術が開示されている。しかしながら、大画面で様々な角度から見ることが想定されるテレビ用途の液晶表示装置は視野角依存性に対する要求が厳しく、前述のような手法をもってしても要求を満足することはできていない。そのため、IPS(In-Plane Switching)モード、OCB(Optically Compensatory Bend)モード、VA(Vertically Aligned)モードなど、TNモードとは異なる液晶表示装置が研究されている。特にVAモードはコントラストが高く、比較的製造の歩留まりが高いことからTV用の液晶表示装置として着目されている。
一方、セルロースアシレートフィルムは、他のポリマーフィルムと比較して、光学的等方性が高い(レターデーション値が低い)との特徴がある。従って、光学的等方性が要求される用途、例えば偏光板には、セルロースアセテートフィルムを用いることが普通である。特許文献1には、セルロースアセテートの粘度平均重合度とこれを溶媒に溶解したドープの粘度との関係を規定して、不溶解物が少なく透明度の高いセルロースアセテートフィルムの製法が示されている。また、特許文献2では、ダイスジと呼ばれる面状故障を解消するために、セルロースアセテートフィルムの厚さd、セルロースアセテートフィルムの製膜に用いる高分子溶液の固形分濃度y(%)および該高分子溶液粘度ρの好ましい関係が開示されている。
一方、液晶表示装置の光学補償シート(位相差フィルム)には、逆に光学的異方性(高いレターデーション値)が要求される。特にVA用の光学補償シートでは30〜200nmの面内レターデーション(Re)、70〜400nmの厚さ方向レターデーション(Rth)が必要とされる。従って、光学補償シートとしては、ポリカーボネートフィルムやポリスルホンフィルムのようなレターデーション値が高い合成ポリマーフィルムを用いることが普通であった。
以上のように光学材料の技術分野では、ポリマーフィルムに光学的異方性(高いレターデーション値)が要求される場合には合成ポリマーフィルムを使用し、光学的等方性(低いレターデーション値)が要求される場合にはセルロースアセテートフィルムを使用することが一般的な原則であった。
特許文献3には、従来の一般的な原則を覆して、光学的異方性が要求される用途にも使用できる高いレターデーション値を有するセルロースアセテートフィルムが開示されている。該文献ではセルローストリアセテートで高いレターデーション値を実現するために、少なくとも2つの芳香環を有する芳香族化合物、中でも1,3,5−トリアジン環を有する化合物を添加し、延伸処理を行っている。
一般にセルローストリアセテートは延伸しにくい高分子素材であり、複屈折率を大きくすることは困難であることが知られているが、添加剤を延伸処理で同時に配向させることにより複屈折率を大きくすることを可能にし、高いレターデーション値を実現している。このフィルムは偏光板の保護膜を兼ねることができるため、安価で薄膜な液晶表示装置を提供することができる利点がある。
上記特許文献に記載の方法は、安価でかつ薄い液晶表示装置が得られる点で有効である。しかしながら、近年、さらに高いレターデーション値が要求され、レターデーション発現剤の添加量を増やしたり、延伸倍率を高めたりすることが必要となってきているが、それに伴って流延工程や延伸工程で縦筋と称せられる幅方向厚さ変動起因の流延方向に伸びる筋状のむらが顕在化したり、液晶表示装置に組立てたときに初めて顕在化する輝点異物および輝度や色味のむらが問題になってきた。特に大型液晶テレビ用途に使用される光学フィルムは幅方向および長さ方向で場所により最大−1°〜+1°の光学軸のずれが生じる。またこのセルロースアシレートフィルムを偏光板に組上げる工程や2枚の偏光板を液晶セルに貼り合せるときにも最大1度程度の光学軸のずれを生じやすい。偏光子の光学軸と光学フィルムの光学軸のずれや2枚の偏光板間の光学軸のずれが大きくなると、黒表示における光漏れが顕著になる。このような光学軸のずれが大きくなればなるほど、光学フィルムの幅方向に狭い間隔で光学軸変動がある場合に、たとえその絶対値が小さな膜厚変動でも大きな画面で見るとぼんやりとした輝度むらが視認されるようになる。このような面状むらの解決が要望されていた。また大画面化されればされる程、輝点異物の発生を少なくしないと、偏光板や液晶表示装置の歩留まりが低下して生産コストが上がるので、この面での改善も求められていた。
特開2000−131524号公報 特開2001−129838号公報 欧州特許出願公開第911656号明細書
本発明の目的は、上記課題を解決することを目的としたものであって、光学性能の変動が少ない光学フィルムの製造方法等を提供することを目的とする。
本発明の発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討を加えた結果、後述するレベルング剤の添加や流延する高分子溶液の増粘により特にムラが軽減できることを明らかにした。
しかしさらに検討を行うと流延する高分子溶液の温度と周囲の温度(環境温度)の差が増大するにしたがって、ムラを低減することは困難となることも明らかとなった。
加えて流延液膜の厚味が厚くなることにより、好ましくないムラが増大することも明らかにした。
すなわちこれら厚味や温度差、高分子溶液の表面張力、粘度の好ましい範囲は常に一定ではなく、一つの条件が変化すると他の条件も変更する必要があることが判明した。
具体的には、下記手段により、上記課題を解決しうることを見出した。
(1)高分子化合物を溶媒に溶解した高分子溶液を、基板上に流延し、前記溶媒を揮発させた後に前記基板から剥がすこと、および、式1で示される値Nが20〜19000となるようにすることを含む、光学フィルムの製造方法。
式1
Figure 2007268898
[σ:高分子溶液の表面張力(dyne/cm2)の温度(℃)に対する変化率、h:流延時の高分子溶液の厚味(μm)、βs:流延直前の高分子溶液の温度(℃)、βa:流延時の環境と基板のうち、βsとの温度差が大きい方の温度(℃)、ν:流延時の高分子溶液の粘度(Pas)である。]
(2)流延時の高分子溶液の厚味(h)を150μm〜750μmにすることを含む、(1)に記載の光学フィルムの製造方法。
(3)前記高分子溶液を流延する速度を50m/min〜300m/minとすることを含む、(1)または(2)に記載の光学フィルムの製造方法。
(4)前記高分子化合物として置換度2.5〜3のセルロースを用いることを含む、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
(5)前記高分子溶液に、該高分子溶液の表面張力の温度に対する変化率(σ)を0.01dyne/cm2℃以上低下させる化合物を含有させることを含む、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
(6)前記高分子溶液に、前記流延時の高分子溶液の粘度(ν)を3Pas以上増大させる化合物を含有させることを含む、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
(7)(1)〜(6)のいずれか1項に記載の製造方法によって得られうる光学フィルム。
(8)40≦Re(630)≦200、かつ、70≦Rth(630)≦350を満たす(7)に記載の光学フィルム。
[Re(λ)は波長λnmにおける正面レターデーション(Re)値(単位:nm)、Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション(Rth)値(単位:nm)である。]
(9)棒状化合物または円盤状化合物からなるレターデーション発現剤を少なくとも1種含む、(7)または(8)に記載の光学フィルム。
(10)前記光学フィルムの任意の5cm×5cmの面積中の250点の遅相軸の角度の最大変化幅が0.02°〜0.2°である、光学フィルム。
(11)偏光子と、該偏光子の少なくとも一方に設けられた保護膜とを有し、前記保護膜は、(7)〜(10)のいずれか1項に記載の光学フィルムである、偏光板。
(12)(11)に記載の偏光板を有する液晶表示装置。
(13)前記高分子溶液に添加される添加剤の含有量を、前記光学フィルムの質量の10〜30質量%とすることを含む、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
(14)ガラス転移温度(Tg)が80〜180℃である(7)〜(10)のいずれか1項に記載の光学フィルム。
(15)弾性率が、1500〜5000MPaである(7)〜(10)のいずれか1項に記載の光学フィルム。
(16)光弾性係数が、50×10-13cm2/dyn(5×10-11Pa-1)以下である(7)〜(10)のいずれか1項に記載の光学フィルム。
(17)ヘイズが0.01〜2%である(7)〜(10)のいずれか1項に記載の光学フィルム。
(18)2次平均粒子サイズが0.2〜1.5μmのシリカ微粒子を有する、(7)〜(10)のいずれか1項に記載の光学フィルム。
(19)60℃95%相対湿度で1時間静置後の水分透過率が500〜2000g/m2/hrである、(7)〜(10)のいずれか1項に記載の光学フィルム。
(20)80℃90%相対湿度の条件下に48時間静置した場合の質量変化が0〜3%である、(7)〜(10)のいずれか1項に記載の光学フィルム。
(21)60℃90%相対湿度および90℃3%RHの条件下に24時間静置した場合の寸度変化は−1.2〜0.2%である(7)〜(10)のいずれか1項に記載の光学フィルム。
本発明の製造方法により製造された光学フィルムおよびそれを用いた偏光板は、位置による光学性能の変動が少なく、面状むらが少ない。
また、本発明の液晶表示装置は、輝度むらが少なく、色味変動やむらが少なく、且つ視野角特性変化が少ない。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本願明細書における高分子化合物を溶媒に「溶解」とは、溶媒中に高分子化合物が略均一な液相を構成する状態となっていることをいい、該状態のものを高分子溶液という。
本発明の発明者らは実験に基づいてこれらの関係から実験的な法則を求めた結果、式1のような値を設定し、この値Nを20〜19000とすることが、ムラなどの問題がない液晶表示装置、あるいはこれに使用するための光学フィルムを作製するにあたって必要なことが判った。
式1
Figure 2007268898
[σ:高分子溶液の表面張力(dyne/cm2)の温度(℃)に対する変化率、h:流延時の高分子溶液の厚味(μm)、βs:流延直前の高分子溶液の温度(℃)、βa:流延時の環境と基板のうち、βsとの温度差が大きい方の温度(℃)、ν:流延時の高分子溶液の粘度(Pas)である。]
ここで、高分子溶液の表面張力(dyne/cm2)とは、表面張力計(例えば、協和界面科学製、KYOWA CBVP SURFACE TENSIOMETER A3)によって測定することができる。従って、高分子溶液の表面張力(dyne/cm2)の温度(℃)に対する変化率(σ)とは、流延温度近傍の2点で測定した表面張力の差を、測定温度の差で除した値のことをいう。
また、流延時の環境とは、流延を行う雰囲気下をいう。
従来、光学フィルムを流延により得る際、フィルムの均一性を高めるため粘度や表面張力などの高分子溶液の物性や、乾燥条件に着目した検討がなされてきたが、高分子溶液の物性と流延の条件の好ましい範囲が密接に関連しるとの知見は無かった。
式1は、高分子溶液の粘度を高めることによりNの値を低減することを示しているが、たとえ粘度を同じように高めたとしてもβs−βaの値が大きいと(すなわち急激な温度変化があると)Nが増大し、ムラ(光軸の変動)が悪化する現象が生じることを示している。このような点については、従来全く知られていなかった。
上記の式は塗布液の対流が発生し、塗布ムラを発生させる機構の式(コーティングにおける一般的トラブル対策 :コンバーテック 27(4) 21-25(1999)と類似している。この現象はベナードセルとして受像シート(例えば特開2003−312156号公報)の塗布では積極的に利用し、逆に研磨テープ(例えば特開平8−132352号公報)、磁気記録材料(特表平10−501644号公報)の塗布ではこれを軽減するための工夫が試みられている。
しかしながら、上記のような支持体上に別の組成物を塗工した塗布膜を作製する場合とは全く異なる原理である支持体の成膜、あるいは本願の場合におけるような高分子フィルムの成膜においても、これと類似とおぼしき不均一性が発生することは、公知の資料での記載は無く、全く予想外のことであった。さらには、この光学フィルムを用いた液晶表示装置の視認性を低減させることは予想し得ないものであった。
Nの値のより好ましい範囲は1000〜15000であり、さらに好ましい範囲は3000〜13000である。
本発明で解決された問題は、膜厚が比較的厚い光学フィルムで顕在化したものであり、薄いラップフィルムのようなものでは認識しにくい傾向にある。従って、本発明の方法は、流延時の高分子溶液の厚味(h)を150〜750μmとする場合に好ましく適用でき、250〜700μmの場合により好ましく、300〜600μmの場合にさらに好ましい。
また、本発明の効果は、フィルムの生産速度を上げるため、急激に乾燥を行わなければならない場合により顕著である。従って、本発明の方法は、流延速度を50〜300m/minとする場合に好ましく適用でき、55〜200m/minとする場合により好ましく、60〜150m/minとする場合にさらに好ましい。
(高分子化合物)
本発明の製造方法に用いる高分子化合物としては、セルロースが好ましく、置換度2.5〜3のセルロースがより好ましい。
具体的には、セルロースアシレート(例えば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリメチルペンテンム、ポリエーテルケトン、(メタ)アクリルニトリル、シクロオレフィンなどを用いることができる。好ましくはセルロースアシレートまたはシクロオレフィンポリマーであり、セルロースアシレートであることがより好ましい。
(セルロースアシレート)
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートについて詳細に記載する。セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部を炭素原子数2以上のアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位および6位それぞれについて、セルロースの水酸基がエステル化している割合(100%のエステル化は置換度1)を意味する。
全アシル置換度、即ち、DS2+DS3+DS6は2.50〜3.00が好ましく、より好ましくは2.60〜2.95であり、特に好ましくは2.70〜2.90である。また、DS6/(DS2+DS3+DS6)は0.315以上が好ましく、特に好ましくは0.320以上である。ここで、DS2はグルコース単位の2位の水酸基のアシル基による置換度(以下、「2位のアシル置換度」とも言う)であり、DS3は3位の水酸基のアシル基による置換度(以下、「3位のアシル置換度」とも言う)であり、DS6は6位の水酸基のアシル基による置換度である(以下、「6位のアシル置換度」とも言う)。
本発明で用いられるセルロースアシレートが有するアシル基は1種類でもよいし、2種類以上でもよい。2種類以上のアシル基を用いるときは、そのひとつがアセチル基であることが好ましい。2位、3位および6位の水酸基のアセチル基による置換度の総和をDSAとし、2位、3位および6位の水酸基のアセチル基以外のアシル基による置換度の総和をDSBとすると、DSA+DSBの値は、より好ましくは2.50〜2.95であり、特に好ましくは2.60〜2.85である。また、DSBは1.70以下であり、特には1.0以下である。さらにDSBはその28%以上が6位水酸基の置換基であるが、より好ましくは30%以上が6位水酸基の置換基であり、31%以上がさらに好ましく、特には32%以上が6位水酸基の置換基であることも好ましい。またさらに、セルロースアシレートの6位のDSA+DSBの値が0.75以上であり、さらには0.80以上であり、特には0.85以上であるセルロースアシレートフィルムが好ましい。このようなアシレート基置換特性のセルロースアシレートは、幅広い溶媒に対して溶解性に優れ、不溶解物が少ない高分子溶液となるため好ましい。さらに粘度が低くろ過性のよい高分子溶液の作製が可能となる。その結果、本発明の方法により得られる光学フィルムは、異物が少なく、特に液晶表示装置に組込んで黒表示した際に、光が漏れて輝くいわゆる輝点異物を従来よりも少なくすることが可能となる。
