JP2007120359A - シリンダブロック、エンジン及びエンジンの組付け方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】分割タイプのシリンダブロックにおいてヘッドボルトの締付けに伴うシリンダボアの変形を抑制する。
【解決手段】シリンダブロック12はシリンダボア16,17が配列されたシリンダライナ15と、シリンダライナ15を囲む外側壁19を有し、かつ外側壁19には配列方向Xに沿って複数のボルト締結部31,32が設けられたシリンダブロック本体14とを備える。そして、各ボルト締結部31,32に螺合されたヘッドボルトにより、アッパデッキ部18がシリンダヘッド及び外側壁19に締結される。配列方向Xの両端部分に位置するボルト締結部31は、外側壁19の外面22Aから配列方向Xに直交する方向へ膨出する第1膨出部31Aを含む。配列方向Xの中間部分に位置するボルト締結部32は、外面22Aから第1膨出部31Aと同一方向へ膨出し、かつ第1膨出部31Aよりも大きな体積を有する第2膨出部32Aを含む。
【選択図】図2
【解決手段】シリンダブロック12はシリンダボア16,17が配列されたシリンダライナ15と、シリンダライナ15を囲む外側壁19を有し、かつ外側壁19には配列方向Xに沿って複数のボルト締結部31,32が設けられたシリンダブロック本体14とを備える。そして、各ボルト締結部31,32に螺合されたヘッドボルトにより、アッパデッキ部18がシリンダヘッド及び外側壁19に締結される。配列方向Xの両端部分に位置するボルト締結部31は、外側壁19の外面22Aから配列方向Xに直交する方向へ膨出する第1膨出部31Aを含む。配列方向Xの中間部分に位置するボルト締結部32は、外面22Aから第1膨出部31Aと同一方向へ膨出し、かつ第1膨出部31Aよりも大きな体積を有する第2膨出部32Aを含む。
【選択図】図2
Description
本発明は、シリンダライナがシリンダブロック本体とは別部材により構成された分割型のシリンダブロックに関する。また、本発明は、上記シリンダブロックを用いたエンジン、及びそのエンジンの組付け方法に関するものである。
多気筒エンジンのシリンダブロックとして、シリンダライナとシリンダブロック本体とに分割されたタイプが考えられている。シリンダライナには複数のシリンダボアが列をなした状態で設けられている。また、シリンダライナの上端部にはアッパデッキ部が設けられている。一方、シリンダブロック本体には、上記シリンダライナを囲む四角枠状の外側壁が設けられている。外側壁には、シリンダボアの配列方向に沿って複数のボルト締結部が設けられている。各ボルト締結部には、ヘッドボルトが螺合されるボルト穴、又はヘッドボルトが挿通される貫通孔が形成されている。
上記分割タイプのシリンダブロックを用いたエンジンでは、その組付けに際し、外側壁によって囲まれる空間にシリンダライナが収容され、アッパデッキ部が外側壁上に重ねられる。さらに、アッパデッキ部上にシリンダヘッドガスケット及びシリンダヘッドが順に配置される。そして、シリンダヘッド、シリンダヘッドガスケット及びアッパデッキ部を通して各ボルト締結部に螺合又は挿通されたヘッドボルトを締めることにより、シリンダライナがアッパデッキ部においてシリンダブロック本体に締結されてシリンダブロックが構成される。また、シリンダヘッドがシリンダヘッドガスケットを介して上記シリンダブロックに締結される。
なお、本発明にかかる先行技術文献としては以下の特許文献1が挙げられる。
特開平10−169503号公報
ところが、上述した分割タイプのシリンダブロックを用いたエンジンでは、その組付けに際しヘッドボルトを締付けてゆくと、ボルト軸力により、シリンダブロック本体において、シリンダボアの配列方向についての両端部分が中間部分よりもシリンダヘッド側へ大きく引張られる。シリンダブロック本体のシリンダヘッドとは反対側の端部(下端部)は、上記配列方向の中央部分でシリンダヘッドから最も離れ、同中央部分から両端部分に向かうにつれてシリンダヘッドに近づくような弓なり状に変形する。アッパデッキ部において、シリンダブロック本体及びシリンダヘッド間に固定されたシリンダライナも同様に変形する。これに伴い、ヘッドボルトによる締結前には真円度の高かったシリンダボアの断面形状が略楕円形に変形して真円度が悪化する。特に、分割タイプのシリンダブロックでは、シリンダライナのアッパデッキ部とは反対側の端部がシリンダブロック本体の底部から分離されていることから、同シリンダライナ(シリンダボアを含む)がシリンダヘッドとは反対側ほど大きく変形する傾向にある。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ヘッドボルトの締付けに伴うシリンダボアの変形を抑制することのできるシリンダブロック、エンジン及びエンジンの組付け方法を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明では、複数のシリンダボアが列をなした状態で設けられたシリンダライナと、前記シリンダライナを囲む外側壁を有し、かつ同外側壁には前記シリンダボアの配列方向に沿って複数のボルト締結部が設けられたシリンダブロック本体とを備え、前記各ボルト締結部に螺合又は挿通されたヘッドボルトにより、前記シリンダライナの端部のデッキ部がシリンダヘッド及び前記外側壁に締結されるシリンダブロックにおいて、前記配列方向の両端部分に位置するボルト締結部は、前記外側壁の外面から前記配列方向に直交する方向へ膨出する第1膨出部を含む一方、前記配列方向の中間部分に位置するボルト締結部は、前記外面から前記第1膨出部と同一方向へ膨出し、かつ同第1膨出部よりも大きな体積を有する第2膨出部を含むものであるとする。
