JP2007107116A - 紙用柔軟剤および紙の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた柔軟性および十分なサイズ性を有する紙を得ることが可能な紙用柔軟剤を提供すること。
【解決手段】本発明は、アミドアミン化合物と尿素との特定の縮合物の酸塩および特定の三級アミン化合物を含有する紙用柔軟剤であって、該縮合物の酸塩と該三級アミン化合物との質量比が、95/5〜60/40である紙用柔軟剤を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、紙用柔軟剤およびそれを用いる柔軟紙の製造方法に関する。より詳細には、柔軟性およびサイズ性を向上させることの可能な紙用柔軟剤に関する。
印刷物のビジュアル化およびカラー化が進み、印刷適性の面から柔軟性が良好な印刷用紙が求められている。また、書籍など印刷物のページのめくりやすさの点からも、より柔軟な印刷用紙が求められている。
これまで、紙に柔軟性を付与する方法として、柔軟性が強く求められている衛生紙分野において柔軟剤を用いることが知られている。このような柔軟剤としては、例えば、ラノリンおよびラノリン誘導体を含有する柔軟剤(例えば、特許文献1)、ジ長鎖アルキル型第4級アンモニウム塩を含有する柔軟剤(例えば、特許文献2)、ピロリドンカルボン酸塩および/またはベタインを含有する柔軟剤(例えば、特許文献3)などが挙げられる。しかし、製紙業界においては、紙に柔軟性を付与すると、サイズ性が低下することが知られており、これらの柔軟剤を使用した紙は、柔軟性はある程度向上されるものの、サイズ性が低下するという問題がある。
一方、印刷用紙向けの柔軟剤として、アミノアンモニウム塩(例えば、特許文献4)、多価アルコールと高級不飽和脂肪酸とのエステル化合物(例えば、特許文献5)などが検討されている。しかし、これらはいずれも柔軟性はある程度向上されるものの十分ではなく、サイズ性が低下するという問題がある。
特開昭53−147803号公報 特開昭63−165597号公報 特開平7−189170号公報 特開2001−355197号公報 特開2002−155494号公報
本発明の目的は、優れた柔軟性および十分なサイズ性を有する紙を得ることが可能な紙用柔軟剤を提供することにある。本発明の他の目的は、上記紙用柔軟剤を用いて紙を効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、特定のアミドアミンと尿素との縮合物の酸塩および特定の三級アミン化合物を特定の割合で組み合わせることによって、上記目的を達成できる紙用柔軟剤が得られることを見出した。そして、この紙用柔軟剤を用いた紙の製造方法を見出して本発明を完成するに至った。
本発明の紙用柔軟剤は、アミドアミン化合物と尿素との縮合物の酸塩(A)および三級アミン化合物(B)からなり、アミドアミン化合物は、以下の式(1):
NH−(R−NH)−R ・・・(1)
(RおよびRは水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基であり、Rは炭素数が1〜4のアルキレン基であり、そしてnは2〜4である)で表されるポリアミン化合物(1)と、飽和カルボン酸を35質量%以上含有する、炭素数が10〜24のカルボン酸とを、該ポリアミン化合物(1)のアミノ基1モルに対して、該カルボン酸のカルボキシル基が0.4〜0.8モルとなるような割合で反応させて得られ、該縮合物の尿素縮合率は10〜50%であり、該三級アミン化合物(B)は、以下の式(2):
Figure 2007107116
(Rは炭素数が8〜20のアルキル基またはアルケニル基であり、MおよびMはそれぞれ水素原子またはアルカリ金属であり、そしてxおよびyはそれぞれ1〜3である)で表され、そして該縮合物の酸塩(A)と該三級アミン化合物(B)との質量比A/Bは、95/5〜60/40である。
本発明の紙の製造方法は、パルプ100質量部に対して、上記紙用柔軟剤を0.03〜8質量部となるように添加する工程を包含する。
本発明の紙用柔軟剤は、紙のサイズ性を低減させずに、優れた柔軟性を付与することがきる。
本発明の紙用柔軟剤は、アミドアミン化合物と尿素との縮合物の酸塩(A)(以下、A成分という場合がある)および三級アミン化合物(B)(以下、B成分という場合がある)からなる。以下、各成分、紙用柔軟剤、およびそれを用いた紙の製造方法について順次説明する。