本発明に用いられるセルロースアシレートの炭素原子数3以上のアシル基としては、脂肪族アシル基でもアリールアシル基でもよく特に限定されない。本発明に用いられるセルロースアシレートは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。アシル基の好ましい例としては、プロピオニル基、ブタノイル基、ケプタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、イソブタノイル基、tert−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などの各基を挙げることができる。これらの中でも、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、tert−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などがより好ましく、特に好ましくはプロピオニル基、ブタノイル基である。
本発明の光学フィルムは、光学フィルムを構成するポリマー成分が実質的に上記の定義を有するセルロースアシレートからなることが好ましい。「実質的に」とは、ポリマー成分の例えば55質量%以上(好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上)を意味する。フィルム製造の原料としては、セルロースアシレート粒子を使用することが好ましい。使用する粒子の90質量%以上は、0.5〜5mmの粒子サイズを有することが好ましい。また、使用する粒子の50質量%以上が1〜4mmの粒子サイズを有することが好ましい。セルロースアシレート粒子は、なるべく球形に近い形状を有することが好ましい。このようにしてできた粒子の嵩比重(見かけの密度)は0.3〜0.8kg/Lが好ましい。嵩比重が小さいとサイロから溶解タンクに投入する際ブリッジをおこしやすく、また逆に嵩比重が大きいと溶解性が劣る。従ってさらに好ましい嵩比重は0.4〜0.6である。粒子サイズや嵩比重の調整は凝集沈殿させるときの攪拌速度や凝集速度を調整することにより行う。
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの粘度平均重合度は、粘度平均重合度200〜700、より好ましくは250〜550、さらに好ましくは250〜400であり、特に好ましくは265〜380である。粘度平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。さらに特開平9−95538号公報に詳細に記載されている。粘度平均重合度は、オストワルド粘度計にて測定したセルロースアシレートの固有粘度[η]から下記式により求める。
粘度平均重合度DP=[η]/Km
式中[η]はセルロースアシレートの固有粘度であり、Kmは定数で6×10-4である。
また本発明に使用するセルロースアシレートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量)で示される分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては0.8〜2であることが好ましく、1〜1.8であることがさらに好ましい。低分子量成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低くなるため有用である。低分子量成分の少ないセルロースアシレートは、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分量成分を除去することにより得ることができる。低分子量成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより実施できる。なお、低分子量成分の少ないセルロースアシレートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量部に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。本発明に用いるセルロースアシレートは、その含水率は2質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1質量%以下であり、よりさらに好ましくは0.7質量%以下の含水率を有するセルロースアシレートである。一般に、セルロースアシレートは、水を含有しており2.5〜5質量%が知られている。本発明でこのセルロースアシレートの含水率にするためには、乾燥することが必要であり、その方法は目的とする含水率になれば特に限定されない。
本発明のこれらのセルロースアシレートは、その原料綿や合成方法は発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)にて7頁〜12頁に詳細に記載されている。
(添加剤)
本発明に係る高分子溶液には、上記のほか、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、可塑剤、紫外線防止剤、劣化防止剤、レターデーション発現剤、微粒子、剥離促進剤、赤外吸収剤、など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に可塑剤の混合などであり、例えば、特開平2001−151901号公報などに記載されている。剥離促進剤としてはクエン酸のエチルエステル類が例として挙げられる。さらにまた、赤外吸収染料としては例えば特開平2001−194522号公報に記載されている。またその添加する時期はドープ作製工程中の何れの段階で添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。さらにまた、各素材の添加量は、機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、フィルムが多層に形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。その例は、特開平2001−151902号公報などにも記載されているが、これらは従来から知られている技術である。これら添加剤の種類や添加量の選択によって、フィルムのガラス転移温度Tgを80〜180℃に、引張試験機で測定する弾性率を1500〜3000MPaに調整することが好ましい。
さらにこれらの詳細は、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)にて16頁以降に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
(界面活性剤:レベリング剤)
本発明の高分子溶液には、該高分子溶液の表面張力の温度変化率(σ)を0.01dyne/cm2℃以上低下させる化合物(例えば、界面活性剤あるいはレベリング剤)を含めることが好ましい。このような化合物は0.02〜10dyne/cm2℃低下させる化合物であることが好ましく、0.025〜2dyne/cm2℃低下させる化合物であることがさらに好ましい。
レベリング剤としては、具体的にはフッ素系レベリング剤、またはシリコーン系レベリング剤が好ましく、フッ素系レベリング剤がより好ましい。フッ素系レベリング剤を用いることにより、ムラ防止能が高く、好ましい。
また、レベリング剤は、低分子化合物よりもオリゴマーやポリマーであることが好ましい。
フッ素系レベリング剤としては、フルオロ脂肪族基を有する重合体が好ましく、さらに下記(i)のモノマーに相当する繰り返し単位(重合単位)の重合体、または下記(i)のモノマーに相当する繰り返し単位(重合単位)および下記(ii)のモノマーに相当する繰り返し単位(重合単位)を含むアクリル樹脂、メタアクリル樹脂、およびこれらに共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体が有用である。このような単量体としては、PolymerHandbook2nd ed.,J.Brandrup,Wiley lnterscience(1975)Chapter 2,Page 1〜483記載のものを用いることができる。
例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等をあげることができる。
(i)下記一般式1で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー
一般式1
Figure 2007268898
上記一般式1において、R1は水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、水素原子、メチル基が好ましい。Xは酸素原子、イオウ原子または−N(R12)−を表し、酸素原子または−N(R12)−がより好ましく、酸素原子がさらに好ましい。R12は水素原子または置換基を有しても良い炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基がさらに好ましい。Rfは−CF3または−CF2Hを表す。
一般式1中のmは1〜6の整数を表し、1〜3がより好ましく、1であることがさらに好ましい。
一般式1中のnは1〜11の整数を表し、1〜9がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。Rfは−CF2Hが好ましい。
またフッ素系ポリマー中に一般式1で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーから誘導される重合単位が2種類以上構成成分として含まれていてもよい。
(ii)上記(i)と共重合可能な下記一般式2で示されるモノマー
一般式2
Figure 2007268898
上記一般式2において、R13は水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、水素原子またはメチル基が好ましい。Yは酸素原子、イオウ原子または−N(R15)−を表し、酸素原子または−N(R15)−がより好ましく、酸素原子がさらに好ましい。R15は水素原子または炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基がさらに好ましい。
14は、置換基を有しても良い炭素原子数1〜60の直鎖、分岐状、あるいは環状のアルキル基、または置換基を有していても良い芳香族基(例えば、フェニル基またはナフチル基)を表す。該アルキル基はポリ(アルキレンオキシ)基を含んでも良い。さらに、炭素原子数1〜20の直鎖、分岐状あるいは環状のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1〜10の直鎖、分岐状のアルキル基が極めて好ましい。
好ましいフッ素系ポリマーの製造に用いられる上記一般式1で示されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該フッ素系ポリマーの単量体全量に基づいて、10質量%以上であり、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70〜100質量%であり、さらに好ましくは80〜100質量%の範囲である。
以下、好ましいフッ素系ポリマーの具体的な構造例を示すがこの限りではない。
なお、式中の数字は各モノマー成分のモル比率を示す。Mwは質量平均分子量を表す。
Figure 2007268898
Figure 2007268898
Figure 2007268898
Figure 2007268898
Figure 2007268898
Figure 2007268898
フッ素系ポリマーを構成するフルオロ脂肪族基含有モノマーの重合単位の量は、10質量%を超えることが好ましく、50〜100質量%であることがより好ましい。
次に、シリコーン系レベリング剤について、説明する。
シリコーン系レベリング剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール等のオリゴマー等の各種の置換基で、側鎖、主鎖の末端が変性されたポリジメチルシロキサン等が挙げられ、信越化学社製のKF−96、X−22−945などがある。
その他、疎水基がジメチルポリシロキサン、親水基がポリオキシアルキレンから構成される非イオン界面活性剤も好ましく用いることができる。
これらの非イオン活性剤の具体例としては、例えば、日本ユニカー(株)製、シリコーン界面活性剤 SILWET L−77、L−720、L−7001、L−7002、L−7604、Y−7006、FZ−2101、FZ−2104、FZ−2105、FZ−2110、FZ−2118、FZ−2120、FZ−2122、FZ−2123、FZ−2130、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164、FZ−2166、FZ−2191があり、さらにSUPERSILWET SS−2801、SS−2802、SS−2803、SS−2804、SS−2805等が挙げられる。
また、これら、疎水基がジメチルポリシロキサン、親水基がポリオキシアルキレンから構成される非イオン系の界面活性剤の好ましい構造としては、ジメチルポリシロキサン構造部分とポリオキシアルキレン鎖が交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマーであることが好ましく、特開平6−49486号公報が参考にできる。
これらの具体例としては、例えば、日本ユニカー(株)製、シリコーン界面活性剤 ABN SILWET FZ−2203、FZ−2207、FZ−2208等が挙げられる。
高分子溶液に対するレベリング剤の添加量は、0.001質量%〜1.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01質量%〜0.5質量%である。
(増粘剤)
本発明で用いる高分子溶液には、粘度を3Pas以上増大させる化合物(増粘剤)を含有させることが好ましい。増粘剤は、5〜100Pas増大させる化合物であることが好ましく、8〜80Pas増大させる化合物であることがより好ましい。
増粘剤としては以下のものが挙げられるが、これに限定されない。
ポリ−ε−カプロラクトン
ポリ−ε−カプロラクトンジオール
ポリ−ε−カプロラクトントリオール
ポリビニルアセテート
ポリ(エチレンアジペート)
ポリ(1,4−ブチレンアジペート)
ポリ(1,4−ブチレングルタレート)
ポリ(1,4−ブチレンスクシネート)
ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)
ポリ(エチレンテレフタレート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレングルタレート)
ポリ(ネオペンチルグリコールアジペート)
ポリ(ネオペンチルグリコールセバケート)
ポリ(1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(1,3−プロピレングルタレート)
ポリビニルブチラール
ポリビニルホルマール
ポリビニルアセタール
ポリビニルプロパナール
ポリビニルヘキサナール
ポリビニルピロリドン
ポリアクリル酸エステル(ポリアクリレート)
ポリメタクリル酸エステル
セルロースアセテート
セルロースプロピオネート
セルロースアセテートブチレート
