JP2007124026A - 光クロック信号抽出方法及び光クロック信号抽出装置 - Google Patents

光クロック信号抽出方法及び光クロック信号抽出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】入力光信号の偏波面依存性がなく、波長の変動や環境温度の変化に対しても、安定して電子デバイスの上限動作速度を超える高速入力光信号から光クロック信号を抽出できる。
【解決手段】分周クロック信号抽出装置12には、伝送レートがf(Gbit/s)である入力光信号10が入力されて分周電気クロック信号14が出力される。第1モード同期半導体レーザ16には、分周電気クロック信号が入力されて分周電気クロック信号の周波数f/N(GHz)と等しい繰り返し周波数の分周光クロック信号18が出力される。ここで、Nはチャンネル数である。OTDM回路20には、分周光クロック信号が入力されて多重され、入力光信号の伝送レートと一致した繰り返し周波数f(GHz)の多重光クロック信号22が出力される。第2モード同期半導体レーザ24には、多重光クロック信号が入力されて、多重光クロック信号の繰り返し周波数f(GHz)と一致したビットレートの再生光クロック信号26が出力される。
【選択図】図1

Description

この発明は、長距離大容量光ファイバ通信システムの光中継器などにおいて用いられる光クロック信号抽出に関し、特に電子デバイスの上限動作速度を超える高速光クロック信号の抽出方法及びこの方法を実現するための装置に関する。
光通信ネットワークは、伝送の長距離化及び大容量化が進められている。伝送の長距離化にともなって、光伝送路における光損失、光増幅器の多段使用によるS/N比の低下、及び光ファイバの群速度分散や光ファイバ中での非線形光学効果による波形歪が発生すること等により、光信号の品質が劣化することが問題となる。周波数波形歪及び時間波形歪の発生は、伝送容量が大きくなるほど、顕著な問題となる。
そのため、光伝送路の途中に、数十から数百キロメートルの間隔で中継器を設けて、この中継器によって、光信号の周波数波形及び時間波形を元の形状に戻す、いわゆる光信号の再生が行われている。この中継器の主要な役割の一つがクロック信号抽出である。クロック信号抽出とは、時間波形が歪んだ光パルスからなる光信号、いわゆる品質の劣化した光信号から、そのビットレートに対応する周波数のパルス出力(あるいは正弦波出力)信号を生成することである。クロック信号としては、電気信号として抽出される場合と光信号として抽出される場合があるが、以後、特にいずれの形で抽出されるかを明示する必要があるときに限り、それぞれ電気クロック信号及び光クロック信号と書き分けることもある。
クロック信号抽出方法として従来知られた一般的な手法の一つは、品質の劣化した光信号をフォトダイオード等に入力させて光電変換し、そのフォトダイオードからの出力電気信号を狭帯域電気フィルタ(以後、「バンドパスフィルタ」ということもある。)によってフィルタリングすることによって、入力光信号のビットレートに対応する周波数成分のみを抽出する方法である。以後、品質が劣化した光信号を含めて、クロック信号を抽出する対象となる光信号を入力光信号ということもある。
一般に、フォトダイオードの光電変換特性はその偏波依存性が小さいので、入力光信号の偏波面の時間的な揺らぎが存在しても、フォトダイオードを利用することによって安定してクロック信号を抽出することができる。
一方、光通信ネットワークの伝送容量を大きくするための技術として、光時分割多重(OTDM: Optical Time Devision Multiplexing)等の多重伝送技術が研究されている。多重信号のビットレートは、その多重されている1チャンネル当たりのビットレートのチャンネル数倍となるので、非常に大きなビットレートとなる。以後、多重信号のビットレートを伝送レート、1チャンネル当たりのビットレートをベースレートということもある。
多重信号のビットレートが40 Gbit/sを超えると、電子デバイスではクロック信号を抽出することが困難となる。これは、40 Gbit/s以上のビットレートの光信号に対しても動作するフォトダイオード、及び40 GHz以上の電気信号に対しても動作する電気狭帯域フィルタが開発されていないためである。
そのため、高速光信号からクロック信号を抽出するために、従来、以下に説明する2つの方法が検討されてきた。
第1の方法は、光信号を電気信号に変換することなく、直接光クロック信号を抽出する方法である。この方法として、モード同期レーザを利用する方法(例えば、非特許文献1参照)。また、セルフパルセーションレーザなど、自励光パルス発生レーザを用いる方法(例えば、非特許文献2参照)が知られている。
上述のいずれの方法においても、入力光信号のビットレートに近い繰り返し周波数で光パルスを発生するモード同期レーザあるいはセルフパルセーションレーザに、入力光信号を入力し、モード同期レーザあるいはセルフパルセーションレーザからの出力光パルスを、入力光信号のビットレートに同期させることによって、光クロック信号を抽出する。
この第1の方法の利点は、電子デバイスでは実現不可能である高速のクロック信号を、光クロック信号の形で抽出できる点にある。例えば、160 Gbit/sの光信号から光クロック信号の抽出に成功した例が報告されている(例えば、非特許文献3参照)。以後、電気信号ではなく光信号の形態のクロック信号であることを明示する必要がある場合には、光クロック信号と表記する。
次に、クロック信号を抽出するための第2の方法について説明する。説明の便宜上、1チャンネルに割り当てられるビットレートが40 Gbit/sであって、4チャンネル多重されて得られる160 Gbit/sの光時分割多重信号(以後、「OTDM信号」ということもある。)から160 GHzの光クロック信号を抽出する場合を例にとって第2の方法を説明する。
まず、第1ステップとして、160 Gbit/sのOTDM信号である入力光信号からベースレートに相当する周波数の電気分周クロック信号を抽出する(例えば、非特許文献4参照)。この電気分周クロック信号は、40 GHzの正弦波電気信号である。この40 GHzの正弦波電気信号で光パルス光源を駆動して、40 GHzの光パルス列を発生させる。次に第2ステップとして、この40 GHzの光パルス列を光増幅器で増幅し、光時分割多重装置(以後、「OTDM装置」ということもある。)で4逓倍して、160 Gbit/sの光パルス列として光クロック信号を得る。この160 Gbit/sの光パルス列を光増幅器で増幅して、伝送レートである160 Gbit/sに等しい周波数の光クロック信号を得る。
第1ステップにおける、入力光信号からベースレートに相当する周波数の電気分周クロック信号を抽出するには、具体的には次のように行う。多重するチャンネル数をNチャンネルとし、ベースレートに相当する周波数をf/Nとして説明する。この場合伝送レートに相当する周波数はfとなる。ベースレートに相当する周波数をfから少しずれた周波数((f/N)+Δf)のパルス電圧で光源を駆動して、この光源から出力される光パルスを半導体光増幅器(LDA:Laser Diode Amplifier)に入力する。また、同時に入力光信号も半導体光増幅器に入力する。
このようにすると、半導体光増幅器では入力光信号と上述の光パルスとの間で4光波混合(FWM:Four-Wave Mixing)光が生成される。この4光波混合光の周波数成分には、周波数N×((f/N)+Δf)の光パルスと周波数fの入力光信号との両者のビート周波数NΔfに相当する光成分が存在する。このビート成分の位相を検出して、電圧制御型発振器(VCO: Voltage Controlled Oscillator)にフィードバックすることで、位相同期ループ(PLL:Phase Lock Loop)回路を形成する。この位相同期ループ回路から電気分周クロック信号が抽出される。ここで、VCOの中心周波数はf/Nであるように設定されている。つまり、VCOへの入力信号が0 Vであるとき出力信号の周波数がf/Nに等しくなるように設定されている。
また、第1ステップは上述の方法による他、次の方法でも実施できる。この方法は、位相同期ループ回路を半導体電界吸収(EA:Electro Absorption)光変調器を用いて構成する方法である。EA光変調器を利用する方法では、EA光変調器に入力光信号を入力する。そしてEA光変調器には、周波数((f/N)-Δf)の電気正弦波信号を供給する。この結果EA光変調器からは、ビート周波数NΔfに相当する光成分が生成されて出力される。このビート周波数成分の位相を電気的に検出して、VCO(中心周波数f/N)にフィードバックすることで、位相同期ループ回路を形成する。この位相同期ループ回路から分周クロック信号が抽出される。
第2の方法の第1ステップとして、上述したいずれの方法によっても、検出及び制御すべき信号は、周波数がNΔfの低周波数成分である。従って、市販のフォトダイオード及び電気狭帯域フィルタで、検出及び制御が可能である。従って、上述の方法によれば、電子デバイスの上限動作速度を超えた超高速入力光信号から分周クロック信号を抽出することが可能である。また、伸縮歪を導入した多重量子井戸構造を有するLDAやEA光変調器を利用すれば、それぞれ、偏波無依存処理が可能となる。
第2の方法の第2ステップは、40 GHzの光パルス列をOTDM装置で4逓倍して、160 GHzの光パルス列として光クロック信号を得るステップである。第2ステップでは、光カプラと光ファイバとで構成されるタイプ、及び半透鏡等のバルク型光学系によって構成されるタイプが利用される。
光カプラと光ファイバとで構成されるタイプのOTDM装置では、次のようにして160 GHzの光パルス列が生成される。まず、1入力2出力の光カプラで40 GHzの光クロック信号が2分岐される。2分岐された光クロック信号間に、12.5 psの奇数倍に相当する相対光遅延時間差を与えられた後、2入力1出力の光カプラで再度合波されることで、80 GHzの光クロック信号が生成される。次に、この80 GHzの光クロック信号が1入力2出力の光カプラで2分岐されて、6.25 psの奇数倍に相当する相対光遅延時間差を与えられた後、2入力1出力の光カプラで再度合波されることで、160 GHzの光クロック信号が生成される。
このような機能を有するOTDM装置は、光カプラ及び光遅延回路がガラス基板に作り込まれた、いわゆるPLC(Planar Lightwave Circuit)回路で構成されている(例えば、非特許文献4参照)。また、半透鏡等のバルク型光学系によって構成されるタイプのOTDM装置によっても、同様に40 GHzの光クロック信号から160 GHzの光クロック信号が生成できる(例えば、非特許文献5参照)。
上述のOTDM装置は、入力光信号を入力する際の光学結合損失や、光カプラにおける分岐損失によって光信号強度が低下する。そのため、この損失を補償するために、少なくとも上述のOTDM装置の入力側及び出力側のいずれか一方には、エルビウムドープ光ファイバ増幅器あるいはLDA等の光増幅器を設置するのが一般的である。
上述した高速光信号からクロック信号を抽出する第1及び第2の方法には、次のような問題点がある。
第1の方法における問題点は、光クロック信号抽出のための動作が、入力光信号の偏波面に依存する点である。すなわち、モード同期レーザやセルフパルセーションレーザに光クロック信号抽出のための動作を実行させるためには、入力光信号の偏波面とこれらレーザ発振偏波面とが一致している必要がある。このため、入力光信号の偏波面が変動すれば、光クロック信号抽出が安定して実行されない。一般に、入力光信号は、偏波面の保存が保障されないシングルモード光ファイバを長距離伝播しているので、その偏波面は一定していない。そのため、このような入力光信号がこれらのレーザに入力されると、その動作が不安定となり、光クロック信号を安定して抽出することが困難となる。
第2の方法における問題点は、逓倍されて生成された光クロック信号(上述の例では、160 GHzの光クロック信号)を構成する光パルスの強度及びそれらの間隔を等しく生成するのが難しい点である。また、光クロック信号を構成する光パルス間の位相関係を一定に保つことが難しい点である。これらの問題が解決できないと、チャンネル間FMWなどの隣接する光信号間での相互作用に影響を与え、光ファイバ伝送に支障が発生することが知られている(例えば、非特許文献6参照)。
上述した問題を解決するためには、OTDM装置における光クロック信号の逓倍過程において、光損失の低減化及び高精度な光遅延制御を行う技術を確立する必要がある。また、光クロック信号を構成する光パルス間の位相関係を一定に保つことまで実現させるためには、例えば、波長1.5μmの光に対して光周波数に換算して200 THzに相当する高精度で光遅延を付加する必要がある。更に、OTDM装置の波長無依存化、外部温度環境の変化に対する影響の除去といった対策を講ずる必要がある。このためには、OTDM装置に、可変光減衰器、可変光遅延回路、温度制御装置、更にこれらの制御のためのフィードバック制御機構を導入する必要がある。しかしながら、これらの装置及び機構をOTDM装置に導入することは、システムの大型化、複雑化、高コスト化がもたらされるという難点がある。
T. Ono, T. Shimizu, Y. Yano, and H. Yokoyama, "Optical clock extraction from 10-Gbit/s data pulses by using monolithic mode-locked laser diodes," OFC'95 Technical Digest, ThL4. M. Jinno and T. Matsumoto, "All-optical timing extraction using a 1.5 mm self pulsating multielectrode DFB LD," Electron. Lett., vol. 24, No. 23 pp. 1426-1427, 1988. S. Arahira, S. Sasaki, K. Tachibana, Y. Ogawa, "All-optical 160-Gb/s clock extraction with a mode-locked laser diode, module," IEEE Photon. Technol. Lett. vol. 16, No. 6, pp. 1558-1560, 2004. S. Kawanishi, T. Morioka, O. kamatani, H. Takara、and M. Saruwatari, "100 Gbit/s, 200 km optical transmission experiment using extremely low jitter PLL timing extraction and all-optical demultiplexing based on polarisation-insensitive four-wave mixing," Electron. Lett. vol. 30, No. 10, pp. 800-801, 1994. H. Murai, M Kagawa, H. Tsuji, and K. Fujii, "EA modulator-based optical multiplexing/demultiplexing techniques for 160 Gbit/s OTDM signal transimssion." IEICE Trans. Electron., vol. E88-C, No. 3, pp. 309-318, 2005. M. Kagawa, H. Murai, H. Tsuji, and K. Fujii, "Performance comparison of bitwise phase-controlled 160 Gbit/s signal transmission using an OTDM multiplexer with phase-correlation monitor," Proc. ECOC 2004, vol. 3, paper We4. p. 109, Stockholm, 2004.
