JP2007120458A - 流体ポンプ - Google Patents

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琴培 崔
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Abstract

【課題】駆動手段とインペラとをシャフトで連結した直結式の流体ポンプにおいて、シール部材への異物侵入を防止しつつ、シール部材の温度上昇を抑制する。
【解決手段】流体を圧送するインペラ16と、インペラ16を収納し、流体が流通するポンプ室12と、ポンプ室12の外部に配置され、インペラ16を回転させる駆動手段17と、インペラ16と駆動手段17とを連結するシャフト13と、シャフト13の外周面に配置され、流体がポンプ室12から駆動手段17側へ洩れることを防止するシール部材33とを備え、シャフト13の内部に、ポンプ室12と連通するシャフト中空部13aを形成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、駆動手段によりインペラを回転させて流体を吸引吐出する流体ポンプに関する。
従来、マグネットカップリングを介して駆動手段からインペラへトルクを伝達する流体ポンプが知られている。このマグネットカップリングを用いる流体ポンプでは、駆動手段とポンプ部が完全に遮断されるため流体洩れが発生しないという利点がある。
しかし、マグネットカップリングの体格が流体ポンプの1/3程度を占めているため小型化に限界があり、また、マグネットカップリングのような間接動力伝達方式は理想的な状態(直結式)に比べてトルク伝達力が低下するという問題がある。
そこで、マグネットカップリングを用いない流体ポンプ、すなわち駆動手段とインペラとをシャフトで連結した直結式の流体ポンプにおいて、流体洩れを防止する手段が特許文献1にて提案されている。
この特許文献1に記載の流体ポンプでは、インペラと、インペラを収納するケースの内壁との間にシール部材(メカニカルシール)を設けることにより、流体洩れを防止している。
また、この特許文献1に記載の流体ポンプでは、インペラに形成された環状のシャフト固定穴に中空状のシャフトを圧入することにより、インペラとシャフトとを強固に固定するとともに、インペラとシャフトとの間の密封性を確保している。さらに、中空状シャフトのインペラ側先端開口部はインペラで閉塞されており、中空状シャフトの内部空間には流体が流入しないようになっている。
実開平5−19596号公報
しかしながら、本発明者の詳細な検討によると、特許文献1に記載の流体ポンプにおいては、シール部で発生する摺動摩擦熱によって、シール性能が低下するという問題があることがわかった。これは、以下の理由による。
即ち、鋳砂等がシール部材に侵入するとシール性能が低下してしまうので、インペラと、インペラを収納するケースの内壁との間の隙間を微少にして、ポンプ室12の流体がシール部材側に侵入するのを抑制する必要がある。このため、シール部材側とポンプ室12との間における流体の循環が抑制される。
このため、シール部材が摺動することにより発生する摩擦熱を流体に伝達して、シール部材を冷却することができない。
これに加え、インペラを金属と比較して熱伝導率が小さい樹脂で形成しているので、シャフト及びインペラを介して流体に伝達される摩擦熱が微少である。このため、シール部材を冷却することができない。
この結果、シール部材の温度が130〜140℃にも達し、シール部材が熱膨張するので、シール部材の摺動面が摩耗してシール性能が低下してしまう。
ところで、水冷式内燃機関の冷却水は、凍結温度を下げるためにエチレングリコール等の溶質が混入されているが、冷却水が高温になると冷却水が蒸発し、冷却水に溶け込んでいた溶質が析出する。
このため、特許文献1に記載の流体ポンプを水冷式内燃機関の冷却水を循環させるために用いる場合には、シール部材近傍の冷却水がシール部材の熱によって蒸発し、冷却水に溶け込んでいた溶質が析出してしまう。
この結果、析出した溶質がシール部材の摺動面に付着堆積して、摺動面の密接度を損なうので、シール性能が低下してしまう。
本発明は、上記点に鑑み、駆動手段とインペラとをシャフトで連結した直結式の流体ポンプにおいて、シール部材の温度上昇を抑制することを目的とする。
また、本発明は、駆動手段とインペラとをシャフトで連結した直結式の流体ポンプにおいて、ベアリングの温度上昇を抑制することを他の目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、流体を圧送するインペラ(16)と、
インペラ(16)を収納し、流体が流通するポンプ室(12)と、
ポンプ室(12)の外部に配置され、インペラ(16)を回転させる駆動手段(17)と、
インペラ(16)と駆動手段(17)とを連結するシャフト(13)と、
シャフト(13)の外周面に配置され、流体がポンプ室(12)から駆動手段(17)側へ洩れることを防止するシール部材(33)とを備え、
シャフト(13)の内部には、ポンプ室(12)と連通するシャフト中空部(13a)が形成されることを第1の特徴とする。
これによると、シャフト中空部(13a)がポンプ室(12)と連通するので、ポンプ室(12)の流体がシャフト中空部(13a)内まで到達することができる。このため、シャフト(13)とシール部材(33)との摺動によって発生する摩擦熱をシャフト中空部(13a)内の流体に伝達して、シール部材(33)を冷却することができ、シール部材(33)の温度上昇を抑制することができる。
また、シャフト中空部(13a)は、ポンプ室(12)と連通し、駆動手段(17)側とは連通しないので、シャフト中空部(13a)内の流体が駆動手段(17)側へ洩れることはない。
さらに、シャフト(13)の内部にシャフト中空部(13a)を形成することによって、シャフト(13)を軽量化できるので、流体ポンプの重量を低減できる。
本発明は、具体的には、シャフト(13)のインペラ側先端部が、軸受部(34)に挿入されて回転可能に支持されており、
