JP2007146083A - ポリエチレンの連続製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】広幅ないし2ピークの分子量分布(MWD)を有し、低分子量組成分、高分子量組成分及び少量の特高分子量組成分を同時に含み、特にブロー成形による中空成形品及び押出し成形によるパイプ材の成形加工に好適に使用され、優れたESCR等の性能を有するポリエチレンの連続製造方法を提供する。
【解決手段】直列した4個のリアクターを用い、その中の少なくとも1個のリアクターに、エチレン、α−オレフィン、固体触媒及び有機アルミニウム化合物を供給して多段重合反応及び混合を行い、第1のリアクターで0.1〜4.0、第2のリアクターで1.0〜7.0、第3のリアクターで1.0〜7.0、第4のリアクターで2.0〜11.5の極限粘度のエチレン重合体を製造し、最後に得られたエチレン樹脂組成物の極限粘度1.1〜8.0、密度0.935〜0.965g/cmの範囲にあるようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリエチレンの多段式連続製造方法に関し、特に広幅ないし2ピークの分子量分布を有するポリエチレン樹脂組成物の多段重合方法に関するものである。
近年、新技術及び新製品の目覚しい開発によりこれらが市場に現れることに伴い、加工業者及び消費者の高性能ポリエチレン樹脂に対する市場の要望が、日増しに高まってきている。従って、高性能ポリエチレンの開発、改質研究及び効率的な生産は、当業者にとって常に関心を怠ることのできない競合の焦点となってきている。ところが、これに伴い、ポリエチレンの加工性能、例えば、材料の強度、耐環境応力亀裂性(ESCR)、耐衝撃度、剛性に対する要求も段々厳しくなってきている。これらの性能は、分子量を高く引き上げることにより、例えば、相対分子量が25万以上の高分子量高密度ポリエチレン(HMW−HDPE)を製造することによって改良できることが知られている。しかしながら、ポリエチレンの分子量を増やすと、押出し成形、圧縮成形、吹込み成形、熱成形ないしロータリ成形の加工性能が悪くなる。ところが、比較的広い幅又は2ピークの分子量分布(MWD)を有するポリエチレンなら、これらの欠点をかなり有効的に解消することができる。これは、ポリマーに存在する長鎖が機械強度を提供し、短鎖が潤滑作用を提供する効果があることによると思われる。さらに、共重合モノマーの分布を制御することも非常に重要である。言い換えれば、共重合単体が相対高分子量の連鎖に対する結合性は良くなくてはならないが、相対低分子量の連鎖に対してはその逆である。要するに、分子量分布は耐環境応力亀裂性に影響を及ぼす重大な要因の一つである。というのは、分子量分布は直接ポリマーの大分子及び小分子の含有量を反映するものであり、大分子の含有量が多ければ、コアー間の連結分子数が多くなり、ESCR性能が向上する。一方、密度及び結晶度がESCRに及ぼす影響はもっと複雑である。即ち、密度が高ければ、結晶度も高くなり、コアー間の連結分子数が少なくなるので、ESCR性能の低下につながる。ポリエチレンの密度が低い場合、あるいは比較的高い極限粘度を有する場合は、ポリマーに比較的良いESCR性能をもたらすが、ポリマーの密度が低くなると、樹脂組成物の機械強度及び剛性も低下することが知られている。ポリエチレンの極限粘度又は分子量があまり高くなると、樹脂の流動性が悪くなり、成形加工に支障をきたす問題が起こる。従って、ポリエチレンの密度を制御した条件において、ポリエチレン樹脂のESCR性能を改善することと、剛性を向上させることは、互いに牽制し合う問題であり、両者間の釣合いを適宜に取らなくてはならない。
周知の如く、スラリープロセスはブロー成形による広い分子量分布状ポリエチレンを製造する方法の一つである。この方面では、触媒によるチーグラー法によって広い分子量分布のポリエチレンを製造する種々な方法が提案されている。例えば、非特許文献1及び2には、2段重合反応による2ピークの分子量分布のポリエチレンの製造に関する技術が開示されている。概して言えば、2段重合方法によって得られたポリエチレン樹脂組成物は、1段重合方法によって得られたポリエチレンよりも良いESCR性能及び剛性の総合性能が得られることが知られている。特許文献1、2及び3にはα−オレフィンの共重合によってポリエチレンの剛性を調整又は制御する方法が提案されている。また、ESCR及び剛性の総合性能もα−オレフィンをポリマーに混合することによって著しく改善することができると開示されている。この方法によれば、高い分子量のセクションのポリマーに含まれるα−オレフィンの量は、低い分子量のセクションのポリマーに含まれるα−オレフィンの量よりも多いことが容易に解る。しかしながら、このような2段重合法によって得たポリマーを使用してブロー成形したブロー成形品は、ピンチオフの部分の溶着強度が弱く、膨脹比(ダイスウェル)も低く、また、押出し量も充分に満足できない課題がある。
前記課題を解決するため、特許文献4〜12では3段重合法によって改質したポリエチレンの製造方法が提案され、3種の異なる分子量のポリエチレン共重合体を連続製造する技術が開示されている。しかし、特許文献5及び6に記載されているように、ポリエチレンの膨脹比が改善されたにも拘わらず、剛性とESCRの総合性能が期待に適うような改善が得られない。また、前記従来の技術による3段重合法では、通常、一般の2段重合法によって低分子量及び高分子量の組成分を製造できる外、少量の超高分子量の重合体成分も産出するのが実情であり、この超高分子量の成分が、製品表面及び品質に大きな影響を来たすフィッシュアイ又はゲルの発生の原因になり、成形加工に不利である。
