JP2007248584A - 感光性組成物、感光性フィルム、永久パターン形成方法、及びプリント基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】バインダー、重合性化合物、光重合開始剤、熱架橋剤、及び触媒を含み、前記バインダーが、側鎖にカルボキシル基を有する高分子化合物のカルボキシル基にエポキシ基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物を付加させた特定の構造単位を少なくとも1つ有する高分子化合物を含み、かつ、前記触媒の残存量が、0.4質量%以下である感光性組成物。
【選択図】なし
Description
ここで、バインダー樹脂中に第3ホスフィンを0.5〜5重量%含有したり(特許文献1参照)、バインダー樹脂中に触媒を0.4〜0.6重量%含有して(特許文献2参照)、触媒の種類やその含有量を規定した提案はされている。
しかしながら、これらにおいても、感材の保存安定性不十分であり、バインダー樹脂の着色大きく感材の色味が悪いという問題も解決されていない。
<1> バインダー、重合性化合物、光重合開始剤、熱架橋剤、及び触媒を含み、
前記バインダーが、下記式(I)〜(III)のいずれかで表される構造単位を少なくとも1つ有する高分子化合物を含み、かつ、前記触媒の残存量が、0.4質量%以下であることを特徴とする感光性組成物である。該<1>に記載の感光性組成物においては、バインダーとして式(I)〜(III)のいずれかで表される構造単位を少なくとも1つ有する高分子化合物を含み、触媒の残存量を0.4質量%以下と規定したため、保存安定性に優れ、かつ、バインダー樹脂の着色を低減し感材の色味が悪くなること(色故障)を抑制し、高精細な永久パターン(保護膜、層間絶縁膜、及びソルダーレジストパターンなど)を効率よく形成することができる。
<2> 高分子化合物が、側鎖にカルボキシル基を有する高分子化合物のカルボキシル基に、エポキシ基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物を付加させて得られる前記<1>に記載の感光性組成物である。
<3> 触媒の残存量が、バインダー固形分量に対して、0.4質量%未満である前記<2>に記載の感光性組成物である。
<4> 触媒が、ヘテロ環状3級アミン化合物である前記<1>から<3>のいずれかに記載の感光性組成物である。
<6> 重合性化合物が、(メタ)アクリル基を有するモノマーから選択される少なくとも1種を含む前記<5>に記載の感光性組成物である。
<7> 光重合開始剤が、ハロゲン化炭化水素誘導体、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、メタロセン類、及びアシルホスフィンオキシド化合物から選択される少なくとも1種を含む前記<1>から<6>のいずれかに記載の感光性組成物である。
<8> 熱架橋剤が、エポキシ化合物を含む前記<1>から<7>のいずれかに記載の感光性組成物である。
<9> 熱架橋剤が、β位にアルキル基を有するエポキシ基を少なくとも含むエポキシ化合物である前記<8>に記載の感光性組成物である。
<10> 増感剤を含み、該増感剤がヘテロ縮環系ケトンである前記<1>から<9>のいずれかに記載の感光性組成物である。
<12> 感光層の厚みが1〜100μmである前記<11>に記載の感光性フィルムである。
<13> 支持体が、合成樹脂を含み、かつ透明である前記<11>から<12>のいずれかに記載の感光性フィルムである。
<14> 支持体が、長尺状である前記<11>から<13>のいずれかに記載の感光性フィルムである。
<15> 感光性フィルムが、長尺状であり、ロール状に巻かれてなる前記<11>から<14>のいずれかに記載の感光性フィルムである。
<16> 感光性フィルムにおける感光層上に保護フィルムを有する前記<11>から<15>のいずれかに記載の感光性フィルムである。
<18> 光変調手段が、形成するパターン情報に基づいて制御信号を生成するパターン信号生成手段を更に有してなり、光照射手段から照射される光を該パターン信号生成手段が生成した制御信号に応じて変調させる前記<17>に記載のパターン形成装置である。該<18>に記載のパターン形成装置においては、前記光変調手段が前記パターン信号生成手段を有することにより、前記光照射手段から照射される光が該パターン信号生成手段により生成した制御信号に応じて変調される。
<19> 光変調手段が、n個の描素部を有してなり、該n個の描素部の中から連続的に配置された任意のn個未満の前記描素部を、形成するパターン情報に応じて制御可能である前記<17>から<18>のいずれかに記載のパターン形成装置である。該<19>に記載のパターン形成装置においては、前記光変調手段におけるn個の描素部の中から連続的に配置された任意のn個未満の描素部をパターン情報に応じて制御することにより、前記光照射手段からの光が高速で変調される。
<20> 光変調手段が、空間光変調素子である前記<17>から<19>のいずれかに記載のパターン形成装置である。
<21> 空間光変調素子が、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)である前記<20>に記載のパターン形成装置である。
<22> 描素部が、マイクロミラーである前記<19>から<21>のいずれかに記載のパターン形成装置である。
<23> 光照射手段が、2以上の光を合成して照射可能である前記<17>から<22>のいずれかに記載のパターン形成装置である。該<23>に記載のパターン形成装置においては、前記光照射手段が2以上の光を合成して照射可能であることにより、露光が焦点深度の深い露光光によって行われる。この結果、前記感光層への露光が極めて高精細に行われる。例えば、その後、前記感光層を現像すると、極めて高精細なパターンが形成される。
<24> 光照射手段が、複数のレーザと、マルチモード光ファイバと、該複数のレーザからそれぞれ照射されたレーザ光を集光して前記マルチモード光ファイバに結合させる集合光学系とを有する前記<17>から<23>のいずれかに記載のパターン形成装置である。該<24>に記載のパターン形成装置においては、前記光照射手段が、前記複数のレーザからそれぞれ照射されたレーザ光が前記集合光学系により集光され、前記マルチモード光ファイバに結合可能であることにより、露光が焦点深度の深い露光光で行われる。この結果、前記感光層への露光が極めて高精細に行われる。例えば、その後、前記感光層を現像すると、極めて高精細なパターンが形成される。
<26> 感光層が、前記<11>から<16>のいずれかに記載の感光性フィルムにより形成された前記<25>に記載の永久パターン形成方法である。
<27> 露光が、350〜415nmの波長のレーザ光を用いて行われる前記<25>から<26>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<28> 露光が、形成するパターン情報に基づいて像様に行われる前記<25>から<27>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
前記露光ヘッドについて、使用描素部指定手段により、使用可能な前記描素部のうち、N重露光(ただし、Nは2以上の自然数)に使用する前記描素部を指定し、
前記露光ヘッドについて、描素部制御手段により、前記使用描素部指定手段により指定された前記描素部のみが露光に関与するように、前記描素部の制御を行い、
前記感光層に対し、前記露光ヘッドを走査方向に相対的に移動させて行われる前記<25>から<28>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。該<29>に記載の永久パターン形成方法においては、前記露光ヘッドについて、使用描素部指定手段により、使用可能な前記描素部のうち、N重露光(ただし、Nは2以上の自然数)に使用する前記描素部が指定され、描素部制御手段により、前記使用描素部指定手段により指定された前記描素部のみが露光に関与するように、前記描素部が制御される。前記露光ヘッドを、前記感光層に対し走査方向に相対的に移動させて露光が行われることにより、前記露光ヘッドの取付位置や取付角度のずれによる前記感光層の被露光面上に形成される前記パターンの解像度のばらつきや濃度のむらが均される。この結果、前記感光層への露光が高精細に行われ、その後、前記感光層を現像することにより、高精細なパターンが形成される。
<30> 露光が複数の露光ヘッドにより行われ、使用描素部指定手段が、複数の前記露光ヘッドにより形成される被露光面上の重複露光領域であるヘッド間つなぎ領域の露光に関与する描素部のうち、前記ヘッド間つなぎ領域におけるN重露光を実現するために使用する前記描素部を指定する前記<29>に記載の永久パターン形成方法である。該<30>に記載の永久パターン形成方法においては、露光が複数の露光ヘッドにより行われ、使用描素部指定手段が、複数の前記露光ヘッドにより形成される被露光面上の重複露光領域であるヘッド間つなぎ領域の露光に関与する描素部のうち、前記ヘッド間つなぎ領域におけるN重露光を実現するために使用する前記描素部が指定されることにより、前記露光ヘッドの取付位置や取付角度のずれによる前記感光層の被露光面上のヘッド間つなぎ領域に形成される前記パターンの解像度のばらつきや濃度のむらが均される。この結果、前記感光層への露光が高精細に行われる。例えば、その後、前記感光層を現像することにより、高精細なパターンが形成される。
<31> 露光が複数の露光ヘッドにより行われ、使用描素部指定手段が、複数の前記露光ヘッドにより形成される被露光面上の重複露光領域であるヘッド間つなぎ領域以外の露光に関与する描素部のうち、前記ヘッド間つなぎ領域以外の領域におけるN重露光を実現するために使用する前記描素部を指定する前記<30>に記載の永久パターン形成方法である。該<31>に記載の永久パターン形成方法においては、露光が複数の露光ヘッドにより行われ、使用描素部指定手段が、複数の前記露光ヘッドにより形成される被露光面上の重複露光領域であるヘッド間つなぎ領域以外の露光に関与する描素部のうち、前記ヘッド間つなぎ領域以外におけるN重露光を実現するために使用する前記描素部が指定されることにより、前記露光ヘッドの取付位置や取付角度のずれによる前記感光層の被露光面上のヘッド間つなぎ領域以外に形成される前記パターンの解像度のばらつきや濃度のむらが均される。この結果、前記感光層への露光が高精細に行われる。例えば、その後、前記感光層を現像することにより、高精細なパターンが形成される。
<32> 設定傾斜角度θが、N重露光数のN、描素部の列方向の個数s、前記描素部の列方向の間隔p、及び露光ヘッドを傾斜させた状態において該露光ヘッドの走査方向と直交する方向に沿った描素部の列方向のピッチδに対し、次式、spsinθideal≧Nδを満たすθidealに対し、θ≧θidealの関係を満たすように設定される前記<29>から<31>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<33> N重露光のNが、3以上の自然数である前記<29>から<32>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。該<33>に記載の永久パターン形成方法においては、N重露光のNが、3以上の自然数であることにより、多重描画が行われる。この結果、埋め合わせの効果により、前記露光ヘッドの取付位置や取付角度のずれによる前記感光層の被露光面上に形成される前記パターンの解像度のばらつきや濃度のむらが、より精密に均される。
描素部により生成され、被露光面上の露光領域を構成する描素単位としての光点位置を、被露光面上において検出する光点位置検出手段と、
前記光点位置検出手段による検出結果に基づき、N重露光を実現するために使用する描素部を選択する描素部選択手段と
を備える前記<29>から<33>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<35> 使用描素部指定手段が、N重露光を実現するために使用する使用描素部を、行単位で指定する前記<29>から<34>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<37> 実傾斜角度θ´が、露光ヘッドを傾斜させた状態における被露光面上の光点の列方向と前記露光ヘッドの走査方向とがなす複数の実傾斜角度の平均値、中央値、最大値、及び最小値のいずれかである前記<36>に記載の永久パターン形成方法である。