シャフト中空部(13a)が、シャフト(13)と軸受部(34)との間の隙間を介してポンプ室(12)と連通している。
これによると、シャフト中空部(13a)とポンプ室(12)との連通部がシール部材(33)と離れているので、異物がシャフト中空部(13a)内の流体によってシール部材(33)側へ運ばれることが起こりにくい。
また、本発明は、具体的には、シャフト(13)のインペラ側先端部がインペラ(16)から突出しており、
シャフト(13)の外周面であって突出している部位に、シャフト中空部(13a)とポンプ室(12)とを連通する連通穴(13b)を形成してもよい。
また、本発明は、シャフト(13)の外周面において、シール部材(33)よりもインペラ(16)側に配置され、ポンプ室(12)側からシール部材(33)側に向かう異物を捕捉する捕捉手段(37、38)を備えている。
さらに、本発明は、シャフト中空部(13a)が、捕捉手段(37、38)よりもインペラ(16)側の部位において、ポンプ室(12)と連通している。
これによると、シャフト中空部(13a)内を通過する流体によって、異物がシール部材(33)側へ運ばれても、この異物を捕捉手段(37、38)によって捕捉することができる。
この結果、シャフト中空部(13a)が、捕捉手段(37、38)よりもポンプ室(12)側の部位において、ポンプ室(12)と連通しても、シール部材(33)への異物侵入を防止することができる。
また、本発明は、シャフト(13)の外周面において、シール部材(33)よりもインペラ(16)側に配置され、ポンプ室(12)側からシール部材(33)側に向かう異物を捕捉する捕捉手段(37、38)を備え、
シャフト(13)の外周面であってインペラ(16)と捕捉手段(37、38)との中間部位に、シャフト中空部(13a)とポンプ室(12)とを連通する連通穴(13b)を形成してもよい。
これによると、連通穴(13b)を通じて異物がシール部材(33)側へ運ばれても、この異物を捕捉手段(37、38)によって捕捉することができる。
この結果、シャフト(13)の外周面であってインペラ(16)と捕捉手段(37、38)との中間部位に、シャフト中空部(13a)とポンプ室(12)とを連通する連通穴(13b)を形成しても、シール部材(33)への異物侵入を防止することができる。
また、本発明は、インペラ(16)に、捕捉手段(37、38)側を向いて開口するインペラ中空部(16c)を形成している。
これによると、摺動摩擦熱を、インペラ(16)を介してインペラ中空部(16c)内の流体に伝達し、シール部材(33)を冷却することができる。この結果、シール部材(33)の温度上昇をより抑制することができる。
また、本発明は、シャフト(13)の外周面に配置され、流体がポンプ室(12)から駆動手段(17)側へ洩れることを防止するシール部材(33)と
シャフト(13)の外周面において、シール部材(33)よりもインペラ(16)側に配置され、ポンプ室(12)側からシール部材(33)側に向かう異物を捕捉する捕捉手段(37、38)とを備え、
捕捉手段(37、38)に形成される空隙部を通じて、ポンプ室(12)とシール部材(33)側の空間とが連通することを第2の特徴とする。
これによると、捕捉手段(37、38)に形成される空隙部を通じて、ポンプ室(12)とシール部材(33)側の空間とが連通するので、ポンプ室(12)とシール部材(33)側の空間との間で流体を出入りさせることができる。
このため、シャフト(13)とシール部材(33)との摺動によって発生する摩擦熱を、ポンプ室(12)とシール部材(33)側の空間との間で出入りする流体に伝達し、シール部材(33)を冷却することができる。この結果、捕捉手段(37、38)によって異物がシール部材(33)側に侵入するのを防止しつつ、シール部材(33)の温度上昇を抑制することができる。
本発明は、具体的には、捕捉手段が、流体を通過させ異物を捕捉する繊維状部材(38)と、繊維状部材(38)を固定するベース部材(37)とで構成され、
ベース部材(37)には、シャフト(13)の径方向に延び、繊維状部材(38)と重合する板状部(37a)が形成され、
板状部(37a)には、シャフト(13)が貫通する貫通穴(37b)が形成されるとともに、シール部材(33)側の空間とポンプ室(12)とを連通させる連通穴(37c)が形成され、
連通穴(37c)と繊維状部材(38)の空隙部とを通じて、ポンプ室(12)とシール部材(33)側の空間とが連通している。
また、本発明は、具体的には、捕捉手段が、流体を通過させ異物を捕捉する繊維状部材(38)のみで構成され、
繊維状部材(38)がシール部材(33)に直接固定され、
繊維状部材(38)の空隙部を通じて、ポンプ室(12)とシール部材(33)側の空間とが連通するようにしてもよい。
また、本発明は、流体を圧送するインペラ(16)と、
インペラ(16)を収納し、流体が流通するポンプ室(12)と、
ポンプ室(12)の外部に配置され、インペラ(16)を回転させる駆動手段(17)と、
インペラ(16)と駆動手段(17)とを連結するシャフト(13)と、
シャフト(13)の外周面に配置され、流体がポンプ室(12)から駆動手段(17)側へ洩れることを防止するシール部材(33)とを備え、
インペラ(16)が金属によって形成されることを第3の特徴とする。
これによると、金属は樹脂と比較して熱伝導率が高いため、インペラ(16)を樹脂によって形成する場合と比較して、多くの摺動摩擦熱をインペラ(16)を介してポンプ室(12)内の流体に伝達させることができる。この結果、シール部材(33)を冷却することができ、シール部材(33)の温度上昇を抑制することができる。
また、本発明は、流体を圧送するインペラ(16)と、
インペラ(16)を収納し、流体が流通するポンプ室(12)と、
ポンプ室(12)の外部に配置され、インペラ(16)を回転させる駆動手段(17)と、
インペラ(16)と駆動手段(17)とを連結するシャフト(13)と、
シャフト(13)の外周側に配置され、シャフト(13)を回転自在に支持するベアリング(23)とを備え、
シャフト(13)の内部には、ポンプ室(12)と連通するシャフト中空部(13a)が形成されることを第4の特徴とする。
