JP2007247013A - 耐酸化性、加工性および高温強度に優れるフェライト系ステンレス鋼 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】C:0.02mass%以下、Si:0.1mass%以下、Mn:0.4mass%未満、P:0.04mass%以下、S:0.015mass%以下、N:0.02mass%以下、Cr:13〜20mass%、Nb:0.3〜0.7mass%、Ti:5×N〜0.3mass%、Mo:0.4〜3.0mass%、Ni:0.5mass%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる耐酸化性、加工性および高温強度に優れるフェライト系ステンレス鋼。
【選択図】なし
Description
本発明は、上記知見に基き、さらに検討を加えて完成したものである。
A群;B:0.0003〜0.0050mass%およびCo:0.01〜0.25mass%のうちの1種または2種
B群;Al:0.15mass%以下
C群;Cu:0.5mass%以下
D群;V:0.2mass%以下
E群;Ca:0.0005〜0.0050mass%およびMg:0.0005〜0.0050mass%のうちの1種または2種
C:0.02mass%以下
Cは、鋼の強度を高め、靭性および加工性を低下させる元素であるため、低いほど好ましい。特に、C含有量が0.02mass%を超えると、靭性、加工性への悪影響が顕著になるので、上限を0.02mass%とする。好ましくは0.008mass%以下である。
Siは、耐酸化性を向上させる効果があるが、同時にラーベス相の析出を促進し、排気系部品に用いられる材料に必要な高温強度と加工性を低下させる。そこで、本発明では、Si含有量を0.1mass%以下とする。好ましくは0.05mass%以下である。
Mnは、本発明においては重要な意味をもつ元素である。一般に、Mnは、耐酸化性を向上させると言われているが、発明者らの調査では、それは比較的短時間の耐酸化性に対してであり、長時間の耐酸化性の改善には、あまり効果が得られないことが明らかとなった。その理由は、まだ明確にはなっていないが、長時間の酸化により、過剰なMnがスケール剥離をむしろ促進しているのではないかと考えられる。また、Mnは、鋼の脱酸剤としても添加されるが、本発明においては、後述するTiによって脱酸効果を代替することができる。さらに、Mnは、先述したように、加工性を低下させる元素でもある。よって、本発明では、Mn含有量は0.4mass%未満とする。なお、Mn含有量は、低いほど好ましく、下限値は特に設ける必要はない。
Pは、鋼の靭性、耐食性および溶接性を劣化させる元素であるので、少ないほど好ましい。従って、本発明では、Pの含有量は0.04mass%以下とする。好ましくは0.03mass%以下、より好ましくは0.015mass%以下である。
Sは、MnSを形成し、鋼の加工性を低下させ、また耐食性や溶接性も低下させる元素であるため、少ないほど好ましい。よって、本発明では、0.015mass%以下とする。好ましくは0.01mass%以下である。
Nは、Cと似た作用効果を有する元素であり、靭性および加工性を劣化させる。そこで、本発明では、N含有量を0.02mass%以下とする。好ましくは0.01mass%以下である。
Crは、耐酸化性および耐食性を改善するのに有用な元素である。本発明の所期した耐酸化性を確保するためには、13mass%以上の添加が必要である。しかし、Cr含有量が20mass%を超えると、加工性が劣化するので、20mass%を上限とする。加工性を確保する観点からは、15〜17mass%の範囲が好ましい。
Nbは、鋼の高温強度、加工性および溶接部の耐粒界腐食性を高める元素である。かかる効果を得るためには、0.3mass%以上の添加が必要である。しかし、過剰に添加すると、ラーベス相となって析出し、靭性を低下させるため、上限は0.7mass%とする必要がある。
Tiは、本発明において最も重要な元素である。Tiを適量添加することで、Si低減による耐酸化性の低下と、Mn低減による脱酸効果の低下を補うことができる。十分な耐酸化性を得るためには、Tiは、5×N(mass%)以上添加する必要がある。さらに、Ti添加によるSi,Mnの低減は、加工性を向上させるという効果も得ることができる。その結果、Siを低減しても、自動車やオートバイ等の排気系部品ならびに発電プラントの排気ダクトなどの材料に必要な耐酸化性、加工性および高温強度を確保することができる。しかし、Tiを過剰に添加すると、粗大なTi(C,N)が析出して表面性状が劣化するようになるので、上限は0.3mass%とする。好ましくは0.15mass%以下である。
Moは、鋼を固溶強化することにより、高温強度を高める効果がある。また、Moは、耐食性を向上する効果もあり、その効果は0.4mass%以上の添加で発現する。しかし、多量の添加は、コストの上昇を招くので、3.0mass%を上限とするのが好ましい。