請求項1に記載の発明では、複数のシリンダボアが列をなした状態で設けられたシリンダライナと、前記シリンダライナを囲む外側壁を有し、かつ同外側壁には前記シリンダボアの配列方向に沿って複数のボルト締結部が設けられたシリンダブロック本体とを備え、前記各ボルト締結部に螺合又は挿通されたヘッドボルトにより、前記シリンダライナの端部のデッキ部がシリンダヘッド及び前記外側壁に締結されるシリンダブロックにおいて、前記配列方向の両端部分に位置するボルト締結部は、前記外側壁の外面から前記配列方向に直交する方向へ膨出する第1膨出部を含む一方、前記配列方向の中間部分に位置するボルト締結部は、前記外面から前記第1膨出部と同一方向へ膨出し、かつ同第1膨出部よりも大きな体積を有する第2膨出部を含むものであるとする。
上記の構成によれば、エンジンの組付けに際し、シリンダブロック本体の外側壁によって囲まれた空間にシリンダライナが収容される。外側壁にシリンダライナ端部のデッキ部、及びシリンダヘッドが順に重ねられる。ヘッドボルトがシリンダヘッド及びデッキ部に挿通され、外側壁のボルト締結部に螺合又は挿通される。ヘッドボルトの締付けにより、デッキ部が外側壁及びシリンダヘッドによって挟まれて締結される。この締結により、シリンダライナがデッキ部においてシリンダブロック本体に固定されてシリンダブロックが構成されるとともに、このシリンダブロックにシリンダヘッドが固定される。
ところで、複数のシリンダボアの配列方向の両端部分に位置するボルト締結部は、外側壁の外面から同配列方向に直交する方向へ膨出する第1膨出部を含み、配列方向の中間部分に位置するボルト締結部は、前記外面から第1膨出部と同一方向へ膨出する第2膨出部を含んでいる。ここで、第2膨出部の体積が第1膨出部の体積と同じであると仮定した場合、各ヘッドボルトを締付けてゆくと、ボルト軸力により、シリンダボアの配列方向についての両端部分に位置するボルト締結部が中間部分に位置するボルト締結部よりも多くシリンダヘッド側へ引張られる。そして、シリンダブロック本体のシリンダヘッドとは反対側の端部は、上記配列方向の中央部分から両端部分に向かうにつれてシリンダヘッドに近づくように弓なり状に変形しようとする。これは、上記配列方向について中間部分のボルト締結部の剛性が両端部分のボルト締結部の剛性に比べ低いためと考えられる。デッキ部において、シリンダブロック本体及びシリンダヘッド間に固定されたシリンダライナも上記と同様の傾向で変形しようとする。
この点、請求項1に記載の発明では、第2膨出部が第1膨出部よりも大きな体積を有していて、配列方向中間部分のボルト締結部の剛性が高められている。配列方向についての中間部分と両端部分とでボルト締結部の剛性の差が小さくなっている。そのため、各ヘッドボルトが均一のボルト軸力にて締付けられた場合、上記のように両端部分のボルト締結部が中間部分のボルト締結部よりも多く引張られて、シリンダヘッドとは反対側の端部が弓なり状となる現象が抑制される。シリンダボアがヘッドボルトの締結前に円形の断面形状を有するものである場合には、ヘッドボルトの締結後に、同断面形状が略楕円形に変形して真円度が悪化する現象が抑制される。
なお、上記の作用及び効果は、例えば請求項2に記載の発明によるように、ヘッドボルトの軸線に沿う方向についての第2膨出部の少なくとも一部に、同軸線に直交する面での断面積が第1膨出部よりも大きな部分を設けることで実現される。
また、上記断面積の大きな部分を設けるために、例えば請求項3に記載の発明によるように、ヘッドボルトの軸線に沿う方向についての第2膨出部の少なくとも一部に、ヘッドボルトの周りに第1膨出部よりも大きな肉厚を有する部分を設けてもよい。
請求項4に記載の発明では、シリンダブロック及びシリンダヘッドを備え、前記シリンダブロックが、複数のシリンダボアが列をなした状態で設けられたシリンダライナと、前記シリンダライナを囲む外側壁を有し、かつ同外側壁には前記シリンダボアの配列方向に沿って複数のボルト締結部が設けられたシリンダブロック本体とを備え、前記各ボルト締結部に螺合又は挿通されたヘッドボルトにより、前記シリンダライナの端部のデッキ部が前記シリンダヘッド及び前記外側壁に締結されるエンジンであって、前記配列方向の両端部分に位置するボルト締結部では、中間部分のボルト締結部よりも小さなボルト軸力にて前記ヘッドボルトが締付けられているとする。
また、請求項5に記載の発明では、シリンダブロック及びシリンダヘッドを備え、前記シリンダブロックが、複数のシリンダボアが列をなした状態で設けられたシリンダライナと、前記シリンダライナを囲む外側壁を有し、かつ同外側壁には前記シリンダボアの配列方向に沿って複数のボルト締結部が設けられたシリンダブロック本体とを備えるエンジンに適用され、前記各ボルト締結部に螺合又は挿通されたヘッドボルトを締付けることにより、前記シリンダライナの端部のデッキ部を前記シリンダヘッド及び前記外側壁に締結するようにしたエンジンの組付け方法であって、前記配列方向の両端部分に位置するボルト締結部では、中間部分のボルト締結部よりも小さなボルト軸力にて前記ヘッドボルトを締付けるようにしている。
