JP2007155105A - 緩み止め付きナット及び緩み止め付きボルト - Google Patents
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Abstract
【課題】緩み止め付きナット及び緩み止め付きボルトに関し、簡素な構成で、ボルト及びナットの締結後の緩みを防止する。
【解決手段】所定の径,ピッチ及び条数を有する第1螺旋形状の溝1aとして形成された第1螺合部1と、第1螺合部1に隣接し、第1螺合部1と同一の径,ピッチ及び条数を有する同一方向への第2螺旋形状の溝2aとして形成された第2螺合部2と、第1螺合部1及び第2螺合部2の間に間隙を形成する切り欠き溝3とを備え、第1螺旋形状の溝1aの位相と第2螺旋形状の溝2aの位相とが相違するように、切り欠き溝3を介して第1螺合部1及び第2螺合部2を配置する。
【選択図】図1
【解決手段】所定の径,ピッチ及び条数を有する第1螺旋形状の溝1aとして形成された第1螺合部1と、第1螺合部1に隣接し、第1螺合部1と同一の径,ピッチ及び条数を有する同一方向への第2螺旋形状の溝2aとして形成された第2螺合部2と、第1螺合部1及び第2螺合部2の間に間隙を形成する切り欠き溝3とを備え、第1螺旋形状の溝1aの位相と第2螺旋形状の溝2aの位相とが相違するように、切り欠き溝3を介して第1螺合部1及び第2螺合部2を配置する。
【選択図】図1
Description
本発明は、緩み止め付きナット及び緩み止め付きボルトに関する。
従来より、ボルトやナット等、締結部材の締結の緩みを防止するための様々な取り付け手法が提案されている。例えば、ナットと被締結部材との間に座金を挟装して、座金の弾性力を利用する方法や、ボルト及びナットの締結後にそれらを互いに溶接固定する方法、締結したボルト及びナットを貫通する孔を設け、その孔に割りピンを圧入して固定する方法等が公知である。
一方、部品点数の削減や締結作業工程の短縮といった観点から、ナット自身の構造を工夫することによって緩み止めを実現する技術も数多く提案されている。例えば、ナットの内周面にナイロン等の合成樹脂からなるリングを装着したナイロンナットが公知である。これは、ナットをボルトへ締結する際に合成樹脂のリングを塑性変形させながら螺合溝に噛み込ませるものであり、螺合溝と略完全に嵌合する合成樹脂の摩擦面を形成することによって長期間に渡って安定した締結力を保持できるようになっている。
また、特許文献1には、ナットの内部にコイルバネを収容したものが開示されている。このコイルバネの巻き方向は、ナットのボルトからの離脱方向への回転に伴ってボルトを締め付けるように作用する向きに配向されている。これにより、一旦ナットが締結されると、コイルバネの弾性力によりコイルバネとボルトとが密着し、振動や外力によるナットの緩みを防止することができるようになっている。
特開2003−307210号公報
しかし、上述のような特殊な構造のナットは、標準的なナットよりも単価が高い。そのため、特に膨大な数の締結部材が用いられる機械(例えば、車両や船舶,航空機,建設機械,工作機械等)の組み立てにおいては、機械の製造にかかるトータルコストに対して、締結部材のコストの割合が決して軽視できない程膨らむ場合があり、より低コストで緩み止め効果の高い締結部材の開発が望まれている。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、簡素な構成で、ボルト及びナットの締結後の緩みを防止することができる緩み止め付きナット及び緩み止め付きボルトを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の緩み止め付きナット(請求項1)は、所定の径,ピッチ及び条数を有する第1螺旋形状の溝として形成された第1螺合部と、該第1螺合部に隣接し、該第1螺合部と同一の径,ピッチ及び条数を有する同一方向への第2螺旋形状の溝として形成された第2螺合部と、該第1螺合部及び該第2螺合部の間に間隙を形成する切り欠き溝とを備え、上記の第1螺合部及び第2螺合部が、該第1螺旋形状の溝の位相と該第2螺旋形状の溝の位相とが相違するように該切り欠き溝を介して配置されていることを特徴としている。
