JP2007147406A - 物体探知装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】比較的簡単な回路構成としながらも、対象物の材質を正確に求めることができる物体探知装置を提供する。
【解決手段】物体探知装置は、電磁波を間欠的に送波する送信器1と、対象物Aで反射された送信器1からの電磁波を受波する受信器2と、電磁波を送信してから受信するまでに要した時間および媒質B中での電磁波の速度に基づいて対象物Aまでの距離を算出する距離算出部26と、複数の周波数についてそれぞれ送信器1が送波した電磁波の強度と受信器2が受波した電磁波の強度と対象物Aまでの距離とから媒質Bおよび対象物A間の境界面の反射係数を求め、各反射係数と媒質Bの比誘電率と電磁波の各周波数とを用いて対象物Aの比誘電率を統計的に推定する比誘電率推定部28と、この比誘電率に基づいて対象物Aの材質を判断する材質判断部29とを備える。送信器1は、電磁波としてUWBの信号を送波する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電磁波を対象物で反射させることにより対象物までの距離および対象物の材質を求めることができる物体探知装置に関するものである。
従来から、この種の物体探知装置として、電磁波を送信器から送波するとともに、対象物で反射された電磁波を受信器で受波し、電磁波を送信してから受信するまでに要した時間を用いて対象物までの距離を算出するものが提供されている。
また、送信器が送波した電磁波の強度と受信器が受波した電磁波の強度と対象物までの距離とが分かれば、対象物との間に存在する媒質と対象物との境界面の反射係数を求めることができる。この反射係数は、媒質および対象物における比誘電率などの電磁気的性質と、電磁波の周波数とで定まるので、前記反射係数と媒質の電磁気的性質と電磁波の周波数とが既知であれば、対象物の比誘電率を推定することができる。そして、対象物の比誘電率が分かれば、この比誘電率に基づいて対象物の材質を判断することができる。
ところで、対象物の比誘電率以外の電磁気的性質(導電率や透磁率)も未知のパラメータであるので、対象物の材質を正確に求めるためには、複数の周波数の電磁波について求めた反射係数から対象物の比誘電率を推定する必要がある。複数の周波数の電磁波を用いて対象物の比誘電率を推定する技術としては、たとえば特許文献1に記載の技術がある、特許文献1には、それぞれ異なる周波数の電磁波を発生する送信器(送信アンテナ)を2個設け、かつ各送信器を交互に駆動することにより、2つの周波数について反射係数を求めることが記載されている。
特開平6−230142号公報(第4−5頁、図1)
しかし、特許文献1に記載の構成では、2個の送信器が必要であり、かつ2個の送信器を駆動するためのタイミングの制御が必要であるから、回路構成が複雑である。また、対象物の材質をより正確に求めるためにさらに多くの周波数の電磁波について反射係数を求める場合には、さらに多くの送信器が必要になり、かつさらに多くの送信器を駆動するためのタイミングの制御が必要になるので、回路構成がより複雑になる。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであって、比較的簡単な回路構成としながらも、対象物の材質を正確に求めることができる物体探知装置を提供することを目的とする。
請求項1の発明では、探知領域に電磁波を間欠的に送波する送信器と、探知領域内に存在する対象物で反射された送信器からの電磁波を受波し電気信号である受波信号に変換する受信器と、電磁波が送波されてから受波されるまでに要した時間および対象物との間に存在している媒質の比誘電率から求まる媒質中での電磁波の速度に基づいて対象物までの距離を算出する距離算出部と、複数の周波数についてそれぞれ送信器が送波した電磁波の強度と受信器が受波した電磁波の強度と対象物までの距離とから媒質および対象物の境界面の反射係数を求め、各反射係数と媒質の比誘電率と電磁波の各周波数とを用いて対象物の比誘電率を統計的に推定する比誘電率推定部と、比誘電率推定部で推定された比誘電率に基づいて対象物の材質を判断する材質判断部とを備え、送信器は、前記電磁波としてUWBの信号を送波することを特徴とする。
