JP2007238789A - 加熱剥離型粘着シート及びチップ部品の製造方法 - Google Patents

加熱剥離型粘着シート及びチップ部品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 熱膨張性微小球を含む加熱剥離型粘着層を有していても、剥離開始温度よりも10℃以上低い温度での膨張が抑制又は防止されている加熱剥離型粘着シートを得る。
【解決手段】 加熱剥離型粘着シートは、基材の少なくとも一方の面に、熱膨張性微小球を含有する加熱剥離型粘着層が設けられており、且つ加熱剥離型粘着層が付与する剥離開始温度と、加熱剥離型粘着層における膨張開始温度との温度差が、10℃未満であることを特徴とする。加熱剥離型粘着層中に含まれる熱膨張性微小球としては、膨張開始温度が、剥離開始温度より10℃低い温度より高く且つ剥離開始温度以下の温度である熱膨張性微小球が好ましく、剥離開始温度より10℃低い温度で予め加熱処理した後、該加熱処理により発泡乃至膨張した熱膨張性微小球を分級処理して取り除くことにより得られる熱膨張性微小球を好適に用いることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、加熱剥離型粘着シート及びチップ部品の製造方法に関し、さらに詳細には、熱膨張性微小球を含有する加熱剥離型粘着層を有していても、加熱剥離型粘着層が付与する剥離開始温度よりも10℃以上低い温度での膨張が抑制又は防止されている加熱剥離型粘着シート、及び該加熱剥離型粘着シートを用いたチップ部品の製造方法に関する。
従来、基材の少なくとも片側の面に、熱膨張性微小球などの発泡剤(又は膨張剤)を含む粘着層(感圧接着層)を設けた加熱剥離型粘着シートが知られている(特許文献1〜特許文献5参照)。前記加熱剥離型粘着シートは、加熱前の接着性と、加熱後の剥離性とを両立させたものである。従って、加熱剥離型粘着シートは、物品の接着目的を達成した後、発泡剤を含有する粘着層(発泡剤含有粘着層)を加熱することによって、該発泡剤含有粘着層が発泡もしくは膨張して、発泡剤含有粘着層表面が凹凸状に変化し、これにより被着体(物品)との接着面積が減少し、この接着面積の減少により接着力が低減し、被着体を容易に分離できるようにしたものであり、電子部品や半導体チップの製造工程時の仮固定や、搬送等の物流など、多種多様な用途で用いられている。
近年、電子機器の高性能化や、小型軽量化が進み、これに伴い、搭載される電子部品や半導体チップなども複雑化、小型化され、その製造プロセス(工程)も多種多様となり、半導体チップなどの被着体を加熱するプロセスが必要な場合も少なくない。
これら電子部品や半導体チップの製造プロセス用途にも、加熱剥離型粘着シートが使用されているが、前述のように、被着体に加熱プロセスが必要な場合、加熱プロセス中に加熱剥離型粘着シートの発泡剤含有粘着層が発泡ないし剥離せず、被着体をしっかりと保持していることが重要である。しかしながら、従来の加熱剥離型粘着シートは、発泡剤含有粘着層中に含まれる発泡剤としての熱膨張性微小球の個々の膨張開始温度(発泡開始温度)にバラツキがあり、発泡剤含有粘着層が付与する剥離開始温度よりも20〜40℃も低い温度で、熱膨張性微小球が発泡乃至膨張してしまう場合があった。特に、150℃を超える剥離開始温度を付与する加熱剥離型粘着シートでは、剥離開始温度と、膨張開始温度との間に、最大で、50℃程度の温度差がある場合もある。このように、本来は剥離が生じない温度以下での熱膨張性微小球の発泡乃至膨張により、薄型加工された半導体ウエハの割れ等の被着体の損傷や、加熱剥離型粘着シートからの剥がれが発生してしまう場合がある。
実公昭50−13878号公報 特公昭51−24534号公報 特開昭56−61468号公報 特開昭56−61469号公報 特開昭60−252681号公報
従って、本発明の目的は、熱膨張性微小球を含有する加熱剥離型粘着層を有していても、加熱剥離型粘着層が付与する剥離開始温度よりも10℃以上低い温度での膨張が抑制又は防止されている加熱剥離型粘着シート、及び該加熱剥離型粘着シートを用いたチップ部品の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、熱膨張性微小球を含有する加熱剥離型粘着層を有しており、且つ被着体の加工処理時に、加熱剥離型粘着層が付与する剥離開始温度よりも10℃以上低い温度であれば加熱しても、被加工物又はチップ部品の損傷を有効に抑制又は防止することができる加熱剥離型粘着シート、及び該加熱剥離型粘着シートを用いたチップ部品の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、熱膨張性微小球として、加熱剥離型粘着層が付与する剥離開始温度と、加熱剥離型粘着層における膨張開始温度との温度差が、10℃未満である熱膨張性微小球を用いると、加熱剥離型粘着層が付与する剥離開始温度よりも10℃以上低い温度での膨張が抑制又は防止されている加熱剥離型粘着シートが得られることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、基材の少なくとも一方の面に、熱膨張性微小球を含有する加熱剥離型粘着層が設けられた加熱剥離型粘着シートであって、加熱剥離型粘着層が付与する剥離開始温度と、加熱剥離型粘着層における膨張開始温度との温度差が、10℃未満であることを特徴とする加熱剥離型粘着シートを提供する。
本発明では、前記加熱剥離型粘着層中に含まれる熱膨張性微小球としては、膨張開始温度が、剥離開始温度より10℃低い温度より高く且つ剥離開始温度以下の温度である熱膨張性微小球を好適に用いることができる。このような熱膨張性微小球としては、剥離開始温度より10℃低い温度で予め加熱処理した後、該加熱処理により発泡乃至膨張した熱膨張性微小球を分級処理して取り除くことにより得られる熱膨張性微小球が好適である。
また、本発明の加熱剥離型粘着シートは、基材と加熱剥離型粘着層との間に、ゴム状有機弾性層を有していてもよく、前記ゴム状有機弾性層は、粘着性物質により形成されていることが好ましい。
本発明は、また、加熱剥離型粘着シートを用いて被加工物に切断加工を施して、チップ部品を製造する方法であって、前述の加熱剥離型粘着シートにおける加熱剥離型粘着層上に被加工物を貼り合わせて、被加工物に切断加工処理を施した後、被加工物の切断加工処理により得られたチップ部品を、加熱剥離型粘着シートよりピックアップすることを特徴とするチップ部品の製造方法を提供する。該チップ部品の製造方法において、被加工物としては、電子系部品類または電気系部品類を好適に用いることができる。
