JP2007253899A - 車両用点灯装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】小排気量の車両であっても、確実にヘッドライトランプの点灯を継続させる。
【解決手段】車両の通常走行時には、HIDバラスト15によってHIDランプ18が点灯する。車両のアイドリング時には、HIDバラスト15の入力電圧が低下する。入力電圧の低下はHIDバラスト15内の制御回路によって検出される。この場合には、制御回路は、HIDバラスト15の出力を停止させてHIDランプ18を消灯させると共に、リレー21のスイッチ部RSをオンにして、交流発電機11からの交流電圧を補助灯20に供給する。これにより、アイドリング時には、HIDランプ18に代えて補助灯20が点灯する。こうして、交流発電機11の出力が低下する場合でも、確実にヘッドライトランプの点灯を維持することができる。
【選択図】図1
【解決手段】車両の通常走行時には、HIDバラスト15によってHIDランプ18が点灯する。車両のアイドリング時には、HIDバラスト15の入力電圧が低下する。入力電圧の低下はHIDバラスト15内の制御回路によって検出される。この場合には、制御回路は、HIDバラスト15の出力を停止させてHIDランプ18を消灯させると共に、リレー21のスイッチ部RSをオンにして、交流発電機11からの交流電圧を補助灯20に供給する。これにより、アイドリング時には、HIDランプ18に代えて補助灯20が点灯する。こうして、交流発電機11の出力が低下する場合でも、確実にヘッドライトランプの点灯を維持することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、小排気量の車両に好適な車両用点灯装置に関する。
従来、オートバイや原動機付き自転車等のヘッドライトランプとしては、ハロゲンランプが多用されている。車両に搭載されているオルタネータからの交流電圧を用いてハロゲンランプの点灯が行われる。また近年、高効率で高輝度であることから、メタルハライドランプ等のHID(High Intensity Discharge)ランプがヘッドライトランプとして採用されるようになってきた。なお、特許文献1には、HIDランプを用いた自動車用ヘッドライト装置についての技術が開示されている。
ところで、車両用の発電機としては、高効率である等の理由から、オルタネーターが採用されている。HIDランプの点灯には高圧パルスを発生するイグナイタ回路が必要である。イグナイタ回路は、バラストを介して直流電圧が供給されて、HIDランプを始動させるための高圧パルスを発生する。車両においては、バッテリからの直流電圧がバラストに供給されるようになっている。なお、バッテリを搭載していない車両については、オルタネーターの出力は、整流・平滑回路によって直流電圧に変換された後にバラストに供給される。
特開2003−151787号公報
しかしながら、小排気量のオートバイや原動機付き自転車においては、バッテリの容量及びオルタネーターの発電容量は、比較的小さい。また、車両用の交流発電機においては、エンジンの回転を利用して発電が行われる。このため、エンジンのアイドリング時等においては、バッテリの出力電圧がHIDランプの点灯に必要な電圧以下に低下することがある。また、交流発電機の出力はエンジンの回転数に比例し、発生する交流電圧の周波数は不安定である。
従って、従来の車両用点灯装置においては、小排気量の車両のヘッドライトランプとしてHIDランプを採用した場合には、アイドリング時においてもヘッドライトランプを点灯させておくために、必要以上に、大容量のバッテリ及びオルタネーターを車両に搭載するか、アイドリング時において、エンジンを必要以上に高回転にする必要があるという問題点があった。
本発明は、ヘッドライトランプとしてHIDランプ及び補助灯を採用し、HIDランプと補助灯とを切換えて点灯させることにより、アイドリング時等においても、ヘッドライトランプによる照明を継続させることができる車両用点灯装置を提供することを目的とする。
