以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態に係る駆動装置の断面図である。図1に示すように、本実施形態に係る駆動装置は、圧電素子1の伸縮に応じて駆動軸2を往復移動させ、駆動軸2に摩擦係合される被駆動部材3を駆動軸2に沿って移動させるものである。
圧電素子1は、電気信号の入力により伸縮可能な電気機械変換素子であり、所定の方向へ伸長及び収縮可能となっている。この圧電素子1は、接続ソケット15に取り付けられる接片16、17を通じて制御部81に接続され、その制御部81により電気信号を入力されることにより伸縮する。例えば、圧電素子1に印加される電圧を繰り返して増減させることにより、圧電素子1が伸長及び収縮を繰り返すこととなる。
駆動軸2は、圧電素子1の伸縮方向に長手方向を向けて圧電素子1に取り付けられている。例えば、駆動軸2の一端が圧電素子1に当接され接着剤を用いて接着されている。この駆動軸2は、長尺状の部材であり、例えば円柱状のものが用いられる。駆動軸2は、固定枠4から内側へ延びる仕切り部4a、仕切り部4cにより長手方向に沿って移動可能に支持されている。仕切り部4b、仕切り部4cは、被駆動部材3の移動領域を仕切るための部材であり、駆動軸2の支持部材としても機能している。固定枠4は、圧電素子1、駆動軸2及び被駆動部材などを収容し組み付けるための筐体として機能する。
駆動軸2の材質は、軽く高剛性のものが適しており、その条件を満たすものとしてはベリリウムが理想的であるが、この材料は稀少金属であるため高価で且つ加工性が悪いという欠点を持っている。そこで本実施形態においては、黒鉛結晶を強固に複合させた黒鉛複合体、例えばカーボングラファイトが用いられる。(ここで、黒鉛複合体とは炭素の六角板状結晶体であるグラファイトとグラファイト以外の物質との複合体を意味し、カーボングラファイトとはグラファイトと無定形炭素からなる物質を意味する。また、グラファイトは黒鉛とも言われる。)この黒鉛複合体であるカーボングラファイトは、ベリリウムと似た特性を有しながら(ベリリウムの比重は約1.85、カーボングラファイトの比重は約1.8である)、ベリリウムと異なって比較的安価であり加工しやすいという特性を有している。なお、駆動軸2の形状は円柱状に限定されるものではなく、角柱状でもよい。
仕切り部4b、仕切り部4cには、駆動軸2を貫通させる貫通孔4aがそれぞれ形成されている。仕切り部4bは、駆動軸2の圧電素子1取付部分の近傍箇所、すなわち駆動軸2の基端箇所を支持している。仕切り部4cは、駆動軸2の先端箇所を支持している。駆動軸2は、圧電素子1に取り付けられることにより、圧電素子1の伸長及び収縮の繰り返し動作に応じて、その長手方向に沿って往復移動する。
なお、図1では、駆動軸2を仕切り部4b、4cによりその先端側と基端側の二箇所で支持する場合を示しているが、駆動軸2をその先端側又は基端側の一方で支持する場合もある。例えば、仕切り部4bの貫通孔4aを駆動軸2の外径より大きく形成することにより、駆動軸2が仕切り部4cにより先端箇所のみで支持されることとなる。また、仕切り部4cの貫通孔4aを駆動軸2の外径より大きく形成することにより、駆動軸2が仕切り部4bにより基端箇所のみで支持されることとなる。
また、図1では、駆動軸2を支持する仕切り部4b、4cが固定枠4と一体になっている場合について示したが、これらの仕切り部4b、4cは固定枠4と別体のものを固定枠4に取り付けて設けてもよい。別体の場合であっても、一体となっている場合と同様な機能、効果が得られる。
被駆動部材3は、駆動軸2に移動可能に取り付けられている。この被駆動部材3は、駆動軸2に対し摩擦係合されて取り付けられ、駆動軸2の長手方向に沿って移動可能となっている。例えば、被駆動部材3は、板バネ7により駆動軸2に圧接されて所定の摩擦係数で係合しており、一定の押圧力で駆動軸2に押し付けられることによってその移動の際に一定の摩擦力が生ずるように取り付けられている。この摩擦力を超えるように駆動軸2が移動することにより、慣性により被駆動部材3がその位置を維持し、その被駆動部材3に対し相対的に駆動軸2が移動する。
