JP2007245768A - ステアリング装置、自動車、及びステアリング制御方法 - Google Patents

ステアリング装置、自動車、及びステアリング制御方法 Download PDF

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宏 毛利
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正博 久保田
Hiroki Shiozawa
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Abstract

【課題】トルクステア発生のモデルを適応的に構築し、トルクステアの抑制を図る。
【解決手段】アクセル操作量Saと操舵トルクTsとを観測し、双方の時系列データに基づいて、トルクステア発生のモデルをシステム同定する(ステップS4)。こうして同定されたモデルに従い、アクセル操作量Saからトルクステアの発生を予測し、トルクステアを相殺するのに必要なアシストトルクTtを算出する(ステップS15)。そして、アシストトルクTtと通常のアシストトルクTaとを加算した最終的なアシストトルクTfによって電動モータ8を駆動制御する(ステップS16、S17)。
【選択図】図2

Description

本発明は、ステアリング装置、これを備えた自動車、及びステアリング制御方法に関するものである。
前輪駆動の車両では、ドライブシャフトのジョイントに角度がついているときに、低速ギアで急加速する等して大きな駆動トルクをかけると、タイヤをトーイン方向に回そうとするトルクが発生し、その大きさが左右輪で異なるときにトルクステアが発生する。
こうしたトルクステア発生のモデルを構築し、そのモデルに従って予想されるトルクステアを、電動パワーステアリングのアシストトルクによって相殺することが考えられる。モデルの構築については、特許文献1に記載されているように、タイヤ特性やステアリング特性などの要素に従ってモデル化するものがあった(特許文献1参照)。
特開2003−127887号公報
トルクステアを誘発する要因は、左右輪の駆動力・制動力の差、左右ドライブシャフトの長さ・角度・剛性の差、更にはエンジンロールによるインナージョイントの移動、トランスミッションにおける動力伝達経路、サスペンションストロークに伴う左右キングピン軸の角度差など、実に多様で、これらが複雑に絡み合って、車両ごとに固有の特性を示すことになる。また、同一車両であっても、構成部品の経時的な変化や走行状態によってトルクステアの特性は変化する。
したがって、上記特許文献1に記載された従来例のように、単に車種毎で一律に決定された固定的なモデルでは、トルクステアを打ち消す最適なアシストトルクを発生させることは困難である。
本発明の課題は、トルクステア発生のモデルを適応的に構築し、それに基づいてトルクステアの抑制を図ることにある。
上記の課題を解決するために、本発明に係るステアリング装置は、車両動作及びトルクステアを検出し、検出した車両動作及びトルクステアに基づいてトルクステア発生のモデルを同定し、同定したトルクステア発生のモデルに従い、運転者のステアリング操作に対して補助操舵力を付与することを特徴とする。
すなわち、車両動作を入力としトルクステアを出力とするトルクステア発生の動的なモデルを同定し、同定したトルクステア発生のモデルに従い、車両動作に応じたトルクステアの発生が予測されるときに、運転者のステアリング操作に対して反トルクステア方向の補助操舵力を付与することを特徴とする。
本発明に係るステアリング装置によれば、検出した車両動作及びトルクステアに基づいてトルクステア発生のモデルを同定する、つまり車両動作を入力としトルクステアを出力とするトルクステア発生の動的なモデルを同定することで、適応的なモデルを構築することができる。したがって、こうして同定されるモデルに従って、運転者のステアリング操作に対して補助操舵力を付与する、つまり車両動作に応じたトルクステアの発生が予測されるときに、運転者のステアリング操作に対して反トルクステア方向の補助操舵力を付与することで、トルクステアの抑制を図ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
《第1実施形態》
《構成》
図1は、車両の概略構成図である。図1に示すように、自動車1の前輪2FL・2FRは、タイロッド3、ラック&ピニオン4、ステアリングシャフト5を順に介してステアリングホイール6に連結されており、ステアリングホイール6の回転運動が、ラック&ピニオン4によってタイロッド3の左右の直線運動に変換されることにより、前輪2FL・2FRがキングピン軸を中心に転舵される。
