JP2007223888A - 複屈折率の進相軸が同心円接線方向に分布する合成石英ガラスおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複屈折率の進相軸が同心円接線方向に分布する合成石英ガラスを得る。
【解決手段】波長250nm以下の光を光源とする光学装置内で使用される直径が100mm以上の合成石英ガラスであって、合成石英ガラスの光軸に垂直な面の外周より10mm以上内側の領域において、複屈折率が波長193nmで厚さ1cm当たり0.5nm以下であり、OH基濃度が60ppm以下であり、合成石英ガラスの中心から外周部方向へのOH基濃度の合成石英ガラスの半径で規格化された平均勾配が−8ppm以上+60ppm以下であり、所定のOH基濃度分布を有する合成石英ガラス。
【選択図】図4
【解決手段】波長250nm以下の光を光源とする光学装置内で使用される直径が100mm以上の合成石英ガラスであって、合成石英ガラスの光軸に垂直な面の外周より10mm以上内側の領域において、複屈折率が波長193nmで厚さ1cm当たり0.5nm以下であり、OH基濃度が60ppm以下であり、合成石英ガラスの中心から外周部方向へのOH基濃度の合成石英ガラスの半径で規格化された平均勾配が−8ppm以上+60ppm以下であり、所定のOH基濃度分布を有する合成石英ガラス。
【選択図】図4
Description
本発明は、露光光源が短波長、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)やF2エキシマレーザー(波長157nm)の露光装置の光学部材として用いられる複屈折率の進相軸の分布が同心円接線方向に分布する合成石英ガラスおよびその製造方法に関する。
従来より、半導体デバイスの微細回路パターン形成技術において光リソグラフィー技術が用いられ、露光装置が広く利用されている。近年、集積回路の高集積化および高速動作化、低消費電力化に伴い、集積回路の微細化の進行が著しい。このため露光装置においては、深い焦点深度を保ちつつ、高い解像度を得ることが求められている。
高い解像度を得るため、露光光源の短波長化が進められている。露光光源には、従来のg線(波長436nm)やi線(365nm)から、最近ではKrFエキシマレーザー(波長248nm)やArFエキシマレーザー(波長193nm)が用いられるようになってきた。また、投影レンズの開口数を大きくすることで高い解像度を得ることも進められており、レンズの大口径化とともに、純水や高屈折率液体を用いた液浸露光技術も適用され始めている(例えば、非特許文献1参照。)。
大和壮一、「液浸リソグラフィー技術」、応用物理 第74巻 第9号、pp.1192−1195(2005)
微細半導体プロセスにおける露光装置に使用される光学部材の要求物性のひとつとして複屈折があり、この複屈折によって光学系の結像特性は劣化する。複屈折とは、媒質の屈折率が光の偏光方向によって異なる性質を指し、一般には光学異方性を有する結晶質媒質において見られる性質である。合成石英ガラスのような非晶質媒質においては、複屈折は合成石英ガラス中の応力によって誘起される。定量的には、ある光軸上において偏光方向による屈折率の最大値と最小値の差を複屈折率と定義する。複屈折率は複屈折の絶対値を表す。最小の屈折率を示す偏光方向に平行な方向軸を、その偏光方向の光波の位相が最も速く進行するという意味から、進相軸と定義する。進相軸は複屈折の方向を表す。この逆として、最大の屈折率を示す偏光方向に平行な方向軸を遅相軸と呼ぶ。なお、非晶質媒質における複屈折は媒質中の応力に起因するため、進相軸、遅相軸の方向は応力の主軸方向に依存する。一般的に、光学部材に用いられる合成石英ガラスの応力場は、光軸に垂直な平面に対して平面応力場を仮定することが可能であり、その場合に応力の主軸は互いに直交することから、進相軸と遅相軸は直交関係にある。
最近の半導体デバイスの微細化により、複屈折による結像特性の劣化の影響は無視できないものとなっている。したがって、合成石英ガラスの複屈折率の低下要求は年々厳しくなっている。さらには、露光装置の光学系においては複数の合成石英ガラスおよびその他材料の光学部材が使用されている。このため、実際のウェハ上での結像特性に関係する複屈折率は、光源よりウェハに至って、光軸を横切る全ての光学部材の複屈折効果を積算したものに相当する(以下、この複屈折率を、積算相当の複屈折率と呼ぶ。)。ゆえに、この積算相当の複屈折率を低くするため、同一光学系に含まれる個々の合成石英ガラスの複屈折率はより低い値である必要があり、製造上その達成が極めて困難なレベルまで低減させることを要求されている。