本発明の加熱剥離型粘着シートは、前記構成を有しているので、熱膨張性微小球を含有する加熱剥離型粘着層を有していても、加熱剥離型粘着層が付与する剥離開始温度よりも10℃以上低い温度での膨張が抑制又は防止されている。そのため、チップ部品の製造する際に、本発明の加熱剥離型粘着シートを用いると、熱膨張性微小球を含有する加熱剥離型粘着層を有しており、且つ被着体の加工処理時に、加熱剥離型粘着層が付与する剥離開始温度よりも10℃以上低い温度であれば加熱しても、被加工物又はチップ部品の損傷を有効に抑制又は防止することができる。
以下に、本発明の実施の形態を、必要に応じて図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一の部材や部分などには同一の符号を付している場合がある。
本発明の加熱剥離型粘着シートは、基材と、該基材の少なくとも一方の面に形成された加熱剥離型粘着層(熱膨張性粘着層)とを少なくとも有しており、且つ、前記加熱剥離型粘着層が発泡剤として熱膨張性微小球を含有しているとともに、加熱剥離型粘着層が付与する剥離開始温度と、加熱剥離型粘着層における膨張開始温度(発泡開始温度)との温度差が、10℃未満である構成を有している。このように、本発明の加熱剥離型粘着シートでは、加熱剥離型粘着層の膨張開始温度が、加熱剥離型粘着層が付与する剥離開始温度よりも10℃未満低い温度[すなわち、剥離開始温度以下であり且つ(剥離開始温度−10℃)を超える温度]であるので、加熱剥離型粘着層上に貼着された被着体の加工時に、剥離開始温度より10℃以上低い温度であれば加熱しても、加熱剥離型粘着層の発泡乃至膨張を抑制又は防止することができる。
ここで、「剥離開始温度」とは、加熱剥離型粘着層による接着力を加熱前の10%以下に低下させることができる最低の加熱処理温度を意味している。従って、加熱剥離型粘着層による接着力を加熱前の接着力の10%以下に低下させることができる最低の加熱処理温度を測定することにより、加熱剥離型粘着層に付与する剥離開始温度を求めることができる。具体的には、加熱剥離型粘着シートの加熱剥離型粘着層の表面に、幅が20mmで且つ厚みが25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム[商品名「ルミラーS10#25」(東レ社製);「PETフィルム」と称する場合がある]を、ハンドローラで気泡が混入しないように貼り合わせて、試験片を作製する。この試験片を、PETフィルムを貼り合わせてから30分後に、PETフィルムを180°の剥離角度で引き剥がして、その際の接着力(測定温度:23℃、引張速度:300mm/min、剥離角度:180°)を測定し、該接着力を「初期接着力」とする。また、前記方法にて作製した試験片を、各温度(加熱処理温度)に設定されたホットプレートで、各温度に予熱しておいた金属板(ステンレス板、厚さ約1mm)で重石した状態で1分間加熱した後、23℃に2時間放置させ、その後、PETフィルムを180°の剥離角度で引き剥がして、その際の接着力(測定温度:23℃、引張速度:300mm/min、剥離角度:180°)を測定し、該接着力を「加熱処理後の接着力」とする。そして、加熱処理後の接着力が、初期接着力の10%以下になる最低の加熱処理温度を求める。この最低の加熱処理温度が、加熱剥離型粘着層の剥離開始温度である。
なお、剥離開始温度は、加熱剥離型粘着層による接着力を加熱前の接着力の10%以下に低下させることができる最低の加熱処理温度であるので、加熱により、加熱剥離型粘着層全体が発泡乃至膨張し、該加熱剥離型粘着層上に貼着されていた被着体の自然剥離が開始する温度(すなわち、加熱剥離型粘着層上に貼着されていた被着体が自然に剥離する最低の温度)を測定することによっても、剥離開始温度を求めることができる。
また、「膨張開始温度」とは、加熱剥離型粘着層が加熱により発泡乃至膨張し始める温度を意味している。従って、加熱剥離型粘着層が発泡乃至膨張し始める温度を測定することにより、加熱剥離型粘着層の膨張開始温度を求めることができる。具体的には、加熱剥離型粘着シートを、各温度(加熱処理温度)に設定されたホットプレートにて、各温度で1分間加熱し、その際の加熱剥離型粘着層の発泡乃至膨張の状態を光学顕微鏡で観察し、加熱剥離型粘着層が発泡乃至膨張する最低の加熱処理温度(すなわち、加熱剥離型粘着層が発泡乃至膨張し始める温度)を求める。この最低の加熱処理温度が、加熱剥離型粘着層の膨張開始温度である。
図1(a)〜(b)は本発明の加熱剥離型粘着シートの例を部分的に示す概略断面図である。図1(a)〜(b)において、1a、1bは、それぞれ、加熱剥離型粘着シート、2は基材、3は加熱剥離型粘着層、4はゴム状有機弾性層、5はセパレータである。図1(a)で示される加熱剥離型粘着シート1aは、基材2と、該基材2の一方の面に形成された加熱剥離型粘着層3と、さらに、該加熱剥離型粘着層3上に形成されたセパレータ5とで構成されている。また、図1(b)で示される加熱剥離型粘着シート1bは、基材2と、該基材2の一方の面に形成されたゴム状有機弾性層4と、該ゴム状有機弾性層4上に形成された加熱剥離型粘着層3と、さらに、該加熱剥離型粘着層3上に形成されたセパレータ5とで構成されている。この加熱剥離型粘着シート(1a,1b)における加熱剥離型粘着層3は、熱膨張性微小球を含有しているとともに、加熱剥離型粘着層3が付与する剥離開始温度と、加熱剥離型粘着層3における膨張開始温度との温度差が、10℃未満である特性を有している。すなわち、加熱剥離型粘着シート(1a,1b)は、加熱剥離型粘着層3が付与する剥離開始温度と、加熱剥離型粘着層3における膨張開始温度との温度差が、10℃未満である構成を有している。
[加熱剥離型粘着層]
加熱剥離型粘着層(熱膨張性粘着層)は、熱膨張性微小球を含有しており、且つ該加熱剥離型粘着層が付与する剥離開始温度と、該加熱剥離型粘着層における膨張開始温度との温度差が、10℃未満となっている特性を有している。加熱剥離型粘着層は、加熱によって熱膨張性微小球が発泡乃至膨張し、この熱膨張性微小球の発泡乃至膨張により剥離性を発揮することができる。従って、熱膨張性微小球としては、膨張開始温度(発泡開始温度)が、剥離開始温度より10℃低い温度より高く且つ剥離開始温度以下の温度である熱膨張性微小球を好適に用いることができる。なお、加熱剥離型粘着層は、所定の剥離開始温度が発揮されるような含有割合で、熱膨張性微小球を含んでいることが重要である。熱膨張性微小球は単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、熱膨張性微小球は、工業的な製造方法では、通常、熱膨張性微小球のシェル材(殻)の厚みや、熱膨張性微小球の粒子径、殻に内包されている気体成分の圧力などが、所定の大きさで一定又は均一となっているものを製造することが極めて困難であり、熱膨張性微小球のシェル材の厚みや、熱膨張性微小球自体の粒度にバラツキが生じている。そのため、工業的に製造された熱膨張性微小球は、膨張開始温度の平均からのバラツキが±10℃以上もある場合があり(例えば、膨張開始温度の最大と最小との間の差が±20℃以上もある場合があり)、通常、膨張開始温度が剥離開始温度より10℃以上低い温度である熱膨張性微小球を少なからず含んでいる。従って、熱膨張性微小球としては、例えば、膨張開始温度の平均からのバラツキが±10℃未満であるような形態で調製された熱膨張性微小球であってもよいが、前述のように、製造時に、膨張開始温度の平均からのバラツキが±10℃未満であるような形態で熱膨張性微小球を工業的に製造することは極めて困難である。
