JP2007223289A - 光学記録媒体の記録層形成用色素、及びそれを用いた光学記録媒体、その光学記録媒体の記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗布溶媒への溶解性、及び耐光性に優れ、青色レーザー光を用いた光記録にも対応可能な光学記録媒体の記録層形成用色素、及びそれを用いた光学記録媒体、その光学記録媒体の記録方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で表されるヒドラジド化合物のリガンドと遷移金属カチオンからなる錯体を含む、光学記録媒体の記録層形成用色素、及び、基板と、該基板上に形成された記録層を少なくとも有し、該記録層が前記記録層形成用色素により形成されたものである光学記録媒体、前記光学記録媒体に対し、波長350〜530nmのレーザー光を用いて記録を行う、光学記録媒体の記録方法。
Figure 2007223289

【選択図】 なし

Description

本発明は、光学記録媒体の記録層形成用色素、及びそれを用いた光学記録媒体、その光学記録媒体の記録方法に関し、特に、青色レーザー光対応の光学記録媒体に好適に用いられる記録層形成用色素、及びそれを用いた光学記録媒体、その光学記録媒体の記録方法に関する。
近年、高密度での情報の記録保存/再生が可能なことから、レーザー光を用いた光学記録媒体、特に光ディスクについての開発が取り進められている。光ディスクの中でも、最近注目を集めているものに、書き込み型コンパクトディスク(CD−R)がある。CD−Rは、通常、案内溝を有する円形のプラスチック基板上に、色素を主成分とする記録層、金属反射膜、及び保護膜が順次積層された構造をしている。CD−Rへの情報の記録は、レーザー光を照射し、その照射エネルギーが記録層で吸収されることにより、レーザー光照射部分の記録層、反射層、又は基板に分解、蒸発、溶解等の熱的変形を生じさせる方法(ヒートモード)や、レーザー光照射部分の記録層に含まれる色素の構造を可逆的に変化させる方法(フォトンモード)等により行なわれる。又、記録された情報の再生は、レーザー光照射による熱的変形や色素構造の変化が起きている部分と起きていない部分のレーザー光に対する反射率の差を読み取ることにより行われる。
従って、光学記録媒体の記録層はレーザー光のエネルギーを効率よく吸収する必要があり、記録層には一般的にレーザー光吸収色素が用いられており、そのレーザー光吸収色素として有機色素を用いた光学記録媒体は、有機色素溶液を塗布するという簡単な方法で記録層を形成し得るため、安価な光学記録媒体として今後益々普及することが期待されている。
又、近年、記録の高密度化のため、記録に用いるレーザー光の波長を従来の半導体レーザーの発光波長である780nmを中心としたものから、405nm前後以下の青色光領域へと短波長化することが検討されつつある。更に、近年、記録媒体の高容量化のため、記録媒体に記録層を2層作製することによって記憶容量の倍化を図った2層記録媒体や、記録の高速化が検討されているため、記録層形成用色素化合物には益々、記録レーザーに対する高感度化が求められている。
一方、色素を記録層に用いる場合、一般的にスピンコート法を用いて基板へ塗布することがコスト面で真空蒸着法に比べ有利であるため、光学記録媒体の記録層形成用色素は、塗布溶媒に高い溶解性を示すことが必須である。現状では、ポリカーボネート基板に2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールや2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンタノール等のフッ素系アルコール溶媒を用いて塗布するのが一般的である。又、一般的にデータの記録及び読み出しを共にレーザー光によって行い、その場合、読み出しレーザー強度は記録レーザー強度より弱い。従って、光学記録媒体の記録層形成用色素が読み出し光である弱いレーザー光照射によって分解されてしまう程に耐光性が低いと、記録データの読み出しを行う際にデータエラーを生じる原因となる。更に、光学記録媒体はその性質上、記録面が太陽光や照明等に長時間晒される機会が多いため、色素が耐光性に劣ると光学記録媒体の記録データを長期保存することが困難になる。
それらの要求を満たすべく、光学記録媒体の記録層形成用色素として、従来より、シッフ塩基及びその誘導体の錯体が、その合成の簡便さ、及び主に300〜500nm付近に極大吸収を有することから、青色レーザー光対応の光学記録媒体への応用が期待されており、例えば、特許文献1〜4等による提案がなされている。しかしながら、これらの化合物は、剛直な構造を有するため、一般に塗布溶剤への溶解性に劣り、更に、本発明者等による比較検討の結果、耐光性にも劣ることが明らかとなった。
一方、シッフ塩基のイミン部位に隣接したアミド基を有する骨格〔C(=O)−NH−N=C骨格〕を持つヒドラジド化合物は、一般にN−N単結合が不安定であることが予想され、且つ、アミド結合ユニットを有することから溶解性の低下が予想され、光学記録媒体への応用は不可能であると考えられていた。
特開2003−266939号公報 特表2005−509694号公報 特表2005−515914号公報 国際公開2004−102551号公報
