JP2007198519A - 電食防止用絶縁転がり軸受 - Google Patents

電食防止用絶縁転がり軸受 Download PDF

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勝廣 今野
Takashi Murai
隆司 村井
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Abstract

【課題】絶縁性能の確保と、耐久性の確保と、良好な外観の確保とを高次元で並立させる。
【解決手段】セラミックス溶射層である絶縁層6を構成するセラミックスとして、97重量%以上のアルミナと、0.5〜2.5重量%以上のジルコニアとを含有したものを使用する。アルミナを97重量%以上含有している為、絶縁性能を確保できる。又、ジルコニアを0.5〜2.5重量%以上含有している為、耐久性を確保でき、封孔処理後の外観悪化を防止できる。
【選択図】図1

Description

この発明は、汎用或いは鉄道車両用の電動モータの回転軸、或いは発電機の回転軸の様に、電流が流れる可能性がある回転支持部に組み込む電食防止用絶縁転がり軸受の改良に関する。
電動モータや発電機等、各種電気機器等の回転軸を支承する為の転がり軸受の場合、対策を講じないと、転がり軸受自体に、帰路電流、モータ軸電流等の電流が流れてしまう。転がり軸受に電流が流れた場合、電流の通路となる部分の腐食が進む、所謂電食が発生して、転がり軸受の寿命を著しく短縮してしまう。この様な電食の発生を防止する為、転がり軸受を構成する外輪や内輪の表面に絶縁層を形成する事で、転がり軸受に電流が流れない様にする電食防止用絶縁転がり軸受が、例えば特許文献1〜3に記載されている様に、従来から知られている。
これら各特許文献に記載された絶縁型の転がり軸受は何れも、転がり軸受を構成する軌道輪のうちで、相手部材の嵌合支持する部分に、セラミックス、合成樹脂等の絶縁層を形成して成るもので、例えば図6に示す様に構成されている。転がり軸受は、内輪1の外周面に形成した内輪軌道2と外輪3の内周面に形成した外輪軌道4との間に複数の転動体5を設ける事で、上記内輪1と外輪3との相対的回転を自在としている。そして、この外輪3の外周面及び軸方向両端面に、セラミックス溶射層である絶縁層6を形成している。この様な電食防止用絶縁転がり軸受の場合、上記外輪3を金属製のハウジングに内嵌支持した状態では、上記絶縁層6が、これら外輪3とハウジングとを絶縁する。この結果、これら外輪3とハウジングとの間に電流が流れなくなり、上記転がり軸受の構成各部材1、3、5に、上述した様な電食が発生しなくなる。
但し、上記特許文献1〜3に記載される等により従来から知られていた電食防止用絶縁転がり軸受の場合、絶縁性能の確保と耐久性の確保と低コスト化とを高次元で並立させる事が難しかった。この理由は、次の通りである。例えば、上記外輪3の表面に、セラミックス溶射層である上記絶縁層6を形成する場合、この外輪3の外周面7に沿って溶射ノズルを移動させる事によりこの外周面7にセラミックス溶射層を形成すると共に、この外輪3の軸方向両端面8、8に沿って溶射ノズルを移動させる事によりこれら軸方向両端面8、8にセラミックス溶射層を形成する。この様にして形成するセラミックス溶射層として従来は、アルミナ(Al23 )を94〜95重量%含むセラミックス材料の溶滴を噴射する事により、0.5mm以上(一般的には0.6〜0.7mm程度)の厚さ寸法を有するものを形成していた。