電動パワーステアリングとして、ステアリングシャフト5には、例えばウォームギヤ等の減速機7を介して電動モータ8が接続されており、この電動モータ8をコントローラ9で駆動制御することで、運転者のステアリング操作に対して最適なアシストトルクを発生する。
コントローラ9には、トルクセンサ11で検出したトルクTsと、舵角センサ12で検出した操舵角θと、アクセルセンサ13で検出したアクセル操作量Saと、ブレーキセンサ14で検出したブレーキ操作量Sbと、車速センサ15で検出した車速Vと、ヨーレートセンサ16で検出したヨーレートγと、が入力される。なお、アクセル操作量Saとブレーキ操作量Sbは、ペダルのストローク量や開度であるが、車両の駆動状態や制動状態を検出できればよいので、アクセル操作量Saの代わりにエンジントルクや車両の加速度を検出したり、ブレーキ操作量Sbの代わりにブレーキ油圧や車両の減速度を検出したりしてもよい。
次に、コントローラ9で、サンプリング周期に従ったタイマ割込み処理として実行されるシステム同定処理を、図2のフローチャートに基づいて説明する。
先ずステップS1では、各種データを読込む。ここでは、操舵トルクTs、操舵角θ、車速V、アクセル操作量Sa、ブレーキ操作量Sbである。
続くステップS2では、操舵角の絶対値|θ|が所定値θR以下であるか否かを判定する。この判定結果が『|θ|>θR』であるときには、操舵角θが非中立領域にあると判断して所定のメインプログラムに復帰する。一方、判定結果が『|θ|≦θR』であるときには、操舵角θが略直進するときの中立領域にあると判断してステップS3に移行する。
ステップS3では、車速Vが所定値VR以下であるか否かを判定する。この判定結果が『V>VR』であるときには、車速Vが中高速領域にあると判断して所定のメインプログラムに復帰する。一方、判定結果が『V≦VR』であるときには、車速Vが低速領域にあると判断してステップS4に移行する。
ステップS4では、運転者のアクセル操作量Sa(又はブレーキ操作量Sb)、及び車両の操舵トルクTsの時系列データをもとに、双方の相関関係に基づいてトルクステア発生のモデルをシステム同定してから所定のメインプログラムに復帰する。例えば、式誤差モデルであるARX(Auto Regressive eXogeneous)モデルを利用する(図3参照)。
このARXモデルは、下記のように記述され、その同定手法には、逐次最小二乗法、逐次予測誤差法、逐次疑似線形回帰法などがある。
Figure 2007245768
なお、操舵角θが『θ<−θR、又はθ>θR』となる非中立領域にあるときに、前記ステップS4の処理を回避しているが、これに限定されるものではない。前記ステップS4の処理を実行しても、図4(a)に示すように、『θ<−θR、又はθ>θR』となる非中立領域では、システム同定に対するゲインを小さくすればよい。
同様に、車速Vが『V>VR』となる中高速領域にあるときに、前記ステップS4の処理を回避しているが、これに限定されるものではない。前記ステップS4の処理を実行しても、図4(b)に示すように、『V>VR』となる中高速領域で、システム同定に対するゲインを小さくすればよい。
次に、コントローラ9で、サンプリング周期に従ったタイマ割込み処理として実行されるEPS制御処理を、図5のフローチャートに基づいて説明する。
先ずステップS11では、各種データを読込む。ここでは、操舵トルクTs、操舵角θ、車速Vm、アクセル操作量、ブレーキ操作量である。
続くステップS12では、運転者のステアリング操作に対する通常のアシストトルクTaを算出する。例えば、低速走行では路面反力、つまりステアリングホイール6を操作するときの抵抗が大きいので、このときはアシストトルクTaを強くし、高速走行ではふらつきを防ぐためにアシストトルクTaを弱める。なお、この種の車速感応型のパワーステアリング制御処理は公知の技術であるため、その詳細な説明は省略する。
続くステップS13では、操舵角の絶対値|θ|が所定値θR以下であるか否かを判定する。この判定結果が『|θ|>θR』であるときには、操舵角θが非中立領域にあると判断して後述するステップS18に移行する。一方、判定結果が『|θ|≦θR』であるときには、操舵角θが略直進するときの中立領域にあると判断してステップS14に移行する。
ステップS14では、車速Vが所定値VR以下であるか否かを判定する。この判定結果が『V>VR』であるときには、車速Vが中高速領域にあると判断して後述するステップS18に移行する。一方、判定結果が『V≦VR』であるときには、車速Vが低速領域にあると判断してステップS15に移行する。
