JP2007238619A - 腫瘍性細胞成長阻害のための組成物及び方法 - Google Patents

腫瘍性細胞成長阻害のための組成物及び方法 Download PDF

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Abstract

【課題】癌細胞などの腫瘍細胞の成長を阻害できる化合物を同定すること。
【解決手段】PRO943、PRO1250、又はPRO1337ポリペプチド、又はそのアゴニストを製薬的に許容される担体と混合して含んでなる、腫瘍性細胞成長阻害に関して有用な物質の組成物であって、1つの実施形態として、PRO943、PRO1250、又はPRO1337ポリペプチド、又はそのアゴニストの成長阻害量を含んでなる、物質の組成物であって、別の実施形態において、PRO943、PRO1250、又はPRO1337ポリペプチド、又はそのアゴニストの細胞毒性量を含んでなる、物質の組成物。
【選択図】なし

Description

(発明の分野)
本発明は、腫瘍性細胞成長を阻害する為の方法及び組成物に関する。特に、本
発明は、腫瘍を治療するための抗腫瘍組成物及び方法に関する。さらに本発明は
、成長阻害性、例えば抗腫瘍性化合物を同定するためのスクリーニング方法にも
関する。
(発明の背景)
悪性腫瘍(癌)は、米国において心臓疾患に続き第2の主要な死亡原因である
(Boring等,CA Cancel J. Clin., 43: 7 [1993])。
癌は、正常な組織から誘導されて腫瘍実体を形成する異常な、又は腫瘍性の細
胞数の増加、これらの腫瘍性腫瘍細胞による隣接組織の侵襲、及び最終的に血液
やリンパ系を介して局所のリンパ節及び離間部位に拡散(転移)する悪性細胞の
生成を特徴とする。癌性状態においては、正常細胞が成長しない条件下で細胞が
増殖する。癌自体は、異なる侵襲及び攻撃性の程度で特徴付けられる広範な種々
の形態で顕現する。
近年の癌治療の発達にも関わらず、腫瘍性細胞成長を阻害することのできる新
たな治療薬が大いに必要とされている。従って、本発明の目的は、癌細胞などの
腫瘍細胞の成長を阻害できる化合物を同定することである。
本発明によって以下が提供される:
(1) PRO943、PRO1250、又はPRO1337ポリペ
プチド、又はそのアゴニストを製薬的に許容される担体と混合して含んでなる、
腫瘍性細胞成長阻害に関して有用な物質の組成物。
(2) PRO943、PRO1250、又はPRO1337ポリペ
プチド、又はそのアゴニストの成長阻害量を含んでなる、項目1に記載の物質
の組成物。
(3) PRO943、PRO1250、又はPRO1337ポリペ
プチド、又はそのアゴニストの細胞毒性量を含んでなる、項目1に記載の物質
の組成物。
(4) さらなる成長阻害薬、細胞毒性薬又は化学治療薬を付加的に
含んでなる、項目1に記載の物質の組成物。
(5) PRO943、PRO1250、又はPRO1337ポリペ
プチド、又はそのアゴニストの治療的有効量を含んでなる、哺乳動物の腫瘍の治
療に関して有用な物質の組成物。
(6) 前記腫瘍が癌である、項目5の物質の組成物。
(7) 癌が、乳癌、卵巣癌、腎臓癌、結腸直腸癌、肺癌、膀胱癌、
中枢神経系癌、メラノーマ及び白血病からなる群より選択される項目6に記載
の物質の組成物。
(8) 前記腫瘍細胞を、PRO943、PRO1250、又はPR
O1337ポリペプチド、又はそのアゴニストの有効量に暴露することを含んで
なる、腫瘍細胞の成長を阻害する方法。
(9) 前記アゴニストが、抗-PRO943、抗-PRO1250、
又は抗-PRO1337アゴニスト抗体である項目8に記載の方法。
(10) 前記アゴニストが、PRO943、PRO1250、又は
PRO1337ポリペプチドの生物学的活性を模倣する小分子である項目8に
記載の方法。
(11) 前記暴露工程がインビトロで起こる、項目8に記載の方
法。
(12) 前記暴露工程がインビボで起こる、項目8に記載の方法

(13) 容器;及び
当該容器内に収容された活性剤を含有する組成物とを具備し、前記組成物中の活
性剤がPRO943、PRO1250、又はPRO1337ポリペプチド又はそ
のアゴニストである製造品。
(14) 腫瘍細胞成長を阻害するための前記組成物の用途を記した
、前記容器に貼付られたラベル又は前記容器に挿入された包装挿入物をさらに具
備する項目13に記載の製造品。
(15) 前記アゴニストが、抗-PRO943、抗-PRO1250
、又は抗-PRO1337アゴニスト抗体である項目13に記載の製造品。
(16) 前記アゴニストが、PRO943、PRO1250又はP
RO1337ポリペプチドの生物学的活性を模倣する小分子である項目13に
記載の方法。
(17) 前記活性剤が、哺乳動物における腫瘍の治療に有効な量で
存在する、項目13に記載の物質の製造品。
(18) さらなる成長阻害薬、細胞毒性薬又は化学治療薬を付加的
に含む項目13に記載の物質の製造品。
(19) Fig2(配列番号:2)、Fig4(配列番号:4)、
及びFig6(配列番号:6)に示すアミノ酸配列からなる群より選択されるア
ミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、少なくとも約80%の核酸
配列同一性を有する単離された核酸。
(20) Fig1(配列番号:1)、Fig3(配列番号:3)、
及びFig5(配列番号:5)に示すヌクレオチド配列からなる群より選択され
るヌクレオチド配列に対して、少なくとも約80%の核酸配列同一性を有する単
離された核酸。
(21) Fig1(配列番号:1)、Fig3(配列番号:3)、
及びFig5(配列番号:5)に示すヌクレオチド配列の完全長コード化配列か
らなる群より選択されるヌクレオチド配列に対して、少なくとも約80%の核酸
配列同一性を有する単離された核酸。
(22) ATCC登録番号203042、203173、又は20
3265で寄託したDNAの完全長コード化配列に対して、少なくとも約80%
の核酸配列同一性を有する単離された核酸。
(23) 項目19から22のいずれか一項に記載の核酸を含むベ
クター。
(24) 当該ベクターで形質転換した宿主細胞によって認識される
コントロール配列と作用可能に結合した項目23に記載のベクター。
(25) 項目23項に記載のベクターを含む宿主細胞。
(26) 前記細胞がCHO細胞である、項目25項に記載の宿主
細胞。
(27) 前記細胞が大腸菌である、項目25項に記載の宿主細胞

(28) 前記細胞が酵母菌細胞である、項目25項に記載の宿主
細胞。
(29) 前記細胞がバキュウロウイルス感染昆虫細胞である、請求
項25項に記載の宿主細胞。
(30) PRO943、PRO1250、又はPRO1377ポリ
ペプチドの発現に適した条件下で項目25に記載の宿主細胞を培養し、そして
その細胞培養から前記ポリペプチドを回収することを含んでなる前記ポリペプチ
ドを製造する方法。
(31) Fig2(配列番号:2)、Fig4(配列番号:4)、
及びFig6(配列番号:6)に示すアミノ酸配列からなる群より選択されるア
ミノ酸配列に対して、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する単離さ
れたポリペプチド。
(32) ATCC登録番号203042、203173、又は20
3265で寄託したDNAの完全長コード化配列によってコードされるアミノ酸
配列に対して、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する単離されたポ
リペプチド。
(33) 異種アミノ酸配列に融合した項目31から32のいずれ
か一項に記載のポリペプチドを含んでなるキメラ分子。
(34) 前記異種アミノ酸配列がエピトープタグ配列である項目
33に記載のキメラ分子。
(35) 前記異種アミノ酸配列が免疫グロブリンのFc領域である
項目33に記載のキメラ分子。
(36) 項目31から32のいずれか一項に記載のポリペプチド
と特異的に結合する単離された抗体。
(37) 前記抗体が、任意の他のポリペプチド又はポリペプチドエ
ピトープとの実質的な結合をせず、前記ポリペプチドと特異的に結合するか、又
は前記ポリペプチド上のエピトープと特異的に結合する、項目36の単離され
た抗体。
(38) モノクローナル抗体、ヒト化抗体、又は一本鎖抗体である
、項目36の単離された抗体。
(39) (a)Fig2(配列番号:2)、Fig4(配列番号:
4)、及びFig6(配列番号:6)に示すポリペプチドをコードするヌクレオ
チド配列であって、結合するシグナルペプチドを欠くもの;
(b)Fig2(配列番号:2)、Fig4(配列番号:4)、及びFig6
(配列番号:6)に示すポリペプチドの細胞外ドメインをコードするヌクレオチ
ド配列であって、結合するシグナルペプチドを有するもの;又は
(c)Fig2(配列番号:2)、Fig4(配列番号:4)、及びFig6
(配列番号:6)に示すポリペプチドの細胞外ドメインをコードするヌクレオチ
ド配列であって、結合するシグナルペプチドを欠くもの、に対して少なくとも約
80%の核酸配列同一性を有する単離された核酸。
(40) (a)Fig2(配列番号:2)、Fig4(配列番号:
4)、及びFig6(配列番号:6)に示すポリペプチドであって、結合するシ
グナルペプチドを欠くもの;
(b)Fig2(配列番号:2)、Fig4(配列番号:4)、及びFig6
(配列番号:6)に示すポリペプチドの細胞外ドメインであって、結合するシグ
ナルペプチドを有するもの;又は
(c)Fig2(配列番号:2)、Fig4(配列番号:4)、及びFig6
(配列番号:6)に示すポリペプチドの細胞外ドメインであって、結合するシグ
ナルペプチドを欠くもの、に対して少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を
有する単離されたポリペプチド。
(発明の概要)
A.実施態様
本発明は、腫瘍細胞成長を阻害するための方法及び組成物に関する。より詳細
には、本発明は、哺乳動物患者、好ましくはヒトにおける癌、例えば乳癌、前立
腺癌、直腸癌、肺癌、卵巣癌、腎臓癌及びCNS癌、白血病、骨髄腫などを含む
腫瘍を治療するための方法及び組成物に関する。
一態様では、本発明は、ここに定義するPROポリペプチド、又はそのアゴニ
ストを、製薬的に許容される担体と混合して含んでなる腫瘍性細胞成長阻害のた
めに有用な物質の組成物に関する。好ましい実施態様では、この物質の組成物は
、PROポリペプチド、又はそのアゴニストの成長阻害量を含んでいる。他の好
ましい実施態様では、この組成物は、PROポリペプチド、又はそのアゴニスト
の細胞毒性量を含む。場合によっては、この物質の組成物は、一又は複数の成長
阻害及び/又は細胞毒性及び/又は化学治療薬を含有してよい。
さらなる態様では、本発明は、ここに定義されるPROポリペプチド、又はそ
のアゴニストの有効量を含んでなる、哺乳動物における腫瘍を治療するために有
用な物質の組成物に関する。この腫瘍は、好ましくは癌である。
他の態様では、本発明は、前記腫瘍細胞を、ここに定義される、PROポリペ
プチド、又はそのアゴニストの有効量に暴露することを含んでなる、腫瘍細胞の
成長を阻害する方法に関する。特別な実施態様では、アゴニストは、抗-PRO
アゴニスト抗体である。他の実施態様では、アゴニストは、PROポリペプチド
の生物学的活性を模倣する小分子である。この方法は、インビトロ又はインビボ
で実施される。
またさらなる実施態様では、本発明は、
(a)容器;及び
(b)当該容器内に収容された活性剤を含有する組成物とを具備する製造品に
関し、当該組成物は新生細胞成長、例えば腫瘍細胞成長を阻害するのに有用であ
り、当該組成物中の活性剤は、ここに定義されるPROポリペプチド、又はその
アゴニスト;及び
(c)前容器に取り付けられた容器、又は前容器に含まれる包装挿入物であっ
て、前記PROポリペプチド、又はそのアゴニストの腫瘍性細胞の成長阻害にお
ける使用について言及するもので、アゴニストはPROポリペプチドへ結合する
抗体であろう製造品からなる。特別な実施態様では、アゴニストは、抗-PRO
アゴニスト抗体である。他の実施態様では、アゴニストは、PROポリペプチド
の生物学的活性を模倣する小分子である。ここに定義されるPROポリペプチド
を腫瘍の治療に有効な量で含有する類似の製造品も本発明の範囲内に包含される
。また、ここに定義されるPROポリペプチド又はそのアゴニストを含み、さら
なる成長阻害薬、細胞毒性薬又は化学治療薬を付加的に含む製造品も本発明の範
囲内である。
B.更なる実施態様
本発明の他の実施態様では、本発明はPROポリペプチドをコードするヌクレ
オチド配列を含む単離された核酸を提供する。
一側面では、単離された核酸分子は、(a)PROポリペプチドのDNA分子
で、ここに開示された完全長アミノ酸配列、ここに開示されたシグナルペプチド
を欠くアミノ酸配列、ここに開示された膜貫通タンパク質でシグナルペプチドを
含む又は含まないものの細胞外ドメイン、又はここに開示されたいずれかの具体
的に定義された完全長アミノ酸配列の断片或いは(b)(a)のDNA分子の補
体に対して、少なくとも約80%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも約
81%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも約82%の配列同一性を有す
る、あるいは少なくとも約83%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも約
84%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも約85%の配列同一性を有す
る、あるいは少なくとも約86%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも約
87%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも約88%の配列同一性を有す
る、あるいは少なくとも約89%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも約
90%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも約91%の配列同一性を有す
る、あるいは少なくとも約92%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも約
93%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも約94%の配列同一性を有す
る、あるいは少なくとも約95%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも約
96%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも約97%の配列同一性を有す
る、あるいは少なくとも約98%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも約
99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
他の側面では、単離された核酸分子は、(a)ここに開示されたPROポリペ
プチドの完全長配列をコードするcDNAを含んでなるDNA分子、ここに開示
されたPROポリペプチドのシグナル配列を欠く配列、ここに開示されたPRO
ポリペプチドの膜貫通タンパク質の細胞外ドメインでシグナル配列を含む又は含
まない配列、或いはここに開示されたいずれかの具体的に定義された完全長アミ
ノ酸配列の断片、或いは(b)(a)のDNA分子の補体に対して、少なくとも
約80%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも約81%の配列同一性を有
する、あるいは少なくとも約82%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも
約83%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも約84%の配列同一性を有
する、あるいは少なくとも約85%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも
約86%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも約87%の配列同一性を有
する、あるいは少なくとも約88%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも
約89%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも約90%の配列同一性を有
する、あるいは少なくとも約91%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも
約92%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも約93%の配列同一性を有
する、あるいは少なくとも約94%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも
約95%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも約96%の配列同一性を有
する、あるいは少なくとも約97%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも
約98%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも約99%の配列同一性を有
するヌクレオチド配列を含む。
さらなる側面では、本発明は、(a)ここに開示されATCCへ寄託された任
意のヒトcDNAによってコードされているのと同じ成熟ポリペプチドをコード
するDNA分子、或いは(b)(a)のDNA分子の補体に対して、少なくとも
約80%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも約81%の配列同一性を有
する、あるいは少なくとも約82%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも
約83%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも約84%の配列同一性を有
する、あるいは少なくとも約85%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも
約86%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも約87%の配列同一性を有
する、あるいは少なくとも約88%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも
約89%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも約90%の配列同一性を有
する、あるいは少なくとも約91%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも
約92%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも約93%の配列同一性を有
する、あるいは少なくとも約94%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも
約95%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも約96%の配列同一性を有
する、あるいは少なくとも約97%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも
約98%の配列同一性を有する、あるいは少なくとも約99%の配列同一性を有
するヌクレオチド配列を含んでなる単離された核酸分子に関する。
さらに他の側面では、本発明は、膜貫通ドメインが欠損又は不活性化のいずれ
かであるPROポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、或いはそのような
ヌクレオチド配列と相補的なPROポリペプチドをコードするヌクレオチド配列
を含んでなる単離された核酸分子を提供し、これらポリペプチドの膜貫通ドメイ
ンは、ここに開示されている。従って、ここに開示されるPROポリペプチドの
可溶性ドメインが考察されている。
他の実施態様は、例えば、場合によっては抗-PRO抗体の結合部位を含んで
なるポリペプチドをコードするPROポリペプチドのコード化断片のためのハイ
ブリダイゼーションプローブ、又ははアンチセンスオリゴヌクレオチドプローブ
としての利用を見出しうるPROポリペプチドコード化配列断片或いはその補体
に関する。そのような核酸断片は通常少なくとも約20のヌクレオチド長さ、あ
るいは少なくとも約30のヌクレオチド長さ、あるいは少なくとも約40のヌク
レオチド長さ、あるいは少なくとも約50のヌクレオチド長さ、あるいは少なく
とも約60のヌクレオチド長さ、あるいは少なくとも約70のヌクレオチド長さ
、あるいは少なくとも約80のヌクレオチド長さ、あるいは少なくとも約90の
ヌクレオチド長さ、あるいは少なくとも約100のヌクレオチド長さ、あるいは
少なくとも約110のヌクレオチド長さ、あるいは少なくとも約120のヌクレ
オチド長さ、あるいは少なくとも約130のヌクレオチド長さ、あるいは少なく
とも約140のヌクレオチド長さ、あるいは少なくとも約150のヌクレオチド
長さ、あるいは少なくとも約160のヌクレオチド長さ、あるいは少なくとも約
170のヌクレオチド長さ、あるいは少なくとも約180のヌクレオチド長さ、
あるいは少なくとも約190のヌクレオチド長さ、あるいは少なくとも約200
のヌクレオチド長さ、あるいは少なくとも約250のヌクレオチド長さ、あるい
は少なくとも約300のヌクレオチド長さ、あるいは少なくとも約350のヌク
レオチド長さ、あるいは少なくとも約400のヌクレオチド長さ、あるいは少な
くとも約450のヌクレオチド長さ、あるいは少なくとも約500のヌクレオチ
ド長さ、あるいは少なくとも約600のヌクレオチド長さ、あるいは少なくとも
約700のヌクレオチド長さ、あるいは少なくとも約800のヌクレオチド長さ
、あるいは少なくとも約900のヌクレオチド長さ及びあるいは少なくとも約1
000のヌクレオチド長さであり、ここで、「約」という用語は、その参照長さ
のプラス又はマイナス10%の参照ヌクレオチド配列長さを意味する。PROポ
リペプチドコード化ヌクレオチド配列の新規な断片は、多くのよく知られた配列
アラインメントプログラムの任意のものを使用してPROポリペプチドコードヌ
クレオチド配列を他の既知のヌクレオチド配列にアラインメントさせ、どのPR
Oポリペプチドコード化ヌクレオチド配列断片が新規であるかを決定することに
より常套的に決定することができることに留意される。そのようなPROポリペ
プチドコード化ヌクレオチド配列の全てがここで考慮される。また考慮されるも
のは、これらのヌクレオチド分子断片によりコードされるPROポリペプチド断
片、好ましくは抗-PRO抗体に対する結合部位を含んでなるPROポリペプチ
ド断片である。
他の実施態様では、本発明は上記において特定した単離核酸配列の任意のもの
によりコードされる単離されたPROポリペプチドを提供する。
ある側面では、本発明は、ここに開示された完全長アミノ酸配列、ここに開示
されたシグナルペプチドを欠く完全長アミノ酸配列、或いはシグナルペプチドを
有する又は有しないここに開示した膜貫通タンパク質の細胞外ドメインを含んで
なるPROポリペプチドに対して、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、
あるいは少なくとも約81%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約82
%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約83%のアミノ酸配列同一性、
あるいは少なくとも約84%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約85
%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約86%のアミノ酸配列同一性、
あるいは少なくとも約87%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約88
%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約89%のアミノ酸配列同一性、
あるいは少なくとも約90%の酸アミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約9
1%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約92%のアミノ酸配列同一性
、あるいは少なくとも約93%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約9
4%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性
、あるいは少なくとも約96%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約9
7%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約98%のアミノ酸配列同一性
、あるいは少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含
んでなる、単離されたPROポリペプチドに関する。
更なる側面では、本発明は、ここに開示されたATCCに寄託された任意のヒ
トタンパク質cDNAによってコードされるアミノ酸配列に対して、少なくとも
約80%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約81%のアミノ酸配列同
一性、あるいは少なくとも約82%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも
約83%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約84%のアミノ酸配列同
一性、あるいは少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも
約86%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約87%のアミノ酸配列同
一性、あるいは少なくとも約88%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも
約89%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約90%の酸アミノ酸配列
同一性、あるいは少なくとも約91%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくと
も約92%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約93%のアミノ酸配列
同一性、あるいは少なくとも約94%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくと
も約95%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約96%のアミノ酸配列
同一性、あるいは少なくとも約97%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくと
も約98%のアミノ酸配列同一性及びあるいは少なくとも約99%のアミノ酸配
列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなる単離されたPROポリペプチドに関
する。
特定の態様では、本発明は、N末端シグナル配列及び/又は開始メチオニンを
持たない単離されたPROポリペプチドを提供し、それは上述したそのようなア
ミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列によりコードされる。これを生産する
方法もまたここに記載され、ここで、これらの方法はPROポリペプチドの発現
に適した条件下で適当なコード化核酸分子を含むベクターを含んでなる宿主細胞
を培養し、細胞培養物からPROポリペプチドを回収することを含んでなる。
本発明の他の態様は、膜貫通ドメインが欠失されたか膜貫通ドメインが不活性
化された単離されたPROポリペプチドを提供する。これを生産する方法もまた
ここに記載され、ここで、これらの方法はPROポリペプチドの発現に適した条
件下で適当なコード化核酸分子を含むベクターを含んでなる宿主細胞を培養し、
細胞培養物からPROポリペプチドを回収することを含んでなる。
さらに他の実施態様では、本発明は、ここで特定した天然PROポリペプチド
のアゴニストに関する。特定の実施態様では、アゴニストは抗PRO抗体又は小
分子である。
さらなる実施態様では、本発明は、PROポリペプチドを候補分子と接触させ
、前記PROポリペプチドによって媒介される生物活性をモニターすることを含
んでなる、PROポリペプチドに対するアゴニストの同定方法に関する。好まし
くは、PROポリペプチドは天然PROポリペプチドである。
よりさらなる実施態様では、本発明は、PROポリペプチド、又はここに記載
されたPROポリペプチドのアゴニスト、或いは抗-PRO抗体を担体との組み
合わせで含んでなる物質の組成物に関する。場合によっては、担体は製薬的に許
容される担体である。
本発明の他の実施態様は、PROポリペプチド、そのアゴニスト又は抗PRO
抗体に反応性のある症状の治療に有用な医薬の調製のための、PROポリペプチ
ド、又は上述のそのアゴニスト、又は抗PRO抗体の使用に関する。
本発明のさらなる実施態様では、本発明は、任意のここに記載するポリペプチ
ドをコードするDNAを含んでなるベクターを提供する。任意のそのようなベク
ターを含んでなる宿主細胞も提供される。例として、宿主細胞はCHO細胞、大
腸菌、又はバキュウロウイルス感染昆虫細胞であってよい。ここに記載する任意
のポリペプチドに関する製造方法がさらに提供され、それは、所望のポリペプチ
ドの発現に適した条件下で宿主細胞を培養し、細胞培地から所望のポリペプチド
を回収することを含む。
他の実施態様では、本発明は、異種ポリペプチド又はアミノ酸配列に融合した
、ここに記載する任意のポリペプチドを含んでなるキメラ分子を提供する。その
ようなキメラ分子の例は、エピトープタグ配列又は免疫グロブリンのFc領域に
融合した任意のここに記載のポリペプチドを含む。
他の実施態様では、本発明は、上記又は下記のポリペプチドの任意のものに特
異的に結合する抗体を提供する。場合によっては、抗体はモノクローナル抗体、
ヒト化抗体、抗体断片又は一本鎖抗体である。
さらに他の実施態様では、本発明は、ゲノム及びcDNAヌクレオチド配列又
はアンチセンスプローブの単離に有用なオリゴヌクレオチドプローブを提供し、
それらのプローブを任意の上記又は下記のヌクレオチド配列から誘導してもよい
(好適な実施態様の詳細な説明)
ここで使用される際の「PROポリペプチド」及び「PRO」という用語は、
直後に数値符号がある場合に種々のポリペプチドを指し、完全な符号(例えば、
PRO/番号)は、ここに記載する特定のポリペプチド配列を意味する。「数字
」がここで使用される実際の数値符号である、ここで使用される「PRO/番号
ポリペプチド」及び「PRO/番号」という用語は、天然配列ポリペプチド及び
変異体(ここで更に詳細に定義する)を含む。ここで記載されているPROポリ
ペプチドは、ヒト組織型又は他の供給源といった種々の供給源から単離してもよ
く、組換え又は合成方法によって調製してもよい。
「天然配列PROポリペプチド」は、天然由来の対応するPROポリペプチド
と同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含んでいる。このような天然配列
PROポリペプチドは、自然から単離することもできるし、組換え又は合成手段
により生産することもできる。「天然配列PROポリペプチド」という用語には
、特に、特定のPROポリペプチドの自然に生じる切断又は分泌形態(例えば、
細胞外ドメイン配列)、自然に生じる変異形態(例えば、選択的にスプライシング
された形態)及びそのポリペプチドの自然に生じる対立遺伝子変異体が含まれる
。本発明の種々の実施態様において、ここに開示されている天然配列PROポリ
ペプチドは、関連する図に示されている完全長アミノ酸配列を含有する成熟又は
完全長天然配列ポリペプチドである。開始及び終止コドンは、太い書体及び下線
で図中に示さている。しかし、関連する図に開示されているPROポリペプチド
がメチオニン残基で開始すると図のアミノ酸位置1において示されている一方で
、図のアミノ酸位置1より上流又は下流のいずれかに位置する他のメチオニン残
基が、PROポリペプチドの開始アミノ酸残基として用いられることが考えられ
るし可能である。
PROポリペプチド「細胞外ドメイン」又は「ECD」は、膜貫通及び細胞質
ドメインを実質的に有しないPROポリペプチドの形態を意味する。通常、PR
OポリペプチドECDは、それらの膜貫通及び/又は細胞質ドメインを1%未満
、好ましくはそのようなドメインを0.5%未満しか持たない。本発明のPRO
ポリペプチドについて同定された任意の膜貫通ドメインは、疎水性ドメインのそ
の型を同定するために当該分野において日常的に使用される基準に従い同定され
ることが理解されるであろう。膜貫通ドメインの厳密な境界は変わり得るが、最
初に同定されたドメインのいずれかの末端から約5アミノ酸を越えない可能性が
高い。従って、PROポリペプチド細胞外ドメインは、場合によっては、実施例
又は明細書において同定された膜貫通ドメインのいずれかの末端から約5を越え
ないアミノ酸を含みうるし、結合したシグナルペプチドを有する又は有しないそ
のようなポリペプチド及びそれらをコードする核酸は、本発明において考慮され
る。
ここに開示する種々のPROポリペプチドの「シグナルペプチド」の適切な位
置は、本明細書と添付の図面に示される。しかし、注記するように、シグナルペ
プチドのC-末端境界は変化しうるが、ここで最初に定義したようにシグナルペ
プチドC-末端境界のいずれかの側で約5アミノ酸未満である可能性が最も高く
、シグナルペプチドのC-末端境界は、そのような型のアミノ酸配列成分を同定
するのに日常的に使用される基準に従って同定しうる(例えば、Nielsenら, Pro
t. Eng. 10: 1-6(1997)及びvon Heinjeら, Nucl. Acids. Res. 14: 4683-4690
(1986))。さらに、幾つかの場合には、分泌ポリペプチドからのシグナルペプチ
