JP2007145056A - 自動車のルーフ部構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】自動車のルーフ部で発生する低周波数から高周波数までの広範囲に亘る様々な周波数の音を効率よく合理的に吸音・低減することが可能な自動車のルーフ部構造の提供を課題とする。
【解決手段】ルーフパネル11の下方に繊維質の吸音材21,22を配設した自動車のルーフ部2構造において、ルーフ部2中央部に吸音材の繊維方向がルーフ面に沿った方向に対して交差した方向である第1吸音材21を配設し、ルーフ部2周縁部に吸音材の繊維方向がルーフ面に略沿った方向である第2吸音材22を配設し、これらの第1、第2吸音材21,22の下方に該吸音材21,22と車室とを仕切る隔壁層31,32を設けて、該隔壁層31,32のうち第2吸音材22の下方の隔壁層32の通気性を第1吸音材21の下方の隔壁層31の通気性よりも高くする。
【選択図】図2

Description

本発明は自動車のルーフ部構造に関し、走行中の自動車の車室内の騒音をルーフ部に内装した吸音材で低減する技術分野に属する。
一般に、自動車の走行中は、エンジン音、こもり音、ギヤノイズ、ロードノイズ、風切音等に起因する様々な騒音が車室内に伝達される。この車室内の騒音をできるだけ低減して、車室の静粛性を高め、乗員の居住性を向上することは、自動車の商品性を改良する観点から極めて重要な課題である。例えば、特許文献1には、ルーフパネルに、フェルトやポリエチレンテレフタレート等でなる繊維質の吸音材と、空気の音圧を反射する反射板とを備えた構成の自動車のルーフ構造が開示されている。これによれば、反射板により空気の音圧の減衰が防がれ、その結果、吸音材を通過する空気の粒子速度を高速に維持することができて、車室内の騒音をルーフ部の吸音材で効率よく低減することが可能となる。
特開2005−247267号公報
ところで、走行中における車室内の騒音といっても、100Hzほどの低周波数の音から、1000Hzを越える高周波数の音まで、広範囲に亘る様々な周波数の音が混在しているのが現状である。例えば、本発明の発明者等は、図1に示すように、自動車1の走行中は、ルーフ部2の中央部では、例えばルーフパネルやトップシーリング材の振動等に起因して、相対的に低い周波数の音が多く発生する一方、ルーフ部2の周縁部では、例えばドアやコーナー部の風切音等に起因して、相対的に高い周波数の音が多く発生する傾向にあることを見い出した。そして、このように、広範囲に亘る様々な周波数の騒音を効率よくかつ合理的に吸音・低減する技術の提案は今のところ見当たらないのである。
そこで、本発明は、自動車のルーフ部で発生する低周波数から高周波数までの広範囲に亘る様々な周波数の音を効率よく合理的に吸音・低減することが可能な自動車のルーフ部構造の提供を課題とする。
前記課題を解決するため、本願の請求項1に記載の発明は、ルーフパネルの下方に繊維質の吸音材が配設された自動車のルーフ部構造であって、ルーフ部中央部に吸音材の繊維方向がルーフ面に沿った方向に対して交差した方向である第1吸音材が配設され、ルーフ部周縁部に吸音材の繊維方向がルーフ面に略沿った方向である第2吸音材が配設され、これらの第1、第2吸音材の下方に該吸音材と車室とを仕切る隔壁層が設けられて、該隔壁層のうち第2吸音材の下方部分の通気性が第1吸音材の下方部分の通気性よりも高くされていることを特徴とする。
次に、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の自動車のルーフ部構造において、前記隔壁層のうち第1吸音材の下方部分の剛性が第2吸音材の下方部分の剛性よりも低くされていることを特徴とする。
次に、請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は2に記載の自動車のルーフ部構造において、前記第1吸音材は、面状の吸音材がルーフ面に略沿った方向に折り重ねられ、ルーフパネルと隔壁層との間に収容されたものであることを特徴とする。
