JP2007177192A - 透明フィルムおよびその製造方法、偏光板、画像表示装置 - Google Patents

透明フィルムおよびその製造方法、偏光板、画像表示装置 Download PDF

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裕一 福重
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Abstract

【課題】十分な耐擦傷性と脆性を両立したハードコート層を有する透明フィルムおよび十分な反射防止性能を有しながら耐擦傷性がより向上した透明フィルムを提供すること。また、そのような透明フィルムの製造方法を提供すること。
【解決手段】透明支持体上に少なくともハードコート層を有する透明フィルムであって、該ハードコート層が、電離放射線硬化性化合物および少なくとも一種の活性ハロゲン化合物を含む塗布組成物を透明支持体上に塗布および乾燥した後、電離放射線照射によって硬化させてなる層であることを特徴とする透明フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた耐擦傷性および脆性を有する透明フィルムおよび十分な反射防止能を有しながら耐擦傷性をより向上した透明フィルムとその製造方法とに関する。更には、該透明フィルムを用いた、偏光板および画像表示装置に関する。
陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や液晶表示装置(LCD)のようなディスプレイ装置において、透明支持体上に透明なハードコート層と呼ばれる層を設けたフィルムをディスプレイ画像面に貼り付けることがほとんどである。一般的に、ハードコート層とは多官能基を有するモノマーの入った液に光重合開始剤を配合し、塗布乾燥したのち、UV光などの電離放射線照射によって硬化させて得られる層である。昨今は、ディスプレイ画像の背景の映り込みを防止し、視認性を向上するために防眩性を有する透明フィルムや、反射防止機能を有する透明フィルムが多く用いられている。
一般的に防眩性のフィルムは、外光を乱反射させるためにフィルム表面(ハードコート層表面の場合が多い)に意図的に凹凸が形成されたものであり、また反射防止機能を有する透明フィルムは、反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために、ハードコート層の表面にそれより低屈折率な薄膜を設け、光学干渉の原理を用いて反射率を低減したものである。防眩性と反射防止の両方の機能を備えた透明フィルムも上市されている。
そういった透明フィルムは、ディスプレイの最表面に配置されるため、ユーザーが画像表示前面を清掃用具などで擦る場合があり、傷がつきやすい。そのため、ハードコート層の膜強度を高めること、ハードコート層を厚くすることが耐擦傷性の観点で重要である。
ところが、こうして設計されたハードコート層は柔軟性が不十分で脆性が悪く、透明フィルムのハンドリング過程で折り曲げられると、割れ(クラック)が生じることがあり、耐擦傷性とこの脆性の両立が困難であった。
一方、光重合開始剤の一つとして、活性ハロゲン化合物が知られており、例えば特許文献1及び2に開示されている。しかし、これらの特許は、カラーフィルター用途に限定した特許であり、上記のようなハードコート層の形成について言及していなかった。
他方で、一般的に反射防止フィルムは、反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために、光学干渉の原理を用いて反射率を低減する様にディスプレイの最表面に配置される。そのため、傷がつく確立が高く、優れた耐擦性を付与することが重要な課題であった。
このような反射防止フィルムは、一般的に、最表面に適切な膜厚の低屈折率層、場合により支持体(基材)との間に適宜高屈折率層、中屈折率層、ハードコート層などを形成することにより作製できる。低い反射率を実現するために低屈折率層にはできるだけ屈折率の低い材料が望まれる。また反射防止フィルムはディスプレイの最表面に用いられるため高い耐擦傷性が要求される。厚さ100nm前後の薄膜において高い耐擦傷性を実現するためには、皮膜自体の強度、および下層への密着性が必要である。
材料の屈折率を下げるには、フッ素原子を導入する、密度を下げる(空隙を導入する)という手段があるがいずれも皮膜強度および密着性が損なわれ耐擦傷性が低下する方向であり、低い屈折率と高い耐傷性の両立は困難な課題であった。
特許文献3〜5には、含フッ素ポリマー中にポリシロキサン構造を導入することにより皮膜表面の摩擦係数を下げ、耐傷性を改良する手段が記載されている。該手段は耐傷性改良に対してある程度有効であるが、本質的な皮膜強度および界面密着性が不足している皮膜に対して該手法のみでは十分な耐傷性が得られなかった。
一方、特許文献6には低酸素濃度で光硬化樹脂を硬化させることで硬度があがることが記載されている。しかしながら反射防止フィルムをウェッブで効率よく製造するためには、窒素置換できる濃度に限界があり、満足する硬度を得ることができなかった。
特許文献7〜12には、窒素置換するための具体的な手段が記載されているが、低屈折率層のような薄膜を十分に硬化するまでに酸素濃度を下げるためには、多量の窒素が必要であり、製造コストが上がってしまうという問題があった。
また特許文献13には熱ロール表面に巻きつけて電離放射線を照射する方法が記載されているが、これも低屈折率層のような特殊な薄膜を十分に硬化するまでに硬化するには不十分であった。
さらに特許文献14には、従来の活性ハロゲン化合物が昇華性または悪臭を伴うことを回避するための新規化合物が記載されているが、これらの新規化合物はフォトレジストの系でアルカリ可溶性バインダーと組み合わせて用いるものであった。
特開平7−311462号公報 特開平9−179299号公報 特開平11−189621号公報 特開平11−228631号公報 特開2000−313709号公報 特開2002−156508号公報 特開平11−268240号公報 特開昭60−90762号公報 特開昭59−112870号公報 特開平4−301456号公報 特開平3−67697号公報 特開2003−300215号公報 特公平7−51641号公報 特開昭55-77742号公報
本発明の目的は、十分な耐擦傷性と脆性を両立したハードコート層を有する透明フィルムおよび十分な反射防止性能を有しながら耐擦傷性がより向上した透明フィルムを提供することである。また、本発明の他の目的は、そのような透明フィルムの製造方法を提供することである。
本発明の他の目的は、前記透明フィルムを具備した、偏光板及び画像表示装置を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討の結果、活性ハロゲン化合物をハードコート層などの硬化層形成のための光重合開始剤として用いると、電離放射線による硬化工程において酸素による阻害を受けにくいため、厚みの方向に重合密度が均一なハードコート層、すなわち、脆性、密着性、耐擦傷性が良好なハードコート層が得られることを見出した。
また、活性ハロゲン化合物が低屈折率層形成にも適していることを見出した。
以下の構成により本発明の上記目的が達成される。
1.透明支持体上に少なくともハードコート層を有する透明フィルムであって、該ハードコート層が、電離放射線硬化性化合物および少なくとも一種の活性ハロゲン化合物を含む塗布組成物を透明支持体上に塗布および乾燥した後、電離放射線照射によって硬化させてなる層であることを特徴とする透明フィルム。
2.前記電離放射線硬化性化合物が、二個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物であることを特徴とする上記1に記載の透明フィルム。
3.上記1または2のハードコート層を形成する塗布組成物が、更に平均粒径0.5〜10.0μmの透光性粒子を含むことを特徴とする透明フィルム。
4.上記2または3のハードコート層を形成する塗布組成物が、更に電離放射線硬化性化合物に対する良溶媒および貧溶媒を含むことを特徴とする透明フィルム。
5.前記ハードコート層表面の中心線平均粗さRaが0〜0.5μmであることを特徴とする上記3または4に記載の透明フィルム。
6.前記ハードコート層の表面ヘイズが0〜40%であることを特徴とする上記3〜5の何れかの項に記載の透明フィルム。
7.上記1〜6のいずれかの項に記載のハードコート層の透明支持体とは反対側に、ハードコート層よりも屈折率が0.05以上小さい低屈折率層を有することを特徴とする透明フィルム。
8.前記低屈折率層が含フッ素ポリマーを含有する塗布組成物を用いて形成されたことを特徴とする上記7に記載の透明フィルム。
9.前記含フッ素ポリマーが、下記一般式1又は一般式2で表わされる熱硬化性および/または電離放射線硬化性の含フッ素ポリマーであることを特徴とする上記8に記載の透明フィルム。
Figure 2007177192

〔一般式1中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、mは0または1を表す。Xは水素原子またはメチル基を表す。Aは任意のビニルモノマーの重合単位を表し、単一成分であっても複数の成分で構成されていてもよい。また、シリコーン部位を含んでいても良い。x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表し、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。但し、x+y+z=100である。〕
一般式2
Figure 2007177192

