JP2007138044A - 光学素子用樹脂組成物、光学素子、集光装置及び光ピックアップ装置 - Google Patents

光学素子用樹脂組成物、光学素子、集光装置及び光ピックアップ装置 Download PDF

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正一 早川
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Abstract

【課題】光安定性を向上させるとともに、当該特性を長時間に亘って維持することが可能な光学素子用樹脂組成物、光学素子、集光装置及び光ピックアップ装置を提供すること。
【解決手段】少なくとも脂環式炭化水素系重合体を含む光学素子用樹脂組成物であって、
ラジカル数が1014スピン/g以下であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学素子用樹脂組成物、光学素子、集光装置及び光ピックアップ装置に関する。
従来、MO、CD、DVDといった光情報記録媒体( 以下、媒体と略記 )に対して、情報の読み取りや記録を行うプレーヤー、レコーダー、ドライブといった記録機器には、光ピックアップ装置が備えられている。光ピックアップ装置は、光源から発した所定波長の光を媒体に照射し、反射した光を受光素子で受光する光学素子ユニットを備えており、光学素子ユニットはこれらの光を媒体の反射層や受光素子で集光させるためのレンズ等の光学素子を有している。
光ピックアップ装置の光学素子は、射出成形等の手段により安価に作製できる等の点で、プラスチックを材料として適用することが好ましい。光学素子の適用可能なプラスチックとしては、環状オレフィンとα−オレフィンの共重合体(例えば、特許文献1)等が知られている。
ところで、例えば、CD/DVDプレーヤーのような、複数種の媒体に対して情報の読み書きが可能な情報機器の場合、光ピックアップ装置は、両者の媒体の形状や適用する光の波長の違いに対応した構成とする必要がある。この場合、光学素子ユニットはいずれの媒体に対しても共通することがコストやピックアップ特性の観点から好ましい。
また、近年、CDやDVDよりも高い密度で情報を記録できる媒体として、CD(λ=780nm)やDVD(λ=635、650nm)で用いるよりも短い波長で情報の記録、再生を行うBlu−ray Disk等の媒体やこれらの媒体で情報の読み書きを行う情報機器の開発が新たに行われている。
特開2002−105131号公報
しかしながら、Blu−ray Disk等のいわゆる次世代DVDでは、情報の記録、再生には波長400nm付近の短波長の光を用いるため、特許文献1に記載の光学素子等では、その光照射を受けた場合、当該光学素子自身の白濁や屈析率の変動、光学面の変形など光学特性(光安定性)が低下し、光学素子の交換が必要になる場合があった。
そこで、本発明は、光安定性を向上させるとともに、当該特性を長時間に亘って維持することが可能な光学素子用樹脂組成物、光学素子、集光装置及び光ピックアップ装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の光学素子用樹脂組成物は、
少なくとも脂環式炭化水素系重合体を含む光学素子用樹脂組成物であって、
ラジカル数が1014スピン/g以下であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の光学素子用樹脂組成物において、
前記脂環式炭化水素系重合体が、下記式(1)で表される脂環式構造を有する繰り返し単位(a)と、下記式(2)及び/又は下記式(3)及び/又は下記式(4)で表される鎖状構造の繰り返し単位(b)とを、合計含有量が90質量%以上になるように含有し、さらに繰り返し単位(b)の含有量が1質量%以上10質量%未満であることを特徴とする。
Figure 2007138044
Figure 2007138044
Figure 2007138044
Figure 2007138044
〔式(1)中、Xは脂環式炭化水素基であり、式(1)、式(2)、式(3)及び式(4)中、R1〜R13は、それぞれ独立に水素原子、鎖状炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、及び極性基(ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、又はシリル基)で置換された鎖状炭化水素基である。〕
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の光学素子用樹脂組成物において、
前記脂環式炭化水素系重合体が、炭素原子数2〜20のα−オレフィンと下記式(5)で表される脂環式炭化水素とを共重合させて得られることを特徴とする。
Figure 2007138044
〔式(5)中、nは0又は1であり、mは0又は1以上の整数であり、R14〜R33は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子又は炭化水素基であり、R30〜R33は互いに結合して単環又は多環を形成していてもよく、かっこの単環又は多環が二重結合を有していてもよく、またR30とR31とで、又はR32とR33とでアルキリデン基を形成していてもよい。〕
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の光学素子用樹脂組成物において、
ヒンダードアミン系安定剤、フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤の中から選ばれた少なくとも1種の安定剤を含むことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の光学素子用樹脂組成物において、
温度260℃、荷重2.16kgの条件で測定される前記光学素子用樹脂組成物のメルトインデックス(MI)値が、20<MI(g/10分)<60の範囲にあることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の光学素子用樹脂組成物を成形して得られた光学素子であって、
厚さ3mmで、波長400nmにおける光線透過率が85%以上であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の光学素子において、
少なくとも1つの光学面に所定の光路差付与構造を設けることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、
集光機能を有する集光装置であって、
請求項6又は請求項7に記載の光学素子を有することを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、
光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置であって、
光を出射する光源と、
前記光源から出射された光の前記光情報記録媒体への照射及び/又は前記光情報記録媒体で反射される光の集光を行う光学素子ユニットとを備え、
前記光学素子ユニットは、請求項6又は請求項7に記載の光学素子を備えることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、
請求項9に記載の光ピックアップ装置において、
前記光源は波長390nm〜420nmの光を出射することを特徴とする。
請求項1〜請求項3に記載の発明によれば、光学素子用樹脂組成物のラジカル数が1014スピン/g以下であり、この樹脂組成物はラジカル数が低い状態にある。したがって、この樹脂組成物では、ラジカルが存在することで派生する影響を低減させることができ光照射に対する安定化効果を向上させることができる。例えば400nm付近の短波長の光が継続的に照射されても、白濁や屈折率の変動、光学面の変形を抑えることができる。つまり、光安定性を向上させるとともに、当該特性を長時間に亘って維持することができる。
請求項4に記載の発明によれば、ヒンダードアミン系安定剤、フェノール系安定剤、リン系安定剤、及びイオウ系安定剤の中から適宜選択して添加することにより、光学素子用樹脂組成物の光学特性の変動をより効果的に抑制することができる。
請求項5に記載の発明によれば、温度260℃、荷重2.16kgの条件で測定される光学素子用樹脂組成物のメルトインデックス(MI)値が、20<MI(g/10分)<60の範囲にあり、溶融した当該樹脂組成物を用いて光学素子を成形する場合に、当該樹脂組成物に適度な流動性を具備させ、射出成形等の成形法に適した状態にすることが可能である。
請求項6に記載の発明によれば、光学素子用樹脂組成物を用いて厚さ3mmに成形された光学素子では、高い形状安定性を有し、高エネルギーの波長400nm付近の光を透過させても当該素子に白濁、屈折率の変動や変形等が生じるのを抑えることができる。これにより、波長400nm付近における当該素子の光線透過率を85%以上とすることができる。
従って、光学素子は、例えばBlu−ray Discのような高い情報密度を有する光情報記録媒体に対して好適に用いることができる。
請求項7に記載の発明によれば、光学素子には、少なくとも1つの光学面に所定の光路差付与構造が設けられており、例えば、射出成形等により光学素子を成形する場合に、溶融した光学素子用樹脂組成物が光路差付与構造に対応する部分の先端まで到達することができ、高い精度で形成された光路差付与構造を具備させることが可能となる。
さらに、光学素子では、光学素子用樹脂組成物が有する高い形状安定性により、光路差付与構造に生じる変形を抑制することができる。