一般に、光学部材に用いられる合成石英ガラスの複屈折率を低減するには、合成石英ガラス中の残留応力を除去することが良く、応力除去のための適切な徐冷処理を行うことが有効であると知られている。ここでいう適切な徐冷処理としては、例えば、合成石英ガラス中の残留応力を解放するために高温下で充分長時間保持し、かつ冷却時に新たな残留応力を発生させないために冷却速度を充分低くする方法が挙げられる(残留応力の除去を目的としたこのような徐冷を、本発明においては、以下、精密徐冷と呼ぶこととする)。精密徐冷処理の降温速度を十分下げることにより、複屈折率が低い合成石英ガラスを製造することができる。しかしこの場合、精密徐冷処理に要する時間が長くなるため、生産性が著しく低下する、または処理環境からの不純物汚染が生じやすくなる、などの欠点がある。
一方、同一光学系を構成する各光学部材の進相軸方向の組み合わせにより、上述の積算相当の複屈折率を低減させる方法も知られている。これについて、2つの合成石英ガラスからなる光学系の場合を例にとり、以下に説明する。A、B2つの合成石英ガラスの複屈折率が同じであって、かつ進相軸の方向が互いに直交するような分布を有する場合、合成石英ガラスAの進相軸と同Bの遅相軸が同一方向に重なるため、2つの合成石英ガラスの複屈折の効果は相殺され、積算相当の複屈折率はゼロになる。
したがって、複数の光学部材からなる光学系の積算相当の複屈折を低減するには、光学系を構成する個々の合成石英ガラスの複屈折率の低減に加え、進相軸の方向を制御することが有効である。特に、個々の合成石英ガラスの複屈折率の低減の要求が、製造上極めて厳しいレベルに到達しつつあることから、この進相軸の制御による方法は今後重要性を増すことが予想される。
しかしながら、従来、合成石英ガラスの進相軸の方向を制御する製造方法は充分確立されておらず、所定の分布を有する合成石英ガラスを生産することは困難であった。
前述の課題を解決するため、本発明は合成石英ガラスの進相軸の方向を制御し、所定の進相軸方向の分布を有する合成石英ガラスを提供することを目的とする。
本発明者らは、光学部材に用いられる合成石英ガラスの進相軸の分布に影響を与える因子について詳細に検討を行った結果、合成石英ガラスに含まれるOH基の濃度分布が進相軸の分布に影響を与える因子であり、OH基の濃度分布を制御することにより所望の進相軸方向の分布を得られることを突き止めた。
即ち、本発明の第1は、波長250nm以下の光を光源とする光学装置内で使用される直径が100mm以上の合成石英ガラスであって、合成石英ガラスの光軸に垂直な面の外周より10mm以上内側の領域において、複屈折率が波長193nmで厚さ1cm当たり0.5nm以下であり、OH基濃度が60ppm以下であり、合成石英ガラスの中心から外周部方向へのOH基濃度の合成石英ガラスの半径で規格化された平均勾配が−8ppm以上+60ppm以下であり、[数1]の関係式で求められる合成石英ガラスの中心から外周部方向へのOH基濃度の合成石英ガラスの半径で規格化された勾配の不偏標準偏差σが10ppm以下であることを特徴とする合成石英ガラスを提供する。
本発明の第2は、波長250nm以下の光を光源とする光学装置内で使用される直径が100mm以上の合成石英ガラスであって、合成石英ガラスの光軸に垂直な面の合成石英ガラスの中心から外径の90%の領域において、複屈折率が波長193nmで厚さ1cm当たり0.5nm以下であり、OH基濃度が100ppm以下であり、合成石英ガラスの中心でのOH基濃度と合成石英ガラスの中心から外径の90%の位置でのOH基濃度との差が−8ppm以上+60ppm以下であり、[数2]の関係式で求められる合成石英ガラスの中心から外周部方向へのOH基濃度の合成石英ガラスの半径で規格化された勾配の不偏標準偏差σが10ppm以下であることを特徴とする合成石英ガラスを提供する。
本発明の第3は、嵩密度が0.10〜0.90g/cm3の多孔質ガラス体を減圧下または低水蒸気分圧雰囲気下で1100〜1350℃の温度にて60時間以上保持して脱水を行う脱水工程を含むことを特徴とする合成石英ガラスの製造方法を提供する。
第1、第2の合成石英ガラスは共に、OH基の濃度分布を制御することにより得られ、進相軸方向が同心円接線方向に分布する合成石英ガラスである。
本発明により提供される合成石英ガラスは、進相軸方向が同心円接線方向に分布しており、進相軸方向が放射状に分布している合成石英ガラスの光学部材と組み合わせることにより、露光光源が短波長、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)やF2エキシマレーザー(波長157nm)の露光装置の光学部材として好適である。
本発明の実施の形態について、以下、例を挙げて説明するが、本発明は以下の説明ならびに例示により、制限されるものでない。