そして、請求項4に記載の発明は、前記請求項1から3のいずれかに記載の自動車のルーフ部構造において、前記隔壁層のうち第1吸音材の下方部分は、第2吸音材の下方部分の通気性よりも低い通気性のシート部材を含み、該シート部材がルーフ部周縁部まで延設され、第2吸音材の上方に敷設されていることを特徴とする。
まず、請求項1に記載の自動車のルーフ部構造によれば、後述する本発明の最良の実施形態において明らかになるように、相対的に低い周波数の音が多く発生するルーフ部中央部では、吸音材の繊維方向がルーフ面に沿った方向に対して交差した方向である第1吸音材を配設し、かつ、この第1吸音材の下方に存在する隔壁層の通気性を相対的に低くする(通気性の無い場合を含む)一方で、相対的に高い周波数の音が多く発生するルーフ部周縁部では、吸音材の繊維方向がルーフ面に略沿った方向である第2吸音材を配設し、かつ、この第2吸音材の下方に存在する隔壁層の通気性を第1吸音材の下方に存在する隔壁層の通気性よりも高くすることによって、自動車のルーフ部で発生する低周波数から高周波数までの広範囲に亘る様々な周波数の音を簡単な構成によって極めて効率よくかつ合理的に吸音・低減することが可能となる。
次に、請求項2に記載の自動車のルーフ部構造によれば、第1吸音材の下方に存在する隔壁層の剛性を第2吸音材の下方に存在する隔壁層の剛性よりも低くすることによって、車室側から第1吸音材の下方の隔壁層に音が衝突したときに、該隔壁層の振動が促進され、該隔壁層の上方空間内での水平方向の粒子速度がさらに速くなって、なお一層、第1吸音材による吸音効果が向上することとなる。
次に、請求項3に記載の自動車のルーフ部構造によれば、面状の吸音材をルーフ面に略沿った方向に折り重ね、ルーフパネルと隔壁層との間に収容することによって、繊維方向がルーフ面に沿った方向に対して交差した方向である第1吸音材を、極めて簡便に作製することができ、第1吸音材の施工性・成形性が向上することとなる。
そして、請求項4に記載の自動車のルーフ部構造によれば、第1吸音材の下方に存在する隔壁層を、第2吸音材の下方に存在する隔壁層の通気性よりも低い通気性のシート部材を含む構成とし、該シート部材をルーフ部中央部からルーフ部周縁部まで延設して、ルーフ部周縁部では第2吸音材の上方に敷設することにより、第2吸音材の下方の隔壁層の通気性を第1吸音材の下方の隔壁層の通気性よりも極めて簡便に高くすることができ、隔壁層の施工性が向上することとなる。加えて、前記シート部材が隔壁層の上方を一面に覆うことになって、例えば、ルーフ部の最上部分に存在するルーフパネルの内面から、チリやホコリが、通気性を有する隔壁層をすり抜けて車室内に落下してくるのを防ぐことができ、ルーフ部の防塵性が維持されることとなる。以下、発明の最良の実施形態を通して本発明をさらに詳しく説明する。
図1は、本実施形態に係る自動車1の平面図である。前述したように、自動車1の走行中は、そのルーフ部2において、中央部では、相対的に低い周波数の音が多く発生する傾向にあり、周縁部では、相対的に高い周波数の音が多く発生する傾向にある。そこで、本実施形態では、図2に示すように、自動車1の車幅方向において、ルーフ部2の中央部を低周波数音吸音部とし、繊維質の吸音材の繊維層の方向がルーフ面に沿った方向に対して交差した方向、つまり図例では略上下方向(Z軸方向)である第1吸音材21を配設する一方、ルーフ部2の左右側縁部(周縁部の一部)を高周波数音吸音部として、繊維質の吸音材の繊維層の方向がルーフ面に略沿った方向、つまり図例では略水平方向(XY面方向)である第2吸音材22を配設している。また、これと同様に、図3に示すように、自動車1の前後方向において、ルーフ部2の中央部を低周波数音吸音部とし、繊維質の吸音材の繊維層の方向がルーフ面に沿った方向に対して交差した方向、つまり図例では略上下方向(Z軸方向)である第1吸音材21を配設する一方(図は第1吸音材21の1つの繊維層を正対視している)、ルーフ部2の前後側縁部(周縁部の一部)を高周波数音吸音部として、繊維質の吸音材の繊維層の方向がルーフ面に略沿った方向、つまり図例では略水平方向(XY面方向)である第2吸音材22を配設している。