そのため、熱膨張性微小球としては、製造された際の膨張開始温度の平均からのバラツキは±10℃以上であるが(すなわち、膨張開始温度が剥離開始温度より10℃以上低い温度である熱膨張性微小球を含んでいるが)、剥離開始温度より10℃低い温度で予め加熱処理した後、該加熱処理により発泡乃至膨張した熱膨張性微小球を分級処理して取り除くことにより得られる熱膨張性微小球(「加熱分球処理型熱膨張性微小球」と称する場合がある)が好適である。このように、加熱分級処理型熱膨張性微小球は、剥離開始温度より10℃低い温度での加熱処理によっては発泡乃至膨張しなかった熱膨張性微小球であるので、剥離開始温度より10℃以上低い温度下では、発泡乃至膨張しない特性を有している。
加熱分級処理型熱膨張性微小球を得るための加熱処理は、剥離開始温度より10℃低い温度で行っていることが重要である。このような加熱処理における加熱処理方法としては、熱膨張性微小球に均一に温度をかけることができる方法が好ましく、一般的な乾燥方法[例えば、赤外線ランプを使用する方法、ホットプレートを使用する方法、熱風を用いた乾燥機(箱型乾燥機や流動層乾燥機など)を用いる方法など]から適宜選択して使用することができる。
加熱処理時の加熱時間としては、例えば、1〜20分(好ましくは2〜10分)の範囲から選択することができ、特に3〜8分(なかでも約5分)であることが好ましい。加熱処理時の加熱時間が長すぎると、熱膨張性微小球自体が変質してしまい、剥離開始温度よりも10℃低い温度での加熱処理により発泡乃至膨張した熱膨張性微小球を分離除去して、該分離除去により残存した熱膨張性微小球を得ても、該熱膨張性微小球は、剥離開始温度よりも10℃以上低温で発泡乃至膨張してしまう場合がある。この場合、得られた熱膨張性微小球を、再度、剥離開始温度よりも10℃低い温度で且つ適宜な時間で加熱処理することにより、剥離開始温度より10℃以上低い温度下では、発泡乃至膨張しない特性を有している熱膨張性微小球を得ることができる。
また、加熱分級処理型熱膨張性微小球を得るために加熱処理の後に行われる分級処理では、前記加熱処理により所定の大きさ以上に発泡乃至膨張した熱膨張性微小球(例えば、加熱処理により10倍〜100倍に膨張した熱膨張性微小球など)のみを分級することが可能な方法であることが重要である。このような分級処理における分級処理方法としては、従来より広く知られている分級方式(例えば、遠心風力式や、振動ふるい式など)から適宜採用することができる。
なお、熱膨張性微小球により加熱剥離型粘着層に付与される剥離開始温度は、熱膨張性微小球の含有割合や加熱剥離型粘着層の粘着力(加熱処理前の粘着力)などにもよるが、通常、各熱膨張性微小球の膨張開始温度を平均した値に相当又は近似している。熱膨張性微小球における加熱剥離型粘着層に付与する剥離開始温度は、熱膨張性微小球を、粘着剤層に熱膨張性(熱剥離性)を付与する有効成分として(すなわち、加熱により発泡乃至膨張させた際に、加熱前の接着力の10%以下に低下させることができる割合で)、粘着剤層中に含有させた状態で、前述のようにして、各温度で接着力を測定することにより、求めることができる。
本発明では、熱膨張性微小球としては、特に制限されず、公知の熱膨張性微小球(種々の無機系熱膨張性微小球や、有機系熱膨張性微小球など)から適宜選択することができる。熱膨張性微小球としては、混合操作が容易である観点などより、マイクロカプセル化されている発泡剤を好適に用いることができる。このような熱膨張性微小球としては、例えば、イソブタン、プロパン、ペンタンなどの加熱により容易にガス化して膨張する物質(熱膨張性物質)を、弾性を有する殻内に内包させた微小球などが挙げられる。前記殻は、熱溶融性物質や熱膨張により破壊する物質で形成される場合が多い。前記殻を形成する物質として、例えば、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホンなどが挙げられる。熱膨張性微小球は、慣用の方法、例えば、コアセルベーション法や、界面重合法などにより製造できる。なお、熱膨張性微小球には、例えば、商品名「マツモトマイクロスフェアー」[松本油脂製薬(株)製]などの市販品もある。
なお、熱膨張性微小球において、付与する剥離開始温度は、熱膨張性物質の種類(特に、気化温度)、殻を形成する物質の種類、殻の厚みや、熱膨張性微小球の粒子径などにより、適宜な温度に調整することができる。
熱膨張性微小球としては、加熱処理により、加熱剥離型粘着層の接着力を効率よく且つ安定して低下させるため、体積膨張率が5倍以上、なかでも7倍以上、特に10倍以上となるまで破裂しない適度な強度を有する熱膨張性微小球が好ましい。
加熱剥離型粘着層において、熱膨張性微小球の含有割合(配合量)としては、加熱剥離型粘着層の膨張倍率や、接着力の低下性などに応じて適宜設定することができるが、例えば、加熱剥離型粘着層を形成する粘着剤のベースポリマー100重量部に対して1〜150重量部(好ましくは10〜130重量部、さらに好ましくは25〜100重量部)の範囲から適宜選択することができる。
なお、熱膨張性微小球の粒径(平均粒子径)としては、加熱剥離型粘着層の厚みなどに応じて適宜選択することができる。熱膨張性微小球の平均粒子径としては、例えば、100μm以下(好ましくは80μm以下、さらに好ましくは1〜50μm、特に1〜30μm)の範囲から選択することができる。
加熱剥離型粘着層は、粘着層であるので、熱膨張性を付与するための熱膨張性微小球とともに、粘着性を付与するための粘着剤を少なくとも含有していることが重要である。このような粘着剤(感圧接着剤)としては、加熱剥離型粘着層の加熱時に熱膨張性微小球の発泡及び/又は膨張を許容する粘着剤を用いることができ、加熱時に熱膨張性微小球の発泡及び/又は膨張を可及的に拘束しないようなものが好ましい。粘着剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記粘着剤としては、公知の粘着剤の中から適宜選択することができ、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤等の各種粘着剤や、これらの粘着剤に融点が約200℃以下の熱溶融性樹脂を配合したクリ−プ特性改良型粘着剤などの公知の粘着剤(例えば、特開昭56−61468号公報、特開昭61−174857号公報、特開昭63−17981号公報、特開昭56−13040号公報等参照)などが挙げられる。これらの粘着剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。なお、粘着剤は、粘着性成分(ベースポリマー)等のポリマー成分などのほかに、粘着剤の種類等に応じて、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート、アルキルエーテル化メラミン化合物など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂などからなる常温で固体、半固体あるいは液状のもの)、可塑剤、充填剤、老化防止剤などの適宜な添加剤を含んでいてもよい。なお、粘着剤は、エマルジョン系粘着剤、溶剤系粘着剤などのいずれの形態の粘着剤であってもよい。
粘着剤としては、ゴム系粘着剤やアクリル系粘着剤が好ましく、特にアクリル系粘着剤を好適に用いることができる。
ゴム系粘着剤としては、天然ゴムや各種の合成ゴム[例えば、ポリイソプレンゴム、スチレン・ブタジエンブロック共重合体(SB)ゴム、スチレン・イソプレンブロック共重合体(SI)ゴム、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)ゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)ゴム、スチレン・イソプレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SIBS)ゴム、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)ゴム、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)ゴム、スチレン・エチレン・プロピレンブロック共重合体(SEP)ゴム、再生ゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレンや、これらの変性体など]をベースポリマーとしたゴム系粘着剤が挙げられる。
また、アクリル系粘着剤としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系重合体[単独重合体(ホモポリマー)又は共重合体(コポリマー)]をベースポリマーとするアクリル系粘着剤が挙げられる。前記アクリル系粘着剤における(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステル[好ましくは(メタ)アクリル酸C4-18アルキル(直鎖状又は分岐鎖状のアルキル)エステル]などが挙げられる。
なお、前記アクリル系重合体は、凝集力、耐熱性、架橋性などの改質を目的として、必要に応じて、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他の単量体成分に対応する単位を含んでいてもよい。このような単量体成分として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、カルボキシエチルアクリレートなどのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イコタン酸などの酸無水物基含有モノマー;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチルなどのヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどの(N−置換又は無置換)アミド系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー;スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系モノマー;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノアクリレート系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有アクリル系モノマー;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレンなどのオレフィン又はジエン系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどの(置換又は無置換)アミノ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;N−ビニルピロリドン、N−メチルビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−ビニルモルホリン、N−ビニルカプロラクタムなどの窒素原子含有環を有するモノマー;N−ビニルカルボン酸アミド類;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレートなどのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有モノマー;N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系モノマー;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミドなどのイタコンイミド系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクルロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルなどの酸素原子含有複素環を有するモノマー;フッ素系(メタ)アクリレートなどのフッ素原子を含有するアクリル酸エステル系モノマー;シリコーン系(メタ)アクリレートなどのケイ素原子を含有するアクリル酸エステル系モノマー;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレートなどの多官能モノマー等が挙げられる。これらの単量体成分は1種又は2種以上使用できる。