そこで、この発明は、単純な構成であって、入力光信号の偏波面依存性がなく、波長の変動や環境温度の変化に対しても、安定して電子デバイスの上限動作速度を超える高速入力光信号から光クロック信号を抽出できる、光クロック信号抽出方法及び光クロック信号抽出装置を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、この発明の光クロック信号抽出方法は、以下のステップAからステップDを含んで構成される。
(A)入力光信号から分周電気クロック信号を抽出するステップ(ステップA)
(B)分周電気クロック信号から、分周電気クロック信号の周波数と等しい繰り返し周波数の分周光クロック信号を生成するステップ(ステップB)
(C)分周光クロック信号を多重して、入力光信号の伝送レートと一致した繰り返し周波数の多重光クロック信号を生成するステップ(ステップC)
(D)多重光クロック信号から、多重光クロック信号の繰り返し周波数と一致した繰り返し周波数の再生光クロック信号を生成するステップ(ステップD)。
この発明の光クロック信号再生方法は、次の構成要素を具える第1又は第2光クロック信号抽出装置によって実現される。
第1光クロック信号抽出装置は、分周クロック信号抽出装置と、第1モード同期半導体レーザと、光時分割多重回路(以後、「OTDM回路」ということもある。)と、第2モード同期半導体レーザとを具えて構成される。
分周クロック信号抽出装置は、入力光信号から分周電気クロック信号を抽出して出力するステップAを実行する。
第1モード同期半導体レーザは、分周電気クロック信号が入力されて、分周電気クロック信号の周波数と等しい繰り返し周波数の分周光クロック信号を生成して出力するステップBを実行する。
OTDM回路は、第1モード同期半導体レーザから出力される分周光クロック信号を多重して、入力光信号の伝送レートと一致した繰り返し周波数の多重光クロック信号を生成して出力するステップCを実行する。
第2モード同期半導体レーザは、多重光クロック信号が注入されることによって、多重光クロック信号の繰り返し周波数と一致した繰り返し周波数の再生光クロック信号を生成して出力するステップDを実行する。
また、第2光クロック信号抽出装置は、OTDM回路の代わりに光分散媒体を具える点が第1光クロック信号抽出装置と異なる。
第1又は第2光クロック信号抽出装置において、第1モード同期半導体レーザを、半導体電界吸収光変調器を具える能動モード同期半導体レーザとするのが好適である。第1又は第2光クロック信号抽出装置において、第2モード同期半導体レーザを、可飽和吸収体を具える受動モード同期半導体レーザとするのが好適である。
また、第2光クロック信号抽出装置において、光分散媒体を、シングルモード光ファイバ、光ファイバグレーティング、あるいは回折格子を用いた分散付加装置とするのが良い。
この発明の光クロック信号抽出方法において、分周電気クロック信号を抽出するステップAを、以下のサブステップA1からサブステップA13を含んで構成するのが好適である。
(A1)半導体電界吸収型光強度変調器に入力光信号を入力して、入力光信号の伝送レートに相当する周波数fの1/Nの周波数f/Nの電気信号と周波数Δfの電気信号とをミキシングして得られる変調電気信号によって、入力光信号を変調して変調光パルス信号として出力する光変調ステップ(サブステップA1)
(A2)変調光パルス信号を入力して第1電気信号に変換して出力する光電変換ステップ(サブステップA2)
(A3)第1電気信号を入力して、周波数NΔfの電気信号成分のみを選択して第2電気信号として出力する第1バンドパスステップ(サブステップA3)
(A4)周波数NΔfの第2電気信号と、基準信号発生器によって発生される周波数Δfの基準電気信号をN逓倍して生成される周波数NΔfの電気信号である第3電気信号の位相とを比較して、両者の差成分を第4電気信号として出力する位相比較ステップ(サブステップA4)
(A5)位相比較ステップにおいて出力される第4電気信号を時間平均して、時間平均差成分である第5電気信号を出力する時間平均差成分出力ステップ(サブステップA5)
(A6)第5電気信号を入力して、周波数f/Nの第6電気信号として出力する周波数電圧制御ステップ(サブステップA6)
(A7)周波数f/Nの第6電気信号を分岐する第1分岐ステップ(サブステップA7)
(A8)周波数f/Nの第6電気信号と、基準信号発生器によって生成される周波数Δfの第7電気信号とをミキシングして、両者の周波数の和周波もしくは差周波信号である第8電気信号を出力するミキシングステップ(サブステップA8)
(A9)第8電気信号を入力して、周波数が((f/N)-Δf)の電気信号成分のみを選択して第9電気信号として出力する第2バンドパスステップ(サブステップA9)
(A10)第9電気信号を増幅して、変調電気信号として光変調部に供給する増幅ステップ(サブステップA10)
(A11)周波数Δfの第7電気信号を出力する基準信号発生ステップ(サブステップA11)
(A12)周波数Δfの第7電気信号を分岐する第2分岐ステップ(サブステップA12)
(A13)周波数Δfの第7電気信号の周波数を逓倍して出力する周波数逓倍ステップ(サブステップA13)。
ここで、Nは、1以上の整数である。
上述の分周電気クロック信号を抽出するステップは、次の構成要素を具える分周クロック信号抽出装置によって実現される。すなわち、分周クロック信号抽出装置は、EA光変調器と、光電変換器と、第1バンドパスフィルタと、位相比較器と、ラグリードフィルタと、VCOと、第1分岐器と、ミキサーと、第2バンドパスフィルタと、増幅器と、基準信号発生器と、第2分岐器と、周波数逓倍器とを具える。
EA光変調器は、入力光信号を入力して、この入力光信号の伝送レートの周波数fの1/Nの周波数f/Nの電気信号と周波数成分Δfの電気信号とをミキシングして得られる変調電気信号によって、入力光信号を変調して変調光パルス信号として出力する機能を有し、入力光信号の偏波面に依存しない光変調を実現するサブステップA1を実行する。
光電変換器は、変調光パルス信号を入力して、第1電気信号に変換して出力するサブステップA2を実行する。
第1バンドパスフィルタは、第1電気信号を入力して、周波数NΔfの電気信号成分のみを選択して第2電気信号として出力するサブステップA3を実行する。
位相比較器は、周波数NΔfの第2電気信号と、基準信号発生器によって発生される周波数Δfの基準電気信号をN逓倍して生成される周波数NΔfの電気信号である第3電気信号の位相とを比較して、両者の差成分を第4電気信号として出力するサブステップA4を実行する。
ラグリードフィルタは、位相比較器から出力される第4電気信号を時間平均して、時間平均差成分である第5電気信号を出力するサブステップA5を実行する。
VCOは、第5電気信号を入力して、周波数f/Nの第6電気信号として出力するサブステップA6を実行する。
第1分岐器は、周波数f/Nの第6電気信号を分岐するサブステップA7を実行する。
ミキサーは、周波数f/Nの第6電気信号と、基準信号発生器によって生成される周波数Δfの第7電気信号とをミキシングして、両者の周波数の和周波もしくは差周波信号である第8電気信号を出力するサブステップA8を実行する。
第2バンドパスフィルタは、第8電気信号を入力して、周波数が((f/N)-Δf)の電気信号成分のみを選択して第9電気信号として出力するサブステップA9を実行する。
増幅器は、第9電気信号を増幅して、変調電気信号として光変調部に供給するサブステップA10を実行する。
基準信号発生器は、周波数Δfの第7電気信号を出力するサブステップA11を実行する。
第2分岐器は、基準信号発生器から出力される周波数Δfの第7電気信号を分岐するサブステップA12を実行する。
周波数逓倍器は、基準信号発生器から出力される周波数Δfの電気信号の周波数を逓倍して出力するサブステップA13を実行する。第2光クロック信号抽出装置において、光分散媒体の総分散量|DZ|が、真空中の光速度をc、第1モード同期半導体レーザの中心波長をλ、再生光クロック信号の繰り返し周波数をfとして、|DZ|=(cN/(λ2f2))で与えられるように設定するのが好適である。
この発明の光クロック信号抽出方法によれば、ステップAによって、入力光信号から分周電気クロック信号が抽出される。ステップAは、後述するようにEA光変調器を利用して構成される分周クロック信号抽出装置によって実現できる。この分周クロック信号抽出装置は、その基本動作が電子デバイスによって担われており、既に安定動作が保障されている。また、伸張量子井戸構造が導入されたEA光変調器を利用すれば、入力光信号の偏波面に依存することなく分周電気クロック信号を抽出することが可能となる。従って、ステップAにおいて、入力光信号から安定して分周電気クロック信号を抽出することが可能である。
ステップBによって、分周電気クロック信号から、この分周電気クロック信号の周波数と等しい繰り返し周波数の分周光クロック信号が生成される。ステップBは、第1モード同期半導体レーザによって実行される。分周クロック信号抽出装置から出力される分周電気クロック信号を第1モード同期半導体レーザに印加すると、分周電気クロック信号の繰り返し周波数に近い周波数でモード同期動作が生じる。それによって、第1モード同期半導体レーザからは、時間ジッタが小さい分周光クロック信号が出力される。
ステップCによって、分周光クロック信号が逓倍されて入力光信号の伝送レートと一致した繰り返し周波数の多重光クロック信号が生成される。ステップCは、後述するように、OTDM回路あるいは光分散媒体によって実現できる。
ステップDによって、多重光クロック信号から、この多重光クロック信号の繰り返し周波数と一致した繰り返し周波数の再生光クロック信号が生成される。ステップDは、第2モード同期半導体レーザによって実行される。第2モード同期半導体レーザとしては、可飽和吸収体を具える受動モード同期半導体レーザが使われる。第2モード同期半導体レーザに、多重光クロック信号が入力されると、第2モード同期半導体レーザの共振器内を多重光クロック信号は周回し、第2モード同期半導体レーザの可飽和吸収体の光吸収係数を光学的に多重変調する。この多重変調の結果、可飽和吸収体の光吸収係数の変調が時間的に平均化される。そのため、OTDM回路から出力される多重光クロック信号の光パルス時間間隔、及びその強度にばらつきがあっても、それらが平均化されて一定となって、時間ジッタが低減された再生光クロック信号として生成される。
ステップCを光分散媒体によって実現させることによって、得られる利点は次の2点にある。第1点は、光ファイバやファイバグレーティング等で構成でき、OTDM回路に比べて簡単で安価に実現できる点である。第2点は、詳細は後述するが、光分散媒体に入力される分周光クロック信号と、出力される多重光クロック信号の周波数スペクトルとの間に変化が生じない点である。その結果、ステップDが安定して実行できる利点が生じる。
第1又は第2光クロック信号抽出装置において、第1モード同期半導体レーザを、EA光変調器を具える能動モード同期半導体レーザとすれば、分周クロック信号抽出装置から出力される分周電気クロック信号をEA光変調器に印加することによって、能動モード同期動作が生じ、時間ジッタの小さい分周光クロック信号が得られる。