本発明における合成石英ガラスの進相軸方向の定義について以下に説明する。図1は、円形の合成石英ガラスにおいて、光軸に対し垂直な平面における、複屈折評価点の位置および進相軸の方向を幾何的に示した模式図である。図1において、Oは合成石英ガラスの中心軸の位置を示し、この点を図1にて示される座標系の原点とする。また、原点Oを通る座標軸として任意の方向にX軸を取り、またX軸に直交する座標軸としてY軸を定める。Pは合成石英ガラスの任意の複屈折評価点、Fは複屈折評価点Pにおける進相軸、Rxyは原点Oと複屈折評価点Pとを結ぶ直線とX軸とのなす角度、Dxyは複屈折評価点Pにおける進相軸FとX軸との角度を示す。
任意の複屈折評価点Pにおける、合成石英ガラスの中心から複屈折評価点Pに向かう直線の角度(Rxy)と複屈折評価点Pにおける進相軸Fの方向(Dxy)との差の絶対値が90°以下の場合、下記式(1)に基づいてθxyを定義する。また、複屈折率測定点Pにおける、合成石英ガラスの中央から複屈折評価点Pに向かう直線のX軸との角度(Rxy)と複屈折評価点Pにおける進相軸Fの方向(Dxy)との差の絶対値が90°を越える場合、下記式(2)に基づいてθxyを定義する。
|Rxy−Dxy|≦90°の場合:θxy=|Rxy−Dxy| (1)
|Rxy−Dxy|>90°の場合:θxy=180−|Rxy−Dxy| (2)。
|Rxy−Dxy|≦90°の場合:θxy=|Rxy−Dxy| (1)
|Rxy−Dxy|>90°の場合:θxy=180−|Rxy−Dxy| (2)。
このようにθxyを定義した場合、任意の複屈折評価点Pにおけるθxyが0°の場合は理想的な放射方向、また、90°の場合は理想的な同心円接線方向にあたる。一方、θxyがそれら以外の中間的な角度、つまりθxyが0°を超え90°を超えない範囲の値である場合、本発明においては次のようにカテゴライズする。任意の複屈折評価点Pにおけるθxyが45°未満の場合は放射方向、一方、θxyが45°以上の場合は同心円接線方向とそれぞれ定義する。なお、θxyが45°である場合は同心円接線方向の範疇に含めることとする。
本発明は、合成石英ガラスのOH基の濃度分布を制御することにより、合成石英ガラスにおいて進相軸方向を同心円接線方向に分布させるものである。
本発明の合成石英ガラスの製造方法において、OH基の濃度分布の制御に関わる部分としては、例えば以下の方法がある。
ガラス微粒子生成のための気体原料を高温環境下で酸化させて得られる石英ガラス微粒子を基板に堆積させ、多孔質石英ガラス体を得る。次に、得られた多孔質石英ガラス体を、低水蒸気分圧雰囲気下または減圧下で透明ガラス化する温度よりやや低い温度に保持し、多孔質石英ガラス体から脱水を行い、OH基の濃度を低下させる。次いで、多孔質石英ガラス体が透明ガラス化する温度まで昇温加熱して透明ガラス化させ、石英ガラス体とする。このとき、脱水工程の雰囲気や温度、保持時間などの調節により、ガラス化後の合成石英ガラス中のOH基濃度分布を制御することが可能となる。
用いられるガラス微粒子生成原料としては、ガス化可能な原料であれば特に制限されるものではない。SiCl4、SiHCl3、SiH2Cl2、Si(CH3) Cl3、等の塩化物、SiF4、SiH2F2等のフッ化物、SiBr4、SiHBr3等の臭化物、SiI4のヨウ化物等のハロゲン化珪素化合物が、蒸気圧が比較的高くガス化しやすいなどの面から好ましい。さらに、塩化物は原料コストの面や高純度原料を得やすいなどの面で極めて好ましい。多孔質石英ガラス体は、一般的にはこれらのガラス微粒子生成気体原料を酸水素火炎中で酸化させ、火炎中で合成されたガラス微粒子を基板上に付着堆積させて形成される。
本発明は、このようにして得られた多孔質石英ガラス体の脱水処理方法を変更することにより、合成石英ガラスの進相軸を同心円状に分布させることを目的とする。
上記方法の脱水処理によれば、いずれの方法においても多孔質石英ガラス体の表面から脱水が行われるため、脱水処理後の透明石英ガラス体のOH基濃度は石英ガラス体表面で低く、中心軸に近づくにつれ高くなる傾向がある。
脱水処理時間が比較的短い場合は、主に多孔質石英ガラス体表面のOH基が放出され、一方、中心付近ではOH基が放出されず残留しやすい。このため、透明化した合成石英ガラスのOH基の濃度分布は合成石英ガラスの中心軸付近で高くなり、一方、周辺に向かうに従い低下する傾向を示し、例えば図2の様な分布となる。図2は、脱水時間が比較的短い場合の合成石英ガラスのOH基濃度分布例であり、横軸は合成石英ガラスの中心からの距離であり、縦軸はOH基濃度である。
一方、脱水処理時間が充分長い場合は、多孔質石英ガラス体の中心軸付近のOH基も放出されるため、透明化した合成石英ガラスのOH基の濃度分布はほぼ一様になり、例えば図3のような分布となる。図3は、脱水時間が比較的長い場合の合成石英ガラスのOH基濃度分布例であり、横軸は合成石英ガラスの中心からの距離であり、縦軸はOH基濃度である。
