以下に添付図面を参照して、本発明に係る子守帯を実施するための最良の形態について詳細に説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。以下では、子守帯の基本構成について説明した後、子守帯の各部の詳細構成を説明し、さらに本実施の形態の変形例について説明する。
(子守帯の基本構成)
最初に、子守帯の基本構成について説明する。図1は子守帯の全体斜視図、図2は子守帯の分解斜視図である。子守帯1は、幼児を保持するための保持具であり、使用者(例えば幼児の親)が装着する縦抱き用シート10と、この縦抱き用シート10に着脱自在に装着される横抱き用シート50とを備えて構成されている。なお、以下の説明においては、特に説明なき限り、図1のX方向を右方、Y方向を前方、Z方向を上方とし、これらに逆行する方向をそれぞれ左方、後方、下方とする。また、縦抱き用シート10と横抱き用シート50に関しては、相互に当接する面をそれぞれの裏面とし、この裏面と反対側の面をそれぞれの表面とすると共に、必要に応じて、上下方向を長手方向と称することがあり、左右方向を幅方向と称することがある。
ここで、子守帯1を用いて幼児を保持する際の態様について説明する。この態様としては、「横抱き」、「縦抱き」、又は、「おんぶ」の3つの態様があり、さらに「縦抱き」には、「前抱き」と「対面抱き」があり、おんぶには、「通常のおんぶ」と「クロスおんぶ」とがあり、総計で5つの態様がある。そして、使用者は自己のニーズに応じてこれら5つの態様のうちのいずれか一つの態様を選択し、幼児を保持できる。
横抱きは、図3に示すように、使用者の前方において幼児を略水平状に寝かせた状態で保持する態様である。縦抱きは、使用者の前方において幼児を略垂直状に立たせた状態で保持する態様であり、そのうちの対面抱きは、図4に示すように、幼児を後方(使用者側)に向かせた状態で保持する態様、前抱きは、図5に示すように、幼児を前方に向かせた状態で保持する態様である。おんぶは、使用者の後方において幼児を略垂直状に立たせた状態で背負う態様であり、そのうちの通常のおんぶは、図6に示すように、後述する左右一対の肩帯(図6では図示せず)を相互に交差させない状態で懸架する態様、クロスおんぶは、図7に示すように、左右一対の肩帯を相互に交差させた状態で懸架する態様である。
一般に、出産後から数ヶ月迄の月齢の幼児は首がすわっていないために横抱きにて保持し、その後は幼児を縦抱きにて保持する。このため、本実施の形態に係る子守帯1は、横抱きを行なう時にのみ、横抱き用シート50を縦抱き用シート10に装着して使用し、その後には、横抱き用シート50を取り外して縦抱き用シート10のみを使用可能とすることで、子守帯1の汎用性と利便性とを高めている。
(縦抱き用シート10の基本構成)
次に、縦抱き用シート10の基本構成について説明する。図8は縦抱き用シート10の斜視図、図9は縦抱き用シート10の正面図、図10は縦抱き用シート10の背面図である。縦抱き用シート10は、概略的に、縦抱き用シート本体11に、ヘッドサポート12、肩帯13、ブリッジベルト14、脇ベルト15、及び、足繰りベルト16を取り付けて構成されている。
縦抱き用シート本体11は、横抱き用シート50を載置するための載置面を形成すると共に、幼児を直接的に保持するための保持面を形成するもので、縦抱き用シート10の基本構造体である。この機能を満たす限りにおいて、縦抱き用シート本体11は任意の形状で形成できるが、本実施の形態の縦抱き用シート本体11は、全体として縦長の略平板状に形成されており、幼児の首周辺から股部周辺に略対応する長さと、幼児の胴部に略対応する幅とを有する。この縦抱き用シート本体11は、幼児を保持する際の態様の変化や幼児の動作に追従可能な柔軟性を有することが好ましく、例えば、ウレタン等にて形成されたクッション材の前後面をそれぞれ表生地と裏生地にて被覆して形成されている(なお、クッション材、表生地、及び、裏生地は、図8〜10において図示せず)。また、これら表生地及び裏生地のうち、幼児の上半身に対応する部分は、通気性に優れたメッシュ生地にて構成されており、幼児の快適性や子守帯1の意匠性の向上が図られている。
ヘッドサポート12は、幼児の頭部の荷重をサポートすると共に、幼児の反り返りを防ぐための頭部支持手段である。この機能を満たす限りにおいて、ヘッドサポート12は任意の形状で形成できるが、本実施の形態のヘッドサポート12は、全体として横長の帯状に形成されており、幼児の首周辺から頭頂部周辺に至る高さと、縦抱き用シート本体11よりもやや広い幅を有する。このヘッドサポート12は、クッション材をメッシュ生地からなる表生地及び裏生地で被覆して形成されており、ヘッドサポート12の柔軟性が確保されると共に、幼児の快適性や子守帯1の意匠性の向上が図られている。このヘッドサポート12の下縁は、縦抱き用シート本体11の上縁に対して縫合ライン17において縫合されており、この縫合ライン17を中心軸として、ヘッドサポート12を表側に折り返すことができる。このため、図5に示す前抱き時において、縦抱き用シート本体11の上方を開放でき、前方に向けられている幼児の顔を開放できるので、幼児の快適性を向上できる。
肩帯13は、使用者の肩周りに装着されるもので、縦抱き用シート10に加わる幼児の荷重を使用者が吊り下げ状に支持するための支持手段である。この肩帯13は、縦抱き用シート本体11の左右の各々に設けられており、この縦抱き用シート本体11の側辺から延出し、使用者の肩を回って、使用者の胸元又は背中に至る長さに形成されている。この肩帯13は、脇ベルト15や足繰りベルト16よりもやや幅広状に形成されているので、この肩帯13を介して使用者の肩に加わる荷重を分散させることで、使用者の負担軽減を図ることができる。また、図11の肩帯13の拡大正面図に示すように、各肩帯13における相互に対向する側辺には、長手方向の中央付近に、ファスナ18が設けられている。従って、一対の肩帯13をファスナ18にて相互に連結して、図12の正面図に示すように1本の拡幅された帯状体を構成でき、図3のような横抱っこ時において肩帯13を袈裟懸けする場合に、肩帯13を肩から脱落し難くすることができると共に荷重を一層均等に分散させることができ、使用者の一層の負担軽減を図ることができる。
図8〜10に戻り、このように構成されたヘッドサポート12と肩帯13とは、ヘッドサポートベルト20を介して相互に連結されている。図13はヘッドサポートベルト周辺の拡大正面図、図14は後述する裏面カバー72を開いた状態におけるヘッドサポートベルト周辺の拡大正面図、図15は連結を解除した状態におけるヘッドサポートベルト周辺の拡大正面図である。ヘッドサポートベルト20は、ヘッドサポート12と肩帯13とを相互に連結する連結手段であり、ヘッドサポート12の両端から左右側方に向けて突設されている。
このヘッドサポートベルト20は、縦抱き用シート本体11に突設された帯状のベルト本体21と、このベルト本体21の先端に設けられた長さ調整用のラダーロック22と、このラダーロック22の端部に一体形成されたフック23とを備えて構成されている。一方、肩帯13には、このフック23に対応する位置に、リング24が取り付けられている。そして、このリング24にフック23を係脱自在に係止させることで、ヘッドサポート12を肩帯13に連結でき、幼児の頭部の荷重を肩帯13を介して支持することを可能として、幼児の頭部を一層安定的に保持できる。また、このようにヘッドサポート12と肩帯13とを連結することで、一対の肩帯13の上方における相互間隔を維持できるので、使用者の肩への負担を軽減できる。また、ラダーロック22に対するベルト本体21の挿通長さを変えることで、縦抱き用シート本体11からのベルト本体21の突出長さを調整でき、ヘッドサポート12と肩帯13との相互間隔を調整できるので、幼児の月齢や体型に合わせて幼児の居住スペースの広さを調整できる。このようにヘッドサポート12を肩帯13に連結した状態においては、図9、10に示すように、縦抱き用シート本体11、ヘッドサポート12、及び、肩帯13にて囲繞された開口である腕口25が形成され、この腕口25に幼児の腕を出し入れ自在に挿通させることができる。
図8、9において、ブリッジベルト14は、左右の肩帯13を相互に連結する連結手段である(図8、9ではブリッジベルト14が後述するポケット90に収容されている状態を示す)。図16は連結状態におけるブリッジベルト周辺の拡大正面図である。ブリッジベルト14は、一方の肩帯13(本実施の形態では左方の肩帯13)における縦抱き用シート本体11との接合箇所の周辺に設けられており、この肩帯13から他方の肩帯13(本実施の形態では右方の肩帯13)に向けて延出する帯状体として形成されている。このブリッジベルト14の先端には、メスバックル26が設けられており、一方、他方の肩帯13(本実施の形態では右方の肩帯13)における縦抱き用シート本体11との接合箇所の周辺には、メスバックル26に対応する位置に、オスバックル27が設けられている(図16では、オスバックル27がメスバックル26に収容されている状態を示す)。