第1又は第2光クロック信号抽出装置において、第2モード同期半導体レーザを、可飽和吸収体を具える受動モード同期半導体レーザとすれば、多重光クロック信号が入力されることによって、可飽和吸収体の光吸収係数が変調される。これによって、受動モード同期動作が生じ、時間ジッタの小さい高速の再生光クロック信号が得られる。
第2光クロック信号抽出装置において、光分散媒体の総分散量|DZ|が、真空中の光速度をc、第1モード同期半導体レーザの中心波長をλ、再生光クロック信号の繰り返し周波数をfとして、|DZ|=(cN/(λ2f2))で与えられるように設定することによって、光分散媒体から出力される光パルス列は、そのパルス幅が入力光パルス列のパルス幅と変わらずに、光パルスの繰り返し周波数を所望の逓倍化することが可能である。
この発明の光クロック信号抽出方法において、分周電気クロック信号を抽出するステップを、上述のサブステップA1からA13を含んで構成すれば、上述したように、入力光信号から安定して分周電気クロック信号が抽出される。すなわち、多重するチャンネル数がNチャンネルであって、伝送レートに相当する周波数がfである入力光信号がEA光変調器に入力光信号され、変調光パルス信号が出力される。そしてEA光変調器には、周波数((f/N)-Δf)の電気正弦波信号が供給される。この結果EA光変調器からは、ビート周波数NΔfに相当する光成分が生成されて出力される。このビート周波数成分の位相が電気的に検出されて、VCO(中心周波数f/N)にフィードバックされることで、位相同期ループ回路が形成される。この位相同期ループ回路から周波数がf/Nである分周クロック信号が抽出される。
以下、図を参照して、この発明の実施の形態につき説明する。なお、各図は、この発明に係る一構成例を図示するものであり、この発明が理解できる程度に各構成要素の配置関係等を概略的に示しているに過ぎず、この発明を図示例に限定するものではない。また、以下の説明において、特定の材料および条件等を用いることがあるが、これら材料および条件は好適例の一つに過ぎず、したがって、何らこれらに限定されない。また、各図において同様の構成要素については、その重複する説明を省略することもある。また太線によって光経路を示し、細線によって電気信号の伝送路を示した。
<第1の実施の形態>
図1及び図2(A)〜(E)を参照してこの発明の第1光クロック信号抽出装置の構成及びその機能を説明する。図1は、第1光クロック信号抽出装置の概略的ブロック構成図である。図2(A)〜(E)は、入力光信号及び第1光クロック信号抽出装置内でのクロック信号の時間波形を示す図である。横軸は時間を任意スケールで示してあり、縦軸方向(縦軸は省略してある。)はクロック信号の強度を任意スケールで示してある。
第1光クロック信号抽出装置は、分周クロック信号抽出装置12、第1モード同期半導体レーザ16、OTDM回路20及び第2モード同期半導体レーザ24を具えて構成される。
分周クロック信号抽出装置12には、伝送レートがf(Gbit/s)である入力光信号10が入力されて分周電気クロック信号14が出力される。第1モード同期半導体レーザ16には、分周電気クロック信号14が入力されて分周電気クロック信号の周波数と等しい繰り返し周波数の分周光クロック信号18が出力される。OTDM回路20には、分周光クロック信号18が入力されて多重され、入力光信号10の伝送レートと一致した繰り返し周波数の多重光クロック信号22が出力される。第2モード同期半導体レーザ24には、多重光クロック信号22が入力されて、多重光クロック信号22の繰り返し周波数と一致したビットレートの再生光クロック信号26が出力される。
分周クロック信号抽出装置12は、PLL回路を具えて構成され、入力光信号10の伝送レートf(Gbit/s)に相当する周波数のN分の1の周波数f/N(GHz)の正弦波信号である分周電気クロック信号14を生成する機能を有している。第1モード同期半導体レーザ16は、分周電気クロック信号14で駆動される繰り返し周波数がf/N(GHz)のモード同期半導体レーザである。OTDM回路20は、繰り返し周波数がf/N(GHz)の分周光クロック信号18をN逓倍する光学的な多重回路である。第2モード同期半導体レーザ24は、繰り返し周波数がf(GHz)であるモード同期半導体レーザである。
光路19は、第1モード同期半導体レーザ16から出力される分周光クロック信号18をOTDM回路20に入力させるための光路であって、レンズや光ファイバ等で構成される。光路23は、OTDM回路20から出力される多重光クロック信号22を第2モード同期半導体レーザ24に入力させるための光路であって、レンズや光ファイバ等で構成される。
光路19、OTDM回路20及び光路23のいずれかにおいて、第2モード同期半導体レーザ24に入力させる多重光クロック信号22の偏波面を、第2モード同期半導体レーザ24の発振偏波面に一致させるための偏波面コントローラを設定して、この偏波面コントローラによって多重光クロック信号22の偏波面を調整する。この偏波面コントローラとしては、1/2波長板が利用できるが、光路19、OTDM回路20及び光路23を偏波面保存光ファイバなどの偏波面保存光学系をもって構成することによって実現できる。
図2(A)は、伝送レートf(Gbit/s)に相当する周波数の入力光信号10の時間波形を示している。光パルスが1/f(s)間隔で並んでいるが、一般的には、この入力光信号10は2値デジタル信号がRZフォーマットされた光信号であるので、光パルスが存在しない時間スロットも存在する。2値デジタル信号がRZフォーマットされた光信号においては、1ビットが光パルス1つに対応し、時間スロットとは、信号の1ビットに割り当てられる時間(光パルス1つに割り当てられる時間)を意味する。
図2(B)は、周波数f/N(GHz)の正弦波信号である分周電気クロック信号14の時間波形を示している。周期がN/f(s)である正弦波信号である。図2(C)は、繰り返し周波数がf/N(GHz)の分周光クロック信号18の時間波形を示している。光パルスがN/f(s)間隔で並んでいる。
(ステップA)
ステップAが実行される分周クロック信号抽出装置12について説明する。分周クロック信号抽出装置12は、その基本的な構成として半導体光増幅器を利用した構成(特許文献4参照)、及びEA光変調器を利用した構成(特許文献5参照)が既に知られている。入力光信号の伝送レートに相当する周波数f(GHz)のN分の1の周波数を有し、正弦波信号である分周電気クロック信号が抽出されるステップの詳細については後述するが、動作の安定性、簡便性及び汎用性の観点から、分周クロック信号抽出装置12はEA光変調器を利用した構成とするのが優れている。
分周クロック信号抽出装置12を、EA光変調器を利用して構成することにすれば、短パルス光源を新たに必要としないので、簡便な構成とすることが可能であり、そのため安価に製造することが可能である。また、半導体光増幅器を利用して構成された分周クロック信号抽出装置では、FWM光が利用される。そのため、分周クロック信号抽出装置の動作特性にFWM変換効率が重要な影響を与える。すなわち、FWM変換効率が、入力光信号の波長と変調光パルス光源の波長との差に鋭敏に反映されるため、FWM変換効率が変動することによってFWM光として生成されるビート成分(NΔf GHz成分)の強度が変動する。特に、入力光信号の波長と変調光パルス光源の波長との差が小さい場合、光学的ビートと所望のビート成分(NΔf GHz成分)との区別がつかなくなるため、抽出が困難になる。FWM変換効率を安定化するためには、入力光信号の波長と変調光パルス光源の波長との差を大きくとればよいが、FWM変換効率そのものが小さくなってしまう。
一方、EA光変調器は、電気的信号による制御素子であるので、入力光信号の波長に依存せずに動作し、上述した光学的ビートの発生についても何ら考慮する必要がない。EA光変調器を利用して構成される分周クロック信号抽出装置は、入力信号光を入力させる以外は、基本的に電子回路を利用したPLL回路である。電子素子によって構成されるPLL回路は、既にその技術が確立されており、信頼性や制御性に優れており、また、汎用電子部品を利用して構成することが可能である。
EA光変調器を利用して構成される分周クロック信号抽出装置においては、入力光信号の偏波面に依存することなく、EA光変調器が動作することが重要である。一般にEA光変調器は、その動作が入力される光の偏波面に依存するが、EA光変調器の活性層に伸縮歪が導入された多重量子井戸構造を採用して構成することによって、入力光の偏波面に依存せずに動作するEA光変調器が開発されている(例えば、F. Devaux, et al., "10 Gbit/s operation of polarisation insensitive, strained InGaAsP/InGaAsP MQW electroabsorption modulator," Electron. Lett. vol. 29, No. 13 pp. 1201-1203, 1993.参照)。これによれば、InGaAsP/InGaAsP多重量子井戸構造の井戸層に0.4%の伸縮歪を導入することで、EA光変調器の消光特性として、1 dB以下の低偏波依存性が実現されている。
また、EA光変調器の活性層にバルク材料を採用して構成することによって、入力光の偏波面に依存せずに動作するEA光変調器が開発されている(例えば、M. Suzuki et al., "InGaAsP electroabsorption modulator for high-bit-rate EDFA system," IEEE Photon. Technol. Lett. vol. 4, No. 6, pp. 586-588, 1992.参照)。これによれば、本来偏波依存性がないInGaAsPバルク層を用いて、1 dB程度の低偏波依存性が実現されている。
以上説明した入力光信号の偏波面に依存しないEA光変調器を採用して分周クロック信号抽出装置12を利用すれば、伝送レートがf(Gbit/s)の入力光信号から、周波数がf/N(GHz)の分周電気クロック信号を抽出するステップ(ステップA)を安定して実行することが可能である。
(ステップB)
ステップBが実行される第1モード同期半導体レーザ16について説明する。第1モード同期半導体レーザ16では、分周電気クロック信号14を分周光クロック信号18に変換して出力するステップBが実行される。分周電気クロック信号14を第1モード同期半導体レーザ16に印加させることによって、第1モード同期半導体レーザ16を繰り返し周波数f/N(GHz)に近い周波数でモード同期動作させることができる。
第1モード同期半導体レーザ16としては、EA光変調器を用いた能動モード同期半導体レーザ(例えば、S. Arahira and Y. Ogawa, "40 GHz actively mode-locked distributed Bragg reflector laser diode module with an impedance-matching circuit for efficient RF signal injection," Jpn. J. Appl. Phys. vol. 43, No. 4B, pp. 1960-1964, 2004.