Niは、鋼の靭性を向上させ効果を有するが、オーステナイト安定化元素であるため、フェライト組織を不安定にする。よって、本発明では0.5mass%以下とする。好ましくは0.05〜0.3mass%の範囲である。
B:0.0003〜0.0050mass%
Bは、耐二次加工脆性を改善するのに有効な元素であり、この効果は0.0003mass%以上添加することで得られる。しかし、多量に添加すると、BNを生成して加工性を低下させるので、上限は0.0050mass%とするのが好ましい。より好ましくは0.0004〜0.0015mass%の範囲である。
Coは、溶接熱影響部の靭性向上および高温強度の向上に有効な元素である。上記効果を発現するためには、0.01mass%以上添加することが好ましい。しかし、Coは、高価な成分であるため、上限は0.25mass%とするのが好ましい。
Alは、通常、脱酸剤として添加されるが、本発明では、Tiによる脱酸が可能なため、多量のAl添加は必要としない。むしろ、Alの過剰な添加は、加工性を低下させる。よって、本発明では、0.15mass%以下とするのが好ましい。より好ましくは0.05mass%以下である。
Cuは、耐食性を向上させるのに有効であるが、過剰な添加はε−Cuの析出により鋼の脆化を招くので0.5mass%以下おするのが好ましい。
Vは、深絞り性(r値)を向上させる効果を有する。しかし、Vの過剰な添加は、V(C,N)の析出により、表面性状の劣化を招くので、上限は0.2mass%とするのが好ましい。より好ましくは0.15mass%である。
Caは、連続鋳造時のノズル詰まりを抑制する効果がある。その効果を得るためには、0.0005mass%以上添加することが好ましい。しかし、Caの過剰な添加は、鋼の孔食を起こし易くするので、上限は0.0050mass%とするのが好ましい。
Mgは、高温疲労特性を向上する元素である。かかる効果を得るためには、0.0005mass%以上添加することが好ましい。しかし、Mgを過剰に添加すると、鋼の靭性を低下させるので、0.0050mass%以下とするのが好ましい。
<耐酸化性試験>
各冷延焼鈍板から試験片(2mm×20mm×30mm)を採取し、950℃に保持された大気雰囲気炉に装入して500時間保持し、試験片の試験前後の質量変化から、酸化増量(mg/cm2)を求めた。ただし、スケール剥離を起こしたものは、その旨を記した。
<高温強度試験>
各冷延焼鈍板から圧延方向を引張方向としたJIS13号B引張試験片を採取し、JIS G0567に準拠して、900℃において、0.3%/minの歪速度の高温引張試験を行い、0.2mass%耐力を測定した。
<加工性の評価試験>
各冷延焼鈍板から圧延方向を引張方向としたJIS13号B引張試験片を採取し、JIS Z2241に準拠して、常温(25℃)における引張試験を行い、伸びElを測定した。
Claims (6)
- C:0.02mass%以下、Si:0.1mass%以下、Mn:0.4mass%未満、P:0.04mass%以下、S:0.015mass%以下、N:0.02mass%以下、Cr:13〜20mass%、Nb:0.3〜0.7mass%、Ti:5×N〜0.3mass%、Mo:0.4〜3.0mass%、Ni:0.5mass%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる耐酸化性、加工性および高温強度に優れるフェライト系ステンレス鋼。
- 上記成分組成に加えてさらに、B:0.0003〜0.0050mass%およびCo:0.01〜0.25mass%のうちの1種または2種を含有することを特徴とする請求項1に記載のフェライト系ステンレス鋼。
- 上記成分組成に加えてさらに、Al:0.15mass%以下を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のフェライト系ステンレス鋼。
- 上記成分組成に加えてさらに、Cu:0.5mass%以下を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフェライト系ステンレス鋼。
- 上記成分組成に加えてさらに、V:0.2mass%以下を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のフェライト系ステンレス鋼。
- 上記成分組成に加えてさらに、Ca:0.0005〜0.0050mass%およびMg:0.0005〜0.0050mass%のうちの1種または2種を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のフェライト系ステンレス鋼。
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2006
- 2006-03-17 JP JP2006074144A patent/JP2007247013A/ja active Pending
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