<38> 描素部選択手段が、実傾斜角度θ´に基づき、ttanθ´=N(ただし、NはN重露光数のNを表す)の関係を満たすtに近い自然数Tを導出し、m行(ただし、mは2以上の自然数を表す)配列された描素部における1行目から前記T行目の前記描素部を、使用描素部として選択する前記<34>から<37>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<39> 描素部選択手段が、実傾斜角度θ´に基づき、ttanθ´=N(ただし、NはN重露光数のNを表す)の関係を満たすtに近い自然数Tを導出し、m行(ただし、mは2以上の自然数を表す)配列された描素部における、(T+1)行目からm行目の前記描素部を、不使用描素部として特定し、該不使用描素部を除いた前記描素部を、使用描素部として選択する前記<34>から<38>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
(1)理想的なN重露光に対し、露光過多となる領域、及び露光不足となる領域の合計面積が最小となるように、使用描素部を選択する手段、
(2)理想的なN重露光に対し、露光過多となる領域の描素単位数と、露光不足となる領域の描素単位数とが等しくなるように、使用描素部を選択する手段、
(3)理想的なN重露光に対し、露光過多となる領域の面積が最小となり、かつ、露光不足となる領域が生じないように、使用描素部を選択する手段、及び
(4)理想的なN重露光に対し、露光不足となる領域の面積が最小となり、かつ、露光過多となる領域が生じないように、使用描素部を選択する手段
のいずれかである前記<34>から<39>に記載の永久パターン形成方法である。
<41> 描素部選択手段が、複数の露光ヘッドにより形成される被露光面上の重複露光領域であるヘッド間つなぎ領域において、
(1)理想的なN重露光に対し、露光過多となる領域、及び露光不足となる領域の合計面積が最小となるように、前記ヘッド間つなぎ領域の露光に関与する描素部から、不使用描素部を特定し、該不使用描素部を除いた前記描素部を、使用描素部として選択する手段、
(2)理想的なN重露光に対し、露光過多となる領域の描素単位数と、露光不足となる領域の描素単位数とが等しくなるように、前記ヘッド間つなぎ領域の露光に関与する描素部から、不使用描素部を特定し、該不使用描素部を除いた前記描素部を、使用描素部として選択する手段、
(3)理想的なN重露光に対し、露光過多となる領域の面積が最小となり、かつ、露光不足となる領域が生じないように、前記ヘッド間つなぎ領域の露光に関与する描素部から、不使用描素部を特定し、該不使用描素部を除いた前記描素部を、使用描素部として選択する手段、及び、
(4)理想的なN重露光に対し、露光不足となる領域の面積が最小となり、かつ、露光過多となる領域が生じないように、前記ヘッド間つなぎ領域の露光に関与する描素部から、不使用描素部を特定し、該不使用描素部を除いた前記描素部を、使用描素部として選択する手段、
のいずれかである前記<34>から<40>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<42> 不使用描素部が、行単位で特定される前記<41>に記載の永久パターン形成方法である。
<44> 使用描素部指定手段において使用描素部を指定するために、使用可能な前記描素部のうち、N重露光のNに対し、1/N行毎の描素部行を構成する前記描素部のみを使用して参照露光を行う前記<29>から<42>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。該<44>に記載の永久パターン形成方法においては、使用描素部指定手段において使用描素部を指定するために、使用可能な前記描素部のうち、N重露光のNに対し、1/N行毎の描素部列を構成する前記描素部のみを使用して参照露光が行われ、略1重描画の単純なパターンが得られる。この結果、前記ヘッド間つなぎ領域における前記描素部が容易に指定される。
<46> N重露光のNが、3以上7以下の自然数である前記<29>から<45>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<48> 光変調手段が、空間光変調素子である前記<29>から<47>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<49> 空間光変調素子が、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)である前記<48>に記載の永久パターン形成方法である。
<50> 描素部が、マイクロミラーである前記<29>から<49>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<51> パターン情報が表すパターンの所定部分の寸法が、指定された使用描素部により実現できる対応部分の寸法と一致するように前記パターン情報を変換する変換手段を有する前記<29>から<50>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。
<53> 光照射手段が、複数のレーザと、マルチモード光ファイバと、該複数のレーザからそれぞれ照射されたレーザ光を集光して前記マルチモード光ファイバに結合させる集合光学系とを有する前記<29>から<52>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。該<53>に記載の永久パターン形成方法においては、前記光照射手段が、前記複数のレーザからそれぞれ照射されたレーザ光が前記集合光学系により集光され、前記マルチモード光ファイバに結合可能であることにより、露光が焦点深度の深い露光光で行われる。この結果、前記感光性フィルムへの露光が極めて高精細に行われる。例えば、その後、前記感光層を現像すると、極めて高精細なパターンが形成される。
<55> 現像が行われた後、永久パターンの形成を行う前記<54>に記載の永久パターン形成方法である。
<56> 現像が行われた後、感光層に対して硬化処理を行う前記<55>に記載の永久パターン形成方法である。
<57> 硬化処理が、全面露光処理及び120〜200℃で行われる全面加熱処理の少なくともいずれかである前記<56>に記載の永久パターン形成方法である。
<58> 保護膜、層間絶縁膜、及びソルダーレジストパターンの少なくともいずれかを形成する前記<56>から<57>のいずれかに記載の永久パターン形成方法である。該<58>に記載の永久パターン形成方法では、保護膜、層間絶縁膜、及びソルダーレジストパターンの少なくともいずれかが形成されるので、該膜の有する絶縁性、耐熱性などにより、配線が外部からの衝撃や曲げなどから保護される。
本発明の感光性組成物は、バインダー、重合性化合物、光重合開始剤、熱架橋剤、及び触媒を含み、必要に応じて、その他の成分を含んでなる。
前記バインダーとしては、下記式(I)〜(III)のいずれかで表される構造単位を少なくとも1つ有する高分子化合物を含む。
前記バインダーは、水に不溶で、かつ、アルカリ性水溶液により膨潤乃至は溶解する化合物が好ましい。
前記X、Y、及びZにおける有機連結基としては、例えば、非金属原子からなる多価の有機基であり、1から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から100個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から成り立つものが挙げられる。
より具体的な前記有機連結基としては、下記の構造単位が組み合わさって構成されるものを挙げることができる。
前記ラジカル重合法としては、例えば、懸濁重合法、溶液重合法などを用いるのが一般的である。
前記ラジカル重合性化合物としては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、N,N−2置換アクリルアミド類、N,N−2置換メタクリルアミド類、スチレン類、アクリロニトリル類、メタクリロニトリル類などが挙げられる。
前記アリールメタクリレートとしては、例えば、フェニルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレートなどが挙げられる。
前記ハロゲンスチレン類としては、例えば、クロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、テトラクロルスチレン、ペンタクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ヨードスチレン、フルオルスチレン、トリフルオルスチレン、2−ブロム−4−トリフルオルメチルスチレン、4−フルオル−3−トリフルオルメチルスチレンなどが挙げられる。
前記ラジカル重合性化合物の含有量は、特に制限はないが、例えば、0〜95モル%が好ましく、20〜90モル%が特に好ましい。
前記カルボキシル基の含有量は、1.0〜4.0meq/gが好ましく、1.5〜3.0meq/gがより好ましい。前記含有量が、1.0meq/g未満では、現像性が不十分となることがあり、4.0meq/gを超えると、アルカリ水現像による画像強度ダメージを受けやすくなることがある。
前記式(I)〜(III)のいずれかで表される構造単位を少なくとも1つ有する高分子化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、他の高分子化合物を混合して用いてもよい。この場合、前記他の高分子化合物の前記式(I)〜(III)のいずれかで表される構造単位を少なくとも1つ有する高分子化合物における含有量は、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
前記側鎖にカルボキシル基を有する高分子化合物のカルボキシル基に、エポキシ基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物を付加させるに際しては、反応を迅速に行う観点から、触媒を用いる。
ここで、本発明において「触媒」とは、前記側鎖にカルボキシル基を有する高分子化合物のカルボキシル基に、エポキシ基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物を付加させる反応を促進するための物質を意味し、該物質が前記反応を促進していることは、例えば、ガスクロマトグラフィーを用いて、エポキシ基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物が消費される速度と触媒無添加での速度を測定することにより確認できる。
前記アルキル尿素としては、例えば、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩、テトラメチル尿素などが挙げられる。
前記アルキルグアニジンとしては、例えば、テトラメチルグアニジンなどが挙げられる。
前記ホスフィン化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィンなどが挙げられる。
前記鎖状アルキル3級アミン化合物としては、例えば、ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、トリ-n-オクチルアミンなどが挙げられる。
前記芳香族3級アミン化合物としては、例えば、ピリジン、ピコリン、ルチジン、ジメチルアミノピリジンなどが挙げられる。
前記ヘテロ環状3級アミン化合物としては、例えば、N−メチルピロリジン、N-メチルピペリジン、1,4−ジメチルピペラジン、キヌクリジン、1,4−ジアザビシクロ{2.2.2}オクタン(DABCO)、N−メチルモルホリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノ−5−ネン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ−5−セン(DBU)などが挙げられる。
また、前記触媒のバインダー固形分における固形分残存量は、0.4質量%未満であり、0.3質量%以下が好ましい。
ここで、前記触媒の残存量は、例えば、高速液体クロマトグラフィ、ガスクロマトグラフィを用いて測定することができる。