参照)を利用することができる。
第1モード同期半導体レーザ16にEA光変調器を用いた能動モード同期半導体レーザを利用すれば、分周クロック信号抽出装置12から出力される分周電気クロック信号14をEA光変調器に印加することによって、能動モード同期が実現される。その結果この能動モード同期半導体レーザからは、時間ジッタの小さい、繰り返し周波数がf/N(GHz)である分周光クロック信号18が生成されて出力される。
第1モード同期半導体レーザ16には、EA光変調器がEA光変調部としてモノリシックに形成されているタイプを利用するのが便利である。この場合、分周電気クロック信号14は、第1モード同期半導体レーザ16に形成されたEA光変調部に印加することになる。
(ステップC)
ステップCが実行されるOTDM回路20について説明する。OTDM回路20は、分周光クロック信号18を多重して、入力光信号10の伝送レートと一致した繰り返し周波数の多重光クロック信号22を生成して出力するステップCを実行する。
OTDM回路20は、光ファイバと光カプラを用いて構成することができる。また、PLC回路や、レンズ等を用いて空間光学系によって構成することも可能である。ここでは、図3及び図4(A)〜(C)を参照して光ファイバと光カプラを用いて構成されるOTDM回路について説明する。
説明の便宜上、伝送レートをf(=160 Gbit/s)とし、ベースレートをf/N(=40 Gbit/s)と仮定して説明する。すなわち、多重されているチャンネル数はN(=4)であるとして説明するが、以後の説明は、これらの条件に限定されることなく等しく成立することは明らかである。
図3はOTDM回路の概略的構成図である。図3に示すように、分周光クロック信号29が光ファイバ28を伝播して光カプラ30に入力される。分周光クロック信号29は、図1に示す分周光クロック信号18に相当する。分周光クロック信号29は、光カプラ30で強度比が1対1になるように2分割されて、第1分周光クロック信号33-1及び33-2としてそれぞれ光ファイバ31及び32を伝播する。第1分周光クロック信号33-1及び33-2は、光カプラ34で合波されて第1逓倍光クロック信号35として光ファイバ36に出力される。
光ファイバ31の光路長と光ファイバ32の光路長との差が、光の伝播時間に換算して12.5 psの奇数倍に相当する長さとなるように設定されている。このように両者の差を設定することによって、光カプラ34で合波されて出力される第1逓倍光クロック信号35は、周波数が80 GHzとなる。これは、次の理由による。すなわち、光ファイバ31を伝播する第1分周光クロック信号33-1と、光ファイバ32を伝播する第1分周光クロック信号33-2との両者の間に、光カプラ34に到達するまでの時間差が12.5 psの奇数倍だけ生じている。
このため、時間軸上で、第1分周光クロック信号33-1を構成する隣接する光パルス間のちょうど中間位置に第1分周光クロック信号33-2を構成する光パルスが配置されるように両者が合波される。その結果、合波されて生成される第1逓倍光クロック信号35の周波数は、第1分周光クロック信号33-1及び33-2の周波数である40 GHzの2倍の周波数である80 GHzとなる。
図4(A)及び(B)を参照して、分周光クロック信号29と第1逓倍光クロック信号35の時間波形について説明する。横軸は時間を任意スケールで示してあり、縦軸方向(縦軸は省略してある。)はクロック信号の強度を任意スケールで示してある。
図4(A)及び(B)は、それぞれ分周光クロック信号29及び第1逓倍光クロック信号35の時間波形を示している。分周光クロック信号29の周波数は40 GHzであるので、光パルス間隔は25 ps(1/(40×109 GHz)=0.25×10-10s=25 ps)となっている。第1分周光クロック信号33-1及び33-2の時間波形は、その位相が光の伝播時間に換算して12.5 psの奇数倍だけずれているだけで同一の形状である。第1分周光クロック信号33-1と33-2とが光カプラ34で合波されると、時間軸上で25 ps間隔で配置されている第1分周光クロック信号33-1の光パルスの丁度中間位置に第1分周光クロック信号33-2を構成する光パルスが配置されるので、図4(B)に示す時間波形を有する第1逓倍光クロック信号35となる。
次に、第1逓倍光クロック信号35が光ファイバ36を伝播して光カプラ38に入力される。第1逓倍光クロック信号35は、光カプラ38で強度比が1対1になるように2分割されて、第2分周光クロック信号41-1及び41-2としてそれぞれ光ファイバ39及び40を伝播する。第2分周光クロック信号41-1及び41-2は、光カプラ42で合波されて第2逓倍光クロック信号43として光ファイバ44に出力される。第2逓倍光クロック信号43は、図1に示す多重光クロック信号22に相当する。
光ファイバ39の光路長と光ファイバ40の光路長との差が、光の伝播時間に換算して6.25 psの奇数倍に相当する長さとなるように設定されている。このように両者の差を設定することによって、光カプラ42で合波されて出力される第2逓倍光クロック信号43は、周波数が160 GHzとなる。これは、次の理由による。すなわち、光ファイバ39を伝播する第2分周光クロック信号41-1と、光ファイバ40を伝播する第2分周光クロック信号41-2との両者の間に、光カプラ42に到達するまでの時間差が6.25 psの奇数倍だけ生じている。
このため、時間軸上で、第2分周光クロック信号41-1を構成する隣接する光パルス間のちょうど中間位置に第2分周光クロック信号41-2を構成する光パルスが配置されるように両者が合波される。その結果、合波されて生成される第2逓倍光クロック信号43の周波数は、第2分周光クロック信号41-1及び41-2の周波数である80 GHzの2倍の周波数である160 GHzとなる。
図3に示すOTDM回路においては、光カプラ30、34、38及び42として2入力2出力型の光カプラを利用したため、光カプラ30及び38の1入力端と、光カプラ34及び42の1出力端が余るので、その先端にそれぞれ終端器45、46、47、及び48が装着されている。
図4(C)に第2逓倍光クロック信号43の時間波形を示す。第2分周光クロック信号41-1と41-2とが光カプラ42で合波されると、時間軸上で12.5 ps間隔で配置されている第2分周光クロック信号41-1の光パルスの丁度中間位置に第2分周光クロック信号41-2を構成する光パルスが配置されるので、図4(C)に示す時間波形を有する第2逓倍光クロック信号43となる。
光ファイバ44に出力される第2逓倍光クロック信号43(図1に示す多重光クロック信号22に対応する。)において、図4(C)に示すように、第2逓倍光クロック信号43を構成する光パルスの時間軸上での配置間隔及び光パルスの強度にばらつきがあっても、一定の範囲において許容される。この許容範囲とは、隣接する光パルス同士が時間軸上で両者の区別が不可能である程度には重なり合っていないとか、光パルス強度のばらつきの大きさが、個々の光パルスの存在を識別不可能である程度に大きくないことである。この許容範囲は、具体的には、このステップCの次におこなわれるステップDにおいて、これらのばらつきの補正が可能である範囲を意味する。
従って、この発明の光クロック信号抽出方法を実現するために利用されるOTDM回路では、高精度な光遅延あるいは光損失制御を必要とされない。このため、OTDM回路には、可変光減衰器、可変光遅延回路、温度制御回路、更には何らかの帰還制御回路等を具える必要がないので、製造が容易であり、OTDM回路そのものの小型化及び製造コストの低減化を図ることが可能となる。
(ステップD)
ステップDが実行される第2モード同期半導体レーザ24について説明する。第2モード同期半導体レーザ24は、多重光クロック信号22から、この多重光クロック信号22の繰り返し周波数と一致した繰り返し周波数の再生光クロック信号26を生成する。
第2モード同期半導体レーザ24としては、繰り返し周波数f(GHz)に近接する周波数でモード同期動作が生じる、可飽和吸収体を用いた受動モード同期半導体レーザ(例えば、S. Arahira, et al., "40 GHz hybrid modelocked laser diode module operated at ultra-low RF power with impedance-matchig circuit," Electron. Lett., vol. 39, No. 3, pp. 287-289, 2003.参照)を利用することができる。
多重光クロック信号22が第2モード同期半導体レーザ24に入力されると、可飽和吸収体の光吸収係数が変調される。これによって、繰り返し周波数がf(GHz)にロックされるとともに時間ジッタが低減されて、時間ジッタの小さな繰り返し周波数がf(GHz)である再生光クロック信号26が生成されて出力される。
ここで、第2モード同期半導体レーザ24の内部の光導波路を多重光クロック信号22が周回し、第2モード同期半導体レーザ24の可飽和吸収体を多数回通過することによって、その都度この可飽和吸収体の光吸収係数を変調する(多重変調する)効果が重要な役割を果たす。すなわち、可飽和吸収体が多重光クロック信号22によって可飽和吸収体の光吸収係数が多重変調される結果、第2モード同期半導体レーザ24の可飽和吸収体の光吸収係数の変調効果が時間的に平均化される。
その結果、第2モード同期半導体レーザ24に入力される多重光クロック信号22を構成する光パルス間隔及びそのピーク強度に、図2(D)に示すようなばらつきがあっても、それらが補正されて光パルス間隔及びそのピーク強度が一定である図2(E)に示すような再生光クロック信号26が生成されて出力される。
この発明の発明者等は、衝突パルスモード同期半導体レーザを利用した同様の光クロック信号抽出方法を研究しており、この研究の中で上述の多重光クロック信号を構成する光パルス間隔のばらつき(時間ジッタ)、及びそのピーク強度のばらつき(強度ジッタ)の補正効果を確認している(非特許文献3参照)。
衝突パルスモード同期半導体レーザは、光共振器の中央に可飽和吸収体を配置したモード同期半導体レーザであって、光共振器の両端から光パルスが可飽和吸収体に入射して衝突するときに効果的に吸収飽和現象が起こるように工夫されている。すなわち、衝突パルスモード同期半導体レーザは、可飽和吸収体を用いた受動モード同期半導体レーザの一形態である。
図5(A)及び(B)を参照して、繰り返し周波数160 GHzに近接する周波数でモード同期動作が生じる受動モード同期半導体レーザを利用して、光パルス列のピーク強度及びゼロレベル強度のばらつき補正効果(以後、「強度ジッタ吸収効果」ということもある。)を確認した実験結果について説明する。
図5(A)及び(B)の横軸は時間を一目盛3 psとして示してあり、縦軸は光強度を任意スケールで目盛って示している。図5(A)は、受動モード同期半導体レーザへ入力された、強度ジッタが存在する光パルス列の時間波形を、サンプリングオシロスコープで観測した結果を示している。一方図5(B)は、受動モード同期半導体レーザから出力された光パルス列の時間波形を、サンプリングオシロスコープで観測した結果を示している。受動モード同期半導体レーザへ入力された光パルス列は、そのピーク強度及びゼロレベル強度にばらつきがあるために、時間波形がぼやけており、しかも光パルスの存在する領域においてもゼロレベルの光信号が観測されている。
これに対して、受動モード同期半導体レーザから出力された光パルス列は、強度ジッタ吸収効果によって、光パルス列のピーク強度及びゼロレベル強度のばらつきが補正されているために、時間波形が明確に観測されており、しかも光パルスの存在する領域においてはゼロレベルの光信号は存在していない。
以上説明した強度ジッタ吸収効果が発現する理由は、受動モード同期半導体レーザへ入力された光パルス列が受動モード同期半導体レーザの共振器内を周回するとき、多重変調効果が発現したためと考えられる。
以上の実験結果は、符号化された光信号を用いて得られた結果である。しかしながら、符号化されていない光パルス列、すなわち入力光信号に対しても、入力光信号を構成する光パルスが受動モード同期半導体レーザ内を周回(共振)することによってもたらされる強度ジッタ吸収効果の発現メカニズムに相違はないので、光パルス信号に対しても同様に多重変調効果に基づく強度ジッタ吸収効果が得られる。
次に、図6(A)及び(B)を参照して、繰り返し周波数160 GHzに近接する周波数でモード同期動作が生じる受動モード同期半導体レーザを利用して、光パルス列の時間軸上での位置のばらつきが存在する時の補正効果(以後、「時間ジッタ吸収効果」ということもある。)を確認した実験結果について説明する。
