JP2007131552A - 新規抗生物質sf2856物質、その製造法および医薬組成物 - Google Patents

新規抗生物質sf2856物質、その製造法および医薬組成物 Download PDF

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泰宏 刑部
Shoichi Amano
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Abstract

【課題】既存の抗菌薬とは異なる化学構造を有し、種々の耐性菌に有効な、新しい抗菌薬を提供する。
【解決手段】放線菌ストレプトマイセス属の菌株を培養し、その培養物よりPromoinducin,Sulfomycin等に類似したチオペプチド系抗生物質に属する新規化合物SF2856を見出した。SF2856は黄色ブドウ球菌等のグラム陽性菌に対し、1μg/ml以下のMICを示した。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規抗生物質SF2856物質、その製造法および該化合物を有効成分とする医薬組成物に関する。
化学療法による感染症の治療は、これまでにβ-ラクタム系抗菌薬、アミノ配糖体系薬、マクロライド系薬およびニューキノロン系薬を含む多くの抗菌薬が開発され、感染症の治療に用いられてきた。
一方で、これら薬剤の頻用により、既存の抗菌薬が効かない耐性菌が出現し、新しい耐性菌が次々と報告され、感染症としても注目を集めている。臨床の現場では耐性菌による感染症治療が大きな課題の1つになっており、新薬開発においては、既存の抗菌薬と交叉耐性のない新しい抗菌薬の開発が望まれている。
本発明の化合物はチオペプチド(thiopeptide)系抗生物質に属する新規物質である。特に化学構造が類似する抗生物質として、Promoinducin(非特許文献1参照)、Sulfomycin II,III(非特許文献2参照)および10381y物質(特許文献1参照)が知られている。しかし、本発明の化合物はこれらとは化学構造が異なる。
国際公開第95/07292号パンフレット Promoinducin,Yun et.al, Biosci. Biotech. Biochem. 59: 876, 1995 SulfomycinsII,III, Kohno et. al, J. Antibiot. 49: 1063, 1996
耐性菌による感染症の難治化を克服するために、既存の抗菌薬とは異なる化学構造を有し、種々の耐性菌に有効な、新しい抗菌薬の開発が望まれている。
本発明者らは、新しい化学構造を有する抗菌薬を見出すため、微生物が生産する抗生物質に着目し、微生物の産物中より新規抗菌薬となり得る抗生物質を探索した。その結果、ストレプトマイセス属に属する放線菌の培養液中に抗菌活性を有する物質の存在を見出した。
さらにこの培養液中の活性物質を同定するため、培養液から活性成分を精製し、その化学構造を解析したところ、式(1)で表される新規化合物が抗菌活性を有することを明らかにし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は式(1)で表される新規抗生物質SF2856物質を提供する。また、本発明は、本発明化合物を生産する菌、SF2856株を培養し、その培養液から目的化合物を採取することを特徴とする、本発明化合物の製造法を提供するものである。さらに本発明は、本発明化合物を含有する医薬組成物、詳しくは抗菌薬を提供するものである。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
1)式(1)
Figure 2007131552
(1)
で表されるSF2856物質、又はその製薬学的に許容される塩。
2)式(1)で表されるSF2856物質を生産するストレプトマイセス属に属する菌を培養し、その培養物よりSF2856物質を採取することを特徴とするSF2856物質の製造法。
3)式(1)で表されるSF2856物質、またはその製薬学的に許容される塩を、薬学上許容し得る担体とともに含んでなる医薬組成物。
4)抗菌剤として用いられる3)記載の医薬組成物。
5)ストレプトマイセス属に属する菌であって、式(1)で表されるSF2856物質を生産する特徴を有し、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターにおける受託番号がFERM P-20615であるストレプトマイセス エスピー SF2856株、又はその変異株。