(I)アミドアミン化合物と尿素との縮合物の酸塩(A)
本発明の紙用柔軟剤に用いられる縮合物の酸塩(A)は、アミドアミン化合物と尿素とを反応させて得られる縮合物の酸塩である。以下、アミドアミン化合物、尿素、それらを用いた縮合物の調製方法、およびその縮合物の酸塩の調製方法について説明する。
(A−1)アミドアミン化合物
上記アミドアミン化合物の製造に用いられるポリアミン化合物は、以下の一般式(1)で表される:
NH−(R−NH)−R ・・・(1)
(RおよびRは水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基であり、Rは炭素数が1〜4のアルキレン基であり、そしてnは2〜4である)。
上記一般式(1)において、RおよびRのうち炭素数1〜3のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、およびイソプロピル基が挙げられる。炭素数が3を超える場合、これを用いた紙用柔軟剤は、紙に柔軟性およびサイズ性を付与する効果を有するものの、得られるアミドアミン化合物の融点が高くなり、取り扱い性が劣るおそれがある。
上記一般式(1)において、Rがとり得る炭素数1〜4のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、およびブチレン基が挙げられる。
上記一般式(1)において、nは2〜4である。nが4を超える場合、これを用いた紙用柔軟剤は、紙に柔軟性およびサイズ性を付与する効果を有するものの、得られるアミドアミン化合物の融点が高くなり、取り扱い性が劣るおそれがある。
上記アミドアミン化合物の製造に用いられるカルボン酸は、炭素数が10〜24、好ましくは12〜18のカルボン酸であって、飽和カルボン酸を35質量%以上、好ましくは60質量%以上含有する。炭素数が10未満の場合は、得られる紙の柔軟性およびサイズ性が不十分となる。炭素数が24を超える場合、これを用いた紙用柔軟剤は、紙に柔軟性およびサイズ性を付与する効果を有するものの、得られるアミドアミン化合物の融点が高くなり、取り扱い性が劣るおそれがある。また、飽和カルボン酸の含有量が35重量%未満の場合は、得られる紙のサイズ性が不十分となる。
炭素数が10〜24のカルボン酸としては、具体的には、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、テトラコサン酸などの飽和カルボン酸およびパルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸などの不飽和カルボン酸が挙げられる。これらのカルボン酸は、上述のように、飽和カルボン酸を35質量%以上含有するように用いる。
上記アミドアミン化合物は、上記ポリアミン化合物(1)と上記カルボン酸とを、該ポリアミン化合物のアミノ基1モルに対して、該カルボン酸のカルボキシル基が0.4〜0.8モル、好ましくは0.45〜0.7モルとなるような割合で反応させることによって得られる。カルボキシル基の割合が0.4モル未満の場合は、得られる紙の柔軟性およびサイズ性が不十分となる。0.8モルを超える場合は、紙に十分な柔軟性を与えることができない。反応は、例えば、反応器中に上記ポリアミン化合物(1)と上記カルボン酸とを仕込み、窒素ガス雰囲気下、攪拌しながら昇温し、生成する水を除去しながら数時間加熱することによって行われる。
(A−2)尿素
本発明の紙用柔軟剤に用いられる縮合物の原料である尿素は、市販品を適宜用いることができる。
(A−3)縮合物の調製
本発明の紙用柔軟剤に用いられる縮合物は、上記アミドアミン化合物と尿素とを反応させて得られる縮合反応生成物である。この縮合物の調製は、通常の縮合反応によって行われる。
上記縮合物の尿素縮合率は、10〜50%、好ましくは15〜40%である。この尿素縮合率は、下記式(I)により表される。尿素縮合率が10%未満の場合は、得られる紙のサイズ性が不十分となる。尿素縮合率が50%を超える場合は、得られる紙の柔軟性、特に曲げ剛度が不十分となる。
Figure 2007107116
(A−4)縮合物の酸塩の調製
本発明に用いられる尿素縮合物の酸塩(A)は、上記縮合物と、酸(有機酸、無機酸など)とを反応させることによって得られる。