一般式2においてRは炭素数1〜10のアルキル基、又は一般式1に示すエチレン性不飽和基(-O(C=O)C(-X)=CH2)を表す。
mは1≦m≦10の整数を表し、nは2≦n≦10の整数を表す。
Bは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、単一組成であっても複数の組成によって構成されていても良い。また、シリコーン部位を含んでいても良い。
x、y、z1およびz2はそれぞれの繰返し単位のmol%を表わし、x及びyは、それぞれ30≦x≦60、0≦y≦70を満たす。z1及びz2は、1≦z1≦65、1≦z2≦65を満たす。ただし、x+y+z1+z2=100である。
10.前記低屈折率層を形成する塗布組成物が、ポリシロキサン含有ビニル単量体を含有することを特徴とする上記7〜9のいずれかに記載の透明フィルム。
11.前記ポリシロキサン含有ビニル単量体が、下記一般式Iで表わされることを特徴とする上記10に記載の透明フィルム。
Figure 2007177192
一般式Iにおいて、R1、R2は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。Pは10〜500の整数を表す。R3、R4、R5は同一で
あっても異なっていてもよく、水素原子または1価の有機基を表し、R6は水素原子またはメチル基を表す。Lは単結合または2価の連結基を表し、nは0または1を表す。
12.前記低屈折率層が中空シリカ微粒子を含有していることを特徴とする上記7〜11のいずれかに記載の透明フィルム。
13.上記7〜12のいずれか1項に記載の低屈折率層が、電離放射線硬化性化合物および少なくとも一種の活性ハロゲン化合物を含む塗布組成物を透明支持体上に塗布および乾燥した後、電離放射線照射によって硬化させてなる層であることを特徴とする透明フィルム。
14.前記透明支持体と該ハードコート層の間に帯電防止層を有することを特徴とする上記1〜13のいずれか1項に記載の透明フィルム。
15.前記活性ハロゲン化合物が下記一般式(1)〜(4)で表わされる化合物であることを特徴とする上記1または13に記載の透明フィルム。
Figure 2007177192
一般式(1)において、Xはハロゲン原子を表す。Yは−CX3、−NH2、−NHR′、−NR′2、−OR′を表す。ここにR′はアルキル基、アリール基を表す。またRは、
−CX3、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、置換アルケニル
基を表す。
Figure 2007177192
一般式(2)において、Aはフェニル基、ナフチル基、置換フェニル基または置換ナフチル基を表す。ここで置換基とはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基もしくはメチレンジオキシ基である。Yはハロゲン原子を表し、nは1〜3の整数を示す。
Figure 2007177192
一般式(3)において、Wは無置換もしくは置換されたフェニル基又は無置換のナフチル基を表し、フェニル基の置換基はハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基の数はハロゲン原子のときは1つ又は2つであり、その他の場合は1つである。Xは水素原子、フェニル基又は炭素数
1〜3のアルキル基を表す。Yはハロゲン原子を表し、nは1〜3の整数を示す。
Figure 2007177192
一般式(4)において、Aは無置換もしくは置換されたフェニル基又は無置換のナフチル基を表し、フェニル基の置換基はハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基の数はハロゲン原子のときは1つ又は2つであり、その他の場合は1つである。Xは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリル基を表す。Yはハロゲン原子を表し、nは1〜3の整数を示す。
16.透明支持体上に少なくとも反射防止層とハードコート層を有する透明フィルムであって、該反射防止層が、上記15に記載の活性ハロゲン化合物の少なくとも1種と電離放射線硬化性化合物を含有する組成物を電離放射線照射によって硬化させてなる層であることを特徴とする透明フィルム。
17.透明支持体上に少なくともハードコート層および/または反射防止層を有する透明フィルムの製造方法であって、下記(1)の工程と、(2)の工程または(3)の工程とによって、支持体上に積層される層の少なくとも1層を形成する工程を有することを特徴とする透明フィルムの製造方法。
(1)連続的に走行する、支持体を含むウェッブ上に、少なくとも1種の活性ハロゲン化合物および電離放射線硬化性化合物を含む塗布液を塗布及び乾燥し、塗布層を形成する工程、
(2)前記ウェッブ上の塗布層に、酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で電離放射線を0.5秒以上照射することにより、塗布層を硬化する工程、
(3)前記ウェッブ上の塗布層を加熱しながら、酸素濃度3%以下の雰囲気下で電離放射線照射を0.5秒以上照射して塗布層を硬化する工程。
18.上記17の前記塗布層を形成する工程(1)の後に、(4)前記ウェッブ上の塗布層を加熱することにより塗布層を加熱硬化する工程、を設け、引き続き前記工程(2)または工程(3)を設けることを特徴とする透明フィルムの製造方法。
19.上記17または18に記載の透明フィルムの製造方法において、前記連続的に走行する、工程(1)または工程(4)を経た塗布層を有するウェッブを、不活性ガスを注入して低酸素濃度にした前室に搬入し、さらに前記ウェッブを、前記前室と連続して設置された不活性ガスを注入した酸素濃度3体積%以下の電離放射線反応室に搬入し、前記電離放射線反応室内で塗布層の硬化工程を行うことを特徴とする透明フィルムの製造方法。
20.上記19に記載の透明フィルムの製造方法において、前記電離放射線反応室に注入された不活性ガスが、前記電離放射線反応室の少なくともウェッブ入り口側から吹き出すようにしたことを特徴とする透明フィルムの製造方法。
21.前記塗布層の硬化工程(2)または(3)において、酸素濃度3体積%以下の雰囲気下でウェッブ上の塗布層に前記電離放射線を複数回照射し、且つ、そのうちの少なくとも2回の電離放射線照射を、連続した酸素濃度3体積%以下の電離放射線反応室で行うことを特徴とする上記19または20に記載の透明フィルムの製造方法。
22.前記電離放射線反応室および前室のウェッブ入り口側を構成する面の少なくとも一方において、ウェッブ上の塗布層表面とのギャップが0.2〜15mmであることを特徴とする上記19〜21のいずれかに記載の透明フィルムの製造方法。
23.前記電離放射線反応室および前室のウェッブ入り口側を構成する面の少なくとも一方において、前記ウェッブ入り口側を構成する面の少なくとも一部が可動となっており、ウェッブを接合した接合部材通過時に、少なくとも接合部材の厚み分を逃げる構成となっていることを特徴とする上記19〜22のいずれかに記載の透明フィルムの製造方法。
24.前記透明フィルムの製造方法が、バックアップロールによって支持されて連続走行するウェッブの表面に、スロットダイの先端リップのランドを近接させて、前記先端リップのスロットから塗布液を塗布する工程を有し、
前記スロットダイのウェッブ進行方向側の先端リップのウェッブ走行方向におけるランド長さが30μm以上100μm以下であり、且つ前記スロットダイを塗布位置にセットしたときに、前記ウェッブの進行方向とは逆側の先端リップとウェッブの隙間を、前記ウェッブ進行方向側の先端リップとウェッブとの隙間よりも30μm以上120μm以下大きくなるように設置した塗布装置を用いて塗布されることを特徴とする上記17〜23のいずれかに記載の透明フィルムの製造方法。
25.前記塗布液の塗布時における粘度が2.0[mPa・sec]以下であり、ウェッブの表面に塗り付けられる該塗布液の量が2.0〜5.0[ml/m2]であることを特徴とする上記24に記載の透明フィルムの製造方法。
26.前記塗布液を連続走行するウェッブの表面に25[m/min]以上の速度で塗設することを特徴とする上記24または23に記載の透明フィルムの製造方法。
27.上記7〜16に記載の反射防止層が、上記17〜26のいずれかに記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする透明フィルム。
28.上記1〜6に記載のハードコート層が、請求項17〜26のいずれかに記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする透明フィルム。
29.上記1〜16、20、21のいずれかに記載の透明フィルムが、偏光板における2枚の保護フィルムの一方に用いられていることを特徴とする偏光板。
30.請求項1〜16、20、21のいずれかに記載の透明フィルムまたは請求項29に記載の偏光板が、ディスプレイの最表面に用いられていることを特徴とする画像表示装置。
本発明の透明フィルム(特に、反射防止フィルム)あるいは偏光板を備えた画像表示装置は、外光の映り込みや背景の映りこみが少なく、極めて視認性が高いだけでなく、従来のものに比較してより耐擦傷性および脆性に優れている。
また、本発明の製造方法によれば、上記の透明フィルム(特に、反射防止フィルム)を安価に製造できる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。
[透明フィルムの層構成]
本発明の透明フィルム(本発明において、透明フィルムとは透過率90%以上のフィルムを指す)は、下記(1)および(2)の構成を有する。
(1)透明支持体(以後、基材あるいは基材フィルムと称することもある)上に少なくともハードコート層を有し、該ハードコート層が、電離放射線硬化性化合物および少なくとも一種の活性ハロゲン化合物を含む塗布組成物を透明支持体上に塗布および乾燥した後、電離放射線照射によって硬化されてなる。
また、上記構成の透明フィルムは、ハードコート層を形成する塗布組成物に、平均粒径0.5〜10.0μmの透光性粒子、電離放射線硬化性化合物および少なくとも1種の活性ハロゲン化合物を含むことも好ましく、本明細書では、ハードコート層の中でも特に表面に凹凸が形成された当該ハードコート層(即ち透光性粒子を導入したハードコート層である)の場合には、単に防眩層という。
上記構成の本発明の透明フィルムの好ましい構成の例を下記に示す。
基材フィルム/ハードコート層
基材フィルム/防眩層
基材フィルム/帯電防止層/ハードコート層
基材フィルム/帯電防止層/防眩層
帯電防止層/基材フィルム/ハードコート層
帯電防止層/基材フィルム/防眩層
また、帯電防止層は導電性ポリマー粒子または金属酸化物微粒子(例えば、SnO2、ITO)を含む層であることが好ましく、塗布または大気圧プラズマ処理等によって設けることができる。
(2)透明支持体上に、必要に応じてハードコート層を有し、その上に光学干渉によって反射率が減少するように屈折率、膜厚、層の数及び層順等を考慮して積層された反射防止層を有する(以下、当該構成の透明フィルムを「反射防止フィルム」とも称する)。
尚、上記(1)および(2)の透明フィルムにおいて、ハードコート層形成に活性ハロゲン化合物を用いることによって、十分な耐擦傷性と脆性を有するフィルムを得ることができる。
また、(2)の反射防止フィルムにおいては、反射防止層、特に低屈折率層が、電離放射線硬化性化合物および少なくとも一種の活性ハロゲン化合物を含む塗布組成物を透明支持体上に塗布および乾燥した後、電離放射線照射によって硬化させてなる層であることが好ましい。低屈折率層に活性ハロゲン化合物を用いることによって、十分な反射防止性能を有しながら耐擦傷性がより向上したフィルムを得ることができる。
[反射防止フィルムの層構成]
本発明の反射防止フィルムは、前述の通り、支持体(以後、基材あるいは基材フィルムと称することもある)上に、必要に応じて後述のハードコート層を有し、その上に光学干渉によって反射率が減少するように屈折率、膜厚、層の数及び層順等を考慮して積層された反射防止層を有する。該反射防止層の最も単純な構成は、基材上に低屈折率層のみを塗設したものである。更に反射率を低下させるには、反射防止層を、基材よりも屈折率の高い高屈折率層と、基材よりも屈折率の低い低屈折率層を組み合わせて構成することが好ましい。構成例としては、基材側から高屈折率層/低屈折率層の2層のものや、屈折率の異なる3層を、中屈折率層(基材またはハードコート層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているもの等があり、更に多くの反射防止層を積層するものも提案されている。中でも、耐久性、光学特性、コストや生産性等から、ハードコート層を有する基材上に、中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているものが好ましい。また、本発明の反射防止フィルムは、上述のハードコート層に加え、防眩性層や帯電防止層等の機能性層を有していてもよい。
本発明の反射防止フィルムの好ましい構成の例を下記に示す。
基材フィルム/低屈折率層
基材フィルム/防眩層/低屈折率層
基材フィルム/ハードコート層/防眩層/低屈折率層
基材フィルム/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層
基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層
基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
基材フィルム/帯電防止層/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
帯電防止層/基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
基材フィルム/帯電防止層/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
帯電防止層/基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
帯電防止層/基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
本発明の反射防止フィルムは、光学干渉により反射率を低減できるものであれば、特にこれらの層構成のみに限定されるものではない。高屈折率層は防眩性のない光拡散性層であってもよい。また、帯電防止層は導電性ポリマー粒子または金属酸化物微粒子(例えば、SnO2、ITO)を含む層であることが好ましく、塗布または大気圧プラズマ処理等によって設けることができる。
[開始剤]
本発明の透明フィルムは、活性ハロゲン化合物を少なくとも一種と電離放射線硬化性化合物とを含有する塗布組成物を、電離放射線照射によって硬化してなる層を有する。
活性ハロゲン化合物としては、電離放射線により分解して直接ハロゲンラジカルを発生する化合物又は共存物資などからの電子移動により化学的に分解してハロゲンラジカルを発生するものなどで、四臭化炭素、ヨードニウム、トリブロモアセトフェノン、S-トリアジンやオキサチアゾール化合物が挙げられ、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(p-スチリルフェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(3-Br-4-ジ(エチル酢酸エステル)アミノ)フェニル)-4,6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-トリハロメチル-5-(p-メトキシフェニル)-1,3,4-オキサジアゾールが含まれる。
特に、本発明においては下記一般式(1)〜(4)で表わされる化合物から選ばれる化合物を少なくとも一種用いることが特に好ましい。
以下、一般式(1)〜(4)で表わされる化合物について説明する。
Figure 2007177192
一般式(1)において、Xはハロゲン原子を表す。Yは−CX3、−NH2、−NHR′、−NR′2、−OR′を表す。ここでR′はアルキル基、アリール基を表す。またRは、−CX3、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、置換アルケニル基を表す。
本発明で用いられる一般式(1)で表される化合物としては、Bull.Chem.Soc.Japan.42、2924(1969)記載の化合物たとえば、2-フェニル-4、6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(p-クロルフェニル)-4、6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4、6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(p-ネトキシフェニル)-4、6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(2'・4'-ジクロルフェニル)-4、6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2、4、6-トリス(トリクロルメチル) -s-トリアジン、2-メチル-4、6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-n-ノニル-4、6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(α、α、β-トリクロルエチル)-4、6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン等が挙げられる。また英国特許1388492号明細書記載の化合物、たとえば、2-スチリル-4、6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(p-メチルスチリル)-4、6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシスチリル)-4、6-ビス(トリクロルメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシスチリル)-4アミノ-6-トリクロルメチル-s-トリアジン等を挙げることができる。また、J.Org.Chem.、29、1527(1964)記載の化合物、例えば2-メチル-4、6-ビス(トリブロムメチル)-s-トリアジン、2、4、6-トリス(トリブロムメチル)-s-トリアジン、2、4、6-トリス(ジブロムメチル)-s-トリアジン、2-アミノ-4-メチル-6-トリブロムメチル-s-トリアジン、2-メトキシ-4-メチル-6-トリクロルメチル-s-トリアジン等を挙げることができる。
一般式(1)のうちYが−CX3である化合物を用いた場合が特に好ましい。Xとして好ましくは、Cl、Br、F原子である。
一般式(1)で表される化合物の具体例は以下の通りである。
Figure 2007177192
Figure 2007177192
Figure 2007177192
Figure 2007177192
Figure 2007177192
Aはフェニル基、ナフチル基、置換フェニル基または置換ナフチル基を表す。ここで置換基とはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基もしくはメチレンジオキシ基である。
Yはハロゲン原子を表し、nは1〜3の整数を示す。
一般式(2)で表される化合物の具体例は以下の通りである。
Figure 2007177192
Figure 2007177192
Wは無置換もしくは置換されたフェニル基又は無置換のナフチル基を表し、フェニル基の置換基はハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基の数はハロゲン原子のときは1つ又は2つであり、その他の場合は1つである。
Xは水素原子、フェニル基又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。
Yはハロゲン原子を表し、nは1〜3の整数を示す。
一般式(3)で表される化合物の具体例は以下の通りである。
Figure 2007177192
Figure 2007177192
Aは無置換もしくは置換されたフェニル基又は無置換のナフチル基を表し、フェニル基の置換基はハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基の数はハロゲン原子のときは1つ又は2つであり、その他の場合は1つである。
Xは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリル基を表す。
Yはハロゲン原子を表し、nは1〜3の整数を示す。
一般式(4)で表される化合物の具体例は以下の通りである。
Figure 2007177192
活性ハロゲン化合物の使用量に特に制限はないが、電離放射線硬化性化合物100質量部に対して、0.1〜30質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜20質量部である。また一般式(1)〜(4)の活性ハロゲン化合物は複数種を使用しても良いし、他のラジカル重合開始剤や光増感剤などと併用して使用しても良い。
これらの活性ハロゲン化合物、好ましくは一般式(1)〜(4)で表わされる化合物を用いることによって、生成するラジカル分子の大きさが比較的小さいこともあって拡散性が向上して、電離放射線照射による硬化時の温度が低くても所望の硬度が発現する重合体を形成できるという効果を奏する。
[皮膜の硬化方法]
本発明では、透明支持体上に層を形成する塗布組成物を塗布した後、乾燥工程後に直接電離放射線を照射して硬化させても、乾燥後に加熱硬化させ更に電離放射線を照射して硬化させてもよい。
本発明の透明フィルム、特に反射防止フィルムの製造方法は、下記(1)の工程の後に(2)または(3)の工程を行うことによって、あるいは(1)の工程後に(4)の加熱硬化処理を行い、その後に(2)または(3)の工程を行うことによって、支持体上に積層される層の少なくとも一層を形成する工程を有する。
(1)連続して走行する、支持体を含むウェッブ上に、少なくとも1種の活性ハロゲン化合物および電離放射線硬化性化合物を含む塗布液を塗布及び乾燥し、塗布層を形成する工程
(2)前記ウェッブ上の塗布層に、酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で電離放射線を0.5秒以上照射することにより、塗布層を硬化する工程
(3)前記ウェッブ上の塗布層を加熱しながら、酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で電離放射線を0.5秒以上照射することにより、塗布層を硬化する工程
(4)前記ウェッブ上の塗布層を、加熱硬化処理を行うことによって、加熱硬化する工程
[電離放射線による硬化]
電離放射線の照射は、酸素濃度は3体積%以下の雰囲気下で行なう。より好ましくは1体積%以下であり、更に好ましくは0.1体積%以下である。必要以上に酸素濃度を低減するためには、不活性ガスの多量の使用量が必要であり、製造コストの観点から好ましくない。酸素濃度を低下させる手段としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の不活性気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
本発明では、ウェッブ上の塗布層に、酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で電離放射線を0.5秒以上の間照射することによって塗布層の硬化を行なう。照射時間は照射開始から0.7秒以上60秒以下が好ましく、0.7秒以上10秒以下がより好ましい。0.5秒未満では、硬化反応が完了することができず、十分な硬化を行うことができない。
尚、本明細書中、「ウェッブ」とは、支持体自体であっても、支持体上に層を形成したものであったもよい。
本発明では、前記の硬化工程を、所望の酸素濃度に制御された電離放射線反応室(以後、単に「反応室」ということもある)で行なうことが好ましい。不活性ガスを電離放射線反応室に供給する際、反応室のウェッブ入り口側(ウェッブを搬入する入り口である)にやや吹き出す条件にすることで、ウェッブ搬送にともなう導搬エアーを排除して反応室の酸素濃度を有効に下げられるとともに、酸素による硬化阻害の大きい極表面の実質の酸素濃度を効率よく低減することができる。反応室のウェッブ入り口側での不活性ガスの流れの方向は、反応室の給気、排気のバランスを調整することなどで制御できる。なお、ウェッブ上の塗布層に電離放射線を照射する直前に、不活性ガスをウェッブ上の塗布層表面に直接吹き付けることも、導搬エアーを除去する方法として好ましい。
特に最外層であり、且つ、膜厚が薄い低屈折率層がこの方法で硬化されることが好ましい。
また反応室の前に前室を設けることも好ましい。前室は、不活性ガスで置換され、低酸素濃度であることが好ましく、好ましくは酸素濃度5体積%以下且つ酸素濃度0.01体積%以上であることが好ましい。前室内を電離放射線照射前のウェッブを通過(搬送)させるのみであってもよく、前記した導搬エアーを除去する方法である不活性ガスのウェッブ上の塗布層表面への直接吹き付けを行なってもよい。
前室を設けて、事前にウェッブの塗布層表面の酸素を排除することで、反応室の低酸素濃度を維持することが可能となり、より硬化を効率よく進めることができる。
また電離放射線反応室または前室のウェッブ入り口側を構成する側面の少なくとも一方は、不活性ガスを効率的に使用するために、ウェッブ上の塗布層表面とのギャップが0.2〜15mmであることが好ましく、より好ましくは、0.2〜10mmとするのがよく、0.2〜5mmとすることが最も好ましい。ここで、ギャップとは、ウェッブ上の塗布層表面とウェッブ入り口側を構成する側面におけるウェッブ入り口上端との間の長さを指す。
しかし、ウェッブを連続製造するには、ウェッブを接合して繋げていく必要があり、接合には接合テープなどで貼る方法が広く用いられている。このため、電離放射線反応室または前室の入り口とウェッブ上の塗布層表面とのギャップをあまり狭くすると、接合テープなどの接合部材が引っかかる問題が生じる。このためギャップを狭くするためには、電離放射線反応室または前室の入り口面の少なくとも一部を可動とし、接合部が入るときは接合厚み分だけギャップを広げるのが好ましい。この実現のためには、(A)電離放射線反応室または前室の入り口面を進行方向前後に可動にしておき、接合部が通過する際に前後に動いてギャップを広げる方法や、(B)電離放射線反応室または前室の入り口面をウェッブ面に対し、垂直方向に可動にし、接合部が通過する際に上下に動いてギャップを広げる方法が挙げられる。
以下、前室のウェッブ入り口面の動作を例にとり、本発明で適用可能な反応室または前室のウェッブ入り口面の動作事例を、図1〜4を基に説明する(尚、以下の図面説明では、塗布層(図示せず)を有したウェッブを単に「ウェッブ」と称する)。
図1は、本発明において好適に使用される電離放射線反応室及び前室を具備した製造装置の模式図である。
図2は、本発明において好適に使用される電離放射線反応室及び前室を具備した製造装置のウェッブ入り口面の装置動作の一例を模式的に示した側面図であり、上記(A)の態様を示す。図2の構成を有する装置は、ウェッブ搬送時に、ウェッブを接合して繋げる接合部材が前室入り口に進入する前に、センサで接合部材を検知し、制御部(図示せず)を通して該センサと連動して作動する前室のウェッブ入り口面の少なくとも一部に取り付けれらたエアシリンダによって、入り口面をウェッブの進行方向前後に動かせるようにしたものであり、これにより接合部材の厚み分を逃げることができるものである。
図3及び図4は、上記(B)の態様を示した図であり、図3は前室のウェッブ入り口面を模式的に示した図であり、図4は前室のウェッブ入り口面の動作を模式的に示した図である。前室ウェッブ入り口面の一部を可動にし、ウェッブの幅両端をベアリングタッチロールで接触することでウェッブと入り口面とのギャップが決まる。接合部材が通過するときは、ベアリングタッチロールが接合部材を乗り越え、ウェッブ入り口面のギャップが一定に保たれる。入り口の可動手段は、接合部を逃げられるようになっていれば良く、限定されるものではない。
本発明では、ウェッブ上の塗布層を硬化させる際、前記硬化工程における3体積%以下の雰囲気下で行なわれる電離放射線照射を複数回に分けて行うことも好ましい。
この場合、少なくとも2回の電離放射線照射が、連続した酸素濃度3体積%以下の反応室で行われることが好ましい。複数回の電離放射線照射を低酸素濃度の反応室で行なうことにより、硬化に必要な反応時間を有効に確保することができる。特に高生産性のため製造速度を上げた場合には、硬化反応に必要な電離放射線のエネルギーを確保するために複数回の電離放射線照射が必要となり、硬化反応に必要な反応時間の確保とあわせ、上記の態様が有効である。
「連続した反応室」とは、酸素濃度3体積%以下の反応室内で少なくとも2回の電離放射線照射を行なう態様や、酸素濃度3体積%以下の反応室を少なくとも2室以上設け、反応室の間を酸素濃度3体積%以下の低酸素ゾーンとする態様等がある。後者の場合には各々の反応室は、酸素濃度3体積%以下であれば、酸素濃度が異なっていてもよい。
本発明では、塗布層表面温度が25℃以上になるようにウェッブを加熱しながら、前記硬化工程を行なうことも好ましい。また電離放射線照射と同時および/または連続して酸素濃度3体積%以下の雰囲気で加熱することも好ましい。前記硬化工程を加熱と併用することで、硬化反応が熱で加速され、より物理強度、耐薬品性に優れた皮膜を形成することができる。
加熱は塗布層表面温度が25℃以上170℃以下で加熱されることが好ましい。25℃未満では加熱の硬化は少なく、一方、170℃を超えると基材の変形などの問題が生じる。更に好ましい温度は25℃〜100℃である。また塗布層表面温度が前記温度に保持される時間は、電離放射線照射開始から0.1秒以上、300秒以下が好ましく、更に10秒以下が好ましい。塗布層表面温度の温度を上記の温度範囲に保つ時間が短すぎると、皮膜を形成する硬化性組成物の反応を促進できず、逆に長すぎてもフィルムの光学性能が低下し、また設備が大きくなるなどの製造上の問題も生じる。
加熱する方法に特に限定はないが、ロールを加熱してウェッブに接触させる方法、加熱した窒素を吹き付ける方法、遠赤外線あるいは赤外線の照射などが好ましい。特許2523574号に記載の回転金属ロールに温水や蒸気・オイルなどの媒体を流して加熱する方法も利用できる。加熱の手段としては誘電加熱ロールなどを使用しても良い。
本発明における電離放射線種は特に制限されるものではなく、皮膜を形成する硬化性組成物の種類に応じて、紫外線、電子線、近紫外線、可視光、近赤外線、赤外線、X線などから適宜選択することができる。本発明では紫外線による照射が好ましい。重合速度が早く設備をコンパクトにできる、選択できる化合物種が豊富でかつ低価格であることから紫外線硬化が好ましい。
紫外線の場合は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等が利用できる。また電子線照射の場合は、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器から放出される50〜1000keVのエネルギーを有する電子線が用いられる。
[加熱処理による硬化]
(4)の加熱硬化は、フィルム面が60℃以上170℃以下で加熱されることが好ましい。60℃未満では加熱の硬化は少なく、170℃を超えると基材の変形などの問題が生じる。更にこの好ましい温度は60℃〜130℃である。フィルム面とは硬化しようとする層の膜面温度を指す。加熱時間は基材の変形が起こらない範囲内なら良く、2分から20分間が好ましく、3分〜15分間が更に好ましい。
[皮膜形成バインダー]
本発明では、皮膜を形成する硬化性組成物の主たる皮膜形成バインダー成分として電離放射線硬化性化合物、好ましくはエチレン性不飽和基を有する化合物を用いることが、皮膜強度、塗布液の安定性、塗膜の生産性、などの点で好ましい。主たる皮膜形成バインダー成分とは、無機粒子を除く皮膜形成成分のうち10質量%以上100質量%以下を占めるものをいう。好ましくは、20質量%以上100質量%以下、更に好ましくは30質量%以上95%以下である。
また、本明細書において、「電離放射線硬化性化合物」とは、電離放射線照射によって硬化する化合物であればよい。
主たる皮膜形成バインダーとしては、飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するポリマーであることがより好ましい。更に、これらポリマーは架橋構造を有していることが好ましい。
飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。
さらに、高屈折率な皮膜にする場合には、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含むことが好ましい。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3-シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例、1,4-ジビニルベンゼン、4-ビニル安息香酸-2-アクリロイルエチルエステル、1,4-ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。
上記モノマーは2種以上併用してもよい。尚、本明細書においては、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル酸」は、それぞれ「アクリレート又はメタクリレート」、「アクリロイル又はメタクリロイル」、「アクリル酸又はメタクリル酸」を表す。
更に、高屈折率モノマーの具体例としては、ビス(4-メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4-メタクリロキシフェニル-4'-メトキシフェニルチオエーテル等が挙げられる。これらのモノマーも2種以上併用してもよい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、前記活性ハロゲン化合物の他に、必要に応じて他の光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3-ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類が挙げられる。アセトフェノン類の例には、2,2-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアセトフェノン、1-ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-4-メチルチオ-2-モルフォリノプロピオフェノンおよび2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノンが含まれる。ベンゾイン類の例には、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4-ジクロロベンゾフェノン、4,4-ジクロロベンゾフェノンおよびp-クロロベンゾフェノンが含まれる。ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
最新UV硬化技術(P.159,発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行)にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,907)等が好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n-ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-ブチルホスフィン、ミヒラーのケトンおよびチオキサントンを挙げることができる。
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
本発明においてはポリエーテルを主鎖として有するポリマーを使用することもできる。多官能エポキシ化合物の開環重合体が好ましい。多官能エポキシ化合物の開環重合は、前記活性ハロゲン化合物の他に、必要に応じて光酸発生剤あるいは熱酸発生剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。光酸発生剤および熱酸発生剤としては、公知ものが使用できる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりにまたはそれに加えて、架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
次に、ハードコート層、防眩層について以下に説明する。
[ハードコート層、及び防眩層]
ハードコート層は、フィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性を有する。また、表面散乱および内部散乱の少なくともいずれかの散乱による光拡散性とをフィルムに寄与する目的でも好ましく使用される。従って、ハードコート性を付与するための透光性樹脂、及び光拡散性を付与するための透光性粒子を含有することが好ましく、更に必要に応じて高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のための無機フィラーを含有する。
ハードコート層の膜厚は、ハードコート性を付与する目的で、1〜40μmの範囲であればよいが、特に1〜30μmが好ましい。
膜厚が上記範囲であれば、ハードコート性が十分付与され、しかもカールや脆性が悪化して加工適性が低下することもない。
ハードコート層は、優れた耐擦傷性および脆性を両立するため、透光性樹脂を形成するための電離放射線硬化性化合物および少なくとも一種の活性ハロゲン化合物を含む塗布組成物を透明支持体上に塗布、乾燥した後、電離放射線を照射することにより硬化形成されることが好ましい。
一方、フィルムに光拡散性を付与する場合には、防眩性を付与するための透光性粒子、透光性樹脂を形成するための電離放射線硬化性化合物、および少なくとも一種の活性ハロゲン化合物を含む塗布組成物を透明支持体上に塗布、乾燥した後、電離放射線を照射することにより硬化形成されることが好ましい(以下、透光性粒子を含むハードコート層を「防眩層」ともいう)。
本発明にかかる防眩層は表面凹凸を有し、これにより防眩性を有するが、特に防眩層形成塗布組成物が、平均粒径0.5〜10.0μmの透光性粒子、少なくとも一種の活性ハロゲン化合物、電離放射線硬化性化合物、及び電離放射線硬化性化合物に対する良溶媒および貧溶媒を含有することが好ましい。この方法は、塗布乾燥時に良溶媒が減るに従い、貧溶媒中で透光性樹脂を形成する電離放射線硬化性化合物がゲル化することにより表面に凹凸を形成するものであり、特許第3515426号に詳細に記載されている。透光性粒子のサイズ、電離放射線硬化性化合物に対する良溶媒、及び貧溶媒を選定することが重要である。
この技術を用いれば、比較的小さい透光性粒子を用いて厚いハードコート層の表面凹凸を形成することができ、耐擦傷性に有利な設計が可能である。
ハードコート層、及び防眩層の膜厚は、1〜40μmの範囲であればよいが、特に1〜30μmが好ましい。
なお、防眩層の表面形状、光学特性については後述する。
以下、防眩層の形成方法を例にとり、ハードコート層および防眩層に用いられる、透光性樹脂、透光性粒子、およびその他の添加剤についてそれぞれ説明する。
<透光性微粒子>
ハードコート層に用いられる透光性粒子は、防眩性又は光拡散性付与の目的で用いられるものであり、その平均粒径が0.5〜15μm、好ましくは1.0〜10.0μmである。平均粒径が0.5μm未満であると、光の散乱角度分布が広角にまで広がるため、ディスプレイの文字解像度の低下を引き起こしたり、表面凹凸が形成しにくくなるため防眩性が不足したりするため、好ましくない。一方、15μmを超えると、ハードコート層の膜厚を厚くする必要が生じ、カールが大きくなる、素材コストが上昇してしまう、等の問題が生じる。
前記透光性微粒子の具体例としては、例えばポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、ポリスチレン粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。また、シリカ粒子、二次粒径が上記範囲の凝集性シリカの無機粒子や、TiO2粒子を使用しても良い。なかでも架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子、シリカ粒子が好ましく用いられ、これらの粒子の中から選ばれた各透光性微粒子の屈折率にあわせて透光性樹脂の屈折率を調整することにより、本発明にかかる防眩層の内部ヘイズ、表面ヘイズ、中心線平均粗さを達成することができる。具体的には、後述するような本発明にかかる防眩層に好ましく用いられる3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分とした電離放射線硬化性化合物(硬化後の屈折率が1.50〜1.53)とアクリル含率50〜100重量パーセントである架橋ポリ(メタ)アクリレート重合体からなる透光性微粒子の組合せが好ましく、特に前記電離放射線硬化性化合物と架橋ポリ(スチレン−アクリル)共重合体からなる透光性微粒子(屈折率が1.48〜1.54)との組合せが好ましい。
透光性粒子の形状は、球状あるいは不定形のいずれも使用できる。
また、粒子径の異なる2種以上の透光性微粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径の透光性微粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径の透光性微粒子で表面のザラツキ感を低減することが可能である。例えば、133ppi以上の高精細ディスプレイに透明フィルム(特に反射防止フィルム)を貼り付けた場合に、ギラツキと呼ばれる光学性能上の不具合のないことが要求される。ギラツキは、フィルム表面に存在する凹凸(防眩性に寄与)により、画素が拡大もしくは縮小され、輝度の均一性を失うことに由来するが、防眩性を付与する透光性粒子より小さな粒子径で、バインダーの屈折率と異なる透光性粒子を併用することにより大きく改善することができる。
さらに、前記透光性粒子の粒子径分布としては単分散であることが最も好ましく、各粒子の粒子径は、それぞれ同一に近ければ近いほど良い。例えば平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合には、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。このような粒子径分布を持つ透光性粒子は通常の合成反応後に、分級によって得られ、分級の回数を上げることやその程度を強くすることにより、より好ましい分布とすることができる。
前記透光性微粒子は、形成された防眩層中に、光拡散効果、像の解像度、ひょ面の白濁およびギラツキ等を考慮して、防眩層全固形分中に3〜30質量%含有されるように配合される。より好ましくは5〜20質量%である。3質量%未満であると、防眩性が不足し、30質量%を超えると、画像ボケや表面の白濁やギラツキ等の問題が生じる。
また、透光性微粒子の密度は、好ましくは10〜1000mg/m2、より好ましくは100〜700mg/m2である。
透光性粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。
本発明における透光性樹脂と透光性微粒子との屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましく、より好ましくは1.48〜1.65である。屈折率を前記範囲とするには、透光性樹脂及び透光性微粒子の種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
また、本発明においては、透光性樹脂と透光性微粒子との屈折率の差(透光性微粒子の屈折率−透光性樹脂の屈折率)は、絶対値として好ましくは0.001〜0.030であり、より好ましくは0.001〜0.020、更に好ましくは0.001〜0.015である。この差が0.030を超えると、フィルム文字ボケ、暗室コントラストの低下、表面の白濁等の問題が生じる。
ここで、前記透光性樹脂の屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。前記透光性微粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性微粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
<透光性樹脂>
透光性樹脂は、飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖として有するバインダーポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーであることがさらに好ましい。また、バインダーポリマーは架橋構造を有することが好ましい。
飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーとしては、エチレン性不飽和モノマーの重合体が好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。
バインダーポリマーを高屈折率にするには、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含む高屈折率モノマーや、フルオレン骨格を分子内に有するモノマー等を選択することもできる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル〔例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート〕、前記のエステルのエチレンオキサイド変性体やカプロラクトン変性体、ビニルベンゼンおよびその誘導体〔例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン〕、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。前記モノマーは2種以上併用してもよい。
高屈折率モノマーの具体例としては、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート類、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4'−メトキシフェニルチオエーテル等が挙げられる。これらのモノマーも2種以上併用してもよい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマー(電離放射線硬化性化合物(透光性樹脂前駆体))の重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射により行うことができる。
従って、前記防眩層は、上述エチレン性不飽和モノマー等の電離放射線硬化性化合物、活性ハロゲン化合物、透光性微粒子および必要に応じて後述するような無機微粒子や光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤を含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布・乾燥後、電離放射線による重合反応により硬化させることにより形成することができる。
更に上記に加えて、前述の低屈折率層に含有してもよい光増感剤を用いてもよい。
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ-ジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシ-ジメチル-p-イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、が含まれる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4'-メチルジフェニルサルファイド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノン、4,4'-ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3'、4、4'-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが含まれる。
ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
活性エステル類の例には1、2-オクタンジオン、1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、スルホン酸エステル類、環状活性エステル化合物などが含まれる。
オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
ボレート塩の例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
無機錯体の例にはビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6−ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウムが挙げられる。
クマリン類の例には3−ケトクマリンが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いても良い。
「最新UV硬化技術」,(株)技術情報協会,1991年,p.159にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,819、907、1870(CGI-403/Irg184=7/3混合開始剤、500,369,1173,2959,4265,4263など)、OXE01)等、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX-S,BP-100,BDMK,CTX,BMS,2-EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等が好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトンおよびチオキサントン、などを挙げることができる。更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI,EPA)などが挙げられる。
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
ポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポキシ化合物の開環重合体が好ましい。多官能エポキシ化合物の開環重合は、活性ハロゲン化合物、さらには必要に応じて光酸発生剤あるいは熱酸発生剤の存在下、電離放射線の照射により行うことができる。
従って、多官能エポキシ化合物、透光性微粒子、活性ハロゲン化合物、さらには必要に応じて光酸発生剤あるいは熱酸発生剤、無機微粒子を含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放射線による重合反応により硬化して防眩層を形成することができる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりにまたはそれに加えて、架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
防眩層には、層の屈折率を調整して内部散乱に起因するヘイズ値を低減するために、前記の透光性微粒子に加えて、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒径が0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下である無機フィラーを含有してもよい。これらの無機フィラーは、一般的に比重が有機物よりも高く、塗布組成物の密度を高くできるため、透光性微粒子の沈降速度を遅くする効果もある。
なお、透光性粒子との屈折率差を大きくするために、高屈折率透光性粒子を用いたハードコート層では層の屈折率を低目に保つためにケイ素の酸化物をもちいることが好ましい。
ハードコート層に用いられる無機フィラーの具体例としては、TiO2、ZrO2、Al23、In23、ZnO、SnO2、Sb23、ITOとSiO2等が挙げられる。TiO2およびZrO2が高屈折率化の点で特に好ましい。防眩層に用いられる無機フィラーは表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの無機フィラーを用いる場合、その添加量は、防眩層の全質量の10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜80質量%であり、特に好ましくは30〜75質量%である。
なお、このような無機フィラーは、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
また、防眩層にもオルガノシラン化合物、オルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物(ゾル)の少なくともいずれかを用いることができる。
低屈折率層以外の層へのゾル成分の添加量は、含有層(添加層)の全固形分の0.001〜50質量%が好ましく、0.01〜20質量%がより好ましく、0.05〜10質量%が更に好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。ハードコート層の場合には、前記オルガノシラン化合物またはそのゾル成分の添加量に対する制約が低屈折率層ほど厳しくないため、前記オルガノシラン化合物が好ましく用いられる。
透光性樹脂と透光性粒子との混合物のバルクの屈折率は、1.48〜2.00であることが好ましく、より好ましくは1.50〜1.80である。屈折率を前記範囲とするには、透光性樹脂及び透光性粒子の種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
また透光性樹脂と透光性粒子との屈折率の差(透光性粒子の屈折率−透光性樹脂の屈折率)は0.02〜0.2が好ましく、より好ましくは0.05〜0.15である。この差が上記範囲であると、内部散乱の効果が十分であり、ギラツキが発生せず、しかもフィルム表面が白濁することもない。
また、前記透光性樹脂の屈折率は、1.45〜2.00であるのが好ましく、1.48〜1.70であるのが更に好ましい。
ここで、透光性樹脂の屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。
<防眩層用界面活性剤>
特に、本発明の防眩層には、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、あるいはその両者を防眩層形成用の塗布組成物中に含有することが好ましい。特にフッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、本発明の透明フィルム(特に、反射防止フィルム)の塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いられる。
面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることが目的である。
フッ素系の界面活性剤の好ましい例としては、フルオロ脂肪族基含有共重合体(「フッ素系ポリマー」と略記することもある)が挙げられ、該フッ素系ポリマーは、下記(i)のモノマーに相当する繰り返し単位を含むアクリル樹脂、メタアクリル樹脂、及びこれらに共重合可能なビニル系モノマー(例えば下記(ii)のモノマー)との共重合体が有用である。
(i)下記一般式イで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー
一般式イ
Figure 2007177192
一般式イにおいてR11は水素原子またはメチル基を表し、Xは酸素原子、イオウ原子または−N(R12)−を表し、mは1以上6以下の整数、nは2〜4の整数を表す。R12は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。Xは酸素原子が好ましい。
(ii)前記(i)と共重合可能な下記一般式ロで示されるモノマー
一般式ロ
Figure 2007177192
一般式ロにおいて、R13は水素原子またはメチル基を表し、Yは酸素原子、イオウ原子または−N(R15)−を表し、R15は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。Yは酸素原子、−N(H)−、および−N(CH3)−が好ましい。
14は置換基を有しても良い炭素数4以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表す。R14のアルキル基の置換基としては、水酸基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基等があげられるがこの限りではない。炭素数4以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基としては、直鎖及び分岐してもよいブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基等、また、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の単環シクロアルキル基及びビシクロヘプチル基、ビシクロデシル基、トリシクロウンデシル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロデシル基、等の多環シクロアルキル基が好適に用いられる。
本発明で用いられるフッ素系ポリマー中に用いられるこれらの一般式イで示されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該フッ素系ポリマーの各単量体に基づいて10モル%以上であり、好ましくは15〜70モル%であり、より好ましくは20〜60モル%の範
囲である。
本発明で用いられるフッ素系ポリマーの好ましい質量平均分子量は、3000〜100,000が好ましく、5,000〜80,000がより好ましい。
更に、本発明で用いられるフッ素系ポリマーの好ましい添加量は、塗布液に対して0.001〜5質量%の範囲であり、好ましくは0.005〜3質量%の範囲であり、更に好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。フッ素系ポリマーの添加量が0.001質量%未満では効果が不十分であり、また5質量%より多くなると、塗膜の乾燥が十分に行われなくなったり、フィルムとしての性能(例えば反射率、耐擦傷性)に悪影響を及ぼす。
以下、一般式イで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーからなるフッ素系ポリマーの具体的な構造の例を示すがこの限りではない。なお式中の数字は各モノマー成分のモル比率を示す。Mwは質量平均分子量を表す。
Figure 2007177192
Figure 2007177192
しかしながら、前記のようなフッ素系ポリマーを使用することにより、防眩層表面にF原子を含有する官能基が偏析することにより防眩層の表面エネルギーが低下し、前記防眩層上に低屈折率層をオーバーコートしたときに反射防止性能が悪化する問題が生じる。これは低屈折率層を形成するために用いられる硬化性組成物の濡れ性が悪化するために低屈折率層に目視では検知できない微小なムラが悪化するためと推定される。このような問題を解決するためには、フッ素系ポリマーの構造と添加量を調整することにより、防眩層の表面エネルギーを好ましくは20mN・m-1〜50mN・m-1に、より好ましくは30mN・m-1〜40mN・m-1に制御することが効果的であることを見出した。前記のような表面エネルギーを実現するためには、X線光電子分光法で測定したフッ素原子由来のピークと炭素原子由来のピークの比であるF/Cが0.1〜1.5であることが必要である。
或いは、上層を塗布する時には上層を形成する溶媒に抽出されるようなフッ素系ポリマーを選択することで、下層表面(=界面)に偏在することがなくなり上層と下層の密着性を持たせることで、高速塗布においても面状の均一性を保ち、かつ耐擦傷性の強い防眩性反射防止透明フィルムを提供できる表面自由エネルギーの低下を防ぐことにより、低屈折率層塗布前の防眩層の表面エネルギーを前記範囲に制御することでも目的を達成することができる。そのような素材の例は下記一般式ハで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーに相当する繰り返し単位を含むことを特徴とするアクリル樹脂、メタアクリル樹脂、及びこれらに共重合可能なビニル系モノマー(例えば下記(iv)で表わされるモノマー)との共重合体である。
(iii)下記一般式ハで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー
一般式ハ
Figure 2007177192
一般式ハにおいてR21は水素原子またはハロゲン原子またはメチル基を表し、水素原子、メチル基がより好ましい。X2は酸素原子、イオウ原子または−N(R22)−を表し、酸素原子または−N(R22)−がより好ましく、酸素原子が更に好ましい。mは1以上6以下の整数(1〜3がより好ましく、1であることが更に好ましい。)、nは1以上18以下の整数(4〜12がより好ましく、6〜8が更に好ましい。)を表す。R22は水素原子または置換基を有しても良い炭素数1〜8のアルキル基を表し、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基が更に好ましい。Xは酸素原子が好ましい。
またフッ素系ポリマー中に一般式ハで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーが2種類以上構成成分として含まれていても良い。
(iv)前記(iii)と共重合可能な下記一般式ニで示されるモノマー
一般式ニ
Figure 2007177192
一般式ニにおいて、R23は水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、水素原子、メチル基がより好ましい。Y2は酸素原子、イオウ原子または−N(R25)−を表し、酸素原子または−N(R25)−がより好ましく、酸素原子が更に好ましい。R25は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基が更に好ましい。
24は置換基を有しても良い炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基、ポリ(アルキレンオキシ)基を含むアルキル基、置換基を有していても良い芳香族基(例えば、フェニル基またはナフチル基)を表す。炭素数1〜12の直鎖、分岐、または環状のアルキル基、または総炭素数6〜18の芳香族がより好ましく、炭素数1〜8の直鎖、分岐、または環状のアルキル基が更に好ましい。
以下、一般式ハで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーに相当する繰り返し単位を含むフッ素系ポリマーの具体的な構造の例を示すがこの限りではない。なお、式中の数字は各モノマー成分のモル比率を示す。Mwは質量平均分子量を表す。
Figure 2007177192
Figure 2007177192
Figure 2007177192
Figure 2007177192
Figure 2007177192
また防眩層上に低屈折率層をオーバーコートする時点で表面エネルギーの低下を防げば、反射防止性能の悪化が防げる。防眩層塗布時にはフッ素系ポリマーを用いて塗布液の表面張力を下げて面状均一性を高め、高速塗布による高生産性を維持し、防眩層塗布後にコロナ処理、UV処理、熱処理、鹸化処理、溶剤処理といった表面処理手法を用いて、特に好ましいのはコロナ処理であるが、表面自由エネルギーの低下を防ぐことにより、低屈折率層塗布前の防眩層の表面エネルギーを前記範囲に制御することでも目的を達成することができる。
また、本発明の防眩層を形成する為の塗布組成物中に、チクソトロピー剤を添加しても良い。チクソトロピー剤としては、0.1μm以下のシリカ、マイカ等があげられる。これら添加剤の含有量は、通常、紫外線硬化型樹脂100質量部に対して、1〜10質量部程度とするのが好適である。
本発明の防眩層は、直接透明支持体上に塗布組成物をウエット塗布するために溶剤を用いることができる。本発明において好ましい溶剤としての要件は、上記透光性樹脂等の各種溶質を充分に溶解すること、上記透光性微粒子を溶解しないこと、塗布〜乾燥過程で塗布ムラ、乾燥ムラを発生しにくいこと、支持体を溶解しないこと(平面性悪化、白化等の故障防止に必要)、逆に最低限の程度には支持体を膨潤させること(密着性に必要)、等が挙げられる。
具体例としては、支持体にトリアセチルセルロースを用いる場合には、主溶媒として各種ケトン(メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、各種セロソルブ(エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等)が好ましく用いられる。また、上記の中から選択した主溶媒に対して、水酸基を有する少量溶媒を添加することにより、防眩性が調整でき、特に好ましい。水酸基を有する少量溶媒は、塗布組成物の乾燥工程において主溶媒よりも後まで残留することで防眩性を強くすることができるため、20〜30℃の範囲内のある温度における蒸気圧が前記主溶媒に対して低いことが好ましい。例えば、主溶媒をメチルイソブチルケトン(21.7℃における蒸気圧:16.5mmHg)に対して水酸基を有する少量溶媒としてプロピレングリコール(20.0℃における蒸気圧:0.08mmHg)の組み合わせが好ましい一例として挙げられる。主溶媒と水酸基を有する少量溶媒の混合比は、重量比で99:1〜50:50が好ましく、95:5〜70:30がより好ましい。50:50を超えると、塗布液の安定性や、塗布後の乾燥工程における面質のバラツキが大きくなり、好ましくない。
本発明の透明フィルムのハードコート層の形成も、透光性粒子を添加する以外は、上記防眩層と同様に行なうことができる。
[低屈折率層用材料]
次に、低屈折率層について以下に説明する。
[低屈折率層]
本発明の反射防止フィルムにおける低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.46であることが好ましく、1.25〜1.46であることがより好ましく、1.30〜1.46であることが特に好ましい。
屈折率が1.30未満であると、反射防止性能は向上するが、膜の機械強度が低下し、1.55を超えると、反射防止性能が著しく悪化してしまう。
さらに、低屈折率層は下記数式(I)を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
数式(I)
(mλ/4)×0.7<n1×d1<(mλ/4)×1.3
式中、mは正の奇数であり、n1は低屈折率層の屈折率であり、そして、d1は低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長であり、500〜550nmの範囲の値である。
なお、前記数式(I)を満たすとは、前記波長の範囲において数式(I)を満たすm(正の奇数、通常1である)が存在することを意味している。
さらに本発明の反射防止フィルムにおいて、低屈折率層はハードコート層よりも屈折率が0.05以上小さいことが好ましく、より好ましくは0.07〜0.3小さいことが好ましい。低屈折率層とハードコート層の屈折率差が0.05未満であると、反射率が上昇し、反射防止能が失われてしまうために好ましくない。
低屈折率層としては、熱または電離放射線により架橋する含フッ素樹脂(以下、「架橋前の含フッ素樹脂」ともいう)の架橋からなる低屈折率層(態様1)、ゾルゲル法による低屈折率層(態様2)、および粒子とバインダーポリマーを用い、粒子間または粒子内部に空隙を有する低屈折率層(態様3)等が用いられる。
熱または電離放射線により架橋する含フッ素樹脂(以下、「架橋前の含フッ素樹脂」ともいう)の架橋からなる低屈折率層(態様1)を形成する素材について以下に説明する。
低屈折率層は、例えば含フッ素ポリマーを主成分とする硬化性組成物を塗布、乾燥、硬化して形成される硬化膜である。
<低屈折率層用含フッ素ポリマー>
前記含フッ素ポリマーは、硬化被膜にした場合の被膜の動摩擦係数が0.03〜0.20、水に対する接触角が90〜120°、純水の滑落角が70°以下であり、熱または電離放射線により架橋するポリマーであるのが、ロールフィルムをウェブ搬送しながら塗布、硬化する場合などにおいて生産性向上の点で好ましい。
また、本発明の反射防止フィルムを画像表示装置に装着した時、市販の接着テープとの剥離力が低いほどシールやメモを貼り付けた後に剥がれ易くなるので、剥離力は、500gf以下が好ましく、300gf以下がより好ましく、100gf以下が最も好ましい。
剥離力は、JIS Z0237−1980に準拠して測定することができる。
また、微小硬度計で測定した表面硬度が高いほど、傷がつき難いので、該表面硬度が、0.3GPa以上が好ましく、0.5GPa以上がより好ましい。
低屈折率層に用いられる含フッ素ポリマーは、フッ素原子を35〜80質量%の範囲で含有し、且つ架橋性もしくは重合性の官能基を含む含フッ素ポリマーであることが好ましく、例えば、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物〔例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン〕の加水分解物や脱水縮合物の他、含フッ素モノマー単位と架橋反応性単位とを構成単位とする含フッ素共重合体が挙げられる。含フッ素共重合体の場合、主鎖は、炭素原子のみからなるのが好ましい。すなわち、主鎖骨格に酸素原子や窒素原子などを有しないのが好ましい。
前記含フッ素モノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。
前記架橋反応性単位としては、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルのように分子内にあらかじめ自己架橋性官能基を有するモノマーの重合によって得られる構成単位;カルボキシル基やヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基等を有するモノマー〔例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等〕の重合によって得られる構成単位に高分子反応によって(メタ)アクリルロイル基等の架橋反応性基を導入した構成単位(例えばヒドロキシ基に対してアクリル酸クロリドを作用させる等の手法で導入できる)が挙げられる。
また、前記含フッ素モノマー単位及び前記架橋反応性単位以外に溶剤への溶解性、皮膜の透明性等の観点から、適宜フッ素原子を含有しないモノマーを共重合させて、他の重合単位を導入することもできる。併用可能なモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類〔エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等〕、アクリル酸エステル類〔アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル〕、メタクリル酸エステル類〔メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等〕、スチレン誘導体〔スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等〕、ビニルエーテル類〔メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等〕、ビニルエステル類〔酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等〕、アクリルアミド類〔N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等〕、メタクリルアミド類、アクリロニトリル誘導体等を挙げることができる。
前記含フッ素ポリマーに対しては特開平10−25388号および特開平10−147739号各公報に記載のごとく適宜硬化剤を併用しても良い。
本発明で特に有用な含フッ素ポリマーは、パーフルオロオレフィンとビニルエーテル類またはビニルエステル類とのランダム共重合体である。特に単独で架橋反応可能な基〔(メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合性基等〕を有していることが好ましい。
これらの架橋反応性基含有重合単位はポリマーの全重合単位の5〜70mol%を占めていることが好ましく、特に好ましくは30〜60mol%を占めていることである。
本発明に係る低屈折率層としてより好ましくは、含フッ素ポリマー及び/またはポリシロキサン含有ビニル単量体を有する塗布液から形成される硬化皮膜であることが好ましい。
この場合の含フッ素ポリマーは、含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位を必須の構成成分とする共重合体であることが好ましい。皮膜形成後、該共重合体由来の成分は皮膜固形分の60質量%以上を占めることが好ましく、70質量%以上を占めることがより好ましく、80質量%以上を占めることが特に好ましい。低屈折率化と皮膜硬度の両立の観点から多官能(メタ)アクリレート等の硬化剤も相溶性を損なわない範囲の添加量で好ましく用いられる。
また特開平11−228631号公報記載の化合物も好ましく使用される。
以下に本発明において低屈性率層形成に好ましく用いられる共重合体について説明する。
含フッ素ビニルモノマーとしてはフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学工業(株)製)やR−2020(商品名、ダイキン工業(株)製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。これらの含フッ素ビニルモノマーの組成比を上げれば屈折率を下げることができるが、皮膜強度は低下する。本発明では共重合体のフッ素含率が20〜60質量%となるように含フッ素ビニルモノマーを導入することが好ましく、より好ましくは25〜55質量%の場合であり、特に好ましくは30〜50質量%の場合である。
本発明では、共重合体は側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位を必須の構成成分として有するのが好ましい。これらの(メタ)アクリロイル基含有繰返し単位の組成比を高めれば皮膜強度は向上するが屈折率も高くなる。含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位の種類によっても異なるが、一般に(メタ)アクリロイル基含有繰返し単位は5〜90質量%を占めることが好ましく、30〜70質量%を占めることがより好ましく、40〜60質量%を占めることが特に好ましい。
本発明に有用な共重合体では上記含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位以外に、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜他のビニルモノマーを共重合することもできる。これらのビニルモノマーは目的に応じて複数を組み合わせてもよく、合計で共重合体中の0〜65モル%の範囲で導入されていることが好ましく、0〜40モル%の範囲であることがより好ましく、0〜30モル%の範囲であることが特に好ましい。
併用可能なビニルモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル等)、スチレン誘導体(スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−メトキシスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等)、アクリルアミド類(N、N−ジメチルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(N、N−ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリル等を挙げることができる。
本発明において下記一般式1又は一般式2で記載される、熱硬化性および/または電離放射線硬化性の含フッ素ポリマーが好ましく用いられる。
Figure 2007177192
一般式1中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を有していても良い。
好ましい例としては、*−(CH22−O−**,*−(CH22−NH−**,*−(CH24−O−**,*−(CH26−O−**,−(CH22−O−(CH22−O−**,*−CONH−(CH23−O−**,*−CH2CH(OH)CH2−O−**,*−CH2CH2OCONH(CH23−O−**(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表わす。
一般式1中、Xは水素原子またはメチル基を表す。硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
一般式1中、Aは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、ヘキサフルオロプロピレンと共重合可能な単量体の構成成分であれば特に制限はなく、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一あるいは複数のビニルモノマーによって構成されていても良い。
好ましい例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびその誘導体等を挙げることができるが、より好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。
x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表わし、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60、0≦z≦20の場合であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55、0≦z≦10の場合である。
本発明に用いられる含フッ素ポリマーとして一般式2も挙げられる。
Figure 2007177192
一般式2において、Rは炭素数1〜10のアルキル基、又は一般式1のエチレン性不飽和基(-O(C=O)C(-X)=CH2)を表す。
mは1≦m≦10の整数を表わし、1≦m≦6であることが好ましく、1≦m≦4であることが特に好ましい。
nは2≦n≦10の整数を表わし、2≦n≦6であることが好ましく、2≦n≦4であることが特に好ましい。
Bは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、単一組成であっても複数の組成によって構成されていても良い。また、シリコーン部位を含んでいても良い。
x、y、z1およびz2はそれぞれの繰返し単位のmol%を表わし、x及びyは、それぞれ30≦x≦60、0≦y≦70を満たし、好ましくは、35≦x≦55、0≦y≦60の場合であり、特に好ましくは40≦x≦55、0≦y≦55の場合である。z1及びz2については、1≦z1≦65、1≦z2≦65を満たし、好ましくは1≦z1≦40、1≦z2≦10であり、1≦z1≦30、1≦z2≦5であることが特に好ましい。ただし、x+y+z1+z2=100である。
一般式1又は2で表わされる共重合体の好ましい具体例としては、特開2004−45462号公報の[0035]〜[0047]に記載されたものを挙げることができ、該公報に記載の方法により合成することができる。
更に、本発明の含フッ素ポリマーは、防汚性を付与するために下記ポリシロキサン構造を有する構成単位を有することも好ましい。
本発明において好ましい、ポリシロキサン構造を有する含フッ素ポリマーとしては、(a)含フッ素ビニルモノマー重合単位、(b)水酸基含有ビニルモノマー重合単位、および(c)側鎖に下記一般式3で表されるポリシロキサン繰り返し単位を含んでなるグラフト部位を有する重合単位をそれぞれ少なくとも1種類含み、主鎖が炭素原子のみからなる含フッ素ポリマーが挙げられる。
一般式3
Figure 2007177192
一般式3中、R、Rは同一であっても異なっていてもよく、アルキル基又はアリール基を表す。アルキル基としては炭素数1〜4が好ましく、例としてメチル基、トリフルオロメチル基、エチル基等が挙げられる。アリール基としては炭素数6〜20が好ましく、例としてフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これらの中でもメチル基およびフェニル基が好ましく、特に好ましくはメチル基である。pは2〜500の整数を表わし、好ましくは5〜350であり、特に好ましくは8〜250の場合である。
側鎖に一般式3であらわされるポリシロキサン構造を有するポリマーは、例えばJ.Appl.Polym.Sci.2000,78,1955、特開昭56−28219号公報等に記載のごとく、エポキシ基、水酸基、カルボキシル、酸無水物基等の反応性基を有するポリマーに対して、相対する反応性基(例えばエポキシ基、酸無水物基に対してアミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、水酸基等)を片末端に有するポリシロキサン(例えばサイラプレーンシリーズ(チッソ株式会社製)など)を高分子反応によって導入する方法、ポリシロキサン含有シリコンマクロマーを重合させる方法によって合成することができ、どちらの方法も好ましく用いることができる。本発明ではシリコンマクロマーの重合によって導入する方法がより好ましい。
シリコンマクロマーとしては、含フッ素オレフィンとの共重合が可能な重合性基を有しているものであれば良く、好ましくは一般式4〜7のいずれかで表わされる構造である。
Figure 2007177192
一般式4〜7においてR、Rおよびpは一般式3と同じ意味を表し、好ましい範囲もそれらと同じである。R〜Rはそれぞれ独立に、置換または無置換の1価の有機基または水素原子を表わし、炭素数1〜10のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、オクチル基等)、炭素数1〜10のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基等)、炭素数6から20のアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基等)が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基が特に好ましい。Rは水素原子またはメチル基を表わす。Lは炭素数1〜20の任意の連結基を表わし、置換または無置換の直鎖、分岐または脂環式のアルキレン基、または置換または無置換のアリーレン基が挙げられるが、好ましくは、炭素数1〜20の無置換の直鎖アルキレン基であり、特に好ましくはエチレン基またはプロピレン基である。これらの化合物は例えば特開平6−322053号記載の方法で合成される。
一般式4〜7で表される化合物はどれも本発明に好ましく用いることができるが、これらの中でも特に含フッ素オレフィンとの共重合性の観点から一般式4、5または6で表わされる構造のものが好ましい。上記のポリシロキサン部位はグラフト共重合体中の0.01〜20質量%を占めることが好ましく、より好ましくは0.05〜15質量%の場合であり、特に好ましくは、0.5〜10%の場合である。
以下に本発明に有用な側鎖にポリシロキサン部位を含む重合体グラフト部位の重合単位の好ましい例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007177192
Figure 2007177192
Figure 2007177192
Figure 2007177192
Figure 2007177192
Figure 2007177192
Figure 2007177192
S−(36) サイラプレーン FM−0711 (チッソ(株)製)
S−(37) サイラプレーン FM−0721 (同上)
S−(38) サイラプレーン FM−0725 (同上)
該ポリシロキサン構造の導入によって、皮膜に防汚性、防塵性が付与されると供に、皮膜表面に滑り性が付与され耐傷性にも有利である。
以下に本発明で有用な含フッ素ポリマーの好ましい例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007177192
Figure 2007177192
Figure 2007177192
Figure 2007177192
Figure 2007177192
Figure 2007177192