加熱剥離型粘着層は、例えば、粘着剤と、熱膨張性微小球と、必要に応じて溶媒やその他の添加剤などとを混合して、シート状の層に形成する慣用の方法により形成することができる。具体的には、例えば、粘着剤、熱膨張性微小球、および必要に応じて溶媒やその他の添加剤を含む混合物を、基材や、後述するゴム状有機弾性層上に塗布する方法、適当なセパレータ(剥離紙など)上に前記混合物を塗布して加熱剥離型粘着層を形成し、これを基材又はゴム状有機弾性層上に転写(移着)する方法などにより、加熱剥離型粘着層を形成することができる。なお、加熱剥離型粘着層は単層、複層の何れであってもよい。
加熱剥離型粘着層の厚さは、接着力の低減性などにより適宜に選択することができ、例えば、500μm以下の範囲から選択することができ、好ましくは300μm以下(さらに好ましくは100μm以下)である。加熱剥離型粘着層の厚さが厚すぎると(過大であると)、加熱処理による膨張乃至発泡後に、加熱剥離型粘着層に凝集破壊が生じやすくなり、剥離後に被着体(被着物)に汚染の原因となる糊残り(粘着成分の残存)が発生する場合がある。一方、加熱剥離型粘着層の厚さが薄すぎると(過小であると)、加熱処理による加熱剥離型粘着層の変形度が小さく、接着力が円滑に低下しにくくなり、また、添加する熱膨張性微小球の粒径を過度に小さくする必要が生じる。そのため、加熱剥離型粘着層の厚さとしては、5μm以上(好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上)であることが好適である。もちろん、加熱剥離型粘着層の厚さは、含まれている熱膨張性微小球の最大粒径よりも厚いことが重要である。
[基材]
基材は加熱剥離型粘着層等の支持母体として用いることができる。なお、基材は単層の形態又は積層された形態のいずれ形態を有していてもよい。
基材としては、例えば、紙などの紙系基材;布、不織布、フェルト、ネットなどの繊維系基材;金属箔、金属板などの金属系基材;プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材;ゴムシートなどのゴム系基材;発泡シートなどの発泡体や、これらの積層体[特に、プラスチック系基材と他の基材との積層体や、プラスチックフィルム(又はシート)同士の積層体など]等の適宜な薄葉体を用いることができる。基材としては、加熱剥離型粘着層の加熱処理温度で溶融しない耐熱性に優れるものが、加熱後の取扱性などの点より好ましい。基材としては、プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材を好適に用いることができる。このようなプラスチック材における素材としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル;ポリ塩化ビニル(PVC);ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などが挙げられる。これらの素材は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
なお、基材として、プラスチック系基材が用いられている場合は、延伸処理等により伸び率などの変形性を制御していてもよい。
基材の厚さは、強度や柔軟性、使用目的などに応じて適宜に選択でき、例えば、一般的には1000μm以下(例えば、1〜1000μm)、好ましくは1〜500μm、さらに好ましくは3〜300μm、特に好ましくは5〜250μm程度であるが、これらに限定されない。
基材の表面は、加熱剥離型粘着層等との密着性を高めるため、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的方法による酸化処理等が施されていてもよく、下塗り剤によるコーティング処理等が施されていてもよい。また、加熱剥離型粘着層等との剥離性を付与するために、例えば、シリコーン系樹脂やフッ素系樹脂等の剥離剤などによるコーティング処理が施されていてもよい。
なお、本発明では、基材の少なくとも一方の面(片面または両面)に加熱剥離型粘着層を設けることができ、基材を加熱剥離型粘着層の内部に埋設した形態などとすることもできる。
[セパレータ]
本発明では、セパレータとしては、慣用の剥離紙などを使用できる。セパレータは加熱剥離型粘着層の保護材として用いられており、加熱剥離型粘着シートを被着体に貼着する際に剥がされる。セパレータは必ずしも設けられていなくてもよい。
セパレータとしては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙等の剥離層を有する基材;ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系ポリマーからなる低接着性基材;オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)等の無極性ポリマーからなる低接着性基材などを用いることができる。なお、セパレータは、加熱剥離型粘着層を支持するための基材として用いることも可能である。
なお、セパレータは公知乃至慣用の方法により形成することができる。また、セパレータの厚さ等も特に制限されない。
[中間層]
本発明では、基材と加熱剥離型粘着層との間に1層又は2層以上の中間層を設けることもできる。該中間層は、前述のように、剥離性の付与を目的とした剥離剤のコーティング層や、密着力の向上を目的とした下塗り剤のコーティング層などが挙げられる。なお、剥離剤のコーティング層や下塗り剤のコーティング層以外の中間層としては、例えば、良好な変形性の付与を目的とした層、被着体への接着面積の増大を目的とした層、接着力の向上を目的とした層、被着体の表面形状に良好に追従させることを目的とした層、加熱による接着力低減の処理性の向上を目的とした層、加熱後の被着体よりの剥離性の向上を目的とした層などが挙げられる。
特に、加熱剥離型粘着シートの変形性の付与や加熱後の剥離性の向上などの点より、基材と加熱剥離型粘着層との間の層(中間層)として、例えば、ゴム状有機弾性層を設けることができる。ゴム状有機弾性層を設けることにより、加熱剥離型粘着シートを被着体に接着する際に、前記加熱剥離型粘着シートの表面(加熱剥離型粘着層の表面)を被着体の表面形状に良好に追従させて、接着面積を大きくすることができ、また、前記加熱剥離型粘着シートを被着体から加熱剥離する際に、加熱剥離型粘着層の加熱膨張を高度に(精度よく)コントロールし、加熱剥離型粘着層を厚さ方向へ優先的に且つ均一に膨張させることができる。なお、ゴム状有機弾性層は、必要に応じて設けられる層であり、必ずしも設けられていなくてもよい。