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、塗布溶媒への溶解性、及び耐光性に優れ、青色レーザー光を用いた光記録にも対応可能な光学記録媒体の記録層形成用色素、及びそれを用いた光学記録媒体、その光学記録媒体の記録方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の一般式(I)で表されるヒドラジド化合物の錯体が、塗布溶媒への溶解性に優れ、特定の金属との錯体では、耐光性に著しく優れ、且つ、これを記録層に用いた光学記録媒体が青色レーザー光で良好に記録できることを見出し、本発明を完成させた。即ち、下記一般式(I)で表されるヒドラジド化合物のリガンドと遷移金属カチオンからなる錯体を含む、光学記録媒体の記録層形成用色素、及び、基板と、該基板上に形成された記録層を少なくとも有し、該記録層が前記記録層形成用色素により形成されたものである光学記録媒体、前記光学記録媒体に対し、波長350〜530nmのレーザー光を用いて記録を行う、光学記録媒体の記録方法、を要旨とする。
Figure 2007223289
〔式(I)中、環Aは、置換基を有していてもよい炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基を示し、R1 は、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、又は水素原子を示し、ピリジン環は縮合環であってもよい。〕
本発明は、塗布溶媒への溶解性、及び耐光性に優れ、青色レーザー光を用いた光記録にも対応可能な光学記録媒体の記録層形成用色素、及びそれを用いた光学記録媒体、その光学記録媒体の記録方法を提供することができる。
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。
本発明の光学記録媒体の記録層形成用色素は、下記一般式(1)で表されるヒドラジド化合物のリガンドと遷移金属カチオンからなる錯体を含むことを必須とする。
Figure 2007223289
〔式(I)中、環Aは、置換基を有していてもよい炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基を示し、R1 は、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、又は水素原子を示し、ピリジン環は縮合環であってもよい。〕
本発明において、前記一般式(I)中の環Aの炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フルオレニル基、フェナンスリル基、アズレニル基、メタロセン環基等のアリール基が挙げられ、このうち好ましくは、炭素数6〜12程度の単環又は縮合2環式アリール基である。中でも特に好ましくは、単環式アリール基である。又、複素環基としては、例えば、チエニル基、フリル基、ピロリル基、ピリジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、インドールイル基、キノキサリニル基、アクリジニル基、チアゾリル基、ピラジニル基等が挙げられる。これらのうち好ましくは、炭素数3〜12程度の単環式5員環若しくは6員環、又は2環式5員環の複素環基である。特に好ましくは、炭素数3〜12程度の単環式6員環の複素環基である。
又、前記一般式(I)中のR1 の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−ブチル基、2−メチルブチル基、2−エチルブチル基、3−メチルブチル基、ネオペンチル基、3−ペンチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐鎖状、若しくは環状のアルキル基、エチニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、2,4−ペンタジエニル基等のアルケニル基、2−ヘキシン基等のアルキニル基等の脂肪族炭化水素基が挙げられ、このうち好ましくは、炭素数1〜12程度の脂肪族炭化水素基、特に好ましくは、炭素数3〜12程度の分岐鎖脂肪族炭化水素基である。又、R1 の炭化水素基としては、前記環Aの炭化水素基として挙げたと同様のアリール基も挙げられる。又、前記一般式(I)中のR1 の複素環基としては、前記環Aの複素環基として挙げたと同様の複素環基が挙げられる。
又、これら環Aの炭化水素基及び複素環基、並びに、R1 の炭化水素基及び複素環基の置換基としては、色素の安定性や性能に影響を与えないものであれば特に限定をされないが、例えば、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アミノ基、アシル基、アミノアシル基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロアリールスルホニル基、イミド基及びシリル基等からなる群より選択される。これらの置換基は、更に任意の置換基で置換されていてもよいが、その場合の置換基としても、具体的には、先に挙げた任意の置換基の具体例が挙げられる。尚、隣り合った置換基同士が連結基を介して或いは介さずして結合し、環構造を形成していてもよい。