上述の様にして上記各面7、8にセラミックス溶射層を形成する為、軸方向両端面8、8と外周面7との間に存在する折れ曲がり連続部9、9には、両方のノズルから溶射されたセラミックスが付着する。この為、この折れ曲がり連続部9、9の厚さ寸法が、上記外周面7及び軸方向両端面8、8の厚さ寸法に比べて大きくなる。この結果、これら各面7、8の厚さ寸法を、絶縁性能確保の面から十分な値にすると、上記両折れ曲がり連続部9、9の厚さ寸法が過大になる。セラミックス溶射層は脆く、厚さ寸法が過大になると、割れ、欠け等の損傷を発生し易い。上記折れ曲がり連続部9、9自体は、ハウジング等の他の部分と接触しない為、上記セラミックス溶射層が破損しても、絶縁性確保の面からは問題を生じにくいが、欠落したセラミックスの破片が転がり軸受内部に入り込んだ場合、内輪軌道2及び外輪軌道4や各転動体5の転動面に圧痕等の損傷を発生し易い為、好ましくない。この為従来は、上記セラミックス溶射層のうちで上記折れ曲がり連続部9、9を覆っている部分も、研磨により厚さ寸法を低減していた。これら折れ曲がり連続部9、9の表面部分を研磨する事は、徒にコストが嵩む原因となる。
又、セラミックス製の絶縁層の損傷防止を図る為の技術として従来から、特許文献4〜5に記載された発明が知られている。このうちの特許文献4に記載された発明は、セラミックス製の絶縁層中に合成樹脂を含浸させる事により、この絶縁層の靱性を向上させるものである。又、特許文献5に記載された発明は、セラミックス製の絶縁層を金属層で覆う事により、このセラミックス溶射層が欠落する事を防止するものである。但し、この様な特許文献4〜5に記載された発明の場合、何れも、製造作業が面倒で低コスト化を図る事はできない。
一方、特許文献6には、酸化チタン(TiO2 )を1重量%以下含有するグレイアルミナ製の絶縁層を有する電食防止用絶縁転がり軸受に関する発明が記載されている。この特許文献6に記載されている様に、絶縁層としての性能確保(絶縁抵抗値の確保)のみを考慮した場合には、酸化チタンを含まない純アルミナであるホワイトアルミナの方が、酸化チタンを含むグレイアルミナよりも優れている。但し、やはり上記特許文献6に記載されている様に、ホワイトアルミナの場合には、溶射層形成時の材料(アルミナ粒)の歩留が悪く、コストが嵩む。この為、上記特許文献6に記載された発明の場合には、上記組成を有するグレイアルミナを使用する事により、コスト上昇を抑えつつ絶縁性能を確保するとしている。
但し、本発明の発明者が行なった実験によると、上記特許文献6に記載された組成を有するグレイアルミナでは、必ずしも十分な絶縁性能を確保できない事が分かった。一方、ホワイトアルミナを使用した場合には、溶射するアルミナの粒径を適正に規制すれば、コスト上昇の程度は限られている反面、表面に色むらが発生し、製品としての見ばえが悪くなる事が分かった。即ち、アルミナの溶射層は、そのままでは内部に微細な空隙が存在し、この空隙に水分が入り込んだ場合には絶縁性能が劣化する。この為、アルミナの溶射層を形成した後は、特許文献7に記載されている様に、上記空隙を合成樹脂により塞ぎ、この空隙に水分が入り込まない様にする、封孔処理を行なう必要がある。上記溶射層をホワイトアルミナにより形成した場合には、この封孔処理に伴って、溶射層の表面に色むらが発生する。この様な色むらは、絶縁性能の面からは問題にならないが、製品の外観を悪くする為、好ましくない。
特開平1−182621号公報 特開平5−52223号公報 特開平5−312216号公報 実開昭60−85626号公報 実公平6−2030号公報 特開2005−133876号公報 特開2003−183806号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、絶縁性能の確保と、耐久性の確保と、低コスト化とを高次元で並立させる事ができ、しかも外観を良好にできる、電食防止用絶縁転がり軸受を実現すべく発明したものである。
本発明の対象となる電食防止用絶縁転がり軸受は、何れも、例えば図1に示す様に、互いに同心に配置された、それぞれが金属製である1対の軌道輪(例えば内輪1及び外輪3)と、これら両軌道輪1、3の互いに対向する面に形成された1対の軌道面(例えば内輪軌道2及び外輪軌道4)同士の間に転動自在に設けられた、それぞれが金属製である複数個の転動体(例えば玉)5とを備える。そして、上記両軌道輪1、3のうちの少なくとも一方の軌道輪の表面のうちで軌道面を設けた面以外の面、即ち、ラジアル転がり軸受の場合には、図1の(A)又は(B)に示す様に、何れかの周面及び軸方向両端面を、スラスト転がり軸受の場合には何れかの軸方向片面及び内外両周面を、セラミックス製の絶縁層6により被覆している。