これによると、シャフト中空部(13a)がポンプ室(12)と連通するので、ポンプ室(12)の流体がシャフト中空部(13a)内まで到達することができる。このため、ベアリング(23)で発生する摩擦熱をシャフト中空部(13a)内の流体に伝達して、シール部材(33)を冷却することができ、ベアリング(23)の温度上昇を抑制することができる。
また、シャフト中空部(13a)は、ポンプ室(12)と連通し、駆動手段(17)側とは連通しないので、シャフト中空部(13a)内の流体が駆動手段(17)側へ洩れることはない。
さらに、シャフト(13)の内部にシャフト中空部(13a)を形成することによってシャフト(13)を軽量化できるので、流体ポンプの重量を低減できる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図3に基づいて説明する。本実施形態は、本発明による流体ポンプを、内燃機関の冷却水を循環させる電動式のウォータポンプに適用したものである。この電動式ウォータポンプは、内燃機関の冷却水(温水)を、冷却水を熱源として車室内に吹き出す空気を加熱することにより車室内を暖房するヒータコア(暖房用熱交換器)との間で循環させるものである。
図1は、本発明の第1実施形態による流体ポンプの断面図であり、図2は、図1におけるA部拡大図である。この図1において、流体ポンプは、継手部材10によって電動機室11とポンプ室12とに分割されている。継手部材10は、例えば樹脂よりなり、シャフト13(詳細後述)の軸線方向に延びる略円筒状に形成されている。
継手部材10の一端側に電動機ケーシング14がビス15にて固定されており、継手部材10と電動機ケーシング14とに囲まれて形成される内部空間が電動機室11である。電動機室11には、車載バッテリ(図示せず)から電力の供給を受けて、インペラ16(詳細後述)を回転駆動する電動機17が配置されている。なお、電動機17は、本発明における駆動手段に該当するものである。
電動機17は、周知のごとく、永久磁石にて構成されたステータ18、コイルが巻かれてステータ18内で回転するロータ19、ロータ19に電力を供給するブラシ及び整流子等からなる給電部20、給電部20のブラシに電気的に接続されているハーネス部21等によって構成される。
ロータ19のポンプ室12側には、軸部22を介してシャフト13が接続される。なお、軸部22の外周側であって、継手部材10の内周側にはベアリング23が配置され、ロータ19及び軸部22は、ベアリング23によって継手部材10に対して回転可能に支持される。したがって、シャフト13も、ベアリング23によって継手部材10に対して回転可能に支持される。
電動機室11は、継手部材10に設けられた呼吸穴24によって外部と連通しており、呼吸穴24により、電動機17の発熱に伴う電動機室11内の圧力上昇を防止するようになっている。また、呼吸穴24は、外から水等が入らない構造になっている。
継手部材10の他端側にポンプケーシング25がビス26にて固定されており、継手部材10とポンプケーシング25とによって囲まれて形成される内部空間がポンプ室12である。なお、継手部材10とポンプケーシング25との結合部には、Oリング27が配置され、このOリング27によって、ポンプ室12内の冷却水が外部に洩れるのを防止している。
インペラ16は、ポンプ室12内に配置され、継手部材10を貫通するシャフト13によって電動機17と連結されている。このインペラ16は、回転により冷却水をポンプ室12の入口部28から吸引し、出口部29から吐出して、水冷式内燃機関(図示せず)とヒータコア(図示せず)との間に冷却水を循環させるようになっている。
インペラ16は、複数枚の翼からなる本体部16aと、本体部16aの背面(図2の上方側の面)から電動機室11側に円筒状に延出する延出部16bとで構成され、本例では、樹脂により一体成型している。
インペラ16の本体部16aの中心部には、シャフト13が貫通するための貫通穴が形成され、この貫通穴には、金属により円筒状に形成されたインサート30が圧入されている。そして、インサート30の内周面にシャフト13の外周面が嵌合することにより、インペラ16がインサート30を介してシャフト13に固定される。
また、インペラ16の延出部16bは、継手部材10におけるポンプ室12側の端面に形成された円環状凹部31内に挿入される。これにより、インペラ16の延出部16bと継手部材10の円環状凹部31との間で形成されるインペラ背面空間32はラビリンス構造を形成する。これにより、冷却水中の異物、例えば、内燃機関に用いられる鋳造部品に付着した鋳砂等がポンプ室12側からリップシール33(詳細後述)側に侵入するのを防止する。
シャフト13は、本例では、磁性体金属により形成している。シャフト13の内部には、断面が円形状のシャフト中空部13aがシャフト13の軸線方向に延びて形成される。このシャフト中空部13aはインペラ16側の先端からベアリング23の近傍まで形成される。したがって、シャフト中空部13aはインペラ側先端部では開口し、電動機側先端部では閉塞されている。
また、シャフト13のインペラ側先端部は、シャフト13の延長方向にポンプケーシング25と一体に形成された軸受部34に挿入され、ポンプケーシング25に対して回転可能に支持されている。
これにより、シャフト中空部13aは、矢印Bに示すように、軸受部34の内周面とシャフト13の外周面との間の隙間を介してポンプ室12と連通するので、シャフト中空部13a内にポンプ室12の冷却水が流入する。なお、図2では図示の都合上、矢印Bのうち軸受部34の内周面とシャフト13の外周面との間の隙間の部分を、シャフト13の外周面よりも軸受部34側に図示している。
ところで、継手部材10におけるポンプ室12側の端面には、シャフト13を囲むようにして円形凹部35が形成されている。この円形凹部35の電動機室11側には、ポンプ室12側から電動機室11側への冷却水の洩れを防止するリップシール33が、圧入により気密に固定されている。なお、リップシール33は、本発明におけるシール部材に該当するものである。