ドの切断は完全に均一ではなく、1つ以上の分泌種をもたらすことも認められる
。シグナルペプチドがここに定義されるシグナルペプチドのC-末端境界の何れ
かの側の約5アミノ酸未満内で切断されるこれらの成熟ポリペプチド、及びそれ
らをコードするポリヌクレオチドは、本発明で考慮される。
「PROポリペプチド変異体」とは、上記又は下記に定義されるように、ここ
に開示される完全長天然配列PROポリペプチド、ここに開示されたシグナルペ
プチドを欠く完全長天然配列PROポリペプチド配列、シグナルペプチド有無の
ここに開示されたPROの細胞外ドメイン又はここに開示された完全長PROポ
リペプチドの他の断片と、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する活
性PROポリペプチドを意味する。このようなPROポリペプチド変異体には、
例えば、完全長天然アミノ酸配列のN-又はC-末端において1つ又は複数のアミ
ノ酸残基が付加、もしくは欠失されたPROポリペプチドが含まれる。通常、P
ROポリペプチド変異体は、ここに開示される完全長天然アミノ酸配列、ここに
開示されたシグナルペプチドを欠く完全長天然配列PROポリペプチド配列、シ
グナルペプチドを有する又は有しないここに開示されたPROの細胞外ドメイン
又はここに開示された完全長PROポリペプチドの特に同定された他の断片と、
少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約81%のアミ
ノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約82%のアミノ酸配列同一性、あるいは
少なくとも約83%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約84%のアミ
ノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、あるいは
少なくとも約86%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約87%のアミ
ノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約88%のアミノ酸配列同一性、あるいは
少なくとも約89%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約90%のアミ
ノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約91%のアミノ酸配列同一性、あるいは
少なくとも約92%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約93%のアミ
ノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約94%のアミノ酸配列同一性、あるいは
少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約96%のアミ
ノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約97%のアミノ酸配列同一性、あるいは
少なくとも約98%のアミノ酸配列同一性、そして、あるいは少なくとも約99
%のアミノ酸配列同一性を有している。通常は、PRO変異体ポリペプチドは、
少なくとも約10アミノ酸長、あるいは少なくとも約20アミノ酸長、あるいは
少なくとも約30アミノ酸長、あるいは少なくとも約40アミノ酸長、あるいは
少なくとも約50アミノ酸長、あるいは少なくとも約60アミノ酸長、あるいは
少なくとも約70アミノ酸長、あるいは少なくとも約80アミノ酸長、あるいは
少なくとも約90アミノ酸長、あるいは少なくとも約100アミノ酸長、あるい
は少なくとも約150アミノ酸長、あるいは少なくとも約200アミノ酸長、あ
るいは少なくとも約300アミノ酸長、又はそれ以上である。
ここに定義されるPROポリペプチドに対してここで同定されている「パーセ
ント(%)アミノ酸配列同一性」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一
性を得るために必要ならば間隙を導入し、如何なる保存的置換も配列同一性の一
部と考えないとした、PROポリペプチドのアミノ酸残基と同一である候補配列
中のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一
性を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の技量の範囲にある種々の
方法、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGN、ALIGN-2又はMegalign(DNASTAR)ソフトウエ
アのような公に入手可能なコンピュータソフトウエアを使用することにより達成
可能である。当業者であれば、比較される配列の完全長に対して最大のアライン
メントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測
定するための適切なパラメータを決定することができる。しかし、ここでの目的
のためには、%アミノ酸配列同一性値は、ALIGN-2プログラム用の完全なソース
コードが下記の表1に提供されている配列比較プログラムALIGN-2を使用するこ
とによって得られる。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムはジェネンテク
社によって作成され、下記の表1に示したソースコードは米国著作権事務所, ワ
シントンD.C.,20559に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU
510087の下で登録されている。ALIGN-2はジェネンテク社、サウスサン フラン
シスコ, カリフォルニアから好適に入手可能であり、下記の表1に提供されたソ
ースコードからコンパイルしてもよい。ALIGN-2プログラムは、UNIX(登録商標)オペレーテ
ィングシステム、好ましくはデジタルUNIX(登録商標) V4.0Dでの使用のためにコンパイルさ
れる。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定され変動
しない。
ここでの目的のためには、与えられたアミノ酸配列Aの、与えられたアミノ酸
配列Bとの、又はそれに対する%アミノ酸配列同一性(あるいは、与えられたア
ミノ酸配列Bと、又はそれに対して或る程度の%アミノ酸配列同一性を持つ又は
含む与えられたアミノ酸配列Aと言うこともできる)は次のように計算される:
分率X/Yの100倍
ここで、Xは配列アラインメントプログラムALIGN-2のA及びBのアラインメン
トによって同一であると一致したスコアのアミノ酸残基の数であり、YはBの全
アミノ酸残基数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと異なる
場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列
同一性とは異なることは理解されるであろう。この方法を用いた%アミノ酸配列
同一性の計算の例としては、表2-3が、「比較タンパク質」と称されるアミノ
酸配列の「PRO」と称されるアミノ酸配列に対する%アミノ酸配列同一性の計
算方法を示す。
特に断らない限りは、ここでの全ての%アミノ酸配列同一性値は上記のように
ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムを用いて得られる。しかしながら、%
アミノ酸配列同一性値は、配列比較プログラムNCBI-BLAST2(Altschulら, Nucle
ic Acids Res.25: 3389-3402 (1997))を用いて決定してもよい。NCBI-BLAST2
配列比較プログラムは、http://www.ncbi.nlm.nih.govからダウンロードでき、
又は別な方法で米国国立衛生研究所、ベセスダ、メリーランドから得ることがで
きる。NCBI-BLAST2は幾つかの検索パラメータを使用し、それら検索パラメータ
の全ては初期値に設定され、例えば、unmask=可、鎖=全て、予測される発生=
10、最小低複合長=15/5、マルチパスe-値=0.01、マルチパスの定
数=25、最終ギャップアラインメントのドロップオフ=25、及びスコアリン
グマトリクス=BLOSUM62を含む。
アミノ酸配列比較にNCBI-BLAST2が用いられる状況では、与えられたアミノ酸
配列Aの、与えられたアミノ酸配列Bとの、又はそれに対する%アミノ酸配列同
一性(あるいは、与えられたアミノ酸配列Bと、又はそれに対して或る程度の%
アミノ酸配列同一性を持つ又は含む与えられたアミノ酸配列Aと言うこともでき
る)は次のように計算される:
分率X/Yの100倍
ここで、Xは配列アラインメントプログラムNCBI-BLAST2のA及びBのアライン
メントによって同一であると一致したスコアのアミノ酸残基の数であり、YはB
の全アミノ酸残基数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと異
なる場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸
配列同一性とは異なることは理解されるであろう。
さらに、%アミノ酸配列同一性値も、WU-BLAST-2コンピュータプログラム(Al
tschulら,Methods in Enzymology 266: 460-480(1996))を用いて決定してもよ
い。さらに、殆どのWU-BLAST-2検索パラメータは初期値に設定される。初期値に
設定されない、即ち調節可能なパラメータは以下の値に設定する:オーバーラッ
プスパン=1、オーバーラップフラクション=0.125、ワード閾値(T)=
11、及びスコアリングマトリクス=BLOSUM62。ここでの目的のためには、%ア
ミノ酸配列同一性値は、(a)WU-BLAST-2によって決定した、天然PROポリペ
プチドから誘導された配列を有する対象であるPROポリペプチドのアミノ酸配
列と対象である比較アミノ酸配列(即ち、PROポリペプチド変異体であっても
よい、対象であるPROポリペプチドが比較される配列)の間で一致する同一ア
ミノ酸残基の数を、(b)対象であるPROポリペプチドの残基の総数で除した
商によって決定される。例えば、「アミノ酸配列Bに対して少なくとも80%の
アミノ酸配列同一性を有する又は有しているアミノ酸配列Aを含んでなるポリペ
プチド」という記載では、アミノ酸配列Aが対象である比較アミノ酸配列であり
、アミノ酸配列Bが対象であるPROポリペプチドのアミノ酸配列である。
「PRO変異体ポリヌクレオチド」又は「PRO変異体核酸配列」とは、下記
に定義されるような活性PROポリペプチドをコードする核酸分子、並びにここ
で開示する完全長天然配列PROポリペプチド配列、ここで開示するシグナルペ
プチドを欠く完全長天然配列PROポリペプチド配列、シグナルペプチドを有す
る又は有しないここで開示するPROポリペプチドの細胞外ドメイン、又はここ
で開示する完全長PROポリペプチド配列の他の任意の断片をコードする核酸配
列と少なくとも約80%の核酸配列同一性を有することを意味する。通常、PR
O変異体ポリヌクレオチドは、ここで開示する完全長天然配列PROポリペプチ
ド、ここで開示するシグナルペプチドを欠く完全長天然配列PROポリペプチド
、シグナルペプチドを有する又は有しないここで開示するPROポリペプチドの
細胞外ドメイン、又はここで開示する完全長PROポリペプチド配列の他の任意
の断片をコードする核酸配列と少なくとも約80%の核酸配列同一性、あるいは
少なくとも約81%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約82%の核酸配列
同一性、あるいは少なくとも約83%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約
84%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約85%の核酸配列同一性、ある
いは少なくとも約86%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約87%の核酸
配列同一性、あるいは少なくとも約88%の核酸配列同一性、あるいは少なくと
も約89%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約90%の核酸配列同一性、
あるいは少なくとも約91%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約92%の
核酸配列同一性、あるいは少なくとも約93%の核酸配列同一性、あるいは少な
くとも約94%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約95%の核酸配列同一
性、あるいは少なくとも約96%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約97
%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約98%の核酸配列同一性、そして、
あるいは少なくとも約99%の核酸配列同一性を有する。変異体は、天然ヌクレ
オチド配列を含まない。
通常は、PRO変異体ポリヌクレオチドは、少なくとも約30ヌクレオチド長
、あるいは少なくとも約60ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約90ヌクレ
オチド長、あるいは少なくとも約120ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約
150ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約180ヌクレオチド長、あるいは
少なくとも約210ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約240ヌクレオチド
長、あるいは少なくとも約270ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約300
ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約450ヌクレオチド長、あるいは少なく
とも約600ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約900ヌクレオチド長、又
はそれ以上である。
ここで同定されるPROコード化核酸配列に対する「パーセント(%)核酸配列
同一性」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要な
らば間隙を導入し、PRO配列のヌクレオチドと同一である候補配列中のヌクレ
オチドのパーセントとして定義される。パーセント核酸配列同一性を決定する目
的のためのアラインメントは、当業者の知る範囲にある種々の方法、例えばBLAS
T、BLAST-2、ALIGN、ALIGN-2又はMegalign(DNASTAR)ソフトウエアのような公に
入手可能なコンピュータソフトウエアを使用することにより達成可能である。こ
こでの目的のためには、%アミノ酸配列同一性値は、ALIGN-2プログラム用の完
全なソースコードが下記の表1に提供されている配列比較プログラALIGN-2を使
用することによって得られる。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムはジェ
ネンテク社によって作成され、下記の表1に示したソースコードは米国著作権事
務所,ワシントンD.C.,20559に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登
録番号TXU510087の下で登録されている。ALIGN-2はジェネンテク社、サウスサ
ン フランシスコ,カリフォルニアから好適に入手可能であり、下記の表1に提
供されたソースコードからコンパイルしてもよい。ALIGN-2プログラムは、UNIX(登録商標)
オペレーティングシステム、好ましくはデジタルUNIX(登録商標) V4.0Dでの使用のためにコ
ンパイルされる。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設
定され変動しない。
ここでの目的のために、与えられた核酸配列Cの、与えられた核酸配列Dとの
、又はそれに対する%核酸配列同一性(あるいは、与えられたアミノ酸配列Dと
、又はそれに対して或る程度の%核酸配列同一性を持つ又は含む与えられた核酸
配列Cと言うこともできる)は次のように計算される:
分率W/Zの100倍
ここで、Wは配列アラインメントプログラムALIGN-2のC及びDのアラインメン
トによって同一であると一致したスコアの核酸残基の数であり、ZはDの全核酸
残基数である。核酸配列Cの長さがアミノ酸配列Dの長さと異なる場合、CのD
に対する%核酸配列同一性は、DのCに対する%核酸配列同一性とは異なること
は理解されるであろう。%核酸配列同一性の計算の例としては、表4及び5が「
比較DNA」と称される核酸配列の「PRO−DNA」と称される核酸配列に対
する%核酸配列同一性の計算方法を示す。
特に断らない限りは、ここでの全ての%アミノ酸配列同一性値は上記のように
ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムを用いて得られる。しかしながら、%
アミノ酸配列同一性値は、配列比較プログラムNCBI-BLAST2(Altschulら, Nucle
ic Acids Res.25: 3389-3402 (1997))を用いて決定してもよい。NCBI-BLAST2
配列比較プログラムは、http://www.ncbi.nlm.nih.govからダウンロードでき、
又は別な方法で米国国立衛生研究所、ベセスダ、メリーランドから得ることがで
きる。NCBI-BLAST2は幾つかの検索パラメータを使用し、それら検索パラメータ
の全ては初期値に設定され、例えば、unmask=可、鎖=全て、予測される発生=
10、最小低複合長=15/5、マルチパスe-値=0.01、マルチパスの定
数=25、最終ギャップアラインメントのドロップオフ=25、及びスコアリン
グマトリクス=BLOSUM62を含む。
核酸配列比較にNCBI-BLAST2が用いられる状況では、与えられた核酸配列Cの
、与えられた核酸配列Dとの、又はそれに対する%核酸配列同一性(あるいは、
与えられた核酸配列Dと、又はそれに対して或る程度の%核酸配列同一性を持つ
又は含む与えられた核酸配列Cと言うこともできる)は次のように計算される:
分率W/Zの100倍
ここで、Wは配列アラインメントプログラムNCBI-BLAST2のC及びDのアライン
メントによって同一であると一致したスコアの核酸残基の数であり、ZはDの全
核酸残基数である。核酸配列Cの長さが核酸配列Dの長さと異なる場合、CのD
に対する%核酸配列同一性は、DのCに対する%核酸配列同一性とは異なること
は理解されるであろう。
さらに、%核酸配列同一性値も、WU-BLAST-2コンピュータプログラム(Altsch
ulら, Methods inEnzymology 266: 460-480(1996))を用いて決定してもよい。
さらに、殆どのWU-BLAST-2検索パラメータは初期値に設定される。初期値に設定
されない、即ち調節可能なパラメータは以下の値に設定する:オーバーラップス
パン=1、オーバーラップフラクション=0.125、ワード閾値(T)=11
、及びスコアリングマトリクス=BLOSUM62。ここでの目的のためには、%核酸配
列同一性値は、(a)WU-BLAST-2によって決定した、天然PROポリペプチドコ
ード化核酸から誘導された配列を有する対象であるPROポリペプチドコード化
核酸分子の核酸配列と対象である比較核酸配列(即ち、PROポリペプチド変異
体であってもよい、対象であるPROポリペプチドコード化核酸分子が比較され
る配列)の間で一致する同一アミノ酸残基の数を、(b)対象であるPROポリ
ペプチドコード化核酸のヌクレオチドの総数で除した商によって決定される。例
えば、「核酸配列Bに対して少なくとも80%の核酸配列同一性を有する又は有
している核酸配列Aを含んでなるポリペプチド」という記載では、核酸配列Aが
対象である比較核酸配列であり、核酸配列Bが対象であるPROポリペプチドコ
ード化核酸分子の核酸配列である。
他の実施態様では、PRO変異体ポリヌクレオチドは、活性PROポリペプチ
ドをコードし、好ましくは緊縮性ハイブリダイゼーション及び洗浄条件下で、こ
こに開示する完全長PROポリペプチドをコードするヌクレオチド配列にハイブ
リダイゼーションする核酸分子である。PRO変異体ポリペプチドは、PRO変
異体ポリヌクレオチドにコードされるものであってもよい。
「単離された」とは、ここで開示された種々のポリペプチドを記述するために
使用するときは、その自然環境の成分から同定され分離され及び/又は回収され
たポリペプチドを意味する。その自然環境の汚染成分とは、そのポリペプチドの
診断又は治療への使用を典型的には妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び
他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれる。好ましい実施態様におい
て、ポリペプチドは、(1)スピニングカップシークエネーターを使用することに
より、少なくとも15残基のN末端あるいは内部アミノ酸配列を得るのに充分な
ほど、あるいは、(2)クーマシーブルーあるいは好ましくは銀染色を用いた非還
元あるいは還元条件下でのSDS-PAGEによる均一性まで精製される。単離
されたポリペプチドには、PROポリペプチドの自然環境の少なくとも1つの成
分が存在しないため、組換え細胞内のインサイツのタンパク質が含まれる。しか
しながら、通常は、単離されたポリペプチドは少なくとも1つの精製工程により
調製される。
「単離された」PROポリペプチドコード化核酸、又は抗-PRO抗体をコー
ドする「単離された」核酸分子は、同定され、PROポリペプチドをコードする
核酸の天然源に通常付随している少なくとも1つの汚染核酸分子から分離された
核酸分子である。好ましくは、この単離された核酸は、天然においてそれに付随
しているすべての構成成分を有しないものである。単離されたPROポリペプチ
ドコード化核酸分子、又は単離された抗-PROコード化核酸分子は、天然で見
出される形態あるいは設定とは以外のものである。単離された核酸分子は、それ
故に、PROポリペプチドコード化核酸分子、又は天然の細胞中に存在するPR
Oポリペプチドコード化核酸分子とは区別される。しかしながら、PROポリペ
プチドをコードする単離された核酸分子、又は抗-PRO抗体をコードする単離
された核酸分子は、通常はPROポリペプチド又は抗-PRO抗体を発現する細
胞に含まれていて、例えば、その核酸分子は天然細胞とは異なる染色***置にあ
る。
「コントロール配列」という表現は、特定の宿主生物において、作用可能に結
合したコード配列の発現にとって必要なDNA配列を意味する。原核生物に適し
たなコントロール配列は、例えば、プロモーター、場合によってはオペレータ配
列、及びリボソーム結合部位を含む。真核生物の細胞が、プロモーター、ポリア
デニル化シグナル及びエンハンサーを利用することは知られている。
核酸は、他の核酸配列と機能的な関係にあるときに「作用可能に結合し」てい
る。例えば、プレ配列あるいは分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に
参画するプレタンパク質として発現されているならば、そのポリペプチドのDN
Aに作用可能に結合している;プロモーター又はエンハンサーは、配列の転写に
影響を及ぼすならば、コード配列に作用可能に結合している;又はリボソーム結
合部位は、もしそれが翻訳を容易にするような位置にあるなら、コード配列と作
用可能に結合している。一般的に、「作用可能に結合している」とは、結合した
DNA配列が近接しており、分泌リーダーの場合には近接していて読みフェーズ
にあることを意味する。しかし、エンハンサーは必ずしも近接している必要はな
い。結合は簡便な制限部位でのライゲーションにより達成される。そのような部
位が存在しない場合は、従来の手法に従って、合成オリゴヌクレオチドアダプタ
ーあるいはリンカーが使用される。
「抗体」という用語は最も広い意味において使用され、例えば、単一の抗-P
ROポリペプチドモノクローナル抗体(アゴニスト抗体を含む)、多エピトープ特
異性を持つ抗-PRO抗体組成物、一本鎖抗-PRO抗体、及び抗-PRO抗体の
断片を包含している(下記参照)。ここで使用される「モノクローナル抗体」と
いう用語は、実質的に均一な抗体の集団、すなわち、少量存在し得る自然に生じ
る可能性のある突然変異を除いて、構成する個々の抗体が同一である集団から得
られる抗体を称する。
ハイブリダイゼーション反応の「緊縮性」は、当業者によって容易に決定され
、一般的にプローブ長、洗浄温度、及び塩濃度に依存する経験的な計算である。
一般に、プローブが長くなると適切なアニーリングに必要な温度が高くなり、プ
ローブが短くなるとそれに必要な温度は低くなる。ハイブリダイゼーションは、
一般的に、相補鎖がその融点より低い環境に存在する場合に、変性DNAの再ア
ニールする能力に依存する。プローブとハイブリダイゼーション配列の間で所望
される相同性の程度が高くなればなるほど、用いることができる相対温度が高く
なる。その結果、より高い相対温度は、反応条件をより緊縮性にすることになり
、低い温度は緊縮性を低下させることになる。ハイブリダイゼーション反応の緊
縮性の更なる詳細及び説明については、Ausubelら, Current Protocols in Mole
cular Biology(WileyInterscience Publishers, 1995)を参照のこと。
ここで定義される「緊縮性条件」又は「高度の緊縮性条件」は、(1)洗浄の
ために低イオン強度及び高温度、例えば、50℃において0.015Mの塩化ナ
トリウム/0.0015Mのクエン酸ナトリウム/0.1%のドデシル硫酸ナト
リウムを用いるもの;(2)ハイブリダイゼーション中にホルムアミド等の変性
剤、例えば、42℃において50%(v/v)ホルムアミドと0.1%ウシ血清
アルブミン/0.1%フィコール/0.1%のポリビニルピロリドン/50mM
のpH6.5のリン酸ナトリウムバッファー、及び750mMの塩化ナトリウム
、75mMクエン酸ナトリウムを用いるもの;(3)42℃における50%ホル
ムアミド、5xSSC(0.75MのNaCl、0.075Mのクエン酸ナトリ
ウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%のピロリン酸ナ
トリウム、5xデンハード液、超音波処理サケ***DNA(50μg/ml)、
0.1%SDS、及び10%のデキストラン硫酸と、42℃における0.2xS
SC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中の洗浄及び55℃での50%ホ
ルムアミド、次いで55℃におけるEDTAを含む0.1xSSCからなる高緊
縮性洗浄を用いるものによって同定される。
「中程度の緊縮性条件」は、Sambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory
Manual (NewYork: Cold Spring Harbor Press, 1989)に記載されているように
同定され、上記の緊縮性より低い洗浄溶液及びハイブリダイゼーション条件(例
えば、温度、イオン強度及び%SDS)の使用を含む。中程度の緊縮性条件は、
20%ホルムアミド、5xSSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三
ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5xデンハード液、
10%デキストラン硫酸、及び20mg/mLの変性剪断サケ***DNAを含む
溶液中の37℃での終夜インキュベーション、次いで1xSSC中37−50℃
でのフィルターの洗浄といった条件である。当業者であれば、プローブ長などの
因子に適合させる必要に応じて、どのようにして温度、イオン強度等を調節する
かを認識する。
「エピトープタグ」なる用語は、ここで用いられるときは、「タグポリペプチ
ド」に融合したPROポリペプチド、又はそれらのドメイン配列を含んでなるキ
メラポリペプチドを意味する。タグポリペプチドは、その抗体が産生され得るエ
ピトープ、又は幾つかの他の試薬によって同定できるエピトープを提供するに十
分な数の残基を有しているが、その長さは対象とするPROポリペプチドの活性
を阻害しないよう充分に短い。また、タグポリペプチドは、好ましくは、抗体が
他のエピトープと実質的に交差反応をしないようにかなり独特である。適切なタ
グポリペプチドは、一般に、少なくとも6のアミノ酸残基、通常は約8〜約50
のアミノ酸残基(好ましくは、約10〜約20の残基)を有する。
ここで用いられる「イムノアドヘシン」なる用語は、異種タンパク質(「アド
ヘシン」)の結合特異性と免疫グロブリン定常ドメインとを組み合わせた抗体様
分子を表す。構造的には、イムノアドヘシンは、抗体の抗原認識及び結合部位以
外である所望の結合特異性のアミノ酸配列を有するアミノ酸配列と、免疫グロブ
リン定常ドメイン配列の融合体を含む。イムノアドヘシン分子のアドへシン部分
は、典型的には少なくともレセプター又はリガンドの結合部位を含む隣接アミノ
酸配列である。イムノアドヘシンの免疫グロブリン定常ドメイン配列は、IgG
-1、IgG-2、IgG-3又はIgG-4サブタイプ、IgA(IgA-1及び
IgA-2を含む)、IgE、IgD又はIgMなどの任意の免疫グロブリンか
ら得ることができる。
ここで意図している「活性な」及び「活性」とは、天然又は天然発生PROポ
リペプチドの生物学的及び/又は免疫学的活性を保持するPROの形態を意味し
、「生物学的」活性とは、天然又は天然発生PROによって生ずる(阻害性又は
刺激性の)生物学的機能であって、天然又は天然発生PROが有する抗原性エピ
トープに対して抗体を生成する能力を除くものを意味し、「免疫学的」活性とは
、天然又は天然発生PROが有する抗原性エピトープに対して抗体を生成する能
力を意味する。
抗体又はここに開示するスクリーニングアッセイで同定できる他の分子(例え
ば、有機又は無機小分子、ペプチドなど)における「生物学的活性」は、「治療
的有効量」の定義に関連してここに列挙する効果の一つ以上を発揮するこのよう
な分子の能力を意味するために使用される。特別な実施態様では、「生物学的活
性」は、腫瘍性細胞成長又は増殖を阻害する能力である。好ましい生物学的活性
とは、標的腫瘍(例えば癌)細胞の成長の遅延、又は完全な停止を含む阻害であ
る。他の好ましい生物学的活性とは、標的腫瘍(例えば癌)細胞の死をもたらす
細胞毒性活性である。さらに他の好ましい生物学的活性とは、標的腫瘍(例えば
癌)細胞のアポトーシスの誘発である。
「免疫学的活性」という語は、PROポリペプチドの少なくとも一つのエピト
ープとの免疫学的交差反応性を意味する。
ここで用いられる「免疫学的交差反応性」とは、候補ポリペプチドが、この活
性を持つPROポリペプチドの定性的生物学的活性を、公知の活性PROポリペ
プチドに対して生じたポリクローナル抗血清と競合的に阻害できることを意味す
る。そのような抗血清は、例えばヤギ又はウサギに、完全フロイントアジュバン
ト中の周知の活性類似物を皮下注射し、次いで不完全フロイント中で腹膜内又は
皮下に追加免疫することにより従来の方法で調製される。免疫学的交差反応性は
好ましくは「特異的」であり、これは同定される免疫学的交差反応性分子(例え
ば抗体)の対応するPROポリペプチドに対する結合親和性が、その分子の他の
任意の知られた天然ポリペプチドに対する結合親和性より有意に高い(好ましく
は少なくとも約2倍、より好ましくは少なくとも約4倍、さらにより好ましくは
少なくとも約6倍、最も好ましくは少なくとも約8倍高い)ことを意味する。
ここで用いられる「腫瘍」は、悪性又は良性に関わらず、全ての腫瘍形成細胞
成長及び増殖、並びに全ての前癌性及び癌性細胞及び組織を意味する。
「癌」及び「癌性」という用語は、典型的には調節されない細胞成長を特徴と
する、哺乳動物における生理学的状態を指すか記述する。癌の例には、これらに
限定されるものではないが、腺癌、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病が含
まれる。このような癌のより特定の例には、乳癌、前立腺癌、大腸癌、扁平上皮
細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、胃腸癌、膵臓癌、神経膠芽細胞腫、子宮頸
管癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞腫、結腸直腸癌、子宮体癌、唾液腺癌、
腎臓癌、肝臓癌、産卵口癌、甲状腺癌、肝癌及び様々な種類の頭部及び頸部の癌
が含まれる。
「治療」とは、疾患の病理の進展を予防すること、或いはそれを改善すること
を意図することを行う介入である。従って、「治療」とは、治療的処置及び予防
的又は保護的手段の両方を指す。治療を必要するものは、既に疾患に罹っている
もの並びに疾患が防止されるべきものを含む。腫瘍(例えば、癌)治療では、治
療薬は直接に腫瘍細胞の病理を低下させ得るし、又は腫瘍細胞を他の治療媒介物
、例えば放射線及び/又は化学治療に対してより敏感にし得る。
癌の「病理」は、患者の良好な生存を危うくさせる全ての現象を含む。これは
、限定されるものではないが、異常又は制御不能な細胞成長、転移、隣接細胞の
正常機能の阻害、サイトカイン又は他の分泌生成物の異常なレベルでの放出、炎
症又は免疫反応の抑制又は悪化などを含む。
ここに開示されるポリペプチド又はそのアゴニストの「有効量」とは、腫瘍性
細胞成長、腫瘍成長に関しては、標的細胞の成長を或る程度阻害できる量である
。この用語は、標的細胞の成長阻害、細胞***停止及び/又は細胞毒性効果及び
/又はアポトーシスを誘起することのできる量を含む。腫瘍性細胞成長の阻害の
目的のためのPROポリペプチド又はそのアゴニストの「有効量」は、経験的及
び日常的手法によって決定できる。
「治療的有効量」は、腫瘍の治療に関しては、一つ又は複数の次の効果を誘起
することのできる量を意味する:(1)遅延化及び完全な成長停止を含む、腫瘍
成長の或る程度の阻害;(2)腫瘍細胞数の減少;(3)腫瘍サイズの縮小;(
4)腫瘍細胞の末梢器官への浸潤の阻害(即ち、減少、遅延化又は完全な停止)
;(5)転移の阻害(即ち、減少、遅延化又は完全な停止);(6)抗腫瘍免疫
反応の促進、これは、腫瘍の退行又は拒絶をもたらしてもよいが、必ずしも必要
ではない;及び/又は(7)疾患に関連する一つ又は複数の徴候の程度の軽減。
腫瘍の治療の目的のためのPROポリペプチド又はそのアゴニストの「治療的有
効量」は、経験的及び日常的手法で決定できる。
