JP2007197742A - 溶接缶用冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶接タイプのリシール缶の成形性を著しく改善し、かつ成形後の缶体に実用的な強度付与が可能となるエキスパンド加工性を備えた溶接缶用鋼板を、高い生産性をもって提供する方法を提供する。
【解決手段】析出N率が85%以上で、かつ170℃で7分の加熱保定後の、鋼板表面から厚み方向25μm深さの硬度と、鋼板の厚み方向中心部の硬度との差が、マイクロビッカース硬さで15ポイント以上である。成分は質量%で、C:0.015〜0.08%、Mn:0.10〜0.60%、P:0.02%以下、S:0.02%以下、酸可溶Al:0.02〜0.10%、N:0.006%以下を含有し、鋼板に含まれる固溶Nおよび固溶Cの合計が10〜20ppmかつ固溶C≧固溶N×2なる関係を有し、ロール径470mm以下のロールにて圧下率1.5〜3.0%かつ張力50〜200MPaで調質圧延を実施する。
【選択図】図2
【解決手段】析出N率が85%以上で、かつ170℃で7分の加熱保定後の、鋼板表面から厚み方向25μm深さの硬度と、鋼板の厚み方向中心部の硬度との差が、マイクロビッカース硬さで15ポイント以上である。成分は質量%で、C:0.015〜0.08%、Mn:0.10〜0.60%、P:0.02%以下、S:0.02%以下、酸可溶Al:0.02〜0.10%、N:0.006%以下を含有し、鋼板に含まれる固溶Nおよび固溶Cの合計が10〜20ppmかつ固溶C≧固溶N×2なる関係を有し、ロール径470mm以下のロールにて圧下率1.5〜3.0%かつ張力50〜200MPaで調質圧延を実施する。
【選択図】図2
Description
本発明は、ぶりきやティンフリースチールなどの容器用鋼板のうち、異形加工溶接缶用として好適であり、調質度がT−3以下で、かつ箱焼鈍と同等の耐St−St(ストレッチャーストレイン)性を有する連続焼鈍法による軟質容器用鋼板とその製造方法に関する。
近年において、スチール缶に大口径のキャップを使用することで開けやすくし、リシール機能を付与したリシール缶といわれる異形缶が普及している。このリシール缶は、は缶胴に継ぎ目を無くした絞り成形タイプとして具体化されるケースが一般的であるが、最近は外観の美麗さで差別化を進める動きが強まり、継ぎ目ありの溶接成形タイプにつき新たな分野開拓が始まっている。溶接成形は缶印刷および缶胴成形の自由度が高く、特に缶胴部にエキスパンド加工を施すことができるため、缶形状のデザイン性は絞り成形タイプに比べはるかに優れている。
溶接成形タイプのリシール缶に供される鋼板には、(a) 所定の形状を安定的に得るため高いエキスパンド成形性および形状凍結性を有すること、(b) 加工後の表面にストレッチャーストレイン(St−St)と言われるしわが出ないこと、(c) 缶体質量を軽減するため素材を薄肉化した場合に耐デント性を損なわない十分な降伏強度を有すること、等の特性を持つ材質が望まれる。このような要求を満足させるためには、加工時は軟質で、かつ缶体成形後の加熱処理において降伏強度を容易に向上させることができ、さらに時効性に優れるなどの特性を持たせることが必要となる。
既に、特性としての(a) 、(b)を両立させた箱焼鈍法によるエキスパンド加工用冷延鋼板は市販されているが、軟質で耐デント性に弱いという本質的な問題があり、(c)の改善は進んでいない。一方、連続焼鈍法による冷延鋼板は(a) 、(b)に関して課題は残るが、降伏強度は極めて強く、(c)の缶体質量の軽減に関しては望ましい特性を有している。
連続焼鈍法による冷延鋼板で(a) 、(b)の課題を解決した例として、特許文献1の軟質表面処理用鋼板の製造方法が開示されている。これは低炭素アルミキルド鋼を素材として熱間圧延(熱延)後の鋼板中の固溶Nを10ppm以下に低減し、Cをひも状あるいは球状のセメンタイトとして分散析出させ、AlNの形態を維持することによる結晶粒を粗粒化し、冷延後の連続焼鈍を650〜710℃で行ない、調質圧延(調質圧延)をロール径470mm以下の小径ロールで圧下率1.5〜5%の乾式調質圧延を施すことにより、形状凍結性に有利な軟質特性と耐フルーティング性に優れた鋼板が得られるとしたものである。ここでフルーティングとは鋼板の曲げ加工に現れるSt−St同様の歪み時効現象であるが、曲げ加工はエキスパンド加工ほど厳しい加工条件ではないため、この技術ではエキスパンド加工用の鋼板としては不十分である。
