JP2007145923A - タイヤチューブ充填用弾性樹脂組成物 - Google Patents

タイヤチューブ充填用弾性樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】
溶融時にはバルブから注入可能な流動性を、ゲル硬化後にはタイヤチューブとの密着性を有するタイヤチューブ充填用弾性樹脂組成物を提供し、パンク発生がなく、良好な乗り心地性を長期間維持できるタイヤを容易に、かつ短時間で製造することである。
【解決手段】
タイヤの空気注入用バルブを介してタイヤチューブ内に注入充填されるタイヤチューブ充填用弾性樹脂組成物として、スチレン系熱可塑性エラストマーを10〜20重量%、粘着付与剤を5〜15重量%、プロセスオイルを65〜85重量%の割合で含み、溶融温度160℃において溶融粘度が10cP〜300Pである弾性樹脂組成物を用いる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、自転車、車椅子、自動二輪車、電動機付自転車、農作業車、フォークリフト等のタイヤのタイヤチューブ内に充填して使用される弾性樹脂組成物に関するものである。
従来の空気入タイヤは、バルブ部からの空気の自然流出、或いは釘等の踏み抜きによりパンクする問題があった。この問題を解決する手段として、タイヤチューブ内に樹脂を注入してパンクの発生をなくす技術が種々提案されている。例えば、特許文献1には、空気注入用のバルブから発泡ポリウレタン樹脂を注入する技術が開示されている。この技術は、ポリオールとポリイソシアネートよりなる主剤と、発泡剤、触媒等よりなる副剤とを高圧発泡機を用いて混合し、バルブを介してタイヤチューブ内に圧入後、常温で発泡及び硬化させ、樹脂をチューブ内に充填して自転車用ソリッドタイヤを製造するものである。しかし、この技術には、高圧発泡機という二液混合機を併せた特殊な注入機が必要であり、自転車小売修理店等をも含む幅広い作業現場にて簡便に施工できない。また、この樹脂を用いたタイヤは、クッション性、乗り心地性が悪いだけでなく、耐久性にも劣り、一年ほどでタイヤに「へたり」を生じてしまう不都合がある。すなわち、自転車に乗るとタイヤが圧縮変形されるために、樹脂が徐々に劣化して原形状態に復元されにくくなり、時間の経過により弾性が低下する。このため、振動が大きくなったり、自転車をこぐのが重くなるという不都合が生じる。このように、長期間にわたって良好な乗り心地性を維持できないという問題があった。
また、特許文献2においては、「タイヤチューブに注入可能なタイヤパンクレス化軟質樹脂材料」が開示されており、樹脂材料は、ポリスチレン系又はポリオレフィン系熱可塑性エラストマーにパラフィンオイルを5%以上混合したものである。しかし、この樹脂材料には粘着性がないために、タイヤチューブと樹脂材料の密着性が低い。このため、樹脂材料の充填硬化(ゲル化)後において、樹脂の注入充填量が不十分の場合、又は注入の際に空気を巻き込んだ場合には、後述のように、タイヤ走行に伴い、樹脂内の気泡が拡大して大きな空気溜まりとしてタイヤチューブと樹脂の界面に存在するようになる。つまり、タイヤチューブと樹脂が離れて樹脂の不均一な箇所がタイヤ内に生じる形となり、回転時にはタイヤが圧縮変形されて過度な衝撃や振動を生み、時間経過に伴って乗り心地性を低下させてしまうという問題があった。
特開平08-142603号公報 特開2005-126654号公報
本発明は、溶融時にはバルブから注入可能な流動性を、ゲル硬化後にはタイヤチューブとの密着性を有するタイヤチューブ充填用弾性樹脂組成物(以下、単に「弾性樹脂組成物」と略す)を提供し、パンク発生がなく、良好な乗り心地性を長期間維持できるタイヤを容易にかつ短時間で製造することを課題としている。
上記の課題を解決するための請求項1の発明は、タイヤの空気注入用バルブを介してタイヤチューブ内に注入充填されるタイヤチューブ充填用弾性樹脂組成物であって、スチレン系熱可塑性エラストマーを10〜20重量%、粘着付与剤を5〜15重量%、プロセスオイルを65〜85重量%の割合で含み、溶融温度160℃において溶融粘度が10cP〜300Pであることを特徴としている。