上記請求項4又は5に記載の発明では、エンジンの組付けに際し、上記請求項1に記載の発明と同様に、シリンダブロック本体の外側壁にシリンダライナ端部のデッキ部、及びシリンダヘッドが順に重ねられ、ヘッドボルトの締付けにより、デッキ部が外側壁及びシリンダヘッドによって挟まれて締結される。
ここで、全てのヘッドボルトが仮に均一のボルト軸力にて締付けられるとすると、シリンダボアの配列方向についての両端部分に位置するボルト締結部が中間部分に位置するボルト締結部よりも多くシリンダヘッド側へ引張られる。そして、シリンダブロック本体のシリンダヘッドとは反対側の端部は、上記配列方向の中央部分から両端部分に向かうにつれてシリンダヘッドに近づくように弓なり状に変形しようとする。これは、上記配列方向について中間部分のボルト締結部の剛性が両端部分のボルト締結部の剛性に比べ低いためと考えられる。デッキ部において、シリンダブロック本体及びシリンダヘッド間に固定されたシリンダライナも上記と同様の傾向で変形しようとする。
この点、請求項4又は5に記載の発明では、上記配列方向について両端部分のボルト締結部では中間部分のボルト締結部よりも低いボルト軸力にてヘッドボルトが締付けられる。そのため、各ヘッドボルトの締付けに伴い、上記のように両端部分のボルト締結部が中間部分のボルト締結部よりも多く引張られて、シリンダヘッドとは反対側の端部が弓なり状となる現象が抑制される。シリンダボアがヘッドボルトの締結前に円形の断面形状を有するものである場合には、ヘッドボルトの締結後に、同断面形状が略楕円形に変形して真円度が悪化する現象が抑制される。
(第1実施形態)
以下、本発明を、自動車用ガソリンエンジン(以下、単にエンジンという)に具体化した第1実施形態について、図1〜図9を参照して説明する。対象となるエンジンは、ピストンの気筒(シリンダボア)での往復直線運動をクランク機構によって回転運動に変換して、出力軸であるクランクシャフトを回転させるタイプのエンジン、いわゆるレシプロエンジンである。これ加え、列をなして配置された3つ以上のシリンダボアを有するエンジンが前提となる。
以下、本発明を、自動車用ガソリンエンジン(以下、単にエンジンという)に具体化した第1実施形態について、図1〜図9を参照して説明する。対象となるエンジンは、ピストンの気筒(シリンダボア)での往復直線運動をクランク機構によって回転運動に変換して、出力軸であるクランクシャフトを回転させるタイプのエンジン、いわゆるレシプロエンジンである。これ加え、列をなして配置された3つ以上のシリンダボアを有するエンジンが前提となる。
図1に示すように、エンジン11はシリンダブロック12、シリンダヘッド13及びシリンダヘッドガスケット(以下、単に「ガスケット」という)26を備えて構成されている。まず、これらの構成部品について説明する。
図1及び図2に示すように、シリンダブロック12はシリンダブロック本体14及びシリンダライナ15を備えている。
シリンダライナ15には、複数のシリンダボアが列をなした状態で設けられている。ここでは、複数のシリンダボアを区別するために、それらの配列方向Xの両端に位置するものをシリンダボア16といい、中間に位置するものをシリンダボア17というものとする。各シリンダボア16,17は、円形の断面形状を有する孔によって構成されている。シリンダライナ15の上端部外側には、板状のアッパデッキ部18が一体に形成されている。シリンダライナ15は、アッパデッキ部18を含めた全体が鋳鉄等の耐摩耗性に優れた金属材料によって形成されている。
シリンダライナ15には、複数のシリンダボアが列をなした状態で設けられている。ここでは、複数のシリンダボアを区別するために、それらの配列方向Xの両端に位置するものをシリンダボア16といい、中間に位置するものをシリンダボア17というものとする。各シリンダボア16,17は、円形の断面形状を有する孔によって構成されている。シリンダライナ15の上端部外側には、板状のアッパデッキ部18が一体に形成されている。シリンダライナ15は、アッパデッキ部18を含めた全体が鋳鉄等の耐摩耗性に優れた金属材料によって形成されている。
シリンダブロック本体14はシリンダブロック12の多くの部分を占めるものであり、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の比重の比較的小さな金属材料によって一体に形成されている。シリンダブロック本体14の上部は外側壁19によって構成されている。外側壁19は、配列方向Xに平行な一対の壁部22,22と、配列方向Xに直交して両壁部22,22の端部をつなぐ一対の壁部21,21とからなり、全体として略四角枠状をなしている。外側壁19は、上記シリンダライナ15においてアッパデッキ部18を除く部分を取り囲み、同部分との間にウォータジャケット23(図3〜図5参照)を形成する。ウォータジャケット23は、シリンダブロック本体14、シリンダライナ15等を冷却するための冷却水の通路である。また、外側壁19はアッパデッキ部18が載置される箇所でもある。
シリンダブロック本体14の下端部には、クランクシャフト24を回転可能に支持するためのジャーナル部25が設けられている。なお、クランクシャフト24には、図示しないコネクティングロッドを介して複数のピストンが連結され、これらのピストンが上述したシリンダボア16,17に往復動可能に収容される。