無機酸としては、塩酸、硫酸、炭酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。有機酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、オクチル酸、酪酸、シユウ酸、マロン酸、イタコン酸、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、クエン酸、ヒドロキシ安息香酸、リンゴ酸、ヒドロキシマロン酸、乳酸、グルコン酸、サリチル酸、ヒドロキシ吉草酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、タウリン、スルファミン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などが挙げられる。これらの中で、有機酸が好ましく、蟻酸、酢酸、およびプロピオン酸が特に好ましい。
(II)三級アミン化合物(B)
本発明の紙用柔軟剤に用いられる三級アミン化合物(B)は、以下の一般式(2)で表される(以下、三級アミン化合物(2)という場合がある):
Figure 2007107116
(Rは炭素数が8〜20のアルキル基またはアルケニル基であり、MおよびMはそれぞれ水素原子またはアルカリ金属であり、そしてxおよびyはそれぞれ1〜3である)。
一般式(2)において、Rは、上述のように、炭素数が8〜20、好ましくは10〜14のアルキル基またはアルケニル基である。炭素数が8未満の場合は、紙に十分なサイズ性を与えることができない。炭素数が20を超える場合、紙に柔軟性およびサイズ性を付与する効果を有するものの、そのような化合物は、工業的に入手し難い。
炭素数8〜20のアルキル基としては、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、イソオクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基などが挙げられる。炭素数8〜20のアルケニル基としては、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、イソオクタデセニル基、エイコセニル基などが挙げられる。
一般式(2)において、MおよびMは同一でも異なっていてもよい。アルカリ金属としては、カリウム、ナトリウムなどが挙げられる。
一般式(2)において、xおよびyは、好ましくはxおよびyがともに1である。xおよびyが0の場合あるいは3を超える場合は、得られる紙の柔軟性が不十分となる。
上記三級アミン化合物(2)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(III)紙用柔軟剤
本発明の紙用柔軟剤は、上記縮合物の酸塩(A成分)および上記三級アミン化合物(B成分)からなる。
本発明の紙用柔軟剤中のA成分とB成分との質量比(A/B)は、95/5〜60/40、好ましくは92/8〜75/25である。縮合物の酸塩(A成分)の割合が60質量部未満の場合、この柔軟剤を用いて得られる紙の柔軟性およびサイズ性が不十分となる。縮合物の酸塩(A成分)の割合が95質量部を超える場合、得られる紙の柔軟性、特に曲げ剛度が不十分となる。
本発明の紙用柔軟剤は、そのまま使用してもよいが、分散液として使用してもよい。分散液の調製方法は、例えば、水または水溶性有機溶媒を仕込んだ後に、上記縮合物の酸塩および三級アミン化合物を仕込み、撹拌することによって行われる。水溶性有機溶媒としては、1〜3価の水溶性アルコールが好ましく、プロピレングリコールがより好ましい。
(IV)紙の製造方法
本発明の紙の製造方法は、通常の紙の製造工程において、上記紙用柔軟剤を使用することを特徴とする。紙用柔軟剤の量は、パルプ100質量部に対して、0.03〜8質量部、好ましくは0.1〜5質量部である。紙用柔軟剤の量が0.03質量部未満の場合は紙に十分な柔軟性を付与することができない。紙用柔軟剤の量が8質量部を超える場合、使用量に見合った柔軟性およびサイズ性向上効果が得られず、むしろ紙のコストアップにつながり、経済的に不利になる。
上記パルプとしては、化学パルプ(針葉樹または広葉樹の晒しまたは未晒しクラフトパルプなど)、機械パルプ(グランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプなど)、脱墨パルプ(新聞、雑誌古紙など)などを単独または任意の割合で混合したものを選択することができる。特に機械パルプまたは脱墨パルプが好適である。