本発明の式(1)で表される新規抗生物質SF2856物質は、優れた抗菌活性を有しており、感染症の予防もしくは治療のための医薬品の成分として有用である。
本発明の式(1)で表される新規抗生物質SF2856物質(以下SF2856物質とする)は、下記の物理化学的性状を有する。
1)色および性状:白色粉末
2)分子式:C51H49N15O15S2
3)マススペクトル(HRFAB-MS)
実測値:m/z 1176.3060 [M+H]+
計算値:m/z 1176.3052 [C51H49N15O15S2+H]+
4)比旋光度:[α]D=−15.7°(c 0.11, MeOH, 20℃)
5)紫外線吸収スペクトル
λmax,nm(ε):[MeOH]205(106,000),245(85,800),312 (18,100, sh) [MeOH-0.1N HCl(9:1)]210(92,700),248(88,100),312(18,500, sh)[MeOH-0.1N NaOH(9:1)]206 (268,000), 248(87,600),312(20,800, sh)
6)赤外線吸収スペクトル(KBr錠)
νmax,cm-1:3356,2976,2932,1663,1506,1431,1398,1340,1234,1200,1124,1084,986,889
7)1H-NMRスペクトル[DMSO-d6, 400MHz, 内部標準:TMS (0 ppm)]
δ(ppm):1.11(d),1.21(d),1.76(d),2.57(s),2.57(s),3.26(s),4.16(m),4.35(dd),
4.47(m),4.96(d),5.25(d),5.67(s,),5.68(s),5.79(s),5.79(s),5.83(s),6.01(s),6.28(d),6.41(s),6.46(s),6.47(d),6.50(q),7.51(br,s),7.94(br,s),8.19(d),8.30(d),8.40(d),8.45(s),8.54(s),8.69(s),8.70(d),9.18(br,s),9.41(s),9.46(s),10.01(s),10.04(s),10.49(s)
8)13C-NMRスペクトル[DMSO-d6 ,100MHz,内部標準:DMSO-d6 (39.5 ppm)]
δ(ppm):11.5(q),11.5(q),13.7(q),20.2(q),22.8(q),55.4(q),59.3(d),62.4(d),66.3(d),77.2(d),105.2(t),105.8(t),106.2(t),112.8(t),120.7(s),121.9(d),123.5(s),127.0(d),127.5(d),128.7(s),129.1(s),129.6(s),129.7(d),130.7(s),133.4(s),134.6(s),135.1(s),136.7(d),138.7(s),140.2(d),140.3(d),146.7(s),148.8(s),148.8(s),149.0(s),153.5(s),154.1(s),156.3(s),156.9(s),158.3(s),159.1(s),159.8(s),160.6(s),161.3(s),161.5(s),162.0(s),162.4(s),162.7(s),165.2(s),167.5(s),169.7(s)
9)溶解性については、ジメチルスルホキシド、メタノールに可溶、クロロホルム、酢酸エチルに難溶および水に不溶である。
SF2856物質の「製薬学的に許容される塩」としては、製薬学的に許容される酸との塩が挙げられる。例えば、塩酸、硫酸、硝酸、りん酸などの無機酸あるいは酢酸、プロピオン酸、酪酸、リンゴ酸などの有機酸との塩が挙げられる。
SF2856物質は、ストレプトマイセス属に属するSF2856物質生産菌を培養し、その培養液からSF2856物質を採取し、精製することによって製造することができる。SF2856物質生産菌として、例えば本発明者らが千葉県の土壌から分離したストレプトマイセス属に属するSF2856株が挙げられる。本菌株の菌学的性状、培養法並びにSF2856物質の精製法は以下のとおりである。
なお、本発明で用いられるSF2856物質生産菌は、本明細書に記載の特定の微生物に限定されるものではない。SF2856物質を生産する能力を有している菌であれば、SF2856物質生産菌としていずれを用いてもよい。使用できる微生物の例として、SF2856株、その継代培養物、人工変異株、自然変異株あるいは遺伝子組換え株などが挙げられる。