ステップS15では、前述したシステム同定処理によって同定されたARXモデルに従い、予想されるトルクステアを相殺するのに必要なアシストトルクTtを算出する。
続くステップS16では、上記ステップS15で算出したアシストトルクTtを通常のアシストトルクTaに加算して最終的なアシストトルクTfを算出する。なお、アシストトルクTfにはリミッタを設け、上限値以下に制限する。
続くステップS17では、アシストトルクTfが発生するように電動モータ8を駆動制御してから所定のメインプログラムに復帰する。
一方、ステップS18では、通常のアシストトルクTaをそのまま最終的なアシストトルクTfとしてから上記ステップS17に移行する。
なお、操舵角θが『θ<−θR、又はθ>θR』となる非中立領域にあるときに、前記ステップS15の処理を回避しているが、これに限定されるものではない。前記ステップS15の処理を実行しても、図4(a)に示すように、『θ<−θR、又はθ>θR』となる非中立領域では、アシストトルクTtに対するゲインを小さくすればよい。
同様に、車速Vが『V>VR』となる中高速領域にあるときに、前記ステップS15の処理を回避しているが、これに限定されるものではない。前記ステップS15の処理を実行しても、図4(b)に示すように、『V>VR』となる中高速領域で、アシストトルクTtに対するゲインを小さくすればよい。
図6は、コントローラ9で実行される演算処理のブロック図である。
《作用》
次に、上記第1実施形態の作用について説明する。
トルクステアの発生は、特に駆動力や制動力といった車両動作との相関性が強く、車両固有の特性を有する。
そこで、図7に示すように、アクセル操作量Sa又はブレーキ操作量Sbと、ステアリングシャフト5に作用し操舵トルクTsとして検出されるトルクとを観測し、双方の時系列データに基づいて、トルクステア発生のモデルをシステム同定する(ステップS4)。すなわち、アクセル操作量Sa又はブレーキ操作量Sbを入力とし操舵トルクTsを出力とするトルクステア発生の動的なモデルを同定する。
こうして同定されたモデルに従い、アクセル操作量Sa又はブレーキ操作量Sbからトルクステアの発生を予想し、そのトルクステアを相殺するのに必要なアシストトルクTtを算出する(ステップS15)。そして、アシストトルクTtと通常のアシストトルクTaとを加算した最終的なアシストトルクTfによって電動モータ8を駆動制御する(ステップS16、S17)。すなわち、アクセル操作量Sa又はブレーキ操作量Sbからトルクステアの発生を予測したときに、反トルクステア方向のアシストトルクTtを発生させる。
したがって、直進走行している状態で急加速する等して、図7に示すように、トルクステアが発生しても、このトルクステアを打ち消すので、ステアリングシャフト5に作用するトルクは略0になる。したがって、ステアリングホイール6が左右に取られることはなく、直進走行を維持するのに必要な保舵力が軽減されるので、運転者の操作負担が軽減され、操安性(操縦性・安定性)も向上する。
また、図2のシステム同定処理は、所定のサンプリング周期で実行され、モデルを同定する度に、それを更新する。したがって、構成部品の経時的な変化や走行状態によってトルクステアの特性が変化したとしても、これに対応してトルクステア発生のモデルを最適化する。
また、システム同定を実行する条件は、操舵角θが『−θR≦θ≦θR』となる中立領域にあり(ステップS2の判定が“Yes”)、且つ車速Vが『V≦VR』となる低速領域にあるとき(ステップS3の判定が“Yes”)だけである。このように、運転者にとってトルクステアを認識しやすく、尚且つトルクステアが発生しやすい場面に限定してシステム同定を行うことで、効果的で高精度なモデルを構築する。
また、同定したモデルを適用してアシストトルクTtを算出する条件は、システム同定を実行する条件と同様で、操舵角θが『−θR≦θ≦θR』となる中立領域にあり(ステップS13の判定が“Yes”)、且つ車速Vが『V≦VR』となる低速領域にあるとき(ステップS14の判定が“Yes”)だけである。このように、モデルを同定したときと同一の条件を満たすときだけ、このモデルを適用してアシストトルクTtを算出することによって、適正な使用範囲で最大限の性能を発揮する。
また、最終的なアシストトルクTfを上限値以下に制限することで、意図せぬ過大なアシストトルクが発生することを防ぐ。
《応用例》
上記の第1実施形態では、車両動作として、アクセル操作量Saとブレーキ操作量Sbとを入力しているが、他にも操舵状態や車両挙動などを入力してもよい。これによれば、さらに高精度なモデルを構築することができる。
