JP2007217202A - 複合金属酸化物の製造方法 - Google Patents

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Yasuo Shimomura
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Abstract

【課題】液相法により、少ない有機化合物使用量で小粒径で化学組成が均一で単相の複合金属酸化物を効率的にかつ安価に製造する。高精細のディスプレイや高輝度の照明素子や照明器具や高速イムノアッセイシステムを実現し得る、結晶性に優れ、従来の大粒子並みの高輝度を有する小粒径の複合金属酸化物蛍光体を、環境に対する負荷を低減した上で安価に製造する。
【解決手段】有機化合物を用いた液相法により複合金属酸化物を製造する方法において、前記有機化合物の使用量が製造される複合金属酸化物1部に対し0.1〜10重量部である複合金属酸化物の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、複合金属酸化物を液相法で製造する方法に関し、詳しくは磁性体、誘電体、蛍光体、光触媒、導電体、フィルター顔料などに適した、小粒径で化学組成が均一で単相の複合金属酸化物を効率的に製造する方法に関する。
複合金属酸化物、特に、遷移金属に代表される原子価の変化し易い金属を含む複合金属酸化物は、磁性体、誘電体、蛍光体、光触媒、導電体、フィルター顔料などに利用されている。かかる複合金属酸化物は、微細粒子化され、かつ、高度に単相化され、しかも化学的に均一な組成であることが要求されている。
従来、複合金属酸化物は、例えば酸化物系の蛍光体の製造を例にすると、蛍光体を構成する金属元素を含む複数の化合物を原料として用い、これらの原料を混合した後、1400℃以上の高温で長時間焼成して固体間反応によって複合金属酸化物を製造するのが一般的である(固相法)。
しかし、この固相法で複合金属酸化物を製造するには、高温で長時間の焼成を行う必要があり、その結果、複合金属酸化物(蛍光体)の粒子径も大きくなる。強いて小粒子径のものを得るには、前記焼成物を粉砕して分級する必要があるが、この焼成粉砕法は、収率が低く粒度調整も難しい。仮に、焼成温度を低くすると、未反応原料が残存するため、焼成温度は例えば1400℃以上の高温にする必要があった。このような高温焼成は、低沸点金属元素を含む複合金属酸化物の製造において、前記低沸点金属元素の揮発を避けることができず、このため均一な化学組成を有する単相の複合金属酸化物を得ることができなかった。
一方、複合金属酸化物の製造法には、固相法の他に、下記の液相法がある。
(イ)複数の有機酸金属塩をクエン酸と共に有機溶媒中に溶解し、次いで、加熱して有機溶媒の一部を蒸発させてゲル状の前駆体を生成させ、該前駆体を加熱分解するクエン酸法(例えば非特許文献1)
(ロ)複数の金属塩の水溶液にアルカリや蓚酸などの沈殿化剤を添加して金属の水酸化物や蓚酸塩などを共沈させ、得られた沈殿物を酸化する共沈法
(ハ)複数の金属化合物とアルコールとの反応により得た金属アルコキシドを熱分解するアルコキシド法
(ニ)複合金属酸化物を形成し得る金属イオン群を含有する溶液を、熱の作用の下で分解し得る錯化性有機物質の安定な溶液を形成し、該溶液を迅速に濃縮して固形物を生成させ、これを熱分解する方法(例えば、特許文献1参照)
(ホ)複数の金属塩及び/またはアルコキシド、並びに、オキシカルボン酸またはポリアミノキレート剤を含有する溶媒にポリオールを添加して重合させる錯体重合法(特許文献2参照)
(ヘ)複数の金属元素の化合物、及びポリビニルアルコールを溶媒に溶解し、両者を反応させて金属錯体を生成した後、加熱して前記溶媒を除去することで前記金属錯体を加熱してゲル化し、生成したゲルをさらに加熱することにより複合金属酸化物の前駆体を生成させ、次いで前記前駆体を焼成する方法(特許文献3参照)
これらの液相法のうち、(イ)クエン酸法及び(ハ)アルコキシド法は、原料中の有機溶媒を除去する際の各原料化合物の溶解度に差があるため、均一な複合金属酸化物を得ることが難しく、複合金属酸化物の製造を煩雑にしている。特に、(ハ)アルコキシド法では、原料中の個々の成分は各金属元素の加水分解反応速度の相違により、均一分散が極めて困難である。また、(ロ)共沈法は、共沈の操作範囲が狭いため、適用できる金属元素が限定され、金属元素の組み合わせや、金属元素の比率を自由に選択することが難しいため、所望の複合金属酸化物を得ることができない。さらに、(ホ)錯体重合法は、均一な組成を得るために、錯体形成用の有機物を多量に使用しなければならず、焼成時に多くの二酸化炭素を排出するのが欠点であり、生産性、製造コストの面から改善が求められている。(ヘ)の方法についても、ポリビニルアルコールが大量に使用されており、(ホ)の方法と同じ欠点がある。
複合金属酸化物が使用される工業製品の代表的な一例として蛍光体が挙げられる。ブラウン管やフィールドエミッションディスプレー(FED)などに用いる蛍光体は、従来、それを構成する一次粒子の中央粒径(メジアン径d50)が5μm〜30μmであり、蛍光体を構成する母体結晶を大きく成長させることで、粒子表面に存在する無輻射失活層の体積分率を低減して、輝度の高い粉末を得ていた。また、このように大きく成長させた単結晶よりなる一次粒子は、電子線や紫外線やX線などのエネルギーを吸収して効率良く蛍光を発する。例えば、このような蛍光体は、波長254nmの紫外線を照射して蛍光体を励起した場合の吸収した光子数に対する発光した光子数で定義される内部量子効率が、0.5〜1の範囲の高い効率を示す。
従来の蛍光体の一般的な製造方法は、原料粉末を混合した後、坩堝などの焼成容器に入れて高温で加熱する固相反応で蛍光体を生成させて結晶化させた後、ボールミルなどで微粉砕する方法である(例えば、非特許文献2参照)。
しかし、この方法で製造された蛍光体は、単結晶である一次粒子が集合して構成された二次粒子である凝集体粉末からなっていることが多く、この蛍光体粒子を塗布して蛍光膜を形成して得られるブラウン管やFEDなどの蛍光膜は不均質で充填密度が低いため、発光効率が低かった。