つまり、該第1螺合部及び該第2螺合部は、互いの螺旋形状の位相が一致しないような配置関係で一体形成されていることになる。また、該第1螺合部及び該第2螺合部は、該切り欠き溝によって互いの螺旋形状を分断されている。
なお、該第1螺旋形状の溝及び該第2螺旋形状の溝は、ボルトの外周面に形成された螺旋形状のボルト螺合部と螺合するネジ溝である。これらのネジ溝は、該ボルトと螺合する該緩み止め付きナットの内周面に形成されている。
なお、該第1螺旋形状の溝及び該第2螺旋形状の溝は、ボルトの外周面に形成された螺旋形状のボルト螺合部と螺合するネジ溝である。これらのネジ溝は、該ボルトと螺合する該緩み止め付きナットの内周面に形成されている。
また、本発明の緩み止め付きナット(請求項2)は、上記の第1螺合部及び第2螺合部が、該第1螺合部の該第2螺合部との隣接面における溝の位相と、該第2螺合部の該第1螺合部との隣接面における溝の位相とが同一位相となるように配置されているとともに、該切り欠き溝の溝幅が、該ピッチの半分よりも小さく設定されていることを特徴としている。
また、本発明の緩み止め付きナット(請求項3)は、上記の第1螺合部,第2螺合部及び切り欠き溝を複数組備えていることを特徴としている。
また、本発明の緩み止め付きボルト(請求項4)は、所定の径,ピッチ及び条数を有する第1螺旋形状の山として形成された第1螺合部と、該第1螺合部に隣接し、該第1螺合部と同一の径,ピッチ及び条数を有する同一方向への第2螺旋形状の山として形成された第2螺合部と、該第1螺合部及び該第2螺合部の間に間隙を形成する切り欠き溝とを備え、上記の第1螺合部及び第2螺合部が、該第1螺旋形状の山の位相と該第2螺旋形状の山の位相とが相違するように該切り欠き溝を介して配置されていることを特徴としている。
また、本発明の緩み止め付きボルト(請求項4)は、所定の径,ピッチ及び条数を有する第1螺旋形状の山として形成された第1螺合部と、該第1螺合部に隣接し、該第1螺合部と同一の径,ピッチ及び条数を有する同一方向への第2螺旋形状の山として形成された第2螺合部と、該第1螺合部及び該第2螺合部の間に間隙を形成する切り欠き溝とを備え、上記の第1螺合部及び第2螺合部が、該第1螺旋形状の山の位相と該第2螺旋形状の山の位相とが相違するように該切り欠き溝を介して配置されていることを特徴としている。
なお、該第1螺旋形状の山及び該第2螺旋形状の山は、ナットの内周面に形成された螺旋形状のナット螺合部と螺合するネジ山である。これらのネジ山は、該ナットと螺合する該緩み止め付きボルトの外周面に形成されている。
本発明の緩み止め付きナット(請求項1)によれば、ナットの第1螺合部と第2螺合部との両方にボルトが締結(螺接,接触)したときに、第1螺合部からボルトへ与えられる摩擦抵抗力(締結力)の大きさと第2螺合部からボルトへ与えられる摩擦抵抗力(締結力)の大きさとを相違させることができ、緩み止め効果を獲得することができる。
また、本発明の緩み止め付きナット(請求項2)によれば、第1螺合部と第2螺合部とが互いに締め付け合う方向へ摩擦抵抗力を作用させることができる。つまり、第1螺合部と第2螺合部とがダブルナットのように機能することになる。これにより、緩み止め効果をさらに高めることができる。
また、本発明の緩み止め付きナット(請求項2)によれば、第1螺合部と第2螺合部とが互いに締め付け合う方向へ摩擦抵抗力を作用させることができる。つまり、第1螺合部と第2螺合部とがダブルナットのように機能することになる。これにより、緩み止め効果をさらに高めることができる。
また、本発明の緩み止め付きナット(請求項3)によれば、ナットの内周面における軸方向についての摩擦抵抗力の分布を調節することができる。例えば、複数の切り欠き溝によってナットの内周面が輪切り状に複数の領域に分割されれば、ナットの軸方向に並んだ複数の螺合部(すなわち、複数の第1螺合部,第2螺合部)が形成されることになり、各螺合部において摩擦抵抗力を設定することが可能となる。