圧電素子1は、支持部材5により固定枠4に取り付けられている。支持部材5は、圧電素子1をその伸縮方向に対して側方から支持して取り付けるものであり、圧電素子1と固定枠4との間に配設されている。この場合、支持部材5により圧電素子1をその伸縮方向と直交する方向から支持することが好ましい。この支持部材5は、圧電素子1を側方から支持して取り付ける取付部材として機能している。
支持部材5は、所定以上の弾性特性を有する弾性体により形成され、例えばシリコーン樹脂により形成される。支持部材5は、固定枠4に取り付けられている。例えば支持部材5は、接着剤22による接着によって固定枠4に固着されている。また、支持部材5と圧電素子1の間の固着も、接着剤による接着により行われる。この支持部材5を弾性体によって構成することにより、圧電素子1をその伸縮方向に移動可能に支持することができる。
なお、ここでは支持部材5をシリコーン樹脂で形成する場合について説明したが、支持部材5をバネ部材により構成してもよい。例えば、固定枠4と圧電素子1の間にバネ部材を配置し、このバネ部材によって圧電素子1を固定枠4に対し支持してもよい。
被駆動部材3には、レンズ枠91を介して移動レンズ90が取り付けられている。移動レンズ90は、カメラの撮影光学系を構成するものであり、駆動装置の移動対象物となるものである。この移動レンズ90は、被駆動部材3と一体的に設けられ、被駆動部材3と共に移動するように設けられている。移動レンズ90の光軸O上には、図示しない固定レンズなどが配設され、カメラの撮影光学系を構成している。また、光軸O上には、撮像素子82が配設されている。撮像素子82は、撮影光学系により結像された画像を電気信号に変換する撮像手段であり、例えばCCDにより構成される。撮像素子82は、制御部81と接続されており、画像信号を制御部81に出力する。
圧電素子1の端部には、錘部材6が取り付けられている。錘部材6は、圧電素子1の伸縮力を駆動軸2側へ伝達させるための部材であって、圧電素子1の駆動軸2が取り付けられる端部と反対側の端部に取り付けられている。錘部材6としては、駆動軸2より重いものが用いられる。また、錘部材6として、弾性変形可能な部材に金属粉を混入させたものを用いることが好ましい。金属粉を混入させることにより重量を大きくすることができ、弾性変形可能な部材を用いることにより圧電素子1の作動時における不要な共振を減衰させることができる。
錘部材6の材質は、圧電素子1及び駆動軸2よりもヤング率の小さい材料のものが用いられる。錘部材6のヤング率としては、1GPa以下が好ましく、300MPa以下がより好ましい。このような錘部材6は、ゴム等の弾性体に比重の大きい金属粉を混ぜ合わせることによって形成され、例えばウレタンゴムやウレタン樹脂にタングステンの粉末を混合することによって製造される。錘部材6の比重は、装置の小型化のためにできるだけ高いことが好ましく、例えば8〜12程度に設定される。また、ウレタンゴムやウレタン樹脂にタングステンの粉末を混合することによって製造される錘部材6のヤング率は60MPa程度、比重は11.7程度となる。したがって、錘部材6を出来るだけ小さい体積で設計する場合は、出来るだけ比重が大きく且つヤング率の小さい組み合わせが最適となるが、錘部材6は駆動軸2の比重より大きく(比重1.8以上)、且つヤング率が1GPa以下のものであれば利用可能である。すなわち、比重をヤング率で除した数値(比重/ヤング率)が1.8×10−9 以上であれば錘部材6として適している。なお、錘部材6と圧電素子1とを固着する接着剤としては、弾性接着剤を用いることが好ましい。