メスバックル26には、オスバックル27を収容する図示しない空間部が形成されていると共に、この空間部には図示しない係止突起が設けられている。そして、この空間部にオスバックル27を差し入れることで、このオスバックル27に係止突起が係脱自在に係止する。従って、ブリッジベルト14を介して左右の肩帯13を相互に連結でき、これら肩帯13の相互間隔を維持することができるので、使用者の一層の負担軽減を図ることができる。なお、メスバックル26には操作部26aが設けられており、この操作部26aを押圧してメスバックル26を弾性変形させることで、オスバックル27に対する係止突起の係止が解除され、ブリッジベルト14による連結を解除することができる。
再び図8、9において、脇ベルト15は、肩帯13と縦抱き用シート本体11とを相互に連結する連結手段である。この脇ベルト15の上端は、後述する回転バックル30を介して肩帯13の先端に連結されており、また脇ベルト15の下端は、ラダーロック28を介して縦抱き用シート本体11の下端に連結されている。そして、使用者は自己の体型に応じて、このラダーロック28に対する脇ベルト15の挿通量を変えることで、肩帯13と縦抱き用シート本体11との間隔を調整でき、肩帯13を自己にフィットさせることができる。また、図2に示すように、左右の脇ベルト15の一方(本実施の形態では右方の脇ベルト15)の下端近傍位置には、結束ゴム29が設けられている。この結束ゴム29は、円環状の弾性体であり、他方の脇ベルト15(本実施の形態では左方の脇ベルト15)の下端をこの結束ゴム29の内部に挿通させることで、これら左右の脇ベルト15の下端を相互に結束でき、脇ベルト15が不用意にバラバラになって使用者の邪魔になること等を防止できる。
このように構成された肩帯13と脇ベルト15とは、図9に示すように、回転バックル30を介して相互に連結されている。図17は回転バックル30の正面図、図18は回転バックル30の底面図、図19は取り外し状態における回転バックル30(一部を破断して示す)の斜視図である。回転バックル30は、オスバックル31とメスバックル32とを備え、オスバックル31を介して一方の肩帯13と脇ベルト15(本実施の形態では右側の肩帯13と脇ベルト15)とが相互に連結され、メスバックル32を介して他方の肩帯13と脇ベルト15(本実施の形態では左側の肩帯13と脇ベルト15)とが相互に連結される。また、これらオスバックル31とメスバックル32とを相互に連結させることで、使用者の前方で左右の肩帯13を相互に連結でき、図7に示すクロスおんぶを行なうことが可能となるので、使用者に加わる荷重を一層分散できる。
図17〜19に示すように、オスバックル31は、ベース33とタング34とを一体に備え、ベース33に設けたリング33aに肩帯13を連結でき、同じくベース33に設けたスリット33bに脇ベルト15を連結できる。タング34は、円環状に形成されており、その環内には、非押圧状態においては当該タング34よりも裏側(使用者側)にやや突出するものであって、表側に向けて弾性変形自在の操作部34aが設けられている。一方、メスバックル32は、ベース35とソケット36とを一体に備え、ベース35に設けたリング35aに肩帯13を連結でき、ベース35に設けたスリット35bに脇ベルト15を連結できる。ソケット36には、オスバックル31のタング34を受容する空間部36aが形成されており、この空間部36aにタング34を挿脱自在に挿入することができる。ここで、空間部36aの裏側の側面は、リング36bとして構成されており、空間部36aにタング34を挿入した状態においては、このタング34の操作部34aがリング36bの環内を介して裏側に突出することで、この操作部34aがリング36bに係脱自在に係止する。従って、オスバックル31とメスバックル32とが相互に連結される。この状態においては、この操作部34aを中心として、オスバックル31をメスバックル32に対して垂直面内(使用者の胸部に沿った面内)において所定範囲内で回転させることができ、使用者は自己の体型に合わせて肩帯13や脇ベルト15の交差角度を調整できるので、子守帯1を使用者に一層フィットさせることができる。図20は回転バックル30の正面図であり、回転前の回転バックル30を想像線、回転後の回転バックル30を実線にて示す。また、この連結状態において、使用者が操作部34aを裏側から表側に向けて押圧して弾性変形させることにより、この操作部34aとリング36bとの係止が解除され、オスバックル31とメスバックル32との連結を解除できる。特に、操作部34aを回転バックル30の裏側に設けているので、何らかの原因で表側から回転バックル30が押圧された場合にも、オスバックル31とメスバックル32との連結が誤って解除されることがない。
再び図8、9において、足繰りベルト16は、幼児の脚部を取り囲むもので、縦抱き用シート本体11の側部と下端部とを相互に連結することにより、幼児の臀部に加わる荷重を縦抱き用シート本体11を介して吊り上げ支持可能とする連結手段である。図21は足繰りベルト16の正面図である。足繰りベルト16は、縦抱き用シート本体11の下端に取り付けられた足繰りベルト本体40と、この足繰りベルト本体40を、縦抱き用シート本体11における肩帯13との接合位置の近傍に連結するゴム製の伸縮ベルト41とを備えて構成されている。このように伸縮ベルト41を用いているので、幼児の動きに追従してこの伸縮ベルト41が伸縮し、縦抱き用シート本体11の下部周辺を幼児の臀部周辺に常時密着させることができる。この伸縮ベルト41の外側には、ベルトカバー42が設けられており、このベルトカバー42にて伸縮ベルト41を略完全に覆って非露出状としている。このため、伸縮ベルト41の伸縮状態に関わらず、ベルトカバー42のみが外部に露出するので、子守帯1の意匠性を向上させることができる。このように足繰りベルト16にて縦抱き用シート本体11の側部と下端部とを連結した状態においては、図9、10に示すように、縦抱き用シート本体11と足繰りベルト16にて囲繞された開口である脚口43が形成され、この脚口43に幼児の脚を出し入れ自在に挿通させることができる。
(横抱き用シート50の基本構成)
次に、図1、2に示した横抱き用シート50の基本構成について説明する。図22は横抱き用シート50の斜視図、図23は横抱き用シート50の正面図、図24は横抱き用シート50の背面図である。横抱き用シート50は、横抱き用シート本体51に、ヘッドガード52、ホールドベルト53、及び、ベルトまとめ54、を取り付けて構成されている。
横抱き用シート本体51は、幼児を直接的に保持する保持面を形成するもので、横抱き用シート50の基本構造体である。この機能を満たす限りにおいて、横抱き用シート本体51は任意の形状で形成できるが、本実施の形態の横抱き用シート本体51は、全体として縦長の略平面状に形成されており、幼児を完全に載置可能な長さと幅とを有する。この横抱き用シート本体51は、首がすわっていない幼児をその体型を維持したまま確実に保持できる程度の剛性を備えることが好ましく、図25の横抱き用シート本体51の縦断面図に示すように、例えば、芯材として硬質ボード55を包含して構成されている。このように、剛性の高い硬質ボード55を用いているので、横抱き時に幼児を略水平に支持することができ、幼児の脊柱のねじれを防止できる。また、幼児の快適性を向上させるため、硬質ボード55の表側には発泡材56を設けると共にこの発泡材56を表生地57で被覆し、硬質ボード55の裏側にはウレタン等にて形成されたクッション材58を設けると共にこのクッション材58を裏生地59で被覆している。この硬質ボード55の複数個所には、貫通孔である通気孔55aを形成しているので、横抱き用シート50の通気性を高めることができ、幼児の快適性を一層向上させることができる。
再び図22〜24に戻り、この横抱き用シート本体51の左右の側部には、幼児の腕に対応する位置及び形状で切欠き部60が形成されている。従って、幼児がこの切欠き部60を介して腕を自由に外部に伸ばすことができ、幼児の快適性を高めることができる。さらに、横抱き用シート本体51の表面には、ホールドベルト53を除いては何も設けていないことから、この表面の上方空間を開放状とすることができ、横抱っこ時において幼児の熱を外部にスムーズに放出できるので、幼児の快適性を向上させることができる。
