JP2007187111A - 水素利用内燃機関 - Google Patents

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Abstract

【課題】この発明は、水素利用内燃機関に関し、広い運転領域で大量EGRを行うことができ、燃費性能の向上とエミッションの低減が図れ、かつシステム構成を簡単とすることを目的とする。
【解決手段】内燃機関10は、吸気ポート内に有機ハイドライドを含む水素化燃料を噴射する燃料噴射弁18と、EGR通路20と、EGR通路20の途中に設けられた脱水素触媒26と、EGRガス中または脱水素触媒26内に水素化燃料を噴射するEGR用燃料噴射弁28とを有している。この内燃機関10では、EGR通路20を通してEGRガスを還流させつつEGR用燃料噴射弁28から水素化燃料を噴射することにより、水素を含んだEGRガスを吸気通路12に導入する水素含有EGRを実行することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、水素利用内燃機関に係り、特に、水素化燃料を利用する内燃機関として好適な水素利用内燃機関に関する。
液体燃料を触媒を用いて反応させることによって水素ガスを生成し、その水素を単独または他の燃料と共に内燃機関で燃焼させるシステムが知られている。水素は高い燃焼性を有しており、燃焼速度が速い。このため、水素を燃焼させることによって内燃機関の燃焼を改善することができ、燃費性能の向上や低エミッション化が図れる。
特開2004−92520号公報には、排気通路から取り出されたEGRガスに燃料(通常のガソリン)を添加し、このEGRガスをRh等を触媒成分とする改質触媒に通すことにより、添加された燃料を水蒸気改質して水素と一酸化炭素とに変換した後、吸気通路へ還流させる排気リフォーマシステムが開示されている。上記の水蒸気改質反応は吸熱反応であるので、反応生成物の熱量は改質前よりも大きくなる。このため、上記排気リフォーマシステムによれば、排気熱を回収することができ、燃費性能の向上が図れる。
しかしながら、上記の水蒸気改質反応は、同公報の段落番号0031に記載の通り、非常に吸熱量の多い反応である。このため、水蒸気改質反応を十分に起こさせるには、改質触媒を700〜800℃以上という高温にする必要があり、それには高い排気温度が要求される。従って、排気温度が低い低回転軽負荷域では、水蒸気改質反応を十分に起こさせることが難しい。それゆえ、上記の排気リフォーマシステムでは、通常走行で多用される低回転軽負荷域における燃費性能やエミッション性能を改善しにくいという問題がある。
また、特開2005−147124号公報には、水素化燃料を脱水素触媒で脱水素反応させることにより水素と脱水素燃料とに分離して、各々を内燃機関に供給するシステムが開示されている。このシステムでは、脱水素触媒の温度が200℃程度あれば脱水素反応を起こさせることができるので、低回転軽負荷域であっても十分な量の水素を生成することが可能である。
特開2004−92520号公報 特開2001−110437号公報 特開2005−147124号公報
しかしながら、水素化燃料を脱水素触媒で脱水素反応させる上記のシステムにおいては、脱水素触媒の温度が500℃程度になると、水素化燃料中の炭素が析出して触媒表面を覆うコーキングが発生し易く、触媒性能の低下を招くことがある。このコーキングを回避するため、排気温度が高くなる高負荷域では、脱水素反応を停止させなければならない場合がある。また、このシステムでは、脱水素反応生成物を水素ガスと液体の脱水素燃料とに物理的に分離するための分離器や、水素ガス噴射用インジェクタ等が必要となるので、システムが複雑になり易い。このため、車両への搭載性が悪化したり、コストが高くなり易いという懸念もある。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、広い運転領域で大量EGRを行うことができ、燃費性能の向上とエミッションの低減が図れ、かつシステム構成が簡単な水素利用内燃機関を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、水素利用内燃機関であって、
内燃機関の吸気ポートまたは気筒内に有機ハイドライドを含む水素化燃料を噴射する第1の燃料噴射手段と、
前記内燃機関の排気通路内の排気ガスの一部を吸気通路へ還流させるEGR通路と、
前記EGR通路の途中に設けられ、前記水素化燃料を脱水素反応させて水素と脱水素燃料とを生成させる脱水素触媒と、
前記EGR通路を通るEGRガス中または前記脱水素触媒内に前記水素化燃料を噴射する第2の燃料噴射手段と、
所定の実行条件の成立時に、前記EGR通路を通してEGRガスを還流させつつ前記第2の燃料噴射手段から前記水素化燃料を噴射することにより、水素を含んだEGRガスを吸気通路に導入する水素含有EGRを実行する水素含有EGR制御手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記水素含有EGRの実行時に、非実行時に比して、前記第1の燃料噴射手段からの燃料噴射量を削減する削減手段を備え、
前記削減手段による噴射量削減量は、前記第2の燃料噴射手段からの燃料噴射量よりも多いことを特徴とする。
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記水素含有EGRの開始指令が発せられた場合に、前記第2の燃料噴射手段からの燃料噴射開始に先立って、ストイキまたはリッチな空燃比での運転を行いながらEGRガスを前記EGR通路に流通させる酸素パージ手段を更に備えることを特徴とすることを特徴とする。
また、第4の発明は、第1乃至第3の発明の何れかにおいて、
