JP2007120751A - アクチュエータ - Google Patents
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Abstract
【課題】電磁石のよう大きな駆動力を発生させることができる動力源を採用した場合においても、出力部材の出力特性に優れたアクチュエータを提供する
【解決手段】特定方向に運動する出力軸104と、出力軸104の運動方向と非平行に往復運動する2以上のキャリア106と、出力軸104に形成された所定の繰り返し数で振幅する段差部(ガイド溝)105と、キャリア106と共に往復運動しながら段差部105に沿って移動するローラ108と、キャリア106の各々を駆動する電磁石112を有するアクチュエータであって、出力軸104に発生する出力トルクがローラ108の位置によらず一定となるように、段差部(ガイド溝)の振幅形状を形成する。
【選択図】図4
【解決手段】特定方向に運動する出力軸104と、出力軸104の運動方向と非平行に往復運動する2以上のキャリア106と、出力軸104に形成された所定の繰り返し数で振幅する段差部(ガイド溝)105と、キャリア106と共に往復運動しながら段差部105に沿って移動するローラ108と、キャリア106の各々を駆動する電磁石112を有するアクチュエータであって、出力軸104に発生する出力トルクがローラ108の位置によらず一定となるように、段差部(ガイド溝)の振幅形状を形成する。
【選択図】図4
Description
本発明は、アクチュエータ、より詳しくは入力部材の往復運動を特定の運動へと変換して出力可能な運動変換装置一体型のアクチュエータに関する。
従来、特許文献1に記載の運動変換装置が知られている。特許文献1に記載される運動変換装置を図14乃至図16に示す。図14は公知の運動変換装置1の斜視図である。この運動変換装置1は、ケーシングである支持部材2と、該支持部材の長手方向に貫通する形で往復運動する溝カム板6と、該溝カム板6に設けられた溝5と、この溝カム板6が往復運動(直線運動)するに伴って回転運動する回転軸4とを有している。
図15に、この運動変換装置1の回転軸4に沿う断面図を示す。
溝カム板6に設けられた溝5には、ボール8が嵌合しており、該ボール8を介して回転軸4の底面と接触している。このボール8は溝カム板6に設けられた溝5の本数と同じ数だけ存在している。
図16に示すように、溝カム板6には、所定の曲線を描いた溝5が複数本設けられている。ここでは溝5は6本設けられている。このそれぞれの溝5に対応するようにボール8も6つ設けられている。このボール8は溝カム板6が往復運動することによって、溝5内を移動することが可能である。一方、このボール8は回転軸4との関係においてはその位置は固定されている。即ち、この運動変換装置1においては、溝カム板6が往復運動することによって、曲線を描いた溝5に沿って移動するボール8と共に、回転軸4が回転するように構成されている。
上記で説明した運動変換装置1においては、確かに溝カム板6の往復運動を、回転軸4の回転運動に変換することはできても、その回転は、最大でも約360°までしか回転することができず、連続した回転を出力し続けることはできない。又、出力軸として機能する回転軸4の軸方向の一方には、溝カム板6が位置して往復運動していることから、この回転軸4を中空とした場合でも、その中空部分に配線等を貫通して通すことは不可能である。
本発明は、これらの問題点を解消したアクチュエータを提供するものである。
本発明は、特定方向に運動する出力部材と、前記出力部材の運動方向と非平行に往復運動する2以上の入力部材と、前記出力部材に形成された所定の繰り返し数で振幅するガイド溝と、前記入力部材と共に往復運動しながら前記ガイド溝内を移動する移動体と、前記入力部材の各々を独立して駆動する動力源を有するアクチュエータであって、前記出力部材に発生する出力トルクが前記移動体の位置によらず一定となるように、前記ガイド溝の振幅形状を形成することで、上記課題を解決すると同時に、以下の問題点も解消したものである。
