JP2007161210A - ステアリングシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】操作部と転舵部との連結状態を維持するための電力消費の少ない実用的なステアリングシステムを得る。
【解決手段】通常走行時に、電磁クラッチ120に電流を供給することによって操作部10と転舵部12との連結状態を切り換え、かつ、その状態を維持するステアリングシステムにおいて、外乱に応じて切り換え後の連結状態を維持する維持電流を変化させる。ステアリングシステムに外乱の要因となる振動を検出するための加速度センサ200,310を設け、電磁クラッチ120および車体の一部の加速度を取得する。それら取得された加速度が、それぞれに設定されたしきい値を超えない場合には、維持電流を小さくして電力消費を抑制する。一方、それら取得された加速度の少なくとも一方が、しきい値を超えた場合には維持電流を大きくして振動によって連結状態が乱されることを防止する。
【選択図】 図1
【解決手段】通常走行時に、電磁クラッチ120に電流を供給することによって操作部10と転舵部12との連結状態を切り換え、かつ、その状態を維持するステアリングシステムにおいて、外乱に応じて切り換え後の連結状態を維持する維持電流を変化させる。ステアリングシステムに外乱の要因となる振動を検出するための加速度センサ200,310を設け、電磁クラッチ120および車体の一部の加速度を取得する。それら取得された加速度が、それぞれに設定されたしきい値を超えない場合には、維持電流を小さくして電力消費を抑制する。一方、それら取得された加速度の少なくとも一方が、しきい値を超えた場合には維持電流を大きくして振動によって連結状態が乱されることを防止する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、操作部材と転舵装置との連結状態を電磁アクチュエータによって切り換える連結切換機構を備えたステアリングシステムに関する。
操作部材と転舵装置との連結状態を電磁アクチュエータによって切り換える連結切換機構は、例えば、いわゆるステアバイワイヤ式のステアリングシステムに用いることが検討されている。ステアバイワイヤ式のステアリングシステムは、ステアリングホイール等の操作部材に入力された操作力が転舵装置に伝達されず、操作部材になされた操作を検出し、その検出された操作に基づいて転舵装置を電気的に制御することによって車輪を転舵するシステムである。そのシステムでは、制御装置や転舵装置の失陥に備えて、操作部材と転舵装置とを連結し、操作力を伝達する連結部が設けられる場合がある。その場合には、連結部に、操作部材に入力された操作力が転舵装置に伝達される状態と、伝達されない状態とを切り換える連結切換機構が配設されることが多い。下記特許文献1には、連結切換機構の一例としての電磁クラッチを備えたステアバイワイヤ式のステアリングシステムが記載されている。また、下記特許文献2には、連結切換機構の一例としての電磁クラッチが記載されている。
特開2001−301639号公報
特開2000−274455号公報
上記特許文献1のステアリングシステムでは、電磁石に電力が供給されることによってばね部材の弾性力に逆らって1対の摩擦材が互いに離間させられ、操作部材に入力された操作力が転舵装置に伝達されない状態にされるとともに、継続して電力が供給されることでその状態が維持される。そのような場合には、通常、ばね部材の弾性力だけでなく、振動等の外乱が加わった際にも1対の摩擦材を互いに離間させた状態を維持し得る比較的大きな電力が電磁石に供給される。しかしながら、外乱が加わらない状態では過剰な電力を供給していることとなり、電力のロスが過大となり得る。このように電力のロスが過大となり得る従来のステアリングシステムは、実用性の高いものとは言えない。本発明は、そういった実情を鑑みてなされたものであり、より実用的なステアリングシステムを得ることを課題としてなされたものである。
上記課題を解決するために、本発明のステアリングシステムは、(a)電磁アクチュエータを有し、その電磁アクチュエータに電力が供給されることによって、操作部材と転舵装置との連結状態を切り換える力を発生させるとともに、電磁アクチュエータに供給された電力に応じて操作部材と転舵装置との連結状態を切り換えた後の状態を維持する力を発生させる連結切換機構と、(b)電磁アクチュエータに供給される電力を変化させることによって電磁アクチュエータの作動を制御する制御装置とを備え、その制御装置によって、操作部材と転舵装置との連結状態を乱す外乱の強度に応じて、電磁アクチュエータに供給する電力を変化させるように構成されたことを特徴とする。
本発明のステアリングシステムは、操作部材と転舵装置との連結状態を乱す外乱の強度に応じて、電磁アクチュエータに供給する電力を変化させることができる。例えば、外乱の強度が大きい場合には維持電力を大きくし、外乱の強度が小さい場合には維持電力を小さくすることができる。そのため、過剰な電力の供給を抑制することができ、比較的電力消費の少ないステアリングシステムが得られる。すなわち、本発明によれば、比較的電力消費の少ない実用性の高いステアリングシステムが得られるのである。なお、本発明のステアリングシステムの各種態様およびそれらの作用および効果については、以下の、〔発明の態様〕の項において詳しく説明する。
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から一部の構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に、(2)項が請求項2に、(4)項が請求項3に、(7)項が請求項4に、(10)項と(11)項とを合わせたものが請求項5に、それぞれ相当する。
(1)操舵操作がなされる操作部材と、
駆動力源を備え、その駆動力源の駆動力と前記操作部材に入力された操作力との少なくとも一方によって車輪の転舵を行う転舵装置と、
電磁アクチュエータを有し、その電磁アクチュエータに電力が供給されることによって、前記操作部材と前記転舵装置との連結状態を、前記操作部材に入力された操作力が伝達される伝達可能状態と前記操作部材に入力された操作力が伝達されない伝達不能状態との一方から他方に切り換える力を発生させるとともに、前記電磁アクチュエータに供給された電力に応じて前記操作部材と前記転舵装置との連結状態を切り換えた後の状態を維持する力を発生させる連結切換機構と、
