JP2007204532A - エポキシ樹脂用硬化剤組成物及び該エポキシ樹脂用硬化剤組成物を含有してなる硬化性エポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリエポキシ化合物との反応性に優れ、刺激臭を発生する事のないエポキシ樹脂用硬化剤、及び、硬化性、耐水性および美装性に優れた硬化性エポキシ樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】活性水素を有するアミン化合物を含有してなるエポキシ樹脂用硬化剤組成物及びそれを含有する硬化性エポキシ樹脂組成物。前記アミン化合物が、(a)m−キシレンジアミン1モルに対し、モノグリシジルエーテル及び/又はモノグリシジルエステル化合物が0.8当量以上付加して得られるアダクト変性アミン30〜60質量%、(b)m−キシレンジアミン1モルに対し、ジグリシジルエーテル化合物が0.8当量以上付加して得られるアダクト変性アミン2〜15質量%、(c)平均分子量200〜500のポリプロピレングリコールポリアミン20〜50質量%、及び(d)分子中に一個以上の脂環式基を有するポリアミン2〜10質量%からなることを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】活性水素を有するアミン化合物を含有してなるエポキシ樹脂用硬化剤組成物及びそれを含有する硬化性エポキシ樹脂組成物。前記アミン化合物が、(a)m−キシレンジアミン1モルに対し、モノグリシジルエーテル及び/又はモノグリシジルエステル化合物が0.8当量以上付加して得られるアダクト変性アミン30〜60質量%、(b)m−キシレンジアミン1モルに対し、ジグリシジルエーテル化合物が0.8当量以上付加して得られるアダクト変性アミン2〜15質量%、(c)平均分子量200〜500のポリプロピレングリコールポリアミン20〜50質量%、及び(d)分子中に一個以上の脂環式基を有するポリアミン2〜10質量%からなることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
本発明はエポキシ樹脂用硬化剤組成物および硬化性エポキシ樹脂組成物に関し、特に、刺激臭が無い上ポリエポキシ化合物との反応性に優れたエポキシ樹脂用硬化剤組成物、および、該エポキシ樹脂用硬化剤を用いた、硬化性、硬化物の耐水性、並びに美装性に優れた硬化性エポキシ樹脂組成物に関する。
エポキシ樹脂は、各種の基材に対する接着性に優れている上、それを硬化剤で硬化させた硬化物は、耐熱性、耐薬品性、電気特性、機械特性などの点で比較的優れているため、従来から広い分野、特に、塗料や接着剤の分野で賞用されている。
従来、エポキシ樹脂系の塗料や接着剤などに使用される無溶剤常温硬化型のアミン系硬化剤としては、m−キシレンジアミンを主体としたアミン系硬化剤が用いられている。しかしながら、m−キシレンジアミンは硬化剤の貯蔵中に僅かではあるが徐々に分解してアンモニアガスを発生するため、m−キシレンジアミンをフリーの状態で多く含有するアミン系硬化剤は、取り扱い作業時に臭気を発生するという欠点があった。また、これらのアミン系硬化剤を用いて得られる硬化塗膜は、低温高湿度下において、残存するアミンが炭酸ガスを吸収して白化する(ブラッシング)現象や革張り現象を生じるという欠点もあった。
そこでこれらの欠点を解消するために、通常、フェノールやアルキルフェノールなどのフェノール系化合物が、アミンブロック剤および硬化促進剤として配合されている。
しかしながら、フェノール系化合物をアミンブロック剤および硬化促進剤として配合したアミン系硬化剤は、硬化物の耐候性や耐水性等の低下を引き起こすだけではなく、シックハウスの原因となるアンモニア臭やアミン臭に加えてフェノール化合物特有の臭気を発生する等、種々の問題を有していた。
そこで、前記フェノール系化合物を使用することなく、低温硬化性および硬化物の耐候性に優れると共に、耐水性等の低下といった種々の問題を有することの無い、低環境負荷型で無溶剤の、常温硬化型アミン系硬化剤の開発が求められていた。
しかしながら、フェノール系化合物をアミンブロック剤および硬化促進剤として配合したアミン系硬化剤は、硬化物の耐候性や耐水性等の低下を引き起こすだけではなく、シックハウスの原因となるアンモニア臭やアミン臭に加えてフェノール化合物特有の臭気を発生する等、種々の問題を有していた。
そこで、前記フェノール系化合物を使用することなく、低温硬化性および硬化物の耐候性に優れると共に、耐水性等の低下といった種々の問題を有することの無い、低環境負荷型で無溶剤の、常温硬化型アミン系硬化剤の開発が求められていた。
フェノール化合物をアミンブロック剤として使用することなく、白化の問題を解消するために、キシレンジアミンあるいはその変性物と脂肪族アミン化合物を含有する、樹脂硬化剤が開示されているが、ブリードしたり、塗膜の強度が低下したりするなどの欠点があった(特許文献1)。
特開平8−104738
従って本発明の第1の目的は、ポリエポキシ化合物との反応性に優れるだけでなく、アンモニア臭やフェノール臭などの刺激臭を発生する事のない、エポキシ樹脂用硬化剤を提供することにある。
本発明の第2の目的は、硬化性、硬化物塗膜の耐水性、および美装性に優れた硬化性エポキシ樹脂組成物を提供することにある。
本発明の第2の目的は、硬化性、硬化物塗膜の耐水性、および美装性に優れた硬化性エポキシ樹脂組成物を提供することにある。
本発明者等は、上記の諸目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のエポキシアダクト変性アミンと特定のアミン化合物を組み合わせて得られる硬化剤組成物が、エポキシ樹脂用硬化剤組成物として好適であることを見出し、本発明に到達した。
