JP2007155312A - ガスタービンエンジンの環状燃焼器およびその設計方法、並びにガスタービンエンジンにおけるNOxの形成を制御する方法 - Google Patents

ガスタービンエンジンの環状燃焼器およびその設計方法、並びにガスタービンエンジンにおけるNOxの形成を制御する方法 Download PDF

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Dae K Dempsey
ケー.デンプシー デイ
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ビー.ホーク ジェームス
Stephen K Kramer
ケー.クレーマー スティーヴン
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ダイアー カーティス スミス リード
William A Sowa
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Abstract

【課題】ガスタービンエンジンの低NOx排出燃焼器を提供する。
【解決手段】ガスタービンエンジンの燃焼器モジュールは、燃焼器26を有し、該燃焼器は、長さLを備えた燃焼室30を画定するライナアッセンブリを有する。ライナアッセンブリは、内側ライナ32と、外側ライナ34と、高さH1を有し、該ライナの各前方端部間に延びる隔壁36と、を含む。ライナ34,32は、支持シェル44,58と、前方および後方の熱シールド46,48;60,62と、をそれぞれ備える。燃焼器は、内側および外側ライナの各後方端部間に出口高さH3を有する。燃焼器は、1.7以下の値を有する比H1/H3および6.0以下の値を有する比L/H3を有する。燃焼室30に導入される主空気流、希釈空気流および冷却空気流は、ピーク燃焼温度を低減させるような方法で燃焼空気を配分して、NOxの形成を低減させるようにそれぞれ制御される。
【選択図】図2

Description

本発明は、一般的にガスタービンエンジンに関し、さらに詳細には、窒素酸化物(NOx)の排出がより少ないガスタービンエンジン燃焼器に関する。
本出願は、「Heat Shield Panels For Use In A Combustor For A Gas Turbine Engine」と題して、2002年5月16日に出願された同時係属の米国特許出願第10/147571号明細書、2003年11月20日に公開された米国特許出願公開第2003/0213250号(A1)明細書に関連しており、参照により全体が本明細書に組み込まれる。また、「Combustor」と題して2003年10月9日に出願された同時係属の米国特許出願第10/684335号明細書にも関連しており、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
ガスタービンエンジン(現代の民間航空機の動力源として使用されているものなど)は、一定の供給量の空気を加圧する圧縮機と、加圧空気の存在下で炭化水素燃料を燃焼する燃焼器と、生じた燃焼ガスからエネルギーを抽出するタービンと、を備える。航空機エンジンの用途では、圧縮機、燃焼器、およびタービンは、エンジンの中心軸を中心に配置されており、圧縮機は燃焼器の軸方向上流側に配置され、タービンは燃焼器の軸方向下流側に配置される。例示的な燃焼器は、前方の隔壁から後方に延びる径方向内側ライナと径方向外側シェルとの間に画定された環状の燃焼室を備える。径方向内側ライナは、熱シールドを形成する。径方向外側シェルは、内側ライナから径方向に離間されて、該内側ライナの周囲に沿って周方向に延びる。周方向に配設された燃焼空気孔の列は、燃焼室の長さに沿って燃焼用空気を燃焼室内に導くように、外側シェルおよび内側ライナにおける複数の軸方向の箇所を貫通している。複数の周方向に配設された燃料インジェクタおよび対応する旋回器または空気通路は、前方隔壁に取り付けられる。燃料インジェクタは、燃料を供給するように燃焼室の前端部内に突出している。旋回器は、燃料と吸気を急速に混合させるように隔壁における燃焼室の前端部に流入する吸気を旋回させる。同一出願人による特許文献1,2は、例示的な従来のガスタービンエンジン用環状燃焼器を開示しており、本願の参考となる。
炭化水素燃料が空気中で燃焼すると、不可避的に窒素酸化物(NOx)が発生する。監督当局によるNOxの排出に対する規制は厳しくなっている。したがって、エンジン製造業者はNOxの排出を最小限に抑えるために努力している。
ガスタービンエンジンからのNOx排出を最小限にするための1つの燃焼方式は、過濃燃焼/急速急冷/希薄燃焼(RQL:Rich burn,quick quench,lean burn)式燃焼と呼ばれる。RQL燃焼方式では、NOxの形成条件が、高い燃焼火炎温度で、すなわち、燃料対空気比が化学量論的であるか、またはそれに近い場合に、最も好都合であると認識されている。RQL燃焼用に構成された燃焼器は、直列に配置された3つの燃焼ゾーン、すなわち、燃焼器の前端における燃料過濃(fuel−rich)燃焼ゾーンと、過濃燃焼から希薄燃焼への変換を含む急冷(クエンチ)つまり希釈ゾーンと、この急冷/希釈ゾーンの軸方向後方の希薄燃焼ゾーンと、を含む。したがって、RQL燃焼用に構成された燃焼器における燃焼プロセスは、燃焼における2つの調整状態を有しており、燃焼器の前方部分おける化学量論的に燃料過濃である第1の状態が、化学量論的に燃料希薄(fuel−lean)である下流側の第2の状態に急速に変換される。
エンジンがRQL燃焼で運転中に、圧縮機から排出された加圧空気の一部は、過濃燃焼をサポートするために、吸気旋回器を通って燃焼室に流入するようにディフューザを介して導かれる。並行して、燃料インジェクタにより、化学量論的に過剰な量の燃料が燃焼器の前方部分に導入される。結果生じる化学量論的に過濃の燃料/空気混合気が点火、燃焼されて、燃料のエネルギー含有量を部分的に放出する。混合気の燃料過濃の特徴は、燃焼火炎温度を抑制することによって過濃燃焼ゾーンにおけるNOxの形成を阻害する。また、特定の運転条件や急激なエンジン出力への過渡状態の間における燃焼火炎の消炎(ブローアウト)に対する耐性を有し、燃焼器の適切な点火を促進する。