前記電磁アクチュエータに供給される電力を変化させることによって前記電磁アクチュエータの作動を制御する制御装置と
を備えたステアリングシステムであって、
前記制御装置が、前記操作部材と転舵装置との連結状態を乱す外乱の強度に応じて、前記電磁アクチュエータに供給する電力を変化させるように構成されたことを特徴とするステアリングシステム。
駆動力源を備え、その駆動力源の駆動力と前記操作部材に入力された操作力との少なくとも一方によって車輪の転舵を行う転舵装置と、
電磁アクチュエータを有し、その電磁アクチュエータに電力が供給されることによって、前記操作部材と前記転舵装置との連結状態を、前記操作部材に入力された操作力が伝達される伝達可能状態と前記操作部材に入力された操作力が伝達されない伝達不能状態との一方から他方に切り換える力を発生させるとともに、前記電磁アクチュエータに供給された電力に応じて前記操作部材と前記転舵装置との連結状態を切り換えた後の状態を維持する力を発生させる連結切換機構と、
前記電磁アクチュエータに供給される電力を変化させることによって前記電磁アクチュエータの作動を制御する制御装置と
を備えたステアリングシステムであって、
前記制御装置が、前記操作部材と転舵装置との連結状態を乱す外乱の強度に応じて、前記電磁アクチュエータに供給する電力を変化させるように構成されたことを特徴とするステアリングシステム。
本項に記載のステアリングシステムは、例えば、操作部材に入力された操作力を転舵装置に伝達する伝達機構を備えるものとすることができる。そして、本項に記載の連結切換機構は、例えば、操作部材と伝達機構との間、伝達機構内、伝達機構と転舵装置との間のいずれかに配設することができる。その連結切換機構によって、操作部材と転舵装置との連結状態が伝達可能状態にされている場合は、操作力によって車輪を転舵することができ、伝達不能状態にされている場合には、電気的に制御される転舵装置の駆動力によって車輪を転舵することができる。なお、本項に記載の連結切換機構によれば、連結状態を、伝達可能状態から伝達不能状態へ、あるいは、伝達不能状態から伝達可能状態へ、切り換えることができる。
本項の連結切換機構は、それの電磁アクチュエータに電力が供給されることによって作動し、連結状態の切り換えおよび切り換え後の状態の維持がなされる。その連結状態を維持するためには、連結機構に振動等の外乱が加わっても連結状態を維持できるように十二分な大きさの電力が供給されることが望ましいが、常に強い外乱が加わっているとは限らず、比較的大きな電力を供給し続けると電力のロスが多くなってしまう。一方、連結状態を維持するための電力(以後、「維持電力」と称する場合がある)が小さいほど電力のロスは小さいが、強い外乱によって連結状態が乱される虞がある。連結状態が乱された場合には、例えば、一時的であったとしても、伝達可能状態を維持すべき場合に操作力が転舵装置に十分伝達されなくなり、あるいは、伝達不能状態を維持すべき場合に操作力が転舵装置に伝達されてしまう。なお、操作部材と転舵装置との連結状態を乱す外乱には、例えば、後述するように振動に起因するものや、操舵に起因するもの等がある。
以上に述べた事情に鑑み、本項に記載の態様によれば、操作部材と転舵装置との連結状態を乱す外乱の強度に応じて、電磁アクチュエータに供給する電力を変化させることができる。例えば、外乱が強い場合、つまり、外乱の強度が大きい場合には維持電力を大きくし、外乱が弱い場合、つまり、外乱の強度が小さい場合には維持電力を小さくすることができる。そのため、過剰な電力の供給を抑制することができ、比較的電力消費の少ないステアリングシステムが得られる。すなわち、本項に記載の態様によれば、比較的電力消費の少ない実用性の高いステアリングシステムが得られるのである。また、本項に記載の態様は、後述するステアバイワイヤ式のステアリングシステムに好適である。
本項の連結切換機構は、例えば、前述のように1対の摩擦材を接触・離間させて連結状態を切り換える態様や、後述するように1対の部材の一方によって他方を掛止させ、また、その掛止を解除することで連結状態を切り換える態様とすることができる。本項に記載の連結切換機構は、伝達可能状態と伝達不能状態との一方から他方へ切り換えるようにされているが、供給する電力の向きを変更可能にすることにより、伝達可能状態と伝達不能状態との一方から他方への切り換えに加えて、他方から一方へも切り換えることができるようにすることができる。
(2)前記制御装置が、
前記外乱となる前記連結切換機構の振動の強度に応じて、前記電磁アクチュエータに供給する電力を変化させるように構成された(1)項に記載のステアリングシステム。
前記外乱となる前記連結切換機構の振動の強度に応じて、前記電磁アクチュエータに供給する電力を変化させるように構成された(1)項に記載のステアリングシステム。
連結切換機構は、例えば、車体に取り付けられており、路面の凹凸を通過する際の車体の振動,エンジン等の作動による車体の振動等に起因して連結切換機構が振動させられることとなるが、その振動によって連結状態が乱される場合がある。本項に記載の態様によれば、例えば、連結切換機構の振動の強度が大きくなるのに伴い維持電力を増大させることや、振動の強度が設定振動強度を超えた場合に維持電力を大きくし、超えない場合に維持電力を小さくすること等ができる。連結切換機構の振動の強度は、例えば、車体あるいは連結切換機構に取り付けられた加速度センサの検出値に基づいて取得することができる。
(3)当該ステアリングシステムが、前記連結切換機構に取り付けられて前記連結切換機構の振動の強度を検出するための振動強度検出器を備えた(2)項に記載のステアリングシステム。
連結切換機構に加速度センサ等の振動強度検出器を直接取り付けることにより、より正確に連結切換機構の振動の強度を取得することができる。
(4)前記制御装置が、
前記外乱となる操舵の強度に応じて、前記電磁アクチュエータに供給する電力を変化させるように構成された(1)項ないし(3)項のいずれかに記載のステアリングシステム。
前記外乱となる操舵の強度に応じて、前記電磁アクチュエータに供給する電力を変化させるように構成された(1)項ないし(3)項のいずれかに記載のステアリングシステム。
