JP2007251056A - 圧電アクチュエータの製造方法、液体吐出ヘッドの製造方法、画像形成装置の製造方法、圧電アクチュエータ構造体、液体吐出ヘッドおよび画像形装置 - Google Patents

圧電アクチュエータの製造方法、液体吐出ヘッドの製造方法、画像形成装置の製造方法、圧電アクチュエータ構造体、液体吐出ヘッドおよび画像形装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 複数の圧電体を容易に形成できること。
【解決手段】 基板上に圧電体膜を成膜する工程(S8)と、圧電体膜のうちで使用部分以外の除去すべき除去部分に対して、除去性を高める特性変化を与える工程(S12)と、圧電体膜のうちで除去部分のみを除去する工程(S14)とを備えた。または、基板上で圧電体を形成しない領域に、圧電体よりも線膨張係数が小さい下地膜を成膜する工程と、圧電体膜を成膜する工程と、圧電体膜のうちで下地膜上に位置する剥離部分のみを剥離する工程を備えた。または、基板上に圧電体膜を成膜する工程と、圧電体膜のうちで使用部分以外の中間部分に対して、ヤング率を低下させる特性変化を与える工程とを備えた。
【選択図】 図3

Description

本発明は、複数の圧電体を容易に形成できる圧電アクチュエータの製造方法、液体吐出ヘッドの製造方法、画像形成装置の製造方法、圧電アクチュエータ構造体、液体吐出ヘッドおよび画像形装置に関する。
圧電アクチュエータを用いた液体吐出ヘッドが知られている。具体的には、ノズルに連通する圧力室の一壁面を構成する振動板に、圧電体および電極を形成して、圧電アクチュエータを得る。この圧電アクチュエータの電極に駆動電圧を印加して圧電体を変位(変形)させると、液体を収容している圧力室の圧力が変動して、ノズルから液体が吐出する。
このような圧電アクチュエータを製造する場合、圧電体の変位効率の観点から、一般に、振動板上に成膜した一枚の圧電体膜を、各圧力室ごとに物理的に分離する。すなわち、複数の圧電体同士が、空間を挟んで切り離されている構造とする。このような圧電体膜の物理的な分離の手法としては、溶液を用いたウェットエッチング、ガスを用いたドライエッチング(以上は半導体的手法である)、ダイシング、サンドブラスト(以上は機械的手法である)などが挙げられる。
例えば、特許文献1には、エッチングにより圧電体膜を物理的に分離する一般的な半導体手法が記載されている。特許文献2にも、要するに、エッチングにより圧電体膜を物理的に分離することが記載されている。
圧電体膜の成膜の時点から物理的な分離構造を作り込む手法としては、スクリーン印刷が挙げられる。
また、特許文献3には、レジストパターン上でレジストが存在する領域およびレジストが存在しない領域の両領域に圧電体膜を形成した後に、レジストを除去することによって、レジストが存在しない領域のみに選択的に圧電体を形成する方法(リフトオフ法)が記載されている。
特開平11−277754号公報(特に図1) 特開2004−179549号公報(特に図4) 特開2003−142750号公報(特に図2)
しかしながら、所望の厚さの圧電体膜をエッチングで物理的に分離するには、圧電材料のエッチングレートの関係で、多大な時間を要し、製造コストがかかるという問題があった。
また、スクリーン印刷では、一般に、形状精度が得難く、厚みばらつきが大きくなる。
また、リフトオフ法では、レジストの耐熱の観点で、一般に、常温から約400℃までの温度範囲において成膜が可能なエアロゾル法に成膜方法が限定されてしまう。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、複数の圧電体を容易に形成できる圧電アクチュエータの製造方法、液体吐出ヘッドの製造方法、画像形成装置の製造方法、圧電アクチュエータ構造体、液体吐出ヘッドおよび画像形装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、所定の基板上に下部電極と圧電体と上部電極とを有する複数の圧電アクチュエータを形成する圧電アクチュエータの製造方法において、前記基板上に、前記下部電極を形成する下部電極形成工程と、前記下部電極が形成されている前記基板上に、圧電材料からなる圧電体膜を成膜する圧電体膜成膜工程と、前記圧電体膜上に前記上部電極を形成する上部電極形成工程と、前記圧電体膜のうちで前記圧電体として用いられる部分以外の除去すべき除去部分に対して、除去性を高める特性変化を与える特性変化工程と、前記圧電体膜のうちで前記除去部分のみを除去することにより、互いに分離された複数の前記圧電体を形成する除去工程を含むことを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法を提供する。
この発明によれば、基板上に成膜された圧電体膜のうちで除去部分に対して除去性を高める特性変化が与えられることにより、互いに分離された複数の圧電体を容易に形成することができる。
請求項2に記載の発明は、所定の基板を下部電極として用いて、該下部電極と圧電体と上部電極とを有する複数の圧電アクチュエータを形成する圧電アクチュエータの製造方法において、前記基板上に、圧電材料からなる圧電体膜を成膜する圧電体膜成膜工程と、前記圧電体膜上に前記上部電極を形成する上部電極形成工程と、前記圧電体膜のうちで前記圧電体として用いられる部分以外の除去すべき除去部分に対して、除去性を高める特性変化を与える特性変化工程と、前記圧電体膜のうちで前記除去部分のみを除去することにより、互いに分離された複数の前記圧電体を形成する除去工程を含むことを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法を提供する。
この発明によれば、基板上に成膜された圧電体膜のうちで除去部分に対して除去性を高める特性変化が与えられることにより、互いに分離された複数の圧電体を容易に形成することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記基板は、前記圧電体膜へ拡散して前記圧電体膜の除去性を高める物質を含み、前記圧電体膜成膜工程よりも前に、前記基板上で前記圧電体を形成すべき領域に、前記基板中の物質が前記圧電体膜へ拡散することを防止する拡散防止膜を成膜する拡散防止膜成膜工程を備え、前記圧電体膜成膜工程において、前記基板上で前記拡散防止膜が成膜されている領域および前記拡散防止膜が成膜されていない領域の両領域を覆うように前記圧電体膜を成膜し、前記特性変化工程において、前記基板中の物質を前記圧電体膜の前記除去部分に拡散させることを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法を提供する。
この発明によれば、拡散防止膜によって圧電体膜の使用部分に基板中の物質が拡散することが防止されるとともに、圧電体膜の除去部分のみに基板中の物質を敢えて拡散させることにより、圧電体膜の除去部分のみに容易に特性変化を与えることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記圧電体膜成膜工程よりも前に、前記基板上で前記圧電体を形成しない領域に、前記圧電体膜へ拡散して前記圧電体膜の除去性を高める物質を含む拡散膜を成膜する拡散膜成膜工程を備え、前記圧電体膜成膜工程において、前記基板上で前記拡散膜が形成されている領域および前記拡散膜が成膜されていない領域の両領域を覆うように前記圧電体膜を成膜し、前記特性変化工程において、前記拡散膜中の物質を前記圧電体膜の前記除去部分に拡散させることを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法を提供する。
この発明によれば、基板上で圧電体を形成しない領域に拡散膜が形成され、圧電体膜の除去部分のみに拡散膜中の物質が拡散することにより、圧電体膜の除去部分のみに容易に特性変化を与えることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記圧電体膜成膜工程よりも前に、前記基板上で前記圧電体を形成すべき領域に、前記基板中の物質が前記圧電体膜へ拡散することを防止する拡散防止膜を成膜する拡散防止膜成膜工程を備えたことを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法を提供する。
この発明によれば、拡散防止膜によって圧電体膜の使用部分に基板中の物質が拡散することが防止される。
請求項6に記載の発明は、請求項3または5に記載の発明において、前記拡散防止膜は、窒化膜または酸化膜であることを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法を提供する。
窒化膜としては、TiAlN、TiCrAlN、SiCNなどが挙げられる。酸化膜としては、ZrO、Alなどが挙げられる。
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の発明において、前記除去工程は、前記圧電体膜のうちで前記除去部分を機械的に研削する工程であり、前記特性変化工程は、前記圧電体膜のうちで前記除去部分の硬度を減少させる工程であることを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法を提供する。
機械的な研削としては、微粒子を吹きつけるサンドブラストが挙げられる。
この発明によれば、圧電体膜の除去部分を、機械的な研削で精度良く高速に除去できる。
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の発明において、前記除去工程は、前記圧電体膜のうちで前記除去部分を化学反応により除去する工程であり、前記特性変化工程は、前記圧電体膜のうちで前記除去部分の化学反応速度を増加させる工程であることを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法を提供する。
化学反応による除去としては、ガスを用いたドライエッチング、溶液を用いたウェットエッチングが挙げられる。
この発明によれば、圧電体膜の除去部分を化学反応によって除去する場合でも、短時間で除去できる。
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の発明において、前記特性変化工程は、前記圧電体膜が成膜された前記基板の全体を加熱する熱処理、または、前記圧電体膜の前記除去部分に向けてレーザを照射するレーザ照射処理、または、前記圧電体膜の前記除去部分に対して化学反応処理を行う工程であることを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法を提供する。