PROポリペプチド又はそのアゴニストの「成長阻害量」は、細胞、特に腫瘍
、例えば癌細胞の成長をインビトロ又はインビボで阻害できる量である。腫瘍性
細胞成長の阻害の目的のためのPROポリペプチド又はそのアゴニストの「成長
阻害量」は、経験的及び日常的手法によって決定できる。
PROポリペプチド又はそのアゴニストの「細胞毒性量」は、細胞、特に腫瘍
、例えば癌細胞をインビトロ又はインビボで破壊できる量である。腫瘍性細胞成
長の阻害の目的のためのPROポリペプチド又はそのアゴニストの「細胞毒性量
」は、経験的及び日常的手法によって決定できる。
ここで用いられる「細胞毒性薬」なる用語は、細胞の機能を阻害又は抑制する
及び/又は細胞破壊を生ずる物質を意味する。この用語は、放射性同位体(例え
ば、I131、I125、Y90とRe186)、化学治療薬、及び細菌、真菌
、植物又は動物由来の酵素的活性毒素といった毒素、又はその断片を含むとされ
る。
「化学治療薬」は、腫瘍、例えば癌の治療に有用な化合物である。化学治療薬
の例は、アドリアマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、5-フルオロウラ
シル、シトシンアラビノシド(「Ara-C」)、シクロホスファミド、チオテ
パ、ブスルファン、サイトキシン、タキソイド、例えばパクリタキセル(Taxol,
Bristol-MyersSquibb Oncology, Princeton, NJ)及びドキセタキセル(Taxot
ere,Rhone-Poulenc Rorer, Antony, Rance)、トキソテール、メトトレキセー
ト、シスプラチン、メルファラン、ビンブラスチン、ブレオマイシン、エトポシ
ド、イフォスファミド、マイトマイシンC、マイトキサントロン、ビンクリスチ
ン、ビノレルビン、カルボプラチン、テニポシド、ダウノマイシン、カルミノマ
イシン、アミノプテリン、ダクチノマイシン、マイトマイシン、エスペラマイシ
ン(米国特許第4,675,187号)、メルファラン、及び他の関連するナイトロジェ
ンマスタードを含む。また、この定義に含まれるのは、タモキシフェン及びオナ
プリストンなどの腫瘍へのホルモン作用を調節又は阻害するように作用するホル
モン様薬剤である。
ここで用いられる際の「成長阻害剤」は、細胞、特にここで同定される任意の
遺伝子を過剰発現する癌細胞の成長をインビトロ又はインビボで阻害する化合物
又は組成物を意味する。即ち、成長阻害剤は、S期でそのような遺伝子を過剰発
現する細胞の割合を有意に減少させるものである。成長阻害剤の例は、細胞周期
を(S期以外の位置で)阻害する薬剤、例えばG1停止又はM期停止を誘発する
薬剤を含む。古典的なM期ブロッカーは、ビンカス(ビンクリスチン及びビンブ
ラスチン)、タキソール、及びトポII阻害剤、例えばドキソルビシン、エピル
ビシン、ダウノルビシン、エトポシド及びブレオマイシンを含む。G1停止させ
るこれらの薬剤は、S期停止にも溢流し、例えば、DNAアルキル化剤、例えば
、タモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチ
ン、メトトレキセート、5-フルオロウラシル、及びara-Cである。さらなる
情報は、TheMolecular Basis of Cancer, Mendelsohn及びIsrael, 編, Chapter
1, 表題「Cellcycle regulation, oncogens, and antineoplastic drugs」, M
urakami等, (WBSaunders: Philadelphia, 1995)、特にp13に見出すことができ
る。
「サイトカイン」という用語は、1つの細胞集団から放出され、他の細胞に細
胞間メディエータとして作用するタンパク質の一般用語である。このようなサイ
トカインの例は、リンホカイン、モノカイン、及び伝統的なポリペプチドホルモ
ンである。サイトカインに含まれるのは、成長ホルモン、例えばヒト成長ホルモ
ン、N-メチオニルヒト成長ホルモン、及びウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモ
ン;チロキシン;インシュリン;プロインシュリン;レラキシン;プロレラキシ
ン;糖タンパク質、例えば濾胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(
TSH)、及び黄体化ホルモン(LH);肝臓成長因子;線維芽成長因子;プロ
ラクチン;胎盤ラクトゲン;腫瘍壊死因子-α及び-β;ミューラー阻害因子;マ
ウス生殖腺刺激ホルモン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長
因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);NGF-β等の神経成長因
子;血小板成長因子;TGF-α及びTGF-β等のトランスフォーミング成長因
子;インシュリン様成長因子-I及びII;エリスロポエチン(EPO);骨誘
発因子;インターフェロン-α、-β、及び-γ等のインターフェロン;コロニー
刺激因子(CSFs)、例えばマクロファージ-CSF(M-CSF);顆粒球-
マクロファージ-CSF(GM-CSF);及び顆粒球-CSF(G-CSF);イ
ンターロイキン(ILs)、例えばIL-1、IL-1α、IL-2、IL-3、I
L-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-11、IL-12
;腫瘍壊死因子、例えばTNF-α及びTNF-β;及びLIF及びキットリガン
ド(KL)を含む他のポリペプチド因子である。ここで用いられる際、用語サイ
トカインは、天然供給源から、又は組換え細胞培養からのタンパク質を含み、天
然配列サイトカインの生物学的な活性等価物である。
この出願で用いられる用語「プロドラッグ」は、親薬剤に比較して腫瘍細胞に
対する細胞毒性が低く、酵素的に活性化又はより活性な親形態に変換される製薬
的活性物質の前駆体又は誘導体形態を意味する。例えば、Wilman, 「Prodrugs i
n Cancer Chemotherapy」,Biochemical Society Transactions, 14, pp. 375-3
82, 615thMeeting, Belfast (1986)、及びStella 等, 「Prodrugs: A Chemical
Approachto Targeted Drug Delivery」、Directed Drug Delivery, Borchardt
等(編),pp.247-267, Human Press (1985)参照。本発明のプロドラッグは、こ
れらに限られないが、ホスファート含有プロドラッグ、チオホスファート含有プ
ロドラッグ、スルファート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D-
アミノ酸変性プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、任意に置換されたフェ
ノキシアセトアミド含有プロドラッグ又は任意に置換されたフェニルアセトアミ
ド含有プロドラッグ、より活性のある細胞毒のない薬剤に転換可能な5-フルオ
ロシトシン及び他の5-フルオロウリジンプロドラッグを含む。限定するもので
はないが、本発明で使用されるプロドラッグ形態に誘導体化可能な細胞毒性薬の
例には、前記の化学療法剤が含まれるが、これらに限られない。
「アゴニスト」という用語は最も広い意味で用いられ、ここに開示する天然の
PROポリペプチドの生物学的活性に類似する任意の分子を含む。好適なアゴニ
スト分子は特に、アゴニスト抗体又は抗体断片、天然のPROポリペプチドの断
片又はアミノ酸配列変異体、ペプチド、有機小分子などを含む。PROポリペプ
チドのアゴニストを同定する方法は、腫瘍細胞を候補アゴニストに暴露し、腫瘍
細胞成長の阻害を測定することを含みうる。
「慢性」投与とは、初期の治療効果(活性)を長期間にわたって維持するよう
にするために、急性態様とは異なり連続的な態様での薬剤の投与を意味する。「
間欠」投与とは、中断無く連続的になされるのではなく、むしろ本質的に周期的
になされる処理である。
治療の目的とされる「哺乳動物」は、哺乳類に分類される任意の動物を意味し
、ヒト、家畜用及び農場用動物、動物園、スポーツ、又はペット動物、例えばイ
ヌ、ウマ、ネコ、ウシなどを含む。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
一又は複数のさらなる治療薬「と組み合わせて」の投与は、同時(一時)及び
任意の順序での連続投与を含む。
ここで用いられる「担体」は、製薬的に許容されうる担体、賦形剤、又は安定
化剤を含み、用いられる服用量及び濃度でそれらに暴露される細胞又は哺乳動物
に対して非毒性である。生理学的に許容されうる担体は、水性pH緩衝溶液であ
ることが多い。生理学的に許容されうる担体の例は、リン酸塩、クエン酸塩、及
び他の有機酸塩のバッファー;アスコルビン酸を含む酸化防止剤;低分子量(約
10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、
又は免疫グロブリン;疎水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸
、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン又はリシン;グルコ
ース、マンノース又はデキストランを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;
EDTA等のキレート剤;マンニトール又は祖ルビトール等の糖アルコール;ナ
トリウム等の塩形成対イオン;及び/又は非イオン性界面活性剤、例えば、TWEE
N(商品名)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びPLURONICS(商品名)を含む。
「天然抗体」及び「天然免疫グロブリン」は、通常、2つの同一の軽(L)鎖及
び2つの同一の重(H)鎖からなる、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖
タンパク質である。各軽鎖は一つの共有ジスルフィド結合により重鎖に結合して
おり、ジスルフィド結合の数は、異なった免疫グロブリンアイソタイプの重鎖の
中で変化する。また各重鎖と軽鎖は、規則的に離間した鎖間ジスルフィド架橋を
有している。各重鎖は、多くの定常ドメインが続く可変ドメイン(V)を一端に
有する。各軽鎖は、一端に可変ドメイン(V)を、他端に定常ドメインを有し;
軽鎖の定常ドメインは重鎖の第一定常ドメインと整列し、軽鎖の可変ドメインは
重鎖の可変ドメインと整列している。特定のアミノ酸残基が、軽鎖及び重鎖可変
ドメイン間の界面を形成すると考えられている。
「可変」という用語は、可変ドメインのある部位が、抗体の中で配列が広範囲
に異なっており、その特定の抗原に対する各特定の抗体の結合性及び特異性に使
用されているという事実を意味する。しかしながら、可変性は抗体の可変ドメイ
ンにわたって一様には分布していない。それは、共に軽鎖及び重鎖の可変ドメイ
ンにある相補性決定領域(CDRs)又は高頻度可変領域と呼ばれる3つのセグメ
ントに集中している。可変ドメインのより高度に保持された部分はフレームワー
ク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、大きくベータ
-シート構造とり、β-シート構造を結合し、ある場合にはその一部を形成するル
ープ結合を形成する、CDRsにより連結された4つのFR領域をそれぞれ含ん
でいる。各鎖のCDRは、FRにより近接して結合せしめられ、他の鎖のCDR
と共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与している(Kabat等, NIH Publ. No.91-
3242, Vol.I,647-669頁(1991)参照)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に
直接関連しているものではないが、抗体依存性細胞毒性への抗体の関与といった
種々のエフェクター機能を示す。
ここで使用される場合の「高頻度可変領域」は、抗原結合の原因となる抗体の
アミノ酸残基を指す。高頻度可変領域は、「相補性決定領域」又は「CDR」(
例えば、軽鎖可変領域の残基24−34(L1)、50−56(L2)及び89-9
7(L3)及び重鎖可変領域の31−35(H1)、50−65(H2)及び95−1
02(H3);Kabat等,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5
版, PublicHealth Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD.(
1991))からのアミノ酸残基、及び/又は「高頻度可変ループ」(例えば、軽鎖
可変領域の残基26−32(L1)、50−52(L2)及び91−96(L3)及び
重鎖可変領域の残基26−32(H1)、53−55(H2)及び96−101(H
3);Clothia及びLeskJ. Mol. Biol. 196: 901-917 (1987))からの残基を含む
。「フレームワーク」又は「FR」残基は、ここに定義した高頻度可変領域残基
以外の可変ドメイン残基である。
「抗体断片」は、未変性の抗体の一部、好ましくは未変性の抗体の抗原結合又
は可変領域を含む。抗体断片の例は、Fab、Fab’、F(ab')、及びF
v断片;ダイアボディ(diabody);直鎖状抗体(Zapata等, Protein Eng. 8(10):
1057-1062[1995]);一本鎖抗体分子;及び抗体断片から形成される多重特異
的抗体を含む。
抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれ、各々単一の抗原結合部位を
持つ2つの同一な抗原結合断片、及び容易に結晶化する能力を反映した名称の残
りの「Fc」断片を生成する。ペプシン処理は、2つの抗原結合部位を有するF
(ab’)断片を生じ、その断片は、なお抗原を交差結合が可能である。
「Fv」は、完全な抗原認識及び結合部位を含む最小の抗体断片である。この
領域は、密接に非共有結合した1本の重鎖と1本の軽鎖の可変領域の二量体から
なる。この配置において各ドメインの3つのCDRが相互作用してV−V
量体の表面に抗原結合部位を決定する。正しくは、6つのCDRが抗体に対する
抗原結合特異性を与える。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異
的な3つのCDRのみを含んでなるFvの半分)でさえ、結合部位全体よりは低
い親和性であるが、抗原を認識しそれと結合する能力を有する。
またFab断片は、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1の定常ドメイン(CH
1)も含む。Fab断片は、抗体ヒンジ領域からの一つ又は複数のシステインを
含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に幾つかの残基が付加されていること
によりFab’断片と相違する。ここで、Fab’-SHは、定常ドメインのシ
ステイン残基が遊離のチオール基を持つFab’を表す。F(ab’)抗体断
片は、最初はFab’断片の対として生成され、それらの間にヒンジシステイン
を有する。抗体断片の他の化学的結合も知られている。
任意の脊椎動物種からの抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの定常
ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ及びラムダと呼ばれる二つの明らか
に異なる型の一つに分類することができる。
重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列によって、免疫グロブリンを異なるクラス
へ分類することができる。免疫グロブリンの五つの主要なクラスには:IgA、
IgD、IgE、IgG及びIgMがあり、それらの幾つかを、更にサブクラス
(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA及
びIgA2へ分類し得る。
ここで用いられる「モノクローナル抗体」なる用語は、実質的に均一な抗体の
集団、即ち、集団を構成する個々の抗体が少量で存在する自然に起こりうる突然
変異以外は同一である集団から得られる抗体を意味する。モノクローナル抗体は
高度に特異的であり、単一の抗原部位に向けられている。さらに、典型的に異な
る決定基(エピトープ)に対して向けられた異なる抗体を含む従来の(ポリクロ
ーナル)抗体調製物とは異なり、各モノクローナル抗体は抗原上の単一の決定基
に対して向けられている。特異性に加えて、モノクローナル抗体は、ハイブリド
ーマ培養によって合成され、他の免疫グロブリンに汚染されないという点におい
て好都合である。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に均一な抗体集団
から得られた抗体の特徴を示し、並びに任意の特定の方法による抗体の生産を必
要とするとは解釈されない。例えば、本発明に基づいて使用されるモノクローナ
ル抗体は、Kohler等,Nature, 256: 495 [1975]によって最初に記載されたハイ
ブリドーマ法によって作成してもよいし、組換えDNA法(例えば、米国特許第
4,816,567号参照)によって作成してもよい。また「モノクローナル抗体」は、
例えばClackson等,Nature, 352: 624-628 [1991]及び Marks等, J. Mol. Biol.
, 222: 581-597(1991)に記載されている技術を用いて、ファージ抗体ライブラ
リから単離してもよい。
ここでのモノクローナル抗体は、特に、その重鎖又は軽鎖の一部が、特定の種
から誘導されたか、或いは特定の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体中の対
応する配列と同一又は相同的であるが、鎖の残りの部分が、他の種から誘導され
たか、或いは特定の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と同
一又は相同的である「キメラ」抗体、並びに所望の生物学的活性を示すのであれ
ば、このような抗体の断片を含む(米国特許第4,816,567号;Morrison等, Proc.
Natl.Acad. Sci. USA, 81: 6851-6855 [1984])。
非ヒト(例えばマウス)抗体の「ヒト化」型は、非ヒト免疫グロブリンから誘
導された最小配列を含有する特定のキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又
はそれらの断片(例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab')あるいは抗体
の他の抗原結合性配列)である。大部分において、ヒト化抗体はヒト免疫グロブ
リン(レシピエント抗体)であって、そのレシピエントの相補性決定領域(CD
R)が、マウス、ラット、ヤギなどのヒト以外の種のCDR(ドナー抗体)に由
来する所望の特異性、親和性及び容量を持つ残基で置換されている。幾つかの場
合では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)の残基が対応す
る非ヒト残基で置換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、輸
入されるCDR又はフレームワーク配列にも見られない残基を含んでもよい。こ
れらの修飾は、抗体の性能をさらに精密かつ最大化するために施される。一般に
ヒト化抗体は、CDR領域の全て又は実質上全てが非ヒト免疫グロブリンのもの
に対応し、FR領域の全て又は実質上全てがヒト免疫グロブリン共通配列のもの
である少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全部を含有す
るであろう。また、最適なヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典
型的にはヒト免疫グロブリンのものの少なくとも一部も含有するであろう。さら
なる詳細については、Jones等, Nature 321: 522 -525 (1986);Reichmann等, N
ature 332:323-329 (1988);及びPresta, Curr. Op. struct. Biol. 2: 593 -5
96 (1992)を参照のこと。ヒト化抗体は、抗体の抗原結合領域が対象とする抗原
でマカゲザルを免疫化することにより生産された抗体から由来するPRIMATIZED(
商品名)抗体を含む。
「一本鎖Fv」又は「sFv」抗体断片は、抗体のV及びVドメインを含
む抗体断片を含み、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。好ま
しくは、FvポリペプチドはV及びVドメイン間にポリペプチドリンカーを
更に含み、それはsFVが抗原結合に望まれる構造を形成するのを可能にする。
sFvの概説については、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol.
113, Rosenburg及びMoore編,Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)
のPluckthunを参照のこと。
「ダイアボディ」なる用語は、二つの抗原結合部位を持つ小さい抗体断片を意
味し、その断片は同一のポリペプチド鎖(V−V)内で軽鎖可変ドメイン(V
)に重鎖可変ドメイン(V)が結合している。非常に短いために同一鎖上で二
つのドメインの対形成を可能にするリンカーを使用して、ドメインを他の鎖の相
補ドメインと強制的に対形成させ、二つの抗原結合部位を創製する。ダイアボデ
ィーは、例えば、EP404097;WO93/11161;及びHollinger等,Proc.Natl.Acad.Sc
i. USA90:6444-6448 (1993)に更に詳細に記載されている。
「単離された」抗体とは、その自然環境の成分から同定され分離され又は回収
されたものを意味する。その自然環境の汚染成分とは、抗体の診断又は治療への
使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他の非タンパク質様溶質が含
まれる。好ましい実施態様において、抗体は、(1)ローリー(Lowry)法によって
決定した場合95重量%以上の、最も好ましくは99重量%の抗体まで、(2)
スピニングカップシークエネーターを使用することにより、少なくとも15のN
末端あるいは内部アミノ酸配列の残基を得るのに充分な程度まで、あるいは(3)
クーマシーブルーあるいは好ましくは銀染色を用いた還元又は非還元条件下での
SDS-PAGEによる均一性まで精製される。単離された抗体には、組換え体
細胞内のインサイツの抗体が含まれるが、これは抗体の自然環境の少なくとも1
つの成分が存在しないからである。しかしながら、通常は、単離された抗体は少
なくとも一つの精製工程により調製される。
「特異的に結合する」抗体、又は特定のポリペプチド、或いは特定のポリペプ
チド上のエピトープへ特異的な抗体とは、他のポリペプチド、又はポリペプチド
エピトープとは実質的には結合せずに、特定のポリペプチド、或いは特定のポリ
ペプチド上のエピトープへ結合するものである。
「標識」という語は、ここで用いられる場合、抗体に直接的又は間接的に結合
して「標識化」抗体を生成する検出可能な化合物又は組成物を意味する。標識は
それ自身によって検出可能でもよく(例えば、放射性同位体標識又は蛍光標識)
、あるいは、酵素標識の場合には、検出可能な基質化合物又は組成物の化学的変
換を触媒してもよい。
「固相」とは、本発明の化合物が接着できる非水性マトリクスを意味する。こ
こに包含される固相の例は、部分的又は全体的にガラス(例えば、孔の制御され
たガラス)、ポリサッカリド(例えばアガロース)、ポリアクリルアミド、ポリ
スチレン、ポリビニルアルコール及びシリコーンで形成されたものを含む。或る
実施態様では、前後関係に応じて、固相はアッセイ用プレートのウェル;その他
では精製用カラム(例えばアフィニティクロマトグラフィーカラム)を含むこと
ができる。また、この用語は、米国特許第4,275,149号に記載されたような別々
の粒子の不連続な固体相も含む。
「リポソーム」は、哺乳動物への薬物(PROポリペプチド又はそれに対する
抗体)の送達に有用な、脂質、リン脂質及び/又は界面活性剤を含む種々の型の
小さな小胞である。リポソームの成分は、通常は生物学的メンバーの脂質配列に
類似した2層構造に配列される。
「小分子」は、ここで約500ダルトン未満の分子量を有すると定義される。
下記に示すように、表1はALIGN-2配列比較コンピュータプログラムの安全な
ソースコードを提供する。このソースコードは、UNIX(登録商標)オペレーティングシステム
での使用のために日常的にコンパイルされ、ALIGN-2配列比較コンピュータプロ
グラムを与える。
さらに、表2−5は、ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムを用いた%ア
ミノ酸配列同一性(表2−3)、並びに%核酸配列同一性(表4−5)を決定す
るために下記の方法を使用した仮説的例示であり、「PRO」は対象とする仮説
的PROポリペプチドのアミノ酸配列を示し、「比較タンパク質」とは、対象と
する「PRO」ポリペプチドが比較されるポリペプチドのアミノ酸配列を示し、
「PRO-DNA」は対象とする仮説的PROコード化核酸配列を示し、「比較
DNA」は対象とする「PRO-DNA」核酸分子が比較される核酸分子のヌク
レオチド配列を示し、「X」、「Y」及び「Z」は各々異なる仮説的アミノ酸残
基を示し、「N」、「L」及び「V」は各々異なる仮説的ヌクレオチドを示す。
Figure 2007238619
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II.本発明の組成物及び方法
A.完全長PROポリペプチド
本発明は、本出願でPROポリペプチドと呼ばれるポリペプチドをコードする
新規に同定され単離された核酸配列を提供する。特に下記の実施例でさらに詳細
に説明するように、種々のPROポリペプチドをコードするcDNAが同定され
単離された。
下記の実施例に開示するように、種々のcDNAクローンがATCCに寄託さ
れている。これらのクローンの正確なヌクレオチド配列は、この分野で日常的な
方法を用いて寄託されたクローンを配列決定することによって容易に決定するこ
とができる。予測されるアミノ酸配列は、ヌクレオチド配列から常套的技量を用
いて決定できる。ここに記載したPROポリペプチド及びコード化核酸について
、本出願人は、現時点で入手可能な配列情報と最も同一であると証明できるリー
ディングフレームであると考えられるものを同定した。
B.PRO変異体
ここに記載した完全長天然配列PROポリペプチドに加えて、PRO変異体も
調製できると考えられる。PRO変異体は、PROポリペプチドDNAに適当な
ヌクレオチド変化を導入することにより、あるいは所望のPROポリペプチドを
合成することにより調製できる。当業者は、グリコシル化部位の数又は位置の変
化、あるいは膜固着特性の変化などのアミノ酸変化がPROポリペプチドの翻訳
後プロセスを変える可能性があることを理解するであろう。
ここに記載した、天然完全長配列PROポリペプチド、或いはPROポリペプ
チドの種々のドメインにおける変異は、例えば、米国特許第5,364,934
号に記載されている保存的及び非保存的変異に関する任意の技術及び指針を用い
て作成することができる。変異は、天然配列PROと比べるとPROポリペプチ
ドのアミノ酸配列に変化を結果として引き起こす、PROポリペプチドをコード
する一つ又は複数のコドンの置換、欠失又は挿入であってよい。場合によっては
、この変異は、PROポリペプチドの一つ又は複数のドメインにおいて、少なく
とも1つのアミノ酸を任意の他のアミノ酸によって置換することである。どのア
ミノ酸残基が所望の活性へ逆の作用を与えることなく挿入、置換又は欠失される
のかを決定する指針は、PROポリペプチドの配列を相同性のある既知タンパク
質分子の配列と比較し、相同性の高い領域内で生じるアミノ酸配列変化を最小に
することによって見出される。アミノ酸置換は、一つのアミノ酸を類似の構造及
び/又は化学特性を有する他のアミノ酸で置換すること、例えばロイシンのセリ
ンでの置換、即ち保存的アミノ酸置換の結果とすることができる。挿入及び欠失
は、場合によっては1から5のアミノ酸の範囲内とすることができる。許容され
る変異は、配列のアミノ酸に挿入、欠失又は置換を系統的に作成し、完全長又は
成熟天然配列によって阻害される活性に関して、この結果として生じた変異体を
試験することによって決定できる可能性がある。
PROポリペプチド断片がここに提供される。このような断片は、例えば、完
全長天然タンパク質と比較した際に、N-末端又はC-末端で切断されてもよく、
或いは内部残基を欠いていてもよい。或る種の断片は、PROポリペプチドの所
望の生物学的活性にとって必須ではないアミノ酸残基を欠いている。
PRO断片は、多くの従来技術のいずれかによって調製してよい。所望のペプ
チド断片は化学合成してもよい。代替的方法には、酵素的消化、例えば特定のア
ミノ酸残基で規定されているタンパク質の部位を切断することが知られている酵
素でタンパク質を処理することによって、あるいは適合する制限酵素でDNAを
消化し、所望の断片を単離することによってPRO断片を生成することが含まれ
る。さらに他の好適な技術には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって、所
望のポリペプチド断片をコードするDNA断片を単離し増幅することが含まれる
。DNA断片の所望の末端を決定するオリゴヌクレオチドは、PCRの5’及び
3’プライマーで用いられる。好ましくは、PROポリペプチド断片は、添付し
た図面に示す天然PROポリペプチドと少なくとも一つの生物学的及び/又は免
疫学的活性を共有する。
特別の実施態様では、対象とする保存的置換を表6において、好ましい置換の
見出しの下に示す。このような置換が生物学的活性の変化をもたらす場合、表6
で例示的置換と名前を付けた、或いは更に下記にアミノ酸分類に関連して記載し
ているような、より置換的な変化が導入されて生成物がスクリーニングされる。
Figure 2007238619
ポリペプチドの機能及び免疫学的同一性の置換的修飾は、(a)置換領域のポ
リペプチド骨格の構造、例えばシート又は螺旋配置、(b)標的部位の電荷又は
疎水性、又は(c)側鎖の嵩を維持しながら、それらの効果において実質的に異
なる置換基を選択することにより達成される。天然発生残基は共通の側鎖特性に
基づいてグループに分けることができる:
(1)疎水性:ノルロイシン, met, ala, val, leu, ile;
(2)中性の親水性:cys, ser, thr;
(3)酸性:asp,glu;
(4)塩基性:asn,gln, his, lys, arg;
(5)鎖配向に影響する残基:gly, pro; 及び
(6)芳香族:trp,tyr, phe。
非保存的置換は、これらの分類の一つのメンバーを他の分類に交換することを
必要とする。また、そのように置換された残基は、保存的置換部位、好ましくは
残された(非保存)部位に導入され得る。
変異は、オリゴヌクレオチド媒介(部位特異的)突然変異誘発、アラニンスキ
ャンニング、及びPCR突然変異誘発[Carterら, Nucl. Acids Res., 13: 4331
(1986);Zollerら, Nucl. Acids Res., 10: 6487 (1987)]、カセット突然変異
誘発[Wellsら,Gene, 34: 315 (1985)]、制限的選択突然変異誘発[Wellsら,
Philos. Trans.R. Soc. London SerA, 317: 415 (1986)]等のこの分野で周知
の方法を用いて作成することができ、或いはクローニングしたDNAに対して他
の知られた技術を実施してPRO変異体DNAを作成することもできる。
また、隣接配列に沿って1つ又は複数のアミノ酸を同定するために、スキャン
ニングアミノ酸分析を用いることができる。好ましいスキャンニングアミノ酸は
比較的小さく、中性のアミノ酸である。そのようなアミノ酸は、アラニン、グリ
シン、セリン、及びシステインを含む。アラニンは、ベータ炭素を越える側鎖を
排除し、変異体の主鎖構造を変化させにくいので、この群の中では、概して好ま
しいスキャンニングアミノ酸である[Cunningham及びWells, Science, 244: 108
1-1085 (1989)]。また、アラニンは最もありふれたアミノ酸であるので、概し
て好ましい。さらに、それは埋もれ、そして露出した位置の両方に見られること
が多い[Creighton,The Proteins, (W.H. Freeman & Co., N.Y.); Chothia, J.
Mol.Biol., 150:1(1976)]。アラニン置換によって十分な量の変異体が生じな
い場合は、アイソテリック(isoteric)アミノ酸を用いることができる。
C.PROの修飾
PROポリペプチドの共有結合的修飾は本発明の範囲内に含まれる。共有結合
的修飾の一形式は、PROポリペプチドの標的とするアミノ酸残基を、PROポ
リペプチドの選択された側鎖、或いはN又はC末端残基と反応できる有機誘導体
化試薬と反応させることである。二官能性試薬での誘導体化は、例えば抗-PR
O抗体の精製方法に用いる水不溶性支持体マトリクス又は表層へPROを架橋さ
せること、並びに逆の場合にとっても有用である。一般に用いられる架橋剤には
、例えば、1,1-ビス(ジアゾアセチル)-2-フェニルエタン、グルタルアル
デヒド、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、例えば4-アジドサリチル酸と
のエステル、3,3’-ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)等のジ
スクシンイミジルエステルを含むホモ二官能性イミドエステル、ビス-N-マレイ
ミド-1,8-オクタン等の二官能性マレイミド、及びメチル-3-[(p-アジドフ
ェニル)-ジチオ]プロピオイミダート等の試薬が含まれる。
他の修飾には、グルタミニル及びアスパラギニル残基の各々対応するグルタミ
ル及びアスパルチル残基への脱アミノ化、プロリン及びリシンのヒドロキシル化
、セリル又はトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニン
、及びヒスチジン側鎖のα-アミノ基のメチル化[T.E. Creighton, Proteins: St
ructure andMolecular Properties, W.H. Freeman & Co., San Francisco, pp.