第1の燃焼ゾーンで発生した燃料過濃な燃焼生成物は、燃焼プロセスが続く箇所に伝搬する。圧縮機からの加圧空気は、燃焼空気孔を介して燃焼室に径方向に流入する。この空気は、第1の燃焼ゾーンからの燃焼生成物と混合して、さらなる燃焼をサポートし、燃料から付加的なエネルギーを放出する。また、燃料過濃な燃焼生成物が軸方向に流れて、急冷(クエンチ)ゾーンに導入された空気と混合する際に、空気により、この燃焼生成物が徐々に希薄化される。最初に、空気を加えることよって、燃焼生成物の燃料対空気比は、より低い燃料過濃となり、化学量論的な組成に近き、その結果、燃焼火炎温度が上昇する。所与の時間間隔において生じるNOxの量は火炎温度とともに指数関数的に増加するので、燃焼が盛んな最初の急冷プロセス時にかなりの量のNOxが生じる。急冷が続くと、燃焼生成物の燃料対空気比は、化学量論的な状態から急激に変換して燃料が希薄となり、その結果、火炎温度が低下する。しかし、混合気が化学量論よりも実質的に低い燃料対空気比に希釈されるまで、火炎温度は高いままであり、かなりのNOxが生じる。
最後に、急冷後の希薄化された燃焼生成物は、燃焼プロセスが希薄燃焼として完結する燃焼器の下流に軸方向に流れる。圧縮機の排出空気の付加的な噴流が希薄燃焼ゾーンに径方向に導入される。この付加的な空気は、燃料を完全燃焼させるとともに、タービンに流入する前にピーク温度を低下させ、燃焼生成物の空間的な温度分布を調節するように、進行中の燃焼をサポートする。ピーク温度および温度分布を調節することにより、タービンが過剰な温度および過剰な温度勾配にさらされないように保護される。
ガスタービンエンジンからのNOxの排出を最小限にする他の燃焼方式は、希薄直噴(LDI:Lean direct injection)燃焼と呼ばれる。LDI燃焼方式では、NOxの形成条件が、高い燃焼火炎温度で、すなわち、燃料対空気比が化学量論的であるか、またはそれに近い場合に、最も好都合であると認識されている。LDI燃焼では、燃料の燃焼に必要な化学量論的な空気量よりも多い空気が、燃焼室の前方領域に噴射されて、燃料過濃プロセスと反する燃料希薄プロセスによって燃焼されるように急速に吸気と混合される。LDI燃焼用に構成された燃焼器は、直列に配置された2つの燃焼ゾーン、すなわち、燃焼器の前端部における全体的な燃料希薄燃焼ゾーンを含み、該ゾーンにおいて、最初に燃料および空気が混合され、その後、燃焼器の軸方向後方部分における希釈または冷却用の空気の追加によりサポートされる付加的な希薄燃焼が続く。LDI燃焼用に構成された燃焼器における燃焼プロセスは、設計上の意図によって、燃焼が独占的にかつ化学量論的に燃料希薄である1つの一括(バルク)調整状態で存在する。明白であるが、このような状態を実現する混合を通して、燃料と空気の混合が限定的な時間および空間量を必要とする場合には、局部的な条件は燃料希薄でなくてもよい。
LDI燃焼によるエンジン運転時には、圧縮機から排出された加圧空気の大部分は、吸気旋回器、通路、または混合室を介して燃焼器の前端部に導かれる。吸気として燃焼器に導入された空気の量は、前端部から並行して噴射された燃料に対して化学量論的に過剰である。結果として生じる化学量論的な燃料希薄の燃料/空気混合気は、燃焼室の前方部分で点火され、実質的に燃焼される。この燃焼ゾーンにおける実質的に過剰な空気は、燃焼火炎温度を抑制することによってNOxの形成を阻害する。この燃焼ゾーンからの燃焼生成物は、さらなる混合とともに下流方向に流れ、最初の燃料希薄燃焼ゾーンの概ね軸方向後方の希釈ゾーンに流入する。希釈される場合には、付加的な圧縮機からの排出空気が燃焼器内に径方向に導入される。この付加的な空気は、さらに燃焼プロセスに寄与し、燃焼生成物を希釈し、それによって、タービンに流入する前にピーク温度を低下させかつ燃焼生成物の空間的な温度分布も調節する。ピーク温度および温度分布の調節により、タービンが過剰な温度および過剰な温度勾配にさらされないように保護される。この第2のステップに冷却空気を導入することは、希釈を補うもの、または希釈に代わるものである。
ガスタービンエンジンにおいて加圧空気中で燃料が燃焼する間に生成されるNOx排出物質の大部分は、RQL燃焼かLDI燃焼かにかかわらず、局所的でほぼ化学量論的な燃焼条件の高温ゾーンで発生する。これらの条件は、LDI燃焼室の全体的な燃料希薄の性質またはRQL燃焼室の前方部分の燃料過濃の性質に関わらず生じる。したがって、NOxの形成に使用される時間を制限することが重要となる。しかし、燃焼滞留時間(燃焼室を通過する気体の体積流量で燃焼室の容積を除することによって従来的に算出される)が短すぎるか、あるいは不適切に管理されると、燃料の不完全な燃焼による出力の低下または性能の低下、タービンを損傷させるホットスポットをもたらすタービンでの持続的な燃焼、および燃焼の非効率または複合的な物理学的性質に関連する一酸化炭素および炭化水素を含む排出物質の潜在的な増加をもたらす恐れがある。
米国特許第6,606,861号明細書 米国特許第6,810,673号明細書
本発明は、低NOx排出燃焼器を提供するために、燃焼器の内壁と外壁との間の高さ(またはスパン)、および燃焼器の容積に亘る前方から後方への空気流の分配を管理することによって、燃焼器滞留時間が効果的で確実かつ適切に短縮される構成、方法、およびエンジン設計を具現化するものである。
本発明の態様の目的は、ガスタービンエンジン用の低NOx排出燃焼器を提供することである。
本発明の態様の目的は、ガスタービンエンジン用の低NOx排出燃焼器を設計する方法を提供することである。
本発明の態様の目的は、ガスタービンエンジンの燃焼器におけるNOxの発生を制御する方法を提供することである。
本発明の態様の目的は、低NOx排出燃焼器を特徴とするガスタービンエンジンを提供することである。
ガスタービンエンジン用の燃焼器は、長手方向の軸を有する第1の周方向に延びるライナと、前記第1のライナの外側で径方向に離間され、該第1のライナを同軸状に囲む第2の周方向に延びるライナと、前記第1のライナの前端部と前記第2のライナの前端との間で延びるとともに、空気中で燃料を燃焼する燃焼室を画定するように前記第1および第2のライナと協働する隔壁と、を備える。環状の燃焼器は、隔壁の内側表面から軸に沿って後方に燃焼器出口まで延びる距離である全長Lを有する。また、環状燃焼器は、エンジンの中心線に対して主に相対方向に、つまり内側ライナおよび外側ライナの前方部分間において燃焼器の軸に対して垂直に延びる隔壁の高さH1と、エンジン中心線に対して主に相対方向に、つまり内側ライナおよび外側ライナの後方部分間において燃焼器の軸に対して垂直に延びる出口の高さH3と、を有する。