また、連続焼鈍法で耐St−St性を改善した技術が特許文献2に開示されている。連続焼鈍温度を710℃超〜780℃に高温化し、さらに調質圧延をロール径470mm以下の小径ロールを使い湿式調質圧延法で圧下率3〜7%に高圧下することで、固溶C、固溶Nによる歪み時効を効果的に抑えて、耐St−St性に優れた軟質な冷延鋼板を製造可能にしている。しかしながら、この湿式調質圧延法は通常の冷延に相当する圧延法であるため、鋼板には冷延組織が形成され、「加工時は軟質で、かつ缶体成形後の加熱処理において降伏強度が容易に増加する」特性が弱まり、形状凍結性やエキスパンド成形性が必ずしも十分でないという問題点がある。
特開昭61−23719号公報
特開平4−107218号公報
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、上記に説明したような従来の低炭素アルミキルド鋼を素材とした連続焼鈍鋼板に残る形状凍結性やエキスパンド成形性の向上を耐St−St性や耐デント性を損なうことなく解消し、「加工時は軟質で、かつ缶体成形後の加熱処理において降伏強度が容易に増加する」特性を生かすことが可能な溶接缶用冷延鋼板とその製造方法を確立することにある。
上述した課題を解決するために、本発明は、下記(1)〜(4)をその構成要素とするものである。
(1) 析出N率(NasAlN×100/トータルN)が85%以上で、かつ170℃で7分の加熱保定後の、鋼板表面から厚み方向25μm深さの硬度と、鋼板の厚み方向中心部の硬度との差が、マイクロビッカース硬さで15ポイント以上であることを特徴とする溶接缶用冷延鋼板。
(2) 鋼成分として質量%で、C:0.015〜0.08%、Mn:0.10〜0.60%、P:0.02%以下、S:0.02%以下、酸可溶Al:0.02〜0.10%、N:0.006%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、鋼板に含まれる固溶Nおよび固溶Cの合計が10〜20ppmであり、かつ固溶C≧固溶N×2なる関係を有することを特徴とする(1)の溶接缶用冷延鋼板。
(3) 鋼成分としてさらに質量%で、Nb:0.001〜0.003%、Ti:0.001〜0.003%、B:0.0001〜0.001%、Cu:0.05%以下、Ni:0.05%以下、Cr:0.05%以下、Mo:0.05%以下、V:0.003%以下より選ばれた1種または2種以上の元素を含むことを特徴とする(2)の溶接缶用冷延鋼板。
(4) (2)または(3)の成分の連続鋳造スラブを一旦700℃以下まで冷却後、熱延加熱炉に挿入して950〜1100℃に再加熱し、次いで仕上げ温度をAr3点〜950℃、捲取り温度を650〜720℃にて熱間圧延し、酸洗、冷延後、均熱温度650〜720℃に10〜60秒保持し、500℃以下に冷却後、300〜500℃で60秒以上保定する連続焼鈍を行ない、次いでロール径470mm以下のロールにて圧下率1.5〜3.0%かつ張力50〜200MPaで調質圧延を実施することを特徴とする溶接缶用冷延鋼板の製造方法。
本発明によれば、溶接缶タイプのリシール容器の成形性は著しく改善され、かつ成形後の缶体に実用的な強度付与が可能となるエキスパンド加工性を備えた溶接缶用鋼板が、高い生産性をもって提供できるものである。
本発明者らは上記(c)に示す耐デント性に優れる連続焼鈍鋼板の特性を生かしつつ、(a) エキスパンド成形性および形状凍結性、(b) 耐St−St(ストレッチャーストレイン)性の要求特性をいかに向上させるかにつき、種々の検討を行なった。まず本発明を開発する端緒となった実験結果について説明する。以下、組成における質量%(mass%)は、単に%と記載する。
本発明者は、先ず連続焼鈍で細粒組織の冷延鋼板を作り、(c)耐デント性を向上させ、さらにこれを箱焼鈍することで、(b) 耐St−St性低下の原因となる固溶C、固溶Nの極微量化と、それに伴う伸び向上による(a)エキスパンド成形性や形状凍結性の両立を目指した。以下に示す表1〜3に記載されている鋼No.1、2がその実験結果である。
先ず、表1に示す成分からなるスラブから表2の製造条件で鋼板を製造した。ちなみに、この鋼No.1、2についての実験では、連続焼鈍と箱焼鈍(保定時間:12時間)とを併用している。焼鈍後の鋼板を170℃かつ7分の加熱保定で人工時効し、液圧バルジ試験機による10mm張出し後に目視によるSt−St観察と、張出し高さ10mmに対するバラツキ(±0.5mm)からの形状凍結性の評価と、JIS5号試験片による引張り試験の降伏強度よる耐デント性の有無の確認を行った。その結果を表3の材質調査結果に整理した。
以上の鋼No.1、2についての実験により以下のような新知見が得られた。
1)人工時効を施した鋼板の降伏点伸び、YP−El値は鋼No.1が0%、鋼No.2が1.2%で、連続焼鈍と箱焼鈍の併用で鋼板の固溶C、固溶N量は極めて低く抑えられており、耐St−St性に優れている。