前記重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、エチレン性不飽和結合を1つ以上有する化合物が好ましい。
前記光重合開始剤としては、前記重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができるが、例えば、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましく、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよく、モノマーの種類に応じてカチオン重合を開始させるような開始剤であってもよい。
また、前記光重合開始剤は、波長約300〜800nmの範囲内に少なくとも約50の分子吸光係数を有する成分を少なくとも1種含有していることが好ましい。前記波長は330〜500nmがより好ましい。
前記光重合開始剤の特に好ましい例としては、後述する露光において、波長が405nmのレーザ光に対応可能である、前記ホスフィンオキサイド類、前記α−アミノアルキルケトン類、前記トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素化合物と後述する増感剤としてのアミン化合物とを組合せた複合光開始剤、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、あるいは、チタノセンなどが挙げられる。
前記熱架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記感光性フィルムを用いて形成される感光層の硬化後の膜強度を改良するために、現像性等に悪影響を与えない範囲で、例えば、エポキシ化合物を含む化合物を用いることができる。
前記エポキシ化合物としては、例えば、ビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂(「YX4000ジャパンエポキシレジン社製」等)又はこれらの混合物、イソシアヌレート骨格等を有する複素環式エポキシ樹脂(「TEPIC;日産化学工業社製」、「アラルダイトPT810;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製」等)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾ−ルノボラック型エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂(例えば、低臭素化エポキシ樹脂、高ハロゲン化エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂など)、アリル基含有ビスフェノールA型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジフェニルジメタノール型エポキシ樹脂、フェノールビフェニレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(「HP−7200,HP−7200H;大日本インキ化学工業社製」等)、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジグリシジルアニリン、トリグリシジルアミノフェノール等)、グリジジルエステル型エポキシ樹脂(フタル酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル等)ヒダントイン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’、4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジエポキシド、「GT−300、GT−400、ZEHPE3150;ダイセル化学工業製」等、)、イミド型脂環式エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、グリシジルフタレート樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、ナフタレン基含有エポキシ樹脂(ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、市販品としては「ESN−190,ESN−360;新日鉄化学社製」、「HP−4032,EXA−4750,EXA−4700;大日本インキ化学工業社製」等)、フェノール化合物とジビニルベンゼンやジシクロペンタジエン等のジオレフィン化合物との付加反応によって得られるポリフェノール化合物と、エピクロルヒドリンとの反応物、4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサイドの開環重合物を過酢酸等でエポキシ化したもの、線状含リン構造を有するエポキシ樹脂、環状含リン構造を有するエポキシ樹脂、α―メチルスチルベン型液晶エポキシ樹脂、ジベンゾイルオキシベンゼン型液晶エポキシ樹脂、アゾフェニル型液晶エポキシ樹脂、アゾメチンフェニル型液晶エポキシ樹脂、ビナフチル型液晶エポキシ樹脂、アジン型エポキシ樹脂、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂(「CP−50S,CP−50M;日本油脂社製」等)、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートとの共重合エポキシ樹脂、ビス(グリシジルオキシフェニル)フルオレン型エポキシ樹脂、ビス(グリシジルオキシフェニル)アダマンタン型エポキシ樹脂などが挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのエポキシ樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記β位にアルキル基を有するエポキシ基を少なくとも含むエポキシ化合物は、1分子中に含まれる2個以上のエポキシ基のすべてがβ−アルキル置換グリシジル基であってもよく、少なくとも1個のエポキシ基がβ−アルキル置換グリシジル基であってもよい。
前記β−アルキル置換グリシジル基としては、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、β−メチルグリシジル基、β−エチルグリシジル基、β−プロピルグリシジル基、β−ブチルグリシジル基、などが挙げられ、これらの中でも、前記感光性樹脂組成物の保存安定性を向上させる観点、及び合成の容易性の観点から、β−メチルグリシジル基が好ましい。
これらの中でも、下記構造式(i)で表されるビスフェノール化合物、及びこれとエピクロロヒドリンなどから得られる重合体から誘導されるβ−アルキルグリシジルエーテル、及び下記構造式(ii)で表されるフェノール化合物−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテルが好ましい。
ただし、前記構造式(ii)中、Rは水素原子及び炭素数1〜6のアルキル基のいずれかを表し、R”は水素原子、及びCH3のいずれかを表し、nは0〜20の整数を表す。
これらβ位にアルキル基を有するエポキシ基を含むエポキシ化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また1分子中に少なくとも2つのオキシラン環を有するエポキシ化合物、及びβ位にアルキル基を有するエポキシ基を含むエポキシ化合物を併用することも可能である。
前記エポキシ化合物、及びこれらとカルボン酸との熱硬化を促進可能な化合物の前記感光性組成物固形分中の固形分含有量は、0.01〜15質量%が好ましい。
前記その他の成分としては、例えば、増感剤、熱重合禁止剤、可塑剤、着色剤(着色顔料あるいは染料)、体質顔料、などが挙げられ、更に基材表面への密着促進剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を併用してもよい。
これらの成分を適宜含有させることにより、目的とする感光性フィルムの安定性、写真性、膜物性などの性質を調整することができる。
前記増感剤としては、特に制限はなく、公知の増感剤の中から適宜選択することができるが、例えば、公知の多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、インドカルボシアニン、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、アクリドン類(例えば、アクリドン、クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン、N−ブチル−クロロアクリドン、2−クロロ−10−ブチルアクリドン等)、クマリン類(例えば、3−(2−ベンゾフロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾフロイル)−7−(1−ピロリジニル)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−メトキシベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジメチルアミノベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジ−n−プロポキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(2−フロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジエチルアミノクマリン、7−メトキシ−3−(3−ピリジルカルボニル)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリン等)、及びチオキサントン化合物(チオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−時エチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルオキシチオキサントン、QuantacureQTX等)などがあげられ、他に特開平5-19475号、特開平7-271028号、特開2002-363206号、特開2002-363207号、特開2002-363208号、特開2002-363209号等の各公報に記載のクマリン化合物など)が挙げられ、これらの中でも、芳香族環や複素環が縮環した化合物(縮環系化合物)が好ましく、ヘテロ縮環系ケトン化合物、及びアクリジン類がより好ましい。前記ヘテロ縮環系ケトン化合物の中でも、アクリドン化合物及びチオキサントン化合物が特に好ましい。
前記含有量が、0.01質量%未満となると、感度が低下することがあり、4質量%を超えると、パターンの形状が悪化することがある。
前記熱重合禁止剤は、前記感光層における前記重合性化合物の熱的な重合又は経時的な重合を防止するために添加してもよい。
前記熱重合禁止剤としては、例えば、4−メトキシフェノール、ハイドロキノン、アルキルまたはアリール置換ハイドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、塩化第一銅、フェノチアジン、クロラニル、ナフチルアミン、β−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−4−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ピリジン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ピクリン酸、4−トルイジン、メチレンブルー、銅と有機キレート剤反応物、サリチル酸メチル、及びフェノチアジン、ニトロソ化合物、ニトロソ化合物とAlとのキレート、などが挙げられる。
前記含有量が、0.001質量%未満であると、保存時の安定性が低下することがあり、5質量%を超えると、活性エネルギー線に対する感度が低下することがある。
前記可塑剤は、前記感光層の膜物性(可撓性)をコントロールするために添加してもよい。