即ち本発明は、活性水素を有するアミン化合物を含有してなるエポキシ樹脂用硬化剤組成物であって、前記活性水素を有するアミン化合物が、(a)m−キシレンジアミン1モルに対して、モノグリシジルエーテル及び/又はモノグリシジルエステル化合物が0.8当量以上付加して得られるアダクト変性アミンの中から選ばれる少なくとも一種のアミン化合物30〜60質量%、(b)m−キシレンジアミン1モルに対して、ジグリシジルエーテル化合物が0.8当量以上付加して得られるアダクト変性アミンの中から選ばれる少なくとも一種のアミン化合物2〜15質量%、(c)平均分子量200〜500のポリプロピレングリコールポリアミンの中から選ばれる少なくとも一種のアミン化合物20〜50質量%、及び、(d)分子中に少なくとも一個以上の脂環式基を有するポリアミンの中から選ばれる少なくとも一種のアミン化合物2〜10質量%からなることを特徴とするエポキシ樹脂用硬化剤組成物、および、該エポキシ樹脂用硬化剤組成物とポリエポキシ化合物を含有してなる硬化性エポキシ樹脂組成物である。
本発明においては特に、前記(a)成分のアダクト変性アミンが、m−キシレンジアミン1モルに対して、モノグリシジルエーテル及び/又はモノグリシジルエステル化合物が0.9〜1.1当量付加して得られるアミン化合物であることが好ましく、特に、m−キシレンジアミン1モルに対して、モノフェニルグリシジルエーテルが0.8当量以上付加して得られるアミン化合物であることが好ましい。また、前記(b)成分のアダクト変性アミンは、m−キシレンジアミン1モルに対して、ジグリシジルエーテル化合物が0.9〜1.1当量付加して得られるアミン化合物であることが好ましく、特に、前記(b)成分のアダクト変性アミンが、m−キシレンジアミン1モルに対して、ビスフェノール化合物のジグリシジルエーテルが0.8当量以上付加して得られるアミン化合物であることが好ましい。更に、前記(d)成分の脂環式基含有ポリアミンは、イソホロンジアミン又は1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンであることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂用硬化剤組成物は、刺激臭が無いだけでなく、ポリエポキシ化合物と組み合わせることによって、硬化性、硬化物の耐水性、および美装性に優れた硬化性エポキシ樹脂組成物を提供することができる。
本発明に使用される(a)成分であるアダクト変性アミンを提供することのできるモノグリシジルエーテル化合物としては、例えば、ブチルグリシジルエーテルなどのアルキルモノグリシジルエーテル類;フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル等のフェノールモノグリシジルエーテル類、ブチルフェニルグリシジルエーテル、ナフチルグリシジルエーテル等のアリールモノグリシジルエーテル類などがあげられるが、特に、フェニルグリシジルエーテルを使用することが、粘度の上昇を抑えることができるので好ましい。一方、本発明に使用される(a)成分であるアダクト変性アミンを提供することのできるモノグリシジルエステル化合物としては、例えば、脂肪酸モノグリシジルエステル類などがあげられる。
本発明に使用する(a)成分であるアダクト変性アミンは、m−キシレンジアミン1モルに対し、モノグリシジルエーテル及び/又はモノグリシジルエステル化合物を0.8当量以上付加させて得られるものであるが、特に、硬化反応性に優れたものを得るという観点から、0.9〜1.1当量付加させて得られるものを使用することが好ましい。モノグリシジルエーテル化合物及び/又はモノグリシジルエステル化合物の使用量が0.8当量未満であると、フリーのm−キシレンジアミンの残存量が増加し、経時によって刺激臭が発生する傾向があるので好ましくない。
本発明に使用する(b)成分であるアダクト変性アミンを提供することのできるジグリシジルエーテルとしては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ピロカテコール、フロログルクシノールなどの単核多価フェノール化合物のジグリシジルエーテル化合物;ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、メチレンビス(オルトクレゾール)、エチリデンビスフェノール、イソプロピリデンビスフェノール(ビスフェノールA)、イソプロピリデンビス(オルトクレゾール)、テトラブロモビスフェノールA、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、チオビスフェノール、スルホビスフェノール、オキシビスフェノール、テルペンビスフェノールなどのビスフェノール化合物のジグリジルエーテル化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリグリコール、チオジグリコール、ビスフェノールA−エチレンオキシド付加物などのグリコール類のジグリシジルエーテルなどがあげられる。特に、塗膜強度、耐候性等に優れた硬化性エポキシ樹脂組成物を得るために、ビスフェノール化合物のジグリシジルエーテル、とりわけビスフェノールAのジグリシジルエーテルを使用することが好ましい。