シリンダヘッド13は、各シリンダボア16,17において上記ピストンとの間で、燃料及び空気の混合気を燃焼するための燃焼室(図示略)を構成する。シリンダヘッド13には、燃焼室に空気を導入するための吸気ポートが設けられるとともに、燃焼室で発生した燃焼ガスを導出するための排気ポートが設けられている。そのほかにも、シリンダヘッド13には、上記吸・排気ポートをそれぞれ開閉する吸・排気バルブや、これらの吸・排気バルブを駆動する動弁機構等が設けられている。
ガスケット26は、上記燃焼室で生じた燃焼ガスがアッパデッキ部18及びシリンダヘッド13間の隙間を通じてエンジン11の外部へ漏れ出るのを抑制すべく同隙間をシールするためのものであり、それらのアッパデッキ部18及びシリンダヘッド13間に配置される。
次に、上記シリンダブロック本体14、シリンダライナ15、ガスケット26及びシリンダヘッド13を締結するための締結構造について説明する。この締結構造では、複数本、より詳しくは1気筒(シリンダボア16,17)当りに4本の同一規格のヘッドボルトが用いられる。これらのヘッドボルトを区別するために、配列方向Xについて各壁部22の両端に位置するものをヘッドボルト27といい、中間に位置するものをヘッドボルト28というものとする。これらのヘッドボルト27,28は、外側壁19の高さ方向に平行に配置された状態で使用される(図5参照)。
また、図6に示すように、各壁部22には、ヘッドボルト27によって締結される複数のボルト締結部31と、ヘッドボルト28によって締結される複数のボルト締結部32とが上記配列方向Xに沿って設けられている。
前者のボルト締結部31は配列方向Xについて壁部22の両端部に位置している。表現を変えると、ボルト締結部31は外側壁19の四隅に位置している。各ボルト締結部31は、壁部22の外面22Aから配列方向Xに直交する方向(図6の上方又は下方)へ膨出する第1膨出部31Aを一部に含んでいる。また、第1膨出部31Aは壁部21の外面21Aから配列方向Xに沿う方向(図6の左方又は右方)へも膨出している。こうした第1膨出部31Aは、いずれも壁部21,22の全高にわたって形成されていて柱状をなしている(図1及び図2参照)。
各ボルト締結部31は、壁部22の上端面において開口して下方へ延びるボルト穴33を有している。各ボルト穴33は、壁部22の外面22Aを通る仮想平面P1を跨いでおり、その一部(図では略半分)が第1膨出部31A内に入り込んでいる。各ボルト穴33の内壁面の少なくとも下部には雌ねじ(図示略)が形成されている。
図8(B)に示すように、各第1膨出部31Aにおけるボルト穴33の周りの肉厚t1は、そのボルト穴33の周方向のどの箇所においても略同一に設定されている。そのため、ヘッドボルト27の軸線L(図1参照)に直交する面での各第1膨出部31Aの断面形状は、軸線Lに沿う方向(壁部22の高さ方向)のどの箇所においても同一となっている。
図6に示すように、後者のボルト締結部32は、いずれも配列方向Xについて壁部22の中間部分、より詳しくは、配列方向Xに直交し、かつ隣合うシリンダボア16,17間を通る仮想平面P2上に位置している。各ボルト締結部32は、上記外面22Aから配列方向Xに直交する方向へ膨出する第2膨出部32Aを一部に含んでいる。こうした第2膨出部32Aは、いずれも壁部22の全高にわたって形成されていて柱状をなしている(図1及び図2参照)。
各ボルト締結部32は、壁部22の上端面において開口して下方へ延びるボルト穴34を有している。各ボルト穴34は、上記ボルト締結部31のボルト穴33と略同一の深さを有している。各ボルト穴34は、上記仮想平面P1を跨いで設けられており、その一部が第2膨出部32A内に入り込んでいる。各ボルト穴34の内壁面の少なくとも下部には雌ねじ(図示略)が形成されている。
図8(A)に示すように、各第2膨出部32Aにおけるボルト穴34の周りの肉厚t2は、そのボルト穴34の周方向のどの箇所においても略同一に設定されている。そのため、ヘッドボルト28の軸線Lに直交する面での各第2膨出部32Aの断面形状は、軸線Lに沿う方向(壁部22の高さ方向)のどの箇所においても同一となっている。
さらに、本実施形態では、第1膨出部31A及び第2膨出部32Aについて、t2>t1の関係が満たされるように、肉厚t1,t2がそれぞれ設定されている。例えば、肉厚t2は肉厚t1よりも2mm程度大きな値とすることができる。また、図9(B),(A)に示すように、両膨出部31A,32Aについて、ヘッドボルト27,28の軸線Lに直交する面での断面積をそれぞれS1,S2とすると、上記肉厚t1,t2の設定により、両断面積S1,S2の間には、S2>S1の関係が満たされている。
ここで、上述したように、両膨出部31A,32Aは、(i)壁部22の全高にわたって形成されていている、(ii)壁部22の高さ方向のどの箇所においても同一の断面形状を有している。これらのことから、第1膨出部31Aと第2膨出部32Aとを比較した場合、第2膨出部32Aは第1膨出部31Aの体積V1よりも大きな体積V2を有していることとなる。そのため、第2膨出部32A、ひいてはボルト締結部32の剛性は、その体積V2がボルト締結部31の体積V1と同一である場合に比べて高くなっている。
なお、図2に示すように、アッパデッキ部18及びガスケット26の上記ボルト穴33,34に対応する箇所にはそれぞれボルト挿通孔35,36が設けられている。また、シリンダヘッド13の上記ボルト穴33,34に対応する箇所にもボルト挿通孔(図示略)が設けられている。