本発明の一態様では、環状燃焼器は、燃焼器隔壁の高さ(H1)と燃焼器出口の高さ(H3)との比、すなわち、H1/H3を有し、その値が1.7以下となる。一実施形態では、環状燃焼器は、0.8〜1.7の範囲の値を有する比H1/H3を有する。他の実施形態では、環状燃焼器は、1.2〜1.6の範囲の値を有する比H1/H3を有する。本発明の他の態様では、環状燃焼器は、標準化された燃焼器の長さ、すなわち、燃焼器長さ(L)と燃焼器出口高さ(H3)の比L/H3を有し、その値が6.0以下となる。
本発明の他の態様によれば、ガスタービンエンジン用の低NOx排出燃焼器を設計する方法が提供され、該ガスタービンエンジンは、軸を備えた周方向に延びる内側ライナと、前記内側ライナの外側で径方向に離間され、該内側ライナを同軸状に囲んで周方向に延びる外側ライナと、前記内側ライナの前端部と前記外側ライナの前端部との間で延びるとともに、空気中で燃料を燃焼する燃焼室を画定するように前記第1および第2のライナと協働する隔壁と、を有する。前記方法は、前記隔壁の高さと前記燃焼器出口の高さとの比H1/H3が1.7以下の値を有するように前記環状燃焼器をサイズ決めするステップを含む。本方法の一実施形態では、比H1/H3が0.8〜1.7の範囲の値を有するように環状燃焼器がサイズ決めされる。前記方法の他の実施形態では、比H1/H3が1.2〜1.6の範囲の値を有するように環状燃焼器がサイズ決めされる。前記方法の他の態様では、環状燃焼器は、標準化された燃焼器の長さ、すなわち、燃焼器長さと燃焼器出口高さの比L/H3が6.0以下の値を有するようにサイズ決めされる。
本発明の他の態様では、ガスタービンエンジンにおけるNOxの形成を制御する方法は、軸を備えた周方向に延びる内側ライナと、前記内側ライナの外側で径方向に離間され、該内側ライナを同軸状に囲んで周方向に延びる外側ライナと、前記内側ライナの前端部と前記外側ライナの前端部との間で延びるとともに、空気中で燃料を燃焼する燃焼室を画定するように前記第1および第2のライナと協働する隔壁と、を有する環状の燃焼器を提供するステップを含み、前記環状燃焼器は、0.8〜1.7の範囲の値を有する比H1/H3、すなわち、燃焼室の隔壁高さと燃焼器出口高さとの比を有しており、さらに、燃料過濃燃焼ゾーンが燃焼室の前方領域に設けられ、該燃料過濃燃焼ゾーンの下流に希釈ゾーンが設けられた過濃/急冷/希薄燃焼モードで環状燃焼器を作動させるステップを含む。前記方法は、前記燃料過濃燃焼ゾーンのみに燃焼される燃料を導入するステップと、前記燃焼室に空気を導入するステップであって、前記導入される空気の約10%〜約30%が、前記燃料過濃燃焼ゾーンに直接導入され、前記導入される空気の約40%〜約80%が、前記希釈ゾーンに直接導入され、前記導入される空気の約5%〜約35%が、前記内側および外側ライナを冷却する空気として導入される、燃焼室に空気を導入するステップと、を含む。本方法の一実施形態では、前記燃焼室に空気を導入する前記ステップが、前記導入される空気の12%〜18%を前記燃料過濃燃焼ゾーンに直接導入することと、前記導入される空気の50%〜70%を前記希釈ゾーンに直接導入することと、前記導入される空気の12%〜18%を前記内側および外側ライナを冷却する空気として導入することと、を含む。
本発明の別の態様では、ガスタービンエンジンにおけるNOxの形成を制御する方法は、軸を備えた周方向に延びる内側ライナと、前記内側ライナの外側で径方向に離間され、該内側ライナを同軸状に囲んで周方向に延びる外側ライナと、前記内側ライナの前端部と前記外側ライナの前端部との間で延びるとともに、空気中で燃料を燃焼する燃焼室を画定するように前記第1および第2のライナと協働する隔壁と、を有する環状の燃焼器を提供するステップを含み、前記環状燃焼器は、0.8〜1.7の範囲の値を有する比H1/H3、すなわち、燃焼室の隔壁高さと燃焼器出口高さとの比を有しており、さらに、最初の燃料希薄燃焼ゾーンが前記燃焼室の前方領域に設けられ、前記最初の燃料希薄燃焼ゾーンの下流に混合/希釈ゾーンが設けられた希薄直噴燃焼モードで前記環状燃焼器を作動させるステップを含む。本方法は、燃料過濃燃焼ゾーンのみに燃焼される燃料を導入するステップと、前記燃焼室に空気を導入するステップであって、前記導入される空気の約50%〜約90%が、前記燃料希薄燃焼ゾーンに直接導入され、前記導入される空気の約0%〜約20%が、前記混合/希釈ゾーンに直接導入され、前記導入される空気の約0%〜約25%が、前記内側および外側ライナを冷却する空気として導入される、燃焼室に空気を導入するステップと、を含む。
本発明のさらなる他の態様では、長手方向の中心軸を中心に同軸に配設された燃焼器、圧縮機およびタービンを備えるガスタービンエンジンは、低NOx排出燃焼器により特徴づけられ、前記燃焼器は、前記エンジンの前記長手方向軸と同軸状に配設された軸を備えた第1の周方向に延びるライナと、前記第1のライナの外側で径方向へ離間され、該第1のライナを囲んで第2の周方向に延びるライナと、前記第1のライナの前端部と前記第2のライナの前端との間で延びるとともに、空気中で燃料を燃焼する燃焼室を画定するように前記第1および第2のライナと協働する隔壁と、を備える。環状燃焼器は、1.7以下の値を有する比H1/H3、すなわち、燃焼室の隔壁高さと燃焼器の出口高さとの比を有する。一実施形態では、環状燃焼器は、0.8〜1.7の範囲の値を有する比H1/H3を有する。別の実施形態では、環状燃焼器は、1.2〜1.6の範囲の値を有する比H1/H3を有する。本発明の他の態様では、環状燃焼器は、6.0以下の値を有する標準化された燃焼器の長さL/H3、すなわち、燃焼器長さと燃焼器の出口高さの比を有する。
図1を参照すると、従来のガスタービンエンジン2が概略的に図示されており、ガスタービンエンジン2は、燃焼器モジュール10と、燃焼器モジュール10の前方、すなわち、流れに対して上流側に配設された圧縮機12と、圧縮機の出口から燃焼器モジュール10の前端部まで延びるディフューザ14と、燃焼器モジュール10の後方に、すなわち、流れに対して下流側に配置されたタービンモジュール16と、を備える。圧縮機12、燃焼器モジュール10、およびタービンモジュール16は、ガスタービンエンジンの中心線をなすエンジンシャフトの長手方向の中心軸50を中心に概ね同軸に配置される。ターボファン型ガスタービンエンジンでは、大きな直径を有するファン8が圧縮機12の前方でエンジンシャフトに取り付けられている。現在の設計の大型民間ジェット旅客機のほとんどは、航空機の原動力としてターボファン型のガスタービンエンジンを使用している。小型エンジンは、軸流圧縮機ではなく、径方向または遠心圧縮機を備えていてもよいことを理解されたい。