本発明の紙用柔軟剤は、紙の製造における種々の工程において利用され得る。すなわち、抄紙工程のいずれの段階においても抄紙系に添加され得(内部添加法)、さらに抄紙工程により得られたパルプシートの表面に付与することも可能である(外部添加法)。例えば、抄紙工程におけるミキシングチェスト、マシンチェスト、種箱などの工程でパルプスラリーに添加する内部添加法、あるいは、抄紙により得られたパルプシート表面に塗工するサイズプレス、ゲートロール、スプレーなどの外部添加法が採用される。
特に内部添加法が好適に採用される。例えば、パルプと水とを含む混合物(例えば、パルプスラリー)に上記紙用添加剤を任意の方法で添加し、得られた混合物を用いて通常の方法により抄造を行うことにより紙が得られる。
本発明の製造方法においては、一般に紙の抄造に用いられる長網抄紙機、ツインワイヤー機、ヤンキー機などのあらゆる抄紙機を使用することが可能である。
本発明の紙の製造方法よって製造される紙としては、例えば、新聞用紙、印刷用紙、記録用紙、包装用紙、板紙、ライナー、中芯などの段ボール用紙、壁紙、襖紙原紙や裏打ち紙などの紙製品、トイレットペーパー、ティシューペーパーなどの衛生紙が挙げられる。特に印刷用紙が好適である。
本発明を実施例および比較例により具体的に示すが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
(合成例1.1:縮合物の合成)
攪拌機、冷却管、温度計および窒素導入管を備えた500ミリリットル容量の4つ口フラスコに、ステアリン酸284.0g(1モル)および表1の1.1欄に示す式(1)で表されるポリアミン化合物51.5g(0.5モル)を仕込み、窒素雰囲気下、180〜190℃で攪拌した。生成する水を系外へ除去しながら、3時間反応を行い、アミン価86.8のアミドアミン化合物を得た。このアミドアミン化合物を100℃まで放冷した後に尿素6.6g(0.11モル)を仕込み、窒素雰囲気下で160〜170℃にて撹拌し、アンモニアを系外へ除去しながら、1時間反応させた。アミン価が53.5および尿素縮合率が38.4%の縮合物a−1を得た。
(合成例1.2〜1.7:縮合物の合成)
表1に記載のカルボン酸、式(1)で表されるポリアミン化合物、および尿素を表1に記載のモル比で用いたこと以外は、合成例1.1と同様の方法で縮合物a−2〜a−7を得た。
(比較合成例1.1〜1.6:縮合物の合成)
表1に記載のカルボン酸、式(1)で表されるポリアミン化合物、および尿素を表1に記載のモル比で用いたこと以外は、合成例1.1と同様の方法で縮合物a−8〜a−13を得た。
Figure 2007107116
合成例1.1〜1.7および比較合成例1.1〜1.6により、表1に示す縮合物a−1〜a−13が得られた。これらの中で、比較合成例1.1〜1.6の縮合物a−8〜a−13は、以下の点で本発明の縮合物の条件を満たしていない。すなわち縮合物a−8は、カルボン酸の炭素数が小さい(カプリル酸)。縮合物a−9は、カルボン酸として不飽和カルボン酸(オレイン酸)が用いられている。縮合物a−10およびa−11は、尿素縮合率が高い。そして縮合物a−12およびa−13は、アミドアミン化合物中のアミノ基に対するカルボキシル基の割合が高い。
(合成例2.1:三級アミン化合物の合成)
攪拌機、冷却管および温度計を備えた500ミリリットル容量の4つ口フラスコに、イオン交換水87.2g、エタノール87.2g、およびラウリルアミン54.6g(0.30モル)を仕込み、85〜95℃で撹拌しながら、65%モノクロル酢酸水溶液93g(0.64モル)および48%水酸化ナトリウム水溶液106.8g(1.28モル)を2時間かけて滴下し、滴下終了後85〜95℃で5時間撹拌して反応を行い、三級アミン化合物b−1を30%含む水溶液を得た。この三級アミン化合物b−1の組成を表2に示す。
(合成例2.2および2.3:三級アミン化合物の合成)
ラウリルアミンの代わりに、ミリスチルアミン(合成例2.2)またはステアリルアミン(合成例2.3)を用いたこと以外は、合成例2.1と同様の方法で三級アミン化合物b−2およびb−3を得た。これらの三級アミン化合物b−2およびb−3の組成を表2に示す。
(比較合成例2.1:三級アミン化合物の合成)
ラウリルアミンの代わりに、オクチルアミンを用いたこと以外は、合成例2.1と同様の方法で三級アミン化合物b−4を得た。この三級アミン化合物b−4の組成を表2に示す。