次に、上記締結構造により、シリンダブロック本体14、シリンダライナ15、ガスケット26及びシリンダヘッド13を締結して、エンジン11を組付ける方法について説明する。
この組付けに際しては、シリンダブロック本体14の外側壁19によって囲まれた空間にシリンダライナ15のアッパデッキ部18を除く箇所を配置する。外側壁19上にアッパデッキ部18、ガスケット26及びシリンダヘッド13を順に配置する。壁部22のボルト穴33,34、アッパデッキ部18のボルト挿通孔35、ガスケット26のボルト挿通孔36、及びシリンダヘッド13のボルト挿通孔が同一直線上に位置するように、シリンダライナ15、ガスケット26及びシリンダヘッド13の各位置を合わせる。次に、ヘッドボルト27,28を、上記ボルト挿通孔36,35に挿通し、回転させてボルト穴33,34の雌ねじに螺合させる。ヘッドボルト27,28の回転が進むと、締付け力(ボルト軸力)により、アッパデッキ部18及びガスケット26が、外側壁19及びシリンダヘッド13によって挟まれて締結される。この締結により、シリンダライナ15がアッパデッキ部18においてシリンダブロック本体14に固定されてシリンダブロック12が構成されるとともに、このシリンダブロック12にガスケット26を介してシリンダヘッド13が固定される。
ところで、仮に各第1膨出部31Aの体積V1と各第2膨出部32Aの体積V2とが同一であるとした場合、各ヘッドボルト27,28を均一のボルト軸力にて締付けてゆくと、ボルト締結部31がボルト締結部32よりも多く上側(シリンダヘッド13側)へ引張られる。そして、シリンダブロック本体14の下端部(反シリンダヘッド13側の端部)は、図3において二点鎖線で示すように、配列方向Xの中央部分で最も低く、この中央部分から両端部分に向かうにつれて高くなるように、すなわちシリンダヘッド13に近づくように、下に凸の弓なり状に変形しようとする。
これは、上記配列方向Xについて中間部分に位置するボルト締結部32の剛性が両端部分に位置するボルト締結部31の剛性に比べ低く、その剛性の差が大きいためと考えられる。外側壁19では、配列方向Xに平行な一対の壁部22,22が、それらの両端部において壁部21,21によって相互に連結された形態を採っている。配列方向Xについて壁部22の中間部分では、こうした連結構造は採られていない。このことから、壁部22では、壁部21によって連結されている部分、すなわち配列方向Xについての両端部分で剛性が高く、連結されていない部分、すなわち配列方向Xについての中間部分で剛性が低くなっている。これに伴い、上述したように、ボルト締結部32の剛性がボルト締結部31の剛性に比べ低くなっている。
そして、上記剛性の相違により、シリンダブロック本体14が下に凸の弓なり状に変形しようとすると、アッパデッキ部18において、外側壁19及びシリンダヘッド13間に固定されたシリンダライナ15も上記と同様の傾向で変形しようとする。シリンダライナ15が変形すると、それに伴いヘッドボルト27,28による締結前には真円度の高かったシリンダボア16,17の断面形状が略楕円形に変形して真円度が悪化する。ただし、配列方向Xについての両端のシリンダボア16と中間部分のシリンダボア17とでは変形の形態が異なる。図7において二点鎖線で示すように、中間部分のシリンダボア17については、その長軸が配列方向Xに略平行となるように変形する。両端のシリンダボア16については、その長軸が配列方向Xに略直交するように変形する。特に、中間部分のシリンダボア17では両端部分のシリンダボア16に比べて変形の度合いが大きい。
なお、分割タイプのシリンダブロック12では、シリンダライナ15の上端部のアッパデッキ部18がシリンダブロック本体14に固定されている反面、同シリンダライナ15の下端部(アッパデッキ部18とは反対側の端部)がシリンダブロック本体14の内底部から分離されている。このことから、シリンダライナ15が下側ほど大きく変形しようとする傾向にある。これに伴いシリンダボア16,17も変形する。ただし、同一のシリンダボア16,17では、その位置に拘わらず同様の傾向をもって変形する。例えば、中間部分のシリンダボア17では、上述したように長軸が配列方向Xに略平行となるように変形するところ、その変形の度合いがシリンダボア17の上端部分で小さく、下部になるほど大きくなる。
この点、本実施形態では、第2膨出部32Aが第1膨出部31Aの体積V1よりも大きな体積V2を有していて、同第2膨出部32Aを含むボルト締結部32の剛性が高められている。各壁部22に関し、配列方向Xについての両端部分と中間部分とでボルト締結部31,32の剛性の差が小さくなっている。そのため、各ヘッドボルト27,28が均一のボルト軸力にて締付けられた場合、上記のように両端部分のボルト締結部31が中間部分のボルト締結部32よりも多く引張られて、シリンダブロック本体14の下端部が弓なり状となる現象が抑制される。ヘッドボルト27,28の締結前に円形の断面形状を有するシリンダボア16,17について、ヘッドボルト27,28の締結後に、同断面形状が略楕円形に変形して真円度が悪化する現象が抑制される。
そして、全てのヘッドボルト27,28の締付けを終えると、シリンダライナ15、外側壁19、アッパデッキ部18等によって囲まれた空間(ウォータジャケット23)が形成される。