本件出願人は既に、以下の未公知のアクチュエータを発明している(以下、「基礎発明」という。)。この基礎発明は、回転運動する出力部材と、前記出力部材の回転軸と平行に往復運動する2以上の入力部材と、前記出力部材の周方向に形成された所定の繰り返し数で振幅するガイド溝と、前記入力部材と共に往復運動しながら前記ガイド溝内を移動する移動体と、前記入力部材の各々を独立して駆動する動力源を有してなる回転アクチュエータである。この基礎発明にかかるアクチュエータは、例えば、円筒形状の出力部材の外周面にサイン波(正弦波)形状のガイド溝が一周に渡って形成されており、当該ガイド溝内に嵌合する移動体(例えばボール)を入力部材を介して駆動(動力源による駆動)することで、出力部材を回転させて出力を得ている。
この基礎発明にかかるアクチュエータでは、例えば、動力源として制御特性(例えばトルクの管理のし易さ等)が良好なコアレスボイスコイルモータ(以下単に「コアレスVCM」という。)を利用し、当該動力源を制御することによって、広範なガイド溝の種類に対応して出力部材の出力を得ることが可能である。
しかしながらより大きな出力を得ようとすると、動力源としてコアレスVCMでは十分でない場合もあり、例えば、大きな駆動力を発生させることが可能な電磁石等の利用が望まれる。一方で電磁石は、大きな駆動力を発生させることが可能というメリットはあるものの、コアレスVCMのような良好な制御特性を有していない。即ち、単に動力源を電磁石に置き換えただけでは、出力部材の出力特性が満足できるものではなく(例えばトルクリップルの存在)、改良の余地があった。
本発明は、この問題点を更に解決したアクチュエータを提供するものであって、電磁石のように大きな駆動力を発生させることができる動力源を採用した場合においても、出力部材の出力特性に優れたアクチュエータを提供するものである。
本発明におけるアクチュエータは、「ガイド溝」の形状(振幅形状)自体に新たな着想を採り入れたものである。例えば電磁石においては、磁力により吸着(駆動)しようとする吸着(駆動)対象物(本発明においては入力部材)とコイルとの距離によって、そのトルク定数は変化する。即ち、吸着(駆動)対象物が遠くにあるときはトルク定数は小さく、吸着(駆動)対象物が近づくにつれてトルク定数が大きくなる。このような特性の電磁石を動力源として、例えば単なるサイン波形状で振幅するガイド溝と組み合わせて使用すれば、出力部材におけるトルクリップルが不可避的に発生してしまう。
そこで、本発明においては、ガイド溝の形状を工夫することによって、出力部材のトルクリップルの発生を防止している。具体的には、例えば、ガイド溝の形状を動力源のトルク定数と入力部材の運動位置との関係の積分である関数をもとに決定しようとするものである。
なお、ガイド溝における所定の「繰り返し数」とは、基準となるラインに対して周期的に振幅する溝が、出力部材の運動方向(出力部材が円柱体や円筒体のような場合には、一周、即ち360度の間)に、繰り返される回数(最大値又は最小値の回数)のことを意味している。
又、本発明におけるガイド溝には、文字通りの「溝」ではなく、所定の振幅形状に形成された段差部として構成したものも含まれる。換言すれば、片方のみ壁面を有する「片溝」として形成してもよい。このように構成することによって、出力部材の加工が容易となる。
本発明により、例えば、電磁石のように大きな駆動力を発生させることができる動力源を採用した場合においても、出力部材の出力特性が良好となる。
以下添付図面を用いて、本発明に係る実施形態の一例を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態の一例である回転アクチュエータ100の主要部分のみを模式的に示した全体斜視図、図2は、アクチュエータ100を、出力軸104の径方向から見て展開した展開図、図3(A)は、図2におけるIIIA−IIIA線に沿う断面図、図3(B)は、電磁石112の構成をより詳細に示した図である。
このアクチュエータ100は、ベースとなるフレーム102と、回転運動する出力軸(出力部材)104と、この出力軸104の回転軸と平行な方向に往復運動する複数のキャリア106(106A、106B、106C)と、この複数のキャリア106を往復運動させるための電磁石112(112A、112B、112C)を有している。