上記の第1実施形態では、図2のシステム同定処理を一定のサンプリング周期で実行しているが、車両の走行状態に応じてサンプリング周期を変更してもよい。例えば、同一走行環境を暫く走行した後には、サンプリング周期を長くする。これによれば、モデルの同定に必要な計算資源の増大を抑制し、精度を確保しつつ効率化を図ることができる。
また、上記の第1実施形態では、θR及びVRを閾値としてシステム同定を実行するか否かを判断しているが、θRやVRは、車両の走行状態に応じて変化させてもよい。例えば、同一走行環境を暫く走行した後は、既に信頼性の高いモデルを構築できているので、θRやVRを変化させ、トルクステアの発生頻度の高い領域に条件を絞り込む。これによれば、アウトライア等のイレギュラ値を排除し、モデルの同定に必要な計算資源の増大を抑制し、精度を確保しつつ効率化を図ることができる。
《効果》
以上より、図2のシステム同定処理が「同定手段」に対応し、図4のEPS制御処理が「制御手段」に対応している。また、アクセル操作量Sa又はブレーキ操作量Sbが「車両動作」に対応し、アシストトルクTtが「補助操舵力」に対応している。
(1)車両動作及びトルクステアを時系列で検出し、検出した車両動作及びトルクステアに基づいてトルクステア発生のモデルを同定する同定手段と、この同定手段で同定したトルクステア発生のモデルに従い、運転者のステアリング操作に対して補助操舵力を付与する制御手段とを備える。
これにより、車両動作を入力としトルクステアを出力とするトルクステア発生の動的なモデルを同定し、適応的なモデルを構築することができる。また、こうして同定されるモデルに従い、車両動作に応じたトルクステアの発生が予測されるときに、運転者のステアリング操作に対して反トルクステア方向の補助操舵力を付与することで、トルクステアの抑制を図ることができる。
(2)同定手段は、車両動作として、少なくとも制駆動状態を時系列で検出する。
これにより、トルクステア発生のモデルを高精度に構築することができる。
(3)同定手段は、モデルを同定する度にこのモデルを更新する。
これにより、構成部品の経時的な変化や走行状態によってトルクステアの特性が変化したとしても、これに対応してトルクステア発生のモデルを最適化することができる。
(4)同定手段は、所定の周期でモデルを同定すると共に、車両の走行状態に基づいて所定の周期を変更する。
これにより、例えば同一走行環境を暫く走行した後に、所定の周期を長くする等して、モデルの同定に必要な計算資源の増大を抑制し、精度を確保しつつ効率化を図ることが可能になる。
(5)同定手段は、車両の操舵角が中立領域にあり、且つ車速が低速領域にあるときに、モデルを同定する。
このように、運転者にとってトルクステアを認識しやすく、尚且つトルクステアが発生しやすい場面に限定してモデルの同定を行うことにより、効果的で高精度なモデルを構築することができる。
(6)制御手段は、同定手段がモデルを同定するときと同一の条件を満たすときに、運転者のステアリング操作に対して補助操舵力を付与する。
このように、モデルを同定したときと同一の条件を満たすときだけ、このモデルを適用して補助操舵力を算出することによって、適正な使用範囲で最大限の性能を発揮することができる。
(7)制御手段は、補助操舵力を上限値以下に制限する。
これにより、意図せぬ過大なアシストトルクが発生することを防げる。
《第2実施形態》
《構成》
第2実施形態は、車両の駆動時と制動時とを区別して、トルクステア発生のモデルをシステム同定するものである。
先ず、運転者がアクセル操作をしているときには、下記のように、低次元モデル(例えば2次元モデル)とする。
Figure 2007245768
一方、運転者がブレーキ操作をしているときには、下記のように、高次元モデル(例えば6次元モデル)とする。
Figure 2007245768
したがって、駆動時の次数をnとして、制動時の次数をn+kとしたり、逆に制動時の次数をnとして、駆動時の次数をn−kとしたりすればよく、何れにしても駆動時には制動時よりもモデルの次数を下げる。
《作用》
次に、上記第2実施形態の作用について説明する。
図8に示すように、アクセル操作量Saとブレーキ操作量Sbとでは、操作量に対するトルクステア発生の特性が異なり、アクセル操作量Saは、小さい操作領域での線形性が高いが、ブレーキ操作量Sbは、小さい領域での非線形性が高い。
そこで、駆動時にはモデルの次数を下げても十分な精度でシステム同定できるが、制動時にはモデルの次数を上げる必要がある。このように、パラメータの探索範囲を適切に指定することで、システム同定に必要な計算資源の増大を抑制し、精度を確保しつつ効率化を図る。