この他にも特開平8−325491号公報に記載のスメクタイト、フッ素四珪素雲母、ベントナイト、シリカ、モンモリロナイトおよびポリアクリル酸ナトリウム、特開平10−219136号公報に記載のエチルセルロース、ポリアクリル酸、有機粘土など、公知の粘度調整剤やチキソトロピー性付与剤を使用することができる。
増粘剤の含量は、目的とする粘度に応じて適宜定めることができるが、例えば、高分子溶液中で0.001〜0.5質量%とすることができる。
(可塑剤)
本発明のフィルム中には可塑剤を含むことが好ましい。用いることのできる可塑剤としては特に限定しないが、リン酸エステル系では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等、グリコール酸エステル系では、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等のセルロースアシレートよりも疎水的なものを単独あるいは併用するのが好ましい。可塑剤は必要に応じて、2種類以上を併用して用いてもよい。
(レターデーション発現剤)
本発明の高分子溶液には、レターデーション発現剤を含めてもよい。レターデーション発現剤としては、少なくとも二つの芳香族環を有する化合物が好ましい。レターデーション発現剤は、高分子化合物100質量部に対して、0.05〜20質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することがより好ましく、0.2〜5質量部の範囲で使用することがさらに好ましく、0.5〜2質量部の範囲で使用することが最も好ましい。2種類以上のレターデーション発現剤を併用してもよい。
レターデーション発現剤は、250〜400nmの波長領域に最大吸収を有することが好ましく、可視領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。
本明細書において、「芳香族環」は、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。
芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。
芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。
芳香族環としては、ベンゼン環、縮合ベンゼン環、ビフェニール類が好ましい。特に1,3,5−トリアジン環が好ましく用いられる。例えば、特開2001−166144号公報に開示の化合物が好ましく用いられる。
レターデーション発現剤が有する芳香族環の炭素原子数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましく、2〜6であることが最も好ましい。
二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。
(a)の縮合環(二つ以上の芳香族環の縮合環)の例には、インデン環、ナフタレン環、アズレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、アセナフチレン環、ビフェニレン環、ナフタセン環、ピレン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドリジン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、プリン環、インダゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フタラジン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェナントリジン環、キサンテン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環およびチアントレン環が含まれる。ナフタレン環、アズレン環、インドール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環およびキノリン環が好ましい。
(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素原子間の結合であることが好ましい。二以上の単結合で二つの芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂肪族環または非芳香族性複素環を形成してもよい。
(c)の連結基も、二つの芳香族環の炭素原子と結合することが好ましい。連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−CO−、−O−、−NH−、−S−またはそれらの組み合わせであることが好ましい。組み合わせからなる連結基の例を以下に示す。なお、以下の連結基の例の左右の関係は、逆になってもよい。
c1:−CO−O−
c2:−CO−NH−
c3:−アルキレン基−O−
c4:−NH−CO−NH−
c5:−NH−CO−O−
c6:−O−CO−O−
c7:−O−アルキレン基−O−
c8:−CO−アルケニレン基−
c9:−CO−アルケニレン基−NH−
c10:−CO−アルケニレン基−O−
c11:−アルキレン基−CO−O−アルキレン基−O−CO−アルキレン基−
c12:−O−アルキレン基−CO−O−アルキレン基−O−CO−アルキレン基−O−
c13:−O−CO−アルキレン基−CO−O−
c14:−NH−CO−アルケニレン基−
c15:−O−CO−アルケニレン基−
芳香族環および連結基は、置換基を有していてもよい。
置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ウレイド基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基および非芳香族性複素環基が含まれる。
アルキル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。アルキル基は、さらに置換基(例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有していてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例には、メチル基、エチル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、2−ヒドロキシエチル基、4−カルボキシブチル基、2−メトキシエチル基および2−ジエチルアミノエチル基の各基が含まれる。
アルケニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。アルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルケニル基の例には、ビニル基、アリル基および1−ヘキセニル基が含まれる。
アルキニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル基、1−ブチニル基および1−ヘキシニル基が含まれる。
脂肪族アシル基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、アセチル基、プロパノイル基およびブタノイル基が含まれる。
脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシ基が含まれる。
アルコキシ基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置換基(例えば、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基およびメトキシエトキシ基が含まれる。
アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基が含まれる。
アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ基およびエトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
アルキルチオ基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、メチルチオ基、エチルチオ基およびオクチルチオ基が含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニル基およびエタンスルホニル基が含まれる。
脂肪族アミド基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含まれる。
脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基およびn−オクタンスルホンアミド基が含まれる。
脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基および2−カルボキシエチルアミノ基が含まれる。
脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基およびジエチルカルバモイル基が含まれる。
脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモイル基およびジエチルスルファモイル基が含まれる。
脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイド基が含まれる。
非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノ基およびモルホリノ基が含まれる。
レターデーション発現剤の分子量は、300〜800であることが好ましい。
本発明では、レターデーション発現剤として、直線的な分子構造を有する棒状化合物も好ましく用いることができる。直線的な分子構造とは、熱力学的に最も安定な構造において棒状化合物の分子構造が直線的であることを意味する。熱力学的に最も安定な構造は、結晶構造解析または分子軌道計算によって求めることができる。例えば、分子軌道計算ソフト(例えば、WinMOPAC2000、富士通(株)製)を用いて分子軌道計算を行い、化合物の生成熱が最も小さくなるような分子の構造を求めることができる。分子構造が直線的であるとは、上記のように計算して求められる熱力学的に最も安定な構造において、分子構造で主鎖の構成する角度が140度以上であることを意味する。
少なくとも二つの芳香族環を有する棒状化合物としては、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
一般式(1):Ar1−L1−Ar2
一般式(1)中、Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、芳香族基である。
本明細書において、芳香族基は、アリール基(芳香族性炭化水素基)、置換アリール基、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基を含む。
アリール基および置換アリール基の方が、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基よりも好ましい。芳香族性へテロ環基のヘテロ環は、一般には不飽和である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性へテロ環は一般に最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましく、窒素原子または硫黄原子がさらに好ましい。
芳香族基の芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環およびピラジン環が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
置換アリール基および置換芳香族性ヘテロ環基の置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I等)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ブチルアミノ基、ジメチルアミノ基の各基)、ニトロ基、スルホ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基(例えば、N−メチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基の各基)、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基(例えば、N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基の各基)、ウレイド基、アルキルウレイド基(例えば、N−メチルウレイド基、N,N−ジメチルウレイド基、N,N,N'−トリメチルウレイド基の各基)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、s−ブチル基、tert−アミル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基の各基)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基の各基)、アルキニル基(例えば、エチニル基、ブチニル基)、アシル基(例えば、ホルミル、アセチル、ブチリル、ヘキサノイル、ラウリルの各基)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、ブチリルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ラウリルオキシ基の各基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基の各基)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基の各基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、ブトキシカルボニルアミノ基、ヘキシルオキシカルボニルアミノ基)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基の各基)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ヘプチルスルホニル基、オクチルスルホニル基の各基)、アミド基(例えば、アセトアミド基、ブチルアミド基、ヘキシルアミド基、ラウリルアミド基の各基)および非芳香族性複素環基(例えば、モルホリル基、ピラジニル基)が含まれる。
なかでも、好ましい置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基およびアルキル基が挙げられる。
アルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基およびアルキルチオ基のアルキル部分とアルキル基とは、さらに置換基を有していてもよい。アルキル部分およびアルキル基の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、スルホ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基、ウレイド基、アルキルウレイド基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アミド基および非芳香族性複素環基が含まれる。アルキル部分およびアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基およびアルコキシ基が好ましい。
一般式(1)において、L1は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−CO−およびそれらの組み合わせからなる基から選ばれる二価の連結基である。