請求項8に記載の発明によれば、集光機能を有する集光装置に光学素子を用いても、当該光学素子は高い形状安定性を有しているので、光学素子の光学特性を低下させるといったことがなくなる。即ち、光学素子に対して集光により高いエネルギーが付与されても、当該光学素子の有する高い形状安定性によって、光学素子の変形を長時間に亘って抑制することが可能となり、光学素子の光学特性の低下を防止することができる。
請求項9に記載の発明によれば、光学素子の製造に用いられる光学素子用樹脂組成物中に含まれるラジカル数が1014スピン/g以下であり、この樹脂組成物を用いて製造された光学素子では、光照射に対する安定化効果が高く、例えば400nm付近の短波長の光を継続的に照射されても、白濁や屈折率の変動が抑えられ、また、光学面の変形を抑制することができる。つまり、光学素子の光安定性を向上させることができ、当該特性を長時間に亘って維持することができる。
従って、例えばBlu−ray Discのような高い情報密度を有する光情報記録媒体に対して、長期間に亘って良好なピックアップ特性で情報の読み書きを行うことができ、信頼性の高い光ピックアップ装置を得ることができる。
請求項10に記載の発明によれば、光源から出射される光の波長は390nm〜420nmである。即ち、例えばBlu−ray Discのような高い情報密度を有する光情報記録媒体に対応した390〜420nmという範囲の光を透過する場合でも、本発明における光学素子用樹脂組成物中に含まれるラジカル数が1014スピン/g以下であるため、白濁や、屈折率の変動といった光学素子の劣化を防止することができる。これにより、光学素子の寿命を延ばして、信頼性の高い光ピックアップ装置を得ることができる。
以下、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
本発明に係る光学素子用樹脂組成物は、少なくとも脂環式炭化水素系重合体を含んでいるとともに、ラジカル数が1014スピン/g以下である。
ここで、ラジカル数がこの範囲内である光学素子用樹脂組成物では、熱や光といったストレスに対し、樹脂の劣化の原因となるラジカル量が低減されている為にラジカルによる連鎖的反応が起こりにくく、樹脂の酸化や架橋、主鎖の切断といった劣化反応が抑制されることで、白濁や、屈折率の変動といった当該樹脂組成物の劣化を防止することができる。光学素子用樹脂組成物中のラジカル数を上記範囲に制御する方法としては特に限定されるものではないが、例えば、重合体の重合条件を最適化してラジカル性の副反応物の生成を抑制したり、重合反応時の重合性モノマー溶液中の酸素濃度を予め低減させておき、反応性の高いペルオキシラジカルの生成を抑制する方法などが挙げられる。
(脂環式炭化水素系共重合体)
本発明において好ましい脂環式炭化水素系共重合体は、脂環式構造を有する繰り返し単位が、下記一般式(1)で表される脂環式構造を有する繰り返し単位(a)と、下記式(2)及び/又は下記式(3)及び/又は下記式(4)で表される鎖状構造の繰り返し単位(b)とを合計含有量が90質量%以上になるように含有し、さらに繰り返し単位(b)の含有量が1質量%以上10質量%未満である。
Figure 2007138044
Figure 2007138044
Figure 2007138044
Figure 2007138044
式(1)、式(2)、式(3)及び式(4)中、R1〜R13は、それぞれ独立に水素原子、鎖状炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エステル基、シアノ基、アミノ基、イミド基、シリル基、及び極性基(ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、又はシリル基)で置換された鎖状炭化水素基等を表す。具体的に、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子を挙げることができ、極性基で置換された鎖状炭化水素基としては、例えば炭素原子1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6のハロゲン化アルキル基が挙げられる。鎖状炭化水素基としては、例えば炭素原子数1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6のアルキル基:炭素原子数2〜20、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜6のアルケニル基が挙げられる。
上記式(1)中のXは、脂環式炭化水素基を表し、それを構成する炭素数は、通常4個〜20個、好ましくは4個〜10個、より好ましくは5個〜7個である。脂環式構造を構成する炭素数をこの範囲にすることで複屈折を低減することができる。また、脂環式構造は単環構造に限らず、例えばノルボルナン環などの多環構造のものでも良い。
脂環式炭化水素基は、炭素−炭素不飽和結合を有してもよいが、その含有量は、全炭素−炭素結合の10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下である。脂環式炭化水素基の炭素−炭素不飽和結合をこの範囲とすることで、透明性、耐熱性が向上する。また、脂環式炭化水素基を構成する炭素には、水素原子、炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、及び極性基(ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、又はシリル基)で置換された鎖状炭化水素基等が結合していてもよく、中でも水素原子又は炭素原子数1〜6個の鎖状炭化水素基が耐熱性、低吸水性の点で好ましい。
また、上記式(3)は、主鎖中に炭素−炭素不飽和結合を有しており、上記式(4)は主鎖中に炭素−炭素飽和結合を有しているが、透明性、耐熱性を強く要求される場合、不飽和結合の含有率は、主鎖を構成する全炭素−炭素間結合の、通常10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下である。
本発明においては、脂環式炭化水素系共重合体中の、一般式(1)で表される脂環式構造を有する繰り返し単位(a)と、一般式(2)及び/又は一般式(3)及び/又は一般式(4)で表される鎖状構造の繰り返し単位(b)との合計含有量は、重量基準で、通常90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上である。合計含有量を上記範囲にすることで、低複屈折性、耐熱性、低吸水性、機械強度が高度にバランスされる。
上記脂環式炭化水素系共重合体を製造する製造方法としては、(1)芳香族ビニル系化合物と共重合可能なその他のモノマーとを共重合し、主鎖及び芳香環の炭素−炭素不飽和結合を水素化する方法、(2)脂環式ビニル系化合物と共重合可能なその他のモノマーとを共重合し、必要に応じて水素化する方法等が挙げられる。
水素化前の共重合体の分子量は、GPCにより測定されるポリスチレン(またはポリイソプレン)換算重量平均分子量(Mw)で、1,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜300,000の範囲である。共重合体の重量平均分子量(Mw)が過度に小さいと、それから得られる脂環式炭化水素系共重合体の成形物の強度特性に劣り、逆に過度に大きいと水素化反応性に劣る。
上記(1)の方法において使用する芳香族ビニル系化合物の具体例としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−プロピルスチレン、α−イソプロピルスチレン、α−t−ブチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノフルオロスチレン、4−フェニルスチレン等が挙げられ、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン等が好ましい。
上記(2)の方法において使用する脂環式ビニル系化合物の具体例としては、例えば、シクロブチルエチレン、シクロペンチルエチレン、シクロヘキシルエチレン、シクロヘプチルエチレン、シクロオクチルエチレン、ノルボルニルエチレン、ジシクロヘキシルエチレン、α−メチルシクロヘキシルエチレン、α−t−ブチルシクロヘキシルエチレン、シクロペンテニルエチレン、シクロヘキセニルエチレン、シクロヘプテニルエチレン、シクロオクテニルエチレン、シクロデケニルエチレン、ノルボルネニルエチレン、α−メチルシクロヘキセニルエチレン、及びα−t−ブチルシクロヘキセニルエチレン等が挙げられ、これらの中でも、シクロヘキシルエチレン、α−メチルシクロヘキシルエチレンが好ましい。
これらの芳香族ビニル系化合物及び脂環式ビニル系化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
共重合可能なその他のモノマーとしては、格別な限定はないが、鎖状ビニル化合物及び鎖状共役ジエン化合物等が用いられ、鎖状共役ジエンを用いた場合、製造過程における操作性に優れ、また得られる脂環式炭化水素系共重合体の強度特性に優れる。