図6(A)及び(B)の横軸は時間を一目盛3 psとして示してあり、縦軸は光強度を任意スケールで目盛って示している。図6(A)は、受動モード同期半導体レーザへ入力された、時間ジッタが存在する光パルス列の時間波形を、サンプリングオシロスコープで観測した結果を示している。一方図6(B)は、受動モード同期半導体レーザから出力された光パルス列の時間波形を、サンプリングオシロスコープで観測した結果を示している。受動モード同期半導体レーザへ入力された光パルス列は、時間ジッタが存在するために、時間波形がぼやけており、しかも光パルスの存在する領域においてもゼロレベルの光信号が観測されている。
これに対して、受動モード同期半導体レーザから出力された光パルス列は、時間ジッタ吸収効果によって、光パルス列のピーク強度及びゼロレベル強度のばらつきが補正されているために、時間波形が明確に観測されており、しかも光パルスの存在する領域においてはゼロレベルの光信号は存在していない。
以上説明した時間ジッタ吸収効果が発現する理由は、受動モード同期半導体レーザへ入力された光パルス列が、受動モード同期半導体レーザが、入力された光パルス列の繰り返し周波数成分の平均値に強く応答するためと考えれれる。
以上の実験結果も、符号化された光信号を用いて得られた結果であるが、符号化されていない光信号に対しても、入力光信号を構成する光パルスが受動モード同期半導体レーザ内を周回(共振)することによってもたらされる時間ジッタ吸収効果の発現メカニズムに相違はないので、光パルス信号に対しても同様に多重変調効果に基づく時間ジッタ吸収効果が得られる。
以上の実験結果から、第2モード同期半導体レーザ24に入力される多重光クロック信号22に、図2(D)に示すように強度ジッタあるいは時間ジッタが存在していても、それらジッタは吸収されて、図2(E)に示すような再生光クロック信号26が生成されて出力される。このことから、ステップCにおいて利用されるOTDM回路には、高精度な光遅延あるいは光損失制御が必要とされないため、製造が容易であり、かつ小型で安価なOTDM回路を利用できるという利点が生じる。
この発明の第1光クロック信号抽出装置の更に優れている点は、以下の点にある。すなわち、多重光クロック信号22の光強度が小さくても十分に光クロック信号を抽出できる点にある。図7を参照してこの点について説明する。
図7は、非特許文献3に開示されている実験データを元にして作成した、時間ジッタの入力光信号強度依存性を示す図であり、再生光クロック信号26が生成されて出力可能であるための最小の多重光クロック信号22の強度を示している。横軸は、第2モード同期半導体レーザ24へ入力される多重光クロック信号22の強度をdBm単位で目盛って示してある。縦軸は、第2モード同期半導体レーザ24から出力される再生光クロック信号26の時間ジッタの大きさをps単位で目盛って示してある。
図7によれば、多重光クロック信号22の強度が-14 dBm以上であれば、時間ジッタが0.4 ps程度まで低減できることがわかる。このように光強度が小さな多重光クロック信号22であっても、時間ジッタ吸収効果が得られる理由は、多重光クロック信号22が第2モード同期半導体レーザ24において光増幅されるためである。因みに、抽出された光クロック信号(再生光クロック信号26に相当する。)の平均強度は、実験結果によれば、10 dBmと高出力であった。
図7に示した実験結果は、符号化された光信号を用いて得られた結果であるが、光パルスが受動モード同期半導体レーザ内を周回(共振)することによってもたらされる時間ジッタ吸収効果の発現メカニズムに相違はないので、多重光クロック信号22の強度が-14 dBm以上であれば、時間ジッタが0.4 ps程度まで低減できることは明らかである。
分周光クロック信号18は、OTDM回路20を通過することによってその強度は減少する。この強度減少は、主に光カプラ30、34、38、42及び光伝送路31、32、36、39、40で生じる。一般にOTDM回路は、光カプラを用いて構成した図3に示したタイプのものに限らず、PLC回路を用いて構成しても、光損失は同様に発生する。この発明の光クロック信号抽出装置によれば、第2モード同期半導体レーザ24に入力される多重光クロック信号22の強度は弱くてもかまわない構成であるので、OTDM回路で発生する光損失を補うための、光増幅器等の付加的な素子を必要としない。また、上述したように、再生光クロック信号26もその平均強度は十分に大きいので、この発明の光クロック信号抽出装置から出力される再生光クロック信号を、光通信システム等でそのまま利用できる。そのため、この発明の光クロック信号抽出装置から出力される再生光クロック信号を増幅するための光増幅器等の付加的な素子も必要としない。
この発明の光クロック信号抽出装置(第1及び第2光クロック信号抽出装置)の優れた特長を、図8(A)及び(B)を参照して取りまとめて説明する。後述するこの発明の第2光クロック信号抽出装置についても、以下の説明はそのまま成立するので、ここでは、第1及び第2光クロック信号抽出装置を合わせて、この発明の光クロック信号抽出装置として説明する。OTDM回路と後述する光分散媒体とを多重回路94として説明する。
図8(A)及び(B)は、この発明の光クロック信号抽出装置の構造の特徴の説明に供する図である。図8(A)は、分周クロック信号抽出装置とOTDM回路を具えた従来の光クロック信号抽出装置の概略的ブロック構成図であり、図8(B)は、この発明の光クロック信号抽出装置の概略的ブロック構成図である。入力光信号のビットレートを160 Gbit/sとし、ベースレートを40 Gbit/sとして示してある。
図8(A)に示す従来の光クロック信号抽出装置は、分周クロック信号抽出装置70、モード同期半導体レーザ72、及び光クロック信号生成部80を具えて構成される。光クロック信号生成部80は、第1光増幅器74、第2光増幅器78及び従来のOTDM回路76を具えて構成されている。OTDM回路76には、遅延時間・損失・光位相制御信号が供給されてOTDM回路76において発生する光強度損失を補い、チャンネルごとの特性のばらつきや、環境変化による変動を補償する構成となっている。
図8(B)に示すこの発明の光クロック信号抽出装置は、分周クロック信号抽出装置90、第1モード同期半導体レーザ92、及び光クロック信号生成部98を具えて構成される。光クロック信号生成部98は、多重回路94と第2モード同期半導体レーザ96とを具えて構成されている。
従来の光クロック信号抽出装置が具える分周クロック信号抽出装置70及びモード同期半導体レーザ72は、この発明の光クロック信号抽出装置が具える分周クロック信号抽出装置90及び第1モード同期半導体レーザ92がそれぞれ対応し、同一のものを利用することができる。一方、従来の光クロック信号抽出装置が具える光クロック信号生成部80とこの発明の光クロック信号抽出装置が具える光クロック信号生成部98とがその構成を異にしている。
この発明の光クロック信号抽出装置において、ステップAは分周クロック信号抽出装置70によって実行される。この分周クロック信号抽出装置70は、その基本動作を電子デバイスが担っているので、その動作は安定している。また、伸張歪量子井戸構造を利用するなどしてEA光変調器を構成することによって、入力光信号に対して偏波無依存動作を実現できる。従って、分周クロック信号抽出装置70に入力されるビットレートが160 Gbit/sの入力光信号の偏波に依存することなく、安定してビットレートが40 Gbit/sの分周電気クロック信号を抽出することが可能である。この偏波無依存で分周電気クロック信号が入力光信号から抽出できる点については、従来の光クロック信号抽出装置においても同様である。
この発明の光クロック信号抽出装置において、ステップDは、第2モード同期半導体レーザ96で実行され、多重光クロック信号から、この多重光クロック信号の繰り返し周波数と一致した、ビットレートが160 Gbit/sの再生光クロック信号が生成されて出力される。多重光クロック信号に強度ジッタあるいは時間ジッタが存在しても、第2モード同期半導体レーザ96において発現する強度ジッタ吸収効果及び時間ジッタ吸収効果によって、強度ジッタ及び時間ジッタの小さなビットレートが160 Gbit/sの再生光クロック信号が生成されて出力される。このため、従来のOTDM回路76に付随させる必要があった、遅延時間・損失・光位相制御信号を供給するための装置を必要としない。
また、従来の光クロック信号抽出装置においては、図8(A)に示すように、ステップCが実行されるOTDM回路76において発生する光損失を補うために、OTDM回路76の前段に第1光増幅器74を設けるか、あるいは後段に第2光増幅器78を設ける必要があった。しかしながら、この発明の光クロック信号抽出装置においては、ステップDにおいて、第2モード同期半導体レーザ96が光増幅機能も合わせて有しているために、光増幅器を新たに設置する必要がない。
<第2の実施の形態>
図9及び図10(A)〜(E)を参照してこの発明の第2光クロック信号抽出装置の構成及びその機能を説明する。図9は、第2光クロック信号抽出装置の概略的ブロック構成図である。図10(A)〜(E)は、入力光信号及び第2光クロック信号抽出装置内でのクロック信号の時間波形を示す図である。横軸は時間を任意スケールで示してあり、縦軸方向(縦軸は省略してある。)はクロック信号の強度を任意スケールで示してある。
第2光クロック信号抽出装置は、分周クロック信号抽出装置52、第1モード同期半導体レーザ56、光分散媒体60及び第2モード同期半導体レーザ64を具えて構成される。
第2光クロック信号抽出装置は、第1光クロック信号抽出装置においてステップCを実行するために設置されたOTDM回路の代わりに、光分散媒体60が設置されている点に特徴がある。これ以外の構成は、第1光クロック信号抽出装置と同一である。従って、以下の説明において、第1光クロック信号抽出装置と共通する部分については、その重複する説明を省略する。
第2光クロック信号抽出装置において、第1光クロック信号抽出装置における分周電気クロック信号14及び分周光クロック信号18は、それぞれ分周電気クロック信号54及び分周光クロック信号58と対応する。図10(A)に、伝送レートf(Gbit/s)に相当する周波数の入力光信号50の時間波形を示している。図10(B)は、周波数f/N(GHz)の正弦波信号である分周電気クロック信号54の時間波形を示している。図10(C)は、繰り返し周波数がf/N(GHz)の分周光クロック信号58の時間波形を示している。これらの波形は、第1光クロック信号抽出装置における波形と同一である。
ステップA及びBは第1光クロック信号抽出装置で実行されるステップと同一であるから、その説明を省略する。第2光クロック信号抽出装置で実行される再生光クロック信号抽出ステップの内で、第2光クロック信号抽出装置で実行されるステップと異なるのは、ステップCであるので、以下ステップCについて説明する。
(ステップC)
ステップCは、光分散媒体60によって実行される。光分散媒体60は、シングルモード光ファイバなどの光分散特性を有する光導波路を利用することができる。光分散特性を有する光導波路としては、シングルモード光ファイバの他にも、PLC回路等も利用できるが、ここでは、シングルモード光ファイバを利用する。光通信システムは、その光伝送路としてシングルモード光ファイバが使われており、光伝送路と同一形態の光部材を利用するのが、システムの構成上も便利である。
光分散媒体60として、次式(1)で与えられる2次光総分散量|DZ|を有するシングルモード光ファイバを利用することができる。
|DZ|=cN/(λ2f2) (1)
ここで、Zはシングルモード光ファイバの長さ、Dはシングルモード光ファイバの群速度分散、cは光の真空中での速度、λは第1モード同期半導体レーザの発振中心波長、fは再生光クロック信号の繰り返し周波数である。
分周光クロック信号58、光分散媒体60、多重光クロック信号62において、第2モード同期半導体レーザ64に入力される多重光クロック信号62の偏波面が、第2モード同期半導体レーザ64の発振偏波面と一致するように調整する必要がある。そのために、第1光クロック信号抽出装置と同様に、光路59、光分散媒体60及び光路63のいずれかにおいて、第2モード同期半導体レーザ64に入力させる多重光クロック信号62の偏波面を、第2モード同期半導体レーザ64の発振偏波面に一致させるための偏波面コントローラを設定して、この偏波面コントローラによって多重光クロック信号62の偏波面を調整する。