また、固相反応後にボールミルなどで微粉砕して所望の粒径の蛍光体粒子を得ているが、その際に物理的及び化学的な衝撃が加えられ、その結果、一次粒子には表面に現れる晶癖面が少なくなり、その粒子内や表面に欠陥が発生して発光効率が低下するという不都合があった。
一方で、最近では、FED等では画素の精細化のため、また、固体照明素子などでは発光効率の面から従来の技術で得られる粒径よりもさらに微細かつ高輝度な蛍光体が要求されている。これらの要求に対して、焼成後の粉砕による微細化では対応し得ず、従来法では、発光効率の低下が大きく、内部量子効率も低くなり、所望の蛍光体が得られず、その結果として、高精細なディスプレイや高効率の照明などが得られなかった。
一方、固相反応で得られる粒子を微細なものとする場合は、反応温度を下げる必要があるが、その場合、反応が完全に進まず不純物相が混在して粒子の結晶成長が不完全となり、その結果、得られる蛍光体は内部量子効率が低くなり、発光特性の低下を招くこととなる。
なお、蛍光体の蛍光強度を向上させるために様々な添加剤、合成法、処理法が報告されている。例えば、非特許文献3では、Y:Eu3+を合成する過程でリチウム塩を添加し、ゲル化、自己燃焼反応させることで発光強度を向上させている。また、非特許文献4ではマイクロ波を利用した加水分解による合成で、Y:Eu3+のYサイトにLaをドープさせ、Eu3+の濃度消光を改善したことが報告されている。
特公昭49−6040号公報 特開平6−115934号公報 特開平11−314905号公報 日本金属学会会報 第26巻、第10号、pp.943−949頁 「蛍光体ハンドブック」(株式会社オーム社発行)166頁 武田ら、日本セラミック協会・第18回秋季シンポジウム講演予稿集、175頁 N. Imanaka, et al, Electrochemical and Solid−State Letters,7(6) D7−D9 (2004)
このように、内部量子効率が高く発光特性に優れた蛍光体を提供し得る複合金属酸化物を製造するには、固相法では対応し得ず、液相法の改良が期待される。
従って、本発明は、液相法で複合金属酸化物を製造する際の前述の問題点を解消し、少ない有機化合物使用量で、小粒径で化学組成が均一で単相の複合金属酸化物を効率的にかつ安価に製造する方法を提供することを目的とする。
特に、本発明は、高精細のディスプレイや、高輝度の照明素子、照明器具、高速イムノアッセイシステム等を実現し得る、結晶性に優れ、従来の大粒子並みの高輝度を有する小粒径の複合金属酸化物蛍光体を、環境に対する負荷を低減した上で安価に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は、下記(1)〜(10)の構成を採用することにより、前記の課題の解決を可能とした。
(1) 有機化合物を用いた液相法により複合金属酸化物を製造する方法において、前記有機化合物を、製造される複合金属酸化物1重量部に対して0.1重量部以上10重量部以下使用することを特徴とする複合金属酸化物の製造方法。
(2) 以下の工程を含むことを特徴とする(1)に記載の複合金属酸化物の製造方法。
a)少なくとも1種の金属元素化合物とポリビニルアルコールとを溶媒に溶解し、両者を反応させて金属錯体を生成させる工程
b)前記金属錯体が生成した液から溶媒を除去することによりゲル化する工程
c)生成したゲルを加熱することにより複合金属酸化物前駆体を生成させる工程
d)前記複合金属酸化物前駆体を熱処理する工程
(3) 以下の工程を含むことを特徴とする(1)の複合金属酸化物の製造方法。
e)水中で、Nb、V、Ta、Ti、Zr、Hf、Mo、W及びBiよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素(以下「第1の金属元素」という)の化合物と、ヒドロキシカルボン酸とを反応させて、第1の金属元素のヒドロキシカルボン酸錯体水溶液を調製する工程
f)前記第1の金属元素のヒドロキシカルボン酸錯体水溶液に、前記第1の金属元素とは異なる少なくとも1種の金属元素の化合物とポリビニルアルコールとを添加して混合溶液を得る工程
g)前記混合溶液から水を除去してゲル化する工程
h)生成したゲルを加熱することにより複合金属酸化物前駆体を生成させる工程
i)前記複合金属酸化物前駆体を熱処理する工程
(4) 複合金属酸化物前駆体又はその熱処理物へのマイクロ波照射工程を含むことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかの複合金属酸化物の製造方法。
(5) 得られる複合金属酸化物の一次粒径が0.05μm以上5μm以下であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかの複合金属酸化物の製造方法。
(6) 得られる複合金属酸化物が、希土類元素またはアルカリ土類元素と、Nb、V、Ta、Ti、Zr、Hf、Mo、W及びBiから選ばれる少なくとも1種の金属元素とを含む複合金属酸化物蛍光体であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかの複合金属酸化物の製造方法。
(7) 得られる複合金属酸化物蛍光体が下記組成式[1]〜[3]の何れかで表されることを特徴とする(6)の複合金属酸化物の製造方法。
(Ln1−x)M・・・・・・[1]
(E1−x)M・・・・・・[2]
(E1−x)M・・・・・・[3]
(組成式[1]〜[3]において、LnはSc、Y、La、Gd及びLuよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、EはMg、Ca、Sr及びBaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、MはNb、V及びTaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、MはTi、Zr及びHfよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、MはMo及びWよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、RはCe、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Mn、Sb及びBiよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xは0≦x≦0.5を満たす数である。)