アルキレン基は、環状構造を有していてもよい。環状アルキレン基としては、シクロヘキシレンが好ましく、1,4−シクロへキシレンが特に好ましい。鎖状アルキレン基としては、直鎖状アルキレン基の方が分岐を有するアルキレン基よりも好ましい。
アルキレン基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜15であり、さらに好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜8であり、最も好ましくは1〜6である。
アルケニレン基およびアルキニレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさらに好ましい。
アルケニレン基およびアルキニレン基の炭素原子数は、好ましくは2〜10であり、より好ましくは2〜8であり、さらに好ましくは2〜6であり、さらに好ましくは2〜4であり、最も好ましくは2(ビニレン基またはエチニレン基)である。
アリーレン基は、炭素原子数は6〜20であることが好ましく、より好ましくは6〜16であり、さらに好ましくは6〜12である。
一般式(1)の分子構造において、L1を挟んで、Ar1とAr2とが形成する角度は、140度以上であることが好ましい。より好ましくは140度以上、220度以下である。
棒状化合物としては、下記式一般式(2)で表される化合物がさらに好ましい。
Figure 2007268898
上記一般式(2)において、Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、芳香族基である。芳香族基の定義および例は、一般式(I)のAr1およびAr2と同様である。
一般式(2)において、L2およびL3は、それぞれ独立に、アルキレン基、−O−、−
CO−およびそれらの組み合わせからなる基より選ばれる二価の連結基である。
アルキレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさらに好ましい。
アルキレン基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは1〜8であり、さらに好ましくは1〜6であり、さらに好ましくは1〜4であり、1または2(メチレン基またはエチレン基)であることが最も好ましい。
2およびL3は、−O−CO−または−CO−O−であることが特に好ましい。
一般式(2)において、Xは、1,4−シクロへキシレン基、ビニレン基またはエチニレン基である。
以下に、一般式(1)で表される化合物の具体例を示す。
Figure 2007268898
Figure 2007268898
Figure 2007268898
Figure 2007268898
Figure 2007268898
Figure 2007268898
Figure 2007268898
Figure 2007268898
Figure 2007268898
具体例(1)〜(34)、(41)、(42)は、シクロヘキサン環の1位と4位とに二つの不斉炭素原子を有する。ただし、具体例(1)、(4)〜(34)、(41)、(42)は、対称なメソ型の分子構造を有するため光学異性体(光学活性)はなく、幾何異性体(トランス型とシス型)のみ存在する。具体例(1)のトランス型(1−trans)とシス型(1−cis)とを、以下に示す。
Figure 2007268898
前述したように、レターデーション発現剤としての棒状化合物は直線的な分子構造を有することが好ましい。そのため、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
具体例(2)および(3)は、幾何異性体に加えて光学異性体(合計4種の異性体)を有する。幾何異性体については、同様にトランス型の方がシス型よりも好ましい。光学異性体については、特に優劣はなく、D、Lあるいはラセミ体のいずれでもよい。
具体例(43)〜(45)では、中心のビニレン結合にトランス型とシス型とがある。上記と同様の理由で、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
下記一般式(3)で表される化合物もまた、本発明で用いるレターデーション発現剤として好ましい。
Figure 2007268898
一般式(3)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R9およびR10はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R1、R2、R3、R4およびR5のうち少なくとも1つは電子供与性基を表す。電子供与性基としては、アルコキシ基、スルホンアミド基、アミド基が好ましい。
8は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数2〜6のアルケニル基、炭素原子数2〜6のアルキニル基、炭素原子数6〜12のアリール基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリールオキシ基、炭素原子数2〜38のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜12のアシルアミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表し、炭素原子数2〜28のアルコキシカルボニル基が好ましい。
以下、一般式(3)で表される化合物の具体例およびその他の本発明で好ましく用いることができるレターデーション発現剤の例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007268898
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Figure 2007268898
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Figure 2007268898
高分子溶液の紫外線吸収スペクトルにおいて最大吸収波長(λmax)が250nmより短波長である棒状化合物を、レターデーション発現剤として、2種類以上併用してもよい。
棒状化合物は、文献記載の方法を参照して合成できる。文献としては、Mol. Cryst. Liq. Cryst., 53巻、229ページ(1979年)、同89巻、93ページ(1982年)、同145巻、111ページ(1987年)、同170巻、43ページ(1989年)、J. Am. Chem. Soc.,113巻、1349ページ(1991年)、同118巻、5346ページ(1996年)、同92巻、1582ページ(1970年)、J. Org. Chem.,40巻、420ページ(1975年)、Tetrahedron、48巻16号、3437ページ(1992年)を挙げることができる。
レターデーション発現剤のうち、芳香族化合物は、ポリマー100質量部に対して、0.05〜15質量部の範囲で使用することがより好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。二種類以上の化合物を併用してもよい。
(マット剤)
本発明で用いる高分子溶液は、マット剤を含んでいてもよい。
本発明のフィルムには、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上がさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
これらの微粒子は、通常平均粒子径が0.1〜3.0μmの2次粒子を形成し、これらの微粒子はフィルム中では、1次粒子の凝集体として存在し、フィルム表面に0.1〜3.0μmの凹凸を形成させる。2次平均粒子径は0.2μm〜1.5μmが好ましく、0.4μm〜1.2μmがさらに好ましく、0.6μm〜1.0μmが最も好ましい。1次、2次粒子径はフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒径とした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とした。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vが1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化珪素の微粒子であり、フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
次に、本発明のセルロースアシレートが溶解される有機溶媒について記述する。
(塩素系溶媒)
本発明のセルロースアシレートの高分子溶液を作製するに際しては、主溶媒として塩素系有機溶媒が好ましく用いられる。本発明においては、セルロースアシレートを溶解し、流延し、製膜して、その目的が達成できる限り、その塩素系有機溶媒の種類は特に限定されない。これらの塩素系有機溶媒は、好ましくは、メチレンクロライド(ジクロロメタン)およびクロロホルムである。特にメチレンクロライドが好ましい。また、塩素系有機溶媒以外の有機溶媒を混合することも特に問題ない。その場合は、メチレンクロライドは少なくとも50質量%使用することが好ましい。本発明で塩素系有機溶媒と併用される非塩素系有機溶媒について以下に記す。すなわち、好ましい非塩素系有機溶媒としては、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、アルコール、炭化水素などから選ばれる溶媒が好ましい。また、エステル、ケトン、エーテルおよびアルコールは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を同時に有していてもよい。二種類以上の官能基を有する溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテート等が挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノン等が挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトール等が挙げられる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノール等が挙げられる。
また塩素系有機溶媒と併用されるアルコールとしては、好ましくは直鎖であっても分枝を有していても環状であってもよく、その中でも飽和脂肪族炭化水素であることが好ましい。アルコールの水酸基は、第一級〜第三級のいずれであってもよい。アルコールの例には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノールおよびシクロヘキサノールが含まれる。なおアルコールとしては、フッ素系アルコールも用いられる。例えば、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールなども挙げられる。さらに炭化水素は、直鎖であっても分岐を有していても環状であってもよい。芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素のいずれも用いることができる。脂肪族炭化水素は、飽和であっても不飽和であってもよい。炭化水素の例には、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエンおよびキシレンが含まれる。
本発明の好ましい主溶媒である塩素系有機溶媒の組合せとしては以下を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
・メチレンクロライド/メタノール/エタノール/ブタノール(75/10/5/5/5、質量部)、
・メチレンクロライド/アセトン/メタノール/プロパノール(80/10/5/5、質量部)、
・メチレンクロライド/メタノール/ブタノール/シクロヘキサン(75/10/5/5/5、質量部)、
・メチレンクロライド/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール(80/10/5/5、質量部)、
・メチレンクロライド/アセトン/メチルエチルケトン/エタノール/イソプロパノール(75/8/5/5/7、質量部)、
・メチレンクロライド/シクロペンタノン/メタノール/イソプロパノール(80/7/5/8、質量部)、
・メチレンクロライド/酢酸メチル/ブタノール(80/10/10、質量部)、
・メチレンクロライド/シクロヘキサノン/メタノール/ヘキサン(70/20/5/5、質量部)、
・メチレンクロライド/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール(50/20/20/5/5、質量部)、
・メチレンクロライド/1、3ジオキソラン/メタノール/エタノール(70/20/5/5、質量部)、
・メチレンクロライド/ジオキサン/アセトン/メタノール/エタノール(60/20/10/5/5、質量部)、
・メチレンクロライド/アセトン/シクロペンタノン/エタノール/イソブタノール/シクロヘキサン(65/10/10/5/5/5、質量部)、
・メチレンクロライド/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール(70/10/10/5/5、質量部)、
・メチレンクロライド/アセトン/酢酸エチル/エタノール/ブタノール/ヘキサン(65/10/10/5/5/5、質量部)、
・メチレンクロライド/アセト酢酸メチル/メタノール/エタノール(65/20/10/5、質量部)、
・メチレンクロライド/シクロペンタノン/エタノール/ブタノール(65/20/10/5、質量部)、
などをあげることができる。
(非塩素系溶媒)
次に、本発明のセルロースアシレートの高分子溶液を作製するに際して好ましく用いられる非塩素系有機溶媒について記載する。本発明においては、セルロースアシレートが溶解し流延、製膜できる範囲において、その目的が達成できる限りは非塩素系有機溶媒は特に限定されない。本発明で用いられる非塩素系有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテルから選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよびエーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが挙げられる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが挙げられる。
以上のセルロースアシレートに用いられる非塩素系有機溶媒については、前述のいろいろな観点から選定されるが、好ましくは以下のとおりである。すなわち、本発明のセルロースアシレートの好ましい溶媒は、互いに異なる3種類以上の混合溶媒であって、第1の溶媒が酢酸メチル、酢酸エチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、アセトン、ジオキソラン、ジオキサンから選ばれる少なくとも一種あるいはそれらの混合液であり、第2の溶媒が炭素原子数が4〜7のケトン類またはアセト酢酸エステルから選ばれ、第3の溶媒として炭素原子数が1〜10のアルコールまたは炭化水素から選ばれ、より好ましくは炭素原子数1〜8のアルコールである。なお第1の溶媒が、2種以上の溶媒の混合液である場合は、第2の溶媒がなくてもよい。第1の溶媒は、さらに好ましくは酢酸メチル、アセトン、蟻酸メチル、蟻酸エチルあるいはこれらの混合物であり、第2の溶媒は、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセチル酢酸メチルが好ましく、これらの混合液であってもよい。