鎖状ビニル化合物の具体例としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等の鎖状オレフィンモノマー;1−シアノエチレン(アクリロニトリル)、1−シアノ−1−メチルエチレン(メタアクリロニトリル)、1−シアノ−1−クロロエチレン(α−クロロアクリロニトリル)等のニトリル系モノマー;1−(メトキシカルボニル)−1−メチルエチレン(メタアクリル酸メチルエステル)、1−(エトキシカルボニル)−1−メチルエチレン(メタアクリル酸エチルエステル)、1−(プロポキシカルボニル)−1−メチルエチレン(メタアクリル酸プロピルエステル)、1−(ブトキシカルボニル)−1−メチルエチレン(メタアクリル酸ブチルエステル)、1−メトキシカルボニルエチレン(アクリル酸メチルエステル)、1−エトキシカルボニルエチレン(アクリル酸エチルエステル)、1−プロポキシカルボニルエチレン(アクリル酸プロピルエステル)、1−ブトキシカルボニルエチレン(アクリル酸ブチルエステル)などの(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、1−カルボキシエチレン(アクリル酸)、1−カルボキシ−1−メチルエチレン(メタクリル酸)、無水マレイン酸などの不飽和脂肪酸系モノマー等が挙げられ、中でも、鎖状オレフィンモノマーが好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテンが最も好ましい。
鎖状共役ジエンは、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、及び1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これら鎖状ビニル化合物及び鎖状共役ジエンの中でも鎖状共役ジエンが好ましく、ブタジエン、イソプレンが特に好ましい。これらの鎖状ビニル化合物及び鎖状共役ジエンは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの鎖状ビニル系化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合反応は、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等、特別な制約はないが、重合操作、後工程での水素化反応の容易さ、及び最終的に得られる炭化水素系共重合体の機械的強度を考えると、アニオン重合法が好ましい。
ラジカル重合の場合は、開始剤の存在下、通常0℃〜200℃、好ましくは20℃〜150℃で、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の方法を用いることができるが、特に樹脂中への不純物等の混入等を防止する必要のある場合は、塊状重合、懸濁重合が望ましい。ラジカル開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、t−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物、アゾイソブチロニトリル、4,4−アゾビス−4−シアノペンタン酸、アゾジベンゾイル等のアゾ化合物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムに代表される水溶性触媒やレドックス開始剤などが使用可能である。
アニオン重合の場合には、開始剤の存在下、通常0℃〜200℃、好ましくは20℃〜100℃、特に好ましくは20℃〜80℃の温度範囲において、塊状重合、溶液重合、スラリー重合等の方法を用いることができるが、反応熱の除去を考慮すると、溶液重合が好ましい。この場合、重合体及びその水素化物を溶解できる不活性溶媒を用いる。溶液反応で用いる不活性溶媒は、例えばn−ブタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、iso−オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類等が挙げられ、中でも脂肪族炭化水素類や脂環式炭化水素類を用いると、水素化反応にも不活性な溶媒としてそのまま使用することができる。これらの溶媒は、それぞれ単独で、或いは2種類以上を組み合わせて使用でき、通常、全使用モノマー100質量部に対して200〜10,000質量部となるような割合で用いられる。
上記アニオン重合の開始剤としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウムなどのモノ有機リチウム、ジリチオメタン、1,4−ジオブタン、1,4−ジリチオー2−エチルシクロヘキサン等の多官能性有機リチウム化合物などが使用可能である。
水素化前の共重合体の芳香環やシクロアルケン環などの不飽和環の炭素−炭素二重結合や主鎖の不飽和結合等の水素化反応を行う場合は、反応方法、反応形態に特別な制限はなく、公知の方法にしたがって行えばよいが、水素化率を高くでき、且つ水素化反応と同時に起こる重合体鎖切断反応の少ない水素化方法が好ましく、例えば、有機溶媒中、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、ロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、及びレニウムから選ばれる少なくとも1つの金属を含む触媒を用いて行う方法が挙げられる。水素化触媒は、不均一触媒、均一触媒のいずれも使用可能である。
不均一系触媒は、金属または金属化合物のままで、又は適当な担体に担持して用いることができる。担体としては、例えば、活性炭、シリカ、アルミナ、炭化カルシウム、チタニア、マグネシア、ジルコニア、ケイソウ土、炭化珪素等が挙げられ、触媒の担持量は、通常0.01〜80重量%、好ましくは0.05〜60重量%の範囲である。均一系触媒は、ニッケル、コバルト、チタンまたは鉄化合物と有機金属化合物(例えば、有機アルミニウム化合物、有機リチウム化合物)とを組み合わせた触媒、またはロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、レニウム等の有機金属錯体触媒を用いることができる。ニッケル、コバルト、チタンまたは鉄化合物としては、例えば、各種金属のアセチルアセトン塩、ナフテン塩、シクロペンタジエニル化合物、シクロペンタジエニルジクロロ化合物等が用いられる。有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド等のハロゲン化アルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等の水素化アルキルアルミニウム等が好適に用いられる。
有機金属錯体触媒の例としては、上記各金属のγ−ジクロロ−π−ベンゼン錯体、ジクロロ−トリス(トリフェニルホスフィン)錯体、ヒドリド−クロロ−トリフェニルホスフィン)錯体等の金属錯体が使用される。これらの水素化触媒は、それぞれ単独で、或いは2種類以上組み合わせて使用することができ、その使用量は、重合体に対して、重量基準にて、通常、0.01〜100部、好ましくは0.05〜50部、より好ましくは0.1〜30部である。
水素化反応は、通常10℃〜250℃であるが、水素化率を高くでき、且つ、水素化反応と同時に起こる重合体鎖切断反応を小さくできるという理由から、好ましくは50℃〜200℃、より好ましくは80℃〜180℃である。また水素圧力は、通常0.1MPa〜30MPaであるが、上記理由に加え、操作性の観点から、好ましくは1MPa〜20MPa、より好ましくは2MPa〜10MPaである。
このようにして得られた、水素化物の水素化率は、1H−NMRによる測定において、主鎖の炭素−炭素不飽和結合、芳香環の炭素−炭素二重結合、不飽和環の炭素−炭素二重結合のいずれも、通常90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上である。水素化率が低いと、得られる共重合体の低複屈折性、熱安定性等が低下する。
水素化反応終了後に水素化物を回収する方法は特に限定されていない。通常、濾過、遠心分離等の方法により水素化触媒残渣を除去した後、水素化物の溶液から溶媒を直接乾燥により除去する方法、水素化物の溶液を水素化物にとっての貧溶媒中に注ぎ、水素化物を凝固させる方法を用いることができる。
次に、本発明において好ましい、もう一つの脂環式炭化水素系共重合体について説明する。本発明に用いられる他の脂環式炭化水素系共重合体としては、炭素原子数が2〜20のα−オレフィンと、式(5)で表される環状オレフィンとを共重合させて得られる脂環式構造を有するものである。
共重合させる際に用いられるα−オレフィンは、直鎖状でも分岐状でもよく、エチレン、プロピレン、ブタ−1−エン、ペンタ−1−エン、ヘキサ−1−エン、オクタ−1−エン、デカ−1−エン、ドデカ−1−エン、テトラデカ−1−エン、ヘキサデカ−1−エン、オクタデカ−1−エン、エイコサ−1−エンなどの炭素原子数が2〜20の直鎖状α−オレフィン;3−メチルブタ−1−エン、3−メチルペンタ−1−エン、3−エチルペンタ−1−エン、4−メチルペンタ−1−エン、4−メチルヘキサ−1−エン、4,4−ジメチルヘキサ−1−エン、4,4−ジメチルペンタ−1−エン、4−エチルヘキサ−1−エン、3−エチルヘキサ−1−エンなどの炭素原子数が4〜20の分岐状α−オレフィンなどが挙げられる。これらのなかでは、炭素原子数が2〜4の直鎖状α−オレフィンが好ましく、エチレンが特に好ましい。このような直鎖状又は分岐状のα−オレフィンは、1種単独で又は2種以上組合わせて用いることができる。
また、共重合に用いられる環状オレフィンとしては、下記式(5)で表される。
Figure 2007138044
上記式(5)中、nは0又は1であり、mは0又は1以上の整数である。R14〜R33は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子又は炭化水素基である。ここでハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。