ここで、第1、第2吸音材21,22としては、例えば、フェルト等の天然繊維や、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成繊維等からなる、吸音機能を有する、従来一般に使用される、繊維質の吸音材が広く用いられ得る。
その場合に、図2、図3において、第1、第2吸音材21,22は、ルーフパネル11の下方に配設されている。また、第1、第2吸音材21,22の下方には、水平方向に広がる発泡ウレタン14の層と不織布13の層とが設けられている。さらに、第1吸音材21と発泡ウレタン14の層との間には、1枚の樹脂シート15が介設されており、この樹脂シート15は、ルーフ部2の左右側縁部及び前後側縁部まで延びて上方に曲折し、第2吸音材22とルーフパネル11との間に介設されている。この結果、第1吸音材21の下方においては、上から順に、樹脂シート15、発泡ウレタン14層及び不織布13層が積み重ねられた積層体が、第1吸音材21と車室とを仕切る隔壁層31を構成し、第2吸音材22の下方においては、上から順に、発泡ウレタン14層及び不織布13層が積み重ねられた積層体が、第2吸音材21と車室とを仕切る隔壁層32を構成している。
その場合に、不織布13及び発泡ウレタン14は通気性に富むものであるが、樹脂シート15は、例えば塩化ビニルやポリエチレン等でなり、通気性に欠ける(あるいは通気性が無い)ものである。したがって、この樹脂シート15を含む、第1吸音材21の下方の隔壁層は、全体として、非通気性層31であり、この樹脂シート15を含まない、第2吸音材22の下方の隔壁層は、全体として、通気性層32である。なお、図3には、ルーフ部2の補強のために車幅方向に延設された複数のルーフレイン12…12が示されている。次に、図2、図3のような自動車1のルーフ部2の構造を採用した理由を図面を参照しながら説明する。
図4は、音の周波数と、音の低減効果代との関係を表すグラフである。ここで、タイプ1は、図5(a)に示すように、吸音材の繊維層の方向が音の進行方向に対して垂直となるように吸音材を配置した場合であり、タイプ2は、図5(b)に示すように、吸音材の繊維層の方向が音の進行方向に対して平行となるように吸音材を配置した場合である。その結果、図4に示したように、周波数の如何に拘らず、タイプ1がタイプ2よりも吸音効果の高いことが分かった。これは、およそ次のような理由によると考えられる。一般に、音の波のうち腹の部分はエネルギーが高いから、音の波の腹の部分が吸音材に衝突すると吸音率が向上することが知られている。そして、この観点より、タイプ1では、音の波の全部分が吸音材にぶつかるので、音の波の腹の部分が必ず吸音材に衝突するのに対し、タイプ2では、音の波の一部分が吸音材の繊維層の間をすり抜けるため、音の波の腹の部分が吸音材に衝突しないことがあると推察される。この知見により、吸音効果を高めるには、吸音材の繊維層の方向が音の進行方向に対して交差するように吸音材を配置するのがよいことが分かった。
図6は、トップシーリング材41とルーフパネル11との間の空間に吸音材を配設した場合における、トップシーリング材41の種類と、音の低減効果代及び空気の粒子速度との関係を調べるための自動車1のレイアウト図である。自動車1は3列シートのミニバンを使用した。各列のシートのシートバックの上部に集音マイクを取り付けて音量観測点とした(四角記号)。また、車室の天井を構成するトップシーリング材41の上方に各列のシートに対応させてセンサを配置して粒子速度観測点とした(黒丸記号)。その結果、図7に示すように、通気性の無いトップシーリング材41を用いたときは、通気性の有るトップシーリング材41を用いたときよりも、音の低減効果及び粒子速度ともに大きいことが分かった。ここで、音低減効果代は、3つの音量観測点の合計値であり、また粒子速度は、3つの粒子速度観測点における水平方向の粒子速度と上下方向の粒子速度との和の合計値である。