請求項1の発明の溶液状のタイヤチューブ充填用弾性樹脂組成物は、ポンプ等の圧力注入手段によりバルブからタイヤチューブ内に注入されて該タイヤチューブ内を充填する。このとき、弾性樹脂組成物の溶融粘度が10cP〜300Pであるような材料の混合割合であると、弾性樹脂組成物は口径の小さなバルブ内からでも容易に流入し、チューブ内に注入できるような流動性(粘性)を持つ。したがって、タイヤチューブ内への弾性樹脂組成物の注入及び充填が容易に支障なく行える。
また、粘着付与剤の作用によって、充填後ゲル化した弾性樹脂組成物はタイヤチューブの内周面と所定の垂直剥し力に相当する粘着力を持ち、密着する。このため、ゲル化したドーナッツ状の弾性樹脂組成物とタイヤチューブとの一体感が増すことにより、乗り心地性が高められる。また、弾性樹脂組成物注入時の空気の混入、或いは注入樹脂の不足が原因で空所が生じた場合においても、ゲル化した弾性樹脂組成物がタイヤチューブから剥がれることはない。このため、タイヤ走行時でもタイヤチューブの内周面とゲル化した樹脂との界面に空気が溜まりにくく、あるいは溜まったとしても空気が集まって大きな空気溜まりになることはないので、長期間に亘って良好な乗り心地性が維持される。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、ゲル化した弾性樹脂組成物の常温での垂直剥し力が、0.1〜0.5N/cm2であることを特徴としている。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の作用効果に加えて、ゲル化した弾性樹脂組成物の常温での垂直剥し力が0.1〜0.5N/cm2であるような粘着付与剤の配合割合であると、ゲル化した弾性樹脂組成物の弾性(衝撃吸収性)力と、タイヤチューブに対する必要な粘着(密着)力との双方を保持し得るために、タイヤとして良好な乗り心地性を確保できる。
本発明によれば、熱可塑性エラストマーとプロセスオイルに粘着付与剤を添加することによって、溶融時には、バルブを介したタイヤチューブへの注入充填が可能な流動性を有し、しかも冷却ゲル化(硬化)後には、弾性力に加えてチューブへの粘着力をも有する弾性樹脂組成物が得られる。したがって、本発明による弾性樹脂組成物をタイヤチューブ用充填剤として用いることによって、優れた衝撃吸収性に加え、タイヤチューブ内に多少の空気を巻き込んだ場合でもでも、乗り心地性を大きく低下させないタイヤを容易にかつ短時間に製造することができる。
本発明は、熱可塑性エラストマーとプロセスオイルに粘着付与剤を加えたタイヤチューブ充填用弾性樹脂組成物である。以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
最初に、本発明の原料について説明する。本発明の熱可塑性エラストマーは、スチレン系熱可塑性エラストマーであり、これはポリスチレンブロックとポリオレフィン構造のエラストマーブロックで構成されたブロック共重合体である。本発明の実施形態におけるスチレン系熱可塑性エラストマーの具体例としては、ポリスチレン―ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック(SEP)及びポリスチレン―ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック―ポリスチレン(SEEPS)が挙げられる。なお、上述したスチレン系熱可塑性エラストマー以外でも、SBS(スチレン―ブタジエン―スチレン共重合体)、SEBS(スチレン―エチレン―ブタジエン―スチレン共重合体)、SEBC(スチレン―エチレン―ブタジエン―高結晶エチレン共重合体)、SEPS(スチレン―エチレン―プロピレン―スチレン共重合体)等でも同様に用いることができる。
本発明のプロセスオイルは、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル等の鉱油類よりなる。これを熱可塑性エラストマーの可塑剤又は軟化剤として用いる。ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、若しくはそれらの混合物のいずれのオイルを用いても、プロセスオイルとしての効果は同様であるが、本発明における実施例ではナフテン系オイルを用いる。