また、炭化水素基としては、それぞれ独立に、通常、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基、芳香族炭化水素基が挙げられる。より具体的には、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基が挙げられ、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基が挙げられ、芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基が例示される。これらの炭化水素基は、その水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。さらに上記式(5)において、R30〜R33がそれぞれ結合して(互いに共同して)単環又は多環を形成していてもよく、しかも、このようにして形成された単環又は多環は二重結合を有していてもよい。
上記の式(5)で表される環状オレフィンを、以下に具体的に例示する。一例として、
Figure 2007138044
で示されるビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(別名ノルボルネン。上記式中において、1〜7の数字は炭素の位置番号を示す。)およびこの化合物に炭化水素基が置換した誘導体が挙げられる。
この置換炭化水素基として、5−メチル、5,6−ジメチル、1−メチル、5−エチル、5−n−ブチル、5−イソブチル、7−メチル、5−フェニル、5−メチル−5−フェニル、5−ベンジル、5−トリル、5−(エチルフェニル)、5−(イソプロピルフェニル)、5−(ビフェニル)、5−(β−ナフチル)、5−(α−ナフチル)、5−(アントラセニル)、5,6−ジフェニル等を例示することができる。
さらに他の誘導体として、シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセンなどのビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン誘導体を例示することができる。
この他、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、2−メチルトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、5−メチルトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エンなどのトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン誘導体、トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン、10−メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エンなどのトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン誘導体、
Figure 2007138044
で示されるテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(以後単にテトラシクロドデセンという。上記式中において、1〜12の数字は炭素の位置番号を示す。)、およびこれに炭化水素基が置換した誘導体が挙げられる。
その置換基の炭化水素基としては、8−メチル、8−エチル、8−プロピル、8−ブチル、8−イソブチル、8−ヘキシル、8−シクロヘキシル、8−ステアリル、5,10−ジメチル、2,10−ジメチル、8,9−ジメチル、8−エチル−9−メチル、11,12−ジメチル、2,7,9−トリメチル、2,7−ジメチル−9−エチル、9−イソブチル−2,7−ジメチル、9,11,12−トリメチル、9−エチル−11,12−ジメチル、9−イソブチル−11,12−ジメチル、5,8,9,10−テトラメチル、8−エチリデン、8−エチリデン−9−メチル、8−エチリデン−9−エチル、8−エチリデン−9−イソプロピル、8−エチリデン−9−ブチル、8−n−プロピリデン、8−n−プロピリデン−9−メチル、8−n−プロピリデン−9−エチル、8−n−プロピリデン−9−イソプロピル、8−n−プロピリデン−9−ブチル、8−イソプロピリデン、8−イソプロピリデン−9−メチル、8−イソプロピリデン−9−エチル、8−イソプロピリデン−9−イソプロピル、8−イソプロピリデン−9−ブチル、8−クロロ、8−ブロモ、8−フルオロ、8,9−ジクロロ、8−フェニル、8−メチル−8−フェニル、8−ベンジル、8−トリル、8−(エチルフェニル)、8−(イソプロピルフェニル)、8,9−ジフェニル、8−(ビフェニル)、8−(β−ナフチル)、8−(α−ナフチル)、8−(アントラセニル)、5,6−ジフェニル等を例示することができる。
前記α−オレフィンと環状オレフィンの共重合反応は炭化水素溶媒中で行い、この炭化水素溶媒に可溶性のバナジウム化合物および有機アルミニウム化合物から形成される触媒を用いる製造方法が好ましい。また、この共重合反応では固体状の周期律表4族のメタロセン系触媒を用いることもできる。ここで固体状の周期律表4族のメタロセン系触媒とは、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む遷移金属化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物と、必要により配合される有機アルミニウム化合物とからなる触媒である。ここで周期律表4族の遷移金属としては、ジルコニウム、チタン又はハフニウムがあげられ、これらの遷移金属が少なくとも1個のシクロペンタジエニル骨格を含む配位子を有している触媒である。シクロペンタジエニル骨格を含む配位子の例としては、シクロペンタジエニル基、インデニル基、テトラヒドロインデニル基、フロオレニル基を挙げることができる。ここで、シクロペンタジエニル基にはアルキル基が置換していてもよい。これらの基は、アルキレン基などの他の基を介して結合していてもよい。また、シクロペンタジエニル骨格を含む配位子以外の配位子の例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等があげられる。また、有機アルミニウムオキシ化合物および有機アルミニウム化合物は、通常ポリオレフィン類の製造に使用されるものを用いることができる。
炭素原子数が2〜20のα−オレフィンと環状オレフィン共重合体は、α−オレフィンから誘導される構成単位を、通常は5〜95モル%、好ましくは20〜80モル%の量で、環状オレフィンから誘導される構成単位を、通常は5〜95モル%、好ましくは20〜80モル%の量で含有するものである。尚、α−オレフィンおよび環状オレフィンの組成比は、13C−NMRによって測定される。
本発明に係る上記脂環式炭化水素系重合体は、DSCで測定(昇温速度10℃/min)したガラス転移温度(Tg)が、60〜230℃であることが好ましく、さらには、70〜210℃であることが好ましい。
(配合剤)
本発明の光学素子用樹脂組成物では、必要に応じて、上記脂環式炭化水素系共重合体に各種安定剤、界面活性剤、可塑剤などの配合剤を配合することができる。これら配合剤は単独で、あるいは2種以上混合して用いることができ、その配合量は本発明の目的を損ねない範囲で適宜選択される。
(安定剤)
本発明の光学素子用樹脂組成物では、ヒンダードアミン系安定剤、フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤の中から選ばれた1種以上の安定剤を添加させることが可能である。これら安定剤を適宜選択し、脂環式炭化水素系共重合体に添加することで、例えば400nmといった短波長の光を継続的に照射した場合の白濁や、屈折率の変動等の光学特性変動をより高度に抑制することができる。
好ましいフェノール系安定剤としては、従来公知のものが使用でき、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレートなどの特開昭63−179953号公報や特開平1−168643号公報に記載されるアクリレート系化合物;オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニルプロピオネート)メタン[すなわち、ペンタエリスリメチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート))、トリエチレングリコール ビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)などのアルキル置換フェノール系化合物;6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン基含有フェノール系化合物;などが挙げられる。
また、好ましいヒンダードアミン系安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1−アクロイル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルデカンジオエート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−1−[2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド等が挙げられる。
また、好ましいリン系安定剤としては、一般の樹脂工業で通常使用される物であれば格別な限定はなく、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドなどのモノホスファイト系化合物;4,4'−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4'イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)などのジホスファイト系化合物などが挙げられる。これらの中でも、モノホスファイト系化合物が好ましく、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどが特に好ましい。