Figure 2007177192
本発明に用いられる共重合体は特開2004−45462号公報に記載の方法により合成することができる。また、本発明に用いられる共重合体の合成は、上記以外の種々の重合方法、例えば溶液重合、沈澱重合、懸濁重合、沈殿重合、塊状重合、乳化重合によって水酸基含有重合体等の前駆体を合成した後、前記高分子反応によって(メタ)アクリロイル基を導入することによって行なうこともできる。重合反応は回分式、半連続式、連続式等の公知の操作で行なうことができる。
重合の開始方法はラジカル開始剤を用いる方法、電離放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二,「高分子合成方法」改定版,日刊工業新聞社,1971年や大津隆行、木下雅悦共著,「高分子合成の実験法」,化学同人,昭和47年,124〜154頁に記載されている。
上記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶剤は、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールのような種々の有機溶剤の単独あるいは2種以上の混合物でも良いし、水との混合溶媒としても良い。
重合温度は生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり0℃以下から100℃以上まで可能であるが、50〜100℃の範囲で重合を行なうことが好ましい。
反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は、1〜100kPa、特に、1〜30kPa程度が望ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。
得られたポリマーの再沈殿溶媒としては、イソプロパノール、ヘキサン、メタノール等が好ましい。
一方、本発明において低屈折率層形成に使用されるポリシロキサン含有ビニル単量体としては、下記一般式Iで表わされるものが好ましい。
Figure 2007177192
一般式Iにおいて、R1、R2は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。Pは10〜500の整数を表す。R3、R4、R5は同一であっても異なっていてもよく、水素原子または1価の有機基を表し、R6は水素原子またはメチル基を表す。Lは単結合または2価の連結基を表し、nは0または1を表す。
一般式IにおいてR1,R2は水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、アリール基を表わす。R1,R2は同一であっても異なっていてもよい。アルキル基としては炭素数1〜4が好ましく、例としてメチル基、トリフルオロメチル基、エチル基等が挙げられる。アリール基としては炭素数6〜20が好ましく、例としてフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これらの中でもメチル基およびフェニル基が好ましく、特に好ましくはメチル基である。R1,R2において置換していても良い置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル、エチル)、炭素数6〜10のアリール基(例えば、フェニル)、炭素数1〜6のアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ)、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル)、シアノ基、フッ素原子及び塩素原子が挙げられる。
pは10〜500の整数を表わし、好ましくは50〜300であり、特に好ましくは100〜250の場合である。
3〜R5はそれぞれ、置換または無置換の1価の有機基または水素原子を表わし、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、オクチル基等)、炭素数1〜10のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基等)、炭素数6〜20のアリール基(フェニル基、ナフチル基等)を表わし、より好ましくはフェニル基または炭素数1〜5のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。R3〜R5はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。R3〜R5の置換していても良い好ましい置換基としては、R1,R2の置換基として挙げたものと同じである。R6は水素原子またはメチル基を表わす。Lは、単結合または2価の連結基を表し、好ましくは炭素数1〜25からなるものであり、重合可能なビニル基を連結し得るものであれば特に制限はないが、より好ましくは下記一般式IIあるいは一般式IIIで表されるような構造を有する。nは0または1を表す。
Figure 2007177192
Figure 2007177192
上記一般式IIあるいは一般式IIIにおいてL’は置換もしくは無置換の直鎖、分岐もしくは脂環式のアルキレン基、または置換もしくは無置換のアリーレン基を表し、好ましくは炭素数1〜25のアルキレン基、またはアリーレン基であり、より好ましくは、炭素数1〜25の無置換の直鎖アルキレン基であり、特に好ましくはエチレン基またはプロピレン基である。L’の置換基としては、R1,R2の置換基として挙げたものが好ましい。
以下にポリシロキサン含有ビニル単量体から誘導される本発明に有用な側鎖にポリシロキサン部位を含む重合単位の好ましい例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007177192
Figure 2007177192
Figure 2007177192
Figure 2007177192
Figure 2007177192
Figure 2007177192
Figure 2007177192