請求項10に記載の発明は、所定の基板上に下部電極と圧電体と上部電極とを有する複数の圧電アクチュエータを形成する圧電アクチュエータの製造方法において、前記基板上に、前記下部電極を形成する下部電極形成工程と、前記下部電極が形成されている前記基板上で前記圧電体を形成しない領域に、前記圧電体よりも線膨張係数が小さい下地膜を成膜する下地膜成膜工程と、前記基板上で前記下地膜が成膜されている領域および前記下地膜が成膜されていない領域の両領域を覆うように、圧電材料からなる圧電体膜を成膜する圧電体膜成膜工程と、前記圧電体膜上に、前記上部電極を形成する上部電極形成工程と、前記圧電体膜のうちで前記下地膜上に位置する部分のみを剥離することにより、互いに分離された複数の前記圧電体を形成する剥離工程を含むことを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法を提供する。
この発明によれば、下地膜と圧電体との線膨張係数差によって、基板上に成膜された圧電体膜のうちで除去部分のみを容易に剥離できる。
請求項11に記載の発明は、所定の基板を下部電極として用いて、該下部電極と圧電体と上部電極とを有する複数の圧電アクチュエータを形成する圧電アクチュエータの製造方法において、前記基板上で前記圧電体を形成しない領域に、前記圧電体よりも線膨張係数が小さい下地膜を成膜する下地膜成膜工程と、前記基板上で前記下地膜が成膜されている領域および前記下地膜が成膜されていない領域の両領域を覆うように、圧電材料からなる圧電体膜を成膜する圧電体膜成膜工程と、前記圧電体膜上に、前記上部電極を形成する上部電極形成工程と、前記圧電体膜のうちで前記下地膜上に位置する部分のみを剥離することにより、互いに分離された複数の前記圧電体を形成する剥離工程を含むことを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法を提供する。
この発明によれば、下地膜と圧電体との線膨張係数差によって、基板上に成膜された圧電体膜のうちで除去部分のみを容易に剥離できる。
請求項12に記載の発明は、所定の基板上に下部電極と圧電体と上部電極とを有する複数の圧電アクチュエータを形成する圧電アクチュエータの製造方法において、前記基板上に、前記下部電極を形成する下部電極形成工程と、前記下部電極が形成されている前記基板上に、圧電材料からなる圧電体膜を成膜する圧電体膜成膜工程と、前記圧電体膜上に、前記上部電極を形成する上部電極形成工程と、前記圧電体膜のうちで前記圧電体として用いられる使用部分以外の中間部分に対して、ヤング率を減少させる特性変化を与えることにより、前記圧電体膜を前記使用部分と該使用部分よりもヤング率が小さい前記中間部分とに分割して前記使用部分からなる複数の前記圧電体を形成する特性変化工程を含むことを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法を提供する。
この発明によれば、圧電体として用いられる使用部分以外の中間部分を除去しないで残しても、この中間部分はヤング率を減少させる特性変化が与えられているので、圧電体の変位効率を確保できる。したがって、圧電体膜の中間部分を物理的に除去することなく、圧電体膜の使用部分からなる複数の圧電体を容易に形成できる。
請求項13に記載の発明は、所定の基板を下部電極として用いて、該下部電極と圧電体と上部電極とを有する複数の圧電アクチュエータを形成する圧電アクチュエータの製造方法において、前記基板上に、圧電材料からなる圧電体膜を成膜する圧電体膜成膜工程と、前記圧電体膜上に前記上部電極を形成する上部電極形成工程と、前記圧電体膜のうちで前記圧電体として用いられる使用部分以外の中間部分に対して、ヤング率を減少させる特性変化を与えることにより、前記圧電体膜を前記使用部分と該使用部分よりもヤング率が小さい前記中間部分とに分割して前記使用部分からなる複数の前記圧電体を形成する特性変化工程とを含むことを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法を提供する。
この発明によれば、圧電体として用いられる使用部分以外の中間部分を除去しないで残しても、この中間部分はヤング率を減少させる特性変化が与えられているので、圧電体の変位効率を確保できる。したがって、圧電体膜の中間部分を物理的に除去することなく、圧電体膜の使用部分からなる複数の圧電体を容易に形成できる。
請求項14に記載の発明は、請求項12または13に記載の発明において、前記圧電体膜成膜工程よりも前に、前記基板上で前記圧電体を形成しない領域に、前記圧電体膜へ拡散して前記圧電体膜のヤング率を減少させる物質を含む拡散膜を成膜する拡散膜成膜工程を備え、前記圧電体膜成膜工程において、前記基板上で前記拡散膜が形成されている領域および前記拡散膜が成膜されていない領域の両領域を覆うように前記圧電体膜を成膜し、前記特性変化工程において、前記拡散膜中の物質を前記圧電体膜の前記中間部分に拡散させることを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法を提供する。
この発明によれば、基板上で圧電体を形成しない領域に拡散膜が形成され、圧電体膜の中間部分のみに拡散膜中の物質が拡散することにより、圧電体膜の中間部分のみに容易に特性変化を与えることができる。
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の発明において、前記圧電体膜成膜工程よりも前に、前記基板上で前記圧電体を形成すべき領域に、前記基板中の物質が前記圧電体膜へ拡散することを防止する拡散防止膜を成膜する拡散防止膜成膜工程を備えたことを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法を提供する。
この発明によれば、拡散防止膜によって圧電体膜の使用部分に基板中の物質が拡散することが防止される。
請求項16に記載の発明は、請求項12または13に記載の発明において、前記基板は、前記圧電体膜へ拡散して前記圧電体膜のヤング率を減少させる物質を含み、前記圧電体膜成膜工程よりも前に、前記基板上で前記圧電体を形成すべき領域に、前記基板中の物質が前記圧電体膜へ拡散することを防止する拡散防止膜を成膜する拡散防止膜成膜工程を備え、前記圧電体膜成膜工程において、前記基板上で前記拡散防止膜が成膜されている領域および前記拡散防止膜が成膜されていない領域の両領域を覆うように前記圧電体膜を成膜し、前記特性変化工程において、前記基板中の物質を前記圧電体膜の前記中間部分に拡散させることを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法を提供する。
この発明によれば、拡散防止膜によって圧電体膜の使用部分に基板中の物質が拡散することが防止されるとともに、圧電体膜の中間部分のみに基板中の物質を敢えて拡散させることにより容易に特性変化を与えることができる。
請求項17に記載の発明は、請求項12ないし16のいずれか1項に記載の発明において、前記特性変化工程は、前記圧電体膜が成膜されている前記基板の全体を加熱する熱処理、または、前記圧電体膜のヤング率を減少させる中間部分に向けてレーザを照射するレーザ照射処理、または、前記圧電体膜のヤング率を減少させる中間部分に対して化学反応処理を行う工程であることを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法を提供する。
請求項18に記載の発明は、液体を吐出するノズルに連通する圧力室を所定のプレートに形成する工程を備え、前記圧力室の容積を変化させることによって前記ノズルから液体を吐出させるための圧電アクチュエータを請求項1ないし17のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータの製造方法によって製造することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法を提供する。
請求項19に記載の発明は、所定の媒体に向けてインクを吐出するノズルと、前記ノズルに連通する圧力室と、前記圧力室の容積を変化させることによって前記ノズルからインクを吐出させるための圧電アクチュエータとを有する液体吐出ヘッドを備えた画像形成装置の製造方法であって、前記圧電アクチュエータを請求項1ないし17のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータの製造方法によって製造することを特徴とする画像形成装置の製造方法を提供する。
請求項20に記載の発明は、所定の基板上に下部電極と圧電体と上部電極とを有する複数の圧電アクチュエータが形成されている圧電アクチュエータ構造体、または、所定の基板を下部電極として用いて、該下部電極と圧電体と上部電極とを有する複数の圧電アクチュエータからなる圧電アクチュエータ構造体において、複数の前記圧電体は、前記基板上で互いに分離されて形成されており、前記基板と前記圧電体との間であって前記基板上の前記圧電体が形成されている領域のみに、前記基板中の物質が前記圧電体へ拡散することを防止する拡散防止膜が成膜されていることを特徴とする圧電アクチュエータ構造体を提供する。
請求項21に記載の発明は、所定の基板上に下部電極と圧電体と上部電極とを有する複数の圧電アクチュエータが形成されている圧電アクチュエータ構造体、または、所定の基板を下部電極として用いて、該下部電極と圧電体と上部電極とを有する複数の圧電アクチュエータからなる圧電アクチュエータ構造体であって、複数の前記圧電体は、前記基板上で互いに分離されて形成されており、前記基板上で前記圧電体が形成されていない領域には、該領域から除去された圧電材料であって前記圧電体と同一の圧電材料の除去性を高める物質を含む拡散膜が成膜されていることを特徴とする圧電アクチュエータ構造体を提供する。
請求項22に記載の発明は、所定の基板上に下部電極と圧電体と上部電極とを有する複数の圧電アクチュエータが形成されている圧電アクチュエータ構造体、または、所定の基板を下部電極として用いて、該下部電極と圧電体と上部電極とを有する複数の圧電アクチュエータからなる圧電アクチュエータ構造体であって、前記基板よりも上に、圧電材料からなる圧電体膜が成膜され、該圧電体膜は、前記下部電極および前記上部電極によって挟まれて前記圧電体として使用される使用部分と、前記使用部分よりもヤング率が小さい中間部分とに分割されており、前記圧電体膜の前記中間部分と前記基板との間には、前記圧電体膜の前記中間部分へ拡散して該中間部分のヤング率を低下させる物質を含む拡散膜が成膜されていることを特徴とする圧電アクチュエータ構造体を提供する。
請求項23に記載の発明は、所定の基板上に下部電極と圧電体と上部電極とを有する複数の圧電アクチュエータが形成されている圧電アクチュエータ構造体、または、所定の基板を下部電極として用いて、該下部電極と圧電体と上部電極とを有する複数の圧電アクチュエータからなる圧電アクチュエータ構造体であって、前記基板よりも上に、圧電材料からなる圧電体膜が成膜され、該圧電体膜は、前記下部電極および前記上部電極によって挟まれて前記圧電体として使用される使用部分と、前記使用部分よりもヤング率が小さい中間部分とに分割されており、前記基板は、前記圧電体膜の中間部分へ拡散して該中間部分のヤング率を低下させる物質を含み、前記圧電体膜の前記使用部分と前記基板との間には、前記基板中の物質が前記圧電体膜の前記使用部分へ拡散することを防止する拡散防止膜が成膜されていることを特徴とする圧電アクチュエータ構造体を提供する。