図1、図2においては、キャリア106は、出力軸104の径方向外側に約120°の位相を異ならせて3つ設けられている。この3つのキャリア106(106A、106B、106C)はそれぞれが、独立した電磁石112(112A、112B、112C)によって駆動され、出力軸104の回転軸と平行(図1に示す矢印方向、出力軸の回転方向と非平行)に往復運動可能とされている。
なお、本実施形態においては、出力軸104は、回転軸方向に貫通する中空部分を有する円筒体で構成されている。又、出力軸104の回転軸方向を何らかの部材が遮るような構成とはされていないため、この中空部分に配線等のケーブル類を自由に貫通させて使用することができる。
出力軸104は、ガイド116を介して非磁性体からなるフレーム102に支持されており、この出力軸104はフレーム102に対して回転可能とされている。なお、本実施形態においては、出力軸104の外面側にのみガイド116が設けられて支持されているが、内面側からも支持するように構成してもよく、そのようにすれば出力軸104の支持剛性を更に向上させることができる。
フレーム102には、1つのキャリア106に対して、2本の固定ヨーク114Lが立設されており、それぞれの固定ヨーク114Lには、導電性を有する材料が巻かれ、コイル113が形成されている。又、2本の固定ヨーク114Lを架橋するように、永久磁石115が架設されている。又、各キャリア106の底部には、導電性を有する材料によって可動ヨーク114Hが一体的に付設されている。これらコイル113、固定ヨーク114L、可動ヨーク114H、永久磁石115によって、電磁石112(112A、112B、112C)が形成されている。
一方、出力軸104の回転方向に沿って、120°位相を異ならせて配置される各キャリア106A、106B、106Cのそれぞれの間には、フレーム102と一体的に形成されたガイドバー103が配置されている。又、このガイドバー103と、各キャリア106A、106B、106Cとの間には、それぞれ、複数のころ110が備わっており、当該ころ110が、各キャリアが往復運動する際の、往復運動方向のガイドとして機能している。
各キャリア106には、移動体であるローラ108が備わっている。このローラ108は、キャリア106に対して回転自由とされている。このローラ108は、キャリア106と共に往復運動可能とされている。又、このローラ108は、出力軸104の側面に形成されている段差部105側に配置されており、当該ローラ108の転動面が段差部105に接触可能とされている。
なお、図示はしないが、アクチュエータ100には、出力軸104の位置(回転位置・回転角度)を検出可能なエンコーダが備わっている。
出力部材である出力軸104の外周面(周方向)には、1周にわたって一定の幅且つ所定の繰り返し数で振幅する段差部(ガイド溝)105が形成されている。
本実施形態においては、この段差部105は、キャリア106の軸方向位置(出力軸104に対する軸方向位置:キャリア106の往復運動方向の位置)をz、回転角度(出力軸104の回転角度)をθとしたとき、出力軸104を固定とした場合にローラ108が転がる軌跡が次の関数に従うような形状としてある。これは、キャリア位置zによらず、角度θのみに依存して正弦波状に変化するトルクを出力軸104に伝達するためである。
∫fm(z)dz=kg・cos(nθ)・・・・・・(1)
ここでkgはトルクの増幅率である。この増幅率kgを大きくするには電磁石112のストロークを大きくする必要があり、段差部105における振幅の勾配が大きくなり段差部105自体の強度が低下する傾向にあるため適正な値に設計する。
nは段差部105の山の数を表す整数であり、モータの軸数、トルク増幅と段差部105の強度の関係などから決定する設計値である。なお、(1)式の右辺は、電磁石112に加える電流Iとして、正弦波の電流を与えることから得られている(後述)。
fm(z)は、キャリア軸方向位置zとトルクの定数Tの関係を表す関数である。本実施形態では電磁石112により構成されているため、おおよそ反比例の関係であるが、正確には磁場解析や実験から求めるのがよい。いずれにしても(1)式を解くことは困難である。そこで実際には、∫fm(z)を実験や数値計算で求めるのが便宜である。
上記の条件に忠実に従って段差部105を構成すると一部先端が鋭利になり強度が低下することがある。この場合は適宜先端を滑らかに構成する。