この構成によれば、送信器が電磁波としてUWBの信号を送波するので、複数の周波数の電磁波を1個の送信器から送波することができる。すなわち、従来構成のように送信器を複数個設ける必要はなく、かつ複数個の送信器を駆動するためのタイミングの制御も不要であるから、回路構成は比較的簡単になる。したがって、比較的簡単な回路構成としながらも、複数の周波数の電磁波について反射係数を求めることにより対象物の材質を正確に求めることができる。なお、FCC(米国連邦通信委員会)による定義では、スペクトルのピークから10dB下の点で測定した帯域幅が500MHz以上の帯域をもつか、比帯域が20%以上のものをUWB(Ultra Wide Band)という。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記対象物の表面で反射された電磁波が受波されてから対象物の裏面で反射された電磁波が受波されるまでに要した時間と、前記比誘電率推定部で推定された比誘電率から求まる対象物中での電磁波の速度とを用いて、対象物の表面と裏面との間の厚み寸法を算出する厚み算出部を備えることを特徴とする。
この構成によれば、対象物の比誘電率から求まる対象物中での電磁波の速度を用いて対象物の厚み寸法を求めることができる。ここで、対象物の比誘電率は請求項1の構成により正確に求まるので、対象物の厚み寸法も正確に求めることができる。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記距離算出部および前記比誘電率推定部で用いられる前記媒質の比誘電率を設定する比誘電率設定部を備えることを特徴とする。
この構成によれば、比誘電率推定部においては、実際の媒質の比誘電率を設定することによって対象物の比誘電率をより正確に求めることができる。また、距離算出部においては、媒質の材質によって異なる媒質中での電磁波の速度を、実際の媒質の比誘電率から求めることができるので、対象物までの距離をより正確に求めることができる。
本発明は、送信器が電磁波としてUWBの信号を送波するので、複数の周波数の電磁波を1個の送信器から送波することができる。すなわち、送信器を複数個設ける必要のない比較的簡単な回路構成としながらも、複数の周波数の電磁波について反射係数を求めることにより対象物の材質を正確に求めることができるという利点がある。
本実施形態の物体探知装置は、図1に示すように、電磁波を探知領域に送波する送信器1と、探知領域内に物体探知装置とは離れて存在する対象物Aで反射された送信器1からの電磁波を受波する受信器2、および受信器2の出力に基づいて対象物Aまでの距離や対象物Aの材質等を求める信号処理部3、さらに信号処理部3で求めた距離や材質等を表示する表示部4を備えている。
送信器1は、発振回路5が接続されたタイミング制御回路6を有し、電磁波を送波するタイミングの基準となる基準信号をこのタイミング制御回路6から一定周期で間欠的に出力する。タイミング制御回路6の出力は、基準信号を所定回数(ここでは2回)受けるごとに1回の頻度でタイミング信号を出力するパルス制御回路7に入力される。タイミング信号は送信器1が電磁波を送波するタイミングを決定するものであって、これにより、送信器1は電磁波をタイミング信号と同じ周期(以下「送波周期」という)で間欠的に繰り返し送波することになる。したがって、パルス制御回路7において基準信号に対するタイミング信号の頻度を小さくすれば、送信器1から単位時間に出力される電磁波のパルス数が減少し、放射する電力を低減することができ、送信器1の消費電力を抑えることができる。パルス制御回路7の出力は後段のパルス駆動回路8に入力される。パルス駆動回路8では、タイミング信号のタイミングに合わせて後段の短パルス生成回路9を駆動する信号を生成する。短パルス生成回路9は、パルス駆動回8から出力された信号の立下がり時に、UWB(Ultra Wide Band)の短パルスを生成する。短パルス生成回路9は、ステップリカバリーダイオード(SRD)などを用いて構成され、パルス幅が数十〜数百psのUWBの短パルスを生成する。短パルス生成回路9の出力はBPF(帯域通過フィルタ)10を通してUWB用の送信アンテナ11に出力される。これにより、送信アンテナ11からはUWBの短パルスの信号が電磁波として前記送波周期で繰り返し放射されることになる。