特に、本発明の電食防止用絶縁転がり軸受に於いては、上記絶縁層6を、97重量%以上のアルミナ(Al23 )と、0.5〜2.5重量%のジルコニア(ZrO2 )とを含有するセラミックス溶射層としている。
尚、上記絶縁層6を、上記軌道面以外に形成したセラミックス溶射層の表面を研磨する事により形成する事が好ましい。この場合、このセラミックス溶射層の厚さを、隣り合う面同士の間の折れ曲がり連続部を除いて0.4mm以下とし、このセラミックス溶射層を研磨して得られた上記絶縁層の厚さを、0.25mm以上とする。
又、本発明を実施する場合に好ましくは、上記絶縁層であるセラミックス溶射層の厚さ寸法に関する精度と、このセラミックス溶射層を構成するアルミナの付着効率の向上とを目的として、粒径が10〜50μmで、平均粒径が15〜25μmであるアルミナを使用する。
更に、上述の絶縁層の厚さを規制する方法として、例えば、次の様な方法がある。即ち、97重量%以上のアルミナと0.5〜2.5重量%以上のジルコニアとをそれぞれ含有するセラミックス溶射層を、隣り合う面同士の間の折れ曲がり連続部を除いた部分の厚さを0.4mm以下に抑えて、上記軌道面を設けた面以外に形成する。その後、このセラミックス溶射層のうちで上記折れ曲がり部を覆った部分以外の部分を研磨する事により、厚さが0.25mm以上である上記絶縁層とする。
上述の様に構成する本発明の電食防止用絶縁転がり軸受の発明によれば、絶縁性能の確保と、耐久性の確保と、低コスト化と、良好な外観の確保とを、高次元で並立させる事ができる。
即ち、アルミナを主成分とするセラミックス溶射層のうち、ジルコニアを含まないホワイトアルミナの場合には、絶縁性能が優れている反面、封孔処理に伴って外観が悪化する。これに対して、本発明の場合には、0.5重量%以上のジルコニアを含有している為、上記封孔処理に拘らず、外観悪化に結び付く様な色むらは発生しない。即ち、セラミックス溶射層内部に存在する微細な空隙を合成樹脂により塞ぐ為の封孔処理に伴って、この合成樹脂の一部が上記セラミックス溶射層の表面に表れる。表面の色彩が純白に近い、ホワイトアルミナの場合、この様に表面に現れた合成樹脂により、表面に色むらを生じて、製品の外観を悪くする。これに対して、0.5重量%以上のジルコニアを含有したセラミックス材料の場合には、表面の色彩がグレー(灰色)がかっている為、表面に、製品の外観を悪くする程の色むらを生じる事はない。
但し、上記ジルコニアを、2.5重量%を越えて含有させると、必要とする絶縁性能を確保する為に要する、上記セラミックス溶射層の厚さが大きくなる。そこで、上記ジルコニアの含有量を、0.5〜2.5重量%の範囲に規制する。
尚、セラミックス溶射層中に於ける、上記ジルコニアの含有量を、2.5重量%以下に抑える事により、溶射層形成時の材料(アルミナ粒)の歩留が多少は悪化する。但し、上述した様に、粒径が10〜50μmで、平均粒径が15〜25μmであるアルミナを使用すれば、上記セラミックス溶射層を構成するアルミナの付着効率を向上させる事と合わせて、上記セラミックス溶射層の厚さ寸法に関する精度を向上させ、コスト上昇を抑えられる。即ち、付着効率の向上による材料費の節約と、寸法精度の向上による仕上加工の容易化(仕上加工時間の短縮化)とにより、電食防止用絶縁転がり軸受の製造コストの低廉化を図れる。
更に、本発明の場合、上記セラミックス溶射層に、高強度、高靱性を有するジルコニアを含有させている為、このセラミックス溶射層の密着力を向上させる事ができる。この為、耐久性を十分確保できる。
又、上述した様に、絶縁層6を、前記軌道面以外に形成したセラミックス溶射層の表面を研磨する事により形成したものとすると共に、このセラミックス溶射層の厚さを、隣り合う面同士の間の折れ曲がり連続部を除いて0.4mm以下とし、このセラミックス溶射層を研磨して得られた上記絶縁層の厚さを、0.25mm以上とした場合には、絶縁性能の確保と、耐久性の確保と、低コスト化とを高次元で並立させる事ができる。
