JP2007187732A - 回折光学素子とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】回折効率などの特性がさらに改善された回折光学素子を簡便に提供することを目的としている。
【解決手段】回折光学素子はDLC膜(1)からなる透光性層を含み、この透光性層は屈折率変調型回折格子として作用するように層面に平行な方向に周期的に交互に配列された複数の高屈折率領域(1b)と低屈折率領域(1a)とを含み、それらの高屈折率領域(1b)の表面はレリーフ型回折格子として作用する凸形状(1d)をも有していていることを特徴としている。
【選択図】図2
【解決手段】回折光学素子はDLC膜(1)からなる透光性層を含み、この透光性層は屈折率変調型回折格子として作用するように層面に平行な方向に周期的に交互に配列された複数の高屈折率領域(1b)と低屈折率領域(1a)とを含み、それらの高屈折率領域(1b)の表面はレリーフ型回折格子として作用する凸形状(1d)をも有していていることを特徴としている。
【選択図】図2
Description
本発明は、回折光学素子の特性の改善と、その改善された回折光学素子を簡便に製造する方法に関する。
周知のように、回折光学素子は、光の回折現象を利用することによって種々の機能を生じさせ得る光学素子である。より具体的には、波長合分岐、パワー合分岐、偏光合分岐、波長板、光アイソレータ、またはレンズなどの機能を有する回折光学素子が知られている。
一般に、回折光学素子は、透光性基板上に回折格子層を形成することによって作製される。その回折格子層の構造的相違に基づいて、回折光学素子はレリーフ型と屈折率変調型とに大別される。レリーフ型回折光学素子において回折が生じるのは、回折格子層のレリーフにおける厚い部分を通過する光の位相が薄い部分を通過する光の位相に比べて遅れることによって位相差が生じるかである。他方、屈折率変調型回折光学素子において回折が生じるのは、回折格子層の高屈折率領域を通過する光の位相が低屈折率領域を通過する光の位相に比べて遅れることによって位相差が生じるからである。
図6は、従来のレリーフ型回折光学素子の作製方法の一例を模式的な断面図で図解している(非特許文献1:「マイクロレンズ(アレイ)の超精密加工と量産化技術」技術情報協会出版、2003年4月28日、第20−21頁、および第71−81頁)。
図6(a)において、Si基板11上にポジ型フォトレジスト層12を形成し、第1のフォトマスク13を介して紫外光14aが照射される。
図6(b)において、露光されたレジスト層12を現像して第1のレジストパターン12aが形成される。そして、その第1レジストパターン12aをマスクとして、矢印14bで表された反応性イオンエッチング(RIE)によって、所定深さの溝が形成される。
図6(c)において、第1レジストパターン12aを除去することによって、バイナリレベル(光の位相を2段階に変調)のレリーフ型回折光学素子11aが得られる。なお、レリーフにおける溝の幅、深さ、間隔などは、2レベルまたは多レベルのレリーフ型回折光学素子のそれぞれの目的に応じて最も良好な回折効率が得られるように設定される。
図6(d)から(f)は、図6(a)から(c)と同様な工程に続いて4レベルのレリーフ型回折光学素子を作製する工程を図解している。
図6(d)において、図6(c)までと同様の工程で形成されたSi基板11aの上面にさらに第2のレジスト層15を形成し、第2のマスク16を介して紫外光14cを照射する。
図6(e)において、露光された第2レジスト層15を現像して同図に示されているような第2のレジストパターン15aが形成される。そして、その第2レジストパターン15aをマスクとして、矢印14dで表されているRIEによって、さらに所定深さまでのエッチングが行なわれる。