本項に記載の態様は、例えば、急激な操舵によって切り換え後の連結状態が乱されないように供給電力を変化させるものである。連結切換機構は、例えば、後述するように、操作部材の操作に応じて動作する操作側部材と、車輪の転舵に応じて動作する転舵側部材とを含んで構成されたものとすることができる。そして、例えば、操舵の強度が大きい場合、具体的には、操作部材に急激な操作がなされた場合や車輪が急激に転舵された場合等には、操作側部材や転舵側部材が急激に動作することとなり、連結状態が乱される虞がある。そこで、本項に記載の態様によれば、操舵の強度が大きくなるのに伴い維持電力を増加させることや、操舵の強度が設定操舵強度を超えた場合(急激な操舵)に維持電力を大きくし、超えない場合(緩やかな操舵)に維持電力を小さくすること等ができる。なお、操舵の強度は、操作部材の操作の強度と車輪の転舵の強度との少なくとも一方の状態に基づいて取得することができる。
(5)前記操舵の強度が、操舵速度と操舵加速度との少なくとも一方に基づいて取得されたものである(4)項に記載のステアリングシステム。
操舵の強度は、操舵速度や操舵加速度に反映されるため、それらの少なくとも一方に基づいて取得することができる。そして、本項に記載の態様によれば、例えば、操舵速度と操舵加速度との少なくとも一方が大きくなるのに伴い維持電力を増加させることや、操舵速度等が設定値を超えた場合に維持電力を増加させること等ができる。なお、操舵速度は、例えば、操作速度,転舵速度,あるいはそれらの平均的な値等とすることができ、また、操舵加速度は、操作加速度,転舵加速度,あるいはそれらの平均的な値等とすることができる。
(6)当該ステアリングシステムが、前記操作部材の操作位置を検出する操作位置センサと、車輪の転舵位置を検出する転舵位置センサとの少なくとも一方を備え、
前記操舵の強度が、前記操作位置センサと転舵位置センサとの少なくとも一方の検出値に基づいて取得されたものである(4)項または(5)項に記載のステアリングシステム。
前記操舵の強度が、前記操作位置センサと転舵位置センサとの少なくとも一方の検出値に基づいて取得されたものである(4)項または(5)項に記載のステアリングシステム。
(7)前記制御装置が、
前記操作部材と前記転舵装置との連結状態を切り換えた後にその連結状態を維持するための電力である維持電力を、前記外乱の強度が設定強度を超えた場合に大きくするように構成された(1)項ないし(6)項のいずれかに記載のステアリングシステム。
前記操作部材と前記転舵装置との連結状態を切り換えた後にその連結状態を維持するための電力である維持電力を、前記外乱の強度が設定強度を超えた場合に大きくするように構成された(1)項ないし(6)項のいずれかに記載のステアリングシステム。
本項に記載の態様によれば、外乱の強度が設定強度を超えた場合、具体的には、例えば、連結切換機構の振動が激しくその振動の強度が設定振動強度を超えた場合や,急激な操舵がなされて操舵の強度が設定操舵強度を超えた場合等、外乱が強い場合に維持電力を大きくすることができる。そのため、外乱の強度が設定強度を超えない状態、具体的には、例えば、連結切換機構の振動が弱い場合や操舵が穏やかな場合等の外乱が弱い状態に維持電力を比較的小さくすることができ、電力消費を減少させることができる。
(8)前記制御装置が、
前記外乱の強度が設定強度を超えない状態における維持電力を、前記外乱の強度が設定強度を超えた場合であっても切り換え後の連結状態を維持することが可能な大きさで最小の電力よりも小さくするように構成された(7)項に記載のステアリングシステム。
前記外乱の強度が設定強度を超えない状態における維持電力を、前記外乱の強度が設定強度を超えた場合であっても切り換え後の連結状態を維持することが可能な大きさで最小の電力よりも小さくするように構成された(7)項に記載のステアリングシステム。
外乱の強度が大きい場合に連結状態を維持することが可能な比較的大きな電力を、外乱の強度が小さい場合にまで電磁アクチュエータに供給する必要性は小さい。そこで、本項に記載の態様によれば、外乱の強度が小さい状態において、外乱の強度が大きくなると切り換え後の連結状態を保てなくなる虞がある大きさまで維持電力を小さくすることにより、電力消費を可及的に少なくすることができる。
(9)前記制御装置が、
前記維持電力の大きさを、連結状態を切り換えるために電磁アクチュエータに供給する電力である切換電力よりも小さくするように構成された(7)項または(8)項に記載のステアリングシステム。
前記維持電力の大きさを、連結状態を切り換えるために電磁アクチュエータに供給する電力である切換電力よりも小さくするように構成された(7)項または(8)項に記載のステアリングシステム。
連結状態を切り換える際に、かなり大きな電力が必要である場合には、維持電力の大きさを切換電力以上の大きさにすると電力のロスとなる場合が多い。そこで、本項に記載の態様によれば、外乱の強度が大きい場合でも維持電力を切換電力よりも小さく設定することにより、電力消費を少なくすることができる。
(10)前記連結切換機構が、
前記操作部材に連結されて前記操作部材になされた操作に応じた動作をする操作側部材と、
転舵装置に連結されて車輪の転舵に応じた動作をする転舵側部材と、
前記操作側部材と前記転舵側部材との相対動作を禁止することによってそれらの連結状態を伝達可能状態にする相対動作禁止位置と、前記操作側部材と前記転舵側部材との相対動作を許容することによってそれらの連結状態を伝達不能状態にする相対動作許容位置との一方から他方へ、前記電磁アクチュエータによって変位させられる相対動作禁止部材と
を備えた(1)項ないし(9)項のいずれかに記載のステアリングシステム。
前記操作部材に連結されて前記操作部材になされた操作に応じた動作をする操作側部材と、
転舵装置に連結されて車輪の転舵に応じた動作をする転舵側部材と、
前記操作側部材と前記転舵側部材との相対動作を禁止することによってそれらの連結状態を伝達可能状態にする相対動作禁止位置と、前記操作側部材と前記転舵側部材との相対動作を許容することによってそれらの連結状態を伝達不能状態にする相対動作許容位置との一方から他方へ、前記電磁アクチュエータによって変位させられる相対動作禁止部材と
を備えた(1)項ないし(9)項のいずれかに記載のステアリングシステム。
