JP2007157343A - Elパネル - Google Patents
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Abstract
【課題】 安定した発光特性が得られるELパネルを提供すること。
【解決手段】 好適な実施形態のELパネル10は、基板2、EL素子4、EL素子4を覆う保護層6、及び、封止板8をこの順に備えた構成を有している。そして、保護層6は、30〜70%の硬化度を有する硬化性樹脂によって全体が構成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】 好適な実施形態のELパネル10は、基板2、EL素子4、EL素子4を覆う保護層6、及び、封止板8をこの順に備えた構成を有している。そして、保護層6は、30〜70%の硬化度を有する硬化性樹脂によって全体が構成されている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、樹脂からなる保護層に覆われることによりEL素子が保護されたELパネルに関する。
有機EL(ElectroLuminescence)や無機EL等のEL素子は、自発光型の発光素子であり、高輝度であるほか、小型・軽量化が容易であるという特徴を有し、ディスプレイや照明等への応用が期待されている。ところが、これらのEL素子に用いられる発光材料は、外気(特に湿気等の水分)によって劣化し易い傾向にあり、これが素子の高寿命化を妨げる一つの要因となっていた。このため、従来、EL素子は、外気との接触を少なくするため、当該素子を封止したELパネルの形態で用いられている。
かかる封止の形態としては、EL素子を基板と封止板との間に配置し、外周部のみを樹脂等からなるシール剤で塞ぐ中空型の封止が知られている。ところが、この中空型の封止では、中空部の湿気を完全に取り除くために内部に乾燥剤等を導入する必要がある場合が多く、ELパネルの小型化・薄型化を図るのが困難な傾向にあった。
そこで、このような不都合を低減するために、基板と封止板との間のEL素子を含む領域を中空にせずに、当該領域全体を硬化性樹脂で満たして接着層とした固体封止型の構造が知られている。こうすれば、EL素子の周囲が完全に封止されることから湿気等の浸入や残存が困難となり、乾燥剤の導入が不要となる。このような接着層を形成するための材料としては、基板と封止板とを良好に接着でき、しかも透湿性が低いという特性を有する熱又は光硬化型のエポキシ樹脂が用いられている。
しかしながら、このように接着層にエポキシ樹脂を用いた固体封止型のELパネルは、発光特性が徐々に低下しやすいという問題があった。これは、エポキシ樹脂は、硬化されると通常極めて硬くなるため、硬化反応時等に生じた応力を硬化後に内部応力として保持し易いことが一つの要因であると考えられる。接着層を構成するエポキシ樹脂の硬化物が内部応力を有していると、かかる内部応力によって、接着層に密着しているEL素子がダメージを受けて破壊され、その結果、ELパネルの発光面積が小さくなる。
そこで、このようなEL素子の破壊による発光特性の低下を低減するため、下記特許文献1には、固体封止型の構成であって、接着層を構成する硬化性樹脂(接着用樹脂)の外周部分を硬化させるとともに、EL素子の周辺部分の全部又は一部を未硬化としたELパネル(表示装置)が開示されている。かかるELパネルにおいては、EL素子が接している部分の接着層は未硬化で柔軟であるため応力を緩和し易く、接着層の応力によるEL素子の破壊が生じ難い。
特開2003−197366号公報
しかし、上記従来技術のような構成を採用した場合であっても、ELパネルの経時的な発光特性の低下を十分に抑制するのは未だ困難であった。
そこで、本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、安定した発光特性が得られるELパネルを提供することを目的とする。
本発明者らが上記従来技術の構成を有する固体封止型のELパネルについて検討を行ったところ、接着層におけるEL素子の周囲を全部又は一部未硬化とした場合であっても、EL素子の発光面積の減少を抑制するのが困難となる場合があることを見出した。すなわち、接着層が未硬化であっても硬化度が高い場合は、内部応力を十分に緩和することができないため、EL素子の破壊を抑制するのは困難となる。一方、接着層が全く硬化していない場合等、硬化度が極端に小さい場合は、基板や封止板に対する密着性が不十分となり、これらと界面から外気等が浸入してEL素子がダメージを受けること等によって、やはりEL素子の発光面積が減少することになる。