79-86 (1983)]、N末端アミンのアセチル化、並びに任意のC末端カルボキシル
基のアミド化が含まれる。
本発明の範囲内に含まれるPROポリペプチドの共有結合的修飾の他の形式に
は、ポリペプチドの天然グリコシル化パターンの変更が含まれる。ここで意図さ
れる「天然グリコシル化パターンの変更」とは、天然配列PROに見られる1又
は複数の炭水化物部分の欠失(存在するグリコシル化部位の除去又は化学的及び
/又は酵素的手段によるグリコシル化の削除のいずれかによる)、及び/又は天
然配列PROに存在しない1又は複数のグリコシル化部位の付加を意味する。さ
らに、この文節には、存在する種々の炭水化物部分の性質及び特性の変化を含む
、天然タンパク質のグリコシル化における定性的変化が含まれる。
PROポリペプチドへのグリコシル化部位の付加はアミノ酸配列の変更を伴っ
てもよい。この変更は、例えば、1又は複数のセリン又はトレオニン残基の天然
配列PRO(O-結合グリコシル化部位)への付加、又は置換によってなされて
もよい。PROアミノ酸配列は、場合によっては、DNAレベルでの変化、特に
、PROポリペプチドをコードするDNAを予め選択された塩基において変異さ
せ、所望のアミノ酸に翻訳されるコドンを生成させることを通して変更されても
よい。
PROポリペプチド上に炭水化物部分の数を増加させる他の手段は、グリコシ
ドのポリペプチドへの化学的又は酵素的結合による。このような方法は、この技
術分野において、例えば、1987年9月11日に発行されたWO87/053
30、及びAplin及びWriston,CRC Crit. Rev. Biochem., pp. 259-306 (1981)
に記載されている。
PROポリペプチド上に存在する炭水化物部分の除去は、化学的又は酵素的に
、あるいはグルコシル化の標的として提示されたアミノ酸残基をコードするコド
ンの変異的置換によってなすことができる。化学的脱グリコシル化技術は、この
分野で知られており、例えば、Hakimuddinら, Arch. Biochem. Biophys., 259:5
2 (1987)により、並びにEdgeら,Anal. Biochem., 118: 131 (1981)により記載
されている。ポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的切断は、Thotakuraら, Met
h. Enzymol.138:350 (1987)に記載されているように、種々のエンド及びエキソ
グリコシダーゼを用いることにより達成される。
本発明のPROの共有結合的修飾の他の形式には、米国特許第4,640,8
35号;第4,496,689号;第4,301,144号;第4,670,4
17号;第4,791,192号又は第4,179,337号に記載された方法
で、PROポリぺプチドを種々の非タンパク質様ポリマー、例えばポリエチレン
グリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリオキシアルキレンの一つへ結
合させることが含まれる。
また、本発明のPROポリペプチドは、他の異種ポリペプチド、又はアミノ酸
配列に融合したPROポリペプチドを含むキメラ分子を形成する方法で修飾して
もよい。
一実施態様では、このようなキメラ分子には、抗タグ抗体が選択的に結合でき
るエピトープを提供するタグポリペプチドとPROポリペプチドとの融合体が含
まれる。エピトープタグは、概して、PROポリペプチドのアミノ又はカルボキ
シル末端に位置する。このようなPROポリペプチドのエピトープタグ形態の存
在は、タグポリペプチドに対する抗体を用いて検出することができる。また、エ
ピトープタグの提供は、抗タグ抗体又はエピトープタグに結合する他の型の親和
性マトリクスを用いたアフィニティ精製によって、PROポリペプチドを容易に
精製できるようにする。種々のタグポリペプチド、並びにそれらの各々の抗体は
、この分野で良く知られている。例としては、ポリ−ヒスチジン(ポリ-his)又
はポリ−ヒスチジン−グリシン(poly-His-gly)タグ;flu HAタグポリペプチド
及びその抗体12CA5[Fieldら, Mol. Cell. Biol., 8:2159-2165 (1988)]
;c-mycタグ及びそれに対する8F9、3C7、6E10、G4、B7及び9E
10抗体[Evanら,Molecular and Cellular Biology, 5:3610-3616(1985)];
並びに単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)タグ及びその抗体[Paborsky
ら,Protein Engineering, 3(6):547-553 (1990)]が含まれる。他のタグポリペ
プチドには、フラッグペプチド[Hoppら, BioTechnology, 6:1204-1210(1988)]
;KT3エピトープペプチド[Martinら, Science, 255:192-194 (1992)];α-
チューブリンエピトープペプチド[Skinnerら, J. Biol. Chem., 266:15163-151
66 (1991)];及びT7遺伝子10タンパク質ペプチドタグ[Lutz-Freyermuthら
, Proc. Natl.Acad. Sci. USA, 87:6393-6397(1990)]が含まれる。
それに換わる実施態様では、キメラ分子は、PROと免疫グロブリン、或いは
免疫グロブリンの特定領域との融合体を含んでもよい。キメラ分子の二価形態(
「イムノアドヘシン」とも呼ばれる)については、そのような融合はIgG分子
のFc領域とであり得る。Ig融合体は、好ましくはIg分子内の少なくとも1
つの可変領域に換えて、PROポリペプチドの可溶化(膜貫通ドメイン欠失又は
不活性化)形態を含む。特に好ましい実施態様では、免疫グロブリン融合体は、
IgG1分子のヒンジ、CH2及びCH3、或いはヒンジ、CH1、CH2及び
CH3領域を含む。免疫グロブリン融合体の製造については、1995年6月2
7日発行の米国特許第5,428,130号を参照のこと。
D.PROの調製
以下の説明は、主として、PROポリペプチド核酸を含むベクターで形質転換
又は形質移入された細胞を培養することによりPROポリペプチドを生産する方
法に関する。もちろん、当該分野においてよく知られている他の方法を用いてP
ROポリペプチドを調製することができると考えられる。例えば、PROポリペ
プチド配列、又はその一部は、固相技術を用いた直接ペプチド合成によって生産
してもよい[例えば、Stewartら, Solid-Phase Peptide Synthesis, W.H. Freem
an Co., サン フランシスコ,カリフォルニア(1969);Merrifield, J. Am. Chem
. Soc.,85:2149-2154 (1963)参照]。手動技術又は自動によるインビトロタン
パク質合成を行ってもよい。自動合成は、例えば、アプライド・バイオシステム
ズ・ペプチド合成機(フォスター シティー, カリフォルニア)を用いて、製造
者の指示により実施してもよい。PROポリペプチドの種々の部分は、別々に化
学的に合成され、化学的又は酵素的方法を用いて結合させて完全長PROポリペ
プチドを生産してもよい。
1.PROポリペプチドをコードするDNAの単離
PROポリペプチドをコードするDNAは、PROmRNAを保有していてそ
れを検出可能なレベルで発現すると考えられる組織から調製されたcDNAライ
ブラリから得ることができる。従って、ヒトPRODNAは、実施例に記載され
るように、ヒトの組織から調製されたcDNAライブラリから簡便に得ることが
できる。またPRO-コード化遺伝子は、ゲノムライブラリから又は公知の合成
方法(例えば、自動化核酸合成)により得ることもできる。
ライブラリは、対象となる遺伝子あるいはその遺伝子によりコードされるタン
パク質を同定するために設計されたプローブ(PROポリペプチドに対する抗体
又は少なくとも約20−80塩基のオリゴヌクレオチド等)によってスクリーニ
ングできる。選択されたプローブによるcDNA又はゲノムライブラリのスクリ
ーニングは、例えばSambrookら,Molecular Cloning: A Laboratory Manual(New
York:Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)に記載されている標準的
な手順を使用して実施することができる。所望のPROポリペプチドをコードす
る遺伝子を単離する他の方法は、PCR法を使用するものである[Sambrookら,
上掲;Dieffenbachら,PCR Primer:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor
LaboratoryPress, 1995)]。
下記の実施例には、cDNAライブラリのスクリーニング技術を記載している
。プローブとして選択されたオリゴヌクレオチド配列は、充分な長さで、疑陽性
が最小化されるよう充分に明瞭でなければならない。オリゴヌクレオチドは、ス
クリーニングされるライブラリ内のDNAとのハイブリダイゼーション時に検出
可能であるように標識されていることが好ましい。標識化の方法は当該分野にお
いて良く知られており、32P標識されたATPのような放射線標識、ビオチン
化あるいは酵素標識の使用が含まれる。中程度の厳密性及び高度の厳密性を含む
ハイブリダイゼーション条件は、上掲のSambrookら,に示されている。
このようなライブラリースクリーニング法において同定された配列は、GenBan
kら,の公共データベース又は個人の配列データベースに寄託され公衆に利用可
能とされている周知の配列と比較及びアラインメントすることができる。分子の
決定された領域内又は完全長に渡っての(アミノ酸又は核酸レベルのいずれかで
の)配列同一性は、当該分野で知られた、及びここに記載した方法を用いて決定
することができる。
タンパク質コード化配列を有する核酸は、初めてここで開示された推定アミノ
酸配列を使用し、また必要ならば、cDNAに逆転写されていないmRNAの生
成中間体及び先駆物質を検出する上掲のSambrookら,に記述されているような従
来のプライマー伸展法を使用して選択されたcDNA又はゲノムライブラリをス
クリーニングすることによって得られる。
2.宿主細胞の選択及び形質転換
宿主細胞を、ここに記載したPRO生産のための発現又はクローニングベクタ
ーで形質移入又は形質転換し、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又
は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために適当に変性された常套的栄養
培地で培養する。培養条件、例えば培地、温度、pH等々は、過度の実験をする
ことなく当業者が選ぶことができる。一般に、細胞培養の生産性を最大にするた
めの原理、プロトコール、及び実用技術は、Mammalian Cell Biotechnology: a
PracticalApproach, M.Butler編 (IRL Press, 1991)及びSambrookら, 上掲に見
出すことができる。
原核生物細胞形質移入及び真核生物細胞形質移入の方法、例えば、CaCl
、CaPO、リポソーム媒介及びエレクトロポレーションは当業者に知られて
いる。用いられる宿主細胞に応じて、その細胞に対して適した標準的な方法を用
いて形質転換はなされる。前掲のSambrookら,に記載された塩化カルシウムを用
いるカルシウム処理又はエレクトロポレーションが、一般的に原核生物に対して
用いられる。アグロバクテリウム・トゥメファシエンスによる感染が、Shawら,
Gene,23:315(1983)及び1989年6月29日公開のWO89/05859に記
載されているように、或る種の植物細胞の形質転換に用いられる。このような細
胞壁のない哺乳動物の細胞に対しては、Graham及びvan der Eb, Virology, 52:4
56-457 (1978)のリン酸カルシウム沈降法が好ましい。哺乳動物細胞の宿主系形
質転換の一般的な態様は米国特許第4,399,216号に記載されている。酵
母菌中への形質転換は、典型的には、Van Solingenら, J. Bact., 130:946 (197
7)及びHsiaoら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76:3829 (1979)の方法に従って
実施される。しかしながら、DNAを細胞中に導入する他の方法、例えば、核マ
イクロインジェクション、エレクトロポレーション、無傷の細胞、又はポリカチ
オン、例えばポリブレン、ポリオルニチン等を用いる細菌プロトプラスト融合も
また用いることもできる。哺乳動物細胞を形質転換するための種々の技術につい
ては、Keownら,Methods in Enzymology, 185:527-537 (1990)及び Mansourら,
Nature,336:348-352 (1988)を参照のこと。
ここに記載のベクターにDNAをクローニングあるいは発現するために適切な
宿主細胞は、原核生物、酵母菌、又は高等真核生物細胞である。適切な原核生物
には、限定するものではないが、真正細菌、例えばグラム陰性又はグラム陽性微
生物、例えば大腸菌のような腸内細菌科が含まれる。種々の大腸菌株が公に利用
可能であり、例えば、大腸菌K12株MM294(ATCC31,446);大
腸菌X1776(ATCC31,537);大腸菌株W3110(ATCC27
,325)及びK5772(ATCC53,635)である。他の好ましい原核
動物宿主細胞は、大腸菌属、例えば大腸菌(E. coli)、エンテロバクター、エ
ルビニア(Erwinia)、クレブシエラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)、サルモ
ネラ、例えばサルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella Typhimurium、ネズミ
チフス菌)、セラチア、例えばセラチア・マルセサンス(Serratia marcescans)
、及び赤痢菌、並びに桿菌、例えばバチルス・スブチルス(B. subtilis)及びバ
チルス・リチェニフォルミス(B. licheniformis)(例えば、1989年4月12
日発行のDD266,710に記載されたバチルスリチェニフォルミス41P)
、シュードモナス、例えば緑膿菌及びストレプトマイセスなどの腸内細菌科を含
む。これらの例は限定ではなく例示である。株W3110は、組換えDNA生産
物発酵のための共通の宿主株であるので一つの特に好ましい宿主又は親宿主であ
る。好ましくは、宿主細胞は最小量のタンパク質分解酵素を分泌する。例えば、
株W3110は、細胞に外来のタンパク質をコードする遺伝子における遺伝子変
異をするように修飾してもよく、そのような宿主の例としては、完全な遺伝子型
tonAを有する大腸菌W3110株1A2;完全な遺伝子型tonA ptr
3を有する大腸菌W3110株9E4;完全な遺伝子型tonA prt3 p
hoA E15 (argF−lac)169 degP ompT kanr
を有する大腸菌W3110株27C7(ATCC 55,244);完全な遺伝
子型tonA ptr3 phoA E15 (algF-lac)169 de
gP ompT rbs7 ilvG kanrを有する大腸菌W3110株3
7D6;非カナマイシン耐性degP欠失変異を持つ37D6株である大腸菌W
3110株40B4;及び1990年8月7日発行 米国特許第4,946,7
83号に開示された変異周辺質プロテアーゼを有する大腸菌株を含む。あるいは
、クローニングのインビトロ法、例えばPCR又は他の核酸ポリメラーゼ反応が
好ましい。
原核生物に加えて、糸状菌又は酵母菌のような真核微生物は、PROポリペプ
チドコード化ベクターのための適切なクローニング又は発現宿主である。サッカ
ロミセス・セレヴィシアは、通常用いられる下等真核生物宿主微生物である。他
に、シゾサッカロミセス・プロンブ(Schizosaccharomyces prombe)(Beach及びN
urse, Nature,290: 140 [1981]; 1985年5月2日発行のEP139,38
3);クルベロミセス宿主(Kluveromyces hosts)(米国特許第4,943,52
9号; Fleerら,Bio/Technology, 9: 968-975 (1991))、例えばクルベロミセス
ラクチス(K.lactis)(MW98-8C, CBS683, CBS4574; Louvencourtら, J. Bacteri
ol.154(2):737-742 [1983])、クルベロミセス・フラギリス(K. fragilis)(A
TCC 12,424)、クルベロミセス・ブルガリクス(K. bulgaricus)(A
TCC 16,045)、クルベロミセス・ウィケラミイ(K. wickeramii)(A
TCC 24,178)、クルベロミセス・ワルチイ(K.waltii)(ATCC 5
6,500)、クルベロミセス・ドロソフィラルム(K. drosophilarum)(ATC
C 36,906;Van den Bergら, Bio/Technology, 8: 135 (1990))、クル
ベロミセス・テモトレランス(K. thermotolerans)及びクルベロミセス・マルキ
シアナス(K.marxianus);ヤロウィア(yarrowia)(EP 402,226);ピ
チア・パストリス(Pichiapastoris)(EP 183,070; Sreekrishnaら,
J. BasicMicrobiol, 28: 265-278 [1988]);カンジダ;トリコデルマ・レー
シア(Trichodermareesia)(EP 244,234);アカパンカビ(Caseら,
Proc. Natl. Acad.Sci. USA, 76: 5259-5263 [1979]);シュワニオマイセス(S
chwanniomyces)、例えばシュワニオマイセス・オクシデンタリス(Schwanniomyce
s occidentalis)(1990年10月31日発行のEP394,538);及び
糸状真菌、例えば、ニューロスポラ、ペニシリウム、トリポクラジウム(Tolypoc
ladium)(1991年1月10日発行のWO91/00357);及びアスペル
ギルス宿主、例えばアスペルギルス・ニダランス(Ballanceら, Biochem. Bioph
ys. Res.Commun., 112: 284-289 [1983]; Tilburnら, Gene, 26: 205-221 [198
3]; Yeltonら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81: 1470-1474 [1984])及びアス
ペルギルス・ニガー(Kelly及びHynes, EMBO J., 4: 475-479 [1985])が含まれ
る。ここで好ましいメチロトロピック(C1化合物資化性、Methylotropic)酵母
は、これらに限られないが、ハンセヌラ(Hansenula)、カンジダ、クロエケラ(Kl
oeckera)、ピチア(Pichia)、サッカロミセス、トルロプシス(Torulopsis)、及び
ロドトルラ(Rhodotorula)からなる属から選択されたメタノールで成長可能な酵
母を含む。この酵母の分類の例示である特定の種のリストは、C. Anthony, The
Biochemistry ofMethylotrophs, 269 (1982)に記載されている。
グリコシル化PROポリペプチドの発現に適した宿主細胞は、多細胞生物から
誘導される。無脊椎動物細胞の例としては、ショウジョウバエS2及びスポドス
ペラSf9等の昆虫細胞並びに植物細胞が含まれる。有用な哺乳動物宿主株化細
胞の例は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)及びCOS細胞を含む。より
詳細な例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株 (COS-7,
ATCC CRL 1651);ヒト胚腎臓株(293又は懸濁培養での増殖のために
サブクローン化された293細胞、Grahamら, J. Gen Virol., 36:59 (1977));チ
ャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO, Urlaub及びChasin, Proc. Nat
l. Acad. Sci.USA, 77:4216 (1980));マウスのセルトリ細胞(TM4, Mather, Bi
ol. Reprod.,23:243-251 (1980))ヒト肺細胞 (W138,ATCC CCL 7
5); ヒト肝細胞(Hep G2,HB 8065); 及びマウス***腫瘍細胞 (
MMT 060562,ATCC CCL51)を含む。適切な宿主細胞の選択は
、この分野の技術常識内にある。
3.複製可能なベクターの選択及び使用
PROポリペプチドをコードする核酸(例えば、cDNA又はゲノムDNA)は
、クローニング(DNAの増幅)又は発現のために複製可能なベクター内に挿入さ
れる。様々なベクターが公的に入手可能である。ベクターは、例えば、プラスミ
ド、コスミド、ウイルス粒子、又はファージの形態とすることができる。適切な
核酸配列が、種々の手法によってベクターに挿入される。一般に、DNAはこの
分野で周知の技術を用いて適当な制限エンドヌクレアーゼ部位に挿入される。ベ
クター成分としては、一般に、これらに制限されるものではないが、1つ又は複
数のシグナル配列、複製開始点、1つ又は複数のマーカー遺伝子、エンハンサー
エレメント、プロモーター、及び転写終結配列を含む。これらの成分の1つ又は
複数を含む適当なベクターの作成には、当業者に知られた標準的なライゲーショ
ン技術を用いる。
PROポリペプチドは直接的に組換え手法によって生産されるだけではなく、
シグナル配列あるいは成熟タンパク質あるいはポリペプチドのN-末端に特異的
切断部位を有する他のポリペプチドである異種性ポリペプチドとの融合ペプチド
としても生産される。一般に、シグナル配列はベクターの成分であるか、ベクタ
ーに挿入されるPRO-コード化DNAの一部である。シグナル配列は、例えば
アルカリフォスファターゼ、ペニシリナーゼ、lppあるいは熱安定性エンテロ
トキシンIIリーダーの群から選択された原核生物シグナル配列であってよい。酵
母の分泌に関しては、シグナル配列は、酵母インベルターゼリーダー、アルファ
因子リーダー(サッカロミセス(Saccharomyces)及びクルイベロマイシス(Kluyver
omyces)α因子リーダーを含み、後者は米国特許第5,010,182号に記載
されている)、又は酸ホスファターゼリーダー、カンジダ・アルビカンス(C.alb
icans)グルコアミラーゼリーダー(1990年4月4日発行のEP362179)
、又は1990年11月15日に公開されたWO90/13646に記載されて
いるシグナルであり得る。哺乳動物細胞の発現においては、哺乳動物シグナル配
列を、同一あるいは関連ある種の分泌ポリペプチド由来のシグナル配列、並びに
ウイルス分泌リーダーのようなタンパク質の直接分泌に使用してもよい。
発現及びクローニングベクターの双方は、1つ又は複数の選択された宿主細胞
においてベクターの複製を可能にする核酸配列を含む。そのような配列は、多く
の細菌、酵母及びウイルスに関してよく知られている。プラスミドpBR322
に由来する複製開始点は、殆どののグラム陰性細菌にとって適したものであり、
2μプラスミド開始点は、酵母にとって適したものであり、様々なウイルス開始
点(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSV又はBPV)は、哺乳動物細
胞のクローニングベクターとして有用である。
発現及びクローニングベクターは、概して選べるマーカーとも称される選択遺
伝子を含む。典型的な選択遺伝子は、(a)アンピシリン、ネオマイシン、メトト
レキセート、又はテトラサイクリンのような抗生物質、或いは他の毒素に対する
耐性を付与し、(b)栄養要求性欠陥を補い、又は(c)複合培地から得られない重要
な栄養素、例えばバチルス属のD-アラニンラセマーゼをコードする遺伝子を供
給するタンパク質をコードする。
哺乳動物細胞にとって適した選べるマーカーの例としては、DHFRあるいは
チミジンキナーゼのような、PRO-コード化核酸を取り込むことのできる細胞
を同定することを可能にするものである。野生型DHFRを用いた場合に適した
宿主細胞は、UrlaubらによりProc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4216 (1980)に
記載されているようにして調製され、増殖されたDHFR活性に欠陥のあるCH
O株化細胞である。酵母菌での使用に適した選択遺伝子は、酵母プラスミドYR
p7に存在するtrp1遺伝子である[Stinchcombら, Nature, 282:39(1979)
;Kingsmanら,Gene, 7:141(1979);Tschemperら, Gene, 10:157(1980)]。t
rp1遺伝子は、例えば、ATCC番号44076、又はPEP4-1のような
、トリプトファンによって成長する能力を欠く酵母菌の突然変異株に対する選択
マーカーを提供する[Jones, Genetics, 85:12 (1977)]。
発現及びクローニングベクターは、通常は、PRO-コード化核酸配列に作用
可能に結合し、mRNA合成を制御するプロモーターを含む。種々の潜在的な宿
主細胞により認識されるプロモーターが知られている。原核生物宿主で使用する
のに適したプロモーターには、β-ラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系
[Changら,Nature, 275:615 (1978); Goeddelら, Nature, 281:544 (1979)]
、アルカリフォスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系[Goeddel,
Nucleic AcidsRes., 8:4057 (1980); EP 36,776]、及びtacプロモーターの
ようなハイブリッドプロモーター[deBoer ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 8
0:21-25 (1983)]が含まれる。また、細菌系で使用するプロモータは、PROポ
リペプチドをコードするDNAと作用可能に結合したシャイン-ダルガーノ(S.D.