本発明の粘着付与剤は、ゲル化した弾性樹脂組成物に粘着力を与えるために添加される樹脂である。例えば、テルペン樹脂、α―ピネン樹脂、β―ピネン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、ロジンエステル樹脂、水素化ロジン系樹脂、脂肪族飽和炭化水素樹脂が挙げられる。上記いずれの樹脂でも効果は同等に期待できるが、本発明の実施例では、芳香族変性テルペン樹脂及び水添テルペン樹脂を用いる。
各原料の混合比率は、溶融状態での弾性樹脂組成物の粘性(流動性)、ゲル化した弾性樹脂組成物の弾性(衝撃吸収性)、ゲル化直後の原形を長期間維持できる形状保持性が最適な条件になるよう調整される。ここで、本発明と同様な手法で、原料である熱可塑性エラストマーの混合比率を10重量%未満、或いは、プロセスオイルの混合比率を85重量%超にして弾性樹脂組成物を作成すると、熱可塑性エラストマーのプロセスオイルに対する濃度が小さくなり、ゲル化して出来上がった弾性樹脂組成物は非常に軟らかい。その乗り心地性はあたかも空気の抜けたタイヤに乗っているかのようであり、地面からの適度な反発(弾性)力が得られず、地面にタイヤが吸い付くような走りとなって軽快に乗りこなせない。一方、熱可塑性エラストマーの混合比率を20重量%超、或いはプロセスオイルの混合比率を65重量%未満にして弾性樹脂組成物を作成すると、熱可塑性エラストマーのプロセスオイルに対する濃度が大きくなり、ゲル化して出来上がった弾性樹脂組成物は非常に硬く、地面からの反発(弾性)力が大きすぎて地面の小さな凹凸でも大きな衝撃や振動となって身体に響くので、乗り心地性が悪い。また、160℃での溶融粘度が300Pを超えてしまい、口径の小さいバルブからの注入が困難になる(160℃での溶融粘度についての詳細は後述する)。以上の理由から、本発明である混合比率、すなわち熱可塑性エラストマーを10〜20重量%、プロセスオイルを65〜85重量%で混合するのが最適である。
次に、前記弾性樹脂組成物のタイヤチューブへの注入方法について図1を用いて説明する。図1は、ポンプ1を備えた樹脂注入装置を用いて、既存の自転車Bの後輪WRに溶液状の弾性樹脂組成物RS(以下、「溶液状樹脂RS」と略す)を注入している状態の全体概略図である。この樹脂注入装置を用いて、既存の自転車Bの前輪WF及び後輪WRを形成するタイヤに内接するタイヤチューブ(図示せず)の内部にバルブVを介して、ポンプ1の圧力により溶液状樹脂RSを注入充填した後に、これを自然冷却しながらゲル化してソリッド状のタイヤを製造する。まず、原料である熱可塑性エラストマー、プロセスオイル、粘着付与剤をヒーター7で加熱し、溶解させて得られる溶液状樹脂RSは、気密性を保持した状態で溶液状樹脂収容器2内に収容されている。溶液状樹脂収容器2の側壁底部に樹脂注入管3が挿入され、溶液状樹脂収容器2の出口付近の樹脂注入管3にポンプ1が組み込まれている。このポンプ1により溶液状樹脂収容器2内の溶液状樹脂RSを吸引し、タイヤチューブに向けて吐出させると、溶液状樹脂RSは樹脂注入管3、連結管4、バルブVを経て後輪WRのタイヤチューブに流入する。注入充填後、自然冷却してゲル化させる。なお、図1の5は樹脂注入管3に組み込まれたバルブを指し、注入充填直後の溶液状樹脂RSの逆流を防ぐ。また、タイヤチューブ内に元来あった空気を外部に逃がすために、溶液状樹脂RSの注入前には予め中空状の針6で後輪WR上部におけるタイヤとタイヤチューブを小さく貫通させておく。
上記注入方法により、高温の溶液状樹脂RSが口径の小さいバルブVを介してタイヤチューブ内に注入されるため、注入時の溶液状樹脂RSに求められる条件として、次に示す二点を考慮しなければならない。一点目は、溶液状樹脂RSを注入する際の温度は、合成ゴム等の高分子化合物よりなるタイヤ、タイヤチューブ及びこの接合に使用されている接着剤を熱劣化させない程度である点、二点目は、その状態での溶液状樹脂RSの粘度(粘性率)は、小さな口径(約1〜3mm)のバルブを滞りなく通り、チューブ内に圧入される程度でなければならない点である。
ここで、タイヤ、タイヤチューブ、接着剤の熱劣化による悪影響を防止するためには、溶液状樹脂RSを注入する際の温度は、200℃程度が上限とみなされている。