図2を参照すると、例示的な燃焼器モジュール10は、径方向内側のケース18と、この内側ケースと同心の径方向外側のケース20と、を備え、ケース18,20が協働してエンジン軸50と同心の環状の圧力容器24を画定する。燃焼器26は、この環状圧力容器24内に配設される。ライナアッセンブリは、径方向内側のライナ32と、この内側ライナ32を囲む径方向外側のライナ34と、内側ライナ32および外側ライナ34の各々の前端部間に延びる隔壁36と、を備える。集合的に、内側ライナ32、外側ライナ34、および前方隔壁36により、環状の燃焼室30の境界が画定される。燃焼器26は、内側および外側ライナが前方から後方に向かって収束する前方部分と、この第1の前方部分よりも内側および外側ライナが緩やかに前方から後方に向かって収束する後方部分と、を有する。このような構成を有する燃焼器の詳細な説明は、前述の米国特許出願第10/684,335号明細書および前述の特許文献1および特許文献2に開示されている。しかし、図示した燃焼器の構成は例示的なものであり、本発明を限定するものではない。例えば、燃焼器26が、内側および外側ライナが後方に向かって平行に延びる前方部分と、第1の前方部分よりも緩やかに内側および外側ライナが前方から後方に向かって収束する後方部分と、を有してもよい。このような構成を有する燃焼器の詳細な説明は、前述の米国特許出願第10/440,585号明細書に開示されている。他の構成としては、内側および外側ライナが、ライナアッセンブリの全長に亘って平行であってもよいし、ライナが前方部分において収束し、後方部分において平行に延びていてもよいし、ライナが前方および後方部分において同じ収束角度または異なった収束角度で延びていてもよいし、あるいは、ライナが幾何学的に異なった断面を有してもよい。
前方隔壁36は、環状燃焼室30に間隔を隔てて周方向に列をなして配設された複数の燃料ノズル40(エンジンのサイズに応じて、例えば、12〜24個)を担持する。各燃料ノズル40は、外部の供給源から対応する燃料ノズルに燃料を供給するように外側ケース20を貫通する燃料インジェクタ38の端部に配設される。各燃料ノズル40は、燃料ノズルの中心線に沿って放出された中心空気流に、噴霧ヘッドを介して燃料を噴射する。空気流路41は、各燃料ノズル40に作用的に対応しており、例示的な実施形態に図示したように、対応する旋回器42を備えていてもよい。圧縮機からの加圧空気は、ディフューザ14内に導かれ、環状圧力容器24内に画定された環状プレナム90,92内に導かれる。この加圧空気の一部は、空気流路41を介して燃焼器室30内に流入する。各旋回器42は、通流する空気を旋回させ、この空気を対応する燃料ノズル40を介して噴射される燃料と急速に混合させる。
例示的な実施形態では、内側ライナ32および外側ライナ34は、支持シェルおよび対応する熱シールドを備えて形成される。外側ライナ34は、外側ケース20に連結された一体型の外側支持シェル44と、この外側シェルの前方および後方部分に固定具(図示せず)によってそれぞれ固定された前方および後方の外側熱シールド46,48と、を備える。同様に、内側ライナ32は、内側ケース18に連結された一体型の内側支持シェル58と、この内側シェルの前方および後方部分に固定具(図示せず)によってそれぞれ固定された前方および後方の内側熱シールド60,62と、を備える。熱シールドは、弓形パネルの周方向の列として形成されてもよい。例示的なライナおよび熱シールドの構造は、前述の米国特許出願第10/147,571号明細書、米国特許第5,435,139号明細書および米国特許第5,758,503号明細書に図示、記載されている。単一の壁部からなるライナなど他の実施形態も、本発明の趣旨および範囲内に含まれる。
図2〜図5に示した例示的な実施形態では、内側ライナ32および外側ライナ34は、後方部分の前端部において貫通する円周方向に配設された燃焼用空気吸入孔の列を有する。内側および外側ライナ32,34の各々の燃焼空気孔の列には、等しい円弧状の間隔を有して配設された少なくとも1組のより大きな直径を有する孔(大口径孔)116が含まれており、また、大口径孔116の間に周方向に配設される1組のより小さな直径を有する孔(小口径孔)118が含まれていてもよい。各ライナ32,34の各支持シェルにおける孔116は、後方の熱シールドに対応する孔116を有する。同様に、各ライナ32,34の各支持シェルにおける孔118は、対応する後方の熱シールドに対応する孔118を有する。また、複数の軸方向および周方向に配設された冷却空気孔70,72は、内側ライナ32および外側ライナ34を貫通している。これらの冷却空気孔(図4および図5のみに示す)には、支持シェルを横断方向に貫通する複数のインピンジメント冷却孔70と、熱シールドを斜めに貫通する複数のフィルム冷却孔72と、からなる。冷却空気孔70,72は、燃焼空気孔よりも遙かに数が多くかつ実質的に小さいため、燃焼空気孔116,118と容易に区別することができる。エンジンの運転時に、プレナム90,92からの加圧された冷却空気は、インピンジメント冷却孔70に流入する。この冷却空気は、熱シールドに衝突して該シールドを冷却する第1の一連の個別噴流として孔70から排出される。次いで、この衝突した冷却空気は、フィルム冷却孔72を通過して、第2の一連の冷却空気噴流が燃焼室内へ排出される。フィルム冷却孔72は斜めに方向付けられているため、第2の冷却空気噴流は、方向性成分を備えて、火炎に曝された熱シールドの表面に沿って燃焼室に流入する。噴流の方向および孔の組合せにより、炎に曝された熱シールドの表面に沿った冷却フィルムに対する冷却空気噴流の合流が促進される。例示的な燃焼空気孔および冷却空気孔のサイズおよび配置は、前述の特許文献1および特許文献2に示されている。他の燃焼器の孔の実施形態も本発明の趣旨および範囲内にあることを理解されたい。