図6(f)において、第2レジストパターン15aを除去して、4段階の厚さ変化を含んでいて4レベルの位相変化を生じ得るレリーフ型回折光学素子11bが得られる。なお、2レベルの回折型回折光学素子に比べて、多レベルの回折型回折光学素子では高い回折効率が得られる。また、上述のようなフォトリソグラフィとRIEの工程をN回繰り返すことによって、2Nレベルのレリーフ型回折光学素子を作製することができる。このことから、段階数のNが非常に多くなれば、階段状のレリーフが連続的なスロープに近づくことが理解されよう。
他方、屈折率変調型回折光学素子は原理的には作製可能であるが、従来では実用的な屈折率変調型回折光学素子を作製することが困難であった。なぜならば、たとえば石英系ガラスに紫外光やX線のようなエネルギビームを照射することによって屈折率を高め得ることが知られているが、その場合の屈折率変化Δnは0.01以下程度に小さいからである。
そこで、近年では、フォトポリマ層を利用して屈折率変調型またはレリーフ型の回折光学素子を作製することが試みられている(たとえば、特許文献2の特開平7−306529号公報参照)。特許文献2によれば、フォトポリマ層にエネルギビームを照射することによって、屈折率をΔn=0.1程度高めることができるとされている。
しかし、フォトポリマ層を利用して回折光学素子を作製する方法は、エネルギビーム照射を利用して重合を生じさせたり微細な気泡を生じさせるなどのように制御が容易でない工程を要し、またエネルギビーム照射のみならず熱処理や現像などの煩雑な工程をも必要とする。また、フォトポリマを利用して屈折率変調型回折光学素子を作製する場合には付加的な酸素遮蔽膜を要したり、レリーフ型の回折光学素子を作製する場合には付加的なネガ型フォトポリマ層を要したりして、作製工程が非常に煩雑である。
さらに、フォトポリマ層を利用して作製された回折光学素子は経時的に特性が劣化する傾向にあり、特に耐熱性が低くて、強度の高い光に対して安定的に使用できなかったり、高温の環境において使用することができないという問題がある。
ところで、最近において、本発明者らは、DLC(ダイヤモンドライクカーボン:ダイヤモンド状炭素)膜を利用して屈折率変調型回折光学素子を作製し得ることを開示している(たとえば、特許文献1:特開2004−163892号公報)。すなわち、本発明者らは、DLC膜にエネルギビームを照射することによってその屈折率を簡便かつ顕著に高めることができることを確認している。
そのようなDLC膜は、シリコン基板、ガラス基板、ポリマ基板、およびその他の種々の基体上にプラズマCVD(化学気相堆積)によって形成することができる。そのようなプラズマCVDによって得られる透光性DLC膜は、通常は1.55程度の屈折率を有している。
DLC膜の屈折率を高めるためのエネルギビームとしては、紫外線(UV)、X線、シンクロトロン放射(SR)光、イオンビーム、電子ビームなどを用いることができる。なお、SR光は、一般に紫外光からX線までの広い波長範囲の電磁波を含んでいる。
たとえば、Heイオンを800keVの加速電圧の下で5×1017/cm2のドース量で注入することによって、屈折率変化量をΔn=0.65程度まで高めることができる。なお、H、Li、B、Cなどのイオンの注入によっても、同様に屈折率を高めることができる。また、0.1〜130nmのスペクトルを有するSR光を照射することによっても、屈折率変化量を最大でΔn=0.65程度まで高めることができる。さらに、UV光照射では、たとえば波長248nmのKrFエキシマレーザ光をパルス当たり160mW/mm2の照射密度にて100Hzの周期でパルス照射すれば、屈折率変化量をΔn=0.22程度まで高めることができる。なお、ArF(193nm)、XeCl(308nm)、XeF(351nm)などのエキシマレーザ光やArレーザ光(488nm)の照射によっても、同様に屈折率を高めることができる。これらのDLC膜のエネルギビーム照射による屈折率変化量は、従来の石英系ガラスのUV光照射による屈折率変化量(Δn=0.01以下程度)やフォトポリマにおける屈折率変化量(Δn=0.1以下程度)に比べて顕著に大きいことが分かる。
