JP2007146176A - 添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物の処理装置 - Google Patents

添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物の処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物の処理、再利用のために添加剤成分と樹脂成分とを効率よく分離するための処理装置を提供する。
【解決手段】加熱機構14を保持したシリンダ15と、シリンダ15内に内蔵され、添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物および添加剤の少なくとも一部を溶解する溶剤を加圧、加熱、混練しながら基端部側から先端部側に向けて移動させるスクリュー軸13と、スクリュー軸を回転させる駆動機構16と、スクリュー軸の基端部近傍に設けられた添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物の投入口12、および溶剤の流入口17と、流入口よりも先端部側に設けられ、添加剤の少なくとも一部を溶解した溶剤を液体状態で排出させる排出口18と、先端部には混練、溶融した添加剤の少なくとも一部が分離除去された熱可塑性樹脂組成物を押出す樹脂排出部19とを有する、添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物の処理装置である。
【選択図】図2

Description

本発明は種々の添加剤を含有する熱可塑性樹脂組成物から、添加剤成分を分離除去するための処理方法、処理装置に関するものである。例えば家電リサイクル法によって回収される家電製品において、添加剤成分を含む樹脂筐体などから添加剤成分を分離除去する場合に有用であり、特にテレビやパソコンモニターの筐体として使用される、難燃剤、難燃助剤などを含んだ熱可塑性樹脂組成物からそれら難燃剤、難燃助剤を分離除去するのに有効である。
現在、テレビやパソコンモニターの筐体、各種家電製品の筐体として、プロピレン樹脂、スチレン樹脂やABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂、耐衝撃性を向上させたハイインパクトポリスチレン樹脂などの熱可塑性樹脂が一般的に用いられており、樹脂自身に種々の機能を付与させる目的で添加剤成分が混入され使用されている。例えば熱可塑性樹脂は、単体では燃焼性が高いため、火災時の延焼防止などの観点から、難燃剤や難燃助剤などが約10・25wt%程度の割合で樹脂に配合されている。特に臭素系難燃剤は各種樹脂に対して高い難燃効果を有しており、また価格も安いことから、世界的なレベルで使用されている。
臭素系難燃剤は、スチレン系樹脂を代表とする芳香族系樹脂に対して難燃効果に優れており、これまで家電製品の各種筐体や部品材料に多量に使用されてきた。このためこれら家電製品の廃棄と共に臭素系難燃剤を含む樹脂組成物が大量に廃棄されることになる。
特開平6―157812号公報 特開平8―299759号公報 特開平9―262565号公報 特開2000−198874号公報 特開平10−195234号公報
一般に樹脂廃棄物の処理方法としては、焼却や埋め立てが中心であり、一部が加熱溶融などで再利用されているに過ぎない。埋立て処分場の逼迫を考えると廃プラスチックを焼却処分することが望まれるが、難燃性を含有する樹脂組成物はその付与された高度の難燃性のために焼却が困難であり、処理が困難になってきている。
また環境問題に関する意識が高まり、ハロゲン化有機物の環境への有害性が指摘され、ハロゲン化有機物の使用は規制されつつある。現在、各使用メーカーはハロゲン系難燃剤から、リン系化合物などのハロゲン化有機物を含まない難燃剤への転換を検討しているが、リン系化合物はハロゲン化有機物と比較して、難燃性の付与程度が弱く、ハロゲン化有機物からの転換は、なかなか進まない現状にある。
さらにまた近年は、石油化学由来の資源を再利用することが強く求められており、樹脂廃棄物の処理、再利用方法の確立が重要な課題となっている。特に2001年4月より施行されている家電リサイクル法においては、テレビ、冷蔵庫、エアコン、洗濯機の4製品に関する適性リサイクル処理が求められる。
当面のリサイクル率は50・60%前後であり、各製品中の比較的重量の占める割合の大きいガラスや金属などを積極的にリサイクル利用推進することによって当面の目標値をクリアする努力が行われているが、今後はリサイクル率のアップも予想され、樹脂リサイクル処理法の確立が望まれる。
難燃剤を含んだ樹脂組成物の処理方法として、種々の検討が進められている。しかしながら、酸処理(特許文献1参照)や高温処理(特許文献2〜4参照)などが主な内容で、樹脂と難燃剤を完全分解するといったサーマルリサイクル的な処理法が中心で、樹脂をマテリアルリサイクルすることを目指した取組みはほとんどなかった。また特許文献5では、難燃剤を含有した樹脂のうち、樹脂を改質して分離する方法を提案している。樹脂の機能化による別用途への利用を考えたものであるが、汎用用途への再生化を主としたリサイクル法の確立がより急務であると我々は判断する。
本発明は、このような状況を鑑みて提案されたものであって、難燃剤などの添加剤を含んだ熱可塑性樹脂などの筐体において、容易にマテリアルリサイクルが可能となる処理方法および処理装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に対し鋭意研究を重ねた結果、難燃剤などの添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物を、ある特定の溶剤と加熱接触させることにより、樹脂中から難燃剤などの添加剤成分のみを積極的に溶解させることでそれらを樹脂成分から分離除去する方法を見いだし本発明を完成するに至った。