即ち、上述の構造の場合には、97重量%以上のアルミナと0.5〜2.5重量%以上のジルコニアとをそれぞれ含有するセラミックス溶射層を使用しているが、この様なセラミックス溶射層は、比較的電気抵抗値が大きい(優れた絶縁性を有する)。従って、研磨後の絶縁層の厚さを0.25mm以上確保すれば、用途が、汎用或いは鉄道車両用の電動モータの回転軸、或いは発電機の回転軸の回転支持部である限り、電食防止効果を十分に確保できる。
又、研磨後の絶縁層の厚さを0.25mm以上確保する為には、研磨前のセラミックス溶射層の厚さを0.4mm以下としても、十分に研磨代を確保できる。そして、このセラミックス溶射層の厚さを0.4mm以下に抑えられれば、隣り合う面同士の間の折れ曲がり連続部を覆ったセラミックス溶射層の厚さを0.5mm未満に抑えられる。厚さが0.5mm程度のセラミックス溶射層であれば、厚さ寸法が過大であるとは言えず、そのままであっても(研磨により厚さ寸法を小さくしなくても)、割れ、欠け等の損傷を発生しにくい。従って、上記セラミックス溶射層のうちで上記折れ曲がり連続部を被覆した部分を研磨する手間を省略して、コスト低減を図れる。又、コスト低減は、上記セラミックス溶射層の厚さを小さく(従来は0.5mm以上であったものを0.4mm以下に)抑えられる事によっても図れる。
図2〜3は、本発明の実施の形態の1例を示している。本例の場合には、単列深溝型のラジアル玉軸受を構成する外輪3の外周面7及び軸方向両端面8、8に、絶縁層6aを形成している。この絶縁層6aは、アルミナを97重量%以上、且つ、ジルコニアを0.5〜2.5重量%含むセラミックスの溶滴を上記外周面7及び軸方向両端面8、8にプラズマ溶射により噴射して成る、セラミックス溶射層である。この様なセラミックス溶射層である、上記絶縁層6aは、上記外周面7及び軸方向両端面8、8の他、この外周面7の軸方向両端縁とこれら軸方向両端面8、8の外周縁とを連続させる、断面四分の一円弧状の折れ曲がり連続部9、9の表面も覆っている。これら各面を覆っている、上記絶縁層6aの厚さ寸法T7 、T8 、T9 (図3参照)のうち、上記外周面7及び軸方向両端面8、8の表面を覆っている部分の厚さ寸法T7 、T8 に関しては、0.4mm以下に抑えている。そして、これら各部分の厚さ寸法T7 、T8 を0.4mm以下に抑える事により、上記両折れ曲がり連続部9、9の表面を覆っている部分の厚さ寸法T9 を、0.5mm未満に抑えている。
又、上記絶縁層6aのうち、上記外周面7及び軸方向両端面8、8の表面を覆っている部分を研磨する事により、これら各部分を平滑面とし、これら各面7、8と上記外輪3を内嵌固定するハウジングの内面とが密に当接する様にしている。この様な研磨に伴って、上記各面7、8を覆っている上記絶縁層6aの表面部分(図3の斜格子部分)が、図3に示した研磨取代δ分だけ除去されて、この絶縁層6aの厚さ寸法が、セラミックス溶射層を形成した状態よりも薄くなっている。但し、上記研磨取代δを除去した後の厚さt7 (=T7 −δ)、t8 (=T8 −δ)に関しても、0.25mm以上確保している。これに対して、上記絶縁層6aのうちで上記両折れ曲がり連続部9、9の表面を覆っている部分に関しては、研磨する事なく、そのままの(セラミックスの溶滴を噴射したままの)状態としている。
上述の様な電食防止用絶縁転がり軸受は、上記絶縁層6aの絶縁性能の確保と、耐久性の確保と、低コスト化とを、高次元で並立させる事ができる。
先ず、絶縁性能の確保は、上記絶縁層6aを構成するセラミックス溶射層として、アルミナを97重量%以上含有するものを使用する事により図れる。即ち、アルミナを97重量%以上含有するセラミックス溶射層は電気抵抗値が大きい(優れた絶縁性を有する)為、研磨後の(使用状態での)絶縁層の厚さを0.25mm以上確保すれば、用途が、汎用或いは鉄道車両用の電動モータの回転軸、或いは発電機の回転軸の様に、電位差が3000V程度までの回転支持部である限り、電食防止効果を十分に確保できる。例えば、研磨後の絶縁層の厚さ寸法を0.25mmとした場合、1000V印加の条件で、5000MΩ以上の絶縁抵抗値を確保できる。