SF2856株の形態的性質、培養的性質、生理学的性質、化学分類学的性質および16S rRNA遺伝子の解析による分類学的解析は、放線菌の分類と同定(日本放線菌学会編、日本学会事務センター刊、2001年)に記載された方法に従った。
SF2856株を酵母エキス・でんぷん寒天培地(酵母エキス0.2%、でんぷん1.0%、寒天18 g、精製水1L、pH 7.0)で28℃、14日間培養し、光学顕微鏡並びに走査型電子顕微鏡で観察した。基生菌糸は長く伸張し、不規則に分岐するが、分断はしない。気菌糸はスターチ寒天、グリセロール・アスパラギン寒天、オートミール寒天で豊富に着生し、胞子形成も良好である。胞子連鎖は直線的あるいはカール状である。胞子は球形または楕円形で0.6〜0.8 X 0.8〜1.0 μm。表面は刺状で、通常7〜20個ほど連鎖する。胞子嚢や運動性胞子は観察されない。
28℃で14日間培養後のSF2856株の生育、気菌糸の着生状態ならびに色、コロニーの裏面の色を確認した結果は以下の通りである。なお、可溶性色素は全ての培地で認められなかった。色の表示はColor Harmony Manual(Container Corporation of America, 1958)に従った。
1)イースト・麦芽寒天培地(ISP-2): 生育は普通で、気菌糸の着生は豊富で乳白色である。裏面は黄土色を呈する。
2)オートミール寒天培地(ISP-3): 生育は良好で、気菌糸の着生は豊富で淡白色である。裏面は黄土色を呈する。
3)スターチ・無機塩寒天培地(ISP-4): 生育は良好で、気菌糸の着生は豊富で淡白色である。裏面は黄土色を呈する。
4)グリセリン・アスパラギン寒天培地(ISP-5): 生育は良好で、気菌糸の着生は豊富で淡白色である。裏面は黄土色を呈する。
5)ぺプトン・イースト・鉄寒天培地(ISP-6): 生育は貧弱で、気菌糸の着生は見られない。裏面は灰褐色を呈する。
6)チロシン寒天培地(ISP-7): 生育は普通で、気菌糸の着生は豊富で乳白色である。裏面は黄土色を呈する。
7)スターチ・イースト寒天培地: 生育は良好で、気菌糸の着生は豊富で淡白色である。裏面は黄土色を呈する。
8)グルコース・アスパラギン寒天培地: 生育は普通で、気菌糸の着生は豊富で淡白色である。裏面は黄土色を呈する。
生理学的性質としては、以下の通りである。
1)メラニン様色素の生成: ペプトン・イースト・鉄寒天培地(ISP-6)およびチロシン寒天培地(ISP-7)でメラニン様色素を生成しない。
2)ゼラチンの液化: ゼラチンを液化しない。
3)ミルクの凝固・ペプトン化: スキムミルクをペプトン化および凝固する。
4)スターチの加水分解: スターチを弱く加水分解する。
5)硝酸塩の還元: 硝酸塩を還元しない。
6)生育温度範囲: 15℃および42℃で弱く生育し、28℃〜37℃で良好に生育する。生育至適温度は28℃近辺である。
7)耐塩性: 酵母エキス・でんぷん寒天培地を基礎培地とした場合、食塩濃度2%で生育し、4%でも弱く生育する。
8)炭素源の利用: D-グルコース、ラフィノース、D-キシロース、D-フルクトース、シュクロース、D-マンニトール、L-ラムノース、myo-イノシトール、トレハロースおよびセロビオースを利用するが、L-アラビノースは利用しない。
全菌体細胞壁成分について、シリカゲル薄層クロマトグラフィーによる分析から、本菌株は、LL−ジアミノピメリン酸(LL−A2Pm)を含むこと、および本菌株の形態的特徴から、ストレプトマイセス属に属すると考えられる。
16S rRNA遺伝子解析について、SF2856株の16S rRNA遺伝子の部分塩基配列(768bp)を解読しデータベース検索を行った結果、Streptomyces glomeratus (AJ781754) との相同性が99%と最も高く、次いでStreptomyces tricolor (AY999880)と98%の相同性があり、ストレプトマイセス(Streptomyces)属のクラスターに含まれた。
以上のことから、SF2856株はストレプトマイセス属に属する菌株と考えられ、本菌株をストレプトマイセス エスピー(Streptomyces sp.)SF2856と呼称することとした。
なお、本菌株は、平成17年8月10日付けで受託番号FERM P-20615として独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託されている。