前記水素含有EGRの実行中に機関停止要求が発せられた場合に、機関停止に先立って、前記第2の燃料噴射手段からの燃料噴射を停止させた状態でEGRガスを前記EGR通路に流通させる水素パージ手段を更に備えることを特徴とする。
また、第5の発明は、第1乃至第4の発明の何れかにおいて、
前記EGR通路の前記脱水素触媒より下流側に設けられ、EGRガスを冷却するEGRクーラと、
ノックが発生し易い運転条件であるか否かを判定する判定手段と、
ノックが発生し易い運転条件であると判定された場合に、前記EGRクーラでの冷却を強化する冷却強化手段と、
前記EGRクーラでの冷却により液化したEGRガス中の脱水素燃料が前記第1の燃料噴射手段から噴射されるように、その液化した脱水素燃料を前記第1の燃料噴射手段への燃料通路に送る脱水素燃料通路と、
を更に備えることを特徴とする。
また、第6の発明は、第1乃至第5の発明の何れかにおいて、
前記脱水素触媒を加熱可能な電気ヒータと、
EGRガス中の脱水素燃料を液化させて分離することにより、EGRガス中の水素濃度を高める水素濃度増大手段と、
前記内燃機関の始動要求が発せられたときに前記脱水素触媒の温度が所定の活性温度より低かった場合に、前記電気ヒータにより前記脱水素触媒を活性温度以上に予熱し、前記水素濃度増大手段により水素濃度を高めたEGRガスによって燃焼室内に主に水素を供給しながら前記内燃機関の始動を行う水素利用始動手段と、
を更に備えることを特徴とする。
また、第7の発明は、第1乃至第6の発明の何れかにおいて、
前記排気通路に配置された排気浄化触媒と、
前記脱水素触媒を加熱可能な電気ヒータと、
前記内燃機関の始動後、前記脱水素触媒の温度が活性温度より低かった場合に、前記脱水素触媒を前記電気ヒータによって加熱しながら、前記水素含有EGRおよび点火時期遅角を実行することにより、前記排気浄化触媒を暖機する触媒暖機手段と、
を更に備えることを特徴とする。
第1の発明によれば、外部EGRガスに対して添加された水素化燃料を脱水素触媒で脱水素反応させることにより、水素を含んだ外部EGRガスを吸気通路に還流させる水素含有EGRを実行することができる。水素含有EGRでは、水素の燃焼によって燃焼速度が高まり、燃焼を安定させることができる。このため、EGR限界が拡大し、大量EGRが可能となる。そして、水素含有EGRでは、脱水素触媒が比較的低温の状態から比較的高温の状態に至るまで、脱水素触媒で水素を生成することが可能である。従って、第1の発明によれば、広い運転領域において、大量EGRが可能となり、その結果、NOx排出量の大幅な低減、および、ポンピングロス低減による燃費性能の大幅な向上が図れる。また、水素含有EGRによれば、吸熱反応である脱水素反応を利用して排気熱を回収することができるので、回収された排気熱の分だけ、燃費を更に改善することができる。また、第1の発明によれば、簡単かつ小型なシステム構成で上記効果を達成することができるので、車両への搭載性にも優れ、コストアップも少ない。
第2の発明によれば、水素含有EGRの実行中、吸気ポートまたは気筒内に噴射する燃料量の削減量を、EGRガス中に噴射する燃料量よりも多くすることができる。なぜなら、水素含有EGRの実行中は、排気熱を回収することができるので、非実行時に比して少ない燃料量で同等の出力を発生することができるからである。よって、全体としての燃料消費量を削減することができる。
第3の発明によれば、水素含有EGRの開始指令が発せられた場合、EGRガス中に燃料を噴射するのに先立って、酸素を含まないEGRガスを流通させることにより、EGR通路および脱水素触媒内の酸素をパージすることができる。このため、水素がEGR通路や脱水素触媒内で燃焼することを確実に防止することができる。
第4の発明によれば、水素含有EGRの実行中に機関停止要求が発せられた場合に、機関停止に先立って、燃料を含まないEGRガスを流通させることにより、EGR通路および脱水素触媒内の水素をパージすることができる。このため、機関停止後にEGR通路や脱水素触媒内に水素が残存するのを確実に防止することができる。
第5の発明によれば、ノックが発生し易い運転条件のときに、EGRクーラでのEGRガスの冷却を強化することにより、吸気温度を下げることができる。また、EGRクーラでの冷却により液化したEGRガス中の脱水素燃料を第1の燃料噴射手段に送り、第1の燃料噴射手段から噴射することができる。これにより、オクタン価の高い脱水素燃料を水素化燃料に代えて燃焼に付することができる。このようなことから、第5の発明によれば、ノックを極めて発生しにくくすることができるので、内燃機関の圧縮比を高めることができる。よって、内燃機関の熱効率や出力を向上することができる。
第6の発明によれば、内燃機関の始動要求が発せられたときに脱水素触媒の温度が活性温度より低かった場合に、電気ヒータにより脱水素触媒を活性温度以上に予熱した後、水素濃度を高めたEGRガスによって燃焼室内に主に水素を供給しながら内燃機関の始動を行うことができる。このため、始動時のHC、CO、NOxの排出量を大幅に削減することができ、エミッション性能を向上することができる。
第7の発明によれば、内燃機関の始動後、脱水素触媒の温度が活性温度より低かった場合に、脱水素触媒を電気ヒータによって加熱しながら、水素含有EGRおよび点火時期遅角を実行することができる。これにより、内燃機関の始動後、排気浄化触媒を迅速に暖機することができる。また、内燃機関から直接排出されるエミッションを水素含有EGRの効果によって低減することができるので、排気浄化触媒の暖機が完了するまでの期間においても、外部へ放出されるエミッションを低減することができる。このようなことから、第7の発明によれば、内燃機関の始動直後のエミッションを有効に低減することができる。
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
実施の形態1.