一方、受信器2は、UWBの短パルスの信号を受波するためのUWB用の受信アンテナ12を有する。受信アンテナ12では受波した電磁波(UWBの短パルスの信号)を電気信号である受波信号に変換し、受波信号は高周波成分を増幅する高周波増幅回路13を介してミキサ14の1つの入力に入力される。ミキサ14は、送信器1で生成されるUWBの短パルスと等価なパルスを生成する回路と共にダウンコンバータを構成するものであって、前記受波信号を比較的低い周波数帯域に変換して出力する。すなわち、ミキサ14の他の入力には、発振回路15とタイミング制御回路16とパルス制御回路17とパルス駆動回路18と短パルス生成回路19とフィルタ20とで構成された送信器1側と同様の回路にて生成されるパルスが入力される。
信号処理部3は、受信器2で繰り返し受信されるUWBの短パルス(パルス幅が数十〜数百ps)の信号の波形を高分解能で再現するために、サンプリングの時間分解能を数〜数十psとすることができる所謂等価サンプリングを採用している。すなわち、信号処理部3は、ミキサ14の出力にフィルタ21を介して接続された積分回路22を有し、この積分回路22で数〜数十psの区間について受波信号の振幅の平均値を取り出す。具体的には、積分回路22には送信器1の送波周期よりも数〜数十psだけ大きい(あるいは小さい)サンプリング周期が受信器2のタイミング制御回路16から入力されており、積分回路22はサンプリング周期毎に、送波周期とサンプリング周期との差分である数〜数十psの区間について受波信号の振幅の平均値を取り出す処理を行う。ここで、積分回路22が、短パルスの複数回分にわたって前記処理を繰り返すより、受波信号の波形の全体を再現することができる。積分回路22の出力はA/D変換回路23に入力され、A/D変換回路23でアナログ値がデジタル値に変換される。A/D変換回路23もまたタイミング制御回路16に接続され、前記サンプリング周期で動作する。結果的に、信号処理部3においては、A/D変換回路23のサンプリング周期より、はるかに高い時間分解能(送波周期とサンプリング周期との差分である数〜数十ps)で受波信号の波形を再現することができるので、非常に高速のサンプリングを行ったことと等価になる。
上述した構成によって、A/D変換回路23からは数〜数十psの時間分解能でサンプリングされかつ量子化および符号化された受波信号が出力されることになり、このA/D変換回路23の出力は後段の不要波除去部24に入力される。不要波除去部24は、入力された受波信号から、対象物Aで反射されて受波器2に到達した電磁波(以下「反射波」という)の成分以外の不要な信号成分、すなわち外来の雑音成分や、送信器1から受信器2に直接到達した電磁波(以下「直接波」という)の成分を除去する。これにより、不要波除去部24からは反射波の成分のみが出力されることになる。また、A/D変換回路23の出力は、直接波の到達時刻を検出する直接波到達時間検出部25にも入力される。
ところで、本実施形態の信号処理部3は、不要波除去部24および直接波到達時間検出部25の出力を用いて対象物Aまでの距離を算出する機能と、不要波除去部24の出力を用いて対象物Aの材質を判別する機能と、不要波除去部24の出力を用いて対象物Aの厚み寸法を算出する機能とを有している。以下では、これらの機能を実現する構成について順に説明する。