ゴム状有機弾性層は、加熱剥離型粘着層の基材側の面に、加熱剥離型粘着層に重畳させた形態で設けることが好ましい。なお、基材と加熱剥離型粘着層との間の中間層以外の層としても設けることができる。ゴム状有機弾性層は、基材の片面又は両面に介在させることができる。
ゴム状有機弾性層は、例えば、ASTM D−2240に基づくD型シュアーD型硬度が、50以下、特に40以下の天然ゴム、合成ゴム又はゴム弾性を有する合成樹脂により形成することが好ましい。
前記合成ゴム又はゴム弾性を有する合成樹脂としては、例えば、ニトリル系、ジエン系、アクリル系などの合成ゴム;ポリオレフィン系、ポリエステル系などの熱可塑性エラストマー;エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリブタジエン、軟質ポリ塩化ビニルなどのゴム弾性を有する合成樹脂などが挙げられる。なお、ポリ塩化ビニルなどのように本質的には硬質系ポリマーであっても、可塑剤や柔軟剤等の配合剤との組み合わせによりゴム弾性が発現しうる。このような組成物も、前記ゴム状有機弾性層の構成材料として使用できる。また、加熱剥離型粘着層を構成する粘着剤等の粘着性物質などもゴム状有機弾性層の構成材料として好ましく用いることができる。
ゴム状有機弾性層は、例えば、前記天然ゴム、合成ゴム又はゴム弾性を有する合成樹脂などのゴム状有機弾性層形成材を含むコーティング液を基材上に塗布する方式(コーティング法)、前記ゴム状有機弾性層形成材からなるフィルム、又は予め1層以上の加熱剥離型粘着層上に前記ゴム状有機弾性層形成材からなる層を形成した積層フィルムを基材と接着する方式(ドライラミネート法)、基材の構成材料を含む樹脂組成物と前記ゴム状有機弾性層形成材を含む樹脂組成物とを共押出しする方式(共押出し法)などの形成方法により形成することができる。
ゴム状有機弾性層の厚さは、一般的には500μm以下(例えば、1〜500μm)、好ましくは3〜300μm、さらに好ましくは5〜150μm程度である。ゴム状有機弾性層は単層であってもよく、2以上の層で構成してもよい。
なお、ゴム状有機弾性層は、天然ゴムや合成ゴム又はゴム弾性を有する合成樹脂を主成分とする粘着性物質で形成されていてもよく、また、かかる成分を主体とする発泡フィルム等で形成されていてもよい。発泡は、慣用の方法、例えば、機械的な攪拌による方法、反応生成ガスを利用する方法、発泡剤を使用する方法、可溶性物質を除去する方法、スプレーによる方法、シンタクチックフォームを形成する方法、焼結法などにより行うことができる。
[他の粘着層]
本発明では、加熱剥離型粘着シートにおいて、基材の一方の面(片面)にのみ加熱剥離型粘着層が形成されている場合、前記基材の他方の面に他の粘着層が形成されていてもよい。該他の粘着層を利用して、支持台座などの支持体に貼付して支持させることができる。このような他の粘着層を形成するための粘着剤としては、特に制限されず、上記加熱剥離型粘着層において用いられる粘着剤として例示された粘着剤(例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、クリ−プ特性改良型粘着剤など)等の公知乃至慣用の粘着剤を用いることができる。これらの粘着剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
なお、他の粘着層の厚さとしては、例えば、500μm以下(例えば、5〜500μm、好ましくは10〜300μm、さらに好ましくは15〜100μm)であってもよい。該他の粘着層の形成に際しては、前記加熱剥離型粘着層と同様の方法(例えば、基材上に塗布する方法、セパレータ上に塗布して粘着層を形成した後、これを基材上に転写する方法など)を利用することができる。他の粘着層は単層、複層の何れであってもよい。
本発明の加熱剥離型粘着シートは、基材上に、加熱剥離型粘着層を、必要に応じて他の層(ゴム状有機弾性層など)を介して形成することにより作製することができる。加熱剥離型粘着シートは、片面のみに粘着面を有する形態を有していてもよく、両面に粘着面を有する形態を有していてもよい。また、加熱剥離型粘着シートは、シート状、テープ状などの形態を有することができる。
本発明の加熱剥離型粘着シートは、所定の剥離開始温度よりも10℃以上低い温度であれば加熱されても、加熱剥離型粘着層の発泡乃至膨張が抑制又は防止されているので、加熱剥離型粘着層上に被着体が貼着されている状態で被着体に加工処理を施す際などでは、被着体が、厚みが極めて薄いもの、または、加熱剥離型粘着シートに貼着された状態で薄型加工が施されたものなどであっても、剥離開始温度よりも10℃以上低い温度であれば、加熱しても、被着体に加熱剥離型粘着層の発泡及び/又は膨張による損傷が生じず、また被着体を加熱剥離型粘着層上にしっかりと保持させることができる。そして、加熱剥離型粘着層上に被着体が貼着されている状態で、任意な時に、加熱剥離型粘着シート(特に、加熱剥離型粘着層)を剥離開始温度又はそれ以上の温度に加熱することにより、加熱剥離型粘着層中の熱膨張性微小球が発泡乃至膨張して、加熱剥離型粘着層が発泡乃至膨張し、この加熱剥離型粘着層の発泡乃至膨張により、加熱剥離型粘着層の表面(粘着面)が凹凸状に変形して、該粘着面と被着体との接着面積が減少し、これにより、前記凹凸状に変形した粘着面と被着体との間の接着力が減少し、該粘着面に貼着している被着体を加熱剥離型粘着シートから剥離させることができる。
従って、本発明の加熱剥離型粘着シートは、特に、小型のチップ部品を製造する際に用いられる加熱剥離型粘着シート(例えば、半導体ウエハや半導体チップの他、セラミックコンデンサや発振子などの電子部品の小型チップ化工程で用いられる加熱剥離型粘着シート)として好適に用いることができる。
[被着体]
本発明では、前記加熱剥離型粘着シートにより接着保持する物品(被着体又は被加工物)は、任意に選択することができる。具体的には、被着体(被加工物)としては、半導体ウエハや半導体チップなどの電子系部品類;セラミックコンデンサや発振子などの電気系物品類;液晶セルなどの表示デバイス類の他、サーマルヘッド、太陽電池、プリント基板などの種々の物品が挙げられる。被着体は単独であってもよく、又は2種以上組み合わせられていてもよい。
本発明の加熱剥離型粘着シートは、例えば、加工時には、加熱剥離型粘着層が付与する剥離開始温度よりも10℃以上低い温度で加熱する場合があっても、被着体(被加工物)に損傷を与えずに、強い接着力で被着体を接着することができ、加工後には、その接着状態を迅速に解除することができる用途で好適に用いることができる。すなわち、前記加熱剥離型粘着シートを用いると、加工後に、容易に且つ迅速に剥離することができ、製造作業性を大きく向上させることができる。なお、このような被着体の加工方法としては、任意に選択することができ、例えば、研磨処理加工、ダイシング加工、パターン形成加工、組み立て加工などの加工が挙げられる。