含フッ素ポリマー本体に水酸基を含有する場合には、水酸基と反応しうる官能基を1分子内に2個以上有する硬化剤を用いることが好ましい。水酸基と反応しうる官能基を1分子内に2個以上有する硬化剤としては特に限定はなく、例えばポリイソシアネート類、イソシアネート化合物の部分縮合物、多量体や、多価アルコール、低分子量ポリエステル皮膜などとの付加物、イソシアネート基をフェノールなどのブロック化剤でブロックしたブロックポリイソシアネート化合物、アミノプラスト類、多塩基酸又はその無水物などを挙げることができる。これら硬化剤を用いる際には、水酸基含有のモノマーユニットの含率は2%以上80%以下が好ましく、更に好ましくは10%以上50%以下、最も好ましくは25%以上50%以下である。
水酸基と反応する硬化剤の中で、本発明では、保存時の安定性と架橋反応の活性の両立の観点、および形成される膜の強度の観点から、酸性条件下で水酸基含有化合物と架橋反応するアミノプラスト類が好ましい。アミノプラスト類としては、含フッ素ポリマー中に存在する水酸基と反応可能なアミノ基、すなわちヒドロキシアルキルアミノ基もしくはアルコキシアルキルアミノ基、又は窒素原子に隣接し、且つアルコキシ基で置換された炭素原子を含有する化合物であることが好ましい。具体的には、例えばメラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物等を挙げることができる。
上記メラミン系化合物は、一般にトリアジン環に窒素原子が結合した骨格を有する化合物として知られているもので、具体的にはメラミン、アルキル化メラミン、メチロールメラミン、アルコキシ化メチルメラミン等を挙げることができる。特に、メラミンとホルムアルデヒドを塩基性条件下で反応して得られるメチロール化メラミン及びアルコキシ化メチルメラミン、並びにその誘導体が好ましく、特に保存安定性からアルコキシ化メチルメラミンが特に好ましい。またメチロール化メラミン及びアルコシ化メチルメラミンについて特に制約はなく、例えば「プラスチック材料講座[8]ユリア・メラミン樹脂」(日刊工業新聞社)に記載されているような方法で得られる、各種樹脂の使用も可能である。
また上記尿素化合物としては、尿素の他、ポリメチロール化尿素その誘導体であるアルコキシ化メチル尿素、さらには環状尿素構造であるグリコールウリル骨格や2−イミダゾリジノン骨格を有する化合物も好ましい。前記尿素誘導体等のアミノ化合物についても前記「ユリア・メラミン樹脂」等に記載の各種樹脂の使用が可能である。
本発明において架橋剤として好適に用いられる化合物としては、含フッ素共重合体との相溶性の点から、特にメラミン化合物又はグリコールウリル化合物が好ましく、その中でも反応性の観点から、架橋剤が分子中に窒素原子を含有し、且つ該窒素原子に隣接するアルコキシ基で置換された炭素原子を2個以上含有する化合物であることが好ましい。特に好ましい化合物は下記H−1、H−2で表される構造を有する化合物、及びそれらの部分縮合体である。式中Rは炭素数1〜6のアルキル基又は水酸基を表す。
Figure 2007177192
含フッ素ポリマーに対するアミノプラストの添加量としては、共重合体100質量部当たり、1〜50質量部であり、好ましくは3〜40質量部であり、さらに好ましくは5〜30質量部である。1質量部以上であれば、本発明の特徴である薄膜としての耐久性を十分に発揮することができ、50質量部以下であれば、光学用途に利用する際に本発明における低屈折率層の特徴である低屈折率を維持できるので好ましい。硬化剤を添加しても屈折率を低く保つという観点からは、添加しても屈折率の上昇が少ない硬化剤が好ましく、その観点では上記化合物のうち、H−2で表される骨格を有する化合物がより好ましい。
本発明のフイルム形成において、特にアミノプラスト系硬化剤を添加する場合には、加熱および/又は光照射しながら含フッ素ポリマーの水酸基と前記硬化剤との架橋反応で膜を硬化することが好ましい。この系では酸により硬化が促進される為、硬化性樹脂組成物に、酸性物質を添加することが望ましいが、通常の酸を添加すると塗布液中でも架橋反応が進行してしまい、故障(ムラ、ハジキなど)の原因となる。従って、熱硬化系で保存安定性と硬化活性を両立するために、加熱により酸を発生する化合物を硬化触媒として添加することがより好ましい。
硬化触媒は、酸と有機塩基からなる塩であることが好ましい。酸としては、スルホン酸、ホスホン酸、カルボン酸など有機酸や硫酸、リン酸のような無機酸が挙げられ、ポリマーに対する相溶性の観点から有機酸がより好ましく、スルホン酸、ホスホン酸が更に好ましく、スルホン酸が最も好ましい。好ましいスルホン酸としては、p−トルエンスルホン酸(PTS)、ベンゼンスルホン酸(BS)、p−ドデシルベンゼンスルホン酸(DBS)、p−クロロベンゼンスルホン酸(CBS)、1,4−ナフタレンジスルホン酸(NDS)、メタンスルホン酸(MsOH)、ノナフルオロブタン−1−スルホン酸(NFBS)などが挙げられ、何れも好ましく用いることができる(( )内は略称)。
硬化触媒は、酸と組み合わせる有機塩基の塩基性および沸点によって大きく変化する。以下にそれぞれの観点から本発明で好ましく用いられる硬化触媒について説明する。
有機塩基の塩基性が低い方が加熱時の酸発生効率が高く、硬化活性の観点からは好ましいが、塩基性が低すぎると保存安定性が不十分になる。従って、適度な塩基性を有する有機塩基を用いることが好ましい。塩基性の指標として共役酸のpKaを用いて表すと、本発明で用いる有機塩基のpKaは5.0〜10.5である必要があり、6.0〜10.0であることがより好ましく、6.5〜10.0であることがさらに好ましい。有機塩基のpKaの値は水溶液中での値が化学便覧 基礎編(改訂5版、日本化学会編、丸善、20
04年)第2巻のII−334〜340頁に記載があるので、その中から適当なpKaを有する有機塩基を選ぶことができる。また、該文献に記載がなくても構造上適当なpKaを有すると推定できる化合物も好ましく用いることができる。下記表に該文献に記載の適当なpKaを有する化合物を示すが、本発明に好ましく用いることができる化合物はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007177192
有機塩基の沸点が低い方が加熱時の酸発生効率が高く、硬化活性の観点からは好ましい。従って、適度な沸点を有する有機塩基を用いることが好ましい。塩基の沸点としては、120℃以下であることが好ましく、115℃以下であることがより好ましく、80℃以下であることがさらに好ましく、70℃以下であることが特に好ましい。
本発明で好ましく用いることができる有機塩基としては例えば以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。( )内は沸点を示す。
b−3:ピリジン(115℃)、b−14:4−メチルモルホリン(115℃)、b−20:ジアリルメチルアミン(111℃)、b−19:トリエチルアミン(88.8℃)、b−21:t−ブチルメチルアミン(67〜69℃)、b−22:ジメチルイソプロピルアミン(66℃)、b−23:ジエチルメチルアミン(63〜65℃)、b−24:ジメチルエチルアミン(36〜38℃)。
本発明の有機塩基の沸点は35℃以上120℃以下である。これ以上の温度では耐擦傷性の悪化が生じ、また35℃未満では塗布液が不安定となる。沸点は35℃以上120℃以下であることがさらに好ましく、40℃以上115℃以下であることが最も好ましい。
本発明の酸触媒として用いる時には、前記酸と有機塩基からなる塩を単離して用いても良いし、酸と有機塩基を混合して溶液中で塩を形成させ、その溶液を用いても良い。また、酸、有機塩基とも1種類だけで用いても良いし、複数種類のものを混合して用いても良い。酸と有機塩基を混合して用いる時には、酸と有機塩基の当量比が1:0.9〜1.5となるように混合することが好ましく、1:0.95〜1.3であることがより好ましく、1:1.0〜1.1であることが好ましい。
この酸触媒の使用割合は、上記硬化性樹脂組成物中の含フッ素ポリマー100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部、更に好ましくは0.2〜3質量部である。
本発明では上述した熱酸発生剤の他に光照射により酸を発生する化合物、すなわち感光性酸発生剤をさらに添加しても良い。該感光性酸発生剤は当該硬化性樹脂組成物の塗膜に感光性を付与し、例えば、光等の放射線を照射することによって当該塗膜を光硬化させることを可能にする物質である。この感光性酸発生剤としては、例えば、(1)ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等の各種オニウム塩;(2)β−ケトエステル、β−スルホニルスルホンとこれらのα−ジアゾ化合物等のスルホン化合物;(3)アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等のスルホン酸エステル類;(4)スルホンイミド化合物類;(5)ジアゾメタン化合物類;(5)本発明のトリハロメチルトリアジン類;その他を挙げることができ、適宜使用することができる。
感光性酸発生剤は、単独で、又は2種以上を併用することができ、さらに前記熱酸発生剤と併用することもできる。感光性酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物中の含フッ素ポリマー100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部である。感光性酸発生剤の割合が該上限値以下であれば、得られる硬化膜の強度が優れたものとなり、透明性も良好なので好ましい。
尚、上記のオニウム化合物としては、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、イミニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アルソニウム塩、セレノニウム塩等が挙げられる。中でも、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、イミニウム塩が、光重合開始の光感度、化合物の素材安定性等の点から好ましい。例えば特開2002−29162号明細書の段落番号[0058]〜[0059]に記載の化合物等が挙げられる。
感光性酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部である。
その他、具体的な化合物や使用法として、例えば特開2005―43876号記載の内容などを用いることができる。
低屈折率層形成用の硬化性組成物は、(A)前記含フッ素ポリマー、(B)無機微粒子、(C)後述するオルガノシラン化合物を含有してなるのが好ましい。
<低屈折率層用無機微粒子>
本発明の反射防止フィルムにおいて、低屈折率層に好ましく用いることのできる無機微粒子について説明する。
無機微粒子の塗設量は、1mg/m2〜100mg/m2が好ましく、より好ましくは5mg/m2〜80mg/m2、更に好ましくは10mg/m2〜60mg/m2である。少なすぎると、耐擦傷性の改良効果が減り、多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化する。
該無機微粒子は、低屈折率層に含有させることから、低屈折率であることが望ましく、例えば、フッ化マグネシウム、シリカまたは中空シリカの微粒子が挙げられ、シリカまたは中空シリカの微粒子が好ましい。無機微粒子の平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上150%以下が好ましく、より好ましくは30%以上100%以下、さらに好ましくは35%以上80%以下、特に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、無機微粒子の粒径は30nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは30nm以上100nm以下であり、更に好ましくは35nm以上80nm以下であり、特に好ましくは、40nm以上60nm以下である。
無機微粒子の粒径が小さすぎると、耐擦傷性の改良効果が少なくなり、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する。無機微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。ここで、無機微粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定される。
低屈折率層の屈折率を低下させるために、中空のシリカ微粒子を用いることが好ましい。該中空シリカ微粒子は屈折率が1.17〜1.40であることが好ましく、より好ましくは1.17〜1.35、さらに好ましくは1.17〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体としての屈折率を表し、中空シリカ粒子を形成している外殻のシリカのみの屈折率を表すものではない。この時、粒子内の空腔の半径をa、粒子外殻の半径をbとすると、空隙率xは下記数式(I)で算出される。
(数式I) x=(4πa3/3)/(4πb3/3)×100
空隙率xは、好ましくは10〜60%、さらに好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。中空のシリカ粒子をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点から1.17未満の低屈折率の粒子は成り立たない。
なお、これら中空シリカ粒子の屈折率はアッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にて測定をおこなった。
中空シリカの製造方法は、例えば特開2001−233611や特開2002−79616に記載されている。特にシェルの内部に空洞を有している粒子で、そのシェルの細孔が閉塞されている粒子が特に好ましい。なお、これら中空シリカ粒子の屈折率は特開2002−79616に記載の方法で算出することができる。
中空粒子を用いた場合に好ましい該層の屈折率は1.20以上1.46以下であり、更に好ましくは1.25以上1.41以下であり、最も好ましくは1.30以上1.39以下である。
また、平均粒径が低屈折率層の厚みの25%未満である無機微粒子(「小サイズ粒径の無機微粒子」と称す)の少なくとも1種を上記の粒径の無機微粒子(「大サイズ粒径の無機微粒子」と称す)と併用することが好ましい。
小サイズ粒径の無機微粒子は、大サイズ粒径の無機微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ粒径の無機微粒子の保持剤として寄与することができる。
小サイズ粒径の無機微粒子の平均粒径は、低屈折率層が100nmの場合、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、10nm以上15nm以下が特に好ましい。このような無機微粒子を用いると、原料コストおよび保持剤効果の点で好ましい。
上述のように前記無機微粒子としては、平均粒径が上述のように低屈折率層の厚みの30〜100%であり、中空構造からなり、屈折率が上述のように1.17〜1.40であるものが特に好ましく用いられる。
無機微粒子は、分散液中あるいは塗布液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていても良い。中でもカップリング剤の使用が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。なかでも、シランカップリング処理が特に有効である。
前記カップリング剤は、低屈折率層の無機微粒子の表面処理剤として該層塗布液調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いられるが、該層塗布液調製時にさらに添加剤として添加して該層に含有させることが好ましい。
無機微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
次に、(C)オルガノシラン化合物について説明する。
<低屈折率層用オルガノシラン化合物>
前記硬化性組成物には、オルガノシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮
合物等(以下、得られた反応溶液を「ゾル成分」とも称する)を含有させることが、耐擦傷性の点で、特に反射防止能と耐擦傷性とを両立させる点で、好ましい。
このゾル成分は、前記硬化性組成物を塗布後、乾燥、加熱工程で縮合して硬化物を形成することにより低屈折率層のバインダーとして機能する。また、本発明においては、前記含フッ素ポリマーを有するので、活性光線の照射により3次元構造を有するバインダーが形成される。
前記オルガノシラン化合物は、下記一般式[A]で表されるものが好ましい。
一般式[A]
(R10m−Si(X)4-m
前記一般式[A]において、R10は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜6のものである。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基または加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のア
ルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びR2COO(R2は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCH3COO、C25COO等が挙げられる)で表される基が
挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
mは1〜3の整数を表し、好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。
10あるいはXが複数存在するとき、複数のR10あるいはXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、
芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
10が複数ある場合は、少なくとも一つが置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。
前記一般式[A]で表されるオルガノシラン化合物の中でも、下記一般式[B]で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物が好ましい。
一般式[B]
Figure 2007177192
前記一般式[B]において、R1は水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカル
ボニル基、シアノ基、フッ素原子、または塩素原子を表す。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、および塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、および塩素原子が更に好ましく、水素原子およびメチル基が特に好ましい。
Yは単結合もしくは *−COO−**, *−CONH−**又は *−O−**を表し、単結合、 *−COO−**および *−CONH−**が好ましく、単結合および *−COO−**が更に好ましく、 *−COO−**が特に好ましい。* は=C(R1)−に結合する位置を、**はLに結合する位置を表す。
Lは2価の連結鎖を表す。具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基が挙げられ、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基を有するアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
nは0または1を表す。Xが複数存在するとき、複数のXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。nとして好ましくは0である。
10は一般式[A]と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
Xは一般式[A]と同義であり、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
一般式[A]、一般式[B]の化合物は2種類以上を併用しても良い。以下に一般式[A]、一般式[B]で表される化合物の具体例を示すが、限定されるものではない。
Figure 2007177192
Figure 2007177192
これらのうち、(M−1)、(M−2)、および(M−5)が特に好ましい。
そして、前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物は、一般に前記オルガノシラン化合物を触媒の存在下で処理して製造されるものである。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類;Zr、Ti又はAlなどの金属を中心金属とする金属キレート化合物等が挙げられる。本発明においては、金属キレート化合物、無機酸類及び有機酸類の酸触媒を用いるのが好ましい。無機酸では塩酸、硫酸が好ましく、有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好
ましく、更には、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸が好ましく、特に、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、具体的には、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
金属キレート化合物としては、一般式R3OH(式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールとR4COCH2COR5(式中、R4は炭素数1〜10のアルキル基、R5は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti、Alから選ばれる金属を中心金属とするものであれば特に制限なく好適に用いることができる。この範疇であれば、2種以上の金属キレート化合物を併用しても良い。本発明に用いられる 金属キレート化合物は、一般式Zr(OR3p1(R4COCHCOR5p2、Ti(OR3q1(R4COCHCOR5q2、およびAl(OR3r1(R4COCHCOR5r2で表される化合物群から選ばれるものが好ましく、前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物の縮合反応を促進する作用をなす。
金属キレート化合物中のR3およびR4は、同一または異なってもよく炭素数1〜10のアルキル基、具体的にはエチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基などである。また、R5は、前記と同様の炭素数1〜10のアルキル基のほか、炭素数1〜10のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基などである。また、金属キレート化合物中のp1、p2、q1、q2、r1、およびr2は、それぞれp1+p2=4、q1+q2=4、r1+r2=3となる様に決定される整数を表す。
これらの金属キレート化合物の具体例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
また、本発明においては、前記硬化性組成物に、更にβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物が添加されることが好ましい。以下にさらに説明する。
本発明で使用されるのは、一般式R4COCH2COR5で表されるβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物であり、本発明に用いられる硬化性組成物の安定性向上剤として作用するものである。ここで、R4は炭素数1〜10のアルキル基、R5は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を表す。すなわち、前記金属キレート化合物(ジルコニウム、チタニウムおよび/またはアルミニウム化合物)中の金属原子に配位することにより、これらの金属キレート化合物によるオルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物の縮合反応を促進する作用を抑制し、得られる組成物の保存安定性を向上させる作用をなすものと考えられる。β−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物を構成するR4およびR5は、前記金属キレート化合物を構成するR4およびR5と同様である。
このβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘキサン−ジオンなどを挙げることができる。これらのうち、アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトンが好ましく、特にアセチルアセトンが好ましい。これらのβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することもできる。本発明においてβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物は、金属キレート化合物1モルに対し好ましくは2モル以上、より好ましくは3〜20モル用いられる。2モル未満では得られる組成物の保存安定性に劣るおそれがあり好ましいものではない。
前記オルガノシラン化合物の配合量は、低屈折率層の全固形分の0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜10質量%が最も好ましい。
前記オルガノシラン化合物は硬化性組成物(防眩層用、低屈折率層用等の塗布液)に直接添加してもよいが、前記オルガノシラン化合物をあらかじめ触媒の存在下に処理して前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物を調製し、得られた反応溶液(ゾル液)を用いて前記硬化性組成物を調整するのが好ましく、本発明においてはまず前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物および金属キレート化合物を含有する組成物を調製し、これにβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物を添加した液を防眩層もしくは低屈折率層の少なくとも1層の塗布液に含有せしめて塗設することが好ましい。
低屈折率層における、含フッ素ポリマーに対するオルガノシランのゾル成分の使用量は、5〜100質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、8〜35質量%が更に好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。使用量が少ないと本発明の効果が得にくく、使用量が多すぎると屈折率が増加したり、膜の形状・面状が悪化したりするので好ましくない。
本発明においては、膜強度の向上の点から、オルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物(ゾル)を添加することが好ましい。ゾルの好ましい添加量は、無機酸化物粒子の2〜200質量%が好ましく、5〜100質量%が更に好ましく、最も好ましくは、10〜50質量%である。
前記硬化性組成物には、上述した無機微粒子以外の無機微粒子を本発明の所望の効果を損なわない範囲の添加量で添加することもできる。無機微粒子の詳細については後述する。
[低屈折率層用硬化性組成物に含有するその他の物質]
前記硬化性組成物は、前述の(A)含フッ素ポリマー、(B)無機微粒子及び(C)オルガノシラン化合物に、必要に応じて各種添加剤および後述するラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤を添加し、更にこれらを適当な溶剤に溶解して作製される。この際固形分の濃度は、用途に応じて適宜選択されるが一般的には0.01〜60質量%程度であり、好ましくは0.5〜50質量%、特に好ましくは1%〜20質量%程度である。
低屈折率層と直接接する下層との界面密着性等の観点からは、多官能(メタ)アクリレート化合物、多官能エポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、アミノプラスト、多塩基酸またはその無水物等の硬化剤を少量添加することもできる。これらを添加する場合には低屈折率層皮膜の全固形分に対して30質量%以下の範囲とすることが好ましく、20質量%以下の範囲とすることがより好ましく、10質量%以下の範囲とすることが特に好ましい。
本発明においては、防汚性向上の観点から、反射防止膜表面の表面自由エネルギーを下げることが好ましい。具体的には、含フッ素化合物やポリシロキサン構造を有するシリコーン系化合物を低屈折率層に使用することが好ましい。
また、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のシリコーン系化合物あるいはフッ素系化合物の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することもできる。これらの添加剤を添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。
シリコーン系化合物の好ましい例としてはジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物鎖の末端および/または側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることが特に好ましく、3000〜30000であることが最も好ましい。シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることが特に好ましく、30.0〜37.0質量%であることが最も好ましい。
好ましいシリコーン系化合物の例としては信越化学(株)製、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−164B、X22−164C、X−22−170DX、X−22−176D、X−22−1821(以上商品名)やチッソ(株)製、FM−0725、FM−7725、FM−4421、FM−5521、FM6621、FM−1121やGelest製DMS−U22、RMS−033、RMS−083、UMS−182、DMS−H21、DMS−H31、HMS−301、FMS121、FMS123、FMS131、FMS141、FMS221(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、特開2003−112383号の表2、表3に記載のシリコーン系化合物も好ましく使用できる。これらのポリシロキサンは低屈折率層全固形分の0.1〜10質量%の範囲で添加されることが好ましく、特に好ましくは1〜5質量%の場合である。
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖(例えば−CF2CF3,−CH2(CF24H,−CH2(CF28CF3,−CH2CH2(CF24H等)であっても、分岐構造(例えば−CH(CF32,−CH2CF(CF32,−CH(CH3)CF2CF3,−CH(CH3)(CF25CF2H等)であっても
、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)であっても良く、エーテル結合を有していても良い(例えば−CH2OCH2CF2CF3,−CH2CH2OCH248H,−CH2CH2OCH2CH2817,−CH2CH2OCF2CF2OCF2
CF2H等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、さらに低屈折率層皮膜との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としてはダイキン化学工業(株)製、R−2020、M−2020、R−3833、M−3833(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF−171、F−172、F−179A、ディフェンサMCF−300(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
防塵性、帯電防止等の特性を付与する目的で、公知のカチオン系界面活性剤あるいはポリオキシアルキレン系化合物のような防塵剤、帯電防止剤等を適宜添加することもできる。これら防塵剤、帯電防止剤は前述したシリコーン系化合物やフッ素系化合物にその構造単位が機能の一部として含まれていてもよい。これらを添加剤として添加する場合には屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0.1〜5質量%の場合である。好ましい化合物の例としては大日本インキ(株)製、メガファックF−150(商品名)、東レダウコーニング(株)製、SH−3748(商品名)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
<低屈折率層用の溶剤>
本発明にかかる低屈折率層を形成するための塗布組成物に用いられる溶剤としては、各成分を溶解または分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で選ばれる各種の溶剤が使用できる。乾燥負荷の観点からは、常圧、室温における沸点が100℃以下の溶剤を主成分とし、乾燥速度の調整のために沸点が100℃以上の溶剤を少量含有することが好ましい。
沸点が100℃以下の溶剤としては、例えば、ヘキサン(沸点68.7℃)、ヘプタン(98.4℃)、シクロヘキサン(80.7℃)、ベンゼン(80.1℃)などの炭化水素類、ジクロロメタン(39.8℃)、クロロホルム(61.2℃)、四塩化炭素(76.8℃)、1,2−ジクロロエタン(83.5℃)、トリクロロエチレン(87.2℃)などのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル(34.6℃)、ジイソプロピルエーテル(68.5℃)、ジプロピルエーテル (90.5℃)、テトラヒドロフラン(66℃)などのエーテル類、ギ酸エチル(54.2℃)、酢酸メチル(57.8℃)、酢酸エチル(77.1℃)、酢酸イソプロピル(89℃)などのエステル類、アセトン(56.1℃)、2−ブタノン(メチルエチルケトンと同じ、79.6℃)などのケトン類、メタノール(64.5℃)、エタノール(78.3℃)、2−プロパノール(82.4℃)、1−プロパノール(97.2℃)などのアルコール類、アセトニトリル(81.6℃)、プロピオニトリル(97.4℃)などのシアノ化合物類、二硫化炭素(46.2℃)などがある。このうちケトン類、エステル類が好ましく、特に好ましくはケトン類である。ケトン類の中では2−ブタノンが特に好ましい。
沸点が100℃を以上の溶剤としては、例えば、オクタン(125.7℃)、トルエン(110.6℃)、キシレン(138℃)、テトラクロロエチレン(121.2℃)、クロロベンゼン(131.7℃)、ジオキサン(101.3℃)、ジブチルエーテル(142.4℃)、酢酸イソブチル(118℃)、シクロヘキサノン(155.7℃)、2−メチル−4−ペンタノン(MIBKと同じ、115.9℃)、1−ブタノール(117.7℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(166℃)、ジメチルスルホキシド(189℃)などがある。好ましくは、シクロヘキサノン、2−メチル−4−ペンタノンである。
上記含フッ素ポリマーおよび/又はポリシロキサン含有ビニル単量体の重合は、前述の活性ハロゲン化合物、他の光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
従って、上記含フッ素ポリマーおよび/又はポリシロキサン含有ビニル単量体、前述の活性ハロゲン化合物、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤、および無機微粒子を含有する塗液を調製し、該塗液を支持体上に塗布後、電離放射線または熱による重合反応により硬化して、低屈折率層を形成することができる。
ゾルゲル法による低屈折率層(態様2)について説明する。
低屈折率層用の素材として、各種ゾルゲル素材を用いることもできる。このようなゾルゲル素材としては、金属アルコレート(シラン、チタン、アルミニウム、ジルコニウム等のアルコレート)、オルガノアルコキシ金属化合物、およびその加水分解物を用いることができる。特に、アルコキシシラン、オルガノアルコキシシランおよびその加水分解物が好ましい。これらの例としては、テトラアルコキシシラン(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等)、アルキルトリアルコキシシラン(メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等)、アリールトリアルコキシシラン(フェニルトリメトキシシ
ラン等)、ジアルキルジアルコキシシラン、ジアリールジアルコキシシラン等が挙げられる。また、各種の官能基を有するオルガノアルコキシシラン(ビニルトリアルコキシシラン、メチルビニルジアルコキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジアルコキシシラン、β−(3,4−エポキジシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−クロロプロピルトリアルコキシシラン等)、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等)を用いることも好ましい。特にフッ素含有のシラン化合物を用いることは、層の低屈折率化および撥水・撥油性付与の点で好ましい。
低屈折率層として、無機もしくは有機の微粒子を用い、微粒子間または微粒子内のミクロボイドとして形成した層を用いることも好ましい。微粒子の平均粒径は、0.5〜200mmであることが好ましく、1〜100nmであることがより好ましく、3〜70nmであることがさらに好ましく、5〜40nmの範囲であることが最も好ましい。微粒子の粒径は、なるべく均一(単分散)であることが好ましい。
無機微粒子としては、非晶質であることが好ましい。無機微粒子は、金属の酸化物、窒化物、硫化物またはハロゲン化物からなることが好ましく、金属酸化物または金属ハロゲン化物からなることがさらに好ましく、金属酸化物または金属フッ化物からなることが最も好ましい。金属原子としては、Na、K、Mg、Ca、Ba、Al、Zn、Fe、Cu、Ti、Sn、In、W、Y、Sb、Mn、Ga、V、Nb、Ta、Ag、Si、B、Bi、Mo、Ce、Cd、Be、PbおよびNiが好ましく、Mg、Ca、BおよびSiがさらに好ましい。二種類の金属を含む無機化合物を用いてもよい。特に好ましい無機化合物は、二酸化ケイ素、すなわちシリカである。
無機微粒子内ミクロボイドは、例えば、粒子を形成するシリカの分子を架橋させることにより形成することができる。シリカの分子を架橋させると体積が縮小し、粒子が多孔質になる。ミクロボイドを有する(多孔質)無機微粒子は、ゾル−ゲル法(特開昭53−112732号、特公昭57−9051号の各公報記載)または析出法(APPLIED OPTICS、27、3356頁(1988)記載)により、分散物として直接合成することができる。
また、乾燥・沈澱法で得られた粉体を、機械的に粉砕して分散物を得ることもできる。市販の多孔質無機微粒子(例えば、二酸化ケイ素ゾル)を用いてもよい。ミクロボイドを有する無機微粒子は、低屈折率層の形成のため、適当な媒体に分散した状態で使用することが好ましい。分散媒としては、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)およびケトン(例、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)が好ましい。
有機微粒子も非晶質であることが好ましい。有機微粒子は、モノマーの重合反応(例えば乳化重合法)により合成されるポリマー微粒子であることが好ましい。有機微粒子のポリマーはフッ素原子を含むことが好ましい。ポリマー中のフッ素原子の割合は、35〜80重量%であることが好ましく、45〜75重量%であることがさらに好ましい。また、有機微粒子内に、例えば、粒子を形成するポリマーを架橋させ、体積を縮小させることによりミクロボイドを形成させることも好ましい。粒子を形成するポリマーを架橋させるためには、ポリマーを合成するためのモノマーの20モル%以上を多官能モノマーとすることが好ましい。多官能モノマーの割合は、30〜80モル%であることがさらに好ましく、35〜50モル%であることが最も好ましい。上記有機微粒子の合成に用いられるモノマーとしては、含フッ素ポリマーを合成するために用いるフッ素原子を含むモノマーの例として、フルオロオレフィン類(例、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、アクリル酸またはメタクリル酸のフッ素化アルキルエステル類およびフッ素化ビニルエーテル類が挙げられる。フッ素原子を含むモノマーとフッ素原子を含まないモノマーとのコポリマーを用いてもよい。フッ素原子を含まないモノマーの例としては、オレフィン類(例、エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン)、アクリル酸エステル類(例、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(例、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル)、スチレン類(例、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン)、ビニルエーテル類(例、メチルビニルエーテル)、ビニルエステル類(例、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル)、アクリルアミド類(例、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド)、メタクリルアミド類およびアクリルニトリル類が挙げられる。多官能モノマーの例としては、ジエン類(例、ブタジエン、ペンタジエン)、多価アルコールとアクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、多価アルコールとメタクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジメタクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート)、ジビニル化合物(例、ジビニルシクロヘキサン、1,4−ジビニルベンゼン)、ジビニルスルホン、ビスアクリルアミド類(例、メチレンビスアクリルアミド)およびビスメタクリルアミド類が挙げられる。
粒子間のミクロボイドは、微粒子を少なくとも2個以上積み重ねることにより形成することができる。なお、粒径が等しい(完全な単分散の)球状微粒子を最密充填すると、26体積%の空隙率の微粒子間ミクロボイドが形成される。粒径が等しい球状微粒子を単純立方充填すると、48体積%の空隙率の微粒子間ミクロボイドが形成される。実際の低屈折率層では、微粒子の粒径の分布や粒子内ミクロボイドが存在するため、空隙率は上記の理論値からかなり変動する。空隙率を増加させると、低屈折率層の屈折率が低下する。微粒子を積み重ねてミクロボイドを形成と、微粒子の粒径を調整することで、粒子間ミクロボイドの大きさも適度の(光を散乱せず、低屈折率層の強度に問題が生じない)値に容易に調節できる。さらに、微粒子の粒径を均一にすることで、粒子間ミクロボイドの大きさも均一である光学的に均一な低屈折率層を得ることができる。これにより、低屈折率層は微視的にはミクロボイド含有多孔質膜であるが、光学的あるいは巨視的には均一な膜にすることができる。粒子間ミクロボイドは、微粒子およびポリマーによって低屈折率層内で閉じていることが好ましい。閉じている空隙には、低屈折率層表面に開かれた開口と比較して、低屈折率層表面での光の散乱が少ないとの利点もある。
ミクロボイドを形成することにより、低屈折率層の巨視的屈折率は、低屈折率層を構成する成分の屈折率の和よりも低い値になる。層の屈折率は、層の構成要素の体積当りの屈折率の和になる。微粒子やポリマーのような低屈折率層の構成成分の屈折率は1よりも大きな値であるのに対して、空気の屈折率は1.00である。そのため、ミクロボイドを形成することによって、屈折率が非常に低い低屈折率層を得ることができる。
低屈折率層は、5〜50重量%の量のポリマーを含むことが好ましい。ポリマーは、微粒子を接着し、空隙を含む低屈折率層の構造を維持する機能を有する。ポリマーの使用量は、空隙を充填することなく低屈折率層の強度を維持できるように調整する。ポリマーの量は、低屈折率層の全量の10〜30重量%であることが好ましい。ポリマーで微粒子を接着するためには、(1)微粒子の表面処理剤にポリマーを結合させるか、(2)微粒子をコアとして、その周囲にポリマーシェルを形成するか、あるいは(3)微粒子間のバインダーとして、ポリマーを使用する、ことが好ましい。(1)の表面処理剤に結合させるポリマーは、(2)のシェルポリマーまたは(3)のバインダーポリマーであることが好
ましい。(2)のポリマーは、低屈折率層の塗布液の調製前に、微粒子の周囲に重合反応により形成することが好ましい。(3)のポリマーは、低屈折率層の塗布液にモノマーを添加し、低屈折率層の塗布と同時または塗布後に、重合反応により形成することが好ましい。上記(1)〜(3)のうちの二つまたはすべてを組み合わせて実施することが好ましく、(1)と(3)の組み合わせ、または(1)〜(3)すべてを組み合わせで実施することが特に好ましい。(1)表面処理、(2)シェルおよび(3)バインダーについて、順次説明する。
(1)表面処理
微粒子(特に無機微粒子)には、表面処理を実施して、ポリマーとの親和性を改善することが好ましい。表面処理は、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理と、カップリング剤を使用する化学的表面処理に分類できる。化学的表面処理のみ、または物理的表面処理と化学的表面処理の組み合わせで実施することが好ましい。カップリング剤としては、オルガノアルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。微粒子が二酸化ケイ素からなる場合は、シランカップリング剤による表面処理が特に有効に実施できる。具体的なシランカップリング剤の例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシジルオキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポシシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびβ−シアノエチルトリエトキシシランが挙げられる。
また、ケイ素に対して2置換のアルキル基を持つシランカップリング剤の例として、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルフェニルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシランおよびメチルビニルジエトキシシランが挙げられる。
これらのうち、分子内に二重結合を有するビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランおよびγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ケイ素に対して2置換のアルキル基を持つものとしてγ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシランおよびメチルビニルジエトキシシランが好ましく、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランおよびγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランおよびγ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシランが特に好ましい。
二種類以上のカップリング剤を併用してもよい。上記に示されるシランカップリング剤に加えて、他のシランカップリングを用いてもよい。他のシランカップリング剤には、オルトケイ酸のアルキルエステル(例、オルトケイ酸メチル、オルトケイ酸エチル、オルトケイ酸n−プロピル、オルトケイ酸i−プロピル、オルトケイ酸n−ブチル、オルトケイ酸sec-ブチル、オルトケイ酸t−ブチル)およびその加水分解物が挙げられる。カップリング剤による表面処理は、微粒子の分散物に、カップリング剤を加え、室温から60℃までの温度で、数時間から10日間分散物を放置することにより実施できる。表面処理反応を促進するため、無機酸(例、硫酸、塩酸、硝酸、クロム酸、次亜塩素酸、ホウ酸、オルトケイ酸、リン酸、炭酸)、有機酸(例、酢酸、ポリアクリル酸、ベンゼンスルホン酸、フェノール、ポリグルタミン酸)、またはこれらの塩(例、金属塩、アンモニウム塩)を、分散物に添加してもよい。
(2)シェル
シェルを形成するポリマーは、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることが好ましい。フッ素原子を主鎖または側鎖に含むポリマーが好ましく、フッ素原子を側鎖に含むポリマーがさらに好ましい。ポリアクリル酸エステルまたはポリメタクリル酸エステルが好ましく、フッ素置換アルコールとポリアクリル酸またはポリメタクリル酸とのエステルが最も好ましい。シェルポリマーの屈折率は、ポリマー中のフッ素原子の含有量の増加に伴い低下する。低屈折率層の屈折率を低下させるため、シェルポリマーは35〜80重量%のフッ素原子を含むことが好ましく、45〜75重量%のフッ素原子を含むことがさらに好ましい。フッ素原子を含むポリマーは、フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの重合反応により合成することが好ましい。フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの例としては、フルオロオレフィン(例、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、フッ素化ビニルエーテルおよびフッ素置換アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステルが挙げられる。
シェルを形成するポリマーは、フッ素原子を含む繰り返し単位とフッ素原子を含まない繰り返し単位からなるコポリマーであってもよい。フッ素原子を含まない繰り返し単位は、フッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。フッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーの例としては、オレフィン(例、エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン)、アクリル酸エステル(例、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル(例、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート)、スチレンおよびその誘導体(例、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン)、ビニルエーテル(例、メチルビニルエーテル)、ビニルエステル(例、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル)、アクリルアミド(例、N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド)、メタクリルアミドおよびアクリロニトリルが挙げられる。
後述する(3)のバインダーポリマーを併用する場合は、シェルポリマーに架橋性官能基を導入して、シェルポリマーとバインダーポリマーとを架橋により化学的に結合させてもよい。シェルポリマーは、結晶性を有していてもよい。シェルポリマーのガラス転移温度(Tg)が低屈折率層の形成時の温度よりも高いと、低屈折率層内のミクロボイドの維持が容易である。ただし、Tgが低屈折率層の形成時の温度よりも高いと、微粒子が融着せず、低屈折率層が連続層として形成されない(その結果、強度が低下する)場合がある。その場合は、後述する(3)のバインダーポリマーを併用し、バインダーポリマーにより低屈折率層を連続層として形成することが望ましい。微粒子の周囲にポリマーシェルを形成して、コアシェル微粒子が得られる。コアシェル微粒子中に無機微粒子からなるコアが5〜90体積%含まれていることが好ましく、15〜80体積%含まれていることがさらに好ましい。二種類以上のコアシェル微粒子を併用してもよい。また、シェルのない無機微粒子とコアシェル粒子とを併用してもよい。
(3)バインダー
バインダーポリマーは、飽和炭化水素またはポリエーテルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることがさらに好ましい。バインダーポリマーは架橋していることが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。架橋しているバインダーポリマーを得るためには、二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの例としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。ポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポシキ化合物の開環重合反応により合成することが好ましい。
二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりまたはそれに加えて、架橋性基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例としては、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が挙げられる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタンも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。また、本発明において架橋基とは、上記化合物に限らず上記官能基が分解した結果反応性を示すものであってもよい。バインダーポリマーの重合反応および架橋反応に使用する。
重合開始剤は、熱重合開始剤や、光重合開始剤が用いられるが、光重合開始剤の方がより好ましい。光重合開始剤の例としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類がある。アセトフェノン類の例としては、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが挙げられる。ベンゾイン類の例としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが挙げられる。ベンゾフェノン類の例としては、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノンが挙げられる。ホスフィンオキシド類の例としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが挙げられる。
尚、ハードコート層や防眩層で用いられる活性ハロゲン化合物も好ましく用いられる。
バインダーポリマーは、低屈折率層の塗布液にモノマーを添加し、低屈折率層の塗布と同時または塗布後に重合反応(必要ならばさらに架橋反応)により形成することが好ましい。低屈折率層の塗布液に、少量のポリマー(例、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリエステル、アルキド樹脂)を添加してもよい。
低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.46であることが好ましく、1.25〜1.46であることがより好ましく、1.30〜1.46であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜100nmであることがさらに好ましい。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な低屈折率層の強度は、500g荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、反射防止フィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90゜以上であることが好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。
[高(中)屈折率層]
本発明の反射防止フィルムには、より良い反射防止能を付与するために、高屈折率層及び/又は中屈折率層を設けることが好ましい。本発明の反射防止フィルムにおける高屈折率層の屈折率は、1.60乃至2.40であることが好ましく、1.70乃至2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55乃至1.80であることが好ましい。高屈折率層および中屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましい。屈折率は、添加する無機微粒子やバインダーの使用量などを調節することにより適宜調節できる。
高(中)屈折率層には、層の屈折率を高めるため、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒径が0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下である無機フィラーが含有されることが好ましい。
また、高(中)屈折率層に含有されるマット粒子との屈折率差を大きくするために、高屈折率マット粒子を用いた高(中)屈折率層では層の屈折率を低目に保つためにケイ素の酸化物を用いることも好ましい。好ましい粒径は前述のハードコート層における無機フィラーと同じである。
高(中)屈折率層に用いられる無機フィラーの具体例としては、TiO2、ZrO2、Al23、In23、ZnO、SnO2、Sb23、ITOとSiO2等が挙げられる。TiO2およびZrO2が高屈折率化の点で特に好ましい。該無機フィラーは表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
これらの無機フィラーの添加量は、必要な屈折率に合わせて調節するが、高屈折率層の場合、全質量の10〜90%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%であり、特に好ましくは30〜70%である。
なお、このようなフィラーは、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
本発明に用いる高(中)屈折率層は、前記のようにして分散媒体中に無機フィラーを分散した分散液に、好ましくは、さらにマトリックス形成に必要なバインダー前駆体(前述のハードコート層で説明した二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマー等)、前述の活性ハロゲン化合物等を加えて高屈折率層形成用の塗布組成物とし、支持体上に高屈折率層形成用の塗布組成物を塗布して、電離放射線硬化性化合物(例えば、多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)の架橋反応又は重合反応により硬化させて形成することが好ましい。
光重合性多官能モノマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。光ラジカル重合開始剤としては、前述の低屈折率層と同様のものが用いられる。
高(中)屈折率層には、前記の成分(無機フィラー、重合開始剤、光増感剤など)以外に、樹脂、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、防眩性付与粒子、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、導電性の金属微粒子、などを添加することもできる。
高(中)屈折率層の膜厚は用途により適切に設計することができる。高(中)屈折率層を光学干渉層として用いる場合、30〜200nmが好ましく、より好ましくは50〜170nm、特に好ましくは60〜150nmである。
[帯電防止層]
本発明の透明フィルムには、静電気の発生がなくゴミの付着防止や液晶ディスプレイなどに組みこまれた際の外部からの静電気障害を受けない効果を付与するために必要に応じて帯電防止層を設けてもよい。この場合の帯電防止層の性能としては透明フィルム形成後の表面抵抗が1012Ω/□以下となることが好ましい。しかし1012 Ω/□を超えたものであっても、帯電防止層を設けていないものに比べて、埃付着性を防止することができる。
帯電防止樹脂組成物に含まれる帯電防止剤には、例えば、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜第3アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性帯電防止剤、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基などのアニオン性基を有するアニオン系帯電防止剤、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系などの両性帯電防止剤、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系などのノニオン性の帯電防止剤、スズやチタンのアルコキシドのような有機金属化合物やそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物などの各種界面活性剤型帯電防止剤、さらには上記の如き帯電防止剤を高分子量化した高分子型帯電防止剤等が挙げられ、また、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基、金属キレート部を有し電離放射線により重合可能なモノマーやオリゴマー、同じく電離放射線により重合可能な官能基を持つカップリング剤のような有機金属化合物などの重合性帯電防止剤も使用できる。
帯電防止樹脂組成物に含まれる他の帯電防止剤として、粒子径が100nm以下の超微
粒子、例えば酸化スズ、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、インジウムドープ酸化亜鉛(AZO)、酸化アンチモン、酸化インジウムなどを用いることができる。特に、粒径が可視光線の波長以下の100nm以下とすることで、成膜後透明になり、透明フィルムの透明性を損なわないので好ましい。
上記帯電防止剤を、前記ハードコート層や防眩層を形成する塗料中に混合することで、帯電防止性能とハードコート性の2つの性質、同様に帯電防止性能と防眩性の2つの性質を同時に改善する塗膜を得ることが可能となる。
[支持体]
本発明の透明フィルムの支持体としては、透明であることが好ましく、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムを形成するポリマーとしては、セルロースアシレート(例、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、代表的には富士写真フイルム(株)製TAC−TD80U,TD80UFなど)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製)、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製)、などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、が好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。また、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素を実質的に含まないセルロースアシレートフィルムおよびその製造法については発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行)に記載されており、ここに記載されたセルロースアシレートも本発明に好ましく用いることができる。
[塗膜形成方法]
本発明の透明フィルム、特に反射防止フィルムは以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。
[反射防止フィルムの形成]
多層構成の反射防止フィルムの各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ダイコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許第2681294号明細書記載)により、塗布により形成することができるが、ダイコート法で塗布することが好ましく、更には後述する新規ダイコーターを用いて塗布を行うことがより好ましい。二層以上を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許第2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書および原崎勇次著「コーティング工学」朝倉書店(1973)253頁に記載がある。
本発明の反射防止フィルムを連続的に製造するために、ロール状の基材フィルムを連続的に送り出す工程、塗布液を塗布・乾燥する工程、塗膜を硬化する工程、硬化した層を有する基材フィルムを巻き取る工程が行われる。
ロール状の基材フィルムから基材フィルムがクリーン室に連続的に送り出され、クリーン室内で、基材フィルムに帯電している静電気を静電除電装置により除電し、引き続き基材フィルム上に付着している異物を、除塵装置により除去する。引き続きクリーン室内に設置されている塗布部で塗布液が基材フィルム上に塗布され、塗布された基材フィルムは乾燥室に送られて乾燥される。
乾燥した塗布層を有する基材フィルムは乾燥室から放射線硬化室へ送り出され、放射線が照射されて塗布層に含有されるモノマーが重合して硬化する。さらに、必要に応じて、放射線により硬化した層を有する基材フィルムは熱硬化部へ送られ、加熱されて硬化を完結させ、硬化が完結した層を有する基材フィルムは巻き取られてロール状となる。
上記工程は、各層の形成毎に行ってもよいし、塗布部−乾燥室−放射線硬化部−熱硬化室を複数設けて、各層の形成(塗設)を連続的に行うことも可能であるが、生産性の観点から各層の形成を連続的に行う事が好ましい。各層の塗布を連続的に行う装置の構成例を図5に示す。該装置はロール状の基材フィルムを連続的に送り出す工程1と、ロール状の基材フィルムを巻き取る工程2の間に製膜ユニット100,200,300,400を適宜必要な数だけ設置したものである。図5で示される装置は4層を巻き取ることなく連続的に塗布する際の構成の一例だが、層構成に合わせて製膜ユニット数を変化させることはもちろん可能である。製膜ユニット100は塗布液を塗布する工程101、塗膜を乾燥する工程102、塗膜を硬化する工程103から構成されている。