前記可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジフェニルフタレート、ジアリルフタレート、オクチルカプリールフタレート等のフタル酸エステル類;トリエチレングリコールジアセテート、テトラエチレングリコールジアセテート、ジメチルグリコースフタレート、エチルフタリールエチルグリコレート、メチルフタリールエチルグリコレート、ブチルフタリールブチルグリコレート、トリエチレングリコールジカブリル酸エステル等のグリコールエステル類;トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;4−トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−n−ブチルベンゼンスルホンアミド、N−n−ブチルアセトアミド等のアミド類;ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセパケート、ジオクチルセパケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレート等の脂肪族二塩基酸エステル類;クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチル、4,5−ジエポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジオクチル等、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類が挙げられる。
前記着色顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビクトリア・ピュアーブルーBO(C.I.42595)、オーラミン(C.I.41000)、ファット・ブラックHB(C.I.26150)、モノライト・エローGT(C.I.ピグメント・エロー12)、パーマネント・エローGR(C.I.ピグメント・エロー17)、パーマネント・エローHR(C.I.ピグメント・エロー83)、パーマネント・カーミンFBB(C.I.ピグメント・レッド146)、ホスターバームレッドESB(C.I.ピグメント・バイオレット19)、パーマネント・ルビーFBH(C.I.ピグメント・レッド11)ファステル・ピンクBスプラ(C.I.ピグメント・レッド81)モナストラル・ファースト・ブルー(C.I.ピグメント・ブルー15)、モノライト・ファースト・ブラックB(C.I.ピグメント・ブラック1)、カーボン、C.I.ピグメント・レッド97、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド149、C.I.ピグメント・レッド168、C.I.ピグメント・レッド177、C.I.ピグメント・レッド180、C.I.ピグメント・レッド192、C.I.ピグメント・レッド215、C.I.ピグメント・グリーン7、C.I.ピグメント・グリーン36、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:4、C.I.ピグメント・ブルー15:6、C.I.ピグメント・ブルー22、C.I.ピグメント・ブルー60、C.I.ピグメント・ブルー64などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、必要に応じて、公知の染料の中から、適宜選択した染料を使用することができる。
前記感光性組成物には、必要に応じて、永久パターンの表面硬度の向上、あるいは線膨張係数を低く抑えること、あるいは、硬化膜自体の誘電率や誘電正接を低く抑えることを目的として、無機顔料や有機微粒子を添加することができる。
前記無機顔料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、カオリン、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、気相法シリカ、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、マイカなどが挙げられる。
前記無機顔料の平均粒径は、10μm未満が好ましく、3μm以下がより好ましい。該平均粒径が10μm以上であると、光錯乱により解像度が劣化することがある。
前記有機微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂などが挙げられる。また、平均粒径1〜5μm、吸油量100〜200m2/g程度のシリカ、架橋樹脂からなる球状多孔質微粒子などを用いることができる。
各層間の密着性、又は感光性フィルムと基体との密着性を向上させるために、各層に公知のいわゆる密着促進剤を用いることができる。
本発明の感光性フィルムは、支持体と、該支持体上に本発明の感光性組成物からなる感光層を有し、目的に応じて、熱可塑性樹脂層等の適宜選択されるその他の層を積層してなる。
前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記感光層を剥離可能であり、かつ光の透過性が良好であるものが好ましく、更に表面の平滑性が良好であることがより好ましい。
前記感光層は、上述したように、本発明の感光性組成物を用いて形成される。
前記感光層は、これをを露光し現像する場合において、該感光層の露光する部分の厚みを該露光及び現像後において変化させない前記露光に用いる光の最小エネルギーが、0.1〜50mJ/cm2であることが好ましく、0.2〜40mJ/cm2であることがより好ましく、0.5〜30mJ/cm2であることが特に好ましい。
前記最小エネルギーが、0.1mJ/cm2未満であると、処理工程にてカブリが発生することがあり、50mJ/cm2を超えると、露光に必要な時間が長くなり、処理スピードが遅くなることがある。
前記硬化層の厚みは、前記露光量が増えるに従い増加していき、その後、前記露光前の前記感光層の厚みと略同一かつ略一定となる。前記現像感度は、前記硬化層の厚みが略一定となったときの最小露光量を読み取ることにより求められる値である。
ここで、前記硬化層の厚みと前記露光前の前記感光層の厚みとが±1μm以内であるとき、前記硬化層の厚みが露光及び現像により変化していないとみなす。
前記硬化層及び前記露光前の前記感光層の厚みの測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、膜厚測定装置、表面粗さ測定機(例えば、サーフコム1400D(東京精密社製))などを用いて測定する方法が挙げられる。
前記感光性フィルムは、前記感光層上に保護フィルムを形成してもよい。
前記保護フィルムとしては、例えば、前記支持体に使用されるもの、紙、ポリエチレン、ポリプロピレンがラミネートされた紙、などが挙げられ、これらの中でも、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムが好ましい。
前記保護フィルムの厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、5〜100μmが好ましく、8〜50μmがより好ましく、10〜30μmが特に好ましい。
前記支持体と保護フィルムとの組合せ(支持体/保護フィルム)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリ塩化ビニル/セロフアン、ポリイミド/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。また、支持体及び保護フィルムの少なくともいずれかを表面処理することにより、層間接着力を調整することができる。前記支持体の表面処理は、前記感光層との接着力を高めるために施されてもよく、例えば、下塗層の塗設、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、高周波照射処理、グロー放電照射処理、活性プラズマ照射処理、レーザ光線照射処理などを挙げることができる。
前記静摩擦係数が、0.3未満であると、滑り過ぎるため、ロール状にした場合に巻ズレが発生することがあり、1.4を超えると、良好なロール状に巻くことが困難となることがある。
前記その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱可塑性樹脂層、バリア層、剥離層、接着層、光吸収層、表面保護層等の層が挙げられる。前記感光性フィルムは、これらの層を1種単独で有していてもよく、2種以上を有していてもよい。
前記熱可塑性樹脂層(以下、「クッション層」と称することもある。)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、アルカリ性液に対して膨潤性乃至可溶性であってもよく、不溶性であってもよい。
前記軟化点が80℃以下の熱可塑性樹脂としては、上述した熱可塑性樹脂の他、「プラスチック性能便覧」(日本プラスチック工業連盟、全日本プラスチック成形工業連合会編著、工業調査会発行、1968年10月25日発行)による軟化点が約80℃以下の有機高分子の内、アルカリ性液に可溶なものが挙げられる。また、軟化点が80℃以上の有機高分子物質においても、該有機高分子物質中に該有機高分子物質と相溶性のある各種の可塑剤を添加して実質的な軟化点を80℃以下に下げることも可能である。
前記エチレンを必須の共重合成分とする共重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)などが挙げられる。
前記エチレンの共重合比が、60質量%未満になると、前記クッション層と前記感光層との層間接着力が高くなり、該クッション層と該感光層との界面で剥離することが困難となることがあり、90質量%を超えると、前記クッション層と前記感光層との層間接着力が小さくなりすぎるため、該クッション層と該感光層との間で非常に剥離しやすく、前記クッション層を含む感光性フィルムの製造が困難となることがある。
前記厚みが、5μm未満になると、基体の表面における凹凸や、気泡等への凹凸追従性が低下し、高精細な永久パターンを形成できないことがあり、50μmを超えると、製造上の乾燥負荷増大等の不具合が生じることがある。
前記感光性フィルムは、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、前記感光性組成物に含まれる材料を、水又は有機溶剤に溶解、乳化又は分散させて、感光性フィルム用の感光性組成物溶液を調製する。また、公知の界面活性剤を添加してもよい。
前記乾燥の条件としては、各成分、溶媒の種類、使用割合等によっても異なるが、通常60〜110℃の温度で30秒間〜15分間程度である。
前記感光性積層体は、基体上に、前記感光層を少なくとも有し、目的に応じて適宜選択されるその他の層を積層してなる。
前記基体は、感光層が形成される被処理基体、又は本発明の感光性フィルムの少なくとも感光層が転写される被転写体となるもので、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、表面平滑性の高いものから凸凹のある表面を持つものまで任意に選択できる。板状の基体が好ましく、いわゆる基板が使用される。具体的には、公知のプリント配線板製造用の基板(プリント基板)、ガラス板(ソーダガラス板など)、合成樹脂性のフィルム、紙、金属板などが挙げられる。
前記感光性積層体の製造方法として、第1の態様として、前記感光性組成物を前記基体の表面に塗布し乾燥する方法が挙げられ、第2の態様として、本発明の感光性フィルムにおける少なくとも感光層を加熱及び加圧の少なくともいずれかを行いながら転写して積層する方法が挙げられる。
前記塗布及び乾燥の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記基体の表面に、前記感光性組成物を、水又は溶剤に溶解、乳化又は分散させて感光性組成物溶液を調製し、該溶液を直接塗布し、乾燥させることにより積層する方法が挙げられる。
前記加熱温度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、15〜180℃が好ましく、60〜140℃がより好ましい。
前記加圧の圧力は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1〜1.0MPaが好ましく、0.2〜0.8MPaがより好ましい。
なお、本発明の前記パターン形成装置は、本発明の前記永久パターン形成方法の説明を通じて明らかにする。
前記露光工程は、本発明の感光性フィルムにおける感光層に対し、露光を行う工程である。本発明の前記感光性フィルム、及び基材の材料については上述の通りである。