低密度の物性がフィルムに与える優れた引裂き性の特徴を生かして、低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE及びLDPE)がブロー成形加工に使用されている。例えば、特許文献12では、3段重合法による高分子量中密度ポリエチレンの製造方法が提案されている。この方法では、第1段の重合工程で、密度が0.904〜0.970g/cmの範囲にある低分子量の組成分を製造し、これを脱気、圧力を解放した後、密度が0.900〜0.940g/cmの範囲にある高分子量の組成分を重合調整した第2段の重合工程に導入混和させ、最後に、密度が0.930〜0.944g/cmの高分子量の中密度ポリエチレン(HMW−MDPE)を得るようにしたものである。また、高分子量の組成分をより多く得るため、酸素の濃度5%及び押出し成形機の温度が200〜300℃の条件で混和造粒することも提案されている。
特許文献13では、3段重合法によるポリエチレン樹脂混和物の製法が提案されている。この方法において、3種の非超高分子量組成分を有するポリマー(A、B及びC)をそれぞれ製造し、さらに、各ポリマー(例えばB、C)の組成分の極限粘度(分子量の大きさに相当)を限定することによって、ポリマーの各組成分の相溶性(混和性)を接近するようにし、結果として、得られた樹脂混和物の質が非常に均一であり、ゲル、又はフィッシュアイが発生することがほとんどないことを見出したと述べている。さらに、当該文献の実施例では、このような混和物の製造において、第2段と第3段で得た各ポリマーの量及び分子量を近づけるため、ステップ(a),(b),(c)あるいはステップ(b),(a),(c)の順序で連続製造(重合)することが好ましいとされ、かつ、後段の水素の濃度が前段の水素の濃度よりも低いため、製造過程において、水素ガスのパージが必要である。要するに、この製造法によれば、ステップの順序が上記のいずれにしても、前記組成分(A)及び組成分(B)の極限粘度の差が余り大きくならないようにするため、ステップ毎に脱気槽(フラッシュタンク)による圧力解放、及び温度を一旦下げた後再度上昇させる工程を行う必要がある上、ステップ(c)の組成分に多量のα−オレフィンを含ませるために、ステップ(c)のα−オレフィンの添加量をステップ(a)及びステップ(b)のα−オレフィンの添加量よりも多くすることが必要である。従って、工業化生産に不便を来たすと共に、コストも高くなり、連続生産に不利である課題がある。
Macromolecular.Symp.,163,135−143(2001). Plastics, Rubber and Composites Processing and Applications, 25(8),368−372(1996) 特開平2−155906号公報 特開昭64−1709号公報 特開昭64−79204号公報 特開昭58−138719号公報 特公昭59−227913号公報 特開昭61−207404号公報 特公昭62−61057号公報 特開昭64−79204号公報 特公平3−29805号公報 特公平4−14686号公報 特開昭62−25105号公報 中国特願CN1449414A号公報 中国特願CN1405224A号公報
しかしながら、特許文献4〜11の3段重合法では、高分子量及び低分子量の組成分の他、少量の超高分子量のポリマー成分も産出するため、これがフィッシュアイ又はゲル発生の原因となり、特に高速化、精密化、形態の複雑化、大型化を目指す近年のブロー成形加工技術の発展に不利な影響を来たす。
また、特許文献12では、高密度及び低密度ポリエチレンのブレンドによって得られた樹脂組成物の融和性が悪くなり、さらに、酸素ガスで高温下において架橋結合反応させるので、分子量が急激に上昇し、優れた引裂き性及び光学性が得られるものの、混和物の均一性が損なわれ、かつ、シャークスキン、ゲル又はフィッシュアイなどが発生し、中空成形品の外観に悪影響をきたす課題がある。また、密度が比較的低いため、このようなHMW−MDPEによってブロー成形して得た中空成形品は、一般のHDPEの中空成形品よりも柔軟かつ良い風合いが得られるものの、高押出し量のブロー成形品又はフィルムの生産において、フィルムバブルの安定性が悪くなる傾向があり、加工業者の高速化及び大型化生産に不利をきたす結果となる。
また、特許文献13では、製造において、ステップ(a,b,c)の順序のいずれを採用しても、前記組成分(A)及び組成分(B)の極限粘度の差が余り大きくならないようにするため、各ステップでは、脱気槽(フラッシュタンク)による圧力解放及び温度を一旦下げた後、再度温度を上げる工程を行う必要があり、その上、ステップ(c)の組成分に多量のα−オレフィンを含ませるため、ステップ(c)のα−オレフィンの添加量をステップ(a)及びステップ(b)のα−オレフィンの添加量よりも多くすることが必要であるので、生産において、工程上の不便及びコスト高になる欠点があり、連続一貫の工業化生産に不利を来たす課題がある。
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、エチレン樹脂組成物の分子量及び分子量分布状態を任意に調整することができ、溶解流動性が良好で、かつ、組成物の中に、低分子量組成分及び高分子量組成分のほか、さらに少量の特に高い分子量組成分であって、その分子量が、高分子量と超高分子量との間にある組成分(以下、「特高分子量組成分」と称する)を含み、広い幅ないし2ピークの分子量分布(MWD)の特性を有すると共に、優れた耐環境応力亀裂性(ESCR)、剛性及び強度を具備し、フィッシュアイ又はゲルが形し難く、かつ、加工性が良い、特に化学薬品、溶剤などの容器又はドラム缶などの大型中空成形品のブロー成形、及びパイプ材の押出し成形に好適に使用されるポリエチレンの多段連続製造方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、原料であるモノマーを、直列に配列した4個のリアクターに導入して多段重合反応並びに混合を行わせることによって、ポリエチレンを連続製造する方法において、少なくとも1個のリアクターには、原料モノマーの外に、少なくとも(a)チタン、マグネシウム及びハロゲン化物の成分を含む固体触媒、及びメタロセン化合物とアルミノキサンを含む固体触媒のいずれか一種の固体触媒と、(b)有機アルミニウム化合物と、の混合物を導入し、当該リアクターと、これに直列し同じ原料モノマーを導入した他のリアクターとによって多段連続重合反応並びに混合を行わせて、最終の樹脂混合物の極限粘度[η](dl/g)が1.1〜8.0の範囲、密度が0.935〜0.965g/cmの範囲にあるポリエチレンを製造する方法であって、前記4個のリアクターでそれぞれ行われる重合反応の工程a,b,c,dの制御条件が、工程a:温度70〜100℃において、極限粘度[η1](dl/g)が0.1〜4.0の範囲のエチレン重合体を製造し、工程b:温度60〜90℃において、極限粘度[η2](dl/g)が1.0〜7.0の範囲のエチレン重合体を製造し、工程c:温度60〜90℃において、極限粘度[η3](dl/g)が1.0〜7.0の範囲のエチレン重合体を製造し、工程d:温度40〜70℃において、極限粘度[η4](dl/g)が2.0〜11.5の範囲のエチレン重合体を製造すると共に、(1)工程a、工程b及び工程cによって製造されたエチレン重合体の含有量が、それぞれ重合組成物の総重量に対して20〜50wt%を占め、(2)工程dによって製造されたエチレン重合体の含有量が、その重合組成物の総重量に対して0.5〜10wt%を占め、(3)(工程bによる重合組成物の量+工程cによる重合組成物の量):(工程aによる重合組成物の量)=6/7〜5/1の範囲にあるように調整し、かつ、(4)工程dで水素又はアルコール類を分子量調整剤として使用したことを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、広い幅ないし2ピークの分子量分布(MWD)の特性を有し、低分子量組成分、高分子量組成分及び少量の特高分子量組成分を同時に含み、溶解流動性が良好で、かつ、分子量及び分子量分布が所望の条件を満たすように任意に調整可能であると共に、耐環境応力亀裂性(ESCR)、耐衝撃強度及び剛性が高く、ブロー成形後にフィッシュアイ、ゲルが形成し難く、かつ、成形加工の安定性も高い、特にポリエチレンドラム、パイプなどの中空成形品及びフィルムの成形に使用されるポリエチレンを製造することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の方法において、前記工程a、工程b、工程c及び工程dが、前記制御条件の下で、各リアクターの配置は不変で、工程の配列順序を任意に変更して前記重合反応を行うことができるようにしたものである。
請求項2に記載の発明によれば、リアクターの配置を変更せずに、工程の順序を任意に変更して行うことができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の方法において、前記エチレン重合体が、エチレン単独重合体又はエチレン共重合体であるものである。
請求項3に記載の発明によれば、エチレン単独重合体及び/又はエチレン共重合体を得ることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の方法において、前記エチレン共重合体が、α−オレフィンの含有量が10wt%以下のエチレン共重合体であるものである。
請求項4に記載の発明によれば、最終製品のエチレン樹脂組成物の分子量を適宜に調整することができる。
本発明のポリエチレンの製造方法によると、エチレン樹脂組成物の分子量及び分子量分布状態を任意に調整することができると共に、溶解流動性が良好で、かつ、組成物の中に、低分子量組成分および高分子量組成分、さらに少量の特高分子量組成分を含み、広幅ないし2ピークの分子量分布を有するポリエチレンが得られる。この方法で製造したポリエチレンは、成形加工性が良く、特に化学薬品、溶剤などの容器またはドラム缶などの大型中空成形品のブロー成形、及びパイプ材の押出し成形に非常に好適に使用され、優れたESCR、衝撃強度又は短期静的水圧強度を具備し、かつ、フィッシュアイ又はゲルが殆ど発生しない成形品を得ることができる。
図1は、この発明のポリエチレンの連続製造方法を示すブロック図である。図において、本発明のポリエチレンの連続製造方法は、4段式重合による方法である。この方法を実施するための装置は、直列に配置され、それぞれ異なる温度の条件下で極限粘度が異なるエチレン単独重合体又はα−オレフィンの含有量が所定範囲にあるエチレン共重合体を製造する4個のリアクター(1,2,3,4)より構成される。リアクター(1,2,3,4)は、好ましくは内部に攪拌機を具備する高圧釜を使用する。原料は、エチレンモノマー(10)、α−オレフィンモノマー(20)及び溶剤(30)の他、さらに触媒(40)及び有機アルミニウム化合物(50)を含む。これら原料は従来の方法でリアクター(1,2,3,4)に供給され、予め設定された条件の制御の下で重合反応を起こさせて、極限粘度[η]がそれぞれ異なるポリエチレンを段階的に製造し、最後にこれらをブレンドしたポリエチレン樹脂を得ることができる。これによって得たポリエチレン樹脂は、エチレン単独重合体もしくはエチレン共重合体であっても良い。各リアクター(1,2,3,4)において行われる工程を、リアクター(1,2,3,4)の順序に工程(a,b,c,d)とする。工程aから工程dまでが直列に配列され、上流から下流に向かって流れる連続一貫作業であるので、工程aで重合した重合物が工程bに送り込まれ、工程bで重合された重合物と混合反応し、さらに工程cで工程cの重合物と混合した後、工程dで工程dの重合物と混合して、最終製品のポリエチレン樹脂(60)が製造されるのである。