本発明はこのような知見に基づいてなされたものであり、EL素子を保護するための材料として所定の硬化度を有する硬化性樹脂を適用することで、発光面積の減少をより確実に低減できるようになることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明のELパネルは、基板と、この基板上に設けられたEL素子と、基板上にEL素子を覆うように設けられた保護層とを備え、保護層が、30〜70%の硬化度を有する硬化性樹脂によって全体を構成されていることを特徴とする。
ここで、硬化性樹脂の硬化度とは、硬化性樹脂を誘電分析(DEA分析)して得られる誘電損失から導き出されるイオン粘度カーブから、温度依存を除いて得られる硬化進行の指標であり、イオン粘度カーブが平坦となったときを硬化度100%(完全硬化)として換算して得られる値である。
このように、本発明のELパネルにおいては、EL素子が30〜70%の硬化度を有しており、完全に硬化されていない硬化性樹脂からなる保護層によって封止されている。かかる保護層は、適度な柔軟性を有するため硬化の際等に生じた応力を緩和し易いものである。したがって、本発明のELパネルにおいては、硬化性樹脂からなる保護層にEL素子が密着しているにもかかわらず、保護層の内部応力に起因するEL素子の破壊が生じ難い。
また、本発明のELパネルにおいては、上述の如く、保護層全体が30〜70%の硬化度を有する硬化性樹脂によって構成されている。ここで、本発明者らの検討によると、硬化性樹脂は、硬化が進むとともに緻密な構造となり湿気等の成分を通し難くなるが、ある程度の硬化度を超えて完全硬化に近くなると、逆に湿気等の成分を通し易くなることが判明した。これは、必ずしも明らかではないが、硬化性樹脂中の架橋構造の割合が増加することによって、樹脂構造中に気体等を通すような隙間が多数形成されることに起因していると考えられる。
上記特許文献1に記載された構成を有するELパネルにおいては、接着層の外気に接する部分が完全硬化されており、この部分は上述したように外部の湿気等を通し易い構造となっている。これに対し、本発明のELパネルにおける保護層は、その全体が未硬化(30〜70%の硬化度)の硬化性樹脂から構成されていることから、上記のように外周部に完全硬化された部位を有する接着層に比して、より湿気等の成分を通し難いものとなっている。その結果、本発明のELパネルは、外部の湿気等の浸入による発光体の劣化に伴う発光特性の低下も効果的に抑制し得るものとなる。
保護層を構成する硬化性樹脂は、30〜70%の範囲であれば保護層中で異なる硬化度を有していてもよいが、保護層全体で略同一の硬化度を有していると好ましい。こうすれば、応力をより均一に緩和してEL素子へのダメージを特に良好に低減できるようになる。
上記本発明のELパネルにおいては、保護層を構成している硬化性樹脂が30〜70%の硬化度を有しており、且つ、完全に硬化させたときの(硬化度100%のときの)ガラス転移温度(Tg)が100℃以上であると好ましい。通常、樹脂材料は、そのTg以上の温度で所定の基材に対する密着性が急激に低減する傾向にある。これに対し、本発明における硬化性樹脂は、ELパネルの製造時や使用時に想定される通常の環境温度を上回るTgを有するものとなるため、基板に対する密着性を良好に維持することができる。その結果、本発明のELパネルは、保護層の剥離等が生じ難く、かかる剥離に伴うEL素子の破壊や劣化等が極めて生じ難いものとなる。
本発明によれば、長期にわたって安定した発光特性が得られるELパネルを提供することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
図1は、好適な実施形態に係るELパネルの断面構成を模式的に示す図である。図示されるように、ELパネル10は、基板2と、基板2上に形成されたEL素子4と、EL素子4を覆うように基板2上に形成された保護層6と、基板2と対向しており保護層6を挟むように配置された封止板8とを備えた構成を有している。本実施形態においては、封止板8側からEL素子4の発光を取り出すトップエミッション型の構造を有するELパネル10について説明する。
基板2は、EL素子4における基板を兼ねるものであり、EL素子用の基板として通常用いられるものであれば特に制限なく適用できる。基板2の構成材料としては、例えば、ガラス基板、シリコン基板、フィルム基板、樹脂基板に代表される有機基板等が挙げられる。封止板8は、EL素子4からの発光を取り出すことが可能な透明材料から構成され、例えば、ガラスやプラスチック材料からなるものが挙げられる。