前記N重露光のNとしては、2以上の自然数であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3以上の自然数が好ましく、3以上7以下の自然数がより好ましい。
前記パターン形成装置としては、いわゆるフラットベッドタイプの露光装置とされており、図1に示すように、前記感光性フィルムにおける少なくとも前記感光層が積層されてなるシート状の感光材料12(以下、「感光層12」ということがある)を表面に吸着して保持する平板状の移動ステージ14を備えている。4本の脚部16に支持された厚い板状の設置台18の上面には、ステージ移動方向に沿って延びた2本のガイド20が設置されている。ステージ14は、その長手方向がステージ移動方向を向くように配置されると共に、ガイド20によって往復移動可能に支持されている。なお、このパターン形成装置10には、ステージ14をガイド20に沿って駆動するステージ駆動装置(図示せず)が設けられている。
各露光ヘッド30は、後述する内部のデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)36の各描素部(マイクロミラー)列方向が、走査方向と所定の設定傾斜角度θをなすように、スキャナ24に取り付けられている。このため、各露光ヘッド30による露光エリア32は、走査方向に対して傾斜した矩形状のエリアとなる。ステージ14の移動に伴い、感光層12には露光ヘッド30ごとに帯状の露光済み領域34が形成される。図2及び図3Bに示す例では、2行5列の略マトリックス状に配列された10個の露光ヘッドが、スキャナ24に備えられている。
なお、以下において、m行目のn列目に配列された個々の露光ヘッドを示す場合は、露光ヘッド30mnと表記し、m行目のn列目に配列された個々の露光ヘッドによる露光エリアを示す場合は、露光エリア32mnと表記する。
前記光変調手段としては、n個(ただし、nは2以上の自然数)の2次元状に配列された前記描素部を有し、前記パターン情報に応じて前記描素部を制御可能なものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、空間光変調素子が好ましい。
前記制御信号としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、デジタル信号が好適に挙げられる。
DMD36は図6に示すように、SRAMセル(メモリセル)56上に、各々描素(ピクセル)を構成する描素部として、多数のマイクロミラー58が格子状に配列されてなるミラーデバイスである。本実施形態では、1024列×768行のマイクロミラー58が配されてなるDMD36を使用するが、このうちDMD36に接続されたコントローラにより駆動可能すなわち使用可能なマイクロミラー58は、1024列×256行のみであるとする。DMD36のデータ処理速度には限界があり、使用するマイクロミラー数に比例して1ライン当りの変調速度が決定されるので、このように一部のマイクロミラーのみを使用することにより1ライン当りの変調速度が速くなる。各マイクロミラー58は支柱に支えられており、その表面にはアルミニウム等の反射率の高い材料が蒸着されている。なお、本実施形態では、各マイクロミラー58の反射率は90%以上であり、その配列ピッチは縦方向、横方向ともに13.7μmである。SRAMセル56は、ヒンジ及びヨークを含む支柱を介して通常の半導体メモリの製造ラインで製造されるシリコンゲートのCMOSのものであり、全体はモノリシック(一体型)に構成されている。
前記光照射手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(超)高圧水銀灯、キセノン灯、カーボンアーク灯、ハロゲンランプ、複写機用などの蛍光管、LED、半導体レーザ等の公知光源、又は2以上の光を合成して照射可能な手段が挙げられ、これらの中でも2以上の光を合成して照射可能な手段が好ましい。
前記光照射手段から照射される光としては、例えば、支持体を介して光照射を行う場合には、該支持体を透過し、かつ用いられる光重合開始剤や増感剤を活性化する電磁波、紫外から可視光線、電子線、X線、レーザ光などが挙げられ、これらの中でもレーザ光が好ましく、2以上の光を合成したレーザ(以下、「合波レーザ」と称することがある)がより好ましい。また支持体を剥離してから光照射を行う場合でも、同様の光を用いることができる。
前記レーザ光の波長は、例えば、200〜1,500nmが好ましく、300〜800nmがより好ましく、330〜500nmが更に好ましく、400〜450nmが特に好ましい。
ファイバアレイ光源38は、図8に示すように、複数(たとえば14個)のレーザモジュール60を備えており、各レーザモジュール60には、マルチモード光ファイバ62の一端が結合されている。マルチモード光ファイバ62の他端には、マルチモード光ファイバ62より小さいクラッド径を有する光ファイバ64が結合されている。図9に詳しく示すように、光ファイバ64のマルチモード光ファイバ62と反対側の端部は走査方向と直交する方向に沿って7個並べられ、それが2列に配列されてレーザ出射部66が構成されている。
前記使用描素部指定手段としては、描素単位としての光点の位置を被露光面上において検出する光点位置検出手段と、前記光点位置検出手段による検出結果に基づき、N重露光を実現するために使用する描素部を選択する描素部選択手段とを少なくとも備えることが好ましい。
以下、前記使用描素部指定手段による、N重露光に使用する描素部の指定方法の例について説明する。
本実施形態(1)では、パターン形成装置10により、感光材料12に対して2重露光を行う場合であって、各露光ヘッド30の取付角度誤差に起因する解像度のばらつきと濃度むらとを軽減し、理想的な2重露光を実現するための使用描素部の指定方法を説明する。
この角度θidealは、N重露光の数N、使用可能なマイクロミラー58の列方向の個数s、使用可能なマイクロミラー58の列方向の間隔p、及び露光ヘッド30を傾斜させた状態においてマイクロミラーによって形成される走査線のピッチδに対し、下記式1、
spsinθideal≧Nδ(式1)
により与えられる。本実施形態におけるDMD36は、上記のとおり、縦横の配置間隔が等しい多数のマイクロミラー58が矩形格子状に配されたものであるので、
pcosθideal=δ(式2)
であり、上記式1は、
stanθideal=N(式3)
となる。本実施形態(1)では、上記のとおりs=256、N=2であるので、前記式3より、角度θidealは約0.45度である。したがって、設定傾斜角度θは、たとえば0.50度程度の角度を採用するとよい。パターン形成装置10は、調整可能な範囲内で、各露光ヘッド30すなわち各DMD36の取付角度がこの設定傾斜角度θに近い角度となるように、初期調整されているものとする。
なお、図10では、説明の便宜のため、使用可能なマイクロミラー58の奇数列による露光パターンと偶数列による露光パターンを分けて示してあるが、実際の被露光面上における露光パターンは、これら2つの露光パターンを重ね合わせたものである。
図10の例に現れている角度歪みは、走査方向に対する傾斜角度が、図の左方の列ほど小さく、図の右方の列ほど大きくなっている形態の歪みである。この角度歪みの結果として、露光過多となっている領域は、図の左方に示した被露光面上ほど小さく、図の右方に示した被露光面上ほど大きくなっている。
実傾斜角度θ´は、光点位置検出手段が検出した少なくとも2つの光点位置に基づき、露光ヘッドを傾斜させた状態における被露光面上の光点の列方向と前記露光ヘッドの走査方向とがなす角度により特定される。
以下、図11及び12を用いて、前記実傾斜角度θ´の特定、及び使用画素選択処理について説明する。
図11は、1つのDMD36による露光エリア32と、対応するスリット28との位置関係を示した上面図である。スリット28の大きさは、露光エリア32の幅を十分覆う大きさとされている。
本実施形態(1)の例では、露光エリア32の略中心に位置する第512列目の光点列と露光ヘッド30の走査方向とがなす角度を、上記の実傾斜角度θ´として測定する。具体的には、DMD36上の第1行目第512列目のマイクロミラー58、及び第256行目第512列目のマイクロミラー58をオン状態とし、それぞれに対応する被露光面上の光点P(1,512)及びP(256,512)の位置を検出し、それらを結ぶ直線と露光ヘッドの走査方向とがなす角度を実傾斜角度θ´として特定する。
まず、第256行目第512列目のマイクロミラー58を点灯させた状態で、ステージ14をゆっくり移動させてスリット28をY軸方向に沿って相対移動させ、光点P(256,512)が上流側のスリット28aと下流側のスリット28bの間に来るような任意の位置に、スリット28を位置させる。このときのスリット28aとスリット28bとの交点の座標を(X0,Y0)とする。この座標(X0,Y0)の値は、ステージ14に与えられた駆動信号が示す上記の位置までのステージ14の移動距離、及び、既知であるスリット28のX方向位置から決定され、記録される。
このようにして特定された実傾斜角度θ´を用い、前記光検出器に接続された前記演算装置は、下記式4
ttanθ´=N(式4)
の関係を満たす値tに最も近い自然数Tを導出し、DMD36上の1行目からT行目のマイクロミラーを、本露光時に実際に使用するマイクロミラーとして選択する処理を行う。これにより、第512列目付近の露光領域において、理想的な2重露光に対して、露光過多となる領域と、露光不足となる領域との面積合計が最小となるようなマイクロミラーを、実際に使用するマイクロミラーとして選択することができる。
また、値t以下の最大の自然数を導出することとしてもよい。その場合、第512列目付近の露光領域において、理想的な2重露光に対して、露光不足となる領域の面積が最小になり、かつ露光過多となる領域が生じないようなマイクロミラーを、実際に使用するマイクロミラーとして選択することができる。
この例では、上記の自然数TとしてT=253が導出され、第1行目から第253行目のマイクロミラーが選択されたものとする。選択されなかった第254行目から第256行目のマイクロミラーに対しては、前記描素部制御手段により、常時オフ状態の角度に設定する信号が送られ、それらのマイクロミラーは、実質的に露光に関与しない。図13に示すとおり、第512列目付近の露光領域では、露光過多及び露光不足は、ほぼ完全に解消され、理想的な2重露光に極めて近い均一な露光が実現される。
しかしながら、図示の奇数列による露光パターンと偶数列による露光パターンとを重ね合わせてなる実際の露光パターンにおいては、露光量不足となる領域が互いに補完され、前記角度歪みによる露光むらを、2重露光による埋め合わせの効果で最小とすることができる。
しかしながら、図示の奇数列による露光パターンと偶数列による露光パターンとを重ね合わせてなる実際の露光パターンにおいては、露光過多となる領域が互いに補完され、前記角度歪による濃度むらを、2重露光による埋め合わせの効果で最小とすることができる。
前記平均値又は前記中央値を実傾斜角度θ´とすれば、理想的なN重露光に対して露光過多となる領域と露光不足となる領域とのバランスがよい露光を実現することができる。例えば、露光過多となる領域と、露光量不足となる領域との合計面積が最小に抑えられ、かつ、露光過多となる領域の描素単位数(光点数)と、露光不足となる領域の描素単位数(光点数)とが等しくなるような露光を実現することが可能である。
また、前記最大値を実傾斜角度θ´とすれば、理想的なN重露光に対して露光過多となる領域の排除をより重要視した露光を実現することができ、例えば、露光不足となる領域の面積を最小に抑え、かつ、露光過多となる領域が生じないような露光を実現することが可能である。
さらに、前記最小値を実傾斜角度θ´とすれば、理想的なN重露光に対して露光不足となる領域の排除をより重要視した露光を実現することができ、例えば、露光過多となる領域の面積を最小に抑え、かつ、露光不足となる領域が生じないような露光を実現することが可能である。
具体的には、c(n)中の1つの光点位置と、露光ヘッドの走査方向に沿って直線上かつ近傍の光点列に含まれる1つ又は複数の光点位置とを検出し、これらの位置情報から、実傾斜角度θ´を求めることができる。さらに、c(n)列近傍の光点列中の少なくとも2つの光点(たとえば、c(n)を跨ぐように配置された2つの光点)の位置に基づいて求めた角度を、実傾斜角度θ´として特定してもよい。