このようにして組立てられたエンジン11では、シリンダブロック本体14及びシリンダライナ15の変形が抑制されることから、シリンダボア16,17の各真円度の悪化に伴う各種不具合、すなわち、シリンダボア16,17の壁面のピストンリングとの摩擦が大きくなってフリクションロスが増大し、燃費の悪化を招く現象が抑制される。また、クランクケースからシリンダボア16,17及びピストン間の隙間を通って燃焼室内へ漏出し、かつ燃焼により消費されるオイルの量が増大する現象が抑制される。
以上詳述した第1実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)配列方向Xの両端部分に位置するボルト締結部31、及び中間部分に位置するボルト締結部32が、壁部22の外面22Aから配列方向Xに直交する方向へ膨出する第1膨出部31A及び第2膨出部32Aを含む分割タイプのシリンダブロック12において、第2膨出部32Aの体積V2を第1膨出部31Aの体積V1よりも大きく設定している。こうすることで、壁部22の両端部分(ボルト締結部31)と中間部分(ボルト締結部32)との間で生ずる剛性の差を小さくしている。
(1)配列方向Xの両端部分に位置するボルト締結部31、及び中間部分に位置するボルト締結部32が、壁部22の外面22Aから配列方向Xに直交する方向へ膨出する第1膨出部31A及び第2膨出部32Aを含む分割タイプのシリンダブロック12において、第2膨出部32Aの体積V2を第1膨出部31Aの体積V1よりも大きく設定している。こうすることで、壁部22の両端部分(ボルト締結部31)と中間部分(ボルト締結部32)との間で生ずる剛性の差を小さくしている。
そのため、ヘッドボルト27,28の締付けに伴い、配列方向Xについて両端部分のボルト締結部31が中間部分のボルト締結部32よりも多く引張られてシリンダブロック本体14の下端部が弓なり状に変形し、それに伴いシリンダボア16,17の断面形状が略楕円形に変形して真円度が悪化する現象を抑制することができる。
(2)ボルト締結部32の剛性を高める手段として、壁部22の内面に厚肉部を設けることも考えられるが、この場合には、厚肉部の分ウォータジャケット23の容積が小さくなる。この点、本実施形態では壁部22の外面22Aに第2膨出部32Aを設けている。そのため、上記ウォータジャケット23の容積を確保しつつボルト締結部32の剛性を高めることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態について、図10及び図11を参照して説明する。第2実施形態では、第1膨出部31A及び第2膨出部32Aの形態についての関係が第1実施形態と異なっている。詳しくは、第2膨出部32Aにおけるボルト穴34の周りの肉厚t2が第1膨出部31Aにおけるボルト穴33の周りの肉厚t1と略同一に設定されている。これに伴い、第2膨出部32Aの断面積S2が第1膨出部31Aの断面積S1と略同一となっている。
次に、本発明を具体化した第2実施形態について、図10及び図11を参照して説明する。第2実施形態では、第1膨出部31A及び第2膨出部32Aの形態についての関係が第1実施形態と異なっている。詳しくは、第2膨出部32Aにおけるボルト穴34の周りの肉厚t2が第1膨出部31Aにおけるボルト穴33の周りの肉厚t1と略同一に設定されている。これに伴い、第2膨出部32Aの断面積S2が第1膨出部31Aの断面積S1と略同一となっている。
ここで、上述したように、両膨出部31A,32Aは、(i)壁部22の全高にわたって形成されていている、(ii)壁部22の高さ方向のどの箇所においても同一の断面形状を有している。これらのことから、第2膨出部32Aは第1膨出部31Aの体積V1と略同一の体積V2を有していることとなる。そのため、第2膨出部32A、ひいてはボルト締結部32の剛性は、第1実施形態とは異なり、第1膨出部31A(ボルト締結部31)よりも低くなっている。
上記のように、両膨出部31A,32Aが略同一の体積V1,V2を有するボルト締結部31,32において、仮にヘッドボルト27,28を均一のボルト軸力にて締付けてゆくと、ボルト締結部31,32間の剛性差により、両端のボルト締結部31が中間のボルト締結部32よりも多く上側へ引張られる。そして、シリンダブロック本体14の下端部は、第1実施形態と同様に、上記配列方向Xの中央部分から両端部分に向かうにつれて高くなるように弓なり状に変形しようとする。アッパデッキ部18において、外側壁19及びシリンダヘッド13間に固定されたシリンダライナ15も上記と同様の傾向で変形しようとする。シリンダライナ15が変形すると、それに伴いヘッドボルト27,28による締結前には真円度の高かったシリンダボア16,17の断面形状が略楕円形に変形して真円度が悪化する。
これに対しては、第2実施形態では、エンジン11の組付けに際し、ヘッドボルト27,28のボルト軸力を、ボルト締結部31とボルト締結部32とで異ならせている。詳しくは、配列方向Xについて両端部分に位置するボルト締結部31では、中間部分に位置するボルト締結部32でのヘッドボルト28のボルト軸力F2よりも低いボルト軸力F1にてヘッドボルト27を締付けるようにしている。ただし、ボルト軸力F1は、ガスケット26によるシール面圧を確保し得る大きさに設定されている。
なお、エンジン11の組付け作業に関し、上記ヘッドボルト27,28の締付けに関する変更点以外の点は第1実施形態と同様であるため、ここではその説明を省略する。