図7の実験結果は、およそ次のような理由によると考えられる。まず、トップシーリング材41が非通気性であると、車室内の音波がトップシーリング材41に衝突したときには、空気の粒子がトップシーリング材41を通過せずにトップシーリング材41を振動させる。そして、このトップシーリング材41の振動により、トップシーリング材41の上方空間、つまりトップシーリング材41とルーフパネル11との間の空間にある空気の粒子速度が増大するものと推察される。また、一般に、空気の粒子速度が高いほど吸音材による吸音効果が向上することが知られている。したがって、トップシーリング材41が通気性を有していないときは、トップシーリング材41が通気性を有しているときよりも、トップシーリング材41とルーフパネル11との間に配設した吸音材にぶつかる粒子速度が増大し、吸音効果が高まるものと考えられる。
さらに、本発明の発明者等は、トップシーリング材41の種類と、トップシーリング材41の上方空間内の空気の粒子速度との関係をより詳しく検討した。結果を図8〜図11に示す。図8から明らかなように、非通気性のトップシーリング材41が有るとき、換言すれば、車室内の空気の粒子がトップシーリング材41を通過せず振動させる状態のときは、トップシーリング材41が無いとき、換言すれば、トップシーリング材41が振動する状態に無いときに比べて、特に符号アで示したように周波数が相対的に低い領域において、水平方向の粒子速度が増大することが分かった。また、図9から明らかなように、トップシーリング材41が非通気性のときは、トップシーリング材41が通気性のときよりも、特に符号イで示したようにやはり周波数が相対的に低い領域において、同様に水平方向の粒子速度が増大することが分かった。これらの知見から、相対的に低周波数の音をトップシーリング材41の上方で吸音材を用いて効率よく吸音するには、非通気性のトップシーリング材(通気性の無いトップシーリング材や通気性の相対的に低いトップシーリング材を含む)41を備えるとよいことが分かった。そして、この場合、水平方向の粒子速度が増大するのであるから、前述の図4、図5の知見に基き、吸音材の繊維層の方向が水平方向に対して交差するように、すなわち、吸音材の繊維層の方向が略上下方向に沿うように吸音材を配置すればよいことになる。
これとは逆に、図10から明らかなように、トップシーリング材41が無いときは、非通気性のトップシーリング材41が有るときに比べて、特に符号ウで示したように周波数が相対的に高い領域において、上下方向の粒子速度が増大することが分かった。また、図11から明らかなように、トップシーリング材41が通気性のときは、トップシーリング材41が非通気性のときよりも、特に符号エで示したようにやはり周波数が相対的に高い領域において、同様に上下方向の粒子速度が増大することが分かった。これらの知見から、相対的に高周波数の音をトップシーリング材41の上方で吸音材を用いて効率よく吸音するには、通気性のトップシーリング材(通気性の相対的に高いトップシーリング材を含む)41を備えるとよいことが分かった。そして、この場合、上下方向の粒子速度が増大するのであるから、前述の図4、図5の知見に基き、吸音材の繊維層の方向が上下方向に対して交差するように、すなわち、吸音材の繊維層の方向が略水平方向に沿うように吸音材を配置すればよいことになる。
以上のことから、相対的に低周波数の音が専ら発生する傾向にあるルーフ部2の中央部においては、前記図2、図3に示したように、低周波数の音を効率よく低減することを目的として、隔壁層(樹脂シート15と発泡ウレタン14層と不織布13層とが積み重ねられた積層体)31を非通気性(通気性の無い場合や通気性の相対的に低い場合を含む)とし、かつ、吸音材の繊維層の方向が略上下方向(Z軸方向)に沿う構成の第1吸音材21を配設するようにしたわけである。また、相対的に高周波数の音が専ら発生する傾向にあるルーフ部2の周縁部においては、前記図2、図3に示したように、高周波数の音を効率よく低減することを目的として、隔壁層(発泡ウレタン14層と不織布13層とが積み重ねられた積層体)32を通気性(通気性の相対的に高い場合を含む)とし、かつ、吸音材の繊維層の方向が略水平方向(XY面方向)に沿う構成の第2吸音材22を配設するようにしたわけである(以上、請求項1の構成に相当)。