触媒(40)及び有機アルミニウム化合物(50)は、図1に示すように、通常第1番目のリアクター(1)すなわち工程(a)のみに供給される。但し、必要に応じて、第2番目のリアクター(2)、第3番目のリアクター(3)、第4番目のリアクター(4)のいずれか1つ又は2つ以上のリアクターに供給することもできる。触媒(40)は、主にチタン、マグネシウム及びハロゲン化物の組成分を含む固体チーグラー触媒、又はメタロセン化合物及びアルミノキサンを含む固体触媒を使用する。いずれも市販品又は自家調製品を使用すればよい。
具体的に言うと、本発明はポリエチレンの4段連続製造方法において、少なくとも1個のリアクター(1)には、原料であるエチレン(10)及び/又はα−オレフィンモノマー(20)及び溶剤(30)のほか、少なくとも(A)チタン、マグネシウム及びハロゲン化物の成分を含む固体触媒、及びメタロセン化合物とアルミノキサンを含む固体触媒の中のいずれか一種の固体触媒(40)と、(B)有機アルミニウム化合物(50)との混合物を供給し、当該リアクター(1)と、原料モノマー、溶剤のみ供給した他のリアクター(2,3,4)とにより、多段連続重合反応及び混合させることによって、最終製品の樹脂混合物の極限粘度[η](dl/g)が1.1〜8.0の範囲、密度が0.935〜0.965g/cmの範囲にあるポリエチレン樹脂(60)を連続製造する。
なお、各リアクターにおける工程a,b,c,dの操作の順序は、任意に変更可能であり、下記制御条件の下で操作が行われる。
工程a:温度70〜100℃において、極限粘度[η1](dl/g)が0.1〜4.0の範囲のエチレン単独重合体又はα−オレフィン含有量が10wt%以下のエチレン共重合体を製造し、
工程b:温度60〜90℃において、極限粘度[η2](dl/g)が1.0〜7.0の範囲のエチレン単独重合体又はα−オレフィン含有量が10wt%以下のエチレン共重合体を製造し、
工程c:温度60〜90℃において、極限粘度[η3](dl/g)が1.0〜7.0の範囲のエチレン単独重合体又はα−オレフィン含有量が10wt%以下のエチレン共重合体を製造し、
工程d:温度40〜70℃において、極限粘度[η4](dl/g)が2.0〜11.5の範囲のエチレン単独重合体又はα−オレフィン含有量が4.5wt%以下のエチレン共重合体を製造する。
上記固体触媒(40)及び有機アルミニウム化合物(50)を使用して多段連続重合を行うことにより、上記工程a、工程b及び工程cによって製造されたエチレン単独重合体又はその共重合体の含有量を、それぞれ重合組成物の総重量に対して20〜50wt%、好ましくは、25〜45wt%を占めるように制御し、かつ、工程dによって製造されたエチレン単独重合体又はその共重合体の含有量を、その重合組成物の総重量に対して0.5〜10wt%、好ましくは、2.0〜6.0wt%を占めるように制御し、さらに、(工程bによる重合組成物の量+工程cによる重合組成物の量):(工程aによる重合組成物の量)=6/7〜5/1の範囲、好ましくは、1/1〜3/1の範囲にあるように調整すると、極限粘度[η]が1.1〜8.0、密度が0.935〜0.965g/cmの範囲にある広い幅ないし2ピークの分子量分布の樹脂組成物が得られる。各工程で得た重合物の総重量は、製品の特性及びユーザーの要望に応じて自由に調整又はポリマーデザインをすることが可能であり、順応性があり、かつ重合反応の遅滞時間が長くなり、触媒の活性が大幅に向上し、生産率が高くなると共に、コストも安くなる利点がある。
本発明において、原料の単体として、エチレン単体の他、α−オレフィンを共重合用単体として使用することが好ましい。この場合、α−オレフィンは、好ましくは3〜20個の炭素を含むα−オレフィン、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ドデセン、及び1−エイコセンの中のいずれか1種又はそれ以上を選択して使用する。その中で、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−へキセン又は1−オクテンが好適に使用できる。スラリー法重合において使用する溶剤として、脂肪族のプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、シクロペンタン、メチルシクロヘキサン、又は、芳香族のベンゼンあるいはキシレンがあり、その中でも、ヘキサン及びヘプタンが最適である。
本発明の多段連続重合によってポリエチレン樹脂混合物を製造する工程a,b,c,dの流れの順序は、必要に応じて任意に変更することができる。工程aでのモノマーの重合反応は70〜100℃、好ましくは、75〜95℃、さらに好ましくは、75〜85℃の温度制御の下で行われる。重合温度が100℃を超えると、重合物の一部分が溶解し、団塊を形成し易く、その後の継続運転に支障を来たす原因となる。ところが、重合温度が70℃未満の場合は、重合反応が鈍くなり、触媒の活性が低くなって、効率が低下し、コストが高くなる欠点がある。そして、この工程aで極限粘度[η1]が0.1〜4.0の範囲のエチレン単独重合体又はα−オレフィンの含有量が10wt%以下のエチレン共重合体を製造するのであるが、好ましくは、極限粘度が0.2〜2.5の範囲のエチレン単独重合体又はα−オレフィンの含有量が0.1〜2.5wt%のエチレン共重合体を製造する。α−オレフィンの含有量が10wt%を超えると、重合反応の温度を下げる必要があり、生産率が低下すると共に、樹脂組成物の流動性が悪くなり、ESCR及び剛性も低下し、かつ、共重合体の溶剤可溶成分が増加する。極限粘度が0.1未満の場合は、ブロー成形品のピンチオフ部の溶着強度が足りなくなる恐れがある。しかし、極限粘度が4.0を上回ると、樹脂組成物のESCR及び剛性がまた悪くなる傾向がある。