第一の本発明(請求項1に対応)は、添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物を、前記添加剤の少なくとも一部を溶解させる溶剤とともに、前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上かつ前記溶剤の沸点以下の温度で加熱撹拌し、前記添加剤の少なくとも一部を溶解した前記溶剤を液体状態で分離回収することで、前記熱可塑性樹脂組成物から前記添加剤の少なくとも一部を分離除去する、添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物の処理方法である。
第二の本発明(請求項2に対応)は、熱可塑性樹脂組成物に含まれる添加剤の少なくとも一部を溶解させる溶剤の溶解性パラメータが、熱可塑性樹脂成分の溶解性パラメータ値+1(単位は(MPa)0.5)である、添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物の処理方法である。
第三の本発明(請求項3に対応)は、熱可塑性樹脂組成物に含まれる添加剤の少なくとも一部を溶解させる溶剤が、グリコール系溶剤群、グリコールエーテル系溶剤群、乳酸エステル系溶剤群、あるいは炭素数5以上のアルコール系溶剤群より選ばれる少なくとも1種を含む、第二の本発明の添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物の処理方法である。
第四の本発明(請求項4に対応)は、前記添加剤が2種以上の添加剤成分からなり、それぞれの添加剤成分の少なくとも一部を溶解する溶剤とともに、前記熱可塑性樹脂組成物から前記2種以上の添加剤成分のそれぞれの少なくとも一部を分離除去する、第一の本発明の添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物の処理方法である。
第五の本発明(請求項5に対応)は、熱可塑性樹脂組成物に含まれる添加剤が、臭素系難燃剤及びアンチモン系難燃助剤を含み、臭素系難燃剤の少なくとも一部を溶解する溶剤として、グリコール系溶剤群、グリコールエーテル系溶剤群、乳酸エステル系溶剤群、あるいは炭素数5以上のアルコール系溶剤群より選ばれる少なくとも1種からなる溶剤を、アンチモン系難燃助剤の少なくとも一部を溶解する溶剤として、エチレングリコールあるいはプロピレングリコールから選ばれる溶剤を、それぞれ用いることで、前記熱可塑性樹脂組成物から臭素系難燃剤とアンチモン系難燃助剤のそれぞれの少なくとも一部を分離除去する、第一の本発明の添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物の処理方法である。
第六の本発明(請求項6に対応)は、熱可塑性樹脂組成物に含まれる添加剤が、臭素系難燃剤及びアンチモン系難燃助剤を含み、臭素系難燃剤の少なくとも一部を溶解する溶剤として、グリコール系溶剤群、グリコールエーテル系溶剤群、乳酸エステル系溶剤群、あるいは炭素数5以上のアルコール系溶剤群より選ばれる少なくとも1種からなる溶剤を用い臭素系難燃剤の少なくとも一部を前記熱可塑性樹脂組成物から分離除去した後に、アンチモン系難燃助剤の少なくとも一部を溶解する溶剤として、エチレングリコールあるいはプロピレングリコールから選ばれる溶剤を用いアンチモン系難燃助剤の少なくとも一部を前記熱可塑性樹脂組成物から分離除去する、第一の本発明の添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物の処理方法である。
第七の本発明(請求項7に対応)は、添加剤の少なくとも一部を溶解する溶剤及び、前記添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物を投入する手段と、前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上かつ前記溶剤の沸点以下の温度に加熱する手段と、前記添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物及び/または前記溶剤を撹拌する手段と、前記添加剤の少なくとも一部を溶解した溶剤を液体状態で処理装置の外部へ分離する手段とを有する、添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物の処理装置である。
第八の本発明(請求項8に対応)は、加熱機構を保持したシリンダ内に中心軸で連結した単一もしくは複数のスクリューを内蔵し、該スクリュー軸の基端部にはそれを回転させる駆動機構を有するとともに、スクリュー軸の基端部近傍に前記添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物の投入口と、前記添加剤の少なくとも一部を溶解する溶剤の流入口を設け、スクリュー軸を回転させることによって、前記添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物および前記溶剤を加圧、加熱、混練しながら基端側から先端側に向けて移動するように構成するとともに、前記流入口よりも先端側に前記添加剤の少なくとも一部を溶解した前記溶剤を液体状態で排出させる排出口を有し、先端部には混練、溶融した前記添加剤の少なくとも一部が分離除去された前記熱可塑性樹脂組成物を押出す樹脂排出部を有する、添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物の処理装置である。
第九の本発明(請求項9に対応)は、前記添加剤の少なくとも一部を溶解する溶剤の流入口と、前記添加剤の少なくとも一部を溶解した溶剤を液体状態で排出させる排出口を、それぞれ少なくとも二対以上有し、基端部より先端部に向けて、流入口、排出口の繰り返し順で配置されている、第八の本発明の添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物の処理装置である。