まず、対象物Aまでの距離を算出する構成について説明する。信号処理部3は、不要波除去部24および直接波到達時間検出部25の出力に接続された距離算出部26を有する。距離算出部26では、電磁波が送波されてから受波されるまでに要した時間に、物体探知装置と対象物Aとの間に存在している媒質B(ここでは空気)中での電磁波の速度を乗じることによって、対象物Aまでの往復距離を求め、この往復距離を2で除することにより対象物Aまでの距離(片道距離)を算出する。本実施形態では、不要波除去部24の出力から反射波を受波した時刻を検出し、この時刻と直接波到達時間検出部25から出力される直接波の到達時刻との差を、電磁波が送波されてから受波されるまでに要した時間として用いている。媒質B中での電磁波の速度vは、媒質Bの比誘電率εγ1を用いて以下のように求まる。
Figure 2007147406
ここでvは空気中での電磁波の速度(3×10(m/s))である。本実施形態では媒質Bが空気(比誘電率εγ1=1)であるからv=vとなる。
ところで、距離算出部26における距離分解能は、上述した受波信号のサンプリングの時間分可能に相当しており、サンプリングの時間分解能が高いほど距離を算出する際の分解能は高くなる。本実施形態の信号処理部3では、上述したように等価サンプリングを採用することによりサンプリングの時間分解能を数〜数十psと高くしているので、距離算出部26における距離分解能は比較的高くなる。たとえば、サンプリングの分解能を1psとした場合の空気中での距離分解能は、時間分解能に空気中での電磁波の速度(光速)を乗じることによって求まり、1(ps)×3×10(m/s)=300(μm)となる。この距離分解能は対象物Aまでの往復距離に相当するので、対象物Aまでの片道距離に換算すると距離分解能は150(μm)になる。サンプリングの分解能を10psとした場合は、同様の計算により、距離分解能は1.5(mm)となる。
次に、対象物Aの材質を判別する構成について説明する。信号処理部3は、不要波除去部24の出力に接続され、対象物Aの比誘電率を推定する比誘電率推定部28を有する。比誘電率推定部28には距離算出部26の出力も接続される。比誘電率推定部28における比誘電率の推定方法については後述する。比誘電率推定部28の出力は、対象物Aの比誘電率に基づいて対象物Aの材質を判断する材質判断部29に入力される。材質判断部29には色々な材質の比誘電率が材質に対応づけて予め記憶された比誘電率データ記憶部30が接続されており、材質判別部29は、比誘電率推定部28から受けた比誘電率に近似する比誘電率を比誘電率データ記憶部30から選択し、この比誘電率に対応する材質を対象物Aの材質と判断する。なお、以下の表1は幾つかの材質の比誘電率を示したものである。比誘電率データ記憶部30においては、物体探知装置の用途に応じて対象物Aとなり得る材質と比誘電率との組を記憶しておくことにより、正確な材質の判別が可能になる。
Figure 2007147406
比誘電率推定部28において対象物Aの比誘電率を推定する方法について以下に説明する。
図2は、媒質Bから対象物Aに電界強度Eiの電磁波が入射したときの様子を模式的に示したものである。Erは対象物Aで反射された電磁波の電界強度である。このときの媒質Bと対象物Aとの境界面Xにおける反射係数Rは、以下の式で表される。
Figure 2007147406
このように反射係数Rは電界強度Erと電界強度Eiとの比で表されるので、送信器1から受信器2に直接到達した直接波の強度と、対象物Aで反射されて受波器に到達した反射波の強度と、距離算出部26で算出された距離とに基づいて反射係数を算出することができる。すなわち比誘電率推定部28では、距離算出部26で算出された距離だけ電磁波が媒質B中を往復する間の電磁波の強度の減衰量を算出し、反射波の強度に当該減衰量を加えた値と、直接波の強度との比を算出することにより反射係数を求めている。また、上記の数2において、Z、Zはそれぞれ媒質Bと対象物Aとの波動インピーダンスである。各波動インピーダンスZ、Zは、媒質Bの誘電率をε、対象物Aの誘電率をεとし、媒質Bの導電率をσ、対象物Aの導電率をσとし、媒質Bの透磁率をμ、対象物Aの透磁率をμとすれば、それぞれ以下の式で表される。