)配列を有する。
酵母宿主で用いるのに適したプロモーター配列の例としては、3-ホスホグリ
セラートキナーゼ[Hitzemanら, J. Biol. Chem., 255:2073 (1980)]又は他の
糖分解酵素[Hessら, J. Adv. Enzyme Reg., 7:149 (1968);Holland, Biochem
istry, 17:4900(1987)]、例えばエノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸
デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフ
ルクトキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセレート
ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオセリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコー
スイソメラーゼ、及びグルコキナーゼが含まれる。
成長条件によって転写が制御される付加的効果を有する誘発的プロモーターあ
る他の酵母プロモーターとしては、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトク
ロムC、酸フォスファターゼ、窒素代謝と関連する分解性酵素、メタロチオネイ
ン、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、並びにマルトース及びガ
ラクトースの利用を支配する酵素のプロモーター領域がある。酵母菌での発現に
使用するのに適したベクターとプロモータはEP 73,657に更に記載され
ている。
哺乳動物宿主細胞のベクターからのPROポリペプチド転写は、例えば、ポリ
オーマウィルス、伝染性上皮腫ウィルス(1989年7月5日公開のUK2,2
11,504)、アデノウィルス(例えばアデノウィルス2)、ウシ乳頭腫ウィル
ス、トリ肉腫ウィルス、サイトメガロウィルス、レトロウィルス、B型肝炎ウィ
ルス及びサルウィルス40(SV40)のようなウィルスのゲノムから得られるプ
ロモーター、異種性哺乳動物プロモーター、例えばアクチンプロモーター、又は
免疫グロブリンプロモーター、並びに熱衝撃プロモーターから得られるプロモー
ターが宿主細胞系に適合するならば、これらプロモーターによって制御される。
より高等な真核生物による、所望のPROポリペプチドをコードするDNAの
転写は、ベクターへエンハンサー配列を挿入することによって増強される可能性
がある。エンハンサーは、通常は約10から300塩基対で、プロモーターに作
用してその転写を増強するDNAのシス作動要素である。哺乳動物遺伝子由来の
多くのエンハンサー配列が現在知られている(グロビン、エラスターゼ、アルブ
ミン、α-フェトプロテイン及びインスリン)。しかしながら、概して、真核細胞
ウィルス由来のエンハンサーが用いられるであろう。例としては、複製起点の後
期のSV40エンハンサー(100−270塩基対)、サイトメガロウィルスの初
期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期のポリオーマエンハンサー、及び
アデノウィルスエンハンサーが含まれる。エンハンサーは、PROポリペプチド
コード化配列の5’又は3’位でベクター中へスプライシングされる可能性があ
るが、好ましくはプロモーターの5’位に位置している。
また、真核生物宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、又は他の多
細胞生物由来の有核細胞)で用いられる発現ベクターは、転写の終結及びmRN
Aの安定化に必要な配列も含む。このような配列は、真核生物又はウィルスDN
A又はcDNAの5’、時には3’の非翻訳領域から通常は取得できる。これら
の領域は、PROポリペプチドをコードするmRNAの非翻訳部分にポリアデニ
ル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含む。
組換え脊椎動物細胞培養でのPROポリペプチドの合成に適応化するのに適切
な更に他の方法、ベクター及び宿主細胞は、Gethingら, Nature, 293:620-625 (
1981); Manteiら,Nature, 281:40-46 (1979);EP117,060;及びEP
117,058に記載されている。
4.遺伝子増幅/発現の検出
遺伝子の増幅及び/又は発現は、ここで提供された配列に基づき、適切に標識
されたプローブを用い、例えば、従来よりのサザンブロット法、mRNAの転写
を定量化するノーザンブロット法[Thomas, Proc. Natl. Acad. Sci. USA,77:52
01-5205 (1980)]、ドットブロット法(DNA分析)、又はインサイツハイブリダ
イゼーション法によって、直接的に試料中で測定することができる。あるいは、
DNA二本鎖、RNA二本鎖及びDNA-RNAハイブリッド二本鎖又はDNA-
タンパク二本鎖を含む、特異的二本鎖を認識することができる抗体を用いること
もできる。次いで、抗体を標識し、アッセイを実施することができ、ここで二本
鎖は表面に結合しており、その結果二本鎖の表面での形成の時点でその二本鎖に
結合した抗体の存在を検出することができる。
あるいは、遺伝子の発現は、遺伝子産物の発現を直接的に定量する免疫学的な
方法、例えば細胞又は組織切片の免疫組織化学的染色及び細胞培養又は体液のア
ッセイによって、測定することもできる。試料液の免疫組織化学的染色及び/又
はアッセイに有用な抗体は、モノクローナルでもポリクローナルでもよく、任意
の哺乳動物で調製することができる。簡便には、抗体は、天然配列PROポリペ
プチドに対して、又はここで提供されるDNA配列をベースとした合成ペプチド
に対して、又はPRO DNAに融合し特異的抗体エピトープをコードする外因
性配列に対して調製され得る。
5.ポリペプチドの精製
PROポリペプチドの形態は、培地又は宿主細胞の溶菌液から回収することが
できる。膜結合性であるならば、適切な洗浄液(例えばトリトン-X100)又は
酵素的切断を用いて膜から引き離すことができる。PROポリペプチドの発現に
用いられる細胞は、凍結融解サイクル、超音波処理、機械的破壊、又は細胞溶解
剤などの種々の化学的又は物理的手段によって破壊することができる。
PROポリペプチドを、組換え細胞タンパク又はポリペプチドから精製するこ
とが望ましい。適切な精製手順の例である次の手順により精製される:すなわち
、イオン交換カラムでの分画;エタノール沈殿;逆相HPLC;シリカ又はカチ
オン交換樹脂、例えばDEAEによるクロマトグラフィー;クロマトフォーカシ
ング;SDS-PAGE;硫酸アンモニウム沈殿;例えばセファデックスG-75
を用いるゲル濾過;IgGのような汚染物を除くプロテインAセファロースカラ
ム;及びPROポリペプチドのエピトープタグ形態を結合させる金属キレート化
カラムである。この分野で知られ、例えば、Deutscher, Methodes in Enzymolog
y, 182(1990);Scopes,Protein Purification: Principles and Practice, Spr
inger-Verlag,New York (1982)に記載された多くのタンパク質精製方法を用い
ることができる。選択される精製過程は、例えば、用いられる生産方法及び特に
生産される特定のPROの性質に依存する。
E.抗体
本発明の組成物及び方法で使用するための候補薬剤の幾つかは、PROポリペ
プチドの生物学的活性を模倣する抗体及び抗体断片である。
1.ポリクローナル抗体
ポリクローナル抗体の調製方法は当業者に知られている。哺乳動物においてポ
リクローナル抗体は、例えば免疫化剤、及び所望するのであればアジュバントを
、一又は複数回注射することで発生させることができる。典型的には、免疫化剤
又はアジュバントを複数回皮下又は腹腔内注射により、哺乳動物に注射する。免
疫化剤は、PROポリペプチド又はその融合タンパク質を含みうる。免疫化剤を
免疫化された哺乳動物において免疫原性が知られているタンパク質に抱合させる
のが有用である。このような免疫原タンパク質の例は、これらに限られないが、
キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン及
び大豆トリプシンインヒビターが含まれる。使用され得るアジュバントの例には
、フロイント完全アジュバント及びMPL-TDMアジュバント(モノホスホリル
脂質A、合成トレハロースジコリノミコラート)が含まれる。免疫化プロトコー
ルは、過度の実験なく当業者により選択されるであろう。
2.モノクローナル抗体
あるいは、抗体はモノクローナル抗体であってもよい。モノクローナル抗体は
、Kohler及びMilstein,Nature, 256:495 (1975)に記載されているようなハイブ
リドーマ法を使用することで調製することができる。ハイブリドーマ法では、マ
ウス、ハムスター又は他の適切な宿主動物を典型的には免疫化剤により免疫化す
ることで、免疫化剤に特異的に結合する抗体を生成するかあるいは生成可能なリ
ンパ球を誘発する。また、リンパ球をインビトロで免疫化することもできる。
免疫化剤は、典型的にはPROポリペプチド又はその融合タンパク質を含む。
一般に、ヒト由来の細胞が望まれる場合には末梢血リンパ球(「PBL」)が使用
されるか、あるいは非ヒト哺乳動物源が望まれている場合は、脾臓細胞又はリン
パ節細胞が使用される。次いで、ポリエチレングリコール等の適当な融合剤を用
いてリンパ球を不死化細胞系と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成する[Godi
ng, MonoclonalAntibodies: Principles and Practice, Academic Press, (198
6) pp. 59-103]。不死化細胞系は、通常は、形質転換した哺乳動物細胞、特に
齧歯動物、ウシ、及びヒト由来の骨髄腫細胞である。通常、ラット又はマウスの
骨髄腫細胞系が使用される。ハイブリドーマ細胞は、好ましくは、未融合の不死
化細胞の生存又は成長を阻害する一又は複数の物質を含有する適切な培地で培養
される。例えば、親細胞が、酵素のヒポキサンチングアニンホスホリボシルトラ
ンスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠いていると、ハイブリドーマの培地は、典
型的には、ヒポキサチン、アミノプチリン及びチミジンを含み(「HAT培地」)
、この物質がHGPRT欠乏性細胞の増殖を阻止する。
好ましい不死化細胞系は、効率的に融合し、選択された抗体生成細胞による安
定した高レベルの抗体発現を支援し、HAT培地のような培地に対して感受性の
ものである。より好ましい不死化細胞系はマウス骨髄腫系であり、これは例えば
カリフォルニア州サンディエゴのSalk Institute Cell Distribution Centerや
マナサス,バージニア州のアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションより
入手可能である。ヒトモノクローナル抗体を生成するためのヒト骨髄腫及びマウ
ス-ヒト異種骨髄腫細胞系も開示されている[Kozbor,J. Immunol., 133:3001 (
1984)、Brodeur等,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applicat
ions, MarcelDekker, Inc., New York, (1987) pp. 51-63]。
次いでハイブリドーマ細胞が培養される培養培地を、PROポリペプチドに対
するモノクローナル抗体の存在について検定する。好ましくは、ハイブリドーマ
細胞によって生成されたモノクローナル抗体の結合特異性は免疫沈降又はラジオ
イムノアッセイ(RIA)や酵素結合免疫測定法(ELISA)等のインビトロ結合
検定法によって測定する。このような技術及びアッセイは、当該分野において公
知である。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えばMunson及びPollard, Ana
l. Biochem.,107:220 (1980)によるスキャッチャード分析法によって測定する
ことができる。
所望のハイブリドーマ細胞が同定された後、クローンを制限希釈方法によりサ
ブクローニングし、標準的な方法で成長させることができる[Goding, 上掲]。
この目的のための適当な培地には、例えば、ダルベッコの改変イーグル培地及び
RPMI-1640倍地が含まれる。あるいは、ハイブリドーマ細胞は哺乳動物
においてインビボで腹水として成長させることもできる。
サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、例えばプロテインA
−セファロース法、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー法、ゲル電気泳
動法、透析法又はアフィニティークロマトグラフィー等の従来の免疫グロブリン
精製方法によって培養培地又は腹水液から単離又は精製される。
また、モノクローナル抗体は、組換えDNA法、例えば米国特許第4,816
,567号に記載された方法により作成することができる。本発明のモノクロー
ナル抗体をコードするDNAは、常套的な方法を用いて(例えば、マウス抗体の
重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合可能なオリゴヌクレオチドプロ
ーブを使用して)、容易に単離し配列決定することができる。本発明のハイブリ
ドーマ細胞はそのようなDNAの好ましい供給源となる。ひとたび単離されたら
、DNAは発現ベクター内に配することができ、これが宿主細胞、例えばサルC
OS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、あるいは免疫グロブリン
タンパク質を生成などしない骨髄腫細胞内に形質移入され、組換え宿主細胞内で
モノクローナル抗体の合成をすることができる。また、DNAは、例えば相同マ
ウス配列に換えてヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインのコード配列を置換することに
より[米国特許第4,816,567号;Morrisonら,上掲]、又は免疫グロブリンコー
ド配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の一部又は全部を共有結合
することにより修飾することができる。このような非免疫グロブリンポリペプチ
ドは、本発明の抗体の定常ドメインの代わりに置換するか、本発明の抗体の一つ
の抗原結合部位の可変ドメインの代わりに置換し、キメラ性二価抗体を産生する
ことができる。このような非免疫グロブリンポリペプチドは、本発明の抗体の定
常ドメインに置換でき、あるいは本発明の抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメ
インに置換でき、キメラ性二価抗体を生成する。
抗体は一価抗体であってもよい。一価抗体の調製方法は当該分野においてよく
知られてる。例えば、一つの方法は免疫グロブリン軽鎖と修飾重鎖の組換え発現
を含む。重鎖は一般的に、重鎖の架橋を防止するようにFc領域の任意のポイン
トで切断される。あるいは、関連するシステイン残基を他のアミノ酸残基で置換
するか欠失させて架橋を防止する。
一価抗体の調製にはインビトロ法がまた適している。抗体の消化による、その
断片、特にFab断片の生成は、当該分野において知られている慣用的技術を使
用して達成できる。
3.ヒト及びヒト化抗体
本発明の抗体は、さらにヒト化抗体又はヒト抗体を含む。非ヒト(例えばマウ
ス)抗体のヒト化形とは、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖あるいはそ
の断片(例えばFv、Fab、Fab’、F(ab')あるいは抗体の他の抗原結
合サブ配列)であって、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むもので
ある。ヒト化抗体はレシピエントの相補性決定領域(CDR)の残基が、マウス、
ラット又はウサギのような所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種(ド
ナー抗体)のCDRの残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント
抗体)を含む。幾つかの例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基
は、対応する非ヒト残基によって置換されている。また、ヒト化抗体は、レシピ
エント抗体にも、移入されたCDRもしくはフレームワーク配列にも見出されな
い残基を含んでいてもよい。一般に、ヒト化抗体は、全てあるいはほとんど全て
のCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てあるいはほとんど全
てのFR領域がヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである、少なくとも
1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、最
適には免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒトの免疫グロブリンの定常
領域の少なくとも一部を含んでなる[Jones等, Nature, 321:522-525 (1986); R
iechmann等,Nature, 332:323-329 (1988); 及びPresta, Curr. Op Struct. Bio
l., 2:593-596(1992)]。
非ヒト抗体をヒト化する方法はこの分野でよく知られている。一般的に、ヒト
化抗体には非ヒト由来の一又は複数のアミノ酸残基が導入される。これら非ヒト
アミノ酸残基は、しばしば、典型的には「移入」可変ドメインから得られる「移
入」残基と称される。ヒト化は基本的に齧歯動物のCDR又はCDR配列でヒト
抗体の該当する配列を置換することによりウィンター(winter)及び共同研究者[
Jones等, Nature,321:522-525 (1986);Riechmann等, Nature, 332:323-327 (1
988);Verhoeyen等,Science, 239:1534-1536 (1988)]の方法に従って、齧歯類
CDR又はCDR配列をヒト抗体の対応する配列に置換することにより実施され
る。よって、このような「ヒト化」抗体は、無傷のヒト可変ドメインより実質的
に少ない分が非ヒト種由来の対応する配列で置換されたキメラ抗体(米国特許第4
,816,567号)である。実際には、ヒト化抗体は典型的には幾つかのCDR残基及
び場合によっては幾つかのFR残基が齧歯類抗体の類似する部位からの残基によ
って置換されたヒト抗体である。
また、ヒト抗体は、ファージ表示ライブラリ[Hoogenboom及びWinter, J. Mol
. Biol.,227:381 (1991);Marks等, J. Mol. Biol., 222:581 (1991)]を含む
この分野で知られた種々の方法を用いて作成することもできる。また、Cole等及
びBoerner等の技術も、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用することができる
(Cole等,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss. p.77(1
985;Boerner等,J. Immunol., 147(1):86-95(1991))。同様に、ヒト抗体はヒ
ト免疫グロブリン座位をトランスジェニック動物、例えば内在性免疫グロブリン
遺伝子は部分的又は完全に不活性化されたマウスに導入することにより産生する
ことができる。負荷の際に、遺伝子再配列、組立、及び抗体レパートリーを含む
あらゆる観点においてヒトに見られるものに非常に類似しているヒト抗体の生産
が観察される。このアプローチは、例えば米国特許第5,545,807号;同第5,545,8
06号;同第5,569,825号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,661,016号
、及び次の科学文献:Marks等, Bio/Technology 10, 779-783 (1992); Lonberg
等, Nature368 856-859 (1994); Morrison, Nature 368, 812-13 (1994); Fish
wild等, NatureBiotechnology 14, 845-51 (1996); Neuberger, Nature Biotec
hnology 14, 826(1996); Lonberg及びHuszar, Intern. Rev. Immunol. 13 65-9
3 (1995)に記載されている。
4.二重特異性抗体
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対して結合特異性を有する
モノクローナル、好ましくはヒト又ははヒト化抗体である。本発明では、結合特
異性の一方はPROポリペプチドに対して、他方は任意の他の抗原、好ましくは
細胞表面タンパク質、又はレセプター又はレセプターサブユニットに対するもの
である。
二重特異性抗体を作成する方法は、当該技術分野において周知である。伝統的
には、二重特異性抗体の組換え生産は、二つの重鎖が異なる特異性を持つ二つの
免疫グロブリン重鎖/軽鎖対の同時発現に基づく(Milstein及びCuello, Nature
, 305:537-539(1983))。免疫グロブリンの重鎖と軽鎖を無作為に取り揃えるた
め、これらハイブリドーマ(クアドローマ)は10種の異なる抗体分子の潜在的混
合物を生成し、その内の一種のみが正しい二重特異性構造を有する。正しい分子
の精製は、アフィニティークロマトグラフィー工程によって通常は達成される。
同様の手順が1993年5月13日公開のWO93/08829、及びTraunecker等, EMBO J.,10
:3655-3659(1991)に開示されている。
所望の結合特異性(抗体-抗原結合部位)を有する抗体可変ドメインを、免疫グ
ロブリン定常ドメイン配列へ融合することができる。この融合は、好ましくは、
少なくともヒンジ部、CH2及びCH3領域の一部を含む免疫グロブリン重鎖定
常ドメインとのものである。少なくとも一つの融合には、軽鎖結合に必要な部位
を含む第一の重鎖定常領域(CH1)が存在することが望ましい。免疫グロブリン
重鎖融合体をコードするDNA、そして望むのであれば免疫グロブリン軽鎖を、
別々の発現ベクターに挿入し、適当な宿主微生物へ同時形質移入する。二重特異
性抗体を作成するための更なる詳細については、例えばSuresh等, Methods in E
nzymology,121:210(1986)を参照されたい。
WO96/27011に記載された他の方法によれば、一対の抗体分子間の界
面を操作して組換え細胞培養から回収されるヘテロダイマーのパーセントを最大
にすることができる。好ましい界面は、抗体定常ドメインのCH3ドメインの少
なくとも一部を含む。この方法では、第1抗体分子の界面からの一又は複数の小
さいアミノ酸側鎖が、より大きな側鎖(例えばチロシン又はトリプトファン)と置
き換えられる。大きな側鎖と同じ又はより小さいサイズの相補的「キャビティ」
を、大きなアミノ酸側鎖を小さいもの(アラニン又はトレオニン)と置き換えるこ
とによって、第2の抗体分子の界面に作り出す。これによって、ホモダイマーの
ような不要の他の最終産物に対して、ヘテロダイマーの収量を増大させるための
メカニズムが提供される。
二重特異性抗体は、完全長抗体又は抗体断片(例えば、F(ab')二重特異
性抗体)として調製することができる。抗体断片から二重特異性抗体を産生する
技術もまた文献に記載されている。例えば、化学結合を使用して二重特異性抗体
を調製することができる。Brennanら, Science, 229:81 (1985) は無傷の抗体を
タンパク分解的に切断してF(ab')断片を生成する手順を記述している。こ
れらの断片は、ジチオール錯体形成剤亜砒酸ナトリウムの存在下で還元して近接
ジチオールを安定化させ、分子間ジスルフィド形成を防止する。生成されたFa
b’断片を、次いでチオニトロベンゾアート(TNB)誘導体へ転換する。Fab
’-TNB誘導体の一つを、次いでメルカプトエチルアミンでの還元によってF
ab’-チオールへ再転換し、他のFab’-TNB誘導体の等モル量と混合して
二重特異性抗体を形成する。この生成された二重特異性抗体は、酵素の選択的固
定化用の薬剤として使用することができる。
Fab’ 断片を大腸菌から直接に回収し、化学的に結合させて二重特異性抗
体を形成してもよい。Shalaby等, J. Exp. Med., 175: 217-225 (1992)には、完
全にヒト化された二重特異性抗体F(ab')分子の製造が記載されている。
各Fab’断片を大腸菌から別個に分泌し、インビトロで定方向化学結合させて
二重特異性抗体を形成した。このように形成された二重特異性抗体は、ErbB
2レセプターを過剰発現している細胞及び正常なヒトT細胞と結合することがで
き、ヒト***腫瘍標的に対するヒト細胞障害性リンパ球の溶解活性を誘発する。
また、組換え細胞培養から直接に二重特異性抗体断片を作成し分離することに
関する様々な技術も記述されている。例えば、二重特異性抗体は、ロイシンジッ
パーを使用して生産されている。Kostelny等, J. Immunol., 148(5):1547-1553
(1992)。Fos及びJunタンパク質のロイシンジッパーペプチドを、遺伝子融
合によって、二つの異なった抗体のFab’ 部分に結合させた。抗体ホモダイ
マーをヒンジ領域で還元してモノマーを形成させ、ついで再酸化して抗体ヘテロ
ダイマーを形成する。この方法は、抗体ホモダイマーの生産にも使用することが
できる。Hollinger等,Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 6444-6448 (1993)に
よって記述された「ダイアボディ」技術は、二重特異性抗体断片を作成する別の
メカニズムを提示している。この断片は、同一鎖上の2つのドメイン間の対形成
を可能にするためには短か過ぎるリンカーによって軽鎖可変ドメイン(V)と結
合した重鎖可変ドメイン(V)を含んでいる。従って、一つの断片のV及びV
ドメインは、他の断片の相補的V及びVドメインと強制的に対形成し、そ
れによって2つの抗原結合部位を形成する。一本鎖Fv(sFv)ダイマーを使用
して、二重特異性抗体断片を製造するその他の方法についても報告されている。
Gruber等, J. Immunol.,152:5368 (1994)を参照されたい。
二価より多い抗体も考えられる。例えば、三重特異性抗体を調製することがで
きる。TuttらJ.Immunol. 147:60(1991)。
例示的な二重特異性抗体は、ここで与えられるPROポリペプチド上の2つの
異なるエピトープに結合し得る。あるいは、細胞防御メカニズムを特定のPRO
ポリペプチドを発現する細胞へ集中させるために、抗-PROポリペプチドアー
ムを、T細胞レセプター分子(例えばCD2、CD3、CD28又はB7)等の
白血球上のトリガー分子、或いはFcγRI(CD64)、FcγRII(CD3
2)及びFcγRIII(CD16)等のIgGのFcレセプター(FcγR)に
結合するアームに結合させてもよい。二重特異性抗体を、細胞毒性薬を特定のP
ROポリペプチドを発現する細胞に局在化させるために使用してもよい。これら
の抗体は、PRO-結合アーム、並びに細胞毒性薬又はキレート化剤、例えばE
OTUBE、DPTA、DOTA、又はTETAと結合するアームを有する。対
象とする他の二重特異性抗体は、PROポリペプチドに結合し、さらに組織因子
(TF)と結合する。
5.ヘテロコンジュゲート抗体
ヘテロコンジュゲート抗体も本発明の範囲内である。ヘテロコンジュゲート抗
体は2つの共有結合した抗体で構成されている。このような抗体は、例えば、不
要な細胞を免疫系細胞の標的とするため[米国特許第4,676,980号]、そしてH
IV感染の治療のために[WO 91/00360; WO 92/200373; EP 03089]提案されて
いる。この抗体は、架橋剤に関するものを含む、合成タンパク化学における既知
の方法を使用して、インビトロで調製することが可能であると考えられる。例え
ば、ジスルフィド交換反応を使用するか、或いはチオエーテル結合を形成するこ
とにより、免疫毒素を構成できる可能性がある。この目的のために適した試薬の
例としては、イミノチオレート及びメチル-4-メルカプトブチリミデート、並び
に、例えば米国特許第4,676,980号に開示されているものが含まれる。
6.エフェクター機能の設計
例えば癌治療における抗体の効能を増強するために、エフェクター機能に関し
て本発明の抗体を改変することが望ましい。例えば、システイン残基をFc領域
に導入し、それによってこの領域における鎖間ジスルフィド結合を形成させても
よい。このようにして産生されたホモダイマー抗体は、改善されたインターナリ
ゼーション能力及び/又は増加した補体媒介細胞死滅、及び抗体依存性細胞障害
活性(ADCC)を有し得る。Caron等,J. Exp. Med. 176:1191-1195 (1992)及び
Shopes, J.Immunol. 148:2918-2922 (1992)を参照されたい。増強した抗腫瘍活
性を有するホモダイマー抗体は、Wolff等, Cancer Research 53:2560-2565(1993
)に記載されているようなヘテロ二官能性架橋剤を使用して調製することもでき
る可能性がある。あるいは、二重Fc領域を有し、それによって増強された補体
溶解及びADCC能を有し得る抗体を設計することができる。Stevensonら, Ant
i-Cancer DrugDesign 3:219-230 (1989)を参照。
7.免疫コンジュゲート
また、本発明は、化学治療薬、毒素(例えば、細菌、真菌、植物又は動物由来
の酵素活性毒素、又はその断片)などの細胞毒性薬、あるいは放射性同位体(即
ち、放射性コンジュゲート)と抱合している抗体を含む免疫コンジュゲートに関
する。
このような免疫コンジュゲートの生成に有用な化学治療薬を上に記載した。用
いることのできる酵素活性毒素及びその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア
毒素の非結合活性断片、(緑膿菌からの)外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA
鎖、モデクシン(modeccin)A鎖、アルファ-サルシン、アレウリテス・フォーデ
ィ(Aleuritesfordii)タンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、フィトラ
カ・アメリカーナ(Phytolacaamericana)タンパク質(PAPI、PAPII、
及びPAP-S)、モモルディカ・チャランチア(momordicacharantia)インヒビ
ター、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、サパオナリア・オフィシナリス(s
apaonariaoficinalis)インヒビター、ゲロニン(gelonin)、ミトゲリン(mitogel
lin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマ
イシン(enomycin)及びトリコテセン(tricothecene)が含まれる。放射性コンジュ
ゲート抗体の生成には、様々な放射性ヌクレオチドが利用可能である。例として
は、212Bi、131I、131In、90Y及び186Reが含まれる。
抗体及び細胞毒性薬のコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリ
ング剤、例えば、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオール)プロピオネ
ート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(ジ
メチルアジピミデートHCL等)、活性エステル(ジスクシンイミジルスベレート
等)、アルデヒド(グルタルアルデヒド等)、ビス-アジド化合物(ビス(p-ア
ジドベンゾイル)ヘキサンジアミン等)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-
ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン等)、ジイソシアネート(トリエン
2,6-ジイソシアネート等)、及びビス-活性フッ素化合物(1,5-ジフルオ
ロ-2,4-ジニトロベンゼン等)を用いて作成できる。例えば、リシン免疫毒素
は、Vitettaら,Science 238: 1098 (1987)に記載されているように調製するこ
とができる。カーボン-14-標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエ
チレントリアミン五酢酸(MX-DTPA)は、放射性ヌクレオチドの抗体への抱合の
ためのキレート剤の例である。WO94/11026参照。
他の実施態様では、腫瘍の予備標的化で使用するために、抗体は「レセプター
」(ストレプトアビジン等)に抱合されてもよく、抗体-レセプターコンジュゲ
ートは患者に投与され、次いで清澄化剤を用いて未結合コンジュゲートを循環か
ら除去し、次に細胞毒性薬(例えば、放射性ヌクレオチド等)に抱合された「リ
ガンド」(アビジン等)を投与する。
8.免疫リポソーム
また、ここに開示する抗体は、免疫リポソームとして調製してもよい。抗体を
含むリポソームは、Epsteinら,Proc. Natl. acad. Sci. USA, 82: 3688 (1985)
;Hwangら,Proc. natl. Acad. Sci. USA, 77: 4030 (1980); 及び米国特許第4
,485,045号及び第4,544,545号に記載されたような、この分野
で周知の方法で調製される。向上した循環時間を持つリポソームは、米国特許第
5,013,556号に開示されている。
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール及びPEG
-誘導ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物での逆相蒸
発法によって生成される。リポソームは、所定サイズのフィルターを通して押し
出され、所望の径を有するリポソームが生成される。本発明の抗体のFab’断
片は、Martinら,J. Biol. Chem. 257: 286-288 (1982)に記載されているように
、ジスルフィド交換反応を介してリポソームに抱合され得る。化学治療薬(ドキ
ソルビシン等)は、場合によってはリポソーム内に包含される。Gabizonら, J.
National CancerInst. 81(19) 1484 (1989)参照。
F.腫瘍性細胞成長又は増殖を阻害できるタンパク質の同定
本出願で開示したタンパク質を、現在、国立癌学会(NCI)の実験的、疾患
指向性、インビトロ薬剤スクリーニングで使用されている60腫瘍系のパネルで
検定した。このスクリーニングの目的は、異なる型の腫瘍に対する細胞毒性及び
/又は細胞増殖抑制活性を有する分子を同定することである。NCIは毎年10
,000を越える新たな分子をスクリーニングしている(Monks等, J. Natl. Ca
ncer Inst., 83:757-766 (1991); Boyd, Cancer: Princ. Pract. Oncol. Updat
e, 3(10): 1-12[1989])。この実験で使用された腫瘍細胞系は、上掲のMonks等
に記載されている。本出願のタンパク質によって、成長が有意に阻害された細胞
系を実施例で特定した。
結果は、試験したタンパク質が種々の癌細胞系において細胞増殖抑制性、そし
て或る例と濃度では細胞毒性活性を示すことを明らかにした。
腫瘍(例えば癌)に関する他の細胞ベースのアッセイ及び動物モデルも、NC
I癌スクリーニングの発見を裏付け、ここで同定したタンパク質と腫瘍性細胞成
長の進行及び病因との関係をさらに理解するために使用できる。例えば、トラン
スジェニック動物の腫瘍から誘導された一次培地は(以下に記載するような)、
ここでの細胞ベースのアッセイで使用できる。トランスジェニック動物から連続
細胞系を誘導する技術は、この分野で周知である(例えば、Small等, Mol. Cell
. Biol., 5:642-648 [1985]参照)。
G.動物モデル
ここで同定された遺伝子の腫瘍の進行及び原因における役割を更に理解するた
めに、そして抗体、及び小分子アゴニストを含む天然ポリペプチドの他のアゴニ
ストを含む候補治療薬の有効性を試験するために、種々の周知の動物モデルを使
用することができる。これらモデルのインビボの性質によって、特にヒト患者に
おける反応を予測できる。腫瘍及び癌(例えば、乳癌、大腸癌、前立腺癌、肺癌
など)の動物モデルには、非組換え及び組換え(トランスジェニック)動物の両
方が含まれる。非組換え動物モデルには、例えば、マウスモデルのような齧歯類
が含まれる。このようなモデルは、標準的な技術、例えば、皮下注射、尾部静脈
注射、脾臓移植、腹膜内移植、腎被膜下移植、或いはオルトピン(orthopin)移植
、例えば大腸組織に移植された大腸癌細胞を使用することで、腫瘍細胞を同系マ
ウスに導入することによって作成することができる。(1997年9月18日に発行さ
れたPCT公報WO97/33551参照。)
癌遺伝子の研究において、おそらくは最も頻繁に用いられる動物種は、免疫不
全マウス、特にヌードマウスである。ハイポ/形成不全を持つヌードマウスが、
ヒト腫瘍異種移植の宿主としての機能を果たすという所見は、この目的に関する
それの広範な用途につながっている。常染色体劣性nu遺伝子が、例えば、AS
W、A/He、AKR、BALB/c、B10.LP、C17、C3H、C57
BL、C57、CBA、DBA、DDD、I/st、NC、NFR、NFS、N
FS/N、NZB、NZC、NZW、P、RIII及びSJLを含むヌードマウ
スの極めて多数の異なる共通遺伝子系統に導入された。さらに、遺伝的な免疫欠
損症を持つヌードマウス以外の広範な他の動物が生育され、腫瘍異種移植のレシ
ピエントとして用いられている。さらなる詳細については、The Nude Mouse in
OncologyResearch, E. Boven 及び B. Winograd 編, CRC Press, Inc., 1991を
参照。
これらの動物に導入される細胞は、周知の腫瘍/癌細胞系、例えば任意の上記
に列挙した腫瘍細胞系、及び、例えばB104-1-1細胞系(neuプロトオン
コジーンで形質移入された安定NIH-3T3細胞系);ras-形質移入NIH
-3T3細胞:Caco-2(ATCCHTB-37)、中程度に良く分化したグレードI
Iヒト大腸腺癌細胞系、HT-29(ATCC HTB-38)、あるいは腫瘍及び癌から誘
導することができる。腫瘍又は癌細胞の試料は、液体窒素中で凍結及び保存する
ことを含む標準的な条件を用いて、手術を受けている患者から得ることができる
(Karmali等, Br. J. Cancer 48, 689-696 [1983])。
腫瘍細胞は、種々の手法によって、ヌードマウスなどの動物へ導入できる。マ
ウスの皮下(s.c.)空間は、腫瘍移植にとっては非常に適している。腫瘍は
、固体ブロックとして、トロチャー(trochar)を用いてニードル生検として、又
は細胞懸濁物としてs.c.移植できる。固体ブロック又はトロチャー移植では
、適切な大きさの腫瘍組織断片がs.c.空間に導入される。細胞懸濁物は、原
発腫瘍、或いは安定な腫瘍細胞系から新たに調製され、皮下注射される。また、
腫瘍細胞を、皮下植え込みとして注射することもできる。この位置において、種
菌が皮膚結合組織の下層とs.c.組織との間に析出される。Boven及びWinogra
d (1991), 上掲。乳癌の動物モデルは、例えば、ラット神経芽腫細胞(それから
neu癌遺伝子が最初に単離される)の移植、或いは、基本的にはDrebin等, Pr
oc. Natl. Acad.Sci. USA, 83, 9129-9133 (1986)に記載されているように、n
eu形質移入NIH-3T3細胞をヌードマウスに移植することによって生成で
きる。
同様に、結腸癌の動物モデルは、結腸癌細胞を動物、例えばヌードマウスに継
代し、これらの動物における腫瘍の発現を導くことにより生成される。ヌードマ
ウスにおけるヒト結腸癌の同所性移植モデルは、例えば、Wang等, Cancer Resea
rch 54,4726-4728 (1994)及びToo等, Cancer Research 55, 681-684 (1995)に
記載されている。このモデルは、AntiCancer, Inc. (San Diego, California)か
ら市販されている「METAMOUSE」に基づく。
動物に生じた腫瘍は、取り出してインビトロで培養することができる。インビ
トロ培養の細胞は、次いで動物に継代することができる。これらの腫瘍は、さら
なる試験及び薬物スクリーニングの標的となることができる。あるいは、この継
代で得られる腫瘍は単離することができ、継代前細胞と1又はそれ以上の継代の
後に単離した細胞のRNAを、対象である遺伝子の差次的発現に関して分析する
。このような継代技術は、周知の腫瘍又は癌細胞系で実施することができる。
例えば、Meth A、CMS4、CMS5、CMS21、及びWEHI-16
4は、BALB/c雌マウスの化学的に誘導された線維肉腫(DeLeo等, J. Exp.