繰り返し周波数frt、波長がλの光パルス列が、群速度分散Dを有する光分散媒体に入力されると、光分散媒体の全長Zが次式(2)を満足するように設定されていると、出力光パルスは、この出力光パルス列を構成する光パルスの半値幅は入力光パルス列を構成している光パルスの半値幅と変わらず、かつ繰り返し周波数がm逓倍されて出力されることが知られている(例えば、S. Arahira, et al., "Repetition-frequency multiplication of mode-locked pulses using fiber dispersion," IEEE J. Lightwave Techonol. vol. 16, No. 3, pp. 405-410, 1998.)。
Z=(1/2m)(2c/λ2|D|frt 2) (2)
式(2)において、frt=f/N、m=Nとすれば、上述の式(1)が得られる。すなわち、第1モード同期半導体レーザ56から出力される繰り返し周波数f/N分周光クロック信号58を、光分散媒体60に入力することによって、N倍されて繰り返し周波数がfである多重光クロック信号62が出力されるステップCが実行される。上述したようにステップCによって、図10(D)に示す時間波形を有する多重光クロック信号62が生成される。
光分散媒体60としては、上述のシングルモード光ファイバに限らず、条件式(1)を満たす手段であれば、光ファイバグレーティングや回折格子を用いた光分散付加装置等でも利用可能である。
ステップCを実行するのに、OTDM回路20に代えて光分散媒体60を利用することによって次の利点が得られる。第1に、ステップCを実行するための手段が、シングルモード光ファイバであるので、OTDM回路20よりもその構成が簡単である。もちろん、光ファイバグレーティングや回折格子を用いた光分散付加装置も、OTDM回路20よりもその構成が簡単である。第2に、光分散媒体60によってステップCを実行することによって、分周光クロック信号58の光スペクトルに変化を生じさせないで多重光クロック信号が生成される点である。
多重光クロック信号に変化が生じない理由は、光分散媒体60においては、この分散媒体の2次分散のみが利用されており、この他にはいかなる非線形光学効果も利用していないことによる。また、光分散媒体60で実行されるステップCにおいては、OTDM回路20では光の干渉効果が利用されているが、光分散媒体60ではこの干渉効果を利用していないので、光スペクトルに変化が生じる過程が含まれていない。従って、光分散媒体60によってステップCを実行することによって、光スペクトルに変化を生じさせないで、多重光クロック信号62を生成することが可能である。
第1光クロック信号抽出装置においてステップCを実行するために利用されるOTDM回路20は干渉計の組み合わせで構成されているので、分周光クロック信号18を構成する光パルスの光スペクトルに応じて多重光クロック信号22を構成する光パルスの光スペクトルは様々に変化する。この一例が非特許文献6に示されている。非特許文献6によれば、多重光クロック信号22を構成する光パルスに相当する光スペクトルは、分周光クロック信号18を構成する光パルスに相当する波長1.5μmの光パルスに対して200 THz程度の大きさで変化し得ることを報告している。この程度の変化は、OTDM回路を形成する光カプラの温度変化等で容易に生じる。
多重光クロック信号62の光スペクトルは、ステップDに大きな影響となって現れる。ステップDは、第2モード同期半導体レーザ64の共振器内部を多重光クロック信号62が周回して、第2モード同期半導体レーザ64の可飽和吸収体の光吸収係数を多重変調することによって達成される。その際に、多重光クロック信号62が第2モード同期半導体レーザ64の共振条件を満足するか否かが、上述の多重変調に影響を与え、この共振条件は、第2モード同期半導体レーザ64を周回する光パルスの波長に依存するからである。ステップDによって、図10(E)に示す時間波形を有する再生光クロック信号66が生成される。
上述の多重光クロック信号62の光スペクトルがステップDに与える効果について実証するために、この発明の発明者等は次のような実験を行った。
繰り返し周波数40 GHzの受動モード同期半導体レーザに、この受動モード同期半導体レーザの繰り返し周波数とほぼ同一の繰り返し周波数で時間ジッタが小さなマスター光パルス列を注入し、この受動モード同期半導体レーザから出力される光パルス列の時間ジッタが低減されることを確かめる実験を行った。この実験において、マスター光パルス列の光パルスの中心波長を変化させて、受動モード同期半導体レーザから出力される光パルス列の時間ジッタがどのように変化するかについて確かめた。
実験結果を、図11、図12(A)及び(B)を参照して説明する。図11は、横軸に(波長デチューニング/モード間隔)を示し、縦軸に受動モード同期半導体レーザから出力される光パルス列の時間ジッタをps単位で目盛って示してある。波長デチューニングとは、マスター光パルス列の光パルスの中心波長の変化の大きさのことであり、モード間隔は、受動モード同期半導体レーザの縦モードの間隔のことである。受動モード同期半導体レーザに入力したマスター光パルス列の強度は-13 dBmに設定して実験した。横軸の値が整数値をとるとき、マスター光パルス列は受動モード同期半導体レーザの共振条件を満足する。
図11に示されているように、マスター光パルス列の光パルスの中心波長が、受動モード同期半導体レーザの共振条件を満足するとき、出力される光パルス列の時間ジッタの大きさが極小となっている。すなわち、横軸の値が-1.0、0及び1.0と整数値である時に時間ジッタの値は極小となっている。
図12(A)及び(B)は、受動モード同期半導体レーザの光スペクトル(縦モード)及び、この受動モード同期半導体レーザに入力するマスター光パルス列の光スペクトルを、横軸に波長を任意スケールで目盛って示してある。縦軸は省略してあるが、縦軸方向に光強度を任意スケールで示してある。
図12(A)には、図11においてAで示す測定点において、受動モード同期半導体レーザの光スペクトル(上図)とマスター光パルス列の光スペクトル(下図)との関係を示している。受動モード同期半導体レーザの光スペクトルの波長でチューニングされた分だけ両者の光スペクトル(縦モード波長)はずれて不一致となっている。それに対して、図12(B)には、図11においてBで示す測定点において、受動モード同期半導体レーザの光スペクトル(上図)とマスター光パルス列の光スペクトル(下図)との関係を示している。これによれば、両者の光スペクトル(縦モード波長)が一致していることがわかる。
上述の実験結果から、以下のことが結論されることを、図13を参照して説明する。図13は、この発明の光クロック信号抽出装置の動作原理の説明に供する図であり、第1及び第2モード同期半導体レーザと、多重回路の光スペクトルとの関係を、第1光クロック信号抽出装置のケース(A)及び(B)の場合と、第2光クロック信号抽出装置の場合とを比較して示している。多重回路の光スペクトルとして示してある中段の光スペクトルの図は、第1光クロック信号抽出装置においては、OTDM回路20から出力される多重光クロック信号22の光スペクトルを示し、第2光クロック信号抽出装置においては、光分散媒体60から出力される多重光クロック信号22の光スペクトルを示している。
すなわち、図13においては、第1モード同期半導体レーザ(16又は56)の発振縦モードを最上段に示し、多重回路(OTDM多重回路20又は光分散媒体60)から出力される光スペクトルを中段に示し、第2モード同期半導体レーザ(24又は64)の発振縦モードを最下段に示してある。
第1光クロック信号抽出装置において、ステップCが実行されて多重光クロック信号22が生成されて、この多重光クロック信号22を構成する各光パルスの相互の関係が同位相の関係であるとする。このとき、多重光クロック信号22の光スペクトルを構成するスペクトル成分が第2モード同期半導体レーザ24の縦モードのそれぞれと一致すると、共振作用が発現し、第2モード同期半導体レーザ24から出力される再生光クロック信号26の時間ジッタは、非常に小さくなる。
このことが、図13において、一番左の欄に第1光クロック信号抽出装置のケース(A)として示してある。すなわち、中段に示されたOTDM回路20の光スペクトルと第2モード同期半導体レーザ24の出力光スペクトルの縦モードとが一致している。
一方、多重光クロック信号22を構成する隣接する各光パルスの相互の関係が逆位相の関係であるとする。このとき、第2モード同期半導体レーザ24の縦モード成分のそれぞれは、図13の第1光クロック信号抽出装置ケース(B)として示された中段及び下段に示されているように、OTDM回路20の光スペクトルのスペクトル成分が並んでいる丁度中間の位置に配置される。この場合には、第2モード同期半導体レーザ24において、共振作用が発現しないため、ステップDにおいて生成される再生光クロック信号26の時間ジッタは大きくなる。
既に説明したように、ステップCにおいて生成される多重光クロック信号22の光スペクトルの形状は、OTDM回路20を構成する光カプラ等の光部品の温度変化等で容易に変化する。そのため、ステップC及びステップDがOTDM回路20において安定して実行されるためには、少なくともOTDM回路20の温度制御が必要となる。このため、第1光クロック信号抽出装置は、システムが複雑となる。
一方、第2光クロック信号抽出装置におけるステップCおよびステップDにおいては、光分散媒体60から出力される多重光クロック信号62は、入力信号である分周光クロック信号58と、その光スペクトルが変化していない。従って、第2モード同期半導体レーザ64に入力される多重光クロック信号62の光スペクトルは常に一定である。そのため、第2モード同期半導体レーザ64で共振作用が常に発現する環境に設定しておきさえすれば、ステップDが常に高効率に安定して実行される。
このことは、図13において、第2光クロック抽出装置として右欄に示してある。最上段に示してある第1モード同期半導体レーザ56の光スペクトルと、中段に示してある光分散媒体60から出力される多重光クロック信号62の光スペクトルは同一である。そして最下段に示している第2モード同期半導体レーザ64から出力される再生光クロック信号66の光スペクトルの縦モードは、中段に示してある多重光クロック信号62の光スペクトルの何れかと一致している。このため、上述したように、ステップDが常に高効率に安定して実行される。
第1及び第2モード同期半導体レーザを、単一の半導体基板に集積化して形成すれば、ペルチエ素子等で両者は一括して高精度に温度制御することが可能である。この温度制御は、OTDM回路の温度制御に比較して容易に、かつ低コストで実現できる。
図12(A)及び(B)あるいは図13において、多重光クロック信号のスペクトル成分と再生光クロック信号の光スペクトル成分とが一致するかしないかを示すに当たり、一致する場合として両者の光スペクトル成分同士が完全に一致する場合を示している。しかしながら、両者に多少の相違があっても、特に、多重光クロック信号の波長帯域が第2モード同期半導体レーザの利得帯域に含まれていれば、この発明におけるステップDは実行される。ただし、多重光クロック信号を構成する光パルスの光スペクトルの中心波長が、第2モード同期半導体レーザの共振条件を満足していることが望ましい。
<分周クロック信号抽出装置>
図14を参照してこの発明の光クロック信号抽出装置の分周クロック信号抽出装置の代表的な構成例及びその機能について説明する。図14は、分周クロック信号抽出装置の概略的ブロック構成図である。図14において、光ファイバ等の光信号の経路を太線で示し、電気信号の経路を細線で示してある。また、簡便のために、これら太線及び細線に付された番号及び記号は、それぞれ光信号あるいは電気信号を意味するものとする。
ここでは、一例として、1チャンネル当り40 Gbit/sのビットレートの4チャンネル分の信号が光時分割多重されて、160 Gbit/sのRZ符号化された入力光信号を想定して、分周電気クロック信号抽出の構成及びその動作を説明する。しかしながら、以下の説明は、この伝送レート及びベースレートに限定されることなく成立することは明らかである。
入力光信号148は、EA光変調器150に入力される。EA光変調器150には、(40-Δf) GHzの電気信号179が入力されており、この電気信号179によって、光パルス信号148が変調される。EA光変調器150に入力される周波数(40-Δf) GHzの電気信号は、厳密な正弦波であるが、変調を被る入力光信号148がパルス形状の信号であるために、(40-Δf) GHzのN逓倍の周期の電気信号をフーリエ成分として含む信号となる。ここで、Nは1以上の整数である。
以後の説明において、厳密な正弦波を加えて、変調を被った光信号出力がパルス形状である場合において、混乱が生じない範囲で、フーリエ成分を含むことについては言及せずに、主要周波数成分の周波数値を代表値として用いて表現する場合もある。例えば、上述の場合には、単に(40-Δf) GHzの周波数の電気信号等と表現することもある。