また、好ましいイオウ系安定剤としては、例えば、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3'−チオジプロピピオネート、ジステアリル3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオネート、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。
これらの安定剤の配合量は、本発明の目的を損なわれない範囲で適宜選択されるが、脂環式炭化水素系共重合体100質量部に対して通常0.01〜2質量部、好ましくは0.01〜1質量部である。
(界面活性剤)
界面活性剤は、同一分子中に親水基と疎水基とを有する化合物である。界面活性剤は樹脂表面への水分の付着や上記表面からの水分の蒸発の速度を調節することで、光学素子用樹脂組成物の白濁を防止する。
界面活性剤の親水基としては、具体的にヒドロキシ基、炭素数1以上のヒドロキシアルキル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、アミド基、アンモニウム塩、チオール、スルホン酸塩、リン酸塩、ポリアルキレングリコール基などが挙げられる。ここで、アミノ基は1級、2級、3級のいずれであってもよい。界面活性剤の疎水基としては、具体的に炭素数6以上のアルキル基、炭素数6以上のアルキル基を有するシリル基、炭素数6以上のフルオロアルキル基などが挙げられる。ここで、炭素数6以上のアルキル基は置換基として芳香環を有していてもよい。アルキル基としては、具体的にヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデセニル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ミリスチル、ステアリル、ラウリル、パルミチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。芳香環としてはフェニル基などが挙げられる。この界面活性剤は、上記のような親水基と疎水基とをそれぞれ同一分子中に少なくとも1個ずつ有していればよく、各基を2個以上有していてもよい。
このような界面活性剤としては、より具体的にはたとえば、ミリスチルジエタノールアミン、2−ヒドロキシエチル−2−ヒドロキシドデシルアミン、2−ヒドロキシエチル−2−ヒドロキシトリデシルアミン、2−ヒドロキシエチル−2−ヒドロキシテトラデシルアミン、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ジ−2−ヒドロキシエチル−2−ヒドロキシドデシルアミン、アルキル(炭素数8〜18)ベンジルジメチルアンモニウムクロライド、エチレンビスアルキル(炭素数8〜18)アミド、ステアリルジエタノールアミド、ラウリルジエタノールアミド、ミリスチルジエタノールアミド、パルミチルジエタノールアミド、などが挙げられる。これらのうちでも、ヒドロキシアルキル基を有するアミン化合物又はアミド化合物が好ましく用いられる。本発明では、これら化合物を2種以上組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤は、脂環式炭化水素系重合体100重量部に対して0.01〜10重量部添加される。界面活性剤の添加量が0.01重量部を下回る場合、温度、湿度の変動に伴う成形物の白濁を効果的に抑えることができない。一方、添加量が10重量部を超える場合、成形物の光透過率が低くなり、光ピックアップ装置への適用が困難となる。界面活性剤の添加量は脂環式炭化水素系重合体100重量部に対して0.05〜5重量部とすることが好ましく、0.3〜3重量部とすることがさらに好ましい。
(可塑剤)
可塑剤は環状オレフィン樹脂のメルトインデックスを調節するため、必要に応じて添加される。
可塑剤としては、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ビス(2−ブトキシエチル)、アゼライン酸ビス(2−エチルヘキシル)、ジプロピレングリコールジベンゾエート、クエン酸トリ−n−ブチル、クエン酸トリ−n−ブチルアセチル、エポキシ化大豆油、2−エチルヘキシルエポキシ化トール油、塩素化パラフィン、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、リン酸−t−ブチルフェニル、リン酸トリ−2−エチルヘキシルジフェニル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソヘキシル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジシクロヘキシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、Santicizer 278、Paraplex G40、Drapex 334F、Plastolein 9720、Mesamoll、DNODP−610、HB−40等の公知のものが適用可能である。可塑剤の選定及び添加量の決定は、環状オレフィンの透過性や環境変化に対する耐性を損なわないことを条件に適宜行なわれる。
このような環状オレフィン系樹脂は、透明性、低複屈折性、耐熱性、耐熱老化性、耐薬品性、耐溶剤性、誘電特性、種々の機械的特性、精密成形性、防湿性(低吸水性)に優れている。特に本発明に係る環状オレフィン系樹脂は、嵩高い環状オレフィンから導かれる構成単位と、同一分子中に親水基と疎水基とを有する界面活性剤とを特定割合で含有しており、高温や高湿度といった環境から常温常湿度へと環境変化した場合などにおいても優れた透明性を保持することができる。
本発明においては、前述の配合剤の他に、環状オレフィン系重合体にさらに他の樹脂を配合することもできる。配合される他の樹脂は、本発明の目的を損なわない範囲内で添加される。
ここで、環状オレフィン系重合体に添加し得る他の樹脂を以下に例示する。
(1)1個又は2個の不飽和結合を有する炭化水素から誘導される重合体で、具体的には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルブタ−1−エン、ポリ4−メチルペンタ−1−エン、ポリブタ−1−エンおよびポリスチレンなどのポリオレフィンが挙げられる。なおこれらのポリオレフィンは架橋構造を有していてもよい。
(2)ハロゲン含有ビニル重合体で、具体的にはポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリクロロプレン、塩素化ゴムなどが挙げられる
(3)α,β−不飽和酸とその誘導体から誘導された重合体で、具体的にはポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、又は前記の重合体を構成するモノマーとの共重合体、たとえばアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。
(4)不飽和アルコールおよびアミン、又は不飽和アルコールのアシル誘導体又はアセタールから誘導される重合体で、具体的にはポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、ポリ安息香酸ビニル、ポリマレイン酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタレート、ポリアリ ルメラミン、又は前記重合体を構成するモノマーとの共重合体、たとえばエチレン・酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
(5)エポキシドから誘導される重合体で、具体的にはポリエチレンオキシド又はビスグリシジルエーテルから誘導された重合体などが挙げられる。
(6)ポリアセタール類で、具体的にはポリオキシメチレン、ポリオキシエチレン、コモノマーとしてエチレンオキシドを含むようなポリオキシメチレンなどが挙げられる。
(7)ポリフェニレンオキシド(8)ポリカーボネート(9)Sポリスルフォン(10)ポリウレタンおよび尿素樹脂
(11)ジアミンおよびジカルボン酸および/又はアミノカルボン酸、又は相応するラクタムから誘導されたポリアミドおよびコポリアミドで、具体的にはナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などが挙げられる。
(12)ジカルボン酸およびジアルコールおよび/又はオキシカルボン酸、又は相応するラクトンから誘導されたポリエステルで、具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ1,4−ジメチロール・シクロヘキサンテレフタレートなどが挙げられる。
(13)アルデヒドとフェノール、尿素又はメラミンから誘導された架橋構造を有した重合体で、具体的には、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。
(14)アルキッド樹脂で、具体的にはグリセリン・フタル酸樹脂などが挙げられる。
(15)飽和および不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとのコポリエステルから誘導され、架橋剤としてビニル化合物を使用して得られる不飽和ポリエステル樹脂ならびにハロゲン含有改質樹脂。
(16)天然重合体で、具体的にはセルロース、ゴム、蛋白質、あるいはそれらの誘導体たとえば酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテルなどが挙げられる。