(8) 得られる複合金属酸化物蛍光体が下記組成式[4]で表されることを特徴とする(7)に記載の複合金属酸化物の製造方法。
(Ln1−x)(Nb1−y )O・・・・・・[4]
(組成式[4]において、Ln、M、R、及びxは、前記組成式[1]におけると同義であり、yは0≦y≦0.5を満たす数である。)
(9) 反応系にアルカリ金属を添加する工程を含むことを特徴とする(1)〜(8)のいずれかの複合金属酸化物の製造方法。
(10) 反応系にTb及び/またはPrを添加する工程を含むことを特徴とする(1)〜(9)のいずれかの複合金属酸化物の製造方法。
本発明の複合金属酸化物の製造方法によれば、液相法により小粒径で化学組成が均一で単相の複合金属酸化物を効率的に製造することができる。しかも、本発明の方法は、水溶媒を選択できるため、有機化合物の使用量が少なく、環境に対する負荷が小さく、製造コストの低減が可能である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定はされない。
[複合金属酸化物の製造]
本発明の複合金属酸化物の製造方法は、有機化合物を用いた液相法により複合金属酸化物を製造する方法であって、製造される複合金属酸化物1重量部に対して、有機化合物を0.1重量部以上10重量部以下、好ましくは0.5〜5重量部という少ない有機化合物使用量で複合金属酸化物を製造する方法である。
ここで、有機化合物使用量が、製造される複合金属酸化物1重量部に対して0.1重量部未満では、均一な化学組成の複合金属酸化物を製造し得ず、10重量部を超えると、有機化合物使用量を低減して製造コストの低減を図り、また環境に対する負荷を低減する本発明の目的を達成し得ない。
本発明の複合金属酸化物の製造方法において、複合金属酸化物は具体的には、下記a)〜d)の工程を経て製造される。
a)少なくとも1種の金属元素化合物とポリビニルアルコールとを溶媒に溶解し、両者を反応させて金属錯体を生成させる工程
b)前記金属錯体が生成した液から溶媒を除去することによりゲル化する工程
c)生成したゲルを加熱することにより複合金属酸化物前駆体を生成させる工程
d)前記複合金属酸化物前駆体を熱処理する工程
即ち、本発明の複合金属酸化物の製造方法は、複合金属酸化物を構成する各金属元素の化合物、及びポリビニルアルコール(以下、「PVA」という)を溶媒に溶解し、両者を反応させて金属錯体を生成させた後、生成した金属錯体を含む液から、必要に応じて加熱するなどして一定温度に保持して溶媒を除去することによりゲル化し、その後、PVAを熱分解して複合金属酸化物の前駆体を製造し、次いでこの前駆体を熱処理して複合金属酸化物を製造する方法である。
以下、この方法をPVA法と呼ぶ。
本発明で用いるPVAは、その重合度が300〜100000、好ましくは500〜2000の範囲、かつ、けん化度が70〜100モル%、好ましくは80〜90モル%の範囲のものが、用いる溶媒として好適な水に対する溶解性が良好であるため適している。PVAとしてはカチオンまたはアニオンで変性された変性PVAを用いても良い。
また、本発明において用いる溶媒は、種々の液体を使用できるが、その中でも、製造工程の簡略化、製造コストの低減等の観点から、水、アルコール、アセトン等の1種又は2種以上が好ましく、とりわけ水を用いるのが特に好ましい。
本発明の複合金属酸化物の製造方法において、複合金属酸化物はより好ましくは下記e)〜i)の工程を経て製造される。
e)水中で、Nb、V、Ta、Ti、Zr、Hf、Mo、W及びBiよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素(以下「第1の金属元素」という)の化合物と、ヒドロキシカルボン酸とを反応させて、第1の金属元素のヒドロキシカルボン酸錯体水溶液を調製する工程
f)前記第1の金属元素のヒドロキシカルボン酸錯体水溶液に、前記第1の金属元素とは異なる少なくとも1種の金属元素の化合物とポリビニルアルコールとを添加して混合溶液を得る工程
g)前記混合溶液から水を除去してゲル化する工程
h)生成したゲルを加熱することにより複合金属酸化物前駆体を生成させる工程
i)前記複合金属酸化物前駆体を熱処理する工程
以下に、上記e)〜i)の工程について説明する。
e)工程:水中で、Nb、V、Ta、Ti、Zr、Hf、Mo、W及びBiよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素(以下「第1の金属元素」という)の化合物と、ヒドロキシカルボン酸とを反応させて、第1の金属元素のヒドロキシカルボン酸錯体水溶液を調製する工程
f)工程では、水中で、上記第1の金属元素の化合物とヒドロキシカルボン酸とから第1の金属元素のヒドロキシカルボン酸錯体を生成させて、その水溶液を調製する。
本発明の複合金属酸化物の製造方法は、特に、Nb、V、Ta、Ti、Zr、Hf、Mo、W及びBiよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む複合金属酸化物の製造に有効である。これは、これらの金属元素を溶液にするためには、一般に炭素含有量の多い配位化合物を対アニオンとして使用する必要があり、その結果、前駆体の熱分解工程で多量の有機物や二酸化炭素を前駆体から除去する必要があったのに対して、本発明に従って、ヒドロキシカルボン酸を使用することにより、少ない有機化合物使用量で溶液化することができ、この結果、後段の前駆体の熱分解工程で除去される有機物や二酸化炭素発生量の少ない前駆体が得られることによる。この際、ヒドロキシカルボン酸を使用することにより、ハロゲンを含まない溶液を得ることができ、このようにハロゲンを含まない溶液であれば、得られる複合金属酸化物のハロゲン含有量を小さくすることができ、例えば蛍光体の発光特性の向上に有効である。