本発明に使用する(b)成分であるアダクト変性アミンは、m−キシレンジアミン1モルに対し、ジグリシジルエーテル化合物を0.8当量以上付加させて得られるものであるが、特に、刺激臭が少なく硬化反応性に優れたものを得るために、0.9〜1.1当量付加させて得られるものを使用することで好ましい。モノグリシジルエーテル化合物の使用量が0.8当量未満であると、フリーのm−キシレンジアミンの残存量が増加し、経時によって刺激臭が発生する傾向があるので好ましくない。
上記(a)成分および(b)成分は、予め個別に製造しても良いが、(a)成分を製造した後続けて(b)成分を製造するという、一段製造でも良いし、製造に際してアルコール等の有機溶剤を使用しても良い等、通常の製造条件に従えば良く、特に制限されることはない。
本発明に使用する(c)成分である平均分子量200〜500のポリプロピレングリコールポリアミンは、下記一般式(I)で表される化合物である。平均分子量が200未満であると、硬化物の光沢が悪化したり機械的強度が低下するおそれなどがあるため好ましくない。平均分子量が500を超えると、硬化反応性が低下したり耐水性が低下するなどのおそれがあるため好ましくない。
(I)式中、Xは2〜6価のポリオールからm個の水酸基を除いた残基を表し、Aは炭素原子数2〜6のアルキレン基を表す。Bは1,2−プロピレン基を表し、mは2〜6の整数、nは0〜10の整数を表す。また、同一分子内に存在する複数のA、Bおよびnは、各々同一であっても異なっていてもよい。
上記式(I)において、Xで表される2〜6価のポリオールの残基としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ベンゼンジメタノール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ソルビトール、マンニトール、ジペンタエリスリトール等のポリオールからm個の水酸基を除いた残基があげられる。
上記式(I)で表されるポリプロピレングリコールポリアミン化合物の代表例としては、例えば、下記の化合物があげられる。
上式中、n1は2〜7の整数、n2およびn3は1〜5の整数、n4、n5およびn6は0〜5の整数を表す。
上式中、n1は2〜7の整数、n2およびn3は1〜5の整数、n4、n5およびn6は0〜5の整数を表す。
本発明に使用する(c)成分である平均分子量200〜500のポリプロピレングリコールポリアミンの市販品としては、例えば、ハインツ社のジェファーミンDシリーズ(D−230、D−400)、ジェファーミンTシリーズ(T−403)など(ジェファーミンは登録商標)があげられる。
本発明に使用する(d)成分である脂環式基含有ポリアミン化合物としては、例えば、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−3,6−ジエチルシクロヘキサン、イソホロンジアミン、ノルボルネンジアミンなどがあげられる。硬化性や美装性に優れた硬化性エポキシ樹脂組成物を得る観点から、本発明においては、上記の脂環式ポリアミン化合物の中でも、特に1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、及び/又は、イソホロンジアミンを使用することが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂用硬化剤組成物は、硬化剤成分中に、それぞれ、(a)成分を30〜60質量%、好ましくは40〜50質量%、(b)成分を2〜15質量%、好ましくは5〜10質量%、(c)成分を20〜50質量%、好ましくは30〜45質量%、(d)成分を2〜10質量%、好ましくは3〜8質量%含有してなるものである。(a)成分が30質量%未満であると、低温硬化性が劣ったり、硬度が低下したり、あるいは耐水性が低下したりするおそれなどがあるため好ましくない。また、60質量%より多く使用すると、刺激臭が強くなったり、白化現象が生じて美装性が低下したりするおそれなどがあるため好ましくない。一方、(b)成分が2質量%未満であると、硬度が低下したり耐水性が低下したりするなどの欠点を生じるおそれがあり、15質量%より多く使用すると、粘度が上昇して作業性が悪くなるおそれがあるため好ましくない。また、(c)成分が20質量%未満であると、粘度が上昇して作業性が悪くなったり、硬化物表面の平滑性が悪化したりするなどの欠点を生じるおそれがあり、50質量%より多く使用すると、硬度が低下したり耐水性が低下するなどのおそれがあるため好ましくない。更に、(d)成分が2質量%未満であると、硬化物の光沢が低下したり、機械的強度が低下するなどのおそれがあり、10質量%より多く使用すると、吸炭酸による白化現象や革張り現象が生じたりベタツキが発生したりするなど、美装性が低下するおそれがあるため好ましくない。尚、他のメタキシリレンジアミンやポリアルキレンポリアミン等の脂肪族ポリアミンやジアミノジフェニルメタン等の芳香族ポリアミン類およびこれらの変性物を使用した場合には、白化現象等の美装性悪化が生じるのみならず、耐水性、硬度、耐候性などが著しく損なわれる恐れがあるので好ましくない。