運転中、ディフューザ14は圧縮機(図示せず)から流出する加圧空気を減速し、かつ当該空気を環状圧力容器24内に画定された環状の容積(プレナム)90内へと導く。この加圧空気の一部は、燃料ノズル40および該燃料ノズル40に対応する空気流路41を介して、燃焼室30の前方領域に流入する。付加的な空気は、隔壁の冷却空気として前方隔壁36の冷却孔(図示せず)から燃焼室30の前方領域に流入する。集合的に、燃焼室の前端部に導入されるこれらの空気は、主燃焼寄与空気と呼ばれるが、これは、その大部分が、燃料ノズル40を介して導入される燃料と混合されて燃焼室の前方領域における最初の燃焼をサポートするためである。加圧空気の第2の部分は、ライナの熱シールド46,48,60,62を冷却するように、インピンジメント孔70およびフィルム冷却孔72を介して環状プレナム90,92から燃焼室30に流入する。この加圧空気の第2の部分は、上流側で燃焼生成物に直接的に貫入するのではなく、ライナアッセンブリの内側表面に沿って後方に向かって流れ、燃焼室の後方セクションにおいて燃焼生成物と徐々に混合される。このように燃焼室に導入される空気は、一般的にライナ冷却空気と呼ばれる。環状プレナム90,92からの加圧空気の第3の部分は、燃焼プロセスに寄与する希釈用空気として燃焼室30に流入し、タービンモジュール16に流入する前に、燃焼生成物に望ましい空間温度分布をもたらすように、燃焼生成物を希釈し、燃焼生成物内のホットスポットを除去する。
図示された例示的な実施形態では、燃焼器26はRQL(過濃/急冷/希薄)燃焼プロセスによって作動するように設計されている。本実施形態では、希釈空気は、燃焼器26の前方セクションの後部に沿って周方向に配設された前述の空気孔116,118を介して燃焼室に流入する。RQL燃焼では、主要部分として燃焼室に導かれる空気は、燃料ノズル40を介して噴射される燃料の化学量論的な燃焼に要求とされる空気量よりもかなり少ない量に制限される。したがって、燃焼室の前方セクションにおける燃焼は、化学量論的燃焼の観点では局所的にばらつく可能性があるが、概して、燃料過濃(fuel−rich)条件下で行われる。この過濃燃焼ゾーン(RB:rich burn)における全体的に燃料過濃の化学量論的な燃料/空気混合気は、相対的に低温の火炎を生成し、したがって、過度のNOx(窒素酸化物)の形成を低減させるとともに、エンジン出力の急激な低下または低出力動作時の燃焼火炎の消炎を防止する。
次いで、この過濃燃焼ゾーンからの燃焼生成物(未燃焼の燃料を含む)は、急冷ゾーン(Q)に流入するが、この急冷ゾーンでは、圧縮機からの加圧空気の希釈用空気部分は、径方向内側に向けて燃焼生成物に貫入するように、プレナム90から前述の燃焼空気孔116,118を介して流れる。この希釈空気は、急冷ゾーンの前方エッジ付近の化学量論的な過濃状態から、急冷ゾーンの後方エッジ付近の化学量論的な燃料希薄(fuel lean)状態まで、燃焼生成物を希釈および希薄化する。また、燃料/空気混合気が急速に完全混合され、かつ規則的に配分されるように、希釈空気は、燃焼室を通流する燃焼生成物と密接に混合されることが重要である。本明細書で使用している「規則的に」という用語は、燃料対空気比が、(任意に特定された半径で)周方向に実質的に均一であり、かつ燃料対空気比の径方向の分布が実質的に均一であるか、または望ましく予め確立されたように変動する状態を指している。
空気孔116,118の列の軸方向位置は、燃焼生成物の空間的な温度分布を最適化し、かつ空気孔116,118の上流の主燃焼ゾーンにおける過度のNOx形成を防止するという競合的な考慮を調和させるように選択される。これらの孔の列は、燃焼ガスがタービンモジュール16に流入する前に燃焼生成物の温度分布を調整し、かつ望ましい燃焼効率を実現するために、孔から流出する空気噴流が十分な軸方向距離および十分な時間を確実に有するように、十分前方に配置される。また、これらの孔の列は、希釈空気が燃料ノズル40の直後の燃料/空気混合気内に同伴(混入)されないように、十分後方に配置される。このような同伴は、NOx排出を増大させ、かつ燃料過濃燃焼ゾーンにおける燃料/空気混合気の希薄化によって燃焼器の消炎(ブロウアウト)に対する耐性を低下させる。希釈空気孔116,118の列の周方向の分布および軸方向の位置合わせは、前述のようにNOxの形成を低減するだけでなく、タービンモジュール16に流入する排出ガスのピーク温度および空間温度分布にも寄与する。ライナアッセンブリの後方セクション(燃焼室30の下流側部分の境界を画する)において、燃焼生成物がタービンモジュール16に流入する前に、孔70,72を介して導入されたライナ冷却空気が燃焼生成物と徐々に混合し、かつ該燃焼生成物をさらに希釈するため、燃料/空気混合気は、燃料希薄であり、設計点全燃料対空気比(design point overall fuel-air ratio)まで希釈される。例示的なRQL燃焼器におけるRQL燃焼のさらに詳細な説明は、前述の特許文献1および特許文献2に記載されている。
理解されるように、希釈空気孔116,118のサイズおよび配置を適切に変更することにより、燃焼器を希薄直噴(LDI)燃焼モードで作動させることができる。LDI燃焼では、主要部分として燃焼室に導入される空気は、燃料ノズル40を介して噴射される燃料の化学量論的な燃焼に要求される空気量よりもかなり多い量まで増大する。したがって、燃焼室の前方セクションにおける燃焼は、化学量論的なばらつきおよび燃焼の局所的なポケットが生じ得るが、空間平均では、燃料希薄条件下で行われる。このような希薄燃焼(lean burn)ゾーンにおける全体的に燃料希薄の化学量論的な燃料/空気混合気は、相対的に低温の火炎を生成するため、過度なNOx形成を低減させる。この燃料希薄燃焼ゾーンからの燃焼生成物がライナアッセンブリの後方セクションへ下流に向かって流れる際に、径方向内側に向けて燃焼生成物に貫入するようにプレナム90から孔116,118を通流する希釈空気と、燃焼生成物はさらに混合されるか、該希釈空気よって燃焼生成物が希釈される。