次に、工程bの段階で温度60〜90℃、好ましくは、65〜85℃、さらに好ましくは、70〜80℃の下で重合反応を行う。重合温度が90℃を超えると、重合物の一部分が溶解し、団塊を形成し易く、その後の継続運転に支障を来たす原因となる。ところが、温度が60℃未満になると、重合反応が鈍くなり、触媒の活性が低下し、効率が低減して、コストが高くなる欠点がある。そして、この工程bで極限粘度[η2]が1.0〜7.0の範囲のエチレン単独重合体又はα−オレフィンの含有量が10wt%以下のエチレン共重合体を製造するのであるが、好ましくは、極限粘度が1.5〜5.6の範囲のエチレン単独重合体又はα−オレフィンの含有量が0.1〜1.5wt%のエチレン共重合体を製造する。α−オレフィンの含有量が10wt%を超えると、重合反応の温度を下げる必要があり、生産率が低下すると共に、樹脂組成物の流動性が悪くなり、ESCR及び剛性も低下し、かつ、共重合体の溶剤可溶成分が増加する。極限粘度が1.0未満である場合は、樹脂組成物の耐衝撃強度が低下し、極限粘度が7.0を超えると、樹脂組成物の流動性が悪くなり、ブロー成形による中空成形品又は押出し成形による成形品にフィッシュアイやゲルが発生し易い。
さらに、工程cに入り、ここで温度60〜90℃、好ましくは、65〜85℃、さらに好ましくは、70〜80℃の下で重合反応を行う。重合温度が90℃を超えると、重合物の一部分が溶解し、団塊を形成し易く、その後の継続運転に支障を来たし、生産率が悪くなると共に、極限粘度の制御が難しくなる。ところが、温度が60℃未満になると、重合反応が鈍くなり、触媒の活性が著しく低下し、効率が低減して、コストが高くなる欠点がある。この工程cで極限粘度[η3]が1.0〜7.0の範囲のエチレン単独重合体又はα−オレフィンの含有量が10wt%以下のエチレン共重合体を製造するのであるが、好ましくは、極限粘度が1.5〜5.6の範囲のエチレン単独重合体又はα−オレフィンの含有量が0.1〜1.5wt%のエチレン共重合体を製造する。α−オレフィンの含有量が10wt%を超えると、重合反応の温度を下げる必要があり、生産率が低下すると共に、樹脂組成物の流動性が悪くなり、ESCR及び剛性も低下し、共重合体の溶剤可溶成分が増加する。極限粘度が1.0未満の場合は、樹脂組成物の耐衝撃強度が低下し、極限粘度が7.0を超えると、樹脂組成物の流動性が悪くなり、ブロー成形による中空成形品や押出し成形による押出し成形品にフィッシュアイやゲルが発生し易い。
最後に、工程dに入り、ここで温度40〜70℃、好ましくは、45〜65℃、さらに好ましくは、45〜55℃の下で重合反応を行う。重合温度が70℃を超えると、重合物の一部分が溶解し、団塊を形成し易く、その後の継続運転に支障を来たし、生産率が悪くなると共に、極限粘度の制御が難しくなる。ところが、温度が40℃未満であると、重合反応が鈍くなり、触媒の活性が著しく低下し、効率が低減して、コストが高くなる欠点がある。この工程dで極限粘度[η4]が2.0〜11.5の範囲のエチレン単独重合体又はα−オレフィンの含有量が4.5wt%以下のエチレン共重合体を製造するのであるが、好ましくは、極限粘度が4.5〜9.5の範囲のエチレン単独重合体又はα−オレフィンの含有量が0.5wt%以下のエチレン共重合体を製造する。α−オレフィンの含有量が4.5wt%を超えると、重合反応の温度を下げる必要があり、生産率が低下すると共に、樹脂組成物の流動性が悪くなり、ESCR及び剛性も低下する。極限粘度が2.0未満の場合は、樹脂組成物の耐衝撃強度が低下し、極限粘度が11.5を超えると、樹脂組成物の流動性が悪くなり、ブロー成形による中空成形品や押出し成形による押出し成形品にフィッシュアイやゲルが発生し易い。
工程a、工程b及び工程cによって製造されたエチレン単独重合体又はエチレン共重合体の含有量は、それぞれ重合組成物の総重量に対して20〜50wt%、好ましくは、25〜45wt%を占めるように制御し、かつ、工程dによって得られたエチレン単独重合体又はエチレン共重合体の含有量が、その重合組成物の総重量に対して0.5〜10wt%、好ましくは、2.0〜6.0wt%を占めるように制御し、さらに、(工程bによる重合組成物の量+工程cによる重合組成物の量):(工程aによる重合組成物の量)=6/7〜5/1の範囲、好ましくは、1/1〜3/1の範囲にあるように調整する。工程aの重合組成物の量が20wt%未満である場合、樹脂組成物の流動性が悪くなり、ブロー成形又は押出し成形時の成形加工性が悪くなる。ところが、重合組成物の量が50wt%を超えると、フィッシュアイやゲルの発生が増える。また、工程b及び/又は工程cの重合量が20wt%未満であると、樹脂組成物のESCRが低下し、50wt%を超えると、樹脂組成物の剛性が悪くなる。また、工程dの重合組成物の量が0.5wt%未満の場合は、樹脂組成物の耐衝撃強度が悪くなり、10wt%を超えると、フィッシュアイやゲルの発生が増える。
この発明において、各工程における極限粘度の制限範囲から、工程aで低分子量組成分が、工程b及び工程cで高分子量組成分が、工程dで特高分子量組成分が製造され、かつ、工程dの特高分子量組成分の分子量が、工程b及び工程cの高分子量組成分の分子量と、一般の超高分子量との間にあることが解る。工程dは低分子量及び高分子量の量に比べて極少量の特高分子量組成分を製造するものであるが、前に述べた通り、特高分子量組成分の存在によって、フィッシュアイ又はゲル発生の原因になる恐れがある。ところが、本発明では、このようなフィッシュアイ又はゲルの発生を抑制できる方法を見出した。具体的に言うと、工程dにおいて、微量の水素ガスまたは微量のアルコール類を分子量調整剤として使用することによって上記問題を解決した。微量の水素を添加すると、水素及びエチレンの気相組成分のモル比を極めて低く調整することができる。微量のアルコール類を添加する場合、溶剤中のアルコール類の濃度が10ppm(重量)を越さないように抑えると良い。本発明に使用されるアルコール類として、エチルアルコール又はイソプロピルアルコールが好適に用いられる。