本発明のエポキシ樹脂用硬化剤組成物は、環境および安全衛生面に配慮する観点から有機溶媒を使用せず、無溶剤型硬化剤として使用することが好ましいが、有機溶媒を使用して溶剤型硬化剤として使用することもできる。この場合に使用することのできる有機溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン等のエーテル類;イソ−またはn−ブタノール、イソ−またはn−プロパノール、アミルアルコール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などがあげられる。また、界面活性剤等を用いて水分散型、エマルション型等にして、水稀釈することもできる。特に、溶剤を使用する代わりに水系化することが、環境および安全衛生面の観点から好ましい。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、(A)ポリエポキシ化合物と共に、(B)上記した本発明のエポキシ樹脂用硬化剤組成物を含有してなる樹脂組成物である。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における、(A)成分のポリエポキシ化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ピロカテコール、フロログルクシノールなどの単核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物;ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、メチレンビス(オルトクレゾール)、エチリデンビスフェノール、イソプロピリデンビスフェノール(ビスフェノールA)、イソプロピリデンビス(オルトクレゾール)、テトラブロモビスフェノールA、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、チオビスフェノール、スルホビスフェノール、オキシビスフェノール、フェノールノボラック、オルソクレゾールノボラック、エチルフェノールノボラック、ブチルフェノールノボラック、オクチルフェノールノボラック、レゾルシンノボラック、テルペンフェノールなどの多核多価フェノール化合物のポリグリジルエーテル化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリグリコール、チオジグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ビスフェノールA−エチレンオキシド付加物などの多価アルコール類のポリグリシジルエーテル;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、グルタル酸、スベリン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、トリマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸等の脂肪族、芳香族または脂環族多塩基酸のグリシジルエステル類およびグリシジルメタクリレートの単独重合体または共重合体;N,N−ジグリシジルアニリン、ビス(4−(N−メチル−N−グリシジルアミノ)フェニル)メタン、ジグリシジルオルトトルイジン等のグリシジルアミノ基を有するエポキシ化合物;ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ジシクロペンタンジエンジエポキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等の環状オレフィン化合物のエポキシ化物;エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン−ブタジエン共重合物等のエポキシ化共役ジエン重合体、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環化合物などがあげられる。
これらのエポキシ樹脂は、末端イソシアネートのプレポリマーによって内部架橋されたもの、あるいは多価の活性水素化合物(多価フェノール、ポリアミン、ポリリン酸エステル等)で高分子量化したものであってもよい。更に、これらのエポキシ樹脂は、界面活性剤によって乳化されたエマルションとしても使用することが可能であり、特に高分子量エポキシ樹脂を使用する場合は、溶剤を使用して液状化した場合と比較して、環境および安全衛生面で優れている。
本発明においては、(A)成分のポリエポキシ化合物100質量部に対し、(B)成分である本発明の前記硬化剤組成物を0.1〜200質量部使用することが好ましく、特に1〜100質量部の範囲で使用することが好ましい。0.1質量部未満の使用では硬化性が得られないおそれがあり、200質量部を越えた場合には、硬化物の物性が低下するおそれがある。
また、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物を塗料や接着剤として用いる場合には、環境および安全衛生面に配慮する観点から、有機溶媒を使用しない無溶剤型として使用することが好ましいが、取り扱い性を改善するために溶剤を配合することもできる。この場合に使用する溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテルエステル類;イソ−またはn−ブタノール、イソ−またはn−プロパノール、アミルアルコール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;テレピン油、D−リモネン、ピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油(株)の商品名)、ソルベッソ#100(エクソン化学(株)の商品名)などのパラフィン系溶剤;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、塩化メチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素;アニリン、トリエチルアミン、ピリジン、ジオキサン、酢酸、アセトニトリル、二硫化炭素などがあげられる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物には、反応性または非反応性の希釈剤を使用することもできる。