2)一方、箱焼鈍、連続焼鈍の組み合わせで鋼板の細粒化を進めても、形状凍結性は、張出し高さ10mmに対して±0.5mm以内に収まるため良好だが、圧延方向の時効後降伏強度は284〜287MPaで、耐デント性に必要な降伏強度としての320MPaに及ばない。
3)ただし、極めて細粒な鋼No.1と一般的な結晶粒である鋼No.2の時効後降伏強度に大きな差異はなく、その理由はYP−El値の比較から固溶C、固溶Nによる歪み時効硬化が鋼No.2に強く作用しているためと推察された。
この3)の知見に基づけば、リシール缶の耐デント性を向上させるためには、固溶C、固溶Nを鋼中に残留させた時効性鋼板の採用が望ましいと言える。ただし従来知見から固溶C、固溶Nを利用するためには、その添加量の上限があって、調質圧延方法は乾式が望ましいことは自明である。
次に本発明者らは、鋼板中に残留させる固溶C、固溶Nの限定量と乾式調質圧延による鋼板に対して付加すべき歪み量の最適組み合わせ方法につき検討を進めた。その結果、特に鋼板に冷延組織を形成させずに耐St−St性を向上させる好ましい調質圧延方法を知見するに至った。即ち、冷延組織は調質圧延中の張力によって形成されるものであるから、鋼板への圧下率付与は圧延ロールによる圧下を主に行なうべきであって、加えて圧延力を効果的に歪みに変換できる小径ロールの使用が望ましく、他方、張力の使用は鋼板形状矯正のみに限定して冷延組織の生成抑制を図ることが好ましいとしたものである。表1〜3に記載の鋼No.3〜6は本発明の請求項4記載の調質圧延条件で製造された実験結果である。これに対して、鋼No.7、8は本発明の請求項4記載の調質圧延条件を逸脱させた比較例である。
鋼No.3〜6は低炭素アルミキルド鋼を素材に、熱延の再加熱温度を1100℃前後、熱延後の捲取り温度を670℃前後とすることで、固溶N量を0.0003〜0.0014%に低減し、酸洗、冷延後、連続焼鈍温度690℃で再結晶し、400℃で60秒以上保定して過時効処理を行なった後、450mm前後の小径ロールで圧下率2%程度かつ張力137〜196MPaの乾式調質圧延を施し、板厚を0.19mmとした。得られた鋼板の固溶C量は内部摩擦法による測定で0.0006〜0.0014%に抑えられており調質度はT−3でリシール缶に要求される材質を満足した。
一方、鋼No.7、8は、鋼No.3〜6とほぼ同様の熱延条件で固溶N量を0.0007〜0.0008%に低減し、酸洗、冷延、連続焼鈍、過時効処理もほぼ同様の条件で行なった後、520〜530mmの大径ロールで圧下率2%程度かつ張力245〜294MPaの乾式調質圧延を施し板厚を0.19mmとした。得られた鋼板の固溶C量は内部摩擦法による測定で0.0009〜0.0010%にあり調質度はT−3でリシール缶に要求される材質を満足した。
以上により製造された鋼No.3〜6および鋼No.7、8の鋼板について、まず170℃かつ7分の人工時効処理を施して鋼板に歪み時効硬化を起こした後、エキスパンド加工に関するSt−St発生および形状凍結性と耐デント性を確認するため、液圧バルジ試験機による10mm張出しとJIS5号試験片による引張り試験を行った。その結果を表3の材質調査結果に示す。また鋼No.3、4および鋼No.7、8の鋼板については、鋼板の圧延方向断面のマイクロビッカース硬度測定を実施した。試験荷重は鋼No.3、4が10g、鋼No.7、8は25gで、安定した硬度測定が可能な鋼板表面から25μm深さを起点に厚み方向に5μmピッチで鋼板中心部まで連続測定を行った。鋼No.3、4におけるマイクロビッカース硬度測定結果を図1(a)に、また鋼No.7、8におけるマイクロビッカース硬度測定結果を図1(b)に示す。これら図1では、鋼板表面からの位置(μm)を横軸に、またマイクロビッカース硬度(Hv)を縦軸にとる。
その結果、表3に示すように本発明の鋼No.3、4はエキスパンド加工でSt−St発生がなく、形状凍結性と耐デント性に優れるが、鋼No.5、6は僅かながらSt−St発生があり、鋼No.7、8はSt−St発生と形状凍結性に劣る結果となった。また図1の鋼No.3、4のマイクロビッカース硬度は表層25μm点が最も高く、測定はできないが最表層から25μm点までは調質圧延によるスキンパス効果で更に硬質な層が形成されていると推察された。一方、30μm点から急激な硬度低下が観察され、中心部硬度は表層25μm点より15ポイント(Hv)以上軟質になっており人工時効による歪み時効硬化が生じていないと推察された。