そのため、ボルト締結部31,32間の剛性の差が大きくても、上記のように両端部分のボルト締結部31が中間部分のボルト締結部32よりも多く引張られて、下端部が弓なり状となる現象が抑制される。ヘッドボルト27,28の締結前に円形の断面形状を有するシリンダボア16,17について、ヘッドボルト27,28の締結後に、同断面形状が略楕円形に変形して真円度が悪化する現象が抑制される。真円度の悪化に伴う各種不具合(フリクションの増大、オイル消費量の増大等)の発生が抑制される。
そのため、ボルト締結部31,32間の剛性の差が大きくても、上記のように両端部分のボルト締結部31が中間部分のボルト締結部32よりも多く引張られて、下端部が弓なり状となる現象が抑制される。ヘッドボルト27,28の締結前に円形の断面形状を有するシリンダボア16,17について、ヘッドボルト27,28の締結後に、同断面形状が略楕円形に変形して真円度が悪化する現象が抑制される。真円度の悪化に伴う各種不具合(フリクションの増大、オイル消費量の増大等)の発生が抑制される。
以上詳述した第2実施形態によれば、次の効果が得られる。
(3)分割タイプのシリンダブロック12を用いたエンジン11の組付けに際し、配列方向Xの両端部分に位置するボルト締結部31では、中間部分のボルト締結部32よりも小さなボルト軸力F1(<F2)にてヘッドボルト27を締付けるようにしている。そのため、両ボルト締結部31,32間で剛性の差が大きくても、両端のボルト締結部31が中間のボルト締結部32よりも多く引張られてシリンダブロック本体14の下端部が弓なり状に変形し、それに伴いシリンダボア16,17の断面形状が略楕円形に変形して真円度が悪化する現象を抑制することができる。
(3)分割タイプのシリンダブロック12を用いたエンジン11の組付けに際し、配列方向Xの両端部分に位置するボルト締結部31では、中間部分のボルト締結部32よりも小さなボルト軸力F1(<F2)にてヘッドボルト27を締付けるようにしている。そのため、両ボルト締結部31,32間で剛性の差が大きくても、両端のボルト締結部31が中間のボルト締結部32よりも多く引張られてシリンダブロック本体14の下端部が弓なり状に変形し、それに伴いシリンダボア16,17の断面形状が略楕円形に変形して真円度が悪化する現象を抑制することができる。
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
・第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせて実施してもよい。すなわち、第2膨出部32Aの体積V2を第1膨出部31Aの体積V1よりも大きく設定するとともに、ボルト締結部31ではボルト締結部32よりも小さなボルト軸力F1(<F2)にてヘッドボルト27を締付けるようにしてもよい。この場合にも、第1及び第2実施形態と同様の作用及び効果が期待できる。
・第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせて実施してもよい。すなわち、第2膨出部32Aの体積V2を第1膨出部31Aの体積V1よりも大きく設定するとともに、ボルト締結部31ではボルト締結部32よりも小さなボルト軸力F1(<F2)にてヘッドボルト27を締付けるようにしてもよい。この場合にも、第1及び第2実施形態と同様の作用及び効果が期待できる。
・シリンダライナ15は、シリンダボア16,17を有する本体部分とアッパデッキ部18とが別部材により構成され、それらが相互に連結されたものであってもよい。この場合には、本体部分の上端部外側にアッパデッキ部18を係止する構造が別途必要となる。
また、上記本体部分が、それぞれシリンダボア16,17を有する複数の円筒部材によって構成され、それらが嵌合等により相互に連結されたものであってもよい。
・第1実施形態において、壁部22の外面22Aにおいてボルト締結部32に対応する箇所に別部材を付加することにより、第2膨出部32Aを設けてもよい。
・本発明は、4つ以上のシリンダボア16,17を有するエンジンにも適用できる。その一態様として、第1実施形態において、5つ以上のシリンダボアを有するエンジンに適用した場合には、配列方向Xについての中間部分に位置するボルト締結部32が3つ以上となる。この場合、「第2膨出部32Aの体積V2が第1膨出部31Aの体積V1よりも大きい」という条件を満たすことを前提に、体積V2を適宜変更可能である。3つ以上の第2膨出部32Aの体積V2は全て同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。後者の場合、配列方向Xについて中央部の第2膨出部32Aの体積を最も大きくし、それから離れるに従い第2膨出部32Aの体積を小さくしてもよい。
・第1実施形態において、壁部22の外面22Aにおいてボルト締結部32に対応する箇所に別部材を付加することにより、第2膨出部32Aを設けてもよい。
・本発明は、4つ以上のシリンダボア16,17を有するエンジンにも適用できる。その一態様として、第1実施形態において、5つ以上のシリンダボアを有するエンジンに適用した場合には、配列方向Xについての中間部分に位置するボルト締結部32が3つ以上となる。この場合、「第2膨出部32Aの体積V2が第1膨出部31Aの体積V1よりも大きい」という条件を満たすことを前提に、体積V2を適宜変更可能である。3つ以上の第2膨出部32Aの体積V2は全て同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。後者の場合、配列方向Xについて中央部の第2膨出部32Aの体積を最も大きくし、それから離れるに従い第2膨出部32Aの体積を小さくしてもよい。