Med. 146,720 [1977])であり、種々の抗原の抗-腫瘍活性の研究のための高度
に制御可能なモデル系を提供する(Palladino等, J. Immunol. 138, 4023-4032
[1987])。要約すると、腫瘍細胞をインビトロで細胞培地中で成長させる。動物
に注射する前に、細胞系を洗浄して約10x10から10x10細胞/ml
の細胞密度でバッファー中に懸濁させる。次いで動物を10から100μlの細
胞懸濁物で皮下感染し、腫瘍が現れるまで1から3週間放置する。
さらに、最も徹底的に研究されている実験腫瘍の一つであるマウスのルイス肺
(3LL)癌腫を、研究用腫瘍モデルとして用いることができる。この腫瘍モデ
ルにおける有効性は、肺の小細胞癌腫(SCCL)と診断されたヒト患者の治療
における有益な効果と相関していた。この腫瘍は、影響を受けたマウスの腫瘍断
片、或いは培地で維持された細胞の注射によって正常マウスへ導入することがで
き(Zupi等,Br. J. Cancer 41, suppl. 4, 309 [1980])、証拠は、腫瘍がたっ
た一つの細胞の注射から始まり、極めて高い割合の感染腫瘍細胞の生存すること
を示している。この腫瘍モデルに関する更なる情報については、Zacharski, Hae
mostasis 16,300-320 [1986]を参照のこと。
動物モデルにおける、移植腫瘍に対する試験化合物の有効性を評価する一つの
方法は、治療の前後で腫瘍の大きさを測定することである。伝統的に、移植した
腫瘍の大きさは、二又は三次元のスライドキャリパーで測定されている。二次元
に限定した測定は、腫瘍の大きさを正確に反映せず、従って、数式を用いて、通
常は相当する容積に換算される。しかしながら、腫瘍の大きさの測定は極めて不
正確である。候補薬の治療効果は、治療-誘発性の成長遅延及び特異的な成長遅
延によってより良く記述できる。腫瘍成長の記述における他の重要な変数は、腫
瘍容積倍加時間である。Rygaard及びSpang-Thomsen, Proc. 6th Int. Workshop
onImmune-Deficient Animals, Wu及びSheng編, Basel, 1989, 301によって報告
されたプログラムなどの、腫瘍成長の計算及び記述のためのコンピュータプログ
ラムも利用可能である。しかし、腫瘍に続く壊死及び炎症反応が、少なくとも初
期に、腫瘍の大きさを実際には増大させ結果となり得ることを注記しておく。従
って、形態学的方法とフローサイトメトリー分析を組み合わせて、これらの変化
を注意深くモニターする必要がある。
トランスジェニック動物作成のための標準的技術を用いて、ここで同定された
遺伝子のコード部分を対象とする動物のゲノムに導入することによって、組換え
(トランスジェニック)動物モデルを加工することができる。トランスジェニッ
ク操作の標的となれる動物には、限定されないが、マウス、ラット、ウサギ、モ
ルモット、ヒツジ、ヤギ、ブタ、及び非-ヒト霊長類、例えばヒヒ、チンパンジ
ー及びサルが含まれる。導入遺伝子をこれらの動物へ導入するためのこの分野で
周知の技術には、前核マイクロインジェクション(Hoppe及びWanger, 米国特許
第4,873,191号);胚系列へのレトロウイルス媒介遺伝子転移(例えば、Vander
Putten等, Proc.Natl. Acad. Sci. USA 82, 6148-615 [1985]);胚性肝細胞
での遺伝子標的化(Thompson等,Cell 56, 313-321 [1989]);胚のエレクトロ
ポレーション(Lo,Mol. Cel. Biol. 3, 1803-1814 [1983]);***媒介遺伝子
転移(Lavitrano等,Cell 57, 717-73 [1989])が含まれる。概説としては、例
えば、米国特許第4,736,866号を参照のこと。
本発明の目的としては、トランスジェニック動物には、その細胞一部にのみ導
入遺伝子を有するもの(「モザイク動物」)が含まれる。この導入遺伝子を、単
一の導入遺伝子として、又はコンカテマー、例えば頭部と頭部又は頭部と尾部の
直列型として組み込むことができる。特定の細胞型への導入遺伝子の選択的導入
も、例えば、Lasko等,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89, 6232-636 (1992)の技
術によって可能である。
トランスジェニック動物における導入遺伝子の発現は、標準的技術によってモ
ニターできる。例えば、導入遺伝子の組み込みの確認のためには、サザンブロッ
ト分析又はPCR増幅を用いることができる。次いで、インサイツバイブリダイ
ゼーション、ノーザンブロット分析、PCR、又は免疫組織化学などの技術を用
いて、mRNA発現のレベルを分析することができる。この動物は、腫瘍又は癌
発生の徴候についてさらに調べられる。
自発的な動物腫瘍の治療における、ここで同定されるポリペプチドに特異的に
結合する抗体、並びに他の候補薬の有効性も試験できる。このような研究のため
の適切な標的は、ネコ口腔扁平上皮癌(SCC)である。ネコ口腔SCCは極め
て侵襲的な悪性腫瘍で、ネコに最も多く発生する口腔悪性腫瘍であり、この種に
おいて報告されている口腔腫瘍の60%以上を占める。それは、離れた部位には
殆ど転移しないが、この低い転移の発生率は、単にこの腫瘍を持つネコの短い生
存期間を反映しているにすぎないと思われる。これらの腫瘍は、主にネコの口腔
の解剖学的形状のため、通常は手術できない。現在、この腫瘍に関する有効な治
療法はない。研究に入る前に、各々のネコは、完全な臨床検査、生体組織検査を
受け、コンピュータ断層撮影(CT)によってスキャンする。舌下口腔扁平上皮
細胞腫瘍を持つと診断されたネコは研究から排除した。この舌はその腫瘍のため
に麻痺し、治療でこの腫瘍を殺したとしても、動物は自分で餌を取ることができ
ないであろう。各々のネコを、長期に渡って繰り返し治療する。治療期間中は、
腫瘍の写真を毎日撮影し、それを各撮影後に再チェックする。治療の後、各ネコ
に再度CTスキャンを施した。CTスキャン及びラジオグラフは、その後8週間
ごとに評価した。データは、対照群と比較した生存数、反応性及び毒性における
相違について評価した。ポジティブ反応は、腫瘍の縮小、好ましくは生存の質の
向上及び/又は生存期間の延長を必要とする。
さらに、他の自発的動物腫瘍、例えばイヌ、ネコ、及びヒヒの線維肉腫、腺癌
、リンパ腫、クロンドローマ(chrondroma)、平滑筋肉腫も試験できる。これらの
イヌ及びネコでの乳腺癌は、その発現及び挙動がヒトのものに極めて類似してい
るので、好ましいモデルである。しかし、このモデルの使用は、動物におけるこ
の型の腫瘍の希な発症によって制限される。
H.候補薬についてのスクリーニングアッセイ
候補薬に関するスクリーニングアッセイは、ここで同定されたポリペプチドの
レセプターと競合的に結合、或いは複合体形成する化合物、或いはそのようなレ
セプターを通じてのその他のシグナルを同定するために設計される。このような
スクリーニングアッセイには、化学的ライブラリの高スループットスクリーニン
グに従うアッセイが含まれ、それらを、特に小分子候補薬の同定を適したものに
する。考えられる小分子には、抗体合成有機又は無機化合物が含まれ、それらは
、ペプチド、好ましくは可溶性ペプチド、(ポリ)ペプチド-免疫グロブリン融
合体、特に、限定されないが、ポリ-及びモノクローナル抗体及び抗体断片、一
本鎖抗体、抗-イディオタイプ抗体、及びそれらの抗体又は断片のキメラ又はヒ
ト化形、並びにヒト抗体及び抗体断片を含む抗体を含んでいる。アッセイには、
種々の形式で実施でき、その形式には、この分野で良く特徴付けられた、タンパ
ク質-タンパク質結合アッセイ、生化学的スクリーニングアッセイ、イムノアッ
セイ、及び細胞ベースのアッセイが含まれる。
結合アッセイでは、相互作用は結合であり、形成された複合体は単離、或いは
反応混合物中で検出できる。特別な実施態様では、ここで同定された遺伝子にコ
ードされているポリペプチドのレセプター即ち候補薬が、共有又は非共有結合に
よって固相、例えばミクロタイタープレートに固定化される。非共有結合は、概
して、固体表面をポリペプチドの溶液で被覆し乾燥させることによって完成する
。あるいは、固定化されるべきポリペプチドに対して特異的な固定化抗体、例え
ばモノクローナル抗体を、それを固体表面に固着させるために用いることができ
る。このアッセイは、固定化成分、例えば固着成分を含む被覆表面へ検出可能な
ラベルで標識されてよい非固定化成分を添加することによって実施される。反応
が完了すると、未反応成分を、例えば洗浄によって除去し、固体表面に固着した
複合体を検出する。最初の非固定化成分が検出可能なラベルを有している場合に
は、表面に固定化されたラベルの検出は、複合体形成が起こったことを示す。最
初の非固定化成分がラベルを持たない場合には、複合体形成は、例えば、固定化
された複合体と特異的に結合する標識抗体によって検出することができる。
候補化合物が相互作用するものの、特定のレセプターと結合しない場合には、
そのポリペプチドとの相互作用は、タンパク質−タンパク質相互作用を検出する
ための周知の方法によってアッセイすることができる。そのようなアッセイには
、架橋、同時免疫沈降、並びにグラジエント又はクロマトグラフィーカラムを通
す同時精製などの伝統的な手法が含まれる。さらに、タンパク質−タンパク質相
互作用は、Chevray及びNathans[Proc.Natl.Acad. Sci. USA 89, 5789-5793 (1
991)]に開示されているような、Fields及び共同研究者等[Fiels及びSong,Nat
ure(London)340, 245-246 (1989); Chien等, Proc.Natl. Acad. Sci. USA 88,
9578-9582(1991)]が示している酵母菌ベースの遺伝子系を用いることによって
モニターすることができる。酵母菌GAL4などの多くの転写アクチベータは、
2つの物理的に別々のモジュラードメインからなり、一方はDNA結合ドメイン
として作用し、他方は転写活性化ドメインとして機能する。以前の文献に記載さ
れた酵母菌発現系(一般に「2-ハイブリッド系」と呼ばれる)は、この特性の
長所を利用して、一方では標的タンパク質がGAL4のDNA結合ドメインと融
合し、他方では候補となる活性化タンパク質が活性化ドメインと融合する、2つ
のハイブリッドタンパク質を用いる。GAL4活性化プロモーターの制御下での
GAL1-lacZリポーター遺伝子の発現は、タンパク質-タンパク質相互作用
を介したGAL4活性の再構成に依存する。相互作用するポリペプチドを含むコ
ロニーは、β-ガラクトシダーゼに対する色素生産性物質で検出される。2-ハイ
ブリッド技術を用いた、2つの特定のタンパク質間におけるタンパク質-タンパ
ク質相互作用を同定するための完全なキット(MATCHMAKER(商品名))は、Clonte
chから商業的に入手可能である。この系は、特定のタンパク質相互作用に含まれ
るタンパク質ドメインのマッピング、並びにこの相互作用にとって重要なアミノ
酸残基の特定にも拡張することができる。
I.製薬組成物
本発明のポリペプチド、ここで同定したタンパク質と特異的に結合するアゴニ
スト抗体、並びにここで開示したスクリーニングアッセイによって同定された他
の分子は、癌を含む腫瘍の治療のために、製薬組成物の形態で投与することがで
きる。
抗体断片が用いられる場合には、標的タンパク質の結合ドメインと特異的に結
合する最小阻害断片が好ましい。例えば、抗体の可変領域配列に基づいて、標的
タンパク質配列と結合する能力を保持したペプチド分子が設計できる。このよう
なペプチドは、化学的に合成でき及び/又は組換えDNA技術によって生成でき
る(例えば、Marasco等,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90, 7889-7893 [1993])

また、ここでの製剤は、治療される特定の徴候に必要な1以上の活性化合物、
好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を持つものも含んでよい。ある
いは、又はそれに加えて、組成物は、例えば細胞毒性薬、サイトカイン、化学治
療薬、又は成長阻害剤等のその機能を向上させる薬剤を含んでもよい。これらの
分子は、適切には、意図する目的にとって有効な量での組み合わせで存在する。
ここで同定されるポリペプチド、又はそれらのアゴニストの治療用製剤は、親
油性製剤或いは水性溶液の形態で、所望される程度の純度を持つ活性成分を任意
の製薬的に許容される担体、賦形剤又は安定化剤と混合することによって調製さ
れて保存される(Remington'sPharmaceutical Science 16th edition, Osol, A
. Ed. [1980])。許容される担体、賦形剤、又は安定化剤は、用いられる服用量
及び濃度では受容者にとって非毒性であり、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸
などのバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;防腐剤(
オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド;ヘキサメトニウムクロ
ライド;ベンズアルコニウムクロライド;ベンズエトニウムクロライド;フェノ
ール;ブチル又はベンジルアルコール;メチル又はプロピルパラベン等のアルキ
ルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノ
ール;及びm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;
血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピ
ロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジ
ン、アルギニン、又はリシン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、又はデキ
ストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物、EDTA等のキレート剤、
スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトールなどの糖;ナトリウ
ムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体)及び/又
はトゥイーン(TWEEN)(商品名)、プルロニクス(PLURONICS)(商品名)、及びポ
リエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。
ここでの製剤は、治療すべき特定の徴候に必要な場合に1以上の活性化合物、
好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を持つものも含んでよい。ある
いは、又はそれに加えて、組成物は、細胞毒性薬、サイトカイン又は成長阻害剤
を含んでもよい。これらの分子は、適切には、意図する目的に有効な量での組み
合わせで存在する。
また、活性成分は、例えばコアセルベーション技術、或いは界面重合によって
調製されたマイクロカプセル、例えば、各々ヒドロキシメチルセルロース又はゼ
ラチン-マイクロカプセル及びポリ(メタクリル酸メチル)マイクロカプセル中
、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミン小球、マイクロエマ
ルション、ナノ粒子及びナノカプセル)中、又はマイクロエマルション中に包括
されていてもよい。これらの技術は、Remington's Pharmaceutical Science 16t
h edition,Osol, A. Ed. (1980)に開示されている。
インビボ投与に使用される製剤は無菌でなければならない。これは、滅菌濾過
膜を通した濾過により容易に達成される。
治療的抗体組成物は、一般的に無菌のアクセスポートを具備する容器、例えば
、静脈内溶液バッグ又は皮下注射針で貫通可能なストッパーを備えたバッグ又は
バイアルに入れられる。
徐放性製剤を調製してもよい。徐放性製剤の好適な例には、抗体を含有する固
体疎水性ポリマーの半透性マトリクスが含まれ、このマトリクスは成形された物
品、例えばフィルム、又はマイクロカプセルの形状である。除放性マトリクスの
例には、ポリエステルヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタク
リレート)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリアクチド(米国特許第3,773,91
9号)、L-グルタミン酸及びγ-エチル-L-グルタメート、非分解性エチレン-酢
酸ビニル、LUPRONDEPOT(商品名)(乳酸-グリコール酸コポリマーと酢酸リュー
プロリドの注射可能な小球)などの分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、ポリ-
(D)-3-ヒドロキシブチル酸が含まれる。エチレン-酢酸ビニル及び乳酸-グリコ
ール酸などのポリマーは分子を100日に渡って放出することができるが、ある
種のヒドロゲルはより短時間でタンパク質を放出してしまう。カプセル化された
抗体が身体内に長時間残ると、それらは37℃の水分に露出されることにより変
性又は凝集し、その結果、生物学的活性の低下、並びに起こり得る免疫原性の変
化をもたらす。関与している機構に依存する安定化に関して、合理的な方法を工
夫することができる。例えば、凝集機構がチオ−ジスルフィド交換を通した分子
間S-S結合形成であると見出された場合には、安定化はスルフヒドリル残基の
修飾、酸性溶液からの凍結乾燥、水分含有量の制御、適切な添加剤の付加、並び
に特異的ポリマーマトリクス組成物の開発によって達成され得る。
J.治療方法
抗体、ペプチド及び小分子アゴニストを含む、本発明のポリペプチド並びにそ
れらのアゴニストを、種々の腫瘍、例えば癌の治療に用いてもよい。治療される
状態又は疾患の例としては、良性又は悪性腫瘍(例えば、腎臓(renal)、肝臓、
腎臓(kidney)、膀胱、***、胃、卵巣、結腸直腸、前立腺、膵臓、肺、外陰部、
胸腺、肝癌(hepaticcarcinoma);肉腫;膠芽細胞腫;及び種々の頭部及び頸部
の腫瘍);白血病及びリンパ悪性疾患;ニューロン、グリア、星状、視床下部及
び腺、マクロファージ、上皮、間質及び胞胚腔疾患などの疾患;及び炎症、脈管
形成及び免疫学的疾患が含まれる。本発明の抗腫瘍剤(ここに開示したポリペプ
チド及びそれらの活性に類似したアゴニスト、例えば抗体、ペプチド及び有機小
分子を含む)は、周知の方法、例えば、ボーラスとして、又は所定時間に渡る連
続注入による静脈内投与、或いは筋肉内、腹膜内、脳脊髄内、眼内、動脈内、病
巣内、皮下、関節間、滑膜内、鞘内、経口、局所、又は吸入経路などによって、
哺乳動物、好ましくはヒトへ投与される。
他の治療的養生法を、本発明の抗癌剤の投与に組み合わせてもよい。例えば、
このような抗癌剤で治療される患者は、放射線治療を受けてもよい。あるいは、
又はそれに加えて、患者に化学治療薬を投与してもよい。このような化学治療薬
の調製法、並びに服用スケジュールは、製造者の指示に従って使用されるか、熟
練した実務者によって経験的に決定される。そのような化学治療に対する調製法
、並びに服用スケジュールは、Chemotherapy Service, M.C. Perry編, Williams
andWilkins, Baltimore, MD (1992)にも記載されている。化学治療薬は、本発
明の抗腫瘍剤の投与に先立って、又はそれに続いて投与してもよく、或いはそれ
と同時に投与してもよい。本発明の抗癌剤は、タモキシフェンなどの抗エストロ
ゲン化合物、或いはオナプリストンなどの抗プロゲステロン(EP 616812参照)
の既知の服用量との組み合わせてもよい。
また、腫瘍関連抗原に対する抗体、例えばErbB2、EGFR、ErbB3
、ErbB4、又は血管内皮因子(VEGF)に結合する抗体を投与することも
好ましい。あるいは、或いは更には、同じ、又は二つ以上の異なる癌関連抗原と
結合する二つ以上の抗体を、患者へ同時投与してもよい。時には、患者にサイト
カインを投与することも有益である。好ましい実施態様では、ここでの抗癌剤は
、成長阻害剤と同時投与される。例えば、まずは成長阻害剤を投与し、続いて本
発明の抗癌剤を投与する。しかしながら、同時投与、或いは本発明の抗癌剤を最
初に投与することも考えられる。成長阻害剤についての適切な服用量は、現在用
いられている量であり、この成長阻害剤とここでの抗体との組み合わせ(相乗)
効果により減少させることが可能である。
疾患の予防又は治療のための、ここでの抗腫瘍剤の適切な服用量は、上記で定
義したような治療される疾患の型、疾患の重篤さ及び経過、防止或いは治療目的
で薬剤が投与されるのか否か、従前の治療、患者の臨床履歴及び薬剤に対する反
応、並びに主治医の裁量によって決まる。薬剤は、一回、又は一連の治療を通し
て、患者へ適切に投与される。動物実験は、ヒトの治療に有効な服用量を決定す
るための信頼性のある指針を提供する。有効な服用量の種間スケーリングは、例
えば、MordentiJ.及びChappell. W.「The Use of Interspecies Scaling in To
xicokinetics」,Toxicokineticsand New Drug Development, Yacobiら編, Perg
amon Press, NewYork 1989, 42-49に主張されているような原理に従って実施す
ることができる。
例えば、疾患の型及び重篤さに応じて、例えば、1又はそれ以上の分離投与に
よるか、又は連続注入によるかに関わらず、約1μg/kgから15mg/kg
(例えば、0.1−20mg/kg)の抗腫瘍剤が、患者への投与の最初の候補
容量である。典型的な1日の服用量は、上記の要因に応じて、約1μg/kgか
ら100mg/kg以上であろう。数日又はそれより長きに渡る繰り返し投与で
は、状態に応じて、望ましい病徴の抑制が現れるまで治療が続けられる。しかし
ながら、他の服用量計画が有益である可能性もある。この治療の進展は、従来の
技術及びアッセイによって容易にモニターされる。特に服用量及び送達方法に対
する指針は、文献に提供されている;例えば米国特許第4,657,760号、同5,206,3
44号又は同5,255,212号を参照のこと。異なる製剤形態が、異なる治療用化合物
及び異なる疾患にとって有効であること、例えば一つの器官又は組織を標的とす
る投与には、他の器官又は組織とは異なる方式で輸送することが必要であること
が予想される。
K.製造品
本発明の他の実施態様では、上記の疾患の診断又は治療に有用な物質を含む製
造品が提供される。この製造品は容器とラベルとを具備する。好適な容器は、例
えば、ビン、バイアル、シリンジ、及び試験管を含む。容器は、ガラス又はプラ
スチックなどの材料から形成されてよい。容器は、状態を診断し治療するのに有
効な組成物を収容し、無菌のアクセスポートを有し得る(例えば、容器は皮下注
射針で貫通可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグ又はバイアルであってよ
い)。組成物中の活性剤は本発明の抗腫瘍剤である。容器上又は添付されるラベ
ルは、組成物が選択した状態の診断又は治療のために使用されることを示す。製
造品はさらに、リン酸緩衝塩水、リンガー液及びデキストロース溶液などの製薬
的に許容されるバッファーを含む第2の容器を具備してもよい。さらに、他のバ
ッファー、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び使用上の指示を付けたパッ
ケージ挿入物を含む商業的及び使用者の見地から望ましい他の材料を含んでもよ
い。
以下の実施例は例示するためにのみ提供されるものであって、本発明の範囲を
決して限定することを意図するものではない。
本明細書で引用した全ての特許及び文献の全体を、出典明示によりここに取り
込む。
(実施例)
実施例で言及されている市販試薬は、特に示さない限りは製造者の使用説明に
従い使用した。ATCC登録番号により以下の実施例及び明細書全体を通して特
定されている細胞の供給源はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、
マナッサス、VAである。
実施例1:新規なポリペプチド及びそれをコードするcDNAを同定するための
細胞外ドメイン相同性スクリーニング
Swiss-Prot公的データベースからの約950の公知の分泌タンパク質からの細
胞外ドメイン(ECD)配列(必要ならば、分泌シグナル配列を含む)を、ES
Tデータベースの検索に使用した。このESTデータベースには、公的データベ
ース(例えば、Dayhoff、GenBank)及び独自に開発したデータベース(例えば、
LIFESEQ(商品名)、IncytePharmaceuticals、Palo Alto, CA)が含まれた。検
索は、コンピュータプログラムBLAST又はBLAST2(Altschul及びGish
, Methods inEnzymology 266: 460-480 (1996))を用いて、ECDタンパク質
配列のEST配列の6フレーム翻訳との比較として実施した。公知のタンパク質
をコードしない、70のBlastスコア(90の場合もある)又はそれ以上の
これら比較を、プログラム「phrap」(Phil Green, University of Washington,
Seattle, WA)でクラスター形成してコンセンサスDNA配列に構築した。
この細胞外ドメイン相同性スクリーニングを用いて、他の同定されたEST配
列に関連するコンセンサスDNA配列を、phrapを用いて構築した。さらに、こ
の得られたコンセンサスDNA配列を、しばしば(全てではない)BLAST又
はBLAST-2及びpharpの繰り返しサイクルを用いて伸長させ、コンセンサス
配列を上で議論したEST配列の供給源を用いて可能な限り伸長させた。
上記のように得られたコンセンサス配列に基づいて、次いでオリゴヌクレオチ
ドを合成し、PCRによって対象とする配列を含むcDNAライブラリを同定す
るため、並びにPROポリペプチドの完全長コード化配列のクローンを単離する
ためのプローブとして用いるために使用した。正方向及び逆方向PCRプライマ
ーは、一般的に20から30ヌクレオチドの範囲であり、たいていは約100−
1000bp長のPCR産物を与えるように設計される。プローブ配列は、通常
は40−55bp長である。あるケースでは、コンセンサス配列が約1−1.5
kbpより大きい場合に、付加的なオリゴヌクレオチドが合成される。完全長ク
ローンに関して幾つかのライブラリをスクリーニングするために、ライブラリの
DNAを、Ausubel等,Current Protocols in Molecular Biology, 上掲のよう
に、PCRプライマー対でのPCR増幅によってスクリーニングした。次いで、
プローブオリゴヌクレオチドとプライマー対の一つを用いて対象である遺伝子を
コードするクローンを単離するために、ポジティブライブラリを使用した。