本構成例において、段差部105の形状そのものを表すことは困難であるが、円筒状の加工器具の軌跡を下記(2)の関数に従い指定することで実現可能である。
θ=1/n arccos(∫fm(z)dz)・・・・・・(2)
前述したように、上記は電流を正弦波状に入力する場合の構成例であり、電流の印加方式により適切なガイド溝の形状は異なる。例えばステップ状の入力の場合は下記(3)の関数を利用した形状になり、いずれにしてもキャリア位置zとトルク位置Tの関係を表す関数の積分値を利用する。
∫fm(z)dz=kg・θ・・・・・・(3)
なお、当該段差部の形状等に関しては後の作用の項にても詳述する。
続いて、アクチュエータ100の作用について説明する。
アクチュエータ100の電源が入れられると、図示せぬドライバによって制御された電磁石112のコイル113に電流が流れる。これによりコイル113に磁界(磁力)が発生し、可動ヨーク114Hを吸着する。即ち、可動ヨーク114H、キャリア106を介してローラ108をコイル113側へと引き付ける力が発生する。各キャリア106に対応するそれぞれの電磁石112のコイル113に流れる電流の大きさ(交流電源の場合は電流の方向も変化する)は、出力軸104の位置を監視するエンコーダからの情報を基にドライバにより適宜切り替えられるため、その切り替えに応じてコイル113が発生する磁界の強さは変化する。このとき各ローラ108は、出力軸104の外周面に形成された段差部(ガイド溝)105に当接しているため、出力軸104に対してキャリアの動き(力)を伝達する。この伝達された力によって、出力軸104には以下のように回転力が発生する。なお、本実施形態におけるアクチュエータ100の動力源である電磁石112は、その一部に永久磁石115を備えていることから、コイルに電流が流れない場合でも常に可動ヨーク114Hに対する吸着力が作用している。この吸着力の方向はコイル113に流れる電流が反転しても反転しない。このような構成とすることでローラ108が段差部105から浮くことを防止している。
次に、上記各電磁石112の発生する磁界が変化することによって、出力軸104が回転する作用について図4を用いて説明する。図4は、出力軸104、段差部105、ローラ108の位置関係(軌跡)を示した図である。
ここで、第1ローラ108Aは第1キャリア106Aと一体化しており、第2ローラ108Bは第2キャリア106Bと一体化しており、第3ローラ108Cは第3キャリア106Cと一体化している(図2参照)。各キャリア106がコイル113側へと引き寄せられることによって、各キャリア106に備わっている各ローラ108もそれに伴い引き寄せられる。このとき各ローラ108の転動面は、出力軸104に形成された段差部105に当接しているため、結果としてコイル113の磁界によってローラ108が段差部105に圧接される。各コイル113に流す電流の大きさと位相は、適宜コントロールされ、例えば図4のように、電流Iを正弦波状に変化させることによって駆動力の得られるA側の方が、B側よりも圧接力Fが大となるように制御すれば、結果として出力軸104は回転できる。即ち、ローラ108の軸方向位置zaが同一のときに、ローラ108がA側の段差部105を押し付ける圧接力F2が、B側の段差部105を押し付ける力F1よりも大きくなるように制御すれば、力F2によって出力軸104を矢示した回転方向に作用する分力Fr2が、力F1によって出力軸104を反回転方向に作用する分力Fr1に打ち勝って、結果として出力軸104を矢示した方向に動かすこととなる。
このようにして出力軸104の段差部105には複数(図示の例では3個)のローラ108A〜10Cが圧接しているため、死点が発生することなく出力軸104は必ず回転を開始でき、又、回転運動し続けることが可能である。
即ち、この実施形態におけるアクチュエータ100においては、常に全てのローラ108が出力軸104の段差部105に圧接され、その圧接される力の大きさを変化させることによって、出力軸104を回転運動させている。このように作用させることによって、アクチュエータ100の作動時において、ローラ108が段差部105から離反することはなく、ガタも生じない。又、離反後に再接触することもないため、衝撃音の発生もない。なお、アクチュエータの運転時において、ローラ108を段差部105に常時圧接させる目的で、アクチュエータ100においては永久磁石115が利用されているが、この他にも、例えばコイルバネなどの機構的な作用によって、同様の効果を得ることも可能である。更に、永久磁石を使用せずに、バイアス電流を与えることで、電磁石の極性が反転しない範囲で磁力の強弱を変化させつつ、常に吸引力を発生させておくことも可能である。