《効果》
(1)同定手段は、車両の駆動時と制動時とを区別してモデルを同定する。
これにより、駆動時と制動時とで特性が異なるトルクステア発生のモデルを的確に同定することができる。
(2)同定手段は、車両の駆動時には制動時よりもモデルの次数を下げる。
これにより、モデルの同定に必要な計算資源の増大を抑制し、精度を確保しつつ効率化を図ることができる。
《第3実施形態》
《構成》
第3実施形態は、アクセル操作及びブレーキ操作の操作速度S´も考慮して、システム同定を実行するか否かを判断するものである。
すなわち、図9に示すように、前記ステップS3の処理後にステップS31の処理を追加したことを除いては、前述した第1実施形態と同様の処理を実行するので、同一部分の詳細説明は省略する。なお、システム同定処理に追加する条件は、EPS制御処理にも同様に追加するものとする。
ステップS31では、アクセル操作及びブレーキ操作の操作速度S´が所定値SR以下であるか否かを判定する。所定値SRは、運転者が通常走行時に行うと考えられる最大操作速度に相当する。この判定結果が『S´>SR』であるときには、操作速度S´が急操作領域にあると判断して所定のメインプログラムに復帰する。一方、判定結果が『S´≦SR』であるときには、操作速度S´が非急操作領域(通常操作領域)にあると判断して前記ステップS4に移行する。
ここでも、操作速度S´が『S´>SR』となる急操作領域にあるときに、前記ステップS4の処理を回避しているが、これに限定されるものではない。前記ステップS4の処理を実行しても、図10に示すように、『S´>SR』となる急操作領域で、システム同定に対するゲインを小さくすればよい。
《作用》
次に、上記第3実施形態の作用について説明する。
システム同定を実行する条件に、操作速度S´が非急操作領域にあるときに(ステップS31の判定が“Yes”)、という条件を追加する。このように、通常走行時の場面に限定してシステム同定を行うことで、ばらつき要素を排除した高精度なモデルを構築する。
《効果》
(1)同定手段は、運転者のアクセル操作速度又はブレーキ操作速度が非急操作領域にあるときに、モデルを同定する。
このように、通常走行時の場面に限定してモデルの同定を行うことにより、ばらつき要素を排除した高精度なモデルを構築することができる。
《第4実施形態》
《構成》
第4実施形態は、操舵トルクTsも考慮して、システム同定を実行するか否かを判断するものである。
すなわち、図11に示すように、前記ステップS3の処理後にステップS41の処理を追加したことを除いては、前述した第1実施形態と同様の処理を実行するので、同一部分の詳細説明は省略する。なお、システム同定処理に追加する条件は、EPS制御処理にも同様に追加するものとする。
ステップS41では、操舵トルクTsの絶対値が所定値TR以下であるか否かを判定する。所定値TRは、トルクステアによって生じ得る最大トルクに相当する。この判定結果が『|Ts|>TR』であるときには、操舵トルクTsがトルクステア領域にはないと判断して所定のメインプログラムに復帰する。一方、判定結果が『|Ts|≦TR』であるときには、操舵トルクTsがトルクステア領域にあると判断して前記ステップS4に移行する。
ここでも、操舵トルクTsが『Ts<−TR、又はTs>TR』となるときに、前記ステップS4の処理を回避しているが、これに限定されるものではない。前記ステップS4の処理を実行しても、図12に示すように、操舵トルクTsが『Ts<−TR、又はTs>TR』となるときに、システム同定に対するゲインを小さくすればよい。
《作用》
次に、上記第4実施形態の作用について説明する。
システム同定を実行する条件に、操舵トルクTsがトルクステア領域にあるときに(ステップS31の判定が“Yes”)、という条件を追加する。このように、トルクステアのような僅かなトルクが観測される場面に限定してシステム同定を行うことで、高精度なモデルを構築する。
《効果》
(1)同定手段は、操舵トルクがトルクステア領域にあるときに、モデルを同定する。
このように、トルクステアのような僅かなトルクが観測される場面に限定してモデルの同定を行うことにより、高精度なモデルを構築することができる。
《第5実施形態》
《構成》
第5実施形態は、同定されたモデルに従ってアシストトルクTtを算出する際に、このアシストトルクTtに対するゲインを変化させるものである。
先ず、図13(a)に示すように、車両の減速を負数とし加速を正数とする加減速度が小さいほど、アシストトルクTtに対するゲインを大きくする。