空気孔116,118の列の軸方向位置は、燃焼生成物の空間的な温度分布を最適化し、かつ空気孔116,118の上流の主燃焼ゾーンにおける過度のNOx形成を防止するという競合的な考慮を調和させるように選択される。これらの孔の列は、燃焼ガスがタービンモジュール16に流入する前に燃焼生成物の温度分布を調整するために孔から流出する空気噴流が十分な軸方向距離および十分な時間を確実に有するように、十分前方に配置される。また、これらの孔の列は、燃料ノズル40回りの流れと空気との混合が設計上の意図毎に生じ得るように、十分後方に配置される。このような同伴は、燃料/空気混合気が燃焼ゾーンにおいて過度に燃料希薄になると、燃焼の安定性を危うくさせ、消炎をもたらす。RQL燃焼と同様に、希釈空気孔116,118の列の周方向の分布および軸方向の位置合わせは、タービンモジュール16に流入する排出ガスのピーク温度および空間温度分布に寄与する。ライナアッセンブリの後方セクション(燃焼室30の下流側部分の境界を画する)において、燃焼生成物がタービンモジュール16に流入する前に、孔70,72を介して導入されたライナ冷却空気が燃焼生成物と徐々に混合し、かつ該燃焼生成物をさらに希釈するため、燃料/空気混合気は、燃料希薄であり、設計点全燃料対空気比まで希釈される。
窒素酸化物は、ガスタービン燃焼器において燃料が加圧空気中で燃焼する際に、主として高温燃焼領域で生じる化学反応によって生成される。この化学反応の反応速度は、反応物の局所的な組成、圧力、温度、および反応の進行に使用可能な時間の関数である。ガスタービン燃焼器では、反応時間は燃焼室内の燃焼ガスの滞留時間に比例する。ガスタービン燃焼器内の滞留時間は、通常、燃焼室の幾何学的容積全体を、燃焼室を通過する燃焼生成物の体積流量で除することによって算出される。燃焼器を通過する空気の体積流量は、エンジンの形態、エンジンの圧力比、圧縮機の効率、燃焼器にわたる圧力降下、ディフューザおよび燃焼器内の圧力の空間分布、および他の要因によって決まり、かつこれらの関数である。一般に、体積流量はエンジンサイズと共に増大する。
NOxの形成を制御する周知の方法は、ピーク燃焼温度を低減させること、およびピーク温度における反応ガスの滞留時間を最小限に抑えることである。しかし、温度が過度に低減され、滞留時間が過度に短縮されると、不完全燃焼となり、その結果、望ましくない性能、一酸化炭素や燃焼した炭化水素の排出の増加、または燃焼器出口における望ましくない化学量論組成が生じる恐れがある。画定可能な値域内における標準化された幾何学寸法によって特定される容積を有するように燃焼器をデザインすることによって、環状燃焼器内における滞留時間が、低NOx排出の許容可能な値域内に留まるように制御され得ることを本出願人は見出した。本発明は、燃焼器の内壁と外壁との間の高さ(またはスパン)、および燃焼器容積に亘る前方から後方への空気流の分配を管理することによって、燃焼器滞留時間が効果的に確実かつ適切に短縮される構成、方法、およびエンジン設計を具現化するものである。
環状燃焼器は、隔壁の内側表面から軸に沿って後方に燃焼器出口まで延びる距離である全長Lを有する。また、環状燃焼器は、エンジンの中心線に対して主に相対方向に、つまり内側ライナおよび外側ライナの前方部分間において燃焼器の軸に対して垂直に延びる隔壁の高さH1を有する。さらに、環状燃焼器は、エンジン中心線に対して主に相対方向に、つまり内側ライナおよび外側ライナの後方部分間において燃焼器の軸に対して垂直に延びる出口の高さH3を有する。過濃/急冷/希薄(RQL)燃焼モードでは、全体的な燃料過濃燃焼状態がもたらされる燃焼器部分は、隔壁から、希釈空気を供給するオリフィスの1つまたは複数の列の中心部(ここでは燃焼器の高さはH2である)まで延びる燃焼室の前方領域(距離L1)であり、全体的な燃料希薄状態への変換および該状態における燃焼がもたらされる燃焼室部分は、L1の下流に位置する燃焼器の残りの長さL2に亘って延びている。したがって、長さL1およびL2の和はLに等しい。LDI(希薄直噴)燃焼モードでは、燃焼器は、隔壁の高さH1、燃焼器の出口高さH3、中間部の形状または輪郭、および燃焼器全長Lによって幾何学的に規定される全体的に希薄/過濃燃焼(lean−rich burn)状態のみにある。
本発明の1つの態様では、環状燃焼器は、燃焼器隔壁の高さ(H1)と燃焼器出口の高さ(H3)との比、すなわち、H1/H3が1.7以下の値となるように設計される。一実施形態では、環状燃焼器は、0.8〜1.7の範囲の値を有する比H1/H3を有する。他の実施形態では、1.2〜1.6の範囲の値を有する比H1/H3を有する。本発明の他の態様では、環状燃焼器は、標準化された燃焼器の長さ、すなわち、燃焼器長さ(L)と燃焼器の出口高さ(H3)の比L/H3が6.0以下の値を有する。0.8〜1.7の特定の範囲内の標準化された高さ比H1/H3、および6.0以下の標準化された燃焼器の長さにより特徴づけられる環状燃焼器室は、一般的に、1.5ミリ秒〜3.0ミリ秒の間に入る滞留時間により特徴づけられる。1.2〜1.6の特定の範囲内の標準化された高さ比H1/H3、および6.0以下の標準化された燃焼器の長さにより特徴づけられる環状燃焼室は、一般的に、2.0ミリ秒〜2.7ミリ秒の間に入る滞留時間により特徴づけられる。
本発明の別の態様によれば、本発明により設計された燃焼室30に導入される空気の様々な流れ、すなわち、主空気流、希釈空気流および冷却空気流は、ピーク燃焼温度を低減させるような方法で燃焼空気を独自にかつ確実に配分し、それにより、NOxの形成を低減させるようにそれぞれ制御される。RQL燃焼方式によって燃料が燃焼される燃焼器では、燃焼器に流入する全空気流は、主空気流として10%〜30%の範囲で、希釈空気流として40%〜80%の範囲で、ライナ冷却空気流として5%〜35%の範囲で配分される。RQL燃焼に関する一配分では、燃焼器に流入する全空気流は、主空気流として12%〜18%の範囲で、希釈空気流として50%〜70%の範囲で、ライナ冷却空気流として12%〜18%の範囲で配分される。
LDI燃焼方式により燃料が燃焼される燃焼器では、燃焼器に流入する全空気流は、主空気流として50%〜90%の範囲で、希釈空気流として0%〜20%の範囲で、ライナ冷却空気流として0%〜25%の範囲で配分される。LDI燃焼に関する一配分では、燃焼器に流入する全空気流は、主空気流として60%〜80%の範囲で、希釈空気流として0%〜10%の範囲で、ライナ冷却空気流として5%〜15%の範囲で配分される。