ここで、出発原料としての第1の金属元素化合物としては、特に制限はなく、第1の金属元素の塩化物、酸化物、水酸化物、酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、フッ化物等を用いることができる。この第1の金属元素化合物は、ペルオキソ錯形成剤であるHとNHやヒドラジンなどのアルカリ性化合物を添加し、ついで、エタノール、メタノール、アセトンなどの水と混和する有機溶媒を添加して第1の金属元素のペルオキソ化合物を生成させ、この第1の金属元素のペルオキソ化合物とヒドロキシカルボン酸とを反応させて錯体を形成する。
このように第1の金属元素のペルオキソ化合物を生成させ、これをヒドロキシカルボン酸と反応させることにより、錯体として安定な溶液が得られ、好ましい。
第1の金属元素のヒドロキシカルボン酸錯体を生成させるには、この第1の金属元素のペルオキソ化合物とヒドロキシカルボン酸とを、溶媒、好ましくは水中で1:1〜1:5(モル比)の割合で反応させる。ヒドロキシカルボン酸は多いほどペルオキソ化合物の溶解は容易になるが、余分な有機物が増えるので、できるだけ少量のヒドロキシカルボン酸を用いるのが好ましい。
ここで用いるヒドロキシカルボン酸は、含有する炭素原子が少ないものであっても、金属元素化合物と錯体を形成する能力が高く、金属元素の単位量あたりの炭素含有量の少ない前駆体を調製することができ、本発明に好適である。
本発明で用いるヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、シトラマル酸(2−メチルリンゴ酸)等の炭素数2〜5のヒドロキシカルボン酸が好ましく、中でも、グリコール酸、乳酸が好ましい。ヒドロキシカルボン酸は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
f)工程:e)工程で得られた第1の金属元素のヒドロキシカルボン酸錯体水溶液に、第1の金属元素とは異なる少なくとも1種の金属元素の化合物とポリビニルアルコール、好ましくはポリビニルアルコール水溶液とを添加して混合溶液を得る工程
f)工程では、上記e)工程で得られた第1の金属元素のヒドロキシカルボン酸錯体水溶液に、第1の金属とは異なる金属元素の1種又は2種以上(以下、「第2の金属元素」という)の化合物とPVA水溶液を添加して混合溶液を得る。なお、PVAは水溶液ではなく、そのまま添加することも可能であるが、PVAの溶解性を高めるために水溶液として添加することが好ましい。
ここで、第2の金属元素の化合物としては、第2の金属元素の塩化物、酸化物、水酸化物、酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、フッ化物等の1種又は2種以上を用いることができる。
この第2の金属元素の化合物は目的とする化学組成の複合金属酸化物が得られるような割合で添加される。
なお、この混合溶液の調製に当たり、酢酸、クエン酸等の酸性でかつ錯形成剤となるものを、金属:酸等錯形成剤の比が1:1〜1:5(モル比)の割合で添加することにより安定に溶解させることができる。
得られた混合溶液中のPVA濃度は0.1重量%以上10重量%以下であることが好ましい。このPVA濃度が低すぎると溶媒の除去中に金属イオンが加水分解して偏析を起こし、高すぎるとPVAの溶解が難しくまた余分な有機物が増加するため好ましくない。また、混合溶液中の金属元素化合物濃度は合計で10重量%以下であることが好ましい。この金属元素化合物濃度が高すぎると偏析が生じ、低すぎる場合は生成する複合金属酸化物量の割に多くの溶媒や有機物を浪費することになり好ましくない。
また、本発明では、製造される複合金属酸化物当たりの有機化合物使用量を低減した上で均一組成の複合金属酸化物を得るために、この工程で用いるPVA(変性PVAを含む)と、前記e)工程で用いるヒドロキシカルボン酸との総添加量は、原料金属化合物中の全金属元素(複合金属酸化物を構成する全金属元素)の全重量に対して、0.5重量倍以上であることが好ましく、1重量倍以上であることがさらに好ましく、10重量倍以下であることが好ましく、3重量倍以下であることがより好ましい。PVA及びヒドロキシカルボン酸の使用量がこの下限より少ないと、ゲル化反応が起こり難く、均一な金属錯体を形成できないおそれがあり、また、この範囲を超えると、ゲル化反応の際に金属元素を均一に分散させる効果は増大しないにもかかわらず、徒に有機物使用量が増え、複合金属酸化物の製造コストを増加させ、また、加熱時に排出する有機物や二酸化炭素量を増大させるので好ましくない。
g)工程:f)工程で得られた混合溶液から水を除去してゲル化する工程
f)工程で、水中の原料金属元素イオンとヒドロキシカルボン酸及び/またはPVAとの反応によって金属錯体を形成させた後のゲル化処理は、金属元素イオンとヒドロキシカルボン酸及び/またはPVA(変性PVAや、カチオン性及び/またはアニオン性の高分子化合物が共存する場合がある)とを含有する混合溶液を一定温度に保持することにより行われる。この時の保持温度は10〜250℃、好ましくは100〜200℃の範囲であるのが適当である。保持温度が10℃より低いと、ゲル化に長時間を要するので好ましくなく、250℃より高いと、ヒドロキシカルボン酸及び/またはPVAが早期に熱分解して所望のゲルが形成されず、最終的に、化学組成の不均一な複合金属酸化物を生成する恐れがある。この温度保持はゲルが形成された後もさらに継続して、水を除去するまで行う。この温度保持による水の除去は、通常、大気中で静置した状態で加熱することにより蒸発乾固させることにより行うが、適度に水分を蒸発させた後、スプレー乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等の手段を用いることもできる。また、乾燥雰囲気は窒素雰囲気中等で行うことも可能である。
この工程では、PVAのOH基とヒドロキシカルボン酸のCOOH基が脱水縮合反応を起こして結合し、ゲル化を促進する。