又、当該アクチュエータ100における段差部(ガイド溝)105の形状は、以下のような方法で決定された形状であって、出力軸104に伝達されるトルクがローラ108の段差部105での位置によらず正弦波状に変化するように形成してあるため、トルクリップルを生じることなく滑らかな(例えば一定の)出力を得ることが可能となっている。
次に段差部(ガイド溝)105の形状及び作用について図4に加えて、図5乃至図7を用いてより詳細に説明する。図5は、キャリア位置(軸方向位置)zとトルク定数Tの関係を示したグラフ、図6は、磁束密度Bと起磁力Nとの関係を示したグラフ、図7は、磁束密度Bと吸着力(圧接力)Feとの関係を示したグラフである。
本実施形態における電磁石112は、その構成要素として永久磁石115を備えており、図6で示すように、当該永久磁石115によって常に起磁力N1が発生しており、入力される電流Iの入力振幅の範囲で磁束が反転することがない。更に、鉄心の非線形性が小さい範囲(図6におけるβの範囲内)で動作が行われる。勿論当該関係は、図5で示したキャリアの位置zによって異なるが、傾向は同じである。かかる点を前提とすれば、本実施形態における電磁石112に入力される電流Iと吸着力Feとの関係は、略比例すると考えることができ(図7におけるγの範囲内)、当該比例定数をトルク定数と考えることができる。
そうすると、図5に示すようなキャリア位置zとトルク定数Tの関係を表す関数をfm(z)としたとき、この関数fm(z)は、例えばボイスコイルモータのような動力源を用いた場合には一定となり、本実施形態のように電磁石を動力源として用いた場合にはほぼ反比例の関数ということになる。電磁石112に入力される電流Iと吸着力Feとが比例関係にあることから、これらの関係は、
Fe=fm(z)I・・・・・・(4)
となる。
Fe=fm(z)I・・・・・・(4)
となる。
又、出力軸104に伝達されるトルクFrは、キャリア106が受ける吸着力Feがローラ108の軌跡の傾斜(dz/dθ)に依存して増減されることになる。即ち、
Fr=(dz/dθ)Fe・・・・・・(5)
という式が成り立つ。
Fr=(dz/dθ)Fe・・・・・・(5)
という式が成り立つ。
又、(1)をzで微分すると、
fm(z)=−kg・n・sin(nθ)・(dθ/dz)・・・・・・(6)
よって、(6)より(7)式が導かれる。
fm(z)=−kg・n・sin(nθ)・(dθ/dz)・・・・・・(6)
よって、(6)より(7)式が導かれる。
dz/dθ=−kg・n・sin(nθ)/fm(z)・・・・・・(7)
そうすると、上記(4)〜(7)式から、
Fr=(dz/dθ)Fe=〔−kg・n・sin(nθ)/fm(z)〕fm(z) I=−kg・n・sin(nθ)I・・・・・・(8)
Fr=(dz/dθ)Fe=〔−kg・n・sin(nθ)/fm(z)〕fm(z) I=−kg・n・sin(nθ)I・・・・・・(8)
整理して(8)式の両端に着目すると
Fr=−kg・n・sin(nθ)I・・・・・・・(9)
となる。
Fr=−kg・n・sin(nθ)I・・・・・・・(9)
となる。
(9)式の右辺はキャリア位置zを含んでいない。このことから、出力軸104に伝達されるトルクFrは、キャリア位置zに依存していないことが分かる。又、(9)式は、伝達トルクFrは、入力した電流Iが正弦波状に増幅される関係になっていることを示している。この関係は一般的なモータの電源と回転トルクの関係と同じであるので、結局前述した(1)式のような形状に段差部105を設計することにより、一般的な電流制御方式でドライブすることにより結果的に出力軸104への伝達トルクFrを一定(即ち、出力軸104の出力トルクが一定)に維持できることが確認できる。