第3の溶媒であるアルコールは、直鎖であっても分枝を有していても環状であってもよく、その中でも飽和脂肪族炭化水素であることが好ましい。アルコールの水酸基は、第一級〜第三級のいずれであってもよい。アルコールの例には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノールおよびシクロヘキサノールが含まれる。なおアルコールとしては、フッ素系アルコールも用いられる。例えば、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールなども挙げられる。さらに炭化水素は、直鎖であっても分岐を有していても環状であってもよい。芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素のいずれも用いることができる。脂肪族炭化水素は、飽和であっても不飽和であってもよい。炭化水素の例には、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエンおよびキシレンが含まれる。これらの第3の溶媒であるアルコールおよび炭化水素は単独でもよいし2種類以上の混合物でもよく特に限定されない。
第3の溶媒としては、好ましい具体的化合物は、アルコールとしてはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、およびシクロヘキサノール、シクロヘキサン、ヘキサンを挙げることができ、特にはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールである。
以上の3種類の混合溶媒は、第1の溶媒が20〜95質量%、第2の溶媒が2〜60質量%さらに第3の溶媒が2〜30質量%の比率で含まれることが好ましく、さらに第1の溶媒が30〜90質量%であり、第2の溶媒が3〜50質量%、さらに第3のアルコールが3〜25質量%含まれることが好ましい。また特に第1の溶媒が30〜90質量%であり、第2の溶媒が3〜30質量%、第3の溶媒がアルコールであり3〜15質量%含まれることが好ましい。なお、第1の溶媒が混合液で第2の溶媒を用いない場合は、第1の溶媒が20〜90質量%、第3の溶媒が5〜30質量%の比率で含まれることが好ましく、さらに第1の溶媒が30〜86質量%であり、さらに第3の溶媒が7〜25質量%含まれることが好ましい。以上の本発明で用いられる非塩素系有機溶媒は、さらに詳細には発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)にて12頁〜16頁に詳細に記載されている。本発明の好ましい非塩素系有機溶媒の組合せは以下挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
・酢酸メチル/アセトン/メタノール/エタノール/ブタノール(75/10/5/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/メタノール/エタノール/プロパノール(75/10/5/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/メタノール/ブタノール/シクロヘキサン(75/10/5/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(81/8/7/4、質量部、)
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(82/10/4/4、質量部、)
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(80/10/4/6、質量部)
・酢酸メチル/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール(80/10/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/メチルエチルケトン/エタノール/イソプロパノール(75/8/5/5/7、質量部)、
・酢酸メチル/シクロペンタノン/メタノール/イソプロパノール(80/7/5/8、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/ブタノール(85/10/5、質量部)、
・酢酸メチル/シクロペンタノン/アセトン/メタノール/ブタノール(60/15/14/5/6、質量部)、
・酢酸メチル/シクロヘキサノン/メタノール/ヘキサン(70/20/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール(50/20/20/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/1、3ジオキソラン/メタノール/エタノール(70/20/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/ジオキサン/アセトン/メタノール/エタノール(60/20/10/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/シクロペンタノン/エタノール/イソブタノール/シクロヘキサン(65/10/10/5/5/5、質量部)、
・ギ酸メチル/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール(50/20/20/5/5、質量部)、
・ギ酸メチル/アセトン/酢酸エチル/エタノール/ブタノール/ヘキサン(65/10/10/5/5/5、質量部)、
・アセトン/アセト酢酸メチル/メタノール/エタノール(65/20/10/5、質量部)、
・アセトン/シクロペンタノン/エタノール/ブタノール(65/20/10/5、質量部)、
・アセトン/1,3ジオキソラン/エタノール/ブタノール(65/20/10/5、質量部)、
・1、3ジオキソラン/シクロヘキサノン/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール(55/20/10/5/5/5、質量部)
などをあげることができる。
さらに下記の方法でセルロースアシレート高分子溶液を調製することもできる。
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(81/8/7/4、質量部)でセルロースアシレート高分子溶液を調製し、ろ過して濃縮した後に2質量部のブタノールを追加添加する、
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(84/10/4/2、質量部)でセルロースアシレート高分子溶液を調製し、ろ過して濃縮した後に4質量部のブタノールを追加添加する、
・酢酸メチル/アセトン/エタノール(84/10/6、質量部)でセルロースアシレート高分子溶液を作製し、ろ過して濃縮した後に5質量部のブタノールを追加添加する。
(高分子溶液特性)
本発明において流延する高分子溶液は、有機溶媒に高分子が10〜30質量%溶解していることが好ましいが、より好ましくは13〜27質量%であり、特には15〜25質量%溶解していることが好ましい。これらの濃度に調製する方法は、溶解する段階で所定の濃度になるようにしてもよく、また予め低濃度高分子溶液(例えば9〜14質量%)として調製した後に後述する濃縮工程により所定の高濃度の高分子溶液に調整してもよい。さらに、予め高濃度の高分子溶液とした後に、種々の添加物を添加することで所定の低濃度のセルロースアシレート高分子溶液としてもよい。
次に、本発明では高分子溶液を同一組成の有機溶媒で0.1〜5質量%にした希釈高分子溶液の高分子化合物の会合体分子量が15万〜1500万であることが好ましい。さらに好ましくは、会合体分子量が18万〜900万である。この会合体分子量は静的光散乱法で求めることができる。その際に同時に求められる慣性自乗半径は、10〜200nmになるように溶解することが好ましい。さらに好ましい慣性自乗半径は20〜200nmである。さらにまた、第2ビリアル係数が−2×10-4〜4×10-4となるように溶解することが好ましく、より好ましくは第2ビリアル係数が−2×10-4〜2×10-4である。
ここで、上記会合体分子量、さらに慣性自乗半径および第2ビリアル係数の定義について述べる。これらは下記方法に従って、静的光散乱法を用いて測定した。測定は装置の都合上希薄領域で測定したが、これらの測定値は本発明の高濃度域でのドープの挙動を反映するものである。まず、セルロースアシレートをドープに使用する溶媒に溶かし、0.1質量%、0.2質量%、0.3質量%、0.4質量%の高分子溶液を調製する。なお、秤量は吸湿を防ぐためセルロースアシレートは120℃で2時間乾燥したものを用い、25℃,10%RHで行った。溶解方法は、ドープ溶解時に採用した方法(常温溶解法、冷却溶解法、高温溶解法)に従って実施する。続いてこれらの高分子溶液、および溶媒を0.2μmのテフロン製フィルタ(テフロン:登録商標)で濾過する。そして、ろ過した高分子溶液を、静的光散乱を、光散乱測定装置(大塚電子(株)製DLS−700)を用い、25℃に於いて30度から140度まで10度間隔で測定する。得られたデータをBERRYプロット法にて解析する。なお、この解析に必要な屈折率はアッベ屈折系で求めた溶媒の値を用い、屈折率の濃度勾配(dn/dc)は、示差屈折計(大塚電子(株)製DRM−1021)を用い、光散乱測定に用いた溶媒、高分子溶液を用いて測定する。
(高分子溶液の調製)
次に本発明における高分子溶液(ドープ)の調製については、その溶解方法は特に限定されず、室温でもよく冷却溶解法あるいは高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。これらに関しては、例えば特開平5−163301号公報、特開昭61−106628号公報、特開昭58−127737号公報、特開平9−95544号公報、特開平10−95854号公報、特開平10−45950号公報、特開2000−53784号公報、特開平11−322946号公報、さらに特開平11−322947号公報、特開平2−276830号公報、特開2000−273239号公報、特開平11−71463号公報、特開平04−259511号公報、特開2000−273184号公報、特開平11−323017号公報、特開平11−302388号公報などに高分子溶液の調製法が記載されている。上記各公報に記載されたこれら有機溶媒への溶解方法は、本発明の範囲であればこれらの技術を本発明に適宜適用できるものである。これらの詳細は、特に非塩素系溶媒系については発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)の22頁〜25頁にも詳細に記載されており、この方法で行うことができる。さらに本発明の高分子溶液は、高分子溶液濃縮、ろ過が通常実施され、これも同様に発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)の25頁に詳細に記載されている。なお、高温度で溶解する場合は、使用する有機溶媒の沸点以上の場合がほとんどであり、その場合は加圧状態で用いられる。
高分子溶液の濃度は、前述のごとく高濃度のドープが得られるのが特徴であり、濃縮という手段に頼らずとも高濃度でしかも安定性の優れた高分子溶液が得られる。さらに溶解し易くするために低い濃度で溶解してから、濃縮手段を用いて濃縮してもよい。濃縮の方法としては、特に限定するものはないが、例えば、低濃度高分子溶液を筒体とその内部の周方向に回転する回転羽根外周の回転軌跡との間に導くとともに、高分子溶液との間に温度差を与えて溶媒を蒸発させながら高濃度高分子溶液を得る方法(例えば、特開平4−259511号公報等)、加熱した低濃度高分子溶液をノズルから容器内に吹き込み、高分子溶液をノズルから容器内壁に当たるまでの間で溶媒をフラッシュ蒸発させるとともに、溶媒蒸気を容器から抜き出し、高濃度高分子溶液を容器底から抜き出す方法(例えば、米国特許第2,541,012号、米国特許第2,858,229号、米国特許第4,414,341号、米国特許第4,504,355号各明細書等などに記載の方法)等を用いることができる。
高分子溶液は流延に先だって金網やネルなどの適当な濾材を用いて、未溶解物やゴミ、不純物などの異物を濾過除去しておくのが好ましい。高分子溶液の濾過には絶対濾過精度が0.1〜100μmのフィルタが用いられ、さらには絶対濾過精度が0.5〜25μmであるフィルタを用いることが好ましく用いられる。フィルタの厚さは、0.1〜10mmが好ましく、さらには0.2〜2mmが好ましい。その場合、ろ過圧力は1.6MPa以下、より好ましくは1.2MPa以下、さらには1.0MPa以下、特に好ましくは0.2MPa以下で濾過することが好ましい。濾材としては、ガラス繊維、セルロース繊維、濾紙、四フッ化エチレン樹脂などのフッ素樹脂等の従来公知である材料を好ましく用いることができ、特にセラミックス、金属等が好ましく用いられる。
本発明において高分子溶液は、その高分子溶液の粘度がある特定の範囲に調整されていることが好ましい。粘度は、例えば試料高分子溶液約1mLをBohlin Instruments社製ストレスレオメーター(CVO 120)を用いて測定する。ドープ温度33℃、周波数1ヘルツで1%の変位を負荷する条件で粘度(単位:Pas)を測定する。
好ましい粘度は10〜200Pas(測定温度33℃)であり、この範囲よりも粘度が高いと流動性が乏しくろ過や流延が困難になり、この範囲よりも粘度が低いと流延ダイの内圧が低くなって幅方向に均一に流延することができなくなり幅方向の厚さ変動が大きくなりやすい。ドープの粘度は25〜160Pasがさらに好ましく、30〜120Pasが最も好ましい。
前述の範囲に高分子溶液粘度があるとろ過の負担も少なくなり、そのため従来よりも小孔径・高精度のろ材の使用が可能になる。その結果、本発明のセルロースアシレートフィルムは異物が少なく、特に液晶表示装置に組込んで黒表示した際に、光が漏れて輝くいわゆる輝点異物を従来よりも少なくすることが可能となった。
(製膜)
次に高分子溶液を用いたフィルムの製造方法について述べる。本発明の光学フィルムを製造する方法および設備は、ドープ(高分子溶液)流延製膜方法およびドープ流延製膜装置が好ましく用いられる。溶解機(釜)から調製された高分子溶液を貯蔵釜で一旦貯蔵し、高分子溶液に含まれている泡を脱泡して最終調製をする。高分子溶液をドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、高分子溶液を加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延し、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。また、各種機能性層を設けた膜に用いるドープ流延製膜方法においては、ドープ流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。以下に各製造工程について簡単に述べるが、これらに限定されるものではない。
まず、調製した高分子溶液(ドープ)は、ソルベントキャスト法によりフィルムを作製する際に、高分子溶液はドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前の高分子溶液は、固形分量が5〜40質量%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ドープは、表面温度が30℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましく用いられ、特には−10〜20℃の金属支持体温度であることが好ましい。
さらに特開2000−301555号、特開2000−301558号、特開平7−032391号、特開平3−193316号、特開平5−086212号、特開昭62−037113号、特開平2−276607号、特開昭55−014201号、特開平2−111511号、および特開平2−208650号の各公報に記載の技術を応用してもよい。
(重層流延)