h)工程:g)工程で生成したゲルを加熱することにより複合金属酸化物前駆体を生成させる工程
このようにして得た金属とヒドロキシカルボン酸及び/またはPVAとのゲル化物(金属錯体)を、次に加熱することにより有機成分を熱分解して除去して複合金属酸化物前駆体を得る。この時の熱分解温度は、目的とする複合金属酸化物の種類にもよるが、250〜550℃、好ましくは400〜500℃の範囲が適当である。熱分解温度が250℃未満ではゲル化物の有機成分の熱分解が生じない恐れがあり、500℃を超えると粒成長が異常に進行したり、複合金属酸化物の構成成分が蒸発したりして所望の複合金属酸化物が得られない恐れがある。
i)工程:h)工程で得られた複合金属酸化物前駆体を熱処理する工程
このようにして得た複合金属酸化物前駆体は、所望の粒径が得られるまで熱処理を行う。熱処理温度及び処理時間は複合金属酸化物の種類によるが通常600〜1400℃、好ましくは700〜1200℃である。処理時間は通常0.5時間〜12時間、好ましくは2〜6時間である。温度を変えて複数回の熱処理を行うことも好ましい方法の一つである。例えば、450〜700℃、特に600℃で所定時間加熱した後、700〜1400℃、例えば1100℃で所定時間加熱することは、結晶性の向上の点で好ましい方法である。
複合金属酸化物前駆体を得るための熱分解工程と、複合金属酸化物前駆体から複合金属酸化物を得るための熱処理工程は連続的に行っても良いが、熱分解工程では含有する有機化合物からの分解生成ガスを排出、除去処理する必要があるため、熱分解工程は、後続する熱処理工程とは別工程であることが好ましい。
このような本発明の複合金属酸化物の製造方法では、液相中で各金属イオンが均一に分散した状態で均一なゲル化物(金属錯体)が予め形成されたものを熱処理するため、比較的低温の加熱処理により、優れた結晶化度で均一な化学組成を有する単相の複合金属酸化物を形成することができ、さらに粒子径が1μm以下の超微粒子の複合金属酸化物を得ることもできる。なお、焼成雰囲気は、空気中が好ましいが必ずしも空気中である必要はなく、必要に応じて中性雰囲気(不活性ガス雰囲気)や還元性雰囲気中で行ってもよい。中性又は還元性の焼成雰囲気としては、例えば、N,Ar,H,CO雰囲気或いはそれらの混合ガス雰囲気が良い。
なお、本発明は、更にマイクロ波照射工程を含むものであっても良く、マイクロ波照射工程を好ましくは、前述のh)前駆体生成工程とi)熱処理工程との間、或いはi)熱処理工程後に設けることにより凝集した粒子を分散させることができる。
このマイクロ波照射工程は、具体的には、耐圧容器中で複合金属酸化物前駆体または複合金属酸化物を溶媒中に分散した状態で、マイクロ波照射により加熱処理を行うことにより実施される。
マイクロ波照射の処理温度は通常100℃以上、好ましくは130℃以上、より好ましくは150℃以上である。処理温度の上限は特に制限はないが、高圧に耐える圧力容器が必要となることから300℃以下が通常使用される。
印加するマイクロ波の電力は特に制限はないが、容器の内部温度を監視しながら必要な温度が維持できるよう調節される。また、処理時間についても特に制限はないが、通常5分以上、60分以下である。
マイクロ波照射工程は、異なる温度、異なる電力の複数段階の処理であっても良い。
マイクロ波照射工程は複合金属酸化物前駆体に対して行っても良いし、当該前駆体を一旦焼成後に行っても良いし、処理後さらに焼成しても良い。
マイクロ波照射工程で使用する溶媒は、特に制限はないが、通常、水が使用される。また、溶媒中に複合金属酸化物を構成する金属元素以外のイオンを添加しても良く、得られる複合金属酸化物の材料特性を向上させる添加物を溶媒中に添加することで、複合金属酸化物にその一部を含有させることもできる。この場合、この添加物としては、KOH、NaOH、LiOH等のアルカリ金属水酸化物、あるいはBa(OH)、Sr(OH)等のアルカリ土類金属水酸化物の1種又は2種以上が挙げられ、通常0.1〜5M程度の濃度で使用される。この添加物の溶媒中の濃度を調整することにより、得られる複合金属酸化物への添加物導入量を制限することができる。
なお、本発明の製造方法で得られた複合金属酸化物は、その使用目的や用途に応じて、所望の組成の表面改質を行う場合には、ビーズミル等で分散処理した後、前述のマイクロ波照射工程を繰り返し、その後焼成して表面改質を施すことにより、複合機能を有する微粒子とすることも可能である。
本発明の製造方法で製造された複合金属酸化物は、磁性体、誘電体、蛍光体、光触媒、導電体、フィルター顔料などの種々の用途に使用できるが、特に複合金属酸化物が蛍光体である場合、ブラウン管、FED、PDP、固体照明素子、固体照明器具、蛍光灯、バックライト用蛍光ランプ、蛍光表示管、夜光塗料、X線増感紙などに用いることができる。
[複合金属酸化物蛍光体の製造]
本発明で製造される複合金属酸化物の代表的な例として複合金属酸化物蛍光体が挙げられる。
製造される複合金属酸化物蛍光体の組成には特に制限はないが、結晶母体であるYVO等に代表される金属酸化物に、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb等の希土類金属又はアルカリ土類金属元素のイオンやMn、Sb、Bi等の金属のイオンを付活剤または共付活剤として組み合わせたものが好ましい。付活剤や共付活剤を添加しなくても発光する材料の場合には、それらを添加せずに合成したものも有用である。
前述のように、本発明の複合金属酸化物の製造方法は、Nb、V、Ta、Ti、Zr、Hf、Mo、W及びBiよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む複合金属酸化物の製造に有効であることから、本発明の方法は、これらNb、V、Ta、Ti、Zr、Hf、Mo、W及びBiよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む結晶母体からなる複合金属酸化物蛍光体の製造に有効である。
本発明で製造される複合金属酸化物蛍光体は、下記組成式[1]〜[3]の何れか、特に下記組成式[4]で表されることが好ましい。