なお、ここまでの説明においては、汎用の三相モータドライバを利用する前提として、入力される電流が正弦波であることを前提として説明しているが、本発明はこれに限定される趣旨のものではなく、あくまで動力源のトルク定数Tとキャリア(入力部材)の運動位置zとの関係の積分である関数fm(z)をもとに決定されるという点に意味があるのであって、例えば段差部が(10)式のような関係で示される三角波であるならば、出力軸に伝達されるトルクFrは単純な(11)式のようになる。
∫fm(z)dz=−kg・θ・・・・・・(10)
Fr=−kg・I・・・・・・(11)
又、動力源として電磁石を例にしているが、かかる点においてもこれに限定される趣旨のものではなく、それぞれの動力源に応じたトルク定数とキャリア位置との関数fm(z)を変更すれば適用可能である。例えばボイスコイルモータは、一般にfm(z)が一定値となるため、電流Iとして正弦波を入れる場合、段差部105の形状は正弦波状となる。
なお、前記説明した段差部105は、説明等の便宜上、出力軸104の側面にわたって繰り返し数の少ない振幅として説明している。しかし実際には、図8に示す例のような段差部105が形成される。もちろんこれよりずっと多い繰り返し数としてもよい。
又、図9に示す例のように、1つのキャリア106に対して、複数のローラ108を設けるような構成としても良い。このようにすれば、個々のローラ108に係る負荷が分散されることによって、ローラ108や段差部105の耐久性を向上させることが可能であると共に、伝達容量を増大することが可能となる。図9における実施例においては、各キャリア106に対して2つのローラ108を設けているが、これに限られる趣旨のものではなく、3つ以上であれば更に上述のメリットは大きくなる。
又、移動体としてローラ108を例にして説明しているが、装置の使用目的や規模によっては、例えば単に回転しない円柱状(円筒状)のものを一体的に設けてもよい。
又、アクチュエータ100のように、キャリア106の数を3の整数倍の数設けるようにすれば、広く一般に利用される三相モータドライバにより動力源となる電磁石の電流制御を行なうことが可能となるため、別途ドライバを専用に用意する必要が無い。又、交流電源でなく、直流電源によって電磁石を駆動してもよい。
更に、アクチュエータ100のような、完全な円筒の出力部材ではなく、図10に示したように、円筒の一部が出力部材(出力板)604となるように構成してもよい。即ち、当該出力板604を、所定の半径を有する円弧に沿って湾曲した板状体として構成し、当該板状体の湾曲面に前記円弧と同一中心を有するように段差部を形成することによって、所定の半径を有する円弧に沿って出力(揺動)するアクチュエータ600を構成することができる。この実施形態を更に発展させて、図11に示すように、アクチュエータ600を対向に組み合わせ、それぞれの出力軸604を連結部材630で連結すれば、連結部材630上に種々の物を配置して回転させることが可能となる。
なお、出力軸の形状は、上述した実施形態に限定されるものではなく、図12や図13に示したような板状体を出力板304、404として構成してもよい。このように構成することにより、直線運動や揺動運動(円弧に沿った運動)を出力することが可能となる。
なお、図示はしないが、上述の各実施形態の応用例として、電磁石の代わりに、電気的入力を機械的往復振動に直接変換可能な磁石可動形リニア振動運動変換装置(Moving-Magnet-Type Linear Oscillatory Actuator,LOA)を動力源として用いれば、汎用ドライバを利用して制御性が良好となる。
又、各アクチュエータは、連続した運動(回転運動、スライド運動)を出力し続けるだけでなく、キャリアを制御することによって、例えばステッピングモータのように機能させることも可能である。このとき、出力部材に形成される段差部の繰り返し数を多くとることで、1繰り返し単位当りの運動方向(周方向)の距離を短くすることができ、より細かなステップで位置を制御することが可能となる。
なお、本明細書において今までに説明した各アクチュエータにおいては、キャリアは3つ設けられ、それに伴いローラ(移動体)も3つ設けられて構成されていたが、最低限2つずつ設けられていることによって、本発明の目的は達成し得る。即ち、常時最低限1つのローラ(移動体)が段差部を介して出力部材を運動(スライド運動、回転運動)させるための力(その他のローラが発生する反運動方向の分力に打ち勝つことができる分力)を発生している限りにおいて、出力部材の運動(回転運動)を維持しつつけることができるからである。