本発明に係る車両用点灯装置は、車両のエンジンの回転を利用して発電を行う発電機からの電圧に基づく直流電圧が供給され、高輝度放電灯を点灯させるための交流電圧を発生する点灯手段と、前記高輝度放電灯よりも低い電圧で点灯する補助灯に、前記発電機からの電圧を供給するための電源ラインと、前記点灯手段に供給される直流電圧の値を検出する処理と、前記高輝度放電灯が点灯しているか否かを検出する処理との少なくとも一方の処理を行う検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記点灯手段を動作させると共に前記電源ラインを介した前記補助灯への電圧供給を停止させるか、又は、前記点灯手段の動作を停止させると共に前記電源ラインを介した前記補助灯への電圧供給を許可する制御手段とを具備したことを特徴とする。
本発明においては、点灯手段には、車両のエンジンの回転によって発電を行う発電機からの電圧に基づく直流電圧が供給される。点灯手段は、入力された直流電圧を用いて、高輝度放電灯を点灯させるための交流電圧を発生する。また、発電機からの電圧は、電源ラインを介して補助灯にも供給可能である。検出手段は、点灯手段に供給される直流電圧の値を検出するか、高輝度放電灯が点灯しているか否かを検出する。検出手段の検出結果によって、高輝度放電灯が立ち消えたこと又は立ち消えが生じる可能性を判断することができる。制御手段は、放電灯に立ち消えが生じたこと又は立ち消えが生じる可能性がある場合には、点灯手段の動作を停止させると共に電源ラインを介した補助灯への電圧供給を許可する。なお、高輝度放電灯は、交流点灯方式及び直流点灯方式のいずれであってもよい。
本発明によれば、ヘッドライトランプとしてHIDランプ及び補助灯を採用し、HIDランプと補助灯とを切換えて点灯させることにより、アイドリング時等においても、ヘッドライトランプによる照明を継続させることができるという効果を有する。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る車両用点灯装置を示す回路図である。また、図2は図1中のHIDバラスト15の具体的な構成を示すブロック図である。本実施の形態は、ランプとして高輝度放電灯であるHIDランプを採用した例を説明する。
図1の車両点灯装置は、車両に搭載されて、例えば車両のヘッドライトランプを点灯させるためのものである。図3は図1の車両点灯装置が搭載される小排気量の車両の一例である原動機付自転車の概観を示す説明図である。
図3に示すように、原動機付自転車1には、ヘッドライトランプ2が設けられると共に、このヘッドライトランプ2を点灯させるために、車両用点灯装置及び交流発電機3が設けられている。また、原動機付自転車1等の小排気量の車両においても、図3に示すように、バッテリ4が搭載される場合がある。本実施の形態は、バッテリが搭載されている車両及びバッテリが搭載されていない車両のいずれにも適用可能である。
図1は、図3中の車両用点灯装置及び交流発電機3の具体的な構成を示している。交流発電機11は、小排気量の車両に搭載されたものである。交流発電機11は、例えばエンジンの回転力を利用して発電する。交流発電機11が発生した交流電圧は、ヒューズ13を介して整流回路14に供給される。なお、交流発電機11の出力端には、電圧リミッタ12が接続されており、電圧リミッタ12は、交流発電機11の出力端が異常な高電圧になることを防止するようになっている。
整流回路14は、ダイオードブリッジ回路による整流部とコンデンサによる平滑部とによって構成される。ダイオードブリッジ回路の入力端には、交流発電機11からの交流電圧が供給され、出力端には整流出力が現れる。整流部の出力端にはコンデンサが並列接続されており、コンデンサは整流出力を平滑する。コンデンサの端子電圧が整流回路14からの直流電圧としてHIDバラスト15に与えられるようになっている。
HIDバラスト15は、イグナイタ回路を内蔵しており、出力端にHIDランプを点灯させるための交流電圧を発生するようになっている。HIDバラスト15の出力端は配線16を介してソケット17に接続されている。ソケット17には、HIDランプ18が装着されるようになっている。