請求項24に記載の発明は、液体を吐出する複数のノズルにそれぞれ連通する複数の圧力室と、前記圧力室の容積を変化させることによって前記ノズルから液体を吐出させるための複数の圧電アクチュエータを有する請求項20ないし23のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータ構造体を備えたことを特徴とする液体吐出ヘッドを提供する。
請求項25に記載の発明は、所定の媒体に向けてインクを吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルにそれぞれ連通する複数の圧力室と、前記圧力室の容積を変化させることによって前記ノズルからインクを吐出させるための複数の圧電アクチュエータを有する請求項20ないし23のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータ構造体と、を有する液体吐出ヘッドを備えたことを特徴とする画像形成装置を提供する。
本発明によれば、複数の圧電体を容易に形成することができる。
以下、添付図面に従って、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
図1は、液体吐出ヘッド50の基本的な全体構造の一例を示す平面透視図である。
図1に一例として示す液体吐出ヘッド50は、いわゆるフルライン型のヘッドであり、記録媒体16の搬送方向(図中に矢印Sで示す副走査方向)と直交する方向(図中に矢印Mで示す主走査方向)において、紙などの記録媒体16の幅Wmに対応する長さ(最大記録幅に相当する)にわたり、記録媒体16に向けて液体を吐出する多数のノズル51(液体吐出口)を2次元的に配列させた構造を有している。
液体吐出ヘッド50は、ノズル51、ノズル51に連通する圧力室52、および、液体供給口53を含んでなる複数の圧力室ユニット54が、主走査方向Mおよび主走査方向Mに対して所定の鋭角θ(0度<θ<90度)をなす斜め方向の2方向に沿って配列されている。なお、図1では、図示の便宜上、一部の圧力室ユニット54のみ描いている。
ノズル51は、具体的には、主走査方向Mに対して所定の鋭角θをなす斜め方向において、一定のピッチdで配列されており、これにより、主走査方向Mに沿った一直線上に「d×cosθ」の間隔で配列されたものと等価に取り扱うことができる。このような液体吐出ヘッド50によれば、一回の副走査で記録媒体16に画像を形成することができる。
以下、複数の圧電体を有する液体吐出ヘッド50の各種の実施形態について詳細に説明する。
[第1実施形態]
図2は、第1実施形態の液体吐出ヘッド50aの一部分を示す断面図であって、図1の2−2線に沿って切断した断面を示している。
図2において、液体吐出ヘッド50aは、複数のノズル51が形成されているノズル板21と、複数の圧力室52が形成されている圧力室形成板22と、各圧力室52の一壁面を構成している振動板23とが積層され、さらに振動板23を基板としてその振動板23上に圧電アクチュエータ58が形成されて、構成されている。
圧電アクチュエータ58は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などの圧電材料からなる圧電体25を、2つの電極(共通電極24、個別電極26)が上下に挟んで、構成されている。
図2に示す例では、振動板23上に共通電極24が形成され、共通電極24上に互いに分離されている圧電体25および個別電極26が積層されて、共通電極24と圧電体25と上部電極26とからなる分離構造の複数の圧電アクチュエータ58が構成されている。
共通電極24は、複数の圧電アクチュエータ58において共通の電極であり、接地されている。その一方で、個別電極26は、各圧電アクチュエータ58ごとに個別の電極である。個別電極26に所定の駆動信号が個別に与えられると、すなわち両電極24、26間に所定の駆動電圧が個別に印加されると、これらの両電極24、26間に挟まれている圧電体25が変位(変形)し、振動板23を介して圧力室52の容積を変化させ、これに伴う圧力室52内の圧力の変化によって、ノズル51から液体が吐出される。
振動板23と圧電体25との間には、振動板23中の成分の拡散を防止する拡散防止膜31が設けられている。
なお、図1には、記録媒体16に高解像度の画像を高速で形成し得る構造として、複数のノズル51が2次元配列されている場合を例に示したが、本発明における液体吐出は、複数のノズル51が2次元配列された構造に特に限定されるものではなく、複数のノズル51が1次元配列された構造であってもよい。また、液体吐出ヘッド50を構成する吐出素子として図2に示した圧力室ユニット54は、一例であって、このような場合に特に限定されない。
図2に示す第1実施形態の液体吐出ヘッド50aにおける圧電アクチュエータ58の製造方法について、図3のフローチャートを用いて、説明する。
まず、基板として振動板23を用意し(S2)、振動板23上で圧電アクチュエータ58の圧電体25を形成すべき領域に、拡散防止膜31を形成し(S4)、拡散防止膜31が形成されている振動板23上に、圧電アクチュエータ58の下部電極としての共通電極24を形成し(S6)、共通電極24が形成されている振動板23上に、圧電材料からなる一枚の圧電体膜を形成し(S8)、圧電体膜上に、圧電アクチュエータ58の上部電極としての個別電極26を形成し(S10)、圧電体膜のうちで圧電体25に相当する部分(以下「使用部分」という)以外の除去すべき部分(以下「不要部分」または「除去部分」という)のみに対して、除去性を高める特性変化を与え(S12)、圧電体膜のうちで不要部分のみを除去することにより、互いに分離された複数の圧電体25を形成する(ステップS14)。
なお、振動板23とは別に共通電極24を形成する場合を例に説明したが、振動板23を共通電極24として用いる場合には、図3の共通電極形成(S6)は行う必要がない。
また、図3のフローチャートでは、個別電極形成(S10)を行なった後に特性変化(S12)を行う場合を例に示しているが、特性変化(S12)を行なった後に個別電極形成(S10)を行うようにしてもよい。
ここで、圧電体膜の不要部分に対して与える「特性変化」とは、振動板23上の圧電体膜のうちで不要部分を容易に除去できるように、圧電体25として残す使用部分と不要部分とで特性を異ならせることをいう。
圧電体膜の不要部分の「除去性」としては、不要部分に特性変化を与えない場合と比較して、(1)不要部分の除去に要する時間が短いこと、または、(2)不要部分の除去に要するエネルギーが小さいこと、または、(3)薬品を用いなくても機械加工により不要部分を除去できること、が挙げられる。
特性変化の代表的な態様について、不要部分の除去態様に対応付けて、説明する。
第1に、サンドブラストなどの機械的な研削により不要部分を除去する態様では、不要部分(被機械加工部分である)の硬度を減少させることにより、機械加工性を向上させる。
例えば、圧電体25の材料がPZTである場合、PZTよりも硬度が小さい物質(例えば、Au、Ag、Cuなどのビッカース硬度が「50」以下の物質である)を、熱処理により不要部分のみへ拡散させて、その不要部分の硬度を、使用部分としての圧電体25の硬度よりも、減少させる。
第2に、ドライエッチング、ウェットエッチングなどの化学反応により不要部分を除去する態様では、不要部分(化学反応部分である)のエッチングレート(反応速度)を増加させることにより、化学反応性を向上させる。
例えば、圧電体25の材料がPZTである場合、PZTの成分であるPb、Zr、Tiを、塩素系ガス、フッ素系ガスなどのガスと化学反応させて、ガス化することにより不要部分を除去する。このような除去工程の前に、溶液、ガスまたはイオンにより不要部分に対して化学反応しやすい特性を付与する。
また、例えば、振動板23がFe(鉄)を含むSUS(ステンレス材)であって、振動板23上の圧電体25の材料がPZTである場合、振動板23に含まれているFeを、熱処理によりPZTからなる不要部分へ拡散させることにより、不要部分のエッチングレートを増加させる。
第3に、剥離により不要部分を除去する態様では、不要部分(剥離部分である)の線膨張係数を減少させることにより、不要部分のみ剥離し易くするようにしてもよい。
本実施形態の一例について、図4および図5の工程図を用いて、詳細に説明する。本例では、特性変化(図3のS12)を振動板23中の物質の拡散により行い、除去処理(図3のS14)を化学反応により行う。
まず、図4(a)に示すように、基板として図2の振動板23を用意する。
本例では、2次元配列の複数の圧力室52が形成されている圧力室形成板22と振動板23とが固着されている構造体20を用意している。この構造体20において振動板23は、各圧力室52の上部壁面を構成している。
振動板23は、Fe(鉄)を含むSUS(ステンレス材)からなる。振動板23の厚みは、本例では、10μm〜30μmである。
次に、図4(b)に示すように、振動板23上で圧電体(図2の25)を形成すべき領域に、振動板23中のFeが後述の圧電体膜250へ拡散することを防止する拡散防止膜31を成膜する。
本例では、振動板23の上面(圧力室52が形成されている側とは反対側の面である)に、複数の圧力室52と1対1で対応するように互いに分離された拡散防止膜31を、成膜している。このようにして拡散防止膜31が成膜された振動板23の平面図を図6(a)に示す。ここで、ひとつの圧力室52に対応する一片の拡散防止膜31の面積は、後にひとつの圧力室52に対応して形成されるひとつの圧電体25の水平断面積と略同一にしてある。
拡散防止膜31としては、例えば、TiAlN、TiCrAlN、SiCNなどの窒化膜、または、ZrO、Alなどの酸化膜を、パターン成膜する。拡散防止膜31の厚みは、本例では、0.2μm〜2μmである。拡散防止膜31の成膜方法としては、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)、イオンプレーティング、溶液法(例えばDIPコート)などが挙げられる。
次に、図4(c)に示すように、図2の圧電アクチュエータ58の下部電極としての共通電極24を形成する。
本例では、振動板23下の全ての圧力室52を振動板23上で覆うようにして、共通電極24としての一枚の導電性膜を成膜している。
共通電極24の材料は、本例では、Ti/Pt、Ti/Irなどが挙げられる。共通電極24の厚みは、本例では、0.2μm〜2.5μmである。共通電極24の成膜方法としては、例えば、スパッタ、蒸着が挙げられる。
なお、一枚の共通電極24を形成する代りに、振動板23上で拡散防止膜31が選択的に成膜されている領域(選択領域)のみに圧電アクチュエータの下部電極を個別電極として形成することも、可能である。また、振動板23自体を一枚の共通電極として用いて共通電極を形成するステップS6を省略するようにしてもよい。