Figure 2007147406
Figure 2007147406
ここで、ωは電磁波の角周波数である。jは虚数単位である。数2〜数4をまとめると、反射係数Rは以下の式で表すことができる。
Figure 2007147406
ここで、媒質Bおよび対象物Aの誘電率ε、εは、媒質Bの比誘電率をεγ1、対象物Aの比誘電率をεγ2とし、真空の誘電率をεとすると、ε=εεγ1、ε=εεγ2でそれぞれ表される。したがって、反射係数Rは、媒質Bおよび対象物Aの比誘電率εγ1、εγ2と、媒質Bおよび対象物Aの導電率σ、σと、媒質Bおよび対象物Aの透磁率μ、μと、電磁波の角周波数ωとで表されることになる。なお、本実施形態では媒質Bの比誘電率以外の電磁気的性質(導電率および透磁率)については、導電率σ=0、比透磁率μγ1=1(透磁率μは真空の透磁率をμとすると、比透磁率μγ1を用いてμ=μμγ1で表される)とそれぞれ仮定している。すなわち、上述のように直接波の強度と反射波の強度と距離算出部26で算出された距離とに基づいて反射係数Rを求めれば、この反射係数Rと媒質Bの比誘電率(ここではεγ1=1)と電磁波の周波数とを用いることにより対象物Aの比誘電率を推定することができる。
ところで、対象物Aの比誘電率以外の電磁気的性質(導電率や透磁率)も未知のパラメータであるので、対象物Aの材質を正確に求めるためには、複数の周波数の電磁波について求めた反射係数から対象物Aの比誘電率を求める必要があるが、本実施形態では、上述したように送信器1がUWBの信号を電磁波として送波しているから、送信器1からは広い周波数帯域にわたる電磁波、つまり複数の周波数の電磁波が送波されることになる。そして、比誘電率推定部28は、複数の周波数について、各周波数ごとに直接波の強度と反射波の強度と距離算出部26で算出された距離とに基づいて反射係数をそれぞれ求め、求まった複数の反射係数の各々と媒質Bの比誘電率と電磁波の各周波数とを用いることにより、対象物Aの比誘電率を統計的に推定する。すなわち、複数の反射係数の各々と媒質Bの比誘電率と電磁波の各周波数とを用いれば複数の比誘電率が求まるので、たとえば、これら複数の比誘電率の平均値をとることにより複数の比誘電率から統計的に対象物Aの比誘電率を推定する。
結果的に、本実施形態の物体探知装置は、複数の周波数の電磁波を用いて対象物Aの比誘電率を統計的に求めることにより、対象物Aの材質を正確に求めることができるという利点がある。なお、図2におけるEtは媒質Bと対象物Aとの境界面Xを透過して対象物A内に入射した電磁波の電界強度である。このように対象物A内に透過する電磁波は、媒質Bから対象物Aに入射する電磁波の振幅に対して以下の透過係数Tを乗じた振幅を有する。
Figure 2007147406
次に、対象物Aの厚み寸法を算出する構成について説明する。信号処理部3は、不要波除去部24の出力に接続された厚み判別部(厚み算出部)31を有し、この厚み判別部31では、不要波除去部24で再現された受波信号の波形のうち、対象物Aで反射された反射波に相当する反射波パターンを解析し、対象物Aの表面(媒質Bとの境界面)での反射波(以下「表面反射波」という)と、対象物Aの表面を透過し対象物Aの裏面で反射された反射波(以下「裏面反射波」という)との間に生じる時間差に、対象物A中での電磁波の速度を乗じることにより、対象物Aの表面との裏面との間の往復距離を求め、この往復距離を2で除することにより、対象物Aの表面と裏面との間の厚み寸法を算出する。対象物A中での電磁波の速度Vは、上述の数1と同様に対象物Aの比誘電率εγ2を用いて以下の式で表されるので、厚み判別部31は、比誘電率推定部28から対象物Aの比誘電率εγ2を受け、この比誘電率εγ2を用いて対象物A中での電磁波の速度Vを求める。
Figure 2007147406