製膜ユニットが3つ設置された装置を用いて、前記ハードコート層を塗設したロール状の基材フィルムを連続的に送り出し、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を各製膜ユニットで順次塗設した後に巻き取る事が生産性の観点からより好ましく、製膜ユニットが4つ設置された、図5に示す装置を用いて、ロール状の基材フィルムを連続的に送り出し、ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を各製膜ユニットで順次塗設した後に巻き取る事が、塗布コストを大幅に低減する点で、更に好ましい。必要に応じて、塗布ステーションの数を2つに減らした装置構成として中屈折率層と高屈折率層の2層だけを一工程で形成し、面状、膜厚等をチェックした結果をフィードバックして得率を向上させたりすることも、別の好ましい形態として挙げられる。
本発明では、より高い生産速度の観点から、塗布方法として、ダイコート法が好ましく用いられる。ダイコート法は、生産性と塗布ムラのない面状を高次元で両立できるため、好ましく用いられる。
本発明の反射防止フィルムの製造方法としては、このようなダイコート法を用いた以下の塗布方法が好ましい。
すなわち、バックアップロールによって支持されて連続走行するウェッブの表面に、スロットダイの先端リップのランドを近接させて、先端リップのスロットから塗布液を塗布する塗布工程を有する製造方法であり、本発明では、スロットダイのウェッブ進行方向側の先端リップのウェッブ走行方向におけるランド長さが30μm以上100μm以下であるスロットダイを有し、スロットダイを塗布位置にセットしたときに、ウェッブの進行方向とは逆側の先端リップとウェッブとを、両者の隙間が、ウェッブ進行方向側の先端リップとウェッブとの隙間よりも30μm以上120μm以下(以下、この数値限定については「オーバーバイト長さ」と称する)大きくなるように設置した塗布装置を用いて塗布することが好ましい。
特に、本発明の製造方法において好ましく用いることができるダイコーターについて、以下に図面を参照して説明する。該ダイコーターは、ウエット塗布量が少ない場合(20ml/m2以下)に用いることが可能であり、好ましい。
<ダイコーターの構成>
図6は本発明を好適に実施できるスロットダイを用いたコーター(塗布装置)の断面図である。
コーター10は、バックアップロール11とスロットダイ13とからなり、バックアップロール11に支持されて連続走行するウェッブWに対して、スロットダイ13から塗布液14がビード形状14aで吐出されて塗布されることにより、ウェッブW上に塗膜14bを形成する。
スロットダイ13の内部には、ポケット15、スロット16が形成されている。ポケット15は、その断面が曲線及び直線で構成されており、略円形でもよいし、あるいは半円形でもよい。ポケット15は、スロットダイ13の幅方向(ここで、スロットダイ13の幅方向とは、図6の記載された図面に向かって手前方向又は奥側の方向を指す。)にその断面形状をもって延長された塗布液の液溜め空間で、その有効延長の長さは、塗布幅と同等か若干長めにするのが一般的である。ポケット15への塗布液14の供給は、スロットダイ13の側面から、あるいはスロット開口部16aとは反対側の面中央から行う。また、ポケット15には塗布液14が漏れ出ることを防止する栓が設けられている(図示せず)。
スロット16は、ポケット15からウェッブWへの塗布液14の流路であり、ポケット15と同様にスロットダイ13の幅方向にその断面形状をもち、ウェッブ側に位置する開口部16aは、一般に、図示しない幅規制板のようなものを用いて、概ね塗布幅と同じ長さになるように調整する。このスロット16のスロット先端における、バックアップロール11のウェッブW走行方向の接線とのなす角度は、30°以上90°以下が好ましい。
スロット16の開口部16aが位置するスロットダイ13の先端リップ17は先細り状に形成されており、その先端はランドと呼ばれる平坦部18とされている。このランド18であって、スロット16に対してウェッブWの進行方向の上流側(進行方向すなわち図中の矢印方向とは逆側)を上流側リップランド18a、下流側(進行方向側)を下流側リップランド18bと称する。
先端リップ17の形状は上流側に比べて下流側が伸びており(オーバーバイト形状)、その分上流側リップランド18aとウェッブWとの隙間は、下流側リップランド18bとウェッブWとの隙間よりも上述の範囲で大きい。また、下流側リップランドランド18bの長さは、上述の範囲である。
図7(A)を参照して上述した数値限定に関する部位について説明すると、ウェッブの進行方向側(下流側)のランド長さは、図7(A)のILOで示される部分であり、上記オーバーバイトの長さは、図7(A)のLOで示される部分である。
次に図7を参照して本発明の反射防止フィルムの製造方法の実施に好適に用いられる塗布装置と従来の塗布装置とを比較して説明する。ここで、図7は、スロットダイ13の断面形状を従来のものと比較して示すもので、(A)は本発明の実施に好適なスロットダイ13を示し、(B)は従来のスロットダイ30を示している。
従来のスロットダイ30では、上流側リップランド31aと下流側リップランド31bのウェッブとの距離は等しい。なお、符号32はポケット、33はスロットを示している。これに対して、本発明の実施に好適なスロットダイ13では、下流側リップランド長さILOが短くされており、これによって、湿潤膜厚が20μm以下の塗布を精度良くおこなうことができる。
上流側リップランド18aのランド長さIUPは特に限定はされないが、500μm〜1mmの範囲で好ましく用いられる。下流側リップランド18bのランド長さILOは、30μm以上100μm以下が好ましく、さらに好ましくは30μm以上80μm以下、最も好ましくは30μm以上60μm以下である。下流側リップのランド長さILOが30μm以上であれば、先端リップのエッジあるいはランドが欠けにくく、塗膜へのスジの発生を抑えることができ好ましい。また、下流側の濡れ線位置の設定がしやすい。さらには、塗布液の下流側における広がりを抑えることができ、好ましい。下流側における塗布液の濡れによる広がりは、濡れ線の不均一化を意味し、塗布面上にスジなどの不良形状を招くという問題につながる。一方、下流側リップのランド長さILOが100μm以下であれば、ビード14aを形成することができる。塗布液がビード14aを形成することにより、薄層塗布を行うことができる。
さらに、下流側リップランド18bは、上流側リップランド18aよりもウェッブWに近接したオーバーバイト形状であり、このため減圧度を下げることができて薄膜塗布に適したビード形成14aが可能となる。下流側リップランド18bと上流側リップランド18aのウェッブWとの距離の差(以下、オーバーバイト長さLOと称する)は30μm以上120μm以下が好ましく、さらに好ましくは30μm以上100μm以下、もっとも好ましくは30μm以上80μm以下である。スロットダイ13がオーバーバイト形状のとき、先端リップ17とウェッブWの隙間GLとは、下流側リップランド18bとウェッブWの隙間を示す。
次に、図8を参照して上記塗布工程全般について説明する。
図8は、本発明において好ましく実施される塗布工程におけるスロットダイ13及びその周辺を示す斜視図である。スロットダイ13に対しウェッブWの進行方向側とは反対側(すなわちビード14aより上流側)に、ビード14aに対して十分な減圧調整を行えるよう、接触しない位置に減圧チャンバー40を設置する。減圧チャンバー40は、その作動効率を保持するためのバックプレート40aとサイドプレート40bを備えており、バックプレート40aとウェッブWの間には隙間GB、サイドプレート40bとウェッブWの間には隙間GSが存在する。
減圧チャンバー40とウェッブWとの関係について図9及び図10を参照して説明する。図9及び図10は、近接している減圧チャンバー40とウェッブWを示す断面図である。
サイドプレート40bとバックプレート40aは図9のようにチャンバー40本体と一体のものであってもよいし、例えば、図10のように適宜隙間GBを変えられるようにバックプレート40aをチャンバー40にネジ40cなどで留められている構造でもよい。いかなる構造でも、バックプレート40aとウェッブWの間、サイドプレート40bとウェッブWの間に実際にあいている部分を、それぞれ隙間GB、GSと定義する。減圧チャンバー40のバックプレート40aとウェッブWとの隙間GBとは、減圧チャンバー40を図8のようにウェッブW及びスロットダイ13の下方に設置した場合、バックプレート40aの最上端からウェッブWまでの隙間を示す。
バックプレート40aとウェッブWとの隙間GBをスロットダイ13の先端リップ17とウェッブWとの隙間GL(図7(A)参照)よりも大きくして設置するのが好ましく、これによりバックアップロール11の偏心に起因するビード近傍の減圧度変化を抑制することができる。例えば、スロットダイ13の先端リップ17とウェッブWとの隙間GLが30μm以上100μm以下のとき、バックプレート40aとウェッブWの間の隙間GBは100μm以上500μm以下が好ましい。
<材質、精度>
前記ウェッブの進行方向側の先端リップのウェッブ走行方向における長さ(図7(A)に示す下流側リップランド長さILO)は、前述の範囲内とすることが好ましく、また、ILOのスロットダイ幅方向における変動幅を20μm以内とすることが好ましい。この範囲内であれば、かすかな外乱によってもビードが不安定になることがなく、好ましい。
スロットダイの先端リップの材質については、ステンレス鋼などのような材質を用いるとダイ加工の段階でだれてしまうため、好ましくない。ステンレス鋼などの場合、下流側リップランド長さILOを前記の30〜100μmの範囲にしても、先端リップの精度を満足することが困難である。高い加工精度を維持するには、特許第2817053号明細書に記載されているような超硬材質のものを用いることが好ましい。具体的には、スロットダイの少なくとも先端リップを、平均粒径5μm以下の炭化物結晶を結合してなる超硬合金にすることが好ましい。超硬合金としては、タングステンカーバイド(以下、WCと称す)などの炭化物結晶粒子をコバルトなどの結合金属によって結合したものなどがあり、結合金属としては他にチタン、タンタル、ニオブ及びこれらの混合金属を用いることも出来る。WC結晶の平均粒径としては、粒径3μm以下がさらに好ましい。
高精度な塗布の実現には、前記下流側リップランド長さILOが重要であり、さらに隙間GLのスロットダイ幅方向における変動幅を制御することが望ましい。前記バックアップロール11と前記先端リップ17とは、隙間GLのスロットダイ幅方向における変動幅を制御できる範囲内の真直度を達成することが望ましい。好ましくは、隙間GLのスロットダイ幅方向における変動幅が5μm以下になるように先端リップ17とバックアップロール11の真直度とすることである。
反射防止フィルムを積層構造とした場合、ゴミ、ほこり等の異物が存在したとき、輝点欠陥が目立ちやすい。本発明における輝点欠陥とは、前記したように目視により、塗膜上の反射で見える欠陥のことで、塗布後の反射防止フィルムの裏面を黒塗りする等の操作により目視で検出できる。目視により見える輝点欠陥は、一般的に50μm以上である。輝点欠陥が多いと製造時の得率が低下し、大面積の反射防止フィルムを製造することができない。
本発明の反射防止フィルムは、輝点欠陥の数が1平方メートル当たり20個以下、好ましくは10個以下、さらに好ましくは5個以下、特に好ましくは1個以下とする。
輝点欠陥の少ない反射防止フィルムを作成するためには、高屈折率層用塗布物中の高屈折率超微粒子分散度を精密に制御すること、および塗布液の精密濾過操作が挙げられる。と同時に、反射防止層を形成する各層は上記の塗布部における塗布工程および乾燥室で行われる乾燥工程が高い清浄度の空気雰囲気下で行われ、かつ塗布が行われる前に、フィルム上のゴミ、ほこりが充分に除かれていることが好ましい。塗布工程および乾燥工程の空気清浄度は、米国連邦規格209Eにおける空気清浄度の規格に基づき、クラス10(0.5μm以上の粒子が353個/(立方メートル)以下)以上であることが望ましく、更に好ましくはクラス1(0.5μm以上の粒子が35.5個/(立方メートル)以下)以上であることが望ましい。また、空気清浄度は、塗布−乾燥工程以外の送り出し、巻き取り部等においても高いことがより好ましい。
塗布が行われる前工程としての除塵工程に用いられる除塵方法として、特開昭59−150571号公報に記載のフィルム表面に不織布や、ブレード等を押しつける方法、特開平10−309553号公報に記載の清浄度の高い空気を高速で吹き付けて付着物をフィルム表面から剥離させ、近接した吸い込み口で吸引する方法、特開平7−333613号公報に記載される超音波振動する圧縮空気を吹き付けて付着物を剥離させ、吸引する方法(伸興社製、ニューウルトラクリーナー等)等の乾式除塵法が挙げられる。
また、洗浄槽中にフィルムを導入し、超音波振動子により付着物を剥離させる方法、特公昭49−13020号公報に記載されているフィルムに洗浄液を供給したあと、高速空気の吹き付け、吸い込みを行なう方法、特開2001−38306号公報に記載のように、ウェッブを液体でぬらしたロールで連続的に擦った後、擦った面に液体を噴射して洗浄する方法等の湿式除塵法を用いることができる。このような除塵方法の内、超音波除塵による方法もしくは湿式除塵による方法が、除塵効果の点で特に好ましい。
また、このような除塵工程を行う前に、基材フィルム上の静電気を除電しておくことは、除塵効率を上げ、ゴミの付着を抑える点で特に好ましい。このような除電方法としては、コロナ放電式のイオナイザ、UV、軟X線等の光照射式のイオナイザ等を用いることができる。除塵、塗布前後の基材フィルムの帯電圧は、1000V以下が望ましく、好ましくは300V以下、特に好ましくは、100V以下である。
<塗布用分散媒>
塗布用分散媒としては、特に限定されない。単独でも2種以上を混合して使用してもよい。好ましい分散媒体は、トルエン、キシレン、スチレン等の芳香族炭化水素類、クロルベンゼン、オルトージクロルベンゼン等の塩化芳香族炭化水素類、モノクロルメタン等のメタン誘導体、モノクロルエタン等のエタン誘導体等を含む塩化脂肪族炭化水素類、メタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、エチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、エチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、ノルマルヘキサン等の脂肪族炭化水素類、脂肪族または芳香族炭化水素の混合物等が該当する。これら溶媒の中でもケトン類の単独あるいは2種以上の混合により作成される塗布用分散媒が特に好ましい。
<塗布液の調整>
まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。その際、溶剤の揮発量を最小限に抑制することにより、塗布液中の含水率の上昇を抑制できる。塗布液中の含水率は5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。溶剤の揮発量の抑制は、各素材をタンクに投入後の攪拌時の密閉性を向上すること、移液作業時の塗布液の空気接触面積を最小化すること等で達成される。また、塗布中、或いはその前後に塗布液中の含水率を低減する手段を設けてもよい。
<濾過>
塗布に用いる塗布液は、塗布前に濾過することが好ましい。濾過のフィルターは、塗布液中の成分が除去されない範囲でできるだけ孔径の小さいものを使うことが好ましい。濾過には絶対濾過精度が0.1〜10μmのフィルターが用いられ、さらには絶対濾過精度が0.1〜5μmであるフィルタを用いることが好ましく用いられる。フィルターの厚さは、0.1〜10mmが好ましく、更には0.2〜2mmが好ましい。その場合、ろ過圧力は1.5MPa以下、より好ましくは1.0MPa以下、更には0.2MPa以下で濾過することが好ましい。
ろ過フィルター部材は、塗布液に影響を及ぼさなければ特に限定されない。具体的には、前記した無機化合物の湿式分散物のろ過部材と同様のものが挙げられる。
また、濾過した塗布液を、塗布直前に超音波分散して、脱泡、分散物の分散保持を補助することも好ましい。
特に防眩層を形成する塗布液中には、直接その上に形成される低屈折率層の乾燥膜厚(50nm〜120nm程度)に相当する異物を概ね全て(90%以上を指す)除去できるろ過をすることが好ましい。防眩性を付与する為の透光性微粒子が低屈折率層の膜厚と同等以上であるため、前記ろ過は、透光性微粒子以外の全ての素材を添加した中間液に対して行うことが好ましい。また、前記のような粒径の小さな異物を除去可能なフィルターが入手できない場合には、少なくとも直接その上に形成される層のウエット膜厚(1〜10μm程度)に相当する異物を概ね全て除去できるろ過をすることが好ましい。このような手段により、直接その上に形成される層の点欠陥を減少することができる。
<塗布液物性>
前記ダイコート法による塗布方式は液物性により塗布可能な上限の速度が大きく影響を受けるため、塗布する瞬間の液物性、特に粘度及び表面張力を制御する必要がある。
粘度については2.0[mPa・sec]以下であることが好ましく、更に好ましくは1.5[mPa・sec]以下、最も好ましくは1.0[mPa・sec]以下である。塗布液によってはせん断速度により粘度が変化するものもあるため、上記の値は塗布される瞬間のせん断速度における粘度を示している。塗布液にチキソトロピー剤を添加して、高せん断のかかる塗布時は粘度が低く、塗布液にせん断が殆どかからない乾燥時は粘度が高くなると乾燥時のムラが発生しにくくなり、好ましい。
また、液物性ではないが、ウェッブに塗り付けられる塗布液の量も塗布可能な上限の速度に影響を与える。ウェッブに塗り付けられる塗布液の量は2.0〜5.0[ml/m2]であることが好ましい。ウェッブに塗り付けられる塗布液の量を増やすと塗布可能な上限の速度が上がるため好ましいが、ウェッブに塗り付けられる塗布液の量を増やしすぎると乾燥にかかる負荷が大きくなるため、液処方・工程条件によって最適なウェッブに塗り付けられる塗布液の量を決めることが好ましい。
表面張力については、15〜36[mN/m]の範囲にあることが好ましい。レベリング剤を添加するなどして表面張力を低下させることは乾燥時のムラが抑止されるため好ましい。一方、表面張力が下がりすぎると塗布可能な上限の速度が低下してしまうため、17[mN/m]〜32[mN/m]の範囲がより好まく、19[mN/m]〜26[mN/m]の範囲が更に好ましい。
<ウエット塗布量>
防眩層を形成する際には、基材フィルム上に直接又は他の層を介してウエット塗布膜厚として6〜30μmの範囲で前記塗液を塗布するのが好ましく、乾燥ムラ防止の観点からさらに3〜20μmの範囲がより好ましい。また、低屈折率層を形成する際には、防眩層上に直接、或いは他の層を介してウエット塗布膜厚として1〜10μmの範囲で塗布組成物を塗布するのが好ましく、2〜5μmの範囲で塗布されるのがより好ましい。
<塗布速度>
上記の様なダイコート法を用いた製造方法は、高速塗布時における膜厚の安定性が高く前計量方式であるために高速塗布時でも安定した膜厚の確保が容易である。前述したようにウエット塗布量が少ない場合(20ml/m2以下)、低塗布量の塗布液に対して、該塗布方式は高速で膜厚安定性良く塗布が可能である。本発明の反射防止フィルムの製造方法においては、このようなダイコート法を用いた塗布方法が好ましい。ディップコート法は液受け槽中の塗布液振動が不可避であることから、段状のムラが発生しやすく、リバースロールコート法では、塗布に関連するロールの偏芯やたわみにより段状のムラが発生しやすく、さらに、これらの塗布方式は後計量方式であるため、安定した膜厚の確保が困難であるため、膜厚の安定性が高く前計量方式である上記したダイコート法による塗布方法を用いることが好ましい。上記のダイコート法による塗布方法を用い、25m/分以上で塗布することが生産性の面から好ましい。
[乾燥]
防眩層および低屈折率層は、基材フィルム上に直接又は他の層を介して塗布された後、溶剤を乾燥するために加熱されたゾーンにウェブで搬送される。その際の乾燥ゾーンの温度は25℃〜140℃が好ましく、乾燥ゾーンの前半は比較的低温であり、後半は比較的高温であることが好ましい。但し、各層の塗布組成物に含有される溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。例えば、紫外線硬化樹脂と併用される市販の光ラジカル発生剤のなかには120℃の温風中で数分以内にその数10%前後が揮発してしまうものもあり、また、単官能、2官能のアクリレートモノマー等は100℃の温風中で揮発が進行するものもある。そのような場合には、前記のように各層の塗布組成物に含有される溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。
また、各層の塗布組成物を基材フィルム上に塗布した後の乾燥風は、前記塗布組成物の固形分濃度が1〜50質量%の間は塗膜表面の風速が0.1〜2m/秒の範囲にあることが、乾燥ムラを防止するために好ましい。
また、各層の塗布組成物を基材フィルム上に塗布した後、乾燥ゾーン内で基材フィルムの塗布面とは反対の面に接触する搬送ロールと基材フィルムとの温度差が0℃〜20℃以内とすると、搬送ロール上での伝熱ムラによる乾燥ムラが防止でき、好ましい。
[硬化]
溶剤の乾燥ゾーンの後に、ウェブで電離放射線により各塗膜を硬化させるゾーンを通過させ、塗膜を硬化する。例えば塗膜が紫外線硬化性であれば、紫外線ランプにより10mJ/cm2〜1000mJ/cm2の照射量の紫外線を照射して各層を硬化するのが好ましい。その際、ウェブの幅方向の照射量分布は中央の最大照射量に対して両端まで含めて50〜100%の分布が好ましく、80〜100%の分布がより好ましい。更に表面硬化を促進する為に窒素ガス等をパージして酸素濃度を低下する必要がある際には、酸素濃度0.01体積%〜5体積%が好ましく、幅方向の分布は酸素濃度で2体積%以下が好ましい。
尚、本明細書において、電離放射線 とは、通常用いられている意味で用いており、物
質中を通過するときに励起やイオン化を引き起こす放射線、すなわち単に放射線とも呼んでいる粒子線及び電磁波を指しており、具体的にはα線、β線、γ線、高エネルギー粒子、中性子、電子線、光線(紫外線及び可視光線)などである。特に本発明に好ましい電離放射線 は、紫外線及び可視光線である。
また、防眩層の硬化率(100−残存官能基含率)が100%未満のある値となった場合、その上に本発明の低屈折率層を設けて電離放射線および/または熱により低屈折率層を硬化した際に下層の防眩層の硬化率が低屈折率層を設ける前よりも高くなると、防眩層と低屈折率層との間の密着性が改良され、好ましい。
[透明フィルムの特性]
本発明の透明フィルムについて特性値としては以下のようなものが好ましい。
<表面形状>
表面凹凸形状として、中心線平均粗さRaが0〜0.5μmであることが好ましく、0.01〜0.4μmが最も好ましく、10点平均粗さRzがRaの10倍以下、平均山谷距離Smが1〜100μm、凹凸最深部からの凸部高さの標準偏差が0.5μm以下、中心線を基準とした平均山谷距離Smの標準偏差が20μm以下、傾斜角0〜5度の面が10%以上となるように設計するのが、十分な防眩性と目視での均一なマット感が達成されるので、好ましい。Raが0.08未満では充分な防眩性が得られず、0.30を超えるとギラツキ、外光が反射した際の表面が白化する等の問題が発生する。
中心線平均粗さRa、10点平均粗さRz、平均山谷距離Smは、市販の表面粗さ計で測定できる。
<光学特性>
また、C光源下でのCIE1976L***色空間における反射光の色味がa*値−2〜2、b*値−3〜3、380nm〜780nmの範囲内での反射率の最小値と最大値の
比0.5〜0.99とするのが、反射光の色味がニュートラルとなるので、好ましい。またC光源下での透過光のb*値を0〜3とすると、表示装置に適用した際の白表示の黄色
味が低減され、好ましい。
また、本発明の透明フィルムは、その光学特性を内部散乱に起因するヘイズ(以後、内部ヘイズと呼称する)が5%〜20%であることが好ましく、5%〜15%であることがより好ましい。内部ヘイズが5%未満とするには、使用できる素材の組合せが限定され、防眩性その他の特性値の合わせこみが困難となり、また、高コストとなる。内部散乱が20%を超えると、暗室コントラストが大幅に悪化してしまう。
また、表面散乱に起因するヘイズ(以後、表面ヘイズと呼称する)が0%〜40%であることが好ましく、0%〜20%であることがより好ましく、更にくし幅0.5mmにおける透過像鮮明度5%〜30%とするのが、充分な防眩性と画像ボケ、暗室コントラスト低下の改善が両立されるので、好ましい。表面ヘイズが4%未満では防眩性が不足し、20%を超えると外光が反射した際に表面が白化する等の問題が発生する。また、鏡面反射率2.5%以下、透過率90%以上とするのが、外光の反射を抑制でき、視認性が向上するため、好ましい。
ヘイズ 値(曇価)は、JIS−K−7105に準じ、村上色彩技術研究所製HR−1
00を用いて測定出来る。
前記のようにして製造された本発明の透明フィルムは、公知の粘着剤を付けて各種公知のディスプレイ材料の表面フィルムとして用いたり、これを用いて偏光板を作成することにより液晶表示装置に用いることができる。この場合、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置する。本発明の透明フィルムを偏光板に用いる際には、偏光板における偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムのうち少なくとも1枚に用いることが好ましい。
本発明の上記フィルムが保護フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。また、特に、本発明の反射防止フィルムを画像表示装置の最表層に使用することにより、外光の映り込み等が防止され、耐擦傷性、脆性、防汚性等も優れた偏光板とすることができる。
本発明の透明フィルムを2枚の偏光膜の表面保護フィルムの内の一方として用いて偏光板を作成する際には、各々のフィルムにおける透明支持体の機能層を有する側とは反対の面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面を親水化することで、接着面における接着性を改良することが好ましい。
[鹸化処理]
本発明の透明フィルムを液晶表示装置に用いる場合、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置する。また、本発明の透明フィルムと偏光板と組み合わせて用いてもよい。透明基材がトリアセチルセルロースの場合は偏光板の偏光層を保護する保護フィルムとしてトリアセチルセルロースが用いられるため、本発明の反射防止フィルムをそのまま保護フィルムに用いることがコストの上では好ましい。
[鹸化処理]
(1)アルカリ液に浸漬する法
アルカリ液の中に透明フィルムを適切な条件で浸漬して、フィルム全表面のアルカリと反応性を有する全ての面を鹸化処理する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。アルカリ液は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。好ましい濃度は0.5〜3mol/Lであり、特に好ましくは1〜2mol/Lである。好ましいアルカリ液の液温は30〜75℃、特に好ましくは40〜60℃である。
前記の鹸化条件の組合せは比較的穏和な条件同士の組合せであることが好ましいが、透明フィルムの素材や構成、目標とする接触角によって設定することができる。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、透明支持体の防眩層あるいは反射防止層を有する表面と反対の表面が親水化される。偏光板用保護フィルムは、透明支持体の親水化された表面を偏光膜と接着させて使用する。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする接着層との接着性を改良するのに有効である。
鹸化処理は、防眩層や低屈折率層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が低いほど、偏光膜との接着性の観点では好ましいが、一方、浸漬法では同時に防眩層や低屈折率層を有する表面から内部までアルカリによるダメージを受ける為、必要最小限の反応条件とすることが重要となる。アルカリによる各層の受けるダメージの指標として、反対側の表面の透明支持体の水に対する接触角を用いた場合、特に透明支持体がトリアセチルセルロースであれば、好ましくは10度〜50度、より好ましくは30度〜50度、さらに好ましくは40度〜50度となる。50度以上では、偏光膜との接着性に問題が生じる為、好ましくない。一方、10度未満では、反射防止膜の受けるダメージが大きすぎる為、物理強度を損ない、好ましくない。
(2)アルカリ液を塗布する方法
上述の浸漬法における各膜へのダメージを回避する手段として、適切な条件でアルカリ液を防眩層や反射防止膜を有する表面と反対側の表面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましく用いられる。なお、この場合の塗布とは、鹸化を行う面に対してのみアルカリ液などを接触させることを意味し、塗布以外にも噴霧、液を含んだベルト等に接触させる、などによって行われることも含む。これらの方法を採ることにより、別途、アルカリ液を塗布する設備、工程が必要となるため、コストの観点では(1)の浸漬法に劣る。一方で、鹸化処理を施す面にのみアルカリ液が接触するため、反対側の面にはアルカリ液に弱い素材を用いた層を有することができる。例えば、蒸着膜やゾル−ゲル膜では、アルカリ液によって、腐食、溶解、剥離など様々な影響が起こるため、浸漬法では設けることが望ましくないが、この塗布法では液と接触しないため問題なく使用することが可能である。
前記(1)、(2)のどちらの鹸化方法においても、ロール状の支持体から巻き出して各層を形成後に行うことができるため、前述の各種フィルム製造工程の後に加えて一連の操作で行っても良い。さらに、同様に巻き出した支持体からなる偏光板との張り合わせ工程もあわせて連続で行うことにより、枚葉で同様の操作をするよりもより効率良く偏光板を作成することができる。
(3)防眩層、反射防止層をラミネートフィルムで保護して鹸化する方法
前記(2)と同様に、防眩層および/または低屈折率層がアルカリ液に対する耐性が不足している場合に、最終層まで形成した後に該最終層を形成した面にラミネートフィルムを貼り合せてからアルカリ液に浸漬することで最終層を形成した面とは反対側のトリアセチルセルロース面だけを親水化し、然る後にラミネートフィルムを剥離することができる。この方法でも、防眩層、低屈折率層へのダメージなしに偏光板保護フィルムとして必要なだけの親水化処理をトリアセチルセルロースフィルムの最終層を形成した面とは反対の面だけに施すことができる。前記(2)の方法と比較して、ラミネートフィルムが廃棄物として発生する半面、特別なアルカリ液を塗布する装置が不要である利点がある。
(4)防眩層まで形成後にアルカリ液に浸漬する方法
防眩層まではアルカリ液に対する耐性があるが、低屈折率層がアルカリ液に対する耐性不足である場合には、防眩層まで形成後にアルカリ液に浸漬して両面を親水化処理し、然る後に防眩層上に低屈折率層を形成することもできる。製造工程が煩雑になるが、特に低屈折率層がフッ素含有ゾル−ゲル膜等、親水基を有する場合には防眩層と低屈折率層との層間密着性が向上する利点がある。
(5)予め鹸化済のトリアセチルセルロースフィルムに防眩層や反射防止層を形成する方法
トリアセチルセルロースフィルムを予めアルカリ液に浸漬するなどして鹸化し、何れか一方の面に直接または他の層を介して防眩層、低屈折率層を形成してもよい。アルカリ液に浸漬して鹸化する場合には、防眩層または他の層と鹸化により親水化されたトリアセチルセルロース面との層間密着性が悪化することがある。そのような場合には、鹸化後、防眩層または他の層を形成する面だけにコロナ放電、グロー放電等の処理をすることで親水化面を除去してから防眩層または他の層を形成することで対処できる。また、防眩層または他の層が親水性基を有する場合には層間密着が良好なこともある。
[偏光板]
偏光板は、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムで主に構成される。本発明の透明フィルムは、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルム(偏光板用保護フィルム)のうち少なくとも1枚に用いることが好ましい。偏光板用保護フィルムは、前記のように防眩層や反射防止層を有する側とは反対側の透明支持体の表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面の水に対する接触角が10度〜50度の範囲にあることが好ましい。
本発明の透明フィルムが保護フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。また、特に、本発明の反射防止フィルムを最表層に使用することにより、外光の映り込み等が防止され、耐傷性、防汚性等も優れた偏光板とすることができる。
[光学補償層]
光学補償フィルムは、透明支持体上に光学異方性を有する光学補償層を有するフィルムである。透明支持体は、前述の透明フィルム等で使用されるものを用いることができる。
偏光板には光学補償層(位相差層)を設けることにより、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償層としては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、ディスコティック構造単位を有する化合物からなる光学異方性を有する層を有し、該ディスコティック化合物と透明支持体とのなす角度が透明支持体からの距離に伴って変化していることを特徴とする光学補償層が好ましい。
該角度は該ディスコティック化合物からなる光学異方性層の透明支持体面側からの距離の増加とともに増加していることが好ましい。
光学補償フィルムを偏光板保護フィルムとして用いる場合、光学補償フィルムの偏光膜と貼り合わせる側の表面が鹸化処理されていることが好ましく、前記の鹸化処理に従って実施することが好ましい。
[偏光膜]
偏光膜としては公知の偏光膜や、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜は以下の方法により作成される。
即ち、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸した偏光膜で、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内であり、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するようにフィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002−86554号公報の段落[0020]〜[0030]に詳しい記載がある。
<液晶表示装置>
本発明の透明フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用することができる。本発明の上記フィルムは透明支持体を有しているので、透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着して用いられる。
本発明の透明フィルムは、偏光膜の表面保護フィルムの片側として用いた場合、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。特に、大型液晶テレビ等の用途として、VA、IPS、OCB等で好ましく用いることができ、中小の精細度の低い表示装置用途であれば、TN、STN等にも好ましく用いることができる。大型液晶テレビ等の用途としては、表示画面の対角が20インチ以上であり、精細度がXGA以下(縦横比3:4の表示装置において1024×768以下)であるものに対して、特に好ましく用いることができる。
本発明の透明フィルムは、実質的に内部ヘイズがないことが好ましく、その場合、20インチで精細度がXGA(縦横比3:4の表示装置において1024×768)を超えるものに対してはギラツキが許容レベルを超える為、ギラツキを重視する場合には好ましくない。また、ギラツキの程度は画素の大きさと透明フィルム表面の表面凹凸形状との関係で発生するものであるため、表示装置の大きさが30インチになれば精細度がUXGA(縦横比3:4の表示装置において1600×1200)以下、40インチならば精細度がQXGA(縦横比3:4の表示装置において2048×1536)以下まで好ましくもちいることができる。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech.Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
VAモードの液晶セル用には、2軸延伸したトリアセチルセルロースフィルムを本発明の反射防止フィルムと組み合わせて作成した偏光板が好ましく用いられる。2軸延伸したトリアセチルセルロースフィルムの作製方法については、例えば特開2001−249223号公報、特開2003−170492号公報などに記載の方法を用いることが好ましい。
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置であり、米国特許第4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向しており、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。例えば「EL、PDP、LCDディスプレイ」東レリサーチセンター発行(2001)などに記載されている。
特にTNモードやIPSモードの液晶表示装置に対しては、特開2001−100043号公報等に記載されているように、視野角拡大効果を有する光学補償フィルムを偏光膜の裏表2枚の保護フィルムの内の本発明の反射防止フィルムとは反対側の面に用いることにより、1枚の偏光板の厚みで反射防止効果と視野角拡大効果を有する偏光板を得ることができ、特に好ましい。
ECBモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向しており、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。例えば「EL、PDP、LCDディスプレイ」東レリサーチセンター発行(2001)などに記載されている。
[実施例1]
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれによっていささかも限定して解釈されるものではない。
(ハードコート層用塗布液の調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌してハードコート層塗布液とした。
トリメチロールプロパントリアクリレート(ビスコート#295(大阪有機化学(株)製)750.0重量部に、質量平均分子量15000のポリグリシジルメタクリレート270.0質量部、メチルエチルケトン730.0質量部、シクロヘキサノン500.0質量部及び光重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)50.0質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用の塗布液を調製した。ポリグリシジルメタクリレートはメチルエチルケトン(MEK)中にグリシジルメタクリレート(東京化成工業(株)製)を溶解させ、熱重合開始剤V−65(和光純薬工業(株)製)を滴下しながら80℃で2時間反応させ、得られた反応溶液をヘキサンに滴下し、沈殿物を減圧乾燥して得た。
(二酸化チタン微粒子分散液の調製)
二酸化チタン微粒子としては、コバルトを含有し、かつ水酸化アルミニウムと水酸化ジルコニウムを用いて表面処理を施した二酸化チタン微粒子(MPT−129C、石原産業(株)製、TiO2:Co34:Al23:ZrO2=90.5:3.0:4.0:0.5重量比)を使用した。
この粒子257.1質量部に、下記分散剤41.1質量部、およびシクロヘキサノン701.8質量部を添加してダイノミルにより分散し、重量平均径70nmの二酸化チタン分散液を調製した。
分散剤
Figure 2007177192
(中屈折率層用塗布液の調製)
上記の二酸化チタン分散液99.1質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)68.0質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)3.6質量部、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1.2質量部、メチルエチルケトン279.6質量部およびシクロヘキサノン1049.0質量部を添加して攪拌した。十分に攪拌ののち、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して中屈折率層用塗布液を調製した。
(高屈折率層用塗布液の調製)
上記の二酸化チタン分散液469.8質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)40.0質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)3.3質量部、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1.1質量部、メチルエチルケトン526.2質量部、およびシクロヘキサノン459.6質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率層用の塗布液を調製した。
(低屈折率層用塗布液の調製)
本発明に係る本文記載の共重合体P−3をメチルイソブチルケトンに7質量%の濃度になるように溶解し、末端メタクリレート基含有シリコーン樹脂X−22−164C(信越化学工業(株)製)を固形分に対して3%、前記光ラジカル発生剤イルガキュア907(商品名)を固形分に対して5質量%(試料No.112のみ10質量%)添加し、低屈折率層用塗布液を調製した。
(反射防止フィルム101の作製)
膜厚80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD80UF、富士写真フイルム(株)製)上に、ハードコート層用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ8μmのハードコート層を形成した。
ハードコート層の上に、中屈折率層用塗布液、高屈折率層用塗布液、低屈折率層用塗布液を3つの塗布ステーションを有するグラビアコーターを用いて5〜100m/分の速度で連続して塗布した。
中屈折率層の乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら180W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度200mW/cm2、照射量200mJ/cm2の照射量とした。
硬化後の中屈折率層は屈折率1.630、膜厚67nmであった。
高屈折率層の乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm2、照射量400mJ/cm2の照射量とした。
硬化後の高屈折率層は屈折率1.905、膜厚107nmであった。
低屈折率層の乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が0.1体積%以下の雰囲気になるように窒素パージ(0.2m3の反応室に1.40m3/分の窒素ガスを使用)しながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度200mW/cm2、照射量200mJ/cm2の照射量とした。
硬化後の低屈折率層は屈折率1.440、膜厚85nmであった。このようにして、反射防止フィルム101を作製した。
低屈折率層の開始剤の種類および硬化条件を表2の条件に変え、試料102〜117を作製した。開始剤の量は当重量で置き換えた。窒素ガスの吹きつけは、UV照射室(反応室)直前に連続する前室を設け、膜面に直接不活性ガスがあたるようにノズルの位置を設置した。また前室のウェッブ入り口からは不活性ガスが吹き出るように照射室および前室の排気を調節した。ウェッブ入り口のウェッブの塗布層表面とのギャップは4mmとした。
なお塗布速度を変えた場合の紫外線照射量は、照度を変えることで照射量が一定になるように設定した。
Figure 2007177192
なお、上記例示化合物6等は、本明細書中に既に記載してあるものである。特に例示化合物6について、再度下に記す。
Figure 2007177192
得られたフィルムに対して、以下の項目の評価を行った。その結果を表3に示す。
[鏡面反射率]
分光硬度計V−550(日本分光(株)製)にアダプターARV−474を装着して380〜780nmの波長領域において入射角5度における出射角−5度の鏡面反射率を測定し、450nm〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価した。
[鉛筆硬度]
JIS K 5400に記載の鉛筆硬度評価を行った。反射防止フィルムを温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、JIS S 6006に規定するH〜5Hの試験用鉛筆を用いて、500gの荷重にて以下のとおりの判定で評価し、OKとなる最も高い硬度を評価値とした。
n=5の評価において傷なし〜傷1つ :OK
n=5の評価において傷が3つ以上 :NG
[スチールウール擦り耐性]
#0000のスチールウールに1.96N/cm2の荷重をかけ30往復したときの傷の状態を観察して、以下の5段階で評価した。
◎:傷が全くつかなかったもの
○:ほとんど見えない傷が少しついたもの
△:明確に見える傷がついたもの
×:明確に見える傷が顕著についたもの
××:膜の剥離が生じたもの
Figure 2007177192
活ハロゲン化合物を使用し、更に本発明に係る硬化条件で硬化することにより、反射防止フィルムは十分な反射防止性能を有しながら耐擦傷性にも優れていることがわかる。窒素吹きつけを行うことにより、反応室中の酸素濃度が同じでも耐擦傷性に優れている。
[実施例2]
実施例1の試料103、107、112の作製方法において、紫外線照射時のウェッブ温度を上げたことのみ異なる試料118〜126を作製し、同様の評価を行った。
ウェッブの塗布表面の温度は、ウェッブ裏面に接触している金属版の温度を変えることで調整した。
Figure 2007177192
本発明では、UV照射時の温度を60℃以上にあげることで、さらに優れた耐擦傷性が得られた。又、試料112では重合開始剤の使用量を10重量%とすることで加熱を要さず、40℃の低温でも優れた耐擦傷性が得られた。
[実施例3]
実施例1で作製した試料107において、紫外線照射の分割回数および紫外線照射間を窒素置換の有無を変えることにより、表5の試料127〜130を作製した。これらの試料に対し実施例1と同様の評価を行った。
なお紫外線照射の分割は、総照射量が一定になるように照度を調節した。結果を表6に示す。
紫外線照射を分割し、1回の照度をおとしても紫外線照射間を酸素濃度3体積%以下にすることで耐擦傷性の悪化がなくなり、高速生産適性があることが判った。
Figure 2007177192
Figure 2007177192
[実施例4]
試料112作製方法において、前室入り口のウェッブ表面とのギャップおよび入り口側の窒素ガスの流れを変え、さらに紫外線照射室内の酸素濃度が0.08%で一定になるようにパージ用窒素ガス量を調整し、試料131〜134を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
ギャップを狭めること、ウェッブ入り口側の窒素ガスがやや吹き出る用に排気を調節することで少量の窒素ガス量で、低酸素濃度を維持できることがわかる。
Figure 2007177192
[実施例5]
実施例1〜4において低屈折率層で用いた含フッ素ポリマーを本文記載のP−1、P−2にそれぞれ変え(等質量置き換え)同様の評価を行った結果、実施例1〜4と同様の効果が得られた。
[実施例6]
(ハードコート層用塗布液の調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌してハードコート層塗布液とした。
────────────────────────────────
ハードコート層用塗布液組成
────────────────────────────────
デソライトZ7404 100質量部
(ジルコニア微粒子含有ハードコート組成液:固形分濃度60wt%、
ジルコニア微粒子含量70wt%対固形分、平均粒子径約20nm、
溶剤組成MIBK:MEK=9:1、JSR(株)製)
DPHA (UV硬化性樹脂:日本化薬(株)製) 31質量部
KBM−5103 (シランカップリング剤:信越化学工業(株)製)
10質量部
KE−P150 (1.5μmシリカ粒子:日本触媒(株)製)
8.9質量部
MXS−300 (3μm架橋PMMA粒子:綜研化学(株)製)
3.4質量部
メチルエチルケトン(MEK) 29質量部
メチルイソブチルケトン(MIBK) 13質量部
────────────────────────────────
(低屈折率層用塗布液の調製)
実施例1と同様の方法により低屈折率層用塗布液を調製した。
(反射防止フィルム601の作製)
透明基材としてトリアセチルセルロースフィルム(TD80U、富士写真フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、上記のハードコート層用塗布液を線数135本/インチ、深度60μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度10m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量250mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、ハードコート層を形成し、巻き取った。硬化後、ハードコート層の厚さが3.6μmとなるようにグラビアロール回転数を調整した。
上記ハードコート層を塗設した透明基材を再び巻き出して、上記低屈折率層用塗布液を線数200本/インチ、深度30μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度10m/分の条件で塗布し、90℃で30秒乾燥の後、酸素濃度0.1体積%雰囲気下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm2、照射量400mJ/cm2の紫外線を照射し、低屈折率層を形成し、巻き取った。硬化後、低屈折率層の厚さが100nmとなるようにグラビアロール回転数を調整した。
低屈折率層の硬化条件を表8のように変え試料601〜617を作製した。
Figure 2007177192
これら試料に実施例1と同様の評価を行った。結果を表9に示す。
本発明に係る硬化方法により、反射防止性能を保ちつつ、優れた耐擦傷性が得られることがわかる。
Figure 2007177192
[実施例7]
実施例1〜6の低屈折率層を以下の低屈折率層A及びBにそれぞれ変更して、評価を行い、同様な本発明の効果を確認できた。
中空シリカ粒子を用いることで更に耐擦傷性が優れた低反射率の反射防止フィルムを作製することができた。
(ゾル液aの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート(ケロープEP−12、ホープ製薬(株)製)3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
(中空シリカ微粒子分散液の調製)
中空シリカ微粒子ゾル(粒子サイズ約40〜50nm、シエル厚6〜8nm、屈折率1.31、固形分濃度20%、主溶媒イソプロピルアルコール、特開2002−79616の調製例4に準じて粒子サイズを変更して作製)500部に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製、KBM−5103)30部、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート(ケロープEP−12、ホープ製薬(株)製)1.5部加え混合した後に、イオン交換水を9部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8部を添加し、中空シリカ分散液を得た。得られた中空シリカ分散液の固形分濃度は18質量%、溶剤乾燥後の屈折率は1.31であった
(低屈折率層用塗布液Aの調製)
DPHA 3.3g
中空シリカ微粒子分散液 40.0g
RMS−033 0.7g
例示化合物21 0.2g
ゾル液a 6.2g
メチルエチルケトン 290.6g
シクロヘキサノン 9.0g
(低屈折率層用塗布液Bの調製)
DPHA 1.4g
共重合体 P−3 5.6g
中空シリカ微粒子分散液 20.0g
RMS−033 0.7g
例示化合物21 0.2g
ゾル液a 6.2g
メチルエチルケトン 306.9g
シクロヘキサノン 9.0g
それぞれ使用した化合物を以下に示す。
KBM−5103:シランカップリング剤(信越化学工業(株)製)。
DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(日本化薬(株)製)
RMS−033:反応性シリコーン(Gelest(株)製)
[実施例8]
実施例1〜7の低屈折率層を以下の低屈折率層C、Dにそれぞれ変更して、評価を行い、同様な本発明の効果を確認できた。また低屈折率層CのオプスターJN7228Aをこれに対して架橋度を高めたJTA113(JSR(株)製)に等重量で置き換えた低屈折率層でも同様の効果が得られた。
(ゾル液aの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM5103(商品名);信越化学工業社製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート(ケロープEP−12、ホープ製薬(株)製)3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1800であり、
オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
(低屈折率層用塗布液Cの調製)熱硬化+電離放射線硬化系用
熱架橋性含フッ素ポリマーJN-7228(6%-メチルエチルケトン(MEK))
50.9g
MEK-ST-L (30.0%/MEK) 5.4g
ゾル液a(29%/MEK) 2.5g
開始剤:例示化合物21(2.0%/MEK) 2.8g
メチルエチルケトン 38.4g
シクロヘキサノン 2.8g
上記混合添加により低屈折率層用塗布液を調製した。
(低屈折率層用塗布液Dの調製)熱硬化+電離放射線硬化系用
本発明に記載の共重合体P−43(30%/MEK)
20.1g
MEK-ST-L(30.0%/MEK) 5.4g
ゾル液a(29%/MEK) 2.5g
サイメル303(10.0%/MEK) 5.3g
キャタリスト4050(1.0%/MEK) 5.1g
開始剤:例示化合物21(2.0%/MEK) 2.8g
メチルエチルケトン 54.6g
シクロヘキサノン 2.8g
上記混合添加により低屈折率層用塗布液を調製した。
JN−7228:熱架橋性含フッ素ポリマー(屈折率1.42、固形分濃度6%、JSR(株)製)
JTA−113:熱架橋性含フッ素ポリマー(屈折率1.44、固形分濃度6%、JSR(株)製)
MEK−ST−L:シリカゾル(シリカ、MEK−STの粒子サイズ違い、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)
「サイメル303」:メチロール化メラミン、日本サイテックインダストリーズ(株)製
「キャタリスト4050」:p-トルエンスルホン酸のトリメチルアンモニウム塩、日本サイテックインダストリーズ(株)製
上記低屈折率層用塗布液C、Dを線数200本/インチ、深度30μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、搬送速度10m/分の条件で塗布し、120℃で150秒乾燥の後、更に110℃で10分間加熱硬化させてから窒素パージ下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度200mW/cm2、照射量450mJ/cm2の紫外線を照射し、低屈折率層を形成し、巻き取った。硬化後、低屈折率層の厚さが100nmとなるようにグラビアロール回転数を調整した。
[実施例9]
(偏光板用保護フィルムの作製)
1.5 mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を50℃に保温した鹸化液を調整した。
さらに、0.005mol/Lの希硫酸水溶液を調製した。
実施例1〜8で作製した本発明に係る反射防止フィルムにおいて、それぞれ低屈折率層を有する側とは反対側の透明基材の表面を、上記鹸化液を用いて鹸化処理した。
鹸化処理した透明基材表面の水酸化ナトリウム水溶液を、水で十分に洗浄した後、上記の希硫酸水溶液で洗浄し、さらに希硫酸水溶液を水で十分に洗浄し、100℃で十分に乾燥させた。
反射防止フィルムの低屈折率層を有する側とは反対側の、鹸化処理した透明基材の表面の水に対する接触角を評価したところ、40度以下であった。このようにして、偏光板用保護フィルムを作製した。
(偏光板の作製)
膜厚75μmのポリビニルアルコールフィルム((株)クラレ製)を水1000質量部、ヨウ素7質量部、ヨウ化カリウム105質量部からなる水溶液に5分間浸漬し、ヨウ素を吸着させた。
次いで、このフィルムを4質量%ホウ酸水溶液中で、4.4倍に縦方向に1軸延伸をした後、緊張状態のまま乾燥して偏光膜を作製した。
接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の一方の面に本発明の反射防止フィルム(偏光板用保護フィルム)の鹸化処理したトリアセチルセルロース面を貼り合わせた。さらに、偏光膜のもう片方の面には上記と同様にして鹸化処理したトリアセチルセルロースフィルムを同じポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせた。
(画像表示装置の評価)
このようにして作製した本発明の偏光板を反射防止フィルムがディスプレイの最表面になるように装着したTN,STN,IPS,VA,OCBのモードの透過型、反射型、又は、半透過型の液晶表示装置は、反射防止性能に優れ、極めて視認性が優れていた。特にVAモードにおいてその効果は顕著であった。
[実施例10]
(偏光板の作製)
光学補償層を有する光学補償フィルム(ワイドビューフィルムSA 12B、富士写真フイルム(株)製)において、光学補償層を有する側とは反対側の表面を実施例9と同様の条件で鹸化処理した。
実施例9で作製した偏光膜に、接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の一方の面に、実施例1〜7で作製した本発明に係る反射防止フィルム(偏光板用保護フィルム)の鹸化処理したトリアセチルセルロース面をそれぞれ貼り合わせた。さらに、偏光膜のもう片方の面には鹸化処理した光学補償フィルムのトリアセチルセルロース面を同じポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせた。
(画像表示装置の評価)
このようにして作製した本発明の偏光板を反射防止フィルムがディスプレイの最表面になるように装着したTN,STN,IPS,VA,OCBのモードの透過型、反射型、又は、半透過型の液晶表示装置は、光学補償フィルムを用いていない偏光板を装着した液晶表示装置よりも明室でのコントラストに優れ、上下左右の視野角が非常に広く、さらに、反射防止性能に優れ、極めて視認性と表示品位が優れていた。
特にVAモードにおいてその効果は顕著であった。
[実施例11]
実施例1の反射防止フィルムの作製方法において、低屈折率層の塗布液処方を下記LL−61に変え、下記ダイコーターを用いて25m/minの塗布速度で塗布した。その後90℃で30秒間乾燥した後、酸素濃度が0.1体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm2、照射量400mJ/cm2の紫外線を照射し、低屈折率層(屈折率1.45、膜厚83nm)を形成した。このようにして、反射防止フィルム(11―1)を作製した。
さらに低屈折率層塗布液を下記LL−62〜65に変えることで反射防止フィルム(11−2)〜(11−5)を作製した。
(ダイコーターの構成)
スロットダイ13は、上流側リップランド長IUPが0.5mm、下流側リップランド長ILOが50μmで,スロット16の開口部のウェッブ走行方向における長さが150μm、スロット16の長さが50mmのものを使用した。上流側リップランド18aとウェッブ12の隙間を、下流側リップランド18bとウェッブ12の隙間よりも50μm長くし(以下、オーバーバイト長さ50μmと称する)、下流側リップランド18bとウェッブ12との隙間GLを50μmに設定した。また、減圧チャンバー40のサイドプレート40bとウェッブ12との隙間GS、及びバックプレート40aとウェッブ12との隙間GBはともに200μmとした。
(低屈折率層用塗布液(LL−61)の調製)
下記の含フッ素共重合体をメチルエチルケトンに23.7質量%の濃度になるように溶解した溶液152.4質量部、末端メタクリレート基含有シリコーン樹脂X−22−164C(信越化学(株)製)1.1質量部、活性ハロゲン化合物(例示化合物6)1.8質量部、メチルエチルケトン815.9質量部、およびシクロヘキサノン28.8質量部を添加して攪拌した。孔径0.45μmのPTFE製フィルターで濾過して低屈折率層用塗布液(LL−61)を調製した。該塗布液の粘度は0.61[mPa・sec]、表面張力は24[mN/m]であり、透明支持体に塗り付けられる塗布液の量は2.8[ml/m2]とした。
尚、塗布液の粘度は、温度25±0.5℃の環境下で小型振動式年度計{エー・アンド・デイ(株)製、“CJV5000”}を用いて測定した。また、表面張力は、温度25℃の環境下で表面張力計{協和界面科学(株)製、“KYOWA CBVP SURFACE TENSIOMETER A3”}を用いて測定した。
含フッ素共重合体
Figure 2007177192
(低屈折率層用塗布液(LL−62)の調製)
上記の含フッ素共重合体をメチルエチルケトンに23.7質量%の濃度になるように溶解した溶液426.6質量部、末端メタクリレート基含有シリコーン樹脂X−22−164C(信越化学(株)製)3.0質量部、活性ハロゲン化合物(例示化合物6)5.1質量部、メチルエチルケトン538.6質量部、およびシクロヘキサノン26.7質量部を添加して攪拌した。孔径0.45μmのPTFE製フィルターで濾過して低屈折率層用塗布液(LL−62)を調製した。該塗布液の粘度は1.0[mPa・sec]、表面張力は24[mN/m]であり、透明支持体に塗り付けられる塗布液の量は1.5[ml/m2]とした。
(低屈折率層用塗布液(LL−63)の調製)
上記の含フッ素共重合体をメチルエチルケトンに23.7質量%の濃度になるように溶解した溶液213.3質量部、末端メタクリレート基含有シリコーン樹脂X−22−164C(信越化学(株)製)1.5質量部、活性ハロゲン化合物(例示化合物6)2.5質量部、メチルエチルケトン754.3質量部、およびシクロヘキサノン28.4質量部を添加して攪拌した。孔径0.45μmのPTFE製フィルターで濾過して低屈折率層用塗布液(LL−63)を調製した。該塗布液の粘度は0.76[mPa・sec]、表面張力は24[mN/m]であり、透明支持体に塗り付けられる塗布液の量は2.0[ml/m2]とした。
(低屈折率層用塗布液(LL−64)の調製)
上記の含フッ素共重合体をメチルエチルケトンに23.7質量%の濃度になるように溶解した溶液85.3質量部、末端メタクリレート基含有シリコーン樹脂X−22−164C(信越化学(株)製)0.6質量部、活性ハロゲン化合物(例示化合物6)1.0質量部、メチルエチルケトン883.7質量部、およびシクロヘキサノン29.3質量部を添加して攪拌した。孔径0.45μmのPTFE製フィルターで濾過して低屈折率層用塗布液(LL−64)を調製した。該塗布液の粘度は0.49[mPa・sec]、表面張力は24[mN/m]であり、透明支持体に塗り付けられる塗布液の量は5.0[ml/m2]とした。
(低屈折率層用塗布液(LL−65)の調製)
上記の含フッ素共重合体をメチルエチルケトンに23.7質量%の濃度になるように溶解した溶液71.1質量部、末端メタクリレート基含有シリコーン樹脂X−22−164C(信越化学(株)製)0.5質量部、活性ハロゲン化合物(例示化合物6)0.8質量部、メチルエチルケトン898.1質量部、およびシクロヘキサノン29.5質量部を添加して攪拌した。孔径0.45μmのPTFE製フィルターで濾過して低屈折率層用塗布液(LL−65)を調製した。該塗布液の粘度は0.46[mPa・sec]、表面張力は24[mN/m]であり、透明支持体に塗り付けられる塗布液の量は6.0[ml/m2]とした。
低屈折率層用塗布液をLL−61〜LL−65に変えた際の面状を評価した。結果を表10に示す。透明支持体に塗り付けられる塗布液の量が2ml/m2以上では塗布液の塗り付けが可能であるが、1.5ml/m2では全面均一に塗り付けることが出来ず、反射防止フィルムを作成することができなかった。また、透明支持体に塗り付けられる塗布液の量が6ml/m2の時は塗り付けは可能であるが、塗布液の量が多いため乾燥が間に合わず、風に起因する縦スジ状のムラが全面に発生した。
[反射防止フィルムの評価]
得られた反射防止フィルムについて面状を評価した。また実施例1と同様にして平均反射率を測定した。
(面状)
全層塗布した後のフィルム1m2の裏面をマジックインキで黒塗りした後、塗布面の濃度の均一性を目視で評価した。
○:濃淡差が目立たない
×:濃淡差が目立つ
得られた反射防止フィルム(11−1)、(11−3)、(11−4)を実施例9,10と同様の手順で表示装置を作成したところ、グラビアコーターで作製した実施例9、10の表示装置よりも色ムラも少なく、高品位であった。
Figure 2007177192
[実施例12]
下流側リップランド長IL0を10μm、30μm、70μm、100μm、120μmにした他は反射防止フィルム(11−1)と同様にして反射防止フィルム(12−1)〜(12−5)を作製した。結果を表11に示す。下流側リップランド長が30μmから100μmの範囲で面状故障の発生しない反射防止フィルムが得られる。反射防止フィルム(12−1)ではベース長手方向にスジ状のムラが発生し、反射防止フィルム(12−5)では反射防止フィルム(12−1)と同様のスピードではビード14aの形成ができず、塗布不可能であった。塗布速度を半分に落とすことで塗布は可能となったが、ベース長手方向にスジ状のムラが発生した。反射防止フィルム(12−2)〜(12−4)を実施例9,10と同様の手順で表示装置を作成したところ、背景の映りこみが極めて少なく、反射光の色味が著しく低減され、更に表示面内の均一性が確保された表示品位の非常に高い表示装置が得られた。一方、反射防止フィルム(12−1)及び(12−5)で得られた反射防止フィルムを実施例9、10と同様の手順で表示装置を作成すると、表示装置内に色味ムラが視認され、高品位とは言えない。
Figure 2007177192
[実施例13]
ダイコーターのオーバーバイト長さLOを0μm、30μm、70μm、120μm、150μmとした他は、(11−1)と同様に塗布を行い、反射防止フィルム(13−1)〜(13−5)を作成した。結果を表12に示す。オーバーバイト長さが30μmから120μmまでの範囲で面状故障の発生しない反射防止フィルムが得られる。反射防止フィルム(13−1)では塗布は可能であったが、面状を見るとベース幅方向に段状ムラが認められた。また、反射防止フィルム(13−5)では(13−1)と同様のスピードではビード14aの形成ができず、塗布不可能であった。塗布速度を半分に落とすことで塗布は可能となったが、ベース長手方向にスジ状のムラが発生した。反射防止フィルム(13−2)〜(13−4)では実施例9,10と同様の手順で表示装置を作成したところ、背景の映りこみが極めて少なく、反射光の色味が著しく低減され、更に表示面内の均一性が確保された表示品位の非常に高い表示装置が得られた。一方、反射防止フィルム(13−1)及び(13−5)で実施例9,10と同様の手順で表示装置を作成すると、表示装置内に色味ムラが視認され、高品位とは言えない。
Figure 2007177192