Figure 2007107116
(実施例1:紙用柔軟剤の分散液の調製およびその評価)
1.紙用柔軟剤の分散液の調製
攪拌機、冷却管および温度計を備えた500ミリリットル容量の4つ口フラスコに、プロピレングリコールを30g、イオン交換水を206.6g、そして合成例2.1で得られた三級アミン化合物b−1を30%含む水溶液を22.7g(b−1を6.8g含有)仕込んだ。75〜80℃で撹拌しながら、これに酢酸を2.4gおよび尿素縮合物A−1を38.3g加え、1時間撹拌を行った。その後、冷却して紙用柔軟剤の分散液X−1を得た。
2.紙用柔軟剤の評価
上記で得られた分散液X−1を用いて、以下のようにして手すきシートを製造し、得られた手すきシートの柔軟性(曲げ剛度および容量)およびサイズ性について評価した。これらの評価結果をまとめて表3に示す。
(1)手すきシートの製造
LBKP(広葉樹晒しパルプ)を、離解機(熊谷理研株式会社製)を用いて離解し、パルプを1質量%含有するパルプスラリーを調製した。このパルプスラリー800g(パルプ量8g)を1リットル容量のビーカーに入れ、分散液X−1を0.25g(パルプ100質量部に対して紙用柔軟剤が0.5質量部)、硫酸アルミニウムを1質量%含有する水溶液を0.8g(パルプ100質量部に対して0.1質量部)、および予め1%に希釈して糊化したカチオン化デンプン(エースK−100、王子コーンスターチ株式会社製)を8.0g(パルプ100質量部に対してカチオン化デンプンが1.0質量部)添加し、径4.5cmのタービン羽根により、250rpmにて1分間撹拌した。その後、得られた混合物100gをはかりとり、TAPPIスタンダードシートマシン(安田精機株式会社製)により抄紙し、油圧プレス機(安田精機株式会社製)を用いて、0.35Mpaで5分間プレス後、ドラム式ドライヤー(安田精機株式会社製)により105℃にて2分間乾燥し、坪量約50g/mの手すきシートを得た。この手すきシートを恒温恒湿室(温度23℃、湿度50%)にて17時間調湿した。
(2)柔軟性の評価1(曲げ剛度)
純曲げ試験機(カトーテック(株)製KES−FB2)を用いて、調湿した手すきシートの縦方向および横方向の曲げ剛度をそれぞれ測定し、その平均値を求めた。得られた平均値を以下の基準で評価した。
(評価基準)
曲げ剛度が4.41×10−5N・m/m未満:柔軟性が良好である(○)
曲げ剛度が4.41×10−5N・m/m以上:柔軟性が不十分である(×)
(3)柔軟性の評価2(容量)
調湿した手すきシートの坪量をJIS P 8124に従って測定した。さらに厚みをJIS式紙圧測定機(シチズン時計(株)製 MEI−10)により測定した。下記の式に従い得られた手すきシートの容量を求め、以下の基準で評価した。
シート容量(cm/g)=厚さ(μm)/坪量(g/m
(評価基準)
シート容量が1.60cm/g以上:柔軟性が良好である(○)
シート容量が1.60cm/g未満:柔軟性が不十分である(×)
(4)サイズ性の評価
JIS P 8122に準じて、調湿した手すきシートのステキヒトサイズ度を測定し、サイズ性を以下の基準で評価した。
(評価基準)
サイズ度が20秒以上:サイズ性が良好である(○)
サイズ度が20秒未満:サイズ性が不十分である(×)
(実施例2〜7)
表3に記載の縮合物、酸、および三級アミン化合物を表3に記載の質量比で用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で紙用柔軟剤の分散液X−2〜X−7を得た。これらの分散液を用いて、実施例1と同様にして手すきシートを製造し、得られた手すきシートの柔軟性(曲げ剛度および容量)およびサイズ性について評価した。これらの評価結果をまとめて表3に示す。
(比較例1〜15)
表4に記載の縮合物、酸、および三級アミン化合物を表4に記載の質量比で用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で紙用柔軟剤の分散液X−8〜X−22を得た。これらの分散液を用いて、実施例1と同様にして手すきシートを製造し、得られた手すきシートの柔軟性(曲げ剛度および容量)およびサイズ性について評価した。これらの評価結果をまとめて表4に示す
Figure 2007107116
Figure 2007107116
表3の結果から、実施例1〜7のように、特定の組成を有する紙用柔軟剤を用いた場合は、優れた柔軟性およびサイズ性を有する紙(手すきシート)が得られることが分かる。