ただし、対象物Aの厚み寸法を算出するには電磁波が対象物Aの表面を透過する必要があるので、対象物Aの厚み寸法を算出する機能は、比誘電率εγ2が1<εγ2<20程度の範囲にある材質(たとえば木など)を対象物Aとした場合に有効である。また、本実施形態の厚み判別部31では、電磁波の位相情報(振幅の正負)に基づいて表面反射波と裏面反射波とを識別している。つまり、媒質Bから対象物Aに入射する際に反射された電磁波(表面反射波)と、対象物Aから媒質Bに入射する際に反射された電磁波(裏面反射波)とでは、反射係数の正負が反転することは上述した数2の関係から自明であって、結果的に、表面反射波と裏面反射波とでは位相が180度ずれる(振幅の正負が逆転する)ことになるので、このことを利用して表面反射波と裏面反射波とを識別できる。
さらに、1個の対象物Aであっても表面と裏面とのそれぞれにおける反射係数を求めるようにすれば、表面についてのみ反射係数を求める場合よりも多くの反射係数を求めることができるので、比誘電率推定部28に対して厚み判別部31から表面反射波と裏面反射波とのそれぞれの強度を出力するとともに、比誘電率推定部28で、対象物Aの表面と裏面とのそれぞれにおける反射係数を求める構成とすることによって、より多くの反射係数を比誘電率推定部28で採用することができる。これにより、比誘電率の推定の精度を向上させ、材質の判断の精度を向上させることができる。
上述したように、本実施形態の信号処理部3によれば、対象物Aまでの距離と対象物Aの材質と対象物Aの厚み寸法とを求めることができる。そして、表示部4は、これらの結果(距離、材質、厚み寸法)を全て表示可能に構成される。
また、本実施形態では、物体探知装置を用いて空気中に存在する対象物Aを探知する例を示しており、媒質Bは空気であるから媒質の比誘電率εγ1を1としているが、たとえばコンクリート壁や石膏ボード等の壁材の裏側(壁うら)に存在する対象物Aの探知(所謂壁うら探知)、あるいはコンクリート壁やその他の媒質B中に埋設された対象物Aの探知などに本発明の物体探知装置を用いてもよく、この場合には媒質Bの比誘電率εγ1は物体検知装置と対象物Aとの間に存在する壁材等の媒質Bの材質によって変化する。そこで、本実施形態では、距離算出部26および比誘電率推定部28に接続された比誘電率設定部27を信号処理部3に設け、距離の算出時および比誘電率の推定時に用いる媒質Bの比誘電率を比誘電率設定部27で設定できる構成としてある。この比誘電率設定部27は、使用者が比誘電率の値を手動操作によって入力する構成を採用しているが、物体探知装置を使用する度に媒質Bの比誘電率を測定しこの測定結果を比誘電率として設定する構成でもよい。
以下に、上述の物体探知装置を用いて対象物Aまでの距離および対象物Aの材質を求める例を、図3,4を参照して説明する。ただし、ここでは媒質Bが空気(比誘電率εγ1=1)、対象物Aが金属(比誘電率εγ2=∞)の場合を例示する。
この例では、送信器1から送波された電磁波(直接波I1に相当)は、図3に示すように対象物Aの表面で全て反射され、結果的に、直接波I1と反射波R1とが受信器2で受波される。図4にはこのとき受信器2から出力される受波信号を、縦軸を振幅、横軸を時間として示している。このような受波信号を受けた信号処理部3は、距離算出部26において、図4における直接波I1と反射波R1との時間差T1、および媒質B(空気)中での電磁波の速度を用いて対象物Aまでの距離を算出する。さらに、比誘電率推定部28において、直接波I1の強度と反射波R1の強度と先に求めた対象物Aまでの距離とを用いて反射係数Rを求める。そして、上記の数5に対して、この反射係数Rと媒質の比誘電率εγ1=1と電磁波の角周波数ωとを代入することにより、対象物Aの比誘電率εγ2を推定する。電磁波は対象物Aの表面で反射される際に、図4のように位相が180度ずれており(つまり振幅の正負が逆転しており)、反射係数RはR=−1となるので、比誘電率推定部28は、対象物Aの比誘電率をεγ2=∞と推定し、材質判断部29はこの比誘電率に基づいて対象物Aの材質を金属と判断する。