この結果、図12に拡大して例示するように、波長λが相対的に長く、周波数が相対的に低い音波(i)が、樹脂シート15と発泡ウレタン14層と不織布13層とからなる非通気性層31に車室側から衝突したときには、空気の粒子が該非通気性層31を通過せずに非通気性層31を振動させ、非通気性層31の上方空間内において水平方向の粒子速度が増大する。しかも、その粒子の進行方向である水平方向に対して第1吸音材21の繊維層が略上下方向に広がっているので、音の波の全部分が第1吸音材21にぶつかり、音の波の腹の部分が必ず第1吸音材21に衝突することとなって、結果的に、前記低周波数の音(i)の吸音率が向上する。
また、図13に拡大して例示するように、波長λが相対的に短く、周波数が相対的に高い音波(ii)が、発泡ウレタン14層と不織布13層とからなる通気性層32に車室側から衝突したときには、空気の粒子が該通気性層32を通過して、通気性層32の上方空間内において上下方向の粒子速度が増大する。しかも、その粒子の進行方向である上下方向に対して第2吸音材22の繊維層が略水平方向に広がっているので、音の波(ii)の全部分が第2吸音材22にぶつかり、音の波(ii)の腹の部分が必ず第2吸音材22に衝突することとなって、結果的に、前記高周波数の音(ii)の吸音率が向上する。
このように、本実施形態においては、相対的に低い周波数の音が多く発生する傾向のルーフ部2の中央部では、吸音材の繊維方向がルーフ面に沿った方向に対して交差した方向である第1吸音材21を配設し、かつ、この第1吸音材21の下方に存在する隔壁層31の通気性を相対的に低くする(通気性の無い場合を含む)一方で、相対的に高い周波数の音が多く発生する傾向のルーフ部2の周縁部では、吸音材の繊維方向がルーフ面に略沿った方向である第2吸音材22を配設し、かつ、この第2吸音材22の下方に存在する隔壁層32の通気性を第1吸音材21の下方に存在する隔壁層31の通気性よりも高くすることによって、自動車1のルーフ部2で発生する低周波数から高周波数までの広範囲に亘る様々な周波数の音を簡単な構成によって極めて効率よくかつ合理的に吸音・低減することが可能となる。
ここで、第2吸音材22の厚みと音の周波数との関係を考察する。図14は、音の周波数と、音が吸音材へ垂直入射したときの吸音率との関係を表すグラフである。吸音材として厚みが24mmのものを用いた。その結果、周波数が高くなるほど吸音率が向上することが分かったが、この場合、特に、周波数が1600Hzと2000Hzとの間で最も吸音率の差が大きかったので、ここに着目した。すなわち、図示したように、音速を340m/秒とすると、1600Hzの音の波長λは212mmであり、その8分の1波長λは27mmとなって、これは吸音材の厚み24mmよりも大きい(図13の音波(iv)参照)。一方、2000Hzの音の波長λは170mmであり、その8分の1波長λは21mmとなって、これは吸音材の厚み24mmよりも小さい(図13の音波(iii)参照)。したがって、8分の1波長λが吸音材の厚みよりも小さい音波(iii)は吸音率が良好となり、8分の1波長λが吸音材の厚みよりも大きい音波(iv)は吸音率が低調となると考えられる。このことに留意し、ルーフ部2に発生する音の周波数分布と、使用する第2吸音材22の厚みとに応じて、第1吸音材21の配設範囲及び第2吸音材22の配設範囲をそれぞれ決定することが好ましい。
また、図2、図3に明示したように、本実施形態においては、第1吸音材21の下方の発泡ウレタン14層の厚みを相対的に薄くし、第2吸音材22の下方の発泡ウレタン14層の厚みを相対的に厚くしている。つまり、第1吸音材21の下方の隔壁層(非通気性層31)の剛性を、第2吸音材22の下方の隔壁層(通気性層32)の剛性よりも、低く設定しているのである(以上、請求項2の構成に相当)。これにより、車室側から非通気性層31に音が衝突したときに(図12参照)、該非通気性層31の振動が促進され、該非通気性層31の上方空間内での水平方向の粒子速度がさらに速くなって、なお一層、第1吸音材21の吸音性能の向上が図られることとなる。