[実施例14]
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれによっていささかも限定して解釈されるものではない。
(ハードコート層(防眩層)用塗布液の調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌してハードコート層塗布液とした。
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)25.4gをメチルイソブチルケトン31.3gで希釈した。さらに重合開始剤(イルガキュア184、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製)を1.3g添加し、混合攪拌した。続いて、本明細書記載のフッ素系表面改質剤(FP−149)0.04g、シランカップリング剤(KBM−5103、信越化学工業(株)製)を5.2gを加えてエアーディスパーにて120分間攪拌混合した。
最後にこの溶液にポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散した平均粒子径3.5μmの架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子(共重合組成比=50/50、屈折率1.536)の30%メチルイソブチルケトン分散液を21.0g、イソブチルアルコール15gを加えた後にエアーディスパーにて10分間攪拌した。
この実施例において、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子は、本発明における透光性粒子に当たる。
透光性樹脂DPHAに対して、メチルイソブチルケトンが良溶媒、イソブチルアルコールが貧溶媒である。
(透明フィルム1001の作製)
厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD80UF、富士写真フイルム(株)製)上に、グラビアコーターを用いてハードコート層用塗布液を塗布した。ウェット塗布液量は17.5mL/m2であった。100℃で乾燥した後、酸素濃度が0.1体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、ハードコート層を形成した。
(透明フィルム1002〜1008の作製)
試料1001に対して、透光性粒子サイズ、及び開始剤の種類を変更した透明フィルムを作製した。開始剤の添加量はモル換算で1001と同じにした。
Figure 2007177192
なお、上記例示化合物6等は、本明細書中に既に記載してあるものである。特に例示化合物6について、再度下に記す。
(例示化合物6)
Figure 2007177192
得られたフィルムに対して、以下の項目の評価を行った。その結果を表14に示す。
[ヘイズの測定]
以下の測定により、得られたフィルムの全ヘイズ(H)、内部ヘイズ(Hi)、表面ヘイズ(Hs)を測定した。
[1]JIS−K7136に準じて得られたフィルムの全ヘイズ値(H)を測定する。
[2]得られたフィルムの表面と裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmの2枚のガラス板でフィルムを挟み、ヘイズ値を測定し、同じ2枚のガラス板の間に単にシリコーンオイルのみを挟み込んで測定したヘイズ値を引いた値を内部ヘイズHiとして算出した。
[3]上記[1]で測定した全ヘイズ(H)から上記[2]で測定した内部ヘイズ(Hi)を引いた値を表面ヘイズ(Hs)として算出した。
[中心線平均粗さ]
JIS−B0601に準じて得られたフィルムの中心線平均粗さRaを測定した。
ハードコート層を塗布乾燥した透明フィルム1001の全ヘイズHは、17.5%、内部ヘイズHiは10.0%、表面ヘイズHsは7.5%、Raは0.20μmであった。
また、ハードコート層の厚みは膜厚計で測定したところ、6.5μmであった。
[密着性試験]
ハードコート表面にカッターを用いて、1mm×1mmの間隔で升目状に傷を付け、100個の升目にセロテープ(登録商標 No405;ニチバン(株)製)を貼り付け、30秒後にセロテープを剥がした。剥がし後の升目を観察し、膜剥がれ、エッジの欠けが認められる升目の数を計測した。
[脆性試験]
透明フィルム試料を35mm×140mmに切断し、温度25℃相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、筒状に丸めたときにひび割れが発生し始める極率直径を測定し、表面のひび割れを評価した。
○:直径40mmの曲率でも割れが生じない。
△:直径60mm曲率では割れが生じないが、直径40mm曲率では割れの発生が認められる。
×:直径60mm曲率で割れが発生する。
[耐擦傷性の評価]
スチールウールに1.96N/cm2の荷重をかけ、透明フィルム試料面を30往復したときの傷の状態を観察した。
○:傷が全く見えないか、ほとんど見えない傷が少しついたもの。
△:明確に見える傷がついたもの。
×:明確に見える傷があり、膜の剥離も見られるもの。
Figure 2007177192
従来の光重合開始剤を用いた比較例1001〜1003に対して本発明の透明フィルム1004〜1008は、耐擦傷性では同じか良好なレベルであるが、脆性が特に優れていることがわかる。
比較例1001の脆性試験済みサンプルで割れた部分を光学顕微鏡で観察すると、透光性微粒子が少ない部分(凹凸の谷にあたる)に割れが集中していた。このことから、表面凹凸性の透明フィルムでは、膜が引き伸ばされたとき透光性粒子が少ない部分の表面に応力が集中し、割れが発生したのではないかと推定した。
光重合開始剤として活性ハロゲン化合物を用いた場合、膜表面の重合反応において酸素阻害の影響を受けにくいため、最表面も十分な架橋密度を有しており、応力集中が生じても割れが発生しないものと考えられる。
試料1001〜1008の密着性は、剥離個所がなく、いずれも問題はなかった。
[実施例15]
実施例14の試料1001〜1008のハードコート層上に低屈折率層を設けた試料2001〜2008を作製した。
ただし、ハードコート層塗布後の紫外線照射量は、90mJ/cm2まで弱めることにより、行なった。
(低屈折率層用塗布液の調整)
(ゾル液aの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート(ケロープEP−12、ホープ製薬(株)製)3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
(中空シリカ微粒子分散液の調製)
中空シリカ微粒子ゾル(粒子サイズ約40〜50nm、シエル厚6〜8nm、屈折率1.31、固形分濃度20%、主溶媒イソプロピルアルコール、特開2002−79616の調製例4に準じて粒子サイズを変更して作製)500部に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製、KBM−5103)30部、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート(ケロープEP−12、ホープ製薬(株)製)1.5部加え混合した後に、イオン交換水を9部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8部を添加し、中空シリカ分散液を得た。得られた中空シリカ分散液の固形分濃度は18質量%、溶剤乾燥後の屈折率は1.31であった。
(低屈折率層用塗布液の調製)
DPHA 3.3g
中空シリカ微粒子分散液 40.0g
RMS−033 0.7g
下記表に記載した光重合開始剤 0.2g
ゾル液a 6.2g
メチルエチルケトン 290.6g
シクロヘキサノン 9.0g
それぞれ使用した化合物を以下に示す。
KBM−5103:シランカップリング剤(信越化学工業(株)製)。
DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(日本化薬(株)製)
RMS−033:反応性シリコーン(Gelest(株)製)
(低屈折率層の塗布)
ハードコート層の上に、グラビアコーターを用いて低屈折率層用塗布液を塗布した。ウエット塗布量は5.0ml/m2で、120℃で150秒乾燥の後、更に140℃で8分乾燥させてから窒素パージにより酸素濃度0.1%の雰囲気下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し、巻き取った。
[平均反射率の測定]
フィルムの裏面をサンドペーパーで祖面化した後に黒色インクで処理し、裏面反射をなくした状態で、表面側を、分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における鏡面分光反射率を測定し、450〜650nmの鏡面反射率の算術平均値を平均反射率とした。
試料2001〜2008のいずれも平均反射率は1.7%であった。
[密着性試験]
フィルム表面にカッターを用いて、1mm×1mmの間隔で升目状に傷を付け、100個の升目にセロテープ(登録商標 No405;ニチバン(株)製)を貼り付け、30秒後にセロテープを剥がした。剥がし後の升目を観察し、膜剥がれ、エッジの欠けが認められる升目の数を計測した。
Figure 2007177192
低屈折率層とハードコート層の界面は、相対的に弱いため、密着性試験において剥離しやすく、耐擦傷性試験でも傷つきやすい。そのため、比較例2001、2002、2003はいずれも密着性と耐擦傷性が許容できない悪いレベルである。
しかし、本発明品は、低屈折率層とハードコート層の界面の結合性が強いため、低屈折率層/ハードコート層間の密着性、耐擦傷性にも破綻がない。
[実施例16]
(偏光板用保護フィルムの作製)
1.5 mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を50℃に保温した鹸化液を調整した。さらに、0.005mol/Lの希硫酸水溶液を調製した。
実施例15で作製した本発明に係る反射防止フィルムにおいて、それぞれ本発明の低屈折率層を有する側とは反対側の透明基材の表面を、上記鹸化液を用いて鹸化処理した。
鹸化処理した透明基材表面の水酸化ナトリウム水溶液を、水で十分に洗浄した後、上記の希硫酸水溶液で洗浄し、さらに希硫酸水溶液を水で十分に洗浄し、100℃で十分に乾燥させた。
反射防止フィルムの低屈折率層を有する側とは反対側の、鹸化処理した透明基材の表面の水に対する接触角を評価したところ、40度以下であった。このようにして、偏光板用保護フィルムを作製した。
(偏光板の作製)
膜厚75μmのポリビニルアルコールフィルム((株)クラレ製)を水1000質量部、ヨウ素7質量部、ヨウ化カリウム105質量部からなる水溶液に5分間浸漬し、ヨウ素を吸着させた。
次いで、このフィルムを4質量%ホウ酸水溶液中で、4.4倍に縦方向に1軸延伸をした後、緊張状態のまま乾燥して偏光膜を作製した。
接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の一方の面に本発明の反射防止フィルム(偏光板用保護フィルム)の鹸化処理したトリアセチルセルロース面を貼り合わせた。さらに、偏光膜のもう片方の面には上記と同様にして鹸化処理したトリアセチルセルロースフィルムを同じポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせた。
(画像表示装置の評価)
このようにして作製した本発明の偏光板を反射防止フィルムがディスプレイの最表面になるように装着したTN,STN,IPS,VA,OCBのモードの透過型、反射型、又は、半透過型の液晶表示装置は、反射防止性能に優れ、極めて視認性が優れていた。特にVAモードにおいてその効果は顕著であった。
[実施例17]
(偏光板の作製)
光学補償層を有する光学補償フィルム(ワイドビューフィルムSA 12B、富士写真フイルム(株)製)において、光学補償層を有する側とは反対側の表面を実施例16と同様の条件で鹸化処理した。
実施例16で作製した偏光膜に、接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の一方の面に、実施例15で作製した本発明に係る反射防止フィルム(偏光板用保護フィルム)の鹸化処理したトリアセチルセルロース面をそれぞれ貼り合わせた。さらに、偏光膜のもう片方の面には鹸化処理した光学補償フィルムのトリアセチルセルロース面を同じポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせた。
(画像表示装置の評価)
このようにして作製した本発明の偏光板を反射防止フィルムがディスプレイの最表面になるように装着したTN,STN,IPS,VA,OCBのモードの透過型、反射型、又は、半透過型の液晶表示装置は、光学補償フィルムを用いていない偏光板を装着した液晶表示装置よりも明室でのコントラストに優れ、上下左右の視野角が非常に広く、さらに、反射防止性能に優れ、極めて視認性と表示品位が優れていた。
特にVAモードにおいてその効果は顕著であった。
[実施例18]
実施例14の比較用試料1001の透光性粒子として平均粒子径6μmのアクリル−スチレン粒子(共重合組成比=50/50、屈折率1.536)を、同じ固形分添加量となるように置き換えた塗布液を調製した。
さらに重合開始剤種を変更した塗布液を複数調製し、膜厚が15μmとなるように塗布量を変更してハードコート層をトリアセチルセルロースフィルム(TD80UF、富士写真フイルム(株)製)上にグラビアコーターを用いて塗布した。
110℃で乾燥した後、酸素濃度が0.1体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度300mW/cm2、照射量225mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、ハードコート層を形成した。
それらの試料を3001〜3005とし、作製した透明フィルムの評価を実施例14と同様に実施した。その結果を下記表に記載した。
表中、添加量は、イルガキュア184の添加量をモル数で100として表した。
Figure 2007177192
比較例3001、及び本発明3002〜3005は官能評価でほぼ同じ防眩性であった。
比較例3001は、膜厚を15μmとしたので、耐擦傷性は問題ないが、膜厚が大きいために密着性と脆性が許容されないレベルとなった。
一方、本発明の試料3002〜3005は、耐擦傷性は良好であり、かつ密着、脆性が比較例501よりも優れた性能を示した。
本発明において好適に使用される、電離放射線照射反応室及び前室を具備した製造装置を示した模式図である。 本発明において好適に使用される電離放射線照射反応室及び前室を具備した製造装置のウェッブ入り口面の動作の一例を模式的に示した側面図である。 本発明において好適に使用される、電離放射線照射反応室及び前室を具備した製造装置の、前室のウェッブ入り口面の一例を模式的に示した図である。 図3の前室のウェッブ入り口面の動作を模式的に示した側面図である。 本発明の反射防止フィルムの反射防止層の塗設及び硬化を行なう装置の一例を示す図である。 本発明において好ましく用いられるダイコーターの一実施形態を示す概略断面図である。 (A)図6のダイコーターの拡大図である。(B)従来のスロットダイを示す概略断面図である。 本発明において好ましく実施される塗布工程のスロットダイ及びその周辺を示す斜視図である。 図8の減圧チャンバーとウェッブとの関係を模式的に示す断面図である。 図8の減圧チャンバーとウェッブとの関係を模式的に示す断面図である。
符号の説明
A 送り出しロール
B 巻き取りロール
100,200,300,400 製膜ユニット
101,201,301,401 塗布液塗布工程
102,202,302,402 塗膜乾燥工程
103,203,303,403 塗膜硬化工程
1 反射防止フィルム
2 透明支持体
3 光散乱層
4 低屈折率層
5 透光性粒子
W ウェッブ
10 コーター
11 バックアップロール
13 スロットダイ
14 塗布液
14a ビード形状
14b 塗膜
15 ポケット
16 スロット
16a スロット開口部
17 先端リップ
18 ランド(平坦部)
18a 上流側リップランド
18b 下流側リップランド
UP 上流側リップランド18aのランド長さ
LO 下流側リップランド18bのランド長さ
LO オーバーバイト長さ
L 先端リップ17とウェッブWの隙間
30 スロットダイ
31a 上流側リップランド
31b 下流側リップランド
32 ポケット
33 スロット
40 減圧チャンバー
40a バックプレート
40b サイドプレート
40c ネジ
B バックプレート40aとウェッブWの間の隙間
S サイドプレート40bとウェッブWの間の隙間