図7では、そのようなDLC膜を用いて屈折率変調型回折光学素子を作製する方法が、模式的な断面図で図解されている。この屈折率変調型回折光学素子の作製方法においては、たとえばシリカ(SiO2)ガラス基板21上にプラズマCVDによってDLC膜22が形成される。そして、他のシリカガラス基板23a上に形成されたマスク24aがそのDLC膜22上に重ねられる。
図7に示されているように、マスク24aがDLC膜22上に重ねられた状態で、上方からUV(紫外)光25aがDLC膜22に照射される。その結果、DLC膜22中で、マスク24aによって覆われてUV光25aの照射を受けなかった領域は屈折率の変化を生じなくて、プラズマCVDによって堆積されたままの屈折率n1を維持している。他方、DLC膜22中で、マスク24aによって覆われていなくてUV光25aの照射を受けた領域は屈折率変化を生じて、その屈折率がn2へ高められる。UV光照射後には、シリカガラス基板23aとマスク24aをDLC膜22から取り外す。こうして得られた屈折率変調型回折光学膜22は、n1とn2との2値の屈折率を含んでおり、2レベルの屈折率変調型回折格子として作用する。
図8では、3レベルの屈折率変調型回折光学素子を作製する方法が、模式的な断面図で図解されている。この図8においては、図7と同様な方法で形成されたn1とn2との2レベルの屈折率変調を含むDLC膜22上に、シリカガラス基板23a上の第2のマスク24bがさらに重ねられる。そして、その状態において再度のUV光照射25bが行われる。
このとき、第2のマスク24bは、図7の過程で形成されたDLC膜中の高屈折率n2の領域内の選択された領域のみにUV光を照射するための開口を有している。したがって、UV光25bの照射後においては、比較的高い屈折率n2の領域内の選択された領域の屈折率がさらに高いn3に高められる。すなわち、図8において作製された屈折率変調型回折光学膜22は、n1、n2、およびn3の3レベルの屈折率変調を含む回折格子として作用する。
このように、部分的に修正されたパターンを有するマスクを順次用いながらDLC膜にUV光照射を繰り返して行うことによって、所望の多レベルの屈折率変調を含む屈折率変調型回折光学膜を得ることができる。そして、前述のように2レベルの屈折率変調型回折格子に比べて多レベルの屈折率変調型回折格子は高い回折効率を生じ得るので、光の利用効率がさらに改善され得る。
特開2004−163892号公報
特開平7−306529号公報
「マイクロレンズ(アレイ)の超精密加工と量産化技術」技術情報協会出版、2003年4月28日、第20−21頁、および第71−81頁
前述のように、従来の一般的なレリーフ型回折光学素子を作製するためには、透光性基板にエッチングで溝を彫らなければならないので、その基板はそれなりの厚さを要する。また、エッチング工程は手間と時間を要し、さらに、エッチングによって彫る溝の深さを正確に調節することが容易ではない。特に、回折効率の高い多レベルのレリーフ型回折光学素子を作製するためには、そのようなエッチング工程を繰り返さなければならない。
また、前述のように、フォトポリマ層を利用した回折光学素子の作製は制御が容易でなくて煩雑な工程を要する。さらに、フォトポリマ層を利用した回折光学素子は経時的に劣化しやすく、特に熱や強い光に対する耐性が十分ではない。
他方、従来のようにシリカガラスやフォトポリマ層にエネルギビームを照射する場合に比べて、DLC膜にエネルギビームを照射すれば桁違いに屈折率を高めることができて、熱や強い光に対しても安定で実用的な屈折率変調型回折光学素子を作製することが可能となる。しかし、DLC膜を用いた屈折率変調型回折光学素子においても、さらなる回折効率の向上を可能ならしめることが望まれる場合もあり得る。また、多レベルの屈折率変調型回折光学素子を作製するためには、一般にはDLC膜においても多数回のマスキングとエネルギビーム照射を繰り返さなければならない。
係る先行技術状態に鑑み、本発明は、回折効率などの特性がさらに改善された回折光学素子を簡便に提供することを目的としている。