(17)軟質重合体、例えば、環状オレフィン成分を含む軟質重合体、α−オレフィン系共重合体、α−オレフィン・ジエン系共重合体、芳香族ビニル系炭化水素・共役ジエン系軟質共重合体、イソブチレン又はイソブチレン・共役ジエンからなる軟質重合体又は共重合体等が挙げられる。
前述した光学素子用樹脂組成物を成形する際には、脂環式炭化水素系共重合体と、他の樹脂成分や添加剤等とを混合すればよい。脂環式炭化水素系共重合体と、他の樹脂成分や添加剤等との混合方法としては、各成分を同時に混合するなど、各成分が十分に分散される方法であればよく、それ自体公知の方法が適用できる。例えばミキサー、二軸混錬機、ロール、ブラベンダー、押出機などで樹脂を溶融状態で混練する方法、適当な溶剤に溶解して分散させ凝固する方法などが挙げられる。二軸混練機を用いる場合、混錬後に通常は溶融状態で棒状に押し出し、ストランドカッターで適当な長さに切り、ペレット化した成形材料として用いられることが多い。
上述の様にして調製された環状オレフィン樹脂は、温度260℃、荷重2.16kgで測定したメルトインデックス(MI)が20<MI(g/10min)<60の範囲であることが好ましい。ここで、MIの測定方法は、ASTM D1238に準拠する。MIは、さらに好ましくは40<MI(g/10min)<60である。
ここで、上記MIは、例えばモノマーの組成比の選定による結晶化度の制御、重合方法や重合条件の選定による分子量の制御や、可塑剤の添加といった公知の方法により、調節することができる。
環状オレフィン樹脂のMIが上述の範囲内にあることで、射出成形等の方法で光学素子を成形する際、溶融した環状オレフィン樹脂を金型の後述する輪帯状レンズ面、回折輪帯、輪帯状凹部、輪帯状凸部に対応した部位の先端まで行き渡らせることができるので、高い精度で上記部位を形成することができる。よって、高い信頼性で媒体に光を照射したり媒体で反射した光を集光したりできる光学素子を作製することができる。
(光学素子)
本発明に係る光学素子は、前述の光学素子用樹脂組成物を成形して得られるものである。成形方法としては、格別な制限されるものはないが、低複屈折性、機械強度、寸法精度等の特性に優れた光学素子を得る為には溶融成形が好ましい。溶融成形法としては、例えばプレス成形、押し出し成形、射出成形等が挙げられるが、射出成形が成形性、生産性の観点から好ましい。成形条件は使用目的、又は成形方法により適宜選択されるが、例えば射出成形における樹脂温度は、通常150〜400℃、好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜330℃の範囲で適宜選択される。樹脂温度が過度に低いと流動性が悪化し、成形品にヒケやひずみを生じ、樹脂温度が過度に高いと樹脂の熱分解によるシルバーストリークが発生したり、光学素子が黄変するなどの成形不良が発生するおそれがある。
本発明に係る光学素子は、球状、棒状、板状、円柱状、筒状、チューブ状、繊維状、フィルムまたはシート形状など種々の形態で使用することができ、また、低複屈折性、透明性、機械強度、耐熱性、低吸水性に優れたものである。
光学素子の具体例としては、以下のものが挙げられる。光学レンズや光学プリズムとしては、カメラの撮像系レンズ;顕微鏡、内視鏡、望遠鏡レンズなどのレンズ;眼鏡レンズなどの全光線透過型レンズ;CD、CD−ROM、WORM(追記型光ディスク)、MO(書き変え可能な光ディスク;光磁気ディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(デジタルビデオディスク)などの光ディスクのピックアップレンズ;レーザビームプリンターのfθレンズ、センサー用レンズなどのレーザ走査系レンズ;カメラのファインダー系のプリズムレンズなどが挙げられる。光ディスク用途としては、CD、CD−ROM、WORM(追記型光ディスク)、MO(書き変え可能な光ディスク;光磁気ディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(デジタルビデオディスク)などが挙げられる。その他の光学用途としては、液晶ディスプレイなどの導光板;偏光フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルムなどの光学フィルム;光拡散板;光カード;液晶表示素子基板などが挙げられる。
これらの中でも、光学素子は集光機能を有する集光装置へ好ましく適用され、特に、低複屈折性が要求される光ピックアップ装置を構成する光学系レンズやレーザ走査系レンズとして好適であり、光ピックアップ装置の光学系レンズに最も好適である。
光ピックアップ装置の光学系レンズとしては、例えば、対物レンズ、対物レンズユニット、カップリングレンズ(コリメータ)、ビームエキスパンダ、ビームシェイパ、補正板等として使用することができる。
対物レンズユニットは、複数の単玉光学レンズを光軸方向に一体に組み合わせて構成してなるレンズ群であり、本発明の光学素子は、前記複数の単玉光学レンズのうち、少なくとも一つの単玉光学レンズとして使用することが好ましい。
(光ピックアップ装置)
次に、本発明に係る光学素子を適用した集光装置が組み込まれた光ピックアップ装置について図1及び図2を参照して説明する。
本発明の光ピックアップ装置1は、波長650nmの光を適用する現行のDVD(以下、現行DVDと表記)、波長405nmの光を適用するいわゆる次世代のDVD(以下、次世代DVDと表記)の2種類の光情報記録媒体5について情報の再生、記録を行う装置である。
光ピックアップ装置1は、光源2から出射されるレーザ光(光)を、コリメータレンズ3、後述する光路差付与構造を有する対物レンズ(光学素子)10といった単玉光学素子を通過させて、光軸4上で光情報記録媒体5の情報記録面6に集めて集光スポットを形成し、情報記録面6からの反射光を、偏向ビームスプリッタ7で取り込み、検出器8の受光面に再びビームスポットを形成するものである。
光源2は、レーザーダイオードを有して構成されており、公知の切り換え方法により、650nm、405nmという2種類の波長の光を選択して出射できる構成となっている。ここで、コリメータレンズ3、対物レンズ(光学素子)10、偏向ビームスプリッタ7は、光学素子ユニットを構成するものである。
本発明に係る対物レンズ10は、光路差付与構造を有する光学素子であって、上述の環状オレフィン樹脂を射出成形で成形することにより作成される。対物レンズ10は図2に示すように、両面非球面の単玉光学素子であり、その一方(光源側)の光学面11上に、該光学面11を通過する所定の光に対して予め定められた光路差を付与する光路差付与構造20を有している。
光路差付与構造20は、光学面11が光軸4を中心とした3つの輪帯状レンズ面(以下、内側から順に第1輪帯状レンズ面21、第2輪帯状レンズ面22、第3輪帯状レンズ面23と言う)により構成され、該3つの輪帯状レンズ面21〜23のうち隣り合う輪帯状レンズ面21〜23は異なる屈折力を有している。
第1輪帯状レンズ面21と第3輪帯状レンズ面23とは、同一の光学面11上にあり、第2輪帯状レンズ面22は、光学面11から平行移動した面となっている。
第1輪帯状レンズ面21は、波長650nm、405nm両方の光を通過させ、第2輪帯状レンズ面22は、現行DVDに対応した波長650nmの光を通過させ、第3輪帯状レンズ面23は、次世代DVDに対応した波長405nmの光を通過させる。そして、各輪帯状レンズ面21〜23を通過した光は、情報記録面6の同じ位置に集光されるようになっている。
なお、図2では、第1輪帯状レンズ面21と第3輪帯状レンズ面23とは同一光学面11上に設けられているが、これら第1及び第3輪帯状レンズ面21、23とは同一光学面上に設けなくても良く、また、第2輪帯状レンズ面22は、光学面11から平行移動した面となっているが、特に平行移動した面でなくても良い。また、3つの輪帯状レンズ面21〜23は5つであっても良く、少なくとも3つ以上であれば良い。
対物レンズ10は、上述の環状オレフィン樹脂を適用しているので、溶融して金型に射出して成形する際、金型の第1輪帯状レンズ面21、第2輪帯状レンズ面22、第3輪帯状レンズ面23の境界部分に対応する部分に確実に樹脂が行き渡っている。そのため、対物レンズ10は光路差付与構造20が高い精度で付与されている。
こうして形成された光路差付与構造20の作用により、対物レンズ10は現行DVD、次世代DVDといった複数種の光情報記録媒体5に対して、光源2で出射した光の情報記録面6への集光と、情報記録面6で反射した光の検出器8へ向けての集光を高い信頼性で行うことができる。また、対物レンズ10をなす環状オレフィン樹脂は85%以上という高い光透過率を有しているため、上記集光は高い効率で行うことができる。よって、光源2の消費電力を小さくすることができるので、光ピックアップ装置1全体の消費電力を軽減できる。
また、環状オレフィン樹脂は酸化防止剤を含んでいるので、次世代DVDの情報を再生、記録するための405nmという光を透過する場合でも、白濁や屈折率の変動がほとんど生じない。よって、光ピックアップ装置1を長期間にわたり、高いピックアップ特性で作動させることができる。
なお、本発明に係る対物レンズ10は、上記光路差付与構造20を有するものに限らず、例えば図3〜図7に示す光路差付与構造20a〜20dを有する対物レンズ10a〜10eとしても良い。
図3における光路差付与構造20aは、光軸4を中心とした複数の回折輪帯21aからなり、複数の回折輪帯21aの断面が鋸歯状であり、かつ、各回折輪帯21aの光学面11aが不連続面となっている。また、複数の回折輪帯21aは、光軸4から離れるにしたがって厚みが増すように形成されている。図3に示す対物レンズ10aは、いわゆる回折レンズである。