[システム構成の説明]
図1は、本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。図1に示すように、本実施形態のシステムは、火花点火式の4サイクル内燃機関10を備えている。本システムは、以下に説明するように、有機ハイドライドを主成分として含む水素化燃料の給油を受けて、内燃機関10を運転することができる。本実施形態では、水素化燃料は主としてメチルシクロヘキサンを有機ハイドライドとして含むものとして説明するが、本発明における水素化燃料は他の有機ハイドライドを含むものであってもよい。
内燃機関10の燃焼室には、吸気通路12および排気通路14が連通している。また、内燃機関10には、燃焼室内の混合気に点火するための点火プラグ16が設けられている。
吸気通路12には、吸気ポート内に燃料を噴射する燃料噴射弁18が設置されている。なお、燃料噴射弁18は、図示の構成と異なり、燃料を気筒内に直接に噴射するように配置されていてもよい。
また、内燃機関10は、排気通路14内の排気ガスの一部を、EGR通路20を通して吸気通路12へ還流させる外部EGR(Exhaust Gas Recirculation)を行う機能を有している。すなわち、EGR通路20は、排気通路14と吸気通路12とを接続するように設けられている。EGR通路20の途中には、EGRクーラ22と、EGR弁24とが設けられている。EGRクーラ22には、内燃機関10の冷却水通路が設けられており、この冷却水と熱交換させることで、EGR通路20を通る排気ガス(EGRガス)を冷却することができる。EGRガスの量は、EGR弁24の開度により、制御することができる。
また、EGR通路20の途中であってEGRクーラ22の上流側には、脱水素触媒26が設けられている。排気通路14からEGR通路20に入ったEGRガスは、まず脱水素触媒26を通過し、その後、EGRクーラ22、EGR弁24を通って、吸気通路12に流入する。この脱水素触媒26は、排気通路14の外周を囲むように配置されている。これにより、排気ガスの熱で脱水素触媒26を加熱することができる。
脱水素触媒26の入口付近には、EGR用燃料噴射弁28が設置されている。EGR用燃料噴射弁28は、脱水素触媒26に向けて、あるいはEGRガス中に、水素化燃料を噴射することができる。なお、EGR用燃料噴射弁28は、図示の構成と異なり、脱水素触媒26の上流側のEGR通路20内に水素化燃料を噴射するように配置されていてもよい。
EGR用燃料噴射弁28によってEGRガス中に添加された水素化燃料は、脱水素触媒26において脱水素反応し、水素と脱水素燃料とに変換される。水素化燃料がメチルシクロヘキサン(C14)である場合には、トルエン(C)が脱水素燃料として生成される。この場合の脱水素反応は、下記の化学式で表される。
14→C+3H−200kJ(吸熱)
脱水素触媒26には、Pt、セリア(酸化セリウム)、アルミナなどが触媒成分として担持されている。これにより、上記のような脱水素反応を有効に起こさせることができる。
脱水素反応を起こさせるには、脱水素触媒26が200℃程度以上の温度になっていることが必要とされる。本システムでは、排気ガスの熱により、脱水素触媒26をそのような温度に加熱することができる。
本実施形態のシステムにおいて、水素化燃料は、燃料タンク30に貯留されている。燃料タンク30内の水素化燃料は、燃料ポンプ32により加圧され、燃料通路34を通って、燃料噴射弁18およびEGR用燃料噴射弁28に供給される。本実施形態では、燃料通路34は、途中で分岐して、燃料噴射弁18と、EGR用燃料噴射弁28とにそれぞれ接続されている。
また、本実施形態のシステムは、アクセル開度(アクセルペダル位置)を検出するアクセルポジションセンサ36と、スロットル開度を検出するスロットルポジションセンサ38と、吸気通路12を流れる吸入空気量を検出するエアフローメータ40と、クランク角や機関回転数NEを検出するクランク角センサ42とを備えている。
更に、本実施形態のシステムは、ECU(Electronic Control Unit)50を備えている。ECU50には、上述した各種センサや、点火プラグ16、燃料噴射弁18、EGR弁24、EGR用燃料噴射弁28、電子制御スロットルバルブ(図示せず)等の各種アクチュエータが接続されている。ECU50は、上記各種センサから入力される信号に基づき、所定のプログラムに従って、上記各種のアクチュエータを駆動する。
[実施の形態1の動作]
本実施形態の内燃機関10は、燃料噴射弁18から水素化燃料を噴射することにより、一般的な内燃機関と同様の形態で運転を行うことができる。この場合、内燃機関10は、ストイキあるいはリッチな空燃比での運転のほか、リーンな空燃比での運転も行うことができる。内燃機関10は、このような通常形態の運転のほかに、以下に説明する水素含有EGRを伴った運転をすることもできる。
(水素含有EGR)
内燃機関10では、EGR用燃料噴射弁28によってEGRガス中に水素化燃料を添加し、そのEGRガスを脱水素触媒26に通すことができる。これにより、EGRガス中に添加された水素化燃料は、脱水素反応して、水素と脱水素燃料とに変換される。その結果、水素と、気体状の脱水素燃料とを含んだEGRガスが生成される。このEGRガス中の水素および脱水素燃料は、燃料噴射弁18から噴射された水素化燃料とともに、内燃機関10の燃焼室内で燃焼に供される。本実施形態では、このようにして、水素を含んだEGRガスを吸気通路12に導入することができる。このようなEGRのことを本明細書では「水素含有EGR」と称する。
水素含有EGRを行う際には、空気過剰率λ=1、つまりストイキ空燃比となるように制御される。これにより、EGRガス中に酸素がほとんど含まれなくなるので、生成した水素が脱水素触媒26で爆燃することを確実に防止することができる。
上記の水素含有EGRを行う内燃機関10には、以下のような種々の利点がある。
(1)大量EGRが可能