EA光変調器150は、EA光変調器150に設けられた光導波路を、EA光変調器150への入力光である光パルス信号148が伝播する際に、その導波路の有する吸収係数が、EA光変調器150への入力電気信号である電気信号179の周波数に従って変動する。すなわち、(40-Δf) GHzの周波数で、EA光変調器150内に設けられた光導波路を伝播する入力光(光パルス信号148)が透過されたり、遮断されたりする。ここで、Δfは、40 GHzと比較して十分に小さい周波数値であり、例えば150 MHz程度の値に設定される。
以後、説明の便宜のために、一般にEA光変調器が、入力光に対してこのEA光変調器に入力される電気信号の周波数F Hzで透明になったり不透明になったりする現象に因んで、EA光変調器を、F Hzの透過窓と称することもある。すなわち、上述のEA光変調器150は、(40-Δf) GHzの周波数の電気信号179に従って、透明になったり不透明になったりするので、(40-Δf) GHzの透過窓である。
入力光信号148は、EA光変調器150に入力されることによって、160 Gbit/sのRZ符号化された光パルス信号成分の内、(40-Δf) GHzの透過窓を通過できた成分のみが濾し取られて、変調光パルス信号151として出力される。すなわち、このステップは、EA光変調器150に入力光信号148を入力して、入力光信号148のベースレートクロック周波数f(=160GHz)の1/N(=1/4)の周波数に、低周波数成分Δfをミキシングした周波数(40-Δf) GHzの変調電気信号で変調して、変調光パルス信号151として出力する光変調ステップである。
変調光パルス信号151は、光信号を電気信号に変換するO/E変換器152に入力されて、第1電気信号153として出力される。すなわち、このステップは、光電変換器であるO/E変換器152に変調光パルス信号151を入力して、第1電気信号153に変換して出力する光電変換ステップである。
第1電気信号153は、透過帯域の中心周波数がΔfの4倍である周波数、(4Δf) GHzの第1バンドパスフィルタ154によって、第1電気信号153の有する周波数成分の内、(4Δf) GHzの周波数成分だけが濾し取られ、(4Δf) GHzの第2電気信号155が出力される。すなわち、このステップは、第1バンドパスフィルタ154に第1電気信号153を入力して、周波数ΔfのN逓倍(一般にNは1以上の整数で、ここでは4)の周波数(NΔf)GHzの電気信号のみを選択して第2電気信号155として出力する第1バンドパスステップである。
第2電気信号155は位相比較器156に入力される。位相比較器156において、第2電気信号155と周波数が(4Δf)GHzの第3電気信号175との位相が比較される。周波数が(4Δf)GHzの第3電気信号175は、周波数Δf GHzの電気信号を出力する基準信号発生器168から出力される電気信号169を、パワー分岐器172を介して4逓倍器174に入力し、4逓倍器174から出力される電気信号である。第2電気信号155と第3電気信号175との位相が合致していれば、位相比較器156から出力される電気信号157は0 Vとなり、位相差の大きさに比例して電気信号157の電圧が大きくなる。
位相比較器156で実行されるステップは、位相比較器156を用いて周波数(NΔf)GHzの第2電気信号155と周波数ΔfのN倍の周波数(NΔf)GHzの第3電気信号175との位相を比較して、両電気信号の位相との差成分を第4電気信号157として出力する位相比較ステップである。
第4電気信号157は、ラグリードフィルタ158に入力されて、時間的に平均化された強度の第5電気信号159として出力される。すなわち、このステップは、ラグリードフィルタ158を用いて、第2電気信号155と第3電気信号175の位相との差成分を時間平均して、時間平均差成分である第5電気信号159として出力する時間平均差成分出力ステップが実行される。
第5電気信号159はVCO 160に入力される。VCO 160は、入力される第5電気信号159の電圧に比例する周波数の電気信号である、第6電気信号161を出力する機能を有している。すなわちここで実行されるステップは、VCO 160を用いて、第5電気信号159を第6電気信号161に変換して出力する周波数電圧制御ステップである。VCO 160から出力される第6電気信号161の周波数は、160 Gbit/sのRZ符号化された入力光信号148から抽出される周波数(NΔf)GHzの第2電気信号155の位相と、周波数(NΔf)GHzの第3電気信号175の位相とが合致するように変化する。この理由を以下に説明する。
VCO 160は、第5電気信号159が0 Vである場合に出力する周波数(VCO 160の中心周波数)をf/N(=40)GHzに設定しておけば、第2電気信号155の位相と第3電気信号175の位相とが合致した場合に、周波数がf/N GHzの第6電気信号161を出力する。すなわち、第5電気信号159が0 Vとなるためには、変調光パルス信号151と、基準信号発生器168から出力される電気信号169とが同期する必要がある。
第2電気信号155は第1電気信号153の有する周波数成分の内(4Δf) GHzの周波数成分だけが濾し取られた信号であり、第1電気信号153は変調光パルス信号151がO/E変換器152に入力されて電気信号に変換された信号である。また、変調光パルス信号151は、入力光信号148のベースレートクロック周波数f(=160GHz)の1/N(=1/4)の周波数に低周波数成分Δfをミキシングした周波数N(40-Δf) GHzで変調されてEA光変調器150から出力された信号である。従って、第2電気信号155の位相に同期するとは、入力光信号148のベースレートクロックの周波数f(=160GHz)の1/N(=1/4)の周波数の電気信号の位相に同期することに相当する。
VCO 160から出力される第6電気信号161は、パワー分岐器162によって分岐され、一方はこのPLL系の帰還信号としてミキサー164に入力される。もう一方は抽出された分周電気クロック信号180として出力される。
ミキサー164には、VCO 160から出力される第6電気信号161と、パワー分岐器172を介して基準信号発生器168から出力される周波数(Δf)GHzの電気信号である第7電気信号169とが入力される。この結果ミキサー164からは、周波数が(40±nΔf)GHzの複数の電気信号成分が合成された第8電気信号165が出力される。
第8電気信号165は、透過帯域の中心周波数が(40-Δf) GHzである第2バンドパスフィルタ176に入力され、第8電気信号165が有する複数の周波数成分の中から周波数が(40-Δf) GHzの電気信号だけが濾し取られて、第9電気信号177として出力される。周波数が(40-Δf) GHzの電気信号である第9電気信号177は、増幅器178で増幅されて第10電気信号179に変換されて、EA光変調器150に入力される。増幅器178は、EA光変調器150を透過窓として動作させるために必要に応じて設置されるものであり、必ず設置しなければならないものではない。
なお、第10電気信号179は、EA光変調器150に入力される変調信号であるので、変調電気信号ということもある。
ここで、EA光変調器150から出力される変調光パルス信号151について説明する。EA光変調器150は、電圧を印加することによって光の透過率が変化する特性を有する素子である。従って、EA光変調器150に入力させる光信号を、EA光変調器150に電気信号を印加することによって光強度変調することができる。
一方、EA光変調器150に印加する電気信号は厳密には正弦波であるが、EA光変調器150から出力される光信号は非正弦波である。EA光変調器150から出力される光信号は正弦波ではなく、変調光パルス信号151となるので、その信号には、(40-Δf) GHzの繰り返し周期成分に加えて、(40-Δf) GHzの逓倍の繰り返し周期成分もフーリエ成分として含まれる。
従って、光変調ステップにおいて、EA光変調器150に入力される制御信号である第10電気信号179に含まれる(40-Δf) GHzの4逓倍周波数成分である(160-4Δf) GHz成分と、160 Gbit/sのRZ符号化された入力光信号148の有する160 GHz成分との差周波である(4Δf) GHz成分が抽出されることとなる。すなわち、EA光変調器150から出力される変調光パルス信号151には、(4Δf) GHzの変調成分が含まれる。この(4Δf) GHz成分が、O/E変換器152と第1バンドパスフィルタ154とによって、周波数が(4Δf) GHzの第2電気信号155となって、位相比較器156に入力される。
一方、周波数が(4Δf)GHzの第3電気信号175も位相比較器156に入力される。位相比較器156において、この周波数が(4Δf) GHz成分の第2電気信号155の位相と周波数が(4Δf)GHzの第3電気信号175の位相とを合わせるように、この分周クロック信号抽出装置を構成している電気回路の構成要素が協働して動作する。このことによって、入力光信号148のベースレートクロック信号と、VCO 160から出力される第6電気信号161すなわち、抽出される分周電気クロック信号180の位相を同期させるPLL系回路が形成される。
<能動モード同期半導体レーザ>
図15を参照して能動モード同期半導体レーザの概略的構成及びその動作について説明する。図15は、EA光変調器を用いた能動モード同期半導体レーザの概略図である。能動モード同期半導体レーザは、半導体レーザの利得あるいは損失を、共振器の周回周波数近傍の周波数で変調することでモード同期を実現する半導体レーザである。半導体レーザの損失を共振器の周回周波数近傍の周波数で変調するために利用されるのが、EA光変調器である。EA光変調器を半導体レーザにモノリシックに形成されているタイプでは、このEA光変調器を半導体レーザのEA光変調部と呼ぶこともある。
図15に示すように、能動モード同期半導体レーザは、第1クラッド層212と第2クラッド層216とに挟まれて活性層214及び電界吸収層220が形成されている。電界吸収層220を含んで、図15において破線の長方形で囲われた部分が、EA光変調部222である。EA光変調部222には、共通電極210と電極218との間に変調電気信号が印加されて、電界吸収層220の光吸収係数が変調される。変調電気信号は、変調電気信号源230から、変調電気信号が供給される。変調電気信号は、コンデンサー232を介して電極218に入力される。一方バイアス電圧がバイアス電源234からコイル236を介して電極218に供給される。電極218に供給されるバイアス電圧及び変調電気信号によって、電界吸収層220の光吸収係数が変調される。一方半導体レーザとして駆動するための電力は駆動電源228から電極217に供給される。
この発明の光クロック信号抽出装置の第1モード同期半導体レーザとして、図15に示す能動モード同期半導体レーザを利用する場合には、変調電気信号として分周電気クロック信号が供給される。出力光として分周光クロック信号が出力される。
<受動モード同期半導体レーザ>
図16を参照して受動モード同期半導体レーザの概略的構成及びその動作について説明する。図16は、可飽和吸収体を用いた受動モード同期半導体レーザの概略図である。受動モード同期半導体レーザは、半導体レーザの共振器の一部に可飽和吸収体を配置することで構成される。可飽和吸収体は、半導体レーザの活性層の一部に逆バイアスを印加することで形成できる。
半導体レーザの損失を共振器の周回周波数近傍の周波数で変調するために利用されるのが、この可飽和吸収体である。可飽和吸収体を半導体レーザにモノリシックに形成されているタイプでは、この可飽和吸収体を半導体レーザの可飽和吸収部と呼ぶこともある。
図16に示すように、受動モード同期半導体レーザは、第1クラッド層242と第2クラッド層246とに挟まれて活性層244が形成されている。図16において破線の長方形で囲われた部分が、可飽和吸収部250である。可飽和吸収部250には、共通電極240と電極248との間に逆バイアス電圧が印加されて、可飽和吸収部250の光吸収係数が入力光パルスによって変調される。逆バイアス電圧はバイアス電源260から電極248に供給される。一方半導体レーザとして駆動するための電力は駆動電源254から電極247に供給される。
この発明の光クロック信号抽出装置の第2モード同期半導体レーザとして、図16に示す受動モード同期半導体レーザを利用する場合には、入力光として多重光クロック信号が入力され、出力光として再生光クロック信号が出力される。