本実施の形態においては、HIDランプ18はヘッドランプ灯具19内に設けられており、このヘッドランプ灯具19内には、補助灯20も配置されている。補助灯20には、交流発電機3が発生した交流電圧が、電源ライン上のヒューズ13及びリレー21を介して供給されるようになっている。なお、ヘッドランプ灯具19、HIDランプ18及び補助灯20によって、図1のヘッドライトランプ2が構成される。補助灯20としては、例えば、ハロゲンランプのように、比較的低い交流電圧で正常に点灯するものが採用される。また、補助灯20として、LEDランプを採用することもできる。
リレー21は、HIDバラスト15の制御出力端と電源ラインとの間に接続されたコイル部RLと、交流発電機3から補助灯20までの電源ライン上に設けられたスイッチ部RSとによって構成される。スイッチ部RSは、コイル部RLの通電の有無に応じて、オン・オフする。即ち、リレー21は、HIDバラスト15の制御出力端のレベルに応じて、スイッチ部RSがオン,オフ制御されるようになっている。なお、リレー21に代えて、半導体スイッチ等を採用してもよい。
図2は図1中のHIDバラスト15の具体的な構成を示すブロック図である。
図2では、HIDバラスト15の入力端側を、直流電源30、ヒューズ13及びスイッチ31によって表している。直流電源30は、図1の交流発電機11、電圧リミッタ12及び整流回路14に相当する。スイッチ31は、ヘッドライトランプの点灯のオン,オフを制御するためのものである。
直流電源30(整流回路14)からの直流電圧は、HIDバラスト15の入力端子32に供給される。入力端子32は正極性の電源ラインに接続され、入力端子33は基準電位点に接続される。入力端子32,33相互間の直流電圧が、スイッチングレギュレータ34に供給されるようになっている。スイッチングレギュレータ34は、入力端子32,33相互間に、ノイズフィルタとして機能するコンデンサC1が接続されている。コンデンサC1の両端には、出力トランスTの1次巻線及びトランジスタQ1のドレイン・ソース路が直列接続されている。出力トランスTの2次巻線には、ダイオードDと平滑コンデンサC2との直列回路が接続される。
トランジスタQ1は、後述するドライバ回路46からスイッチング信号が与えられてオン,オフする。これにより、出力トランスTの1次巻線に流れる電流が断続される。トランスTの2次巻線に接続されたダイオードDが順バイアスになると、トランスTに蓄積されたエネルギが放出される。これにより、2次巻線に出力が発生し、平滑コンデンサC2の両端には、平滑された直流電圧が現れる。
平滑コンデンサC2の両端の直流電圧は、フルブリッジ回路35に供給される。なお、コンデンサC2の両端には、コンデンサC2の両端電圧を検出するための抵抗R1,R2の直列回路が接続されている。抵抗R1,R2の接続点の電圧が後述するランプ電圧検出回路42に供給されるようになっている。なお、抵抗R1,R2の接続点には、HIDランプ18のランプ電圧に比例した電圧が現れる。また、コンデンサC2の基準電位点側の一端とフルブリッジ回路35との間には、電流検出用の抵抗R3が接続されている。
スイッチングレギュレータ34は、トランジスタQ1のゲートに入力されるスイッチング信号をPWM制御することによって、入力された直流電圧を所定の電圧に昇圧して、フルブリッジ回路35に供給することができるようになっている。
フルブリッジ回路35は、入力された直流電圧を交流電圧に変換するインバータ回路を構成する。フルブリッジ回路35としては、一般的な構成を採用することができ、例えば、矩形波を発振する発振回路及び矩形波によってオン,オフされる4個のスイッチング素子を有して構成される。これにより、フルブリッジ回路35は、入力直流電圧から矩形波交流電圧を発生する。フルブリッジ回路35の出力はイグナイタ回路36に与えられる。