本実施形態(2)では、パターン形成装置10により、感光材料12に対して2重露光を行う場合であって、複数の露光ヘッド30により形成された被露光面上の重複露光領域であるヘッド間つなぎ領域において、2つの露光ヘッド(一例として露光ヘッド3012と3021)のX軸方向に関する相対位置の、理想的な状態からのずれに起因する解像度のばらつきと濃度むらとを軽減し、理想的な2重露光を実現するための使用描素部の指定方法を説明する。
この角度θidealは、上記の実施形態(1)と同様にして前記式1〜3から求められる。本実施形態(2)において、パターン形成装置10は、各露光ヘッド30すなわち各DMD36の取付角度がこの角度θidealとなるように、初期調整されているものとする。
なお、図14では、説明の便宜のため、使用可能なマイクロミラー58の1列おきの露光パターンを、画素列群Aによる露光パターンと画素列群Bによる露光パターンとに分けて示してあるが、実際の被露光面上における露光パターンは、これら2つの露光パターンを重ね合わせたものである。
図15は、図14と同様の露光エリア3212及び3221と、対応するスリット28との位置関係を示した上面図である。スリット28の大きさは、露光ヘッド3012と3021による露光済み領域34間の重複部分の幅を十分覆う大きさ、すなわち、露光ヘッド3012と3021により被露光面上に形成される前記ヘッド間つなぎ領域を十分覆う大きさとされている。
まず、第256行目第1024列目のマイクロミラーを点灯させた状態で、ステージ14をゆっくり移動させてスリット28をY軸方向に沿って相対移動させ、光点P(256,1024)が上流側のスリット28aと下流側のスリット28bの間に来るような任意の位置に、スリット28を位置させる。このときのスリット28aとスリット28bとの交点の座標を(X0,Y0)とする。この座標(X0,Y0)の値は、ステージ14に与えられた駆動信号が示す上記の位置までのステージ14の移動距離、及び、既知であるスリット28のX方向位置から決定され、記録される。
図14の例では、まず、露光エリア3212の光点P(256,1)の位置を、上記の光点位置検出手段としてスリット28と光検出器の組により検出する。続いて、露光エリア3221の第256行目の光点行r(256)上の各光点の位置を、P(256,1024)、P(256,1023)・・・と順番に検出していき、露光エリア3212の光点P(256,1)よりも大きいX座標を示す露光エリア3221の光点P(256,n)が検出されたところで、検出動作を終了する。そして、露光エリア3221の光点列c(n+1)からc(1024)を構成する光点に対応するマイクロミラーを、本露光時に使用しないマイクロミラー(不使用描素部)として特定する。
例えば、図14において、露光エリア3221の光点P(256,1020)が、露光エリア3212の光点P(256,1)よりも大きいX座標を示し、その露光エリア3221の光点P(256,1020)が検出されたところで検出動作が終了したとすると、図17において斜線で覆われた部分70に相当する露光エリア3221の第1021行から第1024行を構成する光点に対応するマイクロミラーが、本露光時に使用しないマイクロミラーとして特定される。
続いて、露光エリア3221の光点列のうち、上記で本露光時に使用しないマイクロミラーに対応する光点列として特定されたものを除き、最も右側の第1020列を構成する光点の位置を、P(1,1020)から順番にP(1,1020)、P(2,1020)・・・と検出していき、露光エリア3212の光点P(256,2)よりも大きいX座標を示す光点P(m,1020)が検出されたところで、検出動作を終了する。
その後、前記光検出器に接続された演算装置において、露光エリア3212の光点P(256,2)のX座標と、露光エリア3221の光点P(m,1020)及びP(m−1,1020)のX座標とが比較され、露光エリア3221の光点P(m,1020)のX座標の方が露光エリア3212の光点P(256,2)のX座標に近い場合は、露光エリア3221の光点P(1,1020)からP(m−1,1020)に対応するマイクロミラーが本露光時に使用しないマイクロミラーとして特定される。
また、露光エリア3221の光点P(m−1,1020)のX座標の方が露光エリア3212の光点P(256,2)のX座標に近い場合は、露光エリア3221の光点P(1,1020)からP(m−2,1020)に対応するマイクロミラーが、本露光に使用しないマイクロミラーとして特定される。
さらに、露光エリア3212の光点P(256,N−1)すなわち光点P(256,1)の位置と、露光エリア3221の次列である第1019列を構成する各光点の位置についても、同様の検出処理及び使用しないマイクロミラーの特定が行われる。
また、露光エリア3221の光点P(1,1020)からP(m−1,1020)に対応するマイクロミラーを、本露光に使用しないマイクロミラーとして特定してもよい。その場合、前記ヘッド間つなぎ領域において、理想的な2重露光に対して露光不足となる領域の面積が最小になり、かつ露光過多となる領域が生じないようなマイクロミラーを、実際に使用するマイクロミラーとして選択することができる。
さらに、前記ヘッド間つなぎ領域において、理想的な2重描画に対して露光過多となる領域の描素単位数(光点数)と、露光不足となる領域の描素単位数(光点数)とが等しくなるように、実際に使用するマイクロミラーを選択することとしてもよい。
本実施形態(3)では、パターン形成装置10により、感光材料12に対して2重露光を行う場合であって、複数の露光ヘッド30により形成された被露光面上の重複露光領域であるヘッド間つなぎ領域において、2つの露光ヘッド(一例として露光ヘッド3012と3021)のX軸方向に関する相対位置の理想的な状態からのずれ、並びに各露光ヘッドの取付角度誤差、及び2つの露光ヘッド間の相対取付角度誤差に起因する解像度のばらつきと濃度むらとを軽減し、理想的な2重露光を実現するための使用描素部の指定方法を説明する。
この角度θidealは、前記式1〜3を用いて上記(1)の実施形態と同様にして求められる値であり、本実施形態では、上記のとおりs=256、N=2であるので、角度θidealは約0.45度である。したがって、設定傾斜角度θは、たとえば0.50度程度の角度を採用するとよい。パターン形成装置10は、調整可能な範囲内で、各露光ヘッド30すなわち各DMD36の取付角度がこの設定傾斜角度θに近い角度となるように、初期調整されているものとする。
さらに、図18の例では、各露光ヘッドの設定傾斜角度θを前記式(1)を満たす角度θidealよりも若干大きくしたことによる結果、及び各露光ヘッドの取付角度の微調整が困難であるために、実際の取付角度が上記の設定傾斜角度θからずれてしまったことの結果として、被露光面上の前記露光ヘッドの走査方向と直交する座標軸上で重複する露光領域以外の領域でも、一列おきの光点群(画素列群A及びB)による露光パターンの双方で、複数の描素部列により形成された、被露光面上の重複露光領域である描素部列間つなぎ領域において、理想的な2重露光の状態よりも露光過多となる領域76が生じ、これがさらなる濃度むらを引き起こしている。
具体的には、前記光点位置検出手段としてスリット28及び光検出器の組を用い、露光ヘッド3012と3021のそれぞれについて、実傾斜角度θ´を特定し、該実傾斜角度θ´に基づき、前記描素部選択手段として光検出器に接続された演算装置を用いて、実際の露光に使用するマイクロミラーを選択する処理を行うものとする。
実傾斜角度θ´の特定は、露光ヘッド3012ついては露光エリア3212内の光点P(1,1)とP(256,1)の位置を、露光ヘッド3021については露光エリア3221内の光点P(1,1024)とP(256,1024)の位置を、それぞれ上述した実施形態(2)で用いたスリット28と光検出器の組により検出し、それらを結ぶ直線の傾斜角度と、露光ヘッドの走査方向とがなす角度を測定することにより行われる。
そのようにして特定された実傾斜角度θ´を用いて、光検出器に接続された演算装置は、上述した実施形態(1)における演算装置と同様、下記式4
ttanθ´=N(式4)
の関係を満たす値tに最も近い自然数Tを、露光ヘッド3012と3021のそれぞれについて導出し、DMD36上の第(T+1)行目から第256行目のマイクロミラーを、本露光に使用しないマイクロミラーとして特定する処理を行う。
例えば、露光ヘッド3012についてはT=254、露光ヘッド3021についてはT=255が導出されたとすると、図19において斜線で覆われた部分78及び80を構成する光点に対応するマイクロミラーが、本露光に使用しないマイクロミラーとして特定される。これにより、露光エリア3212と3221のうちヘッド間つなぎ領域以外の各領域において、理想的な2重露光に対して露光過多となる領域、及び露光不足となる領域の合計面積を最小とすることができる。
あるいは、値t以下の最大の自然数を導出することとしてもよい。その場合、露光エリア3212と3221の、複数の露光ヘッドにより形成された被露光面上の重複露光領域であるヘッド間つなぎ領域以外の各領域において、理想的な2重露光に対して露光不足となる領域の面積が最小になり、かつ露光過多となる領域が生じないようになすことができる。
複数の露光ヘッドにより形成された被露光面上の重複露光領域であるヘッド間つなぎ領域以外の各領域において、理想的な2重露光に対して、露光過多となる領域の描素単位数(光点数)と、露光不足となる領域の描素単位数(光点数)とが等しくなるように、本露光時に使用しないマイクロミラーを特定することとしてもよい。
これらの露光時に使用しないものとして特定されたマイクロミラーに対して、前記描素部素制御手段により、常時オフ状態の角度に設定する信号が送られ、それらのマイクロミラーは、実質的に露光に関与しない。
一例としては、図20Aに示すように、DMD36上の各マイクロミラー58からの光線が、異なる倍率で露光面上の露光エリア32に到達してしまう倍率歪みの形態がある。
また、別の例として、図20Bに示すように、DMD36上の各マイクロミラー58からの光線が、異なるビーム径で被露光面上の露光エリア32に到達してしまうビーム径歪みの形態もある。これらの倍率歪み及びビーム径歪みは、主として、DMD36と被露光面間の光学系の各種収差やアラインメントずれに起因して生じる。
さらに別の例として、DMD36上の各マイクロミラー58からの光線が、異なる光量で被露光面上の露光エリア32に到達してしまう光量歪みの形態もある。この光量歪みは、各種収差やアラインメントずれのほか、DMD36と被露光面間の光学要素(例えば、1枚レンズである図5A及び図5Bのレンズ52及び54)の透過率の位置依存性や、DMD36自体による光量むらに起因して生じる。これらの形態のパターン歪みも、被露光面上に形成されるパターンに解像度や濃度のむらを生じさせる。
上記の実施形態(1)〜(3)の変更例として、使用可能なマイクロミラーのうち、(N−1)列おきのマイクロミラー列、又は全光点行のうち1/N行に相当する隣接する行を構成するマイクロミラー群のみを使用して参照露光を行い、均一な露光を実現できるように、前記参照露光に使用されたマイクロミラー中、実際の露光時に使用しないマイクロミラーを特定することとしてもよい。
前記参照露光手段による参照露光の結果をサンプル出力し、該出力された参照露光結果に対し、解像度のばらつきや濃度のむらを確認し、実傾斜角度を推定するなどの分析を行う。前記参照露光の結果の分析は、操作者の目視による分析であってもよい。
この例では、本露光時は2重露光とするものとし、したがってN=2である。まず、図21Aに実線で示した奇数列の光点列に対応するマイクロミラーのみを使用して参照露光を行い、参照露光結果をサンプル出力する。前記サンプル出力された参照露光結果に基づき、解像度のばらつきや濃度のむらを確認したり、実傾斜角度を推定したりすることで、本露光時において使用するマイクロミラーを指定することができる。
例えば、図21Bに斜線で覆って示す光点列に対応するマイクロミラー以外のマイクロミラーが、奇数列の光点列を構成するマイクロミラー中、本露光において実際に使用されるものとして指定される。偶数列の光点列については、別途同様に参照露光を行って、本露光時に使用するマイクロミラーを指定してもよいし、奇数列の光点列に対するパターンと同一のパターンを適用してもよい。