本発明の製造過程において、リアクター(1,2,3,4)の配置位置を変えずに、任意に工程の順序を変えて実施することができる。すなわち、リアクターの配置を変えないで、単にリアクターの内部で行う工程のみ置き換えて実施することができる。工程順は工程a→b→c→dの順序が好ましいが、工程a→c→b→d、工程b→a→c→d、工程b→c→a→d、工程c→b→a→dの順序のいずれにしても良い。従って、製造工程に融通性又は順応性が利き、所定製品の特性及びユーザーの要望に応じて調整及びポリマーデザインをすることができる。また、重合反応の遅滞時間が長くなり、触媒の活性が大幅に向上するので、生産率が増加し、コストも安くなる。本発明の製造方法によって得られたエチレン樹脂組成物を、ブロー成形又は押出し成形に用いると、高品質の成形品を製造することができる。
本発明の樹脂組成物であるエチレン共重合体を連続製造するには、特に共重合用モノマーとしてα−オレフィンを使用して高分子量組成分のポリマーを得るのであるが、触媒によって最適な共重合反応作用及び能力を促進し、及び/又は有利な重合条件の下で共重合反応をさせることが必須である。この目的に使用される触媒は、主にチタン、マグネシウム及びハロゲン化物の組成分を含む固体の高活性チーグラー触媒を使用すれば良い。高活性チーグラー触媒としては、例えば、特公昭50−32270号、特公昭52−13232号、特公昭52−36790号、特公昭52−36915号、特公昭53−6019号、特公昭54−25517号、特公昭56−5403号、特公昭62−54326号、特開昭50−31835号、特開昭50−95384号、特開昭53−40696号、特開昭54−161091号、特開昭54−41985号、特開昭55−729号、特開昭55−149307号、特開昭57−12006号などの公報、米国特許US4071674号、台湾特許TW7111813号の公報に開示された触媒又はその製造法があり、好適に使用できる。また、メタロセン化合物及びアルミノキサンを含む固体触媒も使用できる。この場合は、例えば、特開平8−208717号、特開平10−255194号、特開平10−296535号などの公報に提案された触媒の製造方法で製造した触媒を好適に使用できる。
以下、本発明の好適な実施例について説明する。下記実施例は、本発明の製法の実態を容易に理解できるように説明したものであり、本発明を限定するものでない。全ての実施例の重合反応操作は、特に指定がない限り、窒素の雰囲気の下で実施した。
本発明の樹脂組成物に関連する物性のパラメータの試験又は測定方法は下記要項に準ずる。
1)極限粘度[η](dl/g):135℃のナフタレン溶液中で測定する。
2)密度(g/cm):ASTM D1505の方法に基づいて測定する。
3)ESCR(hr):ASTM D1693の方法に基づいて測定する。
4)アイゾッド衝撃強度(kg−cm/cm ノッチ):ASTM D256の方法に基づいて測定する。その結果、破壊なし(No breaking)の状態を「NB」で表す。
5)パイプ材の短期静的水圧強度(MPa):ASTM D1599の測定方法に基づいて測定する。
6)ブローボトルの内壁及び外観:中空製品ブロー成形機の加工温度を下記設定条件C1/C2/C3/C4/AD/D=180/180/180/180/180/180℃にして、フィッシュアイ及びゲルの状態を目測で判定する。
7)ポリエチレンパイプ材の押出し成形加工法:
a.押出し成形機:ドイツのバッテンフェルト(Battenfeld)社製造の押出し成形機。
b.スクリューの直径:45mm
c.パイプ材の直径および肉厚:直径40mm×肉厚5.8mm
d.押出し成形機の温度:190/195/200/200℃
e.金型の温度:200/200/200/200/210/210/210/215/215℃
[実施例1]
まず、触媒は、特公昭62−54326号公報に提案された方法によって製造したものを使用した。リアクター(1,2,3,4)としては、窒素ガスでパージし、エチレンガスで置き換えた容量800リットルの撹拌機付オートクレーブを使用した。第1リアクターに、ヘキサン245リットル、トリエチルアルミニウム(TEAL)247mM及び前記の触媒6.24gを順番に導入し、重合温度を80℃に保持した状態で、エチレン、1−ブテン及び水素ガスを連続導入し、総圧力を0.95Meb(メガバール)(表圧)に保持し、重合反応時間を4時間に設定した状態で水素及びエチレンの気相組成分のモル比が1.5になるように制御して工程aの重合反応を行った。次に、第2リアクターに移入し、工程bの重合反応を行った。ここで、前記原料を、重合温度75℃、総圧力0.61Meb(表圧)、重合反応時間2.5時間の下で、水素及びエチレンの気相組成分のモル比が0.31になるように制御して重合反応を行った。続いて、第3リアクターに移入し、工程cの重合反応を行った。ここで、前記原料を、重合温度75℃、総圧力0.52Meb(表圧)、重合反応時間1.5時間の下で、水素及びエチレンの気相組成分のモル比が0.06になるように制御して重合反応を行った。その後、エチレン、水素及び1−ブテンを窒素ガスでパージした後、温度を55℃まで下げ、最後に第4リアクターに移入して工程dの重合反応を行った。ここで、釜内部の温度50℃、総圧力0.2Meb(表圧)に保持した状態で、液相連続供給によってエチレン、1−ブテン及び分子量調整剤としての微量の水素を供給し、重合時間0.5時間を経て、水素及びエチレンの気相組成分のモル比が0.015になるように制御して最後の重合反応を行った。微量の水素を添加することにより、特高分子量組成分を得ることができ、超高分子量組成分の発生を抑制することができた。この特高分子量組成分の分子量は高分子量と超高分子量組成分の間にあった(表1参照)。
重合反応が終了した後、圧力を解放し、置換、冷却、乾燥を経て、粉末状のエチレン共重合体の樹脂組成物が得られた。この樹脂組成物を、重合活性、分子量について分析、測定した結果は、表2に示す通りである。さらに、上記粉末状の樹脂組成物に安定剤をブレンドして、2スクリュー式押出し機で造粒し、これをブロー成形機によって中空瓶の成形加工試験を行った。その後、樹脂組成物の分子量、密度、ESCR、アイゾッド衝撃強度を測定し、ゲルとフィッシュアイの発生を目で検査し判断した。この樹脂組成物で成形した中空瓶は、その内壁及び外観にはフィッシュアイやゲルが見られない上、優れたESCR及び衝撃強度と剛性がある。従って、本発明で製造したエチレン樹脂組成物は、特に容量が200リットル以上の化学品ドラム缶などの大型容器の成形に好適に使用できる。結果は表2に示すとおりである。