本発明による回折光学素子はDLC膜からなる透光性層を含み、この透光性層は屈折率変調型回折格子として作用するように層面に平行な方向に周期的に交互に配列された複数の高屈折率領域と低屈折率領域とを含み、それらの高屈折率領域の表面はレリーフ型回折格子として作用する凸形状を有していていることを特徴としている。このような回折光学素子は、たとえば、複数の波長を含む1つの光ビームをそれらの波長に依存して複数の光ビームに分割する優れた波長分岐機能を有し得る。
DLC膜中の高屈折率領域と低屈折率領域との境界領域においては、屈折率が好ましく連続的に変化させられている。また、それらの高屈折率領域と低屈折率領域との境界領域は、透光性層の層面に直交する方向に平行であってもよいし、透光性層の層面に対して傾斜している方向に平行であってもよい。透光性層として、透光性DLC膜を好ましく用いることができる。
以上のような回折光学素子を製造するための方法においては、回折光学素子が透光性DLC膜を含み、そのDLC膜に対して位相格子マスクを介して紫外線を照射し、その紫外線照射によって、DLC膜において、屈折率変調型回折格子として作用するように膜面に平行な方向に周期的に交互に配列された複数の高屈折率領域と低屈折率領域とが形成されるとともに、それらの高屈折率領域の表面にレリーフ型回折格子として作用する凸形状が形成される。
また、回折光学素子を製造するための方法において、回折光学素子は透光性DLC膜を含み、そのDLC膜には、紫外線が位相格子マスクを通過した+1次回折光と−1次回折光との干渉光が照射され、その干渉光が照射された領域に高屈折率領域が形成されるとともに凸形状の表面が形成され得る。
さらに、回折光学素子を製造するための方法において、DLC膜には、紫外線が位相格子マスクを通過した0次回折光と+1次回折光または−1次回折光との干渉光が照射され、干渉光が照射された領域に高屈折率領域が形成されるとともに凸形状の表面が形成されてもよい。
紫外線としては、たとえば248nmの波長を含むKrFレーザを好ましく用いることができる。
以上のような本発明によれば、回折光学素子において回折効率などの特性を改善することができ、そのように改善された回折光学素子を簡便に製造することが可能となる。
図1の断面図において、本発明の一実施形態による回折光学素子の作製過程が模式的に図解されている。まず、たとえばシリカガラス基板(図示せず)上において、主成分として炭素を含むDLC膜1を周知のプラズマCVDで堆積する場合に、種々の飽和または不飽和の炭化水素のガスまたは蒸気を原料ガスとして使用することができる。より具体的には、メタン(CH4、分子量16、飽和)、アセチレン(CH≡CH、分子量26、不飽和)、シクロプロパン(C3H6、分子量42、飽和)、プロパン(C3H8、分子量44、飽和)、ブチン(CH3C≡CCH3、分子量54、不飽和)、ブチレン(CH2=CHCH2CH3、分子量56、不飽和)、ベンゼン(C6H6、分子量78、飽和)、ヘキサン(C6H14、分子量86、飽和)、オクタン(C8H18、分子量114、飽和)などの炭化水素のガスまたは蒸気を利用して、主成分として炭素を含むDLC膜をプラズマCVDで堆積させることができる。
図1に示された回折光学素子の作製方法においては、たとえば厚さ約1μmでn=1.55の屈折率を有するDLC膜1に対して、たとえばガラス製のレリーフ型位相格子マスク(回折格子)2が約100μm隔てて近接配置される。この状態で、たとえばKrFレーザ光(波長248nm)3を16mw/mm2のエネルギ密度で1時間照射することによって、回折光学素子を作製することができる。このとき、位相格子マスク2からの+1次回折光と−1次回折光との干渉光に露光される領域の屈折率が高められる。他方、その干渉光よって露光されない領域の屈折率は、成膜されたままの状態に維持される。