次に、図4(d)に示すように、共通電極24が形成されている振動板23上に、一枚の圧電体膜250を成膜する。
本例では、全ての圧力室52を振動板23上で覆うようにして共通電極24が形成されているので、共通電極24上に圧電体膜250が成膜されている。
すなわち、振動板23上で、共通電極24を介して、拡散防止膜31が選択的に成膜されている領域(選択領域)および拡散防止膜31が成膜されていない領域(非選択領域)の両領域の上に、圧電体膜250を成膜している。
なお、共通電極を選択領域のみに形成した場合には、圧電体膜250は、選択領域では拡散防止膜31および共通電極24を介して振動板23上に成膜され、非選択領域では振動板23の上に直接的に成膜される。また、振動板23自体を共通電極として用いる場合には、圧電体膜250は、選択領域では拡散防止膜31を介して振動板23上に成膜され、非選択領域では振動板23の上に直接的に成膜される。
圧電体膜250は、例えばPZTを主成分とする圧電材料(PMN−PT−PZ、PNN−PT−PZ等)からなる。圧電体膜250の厚みは、本例では、3μm〜20μmである。圧電体膜250の成膜方法としては、AD(エアロゾルデポジション)法、スパッタなどが挙げられる。
次に、図5(a)に示すように、圧電体膜250上に、図2の圧電アクチュエータ58の個別電極26を形成する。
個別電極26の材料は、Ti/Pt、Ti/Irなどが挙げられる。個別電極26の厚みは、本例では、0.2μm〜1μmである。個別電極26の成膜方法としては、例えば、スパッタ、蒸着が挙げられる。
本例では、圧電体膜250上で、振動板23上の各拡散防止膜31と重なる位置に、個別電極26としての導電性膜を分離して成膜している。ここで、ひとつの圧力室52に対応する個別電極26の水平断面積は、拡散防止膜31の面積と略同一である。
次に、図5(b)に示すように、振動板23の全体を加熱する熱処理により、振動板23中のFeを、圧電体膜250のうちで図2の圧電アクチュエータ58の圧電体25として用いる使用部分25以外の不要部分35のみに、拡散させる。
加熱温度は、振動板23、拡散防止膜31、圧電体25、電極24、26等の耐熱温度によっても異なるが、SUSからなる振動板23中のFeが拡散する温度の範囲内(650〜950℃)とする。
このように加熱処理により不要部分35のみに対して特性変化が施された圧電体膜250の平面図を、図6(b)に示す。ここで、ひとつの圧力室52に対応する使用部分25(すなわち圧電体)の水平断面積は、拡散防止膜31の面積と略同一である。
次に、図5(c)に示すように、圧電体膜250のうちで、図2の圧電アクチュエータ58の圧電体25として用いる使用部分25を残して、不要部分35のみを、ドライエッチングにより除去する。そうすると、互いに分離された複数の圧電体25が形成される。
ここで、不要部分35は使用部分25と異なりFeを含んでいるので、加熱処理によるFe拡散を行わない場合、すなわち不要部分35がFeを含んでいない場合と比較して、不要部分35のみエッチングレートが増加している。すなわち、ドライエッチングが短時間で完了する。
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態の液体吐出ヘッド50bの一例を示す断面図である。なお、図7において、図2に示した第1実施形態の液体吐出ヘッド50aの構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付してあり、既に説明した内容については、以下では説明を省略する。
圧電体25は、振動板23上に、互いに分離されて形成されている。
なお、図7には、振動板23上に圧電アクチュエータ58の共通電極24が形成されており、この共通電極24上に圧電体25が形成されている場合を例に示しているが、本発明は、このような場合に限定されず、振動板23を共通電極24として用い、振動板23上に直接的に圧電体25が形成されていてもよい。
図7において、振動板23上で圧電体25が形成されていない領域には、この領域から製造時に除去された圧電材料(圧電体25と同一の圧電材料である)の除去性を高める物質であって、製造時に除去された圧電材料に対して拡散する性質を有する物質(拡散性物質)を含む拡散膜32(特性変化膜)が成膜されている。この拡散膜32に含まれている物質は、製造時に除去された圧電材料に対して拡散する性質を有する物質(拡散性物質)である。
図7に示す複数の圧電アクチュエータ58の製造方法の一例について、図8、図9および図10を用いて、説明する。
まず、図9(a)に示すように、基板として振動板23を用意する(S21)。本例では、2次元配列の複数の圧力室52が形成されている圧力室形成板22と振動板23とが固着されている構造体20を用意している。
振動板23の材料は、SUS430、SUS304、SUS310、Cr、Ti、Niなどが挙げられる。振動板23の厚みは、本例では、10μm〜30μmである。
次に、図9(b)に示すように、振動板23上で図7の圧電アクチュエータ58の圧電体25を形成すべき領域に、振動板23中の物質が図7の圧電アクチュエータ58の圧電体25へ拡散することを防止する拡散防止膜31を形成する(S22)。
拡散防止膜31としては、例えば、TiAlN、TiCrAlN、SiCNなどの窒化膜、または、ZrO、Alなどの酸化膜を、パターン成膜する。拡散防止膜31の厚みは、本例では、0.2μm〜2μmである。拡散防止膜31の成膜方法としては、例えば、CVD、イオンプレーティング、溶液法(例えばDIPコート)などが挙げられる。
次に、図9(c)に示すように、振動板23上であって図7の圧電アクチュエータ58の圧電体25を形成しない領域に、後の工程(S25、図9(e))で形成される圧電体膜250の除去部分に拡散して除去部分の除去性を高める拡散性物質を含む拡散膜32を形成する(S23)。
拡散膜32は、例えば、Au、Ag、CuなどのPZTよりもビッカース硬度が小さい物質を拡散性物質として含む。拡散膜32の厚みは、本例では、拡散防止膜31と同じである。拡散膜32の成膜方法は、例えば、CVD、イオンプレーティング、スパッタなどが挙げられる。
拡散防止膜31および拡散膜32が成膜された振動板23の平面図を図11(a)に示す。ここで、ひとつの圧力室52に対応する一片の拡散防止膜31の面積は、後にひとつの圧力室52に対応して形成されるひとつの圧電体25の水平断面積と略同一にしてある。
次に、図9(d)に示すように、振動板23上で拡散防止膜31が成膜されている領域および拡散膜32が形成されている領域の両領域を覆うように、圧電アクチュエータ58の下部電極としての共通電極24を形成する(S24)。
共通電極24の材料は、Ti/Pt、Ti/Irなどが挙げられる。共通電極24の厚みは、本例では、0.2μm〜2.5μmである。共通電極24の成膜方法としては、例えば、スパッタ、蒸着が挙げられる。
次に、図9(e)に示すように、共通電極24が形成されている振動板23上、即ち振動板23上で拡散防止膜31が成膜されている領域および拡散膜32が成膜されている領域の両領域を覆うように、圧電材料からなる一枚の圧電体膜250を成膜する(S25)。
圧電体膜250は、例えばPZTを主成分とする圧電材料(PMN−PT−PZ、PNN−PT−PZ等)からなる。圧電体膜250の厚みは、本例では、3μm〜20μmである。圧電体膜250の成膜方法としては、AD法、スパッタなどが挙げられる。
次に、図10(a)に示すように、圧電体膜250上に、圧電アクチュエータ58の上部電極としての個別電極26を形成する(S26)。
個別電極26の材料は、Ti/Pt、Ti/Irなどが挙げられる。個別電極26の厚みは、本例では、0.2μm〜1μmである。個別電極26の成膜方法としては、例えば、スパッタ、蒸着が挙げられる。
次に、図10(b)に示すように、圧電体膜250のうちで圧電体25として用いられる部分(使用部分)以外の不要な除去部分35のみに対して、除去性を高める特性変化を与える(S27)。
例えば、振動板23の全体を加熱する熱処理により、拡散膜32中の物質(拡散性物質)を除去部分35に拡散させる。
加熱温度は、振動板23、拡散防止膜31、拡散膜32、圧電体25、電極24、26等の耐熱温度によっても異なるが、拡散膜32中の拡散物質が拡散する温度(拡散物質がAuであれば300〜600℃、Agであれば300〜600℃、Cuであれば300〜600℃)が好ましい。
このように加熱処理により不要部分35のみに対して特性変化が施された圧電体膜250の平面図を、図11(b)に示す。
次に、図10(c)に示すように、圧電体膜250のうちで不要な除去部分35を除去する(S28)。例えば、微粒子を吹きつけるサンドブラストにより除去部分35を除去する。そうすると、互いに分離された複数の圧電体25が形成される(S28)。
ここで、不要部分35は使用部分25と異なりビッカース硬度が「50」以下の物質を含んでいるので、加熱処理による拡散を行わない場合と比較して、不要部分35のみ硬度が減少している。すなわち、サンドブラストが短時間で完了する。
なお、第4実施形態および第5実施形態において、特性変化工程(図17のS47、図19のS57)は、圧電体膜250が成膜されている構造体20の全体を加熱する熱処理、または、圧電体膜250の中間部分35のみに向けてレーザを照射するレーザ照射処理、または、圧電体膜250の中間部分35に対して化学反応処理を行う工程のいずれでもよい。
なお、図8に示すように、個別電極形成(S26)を行った後に特性変化(S27)を行う場合を例に説明したが、特性変化(S27)を行った後に個別電極形成(S26)を行うようにしてもよい。
また、振動板23とは別に共通電極24を形成する場合を例に説明したが、振動板23を共通電極24として用いる場合には、図8の共通電極形成(S24)は行う必要がない。
[第3実施形態]
図12は、第3実施形態の液体吐出ヘッド50cの一例を示す断面図である。図12において、図2に示した第1実施形態の液体吐出ヘッド50aの構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付してあり、既に説明した内容については説明を省略する。
圧電体25は、共通電極24として用いられる振動板23上に、互いに分離されて形成されている。
なお、図12は、振動板23を圧電アクチュエータ58の共通電極24として用いている場合を例に示しているが、本発明は、このような場合に特に限定されず、振動板23と共通電極24とを共用せず、振動板23上に共通電極24が形成されてもよい。
図12に示す複数の圧電アクチュエータ58の製造方法の一例について、図13および図14を用いて、説明する。
まず、図14(a)に示すように、基板として振動板23を用意する(S2)。本例では、2次元配列の複数の圧力室52が形成されている圧力室形成板22と振動板23とが固着されている構造体20を用意している。