また、図13(b)に示すように、アクセル操作及びブレーキ操作の操作速度S´が速いほど、アシストトルクTtに対するゲインを大きくする。
また、図13(c)に示すように、ステアリング操作速度θ´が速いほど、アシストトルクTtに対するゲインを大きくする。
また、図13(d)に示すように、ヨーレートが大きいほど、アシストトルクTtに対するゲインを大きくする。
《作用》
次に、上記第5実施形態の作用について説明する。
先ず、加速時には前輪荷重が小さくなり、減速時には前輪荷重が大きくなる。したがって、この加減速度に応じてアシストトルクTtに対するゲインを変化させることで、荷重移動を考慮したより適切なアシストトルクTtを算出する。
また、操作速度S´やθ´には運転者の意図が反映される。したがって、この操作速度S´やθ´に応じてアシストトルクTtに対するゲインを変化させることで、運転者の意図を考慮したより適切なアシストトルクTtを算出する。
さらに、ヨーレートは車両の安定性を左右する重要な要素である。したがって、このヨーレートに応じてアシストトルクTtに対するゲインを変化させることで、車両の安定性を考慮したより適切なアシストトルクTtを算出する。
《効果》
(1)制御手段は、車両の加減速度に応じて補助操舵力に対するゲインを変更する。
これにより、荷重移動を考慮した適切な補助操舵力を設定できる。
(2)制御手段は、運転者のアクセル操作速度又はブレーキ操作速度に応じて補助操舵力に対するゲインを変更する。
これにより、運転者の意図を反映させた適切な補助操舵力を設定できる。
(3)制御手段は、運転者のステアリング操作速度に応じて補助操舵力に対するゲインを変更する。
これにより、運転者の意図を反映させた適切な補助操舵力を設定できる。
(4)制御手段は、車両のヨーレートに応じて補助操舵力に対するゲインを変更する。
これにより、車両走行の安定化を図る適切な補助操舵力を設定できる。
《第6実施形態》
《構成》
第6実施形態は、運転者のブレーキ操作が断続的に続くときに、アシストトルクTtを保持するものである。
例えば、ブレーキ操作が終了してから所定時間以内にブレーキ操作が再開されるようなときには、初回のブレーキ操作時に算出されたアシストトルクTtを保持し、初回のブレーキ操作時から車速Vが0になったり一定になったりしたとき、又はブレーキ操作が終了してから所定時間が経過してもブレーキ操作が再開されないときに、アシストトルクTtのホールドを解除する。
《作用》
次に、上記第6実施形態の作用について説明する。
運転者の減速操作と加速操作には異なる特性がある。すなわち、図14に示すように、減速時には加速時に比べて、目標車速に到達するまでにペダル操作を断続的に行う傾向がある。そこで、運転者のブレーキ操作が断続的に続くときには、アシストトルクTtを保持することで、ブレーキ操作が開始される度にアシストトルクTtを算出するよりも効率的にトルクステアを抑制する。
《効果》
(1)制御手段は、運転者のブレーキ操作が断続的に続くときに補助操舵力を保持する。
これにより、ブレーキ操作が開始される度に補助操舵力を算出するよりも効率的にトルクステアを抑制することができる。
本発明の概略構成である。 第1実施形態におけるシステム同定処理のフローチャートである。 ARXモデルのブロック図である。 第1実施形態のシステム同定に対するゲインである。 EPS制御処理のフローチャートである。 本発明のブロック図である。 本発明の作用効果を示すタイムチャートである。 駆動時と制動時の特性図ある。 第3実施形態におけるシステム同定処理のフローチャートである。 第3実施形態のシステム同定に対するゲインである。 第4実施形態におけるシステム同定処理のフローチャートである。 第4実施形態のシステム同定に対するゲインである。 第5実施形態のシステム同定に対するゲインである。 制動操作と駆動操作の特性図である。
符号の説明
1 自動車
2FL・2FR 前輪(操舵輪)
3 タイロッド
4 ラック&ピニオン
5 ステアリングシャフト
6 ステアリングホイール
7 減速機
8 電動モータ
9 コントローラ
11 トルクセンサ
12 舵角センサ
13 アクセルセンサ
14 ブレーキセンサ
15 車速センサ
16 ヨーレートセンサ

Claims (19)

  1. 車両動作及びトルクステアを検出し、検出した車両動作及びトルクステアに基づいてトルクステア発生のモデルを同定する同定手段と、該同定手段で同定したトルクステア発生のモデルに従い、運転者のステアリング操作に対して補助操舵力を付与する制御手段と、を備えることを特徴とするステアリング装置。