第十の本発明(請求項10に対応)は、前記添加剤の少なくとも一部を溶解した溶剤を液体状態で排出させる排出口が、前記スクリュー軸よりも下側に配置される、第八又は第九の本発明の添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物の処理装置である。
第十一の本発明(請求項11に対応)は、前記添加剤の少なくとも一部を溶解した溶剤を液体状態で排出させる排出口と樹脂排出部の間に、前記樹脂組成物から前記溶剤の一部を脱気するための脱気口を設ける、第八〜十のいずれかの本発明の添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物の処理装置である。
以上のように、本発明の処理方法および処理装置を用いることにより、今後大量に廃棄され問題になると思われる、廃家電製品などに使用されていた熱可塑性樹脂組成物から不要となる添加剤のみを分離除去処理することが出来る。さらに樹脂を再利用することによって、廃棄物量削減を達成するとともに、再生に用いた溶剤も再使用できるために、昨今必要とされている環境問題解決の一助となるものである。
本発明は、添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物をある特定の溶剤と加熱接触、加熱混練を行うことによって、添加剤の少なくとも一部を除去した樹脂を容易な方法で得る処理方法、処理装置に関するものである。
ここで説明する熱可塑性樹脂組成物とは、製造現場などでの成型工程などで生じた不適合材や端材、あるいは廃家電製品としてリサイクル拠点などに回収された筐体樹脂を示す。また添加剤の種類としては、難燃剤や難燃助剤の他に、安定剤、着色剤、可塑剤、流動改質剤、離型剤、酸化防止剤、など再使用、再利用時に除去しておいた方が好ましい材料が挙げられる。また表面がアクリル系の塗装を施されていても構わない。
難燃剤としては、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、テトラブロモジフェニルエーテルなどのフェニルエーテル系難燃剤や、テトラブロモビスフェノールA(TBA)をはじめとするビスフェノールA型の難燃剤、ヘキサブロモシクロドデカン、ビストリブロモフェノキシエタン、トリブロモフェノール、エチレンビステトラブロモフタルイミド、TBAポリカーボネートオリゴマー、臭素化ポリスチレン、TBAエポキシオリゴマーなどの臭素系難燃剤や、塩素化パラフィン、パークロロシクロペンタデカン、クロレンド酸などの塩素系難燃剤、燐系難燃剤、窒素化合物を含む難燃剤、無機系難燃剤が知られている。
なお熱可塑性樹脂組成物中に含有される難燃剤は単一種類の臭素系難燃剤でも、それらが複数種混合されていても良い。また、その難燃性のグレードによっては、臭素系難燃剤などのハロゲン系有機化合物から成る難燃剤と、三酸化アンチモンなどに代表される無機系の難燃助剤などの混合系であっても構わない。またその含有量がどの程度であってもよいが、一般的には樹脂組成物としての重量に対して10・20wt%混入される場合が多い。
一方熱可塑性樹脂組成物は、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、スチレン系樹脂など任意のものに適用可能であるが、特にスチレン系樹脂において有効である。スチレン系樹脂としては、ポリスチレン、ポリ・α・メチルスチレン、スチレン・ブタジエン、スチレン・アクリロニトリル、スチレン・ブタジエン・アクリロニトリル、スチレン・無水マレイン酸、および耐衝撃性ハイインパクトポリスチレンなどからなる樹脂が挙げられる。
上記スチレン系樹脂は単独で用いても良いし、複数を混合して用いても良い。また他の樹脂との混合品であっても良い。またスチレン系樹脂の分子量も任意であるが、重量平均分子量としては、3,000・3,000,000程度が好ましい。
一般に臭素系難燃剤のうち、ノンデカタイプと呼ばれている化合物群が汎用性溶剤に対して一般に良好な溶解性を示すのに対して、デカブロモジフェニルエーテル(通称デカブロ)は溶剤に不溶であると言われているが、溶剤中の濃度として5%程度であればどの難燃剤も完全に溶解することを本発明における検討で見いだした。本発明によれば、加熱条件や混練条件の最適化により、樹脂中の添加剤の種類や含有量に関わらず、樹脂成分から分離除去することが可能であり、これも本発明の重要な特徴でもある。
またここで意味する加熱撹拌手段とは、単軸もしくは二軸のスクリューを持つ押出機や射出成型機、ブロー成型機などのような連続的に混練が可能な装置でも良いし、バッチ処理式の撹拌機能を持った装置でも構わない。
また本発明の添加剤を溶解させるのに用いた溶剤は、蒸留操作や添加剤の溶解度の温度依存性を利用した添加剤のろ過操作を行うことで、繰り返し使用が可能であり、使用量を抑えることができる。また溶剤除去後に残渣として回収された添加剤は大気中に拡散させることなく、回収することができる。またこれらは初期の樹脂組成物全体の重量と比較すればそのかさは非常に小さくなっており、特別な管理下で扱うことができる。
このように本発明によれば、環境汚染可能性物質の適正処理、回収、リサイクル処理ならびに溶剤使用量の削減化など、環境に配慮した形で処理を行うことができる。
以下、本発明の処理方法について詳しく説明する。
本発明における添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物の処理方法は、添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物を、添加剤の少なくとも一部を溶解させる溶剤とともに熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上かつ溶剤の沸点以下の温度で加熱撹拌し、添加剤の少なくとも一部を溶解した溶剤を液体状態で分離回収することで、熱可塑性樹脂組成物から添加剤の少なくとも一部を分離除去するものである。