図示された例示的な実施形態では、環状燃焼器26のライナアッセンブリを形成する内側ライナ32および外側ライナ34は、二重壁構造である。図4および図5を参照すると、前述のように、内側ライナ32および外側ライナ34は、弓形の熱シールドパネルの周方向の列として形成された前方および後方の熱シールドを支持する支持シェルをそれぞれ有する。各熱シールドパネルは、燃焼室30内の高温の燃焼生成物に面した表面を有する。熱シールドパネルの冷却は、熱シールドパネルの孔72にライナ冷却空気を通流させることによって行われる。このライナ冷却空気は、最初に環状プレナム90,92から各支持シェルの孔70を通って、支持シェルを冷却し、外側支持シェルと内側熱シールドとの間のギャップ80に流入して、孔72から流出する。前述の相対的に低いレベルのライナ冷却空気流は、支持シェルを冷却するために必要な冷却流を低減させるライナ二重壁構造およびより高い熱伝達効率によって可能となる。
図示された実施形態を参照して本発明を詳細に説明したが、特許請求の範囲によって画定される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、細部において様々な変更がなされること理解されたい。
ガスタービンエンジンの概略図である。 本発明による環状燃焼器を示す側方断面図である。 本発明による環状燃焼器を示す斜視図である。 図2に示した燃焼器の一部を示す分解拡大斜視図である。 図4に示した燃焼器の一部を示す側面図である。

Claims (25)

  1. ガスタービンエンジン用の環状燃焼器であって、
    長手方向の軸を有する第1の周方向に延びるライナと、
    前記第1のライナの外側で径方向に離間され、該第1のライナを同軸状に囲む第2の周方向に延びるライナと、
    前記第1のライナの前端部と前記第2のライナの前端部との間に延びるとともに、空気中で燃料を燃焼する燃焼室を画定するように前記第1および第2のライナと協働する隔壁であって、該隔壁が高さH1を有し、前記燃焼室が出口高さH3および長さLを有する隔壁と、
    を備え、
    前記環状燃焼器は、前記隔壁高さと前記燃焼器出口高さとの比H1/H3が1.7以下の値を有することを特徴とするガスタービンエンジン用環状燃焼器。
  2. 前記比H1/H3が、0.8〜1.7の範囲の値を有することを特徴とする請求項1に記載のガスタービンエンジン用環状燃焼器。
  3. 前記比H1/H3が、1.2〜1.6の範囲の値を有することを特徴とする請求項1に記載のガスタービンエンジン用環状燃焼器。
  4. 前記燃焼器の前記長さと前記燃焼器の前記出口高さとの比L/H3が、6.0以下の値を有することをさらに特徴とする請求項1に記載のガスタービンエンジン用環状燃焼器。
  5. ガスタービンエンジン用の環状燃焼器を設計する方法であって、
    前記燃焼器は、
    軸を有し、周方向に延びる内側ライナと、
    前記内側ライナの外側で径方向に離間され、該内側ライナを同軸状に囲む周方向に延びる外側ライナと、
    前記内側ライナの前端部と前記外側ライナの前端部との間に延びるとともに、空気中で燃料を燃焼する燃焼室を画定するように前記第1および第2のライナと協働する隔壁と、
    を有し、
    前記隔壁は、高さH1を有し、前記燃焼室は、出口高さH3および長さLを有し、
    前記方法は、前記隔壁高さと前記燃焼器出口高さとの比H1/H3が1.7以下の値を有するように前記環状燃焼器をサイズ決めするステップを含むガスタービンエンジン用環状燃焼器設計方法。
  6. 前記隔壁高さと前記燃焼器出口高さとの比H1/H3が1.7以下の値を有するように前記環状燃焼器をサイズ決めする前記ステップは、前記比H1/H3が0.8〜1.7の範囲の値を有するように前記環状燃焼器をサイズ決めするステップを含むことを特徴とする請求項5に記載のガスタービンエンジン用環状燃焼器設計方法。
  7. 前記隔壁高さと前記燃焼器出口高さとの比H1/H3が1.7以下の値を有するように前記環状燃焼器をサイズ決めする前記ステップは、前記比H1/H3が1.2〜1.6の範囲の値を有するように前記環状燃焼器をサイズ決めするステップを含むことを特徴とする請求項5に記載のガスタービンエンジン用環状燃焼器設計方法。
  8. 前記燃焼器長さと前記燃焼器出口高さとの比L/H3が6.0以下の値を有するように前記環状燃焼器をサイズ決めするステップをさらに含む請求項5に記載のガスタービンエンジン用環状燃焼器設計方法。
  9. ガスタービンエンジンにおけるNOxの形成を制御する方法であって、
    前記ガスタービンエンジンは、
    軸を有し、周方向に延びる内側ライナと、
    前記内側ライナの外側で径方向へ離間され、該内側ライナを同軸状に囲む周方向に延びる外側ライナと、
    前記内側ライナの前端部と前記外側ライナの前端部との間に延びるとともに、空気中で燃料を燃焼する燃焼室を画定するように前記第1および第2のライナと協働する隔壁と、
    を有し、
    前記隔壁は、高さH1を有し、前記燃焼室は、出口高さH3および長さLを有し、
    前記制御方法は、
    前記隔壁高さと前記燃焼器出口高さとの比H1/H3が1.7以下の値を有するように前記環状燃焼器をサイズ決めするステップと、
    前記燃焼室の前方領域に燃料過濃燃焼ゾーンが設けられ、該燃料過濃燃焼ゾーンの下流に希釈ゾーンが設けられた過濃/急冷/希薄燃焼モードで前記環状燃焼器を作動させるステップと、
    前記燃料過濃燃焼ゾーンのみに燃焼される燃料を導入するステップと、
    前記燃焼室に空気を導入するステップであって、前記導入される空気の約10%〜約30%が、前記燃料過濃燃焼ゾーンに直接導入され、前記導入される空気の約40%〜約80%が、前記希釈ゾーンに直接導入され、前記導入される空気の約5%〜約35%が、前記内側および外側ライナを冷却する空気として導入される、燃焼室に空気を導入するステップと、
    を含むガスタービンエンジンにおけるNOx形成を制御する方法。
  10. 前記隔壁高さと前記燃焼器出口高さとの比H1/H3が1.7以下の値を有するように前記環状燃焼器をサイズ決めする前記ステップは、前記比H1/H3が0.8〜1.7の範囲の値を有するように前記環状燃焼器をサイズ決めするステップを含むことを特徴とする請求項9に記載のガスタービンエンジンにおけるNOx形成を制御する方法。
  11. 前記隔壁高さと前記燃焼器出口高さとの比H1/H3が1.7以下の値を有するように前記環状燃焼器をサイズ決めする前記ステップは、前記比H1/H3が1.2〜1.6の範囲の値を有するように前記環状燃焼器をサイズ決めするステップを含むことを特徴とする請求項9に記載のガスタービンエンジンにおけるNOx形成を制御する方法。