本項に記載の態様によれば、相対動作禁止部材を電磁アクチュエータによって変位させることによって連結状態を切り換えることができる。また、電磁アクチュエータによって相対動作禁止部材を変位後の位置に留めることによって切り換え後の連結状態を維持することができる。
(11)前記連結切換機構が、
前記相対動作禁止部材を前記相対動作禁止位置と相対動作許容位置との他方から一方へ変位させる向きに付勢する弾性体を備えた(10)項に記載のステアリングシステム。
前記相対動作禁止部材を前記相対動作禁止位置と相対動作許容位置との他方から一方へ変位させる向きに付勢する弾性体を備えた(10)項に記載のステアリングシステム。
本項に記載の連結切換機構は、電磁アクチュエータによって、弾性体の弾性力に逆らって相対動作禁止部材を変位させることによって連結状態を切り換えるものである。そして連結状態を切り換えた後には、電磁アクチュエータによって、弾性体の弾性力に逆らって相対動作禁止部材を変位後の位置に位置させて連結状態を維持するようにされている。そのため、例えば、維持電力が比較的小さい場合には、電磁アクチュエータが発生させる力が比較的小さいため(なお、弾性力より大きくされている)、外乱の影響によって弾性力に対抗できなくなる場合がある。そこで、外乱の強度に応じて維持電力を変化させることにより、連結状態を確実に維持しながら電力のロスを減少させることができる。
(12)前記制御装置が、
前記相対動作禁止部材が前記相対動作禁止位置と相対動作許容位置との一方から他方へ変位させられた後に、前記維持電力を、前記弾性体が前記相対動作禁止部材を付勢する力に抗して前記相対動作許容位置と相対動作禁止位置との他方に位置した状態を保ち得る大きさにするように構成された(11)項に記載のステアリングシステム。
前記相対動作禁止部材が前記相対動作禁止位置と相対動作許容位置との一方から他方へ変位させられた後に、前記維持電力を、前記弾性体が前記相対動作禁止部材を付勢する力に抗して前記相対動作許容位置と相対動作禁止位置との他方に位置した状態を保ち得る大きさにするように構成された(11)項に記載のステアリングシステム。
本項に記載の態様によれば、外乱の強度が小さい状態において、維持電力を可及的に小さくすることができ、電力のロスを可及的に小さくすることができる。
以下、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、決して下記の実施例に限定されるものではなく、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
1. ステアリングシステムの概要.
図1に、請求可能発明の一実施例であるステアリングシステムを概略的に示す。本システムは、操作部10と、転舵部12とが機械的に分離され、操作部材としてのステアリングホイール14に入力された操作力が転舵装置に伝達されず、ステアリングホイール14になされた操作を検出し、その検出された操作に基づいて転舵部12を電気的に制御することによって転舵車輪16(以下、単に「車輪16」という場合がある)を転舵するステアリングシステムである。また、本システムは、必要に応じて操作部10と、転舵部12とを機械的に連結して操作力を伝達する連結部18を備えている。
図1に、請求可能発明の一実施例であるステアリングシステムを概略的に示す。本システムは、操作部10と、転舵部12とが機械的に分離され、操作部材としてのステアリングホイール14に入力された操作力が転舵装置に伝達されず、ステアリングホイール14になされた操作を検出し、その検出された操作に基づいて転舵部12を電気的に制御することによって転舵車輪16(以下、単に「車輪16」という場合がある)を転舵するステアリングシステムである。また、本システムは、必要に応じて操作部10と、転舵部12とを機械的に連結して操作力を伝達する連結部18を備えている。
2. 操作部.
操作部10には、ステアリングホイール14と、そのステアリングホイール14が取り付けられたシャフト20を支持するシャフト支持機構30が設けられている。図2にシャフト支持機構30等の断面を模式的に示す。なお、この図において、図の右側が車両後方側、つまり運転者側である。なお、以下の説明において、車両前方側を「前方側」,車両後方側を「後方側」と呼び分けることとする。
操作部10には、ステアリングホイール14と、そのステアリングホイール14が取り付けられたシャフト20を支持するシャフト支持機構30が設けられている。図2にシャフト支持機構30等の断面を模式的に示す。なお、この図において、図の右側が車両後方側、つまり運転者側である。なお、以下の説明において、車両前方側を「前方側」,車両後方側を「後方側」と呼び分けることとする。
シャフト支持機構30は、概して円筒状のハウジング32を有し、そのハウジング32は、図示を省略する取付部において車体の一部分に固定されている。ハウジング32は、それの両端部の各々に設けられた軸穴において軸受34を介してシャフト20を回転可能に支持している。なお、シャフト20は、ハウジング32内に位置する部分が大径部35とされており、軸方向の移動が禁止されている。その大径部35には、操作力を出力するための出力プーリ36が相対回転不能に取り付けられている。ハウジング32の出力プーリ36の下方に位置する部分は、出力プーリ36に巻掛けられたベルトを通す通過口38が設けられている。
シャフト支持機構30内には、ステアリングホイール14の操作位置を取得するための操作位置センサ40が配設されている。操作位置センサ40は、回転位置を表すコードが周上に設けられた円板状の回転コード板42と、その回転コード板42のコードを検出する光センサ44とを備えている。その操作位置センサ40は、光センサ44の検出結果に基づいてシャフト20の回転位置を検出することによって、ステアリングホイール14の操作位置を取得することができる。
シャフト支持機構30の後方側端部(図において右側)には、シャフト20に回転駆動力を付与する反力モータ50が設けられている。その反力モータ50は、シャフト支持機構30に固定されたモータハウジング52と、そのモータハウジング52内に周上に配設されたステータ54と、シャフト20の外周に相対回転不能に固定された2つの円板状のロータ56とを備えている。そのロータ56の表面には多数のコイルが形成されており、そのコイルにブラシ58を介して供給される電力に応じた回転駆動力が発生するようにされている。
3. 転舵部.