[実施例2]
実施例1と全く同じ手順でエチレン共重合体の樹脂組成物を製造し、造粒後、中空瓶を成形した。実施例1と異なるところは、表1に示す如く、単に各工程における重合量を変え、かつ、実施例1では、α−オレフィンとして1−ブテンを工程a、工程cに導入したが、本実施例では工程a、工程cのほか、工程dにも1−ブテンを導入した点だけである。
[実施例3]
実施例1と全く同じ手順でエチレン共重合体の樹脂組成物を製造し、造粒後、中空瓶を成形した。実施例1と異なるところは、表1に示す如く、単に各工程における重合量を変え、1−ブテンを工程b、工程dに導入した点だけである。
[実施例4]
実施例2において、工程dの重合反応を、重合温度50℃、総圧力0.2Meb(表圧)に保持した状態で、液相状態連続供給方式でエチレン及び微量の1−ブテンを供給し、さらに、分子量調整剤として濃度8ppmの微量のイソプロピルアルコールを添加し、重合時間0.5時間を経て、実施例2と同じような特高分子量組成分を有する樹脂組成物を得た。この特高分子量組成分は有効に超高分子量組成分の発生を抑制した。その分子量は、高分子量と超高分子量の間にあった。
重合反応終了後、圧力を解放し、置換、冷却、乾燥を経て、粉末状のエチレン共重合体の樹脂組成物が得られた。この樹脂組成物を、重合活性、分子量について分析、測定した。さらに、上記粉末状の樹脂組成物を2スクリュー式押出し機で造粒し、これをブロー成形によって中空瓶の成形加工試験を行った。その後、樹脂組成物の分子量、密度、ESCR、アイゾッド衝撃強度を測定し、ゲルの発生状態を検査した。この樹脂組成物で成形した中空瓶は、均一状態であり、ゲルの発生が見られなかった。結果は表2に示す通りである。
[実施例5]
実施例1と同様に、窒素ガスでパージし、エチレンガスで置き換えた容量800リットルの撹拌機付オートクレーブを使用した。工程aで、ヘキサン260リットル、トリエチルアルミニウム(TEAL)262mM及び前記の触媒7.41gを順番に導入し、重合温度を80℃に保持した状態で、1−ブテンを除いて、エチレン及び水素ガスを連続導入し、総圧力を0.87Meb(メガバール)(表圧)に保持し、水素及びエチレンの気相組成分のモル比が3.5になるように制御し、重合時間3.7時間を経て重合反応を行った。次に、工程bに入って重合反応を行った。ここで、再びエチレン、1−ブテン及び水素ガスを連続導入し、重合温度75℃、総圧力0.61Meb(表圧)、重合反応時間2.2時間を経て、水素及びエチレンの気相組成分のモル比が0.16になるように制御して重合反応を行った。続いて、工程cに入り、重合反応を行った。ここで、重合温度75℃、総圧力0.52Meb(表圧)、重合反応時間1.7時間の下で、水素及びエチレンの気相組成分のモル比が0.058になるように制御して重合反応を行った。その後、エチレン、水素及び1−ブテンを窒素ガスでパージした後、温度を55℃までに下げ、最後に工程dの重合反応を行った。ここで、重合温度50℃、総圧力0.2Meb(表圧)に保持した状態で、連続供給によってエチレン、1−ブテン及び分子量調整剤としての微量の水素を供給し、重合時間0.4時間を経て、水素及びエチレンの気相組成分のモル比が0.044になるように制御して最後の重合反応を行った(表1参照)。
重合反応終了後、圧力を解放し、置換、冷却、乾燥を経て、粉末状のエチレン共重合体の樹脂組成物が得られた。この樹脂組成物を、重合活性、分子量について分析、測定した結果は、表2に示す通りである。さらに、上記粉末状の樹脂組成物に安定剤をブレンドして、2スクリュー式押出し機で造粒し、これをブロー成形機によって中空瓶の成形加工試験を行った。その後、樹脂組成物の分子量、密度、ESCR、アイゾッド衝撃強度を測定し、ゲルとフィッシュアイの発生を目で検査し判断した。この樹脂組成物で成形した中空瓶は、その内壁及び外観にはフィッシュアイやゲルが見られない上、優れたESCR及び衝撃強度(アイゾッド衝撃強度35)が得られた。
ポリエチレンパイプ材に適用する可能性を確認するため、押出し成形によって、直径63mm、肉厚5.8mmのポリエチレンパイプを製造し、水圧試験によって破裂試験を行った。結果として、パイプは独特な魚口状のダクタイル破壊の特性を呈し、かつ、優れた短期静的水圧強度を兼備することが解った。結果は表2に示すとおりである。
[実施例6]
実施例5と同じような方法及び条件で重合反応を行った。但し、1−ブテンの代わりに1−へキセンを使用した。これによって得られた樹脂組成物及びその成形品の物理特性は表1及び表2に示す通りである。明らかに、極めて高いESCR及び短期静的水圧強度が得られた。
[比較例1]
実施例1において、工程a及び工程bのみの2段階重合反応を行った。工程aでは重合温度を80℃に、工程bでは重合温度を75℃にそれぞれ保持し、さらに、工程bにおける水素とエチレン及びブテンとエチレンの気相組成分のモル比を高分子量組成分が得られるように制御して、最終製品の樹脂組成物の分子量及び密度が実施例1で得た樹脂組成物のそれとほぼ同じくらいになるようにした(表3参照)。このようにして得られた樹脂組成物のESRCおよび衝撃強度は、表4に示す通り、明らかに実施例1〜3の結果に比べて、非常に低いことが分かる。また、ゲルも少々あり、重合活性も実施例1〜3に比べて低い。
[比較例2]