第1光クロック信号抽出装置の概略的ブロック構成図である。 入力光信号及びクロック信号の時間波形を示す図である。 OTDM回路の概略的構成図である。 OTDM回路内での光クロック信号の時間波形を示す図である。 強度ジッタ吸収効果の実験結果の説明に供する時間波形図である。 時間ジッタ吸収効果の実験結果の説明に供する時間波形図である。 時間ジッタの入力光信号強度依存性を示す図である。 この発明の光クロック信号抽出装置の構造の特徴の説明に供する図である。 第2光クロック信号抽出装置の概略的ブロック構成図である。 入力光信号及びクロック信号の時間波形を示す図である。 受動モード同期半導体レーザの時間ジッタの低減化の実験結果を示す図である。 マスター光パルス列の光スペクトルと受動モード同期半導体レーザの縦モードとの関係の説明に供する図である。 この発明の光クロック信号抽出装置の動作原理の説明に供する図である。 分周クロック信号抽出装置の概略的ブロック構成図である。 EA光変調器を用いた能動モード同期半導体レーザの概略図である。 可飽和吸収体を用いた受動モード同期半導体レーザの概略図である。
符号の説明
12、52、70、90:分周クロック信号抽出装置
16、56、92:第1モード同期半導体レーザ
20、76:OTDM回路
24、64、96:第2モード同期半導体レーザ
28、31、32、36、39、40、44:光路
30、34、38、42:光カプラ
45、46、47、48:終端器
60:光分散媒体
72:モード同期半導体レーザ
74:第1光増幅器
78:第2光増幅器
80、98:光クロック信号生成部
94:多重回路
150:半導体電界吸収光変調器(EAM: Electro-absorption Modulator)
152:O/E変換器
154:第1バンドパスフィルタ
156:位相比較器
158:ラグリードフィルタ
160:VCO
162、172:パワー分岐器
164:ミキサー
168:基準信号発生器
174:4逓倍器
176:第2バンドパスフィルタ
178:増幅器
210、240:共通電極
217、218、247、248:電極
212、242:第1クラッド層
214、244:活性層
216、246:第2クラッド層
220:電界吸収層
222:EA光変調部
228、254:駆動電源
230:変調電気信号源
232:コンデンサー
236:コイル
234、260:バイアス電源
250:可飽和吸収部

Claims (12)

  1. (A)入力光信号から分周電気クロック信号を抽出するステップと、
    (B)該分周電気クロック信号から、該分周電気クロック信号の周波数と等しい繰り返し周波数の分周光クロック信号を生成するステップと、
    (C)該分周光クロック信号を多重して、前記入力光信号の伝送レートと一致した繰り返し周波数の多重光クロック信号を生成するステップと、
    (D)該多重光クロック信号から、該多重光クロック信号の繰り返し周波数と一致した繰り返し周波数の再生光クロック信号を生成するステップと
    を含むことを特徴とする光クロック信号抽出方法。
  2. 前記入力光信号から分周電気クロック信号を抽出するステップが、
    (A1)半導体電界吸収光変調器に入力光信号を入力して、該入力光信号の伝送レートに相当する周波数fの1/Nの周波数f/Nの電気信号と周波数Δfの電気信号とをミキシングして得られる変調電気信号によって、前記入力光信号を変調して変調光パルス信号として出力する光変調ステップと、
    (A2)該変調光パルス信号を入力して第1電気信号に変換して出力する光電変換ステップと、
    (A3)該第1電気信号を入力して、周波数NΔfの電気信号成分のみを選択して第2電気信号として出力する第1バンドパスステップと、
    (A4)周波数NΔfの該第2電気信号と、基準信号発生器によって発生される周波数Δfの基準電気信号をN逓倍して生成される周波数NΔfの電気信号である第3電気信号の位相とを比較して、両者の差成分を第4電気信号として出力する位相比較ステップと、
    (A5)該位相比較ステップにおいて出力される前記第4電気信号を時間平均して、時間平均差成分である第5電気信号を出力する時間平均差成分出力ステップと、
    (A6)該第5電気信号を入力して、周波数f/Nの第6電気信号として出力する周波数電圧制御ステップと、
    (A7)周波数f/Nの該第6電気信号を分岐する第1分岐ステップと、
    (A8)周波数f/Nの該第6電気信号と、前記基準信号発生器によって生成される周波数Δfの第7電気信号とをミキシングして、両者の周波数の和周波もしくは差周波信号である第8電気信号を出力するミキシングステップと、
    (A9)該第8電気信号を入力して、周波数が((f/N)-Δf)の電気信号成分のみを選択して第9電気信号として出力する第2バンドパスステップと、
    (A10)該第9電気信号を増幅して、変調電気信号として前記半導体電界吸収光変調器に供給する増幅ステップと、
    (A11)周波数Δfの前記第7電気信号を出力する基準信号発生ステップと、
    (A12)周波数Δfの該第7電気信号を分岐する第2分岐ステップと、
    (A13)周波数Δfの該第7電気信号の周波数を逓倍して出力する周波数逓倍ステップと
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の光クロック信号抽出方法。
    ここで、Nは、1以上の整数である。
  3. 入力光信号から分周電気クロック信号を抽出して出力する分周クロック信号抽出装置と、
    前記分周電気クロック信号が入力されて、該分周電気クロック信号の周波数と等しい繰り返し周波数の分周光クロック信号を生成して出力する第1モード同期半導体レーザと、
    該第1モード同期半導体レーザから出力される前記分周光クロック信号を多重して、前記入力光信号の伝送レートと一致した繰り返し周波数の多重光クロック信号を生成して出力する光時分割多重回路と、
    該多重光クロック信号が注入されることによって、該多重光クロック信号の繰り返し周波数と一致した繰り返し周波数の再生光クロック信号を生成して出力する第2モード同期半導体レーザと
    を具えることを特徴とする光クロック信号抽出装置。
  4. 入力光信号から分周電気クロック信号を抽出して出力する分周クロック信号抽出装置と、
    前記分周電気クロック信号が入力されて、該分周電気クロック信号の周波数と等しい繰り返し周波数の分周光クロック信号を生成して出力する第1モード同期半導体レーザと、
    該第1モード同期半導体レーザから出力される前記分周光クロック信号を多重して、前記入力光信号の伝送レートと一致した繰り返し周波数の多重光クロック信号を生成して出力する光分散媒体と、
    該多重光クロック信号が注入されることによって、該多重光クロック信号の繰り返し周波数と一致した繰り返し周波数の再生光クロック信号を生成して出力する第2モード同期半導体レーザと
    を具えることを特徴とする光クロック信号抽出装置。
  5. 前記分周クロック信号抽出装置が、
    入力光信号を入力して、該入力光信号の伝送レートに相当する周波数fの1/Nの周波数f/Nの電気信号と周波数成分Δfの電気信号とをミキシングして得られる変調電気信号によって、前記入力光信号を変調して変調光パルス信号として出力する機能を有し、入力光信号の偏波面に依存しない光変調を実現する半導体電界吸収光変調器と、
    前記変調光パルス信号を入力して、第1電気信号に変換して出力する光電変換器と、
    該第1電気信号を入力して、周波数NΔfの電気信号成分のみを選択して第2電気信号として出力する第1バンドパスフィルタと、
    該周波数NΔfの第2電気信号と、基準信号発生器によって発生される周波数Δfの基準電気信号をN逓倍して生成される周波数NΔfの電気信号である第3電気信号の位相とを比較して、両者の差成分を第4電気信号として出力する位相比較器と、
    該位相比較器から出力される前記第4電気信号を時間平均して、時間平均差成分である第5電気信号を出力するラグリードフィルタと、
    該第5電気信号を入力して、周波数f/Nの第6電気信号として出力する電圧制御型発振器と、
    周波数f/Nの該第6電気信号を分岐する第1分岐器と、
    周波数f/Nの該第6電気信号と、前記基準信号発生器によって生成される周波数Δfの第7電気信号とをミキシングして、両者の周波数の和周波もしくは差周波信号である第8電気信号を出力するミキサーと、
    該第8電気信号を入力して、周波数が((f/N)-Δf)の電気信号成分のみを選択して第9電気信号として出力する第2バンドパスフィルタと、
    該第9電気信号を増幅して、変調電気信号として前記半導体電界吸収光変調器に供給する増幅器と、
    周波数Δfの前記第7電気信号を出力する基準信号発生器と、
    該基準信号発生器から出力される周波数Δfの該第7電気信号を分岐する第2分岐器と、
    前記基準信号発生器から出力される周波数Δfの前記第7電気信号の周波数を逓倍して出力する周波数逓倍器と
    を具えることを特徴とする請求項3に記載の光クロック信号抽出装置。
    ここで、Nは、1以上の整数である。
  6. 前記分周クロック信号抽出装置が、
    入力光信号を入力して、該入力光信号の伝送レートに相当する周波数fの1/Nの周波数f/Nの電気信号と周波数成分Δfの電気信号とをミキシングして得られる変調電気信号によって、前記入力光信号を変調して変調光パルス信号として出力する機能を有し、入力光信号の偏波面に依存しない光変調を実現する半導体電界吸収光変調器と、
    前記変調光パルス信号を入力して、第1電気信号に変換して出力する光電変換器と、
    該第1電気信号を入力して、周波数NΔfの電気信号成分のみを選択して第2電気信号として出力する第1バンドパスフィルタと、
    該周波数NΔfの第2電気信号と、基準信号発生器によって発生される周波数Δfの基準電気信号をN逓倍して生成される周波数NΔfの電気信号である第3電気信号の位相とを比較して、両者の差成分を第4電気信号として出力する位相比較器と、
    該位相比較器から出力される前記第4電気信号を時間平均して、時間平均差成分である第5電気信号を出力するラグリードフィルタと、
    該第5電気信号を入力して、周波数f/Nの第6電気信号として出力する電圧制御型発振器と、
    周波数f/Nの該第6電気信号を分岐する第1分岐器と、
    周波数f/Nの該第6電気信号と、前記基準信号発生器によって生成される周波数Δfの第7電気信号とをミキシングして、両者の周波数の和周波もしくは差周波信号である第8電気信号を出力するミキサーと、
    該第8電気信号を入力して、周波数が((f/N)-Δf)の電気信号成分のみを選択して第9電気信号として出力する第2バンドパスフィルタと、
    該第9電気信号を増幅して、変調電気信号として前記半導体電界吸収光変調器に供給する増幅器と、
    周波数Δfの前記第7電気信号を出力する基準信号発生器と、
    該基準信号発生器から出力される周波数Δfの該第7電気信号を分岐する第2分岐器と、
    前記基準信号発生器から出力される周波数Δfの前記第7電気信号の周波数を逓倍して出力する周波数逓倍器と
    を具えることを特徴とする請求項4に記載の光クロック信号抽出装置。
    ここで、Nは、1以上の整数である。
  7. 前記第1モード同期半導体レーザが、半導体電界吸収光変調器を具える能動モード同期半導体レーザであることを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載の光クロック信号抽出装置。
  8. 前記第2モード同期半導体レーザが、可飽和吸収体を具える受動モード同期半導体レーザであることを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載の光クロック信号抽出装置。
  9. 前記光分散媒体の総分散量|DZ|が、真空中の光速度をc、前記第1モード同期半導体レーザの中心波長をλ、前記再生光クロック信号の繰り返し周波数をf、Nを1以上の整数として、|DZ|=(cN/(λ2f2))で与えられることを特徴とする請求項6に記載の光クロック信号抽出装置。
  10. 前記光分散媒体が、シングルモード光ファイバであることを特徴とする請求項4又は6に記載の光クロック信号抽出装置。
  11. 前記光分散媒体が、光ファイバグレーティングであることを特徴とする請求項4又は6に記載の光クロック信号抽出装置。
  12. 前記光分散媒体が、回折格子を用いた分散付加装置であることを特徴とする請求項4又は6に記載の光クロック信号抽出装置。
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