また、図12に明示したように、本実施形態においては、第1吸音材21は、1枚の面状の吸音材をジグザグに蛇行させて折り重ね、その折り重ね方向をルーフ面に略沿った方向(図例では略水平方向)として、該吸音材をルーフパネル11と非通気性層31との間の空間内に収容・充填したものである(以上、請求項3の構成に相当)。これにより、繊維層の方向が略上下方向に沿う構成の第1吸音材21を、極めて簡便に作製することができ、第1吸音材21の施工性・成形性の向上が図られる。もちろん、これに限らず、複数枚の面状の吸音材をルーフパネル11と非通気性層31との間の空間内に順次縦に並べて収容・充填するようにしてもよい。
そして、図2、図3に明示したように、本実施形態においては、通気性の無いあるいは通気性の相対的に低い1枚の樹脂シート15を、ルーフ部2の中央部では、第1吸音材21の下面に敷設し、ルーフ部2の周縁部では、第2吸音材22の上面に敷設している。その場合に、樹脂シート15は、前述したように、ルーフ部2の中央部からルーフ部2の左右側縁部及び前後側縁部まで途切れることなく延びて、結果的に、不織布13層及び発泡ウレタン14層を上方から一面に被覆している(以上、請求項4の構成に相当)。これにより、極めて簡便に、第2吸音材22の下方の隔壁層32の通気性を第1吸音材21の下方の隔壁層31の通気性よりも高くすることができ、隔壁層31,32の施工性が向上することとなる。例えば、不織布13、発泡ウレタン14、周縁部の第2吸音材22、樹脂シート15、中央部の第1吸音材21、及びルーフパネル11を、この順に上に重ねていけば、本実施形態のルーフ部2が容易に得られる。
加えて、樹脂シート15が不織布13層及び発泡ウレタン14層の上方を一面に覆うことにより、例えば、ルーフ部2の最上部分に存在するルーフパネル11の内面から、チリやホコリが、通気性に富む不織布13層及び発泡ウレタン14層をすり抜けて車室内に落下してくるのを防ぐことができ、トップシーリング材41ないしルーフ部2の防塵性が維持されることとなる。
なお、前記実施形態は、本発明の最良の実施形態ではあるが、特許請求の範囲を逸脱しない限り、なお種々の修正、変更が可能なことはいうまでもない。例えば、前記実施形態では、図2、図3において、第1吸音材21の繊維層の重なり方向は車幅方向であったが、これに代えて、前後方向であってもよく、また、車幅方向と前後方向とを組み合わせてもよい。さらに、吸音材21,22と車室とを仕切る隔壁層31,32を構成する通気性の要素13,14及び非通気性の要素15は、通気性又は非通気性でありさえすれば、他の素材で構成されたものであっても一向に構わない。さらに、前記実施形態では、車室の天井一面に不織布13層と発泡ウレタン14層と積層し、吸音材21,22の下方に樹脂シート15が有るか無いかにより非通気性層31と通気性層32とを形成するようにしたが、もともと通気性の異なる隔壁層をルーフ部2中央部とルーフ部2周縁部とに区分して配設することも可能である。さらに、前記実施形態では、ルーフ部2の前後左右の全周を高周波数音吸音部とし、ルーフ部2の前後左右の全周に亘って第2吸音材22及び通気性層32を配設したが、ルーフ部2の左右側縁部のみ又はルーフ部2の前後側縁部のみを高周波数音吸音部としてもよい。
また、図15に示すように、面状の吸音材をジグザグに折り重ねて第1吸音材21を作製する際に、トップシーリング材41に隣接する第1吸音材21の下部を広げて、水平方向に延びる空気流路51…51を形成するようにしてもよい(第2実施形態)。この空気流路51…51は、例えばエアコンの冷房用エア又は暖房用エアの流路として利用することができ、効率のよい車室の温度調節が実現する。
また、図16に示すように、第2吸音材22と車室とを仕切る隔壁層を構成する発泡ウレタン14層に水平方向に延びる空気流路61…61を穿設するようにしてもよい(第3実施形態)。