転舵部12には、車輪16を転舵させる転舵装置60が設けられている。その転舵装置60は、ハウジング62と、そのハウジング62を車幅方向に貫通した状態で回転不能に支持された転舵ロッド64とを備えている。その転舵ロッド64は両端部の各々において、ボールジョイント66を介してタイロッド70と連結されている。そのタイロッド70は、車輪16を回転可能に保持するステアリングナックル72に固定されたナックルアーム74に連結されている。すなわち、転舵装置60は、転舵ロッド64を左右に駆動することによって、ステアリングナックル72を回転させ、車輪16の転舵を行うのである。
転舵部12には、車輪16を転舵させる転舵装置60が設けられている。その転舵装置60は、ハウジング62と、そのハウジング62を車幅方向に貫通した状態で回転不能に支持された転舵ロッド64とを備えている。その転舵ロッド64は両端部の各々において、ボールジョイント66を介してタイロッド70と連結されている。そのタイロッド70は、車輪16を回転可能に保持するステアリングナックル72に固定されたナックルアーム74に連結されている。すなわち、転舵装置60は、転舵ロッド64を左右に駆動することによって、ステアリングナックル72を回転させ、車輪16の転舵を行うのである。
図3に転舵装置60の断面を模式的に示す。転舵装置60は、転舵ロッド64に形成されたボールねじ部76と螺合するボールナット77を転舵モータ78によって回転駆動することにより、転舵ロッド64を左右に駆動する第1駆動部80を備えている。転舵モータ78は、ハウジング62に固定された電磁石であるステータ82と、ハウジング62に回転可能に支持された円筒状のモータ軸84と、そのモータ軸84の外周部に固定された永久磁石86とを備えている。また、転舵装置60は、転舵ロッド64に形成されたラックギヤ90と噛み合うピニオンギヤ92を、操作力によって回転させることによって転舵ロッド64を左右に駆動する第2駆動部94を備えている。ピニオンギヤ92には操作力が入力される入力ローラ96(図1参照)が取り付けられている。
なお、ハウジング62には、転舵ロッド64の転舵位置を検出する転舵位置センサ100が配設されている。その転舵位置センサ100は、転舵位置を表すコードが軸方向に設けられたコードテープ102と、そのコードテープ102のコードを検出する光センサ104とを含んで構成されている。ハウジング62に固定された光センサ104によって、転舵ロッド64に貼付されたコードテープ102のコードを検出することにより、転舵位置を検出することができる。
4. 連結部.
連結部18(図1)は、操作力が入力される入力プーリ114,操作力が出力される出力ローラ116,および,入力プーリ114と出力ローラ116との間の操作力の伝達の有無を切り換え可能にそれらを連結する電磁クラッチ120(連結切換機構の一種である)を備えている。入力プーリ114は、シャフト20に相対回転不能に固定された出力プーリ36とベルト122によって接続されており、ステアリングホイール14になされた操舵操作に応じて回転させられるようにされている。一方、出力ローラ116は、伝達ケーブル124を介して転舵部12の入力ローラ54と接続されており、操作力を転舵部12に出力するようにされている。なお、伝達ケーブル124は、ガイドチューブ126にガイドされており、そのガイドチューブ126の中を滑らかに摺動することができるようにされている。
連結部18(図1)は、操作力が入力される入力プーリ114,操作力が出力される出力ローラ116,および,入力プーリ114と出力ローラ116との間の操作力の伝達の有無を切り換え可能にそれらを連結する電磁クラッチ120(連結切換機構の一種である)を備えている。入力プーリ114は、シャフト20に相対回転不能に固定された出力プーリ36とベルト122によって接続されており、ステアリングホイール14になされた操舵操作に応じて回転させられるようにされている。一方、出力ローラ116は、伝達ケーブル124を介して転舵部12の入力ローラ54と接続されており、操作力を転舵部12に出力するようにされている。なお、伝達ケーブル124は、ガイドチューブ126にガイドされており、そのガイドチューブ126の中を滑らかに摺動することができるようにされている。
図4,図5に、電磁クラッチ120の断面を模式的に示す。なお、図4は、図5におけるA−A断面であり、図5は、図4におけるB−B断面である。電磁クラッチ120は、概して円筒状のハウジング130を備えている。そのハウジング130は、入力プーリ114が取り付けられた入力軸132(「操作側部材」として機能する)と、出力ローラ116が取り付けられたローラ軸133が相対回転不能に挿入された出力軸134(「転舵側部材」として機能する)とを、軸受を介して同一の軸線回りに回転可能に支持している。具体的には、後方側(操作側)端部において入力軸132を、ハウジング130の前方側端部において出力軸134を、それぞれ軸受140,142を介して回転可能に支持している。また、出力軸134の後方側の部分には、環状部144が設けられ、その環状部144の外周部がハウジング130に軸受146を介して回転可能に支持されている。さらに、環状部144により、それの内周部において軸受148を介して入力軸132の先端部が回転可能に支持されている。
入力軸132には、被掛止部たる軸方向の被掛止溝150が複数設けられた被掛止リング152が相対回転不能に嵌められている。一方、出力軸134の環状部144の後方端面には、被掛止リング152を掛止する掛止機構160が配設されている。その掛止機構160は、被掛止溝150に係合する掛止部たる爪部162を有する掛止部材164を備えている。その掛止部材164は、中央付近に貫通穴を有しており、その貫通穴を貫通する支持軸166によって回転変位可能に支持されている。また、支持軸166には弾性体たるばね部材の一種である巻ばね168が巻き付けられている。その巻ばね168によって、掛止部材164が、被掛止リング152を掛止する向きに付勢されている。