ここで、OH基濃度分布と進相軸の方向の関係について本発明者らが鋭意検討した結果、OH基濃度分布が図2のような場合、合成石英ガラスの大部分において、進相軸の方向は放射方向つまり図1におけるθxyは45°未満となり、一方、図3のような場合には、接線方向つまりθxyは45°以上になる傾向が高くなることを見出した。
図4に、請求項1の記載内容にて定義される、OH基濃度の平均勾配と進相軸方向の関係を示す。
図4の横軸はOH基濃度の平均勾配を示している。OH基濃度の平均勾配は、具体的には、以下の方法で算出する。測定値のノイズの除去のため、ある半径位置およびそれに隣接する前後の測定点の計3点での濃度の移動平均処理を行う。次いで、ノイズ除去後のOH基濃度分布の隣り合う2点の測定値からその中点における濃度勾配を算出する。最後に、中点における濃度勾配をさらに全評価対象領域で平均化する。また、請求項1または2に記載の勾配の不偏標準偏差は、ノイズ除去後に算出した全評価対象領域内の各点において測定された濃度勾配の値を、母集団からサンプリングされた標本とみなして計算された標準偏差である。なお、本発明でいうOH基濃度の平均勾配および不偏標準偏差は、勾配の分母に当たる半径を合成石英ガラスの半径で規格化して値を用いている。このため、算出される平均値および不偏標準偏差の単位には長さの次元が現れない。
図4の縦軸は進相軸の方向を複屈折評価点の全評価対象領域、すなわち合成石英ガラスの外縁から10mm内側の全領域で平均化した値を示している。なお、図4に示されるデータにおいて、精密徐冷条件は同一であり、上記[数1]の関係式で求められる勾配の不偏標準偏差σは10ppm以下である。
図4より、OH基濃度の平均勾配が低い場合は進相軸の平均角度が小さくなる、すなわち放射方向になることがわかる。一方、図4より平均勾配が正値側へ向かって大きくなるに従い進相軸の平均角度は90°に近づき、すなわち接線方向になることもわかる。
具体的には勾配が−10ppmよりも低い場合は進相軸の平均角度は45°よりも小さくなり、−10ppm以上の勾配を有する場合に進相軸の平均角度は45°以上になる。また、勾配が−15ppmよりも低い場合は進相軸の平均角度は30°よりも小さくなり、−5ppm以上の勾配を有する場合に進相軸の平均角度は55°以上になる。
また、[数1]の関係式で求められる勾配の不偏標準偏差σは好ましくは10ppm以下、より好ましくは7ppm以下、特に好ましくは5ppm以下である。[数1]の関係式で求められる勾配の不偏標準偏差σが10ppmを超える場合、OH濃度分布の勾配のばらつきが大きくなるため、局所的にはOH濃度勾配が所望の範囲、より具体的には−8ppm以上+60ppm以下の範囲から著しく外れる部位が生じる可能性が高くなる。その場合、例えば、硝材の一部分において所望の方向の角度を有する進相軸が得られない恐れが生じるなど、不具合が発生することになる。このため、同一光学系を構成する各光学部材の進相軸方向を組み合わせ、複屈折の効果を相殺することにより、上述の積算相当の複屈折率を低減させることができなくなる。
図4に示されるような、OH基濃度の平均勾配と進相軸方向の関係を用い、合成石英ガラスにおけるOH基濃度の平均勾配を制御することによって、進相軸の方向の制御が可能となる。
図5に合成石英ガラスの中心から外径の90%の位置でのOH基濃度値から合成石英ガラスの中心でのOH基濃度値を引いた差と進相軸方向の関係を示す。
図5の横軸は合成石英ガラスの光軸に垂直な面において、合成石英ガラスの中心から外径の90%の位置でのOH基濃度値から合成石英ガラスの中心でのOH基濃度値を引いた差を示している。
図5の縦軸は進相軸の方向を複屈折評価点全体で平均化した値を示している。なお、図5に示されるデータにおいて、精密徐冷条件は同一であり、上記[数2]の関係式で求められる勾配の不偏標準偏差σは10ppm以下である。
図5より、合成石英ガラスの中心から外径の90%の位置でのOH基濃度値から合成石英ガラスの中心でのOH基濃度値を引いた差が小さい場合は進相軸の平均角度が小さくなる、すなわち放射方向になることがわかる。一方、図5より差が正値側へ向かって大きくなるに従い進相軸の平均角度は90°に近づき、すなわち接線方向になることもわかる。
具体的には差が−8ppm未満の場合は進相軸の平均角度は45°よりも小さくなり、−8ppm以上の差を有する場合に進相軸の平均角度は45°以上になる。また、差が約−10ppmよりも低い場合は進相軸の平均角度は30°よりも小さくなり、約−3ppm以上の差を有する場合に進相軸の平均角度は55°以上になる。