反応性希釈剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、プロピルフェノール、p−第三ブチルフェノール、p−第三アミルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、オクタデシルフェノール若しくはテルペンモノフェノール等のモノグリシジルエーテル化合物などがあげられ、非反応性希釈剤としては、例えば、トルエン樹脂、キシレン樹脂、ベンジルアルコール等があげられる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物には、公知の硬化促進剤を併用することもできる。このような硬化促進剤としては、例えば、トリメチルアミン、エチルジメチルアミン、プロピルジメチルアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、ピリジン、ピコリン、1,8−ジアザビスシクロ(5,4,0)ウンデセン−1(DBU)、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP−10)、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP−30)などの第三アミン類;p−トルエンスルホン酸、チオシアン酸の1−アミノピロリジン塩、サリチル酸、安息香酸などがあげられる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、ガラス繊維、炭素繊維、セルロース、ケイ砂、セメント、カオリン、クレー、水酸化アルミニウム、ベントナイト、タルク、シリカ、微粉末シリカ、二酸化チタン、カーボンブラック、グラファイト、酸化鉄、瀝青物質などの、充填剤もしくは顔料;増粘剤;チキソトロピック剤;難燃剤;消泡剤;防錆剤;コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ等の常用の添加物を含有させてもよく、更に、キシレン樹脂や石油樹脂等の、粘着性の樹脂類を併用することもできる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、例えば、コンクリート、セメントモルタル、各種金属、皮革、ガラス、ゴム、プラスチック、木、布、紙等に対する塗料あるいは接着剤;包装用粘着テープ、粘着ラベル、冷凍食品ラベル、リムーバブルラベル、POSラベル、粘着壁紙、粘着床材の粘着剤;アート紙、軽量コート紙、キャストコート紙、塗工板紙、カーボンレス複写紙、含浸紙等の加工紙;天然繊維、合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維等の収束剤、ほつれ防止剤、加工剤等の繊維処理剤;シーリング材、セメント混和剤、防水材等の建築材料など、広範な用途に使用することができるが、特に、各種基材への塗料や接着剤として好適に用いられる。
以下製造例及び実施例を示して本発明のエポキシ樹脂用硬化剤組成物及び硬化性エポキシ樹脂組成物について更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。尚、以下における「%」は、特に記載しない限り「質量%」を意味する。
製造例1
m−キシレンジアミン136g(1モル)及びイソプロパノール(IPA)293gを仕込んで、反応系の内温を60〜70℃に調整した後、エピオールP(日本油脂(株)製のフェニルグリシジルエーテル(PGE)の商品名)157g(1.0当量)を、前記内温が60〜80℃の範囲内となるように必要に応じて冷却しながら1時間かけて滴下した。滴下終了後70〜80℃で更に5時間反応させ、樹脂分中の活性水素当量が97.7の、アダクト変性物50%のIPA溶液(MXDA/PGE−1)を得た。
m−キシレンジアミン136g(1モル)及びイソプロパノール(IPA)293gを仕込んで、反応系の内温を60〜70℃に調整した後、エピオールP(日本油脂(株)製のフェニルグリシジルエーテル(PGE)の商品名)157g(1.0当量)を、前記内温が60〜80℃の範囲内となるように必要に応じて冷却しながら1時間かけて滴下した。滴下終了後70〜80℃で更に5時間反応させ、樹脂分中の活性水素当量が97.7の、アダクト変性物50%のIPA溶液(MXDA/PGE−1)を得た。
比較製造例1
m−キシレンジアミン136g(1モル)及びイソプロパノール(IPA)246gを仕込んで、反応系の内温を60〜70℃に調整した後、エピオールP(日本油脂(株)製のフェニルグリシジルエーテル(PGE)の商品名)110g(0.7当量)を、前記内温が60〜80℃の範囲内となるように、必要に応じて冷却しながら1時間かけて滴下した。滴下終了後70〜80℃で更に5時間反応させ、樹脂分中の活性水素当量が74.5の、アダクト変性物50%のIPA溶液(MXDA/PGE−2)を得た。
m−キシレンジアミン136g(1モル)及びイソプロパノール(IPA)246gを仕込んで、反応系の内温を60〜70℃に調整した後、エピオールP(日本油脂(株)製のフェニルグリシジルエーテル(PGE)の商品名)110g(0.7当量)を、前記内温が60〜80℃の範囲内となるように、必要に応じて冷却しながら1時間かけて滴下した。滴下終了後70〜80℃で更に5時間反応させ、樹脂分中の活性水素当量が74.5の、アダクト変性物50%のIPA溶液(MXDA/PGE−2)を得た。
製造例2