また、本発明の加熱剥離型粘着シートは、被着体を搬送する際の保護材としても好適に用いることができる。
本発明では、加熱剥離型粘着シートに被着体として被加工物(被加工体)を貼着させた後、加工を施すことにより各種加工品を得ることができる。例えば、被加工物として、半導体ウエハなどの電子系部品類を用いた場合、加工品として半導体チップなどの電子部品や回路基板などを得ることができる。すなわち、本発明では、前記加熱剥離型粘着シートを用いて電子部品や回路基板を製造することができる。
なお、加熱剥離型粘着シートを被着体より剥離する際の加熱処理は、例えば、ホットプレート、熱風乾燥機、近赤外線ランプ、エアードライヤーなどの適宜な加熱手段を利用して行うことができる。加熱温度は、加熱剥離型粘着層が付与する剥離開始温度以上であればよいが、加熱処理の条件は、被着体の表面状態や熱膨張性微小球の種類等による接着面積の減少性、基材や被着体の耐熱性、加熱方法(熱容量、加熱手段等)などにより適宜設定できる。一般的な加熱処理条件は、温度100〜250℃で、5〜90秒間(ホットプレートなど)または5〜15分間(熱風乾燥機など)である。かかる加熱条件で、通例、加熱剥離型粘着層中の熱膨張性微小球が膨張及び/又は発泡して加熱剥離型粘着層が膨張変形することにより凹凸状変形し、接着力が低下ないし喪失する。なお、加熱処理は使用目的に応じて適宜な段階で行うことができる。また、加熱源としては、赤外線ランプや加熱水を用いることができる場合もある。
[チップ部品の製造方法]
本発明のチップ部品の製造方法は、加熱剥離型粘着シートを用いて被加工物に切断加工を施して、チップ部品を製造する方法であり、前述の加熱剥離型粘着シートにおける加熱剥離型粘着層上に被加工物を貼り合わせて、被加工物に切断加工処理を施した後、被加工物の切断加工処理により得られたチップ部品を、加熱剥離型粘着シートよりピックアップすることを特徴としている。すなわち、本発明のチップ部品の製造方法では、加熱剥離型粘着シートとして、基材の少なくとも一方の面に、熱膨張性微小球を含有する加熱剥離型粘着層が設けられ、且つ加熱剥離型粘着層が付与する剥離開始温度と、加熱剥離型粘着層における膨張開始温度との温度差が、10℃未満である加熱剥離型粘着シートを用いていることが重要である。このように、前記加熱剥離型粘着シートを用いているので、チップ部品を製造する際の被加工物の加工処理時に、加熱剥離型粘着層が付与する剥離開始温度よりも10℃以上低い温度であれば加熱しても、被加工物又はチップ部品への損傷を有効に抑制又は防止することができる。
本発明のチップ部品の製造方法では、被加工物として、電子系部品類または電気系部品類を好適に用いることができる。このような電子系部品類や電気系部品類としては、前記に例示のものなどが挙げられる。本発明では、被加工物として、特に半導体ウエハを好適に用いることができる。従って、本発明のチップ部品の製造方法には、加熱剥離型粘着シートを用いて半導体ウエハに個片化切断加工を施して、半導体チップを製造する方法であって、前述の加熱剥離型粘着シートにおける加熱剥離型粘着層上に半導体ウエハを貼り合わせて、半導体ウエハに個片化切断加工処理を施した後、個片化切断加工処理により得られた半導体チップを、加熱剥離型粘着シートよりピックアップすることを特徴とする半導体チップの製造方法が含まれる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1)
熱膨張性微小球としての商品名「マツモトマイクロスフェアF−100D」(松本油脂製薬株式会社製;平均粒子径12.5μm;「熱膨張性微小球A」と称する場合がある)を、熱風乾燥機にて、160℃で5分間加熱処理して事前に発泡乃至膨張させ、発泡乃至膨張した大粒子を遠心力型風力分級機を用いて分級して取り除き、分級済みの熱膨張性微小球(平均粒子径12.5μm;「分級済み熱膨張性微小球B」と称する場合がある)を得た。
次に、アクリル系共重合体(アクリル酸2−エチルヘキシル:30重量部、アクリル酸エチル:70重量部、およびメチルメタクリレート:5重量部をモノマー成分とするアクリル系共重合体):100重量部に対して、イソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」日本ポリウレタン工業社製):1重量部が配合された構成を有する感圧性接着剤を含むトルエン溶液を調製し、該トルエン溶液を、基材としてのポリエステル製フィルム(厚さ:100μm)の一方の面に、乾燥乃至硬化後の厚さが20μmとなるように塗布して、ゴム状有機弾性層を得た。
また、アクリル系共重合体(アクリル酸2−エチルヘキシル:30重量部、アクリル酸エチル:70重量部、およびメチルメタクリレート:5重量部をモノマー成分とするアクリル系共重合体):100重量部に対して、イソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」日本ポリウレタン工業社製):1重量部、および分級済み熱膨張性微小球B:30重量部が配合された構成を有する熱膨張性微小球含有感圧性接着剤を含むトルエン溶液を調製し、該トルエン溶液を、セパレータ上に、乾燥乃至硬化後の厚さが30μmとなるように塗布して、加熱剥離型粘着層を得た後、該加熱剥離型粘着層を、前記ゴム状有機弾性層に貼り合わせて、「基材/ゴム状有機弾性層/加熱剥離型粘着層」の層構成を有する加熱剥離型粘着シート(「加熱剥離型粘着シートA」と称する場合がある)を得た。なお、加熱剥離型粘着シートAにおける加熱剥離型粘着層は、分級済み熱膨張性微小球Bを含有している。
(比較例1)
分級済み熱膨張性微小球Bに代えて、熱膨張性微小球Aを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、「基材/ゴム状有機弾性層/加熱剥離型粘着層」の層構成を有する加熱剥離型粘着シート(「加熱剥離型粘着シートB」と称する場合がある)を得た。