一方、鋼No.7、8のマイクロビッカース硬度は鋼No.3、4より表層25μm点から中心層までの硬度変化が小さく板厚中心でやや軟質な部分が認められるものの一様に歪み時効硬化した状態が観察された。このような硬度分布の差異は、調質圧延ロール径、圧延力、張力の複合的な作用の結果と考えられるが、特にロール径は鋼板表面の歪み形成への影響が大きく、また張力は鋼板の厚み方向への歪み形成に強く影響することから、両者の相互作用が上記硬度分布の差異の主因と推察される。
一方、本発明の調質圧延条件で製造したにもかかわらず、鋼No.5、6にはSt−St発生があった。固溶Nは常温時効性が固溶Cより強いとされており、鋼No.5、6は固溶N量が固溶C量より多いことでSt−Stが発生したと推察される。この推察に基づき、本発明者は、表1〜3に記載の鋼No.9〜12を更に作製することにより、鋼板の固溶C、固溶N量とSt−St発生の関係につき調査を進めた。
鋼No.9〜12は低炭素アルミキルド鋼を素材に熱延にて1100℃前後に再加熱し熱延後の捲取り温度を650〜720℃とすることで固溶N量を0.0004〜0.0010%の範囲で作り分け、酸洗、冷延後、連続焼鈍温度700℃で再結晶し、400℃で60秒以上保定して過時効処理を行なった後、460mmの小径ロールで圧下率2%程度かつ張力196MPaの乾式調質圧延を施し、板厚を0.19mmとした。得られた鋼板の固溶C量は内部摩擦法による測定で0.0010〜0.0013%に抑えられており、調質度はT−3でリシール缶に要求される材質を満足している。
表1に示すように、鋼No.9〜12の固溶C量と固溶N量の合計は20mass ppm(以下、単にppmと記載する)以下にあり、かつ鋼No.9、10は固溶C量と固溶N量がほぼ同等量であり、鋼No.11、12は固溶C≧固溶N×2なる量関係がある。この鋼板のエキスパンド加工に関するSt−St発生状況を確認するため、170℃かつ7分で人工時効し、液圧バルジ試験機による10mm張出し試験を行なった。その結果を表3に示す。鋼No.9、10はエキスパンド加工でわずかながらSt−St発生が認められ、他方、鋼No.11、12にはSt−St発生はなかった。
図2に固溶Cと固溶Nの量に対するエキスパンド加工後のSt−St発生有無との関係を示す。この図2では、横軸に固溶C量(ppm)を、また縦軸に固溶N量ppm)をとる。この図2において、固溶Cと固溶N合計量が20ppm以下であり、かつ固溶C≧固溶N×2なる関係を有する、斜線部分の領域の成分からなる鋼板は、エキスパンド加工後にSt−Stの発生がなかったことを示している。
以上の鋼No.3〜12の実験結果より得られた知見をまとめると以下のようになる。
以上の鋼No.3〜12の実験結果より得られた知見をまとめると以下のようになる。
(1)ロール径が小さく、かつ低めの張力で調質圧延された鋼板は、表層に強い歪みは入るが内層の歪みが小さく軟質なため形状凍結性に優れる、(2)図2に示すように固溶Cと固溶N合計量が20ppm以下かつ固溶C≧固溶N×2なる関係を有する鋼板は、時効後エキスパンド加工でSt−Stが発生し難い、(3)一方、固溶Cと固溶N合計量が20ppm超または固溶N≧固溶Cなる関係を有する鋼板では、表層に強い歪みを有してもSt−Stが発生し易い、(4)さらに固溶Cと固溶N合計量が20ppm以下にあっても大径ロールで低めの張力制御のない調質圧延を施された鋼板では板厚全体が歪み時効硬化してSt−St発生や形状凍結性が劣化する、(5)尚、連続焼鈍のみを施した鋼板であれば170℃かつ7分時効後の降伏強度は全て320MPa以上となり、耐デント性は確保されている。
このような一連の実験結果を得たことにより本発明者らは、エキスパンド加工による耐St−St性や缶体の耐デント性は鋼板表層へ調質圧延による強いスキンパス効果を施す、いわゆる表面改質が有効であり、他方、缶体加工の容易さや加工精度を保証する形状凍結性の確保には、鋼板内層を軟質に維持することで達成できることを知見した。
さらにこのような板厚方向で異なる材質特性を付与する手段としては、固溶C、固溶Nの上限値を20ppmとし、かつ乾式調質圧延法において小径ロール使用と低めの張力制御を施すことで達成可能であることを新たに知見したものである。ここで鋼No.3、4および鋼No.11、12にSt−Stが発生しない理由は明らかではないが、固溶Cと固溶Nが少なく、特に固溶Nが極めて少なく、かつ鋼板表層に調質圧延による強いスキンパス効果が与えられた場合、170℃かつ7分の人工時効後も十分な可動転位が残されてSt−St発生が抑えられるものと推察される。
次に、本発明を適用した溶接缶用冷延鋼板の化学成分を限定した理由について説明をする。本発明においては鋼成分として質量%でC:0.015〜0.08%、Mn:0.10〜0.60%、P:0.02%以下、S:0.02%以下、酸可溶Al:0.02〜0.10%、N:0.006%以下の組成を有する鋼を用いる。