イグナイタ回路36は、HIDランプ18の始動時において、高圧パルスを発生するようになっている。イグナイタ回路36の出力は端子37,38を介してHIDランプ18に供給される。HIDランプ18はイグナイタ回路36からの高圧パルスによって点灯を開始する。HIDランプ18が点灯すると、抵抗R1,R2によってランプ電圧が検出され、抵抗R3によってランプ電流が検出される。検出されたランプ電圧及びランプ電流に基づいてスイッチング用のトランジスタQ1を制御することで、安定したランプ点灯が可能である。
抵抗R1,R2によって検出された電圧及び抵抗R3によって検出された電流は、点灯制御部41に供給されるようになっている。点灯制御部41には、ランプ電圧検出回路42及びランプ電流検出回路43が設けられている。ランプ電圧検出回路42は、抵抗R1,R2の接続点の電圧が与えられて、ランプ電圧を検出する。また、ランプ電流検出回路43は、抵抗R3に流れる電流が与えられて、ランプ電流を検出する。
ランプ電圧検出回路42が検出したランプ電圧の値及びランプ電流検出回路43が検出したランプ電流の値は、適正電力演算回路44に与えられる。適正電力演算回路44は、検出されたランプ電圧及びランプ電流に基づいて、演算によりHIDランプ18に実際に供給されている実供給ランプ電力を求める。適正電力演算回路44は、制御回路44からHIDランプ18に供給すべき目標のランプ電力が与えられ、この目標ランプ電力と演算によって求めた実供給ランプ電力との差に基づく制御信号をPWM変換回路45に供給するようになっている。
PWM変換回路45は、入力された制御信号に基づいて、スイッチング用のトランジスタQ1に与えるスイッチング信号のPWM制御を行う。即ち、PWM変換回路45は、目標ランプ電力と実供給ランプ電力とを一致させるように、スイッチング信号のパルス幅を変更する指示をドライバ回路46に与える。ドライバ回路46は、PWM変換回路45によって指示されるPWM値に従ってスイッチング信号のパルス幅を変更して、トランジスタQ1のゲートに供給するようになっている。
本実施の形態においては、点灯制御部41の入力電圧検出回路48には、スイッチングレギュレータ34のコンデンサC1の端子電圧が供給されるようになっている。入力電圧検出回路48は、コンデンサC1の端子電圧、即ち、交流発電機11及び整流回路14によって発生した直流電圧の電圧値を検出する。なお、車両にバッテリが内蔵されて、バッテリからの直流電圧がスイッチングレギュレータ34に供給される場合には、入力電圧検出回路48はバッテリの出力電圧を検出することになる。
入力電圧検出回路48の検出値は、制御回路49に与えられる。また、制御回路49には、ランプ電圧検出回路42が検出したランプ電圧の値及びランプ電流検出回路43が検出したランプ電流の値も与えられるようになっている。
制御回路49は、これらの検出された入力電圧、ランプ電圧及びランプ電流の少なくとも1つの値に基づいて、リレー21を制御するための切換制御信号を発生して、制御出力端50を介して出力するようになっている。この切換制御信号は、リレー21に供給される。即ち、制御回路49は、検出された各値から、HIDランプ18が点灯しなくなったこと、あるいは、HIDランプ18が消灯しそうであること、あるいは、HIDランプ18の点灯に異常があることを検出するようになっている。
例えば、制御回路49は、入力電圧検出回路48によって検出された入力電圧が、所定の電圧値以上である場合には、制御出力端50に出力する切換制御信号としてハイレベル(以下、“H”という)の信号を出力し、入力電圧検出回路48によって検出された入力電圧が、所定の電圧値よりも低くなると、ローレベル(以下、“L”という)の切換制御信号を出力する。つまり、制御回路49は、入力電圧がHIDランプ18を点灯させるために必要な電圧値であれば切換制御信号を“H”とし、入力電圧がHIDランプ18を点灯させるために必要な電圧よりも小さい場合には切換制御信号を“L”とする。この場合には、リレー21は、“H”の切換制御信号が与えられるとスイッチ部RSをオフにし、“L”の切換制御信号が与えられるとスイッチ部RSをオンにするようになっている。