リップシール33は、同軸2重円筒をその一端側(図2の上方側)で結合した形状を有しており、ゴム等の弾性材料にて一体成型されている。
リップシール33の同軸2重円筒のうち、内筒部の内周面には、主リップ33aとダストリップ33bとが、シャフト13の軸線方向に連なって形成されている。主リップ33aは、シャフト13の軸線方向においてポンプ室12側に配置され、シャフト13の外周面に摺動自在に密接して冷却水の洩れを防止する。
一方、ダストリップ33bは、シャフト13の軸線方向において電動機室11側に配置され、シャフト13の外周面に摺動自在に密接して電動機室11側から主リップ33aへの異物(ダスト等)の侵入を防止する。
また、リップシール33の内筒部の外周側には、主リップ33aをシャフト13に押し付けるスプリング36が配置されている。このスプリング36は、磁気を帯びた金属よりなる。このスプリング36のばね力、及び、スプリング36とシャフト13との間で発生する磁力の両者により、主リップ33aがシャフト13に押し付けられるようになっている。
また、円形凹部35のポンプ室12側には、ポンプ室12側からリップシール33側に向かう異物、例えば、鋳造部品に付着した鋳砂等を捕捉する捕捉手段をなすベース部材37及び繊維状部材38が配置されている。
ベース部材37は、本例では、ゴムにより略有底円筒状に形成され、略有底円筒形状の底部をなす板状部37aがシャフト13の径方向に延びて形成される。ベース部材37はは、板状部37aがリップシール33側になるように、円形凹部35に圧入により気密に固定されている。また、板状部37aの中心部には、シャフト13が貫通するための貫通穴37bが形成されている。
図3に示すように、ベース部材37の板状部37aのポンプ室12側の面には、穴あき円盤状の繊維状部材38が配置されている。この繊維状部材38は、いわゆるファブリックと呼ばれる繊維が絡み合った素材からなる。したがって、繊維状部材38はフィルターとして機能し、繊維間の空隙部を通じて冷却水を通過させる一方で、ポンプ室12側からリップシール33側に向かう異物を繊維で捕捉することができる。
繊維状部材38は、ベース部材37の板状部37aに重合して接着固定されている。また、繊維状部材38の穴部38aは、ベース部材37の貫通穴37bと同軸に形成され、シャフト13の外径よりも若干小さい径を有している。これにより、繊維状部材38の内周面がシャフト13の外周面に摺動自在に接する。
なお、リップシール33内部には、リップシール33、ベース部材37及びシャフト13に囲まれてリップシール内空間39が形成される。このリップシール内空間39には、主リップ33aおよびダストリップ33bの磨耗防止と摺動摩擦低減のためにゲル状のフッ素グリス(図示せず)が封入されている。このフッ素グリスのポンプ室12側への流出は、繊維状部材38によって防止されるようになっている。
次に、上記構成において、流体ポンプの作動について説明する。ポンプ作動時は、電動機17のトルクがシャフト13を介してインペラ16に伝達されてインペラ16が回転する。インペラ16の回転により冷却水が吸引吐出され、内燃機関とヒータコアとの間で冷却水が循環する。
このポンプ作動時は、リップシール33の主リップ33aによって、ポンプ室12側から電動機室11側への冷却水の洩れを防止する。また、リップシール33のダストリップ33bによって、電動機室11側から主リップ33aへの異物(ダスト等)の侵入を防止する。
また、ポンプ室12に流入した鋳砂等は、繊維状部材38によって捕捉される。これにより、鋳砂等がリップシール33側に侵入するのを確実に防止することができる。
ところで、リップシール33の主リップ33a及びダストリップ33bがシャフト13と摺動することにより摩擦熱が発生するが、この摩擦熱はシャフト中空部13a内の冷却水に伝達される。
即ち、シャフト中空部13aはインペラ16側の先端からベアリング23の近傍まで形成されるので、シャフト13のうち、リップシール33と摺動する部位にはシャフト中空部13aが形成されている。
このシャフト中空部13a内の冷却水とポンプ室12内の冷却水との温度差、圧力差、あるいは、インペラ16の回転による遠心力等は時々刻々変動するので、冷却水が矢印Bのようにポンプ室12とシャフト中空部13aとの間を出入りする。なお、図2における矢印Bは、この冷却水の出入りを模式的に示したものである。
このシャフト中空部13aとポンプ室12との間の冷却水の出入りによって、主リップ33a及びダストリップ33bとシャフト13との摺動面で発生する摩擦熱がポンプ室12の冷却水に伝達される。
このため、リップシール33を冷却することができ、摩擦熱によってリップシール33の温度が上昇することを抑制できる。この結果、リップシール33の熱膨張によってリップシール33がシャフトに削られてシール性能が低下するという不具合を回避できる。
また、リップシール33の温度上昇を抑制できるので、リップシール33近傍の冷却水の蒸発によって冷却水に溶け込んでいた溶質が析出し、この溶質が主リップ33a及びダストリップ33bとシャフト13との摺動面に付着堆積してシール性能が低下してしまうという不具合も回避できる。
なお、流体ポンプの内燃機関等への搭載方向を、ポンプ室12が上で電動機室11が下になるようにすれば、シャフト中空部13aとポンプ室12との間の冷却水の出入りに自然対流を利用できるので、リップシール33の温度上昇を抑制する効果がより得られる。
また、シャフト中空部13aはポンプ室12のみと連通し、電動機室11とは連通しないので、シャフト中空部13a内の冷却水が電動機室11側へ洩れることはない。
また、シャフト中空部13aとポンプ室12との連通部は、シャフト13の先端面のみであり、リップシール33から離れているので、シャフト中空部13a内の流体がリップシール33側へ直接流れ込むことはない。このため、シャフト中空部13a内の流体によって鋳砂等がリップシール33側へ運ばれることが起こりにくい。
また、シャフト中空部13aを形成することにより、シャフト中空部13aを形成しない場合と比較してシャフト13を軽量化することができる。この結果、流体ポンプの重量を低減することができる。