(Ln1−x)M・・・・・・[1]
(E1−x)M・・・・・・[2]
(E1−x)M・・・・・・[3]
(組成式[1]〜[3]において、LnはSc、Y、La、Gd及びLuよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、EはMg、Ca、Sr及びBaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、MはNb、V及びTaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、MはTi、Zr及びHfよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、MはMo及びWよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、RはCe、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Mn、Sb及びBiよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xは0≦x≦0.5を満たす数である。)
(Ln1−x)(Nb1−y )O・・・・・・[4]
(組成式[4]において、Ln、M、R、及びxは、前記組成式[1]におけると同義であり、yは0≦y≦0.5を満たす数である。)
特に本発明で製造される複合金属酸化物蛍光体の結晶母体の好ましい例としては、例えば、LnNbO,LnVO,Ln(V,P)O,LnTaO(Lnは、Sc,Y,La,Gd,Luから選ばれる1種以上を表す)などのニオブ酸塩、バナジン酸塩、燐バナジン酸塩、タンタル酸塩、ETiO,EZrO,EHfO,ETiO(Eは、Mg,Ca,Sr,Baから選ばれる1種以上を表す)などのチタン酸塩、ジルコニウム酸塩、ハフニウム酸塩、EWO,EMoOなどのタングステン酸塩、モリブデン酸塩などが挙げられる。
ただし、上記の結晶母体及び付活剤または共付活剤の元素組成には特に制限はなく、同族の元素あるいはイオン半径の近い元素と一部置き換えることもでき、得られた蛍光体は電子線による励起や、X線及び紫外から可視領域の光の吸収により、可視光を発するものであれば用いることが可能である。
中でも、本発明の製造方法によれば、Eu3+を付活剤とし、YNbOを結晶母体とする特に特性の優れた赤色蛍光体を得ることができる。この蛍光体を製造するためには、YとEuの合計モル量のNbのモル量に対する比率を1にすることが好ましい。YとEuの比率は、YとEuの合計モル量に対するEuの比率が0.05〜0.5であることが好ましい。Euの比率が多くなっても発光強度はそれほど低下しないが、Euが多いと原料コスト増大の原因となる。Euの比率を0.1〜0.2とすることが、発光強度が最も高くなるので好ましい。
この蛍光体については、アルカリ金属元素、例えばLiとNaから選ばれる片方または両方が蛍光体中に含まれるように、g)工程の前駆体合成時の混合溶液にそれらを添加することで蛍光体の発光強度を高めることができる。アルカリ金属元素の中では特にLiを添加することが好ましい。これらの添加量は、これを添加する前の蛍光体1モルあたり、0.01mol%以上であることが好ましく、0.03mol%以上であることがさらに好ましく、0.3mol%以下であることが好ましく、0.1mol%以下であることがさらに好ましい。また、TbとPrの一方または両方を添加することによっても蛍光体の発光強度を高めることができる。その添加量は、これを添加する前の蛍光体の質量に対して質量で10ppm以上であることが好ましく、20ppm以上であることがさらに好ましく、500ppm以下であることが好ましく、200ppm以下であることがさらに好ましい。また、アルカリ金属と、「TbとPrの一方または両方」を両方加えることで両方の発光強度向上効果が現れ、さらに発光強度が高くなり、好ましい。いずれの添加物も、添加量が多過ぎると不純物相が生じ、少なすぎると添加効果を十分に得ることができない。
これらの元素は、水酸化物、硝酸塩、塩化物、酸化物、酢酸塩、炭酸塩、硫酸塩、フッ化物等の単体化合物またはそれらの水溶液として添加することができる。
[複合金属酸化物の好適粒径]
本発明者らは、鋭意検討した結果、単結晶からなり粒界や表面で囲まれた領域として定義される一次粒径が0.05μm〜5μmの範囲に有る蛍光体(容易に一次粒子まで分散可能な形態)は、ブラウン管、FED、PDP、固体照明素子、蛍光灯、蛍光表示管、夜光塗料、X線増感紙などに適用する際に均質で緻密な高輝度蛍光膜、蛍光層を形成できることを見出した。また、医薬品開発に使用されるラジオイムノアッセイ用の蛍光ビーズとして本発明の蛍光体を使用することにより、従来より開発効率の高いハイスループット新薬スクリーニングシステムを得ることができることを見出した。
なお、一次粒子は、単結晶からなり粒界や表面で囲まれた領域であり、その領域内では、結晶方位が本質的に同一である領域として定義される。即ち、本発明における一次粒子とは、単結晶X線回折において全領域が単一のX線反射を示すような結晶領域を表す。ただし、そのような結晶領域内では、必ずしも全ての結晶が完全に同一方向に正確に整列しておらず、結晶歪みが内在したり結晶欠陥を包含したりしているために結晶方位のわずかに異なる単位胞がモザイク構造を作っていて、ほんの少しずつ結晶方位がずれていることもありうる。
本発明では、一次粒径は、一次粒子の粒径であり、走査型電子顕微鏡(SEM)写真から任意に選んだ10個の粒子について、各粒子の最大直径と最小直径の平均値を求め、その平均値を一次粒径とした。
一次粒径が0.05μmより小さいと、所望の高輝度を得ることができない上に、塗膜等の工程において粒子の取扱いが難しくなり、均質で緻密な蛍光膜や蛍光層を形成できない。一方、一次粒径が5μmより大きいと、ブラウン管、FED、PDP、固体照明素子、固体照明器具、蛍光灯、蛍光表示管、夜光塗料、X線増感紙などに使用した場合に高精細の蛍光膜が形成できず、また、医薬品開発に使用されるラジオイムノアッセイ用の蛍光ビーズとして使用する際には、分注用の蛍光ビーズスラリー中での蛍光体の沈降が短時間で起きてしまい、正確な蛍光強度の測定が不能になる。一次粒径は、特に1μm以上、3μm以下が好ましい。