また、本発明の緩み止めボルト(請求項4)によれば、ボルトの第1螺合部と第2螺合部との両方にナットが跨るように締結されたときに、第1螺合部からボルトへ与えられる摩擦抵抗力(締結力)の大きさと第2螺合部からボルトへ与えられる摩擦抵抗力(締結力)の大きさとを相違させることができ、緩み止め効果を獲得することができる。
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図3は本発明の一実施形態にかかる緩み止め付きナットを説明するものであり、図1は本緩み止め付きナットを用いた締結動作を説明するための部分断面図、図2は本ナットの全体構成を示す断面図、図3は本ナットの要部を拡大した断面図(図2のB部拡大図)である。
図1〜図3は本発明の一実施形態にかかる緩み止め付きナットを説明するものであり、図1は本緩み止め付きナットを用いた締結動作を説明するための部分断面図、図2は本ナットの全体構成を示す断面図、図3は本ナットの要部を拡大した断面図(図2のB部拡大図)である。
なお、図3中の左方にはボルトのネジ山(符号5aを付して示す)が示されているが、これはナットのネジ溝(符号1a,2aを付して示す)との螺合位置関係を示すために描かれた仮想の図である。
[構成]
図1に、本実施形態に係るナット(緩み止め付きナット)4が、上下に重ね合わされた被締結部材W1,W2をボルト5と共に挟み込んで締結する場合を例示する。ここで使用されているボルト5は汎用品であり、六角柱状の頭部5Aと円筒状の外周面にネジ山(雄ネジ)5aが螺刻された軸部5Bとを備えている。軸部5Bのネジ山5aは、所定の径,ピッチ及び条数(ネジ山の本数)を有する螺旋形状の山として形成されている。なお、図1中において、ナット4はボルト5の下方からA方向へ向かってねじ込まれ、締結されるようになっている。このA方向とは、ボルト5の軸方向と等しく、ナット4の円筒状内周面の軸方向でもある。以下、ボルト5の軸方向のことを、ナット4の軸方向とも呼ぶ。
図1に、本実施形態に係るナット(緩み止め付きナット)4が、上下に重ね合わされた被締結部材W1,W2をボルト5と共に挟み込んで締結する場合を例示する。ここで使用されているボルト5は汎用品であり、六角柱状の頭部5Aと円筒状の外周面にネジ山(雄ネジ)5aが螺刻された軸部5Bとを備えている。軸部5Bのネジ山5aは、所定の径,ピッチ及び条数(ネジ山の本数)を有する螺旋形状の山として形成されている。なお、図1中において、ナット4はボルト5の下方からA方向へ向かってねじ込まれ、締結されるようになっている。このA方向とは、ボルト5の軸方向と等しく、ナット4の円筒状内周面の軸方向でもある。以下、ボルト5の軸方向のことを、ナット4の軸方向とも呼ぶ。
ナット4の内周面には、軸部5Bのネジ山5aと螺合しうる、同径,同ピッチ,同条数(ネジ溝の本数)のネジ溝(雌ネジ)が2種類形成されている。これらの2種類のネジ溝は、図1,2に示すように巻き方向が同一の螺旋形状であり、ナット4の内周面の略中央(ナット4の軸方向の略中央)付近で切り欠き溝3を隔てて上下方向に隣接するように形成されている。
また、切り欠き溝3は、ナット4の内周面を環状に切り欠いて形成された切削溝であり、この切り欠き溝3によってナット4の内周面は、その上部側の第1螺合部1とその下部側の第2螺合部2とに分割されている。以下、図2中におけるナット4の切り欠き溝3よりも上半分の内周面のネジ溝に符号1aを付し、切り欠き溝3よりも下半分の内周面のネジ溝に符号2aを付して説明する。
第1螺合部1のネジ溝1aの位相は、第2螺合部2のネジ溝2aの位相に対して僅かにずれるように形成されている。この位相のズレとは、例えば図3に示すように、ナット4の断面形状において、第1螺合部1のネジ溝1aを基準として、第1螺合部1の切り欠き溝3側の端部1bからネジ溝1aを仮想的に下方へ延長して螺刻した仮ネジ溝(図3中に破線で示す)に対する第2螺合部2のネジ溝2aのズレのことである。なお、この断面形状において、ネジ溝1a一個の断面形状とネジ溝2a一個の断面形状は同一の形状である。また、ネジ溝1aのピッチP1はネジ溝2aのピッチP2と等しくなっている(P1=P2)。