cDNAクローンの単離に用いたcDNAライブラリは、例えばInvitrogen,
San Diego, CA等の市販試薬を用いて、標準的な方法によって作成した。cDN
AをNotI部位を含むオリゴdTでプライムし、平滑末端でSalIヘミキナ
ーゼアダプターに結合させ、NotIで切断し、ゲル電気泳動でおよそのサイズ
分類し、そして適切なクローニングベクター(pRKB又はpRKD等;pRK
5BはSfiI部位を含まないpRK5Dの前駆体である;Holmes等, Science,
253:1278-1280 (1991)参照)に、独特のXhoI及びNotI部位において、
所定の方向でクローニングした。
実施例2:シグナルアルゴリズム分析を用いたcDNAクローンの単離
ジェネンテク,インク(サウス サンフランシスコ,カリフォルニア)が独自
に開発した配列発見アルゴリズムを、公的(例えば、GenBank)及び/又は個人
の(LIFESEQ(登録商標),Incyte Pharmaceuticals, Inc.,Palo Alto, CA)デー
タベースから集団化し組み立てられたEST断片だけでなくESTsへ適用する
ことで、種々のポリペプチド-コード化核酸配列を同定した。このシグナル配列
アルゴリズムは、検討中の配列又は配列断片の5’末端にある一番目、あるいは
二番目のメチオニンコドン(ATG)を取り囲むDNAヌクレオチドの特徴に基
づく分泌シグナルスコアを計算する。一番目のATGに続くヌクレオチドには、
停止コドンを持たない少なくとも35の明白なアミノ酸がコードされていなけれ
ばならない。一番目のATGが必須のアミノ酸を有する場合、二番目のものは検
討しない。何れも要件を満たさない場合、候補配列にスコアをつけない。EST
配列が真正のシグナル配列を含むか否かを決定するために、分泌シグナルに関連
することが知られている7つのセンサー(評価パラメータ)の一組を用いて、A
TGコドンを取り囲むDNA及び対応するアミノ酸配列にスコアをつけた。この
アルゴリズムを利用することで、多くのポリペプチド-コード化核酸配列の同定
がなされた。
実施例3:ヒトPRO943をコードするcDNAクローンの単離
コンセンサスDNA配列を、上記の実施例1に記載したようにphrapを用いて
他のEST配列に関連して組み立て、ここでDNA36360と命名した。幾つ
かの場合には、DNA36360は、上記で議論したEST配列のソースを用い
て可能な限りそのコンセンサス配列の中間体を伸張させるためのBLAST及びphrap
の繰り返しサイクルを用いて伸張させたコンセンサス配列の中間体に由来する。
DNA36360コンセンサス配列に基づいて、1)PCRによって対象とす
る配列を含むcDNAライブラリを同定するため、並びに2)PRO943のコ
ード化配列のクローンを単離するプローブとして使用するために、オリゴヌクレ
オチドを合成した。正方向及び逆方向PCRプライマーは、一般的に20から3
0ヌクレオチドの範囲であり、たいていは約100−1000bp長のPCR産
物を与えるように設計される。プローブ配列は、通常は40−55bp長である
。あるケースでは、コンセンサス配列が約1−1.5kbpより大きい場合に、
付加的なオリゴヌクレオチドが合成される。完全長クローンに関して幾つかのラ
イブラリをスクリーニングするために、ライブラリのDNAを、Ausubel等, Cur
rent Protocolsin Molecular Biology, 上掲のように、PCRプライマー対で
のPCR増幅によってスクリーニングした。次いで、プローブオリゴヌクレオチ
ドとプライマー対の一つを用いて対象である遺伝子をコードするクローンを単離
するために、ポジティブライブラリを使用した。
PCRプライマーの対(正及び逆)を合成した:
正方向PCRプライマー:5'-CGAGATGACGCCGAGCCCCC-3'(配列番号:7)
逆方向PCRプライマー:5'-CGGTTCGACACGCGGCAGGT G-3'(配列番号:8)
さらに、合成オリゴヌクレオチドバイブリダイゼーションプローブは、以下の核
酸配列を持つDNA36360配列から作成した:
バイブリダイゼーションプローブ:
5'-TGCTGCTCCTGCTGCCGCCGCTGCTGCTGGGGGCCTTCCCGCCGG-3'
(配列番号:9)
cDNAライブラリの構築のためのRNAを、ヒト胎児脳組織から単離した。
cDNAクローンの単離に用いたcDNAライブラリは、例えばInvitrogen, Sa
n Diego, CA等の市販試薬を用いて、標準的な方法によって作成した。cDNA
をNotI部位を含むオリゴdTでプライムし、平滑末端でSalIヘミキナー
ゼアダプターに結合させ、NotIで切断し、ゲル電気泳動でおよそのサイズ分
類し、そして適切なクローニングベクター(pRKB又はpRKD等;pRK5
BはSfiI部位を含まないpRK5Dの前駆体である;Holmes等, Science, 2
53: 1278-1280(1991)参照)に、独特のXhoI及びNotI部位において、所
定の方向でクローニングした。
上記のように単離したクローンのDNA配列は、PRO943の完全長DNA
配列(ここでDNA52192−1369と命名される[Fig1、配列番号:
1])並びにPRO943の誘導タンパク質配列を与えた。
上記において同定された完全長クローンは、単一のオープンリーディングフレ
ームリーディングフレームを含み、ヌクレオチド位置150−152に見かけの
翻訳開始部位を持ち、ヌクレオチド位置1662−1664の停止コドンで終端
する(Fig1、配列番号:1)。予測されるポリペプチドは504アミノ酸長
であり(Fig2)、約54,537ダルトンの見積もられた分子量及び約10
.04のpIを有する。Fig2(配列番号:2)に示す完全長PRO943配
列の分析は、Fig2に示すような種々の重要なポリペプチドドメインの存在を
明らかにし、これら重要なポリペプチドドメインの位置として定められたものは
、おおよそ上記に示す通りである。Fig2に示す完全長PRO943配列の分
析によって、以下の存在が明らかとなった:約アミノ酸1〜約アミノ酸17のシ
グナルペプチド;約アミノ酸376〜約アミノ酸396の膜貫通ドメイン、約ア
ミノ酸212〜約アミノ酸220及び約アミノ酸329〜約アミノ酸337のチ
ロシンキナーゼリン酸化部位;約アミノ酸111〜約アミノ酸115、約アミノ
酸231〜約アミノ酸235、約アミノ酸255〜約アミノ酸259及び約アミ
ノ酸293〜約アミノ酸297の潜在的N-グリコシル化部位:並びに約アミノ
酸219〜約アミノ酸237の免疫グロブリン及びMHCタンパク質配列相同ブ
ロック。クローンDNA52192−1369は1998年7月1日にATCC
に寄託され、ATCC寄託番号203042が付与されている。
Fig2(配列番号:2)に示す完全長配列のALIGN-2配列アラインメ
ント分析を用いたDayhoffデータベース(バージョン35.45 SwissProt 35
)の分析によって、PRO943アミノ酸配列と以下のDayhoff配列:B49151, A
39752,FGR1_XENLA, S38579, RATHBFGFRB_1, TVHU2F, FRG2_MOUSE, CEK3_CHICK,
P_R21080及びA27171_1との間の配列同一性が明らかになった。
実施例4: ヒトPRO1250をコードするcDNAクローンの単離
上記の実施例2に記載のシグナル配列アルゴリズムを使用することで、Incyte
ESTクラスター配列番号56523と命名したIncyteデータベースからのES
Tクラスター配列の同定がなされた。次いで、この配列を、上記のシグナルアル
ゴリズムの下で記載されている種々のEST DNAデータベースと比較し、更
にIncyte EST3371784の同定がなされた。このEST配列に相当する
完全長クローンの更なる試験とシークエンシングによって、完全長DNA配列D
NA60775−1532(Fig3、配列番号:3)、及び誘導PRO125
0天然配列タンパク質(Fig4、配列番号:4)の単離がなされた。
クローンDNA60775−1532(配列番号:3)は単一のオープンリー
ディングフレームを含み、ヌクレオチド位置74−76に見かけの翻訳開始部位
を持ち、そしてヌクレオチド位置2291−2293の停止コドンで終端する(
Fig3)。予測されるPRO1250ポリペプチド前駆体(配列番号:4)は
、739アミノ酸長である(Fig3)。Fig4に示した完全長PRO125
0タンパク質は、約82,263ダルトンの推定分子量及び約7.55のpIを
有する。PRO1250ポリペプチド(配列番号:4)の分析によって、以下の
存在が明らかとなった:約アミノ酸61から約アミノ酸80のII型膜貫通ドメ
イン、約アミノ酸314から約アミノ酸326の推定AMP-結合ドメインシグ
ネイチャー配列、並びに約アミノ酸102から約アミノ酸106、約アミノ酸5
88から約アミノ酸594、及び約アミノ酸619から約アミノ酸623の潜在
的なN-グリコシル化部位。DNA60775−1532(配列番号:3)を含
むcDNAクローンは、1998年9月1日にATCCに寄託され、ATCC寄
託番号203173が付与された。
実施例5: ヒトPRO1337をコードするcDNAの単離
上記の実施例1に記載の方法を使用することで、単一のIncyteESTが同定さ
れ(配列番号:1747546)、更にここで「DNA4417」と称された。
コンセンサス配列を構築するために、BLAST及びphrapの繰り返しサイクルを用い
て伸長し、DNA4417配列を、上で議論したEST配列の供給源を用いて可
能な限り伸長させた。コンセンサス配列はここで「DNA45669」と命名し
た。DNA45669コンセンサス配列に基づいて、1)PCRによって対象と
する配列を含むcDNAライブラリを同定するため、並びに2)PRO1337
の完全長コード化配列のクローンを単離するプローブとして使用するために、オ
リゴヌクレオチドを合成した。
PCRプライマー(正及び逆)を合成した:
正方向PCRプライマー45669.f1:
5'-CAACCATGCAAGGACAGGGCAGG-3'(配列番号:10)
正方向PCRプライマー45669.f2:
5'-CTTTGCTGTTGGCCTCTGTGCTCCCAACCATGCAAGGACAGGGCAGG-3'
(配列番号:11)
逆方向PCRプライマー45669.r1:
5'-TGACTCGGGGTCTCCAAAACCAGC-3'(配列番号:12)
逆方向PCRプライマー45669.r2:
5'-GGTATAGGCGGAAGGCAAAGTCGG-3'(配列番号:13)
加えて、合成オリゴヌクレオチドバイブリダイゼーションプローブは、以下の
ヌクレオチド配列を持つコンセンサスDNA45669配列から作成した。
バイブリダイゼーションプローブ45669.P1:
5'-GGCATCTTACCTTTATGGAGTACTCTTTGCTGTTGGCCTCTGTGCTCC-3'
(配列番号:14)
完全長クローンの供給源について幾つかのライブラリをスクリーニングするた
めに、ライブラリのDNAを、上記で同定したPCRプライマー対によるPCR
増幅でスクリーニングした。次いで、プローブオリゴヌクレオチド及びPCRプ
ライマー対の一方を用いて、PRO1337遺伝子をコードするクローンを単離
するために、ポジティブライブラリを使用した。cDNAライブラリー作成のた
めのRNAは、ヒト組織から単離した。
上記のように単離したクローンのDNAシークエンシングによって、PRO1
337の完全長DNA配列(ここでDNA66672−1586と命名[Fig
5、配列番号:5]);並びにPRO1337の誘導タンパク質配列が得られた
PRO1337の全コード化配列をFig5(配列番号:5)に示す。クロー
ンDNA66672−1586は、単一のオープンリーディングフレームを含み
、ヌクレオチド位置60−62に見かけの翻訳開始部位、そしてヌクレオチド位
置1311−1313に見かけの停止コドンを持つ。予測されるポリペプチド前
駆体は417アミノ酸長である。Fig6に示した完全長PRO1337タンパ
ク質は約46,493ダルトンの推定分子量及び約9.79のpIを有する。
PRO1337ポリペプチド(配列番号:6)の分析によって以下の存在が明
らかとなった:約アミノ酸1から約アミノ酸20のシグナルペプチド;約アミノ
酸101から約アミノ酸105、及び約アミノ酸390から約アミノ酸394の
N-グリコシル化部位;約アミノ酸377から約アミノ酸385のチロシンキナ
ーゼリン酸化部位;並びに約アミノ酸7から約アミノ酸13、約アミノ酸97か
ら約アミノ酸103、約アミノ酸326から約アミノ酸332、並びに約アミノ
酸363から約アミノ酸369のN-ミリストイル化部位。
Fig6(配列番号:6)に示す完全長配列のWU−BLAST2配列アライ
ンメント分析法を使用しての、Dayhoffデータベース(バージョン35.45
SwissProt 35)の分析によって、 PRO1337のアミノ酸配列と以下のDayh
off配列THBG_HUMANとの間の有意な相同性が明らかにされた。また、相同性はP
RO1337アミノ酸配列と次のDayhoff配列:KAIN_HUMAN, HSACT1_1, IPSP_HU
MAN, G02081, HAMHPP_1,CPI6_RAT, S31507, AB000547_1, 及びKBP_MOUSEの間に
見いだされた。
クローンDNA60775−1532は、1998年9月22日にATCCに
寄託され、ATCC寄託番号203265が付与された。
実施例6:インサイツハイブリダイゼーション
インサイツハイブリダイゼーションは、細胞又は組織調製物内での核酸配列の
検出及び局在化のための強力で多用途の技術である。それは、例えば、遺伝子発
現部位の同定、転写物の組織分布の分析、ウイルス感染の同定及び局在化、特定
mRNA合成及び染色体マッピングにおける追跡に有用である。
インサイツハイブリダイゼーションは、Lu及びGillett, Cell Vision 1: 169-
176 (1994)のプロトコールの最適な変形に従って、PCR生成33P-標識リボ
プローブを用いて実施される。簡単には、ホルマリン固定、パラフィン包埋ヒト
組織を切片化し、脱パラフィンし、プロテイナーゼK(20g/ml)で15分間37
℃で脱タンパクし、さらに上掲のLu及びGillettに記載されたようにインサイツ
ハイブリダイゼーションする。[33P]UTP-標識アンチセンスリボプロー
ブをPCR産物から生成し、55℃で終夜ハイブリダイゼーションする。スライ
ドをKodakNTB2核トラックエマルションに浸漬して4週間露出する。
33P-リボプローブ合成
6.0μl(125mCi)の33P-UTP(AmershamBF 1002, SA<2000 Ci/mmo
l)をスピード真空乾燥させた。乾燥33P-UTPを含む管に以下の成分を添加
した:
2.0μlの5x転写バッファー
1.0μlのDTT(100mM)
2.0μlのNTP混合物(2.5mM: 10μ; 10mMのGTP, CTP & ATP+10μlのH2O

1.0μlのUTP(50μM)
1.0μlのRNAsin
1.0μlのDNAテンプレート(1μg)
1.0μlのH
1.0μlのRNAポメラーゼ(PCR産物についてT3=AS, T7=S,通常)
管を37℃で1時間インキュベートし、1.0μlのRQ1DNaseを添加
し、次いで37℃で15分間インキュベートした。90μlのTE(10mMトリス
pH7.6/1mMのEDTApH8.0)を添加し、混合物をDE81紙にピペットした。
残りの溶液をMICROCON-50(商品名)限外濾過ユニットに負荷し、プログラム1
0を用いてスピンさせた(6分間)。濾過ユニットを第2の管に変換し、プログ
ラム2を用いてスピンさせた(3分間)。最終回収スピンの後、100μlのT
Eを添加した。1μlの最終生成物をDE81紙にピペットし6mlのBIOFLUOR
II(商品名)で数えた。
プローブをTBE/尿素ゲル上で走らせた。1−3μlのプローブ又は5μl
のRNA MrkIIIを3μlの負荷バッファーに添加した。加熱ブロック上
で95℃に3分間加熱した後、ゲルを即座に氷上に置いた。ゲルのウェルをフラ
ッシングし、試料を負荷し、180−250ボルトで45分間走らせた。ゲルを
プラスチックラップ(SARAN(商品名)ブランド)でラップし、−17℃のフリ
ーザー内で補強スクリーンを持つXARフィルムに1時間から終夜露出した。
33P-ハイブリダイゼーション
A.凍結切片の前処理
スライドをフリーザーから取り出し、アルミニウムトレイに配置して室温で5
分間解凍した。トレイを55℃のインキュベータに5分間配置して凝結を減らし
た。スライドを蒸気フード内において4%パラホルムアルデヒド中で5分間固定し
、0.5xSSCで5分間室温で洗浄した(25ml 20xSSC + 975ml SQ H2O)。0
.5μg/mlのプロテイナーゼ中、37℃で10分間の脱タンパクの後(250m
lの予備加熱RNase無しRNaseバッファー中の10mg/mlストック12.5μl
)、切片を0.5xSSCで10分間室温で洗浄した。切片を、70%、95%
、100%エタノール中、各2分間脱水した。
B.パラフィン包埋切片の前処理
スライドを脱パラフィンし、SQ HO中に配置し、2xSSCで室温にお
いて各々5分間2回リンスした。切片を20μg/mlのプロテイナーゼK(25
0mlのRNase無しRNaseバッファー中10mg/mlを500μl;37℃、1
5分間)−ヒト胚又は8xプロテイナーゼK(250mlのRNaseバッファー中1
00μl、37℃、30分間)−ホルマリン組織で脱タンパクした。続く0.5x
SSCでのリンス及び脱水は上記のように実施した。
C.プレハイブリッド化
スライドをBoxバッファー(4xSSC、50%ホルムアミド)−飽和濾紙で列
を作ったプラスチックボックスに並べた。組織を50μlのハイブリダイゼーシ
ョンバッファー(3.75gデキストラン硫酸+6mlSQHO)で被覆し、ボルテ
ックスし、キャップを外して2分間マイクロ波で加熱した。氷上で冷却した後、
18.75mlのホルムアミド、3.75mlの20xSSC及び9mlのSQ
Oを添加し、組織を良くボルテックスし、42℃で1−4時間インキュベ
ートした。
D.ハイブリダイゼーション
スライド当たり1.0x10cpmのプローブ及び1.0μlのtRNA(
50mg/mlストック)を95℃で3分間加熱した。スライドを氷上で冷却し、スラ
イド当たり48μlのハイブリダイゼーションバッファーを添加した。ボルテッ
クスの後、50μlの33P混合物をスライド上のプレハイブリッド50μlに
添加した。スライドを55℃で終夜インキュベートした。
E.洗浄:
洗浄は、2xSSC、EDTAで2x10分間、室温で実施し(400mlの20xS
SC+16mlの0.25MEDTA、Vf=4L)、次いでRNaseA処理を37℃で30分
間行った(250mlRNaseバッファー中10mg/mlを500μl=20μg/ml)。スラ
イドを2x10分間、EDTAで室温において洗浄した。緊縮性洗浄条件は次の
通り:55℃で2時間、0.1xSSC、EDTA(20mlの20xSSC+16mlのEDT
A、V=4L)。
F.オリゴヌクレオチド
ここに開示したDNA配列の二つについてインサイツ分析を実施した。これら
の分析に対して用いたオリゴヌクレオチドは次の通りである:
(1)DNA52192−1369
D-269E FGFrp1:
5'-GGATTCTAATACGACTCACTATAGGGCCGCTGACCATGTGGACCAAGG-3'
(配列番号:15)
C-257I FGFrp2:
5'-CTATGAAATTAACCCTCACTAAAGGGATCTGGCAGCACGGTGAGGAAG-3'
(配列番号:16)
G.結果
ここに開示した上記のDNA配列に関して、インサイツ分析を実施した。これ
らの分析の結果は次の通りである:
DNA52192−1369(FGFレセプター様分子)
発現は、胎児骨格筋と長骨軟骨組織に観察された。他の箇所と同じく、相対的
に高いバッググラウンドシグナルは問題である。一つの胎児肝臓では、発現は、
増結部位において生じるように思われる。検査した胎児組織(E12−E16週
)には、胎盤、臍帯、肝臓、腎臓、副腎、甲状腺、肺、心臓、大血管、食道、胃
、小腸、脾臓、胸腺、膵臓、脳、眼、脊椎、体壁、骨盤、及び下肢が含まれた。
検査した成人ヒト組織には、肝臓、腎臓、副腎、心筋、大動脈、脾臓、肺、皮膚
、軟骨肉腫、眼、胃、胃癌、結腸、結腸癌、腎細胞癌、前立腺、膀胱粘膜及び胆
嚢が含まれた。アセトアミノフェンは、肝臓障害及び肝硬変を誘導した。検査し
たアカゲザル組織二は、大脳皮質(rm)及び海馬(rm)が含まれた。検査し
たチンパンジー組織には、甲状腺、副甲状腺、卵巣、神経、舌、胸腺、副腎、胃
粘膜及び唾液腺が含まれた。
実施例7:ハイブリダイゼーションプローブとしてのPROの利用
以下の方法は、PROをコードする核酸配列のハイブリダイゼーションプロー
ブとしての利用を示している。
ここに開示されている完全長又は成熟PROをコード化配列を含むDNAは、
ヒト組織cDNAライブラリ又はヒト組織ゲノムライブラリの相同的なDNA(
PROの天然発生変異体をコードするもの等)のスクリーニングのためのプロー
ブとして用いられる。
どちらかのライブラリDNAを含むフィルターのハイブリダイゼーション及び
洗浄を、次の高緊縮性条件下において実施する。PROポリペプチドをコードす
る遺伝子から誘導された放射標識プローブフィルターへのハイブリダイゼーショ
ンを、50%ホルムアミド、5xSSC、0.1%SDS、0.1%ピロリン酸
ナトリウム、50mMリン酸ナトリウム、pH6.8、2xデンハード液、及び
10%デキストラン硫酸の溶液中において42℃で20時間実施する。フィルタ
ーの洗浄は、0.1xSSC及び0.1%SDS水溶液中において42℃で実施
する。
次いで、この分野で知られている標準的技術を用いて、完全長天然配列をコー
ドするDNAと所望の配列同一性を有するDNAを同定することができる。
実地例8:大腸菌におけるPROの発現
この実施例は、大腸菌中における組み換え発現によるPROの非グリコシル化
型の調製を例証する。
選択したPCRプライマーを利用して、DNA配列コード化を最初に増幅する
。このプライマーは、選択した発現ベクター上の制限酵素部位に対応する制限酵
素部位を含まなければならない。種々の発現ベクターを使用することができる。
適したベクターの例としては、アンピシリン及びテトラサイクリン耐性に関する
遺伝子を含むpBR322(大腸菌由来;Bolivarら, Gene, 2:95 (1997)を参照
のこと)がある。このベクターを制限酵素によって消化し、脱リン酸化する。次
いで、PCR増幅配列をベクターへライゲーションする。このベクターは、好ま
しくは抗生物質耐性遺伝子、trpプロモーター、ポリHisリーダー(最初の
6つのSTIIコドン、ポリHisリーダー、及びエンテロキナーゼ切断部位を
含む)、PROコード領域、ラムダ転写集結因子及びargU遺伝子をコードす
る配列を含む。
次いで、Sambrookら,上記に記載されている方法を用いて、このライゲーショ
ン混合物を選択した大腸菌株を形質転換するために利用した。形質転換体をLB
プレート上でのその成長能力によって同定し、次いで抗生物質耐性コロニーを選
択する。制限分析及びDNA配列決定によって、プラスミドDNAを単離し、確
認することができる。
選択したクローンを、抗生物質で補填されたLBブロスのような液体培地で一
晩かけて成長させることができる。次いで、この一晩の培養を、より大きなスケ
ールでの培養を播種するために使用してもよい。そして、細胞を所望の光学密度
になるまで成長させ、その間に発現プロモーターが作用し始める。
更に数時間、細胞を培養した後に、遠心分離によって細胞を収集することが可
能である。遠心分離によって得られた細胞ペレットは、当該分野で公知の様々な
薬剤を使用して可溶化でき、次いで、この溶解したPROタンパク質を、タンパ
ク質の堅固な結合を可能にする条件下において、金属キレート化カラムを用いて
精製することが可能である。
以下の手法を用いて、ポリ−Hisタグ形態でPROを大腸菌で発現させても
よい。選択したPCRプライマーを用いて、PROをコードするDNAを最初に
増幅する。このプライマーは、選択した発現ベクターの制限酵素部位に対応する
制限酵素部位、並びに効率的で信頼性のある翻訳開始、金属キレートカラムでの
迅速な精製、そしてエンテロキナーゼによるタンパク質分解的除去を提供する他
の有用な配列を含む。次いで、PCR増幅を施したポリ-Hisタグ配列を発現ベク
ターへ結合させ、これを株52(W3110 fuhA(tonA) lon galE rpoHts(htpRts) c
lpP(lacIq))に基づく大腸菌宿主の形質転換に使用する。形質転換体を、最初に
50mg/mlのカルベニシリンを含有するLB中で、30℃で振盪しながら3
−5のOD600に達するまで成長させる。次いで、培養液を50−100倍希
釈してCRAP培地(3.57gの(NHSO、0.71gのクエン酸
ナトリウム・2HO、1.07gのKCl、5.36gのDifco酵母抽出物、5
00mL水中の5.36gのSheffield hycase SF、並びに110mMのMPO
S、pH7.3、0.55%(w/v)のグルコース及び7mMのMgSO
混合で調製)とし、そして30℃で振盪によって約20−30時間成長させる。
SDS-PAGEによって発現を確認するために試料を取り出し、この大量培養
液を遠心分離して細胞がペレットとなるようにする。精製及びリフォールディン
グ(再折りたたみ)まで、細胞ペレットを凍結する。
0.5から1Lの発酵(6−10gペレット)の大腸菌ペーストを、7Mのグ
アニジン、20mMのトリス、pH8バッファー中で10容量(w/v)で再懸
濁する。固体硫酸ナトリウム及びテトラチオン酸ナトリウムを、各々の最終濃度
が0.1M及び0.02Mとなるように添加し、この溶液を4℃で終夜に渡って
撹拌する。この工程によって、すべてのシステイン残基が亜硫酸によりブロック
された変性タンパク質が生じる。この溶液をBeckman Ultracentrifuge中で40
,000rpmで30分間濃縮する。その上清を金属キレートカラムバッファー
(6Mのグアニジン、20mMのトリス、pH7.4)の3−5容量で希釈し、
0.22ミクロンフィルターで濾過して透明にする。この透明抽出物を、金属キ
レートカラムバッファーで平衡化した5mlのQiagen Ni-NTA金属キレート
カラムに負荷する。このカラムを、50mMのイミダゾール(Calbiochem, Utro
l grade)を含む添加バッファー、pH7.4で洗浄する。タンパク質を、25
0mMのイミダゾールを含有するバッファーで溶離する。所望のタンパク質を含
有する分画をプールし、4℃で保存する。タンパク質濃度を、そのアミノ酸配列
に基づいて計算した吸光係数を用いて、280nmにおけるその吸収によって見
積もった。
試料を20mMトリス、pH8.6、0.3M NaCl、2.5M尿素、5
mMシステイン、20mMグリシン及び1mMEDTAからなる新たに調製した
再生バッファーで徐々に希釈することによって、タンパク質を再生させる。リフ
ォールディング容量は、最終的なタンパク質濃度が50〜100マイクログラム
/mlとなるように選択する。このリフォールディング溶液を4℃で12−36
時間ゆっくりと撹拌する。リフォールディング反応は、TFAを最終濃度が0.