C:0.015〜0.08%
Cは、鋼の冷延性と強度を制御する最も基本的な元素である。一般に、このCの添加量を低減させるほど強度は低下し、延性は向上する。C量は0.08%よりも多くなると全体の結晶粒径を小さくし、冷延性を低下させるほか、溶接部の強度を増大させてフランジ加工における割れを引き起こす。ただしC量が0.015%より少なくなると熱延におけるAr3変態点温度が上昇し、熱延時に鋼板の幅端部や長さ端部が変態点温度未満となって結晶粒を粗大化させ、最端部は繊維状組織となり、冷延時に結晶粒径の粗大化した部分は延びやすく、逆に最端部は延び難くなるので、複雑な耳波形状になり溶接缶用鋼板には適さなくなる。従ってC量は0.08%以下の範囲に抑える必要があり、0.015%以上を含有していることが重要である。
Cは、鋼の冷延性と強度を制御する最も基本的な元素である。一般に、このCの添加量を低減させるほど強度は低下し、延性は向上する。C量は0.08%よりも多くなると全体の結晶粒径を小さくし、冷延性を低下させるほか、溶接部の強度を増大させてフランジ加工における割れを引き起こす。ただしC量が0.015%より少なくなると熱延におけるAr3変態点温度が上昇し、熱延時に鋼板の幅端部や長さ端部が変態点温度未満となって結晶粒を粗大化させ、最端部は繊維状組織となり、冷延時に結晶粒径の粗大化した部分は延びやすく、逆に最端部は延び難くなるので、複雑な耳波形状になり溶接缶用鋼板には適さなくなる。従ってC量は0.08%以下の範囲に抑える必要があり、0.015%以上を含有していることが重要である。
Mn:0.10〜0.60%
Mnは、SをMnSとして固定することにより、Sに起因する熱延鋼板への耳割れを防止するため必要な元素であり、S含有量に応じて添加することが望ましい。本発明においては、後述する理由によりS含有量を0.02%以下とするため、Mnは、これに応じて下限を0.10%とした。即ち、S含有量の上限である0.02%のSをMnSとして固定するために十分な量として、Mnの下限値は0.10%とした。一方、Mnは、Ar3変態点を低下させる作用を通じて結晶粒径を微細化し、ひいては降伏強度を高めるので過度の添加は好ましくなく、また経済的にも不利になるので0.60%の上限が好ましい。
Mnは、SをMnSとして固定することにより、Sに起因する熱延鋼板への耳割れを防止するため必要な元素であり、S含有量に応じて添加することが望ましい。本発明においては、後述する理由によりS含有量を0.02%以下とするため、Mnは、これに応じて下限を0.10%とした。即ち、S含有量の上限である0.02%のSをMnSとして固定するために十分な量として、Mnの下限値は0.10%とした。一方、Mnは、Ar3変態点を低下させる作用を通じて結晶粒径を微細化し、ひいては降伏強度を高めるので過度の添加は好ましくなく、また経済的にも不利になるので0.60%の上限が好ましい。
P:0.02%以下
Pは、鋼中に不可避不純物として含有する元素であり、意図的に添加する元素ではない。このPは、過度に含有させると、オーステナイトの粒界に偏析し、鋼を硬質化させ、圧延性を劣化させ、また耐食性も悪くするので極力低濃度であることが望ましい。このため、本発明では、Pの上限を0.02%とした。
Pは、鋼中に不可避不純物として含有する元素であり、意図的に添加する元素ではない。このPは、過度に含有させると、オーステナイトの粒界に偏析し、鋼を硬質化させ、圧延性を劣化させ、また耐食性も悪くするので極力低濃度であることが望ましい。このため、本発明では、Pの上限を0.02%とした。
S:0.02%以下
Sは、Mn量との関係において過剰に含有すると熱延の高温オーステナイト域で固溶していたSが温度低下にともない過飽和になり(Fe,Mn)Sとしてオーステナイト粒界に析出し、これが赤熱脆性による熱延鋼板の耳割れになる恐れがある。またSは非金属介在物としても残存し、粒界に偏析して鋼板の加工性を低下させ耐食性を悪くする元素でもあるので、その上限を0.02%とする。
Sは、Mn量との関係において過剰に含有すると熱延の高温オーステナイト域で固溶していたSが温度低下にともない過飽和になり(Fe,Mn)Sとしてオーステナイト粒界に析出し、これが赤熱脆性による熱延鋼板の耳割れになる恐れがある。またSは非金属介在物としても残存し、粒界に偏析して鋼板の加工性を低下させ耐食性を悪くする元素でもあるので、その上限を0.02%とする。
酸可溶Al:0.02〜0.10%