熱可塑性樹脂のガラス転移温度以下の温度条件でも、樹脂の表面積近傍から添加剤の少なくとも一部を溶解させることは可能であるが、除去率が小さく、効率の点から考えても不充分であり、熱変形が生じるガラス転移温度以上で混練、撹拌処理を行うことによって、樹脂内部に存在する添加剤成分も除去することが可能となりより望ましいと考えられる。また添加剤の少なくとも一部を溶解させる溶剤の沸点以上の温度に加熱すると、樹脂の熱劣化を引き起こすだけでなく、添加剤自身の溶解挙動が生じず、結果として除去効率が悪くなる。従って上記に記載した温度条件での処理が望ましい。
また樹脂と反応に用いた溶剤の分離方法として、混練機の真空ベントなどによる溶剤除去方法があるが、この場合は反応に使用した溶剤は蒸気として回収するもので、本発明で説明する、液体状態で分離する形態とは異なる。蒸気回収の場合には、最終的には溶剤のみが回収されることになるので、添加剤を分離回収することはできない。添加剤の少なくとも一部を溶解した溶剤を液体状態で分離することが本発明では重要なポイントである。
また本発明の熱可塑性樹脂組成物に含まれる添加剤の少なくとも一部を溶解させる溶剤の溶解性パラメータは、熱可塑性樹脂成分の溶解性パラメータ値+1(単位は(MPa)0.5)であることを特徴とするものである。
樹脂を溶解させるには、樹脂とほぼ同じ溶解性パラメータを示す溶剤を用いることで可能となるが、本発明に述べた条件を示す溶解性パラメータを有する溶剤を使用することによって、樹脂自身の溶解性を抑えることができるとともに添加剤成分の溶解性を向上させることができるため、最適な処理を行うことが可能となる。
具体的には、グリコール系溶剤群、グリコールエーテル系溶剤群、乳酸エ乳酸エステル系溶剤、あるいは炭素数5以上のアルコール系溶剤群より選ばれる少なくとも1種を含む溶剤が好ましい。一般にこれら溶剤は沸点が比較的高く、加熱撹拌、加熱混練処理時にも液体状態で存在する。また引火点が高いものが多く、作業環境としてはより安全性が高いので好ましいと考えられる。
上記化合物群として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールプロピルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコールプロピルエーテル、トリプロピレングリコールブチルエーテル、乳酸エチル、乳酸ブチル、1・ペンタノール、2・メチルー1・ブタノール、イソペンチルアルコール、1・ヘキサノール、2・メチルー1・ペンタノール、4・メチルー2・ペンタノール、1・ヘプタノール、2・エチルー1・ヘキサノール、3,5,5・トリメチルー1・ヘキサノール、1・デカノールなどが挙げられる。
本発明で用いる溶剤は、これら上記化合物を高濃度に含むほど、スチレン系ポリマーに対する非溶解性を高め、かつ添加剤に対する溶解性を高めることができるので、上記化合物の濃度を出来るだけ高くすることが望ましい。なお、その濃度としては主成分として含まれているのが望ましく、全溶剤の重量の少なくとも50重量パーセント以上であるのが良い。
さらに本発明の熱可塑性樹脂組成物に含まれる添加剤は、2種以上の添加剤成分からなる添加剤を含んでいても構わない。この場合は、除去効率や工程の煩雑さが関連してくるが、可能な限り同一溶剤、同一プロセスで除去分離を行っても良いが、それぞれの添加剤を溶解させうる溶剤を用いることも可能である。またそれぞれ異なる種類の添加剤を除去する方法としては、2種以上の異なる溶剤を混合して、所定の添加剤成分を分離除去してもよいし、また先に述べた処理方法を添加剤種の数だけ繰返し、添加剤1を除去分離したあとに、添加剤2を分離除去し、更に添加剤3を分離除去する、といった方法を繰り返すことによって対応することができる。従って、複数の装置を用意し、装置1で添加剤1を、装置2で添加剤2を除去する様な場合であってもよい。
また本発明の熱可塑性樹脂組成物に含まれる添加剤は、臭素系難燃剤及びアンチモン系難燃助剤を含む場合にも処理可能となる方法を提案するものである。臭素系難燃剤の少なくとも一部を溶解する溶剤として、グリコール系溶剤群、グリコールエーテル系溶剤群、乳酸エステル系溶剤群、あるいは炭素数5以上のアルコール系溶剤群より選ばれる少なくとも1種からなる溶剤が挙げられ、またアンチモン系難燃助剤の少なくとも一部を溶解する溶剤として、エチレングリコールあるいはプロピレングリコールから選ばれる溶剤が挙げられる。それぞれの溶剤を用いることで、前記熱可塑性樹脂組成物から臭素系難燃剤とアンチモン系難燃助剤のそれぞれの少なくとも一部を分離除去することが可能であることを今回見いだした。
更にそれら臭素系難燃剤及びアンチモン系難燃助剤を熱可塑性樹脂組成物に添加剤として含む場合、その除去の順番によっても除去効率が変わることを今回突き止めた。すなわち、臭素系難燃剤の少なくとも一部を溶解する溶剤として、グリコール系溶剤群、グリコールエーテル系溶剤群、乳酸エステル系溶剤群、あるいは炭素数5以上のアルコール系溶剤群より選ばれる少なくとも1種からなる溶剤を用い臭素系難燃剤の少なくとも一部を前記熱可塑性樹脂組成物から分離除去した後に、アンチモン系難燃助剤の少なくとも一部を溶解する溶剤として、エチレングリコールあるいはプロピレングリコールから選ばれる溶剤を用いアンチモン系難燃助剤の少なくとも一部を前記熱可塑性樹脂組成物から分離除去することでより効率良く、臭素系難燃剤及びアンチモン系難燃助剤を熱可塑性樹脂組成物から除去することができる。