又、研磨後の絶縁層6aの厚さを0.25mm以上確保する為には、研磨前のセラミックス溶射層の厚さを0.4mm以下としても、十分に(最大で0.15mm程度の)研磨代を確保できる。即ち、上記絶縁層6aの表面と前記ハウジングの内面とを均一に当接させて、前記外輪3の姿勢を安定させると共に、上記絶縁層6aの一部に過大な力が加わる事を防止する為には、上記外周面7及び軸方向両端面8、8の表面を覆っている部分を研磨する必要がある。この場合でも、必要な研磨代は0.15mm以下であるから、上記研磨前のセラミックス溶射層の厚さを0.4mm以下に抑えても、研磨後の絶縁層6aの厚さを0.25mm以上確保できる。
そして、上記セラミックス溶射層の厚さを0.4mm以下に抑えられれば、前述した通り、前記両折れ曲がり連続部9、9の表面を覆っている部分の厚さ寸法T9 を、0.5mm未満に抑えられる。即ち、これら両折れ曲がり連続部9、9には、上記外周面7に径方向外方から噴射するセラミックス溶滴、及び、上記軸方向両端面8、8に軸方向外方から噴射するセラミックス溶滴が付着する。この為、上記両折れ曲がり連続部9、9を覆うセラミックス溶射層の厚さ寸法は、上記外周面7及び上記軸方向両端面8、8を覆うセラミックス溶射層の厚さ寸法よりも大きくなる。
本例の場合には、上記各面7、8を覆うセラミックス溶射層の厚さ寸法を0.4mm以下に抑えている為、上記両折れ曲がり連続部9、9を覆うセラミックス溶射層の厚さ寸法を0.5mm未満に抑えられる。厚さが0.5mm程度のセラミックス溶射層であれば、厚さ寸法が過大であるとは言えず、そのままであっても(研磨により厚さ寸法を小さくしなくても)、割れ、欠け等の損傷を発生しにくい。従って、上記セラミックス溶射層である前記絶縁層6aのうちで、上記両折れ曲がり連続部9、9を被覆した部分を研磨する手間を省略して、コスト低減を図れる。
又、本例の場合には、0.5重量%以上のジルコニアを含有している為、封孔処理に拘らず、外観悪化に結び付く様な色むらは発生しない。即ち、セラミックス溶射層内部に存在する微細な空隙を合成樹脂により塞ぐ為の封孔処理に伴って、この合成樹脂の一部が上記セラミックス溶射層の表面に表れる。0.5重量%以上のジルコニアを含有したセラミックス材料の場合には、表面の色彩がグレー(灰色)がかっている為、上記封孔処理に使用する合成樹脂として、適切な色彩のものを使用すれば、表面に、製品の外観を悪くする程の色むらを生じる事はない。
但し、上記ジルコニアを、2.5重量%を越えて含有させると、必要とする絶縁性能を確保する為に要する、上記セラミックス溶射層の厚さが大きくなる。そこで、上記ジルコニアの含有量を、0.5〜2.5重量%の範囲に規制する。
尚、セラミックス溶射層中に於ける、上記ジルコニアの含有量を、2.5重量%以下に抑える事により、溶射層形成時の材料(アルミナ粒)の歩留が多少は悪化する。但し、粒径が10〜50μmで、平均粒径が15〜25μmであるアルミナを使用すれば、上記セラミックス溶射層を構成するアルミナの付着効率を向上させる事と合わせて、上記セラミックス溶射層の厚さ寸法に関する精度を向上させ、コスト上昇を抑えられる。即ち、付着効率の向上による材料費の節約と、寸法精度の向上による仕上加工の容易化(仕上加工時間の短縮化)とにより、電食防止用絶縁転がり軸受の製造コストの低廉化を図れる。
更に、本例の場合、上記セラミックス溶射層に、高強度、高靱性を有するジルコニアを含有させている為、このセラミックス溶射層の密着力を向上させる事ができる。この様に、セラミックス溶射層の密着力が向上すれば、このセラミックス溶射層が剥がれにくくなる為、耐久性を十分確保できる。