ヘッドガード52は、横抱き時に幼児の頭部を後方から保持する保持手段である。このヘッドガード52は、幼児の頭部に対応する半椀状に形成されており、横抱き用シート本体51の上縁に縫合されている。このヘッドガード52は、図示しない硬質ボードを包含して構成されており、この硬質ボードの複数個所には図示しない開口を形成しているので、このヘッドガード52の通気性を高めることができ、幼児の快適性を一層向上させることができる。ここで、ヘッドガード52は、横抱き用シート本体51とは別体に形成された後、この横抱き用シート本体51に対して縫合されている。このため、ヘッドガード52を横抱き用シート本体51から構造的に分断でき、横抱き用シート本体51が変形等してもその動きがヘッドガード52に直ちには伝わらないので、ヘッドガード52の変形を防ぐことができ、幼児の頭部周辺の居住スペースを確保できる。
ホールドベルト53は、横抱き時に幼児の胴部を上方から保持するもので、横抱き用シート本体51の左右の側辺の一方(本実施の形態において右方)に取り付けられている。このホールドベルト53は、幼児の胴部の上方を通り、横抱き用シート本体51の左右の側辺の他方(本実施の形態において左方)に至る長さに形成されている。図24に示すように、このホールドベルト53の先端には、オスホック61が取り付けられており、一方、横抱き用シート本体51の左右の側辺の他方(本実施の形態において左方)には、オスホック61に対応する位置に、メスホック62が取り付けられている。そして、オスホック61をメスホック62に係脱自在に係止させることで、ホールドベルト53を横抱き用シート本体51に掛け渡した状態で固定することができ、このホールドベルト53にて幼児の胴部を保持できる。
図22〜24に戻り、ベルトまとめ54は、上述した縦抱き用シート10の脇ベルト15と足繰りベルト16とを束ねる結束手段である。このベルトまとめ54は、全体として正面略T字状に形成されており、横抱き用シート本体51の下縁に縫合されている。そして、後述するように、このベルトまとめ54を筒状に丸めることで、この筒状の内部空間に足繰りベルト16と脇ベルト15とを収容できる。
(縦抱き用シート10の各部の構造の詳細−ヘッドサポートベルト20)
次に、縦抱き用シート10の各部の構造についてより詳細に説明する。まず、ヘッドサポートベルト20について説明する。再び図13〜15に戻り、ヘッドサポートベルト20は、ベルトカバー70にて覆われている。このベルトカバー70は、縦抱き用シート本体11の表面から左右に略一体に延出する略平板状の表面カバー71と、この表面カバー71に取り付けられた略平板状の裏面カバー72とを備えて構成されている。これら表面カバー71及び裏面カバー72は、相互に略同一形状にて形成されており、図13に示すように、これらの相互間にヘッドサポートベルト20を収容できる。
特に、この収容時には、ヘッドサポートベルト20の表面と裏面とをそれぞれ表面カバー71と裏面カバー72にて覆うことができるので、ベルトカバー70の折り曲げ状態に関わらず、ヘッドサポートベルト20を覆うことができる。すなわち、図4、6のようにヘッドサポート12を立てた状態においては、ヘッドサポートベルト20の裏面を裏面カバー72にて覆うことができ、このヘッドサポートベルト20が幼児に当ることを防止できる。また図5のようにヘッドサポート12を折り返した状態においても、ヘッドサポートベルト20の表面を表面カバー71にて覆うことができ、ヘッドサポートベルト20が幼児に当ることを防止できる(図4〜6においては表面カバー71及び裏面カバー72は図示せず)。また同時に、ヘッドサポートベルト20が表側に露出して子守帯1の意匠性を低下させることを防止できる。
ここで、ベルトカバー70には、ヘッドサポートベルト20を一層容易かつ確実に覆うための各種の工夫が施されている。すなわち、図13〜15に示すように、表面カバー71と裏面カバー72との相互の固定は、裏面カバー72の上縁を表面カバー71の上縁に縫合ライン73にて縫合することによって行なわれており、この縫合ライン73を中心として、図14、15のように裏面カバー72を上方に開くことが可能である。従って、使用者は、裏面カバー72を持ち上げるだけでヘッドサポートベルト20を略完全に露出させることができるので、従来のように筒状のカバーを手繰りよせるような面倒な動作を行なう必要がなく、ヘッドサポートベルト20に容易に手を伸ばしてその操作を行なうことができる。また、操作終了後には、裏面カバー72から手を離すだけで、この裏面カバー72が縫合ライン73を支点として自重によって自然に垂れ下がるので、図13に示すようにヘッドサポートベルト20が自動的に覆われ、後述するメスホック71aとオスホック72aとによる固定を忘れた場合であっても、ヘッドサポートベルト20が幼児に当ることを防止できる。
さらに、図14、15に示すように、表面カバー71の下端の裏面(裏面カバー72に対向する面)には、複数のメスホック71aが設けられている。また、裏面カバー72の下端の表面(表面カバー71に対向する面)には、複数のメスホック71aに対応する位置に、複数のオスホック72aが設けられている。そして、オスホック72aをメスホック71aに係脱自在に係止させることで、表面カバー71と裏面カバー72とをその下端においても相互に固定できるので、ヘッドサポートベルト20を一層確実にカバーできる。また、メスホック71aやオスホック72aを表面カバー71と裏面カバー72との相互の対向面に設けたので、図13に示すように表面カバー71と裏面カバー72とを閉じた状態においては、メスホック71aやオスホック72aの両方がベルトカバー70の内側に位置するので、これらメスホック71aやオスホック72aが幼児に当ることを防止できると共に、表側に露出して子守帯1の意匠性を低下させることを防止できる。
ここで、上述のように、ラダーロック22に対するベルト本体21の挿通量を変えることで、ヘッドサポート12からのヘッドサポートベルト20の突出量を調整できる。図26は最短時のヘッドサポートベルト周辺の正面図、図27は最長時のヘッドサポートベルト周辺の正面図である。本実施の形態においては、このような調整構造によるヘッドサポートベルト20の長さ変化に関わらず、このヘッドサポートベルト20を常にベルトカバー70にて覆うことができる。具体的には、表面カバー71及び裏面カバー72は、ベルト本体21の最短時の長さ(L1)を超え、さらにベルト本体21の最長時の長さ(L2)以上の長さにて形成されており、従って、図27のようにヘッドサポートベルト20を最長に伸ばした状態においても、このヘッドサポートベルト20をカバーでき、ヘッドサポートベルト20が幼児に当ること等を確実に防止できる。
また、このようにヘッドサポートベルト20の突出量を調整することで、ベルト本体21が余る場合があり、この場合には、図26に示すように、この余長部分21aがラダーロック22にて折り返されてヘッドサポート12の方へ向き、ベルトカバー70から露出する可能性がある。このため、ヘッドサポート12には、ヘッドサポートベルト20の取り付け位置の近傍に、袋状のベルトポケット12aを設けている。このベルトポケット12aは、ヘッドサポート12の端部に形成された空間部であり、余長部分21aの最大長さ(L3)以上の長さを有する。このベルトポケット12aは、ヘッドサポートベルト20に対向する面に開口12bを有し、この開口12bを介して、ベルト本体21の余長部分21aをベルトポケット12aに差し入れることができる。従って、ベルト本体21が余った場合であっても、その余長部分21aをベルトポケット12aに差し込むだけで非露出状とすることができ、この余長部分21aが、幼児に当たることや、幼児によっていたずらされることを防止できる。
特に、本実施の形態においては、表面カバー71と裏面カバー72との相互間に形成される空間部74と、ベルトポケット12aの空間部75とを、相互にほぼ隙間なく連通させている。このため、空間部74に収容されたヘッドサポートベルト20の余長部分21aを、外部に露出させることなくそのままスムーズに空間部75に差し込むことができるので、ヘッドサポートベルト20をその全体に渡ってほぼ完全に非露出状にできる。
(縦抱き用シート10の各部の構造の詳細−ブリッジベルト14)
次に、ブリッジベルト14に関する構造の詳細について説明する。図28は連結解除状態におけるブリッジベルト周辺の拡大正面図である。図示のように、ブリッジベルト14及びメスバックル26は、ブリッジベルトカバー80にて覆われている。このブリッジベルトカバー80は、表生地81(後述する図30のみに図示する)及び裏生地82から筒状に形成されており、この筒状空間にブリッジベルト14及びメスバックル26を挿通させることで、これらブリッジベルト14及びメスバックル26をブリッジベルトカバー80によって囲繞して非露出状とすることができる。従って、これらブリッジベルト14及びメスバックル26が幼児に当ることを防止できる。特に、操作部26aを備えるメスバックル26を非露出状としているので、幼児が操作部26aをいたずらすることを防止できる。なお、ブリッジベルトカバー80の先端部は開放状とされており、この先端部にオスバックル27を差し込むことによって、メスバックル26に係脱自在に係止させることができる。そして、図16に示すように、この係止状態においては、、オスバックル27がメスバックル26の内部に入り込むことから、このオスバックル27についてもメスバックル26と共にブリッジベルトカバー80にて覆うことができる。