・第1実施形態において、ヘッドボルト28の長さ方向についての第2膨出部32Aの一部にのみ、「S2>S1」の関係を満たす部分を設けてもよい。この態様は、例えば、肉厚t1,t2について、「t2>t1」となるように設定することで実現可能である。このように変更しても、第1実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
・各第1膨出部31Aにおけるボルト穴33の周りの肉厚t1は、そのボルト穴33の周方向について一様でなくてもよい。同様に、各第2膨出部32Aにおけるボルト穴34の周りの肉厚t2は、そのボルト穴34の周方向について一様でなくてもよい。
・各ボルト締結部31,32におけるボルト穴33,34を、内壁面に雌ねじを有しない貫通孔に代えてもよい。この場合には、ヘッドボルト27,28としてスルーボルトを用い、これを貫通孔に挿通する。そして、スルーボルトにおいて貫通孔から突出した箇所にナットを螺合させることで、シリンダヘッド等をシリンダブロックに締結する。
11…エンジン、12…シリンダブロック、13…シリンダヘッド、14…シリンダブロック本体、15…シリンダライナ、16,17…シリンダボア、18…アッパデッキ部、19…外側壁、21A,22A…外面、27,28…ヘッドボルト、31,32…ボルト締結部、31A…第1膨出部、32A…第2膨出部、F1,F2…ボルト軸力、L…ヘッドボルトの軸線、S1,S2…断面積、t1,t2…肉厚、V1,V2…体積、X…シリンダボアの配列方向。
Claims (5)
- 複数のシリンダボアが列をなした状態で設けられたシリンダライナと、前記シリンダライナを囲む外側壁を有し、かつ同外側壁には前記シリンダボアの配列方向に沿って複数のボルト締結部が設けられたシリンダブロック本体とを備え、前記各ボルト締結部に螺合又は挿通されたヘッドボルトにより、前記シリンダライナの端部のデッキ部がシリンダヘッド及び前記外側壁に締結されるシリンダブロックにおいて、
前記配列方向の両端部分に位置するボルト締結部は、前記外側壁の外面から前記配列方向に直交する方向へ膨出する第1膨出部を含む一方、前記配列方向の中間部分に位置するボルト締結部は、前記外面から前記第1膨出部と同一方向へ膨出し、かつ同第1膨出部よりも大きな体積を有する第2膨出部を含むことを特徴とするシリンダブロック。 - 前記ヘッドボルトの軸線に沿う方向についての前記第2膨出部の少なくとも一部には、同軸線に直交する面での断面積が前記第1膨出部よりも大きな部分が設けられている請求項1に記載のシリンダブロック。
- 前記ヘッドボルトの軸線に沿う方向についての前記第2膨出部の少なくとも一部には、前記ヘッドボルトの周りに前記第1膨出部よりも大きな肉厚を有する部分が設けられている請求項1又は2に記載のシリンダブロック。
- シリンダブロック及びシリンダヘッドを備え、
前記シリンダブロックが、複数のシリンダボアが列をなした状態で設けられたシリンダライナと、前記シリンダライナを囲む外側壁を有し、かつ同外側壁には前記シリンダボアの配列方向に沿って複数のボルト締結部が設けられたシリンダブロック本体とを備え、前記各ボルト締結部に螺合又は挿通されたヘッドボルトにより、前記シリンダライナの端部のデッキ部が前記シリンダヘッド及び前記外側壁に締結されるエンジンであって、
前記配列方向の両端部分に位置するボルト締結部では、中間部分のボルト締結部よりも小さなボルト軸力にて前記ヘッドボルトが締付けられていることを特徴とするエンジン。 - シリンダブロック及びシリンダヘッドを備え、
前記シリンダブロックが、複数のシリンダボアが列をなした状態で設けられたシリンダライナと、前記シリンダライナを囲む外側壁を有し、かつ同外側壁には前記シリンダボアの配列方向に沿って複数のボルト締結部が設けられたシリンダブロック本体とを備えるエンジンに適用され、
前記各ボルト締結部に螺合又は挿通されたヘッドボルトを締付けることにより、前記シリンダライナの端部のデッキ部を前記シリンダヘッド及び前記外側壁に締結するようにしたエンジンの組付け方法であって、
前記配列方向の両端部分に位置するボルト締結部では、中間部分のボルト締結部よりも小さなボルト軸力にて前記ヘッドボルトを締付けることを特徴とするエンジンの組付け方法。
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JP2005311542A JP2007120359A (ja) | 2005-10-26 | 2005-10-26 | シリンダブロック、エンジン及びエンジンの組付け方法 |
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JP2020507715A (ja) * | 2017-02-14 | 2020-03-12 | アー・ファウ・エル・リスト・ゲー・エム・ベー・ハーAvl List Gmbh | 内燃機関のシリンダハウジング |
-
2005
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