また、錘部材6を軟性部材により構成することにより、圧電素子1、駆動軸2における共振周波数を圧電素子1の駆動周波数に対し十分に小さくすることができ、共振の影響を低減できる。例えば、圧電素子1の駆動周波数をfとし、圧電素子1及び駆動軸2における共振周波数をf0とした場合、f≧21/2・f0の関係を満たすことが好ましい。この場合、圧電素子1の伸縮動作による振動の振動伝達率を1以下の範囲に抑えることができ、共振の影響を低減することができる。周波数の組み合わせとしては、例えば共振周波数f0を70kHz以下とし、駆動周波数fを50〜100kHzとすることにより、上述したf≧21/2・f0の関係を満たすことができる。
また、錘部材6は、固定枠4に対し支持固定されない状態で設けられている。すなわち、錘部材6は、圧電素子1の自由端に取り付けられ、固定枠4に対し直接支持されたり固定されておらず、また接着剤や樹脂材を介して固定枠4に対し動きを拘束されるように支持されたり固定されていない状態で設けられている。
駆動装置には、被駆動部材3の移動位置を検出する検出器83が設けられている。検出器83としては、例えば光学式の検出器が用いられ、フォトリフレクタ、フォトインタラプタなどが用いられる。具体的には、検出器83としてリフレクタ83a、検出部83bを備えたものを用いる場合、被駆動部材3と一体に形成されるレンズ枠91にリフレクタ83aを取り付け、検出部83bからリフレクタ83a側へ検出光を出射し、リフレクタ83a側で反射してくる反射光を検出部83bで検出することにより被駆動部材3及び移動レンズ90の移動位置を検出する。
検出器83は、制御部81に接続されている。検出器83の出力信号は制御部81に入力される。制御部81は、駆動装置全体の制御を行うものであり、例えばCPU、ROM、RAM、入力信号回路、出力信号回路などにより構成される。また、制御部81は、圧電素子1を作動させるための駆動回路を備えており、圧電素子1に対し駆動のための駆動信号を供給して圧電素子1の伸縮制御を行う駆動制御手段として機能する。
図2は、図1のII−IIにおける駆動装置の断面図である。
図2に示すように、圧電素子1には、接続ソケット15が装着されている。接続ソケット15は、圧電素子1に装着可能に構成され、例えば圧電素子1を内部に収容可能な断面コ字型の部材により構成される。接続ソケット15には、接片16、17が取り付けられている。接片16、17は、導電体により構成され、例えば導電性の板体により構成される。
この接片16、17は、接続ソケット15を貫通して取り付けられている。接片16、17は、接続ソケット15が圧電素子1に装着された際に、その接続ソケット15の内部において、圧電素子1の接続端子11a、11bと接触して接続されるように形成されている。例えば、圧電素子1の左右に接続端子11a、11bが設置されている場合、圧電素子1を左右から挟むように接片16、17が配設され、接続端子11aに接片16が接触し、接続端子11bに接片17が接触してそれぞれ接続される。
接続端子11a、11bは、圧電素子1の表面に沿って平面状に形成されている。この接続端子11a、11bに対し、接片16、17が摺動可能に接触して接続されていることが好ましい。例えば、この接続端子11a、11bに向けて接片16、17を凸状に屈曲させ、接続端子11a、11bに接触させることにより、接片16、17と接続端子11a、11bとの接続状態を維持しながら、相互に摺動自在とすることができる。
このように接片16、17と接続端子11a、11bとが互いに摺動可能に接続されることにより、接片16、17の接続が圧電素子1の伸縮動作の支障になることが避けられる。従って、圧電素子1の伸縮特性を低下させることがなく電気的接続が行える。
図3は、図1のIII−IIIにおける駆動装置の断面図である。
図3に示すように、接続ソケット15から外部へ延びた接片16、17は、配線基板18の接続位置まで延出している。すなわち、接続ソケット15が圧電素子1に装着された際に、接片16、17は接続ソケット15の外部で配線基板18の接続位置まで延出するように設けられている。
接片16、17の先端は、配線基板18の接続位置まで延びており、半田付けにより配線基板18に接続されている。また、接片16、17を板体により構成することにより、接片16、17が容易に変形することが防止でき、接片16、17の先端を確実に接続位置に配置することができる。
