JP2007187987A - 多層膜反射鏡、及びeuv露光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】多層膜の剥離を容易に行うことができる多層膜反射鏡を提供する。
【解決手段】基材1と、基材1上に形成された多層膜からなる反射層2と、反射層2と基材1の間に設けられた、反射層2を剥離するための剥離膜3とを有する多層膜反射鏡であって、反射層2と剥離膜3との間に、反射層2に対して相対的に圧縮応力を持つ応力層4が設けられている。
【選択図】図1
【解決手段】基材1と、基材1上に形成された多層膜からなる反射層2と、反射層2と基材1の間に設けられた、反射層2を剥離するための剥離膜3とを有する多層膜反射鏡であって、反射層2と剥離膜3との間に、反射層2に対して相対的に圧縮応力を持つ応力層4が設けられている。
【選択図】図1
Description
本発明は、多層膜反射鏡、及びこの多層膜反射鏡を使用したEUV露光装置に関するものである。
半導体集積回路素子の微細化の一層の進展に伴い、紫外線に代わって、波長11〜14nm程度の軟X線を使用する投影リソグラフィの開発が進められている。この技術は、最近ではEUVリソグラフィ(極端紫外線(Extreme Ultraviolet)縮小投影露光)とも呼ばれている。このEUVリソグラフィは、従来の光リソグラフィ(波長190nm程度以上)では実現不可能な、50nm以下の解像力を有するリソグラフィ技術として期待されている。
この軟X線の波長帯では、透明な物質が存在せず、物質の屈折率が1に非常に近いので、屈折を利用した従来の光学素子は使用できない。それに代わって、全反射を利用した斜入射ミラーや、界面での微弱な反射光の位相を合わせることによりその反射光を多数重畳させて全体としては高い反射率を得る多層膜反射鏡などが使用される。
このような多層膜反射鏡においては、入射光の波長帯により、高い反射率を得るのに適した材質が異なる。例えば、13.5nm付近の波長帯では、モリブデン(Mo)層とシリコン(Si)層を基材上に交互に積層したMo/Si多層膜を用いると、直入射で67.5%の反射率を得ることができる。また、11.3nm付近の波長帯では、Mo層とベリリウム(Be)層を基材上に交互に積層したMo/Be多層膜を用いると、直入射で70.2%の反射率を得ることができる。
露光装置の投影光学系に使用される多層膜反射鏡において、露光時には、多層膜表面にEUV光が照射されるため、多層膜反射鏡付近に漂っている有機残留物(例えば、排気系のオイル等)がEUV光によって分解され、多層膜表面にカーボンコンタミ(炭素汚れ)となって付着したり、多層膜表面の酸化が進んだりすることにより、多層膜表面が汚染され、反射率を低下させるという問題が生じる。
従って、EUVリソグラフィに用いられる多層膜反射鏡は、一定期間使用した後、新しい反射鏡と交換する必要がある。又、このとき、傷んだ多層膜を基材表面に影響を与えることなく除去することができれば、元の基材を再利用することができるので、多層膜を再成膜するだけで、新たな多層膜反射鏡を作製することができ、高価な多層膜反射鏡を新たに製作する必要がない。又、薄膜反射鏡の製造時の装置エラーにより多層膜の膜厚分布が所望の分布より大きくずれたとき、多層膜をはがす必要がある。
しかしながら、Moは熱濃硫酸、王水等の限られた溶液にのみ可溶で、エッチングで除去することは容易には行えない物質である。またSiは、基材にSiO2などのSi系物質を用いるため、Siをエッチング除去するときに基材にも少なからずダメージが生じる。このため基材形状を変化させず多層膜のみを除去することは困難であった。
このような問題の解決策として、多層膜と基材との間に容易にエッチングできる膜(剥離膜)を挿入し、エッチングにより剥離膜を溶解して多層膜2をリフトオフさせる方法がある。例えば剥離膜に適しているものとしてAg薄膜がある。Agは容易に薄膜化でき、またAg薄膜は硝酸に対し高いエッチングレートを持っている。また、SiO2は硝酸に対して不溶であるため基材が硝酸によりダメージを受けない。このため剥離膜にAgを用い、多層膜剥離液に硝酸を用いると、基材を損傷することなく多層膜の剥離が可能となる。
しかしながらAg膜は膜厚が厚くなると表面粗さが大きくなる。剥離膜の表面粗さが大きくなるとその上に積層される多層膜の表面粗さも大きくなり、その結果反射鏡の反射率が低下するという問題が生じる。例えばAg膜厚40nmのとき、表面粗さは1.7nmRMS以上となる。通常多層膜の表面粗さは0.2nmRMS以下が望ましい。多層膜の表面粗さが1.7nmRMSとなった場合の反射率は、シミュレーションでは6%程度に減少する(表面粗さ0nmRMSでは74%である)。
一方、剥離膜の表面粗さを抑制するため剥離(Ag)膜の膜厚を薄くすると多層膜の反射率低下を招かないが、エッチング液が多層膜と基材の間に浸透しにくいため、Ag膜のエッチングが進行速度が遅く、少なくともEUV露光装置に用いるような直径100mm以上の基材に対しては、多層膜のリフトオフが事実上困難であるという問題があった。このため多層膜の剥離が困難であり、多層膜が汚れたり、製作中の膜厚分布が設計値からずれると基材ごと再加工する必要が生じ、EUV露光装置の高コスト化の原因となっていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、多層膜の剥離を容易に行うことができる多層膜反射鏡、及びこの多層膜反射鏡を使用したEUV露光装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための第1の手段は、基材と、前記基材上に形成された多層膜からなる反射層と、前記反射層と前記基材の間に設けられた、前記反射層を剥離するための剥離膜とを有する多層膜反射鏡であって、前記反射層と前記剥離膜との間に前記反射層に対して相対的に圧縮応力を持つ応力層が設けられていることを特徴とする多層膜反射鏡である。
前記課題を解決するための第2の手段は、前記第1の手段である多層膜反射鏡を使用していることを特徴とするEUV露光装置である。