本発明の方法では、SF2856物質生産菌、例えばSF2856株を適当な炭素源および窒素源を含む栄養培地で培養する。使用される培地は天然培地又は合成培地のいずれでもよい。炭素源としては、グルコース、フラクトース、シュクロース、糖蜜、でんぷん又はでんぷん加水分解物などの炭水化物あるいはプロピオン酸などの有機酸類が用いられる。一方、窒素源としては、通常ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスチープリカー、オートミール、小麦胚芽、カゼイン加水分解物、大豆粕又は大豆粕加水分解物を使用するが、アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム又はリン酸アンモニウムなどの無機窒素化合物、あるいは尿素又はアミノ酸などの有機窒素化合物も有効である。なおこれらの炭素源および窒素源はそれぞれ併用することができる。
必要ある場合には、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム又はその他の無機塩類を培地に添加してもよい。また、培地が発泡する場合には、液体パラフィン、動物油、植物油、鉱物油又はシリコンなどを添加することができる。
SF2856物質生産菌の培養は、振盪培養又は深部通気撹拌培養などにより好気的条件下で行う。培養温度は、SF2856物質生産菌が目的物質を生産する範囲内で適宜変更し得るが、好ましくは25〜37℃がよい。培養時間は通常1〜14日間である。
微生物培養液からの本発明のSF2856物質の採取および精製にあたっては、その性状を利用した通常の分離手段、例えば溶剤抽出法、吸着剤を用いた吸脱着法、各種樹脂を用いたクロマトグラフ法および沈殿法を適宜組み合わせて用いることができる。具体的には、SF2856株の培養液にアセトンを加えて菌体からSF2856物質を抽出し、ろ過あるいは遠心分離によって菌体を除去する。得られた抽出液からアセトンを留去した後に、酢酸エチルで抽出後、シリカゲル、LH-20およびODSなどのカラムで順次精製をすすめる。最後にHPLCあるいはTLCによる精製を行い、SF2856物質を単離することができる。
本発明のSF2856物質又はその製薬学的に許容される塩は、試験例に示すように抗菌活性を有しており、SF2856物質を有効成分として含有する医薬組成物は、ヒトを含む動物に医薬、好ましくは抗菌剤として投与することが有用である。抗菌剤としてSF2856物質を使用する場合に対象となる菌は、SF2856物質が抗菌活性を示す菌であれば特に限定されるものではないが、特にグラム陽性菌に優れた抗菌活性を示す。
SF2856物質又はその製薬学的に許容される塩を含む医薬組成物は,種々の投与形態あるいは使用形態に合わせて、必要に応じて担体とともに常法に従い製剤化することができる。
経口投与のための製剤としては、錠剤、丸剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、舌下剤などが挙げられる。また非経口投与のための製剤としては、注射剤、経皮吸収剤、吸入剤、坐剤などが挙げられる。製剤化に際しては、界面活性剤、賦形剤、安定化剤、湿潤剤、崩壊剤、溶解補助剤、等張剤、緩衝剤、着色料、着香料などの医薬用添加剤を適宜使用する。
担体としては、製薬学上許容されるものを用いることができ、その種類および組成は投与経路や投与方法によって適宜決定することができる。例えば、液状担体として水、アルコール、大豆油、ゴマ油などを用いることができる。固体担体として、マルトース、スクロースなどの糖類、リジンなどのアミノ酸類、シクロデキストリンなどの多糖類、ステアリン酸マグネシウムなどの有機酸塩類、ヒドロキシルプロピルセルロースなどのセルロース誘導体を使用できる。
SF2856物質又はその塩を医薬組成物として投与する場合、その投与量は、患者の年齢、体重、 疾病の種類や程度、投与経路により異なるが、ヒトに経口投与する場合には成人一人当たり一日に0.05〜500 mg/kgの範囲であり、また静脈投与の場合には同じく0.01〜100 mg/kgの範囲内で投与することができる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものでなく、ここに示されなかった変法あるいは修飾手段のすべてを包括する。
(実施例1)