EL素子4としては、有機EL素子及び無機EL素子の両方が適用できる。特に、有機EL素子は、発光体を構成している有機材料が外部の湿気等による水分の接触によって劣化し易い傾向にあることから、本実施形態のような封止構造を有するELパネルに適用するのに有効である。
保護層6は、基板2と封止板8とに挟まれており、その内部にEL素子4を含む構造となっている。保護層6は、硬化性樹脂によって構成されており、かかる硬化性樹脂は、30〜70%の硬化度を有している。ここで、保護層6を構成する硬化性樹脂の硬化度が30%未満であると、基板2や封止板8との密着性が不十分となって、これらとの界面から外気等が浸入することにより、ELパネル10におけるEL素子4にダメージが生じ易くなる。一方、硬化度が70%を超える場合は、保護層6が硬化時等に生じた応力を内部応力として保持し易くなり、この内部応力がEL素子4に加わる等してEL素子4にダメージが生じるようになる。これらの不都合をより確実に回避する観点から、保護層6を構成する硬化性樹脂の硬化度は40〜60%であると好ましい。
保護層6を構成する硬化性樹脂としては、光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂が挙げられる。なお、ここでいう樹脂とは、上記の硬化度を有する化合物であることから、当該樹脂の重合前の成分であるモノマー成分等や、これらが重合してなるオリゴマー成分又はポリマー成分が混在したものである。
光硬化性樹脂としては、光ラジカル硬化型樹脂及び光カチオン硬化型樹脂の両方が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等が挙げられ、基板2及び封止板8との接着性が良好であり、しかも透湿性が低いことからエポキシ樹脂がより好ましい。光硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂のなかでは、硬化度を上記範囲に調整し易いことから光硬化性樹脂がより好ましい。
光ラジカル硬化型樹脂としては、アクリル系樹脂が挙げられ、例えば、アクリル化エポキシ樹脂、アクリル化ポリウレタン、アクリル樹脂等が例示できる。光カチオン硬化型樹脂としては、光カチオン硬化型エポキシ樹脂が挙げられ、例えば、脂環式エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を主剤として、ジアゾニウム化合物、スルホニウム化合物、ヨードニウム化合物等の光カチオン触媒を組み合わせたものが例示できる。
上述した光硬化性樹脂のなかでも、光カチオン硬化型エポキシ樹脂が、硬化度を容易に調整できるほか、応力緩和性にも優れることから特に好ましい。光カチオン硬化型樹脂としては、具体的には、ナガセケムテックス社製UVカチオン硬化型エポキシ樹脂XNR5570、XNR5516、スリーボンド社製30Y−437W等が挙げられる。
保護層6を構成する硬化性樹脂は、完全に硬化させたときのTgが100℃以上であると好ましく、110℃以上であるとより好ましく。120〜140℃であると更に好ましい。ここで、完全に硬化させたときのTgとは、上述した硬化度を100%としたときのTgであり、例えば、示唆走査熱量計(DSC)を用いた測定により算出される値を採用することができる。硬化性樹脂のTgが85℃未満であると、例えば、ELパネル10の製造時や使用時において高温環境に晒された場合に、保護層6の接着性が低下して基板2や封止板8からの保護層6の剥離が生じる場合がある。
次に、上述した構成を有するELパネル10の好適な製造方法について説明する。
まず、基板2を準備し、その上にEL素子4を形成する。続いて、基板2上に硬化前の硬化性樹脂(モノマー成分や硬化剤を含む組成物)をスピンコート法等により塗布し、少なくともEL素子4が覆われるように硬化性樹脂からなる層を形成する。それから、封止板8を、硬化性樹脂からなる層を介して基板2と貼り合わせる。なお、基板2上に硬化性樹脂を滴下した後に封止板8を貼り合わせるだけで、基板2と封止板8との間に良好に硬化性樹脂層が形成される場合は、上述したような硬化性樹脂の塗布は必ずしも行わなくてもよい。
そして、このようにして得られた構造体に対し、硬化性樹脂の種類に応じて加熱や活性光線の照射を行い、硬化度が30〜70%となるまで硬化性樹脂を硬化して保護層6を形成し、図1に示す構造のELパネル10を得る。具体的には、まず、硬化性樹脂が熱硬化性樹脂である場合は、上記構造体を加熱することにより硬化性樹脂の硬化を生じさせる。この際、加熱は、EL素子4(特に発光体)の劣化が生じない程度の温度で行うことが好ましい。