図4における光路差付与構造20bは、光軸4を中心とした位相差を生じる複数の輪帯状凹部21bを同心円状に有している。輪帯状凹部21bは、光学面11bのうちの光軸4を中心とした一方の面(図4における光軸4を中心に上下の光学面)に5つずつ形成されている。また、隣り合う輪帯状凹部21bどうしは、連続して一体になっており、各輪帯状凹部21b全体としての断面が階段状となっている。また、各輪帯状凹部21bを形成する光学面22bは、光学面11bに対して平行移動した面となっている。図4に示す対物レンズ10bはいわゆる位相差レンズである。
なお、図4では、隣り合う輪帯状凹部21bどうしが連続して一体になっていて、全体の断面が階段状のものであるとしたが、単に光学面11bに輪帯状凹部21bを個々に設けたものとしても良い(この場合、例えば図2に示した対物レンズ10と同様の構造となる)。また、図4では輪帯状凹部21bを同心円状に有しているとしたが、図5に示すように、図2の第3輪帯状レンズ面23上に輪帯状凸部23bを有した対物レンズ10cとしても良い(図5中、図2と同様の構成部分については同様の符号を付した)。
図6における光路差付与構造20dは、光軸4を中心とした複数の回折輪帯21dからなり、複数の回折輪帯21dの断面が鋸歯状であり、かつ、各回折輪帯21dの光学面11dが不連続面である。そして、各回折輪帯21dの断面が光軸方向に沿った3段22dの階段状であり、各段22dの光学面12dが不連続面で、光軸4に対して直交する面となっている。
なお、図6に示すレンズ10dは、例えば、図7に示すように図6と同様の光路差付与構造20dを有するホログラム光学素子(HOE)10eと対物レンズ10fとで別体の構成としても良い。この場合、ホログラム光学素子10eは、平板状の光学素子を使用して、該光学素子の対物レンズ10fの面に光路差付与構造20dを設ける。
なお、本発明に係る光ピックアップ装置1は、例えばCD、現行DVD、次世代DVDの3種の光情報記録媒体5について情報の再生、記録を行うこととしてもよい。光ピックアップ装置1で情報の再生、記録を行う光情報記録媒体5の組み合わせは設計事項であり、適宜設定される。
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
ステンレス製オートクレーブに乾燥シクロヘキサン1000質量部、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(以下、「TD」と略記する。)200質量部を入れ、これに40ml/分の流速で1時間窒素流通した。この重合性モノマー溶液について、25℃での液中酸素濃度を液中酸素濃度計(東興化学研究所製 TOX−90)で測定したところ、酸素濃度は1.4ppmであった。次に、オートクレーブ内部をエチレンガスで置換した後、メチルアルミノキサン(MAO)をアルミニウム原子換算で0.073質量部、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドを0.003質量部加え、エチレンガスを50リットル/hrの流量で循環させながら、25℃、常圧にて10時間重合反応を行った後、少量のイソブチルアルコールを添加することにより重合を停止した。この反応溶液をアセトン/メタノール混合溶媒に投入してポリマーを全量析出後、共重合体を濾取し、80℃にて48時間減圧乾燥させて樹脂を得た。
次に、得られた樹脂100質量部、テトラキス(1,2,2,6,6,−ペンタメチルピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート0.2質量部、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト0.05質量部、界面活性剤としてペンタエリスリトールジステアレート0.5質量部なる組成比で、ニ軸混練機(東芝機械社製、TEM−35B、スクリュー径37mm、L/D=32、スクリュー回転数150rpm、樹脂温度240℃、フィードレート10kg/時間)に添加、混練した後、ペレット化した。このペレット中のラジカル数について、ESR装置(日本電子社製;JES-FA200)を用いて測定したところ、1012スピン/gであった。
得られたペレットを、射出成形機(ファナック社製;AUTOSHOT MODEL 30A)により、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、一次射出圧力98.1MPa、二次射出圧力78.4MPaにて、射出成形し、樹脂基体が、Φ30mm、厚さ3mmである成形板1(光学素子に相当するもの)を得た。
(実施例2)
実施例1において、ヒンダードアミン系化合物であるテトラキス(1,2,2,6,6,−ペンタメチルピペリジル)ブタンテトラカルボキシレートを添加しない以外は同様の操作を行い、成型板2を得た。なお、成形前のペレット中のラジカル数は、1013スピン/gであった。
(実施例3)
攪拌装置を備えたステンレス製反応器内を充分に乾燥、窒素置換した後、これに脱水シクロヘキサン300質量部、スチレン60質量部、およびジブチルエーテル0.38質量部を仕込み、これに40ml/分の流速で1時間窒素流通した。この重合性モノマー溶液について、25℃での液中酸素濃度を液中酸素濃度計(東興化学研究所製;TOX−90)で測定したところ、酸素濃度は1.6ppmであった。この重合性モノマー溶液に、60℃で攪拌しながらn−ブチルリチウム溶液(15%含有ヘキサン溶液)0.36質量部を添加して重合反応を開始した。1時間重合反応を行った後、反応溶液中に、スチレン8質量部、イソプレン12質量部とからなる混合モノマーを添加し、さらに1時間重合反応を行った後、反応溶液にイソプロピルアルコール0.2質量部を添加して反応を停止させた。
次に、上記重合反応溶液300質量部を、攪拌装置を備えた耐圧反応器に移送し、水素化触媒として、シリカ−アルミナ担持型ニッケル触媒(日揮化学工業社製;E22U、ニッケル担持量60%)10質量部を添加して混合した。反応器内部を水素ガスで置換して、さらに溶液を攪拌しながら水素を供給し、温度を160℃に設定した後、圧力4.5MPaにて8時間水素化反応を行った。
反応終了後、反応溶液をろ過して水素化触媒を除去し、シクロヘキサン800質量部を加えて希釈した後、該反応溶液を3500質量部のイソプロパノール中に注いで共重合体を析出させた。次に、この共重合体を濾取し、80℃にて48時間減圧乾燥させて樹脂を得た。
次に、得られた樹脂100質量部、テトラキス(1,2,2,6,6,−ペンタメチルピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート0.2質量部、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト0.05質量部、界面活性剤としてペンタエリスリトールジステアレート0.5質量部なる組成比で、ニ軸混練機(東芝機械社製、TEM−35B、スクリュー径37mm、L/D=32、スクリュー回転数150rpm、樹脂温度240℃、フィードレート10kg/時間)に添加、混練した後、ペレット化した。このペレット中のラジカル数について、ESR装置(日本電子社製;JES-FA200)を用いて測定したところ、1011スピン/gであった。
得られたペレットを、射出成形機(ファナック社製AUTOSHOT MODEL 30A)により、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、一次射出圧力98.1MPa、二次射出圧力78.4MPaにて、射出成形し、樹脂基体が、Φ30mm、厚さ3mmである成形板3(光学素子に相当するもの)を得た。
(実施例4)
実施例3において、ヒンダードアミン系化合物であるテトラキス(1,2,2,6,6,−ペンタメチルピペリジル)ブタンテトラカルボキシレートを添加しない以外は同様の操作を行い、成型板4を得た。成形前のペレット中のラジカル数は5×1013スピン/gであった。
(比較例1)
実施例1において、重合性モノマー溶液に窒素流通を実施しない以外は同様の操作にて成形板5を得た。成形前のペレット中のラジカル数は1015スピン/gであった。
(比較例2)
実施例3において、重合性モノマー溶液に窒素流通を実施しない以外は同様の操作にて成形板6を得た。成形前のペレット中のラジカル数は5×1016スピン/gであった。
次に、実施例1〜実施例4、及び比較例1、2にて得られた成型板について、以下の方法にて溶融特性(メルトインデックス)及び光学特性(光線透過率及び光耐久性)を評価した。
(メルトインデックスの測定)
各成形板について、温度260℃、荷重2.16kgにおけるメルトインデックスをASTM D1238で規定された方法に従って測定した。結果を、表1に示す。
Figure 2007138044
(光線透過率の測定)
各成形板について、波長400nmによる光線透過率を測定した。結果を、表1に示す。
その結果、実施例1〜実施例4、比較例1、比較例2の各成形板とも光線透過率が90%以上で、高い透過率を示した。
(光耐久性の評価)
90℃、55%RHの恒温恒湿槽内で、図1に記載の光ピックアップ装置を用い、各成型板上に光源2のレーザーダイオードから405nmの波長の光を直径1mmの円形スポット光として250時間に亘り連続照射を施した後、そのレーザ照射箇所を目視観察し、下記の基準に従って、(1)白濁による透明性(着色度)、(2)形状安定性について評価した。結果を、表1に示す。
(1)着色度;
◎:連続照射後、レーザ照射箇所に白濁は全く認められない。
○:連続照射後、レーザ照射箇所に極僅か濁りが認められるが、実用上許容の範囲にある。
△:連続照射後、レーザ照射箇所に濁りが認められるが、実用上許容の範囲にある。
×:連続照射後、レーザ照射箇所に白濁現象が認められ、実用上問題がある。
(2)形状安定性;
◎:連続照射後、レーザ照射箇所に変形は全く認められない。