このように接片16、17を設けることにより、接続ソケット15を圧電素子1に装着することで、接片16、17の先端を配線基板18の接続位置に配置することができる。このため、従来のように、圧電素子1から延びるリード線の先端をピンセットなどで接続位置に誘導する必要がなく、またそのリード線の引き回しに注意する必要がない。従って、接片16、17の接続作業が容易となり、作業効率の向上が図れる。また、接続作業の確実性が向上し、接続ミスの低減が図れる。さらに、従来のように、リード線を接続後にフォーミングするなどの作業が不要となり、作業工程を削減できると共に、そのフォーミングに接続部分が脱落するなどの不具合も回避できる。
図4は、図1のIV−IVにおける被駆動部材3の摩擦係合部分の断面図である。
図4に示すように、被駆動部材3は、板バネ7により駆動軸2に圧接されて摩擦係合している。被駆動部材3にはV字状の溝3aが形成されている。この溝3aには、その表面に沿って摺動板3bが付設されている。摺動板3bは、駆動軸2と摺動する板体であり、溝3aの表面形状に応じて断面V字状に屈曲して設けられている。摺動板3bの被駆動部材3への付設は、例えば接着により行われる。また、被駆動部材3と共に摺動板3bを一体成形して設けてもよい。この摺動板3bは、例えば被駆動部材3より硬質な素材により構成される。
駆動軸2は、溝3a内に配され、摺動板3bに当接して設置されている。この駆動軸2を被駆動部材3との間で挟むように、板バネ7が設けられている。板バネ7は、駆動軸2に対し交差する方向に向けて配設されており、例えば駆動軸2の軸方向と直交する方向に配設される。
板バネ7は、L字状に屈曲して形成されており、駆動軸2と当接する板片71とその板片71に対し屈曲して形成される板片72とを備えている。ここで、L字状とは、板片71、72が90度の垂直になっている場合のみならず、それらのなす角が90±20度程度のほぼL字状になっているものも含むものである。
板片71、72の各端部は、それぞれ被駆動部材3に掛止されている。すなわち、板バネ7の両端はネジ止めなどされておらず、被駆動部材3にそれぞれ掛止されて取り付けられている。板片71の端部は、被駆動部材3に鈎状に形成される掛止部3dに掛止されている。板片72の端部は、被駆動部材3に鈎状に形成される掛止部3eに掛止されている。板片72の端部には、外側に屈曲する鈎部72aが形成されている。鈎部72aは、掛止部3eと係合しており、板片72がその長手方向にすり抜けることが防止されている。
板片71の端部には、外側に突出する突起部71aが形成されている。突起部71aは、板バネ7を被駆動部材3と点接触させるための部位である。この突起部71aは、例えば、図5に示すように、板バネ7の端部の中央部分を長手方向に沿って逆V字状に屈曲させて形成される。
図4に示すように、板バネ7の板片71の中間部分には、逆V字状に屈曲させた摺動部71cが形成されている。摺動部71cは、駆動軸2に当接され、駆動軸2を押圧している。これにより、被駆動部材3と駆動軸2が所定の押圧力で圧接され、所定の摩擦係数で摩擦係合した状態となっている。この摺動部71cは、被駆動部材3の溝3aと対面する位置に形成される。
板バネ7の屈曲部分には、外側へ突出する湾曲部73が形成されている。湾曲部73は、板片71と板片72の屈曲部分に設けられ、板片71と板片72を直角に屈曲した場合と比べてその屈曲外側へ湾曲状に突出させて形成されている。
このように、断面V字状の摺動板3bと断面逆V字状の摺動部71cにより駆動軸2を挟み込むことにより、被駆動部材3が駆動軸2に複数箇所で線接触することになり、駆動軸2に対し安定して摩擦係合させることができる。また、複数箇所の線接触状態により被駆動部材3が駆動軸2に係合しているため、実質的に被駆動部材3が駆動軸2に面接触状態で係合していると同様な係合状態となり、安定した摩擦係合が実現できる。