この場合、+1次回折光と−1次回折光との干渉光は、レリーフ型位相格子マスク2の凹凸周期の1/2の周期で現れる。したがって、DLC膜中の所望の高屈折率領域の周期に比べて2倍の凹凸周期で形成されたレリーフ型位相格子マスク2を用いることができる。また、高屈折率領域の幅の中央におけるほど、干渉光の強度が高くなる。したがって、図1中のDLC膜1においては、低屈折率領域と高屈折率領域との界面近傍において屈折率が連続的に変化し(すなわち、無限レベルの回折格子として作用し)、高い回折効率を得ることができる。なお、望まれる場合には、レリーフ型位相格子マスク2の代わりに、クロム膜、酸化クロム膜、アルミ膜などをパターニングして得られる振幅型位相格子マスクを用いることもできる。
図2は、図1の作製方法によって得られる回折光学素子の一例を模式的断面図で示している。この図において、DLC膜1のうちで、+1次回折光と−1次回折光との干渉光によって露光されなかった領域1aは成膜されたままの状態で相対的に低い屈折率n=1.55の領域として維持される。他方、干渉光によって露光された領域1bは屈折率が顕著に高められて、たとえば相対的に高い屈折率n=1.70の領域となり得る。これらの高屈折率領域1bは、たとえば、0.5μmの周期で形成され得る。
ところで、図1のような方法で作製された高屈折率領域1bに対応する表面1dは、図2に示されているように低屈折率領域1aに対応する表面1cに比べて凸状になる。このような表面凹凸形状における高低差は、たとえば50nm〜100nmになり得る。何故にUV照射によってこのような表面凹凸形状がDLC膜上に形成されるのかの理由は現時点において必ずしも明らかではないが、そのような表面凹凸形状はレリーフ型回折格子として作用することができる。しかも、その表面凹凸形状は連続的な曲面で形成されており(無限レベルの回折格子として作用し)、高い回折効率を有するレリーフ型回折格子として作用し得る。
すなわち、図2において得られた回折光学素子は、高い回折効率の屈折率変調型回折格子に重畳して高い回折効率のレリーフ型回折格子をも含んでいることになり、顕著に改善された非常に高い回折効率を生じ得る。
図3は、図2に示されているような回折光学素子の作用の一例を図解する模式的な断面図である。この図に示されているように、回折光学素子1に対して波長λ1とλ2とを含む光4を入射させれば、その入射光4は波長に依存して異なる回折角において回折される。すなわち、入射光4は、波長λ1を有する光と波長λ2を有する光に分岐(分光)されることになる。なお、図3では説明の簡略のためにλ1とλ2の2通りの波長を含む入射光の場合についてのべたが、それ以上のたとえば青、緑、および赤の波長を含む光に対するカラーフィルタとして作用し得る回折光学素子を作製することもできることは言うまでもない。
また、図3における回折光学素子では高屈折率領域1bと低屈折率領域1aとの間の境界領域が膜厚方向に平行な場合が例示されているが、望まれる場合には、図4に示されているように、その境界領域を膜厚方向に対して傾斜させてもよいことは言うまでもない。そのためには、たとえば図1の作製方法において、紫外光3をDLC膜1の膜面に対して斜め方向に入射させて、0次回折光と+1次回折光または−1次回折光との干渉光による露光を利用すればよい。ただし、0次回折光と+1次回折光または−1次回折光との干渉光は、位相格子マスク2の凹凸周期と同じ周期で現れる。したがって、DLC膜1中の所望の高屈折率領域1bの周期に比べて同じ周期の凹凸で形成された位相格子マスク2を用いなければならない。
図5の模式的な断面図は、高屈折率領域と低屈折率領域との間の境界領域が膜厚方向に対して傾斜している回折光学素子の他の好ましい利用例を示している。なお、図5において、表面の凹凸形状は図示省略されている。
すなわち、ガラス基板S上のDLC回折格子膜1においては、高屈折率領域と低屈折率領域との間の境界領域1eが膜厚方向に対して傾斜させられている。この場合、たとえば入射光L1はDLC膜1内に入射するときに屈折して光L2になり、高屈折率領域と低屈折率領域との間の境界領域1eで所定のブラッグ反射角θにおいて高い効率で回折された光L3となる。この回折光L3は、境界領域1eがDLC膜の厚さ方向に対して傾斜させられているので、DLC膜面に対して直交する方向に放射させることが可能である。すなわち、回折光L3は、たとえば液晶パネルの表面に対して直交するように効率よく入射され得る。