このようにして本露光時に使用するマイクロミラーを指定することにより、奇数列及び偶数列双方のマイクロミラーを使用した本露光においては、理想的な2重露光に近い状態が実現できる。
この例では、本露光時は2重露光とするものとし、したがってN=2である。まず、図22に実線で示した、X軸方向に関して隣接する2つの露光ヘッド(一例として露光ヘッド3012と3021)の奇数列の光点列に対応するマイクロミラーのみを使用して、参照露光を行い、参照露光結果をサンプル出力する。前記出力された参照露光結果に基づき、2つの露光ヘッドにより被露光面上に形成されるヘッド間つなぎ領域以外の領域における解像度のばらつきや濃度のむらを確認したり、実傾斜角度を推定したりすることで、本露光時において使用するマイクロミラーを指定することができる。
例えば、図22に斜線で覆って示す領域86及び網掛けで示す領域88内の光点列に対応するマイクロミラー以外のマイクロミラーが、奇数列の光点を構成するマイクロミラー中、本露光時において実際に使用されるものとして指定される。偶数列の光点列については、別途同様に参照露光を行って、本露光時に使用するマイクロミラーを指定してもよいし、奇数列目の画素列に対するパターンと同一のパターンを適用してもよい。
このようにして本露光時に実際に使用するマイクロミラーを指定することにより、奇数列及び偶数列双方のマイクロミラーを使用した本露光においては、2つの露光ヘッドにより被露光面上に形成される前記ヘッド間つなぎ領域以外の領域において、理想的な2重露光に近い状態が実現できる。
この例では、本露光時は2重露光とするものとし、したがってN=2である。まず、図23Aに実線で示した1行目から128(=256/2)行目の光点に対応するマイクロミラーのみを使用して参照露光を行い、参照露光結果をサンプル出力する。前記サンプル出力された参照露光結果に基づき、本露光時において使用するマイクロミラーを指定することができる。
例えば、図23Bに斜線で覆って示す光点群に対応するマイクロミラー以外のマイクロミラーが、第1行目から第128行目のマイクロミラー中、本露光時において実際に使用されるものとして指定され得る。第129行目から第256行目のマイクロミラーについては、別途同様に参照露光を行って、本露光時に使用するマイクロミラーを指定してもよいし、第1行目から第128行目のマイクロミラーに対するパターンと同一のパターンを適用してもよい。
このようにして本露光時に使用するマイクロミラーを指定することにより、全体のマイクロミラーを使用した本露光においては、理想的な2重露光に近い状態が実現できる。
この例では、本露光時は2重露光とするものとし、したがってN=2である。まず、図24に実線で示した第1行目から第128(=256/2)行目の光点に対応するマイクロミラーのみを使用して、参照露光を行い、参照露光結果をサンプル出力する。前記サンプル出力された参照露光結果に基づき、2つの露光ヘッドにより被露光面上に形成されるヘッド間つなぎ領域以外の領域における解像度のばらつきや濃度のむらを最小限に抑えた本露光が実現できるように、本露光時において使用するマイクロミラーを指定することができる。
例えば、図24に斜線で覆って示す領域90及び網掛けで示す領域92内の光点列に対応するマイクロミラー以外のマイクロミラーが、第1行目から第128行目のマイクロミラー中、本露光時において実際に使用されるものとして指定される。第129行目から第256行目のマイクロミラーについては、別途同様に参照露光を行って、本露光に使用するマイクロミラーを指定してもよいし、第1行目から第128行目のマイクロミラーに対するパターンと同一のパターンを適用してもよい。
このようにして本露光時に使用するマイクロミラーを指定することにより、2つの露光ヘッドにより被露光面上に形成される前記ヘッド間つなぎ領域以外の領域において理想的な2重露光に近い状態が実現できる。
前記現像としては、前記感光層の未露光部分を除去することにより行われる。
前記未硬化領域の除去方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、現像液を用いて除去する方法などが挙げられる。
前記現像液の温度は、前記感光層の現像性に合わせて適宜選択することができるが、例えば、約25〜40℃が好ましい。
前記硬化処理工程は、前記現像工程が行われた後、形成されたパターンにおける感光層に対して硬化処理を行う工程である。
前記硬化処理工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、全面露光処理、全面加熱処理などが好適に挙げられる。
前記全面露光を行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、超高圧水銀灯などのUV露光機が好適に挙げられる。
前記全面加熱における加熱温度は、120〜250℃が好ましく、120〜200℃がより好ましい。該加熱温度が120℃未満であると、加熱処理による膜強度の向上が得られないことがあり、250℃を超えると、前記感光性組成物中の樹脂の分解が生じ、膜質が弱く脆くなることがある。
前記全面加熱における加熱時間は、10〜120分が好ましく、15〜60分がより好ましい。
前記全面加熱を行う装置としては、特に制限はなく、公知の装置の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドライオーブン、ホットプレート、IRヒーターなどが挙げられる。
前記パターンの形成方法が、保護膜、層間絶縁膜、及びソルダーレジストパターンの少なくともいずれかを形成する永久パターン形成方法である場合には、プリント配線板上に前記永久パターン形成方法により、永久パターンを形成し、更に、以下のように半田付けを行うことができる。
即ち、前記現像により、前記永久パターンである硬化層が形成され、前記プリント配線板の表面に金属層が露出される。該プリント配線板の表面に露出した金属層の部位に対して金メッキを行った後、半田付けを行う。そして、半田付けを行った部位に、半導体や部品などを実装する。このとき、前記硬化層による永久パターンが、保護膜あるいは絶縁膜(層間絶縁膜)、ソルダーレジストとしての機能を発揮し、外部からの衝撃や隣同士の電極の導通が防止される。
500mL三口フラスコに、1−メトキシ−2−プロパノール64gを入れ、窒素気流下、90℃に加熱した後、ベンジルメタクリレート49g、メタクリル酸36g、及びV-601(和光純薬製)4.8gの1−メトキシ−2−プロパノール 64g溶液を2時間かけて滴下し、更に4時間反応させた。
次いで、p-メトキシフェノール0.12g、及び触媒としてDBU0.30g、グリシジルメタクリレート35gを加え、110℃で反応させた。反応終了後、1−メトキシ−2−プロパノール20gを加え希釈し、下記構造式で表される高分子化合物1の固形分質量45%の1−メトキシ−2−プロパノール溶液を調製した。
合成に用いた触媒の種類、その残存量、反応時間、酸価、質量平均分子量、及び色数を表1に示す。
上記で調製した高分子化合物溶液を0.6g計り取り、1-メトキシ-2−プロパノール1.0gで希釈した。この溶液を以下の条件で、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製)で触媒の面積強度を測定し、同様の条件で作成した触媒の検量線から前記高分子溶液中の残存触媒量を定量した。
<<測定条件>>
カラム:DB-5(l:30m、Φ:0.53mm、d:1.5μm)
インジェクション温度:250℃
ディテクション温度:250℃
カラム温度 :100℃、5分保持後、10℃/min.の昇温速度で280℃まで昇温後、10分保持
試料注入量 :4μL
前記ガスクロマトグラフィーでグリシジルメタクリレートの残存量が1%以下になった時間を求めた。
水酸化ナトリウム水溶液を用いた滴定により測定し、高分子化合物の固形分量に対する値を求めた。
ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により測定した。
ヨウ化カリウム水溶液を標準として肉眼比色により判定した。ヨウ化カリウム20%水溶液100mL中に含まれるヨウ素が0.1、0.2、0.3、0.4、0.5のとき、それぞれ色数100、200、300、400、500とした。この標準液と上記高分子化合物溶液の色味とを肉眼により比較することで、色数を求めた。なお、値は、小さい程無色に近く、大きい程褐色に濃く着色していることを表す。
合成例1において、触媒の種類及び添加量を適宜変更した以外は同様にして、前記構造式で表される高分子化合物2〜10をそれぞれ調製した。
各高分子化合物の合成に用いた触媒の種類、その残存量、反応時間、酸価、質量平均分子量、色数を表1に示す。なお、触媒の残存量、反応時間、酸価、質量平均分子量、及び色数は、合成例1と同様にして測定した。
DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ−5−セン
DBN:1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノ−5−ネン
Et4N・Br:テトラエチルアンモニウムブロマイド
PPh3:トリフェニルホスフィン
(nC8H17)3N:トリ−n−オクチルアミン
−感光性組成物の調製−
下記組成に基づいて、感光性組成物溶液を調製した。
〔感光性組成物溶液の組成〕
・合成例1で得られた高分子化合物1(前記1−メトキシ−2−プロパノール溶液中に固形分質量45質量%)・・・300質量部
・下記式M−1で表される重合性化合物・・・30.5質量部
・下記式I−1で表される光重合開始剤・・・25.6質量部
・下記式S−1で表される増感剤・・・1.4質量部
・下記式H−1で表される熱架橋剤・・・60.0質量部
・熱硬化剤(ジシアンジアミド)・・・2.4質量部
・フッ素系界面活性剤(メガファックF−176,大日本インキ化学工業(株)製、30質量%2−ブタノン溶液)・・・0.85質量部
・重合禁止剤(p−メトキシフェノール)・・・0.18質量部
・フタロシアニングリーン・・・0.8質量部
・硫酸バリウム分散液(堺化学工業社製、B-30)・・・200質量部
・メチルエチルケトン・・・122質量部
なお、前記硫酸バリウム分散液は、硫酸バリウム(堺化学社製、B30)30質量部と、PCR−1157Hジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート61.2質量%溶液34.29質量部と、メチルエチルケトン35.71質量部と、を予め混合した後、モーターミルM−200(アイガー社製)で、直径1.0mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sにて3.5時間分散して調製した。
また、前記触媒としての上記の感光性組成物中における残存量を、合成例1と同様にして(以下の実施例及び比較例も同じく)測定したところ、0.1質量%であった。
得られた感光性組成物溶液を、前記支持体としての厚み16μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に、塗布し、乾燥させて、膜厚35μmの感光層を形成した。次いで、該感光層の上に、前記保護フィルムとして20μm厚のポリプロピレンフィルムをラミネートで積層し、前記感光性フィルムを製造した。
前記感光性フィルムにおける感光層の色味について、目視にて下記基準に基づき評価を行なった。結果を表2に示す。
○:褐色に着色なし
△:やや褐色に着色している
×:明らかに褐色に着色している
−−感光性積層体の調製−−
次に、前記基材として、プリント基板としての配線形成済みの銅張積層板(スルーホールなし、銅厚み12μm)の表面に化学研磨処理を施して調製した。該銅張積層板上に、前記感光性フィルムの感光層が前記銅張積層板に接するようにして前記感光性フィルムにおける保護フィルムを剥がしながら、真空ラミネーター(ニチゴーモートン(株)社製、VP130)を用いて積層させ、前記銅張積層板と、前記感光層と、前記ポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)とがこの順に積層された感光性積層体を調製した。
圧着条件は、真空引きの時間40秒、圧着温度70℃、圧着圧力0.2MPa、加圧時間10秒とした。