4%(約3のpH)となるように添加することにより停止させる。タンパク質の
更なる精製の前に、この溶液を0.22ミクロンフィルターで濾過し、アセトニ
トリルを最終濃度が2−10%となるように添加する。再生したタンパク質を、
10〜80%のアセトニトリルのグラジエントによる溶離をともなう0.1%T
FAの移動バッファーを使用して、Poros R1/H逆相カラムによるクロマトグラ
フにかける。A280吸収を持つ分画のアリコートをSDSポリアクリルアミド
ゲルで分析し、相同的な再生タンパク質を含有する分画をプールする。一般的に
、殆どのタンパク質の正確に再生した種は、逆相樹脂との相互作用から遮蔽され
ているその疎水性内面によってこれらの種が最もコンパクトであるので、最低濃
度のアセトニトリルで溶離される。凝集した種は、通常、より高いアセトニトリ
ル濃度で溶離される。誤って再生したタンパク質の形態を所望の形態から分離す
るのに加えて、逆相工程は試料からエンドトキシンも除去する。
所望の再生したPROポリペプチドを含有する分画をプールし、溶液へ穏やか
な窒素の弱い気流を当てることでアセトニトリルを除去した。透析、或いは調製
バッファーで平衡化し、無菌濾過されたG25Superfine(Pharmacia)樹脂によ
るゲル濾過によって、タンパク質を0.14M 塩化ナトリウム及び4%マンニ
トールを含む20mMのHepes、pH6.8に調製した。
ここで開示された多くのPROポリペプチドは、上記の方法によって成功裏に
発現した。
実施例9:哺乳動物細胞におけるPROの発現
この実施例は、哺乳動物細胞での組み換え発現によるPROの潜在的なグリコ
シル化形態の調製を例証する。
発現ベクターとしては、ベクターpRK5(1989年3月15日公開のEP
307,247参照)を用いる。場合によっては、上記のSambrook等に記載のよ
うなライゲーション方法を用いて、選択した制限酵素でPRODNAをpRK
5とライゲーションし、PRODNAの挿入を可能にする。
一実施態様では、選択宿主細胞を293細胞にしてもよい。ヒト293細胞(
ATCC CCL 1573)を、ウシ胎児血清、そして場合によっては滋養成分及び/又は
抗生物質で補ったDMEMなどの培地中の組織培養プレートで、集密化するまで
成長させる。約10μgのpRK5-PRODNAを、約1μgのVA RNA遺
伝子コード化DNA[Thimmappayaら, Cell, 31:543 (1982))]と混合し、50
0μlの1mM トリス-HCl、0.1mM EDTA、0.227M CaCl
に溶解する。この混合物に、滴状の500μlの50mM HEPES(pH
7.35)、280mM NaCl、1.5mM NaPOを添加し、25℃で
10分間に渡って、析出物を形成させる。この析出物を懸濁して293細胞に加
え、37℃で約4時間に渡って定着させた。培地を吸引し、2mlの20%グリ
セロールのPBSを30秒間で添加した。次いで、この293細胞を無血清培地
で洗浄し、新鮮な培地を添加して細胞を約5日間に渡ってインキュベートした。
形質移入後のの約24時間には、培養培地を除去し、培養培地(のみ)或いは
200μCi/ml35S−システイン及び200μCi/ml35S−メチオ
ニンを含む培地で置換した。12時間のインキュベーションの後には、培養上清
を回収し、スピンフィルターで濃縮し、15%SDSゲルに負荷する。この処理
したゲルを乾燥し、PROポリペプチドの存在を現す選択された時間に渡ってフ
ィルムにさらす。形質転換した細胞を含む培地に、更なるインキュベーションを
施してもよく(無血清培地で)、この培地を選択されたバイオアッセイで試験す
る。
これに換わる技術としては、Somparyacら, Proc. Natl. Acad. Sci., 12:7575
(1981)に記載されたデキストラン硫酸法を用いて、PROを293細胞へ過度
的に導入してもよい。293細胞を、スピナーフラスコ内で最大密度まで成長さ
せ、700μgのpRK5-PRODNAを添加する。この細胞を、まずは遠心
分離によってスピナーフラスコから濃縮し、PBSで洗浄する。DNA-デキス
トラン沈殿物を、細胞ペレット上で4時間に渡ってインキュベートする。この細
胞を20%グリセロールで90秒間処理し、組織培養培地で洗浄し、組織培養培
地、5μg/mlウシインシュリン、及び0.1μg/mlウシトランスフェリ
ンを含むスピナーフラスコに再度導入した。約4日後に、培養上清を遠心分離し
、濾過して細胞及び細胞片を除去した。次いで、任意の透析及び/又はカラムク
ロマトグラフィー等の選択した方法によって、発現したPROを含む試料を濃縮
し、精製することができる。
他の実施態様では、PROをCHO細胞で発現させることができる。CaPO
又はDEAE−デキストランなどの公知の試薬を用いて、pRK5-PROを
CHO細胞へ形質移入することができる。上記に記載のように、細胞培地をイン
キュベートし、培地を培養培地(のみ)又は35S-メチオニン等の放射性標識
を含む培地と置換することができる。PROポリペプチドの存在を同定した後、
培地を無血清培地と置換してもよい。好ましくは、この培養を約6日間インキュ
ベートし、次いで培養上清を収集する。次いで、発現したPROを含む培地を、
濃縮して任意の選択した方法によって精製することができる。
また、エピトープタグPROを、宿主CHO細胞で発現させてもよい。PRO
をpRK5ベクターからサブクローニングしてもよい。サブクローン挿入物を、
PCRを施してポリ-hisタグ等の選択されたエピトープタグとのフレームとして
バキュロウイルス発現ベクターへ融合できる。ポリ-hisタグPRO挿入物を、次
いで、安定なクローンの選択のためのDHFR等の選択マーカーを含むSV40
誘導ベクターにサブクローニングできる。最後に、CHO細胞をSV40誘導ベ
クターで(上記のように)形質移入した。発現を確認するために、上記のように
標識化を行ってもよい。発現したポリ-hisタグPROを含む培地は、次いで濃縮
し、Ni2+-キレートアフィニティクロマトグラフィー等の選択した方法によ
って精製できる。
またPROは、一過性発現法によってCHO及び/又はCOS細胞で、他の安
定な発現方法によってCHO細胞で発現させてもよい。
CHO細胞における安定な発現は、以下の方法を用いて実施された。タンパク
質を、それぞれのタンパク質の可溶化形態のコード配列(例えば、細胞外ドメイ
ン)がヒンジ、CH2及びCH2ドメイン及び/又はポリ-Hisタグ形態を含むI
gG1定常領域配列へ融合しているIgG作成物(イムノアドヘシン)として発
現させる。
PCR増幅に続いて、Ausubelら, Current Protocols of Molecular Biology,
Unit3.16, John Wiley and Sons (1997)に記載のような標準的技術を用いて、
それぞれのDNAをCHO発現ベクターにサブクローニングする。CHO発現ベ
クターを、対象とするDNAの5’及び3’に適合する制限部位を有し、cDN
Aの簡便にシャトル化ができるように作成する。CHO細胞での発現に利用され
るベクターは、Lucasら,Nucl. Acids Res. 24: 9, 1774-1779 (1996)に記載さ
れたようなものであり、対象とするcDNA及びジヒドロフォレートレダクター
ゼ(DHFR)の発現の制御にSV40初期プロモーター/エンハンサーを用い
る。DHFR発現は、形質移入に続くプラスミドの安定な維持に関する選択を可
能にする。
所望のプラスミドDNAの12マイクログラムを、市販の形質移入試薬Superf
ect(登録商標)(Quiagen),Dosper(登録商標)及びFugene(登録商標)(Boehringer
Mannheim)を使用して、約1千万のCHO細胞に導入する。この細胞を、上記
のLucas等に記載されているように成長させる。下記に記載のような更なる成長
及び生産のために、約3x10の細胞をアンプルで凍結する。
このプラスミドDNAを含むアンプルを水槽に配することで解凍し、ボルテッ
クスによって混合する。内容物を10mLの媒質を含む遠心管へピペットし、1
000rpmで5分間遠心分離する。その上清を吸引し、細胞を10mLの選択
培地(0.2μm濾過PS20、5%の0.2μm透析濾過ウシ胎児血清を添加
)に懸濁する。次いで、この細胞を90mLの選択培地を含む100mLスピナ
ーに分ける。1−2日後、細胞を150mLの選択培地で満たした250mLス
ピナーに移し、37℃でインキュベートする。2−3日後、250mL、500
mL及び2000mLのスピナーを3x10細胞/mLで播種する。遠心分離
及び生産培地での再懸濁によって、細胞培地を新鮮な培地で交換する。任意の適
切なCHO培地を用いてもよいが、実際には1992年6月16日に発行された
米国特許第5,122,469号に記載されている生産培地を使用してもよい。
3Lの生産スピナーを1.2x10細胞/mLで播種する。0日目に、細胞数
とpHを測定する。1日目に、スピナーから試料採取し、濾過空気での散布を実
施する。2日目に、スピナーから試料採取し、温度を33℃に変え、30mLの
500g/Lのグルコース及び0.6mLの10%消泡剤(例えば35%ポリジ
メチルシロキサンエマルション、Dow Corning 365 Medical Grade Emulsion)を
使用する。生産を通して、7.2近傍に維持するために、必要ならばpHを調節
する。10日後、或いは生存率が70%を下回るまで、細胞培養を遠心分離で回
収して0.22μmフィルターで濾過する。濾過物は、4℃で貯蔵するか、即座
に精製用カラムへ負荷する。
ポリ-Hisタグ作成物に関しては、タンパク質をNi-NTAカラム(Qiagen)
を用いて精製した。精製の前に、イミダゾールを培養上清へ5mMの濃度まで添
加した。この培養上清を、0.3M NaCl及び5mMイミダゾールを含む2
0mMのHepes,pH7.4バッファーで平衡化した6mlのNi−NTAカラ
ムへ4−5ml/分の流速で4℃でポンプ供給した。負荷後、このカラムをさら
に平衡バッファーで洗浄し、0.25Mイミダゾールを含む平衡バッファーでタ
ンパク質を溶離した。高度に精製されたタンパク質は、続いて25mlのG25 Su
perfine(Pharmacia)で、10mMHepes、0.14M NaCl及び4%マン
ニトール,pH6.8を含む貯蔵バッファーへ脱塩し、−80℃で貯蔵した。
イムノアドヘシン(Fc含有)作成物を、以下のようにして培養上清から精製
する。この培養上清を、20mMのリン酸ナトリウムバッファー,pH6.8で
平衡化した5mlのプロテインAカラム(Pharmacia)へポンプ注入する。負荷
後、100mMのクエン酸,pH3.5で溶離する前に、このカラムを平衡バッ
ファーで強く洗浄する。275μLの1Mトリスバッファー,pH9を含む管に
1mlの分画を回収することによって、溶離したタンパク質を即座に中和する。
高度に精製されたタンパク質は、続いて、ポリ−Hisタグタンパク質に関して
上記に記載した貯蔵バッファーで脱塩する。その均一性は、SDSポリアクリル
アミドゲル、及びエドマン(Edman)分解によるN−末端アミノ酸配列決定によ
って評価する。
ここに開示したPROポリペプチドの多くが,上記に記載のようにして成功裏
に発現した。
実施例10:酵母菌でのPROの発現
以下の方法は、酵母菌中でのPROポリペプチドの組換え発現を示す。
第1に、ADH2/GAPDHプロモーターからのPROの細胞内生産又は分
泌のために、酵母菌発現ベクターを作成する。PROポリペプチドをコードする
DNA及びプロモーターを、選択したプラスミドの適切な制限酵素部位に挿入し
てPROポリペプチドの細胞内発現を指示する。分泌のために、PROをコード
するDNAを、選択したプラスミドへ、ADH2/GAPDHプロモーターをコ
ードするDNA、天然PROシグナルペプチド又は他の哺乳動物シグナルペプチ
ド、又は、例えば酵母菌α因子又はインベルターゼ分泌シグナル/リーダー配列
、並びに(必要ならば)PROの発現のためのリンカー配列とともにクローニン
グすることができる。
酵母菌株AB110等の酵母菌を、次いで上記の発現プラスミドで形質転換し
、選択した発酵培地で培養できる。形質転換した酵母菌上清は、10%トリクロ
ロ酢酸での沈降、並びにSDS−PAGEによる分離に続くクマシーブルー染色
によるゲルの染色によって分析することができる。
続いて、遠心分離と続く選択したカートリッジフィルターを用いての培地の濃
縮によって、発酵培地から酵母菌細胞を取り除くことで、組換えPROポリペプ
チドを単離そして精製できる。選択したカラムクロマトグラフィー樹脂を用いて
、PROポリペプチドを含む濃縮物をさらに精製してもよい。
ここに開示したPROポリペプチドの多くが、上記のようにして成功裏に発現
された。
実施例11: バキュロウイルス感染昆虫細胞でのPROの発現
以下の方法は、バキュロウイルス感染昆虫細胞におけるPROの組換え発現を
記載する。
PROコードする配列を、バキュロウイルス発現ベクターに含まれるエピトー
プタグの上流に融合させる。このようなエピトープタグには、ポリ-hisタグ及び
免疫グロブリンタグ(IgGのFc領域など)が含まれる。pVL1393(Na
vagen)などの市販されているプラスミドから誘導されるプラスミドを含む、種
々のプラスミドを用いることができる。簡単には、PRO又はPROコード配列
の所定部分(例えば膜貫通タンパク質の細胞外ドメインをコードする配列、或い
はタンパク質が細胞外である場合の成熟タンパク質をコードする配列など)が、
5’及び3’領域に相補的なプライマーでのPCRにより増幅される。5’プラ
イマーは、隣接する(選択された)制限酵素部位を包含していてもよい。生産物
は、次いで、選択された制限酵素で消化され、発現ベクターにサブクローニング
される。
組換えバキュロウイルスは、上記のプラスミド及びBaculoGold(商品名)ウイル
スDNA(Pharmingen)を、Spodopterafrugiperda(「Sf9」)細胞(AT
CC CRL 1711)中にリポフェクチン(GIBCO-BRLから市販)を用いて同
時トランスフェクションすることによって作成される。28℃で4−5日インキ
ュベートした後、放出されたウイルスを回収し、更なる増幅に用いる。ウイルス
感染及びタンパク質発現は、O'Reilleyら, Baculovirus expression vectors: A
laboratoryManual, Oxford: Oxford University Press (1994)に記載されてい
るように実施される。
次に、発現されたポリ-hisタグPROは、例えばNi2+-キレートアフィニ
ティクロマトグラフィーによって、次のようにして精製できる。抽出は、Rupert
ら,Nature, 362:175-179 (1993)に記載のように、ウイルス感染した組み換えS
f9細胞から調製する。簡単には、Sf9細胞を洗浄し、超音波処理用バッファ
ー(25mLのHepes,pH7.9;12.5mMのMgCl;0.1mME
DTA;10%グリセロール;0.1%のNP−40;0.4MのKCl)で再
懸濁し、氷上で2回ずつ20秒間超音波処理する。この超音波処理物は、遠心分
離によって透明にし、その上清を負荷バッファー(50mMリン酸塩、300m
MのNaCl、10%グリセロール、pH7.8)で50倍希釈して0.45μ
mフィルターで濾過する。Ni2+-NTAアガロースカラム(Qiagenから市販
)を5mLの総容積で調製し、25mLの水で洗浄して25mLの負荷バッファ
ーで平衡化する。濾過した細胞抽出物を、毎分0.5mLでこのカラムに負荷す
る。カラムを、分画回収が始まる地点であるA280のベースラインまで負荷バ
ッファーで洗浄する。次に、このカラムを、非特異的に結合しているタンパク質
を溶離する二次洗浄バッファー(50mMリン酸塩;300mMのNaCl、1
0%グリセロール、pH6.0)で洗浄した。A280のベースラインに再度到
達した後、このカラムを二次洗浄バッファーでの0から500mMイミダゾール
のグラジエントで展開した。1mLの分画を回収し、SDS-PAGE及び銀染
色又はアルカリホスファターゼ(Qiagen)に共役させたNi2+-NTAによる
ウェスタンブロットで分析する。溶離したHis10-タグPROを含む分画を
プールして負荷バッファーで透析する。
あるいは、IgGタグ(又はFcタグ)PROの精製は、例えば、プロテイン
A又はプロテインGカラムクロマトグラフィーを含む公知のクロマトグラフィー
技術を用いて実施できる。
ここに開示したPROポリペプチドの多くが上記のようにして成功裏に発現さ
れた。
実施例12: PROに結合する抗体の調製
この実施例は、実質的には他のどんなポリペプチド又はポリペプチドエピトー
プにも結合せず、PROポリペプチド又はPROペプチド上のエピトープと特異
的に結合できるモノクローナル抗体の調製を例示する。
モノクローナル抗体の生産のための技術は、この分野で知られており、例えば
、上記のGodingに記載されている。用いられ得る免疫原には、精製PROポリペ
プチド、PROポリペプチドを含む融合タンパク質、細胞表面に組換えPROポ
リペプチドを発現する細胞が含まれる。免疫原の選択は、当業者が過度の実験を
せずにおこなうことができる。
Balb/c等のマウスを、完全フロイントアジュバントで乳化して1−10
0マイクログラムの量で皮下又は腹腔内へ注入したPRO免疫原によって免疫化
する。あるいは、免疫原をMPL−TDMアジュバント(Ribi Immunochemical
Research, ハミルトン,モンタナ)で乳化し、動物の後足蹠に注入してもよい。
この免疫化したマウスを、次いで10から12日後に、選択したアジュバントで
乳化した付加的免疫源によって追加免疫する。その後、数週間に渡って、このマ
ウスをさらなる免疫注射で追加免疫する。抗PRO抗体の検出のためのELIS
Aアッセイで試験するレトロオービタル出血によって、血清試料をマウスから周
期的に採取してもよい。
適当な抗体力価が検出された後、抗体に対して「ポジティブ(陽性)」な動物
へPROの最後の静脈内注射をすることができる。3から4日後、マウスを屠殺
し、脾臓細胞を取り出す。次いで、脾臓細胞を(35%ポリエチレングリコール
を用いて)、ACTTから番号CRL1597で入手可能なP3X63AgU.
1等の選択されたマウス骨髄腫株化細胞に融合させる。そして、融合によって、
HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジン)培地を含む96ウェ
ル組織培養プレートに蒔くことができるハイブリドーマ細胞の生成が可能となり
、非融合細胞、骨髄腫ハイブリッド、及び脾臓細胞ハイブリッドの増殖が阻害さ
れる。
ハイブリドーマ細胞は、PROに対する反応性についてのELISAでスクリ
ーニングされる。PROに対する所望のモノクローナル抗体を分泌する「ポジテ
ィブ(陽性)」ハイブリドーマ細胞の決定は、技術常識の範囲内である。
陽性ハイブリドーマ細胞を同系のBalb/cマウスに腹腔内注入し、抗PR
Oモノクローナル抗体を含む腹水を生成させる。あるいは、ハイブリドーマ細胞
を、組織培養フラスコ又はローラーボトルで成長させることもできる。腹水中に
生成されたモノクローナル抗体の精製は、硫酸アンモニウム沈降、それに続くゲ
ル排除クロマトグラフィ−を用いて行うことができる。あるいは、抗体のプロテ
インA又はプロテインGへの親和性に基づくアフィニティクロマトグラフィーを
用いることができる。
実施例13: 特異的抗体を用いたPROポリペプチドの精製
天然又は組換えPROポリペプチドは、この分野の種々の標準的なタンパク質
精製方法によって精製され得る。例えば、プロ-PROポリペプチド、成熟ポリ
ペプチド、又はプレ-PROポリペプチドは、対象とするPROポリペプチドに
特異的な抗体を用いる免疫親和性クロマトグラフィーによって精製される。一般
に、免疫親和性カラムは抗PROポリペプチド抗体を活性化クロマトグラフィー
樹脂に共有結合させて作成される。
ポリクローナル免疫グロブリンは、硫酸アンモニウムでの沈殿又は固定化プロ
テインA(PharmaciaLKB Biotechnology, Piscataway, N.J.)での精製のいず
れかにより免疫血清から調製される。同様に、モノクローナル抗体は、硫酸アン
モニウム沈殿又は固定化プロテインAでのクロマトグラフィーによりマウス腹水
液から調製される。部分的に精製された免疫グロブリンは、CnBr-活性化セ
ファロース(商品名)(Pharmacia LKB Biotechnology)等のクロマトグラフィ
ー樹脂に共有結合される。抗体が樹脂に結合され、樹脂がブロックされ、誘導体
樹脂は製造者の指示に従って洗浄される。
このような免疫親和性カラムは、可溶化形態のPROポリペプチドを含有する
細胞の画分を調製することによるPROポリペプチドの精製において利用される
。この調製物は、洗浄剤の添加、或いはこの分野で公知の方法により微分遠心分
離を介して得られる全細胞、又は細胞成分画分の可溶化によって誘導される。あ
るいは、シグナル配列を含む可溶化PROポリペプチドは、細胞が成長する培地
に有用な量で分泌され得る。
可溶化PROポリペプチド含有調製物を、免疫親和性カラムへ貫流させ、PR
Oポリペプチドの好ましい吸着を可能にする条件下(例えば、洗浄剤存在下の高
イオン強度バッファー)でカラムを洗浄する。次いで、抗体/PROポリペプチ
ド結合を分解する条件下(例えば、約2−3といった低pH、高濃度の尿素又は
チオシアン酸イオン等のカオトロープ)でカラムを溶離し、PROポリペプチド
を回収する。
実施例14: 薬物スクリーニング
本発明は、任意の種々の薬物スクリーニング技術において、PROポリペプチ
ド、或いはその結合断片を利用することによって、化合物のスクリーニングのた
めに特に有用である。そのような試験に用いられるPROポリペプチド又は断片
は、溶液中の自由状態でも、固体支持体に固定されても、細胞表面に担持されて
いても、或いは細胞内に位置していてもよい。薬剤スクリーニングの1つの方法
では、PROポリペプチド又は断片を発現する組換え核酸によって安定に形質転
換される真核生物又は原核生物宿主細胞を利用する。薬剤は、そのような形質転
換細胞に対して、競合的結合アッセイによってスクリーニングされる。生存可能
又は固定化形態のいずれかによって、このような細胞は標準的な結合アッセイで
使用できる。例えば、PROポリペプチド又は断片と試験される試薬の間の複合
体の形成を測定してよい。あるいは、試験される試薬によって生じるPROポリ
ペプチドとその標的細胞との間の複合体形成の減少を調べることができる。
従って、本発明は、PROポリペプチド関連疾患又は障害に影響を与えること
のできる薬剤又は任意の他の試薬のスクリーニング方法を提供する。これらの方
法は、そのような試薬をPROポリペプチド又は断片に接触させ、(i)試薬とP
ROポリペプチド又は断片との間の複合体の存在について、或いは(ii)PROポ
リペプチド又は断片と細胞との間の複合体の存在について、検定することを含む
。これらの競合結合アッセイでは、概して、PROポリペプチド又は断片が標識
される。適切なインキュベーションの後、遊離型のPROポリペプチド又は断片
が結合形態のものから分離し、遊離又は未複合の標識の量が、特定の試薬がPR
Oポリペプチドに結合する、或いはPROポリペプチド/細胞複合体を阻害する
能力の尺度となる。
薬剤スクリーニングのための他の技術は、ポリペプチドに対して適した結合親
和性を有する化合物に関する高スループットスクリーニングを提供し、1984
年9月13日に公開されたWO84/03564に詳細に記載されている。簡単
に述べれば、多数の異なる小型ペプチド試験化合物が、プラスチックピン等の固
体支持体、或いは幾つかの他の表面上で合成される。PROポリペプチドに適用
すると、ペプチド試験化合物はPROポリペプチドと反応して洗浄される。結合
したPROポリペプチドは、この分野で良く知られた方法によって検出される。
精製したPROポリペプチドを、上記の薬剤スクリーニング技術に使用するため
にプレート上に直接被覆することもできる。さらに、非中和抗体は、ペプチドを
捕捉し、それを固体支持体上に固定化するのに使用できる。
また、本発明は、PROポリペプチドとの結合が可能な中和抗体が、PROポ
リペプチド又はその断片との結合に関して、試験化合物と特異的に競合する競合
薬剤スクリーニングアッセイを考慮する。この方法では、PROポリペプチドと
一つ又は複数の抗原決定基を共有する任意のペプチドの存在を検出することに使
用することができる。
実施例15: 合理的薬物設計
合理的薬物設計の目的は、対象とする生物学的活性ポリペプチド(例えば、P
ROポリペプチド)或いはそれらが相互作用する小分子、例えばアゴニスト、ア
ンタゴニスト、又はインヒビターの構造的類似物を製造することである。これら
の例の任意のものが、PROポリペプチドのより活性があって安定な形態の、或
いはインビボでPROポリペプチドの機能を促進又は阻害する薬物の創作に使用
できる(参考、Hodgson,Bio/Technology, 9: 19-21 (1991))。
1つの方法では、PROポリペプチド、又はPROポリペプチド-インヒビタ
ー複合体の三次元構造が、X線結晶学によって、コンピュータモデル化によって
、最も典型的には2つの方法の組み合わせによって決定される。分子の構造を解
明し、活性部位を決定するためには、PROポリペプチドの形状及び電荷の両方
が確認されなければならない。数は少ないが、PROポリペプチドの構造に関す
る有用な情報が、相同タンパク質の構造に基づいたモデル化によって得られるこ
ともある。両方の場合では、関連する構造情報は、類似PROポリペプチド様分
子の設計又は効果的なインヒビターの同定に使用される。合理的な薬剤設計の有
用な例としては、Braxton及びWells,Biochemistry, 31: 7796-7801 (1992)に示
されているような向上した活性又は安定性を持つ分子、或いはAthaudaら,J. Bio
chem., 113:742-746 (1993)に示されているような天然ペプチドのインヒビター
、アゴニスト、又はアンタゴニストとして作用する分子を含む。
また、上記のような機能アッセイによって選択された標的特異的な抗体を単離
し、その結晶構造を解明することもできる。この方法によって、原理的には、そ
れに続く薬剤設計が準拠することのできるファーマコア(pharmacore)が生成され
る。機能的な薬理学的に活性な抗体に対する抗-イディオタイプ抗体(抗-ids)
を生成することによって、タンパク質結晶学を完全にバイパスすることができる
。鏡像の鏡像として、抗-idsの結合部位は最初のレセプターの類似物であると予
測できる。次いで、抗-idは、化学的又は生物学的に製造したペプチドのバンク
からペプチドを同定し、単離するのに使用できる。単離されたペプチドは、ファ
ーマコアとして機能するであろう。
本発明によって、X線結晶学のような分析実験を実施するために十分な量のP
ROポリペプチドが入手可能である。その上、ここで提供したPROポリペプチ
ドのアミノ酸配列の知識は、X線結晶学に代わる又はそれに加わるコンピュータ
モデル化技術で用いられるガイダンスを提供する。
実施例16: インビトロ抗腫瘍アッセイ
PRO943、PRO1250、及びPRO1337ポリペプチドの抗増殖活
性を、基本的にはSkehan等,J. Natl. Cancer Inst., 82:1107-1112(1990)によ
って記載されているスルホローダミンB(SRB)染色結合アッセイを使用して
、国立ガン研究所(NCI)の治験疾患指向インビトロ抗ガン薬発見アッセイで
決定した。この研究で使用した60の腫瘍細胞株(「NCIパネル」)と同様に
インビトロでのそれらの維持と培養に関する条件は、Monks等, J. Natl. Cancer
Inst.,83:757-766 (1991)によって記載されている。このスクリーニングの目
的は、異なったタイプの腫瘍に対して試験化合物の細胞障害及び/又は細胞***
停止活性を初期に評価することである(上掲のMonks等;Boyd, Cancer: Princ.
Pract. Oncol.Update, 3(10):1-12[1989])。
およそ60のヒト腫瘍細胞株由来の細胞をトリプシン/EDTA(Gibco)で
収集し、一度洗浄し、IMEMに再懸濁させ、その生存度を決定した。細胞懸濁
物をピペット(100μl容量)で別個の96ウェルのマイクロタイタープレー
トに加えた。過成長を防ぐため、6日のインキュべーションの細胞密度は、2日
のインキュべーションのインキュベーションより少なかった。安定化のために、
37℃での24時間のプレインキュベーション時間で播種が可能になった。意図
した試験濃度の2倍希釈物が、時間ゼロの時点で、100μlの分割量でマイク
ロタイタープレートウェルに加えられた(1:2の希釈)。試験化合物を5倍半
の対数希釈で評価した(1000から100,000倍)。インキュベーション
は、5%のCO雰囲気及び100%湿度で、2日間及び6日間行われた。
インキュべーション後、培地を取り除き、細胞を40℃で0.1mlの10%ト
リクロロ酢酸中に固定した。プレートを脱イオン水で5回洗浄し、乾燥させ、1
%酢酸に溶解した0.1mlの0.4%スルホローダミンB染料(Sigma)で30
分間染色し、1%酢酸で4回洗い流して未結合染料を取り除き、乾燥させ、0.
1mlの10mMトリス塩基[トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン]、pH10
.5で5分間で染色物を抽出した。492nmでのスルホローダミンBの吸光度
(OD)を、コンピュータに接続した96ウェルのマクロタイタープレートリー
ダーを使用して測定した。
試験試料は一回又は複数の濃度で、少なくとも40%の成長阻害効果を示すと
ポジティブと考えられる。結果を次の表7に示すが、そこでは腫瘍細胞型の省略
記号は次の通りである:
NSCL=非小細胞肺ガン;CNS=中枢神経系
Figure 2007238619
材料の寄託
次の材料をアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション, 10801 ユ
ニバーシティ・ブルバード、マナッサス、バージニア20110−2209米国
(ATCC)に寄託した:
Figure 2007238619
これらの寄託は、特許手続き上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペス
ト条約及びその規則(ブダペスト条約)の規定に従って行われた。これは、寄託の
日付から30年間、寄託の生存培養物が維持されることを保証するものである。
寄託物はブダペスト条約の条項に従い、またジェネンテク社とATCCとの間の
合意に従い、ATCCから入手することができ、これは、何れが最初に来ようと
も、関連した米国特許の発行時又は任意の米国又は外国特許出願の公開時に、寄
託培養物の後代を永久かつ非制限的に入手可能とすることを保証し、米国特許法
第122条及びそれに従う特許庁長官規則(特に参照番号886OG638の3
7CFR第1.14条を含む)に従って権利を有すると米国特許庁長官が決定し
た者に子孫を入手可能とすることを保証するものである。
本出願の譲受人は、寄託した材料の培養物が、適切な条件下で培養されていた
場合に死亡もしくは損失又は破壊されたならば、材料は通知時に同一の他のもの
と速やかに取り替えることに同意する。寄託物質の入手可能性は、特許法に従い
あらゆる政府の権限下で認められた権利に違反して、本発明を実施するライセン
スであるとみなされるものではない。
上記の文書による明細書は、当業者に本発明を実施できるようにするために十
分であると考えられる。寄託した態様は、本発明のある側面の一つの説明として
意図されており、機能的に等価なあらゆる作成物がこの発明の範囲内にあるため
、寄託された作成物により、本発明の範囲が限定されるものではない。ここでの
材料の寄託は、ここに含まれる文書による説明が、そのベストモードを含む、本
発明の任意の側面の実施を可能にするために不十分であることを認めるものでは
ないし、それが表す特定の例証に対して請求の範囲を制限するものと解釈される
ものでもない。実際、ここに示し記載したものに加えて、本発明を様々に変形す
ることは、前記の記載から当業者にとっては明らかなものであり、添付の請求の
範囲内に入るものである。
Figure 2007238619
Figure 2007238619
配列番号:1が、ここにおいて「DNA52192−1369」と命名された天然配列PRO943cDNAのヌクレオチド配列(配列番号:1)。 Fig1(図1)に示す配列番号:1のコード化配列から誘導されたアミノ酸配列(配列番号:2)。 配列番号:3が、ここにおいて「DNA60775−1532」と命名された天然配列PRO1250cDNAのヌクレオチド配列(配列番号:3)。 Fig3(図3)に示す配列番号:3のコード化配列から誘導されたアミノ酸配列(配列番号:4)。 配列番号:5が、ここにおいて「DNA66672−1586」と命名された天然配列PRO1337cDNAのヌクレオチド配列(配列番号:5)。 Fig5(図5)に示す配列番号:5のコード化配列から誘導されたアミノ酸配列(配列番号:6)。

Claims (1)

  1. 本明細書に記載されるような、腫瘍性細胞成長阻害のための組成物及び方法。
JP2007083124A 2000-01-06 2007-03-27 腫瘍性細胞成長阻害のための組成物及び方法 Withdrawn JP2007238619A (ja)

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PCT/US2000/000376 WO2000053755A2 (en) 1999-03-08 2000-01-06 Compositions and methods for the treatment of tumor
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