また、このようにオスバックル27をメスバックル26に係止する際や、あるいは、これらの係止を解除するためにメスバックル26の操作部26aを操作する際には、ブリッジベルトカバー80を肩帯13の方へ手繰り寄せることで、メスバックル26を露出させることができる。しかしながら、ブリッジベルトカバー80にてメスバックル26を単に覆った場合には、このブリッジベルトカバー80を手繰り寄せることが面倒であると共に、メスバックル26を露出させた後でブリッジベルトカバー80を元の状態に戻すことを忘れてしまった場合に、メスバックル26が露出したままになってしまう可能性がある。そこで、本実施の形態では、ブリッジベルトカバー80を自己復元可能とすることで、この不具合を防止している。
具体的には、図28に示すように、ブリッジベルトカバー80を、メスバックル26の近傍の位置の縫合ライン83において、ブリッジベルト14に縫合している。この場合、図29に示すように、ブリッジベルトカバー80を手繰り寄せると、このブリッジベルトカバー80の移動が縫合ライン83にて規制されるので、ブリッジベルトカバー80がその先端から縫合ライン83の間のみで移動可能になる(図28、29には、ブリッジベルトカバー80が手繰り寄られることで移動する範囲をR1、移動しない範囲をR2として示す)。このようにブリッジベルトカバー80をその先端側の短い範囲のみにおいて移動可能とすることで、ブリッジベルトカバー80の先端側の反発力を増すことができる。従って、このブリッジベルトカバー80から使用者が手を離すだけで、ブリッジベルトカバー80が自己の反発力で自然に元の状態に復元し、図16や図28に示すようにメスバックル26を覆う。従って、ブリッジベルトカバー80を元の状態に戻すための特段の操作を行なわなくても、メスバックル26が露出することを防止できるので、幼児に対する安全性を一層高めることができる。
ここで、メスバックル26及びオスバックル27の係止構造としては任意のものを採用でき、例えば、ボタンホックやサイドリリースバックル(SRバックル)を用いることができる。ここでは、フロントリリースバックルを使用しており、メスバックル26の前面(幼児と反対側の面)に設けた操作部26aを使用者が押圧することで、メスバックル26に対するオスバックル27の係止を解除できる。このように前方のみから操作部26aを操作可能としているので、幼児が後方から操作部26aを誤って操作することを防止でき、安全性を一層向上させることができる。
また、これらオスバックル27をメスバックル26に係止する際、使用者がブリッジベルト14を捻ってしまい、オスバックル27をメスバックル26に対して表裏(前後)逆向きに差し込んでしまう場合が考えられる。そこで、本実施の形態では、ブリッジベルトカバー80に表面と裏面とを相互に識別するための識別手段を備えている。この識別手段としては、例えば、ブリッジベルトカバー80の表面や裏面にその向きを示すようなマークを付すことも考えられるが、本実施の形態では、ブリッジベルトカバー80の表面と裏面とを、相互に異なる素材の布体で覆っている。
具体的には、ブリッジベルトカバー80の表生地81にはメッシュ生地を使用し、ブリッジベルトカバー80の裏生地82にはメッシュ生地以外の生地を使用している(図示における生地の区別は省略する)。従って、使用者は、ブリッジベルトカバー80の表面と裏面とを容易に目視にて識別でき、オスバックル27を正しい前後方向でメスバックル26に係止できる。特に、幼児側に位置する表生地81を通気性の高いメッシュ地としているので、この表生地81が幼児に触れた場合にも、その快適性を維持できる。また、操作部26aを覆う裏生地82を比較的薄厚状の裏生地のみにて形成しているので、この裏生地82の上から使用者が操作部26aに触れる際の触感を向上させることができ、使用者の操作性を高めることができる。この他、オスバックル27をメスバックル26に所定の前後方向で差し込んだ時にのみ、これらオスバックル27とメスバックル26とが相互に係合可能になるようにしてもよい。
このように構成されたブリッジベルト14は、縦抱き時にのみ使用され、横抱き時には不要である。このため、本実施の形態の子守帯1は、横抱き時にブリッジベルト14を収容するための収容構造を備えている。図30は収容途中の状態におけるブリッジベルト周辺の拡大正面図、図31は収容完了状態におけるブリッジベルト周辺の拡大正面図である。ブリッジベルト14が取り付けられた側の肩帯13(本実施の形態において左方の肩帯13)には、このブリッジベルト14を収容する袋状のポケット90が形成されている。また、オスバックル27が取り付けられた側の肩帯13(本実施の形態において右方の肩帯13)には、このオスバックル27を収容する袋状のポケット91が形成されている。これらポケット90、91は、肩帯13における縦抱き用シート本体11との接合箇所の近傍位置に形成されており、ブリッジベルト14又はオスバックル27に対向する面に開口90a、91aを有し、この開口90a、91aを介して、図31に示すように、ブリッジベルト14又はオスバックル27をポケット90、91に差し入れることができる。従って、ブリッジベルト14やオスバックル27を不要時に収容して非露出状とすることができ、これらブリッジベルト14やオスバックル27が他の操作の妨げになることや、使用者や幼児に当ることを防止できる。
ここで、ポケット90には、ブリッジベルト14を完全に収容できることが好ましい。しかしながら、本実施の形態のようにブリッジベルト14の全長が肩帯13の全幅よりも長い場合には、このブリッジベルト14を肩帯13に対して単に直交する方向でポケットに差し込むようにしたのでは、ブリッジベルト14をポケット90に完全に収容することができないことになる。このため、本実施の形態においては、ポケット90を肩帯13の長手方向に沿った長方状の空間部として形成している。すなわち、図30に示すように、ポケット90は、ブリッジベルト14の付け根周辺位置から下方に向けて、ブリッジベルト14の全長L4以上の長さで形成されている。従って、ブリッジベルト14を、まず図30に示すように下方に向けて折り曲げ、その先端をポケット90の開口90aに差し込み、さらに肩帯13の長手方向に沿った方向でポケット90に差し入れることで、図31に示すようにポケット90にほぼ完全に収容できる。
(縦抱き用シート10の各部の構造の詳細−股ぐり部)
次に、図10に示す縦抱き用シート10の股ぐり部100に関する構造の詳細について説明する。この股ぐり部100は、縦抱き用シート本体11の下端部であって、図4の対面抱き時には幼児の臀部を保持し、図5の前抱き時には内股部を保持する。このような当接部位の変化に対して股ぐり部100が追従可能なように、本実施の形態では、股ぐり部100の柔軟性を向上するための各種の工夫を施している。図32は股ぐり部周辺の拡大背面図、図33は図32のA−A矢視縦断面図である。
股ぐり部100の左右の側辺101、102は、幼児の脚部の形状に合致する湾曲形状とされており、この湾曲状の側辺101、102に幼児の脚部が当接することで、幼児が快適に脚を伸ばすことができる。この股ぐり部100は、図33に示すように、基本的には、縦抱き用シート本体11における他の部分と同様に、緩衝材であるクッション材103の前後面をそれぞれ表生地104と裏生地105にて被覆して形成されている。このクッション材103は、縦抱き用シート10によって幼児を保持するために必要な剛性を持たせる構造体であると共に、幼児の動作に伴う変形を許容することで幼児の快適性を向上させるための緩衝材である。
ここで、クッション材103のうち、股ぐり部100の中央寄りの部分(図32において点線にて囲んだ部分)には、開口106が穿設されている。この開口106は、クッション材103の緩衝力を緩和するための緩衝緩和手段である。図34は変形状態における股ぐり部周辺の拡大背面図、図35は図34のB−B矢視縦断面図である。この開口106においてはクッション材103の緩衝力が存在しないため、股ぐり部100のクッション材103の全体の緩衝力が緩和される。従って、前抱き時において、股ぐり部100に幼児の臀部ではなく内股部が当接されることで、この股ぐり部100が図34の矢印方向に圧縮された場合に、クッション材103の反発力を開口106の分だけ弱め、クッション材103を比較的容易に変形させることができるので、幼児の内股部を必要以上に圧迫することなく、この内股部に対応した横幅を維持できる。また、このように開口106を形成したので、股ぐり部100の通気性を一層高めることができ、幼児の快適性を向上させることができる。特に、図32、34に示すように、開口106の正面形状は、股ぐり部100と同様に、幼児の脚部の形状に合致する台形状とされているので、クッション材103を幼児の脚部に対応した形状に変形させることができ、幼児の脚部に対するフィット感を維持できる。