  2. 前記同定手段は、前記車両動作として、少なくとも制駆動状態を検出することを特徴とする請求項1に記載のステアリング装置。
  3. 前記同定手段は、車両の駆動時と制動時とを区別して前記モデルを同定することを特徴とする請求項1又は2に記載のステアリング装置。
  4. 前記同定手段は、車両の駆動時には制動時よりも前記モデルの次数を下げることを特徴とする請求項3に記載のステアリング装置。
  5. 前記同定手段は、前記モデルを同定する度に当該モデルを更新することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のステアリング装置。
  6. 前記同定手段は、所定の周期で前記モデルを同定すると共に、車両の走行状態に基づいて前記所定の周期を変更することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のステアリング装置。
  7. 前記同定手段は、操舵角が中立領域にあり、且つ車速が低速領域にあるときに、前記モデルを同定することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のステアリング装置。
  8. 前記同定手段は、運転者のアクセル操作速度又はブレーキ操作速度が非急操作領域にあるときに、前記モデルを同定することを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載のステアリング装置。
  9. 前記同定手段は、操舵トルクがトルクステア領域にあるときに、前記モデルを同定することを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載のステアリング装置。
  10. 前記制御手段は、前記同定手段が前記モデルを同定するときと同一の条件を満たすときに、運転者のステアリング操作に対して補助操舵力を付与することを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載のステアリング装置。
  11. 前記制御手段は、車両の加減速度に応じて前記補助操舵力に対するゲインを変更することを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載のステアリング装置。
  12. 前記制御手段は、運転者のアクセル操作速度又はブレーキ操作速度に応じて前記補助操舵力に対するゲインを変更することを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載のステアリング装置。
  13. 前記制御手段は、運転者のステアリング操作速度に応じて前記補助操舵力に対するゲインを変更することを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載のステアリング装置。
  14. 前記制御手段は、車両のヨーレートに応じて前記補助操舵力に対するゲインを変更することを特徴とする請求項1〜13の何れか一項に記載のステアリング装置。
  15. 前記制御手段は、運転者のブレーキ操作が断続的に続くときに、前記補助操舵力を保持することを特徴とする請求項1〜14の何れか一項に記載のステアリング装置。
  16. 前記制御手段は、前記補助操舵力を上限値以下に制限することを特徴とする請求項1〜15の何れか一項に記載のステアリング装置。
  17. 車両動作を入力としトルクステアを出力とするトルクステア発生の動的なモデルを同定し、同定したトルクステア発生のモデルに従い、車両動作に応じたトルクステアの発生が予測されるときに、運転者のステアリング操作に対して反トルクステア方向の補助操舵力を付与することを特徴とするステアリング装置。
  18. ステアリング装置を備えた自動車において、
    前記ステアリング装置は、
    車両動作を入力としトルクステアを出力とするトルクステア発生の動的なモデルを同定し、同定したトルクステア発生のモデルに従い、車両動作に応じたトルクステアの発生が予測されるときに、運転者のステアリング操作に対して反トルクステア方向の補助操舵力を付与することを特徴とする自動車。
  19. 車両動作を入力としトルクステアを出力とするトルクステア発生の動的なモデルを同定し、同定したトルクステア発生のモデルに従い、車両動作に応じたトルクステアの発生が予測されるときに、運転者のステアリング操作に対して反トルクステア方向の補助操舵力を付与することを特徴とするステアリング制御方法。
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