水素は高い燃焼性を有している。このため、内燃機関10の燃焼室内で他の燃料と共に水素を燃焼させると、燃焼速度を高めることができ、燃焼を改善することができる。このため、大量のEGRガスを導入しても、燃焼変動等の弊害が起こりにくく、安定した燃焼が得られる。従って、EGR限界が拡大し、EGR率を高めた大量EGRを行うことができる。その結果、ポンピングロス削減による燃費性能向上や、NOx低減といったEGRの効果をより大きく発揮させることができる。
(2)排気熱回収による燃費向上
脱水素反応は前述したように吸熱反応であり、排気ガスの熱を奪って反応が行われる。このため、脱水素反応によれば、反応前の水素化燃料より多量の熱量を有する水素および脱水素燃料を生成することができる。よって、脱水素反応によって熱量が増えた分だけ、燃料噴射弁18から内燃機関10に直接に噴射される燃料の量を少なくすることができる。このような形で排気熱を回収することにより、全体としての燃料消費量を低減することができる。
(3)低回転軽負荷域でも水素生成可能
脱水素触媒26での脱水素反応は、前述したように、200℃程度という比較的低い温度においても生起させることができる。このため、本実施形態は、EGRガス中に添加されたガソリンを水蒸気改質反応させるシステムと比較した場合、排気温度の低い低回転軽負荷域でも水素含有EGRが実行可能であるという利点がある。
(4)触媒高温時でも水素生成可能
一般に、脱水素触媒が500℃程度以上の高温にある状態で水素化燃料を供給すると、炭素析出(コーキング)が発生し、水素生成が困難となり易い。このため、従来は、脱水素触媒がそのような高温となる条件下では水素生成を行うことができなかった。これに対し、本実施形態では、水素化燃料は、EGRガス中に添加された状態で脱水素触媒26に供給される。EGRガス中には、水蒸気やCOが多量に存在している。本発明者の知見によれば、水蒸気やCOが存在していると、炭素析出が発生する温度を500℃よりももっと高温側にシフトさせることができる。このため、本実施形態では、脱水素触媒26が500℃より高い温度にある場合であっても、炭素析出を起こすことなく、十分に水素を生成することができる。よって、排気温度が高くなる運転域においても、水素含有EGRを行うことができるという利点がある。
本発明によれば、上記(3)と(4)とが相まって、広い運転領域で水素含有EGRを行うことができる。このため、上記(1)および(2)の利益を広い運転領域で享受することができる。
(5)システム構成の簡素化
本実施形態では、脱水素反応により生成した水素と脱水素燃料とを物理的に分離することなく、両者がEGRガスと共に混合した状態のままで、吸気通路12に導入される。それゆえ、水素と脱水素燃料とを物理的に分離する分離器や、それらを個別に噴射する噴射弁を設ける必要がない。このため、システム構成を簡単かつ小型とすることができるので、車両への搭載性が良好であり、コストアップも少ない。
(水素含有EGR開始前の酸素パージ制御)
本実施形態では、水素含有EGRの開始指令が発せられた場合、まず、ストイキ空燃比(またはリッチ空燃比)で内燃機関10を運転しつつ、EGR弁24を開くことにより、酸素および燃料を含まないEGRガスをEGR通路20に流通させる。そして、そのEGRガスがEGR通路20や脱水素触媒26内に充満した後に、EGR用燃料噴射弁28からの燃料噴射を開始することとした。
水素含有EGRを開始する前の状態では、EGR通路20や脱水素触媒26内に酸素が存在している可能性がある。EGR用燃料噴射弁28からの燃料噴射開始に先立って、上記のようにしてEGRガスを流通させることにより、そのような酸素をパージすることができる。よって、上記の制御によれば、EGR用燃料噴射弁28からの燃料噴射を開始したとき、生成した水素が爆燃するのをより確実に防止することができる。
(水素含有EGR実行中の燃料噴射量制御)
水素含有EGRの実行中は、EGRガス中に水素および脱水素燃料が含まれている。その分、内燃機関10に直接的に供給される燃料量、すなわち、燃料噴射弁18からの燃料噴射量は、削減することができる。この場合、燃料噴射弁18からの噴射量削減量は、EGR用燃料噴射弁28からEGRガス中への燃料噴射量と同量ではなく、より多く削減することが可能である。なぜなら、EGRガスとともに燃焼室内に供給される水素および脱水素燃料の熱量は、EGRガス中に添加された水素化燃料の熱量よりも、脱水素反応した分だけ増えているからである。本実施形態では、このような考えに基づいて燃料噴射量制御を行うことにより、燃料消費量を有効に節約することができる。
(機関停止時の水素パージ制御)
本実施形態では、水素含有EGRの実行中に機関停止要求が発せられた場合には、まず、EGRを継続したままでEGR用燃料噴射弁28からの燃料噴射を停止することにより、燃料を含まないEGRガスをEGR通路20に流通させる。そして、そのEGRガスがEGR通路20や脱水素触媒26内に充満した後に、内燃機関10を停止させることとした。このような制御によれば、機関停止前にEGR通路20や脱水素触媒26内の水素および脱水素燃料をパージすることができる。よって、機関停止後にEGR通路20や脱水素触媒26内に水素や脱水素燃料が残存することを確実に防止することができ、そのことによる弊害、例えば再始動後の空燃比ずれなどを確実に回避することができる。
[実施の形態1における具体的処理]
図2乃至図4は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートである。これらのルーチンは、所定時間毎に実行されるものとする。
図2に示すルーチンは、水素含有EGRを実行するための処理を表すものである。図2に示すルーチンによれば、まず、水素含有EGR実行条件が成立しているか否かが判別される(ステップ100)。ECU50には、水素含有EGRを実行すべき運転領域を定めたマップが予め記憶されている。このステップ100では、そのマップと、現在の機関回転数NE、機関負荷等の運転条件とを照合することにより、水素含有EGR実行条件の成否が判別される。