Alは、脱酸元素として有効であるが、熱処理によってNと反応してAlNとなり、固溶N量を低減させる作用があるためAlは本発明の重要な構成要件である。Al量と熱延加熱温度を950〜1100℃と特定することで、熱延に先立つスラブ段階でAlNの再固溶を防止して熱延板のN析出率が85%以上となり、製缶時のエキスパンド加工で耐St−St性や形状凍結性の向上が図れる。ただしAl量が0.10%を超え過剰になると、アルミナ系介在物が増加し加工性を低下させるので、上限を0.10%とする。一方、少ない添加ではAlNが形成されなくなり析出N率85%が達成されず、エキスパンド加工によるSt−St発生や鋼板の硬質化による形状凍結性の劣化が生じるので、0.02%以上の添加が必要である。
Alは、脱酸元素として有効であるが、熱処理によってNと反応してAlNとなり、固溶N量を低減させる作用があるためAlは本発明の重要な構成要件である。Al量と熱延加熱温度を950〜1100℃と特定することで、熱延に先立つスラブ段階でAlNの再固溶を防止して熱延板のN析出率が85%以上となり、製缶時のエキスパンド加工で耐St−St性や形状凍結性の向上が図れる。ただしAl量が0.10%を超え過剰になると、アルミナ系介在物が増加し加工性を低下させるので、上限を0.10%とする。一方、少ない添加ではAlNが形成されなくなり析出N率85%が達成されず、エキスパンド加工によるSt−St発生や鋼板の硬質化による形状凍結性の劣化が生じるので、0.02%以上の添加が必要である。
N:0.006%以下
Nは製鋼の精錬過程で空気中から混入する元素であるが、本発明では固溶Nを低くすることが重要であるため、Nの添加量はより少ない方が望ましい。このため、N量の上限を0.006%とする。なおNは、調質圧延後の鋼板に歪み時効性を生じ、降伏強度を調整して缶の耐デント性を向上させるため、ある程度の含有は好ましく、この効果を発揮させるためには鋼板中の固溶Nとして0.0006%以上が必要であるが、過剰に混入すると降伏強度が大きくなりすぎて加工性を劣化する。
Nは製鋼の精錬過程で空気中から混入する元素であるが、本発明では固溶Nを低くすることが重要であるため、Nの添加量はより少ない方が望ましい。このため、N量の上限を0.006%とする。なおNは、調質圧延後の鋼板に歪み時効性を生じ、降伏強度を調整して缶の耐デント性を向上させるため、ある程度の含有は好ましく、この効果を発揮させるためには鋼板中の固溶Nとして0.0006%以上が必要であるが、過剰に混入すると降伏強度が大きくなりすぎて加工性を劣化する。
以上の成分において、固溶Nおよび固溶Cが、合計で10〜20ppm、かつ固溶C≧固溶N×2なる関係とすることが必要である。この範囲外では、既に述べたように本発明の特性が得られない。
以上に挙げた成分の他、公知の溶接缶用鋼板中に一般的に存在する成分元素を含有してもよい。例えば、Nb:0.001〜0.003%、Ti:0.001〜0.003%、B:0.0001〜0.001%、Cu:0.05%以下、Ni:0.05%以下、Cr:0.05%以下、Mo:0.05%以下、V:0.003%以下より選ばれた1種または2種以上の元素を、目的に応じて含有させることができる。
Nb:0.001〜0.003%
Nbは、組織の微細粒化により靭性を向上させるが、その含有量が0.001%未満では固溶Nの低減が不十分であるため、その下限を0.001%とした。これに対して、Nbを0.003%以上含有させると、熱間圧延における未再結晶温度域を広げるため、降伏点の上昇を招くので、Nb量の上限を0.003%未満とした。
Nbは、組織の微細粒化により靭性を向上させるが、その含有量が0.001%未満では固溶Nの低減が不十分であるため、その下限を0.001%とした。これに対して、Nbを0.003%以上含有させると、熱間圧延における未再結晶温度域を広げるため、降伏点の上昇を招くので、Nb量の上限を0.003%未満とした。
Ti:0.001〜0.003%
Tiは、Nとの親和力が強く凝固時にTiNとして析出し、さらに組織の微細化に寄与することにより、強度や靱性を向上させ、ひいては缶の耐デント性をも向上させる。このため、0.001% 未満ではTiNの析出量が不足し、これらの効果を発現し得ないためTi量の下限値を0.001% とした。これに対して、Tiが0.003%を越えると、必要な固溶N量を確保できないことから、その上限値を0.003%とした。
Tiは、Nとの親和力が強く凝固時にTiNとして析出し、さらに組織の微細化に寄与することにより、強度や靱性を向上させ、ひいては缶の耐デント性をも向上させる。このため、0.001% 未満ではTiNの析出量が不足し、これらの効果を発現し得ないためTi量の下限値を0.001% とした。これに対して、Tiが0.003%を越えると、必要な固溶N量を確保できないことから、その上限値を0.003%とした。