SF2856物質生産菌の培養は以下の方法にて実施した。最初にグルコース1.0%、可溶性でんぷん2.0%、酵母エキス0.3%、ポリぺプトン0.5%、小麦胚芽0.6%、大豆粕0.2%および炭酸カルシウム0.2%を含み、6 N水酸化ナトリウムでpH 7.0に調整したシード培地を100 mL容エレンマイヤーフラスコ3本に20 mLずつ分注し、120℃で20分間滅菌した。これに寒天平板培養のSF2856株(FERM AP-20615)を一白金耳ずつ植菌し、28℃で2日間振盪培養して1次シード培養液とした。次いでシード培地500 ml を分注した2L容三角フラスコを120℃で20分間滅菌し、前記1次シード10 mlを植菌し、28℃で2日間振盪培養して2次シード培養液とした。さらにシード培地50 Lを調整し、殺菌した100 L容ジャーファーメンターに前記2次シードを2%の割合で植菌し、28℃で1日、通気撹拌培養してこれを3次シード培養液とした。
一方、グリセロール1.5%、デキストリン2.0%、乾燥酵母1.0%、大豆粕1.0%、炭酸カルシウム0.2%、および微量金属類0.05%を含み、6N水酸化ナトリウムでpH 7.2に調整した生産用培地1KL分を仕込み殺菌した2KL容培養タンクに、前記の3次シード培養液25Lを植菌し、28℃で4日間通気撹拌(100-330 rpm)培養した。
SF2856物質の精製は以下の方法にて実施した。最初に得られた培養物(900 L)に等量のメタノールで抽出し、篩過液1.6KLに吸着剤HP-20を加えて一昼夜吸着させた。篩過によりHP-20を回収し、60%メタノール100Lで予洗した後100%メタノール400Lで抽出した。抽出液を減圧濃縮し、濃縮液32Lに酢酸エチル70Lを用いてpH3で抽出を行い、減圧濃縮して67gの粗抽出物を得た。この30gを用いて、1Lのシリカゲル(ワコーゲルC300、和光純薬)を充填したカラムに重層し、メタノール-クロロホルム(1:50)から、メタノール-クロロホルム(1:20)で順次溶出し、溶出液を併せて減圧濃縮し、8.8gの残渣を得た。この残渣を170 mlのシリカゲル(C60)に吸着し、メタノール-クロロホルム(1:20)で溶出し、乾固物1.44gを得た。これをメタノール-クロロホルム(2:1)で充填したセファデックスLH-20(ファルマシア社)900mlのカラムにかけ、メタノール-クロロホルム(2:1)で展開してSF2856物質を含む活性画分を減圧濃縮し、0.52gを得た。この残渣を少量のメタノールに溶解して、HPLC(カラム: デベロジルODS-15/30、内径5 cm×50cm、野村化学)に注入し、35%アセトニトリルで溶出した。SF2856物質を含む溶出液を集めて減圧下でアセトニトリルを留去し、酢酸エチルで抽出後、酢酸エチル層を減圧下乾燥して90mgのSF2856物質を得た。
(試験例1)
SF2856物質の抗菌活性を、寒天希釈法による最小発育阻止濃度(MIC)として測定した。増殖用培地で一夜培養した試験菌を106 cells/mlに調整し、その1白金耳を、SF2856物質を含むミュラーヒントンアガー培地(Difco社製)または馬血液添加ミュラーヒントンアガー培地に接種し、37℃で18〜20時間培養した。結果を表1に示す。
SF2856物質の抗菌活性
Figure 2007131552


Claims (5)

  1. 式(1)
    Figure 2007131552
    (1)
    で表わされるSF2856物質、又はその製薬学的に許容される塩。
  2. 請求項1記載の式(1)で表されるSF2856物質を生産するストレプトマイセス属に属する菌を培養し、その培養物よりSF2856物質を採取することを特徴とするSF2856物質の製造法。
  3. 請求項1記載の式(1)で表されるSF2856物質、またはその製薬学的に許容される塩を、薬学上許容し得る担体とともに含んでなる医薬組成物。
  4. 抗菌剤として用いられる請求項3記載の医薬組成物。
  5. ストレプトマイセス属に属する菌であって、請求項1記載の式(1)で表されるSF2856物質を生産する特徴を有し、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターにおける受託番号がFERM P-20615であるストレプトマイセス エスピー SF2856株、又はその変異株。
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