Claims (23)

  1. 透明支持体上に少なくともハードコート層を有する透明フィルムであって、該ハードコート層が、電離放射線硬化性化合物および少なくとも一種の活性ハロゲン化合物を含む塗布組成物を透明支持体上に塗布および乾燥した後、電離放射線照射によって硬化させてなる層であることを特徴とする透明フィルム。
  2. 前記電離放射線硬化性化合物が、二個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の透明フィルム。
  3. 請求項1または2のハードコート層を形成する塗布組成物が、更に平均粒径0.5〜10.0μmの透光性粒子を含むことを特徴とする透明フィルム。
  4. 請求項2または3のハードコート層を形成する塗布組成物が、更に電離放射線硬化性化合物に対する良溶媒および貧溶媒を含むことを特徴とする透明フィルム。
  5. 前記ハードコート層表面の中心線平均粗さRaが0〜0.5μmであることを特徴とする請求項3または4に記載の透明フィルム。
  6. 前記ハードコート層の表面ヘイズが0〜40%であることを特徴とする請求項3〜5の何れかの項に記載の透明フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかの項に記載のハードコート層の透明支持体とは反対側に、ハードコート層よりも屈折率が0.05以上小さい低屈折率層を有することを特徴とする透明フィルム。
  8. 前記低屈折率層が含フッ素ポリマーを含有する塗布組成物を用いて形成されたことを特徴とする請求項7に記載の透明フィルム。
  9. 前記含フッ素ポリマーが、下記一般式1で表わされる含フッ素ポリマーであることを特徴とする請求項8に記載の透明フィルム。
    Figure 2007177192