振動板23の材料は、耐熱SUS(CrおよびAlを含有)、Cr、Tiなどが挙げられる。振動板23の厚みは、本例では、10μm〜30μmである。
次に、図14(b)に示すように、振動板23を共通電極24として用い、この振動板23上であって、図12の圧電アクチュエータ58cの圧電体25を形成しない領域に、圧電体25よりも線膨張係数が小さい剥離膜33(下地膜)を成膜する(S32)。
圧電体25は、例えばPZTからなる。剥離膜33は、例えばSiまたはSiOからなる。ここで、PZTからなる圧電体25の線膨張係数は約10×10−6/℃であり、これに対し、剥離膜33の線膨張係数は5×10−6/℃以下である。
剥離膜33の厚みは、本例では、0.2μm〜2μmである。剥離膜33の成膜方法としては、例えば、CVD、イオンプレーティング、溶液法などが挙げられる。
次に、図14(c)に示すように、振動板23上で、剥離膜33が成膜されている領域および剥離膜33が成膜されていない領域の両領域を覆うように、圧電材料からなる一枚の圧電体膜250を成膜する(S34)。
圧電体膜250の厚みは、本例では、3μm〜20μmである。圧電体膜250の成膜方法としては、AD法、スパッタなどが挙げられる。
次に、図14(d)に示すように、圧電体膜250上に、圧電アクチュエータ58の上部電極としての個別電極26を形成する(S36)。
個別電極26の材料は、Ti/Pt、Ti/Irなどが挙げられる。個別電極26の厚みは、本例では、0.2μm〜1μmである。個別電極26の成膜方法としては、例えば、スパッタが挙げられる。
次に、図14(e)に示すように、圧電体膜250のうちで剥離膜33上に位置する不要部分35のみを、剥離膜33とともに剥離することにより、互いに分離された圧電体25を形成する(S38)。例えば、800℃の加熱処理により剥離する。
本例の製造方法によれば、剥離膜33と圧電体25との線膨張係数差によって、振動板23上に成膜された圧電体膜250のうちで不要部分35のみを容易に剥離できる。
以上、振動板23を共通電極24として用いる場合を例に説明したが、振動板23と共通電極24とを共用せず、振動板23上に共通電極24を形成する場合には、図15に示すように、基板として振動板23を用意し(S2)、振動板23上に共通電極24を形成し(S6)、共通電極24が形成されている振動板23上で圧電体25を形成しない領域に、圧電体25よりも線膨張係数が小さい剥離膜33を成膜し(S32)、振動板23上で剥離膜33が成膜されている領域および剥離膜33が成膜されていない領域の両領域を覆うように、圧電材料からなる一枚の圧電体膜250を成膜し(S34)、圧電体膜250上に個別電極26を形成し(S36)、圧電体膜250のうちで剥離膜33上に位置する不要部分35のみを、剥離膜33とともに剥離することにより、互いに分離された圧電体25を形成する(S38)。例えば、800℃の加熱処理により、剥離する。
なお、図13および図15のフローチャートでは、個別電極形成(S36)を行った後に剥離(S38)を行うようになっているが、剥離(S38)を行った後に個別電極形成(S36)を行うようにしてもよい。
[第4実施形態]
図16は、第4実施形態の液体吐出ヘッド50dの一例を示す断面図である。図16において、図7に示した第2実施形態の液体吐出ヘッド50bの構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付してあり、既に説明した内容については説明を省略する。
図16において、共通電極24上には、圧電材料からなる一枚の圧電体膜250が成膜され、この圧電体膜250は、共通電極24および個別電極26によって挟まれて圧電アクチュエータ58の圧電体25として使用される使用部分25と、使用部分25よりもヤング率が小さい中間部分35とからなる。
圧電体膜250の使用部分25と振動板23との間には、振動板23中の物質が圧電体膜250の使用部分25へ拡散することを防止する拡散防止膜31が成膜されている。
圧電体膜250の中間部分35と振動板23との間には、加熱により圧電体膜250の中間部分35へ拡散して中間部分35のヤング率を減少させる物質(拡散性物質)を含む拡散膜32が成膜されている。
圧電体膜250は例えばPZTを主成分とする圧電材料(PMN−PT−PZ、PNN−PT−PZ等)からなる。この圧電体膜250のヤング率を減少させる物質としては、Au、Ag、Cu等が挙げられる。
なお、図15は、振動板23と共通電極24とを共用せず、振動板23上に共通電極24が形成されている場合を例に示しているが、本発明は、このような場合に特に限定されず、振動板23を圧電アクチュエータ58の共通電極24として用いていてもよい。
図16に示す複数の圧電アクチュエータ58の製造方法の一例について、図17、図9および図10を用いて、説明する。
まず、図9(a)に示すように、基板として振動板23を用意する(S41)。振動板23の材料は、SUS430、SUS304、SUS310、Cr、Ti、Niなどが挙げられる。振動板23の厚みは、本例では、10μm〜30μmである。
なお、本例では、2次元配列の複数の圧力室52が形成されている圧力室形成板22と振動板23とが固着されている構造体20を用意している。 次に、図9(b)に示すように、振動板23上で圧電アクチュエータ58の圧電体25を形成すべき領域に、振動板23中の物質が圧電アクチュエータ58の圧電体25へ拡散することを防止する拡散防止膜31を成膜する(S42)。
拡散防止膜31としては、例えば、TiAlN、TiCrAlN、SiCNなどの窒化膜、または、ZrO、Alなどの酸化膜を、パターン成膜する。拡散防止膜31の厚みは、本例では、0.2μm〜2μmである。拡散防止膜31の成膜方法としては、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)、イオンプレーティング、溶液法(例えばDIPコート)などが挙げられる。
次に、図9(c)に示すように、振動板23上であって圧電アクチュエータ58の圧電体25を形成しない領域に、後の工程(S45)で成膜される圧電体膜250の中間部分35に拡散して中間部分35のヤング率を減少させる物質を含む拡散膜32を成膜する(S43)。
拡散膜32は、例えば、Au、Ag、Cuなどの拡散性物質を含む。拡散膜32の厚みは、本例では、拡散防止膜31と同じである。拡散膜32の成膜方法は、例えば、CVD、イオンプレーティング、スパッタなどが挙げられる。
次に、図9(d)に示すように、振動板23上で拡散防止膜31が成膜されている領域および拡散膜32が形成されている領域の両領域を覆うように、圧電アクチュエータ58の下部電極としての共通電極24を形成する(S44)。
共通電極24の材料は、Ti/Pt、Ti/Irなどが挙げられる。共通電極24の厚みは、本例では、0.2μm〜2μmである。共通電極24の成膜方法としては、例えば、スパッタ、蒸着が挙げられる。
次に、図9(e)に示すように、共通電極24が形成されている振動板23上、即ち振動板23上で拡散防止膜31が成膜されている領域および拡散膜32が成膜されている領域の両領域を覆うように、圧電材料からなる一枚の圧電体膜を成膜する(S45)。
圧電体膜250は、例えばPZTを主成分とする圧電材料(PMN−PT−PZ、PNN−PT−PZ等)からなる。圧電体膜250の厚みは、本例では、3μm〜20μmである。圧電体膜250の成膜方法としては、AD法、スパッタなどが挙げられる。
次に、図10(a)に示すように、圧電体膜250上に、圧電アクチュエータ58の上部電極としての個別電極26を形成する(S46)。
個別電極26の材料は、Ti/Pt、Ti/Irなどが挙げられる。個別電極26の厚みは、本例では、0.2μm〜1μmである。個別電極26の成膜方法としては、例えば、スパッタ、蒸着が挙げられる。
次に、図10(b)に示すように、圧電体膜250のうちで圧電体25として用いられる使用部分25以外の中間部分35のみに対して、ヤング率を減少させる特性変化を与える(S47)。これにより、圧電体膜250が使用部分25と使用部分25よりもヤング率が小さい中間部分35とに分割されて、使用部分25からなる複数の圧電体25が形成される。
例えば、加熱処理により、拡散膜32中の物質(拡散性物質)を中間部分35に拡散させる。このように加熱処理により不要部分35のみに対して特性変化が施された圧電体膜250の平面図を、図11(b)に示す。
加熱温度は、振動板23、拡散防止膜31、拡散膜32、圧電体25、電極24、26等の耐熱温度によっても異なるが、拡散膜32中の拡散物質が拡散する温度(拡散物質がAuであれば300〜600℃、Agであれば300〜600℃、Cuであれば300〜600℃)が好ましい。
なお、本実施形態においては、図10(c)に示すような中間部分35の除去は行わない。
本例の製造方法によれば、圧電体25として用いられる使用部分25以外の中間部分35を除去しないで残しても、この中間部分35はヤング率を減少させる特性変化が与えられているので、変位効率を確保できる。したがって、圧電体膜250の中間部分35を除去することなく、複数の圧電アクチュエータ58を容易に製造できる。
なお、図17に示すように、個別電極形成(S46)を行った後に特性変化(S47)を行う場合を例に説明したが、特性変化(S47)を行った後に個別電極形成(S46)を行うようにしてもよい。
また、振動板23とは別に共通電極24を形成する場合を例に説明したが、振動板23を共通電極24として用いる場合には、図17の共通電極形成(S24)は行う必要がない。
[第5実施形態]
図18は、第5実施形態の液体吐出ヘッド50eの一例を示す断面図である。図18において、図16に示した第4実施形態の液体吐出ヘッド50dの構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付してあり、既に説明した内容については説明を省略する。
図18に示す第5実施形態の液体吐出ヘッド50eは、図15に示した第4実施形態の液体吐出ヘッド50dとは異なり、振動板23上に、拡散防止膜31が成膜されている一方で、拡散膜32は成膜されておらず省略されている。
また、第5実施形態の液体吐出ヘッド50eにおいて、振動板23は、加熱により圧電体膜250の中間部分35へ拡散して中間部分35のヤング率を減少させる物質(拡散性物質)を含む。
圧電体膜250は例えばPZTからなり、この圧電体膜250のヤング率を減少させる物質としては、Au、Ag、Cu等が挙げられる。
なお、図18は、振動板23と共通電極24とを共用せず、振動板23上に共通電極24が形成されている場合を例に示しているが、本発明は、このような場合に特に限定されず、振動板23を圧電アクチュエータ58の共通電極24として用いていてもよい。
図18に示す分離構造の複数の圧電アクチュエータ58の製造方法の一例について、図19、図4および図5を用いて、説明する。
まず、図4(a)に示すように、基板としての振動板23を用意する(S51)。本例では、圧力室形成板22と振動板23とが固着されている構造体20を用意している。