本発明の添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物の処理装置としては、添加剤の少なくとも一部を溶解する溶剤及び、添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物を投入する手段と、前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上かつ前記溶剤の沸点以下の温度に加熱する手段と、前記添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物及び/または前記溶剤を撹拌する手段と、添加剤の少なくとも一部を溶解した溶剤を液体状態で処理装置の外部へ分離する手段とを有するものである。
具体的な装置としては、図1に示すように、樹脂及び溶剤の投入口1,1’、添加剤の少なくとも一部を溶解させた溶剤を分離するための排出口2、およびヒータ3を有した反応釜4で、撹拌機能5を設けたものである。
溶剤及び熱可塑性樹脂組成物の投入手段としては、1ヶ所の投入口を共有したものであっても良いし、それぞれ異なる投入口であっても構わない。また投入手段以前にそれら溶剤と樹脂組成物とがあらかじめ混合、混練しておく方法もある。また添加剤の少なくとも一部を溶解させた溶剤を分離するための排出口があれば、残った樹脂組成物はどの様に取り出すことも可能で、特に排出口を設けず、樹脂の投入口から取り出すような形態でも、また樹脂の排出口を別途用意しても構わない。加熱撹拌と溶剤の分離は1回の処理で所望の樹脂組成物が得られることが望ましいが、添加剤の除去率や操作性の点から2回以上行ってもなんら問題はない。
さらに好ましい本発明の添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物の処理装置としては、加熱機構を保持したシリンダ内に中心軸で連結した単一もしくは複数のスクリューを内蔵し、該スクリュー軸の基端部にはそれを回転させる駆動機構を有するとともに、スクリュー軸の基端部近傍に添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物および添加剤の少なくとも一部を溶解する溶剤の流入口を設け、スクリュー軸を回転させることによって、前記添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物および前記溶剤を加圧、加熱、混練しながら基端側から先端側に向けて移動するように構成するとともに、前記流入口よりも先端側に前記添加剤の少なくとも一部を溶解した溶剤を液体状態で排出させる排出口を有し、先端部には混練、溶融した添加剤の少なくとも一部が分離除去された熱可塑性樹脂組成物を押し出す押出し部を有するものである。
具体的な装置としては、図2のように、樹脂投入口であるホッパー12と、投入された樹脂を混練しながら先端側に向けて移動させるスクリュー13が、ヒータ14を有したシリンダ15内に保持されており、さらにスクリュー13の基端部にはスクリュー軸を回転するためのモータ16及び、樹脂排出部19を有する一般的な押出機11に、溶剤の流入口17及び、溶剤の排出口18を設けたものを挙げることができ、本発明を実施することができる。
押出機11としては、一軸押出機、二軸押出機が挙げられるが、この場合は特に混練効果の高い二軸押出機が好適である。このとき溶剤の排出口近傍にフィルター状の分離器を設置することで、低粘性の溶剤と樹脂組成物を分離することもできるし、またスクリューのピッチならびに形状を調整することで分離を促進することも可能であるが、どの様な手法を用いて樹脂と溶剤の分離をしても構わない。また溶剤の排出口と樹脂排出部の間には、混練に用いた高沸点の溶剤を除去する目的で、脱気口としてベントを設けておいても構わない。また、ベントは真空ポンプなどの手段を用いて、蒸気成分として回収することも可能である。
またさらに好ましい本発明の添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物の処理装置は、前記添加剤の少なくとも一部を溶解する溶剤の流入口と、前記添加剤の少なくとも一部を溶解した溶剤を液体状態で排出させる排出口を、それぞれ少なくとも二対以上有し、基端部より先端部に向けて、流入口、排出口の繰り返し順で配置されている処理装置である。図2では、流入口17、排出口18はそれぞれ1つずつであるが、除去対象となる添加剤の除去率の点から、これら流入口及び排出口が複数設置されていてもよい。このとき重要なポイントとしては、それらの順が基端側から先端側に向かって、流入口、排出口、流入口、排出口になっていることが望ましい。
また本発明における添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物の処理装置においては、添加剤の少なくとも一部を溶解した溶剤を液体状態で排出させる排出口が、スクリュー軸よりも下側に配置されることが好ましい。この様な形態にすることによって、液体状態の溶剤を上側から排出する場合に比べ先端側への溶剤持ち出し分を少なくすることができるので樹脂中の残留溶剤分を減少させることができ、その後のベント処理などを軽減することができる。
先にも触れたが、図1や図2に述べた装置をそれぞれ複数台組合せた処理装置としても同等以上の能力を発揮することができ、例えば、複数種以上の添加剤を含む場合には、撹拌によるバッチ処理によって添加剤成分1を除去した後に、混練による連続処理によって、添加剤成分2を除去する場合もある。また1種の添加剤の場合であっても異なる溶剤を用いることによって、除去効率を最大限に追求することも可能である。
以下実施例により本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
本実施例では、添加剤成分としてテトラブロモビスフェノールA系の構造を有する臭素系難燃剤、樹脂成分としてポリスチレン(樹脂の重量平均分子量105,000、ポリスチレンの溶解性パラメータ18.6)からなる熱可塑性樹脂組成物を用意し、この樹脂組成物中に含まれる難燃剤成分の分離を行った。このとき難燃剤は樹脂組成物に対して15重量部含まれるように調整した。