さらに、シャフト中空部13aは、シャフト13の軸線方向において、シャフト13の先端からベアリング23の付近まで形成されている。このため、シャフト中空部13aを出入りする冷却水によって、ベアリング23をも冷却することができる。この結果、ベアリング23が摩擦熱によって温度上昇することを抑制することができ、ベアリング23の熱膨張による摩耗を抑制することができる。
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、シャフト中空部13aとポンプ室12とは、シャフト13と軸受部34との間の隙間のみを介して連通しているが、本実施形態では、図4に示すように、シャフト13の外周面であってインペラ16から突出している部位に連通穴13bを形成して、シャフト中空部13aとポンプ室12とが、シャフト13と軸受部34との間の隙間のみならず、連通穴13bをも介して連通するようにする。
図4は、本実施形態における要部拡大断面図である。シャフト13の連通穴13bは、シャフト13の軸線方向において、インサート30と軸受部34との間に形成される。また、本例では、この連通穴13bをシャフト13の円周方向に等間隔に4個配置している。なお、連通穴13bの個数は、4個に限定されるものではなく、適宜増減が可能である。
これにより、シャフト中空部13aは、シャフト13の先端面で開口するとともに、シャフト13の外周面においても連通穴13bによって開口する。これにより、シャフト中空部13aとポンプ室12とが、矢印Cのようにシャフト13と軸受部34との間の隙間を介して連通するとともに、矢印Dのように連通穴13bをも介して連通する。
本実施形態においては、シャフト中空部13a内の冷却水とポンプ室12内の冷却水との温度差、圧力差、あるいは、インペラ16の回転による遠心力等は時々刻々変動するので、冷却水が矢印C及び矢印Dに示す経路でポンプ室12とシャフト中空部13aとの間を出入りする。
図4における矢印C及び矢印Dの向きは、この冷却水の出入りの一状態を模式的に示したものであり、常にこの向きに流れることを意味するものではない。本実施形態では、シャフト13の回転による遠心力が、シャフト中空部13a内の冷却水をシャフト中空部13aの径方向外側に押し出すように作用する。
このため、ポンプ室12内の冷却水が、矢印Cのように、シャフト13と軸受部34との間の隙間を通過してシャフト中空部13a内に流入し、矢印Dのように、シャフト13の連通穴13bからポンプ室12へと流出するという冷却水の循環が起こりやすい。
この結果、主リップ33a及びダストリップ33bとシャフト13との摺動面で発生する摩擦熱が、ポンプ室12の冷却水に伝達されるので、リップシール33の温度上昇を抑制することができ、シール性能が低下する不具合を回避できる。
また、シャフト中空部13aは、シャフト13のうちインペラ16よりも先端側のみにおいて、ポンプ室12と連通し、電動機室11とは連通しないので、シャフト中空部13a内の流体がリップシール33側へ直接流れ込むことはない。このため、シャフト中空部13a内の流体によって鋳砂等がリップシール33側へ運ばれることが起こりにくい。
(第3実施形態)
上記第2実施形態では、シャフト13の外周面の連通穴13bをインペラ16から突出している部位に配置しているが、本実施形態では、図5に示すように、シャフト13の外周面の連通穴13bをインペラ16と繊維状部材38との間に配置する。
図5は、本実施形態における要部拡大断面図である。シャフト13の連通穴13bは、シャフト13の軸線方向において、インペラ16と繊維状部材38との間に配置される。また、本例では、この連通穴13bをシャフト13の円周方向に等間隔に4個配置している。なお、連通穴13bの個数は、4個に限定されるものではなく、適宜増減が可能である。
これにより、シャフト中空部13aとポンプ室12とが、矢印Cのようにシャフト13と軸受部34との間の隙間を介して連通するとともに、矢印Eのように連通穴13b及びインペラ背面空間32をも介して連通する。
本実施形態においても、上記第2実施形態と同様に、シャフト中空部13a内の冷却水とポンプ室12内の冷却水との温度差、圧力差、あるいは、インペラ16の回転による遠心力等は時々刻々変動するので、冷却水が矢印C及び矢印Eに示す経路でポンプ室12とシャフト中空部13aとの間を出入りする。
図5における矢印C及び矢印Eの向きは、この冷却水の出入りの一状態を模式的に示したものであり、常にこの向きに流れることを意味するものではない。本実施形態では、シャフト13の回転による遠心力が、シャフト中空部13a内の冷却水をシャフト中空部13aの径方向外側に押し出すように作用する。
このため、ポンプ室12内の冷却水が、矢印Cのように、シャフト13と軸受部34との間の隙間を通過してシャフト中空部13a内に流入し、矢印Eのように、シャフト13の連通穴13b及びインペラ背面空間32を通過してポンプ室12へと流出するという冷却水の循環が起こりやすい。
この結果、主リップ33a及びダストリップ33bとシャフト13との摺動面で発生する摩擦熱が、ポンプ室12の冷却水に伝達されるので、リップシール33の温度上昇を抑制することができ、シール性能が低下する不具合を回避できる。
なお、シャフト13の連通穴13bから冷却水とともに流出する鋳砂等は繊維状部材38によって捕捉される。このため、リップシール33への異物侵入防止効果は損なわれない。
(第4実施形態)
上記第1実施形態では、シャフト中空部13a内の冷却水によってリップシール33の温度上昇を抑制しているが、本実施形態では、図6に示すように、シャフト中空部13aを廃止して、インペラ16をアルミニウム化することにより、リップシール33の温度上昇を抑制する。
図6は、本実施形態における要部拡大断面図である。本実施形態は、上記第1実施形態に対して、シャフト中空部13aを廃止し、インペラ16の材質を樹脂からアルミニウムに変更したものであり、それ以外は上記第1実施形態と同様である。