それらの置換基として、具体的には、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、2−ペンチル基、n−ヘキシル基等の炭素数1〜6程度のアルキル基、エチニル基、プロピレニル基等の炭素数2〜6程度のアルケニル基、アセチレニル基等の炭素数2〜6程度のアルキニル基、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナンスリル基、フェロセン環基等の炭素数6〜20程度のアリール基、チエニル基、フリル基、ピリジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基等の炭素数3〜20程度のヘテロアリール基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基等の炭素数1〜6程度のアルコキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基等の炭素数6〜20程度のアリールオキシ基、チエニルオキシ基、ピリジルオキシ基等の炭素数3〜20程度のヘテロアリールオキシ基、メチルチオ基、エチルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、s−ブチルチオ基、3−ペンチルチオ基等の炭素数1〜6程度のアルキルチオ基、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等の炭素数6〜20程度のアリールチオ基、チエニルチオ基、ピリジルチオ基、イミダゾリルチオ基、ピラゾリルチオ基等の炭素数3〜20程度のヘテロアリールチオ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基等の炭素数1〜20程度の置換基を有していてもよいアミノ基、アセチル基、ピバロイル基等の炭素数2〜20程度のアシル基、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基等の炭素数2〜20程度のアシルアミノ基、3−メチルウレイド基等の炭素数2〜20程度のウレイド基、メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等の炭素数1〜20程度のスルホンアミド基、ジメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基等の炭素数1〜20程度のカルバモイル基、エチルスルファモイル基等の炭素数1〜20程度のスルファモイル基、ジメチルスルファモイルアミド基等の炭素数1〜20程度のスルファモイルアミド基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜6程度のアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基等の炭素数7〜20程度のアリールオキシカルボニル基、ピリジルカルボニル基等の炭素数5〜20程度のヘテロアリールオキシカルボニル基、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基等の炭素数1〜6程度のアルキルスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、モノフルオロベンゼンスルホニル基等の炭素数6〜20程度のアリールスルホニル基、チエニルスルホニル基等の炭素数3〜20程度のヘテロアリールスルホニル基、フタルイミド基等の炭素数4〜20程度のイミド基、又は、アルキル基及びアリール基から選ばれる置換基で3置換されているシリル基等が挙げられる。
前記一般式(I)で表されるヒドラジド化合物の具体例を以下に示す。
Figure 2007223289
Figure 2007223289
Figure 2007223289
尚、一般式(1)で表される前記ヒドラジド化合物は、光学記録媒体の保存安定性を向上させる面から、通常、水不溶性であることが好ましい。ここで「水不溶性」とは、25℃、1気圧の条件下における水に対する溶解度が、通常0.01重量%以下、好ましくは0.001重量%以下であることを言う。
本発明における前記一般式(I)で表されるヒドラジド化合物は、例えば、以下に示す方法によって容易に合成できる。
Figure 2007223289
この際、反応系に溶媒が存在しても、しなくてもよい。反応溶媒を用いる場合、該溶媒としてはメタノール、アセトニトリル等の極性溶媒やトルエン、キシレン等の非極性溶媒を用いることができ、更に触媒として塩酸、酢酸、硫酸等の酸を添加してもよい。この場合の触媒の添加量は反応が進行すれば特に規定されないが、試薬に対して1/100〜1モル倍程度であることが好ましい。反応温度は室温から溶媒が還流する程度であることが好ましく、反応時間は1分〜48時間程度であることが好ましい。
本発明の光学記録媒体の記録層形成用色素は、前記一般式(I)で表されるヒドラジド化合物のリガンドと遷移金属カチオンからなる錯体を含むものであり、その遷移金属としては、前記ヒドラジド化合物をリガンドとして錯体を形成し得るものであれば任意であるが、具体例としては、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Pt、Au、Er等が挙げられる。本発明においては、これらの中で、第4周期元素であるのが好ましく、Mn、Fe、Co、Ni、Cuが更に好ましく、中でもCoが特に好ましい。又、遷移金属カチオンの価数は特に規定されないが、錯体の安定性から、特に2価又は3価であるのが好ましい。