また、例えば、制御回路49は、ランプ電流の電流値から、HIDランプ18の立ち消えを検出して、切換制御信号を発生してもよい。この場合には、制御回路49はランプ電流が所定の閾値以下に低下すると、HIDランプ18が立ち消えたものとして、“H”の切換制御信号を“L”の切換制御信号に変更して出力する。
また、HIDランプ18は、一定電力が供給されることで、点灯を維持する。従って、例えば、入力電圧が低下すると、ランプ電流が増大する。この特性を用いることにより、制御回路49は、ランプ電流の電流値から、入力電圧が所定の閾値以下に低下したことを判断することも可能である。
また、制御回路49は、検出したランプ電圧に基づいて、HIDランプ18の立ち消えを検出しても良い。例えば、定格85VのHIDランプにおいて、HIDバラスト15が動作中に消灯すると、ランプ電圧は400V程度まで上昇する。そこで、制御回路49は、ランプ電圧が例えば130Vを超えた場合に、HIDランプ18が消灯するものとして、“H”の切換制御信号を“L”の切換制御信号に変更して出力する。
リレー21は、切換制御信号が例えば“L”になることによってスイッチ部RSをオンにし、交流発電機11からの交流電圧を、補助灯20に供給するようになっている。なお、リレー21は、切換制御信号が“H”の場合に、スイッチ部RSをオンにする設定も可能である。しかし、通常、点灯制御部41は、コンデンサC1の端子電圧を分圧することで、各回路に必要な電力を得ている。このため、入力電圧が低下すると、点灯制御部41が動作不能となり、切換制御信号が“L”となることが考えられる。このような場合においても、リレー21を正常に動作させるために、切換制御信号が“L”の場合に、スイッチ部RSをオンにするように設定した方がよい。
なお、制御回路49は、切換制御信号を“H”から“L”に変化させる場合と切換制御信号を“L”から“H”に変化させる場合とで、判定動作にヒステリシス特性を持たせてもよい。例えば、入力電圧の低下に伴って切換制御信号を変化させる場合において、入力電圧が第1の閾値よりも低くなることを判定条件とするものとした場合に、入力電圧の上昇に伴って切換制御信号を変化させるときには、入力電圧が第1の閾値よりも高い第2の閾値を超えることを判定条件とするのである。
例えば、第1の閾値電圧を7Vに設定し、第2の閾値電圧を10Vに設定するのである。例えば、入力電圧が12Vから低下して7Vになると、制御回路49は切換制御信号を“L”に変化させる。逆に、第1の閾値よりも低い入力電圧が上昇する場合には、入力電圧が10Vを超えることによって、切換制御信号を“H”に変化させる。これにより、入力電圧が7V近傍で増減する場合でも、切換制御信号が頻繁に変化することを防止することができる。
また、本実施の形態においては、制御回路49は、リレー21のスイッチ部RSをオンにさせる切換制御信号を出力する場合には、適正電力演算回路44を制御して、スイッチング用のトランジスタQ1のオン,オフ動作を停止させて、HIDランプ18への電力供給を停止させるようになっている。逆に、制御回路49は、リレー21のスイッチ部RSをオンからオフに変化させる切換制御信号を出力する場合には、適正電力演算回路44を制御して、HIDランプ18への電力供給を再開させるようになっている。
次に、このように構成された実施の形態の動作について説明する。
先ず、通常時、即ち、車両走行時の動作について説明する。交流発電機11は、エンジンの回転力を用いて交流電圧を発生する。この交流電圧は、整流回路14によって直流電圧に変換される。運転者がヘッドライトランプ2を点灯させるためにスイッチ31をオンにする。これにより、整流回路14からの直流電圧は、スイッチ31を介してスイッチングレギュレータ34に供給される。
PWM変換回路45は、適正電力演算回路44に制御されて、PWM制御のための初期値を設定する。ドライバ回路46は、初期値のPWM値に応じたスイッチング信号をトランジスタQ1に出力する。これにより、トランジスタQ1はオン,オフし、トランスTの2次巻線には、トランスTの巻数比に応じたレベルの出力が現れる。この出力は、コンデンサC2によって平滑され、コンデンサC2の両端に直流電圧が発生する。この直流電圧は、フルブリッジ回路35に供給され、矩形波電圧に変換される。