本発明は、アクチュエータとして広く一般に利用でき、特に、ロボットの関節部等への利用が適している。
Claims (6)
- 特定方向に運動する出力部材と、
前記出力部材の運動方向と非平行に往復運動する2以上の入力部材と、
前記出力部材に形成された所定の繰り返し数で振幅するガイド溝と、
前記入力部材と共に往復運動しながら前記ガイド溝内を移動する移動体と、
前記入力部材の各々を駆動する動力源を有するアクチュエータであって、
前記出力部材に発生する出力トルクが前記移動体の位置によらず一定となるように、前記ガイド溝の振幅形状が形成された
ことを特徴とするアクチュエータ。 - 特定方向に運動する出力部材と、
前記出力部材の運動方向と非平行に往復運動する2以上の入力部材と、
前記出力部材に形成された所定の繰り返し数で振幅するガイド溝と、
前記入力部材と共に往復運動しながら前記ガイド溝内を移動する移動体と、
前記入力部材の各々を駆動する動力源を有するアクチュエータであって、
前記出力部材に伝達されるトルクが前記移動体の位置に応じて所定の態様で変化するように、前記ガイド溝の振幅形状が形成された
ことを特徴とするアクチュエータ。 - 請求項2において
前記所定の態様が、正弦波状である
ことを特徴とするアクチュエータ。 - 請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記キャリアの往復運動方向の位置をz、トルクの増幅率をkg、前記ガイド溝の繰り返し数をn、前記出力部材の回転角度をθとした場合に、前記移動体の軌跡が、∫fm(z)dz=kg・cos(nθ)の関係であり、前記動力源に対してモータドライバにより電流を制御する
ことを特徴とするアクチュエータ。 - 特定方向に運動する出力部材と、
前記出力部材の運動方向と非平行に往復運動する2以上の入力部材と、
前記出力部材に形成された所定の繰り返し数で振幅するガイド溝と、
前記入力部材と共に往復運動しながら前記ガイド溝内を移動する移動体と、
前記入力部材の各々を駆動する動力源を有するアクチュエータであって、
前記ガイド溝の振幅形状が、前記動力源のトルク定数と前記入力部材の運動位置との関係の積分である関数をもとに決定される
ことを特徴とするアクチュエータ。 - 請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記動力源が、永久磁石と組合わされた電磁石である
ことを特徴とするアクチュエータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006215022A JP2007120751A (ja) | 2005-09-28 | 2006-08-07 | アクチュエータ |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005281414 | 2005-09-28 | ||
JP2006215022A JP2007120751A (ja) | 2005-09-28 | 2006-08-07 | アクチュエータ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2007120751A true JP2007120751A (ja) | 2007-05-17 |
Family
ID=38144797
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006215022A Pending JP2007120751A (ja) | 2005-09-28 | 2006-08-07 | アクチュエータ |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2007120751A (ja) |
-
2006
- 2006-08-07 JP JP2006215022A patent/JP2007120751A/ja active Pending
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