本実施例で使用する装置の概略図を図3に示す。この装置は、樹脂及び溶剤の投入口1,1’、難燃剤の一部を溶解させた溶剤を分離するための排出口2、およびヒータ3を有した反応釜4で、撹拌機能5を有するものである。
まず前記樹脂組成物を5mm角程度のブロック状に粗破砕し、図3の装置に、ジプロピレングリコール7(溶解性パラメータ20.5)と共に加え、約180℃で撹拌を2時間行った。その後難燃剤が溶解した液を排出口から回収し、装置を充分放冷した後、樹脂成分6を投入口より回収した。
得られた樹脂中の難燃剤残存量を、GPCによって測定したところ、初期重量100%に対して、5%まで除去できていることがわかった。また処理前後のポリスチレンの重量平均分子量を調べたところ、分子量変化に有意な差は見られず、回収されたポリスチレンは再度原料として用いることができることがわかった。このときの樹脂中の残留溶剤は約8%であった。また最初に用いた溶剤は、蒸留操作を行うことによって難燃剤成分を固化分離し、初期重量の98%を再利用できることがわかった。
(実施例2)
本実施例では、添加剤成分としてデカブロモジフェニルエーテルの臭素系難燃剤を、樹脂成分としてポリスチレン(樹脂の重量平均分子量100,000、ポリスチレンの溶解性パラメータ18.6)からなる熱可塑性樹脂組成物を用意し、この樹脂組成物中に含まれる難燃剤成分の分離を行った。このとき難燃剤は樹脂組成物に対して12重量部含まれるように調整した。
本実施例で使用する装置の概略図を図4に示す。この装置は、樹脂投入口であるホッパー12と、投入された樹脂を混練しながら先端側に向けて移動させるスクリュー13が、ヒータ14を有したシリンダ15内に保持されており、さらにスクリュー13の基端部にはスクリュー軸を回転するためのモータ16及び、樹脂排出口19を有した二軸押出機11に、溶剤の流入口17及び、溶剤の排出口18をそれぞれ1対ずつ設けたものである。
まずシリンダ15のヒータ14が180℃となるように設定し、5mm角に粗破砕した樹脂組成物をホッパー12から供給するとともに、溶剤の流入口17からジプロピレングリコール(溶解性パラメータ20.5)を加え、加熱混練処理を行った。このときスクリュー13のセングメントを調節することで、難燃剤成分が溶解した溶剤を排出口18から排出するようにした。
樹脂投入量1.0に対し、溶剤投入量は5.0で、溶剤回収量は分離された難燃剤の増加分、樹脂への残留分の差し引きで4.9であった。その後、ベント20に溶剤トラップ22を介して真空ポンプ21を設置し、樹脂排出部19より樹脂を排出し、冷却水槽23、切断機24を経てペレット樹脂25を得た。
得られた樹脂の難燃剤残存量を、GPCによって測定したところ、初期重量100%に対して、5%まで除去できていることがわかった。また処理前後のポリスチレンの重量平均分子量を調べたところ、分子量変化に有意な差は見られず、回収されたポリスチレンは再度原料として用いることができることがわかった。このときの樹脂中の残留溶剤は約2%であった。また最初に用いた溶剤は、蒸留操作を行うことによって難燃剤成分を固化分離し、初期重量の98%を再利用できることがわかった。
(実施例3)
本実施例では、実施例2で用いたものと同じ熱可塑性樹脂組成物を用意し、図5に示すような装置を用いて難燃剤の除去処理を行った。図5と図4の違いとしては、溶剤の流入口17、溶剤の排出口18のさらに先端側にもう1対の溶剤の流入口27と溶剤の排出口28を設けた点である。
まずシリンダ15のヒータ14が170℃となるように設定し、5mm角に粗破砕した樹脂組成物をホッパー12から供給するとともに、溶剤の第1流入口17からプロピレングリコール(溶解性パラメータ25.8)を加え、加熱混練処理を行った。このときスクリュー13のセングメントを調節することで、難燃剤成分が溶解した溶剤を第1排出口18から排出するようにした。同様の操作を溶剤の第2流入口27および溶剤の第2排出口28でも行った。このとき樹脂投入量1.0に対し、溶剤の第1流入量は5.0で、第2流入量も5.0であった。溶剤の回収量はそれぞれ、第1が4.9、第2が4.8であった。その後、ベント20に溶剤トラップ22を介して真空ポンプ21を設置し、樹脂排出部19より樹脂を排出し、冷却水槽23、切断機24を経てペレット樹脂25を得た。
得られた樹脂の難燃剤残存量を、GPCによって測定したところ、初期重量100%に対して、1.8%まで除去できていることがわかった。実施例2に比べ溶剤投入量は多くなっているが、熱可塑性樹脂に含まれていた難燃剤がより多く除去されていることがわかった。また処理前後のポリスチレンの重量平均分子量を調べたところ、分子量変化に有意な差は見られず、回収されたポリスチレンは再度原料として用いることができることがわかった。このときの樹脂中の残留溶剤は約3%であった。ベントでの真空ポンプによる処理を行わない場合には約8%であったことから、ベント追加による効果を確認できた。また最初に用いた溶剤は、蒸留操作を行うことによって難燃剤成分を固化分離し、初期重量の98%を再利用できることがわかった。
(実施例4)
本実施例では、実施例2で用いたものと同じ熱可塑性樹脂組成物を用意し、図6に示すような装置を用いて難燃剤の除去処理を行った。図6と図5の違いとしては、2つの溶剤の排出口18および、溶剤の排出口28が、混練機よりも下側に設けた点である。
まずシリンダ15のヒータ14が180℃となるように設定し、5mm角に粗破砕した樹脂組成物をホッパー12から供給するとともに、溶剤の第1流入口17からジプロピレングリコール(溶解性パラメータ20.5)を加え、加熱混練処理を行った。このときスクリュー13のセングメントを調節することで、難燃剤成分が溶解した溶剤を第1排出口18から排出するようにした。同様の操作を溶剤の第2流入口27および溶剤の第2排出口28でも行った。このとき樹脂投入量1.0に対し、溶剤の第1流入量、第2流入量ともに5.0とした。溶剤の回収量はそれぞれ、第1が4.9、第2が5.0であった。その後、ベント20に溶剤トラップ22を介して真空ポンプ21を設置し、樹脂排出部19より樹脂を排出し、冷却水槽23、切断機24を経てペレット樹脂25を得た。