周知のごとく、アルミニウムの熱伝導率は、樹脂の熱伝導率のおよそ1000倍である。このため、主リップ33a及びダストリップ33bとシャフト13との摺動面で発生する摩擦熱がシャフト13を介してインペラ16に伝わり、インペラ16からポンプ室12内の冷却水に放熱される。
図7は、本実施形態におけるリップシール33の温度上昇抑制効果を示すグラフであり、ポンプ作動時におけるリップシール33の温度を、アルミニウム製のインペラ16の場合と樹脂製のインペラ16の場合とで比較したものである。
図7に示すように、インペラ16の材質を樹脂からアルミニウムに変更すると、ポンプ作動開始から10秒までの間は、両者に相違はないが、10秒経過時点ではアルミニウムの場合の方が温度上昇が緩やかであり、90秒経過時点では樹脂の場合と比較して約5℃低減される。
この結果、リップシール33の温度上昇を抑制することができ、シール性能が低下する不具合を回避できる。
(第5実施形態)
上記第1実施形態では、シャフト中空部13a内の冷却水によってリップシール33の温度上昇を抑制しているが、本実施形態では、図8に示すように、シャフト中空部13aを廃止し、ベース部材37に連通穴37cを配置して、この連通穴37cを通じてリップシール内空間39を出入りする冷却水によってリップシール33の温度上昇を抑制する。
図8は、本実施形態における要部拡大断面図であり、図9は、図8におけるベース部材37の正面図(図8の下方から見た図)である。ベース部材37の連通穴37cは、ベース部材37の板状部37aであって、貫通穴37bの外周側に形成される。
また、連通穴37cは、板状部37aの円周方向に等間隔に4個配置される。なお、図9中の2点鎖線は、シャフト13の外径を示している。
ところで、上記第1実施形態では、繊維状部材38をベース部材37に確実に接着固定するために、ベース部材37の貫通穴37bを極力小さくして、繊維状部材38とベース部材37との接着面積を極力大きくしている。
このため、シャフト13の外周面と貫通穴37bの内周面との間の隙間40(図9)が狭くなり、リップシール内空間39とポンプ室12との間の冷却水の出入りが阻害される。なお、図9では、隙間40の説明の都合上、貫通穴37bを大きく図示し、隙間40を大きく図示している。
一方、本実施形態では、ベース部材37の板状部37aに連通穴37cを形成しており、上記第1実施形態と比較して繊維状部材38とベース部材37との接着面積が減少しているが、繊維状部材38の接着性を損なわないように連通穴37cの形状、位置及び個数が設定されている。
これにより、リップシール内空間39とポンプ室12とが、ベース部材37の連通穴37cを介して連通するので、上記第1実施形態と比較してリップシール内空間39とポンプ室12との間で冷却水が出入りしやすくなっている。
また、本実施形態では、インペラ背面空間32を冷却水が出入りするようになっている。インペラ背面空間32を冷却水が出入りすると、インペラ背面空間32のラビリンス効果、即ち、鋳砂等がポンプ室12側からリップシール33側に侵入するのを防止する効果が減少するのであるが、鋳砂等を捕捉する繊維状部材38を備えているので、リップシール33への鋳砂等の侵入を防止できる。
上記構成によると、リップシール内空間39内の冷却水とポンプ室12内の冷却水との温度差、圧力差、あるいは、インペラ16の回転による遠心力等が時々刻々変動することにより、冷却水が、矢印Fのように、リップシール内空間39とポンプ室12との間を出入りする。
具体的には、ベース部材37の連通穴37c及びインペラ背面空間32を通過して、リップシール33周囲とポンプ室12との間を出入りする。なお、矢印Fは、この冷却水の出入りを模式的に示したものである。
この結果、主リップ33a及びダストリップ33bとシャフト13との摺動面で発生する摩擦熱がポンプ室12の冷却水に伝達され、リップシール33の温度上昇を抑制できるので、シール性能が低下する不具合を回避できる。
なお、ベース部材37の連通穴37cには、繊維状部材38が重合しているので、ポンプ室12側からリップシール33側に向かう鋳砂等を繊維状部材38が捕捉することができる。このため、ベース部材37に連通穴37cを形成しても、リップシール33への異物侵入防止効果は損なわれない。
また、連通穴37cの形状、位置及び個数は、本例に限定されるものではなく、繊維状部材38の接着性を損なわない範囲で適宜変更が可能である。
(第6実施形態)
上記第5実施形態では、ベース部材37に連通穴37cを形成することによりリップシール33の温度上昇を抑制しているが、本実施形態では、図10に示すように、ベース部材37を廃止し、繊維状部材38をリップシール33に直接固定することによってリップシール33の温度上昇を抑制する。
図10は、本実施形態における要部拡大断面図であり、図11は、図10におけるリップシール33及び繊維状部材38の斜視図である。同軸2重円筒形状をなすリップシール33のうち、外筒部の先端面33cに、繊維状部材38を接着する。即ち、繊維状部材38がリップシール33に直接固定される。
ここで、先端面33cの面積は、繊維状部材38を接着固定するのに必要な接着面積以上になっているので、繊維状部材38の接着性が確保されている。
本実施形態では、リップシール内空間39とポンプ室12とが、繊維状部材38の空隙部を通じて連通している。これにより、リップシール33と繊維状部材38との間の空間の冷却水は、矢印Gのように、繊維状部材38を通過してポンプ室12と出入りする。なお、矢印Gは、この冷却水の出入りを模式的に示したものである。
この結果、上記第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、リップシール内空間39とポンプ室12とは、繊維状部材38の空隙部を通じて連通しているので、リップシール33への異物侵入防止効果は損なわれない。
(第7実施形態)
上記第1実施形態では、シャフト中空部13a内の冷却水によってリップシール33の温度上昇を抑制しているが、本実施形態では、図12に示すように、インペラ16にインペラ中空部16cを形成し、シャフト中空部13a内の冷却水のみならず、このインペラ中空部16c内の冷却水によっても、リップシール33の温度上昇を抑制する。