また、粘度については、その値が100P以下であれば、最小口径が約1mmのバルブでも容易に流動でき、溶液状樹脂RSのチューブ内への圧入作業の能率は上がる。また、溶液状樹脂RSにおいて、その粘度が10cP以下となるような溶液状態はほとんどないと推定され、一方、300Pを超えると、流動性が低下してバルブからの注入が困難になる。
本発明では、前記弾性樹脂組成物の160℃における溶融粘度が10cPから300Pを呈する。つまり、上記二条件を共に満たすため、上記樹脂注入装置を用いて、溶液状樹脂収容器2内で原料を加熱してできた溶液状樹脂RSを160℃で保温し、バルブVを介してタイヤチューブ内に圧入、充填すればよく、この作業は容易かつ短時間に実施できる。
次に、冷却ゲル化後の弾性樹脂組成物RS'のタイヤチューブ内周面に対する粘着力と乗り心地性の関係について、図2及び3を用いて説明する。図2は、ゲル化後に粘着力を有さない、溶液状の弾性樹脂組成物RSの充填時にタイヤチューブ12内に混入された気泡13の変化を示すタイヤの周方向に沿った部分断面図である。まず、溶液状の弾性樹脂組成物RSのタイヤチューブ12への充填が不十分であったり、溶液状の弾性樹脂組成物RS注入時に空気が混入した場合には、冷却ゲル化後の弾性樹脂組成物RS'内に空間(気泡13)ができる[図2(イ)]。このタイヤで走行すると、地面からの圧力を受けて、次第にチューブ12内周面と気泡13の間に亀裂16が生じてくる[図2(ロ)]。亀裂16が生じると、弾性樹脂組成物RS'は、その凝集力によりタイヤチューブ12内周面を濡らすものの、粘着力に欠けるため、生じた亀裂16は徐々に拡大し、気泡13はチューブ12内周面と弾性樹脂組成物RS'の界面にできる[図2(ハ)]。チューブ12内周面と弾性樹脂組成物RS'の界面にできた気泡13は、タイヤの走行を続ける過程で周囲の気泡13を集めて大きくなり、大きな空気溜まり17としてチューブ12内周面と弾性樹脂組成物RS'の界面に存在するようになる[図2(ニ)]。大きな空気溜まり17が生じてくると、タイヤの走行(回転)時において、弾性樹脂組成物RS'内に分散していた小さな気泡13に比べ、大きな空気溜まり17は大きく圧縮変形される。このため、走行中タイヤの回転ごとに「ゴツンゴツン」とした衝撃と振動を受けるようになり、乗り心地性が悪化する。なお、空気溜まり17は、その表面積を小さくして弾性樹脂組成物RS'との界面エネルギーを減らす方向にあると考えられるので、大きな空気溜まり17から複数の小さな気泡13へと逆の変化を辿るとは考えにくい。また、タイヤチューブ12内周面と空気溜まり17の界面エネルギーは無視できると考えられ、空気溜まり17がタイヤチューブ12内周面と接することで、空気溜まり17と弾性樹脂組成物RS’との界面エネルギーを減らす方向に変化が進むことから、タイヤチューブ12内周面と弾性樹脂組成物RS'との界面にある大きな空気溜まり17が、弾性樹脂組成物RS'中に戻るという変化も起こりにくい。なお、図2の11、15は、それぞれ車輪のタイヤ外皮及びリムを示す。
図3は、ゲル化後に粘着力を有する、溶液状の弾性樹脂組成物RSの充填時にタイヤチューブ12内に混入された気泡13の変化を示すタイヤの周方向に沿った部分断面図である。前記同様、溶液状の弾性樹脂組成物RSのタイヤチューブへの充填が不十分であったり、溶液状の弾性樹脂組成物RS注入時に空気が混入した場合、冷却ゲル化後の弾性樹脂組成物RS'内に空間(気泡13)ができる[図3(イ)]。このタイヤで走行すると、弾性樹脂組成物RS'に粘着力があるため、弾性樹脂組成物RS'がタイヤチューブ12内周面に密着し、地面からの圧力を受けても両者の間に亀裂16は生じにくい[図3(ロ)]。また、亀裂16が生じた場合でも、タイヤチューブ12と弾性樹脂組成物RS'の密着性が高いので、亀裂16が拡大することはなく、タイヤチューブ12と弾性樹脂組成物RS'の界面に気泡13が溜まることは少ない[図3(ロ')]。さらに、たとえ気泡13が界面に溜まってしまったとしても、エネルギー的な安定化のために溜まった気泡13同士がまとまろうとする力よりも、弾性樹脂組成物RS'のタイヤチューブ12内周面に対する粘着力が上回ることで、大きな空気溜まりにまで成長することはなく、小さな気泡13としてタイヤチューブ12内周面と弾性樹脂組成物RS'の界面に留まる。したがって、走行時間が経過しても、タイヤチューブ12内には、小さな気泡13は点在するものの、空気溜まりのように大きく圧縮変形を受けるような弾性樹脂組成物RS'の不均一な箇所を生じることはないので、タイヤ走行時の衝撃や振動の影響は小さく、長期間にわたって良好な乗り心地性が維持される。