B:0.0001〜0.001%
Bは、微量の添加によって焼入れ性を向上させる効果がある。また、このBは、組織の微細化と時効性の調整制御に有効な元素であるがNと結合し析出物となる。このような効果は0.0001%以上の添加で発揮されるが、0.001%を超えて添加するとBNを形成して必要な固溶N量を確保できないことから、Bは、0.0001〜0.001%の範囲で添加することとした。
Bは、微量の添加によって焼入れ性を向上させる効果がある。また、このBは、組織の微細化と時効性の調整制御に有効な元素であるがNと結合し析出物となる。このような効果は0.0001%以上の添加で発揮されるが、0.001%を超えて添加するとBNを形成して必要な固溶N量を確保できないことから、Bは、0.0001〜0.001%の範囲で添加することとした。
Cu:0.05%以下、Ni:0.05%以下、Cr:0.05%以下、Mo:0.05%以下
これらの元素は、いずれも鋼板強度、ひいては缶の耐デント性を高める作用を有し、必要に応じて添加する。しかし、0.05%を超えて添加した場合には、圧延性を悪化させ、かつ、鋼鈑を必要以上に硬質化し、製缶加工性を悪化させるので、その上限を0.05%とした。
これらの元素は、いずれも鋼板強度、ひいては缶の耐デント性を高める作用を有し、必要に応じて添加する。しかし、0.05%を超えて添加した場合には、圧延性を悪化させ、かつ、鋼鈑を必要以上に硬質化し、製缶加工性を悪化させるので、その上限を0.05%とした。
V:0.003%以下
Vは、炭窒化物形成元素であり、鋼材のミクロ組織およびC量、N量を調整するのに用いられるのが一般的であるが、本発明では、N量が少量であるため、これに追従させて、その上限を0.003%とした。
Vは、炭窒化物形成元素であり、鋼材のミクロ組織およびC量、N量を調整するのに用いられるのが一般的であるが、本発明では、N量が少量であるため、これに追従させて、その上限を0.003%とした。
続いて本発明の熱延工程について説明する。前述の成分を含有し残部がFe、および不可避的な不純物からなる鋼を連続鋳造スラブとして700℃以下に冷却して、スラブ中の固溶NのほとんどをAlN析出物として固定する。次いで析出処理後のスラブを950〜1100℃に再加熱する。この温度域に再加熱するのは析出したAlNの分解、再固溶を防止することで析出N率を85%以上にするためである。一方、再加熱温度の下限は熱延作業に支障をきたさない950℃にする必要がある。
次いでAr3点〜950℃の仕上げ温度で熱延し、650〜720℃の温度範囲で捲き取る。仕上げ温度をAr3点以上とするのは圧延中のオーステナイト−フェライト変態を抑制して熱延作業を安定化するためであるが、950℃を超えると熱延ワークロールの肌荒れが激しくなって、製品の表面欠陥が生じるとともにロール寿命も短くなるので、上限を950℃に限定した。捲取り温度の下限を650℃とするのは熱延板の幅・長手方向のN析出率を85%以上確保するためで、一方、上限を720℃にするのは熱延板の炭化物凝集を抑制して鋼板の加工性、耐食性を劣化させないためである。
続いて本発明の焼鈍工程について述べる。以上のようにして得られた熱延板を酸洗、冷延し、連続焼鈍する。焼鈍均熱温度を650℃以上とするのは再結晶と粒成長をさせて鋼板の加工性を高めるためである。一方、上限を720℃としたのは焼鈍中に炭化物が凝集し加工性、耐食性を劣化させるとともに、連続焼鈍通板時に炉内絞りが発生しやすくなるためである。
均熱保持時間の下限を10秒としたのは再結晶と粒成長に不可欠な時間であるためで、一方、60秒を超えた保持時間では粒成長にほとんど寄与しなくなるため、生産性の視点から上限を60秒とした。
過時効処理温度は300〜500℃が望ましく、300℃よりも低温になると固溶C析出に長時間を要するようになるため下限を規制した。一方、500℃より高温になると平衡的に固溶されるC量が多くなって鋼板にはSt−Stを発生させるに十分な固溶Cが残留するようになるため、上限を500℃に規制した。
続いて本発明の調質圧延工程について述べる。本発明においては、連続焼鈍後の鋼板に調質圧延を行う。圧延条件としては、ロール径470mm以下のワークロールにて、圧下率1.5〜3.0%のスキンパス効果を鋼板に施す。ロール径を470mm以下にするのは、通常の常温での時効と違って170℃かつ7分の厳しい時効を受けても、可動転位を鋼板に残すことで耐St−St性の劣化を抑えるためである。圧下率は1.5%より低いとSt−Stが発生するので規制する。一方、乾式調質圧延では3.0%以上の圧下率を鋼板に施すのは困難であり、鋼板表層の過剰な硬質化は製缶加工性を劣化するため上限を3.0%とした。