その判別の結果、実行条件が不成立の場合には、そのまま今回の処理サイクルを終了する。一方、水素含有EGR実行条件が成立している場合には、次に、EGR弁24が制御され、所定の開度で開弁される(ステップ102)。なお、リーン空燃比で内燃機関10が運転されていた場合には、このステップ102において、空燃比をストイキまたはリッチに切り替える制御も併せて実行される。このステップ102の処理が実行されることにより、酸素や燃料を含まないEGRガスがEGR通路20に流れ始める。
EGRガスを流し始めたら、ECU50は、その流し始めからの積算流量を逐次算出する。EGRガスの積算流量は、EGR弁24の開度、開弁時からの経過時間、および、排気管圧と吸気管圧との差圧に基づいて算出することができる。あるいは、EGR通路20に流量計を設けてEGRガスの積算流量を算出するようにしてもよい。そして、ECU50は、EGRガスの積算流量が所定量に達したか否かを判別する(ステップ104)。ここでの所定量とは、EGR通路20および脱水素触媒26内の酸素を十分にパージすることのできるような量として予め設定されている量である。
上記ステップ104で、EGRガスの積算流量が上記所定量に達したことが認められると、EGR用燃料噴射弁28から脱水素触媒26内への水素化燃料の噴射が開始される(ステップ106)。この噴射開始時には、EGR通路20および脱水素触媒26内の酸素がパージされている。このため、水素爆燃の発生を確実に防止することができる。上記ステップ106においては、現在のEGR量と、内燃機関10の運転条件(機関回転数NE、機関負荷等)とに基づいて、脱水素触媒26に供給すべき燃料量が算出され、その算出された量の水素化燃料がEGR用燃料噴射弁28から噴射される。
図3に示すルーチンは、水素含有EGR実行中に燃料噴射弁18からの燃料噴射量を制御するための処理を表すものである。図3に示すルーチンによれば、まず、水素含有EGRの実行中であるか否かが判別され(ステップ110)、実行中でない場合には、そのまま今回の処理ルーチンが終了される。
上記ステップ110において、水素含有EGRの実行中である場合には、次に、燃料噴射弁18からの燃料噴射量削減量Bが算出される(ステップ112)。この削減量Bは、図2のステップ106で算出されるEGR用燃料噴射弁28からの燃料噴射量Aに所定の係数を乗ずることにより、算出される。この所定の係数とは、1より大きい数であり、脱水素反応による熱量増加割合に応じて予め設定されているものである。すなわち、A<Bとなるように、噴射量削減量Bが算出される。
ECU50は、他のルーチンにおいて、内燃機関10の吸入空気量、機関回転数NE等に基づいて、所望の空燃比を実現するための燃料噴射量を算出している。水素含有EGRの実行中は、そのようにして算出された燃料噴射量から、上記ステップ112で算出された噴射量削減量Bを減じた量の燃料が、燃料噴射弁18から噴射される(ステップ114)。図3に示すルーチンの処理によれば、脱水素触媒26での脱水素反応により回収された排気熱の分だけ、全体としての燃料消費量を削減することができ、燃費性能を有効に向上することができる。
図4に示すルーチンは、機関停止時にEGR通路20および脱水素触媒26内の水素をパージするための処理を表すものである。図4に示すルーチンによれば、まず、機関停止要求があるか否かが判別される(ステップ120)。具体的には、イグニッションスイッチがオフされたか否かが判別される。また、ハイブリッド車あるいはアイドリングストップ車などのように、内燃機関10を自動停止・自動始動する機能を有する車両の場合には、自動停止要求の有無も判別される。
上記ステップ120において、機関停止要求がなかった場合には、そのまま今回の処理サイクルが終了される。これに対し、機関停止要求があった場合には、次に、水素含有EGRの実行中であるか否かが判別される(ステップ122)。水素含有EGRの実行中でない場合には、そのまま所定の機関停止制御が実行される(ステップ130)。
一方、上記ステップ122において水素含有EGRの実行中であることが認められた場合には、EGR用燃料噴射弁28から脱水素触媒26に水素化燃料を噴射する制御が終了される(ステップ124)。そして、脱水素触媒26に水素化燃料を噴射しないままで、EGR通路20にEGRガスを流し続けるようにEGR弁24が制御される(ステップ126)。この間、ECU50は、脱水素触媒26への水素化燃料噴射を停止してからのEGRガスの積算流量を逐次算出し、その積算流量が所定量に達したか否かを判別する(ステップ128)。ここでの所定量とは、EGR通路20および脱水素触媒26内の水素および脱水素燃料ガスを十分にパージすることのできるような量として予め設定されている量である。
このようにして、脱水素触媒26への燃料噴射を停止してからの積算流量が上記所定量に達するまでEGRガスが流された後、所定の機関停止制御が実行され、内燃機関10が停止される(ステップ130)。このようなルーチンの処理によれば、機関停止後にEGR通路20や脱水素触媒26内に水素や脱水素燃料が残存することを確実に防止することができる。
なお、上述した実施の形態1においては、燃料噴射弁18が前記第1の発明における「第1の燃料噴射手段」に、EGR用燃料噴射弁28が前記第1の発明における「第2の燃料噴射手段」に、それぞれ相当している。また、ECU50が、図2に示すルーチンの処理を実行することにより前記第1の発明における「水素含有EGR制御手段」が実現されている。
また、上述した実施の形態1においては、ECU50が、上記ステップ112および114の処理を実行することにより前記第2の発明における「削減手段」が、上記ステップ102および104の処理を実行することにより、前記第3の発明における「酸素パージ手段」が、上記ステップ120〜128の処理を実行することにより、前記第4の発明における「水素パージ手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態2.