高分子溶液を、金属支持体としての平滑なバンド上或いはドラム上に単層液として流延してもよいし、2層以上の複数の高分子溶液を流延してもよい。複数の高分子溶液を流延する場合、金属支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口から高分子溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよく、例えば特開昭61−158414号、特開平1−122419号、および特開平11−198285号の各公報などに記載の方法が適応できる。
また、2つの流延口から高分子溶液を流延することによってもフィルム化する方法を採用してもよく、例えば特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、および特開平6−134933号の各公報に記載の方法で実施できる。また、特開昭56−162617号公報に記載の高粘度高分子溶液の流れを低粘度の高分子溶液で包み込み、その高・低粘度の高分子溶液を同時に押出す流延方法でもよい。さらにまた、特開昭61−94724号および特開昭61−94725号の各公報に記載の外側の高分子溶液が内側の高分子溶液よりも貧溶媒であるアルコール成分を多く含有させることも好ましい態様である。或いはまた2個の流延口を用いて、第一の流延口により金属支持体に成型したフィルムを剥離し、金属支持体面に接していた側に第二の流延を行なうことにより、フィルムを作製することでもよく、例えば特公昭44−20235号公報に記載されている方法が挙げられる。流延する高分子溶液は同一の高分子溶液でもよいし、異なる高分子溶液でもよく、特に限定されない。複数の層に機能を持たせるために、その機能に応じた高分子溶液を、それぞれの流延口から押出せばよい。さらに高分子溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層など)を同時に流延することも実施しうる。
従来の単層液では、必要な光学フィルムの厚味にするためには高濃度で高粘度の高分子溶液を押出すことが必要であり、その場合高分子溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良であったりして問題となることが多かった。この解決として、複数の高分子溶液を流延口から流延することにより、高粘度の高分子溶液を同時に金属支持体上に押出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚な高分子溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができる。
特に、同じ膜厚のフィルムを得るために必要な1つの高分子溶液の厚味hを、共流延によって下げることが可能となり、式1で示される値Nの値を下げることができるため、遅相軸の方向が均一なフィルムを得るために有用な手段となる。
共流延の場合、内側と外側の厚さは特に限定されないが、好ましくは外側が全膜厚の1〜50%であることが好ましく、より好ましくは2〜30%の厚さである。ここで、3層以上の共流延の場合は金属支持体に接した層と空気側に接した層のトータル膜厚を外側の厚さと定義する。共流延の場合、前述の可塑剤、紫外線吸収剤、マット剤等の添加物濃度が異なる高分子溶液を共流延して、積層構造のフィルムを作製することもできる。例えば、スキン層/コア層/スキン層といった構成の光学フィルムを作ることができる。例えば、マット剤は、スキン層に多く、またはスキン層のみに入れることができる。可塑剤、紫外線吸収剤はスキン層よりもコア層に多く入れることができ、コア層のみにいれてもよい。また、コア層とスキン層で可塑剤、紫外線吸収剤の種類を変更することもでき、例えばスキン層に低揮発性の可塑剤および/または紫外線吸収剤を含ませ、コア層に可塑性に優れた可塑剤、或いは紫外線吸収性に優れた紫外線吸収剤を添加することもできる。また、剥離促進剤を金属支持体側のスキン層のみ含有させることも好ましい態様である。また、冷却ドラム法で金属支持体を冷却して高分子溶液をゲル化させるために、スキン層に貧溶媒であるアルコールをコア層より多く添加することも好ましい。スキン層とコア層のTgが異なっていても良く、スキン層のTgよりコア層のTgが低いことが好ましい。また、流延時の高分子溶液の粘度もスキン層とコア層で異なっていても良く、スキン層の粘度がコア層の粘度よりも小さいことが好ましいが、コア層の粘度がスキン層の粘度より小さくてもよい。
(流延)
高分子溶液の流延方法としては、調製されたドープを加圧ダイから金属支持体上に均一に押し出す方法、一旦金属支持体上に流延されたドープをブレードで膜厚を調節するドクターブレードによる方法、或いは逆回転するロールで調節するリバースロールコーターによる方法等があるが、加圧ダイによる方法が好ましい。加圧ダイにはコートハンガータイプやTダイタイプ等があるがいずれも好ましく用いることができる。また、ここで挙げた方法以外にも従来知られている高分子溶液を流延製膜する種々の方法で実施でき、用いる溶媒の沸点等の違いを考慮して各条件を設定することによりそれぞれの公報に記載の内容と同様の効果が得られる。本発明の光学フィルムを製造するのに使用されるエンドレスに走行する金属支持体としては、表面がクロムメッキによって鏡面仕上げされたドラムや表面研磨によって鏡面仕上げされたステンレスベルト(バンドといってもよい)が好ましく用いられる。本発明のフィルムの製造に用いられる加圧ダイは、金属支持体の上方に1基或いは2基以上の設置でもよい。好ましくは1基または2基である。2基以上設置する場合には流延するドープ量をそれぞれのダイに種々な割合にわけてもよく、複数の精密定量ギヤアポンプからそれぞれの割合でダイにドープを送液してもよい。流延に用いられる高分子溶液の温度は、−10〜55℃が好ましく、より好ましくは25〜50℃である。その場合、工程のすべてが同一温度でもよく、あるいは工程の各所で異なっていてもよい。異なる場合は、流延直前で所望の温度であればよい。
(乾燥)
製造に係わる金属支持体上におけるドープ膜の乾燥は、一般的には金属支持体(ドラム或いはベルト)の表面側、つまり金属支持体上にあるウェブの表面から熱風を当てる方法、ドラム或いはベルトの裏面から熱風を当てる方法、温度コントロールした液体をベルトやドラムのドープ流延面の反対側である裏面から接触させて、伝熱によりドラム或いはベルトを加熱し表面温度をコントロールする液体伝熱方法などがあるが、裏面液体伝熱方式が好ましい。流延される前の金属支持体の表面温度はドープに用いられている溶媒の沸点以下であれば何度でもよい。しかし乾燥を促進するためには、また金属支持体上での流動性を失わせるためには、使用される溶媒の内の最も沸点の低い溶媒の沸点より1〜10度低い温度に設定することが好ましい。尚、流延ドープを冷却して乾燥することなく剥ぎ取る場合はこの限りではない。
(延伸処理)
本発明の光学フィルムは、延伸処理によりレターデーションを調整することができる。さらには、積極的に幅方向に延伸する方法もあり、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、特開平4−284211号、特開平4−298310号、および特開平11−48271号の各公報などに記載されている。フィルムの面内レターデーション値を高い値とするためには、製造したフィルムが延伸される。
フィルムの延伸は、常温または加熱条件下で実施する。加熱温度は、フィルムのガラス転移温度以下であることが好ましい。フィルムの延伸は、縦あるいは横だけの一軸延伸でもよく同時あるいは逐次2軸延伸でもよい。延伸は1〜200%の延伸が行われる。好ましくは1〜100%の延伸が、特に好ましくは1から50%延伸を行う。光学フィルムの複屈折は、幅方向の屈折率が長さ方向の屈折率よりも大きくなることが好ましい。従って幅方向により多く延伸することが好ましい。また、延伸処理は製膜工程の途中で行ってもよいし、製膜して巻き取った原反を延伸処理しても良い。前者の場合には残留溶媒量を含んだ状態で延伸を行っても良く、残留溶媒量が2〜30%で好ましく延伸することができる。
本発明では、でき上がり(乾燥後)の光学フィルムの厚さは、使用目的によって適宜調整することができるが、通常5〜500μmの範囲であり、20〜180μmの範囲が好ましく、特に、VA液晶表示装置用には40〜110μmであることが好ましい。一方、フィルムの膜厚は110〜180μmにすることで、流延製膜時の乾燥負荷が大きくなるものの、光学特性の大きさは膜厚に比例するため、膜厚を大きくすることにより所望の光学特性を達成することができる。また、透湿度も膜厚に反比例して減少するため膜厚を大きくすることにより透湿度は小さくなり、より水を通しにくくなる。60℃90%RH500時間の偏光板耐久性試験などで有利である。
フィルム厚さの調製は、所望の厚さになるように、ドープ中に含まれる固形分濃度、ダイの口金のスリット間隙、ダイからの押し出し圧力、金属支持体速度等を調節すればよい。以上のようにして得られたフィルムの幅は0.5〜3mが好ましく、より好ましくは0.6〜2.5m、さらに好ましくは0.8〜2.2mである。長さは1ロールあたり100〜10000mで巻き取るのが好ましく、より好ましくは500〜7000mであり、さらに好ましくは1000〜6000mである。巻き取る際、少なくとも片端にナーリングを付与するのが好ましく、幅は3mm〜50mm、より好ましくは5mm〜30mm、高さは1〜50μmであり、好ましくは2〜20μm、より好ましくは3〜10μmである。これは片押しであっても両押しであっても良い。
ナーリング部を除いた幅方向膜厚差は5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがなお好ましい。幅方向の膜厚差が大きいと4000mを越える長尺のフィルムを巻き取ったとき、黒帯と呼ばれる膜厚違いによる変形を生じやすくなる。狭い幅での急激な膜厚変動は縦筋状の外観異常として見えるだけでなく、液晶表示装置に装着したとき輝度むらを生じるため特に問題である。幅方向に連続で膜厚を測定したとき、いずれの測定個所でも10mm間で0.6μmを越える膜厚差がない。10mm間の膜厚差は0.5μm以下であることが好ましい。
透明感を保つためヘイズは0.01〜2%が好ましい。ヘイズを小さくするためには、添加する微粒子マット剤の分散を十分に行い凝集粒子の数を少なくしたり、添加量を少なくするためにスキン層だけにマット剤を使用したりする。
(光学特性)
[測定法]
本発明の光学フィルムの特性は以下の方法で測定して実施した。
(レターデーション Re、Rth)
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向レターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(1)及び式(2)よりRthを算出することもできる。
Figure 2007268898
注記:
上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値を表す。
式(1)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。
Figure 2007268898
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する: セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx-nz)/(nx-ny)が更に算出される。
本発明のフィルムの光学特性Re値、Rth値がそれぞれ、以下の式(V)および(VI)を満たすことが好ましい。
(V):40nm≦Re(630)≦200nm
(VI):70nm≦Rth(630)≦350nm
式(V)および(VI)中、Re(λ)は波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。
さらに好ましくは、下記式(VII)および(VIII)を満たすことである。
(VII) :46nm≦Re(630)≦100nm
(VIII) :160nm≦Rth(630)≦350nm
本発明の光学フィルム、偏光板を1枚だけ使用するVA型液晶表示装置にとって好ましいのは、式(VII)および(VIII)に加えて下記式(IX)と(X)を満たすことである。
(IX) : Rth(630)=a−5.9Re(630)nm
(X) : 520≦a≦600nm
式(IX)で表される直線のy切片aの中心値は560nmであり、aが560から下にずれるに従い、VA液晶表示装置の黒輝度値が大きくなる。すなわち光漏れを生じて黒でなくなる。またaが560から上にずれると、液晶表示装置を見る角度による色味変化が大きくなるので好ましくない。式(X)は、a値の許容範囲を示している。偏光板を1枚だけ使用するVA型液晶表示装置にとっては特に55nm≦Re(630)≦85nmで、535≦a≦585nmであることが好ましい。Re(630)、Rth(630)は使用するVA液晶セルのΔnd値によって変化する。例えばVA液晶セルのΔnd値が320nmの場合は、最も好ましいRe(630)、Rth(630)はそれぞれ55〜60と185〜275である。 VA液晶セルのΔnd値が300nmの場合は、最も好ましいRe(630)、Rth(630)はそれぞれ60〜65と160〜240である。
全幅のRe値のバラツキは、±5nmであることが好ましく、±3nmであることがさらに好ましい。また、Rth値のバラツキは、±10nmが好ましく、±5nmであることがさらに好ましい。また、長さ方向のRe値、およびRth値のバラツキも幅方向のバラツキの範囲内であることが好ましい。
本発明のフィルムの製造方法によって、液晶表示装置で問題となるムラを低減することができる。表示装置で問題となるムラは、ここで用いる光学フィルムの遅相軸のズレ(軸ズレ)が非常に支配的であり、ムラを均一にするには、この軸ズレの変動を軽減する必要があることが判った。
本発明のフィルムの製造方法によって、任意の5cm×5cmの面積中250点で遅相軸を求めたときの、遅相軸の角度の最大変化幅が0.02°〜0.2°であることを特徴とする光学フィルムことができる。
角度の変化幅の好ましい範囲は0.03°〜0.18°であり、0.04°〜0.15°であることが最も好ましい。
湿度変化や高温経時による質量変化や寸法変化に伴い、ReおよびRthの光学特性値は変化する。ReおよびRthの値の変化は少ないほど好ましい。湿度による光学特性変化を少なくするために6位アシル置換度の大きなセルロースアシレートを使用するほかに、疎水性の各種添加剤(例えば、可塑剤、レターデーション発現剤、紫外線吸収剤など)を用いることによって、光学フィルムの透湿度や平衡含水率を小さくする。好ましい透湿度は60℃、95%RH24時間で1平方メートル当たり400g〜2300gである。好ましい平衡含水率は25℃、80%RHにおける測定値が3.4%以下である。25℃における湿度を10%RHから80%RHに変化させた時の光学特性の変化量がRe値で12nm以下、Rth値で32nm以下であることが好ましい。好ましい疎水性添加剤の量はセルロースアシレートに対して10〜30%であり、12〜25%がより好ましく、14.5〜20%が特に好ましい。添加剤に揮発性や分解性があってフィルムの質量変化や寸法変化が発生すると光学特性の変化が起こる。従って80℃90%RHで48時間経時した後のフィルムの質量変化量は5%以下であることが好ましい。同様に60℃90%RHで24時間経時後あるいは90℃3%RHで24時間経時後の寸法変化量は±2%以内であることが好ましい。また寸法変化や質量変化が少々あっても、フィルムの光弾性係数が小さいと光学特性の変化量は少なくなる。従ってフィルムの光弾性係数が50×10-13cm2/dyn(5.0×10-102/N)以下であることが好ましい。
(ヘイズ)
本発明の光学フィルムのヘイズは0.01〜2%であることが好ましく、0.01〜0.1%であることがより好ましく、0.01〜0.08%であることがさらに好ましい。