前記感光性積層体からポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)を剥がし取り、銅張積層板上の前記感光層の全面に30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を0.15MPaの圧力にてスプレーし、炭酸ナトリウム水溶液のスプレー開始から銅張積層板上の感光層が溶解除去されるまでに要した時間を測定し、これを最短現像時間とした。
前記調製した感光性積層体における感光性フィルムの感光層に対し、前記支持体側から、以下に説明するパターン形成装置を用いて、0.1mJ/cm2から21/2倍間隔で100mJ/cm2までの光エネルギー量の異なる光を照射して2重露光し、前記感光層の一部の領域を硬化させた。室温にて10分間静置した後、前記積層体から前記支持体を剥がし取り、銅張積層板上の感光層の全面に、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレー圧0.15MPaにて前記最短現像時間の2倍の時間スプレーし、未硬化の領域を溶解除去して、残った硬化領域の厚みを測定した。次いで、光の照射量と、硬化層の厚さとの関係をプロットして感度曲線を得た。該感度曲線から、硬化領域の厚みが露光前の感光層と同じ20μmとなった時の光エネルギー量を、感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量(感度)とした。
前記光照射手段として図8〜9及び図25〜29に示した合波レーザ光源と、前記光変調手段として図6に概略図を示した主走査方向にマイクロミラー58が1,024個配列されたマイクロミラー列が、副走査方向に768組配列された内、1,024個×256列のみを駆動するように制御したDMD36と、図5A及び図5Bに示した光を前記感光性フィルムに結像する光学系とを有する露光ヘッド30を備えたパターン形成装置10を用いた。
spsinθideal≧Nδ(式1)
により与えられる。本実施形態におけるDMD36は、上記のとおり、縦横の配置間隔が等しい多数のマイクロミラー58が矩形格子状に配されたものであるので、
pcosθideal=δ(式2)
であり、上記式1は、
stanθideal=N(式3)
であり、s=256、N=2であるので、角度θidealは約0.45度である。したがって、設定傾斜角度θとしては、たとえば0.50度を採用した。
ttanθ´=N(式4)
の関係を満たす値tに最も近い自然数Tを、露光ヘッド3012と3021のそれぞれについて導出した。露光ヘッド3012についてはT=254、露光ヘッド3021についてはT=255がそれぞれ導出された。その結果、図19において斜線で覆われた部分78及び80を構成するマイクロミラーが、本露光時に使用しないマイクロミラーとして特定された。
これらの露光時に使用しないものとして特定されたマイクロミラーに対して、前記描素部素制御手段により、常時オフ状態の角度に設定する信号が送られ、それらのマイクロミラーは、実質的に露光に関与しないように制御した。
これにより、露光エリア3212と3221のうち、複数の前記露光ヘッドで形成された被露光面上の重複露光領域であるヘッド間つなぎ領域以外の各領域において、理想的な2重露光に対して露光過多となる領域、及び露光不足となる領域の合計面積を最小とすることができる。
前記最短現像時間の評価方法と同じ方法及び条件で前記感光性積層体を作製し、室温(23℃、55%RH)にて10分間静置した。得られた積層体のポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)上から、前記パターン形成装置を用いて、ライン/スペース=1/1でライン幅10〜50μmまで1μm刻みで各線幅の露光を行う。この際の露光量は、前記感光性フィルムの感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量(感度)である。室温にて10分間静置した後、前記感光性積層体からポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)を剥がし取る。銅張積層板上の感光層の全面に30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレー圧0.15MPaにて前記最短現像時間の2倍の時間スプレーし、未硬化領域を溶解除去する。この様にして得られた硬化樹脂パターン付き銅張積層板の表面を光学顕微鏡で観察し、硬化樹脂パターンのラインにツマリ、ヨレ等の異常が無く、かつスペース形成可能な最小のライン幅を測定し、これを解像度とした。該解像度は数値が小さいほど良好である。結果を表1に示す。
前記感光性積層体を60℃ドライの促進条件の下、2日間保管した。2日後に感度及び解像度を測定し、下記基準に基づいて、保存安定性の評価を行った。
〔評価基準〕
○:感度及び解像度の変化がほとんどなく、保存安定性に優れる
△:感度及び解像度が低下し、現像が困難となり、保存安定性に劣る
×:感度及び解像度が著しく低下し、保存安定性に極めて劣る、あるいは、保存することができない
前記積層体に、前記パターン形成装置を用いて、前記露光ヘッドの走査方向と直交する方向の横線パターンが形成されるように照射して2重露光し、前記感光層の一部の領域を前記解像度の測定における(3)と同様にしてパターンを形成した。得られたパターンのうち、ライン幅30μmのラインの任意の5箇所について、レーザ顕微鏡(VK−9500、キーエンス(株)製;対物レンズ50倍)を用いて観察し、視野内のエッジ位置のうち、最も膨らんだ箇所(山頂部)と、最もくびれた箇所(谷底部)との差を絶対値として求め、観察した5箇所の平均値を算出し、これをエッジラフネスとした。該エッジラフネスは、値が小さい程、良好な性能を示すため好ましい。結果を表1に示す。
実施例1において、合成例1で得られた高分子化合物1を合成例2で得られた高分子化合物2に代えたこと以外は、実施例1と同様にして感光性フィルム及び感光性積層体を製造した。
また、前記感光性フィルムについて色味を、前記前記感光性積層体について、最短現像時間、感度、解像度、保存安定性、及びエッジラフネスを、実施例1と同様に評価をした。結果を表2に示す。
実施例1において、合成例1で得られた高分子化合物1を合成例3で得られた高分子化合物3に代えたこと以外は、実施例1と同様にして感光性フィルム及び感光性積層体を製造した。
また、前記感光性フィルムについて色味を、前記前記感光性積層体について、最短現像時間、感度、解像度、保存安定性、及びエッジラフネスを、実施例1と同様に評価をした。結果を表2に示す。
実施例1において、合成例1で得られた高分子化合物1を合成例4で得られた高分子化合物4に代えたこと以外は、実施例1と同様にして感光性フィルム及び感光性積層体を製造した。
また、前記感光性フィルムについて色味を、前記前記感光性積層体について、最短現像時間、感度、解像度、保存安定性、及びエッジラフネスを、実施例1と同様に評価をした。結果を表2に示す。
実施例1において、前記式3に基づきN=1として設定傾斜角度θを算出し、前記式4に基づきttanθ´=1の関係を満たす値tに最も近い自然数Tを導出し、N重露光(N=1)を行ったこと以外は、実施例1と同様に、最短現像時間、感度、解像度、保存安定性、色味、及びエッジラフネスの評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、合成例1で得られた高分子化合物1を合成例6で得られた高分子化合物6に代えたこと以外は、実施例1と同様にして感光性フィルム及び感光性積層体を製造した。
また、前記感光性フィルムについて色味を、前記前記感光性積層体について、最短現像時間、感度、解像度、保存安定性、及びエッジラフネスを、実施例1と同様に評価をした。結果を表2に示す。
実施例1において、合成例1で得られた高分子化合物1を合成例7で得られた高分子化合物7に代えたこと以外は、実施例1と同様にして感光性フィルム及び感光性積層体を製造した。
また、前記感光性フィルムについて色味を、前記前記感光性積層体について、最短現像時間、感度、解像度、保存安定性、及びエッジラフネスを、実施例1と同様に評価をした。結果を表2に示す。
実施例1において、合成例1で得られた高分子化合物1を合成例8で得られた高分子化合物8に代えたこと以外は、実施例1と同様にして感光性フィルム及び感光性積層体を製造した。
また、前記感光性フィルムについて色味を、前記前記感光性積層体について、最短現像時間、感度、解像度、保存安定性、及びエッジラフネスを、実施例1と同様に評価をした。結果を表2に示す。
実施例1において、合成例1で得られた高分子化合物1を合成例9で得られた高分子化合物9に代えたこと以外は、実施例1と同様にして感光性フィルム及び感光性積層体を製造した。
また、前記感光性フィルムについて色味を、前記前記感光性積層体について、最短現像時間、感度、解像度、保存安定性、及びエッジラフネスを、実施例1と同様に評価をした。結果を表2に示す。
実施例1において、合成例1で得られた高分子化合物1を合成例10で得られた高分子化合物10に代えたこと以外は、実施例1と同様にして感光性フィルム及び感光性積層体を製造した。
また、前記感光性フィルムについて色味を、前記前記感光性積層体について、最短現像時間、感度、解像度、保存安定性、及びエッジラフネスを、実施例1と同様に評価をした。結果を表2に示す。
実施例1において、合成例1で得られた高分子化合物1を合成例5で得られた高分子化合物5に代えたこと以外は、実施例1と同様にして感光性フィルム及び感光性積層体を製造した。
また、前記感光性フィルムについて色味を、前記前記感光性積層体について、最短現像時間、感度、解像度、保存安定性、及びエッジラフネスを、実施例1と同様に評価をした。結果を表2に示す。
また、実施例1〜4及び6〜9の露光方法により形成されたパターンは、線幅の変動量が小さく、高精細であることが判った。
本発明の永久パターン形成方法は、本発明の前記感光性フィルムを用いるため、高精細な露光が必要とされる各種パターンの形成などに好適に使用することができ、特に、プリント基板の永久パターン形成に好適に使用することができる。
L1〜L7 コリメータレンズ
LD1〜LD7 GaN系半導体レーザ
10 パターン形成装置
12 感光層(感光材料)
14 移動ステージ
18 設置台
20 ガイド
22 ゲート
24 スキャナ
26 センサ
28 スリット
30 露光ヘッド
32 露光エリア
36 デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)
38 ファイバアレイ光源
58 マイクロミラー(描素部)
60 レーザモジュール
62 マルチモード光ファイバ
64 光ファイバ
66 レーザ出射部
110 ヒートブロック
111 マルチキャビティレーザ
113 ロッドレンズ
114 レンズアレイ
140 レーザアレイ
200 集光レンズ
Claims (9)
- バインダー、重合性化合物、光重合開始剤、熱架橋剤、及び触媒を含み、
前記バインダーが、下記式(I)〜(III)のいずれかで表される構造単位を少なくとも1つ有する高分子化合物を含み、かつ、前記触媒の残存量が、0.4質量%以下であることを特徴とする感光性組成物。
- 高分子化合物が、側鎖にカルボキシル基を有する高分子化合物のカルボキシル基に、エポキシ基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物を付加させて得られる請求項1に記載の感光性組成物。
- 触媒の残存量が、バインダー固形分量に対して、0.4質量%未満である請求項2に記載の感光性組成物。
- 触媒が、ヘテロ環状3級アミン化合物である請求項1から3のいずれかに記載の感光性組成物。
- 重合性化合物が、エチレン性不飽和結合を1つ以上有する化合物を含む請求項1から4のいずれかに記載の感光性組成物。
- 熱架橋剤が、エポキシ化合物を含む請求項1から5のいずれかに記載の感光性組成物。
- 支持体と、該支持体上に請求項1から6のいずれかに記載の感光性組成物からなる感光層とを有することを特徴とする感光性フィルム。
- 請求項1から6のいずれかに記載の感光性組成物により形成された感光層に対して露光を行うことを含むことを特徴とする永久パターン形成方法。
- 請求項8に記載の永久パターン形成方法により永久パターンが形成されることを特徴とするプリント基板。
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