次に、図5および図6を参照して、本発明の実施の形態2について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略または簡略する。
[システム構成の説明]
図5は、本発明の実施の形態2のシステム構成を説明するための図である。なお、図5において、図1に示す構成要素と同様の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。図5に示すように、実施の形態2のシステムでは、燃料タンク30から燃料噴射弁18に燃料を送るための燃料通路44および燃料ポンプ46と、燃料タンク30からEGR用燃料噴射弁28に燃料を送るための燃料通路48および燃料ポンプ52とが別々に設けられている。
また、ECU50は、冷却水ポンプ54の回転を制御して、EGRクーラ22を流れる冷却水流量を制御可能になっている。EGRクーラ22を流れる冷却水流量を増加させることによってEGRクーラ22での冷却を強化すると、EGRガス中に含まれている脱水素燃料を液化させることができる。EGRクーラ22の下部には、その液化した脱水素燃料を溜める液溜め56が設けられている。
液溜め56に溜まった液状の脱水素燃料は、脱水素燃料通路58を通って送られ、燃料ポンプ46より上流側の燃料通路44内に流入する。このようにして脱水素燃料が燃料通路44に流入した場合には、燃料タンク30内の水素化燃料に優先して、脱水素燃料を燃料噴射弁18に送ることができる。よって、この場合には、燃料噴射弁18から脱水素燃料を噴射することができる。
[実施の形態2の特徴]
本実施形態では、水素含有EGRの実行中に、エンジンノックの発生し易い運転域に入った場合には、EGRクーラ22におけるEGRガスの冷却を強化することとした。EGRガスの冷却を強化すると、吸気温度を下げることができるので、ノックを抑制することができる。
また、EGRガスの冷却を強化すると、上述したように、EGRガス中の脱水素燃料を液化させることができ、その脱水素燃料を燃料噴射弁18から内燃機関10に供給することができる。トルエン等の脱水素燃料は、オクタン価が高いため、水素化燃料に代えて脱水素燃料を燃料噴射弁18から噴射するようにすると、ノック限界を拡大することができる。
このように、本実施形態では、EGRガスの冷却を強化した場合、吸気温度低下による効果と、オクタン価の高い脱水素燃料が燃料噴射弁18から噴射されることによる効果とが相乗的に作用することにより、ノックを極めて発生しにくくすることができる。このため、本実施形態では、内燃機関10の圧縮比を高めることが可能である。よって、内燃機関10の熱効率や出力を向上することができる。
[実施の形態2における具体的処理]
図6は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートである。なお、図6において、図2に示すステップと同一のステップには、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
図6に示すルーチンによれば、まず、前述した図2のステップ100〜106と同様の処理が行われ、水素含有EGRが実行される。水素含有EGRの実行中、ECU50は、ノックが発生し易い運転域に入ったか否かを判別する(ステップ132)。ECU50には、ノックが発生し易い運転域を定めたマップが予め記憶されている。ステップ132では、そのようなマップと、現在の機関回転数NE、機関負荷、吸気温度等の運転条件とを照合することにより、ノックが発生し易い運転域に入っているか否かが判別される。
その判別の結果、ノックが発生し易い運転域でないと認められた場合には、EGRクーラ22の冷却強化制御は実行されずに、通常通りの冷却水流量となるように冷却水ポンプ54が駆動される(ステップ134)。
これに対し、上記ステップ132においてノックが発生し易い運転域であることが認められた場合には、EGRクーラ22の冷却強化制御が実行される(ステップ136)。具体的には、冷却水ポンプ54を制御してEGRクーラ22への冷却水流量が増大される。これにより、吸気通路12に流入するEGRガスの温度が下がるので、吸気温度を低下させることができる。また、EGRクーラ22での冷却によって液化した脱水素燃料が燃料噴射弁18へと送られて、吸気通路12内に噴射される。この吸気温度低下と、オクタン価の高い脱水素燃料の噴射とによって、ノックの発生を極めて有効に抑制することができる。ノックが発生し易い運転域にいる間は、上記の冷却強化制御が継続され、ノックが発生し易い運転域から抜け出た場合には、その冷却制御が終了される(ステップ134)。
なお、上述した実施の形態2においては、ECU50が、上記ステップ132の処理を実行することにより前記第5の発明における「判定手段」が、上記ステップ136の処理を実行することにより前記第5の発明における「冷却強化手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態3.
[実施の形態3の特徴]
次に、図7および図8を参照して、本発明の実施の形態3について説明するが、上述した実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略または簡略する。本実施形態は、ハイブリッド車やアイドリングストップ車などの、内燃機関10を自動停止・自動始動する機能を有する車両と組み合わせて用いるのに好適な特性を有している。以下、本実施形態の水素利用内燃機関が、ハイブリッド車との組み合わせで用いられる場合について説明する。
[システム構成の説明]
図7は、本発明の実施の形態3のシステム構成を説明するための図である。なお、図7において、図1に示す構成要素と同様の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。図7に示すように、実施の形態3のシステムには、脱水素触媒26を加熱可能な電気ヒータ60が設けられている。電気ヒータ60への通電は、ECU50により制御される。この電気ヒータ60を設けたことにより、内燃機関10の始動前や、排気温度が低いときであっても、脱水素触媒26を脱水素反応可能な温度(以下「活性温度」と称する)以上に加熱することができる。
電気ヒータ60は脱水素触媒26の全体を加熱可能なものであってもよいが、本実施形態の電気ヒータ60は、EGR用燃料噴射弁28から噴射された水素化燃料が付着する、脱水素触媒26の表面付近を部分的に加熱するものとされている。これにより、電気ヒータ60を小型かつ低コストのものとすることができる。
また、本実施形態のシステムには、電気ヒータ60によって加熱される部分の脱水素触媒26の温度を検出する触媒温度センサ62(触媒温度取得手段)が設けられている。更に、脱水素触媒26の上流側の排気通路14には、その位置での排気温度を検出する排気温度センサ64(排気温度取得手段)が設けられている。また、脱水素触媒26の下流側の排気通路14には、排気ガスを浄化する排気浄化触媒66が設置されている。