また、図32〜35に示すように、股ぐり部100の両側辺には、可動部107が設けられている。この可動部107は、幼児の動作に伴って、縦抱き用シート本体11に対して可動するものである。具体的には、図32に示すように股ぐり部100の両側辺には縫合ライン108が設けられており、この縫合ライン108によって図33のようにクッション材103を分断することによって、可動部107が形成されている。図36は可動部周辺の拡大縦断面図、図37は変形状態における可動部周辺の拡大縦断面図である。このようにクッション材103を分断することにより、クッション材103の剛性が分断され、この可動部107の剛性を低減できる。従って、股ぐり部100に対する幼児の押圧に追従して可動部107が可動し、幼児に対応した横幅を維持する。特に、図32、34に示すように、縫合ライン108を、幼児の脚部の形状に合致する湾曲形状としているので、可動部107を幼児の脚部に対応した形状で可動させることができ、この脚部に対するフィット感を維持できる。
さらに、このような前後方向の可動による荷重の緩和構造に加えて、本実施の形態では、上下方向に対する荷重の緩和構造が設けられている。図38は荷重調整部周辺の拡大背面図である。図示のように、股ぐり部100には、荷重調整部107aが設けられている。この荷重調整部107aは、股ぐり部100を下方に延長することで、この股ぐり部100に幼児の荷重が加わった際の突っ張り(テンション)を左右の内側方向に移動させるものである。
具体的には、股ぐり部100の下端を、その構造を維持したまま下方に所定長だけ延出することによって、荷重調整部107aが形成されている。この延出構造により、股ぐり部100の側部の長さL5が、従来の股ぐり部の長さL6に対して荷重調整部107aの長さL7を加えた長さに延長されている(L5=L6+L7)。この効果は下記の通りである。すなわち、従来は、図39の概念図に示すように、長さL6の比較的短い股ぐり部100を介して幼児を吊り上げていたので、幼児の臀部や内股部が股ぐり部100の左右の側部によって吊り上げ状に保持されており、幼児の荷重Fが股ぐり部100の左右の側部にそのまま伝わるため、この荷重Fによって幼児の臀部や内股部が圧迫される可能性があった。これに対して、本実施の形態では、図40の概念図に示すように、荷重調整部107aを設けたことで、股ぐり部100の左右の側部の吊り上げ状態が緩和されるので、股ぐり部100の左右の側部に加わる荷重が軽減され、この軽減分だけ荷重Fが左右中央寄り(内側寄り)に移動することになる。この結果、幼児の臀部や内股部への圧迫を軽減でき、幼児の快適性を高めることができる。
(縦抱き用シート10に対する横抱き用シート50の着脱構造)
次に、縦抱き用シート10に対する横抱き用シート50の着脱構造についてより詳細に説明する。これら縦抱き用シート10と横抱き用シート50とは、概略的には、頭部周辺、臀部周辺、及び、脚部周辺の3箇所で相互に固定されており、このように複数個所で固定を行なうことで、使用者や幼児が動いた場合であっても、これら縦抱き用シート10と横抱き用シート50との固定状態をその全長に渡って確実に維持できる。
まず、頭部周辺の固定構造について説明する。この頭部周辺の固定構造においては、横抱き用シート50の装着の有無に関わらず、この固定構造を幼児側(縦抱き用シート10の裏面及び横抱き用シート50の表面)に露出させないための工夫が施されている。具体的には、図41に示すように、横抱き用シート本体51の上隅近傍位置には、側方に向けて突出する取り付け部110が設けられている。この取り付け部110は、2枚の突出片111、112を重合して構成されており、表側に位置する突出片111の表面にはオスホック111aが設けられ、裏側に位置する突出片112の裏面にはメスホック112aが設けられている。一方、縦抱き用シート10のベルトカバー70には、取り付け部110に対応する位置に、上述した表面カバー71のメスホック71aと裏面カバー72のオスホック72aとが設けられている。
従って、このベルトカバー70の内側に取り付け部110を差し込み、表側の突出片111のオスホック111aを表面カバー71のメスホック71aに係脱自在に係止させると共に、裏側の突出片112のメスホック112aを裏面カバー72のオスホック72aに係脱自在に係止させることにより、横抱き用シート50の上部を縦抱き用シート10の上部に固定できる。特に、取り付け部110をベルトカバー70の内側に差し込んだ状態で取り付けを行なっているので、この状態においては取り付け部110をベルトカバー70にて覆うことで表側及び裏側のいずれに対しても非露出状とすることができ、オスホック111aやメスホック112aが幼児に当ることを防止できると共に、子守帯1の意匠性を高めることができる。
次に、臀部周辺の固定構造について説明する。図2に示すように、縦抱き用シート本体11の裏面の下部には面ファスナ113が設けられている。一方、横抱き用シート本体51の裏面の下部には、面ファスナ113に対応する位置及び形状で、図示しない面ファスナが設けられている。従って、横抱き用シート50を縦抱き用シート10に重合させた状態で、横抱き用シート50の下部を縦抱き用シート10の下部に押し当てることで、これら面ファスナ113と図示しない面ファスナとが相互に係脱自在に係止するので、横抱き用シート50の下部を縦抱き用シート10の下部に固定できる。特に、面ファスナ113による固定構造を採用しているので、固定構造を比較的平坦にすることができ、縦抱き時に縦抱き用シート本体11の裏面に幼児が直接的に載置された場合であっても、この固定構造の凹凸が幼児に伝わって違和感を与えることを防止できる。
次に、脚部周辺の固定構造について説明する。図1、2に示すように、横抱き用シート本体51の下縁には、上述したベルトまとめ54が設けられている。図42は固定時におけるベルトまとめ周辺の拡大斜視図、図43は固定解除時におけるベルトまとめ周辺の拡大斜視図である。ベルトまとめ54は、全体として正面略T字状に形成されており、横抱き用シート本体51の下縁に縫合されている。このベルトまとめ54の左端の表面(後面)には、オスホック54aが設けられており、一方、ベルトまとめ54の右端の裏面(前面)には、オスホック54aに対応する位置に、メスホック54bが設けている。
そして、縦抱き用シート10に横抱き用シート50を取り付けた状態において、このベルトまとめ54を足繰りベルト16と脇ベルト15との裏側から表側に通し、このベルトまとめ54の裏面をこれら足繰りベルト16と脇ベルト15とに当接させ、さらにベルトまとめ54を筒状に丸めることで、この筒状の内部空間に、足繰りベルト16と脇ベルト15とを収容できる。この状態において、ベルトまとめ54の右端と左端とを相互に重合させることで、オスホック54aとメスホック54bとが相互に対応する位置に配置されるので、オスホック54aをメスホック54bに押し当てて係止させることで、図42に示すように、ベルトまとめ54を筒状の状態で留めることができる。
このように、ベルトまとめ54によって脇ベルト15と足繰りベルト16とを相互に結束できるので、これら脇ベルト15や足繰りベルト16やその余長部分が使用者や幼児等に引っ掛ることを防止できると共に、子守帯1の外観をすっきりさせてその意匠性を向上させることができる。特に、ベルトまとめ54は、硬質ボードを含まずに表生地と裏生地とで形成していることから、ベルトまとめ54によって幼児に不快感を与えることがない。さらに、ベルトまとめ54によって足繰りベルト16を保持することで、この足繰りベルト16が横抱き用シート50の下端から前方に向けて一定の角度で立ち上がるようにできるので、足繰りベルト16が左右あるいは上方に引っ張られて幼児側に傾くことを防止でき、幼児の居住空間を確保できる。
(縦抱き用シート10の保持構造)
次に、縦抱き用シート10の保持構造について説明する。上述のように、出産後から数ヶ月を経た後は幼児を縦抱きにて保持するのが一般的であることに鑑みて、本実施の形態の子守帯1は、縦抱き時には縦抱き用シート10のみで幼児を保持することを可能としている。特に、横抱き用シート本体51には硬質ボード55を使用することで横抱き時の剛性を確保する一方で、縦抱き用シート本体11には硬質ボード55の如き高剛性部材を使用せずにその柔軟性を高めることで、縦抱き用シート10のみを携行する場合の取扱いを容易にしている。さらに、この縦抱き用シート10の携行性を一層向上させるため、本実施の形態では、縦抱き用シート10をコンパクトに収納して容易に持ち運ぶための保持構造を構築している。以下では、この保持構造について説明する。