また、掛止機構160は、電磁アクチュエータたるソレノイド170を備えている。そのソレノイド170は、鋼等の強磁性体によって構成された駆動ロッド172と、その駆動ロッド172の外周に位置するコイル174とを含んで構成されている。駆動ロッド172は、掛止部材164の爪部162が形成された側と反対側の端部と係合させられている。そして、コイル174に電力が供給されることにより、駆動ロッド172をソレノイド170内に引き込む磁力が発生する。駆動ロッド172がソレノイド170内に引き込まれると、その駆動ロッド172によって、被掛止リング152の掛止を解除する向きに掛止部材164が駆動されるようにされている(図5)。なお、環状部144の後方端面には、掛止機構160を支持するための支持部材176が締結によって固定されている。その支持部材176に、支持軸166およびソレノイド170が固定支持されている。
ハウジング130内には、ハウジング130と相対回転するソレノイド170に電力を供給するための電力供給器180が配設されている。その電力供給器180は、出力軸134の外周に固定された2つの環状電極182,184を備えている。それら環状電極182,184が、ソレノイド170のコイル174の2つの端部に、出力軸134の環状部144に設けられた貫通穴188を通る2本の導電ケーブル190,192によって接続されている。また、電力供給器180は、ハウジング130に支持されて環状電極182等と相対回転する2つのブラシ194,196を備えている。そして、ブラシ194は環状電極182に、ブラシ196は環状電極184に、それぞれ接触して導通するようにされている。さらに、それら2つのブラシ194,196は後述するインバータに接続されている。なお、出力軸134の外周には環状の樹脂部材198,199が嵌められており、それら樹脂部材198等は、環状電極182等と出力軸134等との電気的な絶縁を確保するとともに、出力軸134,環状電極182等の軸方向における位置出しのためのスペーサとして機能している。
以上に述べた構造の電磁クラッチ120において、電力が供給されてソレノイド170がONの状態にされると、掛止部材164による被掛止リング152の掛止が解除されて入力軸132と出力軸134との相対回転が許容される状態となる。したがって、ソレノイド170がONの状態では、操作部10と転舵部12との連結状態が、操作部10に入力された操作力が転舵部12に伝達されない「伝達不能状態」にされる。一方、電力が供給されずソレノイド170がOFFの状態では、巻ばね168の付勢力によって掛止リング152が掛止部材164に掛止され、入力軸132と出力軸134との相対回転が禁止にされる。その状態では、操作部10に入力された操作力が転舵部12に伝達される「伝達可能状態」となる。
本実施例において、掛止部材164,支持軸166,巻ばね168,ソレノイド170を含んで、掛止機構160が構成されている。また、掛止機構160と被掛止リング152とを含んで、「連結切換機構」が構成されている。また、本実施例において、掛止部材164が、操作側部材と転舵側部材との相対動作を禁止する「相対動作禁止部材」として機能している。また、被掛止リング152が掛止される場合の掛止部材164の回転位置が、「相対動作禁止位置」であり、掛止が解除された場合の掛止部材164の回転位置が、「相対動作許容位置」である。
ハウジング130の内壁部には、振動強度検出器たる加速度センサ200が配設されている。その加速度センサ200の検出値に基づいて電磁クラッチ120の振動の強度が取得される。
5. 電子制御ユニット.
本ステアリングシステムは、自身が備える電子制御ユニット300(ECU、以下、単に「ECU300」という場合がある)によって制御される。ECU300は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体として構成されている。そのECU300には、操作位置センサ40(θ),転舵位置センサ100(δ),電磁クラッチ120に配設された加速度センサ200(Gc)、車体に取り付けられた加速度センサ310(Gb)等の各種センサが接続されている。また、ECU300は、インバータ320,322,324にも接続され、ECU300からインバータ320等に各種の制御指令が送信されると、インバータ320,322,324から、それぞれ反力モータ50,転舵モータ78,ソレノイド170に駆動電力が供給される。なお、インバータ320等には、車両に搭載されたバッテリ(図示省略)から電力が供給される。
本ステアリングシステムは、自身が備える電子制御ユニット300(ECU、以下、単に「ECU300」という場合がある)によって制御される。ECU300は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体として構成されている。そのECU300には、操作位置センサ40(θ),転舵位置センサ100(δ),電磁クラッチ120に配設された加速度センサ200(Gc)、車体に取り付けられた加速度センサ310(Gb)等の各種センサが接続されている。また、ECU300は、インバータ320,322,324にも接続され、ECU300からインバータ320等に各種の制御指令が送信されると、インバータ320,322,324から、それぞれ反力モータ50,転舵モータ78,ソレノイド170に駆動電力が供給される。なお、インバータ320等には、車両に搭載されたバッテリ(図示省略)から電力が供給される。
6. ステアリングシステムの制御.