m−キシレンジアミン136g(1モル)及びイソプロパノール(IPA)266gを仕込んで反応系の内温を60〜70℃に調整した後、エピオールB(日本油脂(株)製のN−ブチルグリシジルエーテル(BGE)の商品名)130g(1.0当量)を、前記内温が60〜80℃の範囲内となるように、必要に応じて冷却しながら1時間かけて滴下した。滴下終了後70〜80℃でさらに5時間反応させ、樹脂分中の活性水素当量が88.7の、アダクト変性物50%のIPA溶液(MXDA/BGE)を得た。
m−キシレンジアミン136g(1モル)及びイソプロパノール(IPA)266gを仕込んで反応系の内温を60〜70℃に調整した後、エピオールB(日本油脂(株)製のN−ブチルグリシジルエーテル(BGE)の商品名)130g(1.0当量)を、前記内温が60〜80℃の範囲内となるように、必要に応じて冷却しながら1時間かけて滴下した。滴下終了後70〜80℃でさらに5時間反応させ、樹脂分中の活性水素当量が88.7の、アダクト変性物50%のIPA溶液(MXDA/BGE)を得た。
製造例3
m−キシレンジアミン136g(1モル)及びイソプロパノール(IPA)326gを仕込んで反応系の内温を60〜70℃に調整した後、アデカレジンEP−4100E(旭電化工業(株)製のビスフェノールAジグリシジルエーテルの商品名)190g(1.0当量)を、前記内温が60〜80℃の範囲内となるように、必要に応じて冷却しながら1時間かけて滴下した。滴下終了後70〜80℃でさらに5時間反応させ、樹脂分中の活性水素当量が108.7の、アダクト変性物50%のIPA溶液(MXDA/4100E−1)を得た。
m−キシレンジアミン136g(1モル)及びイソプロパノール(IPA)326gを仕込んで反応系の内温を60〜70℃に調整した後、アデカレジンEP−4100E(旭電化工業(株)製のビスフェノールAジグリシジルエーテルの商品名)190g(1.0当量)を、前記内温が60〜80℃の範囲内となるように、必要に応じて冷却しながら1時間かけて滴下した。滴下終了後70〜80℃でさらに5時間反応させ、樹脂分中の活性水素当量が108.7の、アダクト変性物50%のIPA溶液(MXDA/4100E−1)を得た。
比較製造例2
m−キシレンジアミン136g(1モル)及びイソプロパノール(IPA)269gを仕込んで反応系の内温を60〜70℃に調整した後、アデカレジンEP−4100E(旭電化工業(株)製のビスフェノールAジグリシジルエーテルの商品名)133g(0.7当量)を、前記内温が60〜80℃の範囲内となるように、必要に応じて冷却しながら1時間かけて滴下した。滴下終了後70〜80℃でさらに5時間反応させ、樹脂分中の活性水素当量が81.5の、アダクト変性物50%のIPA溶液(MXDA/4100E−2)を得た。
m−キシレンジアミン136g(1モル)及びイソプロパノール(IPA)269gを仕込んで反応系の内温を60〜70℃に調整した後、アデカレジンEP−4100E(旭電化工業(株)製のビスフェノールAジグリシジルエーテルの商品名)133g(0.7当量)を、前記内温が60〜80℃の範囲内となるように、必要に応じて冷却しながら1時間かけて滴下した。滴下終了後70〜80℃でさらに5時間反応させ、樹脂分中の活性水素当量が81.5の、アダクト変性物50%のIPA溶液(MXDA/4100E−2)を得た。
製造例4
m−キシレンジアミン136g(1モル)を仕込んで反応系の内温を60〜70℃に調整した後、エピオールP(日本油脂(株)製のフェニルグリシジルエーテル(PGE)の商品名)141g(0.9当量)を、前記内温が60〜80℃の範囲内となるように、必要に応じて冷却しながら1時間かけて滴下した。滴下終了後70〜90℃で更に1時間反応させた。次いで、アデカレジンEP−4100E(旭電化工業(株)製のビスフェノールAジグリシジルエーテルの商品名)19g(0.1当量)を、前記内温が70〜80℃の範囲内となるように、必要に応じて冷却しながら添加した。添加終了後70〜80℃で更に5時間反応させ、活性水素当量が98.7の、アダクト変性物(MXDA/PG/4100E)を得た。
m−キシレンジアミン136g(1モル)を仕込んで反応系の内温を60〜70℃に調整した後、エピオールP(日本油脂(株)製のフェニルグリシジルエーテル(PGE)の商品名)141g(0.9当量)を、前記内温が60〜80℃の範囲内となるように、必要に応じて冷却しながら1時間かけて滴下した。滴下終了後70〜90℃で更に1時間反応させた。次いで、アデカレジンEP−4100E(旭電化工業(株)製のビスフェノールAジグリシジルエーテルの商品名)19g(0.1当量)を、前記内温が70〜80℃の範囲内となるように、必要に応じて冷却しながら添加した。添加終了後70〜80℃で更に5時間反応させ、活性水素当量が98.7の、アダクト変性物(MXDA/PG/4100E)を得た。
下記の表1〜4に示した配合によって硬化剤組成物を調製した。調製は、最初にm−キシレンジアミンアダクトを混合した後、80〜100℃、2〜4MPaで脱溶剤を行い、次いで他の成分を加えて80℃でブレンドした。得られた硬化剤組成物の粘度及び臭気を、下記のようにして評価した。
(粘度)
JIS K7233に従い、25℃においてBM型回転式粘度計を用いて測定した。単位をmPa・Sとし、無溶剤での作業性を維持する観点から、硬化剤組成物の粘度を下記の通り評価した。
○:粘度が600mPa・S/25℃以下で、実用上使用可能な粘度。
△:粘度が600〜1000mPa・S/25℃で、作業適用気温が制限されるので実用上好ましくない。
×:粘度が1000mPa・S/25℃以上で、作業性が悪いため、常温以下では溶剤で稀釈する必要がある。