  12. 前記燃焼器長さと前記燃焼器出口高さとの比L/H3が6.0以下の値を有するように前記環状燃焼器をサイズ決めするステップをさらに含む請求項9に記載のガスタービンエンジンにおけるNOx形成を制御する方法。
  13. 前記燃焼室に空気を導入する前記ステップが、
    前記導入される空気の12%〜18%を前記燃料過濃燃焼ゾーンに直接導入することと、
    前記導入される空気の50%〜70%を前記希釈ゾーンに直接導入することと、
    前記導入される空気の12%〜18%を前記内側および外側ライナを冷却する空気として導入することと、
    を含む請求項9に記載のガスタービンエンジンにおけるNOx形成を制御する方法。
  14. ガスタービンエンジンにおけるNOxの形成を制御する方法であって、
    前記ガスタービンエンジンは、
    軸をし、周方向に延びる内側ライナと、
    前記内側ライナの外側で径方向へ離間され、該内側ライナを同軸状に囲む周方向に延びる外側ライナと、
    前記内側ライナの前端部と前記外側ライナの前端部との間に延びるとともに、空気中で燃料を燃焼する燃焼室を画定するように前記第1および第2のライナと協働する隔壁と、
    を有し、
    前記隔壁は、高さH1を有し、前記燃焼室は、出口高さH3および長さLを有し、
    前記制御方法は、
    前記隔壁高さと前記燃焼器出口高さとの比H1/H3が1.7以下の値を有するように前記環状燃焼器をサイズ決めするステップと、
    前記燃焼室の前方領域に燃料希薄燃焼ゾーンが設けられ、該燃料希薄燃焼ゾーンの下流に混合/希釈ゾーンが設けられた希薄直噴燃焼モードで前記環状燃焼器を作動させるステップと、
    燃料過濃燃焼ゾーンのみに燃焼される燃料を導入するステップと、
    前記燃焼室に空気を導入するステップであって、前記導入される空気の約50%〜約90%が、前記燃料希薄燃焼ゾーンに直接導入され、前記導入される空気の約0%〜約20%が、前記混合/希釈ゾーンに直接導入され、前記導入される空気の約0%〜約25%が、前記内側および外側ライナを冷却する空気として導入される、燃焼室に空気を導入するステップと、
    を含むガスタービンエンジンにおけるNOx形成を制御する方法。
  15. 前記隔壁高さと前記燃焼器出口高さとの比H1/H3が1.7以下の値を有するように前記環状燃焼器をサイズ決めする前記ステップは、前記比H1/H3が0.8〜1.7の範囲の値を有するように前記環状燃焼器をサイズ決めするステップを含むことを特徴とする請求項14に記載のガスタービンエンジンにおけるNOx形成を制御する方法。
  16. 前記隔壁高さと前記燃焼器出口高さとの比H1/H3が1.7以下の値を有するように前記環状燃焼器をサイズ決めする前記ステップは、前記比H1/H3が1.2〜1.6の範囲の値を有するように前記環状燃焼器をサイズ決めするステップを含むことを特徴とする請求項14に記載のガスタービンエンジンにおけるNOx形成を制御する方法。
  17. 前記燃焼器長さと前記燃焼器出口高さとの比L/H3が6.0以下の値を有するように前記環状燃焼器をサイズ決めするステップをさらに含む請求項14に記載のガスタービンエンジンにおけるNOx形成を制御する方法。
  18. 前記燃焼室に空気を導入する前記ステップが、
    前記導入される空気の60%〜80%を前記燃料希薄燃焼ゾーンに直接導入することと、
    前記導入される空気の0%〜10%を前記希釈ゾーンに直接導入すること、
    前記導入される空気の5%〜15%を前記内側および外側ライナを冷却する空気として導入することと、
    を含むことを特徴とする請求項14に記載のガスタービンエンジンにおけるNOx形成を制御する方法。
  19. 長手方向の中心軸を中心に同軸に配設された燃焼器、圧縮機およびタービンを備え、環状の燃焼器により特徴づけられるガスタービンエンジンであって、前記環状燃焼器が、
    前記エンジンの前記長手方向軸と同軸状に配設された軸を備え第1の周方向に延びるライナと、
    前記第1のライナの外側で径方向へ離間され、該第1のライナを囲む第2の周方向に延びるライナと、
    前記第1のライナの前端部と前記第2のライナの前端部との間に延びるとともに、空気中で燃料を燃焼する燃焼室を画定するように前記第1および第2のライナと協働する隔壁であって、該隔壁が高さH1を有し、前記燃焼室が出口高さH3および長さLを有する隔壁と、
    を備え、
    前記環状燃焼器は、前記隔壁高さと前記燃焼器出口高さとの比H1/H3が1.7以下の値を有することを特徴とするガスタービンエンジン。
  20. 前記比H1/H3が、0.8〜1.7の範囲の値を有することを特徴とする請求項19に記載のガスタービンエンジン。
  21. 前記比H1/H3が、1.2〜1.6の範囲の値を有することを特徴とする請求項19に記載のガスタービンエンジン。
  22. 前記燃焼器の前記長さと前記燃焼器の前記出口高さとの比L/H3が、6.0以下の値を有することをさらに特徴とする請求項19に記載のガスタービンエンジン。
  23. 長手方向の中心軸を中心に同軸に配設された燃焼器、圧縮機およびタービンを備え、環状の燃焼器により特徴づけられるガスタービンエンジンであって、前記環状燃焼器が、
    前記エンジンの前記長手方向軸と同軸状に配設された軸を備え第1の周方向に延びるライナと、
    前記第1のライナの外側で径方向へ離間され、該第1のライナを囲む第2の周方向に延びるライナと、
    前記第1のライナの前端部と前記第2のライナの前端部との間に延びるとともに、空気中で燃料を燃焼する燃焼室を画定するように前記第1および第2のライナと協働する隔壁であって、該隔壁が高さH1を有し、前記燃焼室が出口高さH3および長さLを有する隔壁と、
    を備え、
    前記環状燃焼器は、
    前記隔壁高さと前記燃焼器出口高さとの比H1/H3が1.7以下の値を有し、
    前記燃焼器の前記長さと前記燃焼器の前記出口高さとの比L/H3が6.0以下の値を有することを特徴とするガスタービンエンジン。
  24. 前記比H1/H3が、0.8〜1.7の範囲の値を有することを特徴とする請求項23に記載のガスタービンエンジン。
  25. 前記比H1/H3が、1.2〜1.6の範囲の値を有することを特徴とする請求項23に記載のガスタービンエンジン。
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