以下にECU300によるステアリングシステムの制御について説明する。本実施例において、通常走行時には、電磁クラッチ120がON状態にされて上記伝達不能状態にされる。その状態では、転舵部12が発生する操作に対する抵抗力等の反力がステアリングホイール14に伝達されない。そのため、ECU300は、操作位置センサ40の検出結果に基づいて操作角,操作速度等を取得するとともに、それら操作角等に応じて反力モータ50に供給する電力の目標値を決定し、インバータ320に目標値を送信して反力モータ50に電力を供給させることによって、操作に対する反力である操作反力を発生させる。また、ECU300は、ステアリングホイール14の操作角に応じた転舵角である目標転舵角を決定するとともに、転舵位置センサ100の検出結果に基づいて取得された車輪16の転舵角である測定転舵角を取得する。そして、目標転舵角と測定転舵角との偏差に応じた電力の目標値を決定し、インバータ322に目標値を送信して転舵モータ78に電力を供給させることによって、転舵装置60に車輪16を転舵させる。
以下にECU300によるステアリングシステムの制御について説明する。本実施例において、通常走行時には、電磁クラッチ120がON状態にされて上記伝達不能状態にされる。その状態では、転舵部12が発生する操作に対する抵抗力等の反力がステアリングホイール14に伝達されない。そのため、ECU300は、操作位置センサ40の検出結果に基づいて操作角,操作速度等を取得するとともに、それら操作角等に応じて反力モータ50に供給する電力の目標値を決定し、インバータ320に目標値を送信して反力モータ50に電力を供給させることによって、操作に対する反力である操作反力を発生させる。また、ECU300は、ステアリングホイール14の操作角に応じた転舵角である目標転舵角を決定するとともに、転舵位置センサ100の検出結果に基づいて取得された車輪16の転舵角である測定転舵角を取得する。そして、目標転舵角と測定転舵角との偏差に応じた電力の目標値を決定し、インバータ322に目標値を送信して転舵モータ78に電力を供給させることによって、転舵装置60に車輪16を転舵させる。
次に、電磁クラッチ120の制御について説明する。なお、電磁クラッチ120の制御において、インバータ324から電磁クラッチ120に供給される電力の大きさが変更されるが、その際には、電圧が一定にされて、電流の大きさが変更される(詳細は後述する)。そのため、以後、電磁クラッチ120への電力の供給を「電流の供給」と表現する場合がある。本実施例において、車両の動力が停止した場合には、電磁クラッチ120がOFFの状態にされ、操作部10と転舵部12との連結状態が伝達可能状態になるようにされている。そして、車両の動力起動後に、電磁クラッチ120に連結状態を切り換えるための電流である切換電流が供給されてON状態にされ、連結状態が伝達不能状態に切り換えられる。そして、切り換えられた後には、その連結状態を維持するための電流である維持電流が電磁クラッチ120に継続して供給される。
その維持電流は、図7に示すように、切換電流よりも大幅に小さくされている。それは、伝達不能状態を維持する場合には、連結状態の切り換え時のように、比較的強い磁力を発生させて巻ばね168の付勢力,掛止機構170の作動抵抗,慣性力等に逆らって、ソレノイド170から延び出した駆動ロッド172を引き寄せる必要がないからである。また、駆動ロッド172がソレノイド170から延び出した状態では、コイル174の磁力が効果的に作用しにくいことも一因である。また、維持電流は、操作部10と転舵部12との連結状態を乱す振動等の外乱の強度が小さい場合には、巻ばね168の付勢力に抗して掛止部材164による被掛止リング152の掛止が解除された状態を維持することが可能で、かつ、可及的に電力消費を少なくできる大きさの電流である最小維持電流にされている。その最小維持電流は、言い換えれば、巻ばね168の弾性力と等しい大きさの力を発揮できる電流に若干のマージンを加えた大きさにされている。そのため、外乱の強度が大きい場合には、その連結状態を維持できなくなる虞がある。
外乱は、例えば、車体の振動によって電磁クラッチ120が振動することや、操舵に応じて掛止機構150が回転させられること等によって生じる。振動に起因する外乱について説明する。例えば、伝達不能状態において(図5)、電磁クラッチ120が振動することにより、コイル174に対する駆動ロッド172の位置が変わることによって磁力の影響が弱められることや、駆動ロッド172がそれの軸方向に加速されること等、種々の要因により、コイル174の磁力によって巻ばね168の付勢力に抗して駆動ロッド172を引きつけておくことができなくなる場合がある。その様な場合には、巻ばね168の付勢力によって掛止部材164が回転変位させられて被掛止リング152が掛止されることとなり、連結状態が伝達可能状態に変わってしまうのである。なお、連結状態が伝達可能状態に変わった後に電磁クラッチ120の振動が収まったとしても、上述の理由によって上記最小維持電流を供給するだけでは連結状態を切り換えることはできない。
操舵に起因する外乱について説明する。本実施例において、掛止機構150が、転舵側部材たる出力軸134に配設され、出力軸134とともに回転させられるようにされている。なお、伝達不能状態において、入力軸132と出力軸134との相対回転が許容されているが、ステアリングホイール14に急激な操作がなされると、ECU300の制御によって転舵装置60が車輪16を急激に転舵させるため、伝達不能状態であっても出力軸134が急激に回転させられることとなる。また、急激な操作がなされていない場合であっても、路面の凹凸を通過することによるキックバック等、車輪16から転舵装置60への逆入力があった場合には、出力軸134が急激に回転させられることとなる。したがって、掛止機構150は、操作開始時,停止時に回転方向に加速され、また、操作速度に応じた遠心力を受けるとともに、車輪16から転舵装置60への逆入力があった場合にも、回転方向に加速され、転舵速度に応じて遠心力を受けることとなる。以上のような回転方向への加速や、遠心力により、振動に起因する外乱と同様に、連結状態が伝達可能状態に変わってしまう場合があるのである。
本実施例において、電磁クラッチ120,および車体の一部に、それぞれ加速度センサ200,310が配設されている。それら加速度センサ200,310の各々は、3軸型の加速度センサとされ、車両の前後、左右、上下方向の加速度を検出することができるようにされている。それら加速度センサ200,310の各々の検出値に基づいて取得された加速度が、電磁クラッチ120と車体の一部とのそれぞれに対して別個に設定されたしきい値を超えない場合に振動の強度が比較的小さく、しきい値を超えた場合に振動の強度が比較的大きいと判定される。また、操作位置センサ40,転舵位置センサ100の検出値に基づいて、操作速度,操作加速度,転舵速度,および転舵加速度が取得され、それらが、それぞれに設定されたしきい値を超えない場合に操舵が穏やかで、しきい値を超えた場合に操舵が急激であると判定される。なお、上記各種のしきい値は、それぞれ試験によって最小維持電流では切り換え後の連結状態を維持できなくなる加速度の値が、予め取得され、その値がECU300のROMに記録されている。