振動板23の材料は、SUS、Cuなどが挙げられる。振動板23の厚みは、本例では、10μm〜30μmである。
次に、図4(b)に示すように、振動板23上で圧電アクチュエータ58の圧電体25を形成すべき領域に、振動板23中の物質が圧電体膜250のうちでアクチュエータ58の圧電体25として用いられる部分(使用部分)へ拡散することを防止する拡散防止膜31を成膜する(S43)。
拡散防止膜31としては、例えば、TiAlN、TiCrAlN、SiCNなどの窒化膜、または、ZrO、Alなどの酸化膜を、パターン成膜する。拡散防止膜31の厚みは、本例では、0.2μm〜2μmである。拡散防止膜31の成膜方法としては、例えば、CVD、イオンプレーティング、溶液法(例えばDIPコート)などが挙げられる。
一方で、第5実施形態では、第4実施形態とは異なり、拡散膜32の形成(図17のS43)は行わない。
図4(c)に示す共通電極形成工程(S44)、および、図4(d)に示す圧電体膜成膜工程(S45)、図5(a)に示す個別電極形成工程(S46)は、第4実施形態における各工程と同等である。
なお、圧電体膜250は、振動板23上で拡散防止膜31が成膜されている領域および拡散防止膜31が成膜されていない領域の両領域を覆うように成膜される。
圧電体膜250は、例えばPZTを主成分とする圧電材料(PMN−PT−PZ、PNN−PT−PZ等)からなる。圧電体膜250の厚みは、本例では、3μm〜20μmである。圧電体膜250の成膜方法としては、AD法、スパッタなどが挙げられる。
次に、図5(b)に示すように、振動板23中の拡散性物質を圧電体膜250の中間部分35に拡散させて、中間部分35のみに対してヤング率を減少させる特性変化を与える(S57)。これにより、中間部分35を介して互いに分離された複数の圧電体25が形成される。
例えば、加熱処理により、振動板23中の物質(拡散性物質)を中間部分35に拡散させる。
加熱温度は、振動板23、拡散防止膜31、拡散膜32、圧電体25、電極24、26等の耐熱温度によっても異なるが、振動板23中の拡散物質が拡散する温度(拡散物質がAuであれば300〜600℃、Agであれば300〜600℃、Cuであれば300〜600℃)が好ましい。
このように加熱処理により不要部分35のみに対して特性変化が施された圧電体膜250の平面図を、図6(b)に示す。
なお、本実施形態においては、図5(c)に示すような中間部分35の除去は行わない。
本例の製造方法によれば、圧電体25として用いられる使用部分25以外の中間部分35を除去しないで残しても、この中間部分35はヤング率を減少させる特性変化が与えられているので、変位効率を確保できる。したがって、圧電体膜250の中間部分35を除去することなく、分離構造の複数の圧電アクチュエータ58を容易に製造できる。
また、図19に示すように、個別電極形成(S46)を行った後に特性変化(S47)を行う場合を例に説明したが、特性変化(S47)を行った後に個別電極形成(S46)を行うようにしてもよい。
なお、第4実施形態および第5実施形態において、特性変化工程(図17のS47、図19のS57)は、圧電体膜250が成膜されている構造体20の全体を加熱する熱処理、または、圧電体膜250の中間部分35のみに向けてレーザを照射するレーザ照射処理、または、圧電体膜250の中間部分35に対して化学反応処理を行う工程のいずれでもよい。
また、振動板23とは別に共通電極24を形成する場合を例に説明したが、振動板23を共通電極24として用いる場合には、図19の共通電極形成(S44)は行う必要がない。
また、第1実施形態乃至第5実施形態において、圧電アクチュエータ58の製造方法の例について説明したが、液体吐出ヘッド50を製造する場合、圧力室形成板52の材料としての板材に複数の圧力室52を形成する工程を少なくとも含む。そして、複数のノズル51が形成されているノズル板15を、圧力室形成板52と接合する。
[画像形成装置の構成例]
図20は本発明に係る画像形成装置10の機構的な構成の一例を示す全体構成図である。同図に示したように、この画像形成装置10は、図1の液体吐出ヘッド50をインク色ごとに設けた複数のヘッド12K(黒インク用ヘッド)、12C(シアンインク用ヘッド)、12M(マゼンタインク用ヘッド)、12Y(イエロインク用ヘッド)を有する吐出部12と、各ヘッド12K、12C、12M、12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、紙などの媒体16を供給する給紙部18と、媒体16のカールを除去するデカール処理部20と、各ヘッド12K、12C、12M、12Yのノズル面(打滴面)に対向して配置され、媒体16の平面性を保持しながら媒体16を搬送する吸着ベルト搬送部22と、吐出部12の打滴結果である画像を読み取る画像読取部24と、印画済みの媒体(プリント物)を外部に排紙する排紙部26を備えている。
図20では、給紙部18の一例としてロール紙(連続媒体)のマガジンが示されているが、媒体の幅や材質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって媒体を供給してもよい。
複数種類の媒体を利用可能な構成にした場合、媒体16の種類情報を記録したバーコード或いは無線タグ等の情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される媒体の種類を自動的に判別し、媒体の種類に応じて適切なインクの打滴を実現するように打滴制御を行うことが好ましい。
給紙部18から送り出される媒体16はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム30で媒体16に熱を与える。このとき、多少印画面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図20のように、裁断用のカッタ(第1のカッタ)28が設けられており、該カッタ28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッタ28は、媒体16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、媒体16の印画裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで媒体16の印画面側に丸刃28Bが配置される。なお、カット紙を使用する場合には、カッタ28は不要である。
デカール処理後、カットされた媒体16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラ31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも吐出部12のノズル面及び画像読取部24のセンサ面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト33は、媒体16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引穴(不図示)が形成されている。図20に示したとおり、ローラ31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において吐出部12のノズル面及び画像読取部24のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバ34が設けられており、この吸着チャンバ34をファン35で吸引して負圧にすることによってベルト33上の媒体16が吸着保持される。
ベルト33が巻かれているローラ31、32の少なくとも一方に不図示のモータの動力が伝達されることにより、ベルト33は図20上の時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された媒体16は図20の左から右へと搬送される。なお、ベルト33の詳細は後述する。
縁無しプリント等を印画するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印画領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組み合わせ等がある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印画領域をローラ・ニップ搬送すると、印画直後に媒体の印画面をローラが接触するので画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印画領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
吸着ベルト搬送部22により形成される媒体搬送路上において吐出部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印画前の媒体16に加熱空気を吹き付け、媒体16を加熱する。印画直前に媒体16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
吐出部12は、最大紙幅に対応する長さを有するライン型ヘッドを紙送り方向 (媒体搬送方向)と直交方向に配置した、いわゆるフルライン型のヘッドとなっている(図21参照)。詳細な構造例は後述するが、各ヘッド12K、12C、12M、12Yは、図21に示したように、本画像形成装置10が対象とする最大サイズの媒体16の少なくとも一辺を超える長さにわたってインク打滴口(ノズル)が複数配列されたフルライン型ヘッドで構成されている。
媒体16の送り方向(以下、媒体搬送方向という。)に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に各色インクに対応したヘッド12K、12C、12M、12Yが配置されている。媒体16を搬送しつつ各ヘッド12K、12C、12M、12Yからそれぞれ色インクを打滴することにより媒体16上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするフルラインヘッドがインク色ごとに設けられてなる吐出部12によれば、媒体搬送方向について媒体16と吐出部12を相対的に移動させる動作を一回行うだけで(即ち1回の媒体搬送方向への走査で)、媒体16の全面に画像を記録することができる。これにより、ヘッドが媒体搬送方向と略直交する方向に往復動作するシャトルスキャン型ヘッドに比べて、高速印画が可能であり、生産性を向上させることができる。
なお、本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ等のライト系インクを打滴するヘッドを追加する構成も可能である。
図20に示したように、インク貯蔵/装填部14は、各ヘッド12K、12C、12M、12Yに対応する色のインクを貯蔵するタンクを有し、各タンクは不図示の管路を介して各ヘッド12K、12C、12M、12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段等)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