得られた樹脂の難燃剤残存量を、GPCによって測定したところ、初期重量100%に対して、1.2%まで除去できていることがわかった。また処理前後のポリスチレンの重量平均分子量を調べたところ、分子量変化に有意な差は見られず、回収されたポリスチレンは再度原料として用いることができることがわかった。このときの樹脂中の残留溶剤は約1%となり、実施例3の場合に比べ減少していることがわかった。また最初に用いた溶剤は、蒸留操作を行うことによって難燃剤成分を固化分離し、初期重量の98%を再利用できることがわかった。
(実施例5)
本実施例では、添加剤成分としてテトラブロモビスフェノールA系のエポキシオリゴマータイプの臭素系難燃剤15重量分と三酸化アンチモン3重量部からなり、樹脂成分としてハイインパクトポリスチレン(樹脂の重量平均分子量120,000、樹脂成分の溶解性パラメータ17.6・18.6)からなる熱可塑性樹脂組成物を用意し、この樹脂組成物中に含まれる難燃剤成分ならびに難燃助剤の分離を行った。分離処理は図6に示す装置を用いた。
まずシリンダ15のヒータ14が180℃となるように設定し、5mm角に粗破砕した樹脂組成物をホッパー12から供給するとともに、溶剤の第1流入口17からジプロピレングリコール(溶解性パラメータ20.5)を投入樹脂重量の5倍量加え、加熱混練処理を行った。このときスクリュー13のセングメントを調節することで、難燃剤成分が溶解した溶剤を第1排出口18から排出するようにした。次に溶剤の第2流入口27からは、エチレングリコール(溶解性パラメータ29.9)を投入樹脂重量の3倍量加え、同様の加熱混練処理を行った後、溶剤の第2排出口28から溶剤を排出した。溶剤の回収量はそれぞれ、第1が4.9、第2が3.0であった。その後、ベント20に溶剤トラップ22を介して真空ポンプ21を設置し、樹脂排出部19より樹脂を排出し、冷却水槽23、切断機24を経てペレット樹脂25を得た。
得られた樹脂の難燃剤残存量を、GPCによって測定したところ、初期重量100%に対して、1.8%まで除去できていること、また蛍光X線分析によって、樹脂中のアンチモン濃度が初期の約20%まで減少していることを確認した。また処理前後のポリスチレンの重量平均分子量を調べたところ、分子量変化に有意な差は見られず、回収されたポリスチレンは再度原料として用いることができることがわかった。このときの樹脂中の残留溶剤は約0.8%であった。また用いた溶剤は、それぞれ蒸留操作を行うことによって初期重量の98%を再利用できることがわかった。
(実施例6)
本実施例では、実施例5で用いたと同様の熱可塑性樹始祖背物を用いて検討を行った。また用いた処理装置も同じである。
まずシリンダ15のヒータ14が180℃となるように設定し、5mm角に粗破砕した樹脂組成物をホッパー12から供給するとともに、溶剤の第1流入口17からエチレングリコール(溶解性パラメータ29.9)を投入樹脂重量の5倍量加え、加熱混練処理を行った。このときスクリュー13のセングメントを調節することで、難燃剤成分が溶解した溶剤を第1排出口18から排出するようにした。次に溶剤の第2流入口27からも、エチレングリコール(溶解性パラメータ29.9)を投入樹脂重量の3倍量加え、同様の加熱混練処理を行った後、溶剤の第2排出口28から溶剤を排出した。溶剤の回収量はそれぞれ、第1が4.9、第2が3.0であった。その後、ベント20に溶剤トラップ22を介して真空ポンプ21を設置し、樹脂排出部19より樹脂を排出し、冷却水槽23、切断機24を経てペレット樹脂25を得た。
得られた樹脂の難燃剤残存量を、GPCによって測定したところ、初期重量100%に対して、20%残存していること、また蛍光X線分析によって、樹脂中のアンチモン濃度が初期の約50%まで減少していることを確認した。実施例5に比べ除去率が低くなった。両添加剤の除去として、同一溶剤が使用可能であることは確認できたが、除去率の点では実施例5のようにそれぞれ異なる溶剤で除去したほうが好ましいと判断できる。また処理前後のポリスチレンの重量平均分子量を調べたところ、分子量変化に有意な差は見られず、回収されたポリスチレンは再度原料として用いることができることがわかった。このときの樹脂中の残留溶剤は約0.8%であった。また用いた溶剤は、それぞれ蒸留操作を行うことによって初期重量の98%を再利用できることがわかった。
(実施例7)
本実施例では、実施例5で用いたと同様の熱可塑性樹始祖背物を用いて検討を行った。用いた処理装置は、臭素系難燃剤の処理として図3のものを、アンチモン系難燃助剤の処理を図4のものを用いた。
まず前記樹脂組成物を5mm角程度のブロック状に粗破砕し、図3の装置に、ジプロピレングリコール7(溶解性パラメータ20.5)と共に加え、約180℃で撹拌を2時間行った。その後難燃剤が溶解した液を排出口から回収し、装置を充分放冷した後、樹脂成分6を投入口より回収した。
次に図4で示す装置を用いて引続き処理をした。すなわち、シリンダ15のヒータ14が180℃となるように設定し、回収した、少なくとも臭素系難燃剤の一部が除去された熱可塑性樹脂組成物を、ホッパー12から供給するとともに、溶剤の第1流入口17からエチレングリコール(溶解性パラメータ29.9)を投入樹脂重量の3倍量加え、加熱混練処理を行った。このときスクリュー13のセングメントを調節することで、難燃剤成分が溶解した溶剤を第1排出口18から排出するようにした。溶剤の回収量は3.0であった。その後、ベント20に溶剤トラップ22を介して真空ポンプ21を設置し、樹脂排出部19より樹脂を排出し、冷却水槽23、切断機24を経てペレット樹脂25を得た。