調質圧延時の張力は50〜200MPaとした。張力が200MPaを超えると冷延組織が生成し、形状凍結性やエキスパンド成形性が低下する。一方50MPa未満では通板性、圧延性が低下し、形状不良や作業性の低下をもたらす。
本発明の缶用鋼板には通常、表面処理が施されて製缶メーカーに出荷される。表面処理層としては特に限定しないが、ニッケル、錫、クロム、亜鉛、アルミ等を少なくとも1種類以上含むめっき層を用いる事ができる。または少なくとも片面にフィルムラミネート層を有することができる。
以下に本発明を実施例にて具体的に説明する。表1に掲載の鋼成分を転炉にて溶製し、主要成分を調整後に低炭素アルミキルド鋼として出鋼し、連続鋳造機にてスラブとした。このスラブを表2に示す熱延条件で加熱し熱延し捲取りを行ない、微量の固溶Nを含む熱延コイルとなした。次いで塩酸酸洗にて脱スケールを行った後に6スタンドタンデム冷延機にて薄厚の冷延コイルとなし、次いで過時効処理のある連続焼鈍機にて再結晶焼鈍を施し、微量の固溶Cを有する焼鈍コイルとした。
なお比較用の鋼No.1、2は連続焼鈍後に箱焼鈍を施して固溶C、Nを極めて少なくした非時効鋼板となし、一方、比較の実施例5〜10はAl添加量を少なめにするか、N添加量を多めにして、更に熱延捲取り温度をやや低めにすることで、熱延コイルの析出N率が85%未満になるように製造した。逆に本発明の実施例3、4および11、12はAl添加量を多めにするか、N添加量を少なめにして、更に熱延捲取り温度をやや高めにすることで熱延コイルの析出N率が85%以上になるように製造した。
調質圧延は、鋼No.5、6は大径ロール使用かつ高張力による調質圧延を施し、その他は小径ロール、低張力を適用した。
調質圧延を終えた鋼板はアルカリ洗浄、硫酸酸洗の前処理を行ない、メッキ液としてワット浴にて下層に650〜750mg/m2のNiメッキ層を形成し次いでクロメート浴にて上層が5〜10mg/m2のCrメッキから成る複層メッキを施した。
このメッキ鋼板に、フィルムラミネート鋼板の熱処理条件として相当な170℃かつ7分のベーキングを行なった。表3には上記のCr−Ni複層メッキ鋼板からサンプルを採取し、ベーキングして得られた材質を記載した。
表3から明らかなように、本発明による鋼板では目標とした従来の低炭素アルミキルド鋼を素材とした連続焼鈍鋼板に残る形状凍結性やエキスパンド成形性の向上を耐St−St性や耐デント性を損なうことなく解消し、「加工時は軟質で、かつ缶体成形後の加熱処理において降伏強度が容易に増加する」特性を生かせるリシール缶用鋼板が製造できる。
Claims (4)
- 析出N率(NasAlN×100/トータルN)が85%以上で、かつ170℃で7分の加熱保定後の、鋼板表面から厚み方向25μm深さの硬度と、鋼板の厚み方向中心部の硬度との差が、マイクロビッカース硬さで15ポイント以上であることを特徴とする溶接缶用冷延鋼板。
- 鋼成分として質量%で、
C :0.015〜0.08%、
Mn:0.10〜0.60%、
P :0.02%以下、
S :0.02%以下、
酸可溶Al:0.02〜0.10%、
N :0.006%以下
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、鋼板に含まれる固溶Nおよび固溶Cの合計が10〜20ppmであり、かつ固溶C≧固溶N×2なる関係を有することを特徴とする請求項1記載の溶接缶用冷延鋼板。 - 鋼成分としてさらに質量%で、
Nb:0.001〜0.003%、
Ti:0.001〜0.003%、
B :0.0001〜0.001%、
Cu:0.05%以下、
Ni:0.05%以下、
Cr:0.05%以下、
Mo:0.05%以下、
V :0.003%以下
より選ばれた1種または2種以上の元素を含むことを特徴とする請求項2に記載の溶接缶用冷延鋼板。 - 請求項2または請求項3に記載の成分の連続鋳造スラブを一旦700℃以下まで冷却後、熱延加熱炉に挿入して950〜1100℃に再加熱し、次いで仕上げ温度をAr3点〜950℃、捲取り温度を650〜720℃にて熱間圧延し、酸洗、冷延後、均熱温度650〜720℃に10〜60秒保持し、500℃以下に冷却後、300〜500℃で60秒以上保定する連続焼鈍を行ない、次いでロール径470mm以下のロールにて圧下率1.5〜3.0%かつ張力50〜200MPaで調質圧延を実施することを特徴とする溶接缶用冷延鋼板の製造方法。
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