○:連続照射後、レーザ照射箇所に極僅か変形が認められるが、実用上許容の範囲にある。
△:連続照射後、レーザ照射箇所に僅かに変形が認められるが、実用上許容の範囲にある。
×:連続照射後、レーザ照射箇所に変形が認められ、実用上問題がある。
表1に示すように、実施例1〜実施例4にて製造された成形板では、短波長の光を長時間連続照射しても着色や白濁を生じず、更に、変形が生じず高い形状安定性を維持することができた。
(実施例5)
実施例1において、ペレットを射出成形して、成形板1を得る代わりに、図2に記載の構成の対物レンズ1を得た。
(実施例6)
実施例2において、ペレットを射出成形して、成形板2を得る代わりに、図2に記載の構成の対物レンズ2を得た。
(実施例7)
実施例3において、ペレットを射出成形して、成形板3を得る代わりに、図2に記載の構成の対物レンズ3を得た。
(実施例8)
実施例4において、ペレットを射出成形して、成形板4を得る代わりに、図2に記載の構成の対物レンズ4を得た。
(実施例9〜実施例13)
実施例5において、ペレットを射出成形して、対物レンズ1を得る代わりに、図3〜図7に記載の構成の対物レンズをそれぞれ得た。
(実施例14〜実施例18)
実施例6において、ペレットを射出成形して、対物レンズ2を得る代わりに、図3〜図7に記載の構成の対物レンズをそれぞれ得た。
(実施例19〜実施例23)
実施例7において、ペレットを射出成形して、対物レンズ3を得る代わりに、図3〜図7に記載の構成の対物レンズをそれぞれ得た。
(実施例24〜実施例28)
実施例8において、ペレットを射出成形して、対物レンズ4を得る代わりに、図3〜図7に記載の構成の対物レンズをそれぞれ得た。
(比較例3)
比較例1において、ペレットを射出成形して、成形板5を得る代わりに、図2に記載の構成の対物レンズ5を得た。
(比較例4)
比較例2において、ペレットを射出成形して、成形板6を得る代わりに、図2に記載の構成の対物レンズ6を得た。
(比較例5〜比較例9)
比較例3において、ペレットを射出成形して、対物レンズ5を得る代わりに、図3〜図7に記載の構成の対物レンズをそれぞれ得た。
(比較例10〜比較例14)
比較例4において、ペレットを射出成形して、対物レンズ6を得る代わりに、図3〜図7に記載の構成の対物レンズをそれぞれ得た。
次に、実施例5〜実施例28及び比較例3〜比較例14にて得られた対物レンズについて、以下の方法にてピックアップ特性を評価した。
(ピックアップ特性の評価)
実施例5〜実施例28、比較例3〜比較例14にて作製された対物レンズの物性変化について、上記(光耐久性の評価)と同様に評価し、この対物レンズを用いて、当該レンズがそれぞれ取り付けられた図1に記載の構成の光ピックアップ装置をそれぞれ作製した。次いで、各光ピックアップ装置を用いて、レーザーダイオードによる405nmの波長の光を用いて、DVDへの記録及び再生を行い、その際のピックアップ特性について評価した。結果を、表2に示す。
(1)ピックアップ特性;
ピックアップ特性の評価は、読み取りエラーが発生するレーザ照射時間をもとに評価されるものであり、読み取りエラーが発生するレーザ照射時間については下記の基準に従って行うものとする。
○:レーザの連続照射、250時間以上でも読み取りエラーの発生はない。
△:レーザの連続照射、200時間以上、250時間未満で読み取りエラーが発生する。
×:レーザの連続照射、200時間未満で読み取りエラーが発生する。
Figure 2007138044
ピックアップ特性の評価に際し、得られた対物レンズについてその物性変化を調べたところ、対応する成形板と同様の結果が得られることが確認された。そして、この対物レンズを用いてピックアップ装置を作製すると、実施例5〜実施例28の対物レンズを用いた光ピックアップ装置では、レーザの連続照射が250時間以上であっても読み取りエラーの発生がないものであり、良好なピックアップ特性を示した。一方、比較例3〜比較例14の対物レンズを用いた光ピックアップ装置では、レーザの連続照射が200時間未満であっても読み取りエラーが発生するものであり、ピックアップ特性の低下が見られた。また、この光ピックアップ装置では、その光学面の構造(光路差付与構造)がより微細(複雑)に形成されているものほど素子自体に変形が生じていることが観察された。
本発明に係る光ピックアップ装置1の概略を示す側面図である。 本発明に係る対物レンズの断側面図である。 本発明に係る対物レンズの断側面図である。 本発明に係る対物レンズの断側面図である。 本発明に係る対物レンズの断側面図である。 本発明に係る対物レンズの断側面図である。 本発明に係るホログラム光学素子及び対物レンズの断側面図である。
符号の説明
1 光ピックアップ装置
2 光源
3 コリメータレンズ
4 光軸
5 光情報記録媒体
6 情報記録面
7 偏光ビームスプリッタ
8 検出器
10、10a、10b、10c、10d、10f 対物レンズ(光学素子)
11、11a、11d、12d、22b 光学面
20、20a、20b、20c、20d 光路差付与構造
21 第1輪帯状レンズ面(輪帯状レンズ面)
21a、21d 回折輪帯
21b 輪帯状凹部
22 第2輪帯状レンズ面(輪帯状レンズ面)
23 第3輪帯状レンズ面(輪帯状レンズ面)
23b 輪帯状凸部

Claims (10)

  1. 少なくとも脂環式炭化水素系重合体を含む光学素子用樹脂組成物であって、
    ラジカル数が1014スピン/g以下であることを特徴とする光学素子用樹脂組成物。
  2. 請求項1記載の光学素子用樹脂組成物において、
    前記脂環式炭化水素系重合体が、下記式(1)で表される脂環式構造を有する繰り返し単位(a)と、下記式(2)及び/又は下記式(3)及び/又は下記式(4)で表される鎖状構造の繰り返し単位(b)とを、合計含有量が90質量%以上になるように含有し、さらに繰り返し単位(b)の含有量が1質量%以上10質量%未満であることを特徴とする光学素子用樹脂組成物。
    Figure 2007138044
    Figure 2007138044
    Figure 2007138044
    Figure 2007138044
    〔式(1)中、Xは脂環式炭化水素基であり、式(1)、式(2)、式(3)及び式(4)中、R1〜R13は、それぞれ独立に水素原子、鎖状炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、及び極性基(ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、又はシリル基)で置換された鎖状炭化水素基である。〕
  3. 前記脂環式炭化水素系重合体が、炭素原子数2〜20のα−オレフィンと下記式(5)で表される脂環式炭化水素とを共重合させて得られることを特徴とする請求項1記載の光学素子用樹脂組成物。
    Figure 2007138044
    〔式(5)中、nは0又は1であり、mは0又は1以上の整数であり、R14〜R33は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子又は炭化水素基であり、R30〜R33は互いに結合して単環又は多環を形成していてもよく、かっこの単環又は多環が二重結合を有していてもよく、またR30とR31とで、又はR32とR33とでアルキリデン基を形成していてもよい。〕
  4. ヒンダードアミン系安定剤、フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤の中から選ばれた少なくとも1種の安定剤を含むことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の光学素子用樹脂組成物。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の光学素子用樹脂組成物において、
    温度260℃、荷重2.16kgの条件で測定される前記光学素子用樹脂組成物のメルトインデックス(MI)値が、20<MI(g/10分)<60の範囲にあることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の光学素子用樹脂組成物。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の光学素子用樹脂組成物を成形して得られた光学素子であって、
    厚さ3mmで、波長400nmにおける光線透過率が85%以上であることを特徴とする光学素子。
  7. 請求項6に記載の光学素子において、
    少なくとも1つの光学面に所定の光路差付与構造を設けることを特徴とする光学素子。
  8. 集光機能を有する集光装置であって、
    請求項6又は請求項7に記載の光学素子を有することを特徴とする集光装置。
  9. 光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置であって、
    光を出射する光源と、
    前記光源から出射された光の前記光情報記録媒体への照射及び/又は前記光情報記録媒体で反射される光の集光を行う光学素子ユニットとを備え、
    前記光学素子ユニットは、請求項6又は請求項7に記載の光学素子を備えることを特徴とする光ピックアップ装置。
  10. 請求項9に記載の光ピックアップ装置において、
    前記光源は波長390nm〜420nmの光を出射することを特徴とする光ピックアップ装置。
JP2005334550A 2005-11-18 2005-11-18 光学素子用樹脂組成物、光学素子、集光装置及び光ピックアップ装置 Pending JP2007138044A (ja)

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