本発明において、前記一般式(I)で表されるヒドラジド化合物のリガンドと前記遷移金属カチオンからなる錯体としては、中性であれば特に限定されないが、遷移金属カチオン1に対してヒドラジド化合物リガンドの構成数が1〜2であり、アニオンの構成数が遷移金属カチオンの価数であるのが好ましい。特に好ましい錯体は、下記一般式(II)で表されるものである。
Figure 2007223289
〔式(II)中、環A、R1 、及びピリジン環は、式(I)におけると同様であり、複数の環A、及び複数のR1 は、同一であっても異なっていてもよく、Mは遷移金属を示し、式(II)の錯体は、更にカウンターアニオンを有してもよい。〕
前記一般式(II)において、環A、及びR1 は、前記一般式(I)における環A、及びR1 であり、複数の環A、及び複数のR1 は、同一であっても異なっていてもよいが、合成の面から、それぞれが同一であるのが好ましい。又、ここで、前記一般式(I)のヒドラジド化合物としては、1種が単独で含まれていてもよく、2種以上が混合して含まれていてもよい。又、R1 とR2 の分子量は、分子量増大に伴う吸光係数低下を防止する観点から、合計300以下であるのが好ましい。
又、本発明における錯体は、更にカウンターアニオンを有してもよく、その場合、ヒドラジド化合物と遷移金属カチオンとカウンターアニオンの構成比が、2:1:1であるのが好ましい。そのカウンターアニオンとしては、炭素数20以下であるのが好ましく、その具体例としては、アルコール、フェノール、カルボン酸、ホスホン酸、ハロゲン、過塩素酸、過沃素酸、シアン酸、イソシアン酸、イソチオシアン酸、アジド、硝酸、炭酸、炭酸水素酸、置換或いは無置換の硫酸(硫酸、硫酸水素酸、メチル硫酸等)、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トシル酸、置換或いは無置換のリン酸(リン酸、リン酸水素酸、リン酸二水素酸、フェニルリン酸等)、六フッ化リン、六フッ化アンチモン、置換或いは無置換のホスフィン酸(ホスフィン酸、メチルホスフィン酸等)、置換或いは無置換のボロン酸(テトラフェニルボロン酸等)、ベンゼンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等をアニオン化したもの等が挙げられる。これらのうち、吸光度低下による記録感度低下を防止する観点から、分子量300以下のものが好ましく、水不溶性とするために、ClO4 - 、PF6 - 、BF4 - 、NO3 - 、SbF6 - 、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン等が含まれることが特に好ましい。
又、ヒドラジド化合物リガンド、遷移金属カチオン、及びカウンターアニオンの構成数のいずれかが2以上である場合、それぞれのヒドラジド化合物リガンド、遷移金属カチオン、及びカウンターアニオンは同じでもよく、異なっていてもよい。例えば、錯体1分子中に遷移金属カチオンが2つ含まれている場合、該遷移金属カチオンがCr3+とCu2+であってもよい。
本発明における錯体は、吸光度低下による感度低下防止の点から、遷移金属カチオン及びカウンターアニオンを含めて、分子量2,500以下であるのが好ましく、中でも2,000以下であるのが特に好ましい。
本発明における前記錯体は、前記ヒドラジド化合物と遷移金属塩を、溶媒の存在下若しくは非存在下、室温から溶媒が還流する程度の温度で反応することで得られる。反応溶媒を用いる場合、該溶媒としては水、メタノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等の極性溶媒やクロロホルム、トルエン、キシレン等の非極性溶媒を用いることができる。尚、生成した錯体に含まれるカウンターアニオンは、溶媒中にて更に別の塩を添加することにより変更することができる。
本発明における錯体は、塗布溶媒への溶解性、及び耐光性に優れ、更に光学記録媒体の記録層形成用色素として用いたときの膜性及び記録感度に優れるという特徴がある。その塗布溶剤への溶解性は、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールに対して、20℃、常圧にて1.0重量%以上溶解するのが好ましく、又、その耐光性は、基板上に膜厚50nmに形成した層を、温度50℃、相対湿度50の条件下で、0.55W/m2 の照射強度でキセノンランプを40時間照射した後の色素残存率が80%以上であるのが好ましい。
本発明の光学記録媒体が有する記録層は、前記一般式(I)で表わされるヒドラジド化合物のリガンドと前記遷移金属カチオンからなる錯体を少なくとも1種含有する色素を用いて形成されたものである。ここで、本発明の光学記録媒体の記録層形成に用いる色素としては、本発明の前記錯体が1種のみ用いられていても、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で併用されていてもよい。更に、1種又は2種以上の本発明の錯体に加えて、他の色素が1種又は2種以上併用されていてもよい。但し、本発明の錯体以外の色素を併用する場合には、本発明の錯体の優れた特性を十分に発揮させる観点から、全色素の合計に対する本発明の錯体が占める比率を、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上とすることが好ましい。