フルブリッジ回路35からの矩形波電圧は、イグナイタ回路36を介してHIDランプ18に供給される。HIDランプ18の始動時には、イグナイタ回路36から高圧パルスが発生して、HIDランプ18の始動が行われる。
HIDランプ18は、始動後にアーク放電に転移して点灯する。HIDランプ18が点灯すると、スイッチングレギュレータ34からの直流出力電圧は、略ランプ電圧まで低下する。抵抗R1,R2の接続点の電圧は、ランプ電圧検出回路42によって検出される。制御回路49は、ランプ電圧検出回路42の検出結果によって、HIDランプ18が点灯したことを把握することができる。
また、抵抗R3に流れる電流は、ランプ電流検出回路43に与えられる。ランプ電流検出回路43は、ランプ電流を検出して、検出結果を制御回路49及び適正電力演算回路44に出力する。適正電力演算回路44は、ランプ電圧及びランプ電流の検出結果から実供給ランプ電力を算出する。適正電力演算回路44は、実供給ランプ電力と目標ランプ電力との差をPWM変換回路45に与える。これにより、PWM変換回路45は、スイッチング信号のPWM値を、実供給ランプ電力と目標ランプ電との差が0となるように変更する。ドライバ回路46は、設定されたPWM値のスイッチング信号をトランジスタQ1に供給する
以後、実供給ランプ電力が目標ランプ電力に一致するように、トランジスタQ1が制御されて、HIDランプ18は目標とする一定電力が与えられて点灯を続ける。
以後、実供給ランプ電力が目標ランプ電力に一致するように、トランジスタQ1が制御されて、HIDランプ18は目標とする一定電力が与えられて点灯を続ける。
なお、通常走行時には、制御回路49は、制御出力端を介して“H”の切換制御信号を出力する。リレー21は、コイル部RLに“H”の切換制御信号が与えられて、スイッチ部RSがオフとなるように動作する。従って、補助灯20には、電力が供給されず、補助灯20は消灯したままである。
このように、通常走行時においては、ヘッドライトランプ2のうち、HIDランプ18のみが点灯する。
ここで、車両が一時停止し、エンジンがアイドリング状態になるものとする。この場合には、交流発電機11の出力電圧が低下することがある。入力電圧検出回路48は、コンデンサC1の端子電圧(入力電圧)を検出して、検出結果を制御回路49に出力している。エンジンがアイドリング状態になると、入力電圧が低下する。いま、通常走行時に例えば約12Vの入力電圧が入力されているものとし、入力電圧が7Vよりも低くなるとHIDランプ18が立ち消える虞が生じるものとする。この場合には、第1の閾値として例えば7Vを設定する。制御回路49は、入力電圧が第1の閾値よりも低くなると、HIDランプ18に立ち消えが生じるものとして、HIDランプ18を消灯させる。即ち、制御回路49は、適正電力演算回路44を制御して、トランジスタQ1のオン,オフを停止させる。これにより、フルブリッジ回路35への直流電圧の供給が停止して、HIDランプ18は消灯する。
この制御と同時に、制御回路49は、制御出力端への切換制御信号を“H”から“L”に変化させる。これにより、リレー21は、スイッチ部RSがオンとなる。そうすると、交流発電機11からの交流電圧がスイッチ部RSを介して補助灯20に供給され、補助灯20は点灯を開始する。図4はこの場合における配線状態を簡略化して示すものである。図4に示すように、補助灯20はヒューズ13を介して交流発電機11に接続される。これにより、交流発電機11からの交流電圧が補助灯20に供給されて補助灯20が点灯する。
即ち、車両が停止して、入力電圧が第1の閾値よりも低下すると、ヘッドライトランプ2は、補助灯20のみが点灯し、HIDランプ18は消灯する。これにより、入力電圧が比較的低下した場合でも、ヘッドライトランプ2の点灯状態を確実に維持することができる。
このように、アイドリング時においては、ヘッドライトランプ2のうち、補助灯20のみが点灯する。