ヘイズは、試料40mm×80mmを、25℃,60%RHで、ヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K6714に従って測定することができる。
(力学特定)
次に本発明の光学フィルムの好ましい力学特性について述べる。
(ガラス転移温度Tg)
本発明の光学フィルムは、ガラス転移温度(Tg)が80〜180℃であることが好ましく、100〜170℃であることがより好ましい。
本発明におけるガラス転移温度(Tg)は、以下の方法により測定することができる。フィルム試料(未延伸)5mm×30mmを、25℃60%RHで2時間以上調湿した後に動的粘弾性測定装置(バイブロン、DVA−225(アイティー計測制御株式会社製))で、つかみ(把持点)間距離20mm、昇温速度2℃/分、測定温度範囲30℃、200℃、周波数1Hzで粘弾性を測定し、縦軸に対数軸で貯蔵弾性率、横軸に線形軸で温度(℃)を取ってプロットする。その時に、貯蔵弾性率が固体領域からガラス転移領域へ移行する際に見受けられる貯蔵弾性率の急激な減少を固体領域で直線1を引き、ガラス転移領域で直線2を引いたときの直線1と直線2の交点の温度が、昇温時に貯蔵弾性率が急激に減少しフィルムが軟化し始める温度であり、ガラス転移領域に移行し始める温度であるため、ガラス転移温度Tg(動的粘弾性)とした。
(弾性率)
弾性率は1500〜5000MPaであることが好ましい。さらに好ましくは2000〜4000MPaである。
本発明における弾性率は、フィルム試料10mm×200mmを、25℃、60%RHで、2時間調湿し、引張試験機(ストログラフーR2(東洋精機製))にて、初期試料長100mm、引張速度100mm/分で弾性率を引張初期の応力と伸びより算出できる。
(光弾性係数)
光弾性係数が、50×10-13cm2/dyn(5×10-11Pa-1)以下であることが好ましく、5×10-13cm2/dyn(5×10-12Pa-1)以下であることがより好ましい。
本発明における光弾性係数はフィルム試料10mm×100mmの長軸方向に対して引っ張り応力をかけ、その際のReをエリプソメーター(M150、日本分光(株))で測定し、応力に対するレターデーションの変化量から光弾性係数を算出できる。
(偏光板)
偏光板は、偏光子およびその少なくとも片面(好ましくは両面)に配置された保護膜(好ましくは透明フィルム)からなり、該保護膜として、本発明の光学フィルムを用いることができる。また、両面に保護膜を設ける場合、他方の保護膜は、通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよい。偏光子には、ヨウ素系偏光子、二色性染料を用いる染料系偏光子やポリエン系偏光子がある。ヨウ素系偏光子および染料系偏光子は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。本発明の光学フィルムを保護膜として用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られたセルロースアシレートフィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素高分子溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水高分子溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号公報、特開平6−118232号公報に記載されているような易接着加工を施してもよい。保護膜処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。偏光板は偏光子およびその両面を保護する保護膜で構成されており、さらに該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルムおよびセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
本発明の光学フィルムの偏光子への貼り合せ方は、偏光子の透過軸と本発明の光学フィルムの遅相軸を一致させるように貼り合せることが好ましい。なお、偏光板クロスニコル下で作製した偏光板の評価を行なったところ、本発明の光学フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸(透過軸と直交する軸)との直交精度が1°より大きいと、偏光板クロスニコル下での偏光度性能が低下して光抜けが生じることがわかった。この場合、液晶セルと組み合わせた場合に、十分な黒レベルやコントラストが得られないことになる。従って、本発明のフィルムの主屈折率nxの方向と偏光板の透過軸の方向とは、そのずれが1°以内であることが好ましく、0.5°以内であることがより好ましい。
偏光板の単板透過率TT、平行透過率PT、直交透過率CTは、UV3100PC(島津製作所社製)を用いて測定することができる。測定は、380nm〜780nmの範囲で行い、単板、平行、直交透過率ともに、10回測定の平均値を用いた。偏光板耐久性試験は(1)偏光板のみと(2)偏光板をガラスに粘着剤を介して貼り付けたものと、2種類の形態で次のように行った。偏光板のみの測定は、2つの偏光子の間に光学補償シートが挟まれるように組み合わせて直交させた同じものを2つ用意し測定する。ガラス貼り付け状態のものはガラスの上に偏光板を光学補償シートがガラス側にくるように貼り付けたサンプル(約5cm×5cm)を2つ作製する。単板透過率測定ではこのサンプルのフィルムの側を光源に向けてセットして測定する。2つのサンプルをそれぞれ測定し、その平均値を単板の透過率とする。偏光性能の好ましい範囲としては単板透過率TT、平行透過率PT、直交透過率CTの順でそれぞれ、40.0≦TT≦45、0、30.0≦PT≦40.0、CT≦2.0であり、より好ましい範囲としては41.0≦TT≦44.5、34≦PT≦39.0、CT≦1.3(単位はいずれも%)である。また偏光板の耐久性試験ではその変化量はより小さい方が好ましい。
また、本発明の偏光板は、60℃95%RHに500時間静置させたときの直交単板透過率の変化量ΔCT(%)、偏光度変化量ΔPが下記式(j)、(k)の少なくとも1つ以上を満たしている。
(j)−6.0≦ΔCT≦6.0
(k)−10.0≦ΔP≦0.0
ここで、変化量とは試験後測定値から試験前測定値を差し引いた値である。
この要件を満たすことによって偏光板の使用中あるいは保管中の安定性がより効果的に確保される。
(表面処理)
本発明の光学フィルムは、場合により表面処理を行うことによって、セルロースアシレートフィルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着性の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下で起こる低温プラズマでもよく、さらにまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類およびそれらの混合物などが挙げられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されている。なお、近年注目されている大気圧でのプラズマ処理は、例えば10〜1000keV下で20〜500kGyの照射エネルギーが用いられ、より好ましくは30〜500keV下で20〜300kGyの照射エネルギーが用いられる。これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアシレートフィルムの表面処理としては極めて有効である。
アルカリ鹸化処理は、セルロースアシレートフィルムを鹸化液の槽に直接浸漬する方法または鹸化液をセルロースアシレートフィルム塗布する方法で実施することが好ましい。
塗布方法としては、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法およびE型塗布法を挙げることができる。アルカリ鹸化処理塗布液の溶媒は、鹸化液の支持体に対して塗布するために濡れ性が良く、また鹸化液溶媒によって透明支持体表面に凹凸を形成させずに、面状を良好なまま保つ溶媒を選択することが好ましい。具体的には、アルコール系溶媒が好ましく、イソプロピルアルコールが特に好ましい。また、界面活性剤の水溶液を溶媒として使用することもできる。アルカリ鹸化塗布液のアルカリは、上記溶媒に溶解するアルカリが好ましく、KOH、NaOHがさらに好ましい。鹸化塗布液のpHは10以上が好ましく、12以上がさらに好ましい。アルカリ鹸化時の反応条件は、室温で1秒〜5分が好ましく、5秒〜5分がさらに好ましく、20秒〜3分が特に好ましい。アルカリ鹸化反応後、鹸化液塗布面を水洗あるいは酸で洗浄したあと水洗することが好ましい。
(反射防止層)
偏光板の、液晶セルと反対側に配置される保護膜には反射防止層などの機能性膜を設けることが好ましい。特に、本発明では保護膜上に少なくとも光散乱層と低屈折率層がこの順で積層した反射防止層または、保護膜上に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層がこの順で積層した反射防止層が好適に用いられる。
さらに、ハードコート層、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けてもよい。
(ハードコート層)
ハードコート層は、反射防止層を設けた保護膜に物理強度を付与するために、透明支持体の表面に設ける。特に、透明支持体と前記高屈折率層の間に設けることが好ましい。ハードコート層は、光および/または熱の硬化性化合物の架橋反応、または、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、また加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。
これらの化合物の具体例としては、高屈折率層で例示したと同様のものが挙げられる。ハードコート層の具体的な組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、国際公開第00/46617号パンフレット等記載のものが挙げられる。
(帯電防止層)
帯電防止層を設ける場合には体積抵抗率が10-8(Ωcm-3)以下の導電性を付与することが好ましい。吸湿性物質や水溶性無機塩、ある種の界面活性剤、カチオンポリマー、アニオンポリマー、コロイダルシリカ等の使用により10-8(Ωcm-3)の体積抵抗率の付与は可能であるが、温湿度依存性が大きく、低湿では十分な導電性を確保できない問題がある。そのため、導電性層素材としては金属酸化物が好ましい。金属酸化物には着色しているものがあるが、これらの金属酸化物を導電性層素材として用いるとフィルム全体が着色してしまい好ましくない。着色のない金属酸化物を形成する金属としてZn、Ti、Al、In、Si、Mg、Ba、Mo、W、またはVをあげることができ、これを主成分とした金属酸化物を用いることが好ましい。具体的な例としては、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、SiO2、MgO、BaO、MoO3、V25等、あるいはこれらの複合酸化物がよく、特にZnO、TiO2、およびSnO2が好ましい。異種原子を含む例としては、例えばZnOに対してはAl、In等の添加物、SnO2に対してはSb、Nb、ハロゲン元素等の添加、またTiO2に対してはNb、TA等の添加が効果的である。さらにまた、特公昭59−6235号公報に記載の如く、他の結晶性金属粒子あるいは繊維状物(例えば酸化チタン)に上記の金属酸化物を付着させた素材を使用しても良い。尚、体積抵抗値と表面抵抗値は別の物性値であり単純に比較することはできないが、体積抵抗値で10-8(Ωcm-3)以下の導電性を確保するためには、該導電層が概ね10-10(Ω/□)以下の表面抵抗値を有していればよくさらに好ましくは10-8(Ω/□)である。導電層の表面抵抗値は帯電防止層を最表層としたときの値として測定されることが必要であり、本特許に記載の積層フィルムを形成する途中の段階で測定することができる。
(液晶表示装置)
本発明の光学フィルム、該光学フィルムを用いた偏光板は、様々な表示モードの液晶セル、液晶表示装置に用いることができる。例えば、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)等の様々な表示モードが提案されており、OCBモードまたはVAモードにより好ましく用いることができる。
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置である。OCBモードの液晶セルは、米国特許第4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶化合物が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶化合物が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶化合物を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶化合物を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
VAモードの液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板からなる。液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。透過型液晶表示装置の一つの態様では、本発明の光学フィルムは、液晶セルと一方の偏光板との間に、一枚配置するか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置することにより好ましく用いられる。
透過型液晶表示装置の別の態様では、液晶セルと偏光子との間に配置される偏光板の保護膜として、本発明の光学フィルムからなる光学補償シートが用いられる。一方の偏光板の(液晶セルと偏光子との間の)保護膜のみに上記の光学補償シートを用いてもよいし、あるいは双方の偏光板の(液晶セルと偏光子との間の)二枚の保護膜に、上記の光学補償シートを用いてもよい。一方の偏光板のみに上記光学補償シートを使用する場合は、液晶セルのバックライト側偏光板の液晶セル側保護膜として使用するのが特に好ましい。液晶セルへの張り合わせは、本発明の光学フィルムはVAセル側にすることが好ましい。保護膜は通常のセルレートアシレートフィルムでも良く、本発明の光学フィルムより薄いことが好ましい。たとえば、40〜80μmが好ましく、市販のKC4UX2M(コニカオプト株式会社製、40μm)、KC5UX(コニカオプト株式会社製60μm)、TD80(富士写真フイルム製、80μm)等が挙げられるが、これらに限定されない。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
[測定法]
本発明の光学フィルムの特性は以下の方法で測定して実施した。
(レターデーション Re、Rth)
レターデーションは、前述の方法により複屈折計(KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定した。
(軸ズレ)
任意の5cm×5cmの面積中250点の遅相軸を求め、軸角度の標準偏差を軸ズレとして求めた。
(ムラ)
試料フィルムの上下の偏光板がクロスニコル状態に調整し、目視によりムラの程度を相対評価した。
[実施例1]
セルロースアシレートフィルムの製膜
(1)セルロースアシレートの調製
アシル置換度2.81のセルロースアシレートを調製した。これは、触媒として硫酸(セルロース100質量部に対し7.8質量部)を添加し、カルボン酸を添加し40℃でアシル化反応を行った。その後、硫酸触媒量、水分量および熟成時間を調整することで置換度を調整した。熟成温度は40℃で行った。さらにこのセルロースアシレートの低分子量成分をアセトンで洗浄し除去した。