画像読取部24は、吐出部12の打滴結果を読み取るものであり、画像読取部24によって得られた読取画像データから、ノズルの目詰まりその他の打滴不良および打滴変動が検出される。
本例の画像読取部24は、少なくとも各ヘッド12K、12C、12M、12Yによるインク打滴幅(画像形成幅)よりも幅の広い受光素子列を有するラインセンサで構成される。このラインセンサは、赤(R)の色フィルタが設けられた光電変換素子(画素)がライン状に配列されたRセンサ列と、緑(G)の色フィルタが設けられたGセンサ列と、青(B)の色フィルタが設けられたBセンサ列と、からなる色分解ラインCCDセンサで構成されている。なお、ラインセンサに代えて、受光素子が二次元配列されて成るエリアセンサを用いることも可能である。
本実施形態における画像読取部24は、各色のヘッド12K、12C、12M、12Yにより形成された画像(テストパターンあるいは本画像)を読み取り、各ヘッドの打滴変動の検出を行う。打滴変動の判定は、打滴(ドット)の有無、打滴位置(ドット位置)、打滴径(ドット径)、濃度の測定等で構成される。また、画像読取部24には、打滴されたドットに光を照射させる光源(不図示)を備えている。
画像読取部24の後段には、後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、形成された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。打滴後のインクが乾燥するまでは画像面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹き付ける方式が好ましい。
多孔質のペーパに染料系インクで印画した場合等では、加圧によりペーパの孔を塞ぐことでオゾン等、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
こうして生成されたプリント物は排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印画とは分けて排出することが好ましい。この画像形成装置10では、本画像のプリント物と、テスト印画のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り換える不図示の選別手段が設けられている。なお、大きめの媒体に本画像とテストパターン画像とを同時に並列に形成する場合は、カッタ(第2のカッタ)48によってテストパターン画像の部分を切り離す。カッタ48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテストパタン印画を行った場合に本画像とテストパタン印画部を切断するためのものである。カッタ48の構造は前述した第1のカッタ28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成される。
また、図20には示さないが、本画像の排出部26Aには、オーダ別に画像を集積するソータが設けられる。なお、符号26Bはテストプリント排出部である。
以上の説明において、ノズル51が形成されている液体吐出ヘッド50と媒体16との相対移動は、液体吐出ヘッド50を固定して媒体16を移動させる場合を例に説明したが、このような場合に本発明は限定されず、媒体16を固定して液体吐出ヘッド50を移動させる場合、または、液体吐出ヘッド50と媒体16との両方を移動させる場合においても、本発明を適用できる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、本明細書において説明した例や図面に図示された例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の設計変更や改良を行ってよい。
液体吐出ヘッドの全体構造を示す平面透視図である。 第1実施形態に係る液体吐出ヘッドの一例の断面図である。 第1実施形態に係る圧電アクチュエータの一例における製造処理の流れを示す概略フローチャートである。 第1実施形態に係る圧電アクチュエータの一例における製造処理の説明に用いる工程図である。 第1実施形態に係る圧電アクチュエータの一例における製造処理の説明に用いる工程図である。 第1実施形態に係る圧電アクチュエータの一例における製造処理の説明に用いる平面図である。 第2実施形態に係る液体吐出ヘッドの一例の断面図である。 第2実施形態に係る圧電アクチュエータの一例における製造処理の流れを示す概略フローチャートである。 第2実施形態に係る圧電アクチュエータの一例における製造処理の説明に用いる工程図である。 第2実施形態に係る圧電アクチュエータの一例における製造処理の説明に用いる工程図である。 第2実施形態に係る圧電アクチュエータの一例における製造処理の説明に用いる平面図である。 第3実施形態に係る液体吐出ヘッドの一例の断面図である。 第3実施形態に係る圧電アクチュエータの一例における製造処理の流れを示す概略フローチャートである。 第3実施形態に係る圧電アクチュエータの一例における製造処理の説明に用いる工程図である。 第3実施形態に係る圧電アクチュエータの他の例における製造処理の流れを示す概略フローチャートである。 第4実施形態に係る液体吐出ヘッドの一例の断面図である。 第4実施形態に係る圧電アクチュエータの一例における製造処理の流れを示す概略フローチャートである。 第5実施形態に係る液体吐出ヘッドの一例の断面図である。 第5実施形態に係る圧電アクチュエータの一例における製造処理の流れを示す概略フローチャートである。 画像形成装置の全体構成例を示す構成図である。 吐出部の配置例を示す平面図である。
符号の説明
21…ノズル形成板、22…圧力室形成板、23…振動板、24…共通電極(下部電極)、25…圧電体(圧電体膜の使用部分)、26…個別電極(上部電極)、31…拡散防止膜、32…拡散膜、33…剥離膜(下地膜)、35…圧電体膜の中間部分(除去部分)、50(50a、50b、50c、50d、50e、50f)…液体吐出ヘッド、51…ノズル、52…圧力室、58…圧電アクチュエータ、250…圧電体膜

Claims (25)

  1. 所定の基板上に下部電極と圧電体と上部電極とを有する複数の圧電アクチュエータを形成する圧電アクチュエータの製造方法において、
    前記基板上に、前記下部電極を形成する下部電極形成工程と、
    前記下部電極が形成されている前記基板上に、圧電材料からなる圧電体膜を成膜する圧電体膜成膜工程と、
    前記圧電体膜上に前記上部電極を形成する上部電極形成工程と、
    前記圧電体膜のうちで前記圧電体として用いられる部分以外の除去すべき除去部分に対して、除去性を高める特性変化を与える特性変化工程と、
    前記圧電体膜のうちで前記除去部分のみを除去することにより、互いに分離された複数の前記圧電体を形成する除去工程と、
    を含むことを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法。
  2. 所定の基板を下部電極として用いて、該下部電極と圧電体と上部電極とを有する複数の圧電アクチュエータを形成する圧電アクチュエータの製造方法において、
    前記基板上に、圧電材料からなる圧電体膜を成膜する圧電体膜成膜工程と、
    前記圧電体膜上に前記上部電極を形成する上部電極形成工程と、
    前記圧電体膜のうちで前記圧電体として用いられる部分以外の除去すべき除去部分に対して、除去性を高める特性変化を与える特性変化工程と、
    前記圧電体膜のうちで前記除去部分のみを除去することにより、互いに分離された複数の前記圧電体を形成する除去工程と、
    を含むことを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法。
  3. 前記基板は、前記圧電体膜へ拡散して前記圧電体膜の除去性を高める物質を含み、
    前記圧電体膜成膜工程よりも前に、前記基板上で前記圧電体を形成すべき領域に、前記基板中の物質が前記圧電体膜へ拡散することを防止する拡散防止膜を成膜する拡散防止膜成膜工程を備え、
    前記圧電体膜成膜工程において、前記基板上で前記拡散防止膜が成膜されている領域および前記拡散防止膜が成膜されていない領域の両領域を覆うように前記圧電体膜を成膜し、
    前記特性変化工程において、前記基板中の物質を前記圧電体膜の前記除去部分に拡散させることを特徴とする請求項1または2に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  4. 前記圧電体膜成膜工程よりも前に、前記基板上で前記圧電体を形成しない領域に、前記圧電体膜へ拡散して前記圧電体膜の除去性を高める物質を含む拡散膜を成膜する拡散膜成膜工程を備え、
    前記圧電体膜成膜工程において、前記基板上で前記拡散膜が形成されている領域および前記拡散膜が成膜されていない領域の両領域を覆うように前記圧電体膜を成膜し、
    前記特性変化工程において、前記拡散膜中の物質を前記圧電体膜の前記除去部分に拡散させることを特徴とする請求項1または2に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  5. 前記圧電体膜成膜工程よりも前に、前記基板上で前記圧電体を形成すべき領域に、前記基板中の物質が前記圧電体膜へ拡散することを防止する拡散防止膜を成膜する拡散防止膜成膜工程を備えたことを特徴とする請求項4に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  6. 前記拡散防止膜は、窒化膜または酸化膜であることを特徴とする請求項3または5に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  7. 前記除去工程は、前記圧電体膜のうちで前記除去部分を機械的に研削する工程であり、
    前記特性変化工程は、前記圧電体膜のうちで前記除去部分の硬度を減少させる工程であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  8. 前記除去工程は、前記圧電体膜のうちで前記除去部分を化学反応により除去する工程であり、
    前記特性変化工程は、前記圧電体膜のうちで前記除去部分の化学反応速度を増加させる工程であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  9. 前記特性変化工程は、前記圧電体膜が成膜された前記基板の全体を加熱する熱処理、または、前記圧電体膜の前記除去部分に向けてレーザを照射するレーザ照射処理、または、前記圧電体膜の前記除去部分に対して化学反応処理を行う工程であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  10. 所定の基板上に下部電極と圧電体と上部電極とを有する複数の圧電アクチュエータを形成する圧電アクチュエータの製造方法において、