図12は、本実施形態における要部拡大断面図である。本実施形態では、継手部材10とインペラ16との間の隙間Hの寸法を、上記第1実施形態と比較して拡大している。これにより、インペラ16の背面(図12の上方側の面)とポンプ室12との間で冷却水が出入りしやすくなっている。
さらに、インペラ16の本体部16aの背面であって、延出部16bよりも中心側には、リップシール33側を向いて開口するインペラ中空部16cが形成されている。このインペラ中空部16cは、奥側(図12の下方側)に向かうにつれ狭くなる略漏斗状の形状を有している。
なお、インペラ中空部16cの径方向中心部、換言すれば、インペラ16の径方向中心部には、略円筒状の凸部16dがリップシール33側に突き出すように形成されており、この凸部16dの内周面にインサート30が圧入される。
本実施形態においては、上記第1実施形態と同様に、矢印Bに示すシャフト中空部13aとポンプ室12との間の冷却水の出入りによって、主リップ33a及びダストリップ33bとシャフト13との摺動面で発生する摩擦熱がポンプ室12の冷却水に伝達され、リップシール33が冷却される。
さらに、本実施形態では、摩擦熱がインペラ16を介して、インペラ中空部16c内の冷却水に伝達される。そして、矢印Jのように、インペラ中空部16cとポンプ室12との間で冷却水が出入りするので、摩擦熱がポンプ室12内の冷却水に伝達されて、リップシール33が冷却される。なお、矢印Jは、この冷却水の出入りを模式的に示したものである。
この結果、リップシール33の温度上昇をより抑制でき、シール性能が低下する不具合をより回避できる。
なお、本実施形態では、上記第1実施形態と比較して隙間Hを拡大することによりインペラ16の背面とポンプ室12との間で冷却水が出入りしやすくしている。このため、上記第1実施形態と比較してインペラ背面空間32のラビリンス効果が減少しているが、繊維状部材38を備えているので、リップシール33への鋳砂等の侵入を防止できる。
(他の実施形態)
上記各実施形態では、内燃機関とヒータコアとの間に冷却水を循環させる電動式ウォータポンプに本発明を適用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他のポンプにも適用することができる。
例えば、内燃機関とラジエータとの間に冷却水を循環させるポンプに本発明を適用してもよい。また、循環させる流体は水に限定されない。さらに、駆動手段は電動機に限定されるものではなく、例えば、プーリー等を介してエンジン動力を伝達することよって駆動してもよい。
また、上記各実施形態では、シャフト中空部13aの断面を円形状にしているが、円形状に限定されるものではない。
また、上記各実施形態では、シャフト13を磁性体金属により形成しているが、シャフト13を非磁性体金属により形成してもよい。
また、上記各実施形態では、主リップ33aの外周側にスプリング36を配置しているが、必ずしも配置する必要はない。即ち、スプリング36を配置しなくとも主リップ33aとシャフト13との間に所定の面圧を確保することが可能であるので、スプリング36を廃止してもよい。
また、上記第1、第2及び第4実施形態では、シール部材としてリップシール33を用いているが、シール部材としてメカニカルシールを用いてもよい。具体的には、リップシール33の代わりに、固定リング、従動リング、スプリング等からなるメカニカルシールをシャフト13の外周面に配置すればよい。
なお、メカニカルシールで発生する摺動摩擦熱はシャフト中空部13a内の流体によって冷却されるので、メカニカルシールの温度上昇を抑制することができる。
また、シール部材としてメカニカルシールを用いる場合においても、繊維状部材38等からなる捕捉手段を用いることによって、シール部材への鋳砂等の侵入を防止できるのは言うまでもない。
また、上記第1、第2及び第4実施形態では、繊維状部材38によって鋳砂等を捕捉しているが、繊維状部材38を廃止してもよい。即ち、インペラ背面空間32を微少隙間化し、ラビリンス効果を増加させれば、鋳砂等がシール部材に侵入するのを防止できるので、繊維状部材38を廃止できる。
なお、インペラ背面空間32を微少隙間化すると、インペラ背面空間32を通じてシール部材側とポンプ室12との間の冷却水の出入りが減少する。このため、シール部材側とポンプ室12との間で出入りする冷却水に伝達される摺動摩擦熱は減少するが、上記第1、第2及び第4実施形態では、シール部材をシャフト中空部13a内の流体によって冷却することができるので、シール部材の温度上昇を抑制することができる。
また、上記第2実施形態では、インペラ16の材質としてアルミニウムを用いたが、これに限定されるものではなく、種々の金属を用いることができる。
また、上記各実施形態は、可能な範囲で適宜組み合わせて実施してもよいことは言うまでもない。
本発明の第1実施形態による流体ポンプの断面図である。 図1におけるA部拡大図である。 図1におけるベース部材及び繊維状部材の斜視図である。 本発明の第2実施形態による流体ポンプの要部拡大断面図である。 本発明の第3実施形態による流体ポンプの要部拡大断面図である。 本発明の第4実施形態による流体ポンプの要部拡大断面図である。 本発明の第4実施形態におけるリップシールの温度上昇抑制効果を示すグラフである。 本発明の第5実施形態による流体ポンプの要部拡大断面図である。 図8におけるベース部材の正面図である。 本発明の第6実施形態による流体ポンプの要部拡大断面図である。 図10におけるリップシール及び繊維状部材の斜視図である。 本発明の第7実施形態による流体ポンプの要部拡大断面図である。
符号の説明
12…ポンプ室、13…シャフト、13a…シャフト中空部、16…インペラ、
17…電動機(駆動手段)、33…リップシール(シール部材)、
37…ベース部材(捕捉手段)、38…繊維状部材(捕捉手段)。

Claims (12)

  1. 流体を圧送するインペラ(16)と、
    前記インペラ(16)を収納し、前記流体が流通するポンプ室(12)と、