本発明の錯体と併用可能な他の色素としては、記録用のレーザー光波長域に吸収を有し、照射されたレーザー光のエネルギーを吸収して、照射部分の記録層、反射層又は基板に、分解、蒸発、溶解等の熱的変形を伴うピットを形成させ得るものが好ましい。他の色素としては、具体的には、含金属アゾ系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、シアニン系色素、アゾ系色素、スクアリリウム系色素、含金属インドアニリン系色素、トリアリールメタン系色素、メロシアニン系色素、アズレニウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、インドフェノール系色素、キサンテン系色素、オキサジン系色素、ピリリウム系色素等が挙げられる。尚、これらの中で、CD−R向けの770〜830nmの範囲から選ばれた波長の近赤外レーザー光やDVD−R向けの620〜690nmの範囲から選ばれた赤色レーザー光での記録に適する色素を併用して、複数の波長域のレーザー光での記録に対応する光学記録材料とすることもできる。
記録層には、更に、後述するバインダーや各種添加剤が用いられていてもよいが、記録層に占める色素の割合は、通常10重量%以上、好ましくは50重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。色素の割合が少なすぎると、記録感度が著しく低下する傾向となる。
記録層は、成膜性を向上させるためにバインダーを含有していてもよい。バインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ケトン樹脂、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート等の既知のものが、1種を単独で、或いは2種以上を混合して用いられる。
又、記録層は、安定性や耐光性向上のために一重項酸素クエンチャーや記録感度向上剤等を含有していてもよい。一重項酸素クエンチャーとしては、アセチルアセトナート、ビスフェニルジチオール、サリチルアルデヒドオキシム、ビスジチオ−α−ジケトン等と遷移金属とのキレート化合物等が挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。又、記録感度向上剤としては、好ましくは遷移金属等の金属が原子、イオン、クラスター等の形で化合物に含まれる金属系化合物等、具体的には、例えば、エチレンジアミン系錯体、アゾメチン系錯体、フェニルヒドロキシアミン系錯体、フェナントロリン系錯体、ジヒドロキシアゾベンゼン系錯体、ジオキシム系錯体、ニトロソアミノフェノール系錯体、ピリジルトリアジン系錯体、アセチルアセトナート系錯体、メタロセン系錯体のような有機金属化合物等が挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。尚、一重項酸素クエンチャーは色素に対して通常5〜30重量%程度、記録感度向上剤は色素に対して通常10〜30重量%程度用いられる。
本発明の錯体を用いて光学記録媒体の記録層を形成するには、真空蒸着法、スパッタリング法、ドクターブレード法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等の一般に行われている薄膜形成法を用い、基板上に層を形成する。これらのうち、量産性、コスト等の面からスピンコート法が好ましい。スピンコート法により記録層を形成する場合、回転数は500〜5000rpmが好ましく、スピンコート後、必要に応じて、加熱或いは溶媒蒸気に晒す等の処理を行ってもよい。記録層の膜厚は、特に限定されないが、通常10nm〜5μm、好ましくは20nm〜2μm、更に好ましくは50nm〜300nmである。膜厚をこの範囲とすることにより、熱拡散の影響を抑えることができ、良好な記録がし易く、又、記録信号に歪みが発生しにくいため信号振幅を大きくし易い。更に、反射率を高くし易く、再生信号特性を良好とし易い。
記録層をドクターブレード法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等により形成する場合には、まず、本発明の記録層形成用色素、及び他の色素、並びにバインダー、一重項酸素クエンチャー、記録感度向上剤等を溶媒に溶解させ、塗布液を作製する。その際の溶媒としては、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールを用いることが工業面で特に好ましいが、基板を侵さない溶媒であれば、その他の、例えば、ジアセトンアルコール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン等のケトンアルコール系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、n−ヘキサン、n−オクタン等の鎖状炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、n−ブチルシクロヘキサン、t−ブチルシクロヘキサン、シクロオクタン等の脂環式炭化水素系溶媒、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル系溶媒、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンタノール、ヘキサフルオロブタノール等のパーフルオロアルキルアルコール系溶媒、乳酸メチル、乳酸エチル、イソ酪酸メチル等のヒドロキシエステル系溶媒等の1種を単独で、或いは2種以上を混合して用いてもよい。