以上のように、本発明によれば、回折光学素子において回折効率などの特性を改善することができ、そのように改善された回折光学素子を簡便に製造して提供することができる。
1 DLC膜、1a 低屈折率領域、1b 高屈折率領域、1c 凹状面、1d 凸状面、1e 低屈折率領域と高屈折率領域との境界領域、2 レリーフ型位相格子マスク(回折格子)、3 エネルギビーム(紫外レーザ光)、4 入射光、11 シリコン基板、11a 2レベルのレリーフ型マイクロレンズ、11b 4レベルのレリーフ型マイクロレンズ、12 第1レジスト層、13 第1マスク、14a 露光、14b RIE、14c 露光、14d RIE、15 第2レジスト層、16 第2マスク、21 シリカガラス基板、22 DLC膜、23a、23b シリカガラス基板、24a、24b マスク、25a、25b UV光。
Claims (9)
- DLC膜からなる透光性層を含み、この透光性層は屈折率変調型回折格子として作用するように層面に平行な方向に周期的に交互に配列された複数の高屈折率領域と低屈折率領域とを含み、それらの高屈折率領域の表面はレリーフ型回折格子として作用する凸形状をも有していていることを特徴とする回折光学素子。
- 前記回折光学素子は複数の波長を含む1つの光ビームを前記波長に依存して複数の光ビームに分割し得る波長分岐機能を有することを特徴とする請求項1に記載の回折光学素子。
- 前記高屈折率領域と前記低屈折率領域との境界領域において屈折率が連続的に変化していることを特徴とする請求項1または2に記載の回折光学素子。
- 前記高屈折率領域と前記低屈折率領域との境界領域は前記透光性層の層面に直交する方向に平行であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の回折光学素子。
- 前記高屈折率領域と前記低屈折率領域との境界領域は前記透光性層の層面に対して傾斜している方向に平行であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の回折光学素子。
- 請求項1から5のいずれかの回折光学素子を製造するための方法であって、
前記回折光学素子は透光性DLC膜を含み、
前記DLC膜に対して位相格子マスクを介して紫外線を照射し、
その紫外線照射によって、前記DLC膜において、屈折率変調型回折格子として作用するように膜面に平行な方向に周期的に交互に配列された複数の高屈折率領域と低屈折率領域とが形成されるとともに、それらの高屈折率領域の表面にレリーフ型回折格子として作用する凸形状もが形成されることを特徴とする回折光学素子の製造方法。 - 請求項4の回折光学素子を製造するための方法であって、
前記回折光学素子は透光性DLC膜を含み、
前記DLC膜には、紫外線が位相格子マスクを通過した+1次回折光と−1次回折光との干渉光が照射され、前記干渉光が照射された領域に前記高屈折率領域が形成されるとともに前記凸形状の表面が形成されることを特徴とする回折光学素子の製造方法。 - 請求項5の回折光学素子を製造するための方法であって、
前記回折光学素子は透光性DLC膜を含み、
前記DLC膜には、紫外線が位相格子マスクを通過した0次回折光と+1次回折光または−1次回折光との干渉光が照射され、前記干渉光が照射された領域に前記高屈折率領域が形成されるとともに前記凸形状の表面が形成されることを特徴とする回折光学素子の製造方法。 - 前記紫外線は、248nmの波長を含むKrFレーザであることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の回折光学素子の製造方法。
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