さらにここでは、第1螺合部1の第2螺合部2への隣接面1bにおけるネジ溝1aの位相と、第2螺合部2の第1螺合部1への隣接面2bにおけるネジ溝2aの位相とが同一位相となるように、第1螺合部1及び第2螺合部2の配置関係が設定されている。つまり、第2螺合部2のネジ溝2aは、第1螺合部1のネジ溝1aと同位相の断面形状を、切り欠き溝3の溝幅dの分だけナット4の軸方向移動させたような形状となっている。換言すると、ナット4の溝形状は、通常のナットの溝形状と比較して、切り欠き溝3で第1螺合部1と第2螺合部2とが分割された後捻れることなくそのまま互いに距離dだけ離れたような形状となっている。
なお、切り欠き溝3の溝幅dの大きさは、ネジ溝1a,2aのピッチP1の半分の大きさよりも小さくなる(d<P1/2)ように設定されている。
[作用・効果]
本発明の一実施形態にかかる緩み止め付きナットは上述のように構成されて、以下のような作用,効果を奏する。
まず、ナット4が図1に示す状態から、ボルト5に対してA方向へねじ込まれ始めて、軸部5Bのネジ山5aがナット4における第1螺合部1のネジ溝1aへ螺接される。ネジ山5aとネジ溝1aの径,ピッチ及び条数は同一であるから、ナット4はボルト5へスムーズに取り付けられる。
本発明の一実施形態にかかる緩み止め付きナットは上述のように構成されて、以下のような作用,効果を奏する。
まず、ナット4が図1に示す状態から、ボルト5に対してA方向へねじ込まれ始めて、軸部5Bのネジ山5aがナット4における第1螺合部1のネジ溝1aへ螺接される。ネジ山5aとネジ溝1aの径,ピッチ及び条数は同一であるから、ナット4はボルト5へスムーズに取り付けられる。
続いて、ナット4がさらにねじ込まれ、軸部5Bのネジ山5aが第2螺合部2のネジ溝2aへ螺接される。ここで、第2螺合部2のネジ溝2aは、第1螺合部1のネジ溝1aと異なる位相の螺旋形状となっている。また、切り欠き溝3の溝幅dの大きさは、ネジ溝1a,2aのピッチP1の半分の大きさよりも小さくなるように設定されている。そのため、図3に示すように、第2螺合部2のネジ溝2aはネジ山5aによってC方向へ押し付けられることになる。
一方、ボルト5のネジ山5aと第1螺合部1のネジ溝1aとの間には、ネジ山5aと第2螺合部2のネジ溝2aとの間に作用するようなC方向への押付力が作用しないが、ネジ溝2aからネジ山5aへの反力としての押付力(C方向とは逆方向への押付力)が作用する。つまり、第1螺合部1と第2螺合部2とが互いに押し合うような力が作用することになる。なお、ネジ山5aから第1螺合部1へ与えられる押付力と第2螺合部2へ与えられる押付力とは異なる向きとなっているため、ナット4が緩もうとした場合に第1螺合部1及び第2螺合部2において作用する摩擦抵抗力の大きさは、それぞれ異なる大きさとなる。
このようなボルト5のネジ山5aの押圧作用により、ネジ溝2aとネジ山5aとが圧着されることになる。その後、ナット4端面が被締結部材W2と接触するまで深くねじ込まれて、ボルト5とナット4とが締結される。
上述のように、本ナット4を用いれば、ナット4の第1螺合部1と第2螺合部2との両方にボルト5が螺接したときに、第1螺合部1及び第2螺合部2のそれぞれがボルト5から受ける押付力の大きさが異なっているため、第1螺合部1における摩擦抵抗力(締結力)の大きさと第2螺合部2における摩擦抵抗力(締結力)の大きさとを相違させることができる。つまり、ナット4を緩ませるためには、第1螺合部1における静止摩擦力よりも大きい力を作用させること(条件1)と、第2螺合部2における静止摩擦力よりも大きい力を作用させること(条件2)という2つの条件を満たす必要があることになる。したがって、簡素な構成で、ナット4をボルト5から緩みにくくすることができる。