塗布液中の記録層形成用色素の濃度は、その溶媒溶解性に応じて適宜決定されるが、通常0.7重量%以上、好ましくは1.0重量%以上で、通常10重量%以下、好ましくは3.0重量%以下とされる。塗布液中の色素濃度が過度に低いと、記録層の形成効率が悪くなる傾向となり、一方、塗布液中の色素濃度が過度に高いと、成膜工程において色素の結晶化等の問題が発生する傾向となる。尚、スピンコート後の余剰色素を効率的に回収するためには、通常塗布液の濃度の1.5倍以上、好ましくは2倍以上の濃度であっても、色素が塗布溶媒に溶解可能であることが好ましい。
本発明の光学記録媒体は、基板上に、本発明の記録層形成用色素を用いて上述のようにして形成された記録層を有するものであり、その基板としては、ガラスや種々のプラスチック等、使用するレーザー光に対して透明なものが好ましく用いられる。プラスチックとしては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ニトロセルロース、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられるが、生産性、コスト、耐吸湿性等の点からポリカーボネート樹脂を射出成形したものが好ましい。
基板上には、必要に応じて、更に、反射層、保護層、下引き層等の記録層以外の層が設けられ、光学記録媒体とされる。
反射層としては、金、銀、アルミニウム或いはそれらの合金のような金属からなるもの等が挙げられるが、550nm以下の波長のレーザー光に対する反射率から、金やアルミニウムより、銀の方が好ましい。金属反射層は、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等によって記録層上に成膜される。ここで、金属反射層と記録層との間に層間の密着力を向上させるため、又は反射率を高める等の目的で中間層を設けてもよい。反射層の膜厚は、通常50nm以上、300nm以下の範囲である。
反射層の上に形成する保護層の材料は、反射層を外力から保護するものであれば特に限定されない。例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、例えばウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等の紫外線硬化性樹脂等の有機物質、及び、SiO2 、SiN4 、MgF2 、SnO2 等の無機物質等が挙げられる。保護層の形成の方法としては、記録層と同様に、スピンコート法やキャスト法等の塗布法やスパッタ法や化学蒸着法等の方法が用いられるが、この中でもスピンコート法が好ましい。保護層の膜厚は、通常、0.1μm以上、100μm以下の範囲である。
尚、各層間の接着力を高めるために、各層間に下引き層を用いてもよい。下引き層の種類としては、各層の接着力を高め、かつ各層の性質に影響を与えないものであれば特に限定されないが、取扱いの容易さから有機層であることが好ましい。又、上記構成の光学記録媒体を接着層を介して2枚貼りあわせ、或いは、基板の片面だけでなく両面に反射層、記録層、保護層等を設けることにより、両面記録型光学記録媒体としてもよい。更には、基板上に反射層及び記録層の組を、中間層を介して二組以上形成し、その上に保護層を設けることにより、多層型光学記録媒体としてもよい。
本発明における錯体は、膜性に優れており、従って、本発明における錯体を含む記録層を形成するにおいて、スピンコート法により形成された記録層表面に化合物の結晶化に由来する白化現象は認められない。
又、光学記録媒体が有する好ましい吸収波長及び吸光度は、記録に用いるレーザー光の種類に依存し、例えば、後述するように、本発明における錯体を記録層に含む光学記録媒体において好適とされる405〜410nmを中心波長とする青色レーザー光に対しては、光学記録媒体の吸収スペクトルの極大吸収波長(λmax )が350〜450nmであるのが好ましく、該λmax におけるモル吸光係数(ε)が5000以上、更には10000以上、特には30000以上であるのが好ましい。
又、本発明における錯体を記録層に含む光学記録媒体は、記録レーザー感度に優れる。具体的には、光学記録媒体を、中心波長404nm、NA=0.85の青色レーザー光を照射した場合に、レーザー強度10mW以下においても良好な記録ピットの形成が可能である。
又、本発明における錯体を記録層に含む光学記録媒体は、高温高湿かつ直射光の下で放置しても劣化しにくい。具体的には、光学記録媒体を、温度50℃、相対湿度50の条件下で、0.55W/m2 の照射強度でキセノンランプを40時間照射した後の記録層の色素残存率が80%以上、更には90%以上、特には95%以上であるのが好ましい。