また、[数2]の関係式で求められる勾配の不偏標準偏差σは好ましくは10ppm以下、より好ましくは7ppm以下、特に好ましくは5ppm以下である。[数2]の関係式で求められる勾配の不偏標準偏差σがは10ppmを超える場合、OH濃度分布の勾配のばらつきが大きくなるため、局所的にはOH濃度勾配が所望の範囲、より具体的には−8ppm以上+60ppm以下の範囲から著しく外れる部位が生じる可能性が高くなる。その場合、例えば、硝材の一部分において所望の方向の角度を有する進相軸が得られない恐れが生じるなど、不具合が発生することになる。このため、同一光学系を構成する各光学部材の進相軸方向を組み合わせ、複屈折の効果を相殺することにより、上述の積算相当の複屈折率を低減させることができなくなる。
図5に示されるような、合成石英ガラスの中心から外径の90%の位置でのOH基濃度値から合成石英ガラスの中心でのOH基濃度値を引いた差と進相軸方向の関係を用い、合成石英ガラスにおけるOH基濃度の平均勾配を制御することによっても、進相軸の方向の制御が可能となる。
このOH基濃度の平均勾配または差による進相軸方向の制御方法は、次のような利点を有する。従来、複屈折率や進相軸方向の制御には精密徐冷の条件を変更することでのみ行われていた。しかしこの精密徐冷のみによる方法では、複屈折の絶対値を示す複屈折率と、方向を示す進相軸の両方を独立に制御することが難しい。例えば所望の進相軸を得るように精密徐冷条件を変更した場合、それに従属して複屈折率が望まない値に変化してしまうことが多かった。従って、複屈折率と進相軸の両方を所望の値に制御することができず、結果として、両者はそれぞれ妥協的な値になってしまうことを余儀なくされていた。またその妥協的な値を得るための精密徐冷の条件の妥当範囲は狭く、高度に制御する必要があった。このため、そのことが製品の歩留まり向上を困難なものにしていた。
一方、本発明による方法では、OH基濃度の平均勾配または差によって進相軸が制御可能となる。このため、従来の精密徐冷条件のみによる制御では得られないような複屈折率と進相軸をともに妥協なく得ることが可能となる。また精密徐冷条件の妥当範囲の制限も緩和され、歩留まり向上に寄与する。
合成石英ガラスに含まれるOH基濃度の平均勾配または差と進相軸方向との物理的な因果関係については、以下のようなことが考えられる。
OH基濃度の平均勾配または差がゼロすなわちOH基濃度分布が均一に近い場合、あるいは平均勾配または差が正値すなわち中心軸付近から外周部に向かってOH基濃度が徐々に上昇するような分布を有している場合、合成石英ガラスの残留応力は、精密徐冷の降温時の粘性緩和の挙動により支配されると考えられる。なお、この粘性緩和作用は、シリコン原子や酸素原子の自己拡散に起因した物理作用であり、後述するOH基による構造緩和作用とは異なる。前者の緩和作用を主緩和作用、後者を副緩和作用とも呼ぶ。この粘性緩和作用の結果として生じる永久歪みの大きさは、ガラス化温度付近での合成石英ガラスの温度分布と粘性係数に陽に依存し、さらに合成石英ガラスの場合、粘性係数はOH基濃度に影響を受ける。通常、合成石英ガラスは外側から冷却が行われ、その時の温度分布は外周に近づくほど大きくなりやすい。また上記のようなOH基濃度分布を有している場合は粘性係数はほぼ一定、あるいは外周に近づくほど粘性係数が小さくなるような分布を有する。したがってこの場合は、外周に近いほど永久ひずみは引張り側に大きくなる。引張りの永久ひずみは、合成石英ガラスを室温まで冷却し均一な温度分布となった状態では圧縮応力を誘起するため、この場合は進相軸は同心円接線方向になる。
一方、OH基濃度の平均勾配または差が負側に充分大きい、すなわち中心軸付近のOH基濃度が高く外周へ向かって濃度が大きく低下するような分布を有している場合、合成石英ガラスの永久ひずみは上述の粘性緩和作用(主緩和作用)による影響を受けるものの、その影響よりもOH基による構造緩和作用(副緩和作用)に支配されるようになる。合成石英ガラス中に3員環や4員環の構造とOH基が共存する場合、OH基によりそれらが開環作用を受け、Si−O−Si結合の低エネルギー化が図られる。この開環作用により、局所的な合成石英ガラスの密度の低下を引き起こすことが考えられる。このように考えた場合、合成石英ガラス中心軸付近でのOH基濃度が高いと、合成石英ガラスの中心軸付近での密度は外周付近の密度に対し相対的に低くなる。この密度差により、中心軸付近で圧縮、外周付近で引張の応力成分が生じる。この副緩和作用による応力成分が、上述の主緩和作用による応力成分よりも大きくなった場合、進相軸は放射方向となる。
以上から、合成石英ガラスの進相軸を放射状に分布させるには、脱水時間を比較的短くし中心から外周部方向へのOH基濃度の平均勾配を−8ppm未満、または中心から外径の90%の位置でのOH基濃度から中心でのOH基濃度を引いた差を−8ppm未満とするのが好ましい。より好ましくは、中心から外周部方向へのOH基濃度の平均勾配を−10ppm未満、または中心と外周部とのOH基濃度の差を−10ppm未満とする。中心から外周部方向へのOH基濃度の平均勾配を−8ppm未満、または中心と外周部とのOH基濃度の差を−8ppm未満とするには、減圧下または低水蒸気分圧雰囲気下で1100〜1350℃の温度にて10時間以上50時間未満保持して脱水を行う。