得られた樹脂の難燃剤残存量を、GPCによって測定したところ、初期重量100%に対して、5%まで除去できていること、また蛍光X線分析によって、樹脂中のアンチモン濃度が初期の約10%まで減少していることを確認した。また処理前後のポリスチレンの重量平均分子量を調べたところ、分子量変化に有意な差は見られず、回収されたポリスチレンは再度原料として用いることができることがわかった。このときの樹脂中の残留溶剤は約0.8%であった。また用いた溶剤は、それぞれ蒸留操作を行うことによって初期重量の98%を再利用できることがわかった。
(実施例8)
本実施例では、添加剤成分としてフェノール系酸化防止剤0.1重量部とイオウ系酸化防止剤0.3重量部を有し、樹脂成分としてポリプロピレン(樹脂のポリスチレン換算値の重量平均分子量100,000、溶解性パラメータ18.8)からなる熱可塑性樹脂組成物を用意し、この樹脂組成物中に含まれる酸化防止剤成分の分離を行った。用いた装置は図3と同様のものである。
まず前記樹脂組成物を5mm角程度のブロック状に粗破砕し、図3の装置に、2・メチルー1・ペンタノール(溶解性パラメータ21.3)と共に加え、約125℃で撹拌を2時間行った。その後添加剤が溶解した液を排出口から回収し、装置を充分放冷した後、樹脂成分を投入口より回収した。
得られた樹脂中の添加剤残存量を、初期ピークの比較からGPCによって測定したところ、初期重量100%に対して、3%まで除去できていることがわかった。また処理前後の樹脂の重量平均分子量を調べたところ、分子量変化に有意な差は見られず、回収された樹脂は再度原料として用いることができることがわかった。このときの樹脂中の残留溶剤は約3%であった。
(実施例9)
本実施例では、実施例6で用いたと同様の樹脂組成物を用いて検討した。
まず前記樹脂組成物を5mm角程度のブロック状に粗破砕し、図3の装置に、乳酸エチル(溶解性パラメータ20.5)と共に加え、約170℃で撹拌を2時間行った。その後添加剤が溶解した液を排出口から回収し、装置を充分放冷した後、樹脂成分を投入口より回収した。
得られた樹脂中の添加剤残存量を、初期ピークの比較からGPCによって測定したところ、初期重量100%に対して、2%まで除去できていることがわかった。また処理前後の樹脂の重量平均分子量を調べたところ、分子量変化に有意な差は見られず、回収された樹脂は再度原料として用いることができることがわかった。このときの樹脂中の残留溶剤は約5%であった。
以上のように、本発明の処理方法および処理装置を用いることにより、今後大量に廃棄され問題になると思われる、廃家電製品などに使用されていた熱可塑性樹脂組成物から不要となる添加剤のみを分離除去処理することが出来、例えば家電リサイクル法によって回収される家電製品において、添加剤成分を含む樹脂筐体などから添加剤成分を分離除去する場合に有用であり、特にテレビやパソコンモニターの筐体として使用される、難燃剤、難燃助剤などを含んだ熱可塑性樹脂組成物からそれら難燃剤、難燃助剤を分離除去するのに有効である。
本発明を説明する装置の概略図 本発明を説明する装置の概略図 本発明の実施例1を説明する装置の概略図 本発明の実施例2を説明する装置の概略図 本発明の実施例3を説明する装置の概略図 本発明の実施例4を説明する装置の概略図
符号の説明
1,1’ 溶剤及び樹脂の投入口
2 溶剤の排出口
3 ヒータ
4 反応釜
5 攪拌機
6 樹脂
7 溶剤
11 混練機
12 樹脂投入口(ホッパー)
13 スクリュー
14 ヒータ
15 シリンダ
16 モータ
17 溶剤の流入口
18 溶剤の排出口
19 樹脂排出部(ダイス)
20 ベント
21 真空ポンプ
22 溶剤トラップ
23 冷却水槽
24 切断機
25 ペレット樹脂
27 溶剤の流入口
28 溶剤の排出口



Claims (4)

  1. 加熱機構を保持したシリンダと、
    前記シリンダ内に内蔵され、前記シリンダと中心軸で連結され、回転させることによって、添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物および前記添加剤の少なくとも一部を溶解する溶剤を加圧、加熱、混練しながら基端部側から先端部側に向けて移動させる、単一もしくは複数のスクリュー軸と、
    前記スクリュー軸の基端部に設けられ、前記スクリュー軸を回転させる駆動機構と、
    前記スクリュー軸の基端部近傍に設けられた前記添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物の投入口、および、前記溶剤の流入口と、
    前記流入口よりも前記先端部側に設けられ、前記添加剤の少なくとも一部を溶解した前記溶剤を液体状態で排出させる排出口と、
    前記先端部には混練、溶融した前記添加剤の少なくとも一部が分離除去された前記熱可塑性樹脂組成物を押出す樹脂排出部とを有する、添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物の処理装置。
  2. 前記添加剤の少なくとも一部を溶解する溶剤の流入口と、前記添加剤の少なくとも一部を溶解した溶剤を液体状態で排出させる排出口を、それぞれ少なくとも二対以上有し、基端部より先端部に向けて、流入口、排出口の繰り返し順で配置して構成した、請求項1記載の添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物の処理装置。
  3. 前記添加剤の少なくとも一部を溶解した溶剤を液体状態で排出させる排出口が、前記スクリュー軸よりも下側に配置されている、請求項1又は2記載の添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物の処理装置。
  4. 前記添加剤の少なくとも一部を溶解した溶剤を液体状態で排出させる排出口と前記樹脂排出部の間に、前記樹脂組成物から前記溶剤の一部を脱気するための脱気口を設けてなる、請求項1〜3のいずれかに記載の添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物の処理装置。

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