従って、本発明においては、特に、製造される複合金属酸化物が蛍光体である場合、上記範囲の一次粒径の複合金属酸化物が得られるように、例えば、焼成温度及び焼成時間等を調整することが好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1〜5>
実施例1〜5におけるPVA法による(Y0.85,Eu3+ 0.15)NbOの合成フローチャートを図1に示す。
0.837gのNbClを過酸化水素水(濃度30重量%)15mlとアンモニア水(濃度28重量%)5mlに溶解し、エタノール20mlを加えることによりペルオキソニオブ化合物の沈殿を形成させた。この沈殿を濾過することにより塩素除去を行った。濾過した沈殿物全量をグリコール酸水溶液(濃度0.114重量%)10mlに溶解し、溶液中のNbの濃度をICP(誘導結合プラズマ)分光分析で決定した。秤量した“Nb−グリコール酸錯体”水溶液にEu(NO・6HOを0.335gとPVA水溶液(#500(重合度500,けん化度86.5〜89モル%,濃度12.5重量%))を8ml、酢酸水溶液(濃度99.7重量%)2mlに溶解させたY(CO・2HOを0.837g加えて、250℃で濃縮攪拌を行うことでポリマーゲルを得た。NbとYとEuの比率は、1:0.85:0.15とした。
有機物を分解させるため、450℃に設定したマントルヒータで加熱して複合金属酸化物前駆体とした。この前駆体を電気炉にて1000℃(実施例1)、1100℃(実施例2)、1200℃(実施例3)、1300℃(実施例4)、1400℃(実施例5)で、それぞれ5時間熱処理(以下「最終熱処理」という)することにより実施例1〜5の(Y0.85,Eu3+ 0.15)NbO蛍光体を合成した。
実施例2の蛍光体(最終熱処理温度1100℃)の発光・励起スペクトルを図2に、粉末X線回折パターンを図3に、SEM写真を図4にそれぞれ示す。
<比較例1>
まず、Nb・nHOを900℃で2時間加熱することにより無水Nbを得た。無水Nb、Y及びEuを遊星型ボールミルを用いて良く混合し、1200℃の電気炉で5時間熱処理することにより比較例1の(Y0.85,Eu3+ 0.15)NbO蛍光体を合成した。
<比較例2>
比較例2における錯体重合法による(Y0.85,Eu3+ 0.15)NbOの合成フローチャートを図5に示す。
メタノールにNbClを溶解し、クエン酸、Y(CO・2HO、プロピレングリコール、Eu(NO・6HOを加え、80℃で攪拌した。次に、加熱濃縮を200℃で行うことでポリマーゲルを得た。有機物を分解させるため、マントルヒータで450℃に加熱して複合金属酸化物前駆体とした。この前駆体を電気炉にて1300℃で、5時間加熱することにより比較例2の(Y0.85,Eu3+ 0.15)NbO蛍光体を合成した。
<実施例6>
実施例2において、450℃で加熱して複合金属酸化物前駆体を得る工程と1100℃で最終熱処理する工程の間に、600℃で中間加熱処理をしたこと以外は実施例2と同様の手順を行うことにより実施例6の(Y0.85,Eu3+ 0.15)NbO蛍光体を合成した。
<実施例7〜9>
実施例2において、450℃で加熱して複合金属酸化物前駆体を得る工程と1100℃で最終熱処理する工程の間に、600℃に加熱する中間熱処理とマイクロ波照射による加熱処理を行ったこと以外は実施例2と同様の手順を行うことにより実施例7〜9の(Y0.85,Eu3+ 0.15)NbO蛍光体を合成した。
マイクロ波照射による加熱処理は、600℃中間熱処理を行った蛍光体前駆体を水(実施例7)、1M KOH水溶液(実施例8)、1M LiOH水溶液(実施例9)に入れ、(株)アクタック製「MWS−2型マイクロウェーブ分解装置」を用いて、以下の処理手順(工程1→工程2→工程3)により行った。処理後の蛍光体は濾過により固液分離し、その後、実施例2と同様の手順で1100℃で5時間の最終熱処理を行って、それぞれ実施例7〜9の(Y0.85,Eu3+ 0.15)NbO蛍光体を得た。
(マイクロ波加熱処理の処理手順(出力100%=1000W))
工程1:温度150℃,時間10分,出力80%
工程2:温度200℃,時間20分,出力80%
工程3:密閉下自然冷却
<実施例10〜20>
“Nb−グリコール酸錯体”溶液、Eu(NO・6HO、PVA水溶液(実施例2で使用したものと同じもの)、酢酸水溶液に溶解させたY(CO・2HOとともに、LiOHとTb(NOのいずれか、または、両方を所定量添加したことを除いて実施例2と同様に処理し、実施例10〜20のLi及び/又はTb添加(Y0.85,Eu3+ 0.15)NbO蛍光体を得た。なお、LiOHとTb(NOは、合成される(Y0.85,Eu3+ 0.15)NbO蛍光体1モルに対する添加割合が表1に示した値になるような割合で添加した。
実施例20の蛍光体の発光スペクトル、SEM写真を図6,7に、実施例15〜20の蛍光体の粉末X線回折パターンを図8にそれぞれ示した。
実施例1〜20及び比較例1,2について、処理手順の特徴と得られた蛍光体の特性(発光スペクトルのピーク高さ、及び、波長580〜640nmの積分強度の相対値、一次粒径)を表1にまとめて示した。
なお、発光スペクトル、波長580〜640nmの積分強度の相対値、一次粒径は次のようにして求めた。
(発光スペクトル)
日立製分光蛍光光度計F−4500を使用して、光源:キセノンランプ,励起光:1.0nm,蛍光スリット:1.0nmの条件で測定した。蛍光スペクトル測定時の励起波長は250nmとし、励起スペクトル測定時の蛍光波長は612nmとした。
(波長580〜640nmの積分強度の相対値)
上記発光スペクトルの測定条件で測定した蛍光スペクトルにおいて、580〜640nmの範囲で0.2nmおきの強度値の総和を求め、固相法により得られた標準蛍光体(Y,Eu)VOの値を100%とした相対値を積分強度とした。
(一次粒径)