すなわち、実施例1と同様にして、ゴム状有機弾性層を得た。また、アクリル系共重合体(アクリル酸2−エチルヘキシル:30重量部、アクリル酸エチル:70重量部、およびメチルメタクリレート:5重量部をモノマー成分とするアクリル系共重合体):100重量部に対して、イソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」日本ポリウレタン工業社製):1重量部、および熱膨張性微小球A:30重量部が配合された構成を有する熱膨張性微小球含有感圧性接着剤を含むトルエン溶液を調製し、該トルエン溶液を、セパレータ上に、乾燥乃至硬化後の厚さが30μmとなるように塗布して、加熱剥離型粘着層を得た後、該加熱剥離型粘着層を、前記ゴム状有機弾性層に貼り合わせて、加熱剥離型粘着シートBを得た。なお、加熱剥離型粘着シートBにおける加熱剥離型粘着層は、熱膨張性微小球Aを含有している。該熱膨張性微小球Aは、分級済み熱膨張性微小球Bのように、160℃で5分間加熱させた後、大粒子を分級する処理が施されていない熱膨張性微小球である。
(比較例2)
熱膨張性微小球としての熱膨張性微小球A(商品名「マツモトマイクロスフェアF−100D」松本油脂製薬株式会社製;平均粒子径12.5μm)を、熱風乾燥機にて、160℃で1時間加熱処理して事前に発泡乃至膨張させ、発泡乃至膨張した大粒子を遠心力型風力分級機を用いて分級して取り除き、熱膨張性微小球(平均粒子径12.5μm;「熱膨張性微小球C」と称する場合がある)を得た。
分級済み熱膨張性微小球Bに代えて、熱膨張性微小球Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、「基材/ゴム状有機弾性層/加熱剥離型粘着層」の層構成を有する加熱剥離型粘着シート(「加熱剥離型粘着シートC」と称する場合がある)を得た。
すなわち、実施例1と同様にして、ゴム状有機弾性層を得た。また、アクリル系共重合体(アクリル酸2−エチルヘキシル:30重量部、アクリル酸エチル:70重量部、およびメチルメタクリレート:5重量部をモノマー成分とするアクリル系共重合体):100重量部に対して、イソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」日本ポリウレタン工業社製):1重量部、および熱膨張性微小球C:30重量部が配合された構成を有する熱膨張性微小球含有感圧性接着剤を含むトルエン溶液を調製し、該トルエン溶液を、セパレータ上に、乾燥乃至硬化後の厚さが30μmとなるように塗布して、加熱剥離型粘着層を得た後、該加熱剥離型粘着層を、前記ゴム状有機弾性層に貼り合わせて、加熱剥離型粘着シートCを得た。なお、加熱剥離型粘着シートCにおける加熱剥離型粘着層は、熱膨張性微小球Cを含有している。該熱膨張性微小球Cは、前述のように、160℃で1時間加熱させた後、大粒子を分級する処理が施された熱膨張性微小球である。
(評価)
実施例1および比較例1〜2で得られた各加熱剥離型粘着シートを、ホットプレートにて、各温度(120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、170℃)で1分間加熱した際の加熱剥離型粘着シートの発泡及び/又は膨張の状態を、光学顕微鏡にて観察した。この評価結果は、表1の「発泡状態」の欄に示した。
また、各加熱剥離型粘着シートを、SUS304BA板に貼り合わせ、室温(23℃)で24時間放置して加熱剥離性評価用サンプルを作製した。そして、各加熱剥離型評価用サンプルを、ホットプレートにて、各温度(120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、170℃)で1分間加熱させ、その際の発泡乃至膨張により剥離するかどうかを目視にて観察した。この評価結果は、表1の「剥離状態」の欄に示した。
なお、表1において、「発泡開始」とは、その温度で、加熱剥離型粘着層が発泡乃至膨張をし始めたことを示している。また、「剥離開始」とは、その温度で、加熱剥離型粘着層に貼り合わせられているステンレス板(SUS304BA板)が、発泡乃至膨張した加熱剥離型粘着層から自然に剥離し始めたことを示している。
Figure 2007238789
表1より、実施例1に係る加熱剥離型粘着シートAは、160℃以下の温度では、加熱剥離型粘着層の発泡乃至膨張が生じず、170℃で発泡乃至膨張を開始し、且つ該170℃で、被着体の剥離も生じ始めている。すなわち、加熱剥離型粘着シートAは、膨張開始温度と、剥離開始温度との温度差が10℃未満となっている。
一方、比較例1に係る加熱剥離型粘着シートBは、120℃で、加熱剥離型粘着層の発泡乃至膨張が生じており、170℃で被着体の剥離が生じ始めている。すなわち、加熱剥離型粘着シートBは、膨張開始温度と、剥離開始温度との温度差が50℃以上となっている。また、比較例2に係る加熱剥離型粘着シートCは、150℃で、加熱剥離型粘着層の発泡乃至膨張が生じており、160℃で被着体の剥離が生じ始めている。すなわち、加熱剥離型粘着シートCは、膨張開始温度と、剥離開始温度との温度差が10℃以上となっている。しかも、加熱剥離型粘着シートCは、剥離開始温度が160℃となっており、本来の170℃から160℃に低下している。
本発明の加熱剥離型粘着シートの例を部分的に示す概略断面図である。
符号の説明
1a,1b 加熱剥離型粘着シート
2 基材
3 加熱剥離型粘着層(熱膨張性粘着層)
4 ゴム状有機弾性層
5 セパレータ

Claims (7)

  1. 基材の少なくとも一方の面に、熱膨張性微小球を含有する加熱剥離型粘着層が設けられた加熱剥離型粘着シートであって、加熱剥離型粘着層が付与する剥離開始温度と、加熱剥離型粘着層における膨張開始温度との温度差が、10℃未満であることを特徴とする加熱剥離型粘着シート。
  2. 加熱剥離型粘着層中に含まれる熱膨張性微小球が、膨張開始温度が、剥離開始温度より10℃低い温度より高く且つ剥離開始温度以下の温度である熱膨張性微小球である請求項1記載の加熱剥離型粘着シート。
  3. 熱膨張性微小球が、剥離開始温度より10℃低い温度で予め加熱処理した後、該加熱処理により発泡乃至膨張した熱膨張性微小球を分級処理して取り除くことにより得られる熱膨張性微小球である請求項1又は2記載の加熱剥離型粘着シート。
  4. 基材と加熱剥離型粘着層との間に、ゴム状有機弾性層を有している請求項1〜3の何れかの項に記載の加熱剥離型粘着シート。
  5. ゴム状有機弾性層が、粘着性物質により形成されている請求項4記載の加熱剥離型粘着シート。
  6. 加熱剥離型粘着シートを用いて被加工物に切断加工を施して、チップ部品を製造する方法であって、請求項1〜5の何れかの項に記載の加熱剥離型粘着シートにおける加熱剥離型粘着層上に被加工物を貼り合わせて、被加工物に切断加工処理を施した後、被加工物の切断加工処理により得られたチップ部品を、加熱剥離型粘着シートよりピックアップすることを特徴とするチップ部品の製造方法。
  7. 被加工物が、電子系部品類または電気系部品類である請求項6記載のチップ部品の製造方法。
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