次に、上述の物体探知装置を用いて対象物Aまでの距離および対象物Aの厚み寸法を求める例を、図5,6を参照して説明する。ただし、ここでは媒質Bが空気(比誘電率εγ1=1)、対象物Aが木材(比誘電率εγ2=4)の場合を例示する。なお、以下では対象物A中での電磁波の減衰がないものとして説明する。
この例では、送信器1から送波された電磁波(直接波I1に相当)は、図5に示すように対象物Aの表面(反射係数R=−1/3)で一部が反射され、残りが対象物Aの表面を透過して対象物A内に入射する。ここで、直接波I1の振幅を1とすれば、対象物Aの表面で反射された反射波R1の振幅は−1/3となり、対象物A内に入射した電磁波の振幅は上記の数6より2/3となる。対象物A内に入射した電磁波は、対象物Aの裏面(反射係数1/3)で一部(振幅は2/3×1/3=2/9となる)が反射され、残りが対象物Aの裏面を透過して対象物A外に出射される。さらに対象物Aの裏面で反射された電磁波は、対象物Aの表面(反射係数R=1/3)で一部が反射され、残りの反射波R2(振幅は2/9×4/3=8/27となる)が対象物Aの表面を透過して媒質B内に入射する。そして、直接波I1と反射波R1および反射波R2とが受信器2で受波される。図6にはこのとき受信器2から出力される受波信号を、縦軸を振幅、横軸を時間として示している。
図6に示す受波信号を受けた信号処理部3は、距離算出部26において、図6における直接波I1と反射波R1との時間差T1、および媒質B(空気)中での電磁波の速度を用いて対象物Aまでの距離を算出する。さらに、不要波除去部24からは、対象物Aで反射された反射波R1,R2の成分のみが厚み判別部31に出力される。厚み判別部31は、反射波R1と反射波R2との時間差T2、および対象物A中での電磁波の速度を用いて、対象物の厚み寸法tを求める。
本発明の実施形態の構成を示すブロック図である。 同上に例示する対象物での電磁波の反射を示す説明図である。 同上に例示する対象物(金属)での電磁波の反射を示す説明図である。 同上の受波信号の波形を示す説明図である。 同上に例示する対象物(木材)での電磁波の反射を示す説明図である。 同上の受波信号の波形を示す説明図である。
符号の説明
1 送信器
2 受信器
26 距離算出部
27 比誘電率設定部
28 比誘電率推定部
29 材質判断部
31 厚み判別部(厚み算出部)
A 対象物
B 媒質

Claims (3)

  1. 探知領域に電磁波を間欠的に送波する送信器と、探知領域内に存在する対象物で反射された送信器からの電磁波を受波し電気信号である受波信号に変換する受信器と、電磁波が送波されてから受波されるまでに要した時間および対象物との間に存在している媒質の比誘電率から求まる媒質中での電磁波の速度に基づいて対象物までの距離を算出する距離算出部と、複数の周波数についてそれぞれ送信器が送波した電磁波の強度と受信器が受波した電磁波の強度と対象物までの距離とから媒質および対象物の境界面の反射係数を求め、各反射係数と媒質の比誘電率と電磁波の各周波数とを用いて対象物の比誘電率を統計的に推定する比誘電率推定部と、比誘電率推定部で推定された比誘電率に基づいて対象物の材質を判断する材質判断部とを備え、送信器は、前記電磁波としてUWBの信号を送波することを特徴とする物体探知装置。
  2. 前記対象物の表面で反射された電磁波が受波されてから対象物の裏面で反射された電磁波が受波されるまでに要した時間と、前記比誘電率推定部で推定された比誘電率から求まる対象物中での電磁波の速度とを用いて、対象物の表面と裏面との間の厚み寸法を算出する厚み算出部を備えることを特徴とする請求項1記載の物体探知装置。
  3. 前記距離算出部および前記比誘電率推定部で用いられる前記媒質の比誘電率を設定する比誘電率設定部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の物体探知装置。
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