なお、入力電圧が低下したにも拘わらずHIDランプ18が点灯を続けた場合には、HIDバラスト15の入力電流が大きくなる。本実施の形態においては、入力電圧が第1の閾値よりも低下すると、強制的にHIDランプ18を消灯させており、異常なランプ電流が流れることを防止することができる。
また、車両停止時においても、アクセルが開かれてエンジン回転数が多少増加することがある。この場合には、入力電圧が第1の閾値電圧よりも高くなり、すぐに第1の閾値電圧以下に戻ることがある。この場合でも、第1の閾値電圧よりも高い第2の閾値電圧を設定し、制御回路49において、入力電圧が第1の閾値電圧よりも低い場合には、第2の閾値を超えるまでは、切換制御信号を変化させないようにする。これにより、アイドリング時に一瞬エンジン回転数が高くなった場合等において、HIDランプ18及び補助灯20の点灯・消灯が短時間で繰り返されることを防止することができる。
次に、車両が停止状態から走行状態に移行するものとする。即ち、エンジンはアイドリング状態から、高回転状態に移行する。そうすると、交流発電機11からの交流電圧が上昇する。上記第2の閾値として、10Vが設定されているものとする。この場合には、入力電圧が10Vになると、制御回路49は、切換制御信号を“L”から“H”に変化させる。そうすると、リレー21のスイッチ部RSはオフとなり、補助灯20への交流電圧の供給は停止して、補助灯20は消灯する。
一方、制御回路49は、適正電力演算回路44を制御して、トランジスタQ1のオン,オフを再開させる。これにより、フルブリッジ回路35への直流電圧の供給が再開され、フルブリッジ回路35において発生した矩形波電圧が、イグナイタ回路36を介してHIDランプ18に供給される。こうして、再度HIDランプ18が点灯する。
なお、制御回路49が入力電圧を検出して、点灯させるランプを切換える例について説明したが、ランプ電圧又はランプ電流の検出結果に基づいて制御を行ってもよい。即ち、制御回路49は、ランプ電圧が所定の電圧以下になるとHIDランプ18を消灯させて補助灯20を点灯させるようにしてもよい。また、制御回路49は、ランプ電流が所定の閾値以上に流れるとHIDランプ18を消灯させて補助灯20を点灯させるようにしてもよい。
このように本実施の形態においては、入力電圧、ランプ電圧及びランプ電流の少なくとも1つを検出して、ランプに立ち消えが生じる虞がある場合を判定し、この場合には、HIDランプに代えて比較的低い交流電圧で点灯する補助灯を点灯させるようになっている。これにより、小排気量の車両において、発電した電圧が低い場合でも、ヘッドライトランプの点灯を継続させることができる。なお、ランプに立ち消えが生じる虞ではなく、実際にランプが立ち消えたことを検出して、補助灯への切換えを行うようにしてもよい。
なお、補助灯としては、整流回路からの直流電圧で点灯するものを採用してもよい。補助灯としては、HIDバラストの動作可能電圧よりも低い電圧で駆動可能なランプであればよく、電球だけでなく、例えば白色LED等を採用してもよい。
図5は本発明の第2の実施の形態を示す回路図である。図5において図1と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
本実施の形態は交流発電機として3相交流発電機50を採用した例を示している。3相交流発電機50は3相交流電圧を発生する。本実施の形態においても、エンジンの回転に基づく交流電圧が発生する。3相交流発電機50からの交流電圧は、整流回路51に供給される。
整流回路51は、2つのダイオードによる直列回路が3つ並列接続されて構成されている。3相交流電圧は、各直列回路を構成するダイオード同士の接続点に供給される。整流回路は2つのダイオードの直列回路に並列に平滑コンデンサが設けられており、平滑コンデンサの両端には、直流電圧が現れる。この直流電圧がヒューズ53を介してHIDバラスト15に供給されるようになっている。
また、交流発電機50のうちの2本の出力線から単相交流電圧が、ヒューズ52及びリレー21のスイッチ部RSを介して補助灯20に供給されるようになっている。また、これらの2本の出力線相互間には、電圧リミッタ12が設けられる。