JIS K7233に従い、25℃においてBM型回転式粘度計を用いて測定した。単位をmPa・Sとし、無溶剤での作業性を維持する観点から、硬化剤組成物の粘度を下記の通り評価した。
○:粘度が600mPa・S/25℃以下で、実用上使用可能な粘度。
△:粘度が600〜1000mPa・S/25℃で、作業適用気温が制限されるので実用上好ましくない。
×:粘度が1000mPa・S/25℃以上で、作業性が悪いため、常温以下では溶剤で稀釈する必要がある。
(臭気)
臭気が、主たる原因である硬化剤組成物中のアンモニアガス濃度に比例するため、密閉容器中内のアンモニアガス濃度を測定して評価した。評価方法は、硬化剤組成物150gを300mlの三角フラスコに測りとり、密閉した後、23℃で72時間放置した。刺激臭があるかどうかについて、ガステック株式会社製の検知管式気体測定器(GV−100Sアンモニアガス検知管No.3HM(商品名))を用い、三角フラスコ内のヘッドスペースのアンモニア濃度を測定し、以下の基準で判定した。
○:アンモニアガスの検出量が0〜0.3%で刺激臭をほとんど感じない。
△:アンモニアガスの検出量が0.3〜0.7%で僅かに刺激を感じ、長時間の吸引で鼻に痛みを覚える。
×:アンモニアガスの検出量が0.7%以上で刺激臭を強く感じ、鼻に痛みを覚える。
臭気が、主たる原因である硬化剤組成物中のアンモニアガス濃度に比例するため、密閉容器中内のアンモニアガス濃度を測定して評価した。評価方法は、硬化剤組成物150gを300mlの三角フラスコに測りとり、密閉した後、23℃で72時間放置した。刺激臭があるかどうかについて、ガステック株式会社製の検知管式気体測定器(GV−100Sアンモニアガス検知管No.3HM(商品名))を用い、三角フラスコ内のヘッドスペースのアンモニア濃度を測定し、以下の基準で判定した。
○:アンモニアガスの検出量が0〜0.3%で刺激臭をほとんど感じない。
△:アンモニアガスの検出量が0.3〜0.7%で僅かに刺激を感じ、長時間の吸引で鼻に痛みを覚える。
×:アンモニアガスの検出量が0.7%以上で刺激臭を強く感じ、鼻に痛みを覚える。
下記に示した配合の混合物を三本ロールを用いて混練することにより得られた主剤200質量部と、実施例1により調整した硬化剤組成物40質量部を配合して得られた硬化性エポキシ樹脂組成物を用い、臭気、硬化反応性、硬化膜の耐水性及び美装性の評価を実施した。
(主剤配合) 質量部
アデカレジンEP−4100E 90
アデカグリシロールED−529E 10
(旭電化工業(株)製クレジルグリシジルエーテルの商品名、エポキシ当量180)
ベンジルアルコール 15
炭酸カルシウム 55
タルク 9
BYK−065 0.5
(ビックケミー・ジャパン社製の、変性シロキサン系消泡剤の商品名)
BYK−354 0.5
(ビックケミー・ジャパン社製のアクリル系レベリング剤の商品名)
酸化クロム(緑色顔料) 20
アデカレジンEP−4100E 90
アデカグリシロールED−529E 10
(旭電化工業(株)製クレジルグリシジルエーテルの商品名、エポキシ当量180)
ベンジルアルコール 15
炭酸カルシウム 55
タルク 9
BYK−065 0.5
(ビックケミー・ジャパン社製の、変性シロキサン系消泡剤の商品名)
BYK−354 0.5
(ビックケミー・ジャパン社製のアクリル系レベリング剤の商品名)
酸化クロム(緑色顔料) 20
(臭気)
硬化性樹脂組成物150gを300mlの三角フラスコに計りとり、実施例1と同様にして、測定及び判定を実施した。
硬化性樹脂組成物150gを300mlの三角フラスコに計りとり、実施例1と同様にして、測定及び判定を実施した。
(硬化反応性)
厚さ7mm、直径40mmの金型に注型し、10℃で24時間硬化させて得られた硬化物を23℃室温下に1時間放置した後、該硬化物のShore−D硬度を23℃下で測定し、以下の指標によって判定した。
○:Shore−D硬度が50以上であって、実用上問題無い
△:Shore−D硬度が50〜40と実用上問題があり、硬化養生時間の延長が必要
×:Shore−D硬度が40以下であり、後加熱しなければ実質的に使用不可能。
厚さ7mm、直径40mmの金型に注型し、10℃で24時間硬化させて得られた硬化物を23℃室温下に1時間放置した後、該硬化物のShore−D硬度を23℃下で測定し、以下の指標によって判定した。
○:Shore−D硬度が50以上であって、実用上問題無い
△:Shore−D硬度が50〜40と実用上問題があり、硬化養生時間の延長が必要
×:Shore−D硬度が40以下であり、後加熱しなければ実質的に使用不可能。
(耐水性)
厚さ7mm、直径40mmの金型に注型し、23℃で7日間硬化させた後、25℃の水道水に7日間浸漬し、浸漬前後の質量変化率を求めた。
○:質量変化率が±1%以内であり、塗膜耐久性や防食性に優れ実用上問題なし。
△:質量変化率が±1〜1.5%であって、長期防食性や塗膜耐久性に劣り、実用上やや問題あり。
×:質量変化率が±1.5%以上であって使用不可能。フクレや剥離現象を起こしやすく、防蝕性にも劣る。
厚さ7mm、直径40mmの金型に注型し、23℃で7日間硬化させた後、25℃の水道水に7日間浸漬し、浸漬前後の質量変化率を求めた。
○:質量変化率が±1%以内であり、塗膜耐久性や防食性に優れ実用上問題なし。
△:質量変化率が±1〜1.5%であって、長期防食性や塗膜耐久性に劣り、実用上やや問題あり。
×:質量変化率が±1.5%以上であって使用不可能。フクレや剥離現象を起こしやすく、防蝕性にも劣る。
(美装性)