ECU300は、振動の強度(電磁クラッチ120の加速度,車体の一部の加速度)、操舵の強度(操作速度,操作加速度,転舵速度,転舵加速度)のうちの少なくとも1つが、それぞれのしきい値を超えた場合に、維持電流を増大させるようにインバータ324に指令を送信するようにされている。そして、維持電流が増大させられ(図7)、切り換え後の連結状態が、振動や操舵による外乱によって乱されることなく維持される。なお、増大させられた維持電流の大きさは、切換電流よりも小さくされている。その後、振動の強度,操舵の強度のうちの全てが、それぞれのしきい値を下回った場合に、供給電流を最小維持電流にするようにインバータ324に指令が送信され、供給電流が最小維持電流に減少させられる。以上の制御によって、振動や操舵による強い外乱が加わった場合にも維持電流を増大させることで切り換え後の連結状態を維持するとともに、外乱が弱い場合には維持電流を可及的に減少させることで、電磁クラッチ120の電力消費を少なくすることができる。なお、本実施例のステアリングシステムは、電気的な制御による車輪16の転舵が不可能となっても、電磁クラッチ120がOFF状態になると、巻ばね168の付勢力によって連結状態が伝達可能状態にされるため、操作力によって転舵が可能である。
なお、本実施例において、電磁クラッチ120に図7に示した大きさの電流を供給するために、インバータ104によって、PWM(Pulse Width Modulation)によるパルスオン時間とパルスオフ時間との比(Duty比)が変更される。図8に模式的に示すように、最小維持電流を供給する場合には、比較的パルスオン時間が短く、パルス幅が狭いのに対して、切換電流を供給する場合には、非常にパルスオン時間が長く、パルス幅が広くされている。また、維持電流が増大させられた場合(増大時の維持電流)には、最小維持電流と切換電流との間のパルスオン時間,パルス幅にされている。なお、PAM(Pulse Amplitude Modulation)等によって供給電力の電圧の振幅を変化させて、適切な大きさの電流を供給することもできる。
10:操作部 12:転舵部 14:ステアリングホイール(操作部材) 16:転舵車輪 18:連結部 20:シャフト 30:シャフト支持機構 36:出力プーリ 40:操作位置センサ 50:反力モータ 60:転舵装置 64:転舵ロッド 78:転舵モータ 80:第1駆動部 94:第2駆動部 96:入力ローラ 100:転舵位置センサ 114:入力プーリ 116:出力ローラ 120:電磁クラッチ(連結切換機構) 122:ベルト 124:伝達ケーブル 132:入力軸(操作側部材) 134:出力軸(転舵側部材) 144:環状部 150:被掛止溝(被掛止部) 152:被掛止リング 160:掛止機構 162:爪部(掛止部) 164:掛止部材(相対動作禁止部材) 166:支持軸 168:巻ばね 170:ソレノイド型駆動器 172:駆動ロッド 174:ソレノイドコイル 200:加速度センサ[クラッチに配設] 300:電子制御装置[ECU] 310:加速度センサ[車体に配設] 324:インバータ
Claims (5)
- 操舵操作がなされる操作部材と、
駆動力源を備え、その駆動力源の駆動力と前記操作部材に入力された操作力との少なくとも一方によって車輪の転舵を行う転舵装置と、
電磁アクチュエータを有し、その電磁アクチュエータに電力が供給されることによって、前記操作部材と前記転舵装置との連結状態を、前記操作部材に入力された操作力が伝達される伝達可能状態と前記操作部材に入力された操作力が伝達されない伝達不能状態との一方から他方に切り換える力を発生させるとともに、前記電磁アクチュエータに供給された電力に応じて前記操作部材と前記転舵装置との連結状態を切り換えた後の状態を維持する力を発生させる連結切換機構と、
前記電磁アクチュエータに供給される電力を変化させることによって前記電磁アクチュエータの作動を制御する制御装置と
を備えたステアリングシステムであって、
前記制御装置が、前記操作部材と転舵装置との連結状態を乱す外乱の強度に応じて、前記電磁アクチュエータに供給する電力を変化させるように構成されたことを特徴とするステアリングシステム。 - 前記制御装置が、
前記外乱となる前記連結切換機構の振動の強度に応じて、前記電磁アクチュエータに供給する電力を変化させるように構成された請求項1に記載のステアリングシステム。 - 前記制御装置が、
前記外乱となる操舵の強度に応じて、前記電磁アクチュエータに供給する電力を変化させるように構成された請求項1または2に記載のステアリングシステム。 - 前記制御装置が、
前記操作部材と前記転舵装置との連結状態を切り換えた後にその連結状態を維持するための電力である維持電力を、前記外乱の強度が設定強度を超えた場合に大きくするように構成された請求項1ないし3のいずれかに記載のステアリングシステム。 - 前記連結切換機構が、
前記操作部材に連結されて前記操作部材になされた操作に応じた動作をする操作側部材と、
転舵装置に連結されて車輪の転舵に応じた動作をする転舵側部材と、
前記操作側部材と前記転舵側部材との相対動作を禁止することによってそれらの連結状態を伝達可能状態にする相対動作禁止位置と、前記操作側部材と前記転舵側部材との相対動作を許容することによってそれらの連結状態を伝達不能状態にする相対動作許容位置との一方から他方へ、前記電磁アクチュエータによって変位させられる相対動作禁止部材と、
その相対動作禁止部材を前記相対動作禁止位置と相対動作許容位置との他方から一方へ変位させる向きに付勢する弾性体と
を備えた請求項1ないし4のいずれかに記載のステアリングシステム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005363785A JP2007161210A (ja) | 2005-12-16 | 2005-12-16 | ステアリングシステム |
Applications Claiming Priority (1)
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2005
- 2005-12-16 JP JP2005363785A patent/JP2007161210A/ja not_active Withdrawn
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