なお、図4においては摺動板3bが断面V字状とされ摺動部71cが断面逆V字状とされているが、摺動板3b及び摺動部71cを駆動軸2の周面に沿った断面円弧状の板体として構成して、駆動軸2に面接触させてもよい。この場合、被駆動部材3が駆動軸2に面接触状態で係合するため、被駆動部材3を駆動軸2に対しより安定して摩擦係合することができる。
図6は、圧電素子1を作動させる駆動回路の回路図である。
図6に示すように、駆動回路85は、制御部81内に配置されて設けられている。この駆動回路85は、圧電素子1のドライブ回路として機能するものであり、圧電素子1に対し駆動用の電気信号を出力する。駆動回路85は、制御部81の制御信号生成部(図示なし)から制御信号を入力し、その制御信号を電圧増幅又は電流増幅して圧電素子1の駆動用電気信号を出力する。駆動回路85は、例えば入力段を論理回路U1〜U3により構成し、出力段に電界効果型のトランジスタ(FET)Q1、Q2を備えたものが用いられる。トランジスタQ1、Q2は、出力信号として、H出力(高電位出力)、L出力(低電位出力)及びOFF出力(オープン出力)を出力可能に構成されている。
図7に駆動回路85に入力される入力信号、図8に駆動回路85から出力される出力信号を示す。図7(A)は、被駆動部材3を圧電素子1に接近させる方向(図1において右方向)に移動させる際に入力される入力信号であり、図7(B)は、被駆動部材3を圧電素子1から離間させる方向(図1において左方向)に移動させる際に入力される入力信号である。また、図8(A)は、被駆動部材3を圧電素子1に接近させる方向(図1において右方向)に移動させる際に出力される出力信号であり、図8(B)は、被駆動部材3を圧電素子1から離間させる方向(図1において左方向)に移動させる際に出力される出力信号である。
図8(A)、(B)の出力信号は、図7(A)、(B)の入力信号と同一タイミングでオンオフするパルス信号となっている。図8(A)、(B)における二つの信号は、圧電素子1の入力端子11a、11bに入力される。この入力端子11a、11bには、台形波形状の電圧信号を入力してもよいが、図8に示す矩形状のパルス信号を入力して圧電素子1を作動させることができる。この場合、圧電素子1の駆動信号が矩形状のパルス信号でよいため、その信号生成が容易なものとなる。
図8(A)、(B)の出力信号は、同一周波数となる二つの矩形状のパルス信号により構成されている。この二つのパルス信号は、互いの位相を異ならせることにより、互いの信号の電位差が段階的に大きくなり急激に小さくなる信号又は電位差が急激に大きくなって段階的に小さくなる信号となっている。このような二つの信号を入力することにより、圧電素子1の伸長速度と収縮速度を異ならせることができ、被駆動部材3を移動させることができる。
例えば、図8(A)、(B)において、一方の信号がH(ハイ)となりL(ロー)に低下した後に他方の信号がHとなるように設定されている。それらの信号において、一方の信号がLになった際に一定のタイムラグtOFFの経過後、他方の信号がHとなるように設定される。また、二つの信号が両方ともLの場合には、出力としてはオフ状態(オープン状態)とされる。
この図8の(A)、(B)の出力信号、すなわち圧電素子1を作動させる電気信号は、可聴周波数を超える周波数の信号が用いられる。図8(A)、(B)において、二つの信号の周波数は、可聴周波数を超える周波数信号とされ、例えば、30〜80kHzの周波数信号とされ、より好ましくは40〜60kHzとされる。このようは周波数の信号を用いることにより、圧電素子1の可聴領域における作動音を低減することができる。
次に、本実施形態に係る駆動装置の動作について説明する。
図1において、制御部81から出力される駆動信号が圧電素子1に入力され、その駆動信号の入力によって圧電素子1が伸長及び収縮を繰り返す。この伸長及び収縮に応じて駆動軸2が往復運動する。このとき、圧電素子1の伸長速度と収縮速度を異ならせることにより、駆動軸2が一定の方向へ移動する速度とその逆方向へ移動する速度が異なることとなる。これにより、被駆動部材3及び移動レンズ90を所望の方向へ移動させることができる。