一方、硬化性樹脂が光硬化性樹脂である場合は、上記構造体における光を透過可能な封止板8側から活性光線を照射する。ここで、活性光線とは、光硬化性樹脂の重合反応を生じさせ得るエネルギーを有する光線であり、例えば、紫外光(UV)が挙げられる。紫外光としては、例えば高圧水銀灯から出射された光を用いることができる。
硬化性樹脂の硬化においては、加熱や活性光線の照射の条件を調整することで硬化度を30〜70%の範囲とする。具体的には、加熱の場合、加熱温度や加熱時間を調整する。また、活性光線の照射の場合、光線の照射量や照射時間、更には光線照射中の温度等を調整する。これらの条件としては、あらかじめ同じ硬化性樹脂を用いて種々の条件で硬化度の測定を行い、30〜70%の硬化度が得られたときの条件を適用することができる。
硬化性樹脂の硬化度の測定は、当該硬化性樹脂を用いた誘電分析(DEA分析)により行うことができる。具体的には、まず、硬化性樹脂を一対の電極間に配置し、一方の電極に交流電圧を励起し、これにより得られる他方の電極のレスポンスの位相及び振幅の変化から、誘電率及び誘電損失の誘電体特性を算出する。こうして得られた誘電損失の値から周波数に依存しないイオン移動のパラメータであるイオン粘度カーブを導き出す。そして、このイオン粘度変化から温度依存を除くことによって、硬化度の変化を示す曲線を求めることができる。そして、上記で得られたイオン粘度カーブが平坦となった点を硬化度100%として換算することで、硬化度の値を求めることができる。このような誘電分析は、例えば、ネッチ(NETZSCH)社製DEAシステム(DEA230、DEA231)を用いて行うことができる。
硬化性樹脂の硬化度を30〜70%とするための好適条件としては、例えば、以下に示すような条件が挙げられる。すなわち、硬化性樹脂が熱硬化性のエポキシ樹脂である場合は、80℃程度の温度で30分〜2時間程度の加熱、又は、100℃程度の温度で30分〜2時間程度の加熱を行うことが好ましい。一方、硬化性樹脂が光カチオン硬化型のエポキシ樹脂である場合は、12000mJ/cm2の照射量でUV照射を行い、光硬化後、80℃で1時間程度加熱してさらに熱硬化させることが好ましい。
以上、本発明の好適な実施形態に係るELパネル及びその製造方法について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
まず、上述したELパネル10では、保護層6上に封止板8を配置したが、かかる封止板8は必ずしも必要ではなく、保護層6のみでEL素子4の保護を十分に図れる場合は、封止板8を設けない構成としてもよい。また、ELパネル10は、トップエミッション型の構成としたが、例えば、基板2を透明材料から構成することで、基板2側から光を取り出すボトムエミッション型のELパネルとしてもよい。この場合、基板2と封止板8との構成材料を上述した実施形態における場合と入れ替えればよい。
さらに、上記実施形態では最小限の構成を有するELパネル10を例示したが、ELパネルは、必要に応じて他の構成を更に有していてもよい。例えば、ELパネルをディスプレイ等に用いる場合は、当該パネルのカラー化を可能とするため、封止板8側にカラーフィルタが設けられた構成としてもよい。
さらにまた、上述したELパネルの製造方法では、封止板8を基板2と張り合わせた後に硬化性樹脂の硬化を行ったが、必ずしもこれに限定されず、封止板8の貼り合せは、硬化性樹脂の硬化後に行ってもよく、硬化させながら行ってもよい。ただし、良好な接着性を確保する観点からは、封止板は、硬化性樹脂の硬化前に貼り合せておくことが好ましい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
[実施例1]
(ELパネルの作製)
まず、基板上に有機EL素子を形成した。次いで、この基板上に、硬化性樹脂であるUVカチオン硬化型エポキシ樹脂(XNR5570、ナガセケムテックス社製)を滴下した。それから透明な封止板を、EL素子側から当該素子に接触しないように基板に貼り付けた。これにより、基板と封止板との間にEL素子が配置され、且つ、基板と封止板との間に硬化性樹脂が充填された構造の構造体を得た。実施例1ではこの構造体を5つ準備した。
まず、基板上に有機EL素子を形成した。次いで、この基板上に、硬化性樹脂であるUVカチオン硬化型エポキシ樹脂(XNR5570、ナガセケムテックス社製)を滴下した。それから透明な封止板を、EL素子側から当該素子に接触しないように基板に貼り付けた。これにより、基板と封止板との間にEL素子が配置され、且つ、基板と封止板との間に硬化性樹脂が充填された構造の構造体を得た。実施例1ではこの構造体を5つ準備した。