脱水工程における温度範囲は、好ましくは1100〜1350℃、より好ましくは1200〜1300℃が良い。1100℃以下ではOH基の結合の切断に充分なエネルギーが得られないためOH基除去速度が低下する。一方、1350℃以上ではOH基除去速度は高くなるが、次のような不具合が生じる。すなわち、多孔質石英ガラス体の焼結が進行するため、ガラス化が早く進行した部分ではOH基が過度に残留しやすくなる。一方、ガラス化の進行が比較的遅かった部分では脱水が過度に進行し酸素欠乏型欠陥が生じやすくなる。このようにOH基除去の部分的な過不足が生じやすく、また酸素欠乏型欠陥も生じやすくため、好ましくない。
また、脱水工程の雰囲気については低水蒸気分圧雰囲気および減圧のいずれでも良い。不活性ガスなどを用い低水蒸気分圧雰囲気で行う場合には、脱水工程に続いて行われるガラス化工程においてガラス中に取り込まれないように、ガラス化工程が始まる前に雰囲気ガスを十分排気し、雰囲気ガスにHeなどガラス中での透過率の高い気体を用いることが好ましい。一方、脱水工程を減圧下にて行う場合、真空度は、好ましくは10Pa以下、より好ましくは1Pa以下が良い。
一方、合成石英ガラスの進相軸を同心円接線方向に分布させるには、脱水時間を長くしガラス体の中心から外周部方向へのOH基濃度の平均勾配を−8ppm以上、または中心から外径の90%の位置でのOH基濃度から中心でのOH基濃度を引いた差を−8ppm以上とするのが好ましい。より好ましくは、中心から外周部方向へのOH基濃度の平均勾配を−5ppm以上、または中心と外周部方向とのOH基濃度の差を−5ppm以上とする。
中心から外周部方向へのOH基濃度の平均勾配を−8ppm以上、または中心と外周部方向とのOH基濃度の差を−8ppm以上とするには、減圧下または低水蒸気分圧雰囲気下で1100〜1350℃の温度にて60時間以上保持して脱水を行う。
上記脱水工程における温度範囲内で多孔質ガラス体を保持する時間は、好ましくは60時間以上、より好ましくは65時間以上90時間以下が良い。
脱水工程における多孔質ガラス体の嵩密度は、好ましくは0.10〜0.90g/cm3、より好ましくは0.20〜0.50g/cm3が良い。
好ましい温度範囲や雰囲気については、上述の理由で同様に決定される。
次いで脱水後の多孔質石英ガラス体は、透明ガラス化温度まで昇温されて透明ガラス化し、石英ガラスとする。
得られた石英ガラス体を所望の形状に成型加工するため、成形型を用い軟化点以上の温度で加熱成形する。成型加工の温度域は1650〜1800℃の範囲から選択することが好ましい。1650℃未満の温度では石英ガラスの粘度が高いため、実質的に自重変形が行われず、またSiO2の結晶相であるクリストバイライトの成長がおこり、いわゆる失透が生じるため好ましくない。1800℃を超える温度ではSiO2の昇華が無視できないこと、および成形雰囲気からの不純物拡散による汚染が生じやすくなり、好ましくない。
なお、石英ガラス体の自重変形を行わせる方向は特に規定されないが、多孔質石英ガラス体の成長方向と同一な方向に成形圧縮させることによって、成型後の合成石英ガラスの物性が軸対称に分布することから、好ましい。
得られた石英ガラス体を、電気炉内において、徐冷点以上の温度、おおよそ1000〜1400℃に昇温し、10〜30時間保持後、精密徐冷を行う。
精密徐冷工程における真空度は、好ましくは10Pa以下、特に好ましくは1Pa以下である。真空度を10Pa以下にすることにより、石英ガラス体からの主な放熱を対流による放熱ではなく輻射による放熱にし、石英ガラス体を均一に冷却できる。
昇温温度が1000℃未満の場合は複屈折低減の効果は少なく、好ましくない。一方、1400℃を超える温度では不純物を核としたクリストバライト微結晶の形成による失透が生じやすくなり、好ましくない。
精密徐冷時の降温速度は、5℃/hour以下、より好ましくは1℃/hour以下が好ましい。降温速度が5℃/hourを超える場合、合成石英ガラス内に大きな温度差が生じやすくなり、それに起因する熱応力によって、所望の複屈折の実現に適さない永久ひずみが生じてしまい、低複屈折率の合成石英ガラスを製造する目的においては不適当である。
精密徐冷後の石英ガラス体は、研削、切断加工などを経て露光装置用の光学部材とする。直径の大きな光学部材では、複屈折による結像特性の劣化の影響は無視できないものとなる。このため、本発明に適する光学部材としては、好ましくはφ100mm以上、より好ましくはφ200mm以上、更に好ましくはφ400mm以上の光学部材である。
また、OH基は260nm吸収帯を持つ欠陥の前駆体であり、OH基が多いとこの欠陥が生じるおそれがある。レーザ光照射時の透過率低下を抑制するため、OH基濃度を好ましくは60ppm以下、より好ましくは30ppm以下、更に好ましくは20ppm以下にする。