実施例1において、工程a、工程b及び工程dのみの3段階重合反応を行った。工程dでは特高分子量組成分でなく、超高分子量組成分を製造した。具体的には、比較例2において、各工程に用いられるリアクターとしては、窒素ガスでパージし、エチレンガスで置き換えた容量800リットルの撹拌機付オートクレーブを使用した。工程aのリアクターに、ヘキサン245リットル、トリエチルアルミニウム(TEAL)247mM、及び前記方法で得た触媒6.24gを順番に導入し、重合温度を80℃に保持した状態で、エチレン、1−ブテン及び水素ガスを連続導入し、総圧力を0.85Meb(メガバール)(表圧)に保持し、水素及びエチレンの気相組成分のモル比が1.48になるように制御して工程aの重合反応を3時間行った。次に、工程bのリアクターに原料を移入して重合反応を行った。ここで、重合温度75℃、総圧力0.4Meb(表圧)、重合時間2.5時間の下で、水素及びエチレンの気相組成分のモル比が0.16になるように制御して重合反応を行った。続いて、エチレン、水素及び1−ブテンを窒素ガスでパージした後、温度を55℃までに下げ、最後に、工程dの重合反応を行った。ここで、重合温度50℃、総圧力0.2Meb(表圧)に保持した状態で、エチレン及び水素を供給し、重合時間0.5時間を経て、水素及びエチレンの気相組成分のモル比が0.005になるように制御して最後の重合反応を行った(表3参照)。
重合反応終了後、圧力を解放し、置換、冷却、乾燥を経て、粉末状のエチレン共重合体の樹脂組成物が得られた。この樹脂組成物を、重合活性、分子量について分析、測定した。さらに、上記粉末状の樹脂組成物を2スクリュー式押出し機で造粒し、これをブロー成形によって中空瓶の成形加工試験を行った。その後、樹脂組成物の分子量、密度、ESCR、アイゾッド衝撃強度を測定し、ゲルとフィッシュアイの発生状態を検査した。この樹脂組成物で成形した中空瓶は、均一状態でなく、内外壁には小さなゲルが多数個発生し、かつ、そのESCRは、実施例1〜3に比べて非常に低い(表4参照)。
[比較例3]
実施例1と全く同じ方法および条件で重合反応を行ったが、工程dでは分子量調整剤とする水素を添加しなかった(表3参照)。これによって得た樹脂組成物で成形した中空瓶は、不均一であり、多数個の小さなゲルが発生した。表4にその結果を示す。
[比較例4]
実施例5において、工程a及び工程bのみの2段階重合反応を行った。工程aでは重合温度80℃、重合時間3時間、工程bでは重合温度75℃、重合時間2時間にそれぞれ維持し、さらに、工程bにおける水素とエチレン及びブテンとエチレンの気相組成分のモル比を高分子量組成分が得られるように制御して、最終製品の樹脂組成物の分子量及び密度が実施例5で得た樹脂組成物のそれとほぼ近くなるようにした(表3参照)。このようにして得られた樹脂組成物を造粒し、押出し成形機で、直径63mm、肉厚5.8mmのポリエチレンパイプを製造し、水圧試験によって破裂試験を行った。結果として、パイプは非魚口状のダクタイル破壊の特性を呈し、短期静的水圧強度も実施例5に比べてかなり劣ることが分かる。結果は表4に示すとおりである。
Figure 2007146083
Figure 2007146083
Figure 2007146083
Figure 2007146083
本発明のポリエチレンの連続製造方法のフローチャートである。
符号の説明
1,2,3,4 リアクター
10 エチレン
20 α−オレフィン
30 溶剤
40 固体触媒
50 有機アルミニウム化合物
60 ポリエチレン樹脂

Claims (4)

  1. 原料であるモノマーを、直列に配列した4個のリアクターに導入して多段重合反応並びに混合を行わせることによって、ポリエチレンを連続製造する方法において、少なくとも1個のリアクターには、原料モノマーの外に、少なくとも(a)チタン、マグネシウム及びハロゲン化物の成分を含む固体触媒、及びメタロセン化合物とアルミノキサンを含む固体触媒のいずれか一種の固体触媒と、(b)有機アルミニウム化合物と、の混合物を導入し、当該リアクターと、これに直列し同じ原料モノマーを導入した他のリアクターとによって多段連続重合反応並びに混合を行わせて、最終の樹脂混合物の極限粘度[η](dl/g)が1.1〜8.0の範囲、密度が0.935〜0.965g/cmの範囲にあるポリエチレンを製造する方法であって、前記4個のリアクターでそれぞれ行われる重合反応の工程a,b,c,dの制御条件が、
    工程a:温度70〜100℃において、極限粘度[η1](dl/g)が0.1〜4.0の範囲のエチレン重合体を製造し、
    工程b:温度60〜90℃において、極限粘度[η2](dl/g)が1.0〜7.0の範囲のエチレン重合体を製造し、
    工程c:温度60〜90℃において、極限粘度[η3](dl/g)が1.0〜7.0の範囲のエチレン重合体を製造し、
    工程d:温度40〜70℃において、極限粘度[η4](dl/g)が2.0〜11.5の範囲のエチレン重合体を製造すると共に、
    (1)工程a、工程b及び工程cによって製造されたエチレン重合体の含有量が、それぞれ重合組成物の総重量に対して20〜50wt%を占め、
    (2)工程dによって製造されたエチレン重合体の含有量が、その重合組成物の総重量に対して0.5〜10wt%を占め、
    (3)(工程bによる重合組成物の量+工程cによる重合組成物の量):(工程aによる重合組成物の量)=6/7〜5/1の範囲にあるように調整し、かつ、
    (4)工程dで水素又はアルコール類を分子量調整剤として使用したことを特徴とするポリエチレンの連続製造方法。
  2. 前記工程a、工程b、工程c及び工程dが、前記制御条件の下で、各リアクターの配置は不変で、工程の配列順序を任意に変更して前記重合反応を行うことができる請求項1に記載のポリエチレンの連続製造方法。
  3. 前記エチレン重合体が、エチレン単独重合体又はエチレン共重合体である請求項1又は2に記載のポリエチレンの連続製造方法。
  4. 前記エチレン共重合体が、α−オレフィンの含有量が10wt%以下のエチレン共重合体である請求項3に記載のポリエチレンの連続製造方法。
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