また、図17に示すように、繊維層の方向が略上下方向に沿う構成の第1吸音材21を、予め、非通気性の袋71(樹脂製又はアルミ箔製等)に収容しておき、この袋71…71をルーフパネル11とトップシーリング材41との間の空間内に収容・充填するようにしてもよい(第4実施形態)。この場合は、袋71が非通気性(通気性が無いあるいは通気性が相対的に低い)であるから、前述の樹脂シート15に相当する部材は用いなくて済む。
以上、具体例を挙げて詳しく説明したように、本発明は、自動車のルーフ部で発生する低周波数から高周波数までの広範囲に亘る様々な周波数の音を効率よく合理的に吸音・低減することが可能な技術であり、走行中の自動車の車室内の騒音をルーフ部に内装した吸音材で低減する技術分野において幅広い産業上の利用可能性を有するものである。
本発明の最良の実施形態に係る自動車の平面図である。 図1のI−I線に沿う縦断面図である。 図1のII−II線に沿う縦断面図である。 音の周波数と、音の低減効果代との関係を表すグラフである。 (a)は、図4におけるタイプ1の説明図、(b)は、図4におけるタイプ2の説明図である。 トップシーリング材の種類と、吸音材による音の低減効果代及び空気の粒子速度との関係を調べるための自動車のレイアウト図である。 トップシーリング材の種類と、吸音材による音の低減効果代及び空気の粒子速度との関係を表すグラフである。 トップシーリング材の有無に応じ、音の周波数と、トップシーリング材の上方空間内の空気の水平方向の粒子速度との関係を表すグラフである。 トップシーリング材の種類に応じ、音の周波数と、トップシーリング材の上方空間内の空気の水平方向の粒子速度との関係を表すグラフである。 トップシーリング材の有無に応じ、音の周波数と、トップシーリング材の上方空間内の空気の上下方向の粒子速度との関係を表すグラフである。 トップシーリング材の種類に応じ、音の周波数と、トップシーリング材の上方空間内の空気の上下方向の粒子速度との関係を表すグラフである。 ルーフ部中央部における第1吸音材の吸音効果の説明図である。 ルーフ部周縁部における第2吸音材の吸音効果の説明図である。 音の周波数と、音が吸音材へ垂直入射したときの吸音率との関係を表すグラフである。 本発明の第2の実施形態の特徴部分の説明図である。 本発明の第3の実施形態の特徴部分の説明図である。 本発明の第4の実施形態の特徴部分の説明図である。
符号の説明
1 自動車
2 ルーフ部
11 ルーフパネル
13 不織布
14 発泡ウレタン
15 樹脂シート(シート部材)
21 第1吸音材
22 第2吸音材
31 非通気性層(隔壁層)
32 通気性層(隔壁層)
41 トップシーリング材

Claims (4)

  1. ルーフパネルの下方に繊維質の吸音材が配設された自動車のルーフ部構造であって、
    ルーフ部中央部に吸音材の繊維方向がルーフ面に沿った方向に対して交差した方向である第1吸音材が配設され、
    ルーフ部周縁部に吸音材の繊維方向がルーフ面に略沿った方向である第2吸音材が配設され、
    これらの第1、第2吸音材の下方に該吸音材と車室とを仕切る隔壁層が設けられて、
    該隔壁層のうち第2吸音材の下方部分の通気性が第1吸音材の下方部分の通気性よりも高くされていることを特徴とする自動車のルーフ部構造。
  2. 前記請求項1に記載の自動車のルーフ部構造において、
    前記隔壁層のうち第1吸音材の下方部分の剛性が第2吸音材の下方部分の剛性よりも低くされていることを特徴とする自動車のルーフ部構造。
  3. 前記請求項1又は2に記載の自動車のルーフ部構造において、
    前記第1吸音材は、面状の吸音材がルーフ面に略沿った方向に折り重ねられ、ルーフパネルと隔壁層との間に収容されたものであることを特徴とする自動車のルーフ部構造。
  4. 前記請求項1から3のいずれかに記載の自動車のルーフ部構造において、
    前記隔壁層のうち第1吸音材の下方部分は、第2吸音材の下方部分の通気性よりも低い通気性のシート部材を含み、該シート部材がルーフ部周縁部まで延設され、第2吸音材の上方に敷設されていることを特徴とする自動車のルーフ部構造。
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