本発明において、タイヤチューブと弾性樹脂組成物の密着性を上げるために、ゲル化した弾性樹脂組成物に粘着力を与えることとし、弾性樹脂組成物の原料である熱可塑性エラストマーとプロセスオイルに加えて、粘着付与剤である樹脂を配合した。粘着付与剤は、一般に低濃度で高い粘着力や凝集力が得られるので、タイヤの良好な乗り心地性を保持するのに十分な粘着力を呈するように粘着付与剤の配合量を調整する。
本発明において、ゲル化した弾性樹脂組成物の粘着力の指標として、垂直剥し力を採用する。垂直剥し力の評価方法については後述するが、水平面に対して垂直に立つ樹脂接着壁にゲル化した弾性樹脂組成物を軽く押し付け、これを水平方向に引っ張り、樹脂接着壁から剥離させる。剥離したときの引張り力を測定し、これを単位面積当たりに換算することで、樹脂接着壁に対する弾性樹脂組成物の接着力が評価でき、弾性樹脂組成物のタイヤチューブに対する粘着力の指標となる。
ゲル化した弾性樹脂組成物の垂直剥し力が0.1N/cm2未満の場合には、弾性樹脂組成物の樹脂接着壁に対する接着力が小さい。つまり、タイヤチューブ内周面と弾性樹脂組成物の密着性は低く、良好な乗り心地性を維持するのに十分な効果が期待できない。また、垂直剥し力が0.5N/cm2を超えてしまう場合、粘着付与剤の配合量が熱可塑性エラストマーに対して多すぎるため、ゲル化した弾性樹脂組成物は硬く、弾力性が失われて乗り心地性が悪くなる。
本発明では、粘着付与剤を5〜15重量%配合することで、弾性樹脂組成物の冷却ゲル化後の垂直剥し力が0.1〜0.5N/cm2を呈し、タイヤチューブと弾性樹脂組成物の密着性を確保できる。したがって、ゲル化した弾性樹脂組成物は、それ自体の持つ弾性(衝撃吸収性)に加え、チューブとの密着性をも有することとなり、これを充填したタイヤは、タイヤとして良好な乗り心地性を得ることができる。
弾性樹脂組成物において、粘着付与剤を配合した場合と配合していない場合とで評価を行った。実施例及び比較例として、各評価結果を図4に示す。
〔実施例1〕
熱可塑性エラストマーとして、株式会社クラレの商品名「セプトン1000シリーズ」無含油品のポリスチレン―ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック(SEP)14重量%、プロセスオイルとして、日本サン石油株式会社の商品名「サンプリーム150」のナフテンオイル76重量%、粘着付与剤として、ヤスハラケミカル株式会社の商品名「クリアロンP125」の水添テルペン樹脂10重量%を原料に用いて、200℃で溶融混合して弾性樹脂組成物を作成した。この弾性樹脂組成物は160℃で約100Pの粘度を有し、冷却ゲル化後の垂直剥し力は約0.3N/cm2であった。また、この弾性樹脂組成物を上記樹脂注入装置を用いて160℃で注入したタイヤを備えた自転車は、半年後も異常無く快適に乗ることが出来た。
〔実施例2〕
熱可塑性エラストマーとして、株式会社クラレの商品名「セプトン4000シリーズ」無含油品のポリスチレン―ポリ(エチレン―エチレン/プロピレン)ブロック―ポリスチレン(SEEPS)12重量%、プロセスオイルとして、日本サン石油株式会社の商品名「サンプリーム150」のナフテンオイル80重量%、粘着付与剤として、ヤスハラケミカル株式会社の商品名「YSレジンTO125」の芳香族変性テルペン樹脂8重量%を原料に用いて、200℃で溶融混合して弾性樹脂組成物を作成した。この弾性樹脂組成物は160℃で約100Pの粘度を有し、冷却ゲル化後の垂直剥し力は約0.2N/cm2であった。また、この弾性樹脂組成物を上記樹脂注入装置を用いて160℃で注入したタイヤを備えた自転車は、半年後も異常無く快適に乗ることが出来た。
〔比較例1〕