上述のように、本ナット4を用いれば、ナット4の第1螺合部1と第2螺合部2との両方にボルト5が螺接したときに、第1螺合部1及び第2螺合部2のそれぞれがボルト5から受ける押付力の大きさが異なっているため、第1螺合部1における摩擦抵抗力(締結力)の大きさと第2螺合部2における摩擦抵抗力(締結力)の大きさとを相違させることができる。つまり、ナット4を緩ませるためには、第1螺合部1における静止摩擦力よりも大きい力を作用させること(条件1)と、第2螺合部2における静止摩擦力よりも大きい力を作用させること(条件2)という2つの条件を満たす必要があることになる。したがって、簡素な構成で、ナット4をボルト5から緩みにくくすることができる。
また、第2螺合部2のネジ溝2aは、ネジ山5aによって第1螺合部1のネジ溝1a方向へ押圧され、一方、第1螺合部1のネジ溝1aは第2螺合部2のネジ溝2a方向へ押圧されるため、第1螺合部1と第2螺合部2とが互いに締め付け合う方向へ摩擦抵抗力が作用する。言わば、ダブルナットのような締結力が作用することになる。したがって、ナット4が緩もうとした場合であっても、第1螺合部1又は第2螺合部2の何れか一方が、他方の緩みを抑制するように作用することになり、ナット4の緩み止め効果をさらに高めることができる。
[その他]
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
〔1.位相を変動させる場合〕
例えば、上述の実施形態では、第1螺合部1の第2螺合部2への隣接面1bにおけるネジ溝1aの位相と、第2螺合部2の第1螺合部1への隣接面2bにおけるネジ溝2aの位相とが同一となるように、第1螺合部1及び第2螺合部2の配置関係が設定されているが、第1螺合部1のネジ溝1aと第2螺合部2のネジ溝2aとの位相のずらし方についてはこれに限定されるものではなく、例えば、第1螺合部1及び第2螺合部2の各隣接面1b,2bにおけるネジ溝1a,2aの位相が異なっていても構わない。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
〔1.位相を変動させる場合〕
例えば、上述の実施形態では、第1螺合部1の第2螺合部2への隣接面1bにおけるネジ溝1aの位相と、第2螺合部2の第1螺合部1への隣接面2bにおけるネジ溝2aの位相とが同一となるように、第1螺合部1及び第2螺合部2の配置関係が設定されているが、第1螺合部1のネジ溝1aと第2螺合部2のネジ溝2aとの位相のずらし方についてはこれに限定されるものではなく、例えば、第1螺合部1及び第2螺合部2の各隣接面1b,2bにおけるネジ溝1a,2aの位相が異なっていても構わない。
つまり、第2螺合部2の断面形状が、図3に破線で示した仮ネジ溝の形状と一致しなければよく、第2螺合部2のネジ溝2aを第1螺合部1のネジ溝1aに対して軸方向に関して捻ったように配置してもよい。この構成は、切り欠き溝3の溝幅が微少量(d≠0)である場合に好適である。なおこの場合、溝幅が全くない(d=0,つまり、切り欠き溝がない)ように加工したとしても、緩み止め効果が期待できるものと考えられる。
なお、図4にネジ溝1a,2aの位相のズレθと切り欠き溝3の溝幅dとの関係を模式的に示す。この図4は、ナット4の内周面を平面に展開した図であり、ネジ溝1a,2aの溝底を太実線で示し、切り欠き溝3を細実線で示している。また、この図4中の破線は、図3に破線で示されていた仮ネジ溝の溝底である。この図では、上下方向がナット4の軸方向に対応し、左右方向が位相θに対応する。
上述の実施形態におけるネジ溝2aの位置は、切り欠き溝3を介してネジ溝1aと同一位相となっており、図4上にネジ溝2aとして表現される。一方、ネジ溝2aの位相をネジ溝1aの位相に対してθ1だけずらした場合には、図4上にネジ溝2a′のように表現されることになる。なお、ずらすべき位相θの大きさは、図4上において、ネジ溝2a′が仮ネジ溝と一致しない大きさに設定される。具体的には、ネジ溝の形状(径,ピッチ及び条数)及び切り欠き溝3の溝幅dに応じて設定される。