得られた光学部材の複屈折率および複屈折の進相軸の方向は、例えば、光源を波長633nmのHe−Neレーザーによる光ヘテロダイン法により測定される。露光装置内の光学部材用レンズであれば、複屈折率値は1nm/cm以下、より好ましくは0.5nm/cm以下、さらには0.2nm/cm以下が適している。
複屈折評価点の間隔は、10mm以下であることが好ましく、1mm以上であることが好ましい。10mm以上であると光学部材の複屈折率、進相軸の分布を正確に把握出来ない可能性があり、好ましくない。1mm以下であると測定時間が膨大になり生産的に好ましくない。
以下、複屈折の進相軸の方向の測定点について説明する。複屈折の進相軸の方向を測定する場合の測定面は合成石英ガラスの光軸に垂直な面である。測定領域は測定面の中心からの距離が測定面の中心から測定面の外周上の点までの距離の90%以下の領域、または測定面の外周から10mmの線より内側の領域である。測定点は、中心を通る測定領域上の直線上の点とする。測定領域は円形であり、測定点は任意の直径上の点である。図6に測定面1における進相軸の方向の測定領域2、進相軸の方向の測定点3、測定面1の中心を通る線4を例示する。
以下に本発明の具体的な例として、実施例を示す。例1、3は参考例であり、例2、4は実施例である。本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[例1]
SiCl4を酸水素炎中に導入し、火炎中で合成された石英ガラス微粒子を基板に堆積、成長させ、多孔質石英ガラス体を形成した。
得られた多孔質石英ガラス体は大気圧の高純度He雰囲気下で1150℃の温度にて30時間保持して脱水を行った。
脱水工程の後、当該多孔質石英ガラス体を10Pa以下の減圧下において1500℃の温度で3時間保持し、ガラス化した。
得られた合成石英ガラス体を不活性雰囲気下で1700℃に加熱し、円柱状に成型加工を行い、合成石英ガラス成形体を製造した。
合成石英ガラス成形体をスライス、研磨し、直径360mm、厚み60mmの合成石英ガラス体を得た。
SiCl4を酸水素炎中に導入し、火炎中で合成された石英ガラス微粒子を基板に堆積、成長させ、多孔質石英ガラス体を形成した。
得られた多孔質石英ガラス体は大気圧の高純度He雰囲気下で1150℃の温度にて30時間保持して脱水を行った。
脱水工程の後、当該多孔質石英ガラス体を10Pa以下の減圧下において1500℃の温度で3時間保持し、ガラス化した。
得られた合成石英ガラス体を不活性雰囲気下で1700℃に加熱し、円柱状に成型加工を行い、合成石英ガラス成形体を製造した。
合成石英ガラス成形体をスライス、研磨し、直径360mm、厚み60mmの合成石英ガラス体を得た。
次に、得られた合成石英ガラス体を減圧下にて1250℃に昇温し20時間保持した後、2℃/hourで降温し、精密徐冷を行い、測定サンプルとした。
測定サンプルのOH基濃度および複屈折の各分布を測定した。合成石英ガラスの外縁から10mmを除いた内側の領域にて、OH基濃度測定をフーリエ変換赤外分光計により10mm間隔で行い、また複屈折評価を波長633nmのHe−Neレーザーを光源とする光ヘテロダイン法で10mmの評価間隔で行い、式(1)および(2)を用いて進相軸の角度(θxy)の平均値を求めた。その結果、OH基濃度の平均勾配は−10ppm、θxyの平均値は18°であった。
測定サンプルのOH基濃度および複屈折の各分布を測定した。合成石英ガラスの外縁から10mmを除いた内側の領域にて、OH基濃度測定をフーリエ変換赤外分光計により10mm間隔で行い、また複屈折評価を波長633nmのHe−Neレーザーを光源とする光ヘテロダイン法で10mmの評価間隔で行い、式(1)および(2)を用いて進相軸の角度(θxy)の平均値を求めた。その結果、OH基濃度の平均勾配は−10ppm、θxyの平均値は18°であった。
[例2]
脱水工程の処理時間、成型金型以外は例1と同一の方法で合成石英ガラスを作製した。脱水工程の処理時間は、80時間とし、測定サンプルサイズはφ220mm、厚さ60mmとした。このようにして得られた合成石英ガラスを例1と同様に評価した結果、OH基濃度の平均勾配および進相軸の平均角度はそれぞれ−2ppmおよび71°であった。
脱水工程の処理時間、成型金型以外は例1と同一の方法で合成石英ガラスを作製した。脱水工程の処理時間は、80時間とし、測定サンプルサイズはφ220mm、厚さ60mmとした。このようにして得られた合成石英ガラスを例1と同様に評価した結果、OH基濃度の平均勾配および進相軸の平均角度はそれぞれ−2ppmおよび71°であった。
[例3]