    〔一般式1中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、mは0または1を表す。Xは水素原子またはメチル基を表す。Aは任意のビニルモノマーの重合単位を表し、単一成分であっても複数の成分で構成されていてもよい。また、シリコーン部位を含んでいても良い。x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表し、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。但し、x+y+z=100である。〕
  10. 前記低屈折率層を形成する塗布組成物が、ポリシロキサン含有ビニル単量体を含有することを特徴とする請求項8または9に記載の透明フィルム。
  11. 前記ポリシロキサン含有ビニル単量体が、下記一般式Iで表わされることを特徴とする請求項10に記載の透明フィルム。
    Figure 2007177192

    一般式Iにおいて、R1、R2は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。Pは10〜500の整数を表す。R3、R4、R5は同一で
    あっても異なっていてもよく、水素原子または1価の有機基を表し、R6は水素原子またはメチル基を表す。Lは単結合または2価の連結基を表し、nは0または1を表す。
  12. 前記低屈折率層が中空シリカ微粒子を含有していることを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載の透明フィルム。
  13. 請求項7〜12のいずれか1項に記載の低屈折率層が、電離放射線硬化性化合物および少なくとも一種の活性ハロゲン化合物を含む塗布組成物を透明支持体上に塗布および乾燥した後、電離放射線照射によって硬化させてなる層であることを特徴とする透明フィルム。
  14. 前記透明支持体と該ハードコート層の間に帯電防止層を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の透明フィルム。
  15. 前記活性ハロゲン化合物が下記一般式(1)〜(4)で表わされる化合物であることを特徴とする請求項1または13に記載の透明フィルム。
    Figure 2007177192

    一般式(1)において、Xはハロゲン原子を表す。Yは−CX3、−NH2、−NHR′、−NR′2、−OR′を表す。ここにR′はアルキル基、アリール基を表す。またRは、
    −CX3、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、置換アルケニル
    基を表す。
    Figure 2007177192

    一般式(2)において、Aはフェニル基、ナフチル基、置換フェニル基または置換ナフチル基を表す。ここで置換基とはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基もしくはメチレンジオキシ基である。Yはハロゲン原子を表し、nは1〜3の整数を示す。
    Figure 2007177192

    一般式(3)において、Wは無置換もしくは置換されたフェニル基又は無置換のナフチル基を表し、フェニル基の置換基はハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基の数はハロゲン原子のときは1つ又は2つであり、その他の場合は1つである。Xは水素原子、フェニル基又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。Yはハロゲン原子を表し、nは1〜3の整数を示す。
    Figure 2007177192

    一般式(4)において、Aは無置換もしくは置換されたフェニル基又は無置換のナフチル基を表し、フェニル基の置換基はハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基の数はハロゲン原子のときは1つ又は2つであり、その他の場合は1つである。Xは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリル基を表す。Yはハロゲン原子を表し、nは1〜3の整数を示す。
  16. 透明支持体上に少なくとも反射防止層とハードコート層を有する透明フィルムであって、該反射防止層が、請求項15に記載の活性ハロゲン化合物の少なくとも1種と電離放射線硬化性化合物を含有する組成物を電離放射線照射によって硬化させてなる層であることを特徴とする透明フィルム。
  17. 透明支持体上に少なくともハードコート層および/または反射防止層を有する透明フィルムの製造方法であって、下記(1)の工程と、(2)の工程または(3)の工程とによって、支持体上に積層される層の少なくとも1層を形成する工程を有することを特徴とする透明フィルムの製造方法。
    (1)連続的に走行する、支持体を含むウェッブ上に、少なくとも1種の活性ハロゲン化合物および電離放射線硬化性化合物を含む塗布液を塗布及び乾燥し、塗布層を形成する工程、
    (2)前記ウェッブ上の塗布層に、酸素濃度3体積%以下の雰囲気下で電離放射線を0.5秒以上照射することにより、塗布層を硬化する工程、
    (3)前記ウェッブ上の塗布層を加熱しながら、酸素濃度3%以下の雰囲気下で電離放射線照射を0.5秒以上照射して塗布層を硬化する工程。
  18. 請求項17の前記塗布層を形成する工程(1)の後に、(4)前記ウェッブ上の塗布層を加熱することにより塗布層を加熱硬化する工程、を設け、引き続き前記工程(2)または工程(3)を設けることを特徴とする透明フィルムの製造方法。
  19. 請求項17または18に記載の透明フィルムの製造方法において、前記連続的に走行する、工程(1)または工程(4)を経た塗布層を有するウェッブを、不活性ガスを注入して低酸素濃度にした前室に搬入し、さらに前記ウェッブを、前記前室と連続して設置された不活性ガスを注入した酸素濃度3体積%以下の電離放射線反応室に搬入し、前記電離放射線反応室内で塗布層の硬化工程を行うことを特徴とする透明フィルムの製造方法。
  20. 請求項7〜16に記載の反射防止層が請求項17〜19のいずれかに記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする透明フィルム。
  21. 請求項1〜6に記載のハードコート層が請求項17〜19のいずれかに記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする透明フィルム。
  22. 請求項1〜16、20、21のいずれかに記載の透明フィルムが、偏光板における2枚の保護フィルムの一方に用いられていることを特徴とする偏光板。
  23. 請求項1〜16、20、21のいずれかに記載の透明フィルムまたは請求項22に記載の偏光板が、ディスプレイの最表面に用いられていることを特徴とする画像表示装置。
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