〔2.同一位相で溝幅を変える場合〕
また、上述の実施形態では、切り欠き溝3の溝幅dの大きさがネジ溝1a,2aのピッチP1の半分の大きさよりも小さくなるように設定されているが、第1螺合部1と第2螺合部2とが互いに締め付け合うように締結力を作用させるためには、溝幅dが以下の式1に示す範囲内となるように設定すればよい。
また、上述の実施形態では、切り欠き溝3の溝幅dの大きさがネジ溝1a,2aのピッチP1の半分の大きさよりも小さくなるように設定されているが、第1螺合部1と第2螺合部2とが互いに締め付け合うように締結力を作用させるためには、溝幅dが以下の式1に示す範囲内となるように設定すればよい。
n・P1<d<n・P1+P1/2 (ただし、nは自然数) ・・・(式1)
ただし、nが大きいほど溝幅dも大きくなってしまうため、できるだけnは小さい方が好ましい。なお、切り欠き溝3の溝幅を以下の式2に示す範囲内となるように設定することも考えられる。
n・P1+P1/2<d<(n+1)・P1 (ただし、nは自然数)・・・(式2)
ここで、n=0の場合の例を、図5に示す。
ただし、nが大きいほど溝幅dも大きくなってしまうため、できるだけnは小さい方が好ましい。なお、切り欠き溝3の溝幅を以下の式2に示す範囲内となるように設定することも考えられる。
n・P1+P1/2<d<(n+1)・P1 (ただし、nは自然数)・・・(式2)
ここで、n=0の場合の例を、図5に示す。
この場合、ナット4の内周面において、第1螺合部1と第2螺合部2とが互いに離れ合う方向へ摩擦抵抗力が作用する。したがって、ダブルナットのような締結力は作用しないが、逆に、ナット4のボルト5への締結時に過大な締め付けトルクが作用したとしても、第1螺合部1が第2螺合部2に締め付けられることがないため、ネジ山の潰れや破断を抑制することができるという効果がある。また、たとえ螺合部1と第2螺合部2とが互いに離れ合う方向へ摩擦抵抗力が作用したとしても、第1螺合部1及び第2螺合部2はそれぞれ同じナット4の内周面に形成されている(すなわち、一体である)ため、ダブルナットと同様の緩み止め効果を期待することができる。
〔3.複数の切り欠き溝を設ける場合〕
また、上述の実施形態では、第1螺合部1と第2螺合部2との間に1本の切り欠き溝3が形成されているが、このような切り欠き溝3をナット4の内周面に複数設けることも考えられる。この場合、複数の切り欠き溝によってナット4の内周面を輪切り状に分割し、分割されたそれぞれの領域のネジ溝の位相を少しずつずらすことにより、上述の実施形態のものと同様の効果を得ることができる。
また、上述の実施形態では、第1螺合部1と第2螺合部2との間に1本の切り欠き溝3が形成されているが、このような切り欠き溝3をナット4の内周面に複数設けることも考えられる。この場合、複数の切り欠き溝によってナット4の内周面を輪切り状に分割し、分割されたそれぞれの領域のネジ溝の位相を少しずつずらすことにより、上述の実施形態のものと同様の効果を得ることができる。
また、分割された各領域の大きさや、ずらす位相の大きさを適宜調節することにより、ナット4の内周面における摩擦抵抗力の軸方向への分布を自在に設定することができ、例えば摩擦抵抗力を平均化して内周面全体で均一に締め付けることや、ナット4の軸方向両端部の摩擦抵抗力をナット4の中央付近よりもやや大きくすること等が可能である。
〔4.ボルトの場合〕
なお、上述の実施形態では、本発明をナット4に適用したものを示したが、本発明をボルトに適用することも可能である。
図6に本発明のボルト(緩み止め付きボルト)6が汎用品としてのナット10に締結される場合を例示する。
なお、上述の実施形態では、本発明をナット4に適用したものを示したが、本発明をボルトに適用することも可能である。
図6に本発明のボルト(緩み止め付きボルト)6が汎用品としてのナット10に締結される場合を例示する。