これに対して、表4の比較例1〜15については、使用される紙用柔軟剤を構成する縮合物の酸塩および三級アミン化合物のいずれかが本願の条件を満たしていない、あるいは両者の割合が本願の範囲を満たしていない。そのため、紙の柔軟性およびサイズ性のいずれかが不十分であった。すなわち、比較例1では、縮合物の酸塩(A成分)と三級アミン化合物(B成分)との質量比(A/B)が95/5を超える紙用柔軟剤を用いているため、得られる紙の柔軟性(曲げ剛度)が不十分である。比較例2では、縮合物の酸塩(A成分)と三級アミン化合物(B成分)との質量比(A/B)が60/40未満である紙用柔軟剤を用いているため、得られる紙の柔軟性およびサイズ性が不十分である。比較例3では、紙用柔軟剤において、縮合物の酸塩を用いていないため、得られる紙の柔軟性が不十分である。比較例4では、縮合物の原料カルボン酸の炭素数が少ない紙用柔軟剤を用いているため、得られる紙の柔軟性およびサイズ性が不十分である。比較例5では、縮合物の原料カルボン酸が不飽和カルボン酸(オレイン酸)である紙用柔軟剤を用いているため、得られる紙のサイズ性が不十分である。比較例6では、縮合物の尿素縮合率が大きい紙用柔軟剤を用いているため、得られる紙の柔軟性(曲げ剛度)が不十分である。比較例7では、縮合物の尿素縮合率が小さい紙用柔軟剤を用いているため、得られる紙のサイズ性が不十分である。比較例8では、縮合物を構成するアミドアミン化合物のアミノ基に対するカルボン酸のモル数が多い紙用柔軟剤を用いているため、得られる紙の柔軟性が不十分である。比較例9では、縮合物を構成するアミドアミン化合物のアミノ基に対するカルボン酸のモル数が少ない紙用柔軟剤を用いているため、得られる紙の柔軟性およびサイズ性が不十分である。比較例10では、三級アミン化合物中のアルキル基が短い紙用柔軟剤を用いているため、得られる紙のサイズ性が不十分である。比較例11および12では、三級アミン化合物の構造が異なる紙用柔軟剤を用いているため、得られる紙のサイズ性が不十分である。比較例13では、紙用柔軟剤において、三級アミン化合物を含んでいないため、得られる紙の柔軟性(曲げ剛度)が不十分である。比較例14では、紙用柔軟剤において、縮合物を構成するアミドアミン化合物のアミノ基に対するカルボン酸のモル数が多く、三級アミン化合物を含んでいないため、得られる紙の柔軟性が不十分である。比較例15では、紙用柔軟剤において、縮合物の酸塩を含んでいないため、得られる紙の柔軟性およびサイズ性が不十分である。
本発明によれば、柔軟性に優れ、十分なサイズ性を有する紙を得ることが可能な紙用柔軟剤が提供される。この紙用柔軟剤を用いると、柔軟でサイズ性に優れた紙を得ることができる。このような紙は、製本用紙、新聞用紙、印刷・情報用紙、段ボール原紙、板紙など各種分野の紙に広く利用され得る。

Claims (2)

  1. アミドアミン化合物と尿素との縮合物の酸塩(A)および三級アミン化合物(B)からなる紙用柔軟剤であって、
    該アミドアミン化合物が、以下の式(1):
    NH−(R−NH)−R ・・・(1)
    (RおよびRは水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基であり、Rは炭素数が1〜4のアルキレン基であり、そしてnは2〜4である)で表されるポリアミン化合物(1)と、
    飽和カルボン酸を35質量%以上含有する、炭素数が10〜24のカルボン酸とを、
    該ポリアミン化合物(1)のアミノ基1モルに対して、該カルボン酸のカルボキシル基が0.4〜0.8モルとなるような割合で反応させて得られ、
    該縮合物の尿素縮合率が10〜50%であり、
    該三級アミン化合物(B)が、以下の式(2):
    Figure 2007107116
    (Rは炭素数が8〜20のアルキル基またはアルケニル基であり、MおよびMはそれぞれ水素原子またはアルカリ金属であり、そしてxおよびyはそれぞれ1〜3である)で表され、そして
    該縮合物の酸塩(A)と該三級アミン化合物(B)との質量比A/Bが、95/5〜60/40である、
    紙用柔軟剤。
  2. パルプ100質量部に対して、請求項1に記載の紙用柔軟剤を0.03〜8質量部となるように添加する工程を包含する、紙の製造方法。
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