脱水工程の処理温度、成型金型以外は例1と同一の方法で合成石英ガラスを作製した。脱水工程の処理条件は、1230℃で30時間保持とし、サンプルサイズはφ270mm、厚さ56mmとした。このようにして得られた合成石英ガラスを、合成石英ガラスの中心から外径の90%の領域にて、OH基濃度測定をフーリエ変換赤外分光計により10mm間隔で行い、また複屈折評価を波長633nmのHe−Neレーザーを光源とする光ヘテロダイン法で10mmの評価間隔で行い、式(1)および(2)を用いて進相軸の角度(θxy)の平均値を求めた。その結果、OH基濃度の平均勾配および進相軸の平均角度はそれぞれ−13ppmおよび21°であった。
脱水工程の処理温度、成型金型以外は例1と同一の方法で合成石英ガラスを作製した。脱水工程の処理条件は、1230℃で30時間保持とし、サンプルサイズはφ270mm、厚さ56mmとした。このようにして得られた合成石英ガラスを、合成石英ガラスの中心から外径の90%の領域にて、OH基濃度測定をフーリエ変換赤外分光計により10mm間隔で行い、また複屈折評価を波長633nmのHe−Neレーザーを光源とする光ヘテロダイン法で10mmの評価間隔で行い、式(1)および(2)を用いて進相軸の角度(θxy)の平均値を求めた。その結果、OH基濃度の平均勾配および進相軸の平均角度はそれぞれ−13ppmおよび21°であった。
[例4]
脱水工程の処理温度、成型金型以外は例3と同一の方法で合成石英ガラスを作製した。脱水工程の処理条件は、1230℃で65時間保持とし、サンプルサイズはφ220mm、厚さ60mmとした。このようにして得られた合成石英ガラスを例3と同様に評価した結果、OH基濃度の平均勾配および進相軸の平均角度はそれぞれ−2ppmおよび79°であった。
例1から例4の結果を表1にまとめる。
脱水工程の処理温度、成型金型以外は例3と同一の方法で合成石英ガラスを作製した。脱水工程の処理条件は、1230℃で65時間保持とし、サンプルサイズはφ220mm、厚さ60mmとした。このようにして得られた合成石英ガラスを例3と同様に評価した結果、OH基濃度の平均勾配および進相軸の平均角度はそれぞれ−2ppmおよび79°であった。
例1から例4の結果を表1にまとめる。
本発明はArFエキシマレーザー(波長193nm)あるいはKrFエキシマレーザー(波長248nm)等を光源とする光学装置のレンズ、プリズム、フォトマスク、窓材などの光学部品材料として用いることができる。
O:合成石英ガラス中心軸位置
P:複屈折評価点
F:複屈折評価点Pにおける進相軸
DXY:複屈折評価点Pにおける進相軸FとX軸とのなす角度
RX:合成石英ガラスの中央から複屈折評価点Pに向かう直線のX軸とのなす角度
1:進相軸の方向の測定面
2:測定面1における進相軸の方向の測定領域
3:測定面1における進相軸の方向の測定点
4:測定面1の中心を通る線
P:複屈折評価点
F:複屈折評価点Pにおける進相軸
DXY:複屈折評価点Pにおける進相軸FとX軸とのなす角度
RX:合成石英ガラスの中央から複屈折評価点Pに向かう直線のX軸とのなす角度
1:進相軸の方向の測定面
2:測定面1における進相軸の方向の測定領域
3:測定面1における進相軸の方向の測定点
4:測定面1の中心を通る線
Claims (3)
- 波長250nm以下の光を光源とする光学装置内で使用される直径が100mm以上の合成石英ガラスであって、
合成石英ガラスの光軸に垂直な面の外周より10mm以上内側の領域において、
複屈折率が波長193nmで厚さ1cm当たり0.5nm以下であり、
OH基濃度が60ppm以下であり、
合成石英ガラスの中心から外周部方向へのOH基濃度の合成石英ガラスの半径で規格化された平均勾配が−8ppm以上+60ppm以下であり、
[数1]の関係式で求められる合成石英ガラスの中心から外周部方向へのOH基濃度の合成石英ガラスの半径で規格化された勾配の不偏標準偏差σが10ppm以下であることを特徴とする合成石英ガラス。
- 波長250nm以下の光を光源とする光学装置内で使用される直径が100mm以上の合成石英ガラスであって、
合成石英ガラスの光軸に垂直な面の合成石英ガラスの中心から外径の90%の領域において、
複屈折率が波長193nmで厚さ1cm当たり0.5nm以下であり、
OH基濃度が100ppm以下であり、
合成石英ガラスの中心でのOH基濃度と合成石英ガラスの中心から外径の90%の位置でのOH基濃度との差が−8ppm以上+60ppm以下であり、
[数2]の関係式で求められる合成石英ガラスの中心から外周部方向へのOH基濃度の合成石英ガラスの半径で規格化された勾配の不偏標準偏差σが10ppm以下であることを特徴とする合成石英ガラス。
- 嵩密度が0.10〜0.90g/cm3の多孔質ガラス体を減圧下または低水蒸気分圧雰囲気下で1100〜1350℃の温度にて60時間以上保持して脱水を行う脱水工程を含むことを特徴とする合成石英ガラスの製造方法。
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