そして、5つの構造体に対し、封止板側から、それぞれ10%、30%、50%、70%及び90%の硬化度となる積算光量でUV照射を行い、硬化性樹脂を硬化させた。こうして、図1に示す構造を有しており、保護層を構成する硬化性樹脂の硬化度がそれぞれ異なる5種のELパネルを得た。
(発光面積の経時変化の測定)
得られた各ELパネルを用い、所定時間経過後の発光領域の減少を測定する発光試験を行った。すなわち、まず、製造直後のELパネルを発光させて、その発光領域の面積を測定した。それから、ELパネルを60℃、95%RHの条件で放置し、80時間経過後及び160時間経過後の発光領域の面積を同様に測定した。そして、製造直後の発光領域の面積を100とした場合の各時間経過時点での発光領域の面積を求めた。得られた結果を図2に示す。
得られた各ELパネルを用い、所定時間経過後の発光領域の減少を測定する発光試験を行った。すなわち、まず、製造直後のELパネルを発光させて、その発光領域の面積を測定した。それから、ELパネルを60℃、95%RHの条件で放置し、80時間経過後及び160時間経過後の発光領域の面積を同様に測定した。そして、製造直後の発光領域の面積を100とした場合の各時間経過時点での発光領域の面積を求めた。得られた結果を図2に示す。
図2は、実施例1の各ELパネルにおける発光面積の経時変化を示すグラフである。図2中、L11、L12、L13及びL14は、それぞれ硬化度10%、30%、50%及び70%の硬化性樹脂からなる保護層を備えるELパネルで得られた結果を示している。なお、保護層を硬化度が90%の硬化性樹脂としたELパネルでは、製造直後にEL素子の破壊が生じてしまい、発光を観察することはできなかった。
図2より、硬化度が30%、50%及び70%の硬化性樹脂からなる保護層を備えるELパネルでは、160時間経過後でも発光面積の減少が殆ど見られなかったのに対し、硬化度が10%の場合のELパネルでは、経過時間に応じて発光面積が減少していくことが判明した。
[実施例2]
[実施例2]
(ELパネルの作製)
硬化性樹脂として、UVカチオン硬化型エポキシ樹脂に代えて、光ラジカル硬化型樹脂であるエポキシアクリレートを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、それぞれ10%、30%、50%、70%及び90%の硬化度を有する硬化性樹脂からなる保護層を備える5種のELパネルを作製した。
硬化性樹脂として、UVカチオン硬化型エポキシ樹脂に代えて、光ラジカル硬化型樹脂であるエポキシアクリレートを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、それぞれ10%、30%、50%、70%及び90%の硬化度を有する硬化性樹脂からなる保護層を備える5種のELパネルを作製した。
(発光特性の経時的変化の測定)
発光面積の測定時間をそれぞれ40時間、70時間及び120時間経過後としたこと以外は、実施例1と同様にして各ELパネルの発光特性の経時変化の測定を行った。得られた結果を図3に示す。
発光面積の測定時間をそれぞれ40時間、70時間及び120時間経過後としたこと以外は、実施例1と同様にして各ELパネルの発光特性の経時変化の測定を行った。得られた結果を図3に示す。
図3は、実施例2の各ELパネルにおける発光面積の経時変化を示すグラフである。図2中、L21、L22、L23及びL24は、それぞれ硬化度10%、30%、50%及び70%の硬化性樹脂からなる保護層を備えるELパネルで得られた結果を示している。なお、保護層を硬化度が90%の硬化性樹脂としたELパネルでは、製造直後にEL素子の破壊が生じてしまい、発光を観察することはできなかった。
図3より、硬化度が30%、50%及び70%の硬化性樹脂からなる保護層を備えるELパネルは、硬化度が10%の場合のELパネルに比して、時間の経過に伴う発光面積の減少が極めて小さいことが確認された。
2…基板、4…EL素子、6…保護層、8…封止板、10…ELパネル。
Claims (3)
- 基板と、前記基板上に設けられたEL素子と、前記基板上に前記EL素子を覆うように設けられた保護層と、を備え、
前記保護層は、30〜70%の硬化度を有する硬化性樹脂によって全体を構成されている、
ことを特徴とするELパネル。 - 前記硬化性樹脂は、30〜70%の硬化度を有しており、且つ、前記保護層全体で略同一の硬化度を有していることを特徴とする請求項1記載のELパネル。
- 前記硬化性樹脂は、30〜70%の硬化度を有しており、且つ、完全に硬化させたときのガラス転移温度が100℃以上であることを特徴とする請求項1記載のELパネル。
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