その際、圧電素子1に接続ソケット15が装着されているが、図2に示すように、接続ソケット15に取り付けられる接片16、17が摺動可能に圧電素子1の接続端子11a、11bに接触して接続されている。このため、接片16、17の接続が圧電素子1の伸縮動作の支障になることが避けられ、圧電素子1の伸縮特性の低下させることなく、電気的接続が行える。
以上のように、本実施形態に係る駆動装置によれば、圧電素子1に装着可能とした接続ソケット15を備え、その接続ソケット15を圧電素子1に装着した際に接片16、17が圧電素子1の接続端子11a、11bと接続され配線基板18の接続位置まで延出している。このため、接続ソケット15を圧電素子1に装着することで接片16、17が圧電素子1と接続され、配線基板18の接続位置まで延びた接片を半田付けすることにより圧電素子1の接続作業が完了する。従って、圧電素子1の接続作業が容易に行え、製造性が良好なものとなる。
また、接片16、17が配線基板18の接続位置まで延びているので、接片16、17をピンセットなどで把持して接続位置まで誘導する必要がなく、接続作業が容易であり確実に行える。
また、接片16、17を導電性板体により構成することにより、接片16、17が所定以上の剛性を有するため、接片16、17を引き回しに注意する必要がなく、接続後にフォーミングを行う必要がない。従って、接続作業が短時間で行え、作業効率の向上が図れる。
また、接片16、17が圧電素子1の接続端子11a、11bに対し摺動可能に接触して接続されることにより、接片16、17の接続が圧電素子1の伸縮動作の支障になることが避けられる。従って、圧電素子1の伸縮特性を低下させることなく、電気的接続が行える。
また、本実施形態に係る駆動装置をカメラの撮影光学系における構成部品のアクチュエータとして用いることにより、駆動機構を小型に構成でき、カメラの小型化が実現できる。また、携帯電話のカメラの撮影光学系における構成部品のアクチュエータとして用いることにより、駆動機構を小型に構成でき、携帯電話の小型化が実現できる。その他、webカメラなどのアクチュエータとして用いることもできる。
(第二実施形態)
次に本発明の第二実施形態に係る駆動装置について説明する。
図9は、本発明の第二実施形態に係る駆動装置の断面図である。図9に示すように、本実施形態に係る駆動装置は、図1に示す第一実施形態に係る駆動装置とほぼ同様に構成されるものであり、配線基板18が圧電素子1の近傍位置に配置されている点で異なっている。
図9に示すように、配線基板18が圧電素子1の近傍位置まで延びており、接続ソケット15から延び出る接片16、17が配線基板18を貫通している。配線基板18を貫通する接片16、17の先端は、配線基板18の接続位置に配置されている。
図10は、図9のX−Xにおける駆動装置の断面図である。図11は、図9のXI−XIにおける駆動装置の断面図である。
図10に示すように、圧電素子1には、接続ソケット15が装着されている。接続ソケット15は、圧電素子1に装着可能に構成され、例えば圧電素子1を内部に収容可能な断面コ字型の部材により構成される。接続ソケット15には、接片16、17が取り付けられている。接片16、17は、導電体により構成され、例えば導電性の板体により構成される。
この接片16、17は、接続ソケット15を貫通して取り付けられている。接片16、17は、接続ソケット15が圧電素子1に装着された際に、その接続ソケット15の内部において、圧電素子1の接続端子11a、11bと接触して接続されるように形成されている。例えば、圧電素子1の左右に接続端子11a、11bが設置されている場合、圧電素子1を左右から挟むように接片16、17が配設され、接続端子11aに接片16が接触し、接続端子11bに接片17が接触してそれぞれ接続される。