図44は収納袋を収納するポケットの周辺の拡大正面図、図45は収納袋からポケットを取り出した状態における縦抱き用シート10の正面図である。縦抱き用シート10の縦抱き用シート本体11には、その表面の下端位置(図4の如き縦抱き状態において幼児の左右の脚の間の位置)に、ポケット120が設けられており、このポケット120には収納袋121が取り出し自在に収納されている。この収納袋121は、縦抱き用シート10を所定の保持状態で保持するための保持手段であり、ポケット120に設けた開口120aを介して外部に取り出すことができる。この収納袋121は、縦抱き用シート10を収容するために十分な収容量を有する袋体として形成されており、例えば略直方状に形成されている。この収納袋121の一側辺には開口121aが設けられており、この開口121aを介して収納袋121の内部に縦抱き用シート10を出し入れできる。
このような収納袋121を縦抱き用シート10のポケット120に収納することで、収納袋121の携行忘れを防止できると共に、縦抱き用シート10の不要時には収納袋121を容易に取り出し、この縦抱き用シート10を折り畳んで収納袋121に収容できる。そして、この収納袋121に収容した状態で縦抱き用シート10を携行することで、縦抱き用シート10をコンパクトな状態で持ち運ぶことができる。特に、収納袋121をメッシュ地で形成しているので、この収納袋121をコンパクトに折り畳むことができ、収納袋121の存在によって幼児に違和感を与えることを防止できる。また、収納袋121の開口121aには、当該開口121aを開閉自在に閉じるための取り付けヒモ121bが設けられている。従って、縦抱き用シート10を収納袋121に収容した状態でこの取り付けヒモ121bを引っ張ることで開口121aを閉じることができ、収納袋121から縦抱き用シート10が脱落することを防止でき、縦抱き用シート10の携行が一層容易になる。
特に、本実施の形態においては、収納袋121の携行忘れを一層確実に防止すると共に、この収納袋121への縦抱き用シート10の収納を一層容易とするための構造が採られている。すなわち、ポケット120と収納袋121とは、連結ベルト122にて相互に連結されている。この連結ベルト122は、その一端をポケット120の内側に縫合することで固定されており、その他端を収納袋121に縫合することで固定されている。従って、収納袋121を常に縦抱き用シート10と共に携行でき、収納袋121の携行忘れを一層確実に防止できる。
次に、縦抱き用シート10の収容手順の一例について説明する。まず、図46に示すように、収納袋121を縦抱き用シート10の下方に配置し、図47に示すように、縦抱き用シート10の肩帯13を内側に折り畳む。その後、図48に示すように、縦抱き用シート10をその長手方向に対して任意の回数(例えば三つ折り)に折り畳み、図49に示すように、縦抱き用シート10を収納袋121の内部に収容することができる(図48、49においては縦抱き用シート10を想像線にて示す)。
このような収納完了後の状態においては、取り付けヒモ121bを利用することで、使用者が収納袋121を肩にかけたり、図50のようにベビーカーの手すり部分等にS字フック123を介して収納袋121を吊り下げる等、収納袋121を容易に携行できる。また、このS字フック123を、取り付けヒモ121bに一体に固定してもよい。あるいは、図51に示すように、取り付けヒモ121bを着脱自在に開閉可能とする開閉ホック124を設けてもよく、この場合には、バッグの手提げ部分等に収納袋121を吊り下げる等、収納袋121の利便性が向上する。
さらに、本実施の形態においては、縦抱き用シート10に対する収納袋121の収容構造についても種々の工夫が施されている。すなわち、再び図44に示すように、ポケット120は、縦抱き用シート本体11の表面に設けられている。従って、収納袋121が幼児に直接触れないので、この収納袋121やその内部に収納したポケット120の存在によって幼児に違和感を与えることが防止でき、幼児の快適性を維持できる。また、ポケット120は、縦抱き用シート本体11の下端に設けられている。従って、縦抱き時においても、ポケット120が幼児の左右の脚の間に隠れて表側から目立たないため、子守帯1の外観を維持できる。さらに、ポケット120を縦抱き用シート10の長手方向の下端に設けることで、収納袋121を縦抱き用シート10の端部に容易に配置でき、縦抱き用シート10の収納が一層容易になる。
また、図52には図44のC−C矢視縦断面図を示す。この図52に示すように、ポケット120の開口120aは、ポケット120の一端部120bと他端部120cとを相互にやや重合させた状態で形成されている。従って、この重合部分によって開口120aが開閉自在に閉鎖されるので、ポケット120から収納袋121が露出したり脱落したりすることを防止できる。
(本実施の形態に対する変形例)
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良できる。以下、このような変形例について説明する。ただし、特に説明なき構成については上記実施の形態と同様であるものとし、上記実施の形態と同様の機能を有する構成要素については、必要に応じて、実施の形態において用いたのと同じ符号を付する。
(本実施の形態に対する変形例−ヘッドサポートの連結部)
最初に、ヘッドサポートの連結部の変形例について説明する。上記の実施の形態においては、図13〜15に示すように、ヘッドサポートベルト20にてヘッドサポート12と肩帯13とを連結しているが、ヘッドサポートベルト20にてヘッドサポート12を縦抱き用シート本体11と連結してもよい。また、縦抱き用シート10に限定されず、横抱き用シート50の構造によっては、この横抱き用シート50にヘッドサポート12の連結部の構造を適用してもよい。また、表面カバー71と裏面カバー72とは、平板状以外の任意の形状で形成してもよく、例えば、立体裁断にて立体形状にしてもよい。これら表面カバー71と裏面カバー72とを相互に連結する手段としては、メスホック71aやオスホック72a以外の構造を採用してもよく、例えば、これら表面カバー71と裏面カバー72との相互の内面や、ヘッドサポートベルト20の内外面に、面ファスナを設けてもよい。また、ヘッドサポートベルト20の余長部分を収容するベルトポケット12aは、上記の箇所以外に設けてもよく、例えば、ヘッドサポート12の裏面に設けたり、裏面カバー72の内面に設けてもよい。また、上記のように、ヘッドサポートベルト20にてヘッドサポート12を縦抱き用シート本体11に連結する場合には、ベルトポケット12aを縦抱き用シート本体11に設けてもよい。
(本実施の形態に対する変形例−ブリッジベルト)
次に、ブリッジベルトの変形例について説明する。図53はブリッジベルトの変形例を示す拡大正面図である。このように、肩帯13におけるブリッジベルト14の取り付け位置の近傍に、その長手方向に沿った長方状のポケット130を設けてもよい。この場合にも、図54に示すように、ブリッジベルト14を肩帯13の側方から回り込ませ、その先端からポケット130に差し入れることで、図55に示すように、ブリッジベルト14を収容できる。
あるいは、図56の拡大正面図に示すように、左右の肩帯13に略同一長さのブリッジベルト131をそれぞれ取り付けると共に、各肩帯13におけるブリッジベルト131の取り付け位置の近傍にポケット132を設けてもよい。この場合には、各ブリッジベルト131の長さを上記図16のブリッジベルト14よりも短くすることができ、肩帯13の幅に収まる長さにできる。このため、図57に示すように、ブリッジベルト131を肩帯13の長手方向に略直交する方向でポケット132に差し入れても、ブリッジベルト131をほぼ完全に収容できる。
(本実施の形態に対する変形例−股ぐり部)
次に、股ぐり部の変形例について説明する。上記図32に示した股ぐり部100では、クッション材103に開口106を穿設しているが、この開口106は図32の形状に限定されず、スリット状や貫通孔状に形成してもよい。また、クッション材103の変形性を向上させるためには、開口106を設ける以外にも他の構造を取ることができ、例えば、クッション材103の一部を他の部分よりも薄厚状とした薄厚部を形成してもよい。あるいは、クッション材103の変形を促したい部分に、当該クッション材103よりも柔軟性の高い他の素材を嵌め込むこともできる。さらに、同様の構成を股ぐり部100の他の部分に適用してもよく、例えば、縦抱き用シート本体11における幼児の胸部分に対応する箇所の変形度を向上させることで、幼児の胸や腕の動きに追従して縦抱き用シート本体11をスムーズに変形させてもよい。