また、ECU50は、冷却水ポンプ54の回転を制御して、EGRクーラ22を流れる冷却水流量を制御可能になっている。EGRクーラ22を流れる冷却水流量を増加させることによってEGRクーラ22での冷却を強化すると、EGRガス中に含まれている脱水素燃料を液化して分離することができる。EGRガス中の脱水素燃料を液化して分離すると、EGRガス中の水素濃度を高めることができる。
EGRクーラ22の下部には、液化した脱水素燃料を溜める液溜め56が設けられている。液溜め56に溜まった液状の脱水素燃料は、脱水素燃料通路58を通って送られ、燃料タンク30内に戻される。
[実施の形態3の特徴]
一般に、内燃機関10の始動時および始動直後は、排気浄化触媒66が冷えているなどの理由により、エミッションが多くなり易い。このため、始動時や始動直後のエミッションを低減することは、全体のエミッション性能を改善する上で重要である。特に、ハイブリッド車においては、走行中に内燃機関10の自動停止・自動始動が繰り返し行われるので、始動時および始動直後のエミッションを低減する要求が大きい。そのような要求に応えるには、排気浄化触媒66に電気加熱装置を設け、機関始動前に排気浄化触媒66を予熱する方法も考えられる。しかしながら、容量の大きい排気浄化触媒66を予熱するためには、大規模な電気加熱装置が必要となるので、コストアップ、車両への搭載性悪化、バッテリ消費量の増大等の問題が生じる。
また、ハイブリッド車においては、内燃機関10とモータとが分担して動力を出力するので、始動後も内燃機関10の負荷が小さくなり易く、従って排気温度が低くなり易い。このため、ハイブリッド車においては、内燃機関10の始動後に排気浄化触媒66の暖機が完了するまでの時間が長くなり易い。この排気浄化触媒66の暖機に要する時間を短縮することができれば、エミッションの低減が図れる。
本実施形態では、上述したような事情を鑑みて、以下に説明するような始動時制御および始動後制御を行うこととした。
(始動時制御)
内燃機関10の始動時、燃焼室内で燃焼する燃料を主として水素にすることができれば、HCやCOのような炭素を含む成分の排出量を大幅に低減することができる。また、水素は低温下でも燃焼速度が速く、安定して燃焼させることができる。このため、NOxの排出量も大幅に低減することができる。そこで、本実施形態では、次のようにして、内燃機関10の燃焼室内に主として水素を供給して、その水素の燃焼によって始動を行うこととした。
まず、始動前に、電気ヒータ60によって脱水素触媒26を活性温度以上に加熱(予熱)する。ハイブリッド車であれば、内燃機関10が始動していなくてもモータによって走行が可能であるので、モータで走行している間に脱水素触媒26の予熱を行うことができる。脱水素触媒26の予熱後、EGR用燃料噴射弁28から水素化燃料を噴射して脱水素反応させる。これにより、EGRガス中に水素および脱水素燃料ガスを発生させる。そして、このEGRガスをEGRクーラ22で冷却した上で吸気通路12に導入しながら、内燃機関10を始動する。このような始動方法によれば、EGRクーラ22での冷却によりEGRガス中の脱水素燃料は液化して分離されるので、主として水素を燃焼室に導入することができる。よって、始動時のHC、CO、NOxの排出量を大幅に低減することができる。
(始動後制御)
内燃機関10の始動後は、次のようにして、排気浄化触媒66の暖機を促進することとした。すなわち、電気ヒータ60によって脱水素触媒26を加熱しながら水素含有EGRを行うとともに、点火時期の遅角制御を行うこととした。点火時期の遅角により排気温度を高めることができるので、排気浄化触媒66を迅速に暖機することができる。特に、水素の効果によって点火時期の遅角限界を拡大することができるので、より大きい点火時期遅角が可能となる。このため、排気浄化触媒66の暖機を極めて迅速に行うことができる。また、内燃機関10から直接排出されるエミッションを水素含有EGRの効果によって低減することができるので、排気浄化触媒66の暖機が完了するまでの期間においても、外部へ放出されるエミッションを低減することができる。
[実施の形態3における具体的処理]
図8は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートである。図8に示すルーチンによれば、まず、内燃機関10の始動要求があるか否かが判別され(ステップ140)、始動要求がある場合には、次に、触媒温度センサ62により検出された脱水素触媒26の温度が、予め定められた活性温度より低いか否かが判別される(ステップ142)。
上記ステップ142において、脱水素触媒26の温度が活性温度より低かった場合には、脱水素反応を可能とするべく、電気ヒータ60によって脱水素触媒26を加熱(予熱)する制御が実施される(ステップ144)。そして、その加熱制御によって活性温度以上に加熱された脱水素触媒26に対し、EGR用燃料噴射弁28から水素化燃料が噴射される(ステップ148)。これにより、脱水素触媒26において水素化燃料が脱水素反応し、水素と、脱水素燃料ガスとが発生する。なお、上記ステップ142において脱水素触媒26の温度が活性温度以上であった場合には、電気ヒータ60による加熱は不要であると判断され、そのままで脱水素触媒26に水素化燃料が噴射される(ステップ148)。
上記ステップ148の処理に続いて、水素を含有したEGRガスを燃焼室内に吸入できる状態とするべく、EGR弁24を開く制御が実行される(ステップ150)。EGR弁24が開かれたら、始動制御が実行され、内燃機関10がクランキングされる(ステップ152)。内燃機関10がクランキングされると、脱水素触媒26で発生した水素および脱水素燃料を含んだEGRガスがEGRクーラ22に流入する。EGRクーラ22で冷却されることにより、EGRガス中の脱水素燃料は液化し、脱水素燃料通路58を通って燃料タンク30に戻る。これにより、EGRガス中から脱水素燃料が除去されるので、水素を主として含んだEGRガスが吸気通路12を通って新気と共に燃焼室内に導入される。このようにして燃焼室内に供給された水素が燃焼することにより、内燃機関10を始動することができる。
このように、本実施形態では、主として水素を燃焼させることによって内燃機関10を始動することができるので、始動時のHC、CO、NOxの排出量を大幅に低減することができる。
また、通常の始動方法の場合には、始動性を良くするために空燃比をリッチとすることが一般に行われるが、本実施形態では、燃焼性の高い水素を燃焼させるので、ストイキに近い空燃比であっても良好な始動性が得られる。なお、上記ステップ152で始動制御を実行する際には、燃料噴射弁18からは燃料を全く噴射しなくてもよく、あるいは、燃料噴射弁18から少量の燃料を補助的に噴射するようにしてもよい。