接続端子11a、11bは、圧電素子1の表面に沿って平面状に形成されている。この接続端子11a、11bに対し、接片16、17が摺動可能に接触して接続されていることが好ましい。例えば、この接続端子11a、11bに向けて接片16、17を凸状に屈曲させ、接続端子11a、11bに接触させることにより、接片16、17と接続端子11a、11bとの接続状態を維持しながら、相互に摺動自在とすることができる。
このように接片16、17と接続端子11a、11bとが互いに摺動可能に接続されることにより、接片16、17の接続が圧電素子1の伸縮動作の支障になることが避けられる。従って、圧電素子1の伸縮特性を低下させることがなく電気的接続が行える。
図11に示すように、接続ソケット15から外部へ延びた接片16、17は、配線基板18の接続位置まで延出している。すなわち、接片16、17は、配線基板18を貫通して配され、その貫通した位置が配線基板18の接続位置となっている。接片16、17の先端は、配線基板18に半田付けにより接続されている。
このように接片16、17を設けることにより、接片16、17の先端を配線基板18の接続位置に配置して接続することできる。このため、従来のように、圧電素子1から延びるリード線の先端をピンセットなどで接続位置に誘導する必要がなく、またそのリード線の引き回しに注意する必要がない。従って、接片16、17の接続作業が容易となり、作業効率の向上が図れる。また、接続作業の確実性が向上し、接続ミスの低減が図れる。さらに、従来のように、リード線を接続後にフォーミングするなどの作業が不要となり、作業工程を削減できると共に、そのフォーミングに接続部分が脱落するなどの不具合も回避できる。
以上のように、本実施形態に係る駆動装置によれば、第一実施形態に係る駆動装置と同様な作用効果が得られる。すなわち、接続ソケット15を圧電素子1に装着することで接片16、17が圧電素子1と接続され、配線基板18の接続位置まで延びた接片を半田付けすることにより圧電素子1の接続作業が完了する。従って、圧電素子1の接続作業が容易に行え、製造性が良好なものとなる。
また、接片16、17が配線基板18の接続位置まで延びているので、接片16、17をピンセットなどで把持して接続位置まで誘導する必要がなく、接続作業が容易であり確実に行える。
また、接片16、17を導電性板体により構成することにより、接片16、17が所定以上の剛性を有するため、接片16、17を引き回しに注意する必要がなく、接続後にフォーミングを行う必要がない。従って、接続作業が短時間で行え、作業効率の向上が図れる。
また、接片16、17が圧電素子1の接続端子11a、11bに対し摺動可能に接触して接続されることにより、接片16、17の接続が圧電素子1の伸縮動作の支障になることが避けられる。従って、圧電素子1の伸縮特性を低下させることなく、電気的接続が行える。
また、本実施形態に係る駆動装置をカメラの撮影光学系における構成部品のアクチュエータとして用いることにより、駆動機構を小型に構成でき、カメラの小型化が実現できる。また、携帯電話のカメラの撮影光学系における構成部品のアクチュエータとして用いることにより、駆動機構を小型に構成でき、携帯電話の小型化が実現できる。その他、webカメラなどのアクチュエータとして用いることもできる。
なお、上述した各実施形態は本発明に係る駆動装置の一例を示すものである。本発明に係る駆動装置は、これらの実施形態に係る駆動装置に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、実施形態に係る駆動装置を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
例えば、本実施形態では、移動レンズを駆動する駆動装置に適用した装置について説明したが、移動レンズ以外の物を駆動する駆動装置に適用してもよい。
また、本実施形態では、圧電素子1を支持部材5を介し固定枠4に取り付けて圧電素子1の端部を自由端にした場合について説明したが、圧電素子1の端部を直接固定枠4に取り付けるものであってもよい。