(2)高分子溶液(1)の調製
<1−1> セルロースアシレート溶液(A)
下記セルロースアシレート溶液(A)組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、さらに90℃に約10分間加熱した後、平均孔径34μmのろ紙および平均孔径10μmの焼結金属フィルタでろ過した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液(A)組成物
―――――――――――――――――――――――――――――――――
置換度2.81のセルロースアシレート 100.0質量部
トリフェニルフォスフェイト 8.0質量部
ビフェニルジフェニルフォスフェイト 4.0質量部
メチレンクロライド 403.0質量部
メタノール 60.2質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
<1−2> マット剤分散液
次に上記で作製したセルロースアシレート溶液(A)を含む下記マット剤分散液組成物を分散機に投入し、マット剤分散液を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤分散液組成物
――――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ16nmのシリカ粒子
(aerosil R972 日本アエロジル(株)製 2.0質量部
メチレンクロライド 72.4質量部
メタノール 10.8質量部
セルロースアシレート溶液(A) 10.3質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
<1−3> レターデーション発現剤溶液A
次に上記方法で作製したセルロースアシレート溶液(A)を含む下記レターデーション発現剤溶液A組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して溶解し、レターデーション発現剤溶液Aを調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤溶液A組成物
―――――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤A 20.0質量部
メチレンクロライド 58.3質量部
メタノール 8.7質量部
セルロースアシレート溶液(A) 12.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
上記セルロースアシレート溶液(A)を100質量部、マット剤分散液を1.35質量部さらにレターデーション発現剤溶液Aを表1に示す量で混合し、製膜用ドープを調製した。
レターデーション発現剤A
Figure 2007268898
<1−4> レターデーション発現剤溶液B
さらに上記で作製したセルロースアシレート溶液(A)を含む下記レターデーション発現剤溶液B組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して溶解し、レターデーション発現剤溶液Bを調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤溶液B組成物
―――――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤A 8.0質量部
レターデーション発現剤B 12.0質量部
メチレンクロライド 58.3質量部
メタノール 8.7質量部
セルロースアシレート溶液(A) 12.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
レターデーション発現剤B
Figure 2007268898
上記セルロースアシレート溶液(A)を100質量部、マット剤分散液を1.35質量部さらにレターデーション発現剤溶液Bを2質量部の割合になるように混合し、製膜用高分子溶液(1)とした。尚、レターデーション発現剤の添加割合はセルロースアシレート量を100質量部とした時の質量部である。
次に、高分子溶液(1)を用いて、フィルム作製に供した。
(3)高分子溶液(2)〜(9)の調製
高分子溶液(1)に対し、表1のとおり、高分子化合物の種類の変更、溶媒の種類の変更、または、増粘剤、界面活性剤の添加を行うことにより、高分子溶液(2)〜(9)を調製した。尚、増粘剤および界面活性剤の含量(%)は質量%である。
Figure 2007268898
(流延)
上述の高分子溶液をバンド流延機を用いて表2記載の条件で流延した。
ここで、βsは流延直前の高分子溶液の温度(℃)をいい、高分子溶液が加圧ダイからでたところで測定した。σは、高分子溶液の表面張力(dyne/cm2)の温度(℃)に対する変化率を示しており、温度βsと、βsから10℃低い温度での表面張力を表面張力計(協和界面科学製、KYOWA CBVP SURFACE TENSIOMETER A3)を用いて測定することによって求めた。hは流延時の高分子溶液の厚味(μm)を示し、ダイからの高分子溶液の液量(cc/min)を流延速度(m/min)と流延幅(m)で割った値として求めた。νは流延時の高分子溶液の粘度(Pas)をいい、調液したドープのηをレオメータにより温度βsにて測定することによって得た。
本実施例では、残留溶媒量が25〜35質量%でバンドから剥ぎ取ったフィルムを、テンターを用いて15%で幅方向に延伸して、セルロースアシレートフィルムを製造した。テンターでは熱風を当てて乾燥をしながら、幅方向に延伸した後、約5%収縮させ、その後テンター搬送からロール搬送に移行し、さらに乾燥し、ナーリングを施し幅1500mmで巻き取った。
作製したセルロースアシレートフィルム(光学補償シート)について、前述の方法により複屈折率計(KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、25℃60%相対湿度で波長550nmにおけるRe値およびRth値を測定した。さらに、軸ズレの測定結果を表2に示した。
作製した光学フィルムのガラス転移温度(Tg)はいずれも138℃〜147℃の間であることが確認された。
また、作製した光学フィルムの25℃80%相対湿度に調湿後の含水率は2.9%〜3.4%の間であることが確認された。
作製した光学フィルムの60℃95%相対湿度で24時間静置後の水分透過率は800〜2000g/m2/日であることが確認された。
作製した光学フィルムのヘイズは全て0.1〜0.9%の範囲内であることが確認された。
また、用いたマット剤(シリカ)の2次平均粒子サイズが1.0μm以下であった。
作製した光学フィルムの弾性率は、いずれも4000MPa以上であることが確認された。
作製した光学フィルムの80℃90%相対湿度の条件下に48時間静置した場合の質量変化は、いずれも、0〜3%の範囲内であることが確認された。
作製した光学フィルムの60℃90%相対湿度および90℃3%RHの条件下に24時間静置した場合の寸度変化は、いずれも、−1.2〜0.2%の範囲内であることが確認された。
作製した光学フィルムの光弾性係数は、いずれも、50×10-13cm2/dyn(5×10-112/N)以下であった。
また、作製した光学フィルムのエリプソメーター(M−150:日本分光(株)製)を用い25℃60%相対湿度の環境湿度において波長を変えてRe値およびRth値を測定した。この測定値によれば、作製した光学フィルムのRe値およびRth値は、いずれも46≦Re(630)≦200、70≦Rth(630)≦350の範囲内であった。
Figure 2007268898
試料101に対して、試料102、試料103は流延時の環境温度を上または下に15℃も変化させたにもかかわらず、軸ズレはほとんど変化しておらず、環境温度による影響がほとんどなく、基板との温度差が支配的であることが示唆された。
試料101に対して、試料104は、基板温度を変更することで軸ズレがより減少することが認められた。
試料101、試料103、試料105に対して、界面活性剤を添加しなかった試料106、試料107、試料108では軸ズレが大きくなり、目視上もスジ状のムラが多く見られた。
試料108に対して流延速度を遅くした試料110では、N値がほとんど同じであるものの、軸ズレやムラは試料108よりは多少改善されていることが認められた。
試料115に対して溶媒のメタノールをエタノールとし、粘度が低下した試料101では、軸ズレがより効果的に抑止され、目視評価でもより良好なものとなった。
溶液(6)、(1)を用いた試料115、106に対し、増粘剤を添加した溶液(7)、(5)を使用した試料116、114では軸ズレがより減少した。
溶液(1)を用いた試料106に対し、メタノール比率を上げたり、メタノールをエタノールやブタノールとし粘度が増加した溶液(2)、(3)、(4)を用いた試料112、113、114では軸ズレがより減少した。
溶液(8)を希釈した溶液(9)を用いた試料117は、流延後はほぼ同じ膜厚であるにもかかわらず試料101よりも大幅に面状が悪化した。このことは流延時の液膜厚が大きく影響していることが示唆された。
軸ズレの変動は、おおむね目視での面状と対応しており、軸ズレの変動幅が0.2°以下にすることが面状を量化させるために必要であることがわかった。
N値と軸ズレの変動幅は、おおむね相関しており、N値が高いと軸ズレの変動幅が大きくなることがわかった。
[実施例2]
(偏光板の作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光子を作製した。
実施例1で作製したフィルム(試料101〜117:図1〜3のTAC1に相当)を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の片側に貼り付けた。図1に示すように、偏光子の透過軸と実施例1で作製したフィルムの遅相軸とは平行になるように配置した(図1)。
なお、ケン化処理は以下のような条件で行った。
1.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、55℃に保温した。0.01Nの希硫酸水溶液を調製し、35℃に保温した。 作製したセルロースアシレートフィルムを上記の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬し水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、上記の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
市販のセルローストリアシレートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フィルム(株)製:図2の機能性膜TAC2、図3のTAC2−1あるいは2−2に相当)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の反対側に貼り付け、70℃で10分以上乾燥した。
図2に示すように、かつ、偏光子の透過軸と市販のセルローストリアシレートフィルムの遅相軸とは直交するように配置して、偏光板A1からA17を作製した(図2)。
[実施例3]
(VAパネルへの実装)
図3に示すような液晶表示装置を作製した。即ち、観察方向(上)から上側偏光板(TAC2−1、偏光子、TAC1−1)、VAモード液晶セル、下側偏光板(TAC1−2、偏光子、TAC2−2)を積層し、さらにバックライト光源を配置した。
<液晶セルの作製>
液晶セルは、基板間のセルギャップを3.6μmとし、負の誘電率異方性を有する液晶材料(「MLC6608」、メルク社製)を基板間に滴下注入して封入し、基板間に液晶層を形成して作製した。液晶層のレターデーション(即ち、記液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・d)を300nmとした。なお、液晶材料は垂直配向するように配向させた。
上記の垂直配向型液晶セルを使用した液晶表示装置(図3)の上側偏光板(観察者側)には、市販品のスーパーハイコントラスト品(株式会社サンリッツ社製HLC2−5618)を用いた。下側偏光板(バックライト側)には実施例2で作製した偏光板A3〜A17を、セルロースアシレートフィルム(図3のTAC1−2に相当)が液晶セル側となるように設置した。上側偏光板および下側偏光板は粘着剤を介して液晶セルに貼りつけた。上側偏光板の透過軸が上下方向に、そして下側偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とし、液晶表示装置を作成した。
作製した液晶表示装置を観察した結果、正面方向および視野角方向もニュートラルな黒表示が実現できていた。しかし偏光板A106、107、108、110、117を使用したものは筋状のむらが視認できた。
図1は、実施例2で作製した偏光板の製造時におけるフィルムの貼り合わせ方法を示す模式図である。 図2は、実施例2で作製した偏光板の断面構造を模式的に示す断面図である。 図3は、実施例3で作製した液晶表示装置の断面構造を模式的に示す断面図である。

Claims (12)

  1. 高分子化合物を溶媒に溶解した高分子溶液を、基板上に流延し、前記溶媒を揮発させた後に前記基板から剥がすこと、および、式1で示される値Nが20〜19000となるようにすることを含む、光学フィルムの製造方法。
    式1
    Figure 2007268898
    [σ:高分子溶液の表面張力(dyne/cm2)の温度(℃)に対する変化率、h:流延時の高分子溶液の厚味(μm)、βs:流延直前の高分子溶液の温度(℃)、βa:流延時の環境と基板のうち、βsとの温度差が大きい方の温度(℃)、ν:流延時の高分子溶液の粘度(Pas)である。]
  2. 流延時の高分子溶液の厚味(h)を150μm〜750μmにすることを含む、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 前記高分子溶液を流延する速度を50m/min〜300m/minとすることを含む、請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 前記高分子化合物として置換度2.5〜3のセルロースを用いることを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 前記高分子溶液に、該高分子溶液の表面張力の温度に対する変化率(σ)を0.01dyne/cm2℃以上低下させる化合物を含有させることを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  6. 前記高分子溶液に、前記流延時の高分子溶液の粘度(ν)を3Pas以上増大させる化合物を含有させることを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法によって得られうる光学フィルム。
  8. 40≦Re(630)≦200、かつ、70≦Rth(630)≦350を満たす請求項7に記載の光学フィルム。
    [Re(λ)は波長λnmにおける正面レターデーション(Re)値(単位:nm)、Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション(Rth)値(単位:nm)である。]
  9. 棒状化合物または円盤状化合物からなるレターデーション発現剤を少なくとも1種含む、請求項7または8に記載の光学フィルム。
  10. 前記光学フィルムの任意の5cm×5cmの面積中の250点の遅相軸の角度の最大変化幅が0.02°〜0.2°である、光学フィルム。
  11. 偏光子と、該偏光子の少なくとも一方に設けられた保護膜とを有し、前記保護膜は、請求項7〜10のいずれか1項に記載の光学フィルムである、偏光板。
  12. 請求項11に記載の偏光板を有する液晶表示装置。
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