熱可塑性エラストマーとして、株式会社クラレの商品名「セプトン1000シリーズ」無含油品のポリスチレン―ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック(SEP)14重量%、プロセスオイルとして、出光興産株式会社の商品名「ダイアナプロセスオイルPW−32」のパラフィンオイル86重量%を原料に用いて、200℃で溶融混合して樹脂を作成した。この樹脂は、180℃にて約300Pの粘度を有し、冷却ゲル化後の垂直剥し力はほぼ0であった。また、この樹脂を上記樹脂注入装置を用いて、180℃で注入したタイヤを備えた自転車は、半年後には後輪の一部に柔らかい箇所が出来てしまい、乗り心地性の低下が認められたものがあった。
〔比較例2〕
熱可塑性エラストマーとして、株式会社クラレの商品名「セプトン4000シリーズ」無含油品のポリスチレン―ポリ(エチレン―エチレン/プロピレン)ブロック―ポリスチレン(SEEPS)13重量%、プロセスオイルとして、出光興産株式会社の商品名「ダイアナプロセスオイルPW−32」のパラフィンオイル87重量%を原料に用いて、200℃で溶融混合して樹脂を作成した。この樹脂は、160℃にて約20Pの粘度を有し、冷却ゲル化後の垂直剥し力はほぼ0であった。また、この樹脂を上記樹脂注入装置を用いて、160℃で注入したタイヤを備えた自転車は、半年後には後輪の一部に柔らかい箇所が出来てしまい、乗り心地性の低下が認められたものがあった。
垂直剥し力の評価方法について図5を用いて説明する。まず、デジタルプッシュプルゲージ23はゲージ本体23aとスプリング部23bよりなる。デジタルプッシュプルゲージ23は、引張り試験用スライドレール25上でレールに沿って水平方向に滑らかに動く。ゲージ本体23aにはスプリング部23bの一端が取り付けられ、スプリング部23bの荷重による伸縮度合いを力として測定する。スプリング部23bの他端には垂直剥し力評価試験用治具24(以下、「治具24」と略す)を取付ける。適当な大きさのゲル化した弾性樹脂組成物22をテストピースとし、これを治具24の先端に固定する。次に、治具24に固定された弾性樹脂組成物から成る試験片22を、水平面に対して垂直な樹脂接着壁21に適度な力で押し付け、軽く接着させる。デジタルプッシュプルゲージ23を水平に力Fで引っ張り、前記試験片22を樹脂接着壁21から剥離させる。剥離した際の引張り力はゲージ本体23aで測定され、その値を単位面積(1cm2)当たりに換算する。この換算値を垂直剥し力とする。
ポンプ1を備えた樹脂注入装置を用いて、既存の自転車Bの後輪WRに溶液状の弾性樹脂組成物RSを注入している状態の全体概略図である。 ゲル化後に粘着力を持たない溶液状の弾性樹脂組成物RSの充填時にタイヤチューブ12内に混入された気泡13の変化を示すタイヤの周方向に沿った部分断面図である。 ゲル化後に粘着力を持つ溶液状の弾性樹脂組成物RSの充填時にタイヤチューブ12内に混入された気泡13の変化を示すタイヤの周方向に沿った部分断面図である。 実施例と比較例の評価結果を示した表である。 垂直剥し力評価試験の概略図である。
符号の説明
F:引張り力
RS:溶液状樹脂(溶液状の弾性樹脂組成物)
RS’:ゲル化後の弾性樹脂組成物
V:バルブ
1:ポンプ
2:溶液状樹脂収容器
3:樹脂注入管
12:タイヤチューブ
13:気泡
16:亀裂
17:空気溜まり
21:樹脂接着壁
22:弾性樹脂組成物かち成る試験片
23:デジタルプッシュプルゲージ
23a:ゲージ本体
23b:スプリング部


Claims (2)

  1. タイヤの空気注入用バルブを介してタイヤチューブ内に注入充填されるタイヤチューブ充填用弾性樹脂組成物であって、
    スチレン系熱可塑性エラストマーを10〜20重量%、粘着付与剤を5〜15重量%、プロセスオイルを65〜85重量%の割合で含み、溶融温度160℃において溶融粘度が10cP〜300Pであることを特徴とするタイヤチューブ充填用弾性樹脂組成物。
  2. ゲル化した樹脂組成物の常温での垂直剥し力が、0.1〜0.5N/cm2であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤチューブ充填用弾性樹脂組成物。

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