走査型電子顕微鏡(SEM)写真から任意に選んだ10個の粒子について、各粒子の最大直径と最小直径の平均値を求め、その平均値を算出して一次粒径とした。
Figure 2007217202
表1より、本発明によれば、小粒径で発光強度の高い蛍光体が得られることが分かる。
また、実施例2と比較例2について、蛍光体1gを合成するのに必要な前駆体に含まれる有機化合物量を表2に対比して示した。
表2より明らかなように、ヒドロキシカルボン酸であるグリコール酸を使用したPVA法は、錯体重合法よりも加熱により除去される有機化合物量が少なく、環境負荷の小さい方法であることが分かる。
Figure 2007217202
実施例1〜5のPVA法による蛍光体の合成フローチャートである。 実施例2で得られた蛍光体の発光・励起スペクトルである。 実施例2で得られた蛍光体の粉末X線回折パターンである。 実施例2で得られた蛍光体のSEM写真である。 比較例2の錯体重合法による蛍光体の合成フローチャートである。 実施例20で得られた蛍光体の発光スペクトルである。 実施例20で得られた蛍光体のSEM写真である。 実施例15〜20で得られた蛍光体の粉末X線回折パターンである。

Claims (10)

  1. 有機化合物を用いた液相法により複合金属酸化物を製造する方法において、前記有機化合物を、製造される複合金属酸化物1重量部に対して0.1重量部以上10重量部以下使用することを特徴とする複合金属酸化物の製造方法。
  2. 以下の工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の複合金属酸化物の製造方法。
    a)少なくとも1種の金属元素化合物とポリビニルアルコールとを溶媒に溶解し、両者を反応させて金属錯体を生成させる工程
    b)前記金属錯体が生成した液から溶媒を除去することによりゲル化する工程
    c)生成したゲルを加熱することにより複合金属酸化物前駆体を生成させる工程
    d)前記複合金属酸化物前駆体を熱処理する工程
  3. 以下の工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の複合金属酸化物の製造方法。
    e)水中で、Nb、V、Ta、Ti、Zr、Hf、Mo、W及びBiよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素(以下「第1の金属元素」という)の化合物と、ヒドロキシカルボン酸とを反応させて、第1の金属元素のヒドロキシカルボン酸錯体水溶液を調製する工程
    f)前記第1の金属元素のヒドロキシカルボン酸錯体水溶液に、前記第1の金属元素とは異なる少なくとも1種の金属元素の化合物とポリビニルアルコールとを添加して混合溶液を得る工程
    g)前記混合溶液から水を除去してゲル化する工程
    h)生成したゲルを加熱することにより複合金属酸化物前駆体を生成させる工程
    i)前記複合金属酸化物前駆体を熱処理する工程
  4. 複合金属酸化物前駆体又はその熱処理物へのマイクロ波照射工程を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の複合金属酸化物の製造方法。
  5. 得られる複合金属酸化物の一次粒径が0.05μm以上5μm以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の複合金属酸化物の製造方法。
  6. 得られる複合金属酸化物が、希土類元素またはアルカリ土類元素と、Nb、V、Ta、Ti、Zr、Hf、Mo、W及びBiから選ばれる少なくとも1種の金属元素とを含む複合金属酸化物蛍光体であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の複合金属酸化物の製造方法。
  7. 得られる複合金属酸化物蛍光体が下記組成式[1]〜[3]の何れかで表されることを特徴とする請求項6に記載の複合金属酸化物の製造方法。
    (Ln1−x)M・・・・・・[1]
    (E1−x)M・・・・・・[2]
    (E1−x)M・・・・・・[3]
    (組成式[1]〜[3]において、LnはSc、Y、La、Gd及びLuよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、EはMg、Ca、Sr及びBaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、MはNb、V及びTaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、MはTi、Zr及びHfよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、MはMo及びWよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素、RはCe、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Mn、Sb及びBiよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xは0≦x≦0.5を満たす数である。)
  8. 得られる複合金属酸化物蛍光体が下記組成式[4]で表されることを特徴とする請求項7に記載の複合金属酸化物の製造方法。
    (Ln1−x)(Nb1−y )O・・・・・・[4]
    (組成式[4]において、Ln、M、R、及びxは、前記組成式[1]におけると同義であり、yは0≦y≦0.5を満たす数である。)
  9. 反応系にアルカリ金属を添加する工程を含むことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の複合金属酸化物の製造方法。
  10. 反応系にTb及び/またはPrを添加する工程を含むことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の複合金属酸化物の製造方法。
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