本発明の効果を確認する為に行なった実験に就いて説明する。先ず、セラミックス溶射層の密着力(密着強さ)を調べる為に行なった実験に就いて説明する。この実験は、JIS H 8666に記載された密着性試験に基づいて行なった。又、セラミックス溶射層の材料として、ホワイトアルミナ、アルミナに酸化チタンを3.0重量%含有させたグレイアルミナ、同じく酸化チタンを0.04重量%含有させたもの、同じくジルコニアを1.25重量%含有させたものの、4種類用意した。尚、上述の4種類の材料により形成した各セラミックス溶射層の封孔処理に使用する合成樹脂として、エポキシ系、フッ素系等の有機系の合成樹脂を使用した。又、各セラミックス溶射層の膜厚は、0.35mm(350μm)とした。この実験の結果を図4に示す。この図4から明らかな様に、ホワイトアルミナ及び0.04重量%の酸化チタンを含有させたものの密着力が60〜64MPa であったのに対して、1.25重量%のジルコニアを含有させたものの密着力は、69MPa と、高い密着力を有する事が分かった。
次に、セラミックス溶射層の体積固有抵抗値を調べる為に行なった実験に就いて説明する。この実験では、次の7種類の材料を使用した。
(1)ホワイトアルミナ
(2)アルミナに酸化チタンを0.04重量%含有したもの
(3)同じく酸化チタンを0.4重量%含有したもの
(4)同じく酸化チタンを3.0重量%含有したもの
(5)同じくジルコニアを0.5重量%含有したもの
(6)同じくジルコニアを1.25重量%含有したもの
(7)同じくジルコニアを2.5重量%含有したもの
尚、上述の7種類の材料により形成した各セラミックス溶射層の封孔処理に使用する合成樹脂として、エポキシ系、フッ素系等の有機系の合成樹脂を使用した。
上記(1)〜(7)の材料により形成した各セラミックス溶射層に1000Vの電圧を印加した時の、それぞれの体積固有抵抗値を図5に示す。この図5から明らかな様に、アルミナに酸化チタンを3.0重量%含有したもの{(4)}は、体積固有抵抗値が8.6×1012(Ω・cm)と最も低かった。これに対して、ホワイトアルミナ{(1)}が5.0×1014(Ω・cm)と最も高く、次いで、アルミナに酸化チタンを0.04、0.4重量%それぞれ含有したもの{(2)、(3)}と、アルミナにジルコニアを0.5〜2.5重量%それぞれ含有したもの{(5)〜(7)}とが、1.0〜2.5×1014(Ω・cm)で同程度の値を示した。即ち、ジルコニアは、酸化チタンと比べて、含有量の増加に対して体積固有抵抗値が減少する割合が小さい。これにより、アルミナにジルコニアを0.5〜2.5重量%含有したセラミックス溶射層が、高い絶縁性を有する事が分かる。尚、アルミナに酸化チタンを3.0重量%含有したもの{(4)}は、絶縁性を十分に確保する為に0.5mm以上の膜厚とする必要があったが、アルミナにジルコニアを0.5〜2.5重量%含有したものは、膜厚を薄くしても十分な絶縁性を確保できた。この結果、材料費の低減を図れる事が分かる。
本発明は、図示の様な単列深溝型のラジアル玉軸受に限らず、アンギュラ型、複列等、他の型式のラジアル玉軸受や、円すいころ軸受、円筒ころ軸受、自動調心ころ軸受、スラスト玉軸受或いはスラストころ軸受等、他の型式の転がり軸受で実施する事もできる。スラスト転がり軸受で実施する場合に絶縁層は、内外両周面と軸方向片面とに形成する。
本発明の実施状況の2例を示す断面図。 本発明の実施の形態の第1例を示す部分断面図。 図2のA部拡大図。 セラミックス溶射層の密着力を測定した結果を示す棒グラフ。 セラミックス溶射層の体積固有抵抗値を測定した結果を示す棒グラフ。 従来構造の1例を示す半部断面図。
符号の説明
1 内輪
2 内輪軌道
3 外輪
4 外輪軌道
5 転動体
6、6a 絶縁層
7 外周面
8 端面
9 折れ曲がり連続部

Claims (1)

  1. 互いに同心に配置された、それぞれが金属製である1対の軌道輪と、これら両軌道輪の互いに対向する面に形成された1対の軌道面同士の間に転動自在に設けられた、それぞれが金属製である複数個の転動体とを備え、上記両軌道輪のうちの少なくとも一方の軌道輪の表面のうちで軌道面を設けた面以外の面を、セラミックス製の絶縁層により被覆した電食防止用絶縁転がり軸受に於いて、この絶縁層を、97重量%以上のアルミナと、0.5〜2.5重量%のジルコニアとを含有するセラミックス溶射層とした事を特徴とする電食防止用絶縁転がり軸受。
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