本発明によれば、多層膜の剥離を容易に行うことができる多層膜反射鏡、及びこの多層膜反射鏡を使用したEUV露光装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態の例を、図を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態の1例である多層膜反射鏡の概要を示す図である。なお、実際にEUV露光装置に使用される多層膜反射鏡の表面は曲面となっているが、以下の図では、簡単化のために平面として描いている。
基材1としてSiO2を用い、基材1上に剥離膜3として、スパッタ法によりAgを膜厚2nm堆積する。この後、一度成膜装置から基材を取り出し、Ag成膜領域より狭い範囲のみにその後の成膜が行えるように、それ以外の部分を覆うマスクを付ける。これは、剥離膜3の側面がその後成膜される多層膜あるいは応力層に覆われ、エッチング液が剥離膜から遮蔽されることを防ぐためである。
その後再びスパッタ装置に基材1をセットし、応力層4としてSiを80nm成膜し、続けて多層膜(反射層)2を積層する。多層膜は厚さ2.5nmのMo層と厚さ4.5nmのSi層を交互に40組積層している。応力層4のSiの成膜条件を、スパッタガスXe、ガス流量2sccm、投入電力400Wとしたとき、応力層4は1000MPaの圧縮応力を有する有する膜となる。膜厚を80nmとしているため応力層4の全応力は80nm×1000MPa =80,000[MPa*nm]となる。
多層膜2では、Moの成膜条件を、スパッタガスXe、ガス流量2sccm、投入電力200Wとしたとき、Mo層は引っ張り応力を有し、Siの成膜条件を、スパッタガスXe、ガス流量2sccm、投入電力400Wとしたとき、Si層は圧縮応力を有するが、多層膜2全体としては200MPa程度の圧縮応力となる。このときの多層膜2の全応力は7nm×40組×200MPa=56,000[MPa*nm]となる。
この多層膜反射鏡を図2に示すように硝酸液5に浸漬すると、Agが多層膜2の周囲から徐々にエッチングされ、基材1と多層膜2の周囲から剥離し始める。基材1から多層膜2と応力層4が剥離した領域では多層膜2に対して応力層4が圧縮応力を持つため、図2に示すように応力層4が多層膜2を内側に巻き込むようにめくれ上がってくる。このため、剥離膜3に対し硝酸が浸透しやすくなり、エッチングが進行していき、やがて応力層4を含む多層膜2が基材1より完全に剥離する。
またこのときの多層膜2の表面粗さは0.2nmRMS程度となり表面粗さの反射率に与える影響は小さい。
なお、以上の例においては、多層膜2が強い圧縮応力を有していたため、応力層4の膜厚を80nmと厚くしたが、多層膜2の応力が小さい場合、又は引っ張り応力である場合には、応力層4に強い応力は必要とされないので、応力層4の膜厚を薄くすることができる。応力層4の材料は、エッチング液に溶解しないものを適宜選択して使用することができる。
図3は、本発明の実施の形態の1例であるEUV露光装置の概要を示す図である。光源31から放出されたEUV光32は、コリメータミラーとして作用する凹面反射鏡34を介してほぼ平行光束となり、一対のフライアイミラー35aおよび35bからなるオプティカルインテグレータ35に入射する。
こうして、フライアイミラー35bの反射面の近傍、すなわちオプティカルインテグレータ35の射出面の近傍には、所定の形状を有する実質的な面光源が形成される。実質的な面光源からの光は平面反射鏡36により偏向された後、マスクM上に細長い円弧状の照明領域を形成する。ここで、円弧状の照明領域を形成するための開口板は、図示していない。マスクMの表面で反射された光は、その後、投影光学系37の多層膜反射鏡M1、M2、M3、M4、M5、M6で順に反射されて、露光光101として、マスクMの表面に形成されたパターンの像を、ウエハ102上に塗布されたレジスト103上に形成する。
このEUV装置においては、図1に示したような多層膜ミラーを使用している。よって、ミラーを交換する際や、ミラーの製作中に誤差が生じた場合に、多層膜を剥離して、多層膜だけを新しくすることができるので、全体として装置の価格が安価となる。
1…基材、2…多層膜(反射層)、3…剥離膜、4…応力層、5…硝酸液、31…光源、32…EUV光、33…照明光学系、34…凹面反射鏡、35…オプティカルインテグレータ、35a,35b…フライアイミラー、36…平面反射鏡、37…投影光学系、M…マスク、M1〜M6…多層膜反射鏡、101…露光光、102…ウエハ、103…レジスト
Claims (2)
- 基材と、前記基材上に形成された多層膜からなる反射層と、前記反射層と前記基材の間に設けられた、前記反射層を剥離するための剥離膜とを有する多層膜反射鏡であって、前記反射層と前記剥離膜との間に前記反射層に対して相対的に圧縮応力を持つ応力層が設けられていることを特徴とする多層膜反射鏡。
- 請求項1に記載の多層膜反射鏡を使用していることを特徴とするEUV露光装置。
Priority Applications (1)
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JP2006007539A JP2007187987A (ja) | 2006-01-16 | 2006-01-16 | 多層膜反射鏡、及びeuv露光装置 |
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US10074756B2 (en) | 2015-03-31 | 2018-09-11 | Canon Kabushiki Kaisha | Method for producing optical component, optical component, and optical device |
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JP2002303695A (ja) * | 2001-04-03 | 2002-10-18 | Nikon Corp | 多層膜反射鏡、多層膜の剥離方法及び露光装置 |
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