    前記基板上に、前記下部電極を形成する下部電極形成工程と、
    前記下部電極が形成されている前記基板上で前記圧電体を形成しない領域に、前記圧電体よりも線膨張係数が小さい下地膜を成膜する下地膜成膜工程と、
    前記基板上で前記下地膜が成膜されている領域および前記下地膜が成膜されていない領域の両領域を覆うように、圧電材料からなる圧電体膜を成膜する圧電体膜成膜工程と、
    前記圧電体膜上に、前記上部電極を形成する上部電極形成工程と、
    前記圧電体膜のうちで前記下地膜上に位置する部分のみを剥離することにより、互いに分離された複数の前記圧電体を形成する剥離工程と、
    を含むことを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法。
  11. 所定の基板を下部電極として用いて、該下部電極と圧電体と上部電極とを有する複数の圧電アクチュエータを形成する圧電アクチュエータの製造方法において、
    前記基板上で前記圧電体を形成しない領域に、前記圧電体よりも線膨張係数が小さい下地膜を成膜する下地膜成膜工程と、
    前記基板上で前記下地膜が成膜されている領域および前記下地膜が成膜されていない領域の両領域を覆うように、圧電材料からなる圧電体膜を成膜する圧電体膜成膜工程と、
    前記圧電体膜上に、前記上部電極を形成する上部電極形成工程と、
    前記圧電体膜のうちで前記下地膜上に位置する部分のみを剥離することにより、互いに分離された複数の前記圧電体を形成する剥離工程と、
    を含むことを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法。
  12. 所定の基板上に下部電極と圧電体と上部電極とを有する複数の圧電アクチュエータを形成する圧電アクチュエータの製造方法において、
    前記基板上に、前記下部電極を形成する下部電極形成工程と、
    前記下部電極が形成されている前記基板上に、圧電材料からなる圧電体膜を成膜する圧電体膜成膜工程と、
    前記圧電体膜上に、前記上部電極を形成する上部電極形成工程と、
    前記圧電体膜のうちで前記圧電体として用いられる使用部分以外の中間部分に対して、ヤング率を減少させる特性変化を与えることにより、前記圧電体膜を前記使用部分と該使用部分よりもヤング率が小さい前記中間部分とに分割して前記使用部分からなる複数の前記圧電体を形成する特性変化工程と、
    を含むことを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法。
  13. 所定の基板を下部電極として用いて、該下部電極と圧電体と上部電極とを有する複数の圧電アクチュエータを形成する圧電アクチュエータの製造方法において、
    前記基板上に、圧電材料からなる圧電体膜を成膜する圧電体膜成膜工程と、
    前記圧電体膜上に、前記上部電極を形成する上部電極形成工程と、
    前記圧電体膜のうちで前記圧電体として用いられる使用部分以外の中間部分に対して、ヤング率を減少させる特性変化を与えることにより、前記圧電体膜を前記使用部分と該使用部分よりもヤング率が小さい前記中間部分とに分割して前記使用部分からなる複数の前記圧電体を形成する特性変化工程と、
    を含むことを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法。
  14. 前記圧電体膜成膜工程よりも前に、前記基板上で前記圧電体を形成しない領域に、前記圧電体膜へ拡散して前記圧電体膜のヤング率を減少させる物質を含む拡散膜を成膜する拡散膜成膜工程を備え、
    前記圧電体膜成膜工程において、前記基板上で前記拡散膜が形成されている領域および前記拡散膜が成膜されていない領域の両領域を覆うように前記圧電体膜を成膜し、
    前記特性変化工程において、前記拡散膜中の物質を前記圧電体膜の前記中間部分に拡散させることを特徴とする請求項12または13に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  15. 前記圧電体膜成膜工程よりも前に、前記基板上で前記圧電体を形成すべき領域に、前記基板中の物質が前記圧電体膜へ拡散することを防止する拡散防止膜を成膜する拡散防止膜成膜工程を備えたことを特徴とする請求項14に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  16. 前記基板は、前記圧電体膜へ拡散して前記圧電体膜のヤング率を減少させる物質を含み、
    前記圧電体膜成膜工程よりも前に、前記基板上で前記圧電体を形成すべき領域に、前記基板中の物質が前記圧電体膜へ拡散することを防止する拡散防止膜を成膜する拡散防止膜成膜工程を備え、
    前記圧電体膜成膜工程において、前記基板上で前記拡散防止膜が成膜されている領域および前記拡散防止膜が成膜されていない領域の両領域を覆うように前記圧電体膜を成膜し、
    前記特性変化工程において、前記基板中の物質を前記圧電体膜の前記中間部分に拡散させることを特徴とする請求項12ないし15のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  17. 前記特性変化工程は、前記圧電体膜が成膜されている前記基板の全体を加熱する熱処理、または、前記圧電体膜のヤング率を減少させる中間部分に向けてレーザを照射するレーザ照射処理、または、前記圧電体膜のヤング率を減少させる中間部分に対して化学反応処理を行う工程であることを特徴とする請求項12ないし16のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  18. 液体を吐出するノズルに連通する圧力室を所定のプレートに形成する工程を備え、
    前記圧力室の容積を変化させることによって前記ノズルから液体を吐出させるための圧電アクチュエータを請求項1ないし17のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータの製造方法によって製造することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  19. 所定の媒体に向けてインクを吐出するノズルと、前記ノズルに連通する圧力室と、
    前記圧力室の容積を変化させることによって前記ノズルからインクを吐出させるための圧電アクチュエータとを有する液体吐出ヘッドを備えた画像形成装置の製造方法であって、
    前記圧電アクチュエータを請求項1ないし17のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータの製造方法によって製造することを特徴とする画像形成装置の製造方法。
  20. 所定の基板上に下部電極と圧電体と上部電極とを有する複数の圧電アクチュエータが形成されている圧電アクチュエータ構造体、または、所定の基板を下部電極として用いて、該下部電極と圧電体と上部電極とを有する複数の圧電アクチュエータからなる圧電アクチュエータ構造体において、
    複数の前記圧電体は、前記基板上で互いに分離されて形成されており、
    前記基板と前記圧電体との間であって前記基板上の前記圧電体が形成されている領域のみに、前記基板中の物質が前記圧電体へ拡散することを防止する拡散防止膜が成膜されていることを特徴とする圧電アクチュエータ構造体。
  21. 所定の基板上に下部電極と圧電体と上部電極とを有する複数の圧電アクチュエータが形成されている圧電アクチュエータ構造体、または、所定の基板を下部電極として用いて、該下部電極と圧電体と上部電極とを有する複数の圧電アクチュエータからなる圧電アクチュエータ構造体であって、
    複数の前記圧電体は、前記基板上で互いに分離されて形成されており、
    前記基板上で前記圧電体が形成されていない領域には、該領域から除去された圧電材料であって前記圧電体と同一の圧電材料の除去性を高める物質を含む拡散膜が成膜されていることを特徴とする圧電アクチュエータ構造体。
  22. 所定の基板上に下部電極と圧電体と上部電極とを有する複数の圧電アクチュエータが形成されている圧電アクチュエータ構造体、または、所定の基板を下部電極として用いて、該下部電極と圧電体と上部電極とを有する複数の圧電アクチュエータからなる圧電アクチュエータ構造体であって、
    前記基板よりも上に、圧電材料からなる圧電体膜が成膜され、該圧電体膜は、前記下部電極および前記上部電極によって挟まれて前記圧電体として使用される使用部分と、前記使用部分よりもヤング率が小さい中間部分とに分割されており、
    前記圧電体膜の前記中間部分と前記基板との間には、前記圧電体膜の前記中間部分へ拡散して該中間部分のヤング率を減少させる物質を含む拡散膜が成膜されていることを特徴とする圧電アクチュエータ構造体。
  23. 所定の基板上に下部電極と圧電体と上部電極とを有する複数の圧電アクチュエータが形成されている圧電アクチュエータ構造体、または、所定の基板を下部電極として用いて、該下部電極と圧電体と上部電極とを有する複数の圧電アクチュエータからなる圧電アクチュエータ構造体であって、
    前記基板よりも上に、圧電材料からなる圧電体膜が成膜され、該圧電体膜は、前記下部電極および前記上部電極によって挟まれて前記圧電体として使用される使用部分と、前記使用部分よりもヤング率が小さい中間部分とに分割されており、
    前記基板は、前記圧電体膜の中間部分へ拡散して該中間部分のヤング率を減少させる物質を含み、
    前記圧電体膜の前記使用部分と前記基板との間には、前記基板中の物質が前記圧電体膜の前記使用部分へ拡散することを防止する拡散防止膜が成膜されていることを特徴とする圧電アクチュエータ構造体。
  24. 液体を吐出する複数のノズルにそれぞれ連通する複数の圧力室と、
    前記圧力室の容積を変化させることによって前記ノズルから液体を吐出させるための複数の圧電アクチュエータを有する請求項20ないし23のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータ構造体と、
    を備えたことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  25. 所定の媒体に向けてインクを吐出する複数のノズルと、
    前記複数のノズルにそれぞれ連通する複数の圧力室と、
    前記圧力室の容積を変化させることによって前記ノズルからインクを吐出させるための複数の圧電アクチュエータを有する請求項20ないし23のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータ構造体と、
    を有する液体吐出ヘッドを備えたことを特徴とする画像形成装置。
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