以上のようにして得られた光学記録媒体への情報の記録は、通常、記録層に0.4〜0.6μm程度に集束したレーザー光を照射することにより行う。記録層がレーザー光のエネルギーを吸収すると、レーザー光照射部分では、分解、発熱、溶融等の熱的変形が起こる。記録された情報の再生は、レーザー光による上記熱的変形が起きている部分と起きていない部分の反射率の差を読み取ることにより行う。
高密度記録のためには、記録時に使用するレーザー光の波長が短いほど好ましく、特に、本発明の光学記録媒体は、その記録層に上述した本発明の錯体を含有することから、その利点を十分に発揮させる観点から、波長350nm〜530nmのレーザー光が好ましい。かかるレーザー光の代表例としては、例えば、中心波長405nm、410nm等の青色レーザー光、中心波長515nmの青緑色の高出力半導体レーザー光等が挙げられる。これら以外にも(a)基本発振波長が740〜960nmの連続発振可能な半導体レーザー光、又は(b)半導体レーザー光によって励起されかつ基本発振波長が740〜960nmの連続発振可能な固体レーザー光のいずれかを、第二高調波発生素子(SHG)により波長変換することによって得られる光等も挙げられる。
上記のSHGとしては、反射対称性を欠くピエゾ素子であればいかなるものでもよいが、KDP(KH2 PO4 )、ADP(NH4 2 PO4 )、BNN(Ba2 NaNb5 15)、KN(KNbO3 )、LBO(LiB3 5 )、化合物半導体等が好ましい。第二高調波の具体例としては、基本発振波長が860nmの半導体レーザーの場合は、その倍波の波長430nm、又、半導体レーザー励起の固体レーザーの場合は、CrドープしたLiSrAlF6 結晶(基本発振波長860nm)からの倍波の波長430nm等が挙げられる。以上の中で、中心波長405nmの青色レーザー光を使用することが特に好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。尚、以下において、プロトンNMR分析は、Bruker社製核磁気共鳴分光測定装置「AV400M」(400MHz)を用い、重クロロホルム溶媒中で行った。又、TG分析は、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製示差熱熱重量分析装置「EXSTAR6000 TG−DTA」を用い、試料量1.0mg、温度上昇10℃/分、窒素流量0.2L/分、アルミニウムパンの条件で行い、熱分解温度は上記TG条件にて化合物重量が10%減少する温度とした。
実施例1
<ヒドラジド化合物の合成>
4−メトキシベンズヒドラジド(アボガド社製)2.73gと2−ピリジンカルバルデヒド(和光純薬製)1.76gをメタノール50ml中で1時間加熱環流し、反応混合物からメタノールを留去し、トルエン再結晶を行い、生成した固体を濾別し、乳白色粉体の下記のヒドラジド化合物3.0gを得た(収率72%)。
Figure 2007223289
<錯体の合成>
前記で得られたヒドラジド化合物0.26gをメタノール10mlに溶解させ、トリエチルアミン0.11gを加えた後、更に酢酸コバルト(II)4水和物0.12gのメタノール溶液5mlを加え、1時間加熱環流させた後、生成した沈殿を濾別し、メタノール10mlで洗浄した後、濾別乾燥させ、Co2+を遷移金属カチオンとする黄茶色粉末の錯体.2gを得た(収率73%)。得られた錯体のアセトニトリル溶液中での紫外可視吸収スペクトルを図1に示す。
λmax (CH3 CN)=376nm(ε=49000)、重量減量開始温度=313℃
得られた錯体について、塗布溶媒に対する溶解性を以下に示す方法で試験した結果、濃度1.0重量%、及び1.5重量%のいずれにおいても、完全に溶解していることが確認された。
<溶解性試験>
塗布溶媒として、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールを用い、錯体の濃度を1.0重量%、及び1.5重量%として、20℃、常圧にて30分間超音波処理した後、濾紙(東洋濾紙社製定量濾紙「No.5C」)上に滴下し、室温で24時間乾燥させ、未溶解成分の結晶残渣が濾紙上に存在しているか否かを目視観察した。
更に、得られた錯体を2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールに濃度1.0重量%で溶解させ、濾過によって微細なゴミを取り除いた後、得られた溶液を、直径120mm、厚さ1.2mmの射出成形ポリカーボネート基板上に滴下し、スピンコート法(4900rpm)により塗布し、80℃で30分間乾燥させることにより膜厚約50nmの記録層を形成し、光学記録媒体を作製した。
得られた光学記録媒体について、以下に示す方法で記録感度を試験したところ、記録ピットの形成が確認された最高記録感度は5.0mWであった。
<記録感度試験>
中心波長404nm、NA=0.85の半導体レーザー光を照射し、光学顕微鏡により記録ピットの形成が確認された最高記録感度を測定した。
更に、得られた光学記録媒体について、以下に示す方法で耐光性を試験したところ、色素残存率は91%であった。
<耐光性試験>