また、上記実施の形態においては、図36に示したように、表生地104と裏布地105との相互の接続箇所(縫合ライン109)を、縦抱き用シート本体11の側方に位置させている。この場合、縫合ライン109は比較的硬いため、この縫合ライン109に幼児の脚が当ることで、幼児に不快感を与える可能性がある。これを解消するため、図58に示すように、この接続箇所を縦抱き用シート本体11の表面に配置してもよい。具体的には、裏布地105を表生地104より広幅に裁断し、この裏生地105を縦抱き用シート10の側方を通って表面側に回り込ませ、この表面側に回り込んだ位置で、裏布地105と表生地104とを相互に縫合して縫合ライン133を形成する。この場合には、縫合ライン133が、縦抱き用シート10の表面側に位置し、幼児に触れることがないので、幼児の快適性を一層高めることができる。特に、この縫合ライン133によって可動部107を形成してもよく、この場合には、表生地104と裏布地105との相互の接続箇所を、可動部107を形成するための縫合ラインに合致させることができ、1本の縫合ライン133を形成するだけで、可動部107を形成できると共に、接続箇所が幼児の脚に当ることを防止できる。
(本実施の形態に対する変形例−着脱構造)
次に、縦抱き用シート10に対する横抱き用シート50の着脱構造の第1〜第7の変形例について説明する。まず、第1の変形例について説明する。図59は第1の変形例に係る横抱き用シートの背面図である。横抱き用シート50の横抱き用シート本体140の上隅近傍位置の裏面には、オスホック140aが設けられている。一方、図14に示した縦抱き用シート本体11のメスホック71aを、この変形例では、オスホック140aに対応するように左右の内側寄りの位置に設ける。従って、この縦抱き用シート本体11に横抱き用シート本体140を重合させ、これらオスホック140aとメスホック71aとを係脱自在に係止させることで、横抱き用シート50を縦抱き用シート10に固定できる。また、この状態では、オスホック140aやメスホック71aがベルトカバー70にてカバーされるので、縦抱き用シート10の表側に露出することがない。
次に、着脱構造の第2の変形例について説明する。図60は第2の変形例に係る横抱き用シートの背面図、図61は第2の変形例に係る縦抱き用シートの背面図である。横抱き用シート50の横抱き用シート本体51の裏面には、固定フラップ141が設けられている。この固定フラップ141は、横抱き用シート本体51の上縁から、この横抱き用シート本体51の裏面の上部1/3程度の付近に至るように形成されている。そして、横抱き用シート50を縦抱き用シート10に重合させた後、この固定フラップ141をヘッドサポート12の上方側から縦抱き用シート本体11の裏面側に被せることにより、固定フラップ141にてヘッドサポート12及び縦抱き用シート本体11の上部を覆うことができる。このように覆った状態では、ヘッドサポート12及び縦抱き用シート本体11の上部が横抱き用シート本体51と固定フラップ141にて挟持されるので、横抱き用シート50が縦抱き用シート10から外れ難くなり、横抱き用シート50を縦抱き用シート10に仮固定できる。
ここで、固定フラップ141の先端近傍位置の表面(横抱き用シート本体51に対向する面)には、オスホック141aが設けられている。一方、縦抱き用シート本体11の表面には、オスホック141aに対応する位置に、メスホック11aが設けられている。そして、オスホック141aをメスホック11aに係脱自在に係止させることで、横抱き用シート50を縦抱き用シート10に確実に固定できる。また、この状態では、オスホック141aやメスホック11aが固定フラップ141にてカバーされるので、縦抱き用シート10の表側に露出することがない。
次に、着脱構造の第3の変形例について説明する。図62は第3の変形例に係る横抱き用シートの背面図である。横抱き用シート50の横抱き用シート本体51の裏面には、固定フラップ143が設けられている。この固定フラップ143は、横抱き用シート本体51の上端から下端近傍位置に至るもので、縦抱き用シート本体11に横抱き用シート本体51を重合させた後、この固定フラップ143をヘッドサポート12の上方側から縦抱き用シート本体11の裏面側に被せることにより、固定フラップ143にてヘッドサポート12及び縦抱き用シート本体11の略全体を覆うことができる。このように覆った状態では、ヘッドサポート12及び縦抱き用シート本体11の略全体が横抱き用シート本体51と固定フラップ143にて挟持されるので、横抱き用シート50が縦抱き用シート10から外れ難くなり、横抱き用シート50を縦抱き用シート10に仮固定できる。
ここで、横抱き用シート本体51と固定フラップ143とは、縦抱き用シート本体11よりもやや広幅に形成されており、この縦抱き用シート本体11に横抱き用シート本体51を重合させた状態では、これら横抱き用シート本体51と固定フラップ143のそれぞれの側部が縦抱き用シート本体11よりも側方位置(具体的には、図9に示す腕口25及び脚口43の位置)に突出する。このように突出した側部において、横抱き用シート本体51の裏面には、メスホック51aと面ファスナ51bとが設けられており、固定フラップ143の表面(横抱き用シート本体51に対向する面)には、メスホック51aと面ファスナ51bとに対応する位置に、オスホック143aと面ファスナ143bとが設けられている。従って、メスホック51aとオスホック143a、及び、面ファスナ51bと面ファスナ143bとを、縦抱き用シート本体11の側方において相互に係脱自在に係止させることで、横抱き用シート50によって縦抱き用シート10を挟持でき、この横抱き用シート50を縦抱き用シート10に確実に固定できる。また、この状態では、メスホック51a、オスホック143a、及び、面ファスナ51b、143bが、固定フラップ143にてカバーされるので、縦抱き用シート10の表側に露出することがない。
次に、着脱構造の第4の変形例について説明する。図63は第4の変形例に係る横抱き用シートの背面図、図64は第4の変形例に係る縦抱き用シートの背面図である。横抱き用シート50の横抱き用シート本体51には、その上縁から裏面に至る固定フラップ144が設けられている。この固定フラップ144の裏面には、一対のメスホック144aと一対のオスホック144bとが設けられており、これらメスホック144aとオスホック144bとは、折り返し線144cを中心として線対称になる位置に設けられている。一方、縦抱き用シート10のヘッドサポート12の上縁には、固定フラップ144を挿脱自在に挿通させるための環状のフラップ通し145が設けられている。
そして、横抱き用シート50を縦抱き用シート10に重合させた後、この固定フラップ144をフラップ通し145に挿通させる。次いで、固定フラップ144を、折り返し線144cを中心に2つ折りに折り返すことで、この固定フラップ144にてフラップ通し145を挟持でき、横抱き用シート50が縦抱き用シート10から外れ難くなるので、横抱き用シート50を縦抱き用シート10に仮固定できる。この折り返し状態においては、メスホック144aとオスホック144bとが相互に対応する位置に配置されるので、オスホック144bをメスホック144aに係脱自在に係止させることで、横抱き用シート50を縦抱き用シート10に確実に固定できる。また、この状態では、メスホック144aとオスホック144bが固定フラップ144にてカバーされるので、縦抱き用シート10の表側に露出することがない。
次に、着脱構造の第5の変形例について説明する。図65は第5の変形例に係る横抱き用シートの背面図、図66は第5の変形例に係る縦抱き用シートの背面図である。横抱き用シート50の横抱き用シート本体51には、その側縁から裏面の左右中央に向けて延出する一対の固定ベルト146が形成されている。各固定ベルト146の裏面(横抱き用シート本体51に対向する面)には、オスホック146aが設けられている。一方、縦抱き用シート10の縦抱き用シート本体11の表面には、上下に縦長の帯状のメッシュカバー147が設けられている。このメッシュカバー147は、その上下の端部のみを縦抱き用シート本体11に縫合されており、その左右の側辺は開閉自在の開口147aとなっている。また、縦抱き用シート本体11の表面には、メッシュカバー147にて覆われる位置であって、オスホック146aに対応する位置に、メスホック147bが設けられている。
そして、横抱き用シート50を縦抱き用シート10に重合させた後、この固定ベルト146を縦抱き用シート本体11の側方からその表側に通し、さらに開口147aを介して縦抱き用シート本体11とメッシュカバー147との相互間に通すことで、固定ベルト146にて縦抱き用シート本体11を挟持でき、横抱き用シート50が縦抱き用シート10から外れ難くなるので、横抱き用シート50を縦抱き用シート10に仮固定できる。さらに、この挿通状態においては、オスホック146aとメスホック147bとが相互に対応する位置に配置されるので、オスホック146aをメスホック147bに係脱自在に係止させることで、横抱き用シート50を縦抱き用シート10に確実に固定できる。また、この固定状態においては、固定ベルト146やオスホック146aがメッシュカバー147にて覆われるので、この固定ベルト146が表側に露出することを防止できる。また、メスホック147bをメッシュカバー147にて覆っているので、横抱き用シート50を取り外した状態においても、このメスホック147bが表側に露出することを防止できる。