10×7cm、厚さ3mmのガラス板上に膜厚が500μmとなるように塗布し、10℃、湿度80〜90%に設定した恒温高湿槽内で72時間硬化させた際の、塗膜表面を観察した。
○:塗膜表面に光沢があり、実用上満足できる
△:塗膜表面が曇っており、実用上不満足。また、硬化物表面にベタツキが残ることがある。
×:塗膜表面が白化しており、使用不可能。更に、硬化物表面にベタツキが残り耐汚染性が悪い。
10×7cm、厚さ3mmのガラス板上に膜厚が500μmとなるように塗布し、10℃、湿度80〜90%に設定した恒温高湿槽内で72時間硬化させた際の、塗膜表面を観察した。
○:塗膜表面に光沢があり、実用上満足できる
△:塗膜表面が曇っており、実用上不満足。また、硬化物表面にベタツキが残ることがある。
×:塗膜表面が白化しており、使用不可能。更に、硬化物表面にベタツキが残り耐汚染性が悪い。
各実施例及び比較例の結果を表1〜4に示す。
但し、単位は質量部、( )内は固形分を示す。
D−230:ハンツマン社製のポリプロピレングリコールジアミン、平均分子量230、活性水素当量60g/eq、商品名:ジェファーミン
IPDA:イソホロンジアミン、分子量170、活性水素当量42.5g/eq
アンカミンK−54:3級アミン硬化触媒、エアー プロダクツ ジャパン(株)製2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールの商品名
D−230:ハンツマン社製のポリプロピレングリコールジアミン、平均分子量230、活性水素当量60g/eq、商品名:ジェファーミン
IPDA:イソホロンジアミン、分子量170、活性水素当量42.5g/eq
アンカミンK−54:3級アミン硬化触媒、エアー プロダクツ ジャパン(株)製2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールの商品名
D−2000:ハンツマン社製のポリプロピレングリコールジアミン、平均分子量2000、活性水素当量500g/eq、商品名:ジェファーミン
TETA:トリエチレンテトラミン、分子量146、活性水素当量24.3g/eq
DDM :ジアミノジフェニルメタン、分子量198、活性水素当量49.5g/eq
表1〜表4の結果から明らかなように、特定のアダクト変性アミン二種、低分子量のポリプロピレングリコールポリアミン及び脂環式アミンを特定の比率で含有してなる本発明のエポキシ樹脂用硬化剤組成物とポリエポキシ化合物とを組み合わせて得られる本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、硬化性、耐水性、美装性に優れた塗膜を提供することができることが実証された。
本発明のエポキシ樹脂用硬化剤は、ポリエポキシ化合物との反応性に優れるだけでなく、アンモニア臭やフェノール臭などの刺激臭を発生する事がなく、また本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、硬化性、硬化物塗膜の耐水性、および美装性に優れており、広い分野、特に、塗料や接着剤の分野利用可能である。
Claims (7)
- 活性水素を有するアミン化合物を含有してなるエポキシ樹脂用硬化剤組成物であって、前記活性水素を有するアミン化合物が、(a)m−キシレンジアミン1モルに対して、モノグリシジルエーテル及び/又はモノグリシジルエステル化合物が0.8当量以上付加して得られるアダクト変性アミンの中から選ばれる少なくとも一種のアミン化合物30〜60質量%、(b)m−キシレンジアミン1モルに対して、ジグリシジルエーテル化合物が0.8当量以上付加して得られるアダクト変性アミンの中から選ばれる少なくとも一種のアミン化合物2〜15質量%、(c)平均分子量200〜500のポリプロピレングリコールポリアミンの中から選ばれる少なくとも一種のアミン化合物20〜50質量%、及び、(d)分子中に少なくとも一個以上の脂環式基を有するポリアミンの中から選ばれる少なくとも一種のアミン化合物2〜10質量%からなることを特徴とするエポキシ樹脂用硬化剤組成物。
- 前記(a)成分のアダクト変性アミンが、m−キシレンジアミン1モルに対して、モノグリシジルエーテル及び/又はモノグリシジルエステル化合物が0.9〜1.1当量付加して得られるアミン化合物である、請求項1に記載されたエポキシ樹脂用硬化剤組成物。
- 前記(a)成分のアダクト変性アミンが、m−キシレンジアミン1モルに対して、モノフェニルグリシジルエーテルが0.8当量以上付加して得られるアミン化合物である、請求項1又は2に記載されたエポキシ樹脂用硬化剤組成物。
- 前記(b)成分のアダクト変性アミンが、m−キシレンジアミン1モルに対して、ジグリシジルエーテル化合物が0.9〜1.1当量付加して得られるアミン化合物である、請求項1〜3の何れかに記載されたエポキシ樹脂用硬化剤組成物。
- 前記(b)成分のアダクト変性アミンが、m−キシレンジアミン1モルに対して、ビスフェノール化合物のジグリシジルエーテルが0.8当量以上付加して得られるアミン化合物である、請求項1〜4の何れかに記載されたエポキシ樹脂用硬化剤組成物。
- 前記(d)成分の脂環式基含有ポリアミンが、イソホロンジアミン又は1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンである、請求項1〜5の何れかに記載されたエポキシ樹脂用硬化剤組成物。
- (A)ポリエポキシ化合物および(B)請求項1〜6の何れかに記載されたエポキシ樹脂用硬化剤組成物を含有することを特徴とする、硬化性エポキシ樹脂組成物。
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