    前記ポンプ室(12)の外部に配置され、前記インペラ(16)を回転させる駆動手段(17)と、
    前記インペラ(16)と前記駆動手段(17)とを連結するシャフト(13)と、
    前記シャフト(13)の外周面に配置され、前記流体が前記ポンプ室(12)から前記駆動手段(17)側へ洩れることを防止するシール部材(33)とを備え、
    前記シャフト(13)の内部には、前記ポンプ室(12)と連通するシャフト中空部(13a)が形成されることを特徴とする流体ポンプ。
  2. 前記シャフト(13)のインペラ側先端部は、軸受部(34)に挿入されて回転可能に支持されており、
    前記シャフト中空部(13a)が、前記シャフト(13)と前記軸受部(34)との間の隙間を介して前記ポンプ室(12)と連通することを特徴とする請求項1に記載の流体ポンプ。
  3. 前記シャフト(13)の前記インペラ側先端部は前記インペラ(16)から突出しており、
    前記シャフト(13)の外周面であって前記突出している部位には、前記シャフト中空部(13a)と前記ポンプ室(12)とを連通する連通穴(13b)が形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の流体ポンプ。
  4. 前記シャフト(13)の外周面において、前記シール部材(33)よりも前記インペラ(16)側に配置され、前記ポンプ室(12)側から前記シール部材(33)側に向かう異物を捕捉する捕捉手段(37、38)を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の流体ポンプ。
  5. 前記シャフト中空部(13a)は、前記捕捉手段(37、38)よりも前記インペラ(16)側の部位において、前記ポンプ室(12)と連通することを特徴とする請求項4に記載の流体ポンプ。
  6. 前記シャフト(13)の外周面において、前記シール部材(33)よりも前記インペラ(16)側に配置され、前記ポンプ室(12)側から前記シール部材(33)側に向かう異物を捕捉する捕捉手段(37、38)を備え、
    前記シャフト(13)の外周面であって前記インペラ(16)と前記捕捉手段(37、38)との中間部位には、前記シャフト中空部(13a)と前記ポンプ室(12)とを連通する連通穴(13b)が形成されることを特徴とする請求項1に記載の流体ポンプ。
  7. 前記インペラ(16)には、前記捕捉手段(37、38)側を向いて開口するインペラ中空部(16c)が形成されることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1つに記載の流体ポンプ。
  8. 流体を圧送するインペラ(16)と、
    前記インペラ(16)を収納し、前記流体が流通するポンプ室(12)と、
    前記ポンプ室(12)の外部に配置され、前記インペラ(16)を回転させる駆動手段(17)と、
    前記インペラ(16)と前記駆動手段(17)とを連結するシャフト(13)と、
    前記シャフト(13)の外周面に配置され、前記流体が前記ポンプ室(12)から前記駆動手段(17)側へ洩れることを防止するシール部材(33)と
    前記シャフト(13)の外周面において、前記シール部材(33)よりも前記インペラ(16)側に配置され、前記ポンプ室(12)側から前記シール部材(33)側に向かう異物を捕捉する捕捉手段(37、38)とを備え、
    前記捕捉手段(37、38)に形成される空隙部を通じて、前記ポンプ室(12)と前記シール部材(33)側の空間とが連通することを特徴とする流体ポンプ。
  9. 前記捕捉手段は、前記流体を通過させ前記異物を捕捉する繊維状部材(38)と、前記繊維状部材(38)を固定するベース部材(37)とで構成され、
    前記ベース部材(37)には、前記シャフト(13)の径方向に延び、前記繊維状部材(38)と重合する板状部(37a)が形成され、
    前記板状部(37a)には、前記シャフト(13)が貫通する貫通穴(37b)が形成されるとともに、前記シール部材(33)側の空間と前記ポンプ室(12)とを連通させる連通穴(37c)が形成され、
    前記連通穴(37c)と前記繊維状部材(38)の空隙部とを通じて、前記ポンプ室(12)と前記シール部材(33)側の空間とが連通することを特徴とする請求項8に記載の流体ポンプ。
  10. 前記捕捉手段は、前記流体を通過させ前記異物を捕捉する繊維状部材(38)のみで構成され、
    前記繊維状部材(38)が前記シール部材(33)に直接固定され、
    前記繊維状部材(38)の空隙部を通じて、前記ポンプ室(12)と前記シール部材(33)側の空間とが連通することを特徴とする請求項8に記載の流体ポンプ。
  11. 流体を圧送するインペラ(16)と、
    前記インペラ(16)を収納し、前記流体が流通するポンプ室(12)と、
    前記ポンプ室(12)の外部に配置され、前記インペラ(16)を回転させる駆動手段(17)と、
    前記インペラ(16)と前記駆動手段(17)とを連結するシャフト(13)と、
    前記シャフト(13)の外周面に配置され、前記流体が前記ポンプ室(12)から前記駆動手段(17)側へ洩れることを防止するシール部材(33)とを備え、
    前記インペラ(16)が金属によって形成されることを特徴とする流体ポンプ。
  12. 流体を圧送するインペラ(16)と、
    前記インペラ(16)を収納し、前記流体が流通するポンプ室(12)と、
    前記ポンプ室(12)の外部に配置され、前記インペラ(16)を回転させる駆動手段(17)と、
    前記インペラ(16)と前記駆動手段(17)とを連結するシャフト(13)と、
    前記シャフト(13)の外周側に配置され、前記シャフト(13)を回転自在に支持するベアリング(23)とを備え、
    前記シャフト(13)の内部には、前記ポンプ室(12)と連通するシャフト中空部(13a)が形成されることを特徴とする流体ポンプ。
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