このように構成された実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の動作が行われる。即ち、交流発電機50の出力電圧が所定の閾値よりも大きい場合には、リレー21のスイッチ部RSはオフであり、HIDバラスト15によって、HIDランプ18が点灯する。交流発電機50の出力電圧が所定の閾値よりも小さくなると、HIDバラスト15の矩形波出力が停止して、HIDランプ18は消灯する。これと同時に、リレー21のスイッチ部RSがオンとなり、3相交流発電機50からの単相交流電圧がリレー21のスイッチ部RSを介して補助灯20に供給され、補助灯20が点灯する。
他の作用及び効果は第1の実施の形態と同様である。
11…交流発電機、14…整流回路、15…HIDバラスト、18…HIDランプ、20…補助灯、21…リレー。
Claims (4)
- 車両のエンジンの回転を利用して発電を行う発電機からの電圧に基づく直流電圧が供給され、高輝度放電灯を点灯させるための交流電圧を発生する点灯手段と、
前記高輝度放電灯よりも低い電圧で点灯する補助灯に、前記発電機からの電圧を供給するための電源ラインと、
前記点灯手段に供給される直流電圧の値を検出する処理と、前記高輝度放電灯が点灯しているか否かを検出する処理との少なくとも一方の処理を行う検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記点灯手段を動作させると共に前記電源ラインを介した前記補助灯への電圧供給を停止させるか、又は、前記点灯手段の動作を停止させると共に前記電源ラインを介した前記補助灯への電圧供給を許可する制御手段と
を具備したことを特徴とする車両用点灯装置。 - 前記制御手段は、前記検出手段によって、前記点灯手段に供給される直流電圧が第1の閾値よりも低くなったことが検出された場合に、前記点灯手段の動作を停止させると共に前記電源ラインを介した前記補助灯への電圧供給を許可することを特徴とする請求項1に記載の車両用点灯装置。
- 前記制御手段は、前記検出手段によって、前記点灯手段に供給される直流電圧が、前記第1の閾値よりも相対的に高い第2の閾値よりも高くなったことが検出された場合に、前記点灯手段の動作を再開させると共に、前記電源ラインを介した前記補助灯への電圧供給を停止することを特徴とする請求項1又は2のいずれか一方に記載の車両用点灯装置。
- 前記制御手段は、前記検出手段によって、前記高輝度放電灯のランプ電圧が所定の電圧値よりも低くなったこと、又は前記高輝度放電灯のランプ電流が所定の電流値よりも大きくなったことが検出された場合に、前記高輝度放電灯が点灯していないと判断し、前記点灯手段の動作を停止させると共に前記電源ラインを介した前記補助灯への電圧供給を許可することを特徴とする請求項1に記載の車両用点灯装置。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN102529797A (zh) * | 2011-12-31 | 2012-07-04 | 重庆长安汽车股份有限公司 | 基于远近光一体的氙气前大灯的超车控制***及控制方法 |
JP2013033644A (ja) * | 2011-08-02 | 2013-02-14 | Panasonic Corp | Led駆動装置及びそれを用いた照明装置 |
CN106183961A (zh) * | 2015-05-26 | 2016-12-07 | 法雷奥照明公司 | 用于车辆的照明和/或信号指示发光装置 |
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2006
- 2006-03-24 JP JP2006083968A patent/JP2007253899A/ja active Pending
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