ボルト6は、その軸部の外周面に、ナット10の内周面に形成されたネジ溝と同一の径,ピッチ及び条数(ネジ山の本数)を有する第1螺旋形状のネジ山として形成された第1螺合部7及び第2螺合部8を備えている。また、第1螺合部7と第2螺合部8との間には、間隙dを形成する切り欠き溝9が設けられている。そして、第1螺合部7のネジ山7aの位相は、第2螺合部8のネジ溝8aの位相に対してずれるように形成される。
このようなボルト6にナット10を締結させれば、上述の実施形態と同様に、ボルト6とナット10との間の摩擦抵抗力を大きくすることができ、ナット10を緩みにくくすることができる。
このようなボルト6にナット10を締結させれば、上述の実施形態と同様に、ボルト6とナット10との間の摩擦抵抗力を大きくすることができ、ナット10を緩みにくくすることができる。
なお、ボルトとナットとの締結位置が予めわかっているような場合(例えばオーダーメイドの場合)には、このようにボルト側のネジ山に位相変位を設けることが好ましい。これにより、締結位置以外では従来の汎用ナット及びボルトと同様に摩擦抵抗力を小さくすることができ、ナットの締結作業が容易となる。また、ボルトのナットとの締結位置が不定である場合(例えば規格品として様々な用途に用いる場合)には、前述のように、ナット側のネジ溝に位相変位を設けることで、締結位置に関わらず確実にナットの緩み止めを行うことができる。
1 第1螺合部
2 第2螺合部
1a,2a ネジ溝
1b,2b 隣接面
3 切り欠き溝
4 ナット(緩み止め付きナット)
5 ボルト
5a ネジ山
2 第2螺合部
1a,2a ネジ溝
1b,2b 隣接面
3 切り欠き溝
4 ナット(緩み止め付きナット)
5 ボルト
5a ネジ山
Claims (4)
- 所定の径,ピッチ及び条数を有する第1螺旋形状の溝として形成された第1螺合部と、
該第1螺合部に隣接し、該第1螺合部と同一の径,ピッチ及び条数を有する同一方向への第2螺旋形状の溝として形成された第2螺合部と、
該第1螺合部及び該第2螺合部の間に間隙を形成する切り欠き溝とを備え、
上記の第1螺合部及び第2螺合部が、該第1螺旋形状の溝の位相と該第2螺旋形状の溝の位相とが相違するように該切り欠き溝を介して配置されている
ことを特徴とする、緩み止め付きナット。 - 上記の第1螺合部及び第2螺合部が、該第1螺合部の該第2螺合部との隣接面における溝の位相と、該第2螺合部の該第1螺合部との隣接面における溝の位相とが同一位相となるように配置されているとともに、
該切り欠き溝の溝幅が、該ピッチの半分よりも小さく設定されている
ことを特徴とする、請求項1記載の緩み止め付きナット。 - 上記の第1螺合部,第2螺合部及び切り欠き溝を複数組備えている
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の緩み止め付きナット。 - 所定の径,ピッチ及び条数を有する第1螺旋形状の山として形成された第1螺合部と、
該第1螺合部に隣接し、該第1螺合部と同一の径,ピッチ及び条数を有する同一方向への第2螺旋形状の山として形成された第2螺合部と、
該第1螺合部及び該第2螺合部の間に間隙を形成する切り欠き溝とを備え、
上記の第1螺合部及び第2螺合部が、該第1螺旋形状の山の位相と該第2螺旋形状の山の位相とが相違するように該切り欠き溝を介して配置されている
ことを特徴とする、緩み止め付きボルト。
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KR101183649B1 (ko) | 2011-07-12 | 2012-09-17 | 손흥식 | 풀림방지 너트 |
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2005
- 2005-12-08 JP JP2005355185A patent/JP2007155105A/ja active Pending
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