上記ステップ152の始動制御が実行されると、次に、内燃機関10が始動しているか否かが判別される(ステップ154)。脱水素反応は吸熱反応であるので、脱水素反応が継続的に行われると、脱水素触媒26の熱が奪われる。このため、内燃機関10の始動後も、機関負荷が小さく排気温度が低いような場合には、脱水素触媒26が再び活性温度以下に冷えてしまう事態が起こり得る。そこで、上記ステップ154において内燃機関10が始動していると認められた場合には、次に、触媒温度センサ62により検出された脱水素触媒26の温度が活性温度より低いか否かが判別される(ステップ156)。
上記ステップ156において、脱水素触媒26の温度が活性温度以上であった場合には、電気ヒータ60による加熱は必要なくなったと判断できる。このため、この場合には、電気ヒータ60の加熱制御を停止し(ステップ158)、今回の処理サイクルを終了する。一方、上記ステップ156において、脱水素触媒26の温度が活性温度より低かった場合には、次に、脱水素触媒26の温度が、排気温度センサ64により検出された排気温度より低いか否かが判別される(ステップ160)。
上記ステップ160において、脱水素触媒26の温度が排気温度以上であった場合には、電気ヒータ60による加熱は必要なくなったと判断できる。このため、この場合には、電気ヒータ60の加熱制御を停止し(ステップ158)、今回の処理サイクルを終了する。一方、上記ステップ160において、脱水素触媒26の温度が排気温度より低かった場合には、電気ヒータ60の加熱制御が継続されるとともに(ステップ162)、点火時期を遅角する制御が行われる(ステップ164)。この点火時期遅角により、排気温度が上昇する。このため、排気浄化触媒66を迅速に暖機することができ、エミッション性能を向上することができる。
なお、上述した実施の形態3においては、EGRクーラ22が前記第6の発明における「水素濃度増大手段」に相当している。また、ECU50が、上記ステップ140〜152の処理を実行することにより前記第6の発明における「水素利用始動手段」が、上記ステップ154〜164の処理を実行することにより前記第7の発明における「触媒暖機手段」が、それぞれ実現されている。
本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態2のシステム構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態2において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態3のシステム構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態3において実行されるルーチンのフローチャートである。
符号の説明
10 内燃機関
12 吸気通路
14 排気通路
16 点火プラグ
18 燃料噴射弁
20 EGR通路
22 EGRクーラ
24 EGR弁
26 脱水素触媒
28 EGR用燃料噴射弁
30、46、52 燃料ポンプ
50 ECU(Electronic Control Unit)
54 冷却水ポンプ
58 脱水素燃料通路
60 電気ヒータ
62 触媒温度センサ
64 排気温度センサ

Claims (7)

  1. 内燃機関の吸気ポートまたは気筒内に有機ハイドライドを含む水素化燃料を噴射する第1の燃料噴射手段と、
    前記内燃機関の排気通路内の排気ガスの一部を吸気通路へ還流させるEGR通路と、
    前記EGR通路の途中に設けられ、前記水素化燃料を脱水素反応させて水素と脱水素燃料とを生成させる脱水素触媒と、
    前記EGR通路を通るEGRガス中または前記脱水素触媒内に前記水素化燃料を噴射する第2の燃料噴射手段と、
    所定の実行条件の成立時に、前記EGR通路を通してEGRガスを還流させつつ前記第2の燃料噴射手段から前記水素化燃料を噴射することにより、水素を含んだEGRガスを吸気通路に導入する水素含有EGRを実行する水素含有EGR制御手段と、
    を備えることを特徴とする水素利用内燃機関。
  2. 前記水素含有EGRの実行時に、非実行時に比して、前記第1の燃料噴射手段からの燃料噴射量を削減する削減手段を備え、
    前記削減手段による噴射量削減量は、前記第2の燃料噴射手段からの燃料噴射量よりも多いことを特徴とする請求項1記載の水素利用内燃機関。
  3. 前記水素含有EGRの開始指令が発せられた場合に、前記第2の燃料噴射手段からの燃料噴射開始に先立って、ストイキまたはリッチな空燃比での運転を行いながらEGRガスを前記EGR通路に流通させる酸素パージ手段を更に備えることを特徴とすることを特徴とする請求項1または2記載の水素利用内燃機関。
  4. 前記水素含有EGRの実行中に機関停止要求が発せられた場合に、機関停止に先立って、前記第2の燃料噴射手段からの燃料噴射を停止させた状態でEGRガスを前記EGR通路に流通させる水素パージ手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の水素利用内燃機関。
  5. 前記EGR通路の前記脱水素触媒より下流側に設けられ、EGRガスを冷却するEGRクーラと、
    ノックが発生し易い運転条件であるか否かを判定する判定手段と、
    ノックが発生し易い運転条件であると判定された場合に、前記EGRクーラでの冷却を強化する冷却強化手段と、
    前記EGRクーラでの冷却により液化したEGRガス中の脱水素燃料が前記第1の燃料噴射手段から噴射されるように、その液化した脱水素燃料を前記第1の燃料噴射手段への燃料通路に送る脱水素燃料通路と、
    を更に備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の水素利用内燃機関。
  6. 前記脱水素触媒を加熱可能な電気ヒータと、
    EGRガス中の脱水素燃料を液化させて分離することにより、EGRガス中の水素濃度を高める水素濃度増大手段と、
    前記内燃機関の始動要求が発せられたときに前記脱水素触媒の温度が所定の活性温度より低かった場合に、前記電気ヒータにより前記脱水素触媒を活性温度以上に予熱し、前記水素濃度増大手段により水素濃度を高めたEGRガスによって燃焼室内に主に水素を供給しながら前記内燃機関の始動を行う水素利用始動手段と、
    を更に備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の水素利用内燃機関。
  7. 前記排気通路に配置された排気浄化触媒と、
    前記脱水素触媒を加熱可能な電気ヒータと、
    前記内燃機関の始動後、前記脱水素触媒の温度が所定の活性温度より低かった場合に、前記脱水素触媒を前記電気ヒータによって加熱しながら、前記水素含有EGRおよび点火時期遅角を実行することにより、前記排気浄化触媒を暖機する触媒暖機手段と、
    を更に備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載の水素利用内燃機関。
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