次に、着脱構造の第6の変形例について説明する。図67は第6の変形例に係る横抱き用シートの背面図、図68は第6の変形例に係る縦抱き用シートの正面図である。横抱き用シート本体51の裏面には、左右方向に沿って延びる固定フラップ148が設けられている。この固定フラップ148の表面(横抱き用シート本体51に対向する面)にはオスホック148aが設けられている。また、横抱き用シート本体51の裏面には、オスホック148aに対応する位置に、メスホック51aが設けられている。一方、縦抱き用シート10の縦抱き用シート本体11の裏面には、メッシュポケット149が設けられている。このメッシュポケット149の左右の側辺のうち、固定フラップ148に対応する部分には開口149aが形成されている。
そして、横抱き用シート50を縦抱き用シート10に重合させた後、この固定フラップ148を、縦抱き用シート本体11の側方からその表側に通し、さらに開口149aを介して縦抱き用シート本体11とメッシュポケット149との相互間に通すことで、固定フラップ148にてメッシュポケット149を挟持でき、横抱き用シート50が縦抱き用シート10から外れ難くなるので、横抱き用シート50を縦抱き用シート10に仮固定できる。さらに、この挿通状態においては、オスホック148aとメスホック51aとが相互に対応する位置に配置されるので、オスホック148aをメスホック51aに係脱自在に係止させることで、横抱き用シート50を縦抱き用シート10に確実に固定できる。また、この固定構造では、固定フラップ148が縦抱き用シート10の裏側に配置されるので、固定フラップ148やオスホック148aが表側に露出することを防止できる。
次に、着脱構造の第7の変形例について説明する。図69は第7の変形例に係る縦抱き用シートの正面図である。この第7の変形例は、第6の変形例と特記する構成を除いて同様に構成されているが、縦抱き用シート10の縦抱き用シート本体11の表面のメッシュポケット150には、円環状のフラップ通し150aが取り付けられている点で異なる。このフラップ通し150aは、図67に示した横抱き用シート50の固定フラップ148に対応する位置に設けられており、必要時には裏側に立ち上げることができる。そして、図67に示した横抱き用シート50を縦抱き用シート10に重合させた後、固定フラップ148を、縦抱き用シート本体11の側方からその表側に通し、さらにフラップ通し150aに通すことで、固定フラップ148にてフラップ通し150aを挟持でき、横抱き用シート50が縦抱き用シート10から外れ難くなるので、横抱き用シート50を縦抱き用シート10に仮固定できる。さらに、この挿通状態においては、図67のオスホック148aとメスホック51aとが相互に対応する位置に配置されるので、オスホック148aをメスホック51aに係脱自在に係止させることで、横抱き用シート50を縦抱き用シート10に確実に固定できる。また、この固定構造では、固定フラップ148が縦抱き用シート10の裏側に配置されるので、固定フラップ148やオスホック148aが表側に露出することを防止できる。
(本実施の形態に対する変形例−保持構造)
次に、縦抱き用シートの保持構造の変形例について説明する。実施の形態で示したように、縦抱き用シートに収納袋121を収納する場合において、この収納袋121の位置は変更可能である。図70は、保持構造の変形例に係るもので、収納袋を取り出した状態における縦抱き用シート10の正面図である。この図70の変形例では、上述したポケット120を縦抱き用シート本体11の裏面に設けており、このポケット120に収納袋121が取り出し自在に収納されている。
この変形例では、連結ベルト122は、収納袋121のうち、開口121aと反対側の側辺に固定されているので、収納袋121に対する縦抱き用シート10の収容が一層容易である。この理由を、以下の縦抱き用シート10の収容手順と共に説明する。まず、図71に示すように、縦抱き用シート10の肩帯13を内側に折り畳んだ後、図72に示すように、縦抱き用シート10をその長手方向に対して任意の回数(例えば三つ折り)に折り畳む(図72〜75においては縦抱き用シート10を想像線にて示す)。この状態では、収納袋121のうち、開口121aと反対側の側辺が縦抱き用シート10に当接しているので、図73に示すように、この当接箇所から開口121aに向けて縦抱き用シート10を収納袋121の中に差し入れ、図74のように収納袋121を裏返しつつ縦抱き用シート10に被せることで、図75のように収納袋121に縦抱き用シート10を容易に収納できる。また、この変形例では、再び図70に示すように、ポケット120は、縦抱き用シート本体11の裏面に設けられている。従って、横抱き状態と縦抱き状態のいずれの場合でも、ポケット120が表側に露出しないので、子守帯1の外観を維持できる。また、ポケット120についてもメッシュ地で形成しているので、通気性を高めて、幼児の快適性を維持できる。
その他、ポケット120は、縦抱き用シート本体11の裏面の臀部周辺に設けたり、縦抱き用シート本体11の表面に設けたり、あるいは、肩帯13の内部に収納してもよい。また、図76に示すように、収納袋121に代えて、縦抱き用シートを折り畳み状態で保持するための固定ベルト151を設けてもよい。この固定ベルト151は、三つ折りした縦抱き用シートを結束し得る長さにて形成されており、その両端には面ファスナ151aが設けられている。そして、メッシュポケット120から固定ベルト151を取り出し、三つ折りした縦抱き用シート10の外周に固定ベルト151を巻き付け、この固定ベルト151の両端を面ファスナ151aで相互に固定することで、図77に示すように、縦抱き用シート10を折り畳み状態で保持できる(図77では縦抱き用シート10を想像線にて示す)。あるいは、固定ベルト151をゴム製としてもよく、この場合には固定ベルト151の弾性力で縦抱き用シートを保持できるので、面ファスナ151aを省略できる。
この他、図78に示すように、縦抱き用シート本体11の上下中央付近の側部に一対のホールドベルト152を設けてもよい。このホールドベルト152は、縦抱き用シート本体11に保持された幼児を保持するための保持手段であると共に、縦抱き用シート10を折り畳み状態で保持するための保持手段として機能する。具体的には、一対のホールドベルト152は、三つ折りした縦抱き用シート10を結束し得る長さにて形成されており、その両端にはオスバックル152aとメスバックル152bとが設けられている。そして、三つ折りした縦抱き用シート10の外周にホールドベルト152を巻き付け、このホールドベルト152の両端をオスバックル152aとメスバックル152bとの係合によって相互に固定することで、図79に示すように、縦抱き用シート10を折り畳み状態で保持できる(図79では縦抱き用シート10を想像線にて示す)。このように、幼児を保持するホールドベルト152を流用して、縦抱き用シート10の保持を行なう場合には、縦抱き用シート10の保持専用の部品を設ける必要がなくなり、縦抱き用シート10を一層簡易な構成で保持できる。
あるいは、図80に示すように、縦抱き用シート10のヘッドサポート12の上縁にフック153を設ける。また、縦抱き用シート10の縦抱き用シート本体11の表面には、この縦抱き用シート10を所定方法で折り畳んだ状態におけるフック153に対応する位置(この変形例では中央近傍位置)に、フック153を係脱自在に係止できるボタン154を設けてもよい。そして、縦抱き用シート10を三つ折りし、ボタン154にフック153を係止させることで、図81に示すように、縦抱き用シート10を折り畳み状態で保持できる。特に、フック153をゴム製とすることで、ボタン154の位置が若干ずれた場合であっても、このフック153を弾性的に伸ばしてボタン154に係止できるので、保持操作を一層容易に行なうことができる。
(本実施の形態に対する変形例−課題及び効果)
また、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。例えば、バックルカバーの閉じ忘れを完全に防止できない場合であっても、その発生の可能性や程度を従来より若干でも低減できている限りにおいて、あるいは、従来と異なる手段にて従来と同様の効果を達成できている限りにおいて、本発明の課題が解決されている。
(本実施の形態に対する変形例−その他)
実施の形態や各変形例における説明文中又は図中に示した構造、寸法、材質、あるいは、形状については、特記する場合を除いて例示に過ぎず、任意に変更することができる。