温度50℃、相対湿度50の条件下で、0.55W/m2 の照射強度でキセノンランプを40時間照射した後の記録層について、吸収極大波長における照射前後の吸光度から求めた。
実施例2
<ヒドラジド化合物の合成>
4−ジメチルアミノベンズヒドラジド(アボガド社製)3.6gと2−ピリジンカルバルデヒド(和光純薬製)2.1gをメタノール50ml中で1時間加熱環流し、反応混合物を室温まで放冷し、析出した固体を濾別し、乳白色粉体の下記のヒドラジド化合物4.2gを得た(収率78%)。
Figure 2007223289
<錯体の合成>
前記で得られたヒドラジド化合物0.27gをメタノール20mlに溶解させ、トリエチルアミン0.11gを加えた後、更に酢酸コバルト(II)4水和物0.12gのメタノール溶液5mlを加え、1時間加熱環流させた後、生成した沈殿を濾別し、メタノール10mlで洗浄した後、濾別乾燥させ、Co2+を遷移金属カチオンとする茶色粉末の錯体0.15gを得た(収率50%)。得られた錯体のアセトニトリル溶液中での紫外可視吸収スペクトルを図2に示す。
λmax (CH3 CN)=408nm(ε=61000)、重量減量開始温度=316℃
得られた錯体について、塗布溶媒に対する溶解性を前記に示す方法で試験した結果、濃度1.0重量%、及び1.5重量%のいずれにおいても、完全に溶解していることが確認された。更に、実施例1におけると同様にして光学記録媒体を作製し、得られた光学記録媒体について、前記に示す方法で記録感度を試験したところ、記録ピットの形成が確認された最高記録感度は5.0mWであった。又、得られた光学記録媒体について、前記に示す方法で耐光性を試験したところ、色素残存率は93%であった。
比較例1
図3に示されるクロロホルム溶液中での紫外可視吸収スペクトルを有する下記のシッフ塩基化合物の錯体を用い、該錯体を塩化メチレンに1.0重量%溶解させ、濾過によって微細なゴミを取り除いた後に、得られた溶液を直径120mm、厚さ1.2mmの日本ゼオン社製「ゼオネックス」基板上に滴下し、スピンコート法(4900rpm)により塗布し、80℃で30分間乾燥させることにより膜厚約50nmの記録層を形成し、光学記録媒体を作製した。
Figure 2007223289
尚、用いたシッフ塩基化合物の錯体についての前記の方法による塗布溶媒に対する溶解性は、濃度1.0重量%、及び1.5重量%のいずれにおいても、不溶成分の存在が確認された。更に、得られた光学記録媒体について、前記に示す方法で記録感度を試験したところ、記録ピットの形成が確認された最高記録感度は15.0mWであった。又、得られた光学記録媒体について、前記に示す方法で耐光性を試験したところ、色素残存率は86%であった。
実施例1の錯体のアセトニトリル溶液中での紫外可視吸収スペクトルを示す図である。 実施例2の錯体のアセトニトリル溶液中での紫外可視吸収スペクトルを示す図である。 比較例1の錯体のクロロホルム溶液中での紫外可視吸収スペクトルを示す図である。

Claims (8)

  1. 下記一般式(I)で表されるヒドラジド化合物のリガンドと遷移金属カチオンからなる錯体を含むことを特徴とする、光学記録媒体の記録層形成用色素。
    Figure 2007223289
    〔式(I)中、環Aは、置換基を有していてもよい炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基を示し、R1 は、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、又は水素原子を示し、ピリジン環は縮合環であってもよい。〕
  2. 錯体が下記一般式(II)で表されるものである請求項1に記載の、光学記録媒体の記録層形成用色素。
    Figure 2007223289
    〔式(II)中、環A、R1 、及びピリジン環は、式(I)におけると同様であり、複数の環A、及び複数のR1 は、同一であっても異なっていてもよく、Mは遷移金属を示し、式(II)の錯体は、更にカウンターアニオンを有してもよい。〕
  3. 遷移金属カチオンが第4周期の元素からなる請求項1又は2に記載の、光学記録媒体の記録層形成用色素。
  4. 遷移金属がコバルトである請求項1乃至3のいずれかに記載の、光学記録媒体の記録層形成用色素。
  5. 2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールに対する溶解性が、20℃、常圧にて1.0重量%以上である請求項1乃至4のいずれかに記載の、光学記録媒体の記録層形成用色素。
  6. 基板上に膜厚50nmに形成した層を、温度50℃、相対湿度50%の条件下で、0.55W/m2 の照射強度でキセノンランプを40時間照射した後の色素残存率が80%以上である請求項1乃至5のいずれかに記載の、光学記録媒体の記録層形成用色素。
  7. 基板と、該基板上に形成された記録層とを少なくとも有し、該記録層が請求項1乃至6のいずれかに記載の、光学記録媒体の記録層形成用色素により形成されたものであることを特徴とする光学記録媒体。
  8. 請求項7に記載の光学記録媒体に対し、波長350〜530nmのレーザー光を用いて記録を行うことを特徴とする、光学記録媒体の記録方法。
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